第23回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和3年7月30日(金) 10:00~12:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
○萩森予防接種室長補佐 それでは、定刻となりましたので、第23回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催します。
本日は、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開です。また、前回の分科会と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているYouTubeの撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方々におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
次に、本日の出席状況について御報告いたします。
磯部委員、合田委員、沼尾委員、阿真参考人から御欠席の連絡を受けております。
また、脇田分科会長、釜萢委員、川俣委員、福島委員から遅れる旨、連絡を受けております。
現在、委員の18名のうち10名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
続きまして、本部会の資料はあらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方法で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から番号07の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点等がありましたら事務局員までお申し出ください。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
(カメラ退室)
○萩森予防接種室長補佐 それでは、ここからの進行は中野分科会長代理にお願いいたします。
○中野分科会長代理 よろしくお願いいたします。
朝早くからありがとうございます。
まず、事務局から審議参加に関する遵守事項等につきまして、報告をお願いいたします。
○萩森予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。
本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告をいただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、資料07の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は議事内容に関し「退室」や「審議または議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取について通帳や源泉徴収票などの書類を確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようよろしくお願いいたします。
以上です。
○中野分科会長代理 それでは、議事に入りたいと思います。
新型コロナウイルスワクチンの接種について(モデルナ社ワクチン)です。先週月曜日の薬事・食品衛生審議会において、モデルナ社の新型コロナワクチンの接種対象者が18歳以上から12歳以上に拡大される旨が議論され、添付文書の改訂が行われました。本日はこれを踏まえ、予防接種法における新型コロナワクチンの接種対象者の取扱いについて御議論いただきたいと思います。
まず、資料について、事務局から説明をお願いいたします。
○川村予防接種室長補佐 予防接種室の川村と申します。資料について御説明をさせていただきます。
まず2ページ目、こちらは前提の御確認ということなのですけれども、今回、モデルナ社ワクチン、18歳から12歳以上と改訂されたことに伴って、本分科会においては、同様に18歳以上から12歳までを予防接種法上の予防接種の対象とするというところについて御議論いただきたいと思っています。そこはまさに予防接種に関する重要事項ということなので、今回予防接種分科会のほうで御議論いただくということでございます。副反応検討部会、こちらも赤枠がついておりますけれども、こちらは追って御議論いただくアストラゼネカの関係で副反応報告基準というところで関係する省令改正がございまして、そちらについて本分科会で御議論いただいた後で御承認いただいた後に、副反応検討部会のほうで当該事項、アストラゼネカについて御議論いただくという仕切りでございます。
次に3ページ目でございます。こちらも前提として情報提供ということで、最近のワクチンの供給、調達についての動きなのですけれども、7月20日、武田/モデルナ社ワクチンの追加契約、これまで協議中ということだったのですけれども、来年初頭から5000万回分のワクチンの供給を受けるというところについて、追加契約に至りましたというところの情報提供をさせていただきます。
次の4ページ目から本題に入らせていただきます。
4ページ目は、武田/モデルナ社ワクチンの添付文書改訂、まさに先生からお話しいただいた添付文書改訂なのですけれども、こちらは用法について「18歳以上の者」というところが「12歳以上の者」に行うことというところで改正をされております。
次から予防接種に位置づけることを前提として、モデルナ社ワクチンの12歳から17歳までの有効性についての資料が5ページ目でございます。成人、18歳以上の者と同様に有効性についても効果が得られていますと、免疫原性についても同様に有効性が評価されているという資料でございます。
次の6ページ目、こちらが安全性ということで、ワクチン接種の前提として有効性が確認されつつ、かつ安全性等を鑑みてベネフィットがある場合に当然打つということなので、安全性についてでございます。頭痛だとか、筋肉痛だとか、主たる副反応の割合等について記載させてございます。
6ページ、7ページを合わせて、7ページは今回まさに年齢を広げるというところでございますので、12歳から17歳まで、18歳から64歳までと年齢を区切って、どういった副反応が生じるかというところで記載をさせてございます。
次に8ページ、心筋炎関連事象についてということで、最近、若年男性を中心に心筋炎関連事象が報告されております。ワクチン接種後に生じた心筋炎関連事象になりますので、因果関係の有無等についてはまだ詳細が明らかになっていないところではあるのですけれども、ワクチンを接種した後にこういた事象が報告されているというところでございます。今のところ報告、ファイザーのワクチン、12歳から17歳が既に接種をされていますけれども、前回の21日の副反応検討部会の時点で、12歳から17歳の心筋炎関連事象については、その時点で報告をされていないというところでございます。
ただ、国内の発生状況とか海外における報告状況だとか、引き続き注視をしていくとともに、ウェブサイト等において、こういった心筋炎関連事象が生じていますといったことだとかを周知したり、注意喚起を行っていくこととしております。
次に11ページ目の資料なのですけれども、心筋炎関連事象がコロナ感染症に付随して生じていますというところも実はあって、件数を挙げさせていただいております。ワクチン接種で当然、ワクチンを打った後に因果関係が生じているというところもありつつ、コロナ感染症に付随して生じているという事情も一応あるというところでございます。
12ページ目を御覧いただくと、我が国の現時点における新型コロナ感染症の状況についてです。昨今、感染者が増加しているところもあるのですけれども、20代が一番多いのですけれども、10代についてもそれなりのオーダーで陽性者数がいるというところです。
13ページ目は重症化因子で、高齢者については当然重症化率が高いリスクもあるという説明でございます。とはいえ、前の12ページ目で述べたように10代についてもそれなりの陽性者数がいるというところで、そういった方を対象にするというところで、それなりの医療提供体制の影響だとか、当然若い方の発症が抑えられるとか、重症化を予防できるというところの、それなりの効果は注視していく必要があるのかなと考えております。
最後の14ページなのですけれども、接種対象についてこれまでに述べたとおり、12歳から17歳に使用した場合についても成人、18歳以上と同様の有効性・安全性が期待できますと、前、感染状況で御説明をしたとおり、10代の陽性者数がそれなりの数がいらっしゃいますので、そういった方について、このワクチンを打っていくというところの重要性もあるのかなと考えております。
最後に、予防接種法の予防接種に位置づけるということなので、万が一、健康被害が生じた場合に、予防接種法に基づく各種救済制度、給付の対象とすることは、当然そのワクチンを勧めていくと同時に、そういった救済制度を充てることは当然必要ですし、かつメリットがあるというところで考えております。
以上の情報を踏まえまして、モデルナ社ワクチンの接種対象を12歳以上に拡大してはどうかというところについて御議論をいただきたいと思います。
次に、今回12歳以上に拡大することについて、大臣の指示の改正が伴うというところで資料2を御覧いただきたいと思います。
こちらは御議論いただいて、その後、仮に御承認いただければ、厚科審のほうにお出しする資料になっていくのですけれども、最後の別紙2について、縦書きで一部改正案というところで資料をつけさせてございます。
第一号のコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチンと縦書きで書いているところ、こちらが12歳以上に拡大する場合における改選部についてです。というところで、こちらも併せて御議論というか、御確認をいただけると助かります。
説明は以上となります。
○中野分科会長代理 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、モデルナ社ワクチンの取扱いにつきまして、御質問・御意見などがございましたら、委員の皆さん、挙手をお願いします。
森尾委員、お願いいたします。
○森尾委員 御説明ありがとうございました。
説明していただいたのですけれども、ちょっと確認をお願いします。心筋炎・心膜炎についてですけれども。12歳から17歳の接種者の中で、今まで報告がないということでよろしいでしょうか。
○中野分科会長代理 事務局、いかがでしょうか。
○川村予防接種室長補佐 7月21日の副反応検討部会と、薬事のほうの安全対策調査会で7月21日、心筋炎の関係について件数等々を報告させていただいております。21年の7月11日までを集計期間として、心筋炎関連事象について医療報告機関から御報告をいただいております。そちらの報告事象の中で、今回対象年齢を広げる12歳から17歳までの方について、心筋炎の報告については、この2月17日から7月11日のスパンの中では報告は上がってきておりません。
○森尾委員 申し訳ありません、ちょっとクリアにさせてください。今モデルナ社ワクチンについて議論されていると理解をしております。国内では12歳から17歳、接種されていないと思うのですけれども、欧米のことをおっしゃっていたわけではないでしょうか。
○川村予防接種室長補佐 少々お待ちください。
○中野分科会長代理 恐らく森尾委員の御質問のポイントは7月14日から21日の心筋炎がなかったということが、国内でファイザー社のワクチンは12歳以上、その時点で適用があって公的接種でも使われているけれども、ファイザー社のワクチンについて報告がなかったかという御理解でよろしいでしょうか。
○森尾委員 それもあるのです。一つはファイザー社でなかったかという国内のことなのですけれども、2つ目は海外の報告で、もう大分データが集まっていると思うのですけれども、モデルナ社で12歳から17歳、コミナティで12歳から15歳で、心筋炎の発症がどのくらいだったか、もしデータがあれば、お示しいただけるといいのかなということでございます。中野委員がおっしゃっていたのももう一つのポイントでございます。
○中野分科会長代理 それに関して、恐らくモデルナ社のワクチンは12歳以上に公的接種で使っている国がまだこれから進んでいくところだと思いますので、心筋炎の報告としては上がってきたにしても、そこがうまくつかめないかなという気がいたします。参考情報でございます。
○森尾委員 私もそう思いつつ、もしデータがあればここでお示ししておくと、やはりフェアなのかなという気がいたしました。
○中野分科会長代理 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○森尾委員 中野先生、コミナティだとデータがもうちょっとあるのではないですか。12歳から15歳でのコミナティのデータはいかがでしょう。
○中野分科会長代理 コミナティは恐らく米国とかイスラエルとか英国のデータがあるかとは思います。
○山口ワクチン対策専門官 ありがとうございます。事務局でございます。
今、中野先生からの御説明いただきましたとおりでございまして、まずモデルナ社については、現時点でまだ12歳から17歳の接種が世界的にも進んでおりませんので、現時点においてはその報告がないと承知しております。
また、森尾先生の御指摘のとおり、ファイザー社のワクチンにおきましては国内でも接種が進んでいて、国内においては前回の副反応検討部会までの時点においては、12歳から17年までの心筋炎が疑われた報告というのは上がっていないと承知しております。
また一方で、全世界的に12歳から17歳の心筋炎の報告状況については、また別途お調べさせていただいて、お示しさせていただきたいと考えております。ありがとうございます。
○森尾委員 ありがとうございました。
○中野分科会長代理 今の森尾委員の御質問に関しまして、私も森尾委員と結構共通の思いがございまして、例えば国内のファイザーのワクチンの年齢別の接種数も高齢者の数は割と分かるのですけれども、ほかの年齢は割と分かりにくいかなと思うのです。森尾先生は副反応検討部会の部会長でもございますので、やはり安全性のことをしっかりと考えていただいているのではないかと思うのですが、母数の接種数と起こった副反応、そういったところも大切かなという点での御指摘かと思いましたので、年齢別の接種数というのもすごく細かい年齢で示す必要があるかどうかというと、やはりプライバシーの問題とかもいろいろございますけれども、一定の年齢層で分かってくるといいなと、この件に関しては思っております。
脇田分科会長がいらっしゃいましたけれども、どういたしましょう。司会を交代いたしましょうか。
○脇田分科会長 中野先生、どうもありがとうございます。せっかくなので議題の1を先生に進めていただいてもよろしいですか。
○中野分科会長代理 分かりました。
○脇田分科会長 よろしくお願いします。
○中野分科会長代理 では、議題1に関しまして、ほかに委員から御質問はございますでしょうか。
佐藤委員、その後、坂元委員、お願いいたします。
○坂元委員 中野先生、池田先生が最初から手を挙げられています。
○中野分科会長代理 失礼いたしました。
では、佐藤委員、池田委員、坂元委員の順にお願いします。
○佐藤委員 先に失礼させていただきます。ありがとうございます。
オペレーションについてお聞きします。この対象年齢が拡大された場合、現在、モデルナのワクチンが接種されている大規模接種会場で即座に対象年齢の拡大がされるものなのか、あるいはファイザーのワクチンが12歳以上に拡大されたときに、接種が一定程度、時間がかかると見込まれていたことから、必ずしも即座にこの年齢層に接種券を送付する必要はなく、送付時期については自治体で判断していただきたいというような通知がなされて、一部の自治体では、接種券もまだ送付されていないところと理解しております。そのあたりのオペレーションについて、何らかの変更があるのか、ないのか教えてください。
○中野分科会長代理 御質問を先にいきましょうか。池田委員、お願いいたします。
○池田委員 池田でございます。
モデルナ社のワクチンに関して、対象年齢の拡大ということについては、今の御説明で私は賛成でございます。
確認なのですが、このワクチンの効果、特に今回対象になっている年齢に関しては、発症予防効果は確認されていると理解をいたしました。ただ、説明の中では、いわゆるそれぞれの年齢における陽性者数の御説明はあったのですが、いわゆる発症率と感染率、あるいは発症予防効果と感染予防効果は多分違うものというか、別なのかなと思いまして、従来の方に接種した場合の感染の予防効果というのは、何らかの形で証明されているのかどうかです。私の理解ですと、医療提供体制に一定の影響を与えるというのは、もちろん陽性者に対してもそうですが、むしろ感染者とか重症者のほうが医療提供体制にはより多くの影響を与えるように思います。そういった観点から、10代の方での発症予防効果を期待してということなのか、感染予防効果を期待してということなのか、そうしたデータがどの程度明らかになっているのかということについて確認させていただきたいと思います。
○中野分科会長代理 それでは、引き続いて坂元委員、御質問をお願いいたします。
○坂元委員 佐藤委員とも共通するのですが、このモデルナのワクチンの供給というのがかなり限られた供給です。つまり国の大規模接種会場、もしくは都道府県、大都市が行った大規模接種会場に現在供給されている、あとは職域です。自治体のほうも、このモデルナの供給がいつまで続くのかというところが一つまだ明確でないということがあります。
それから、12歳から17歳ということを考えると、場合によって基礎疾患のある場合は、小児科の先生のところでやられるほうがいいのではないかということを考えると、今、開業の先生方にファイザーが供給されていると、そうすると今後の一つの戦略として、このモデルナのワクチンもそういう個別のほうにやるのか、そうすると1つの診療所で2種類のワクチンが入るということは基本的に避けるのだろうという形だと思います。そういう意味での実際に12歳以上に認められても、市町村が今後どうやって扱っていくかという意味でのしっかりした方法について、今後御教示いただきたいという形で、この場ですぐお答えはできないと思うのですが、一応そういうことを要望したいということであります。
○中野分科会長代理 ありがとうございます。
では、一つは要望事項であったかと思いますが、事務局から御回答をお願いいたします。
○川村予防接種室長補佐 お答えさせていただきます。
佐藤先生、坂元先生からオペレーションについての御質問と御要望がございました。現時点では、モデルナ社ワクチンについてはおっしゃるとおり大規模接種会場と職域接種会場について使用させていただいている状況です。一応そこの仕切りというか整理は、年齢拡大に伴って変更する予定は現時点ではございません。なので、対象年齢が広がったからワクチンを年齢が広がったところにも打つという場合でも、例えば職域接種については現状、企業に割り当てられている分がある程度決定している部分については変更なく、そこの範囲内で打てる範囲で従業員の家族の御子息の方とか、そういった形で打つというところを想定しています。
大規模接種会場も同様に、現状割り当てられている分については自治体の御判断で、例えば自治体だとファイザー社の大規模接種会場とモデルナ社の接種会場がそれぞれありますけれども、モデルナ社の接種会場については現状の割り当て分を前提に自治体の御判断で、例えば今までファイザーのワクチンは12歳から17歳、15歳まで、若年者の方に打たれていますけれども、モデルナ社のワクチンについても接種会場として12歳から17歳で打ちたいというところがあれば、そこは現状の割り当て分を前提に、そこの会場で打っていくというところで考えています。
おっしゃるとおり、もし個別の接種会場に現状ファイザーが流れていますけれども、モデルナ、仮に将来的にはそういうところに流すという話が、現状では想定していないのですけれども、仮に出た場合は、同じ医療機関で複数のワクチンがあるというのは当然混乱が生じる恐れがあるので、もし将来的にそういう話が出るのであれば、そこしっかり留意して対応させていただきたいと思います。
次に、池田先生から感染予防効果についての御質問がありました。ありがとうございます。発症予防効果については一定程度知見がございます。重症化予防効果についてもサンブルの多い少ないがあって若干幅があるものになってございますが、一定程度あるという報告も上がってきているところです。
なので、陽性者が出ましたと、当然その方についてはもう感染していらっしゃるので、そういった方が重症化予防をしたりだとか、実際に感染しても発症を予防する効果については一定程度期待した上で、医療提供体制の影響も小さくしていくというところは考えられるのですが、感染予防効果についてはおっしゃるとおり、実際に発症していない段階なので、感染しているのかというのは、発症しているかよりもなかなか調べるのが難しいというところもあって、感染予防効果について、ある程度見込まれるという報告もあれば、例えば最近出ているまさにデルタ株については、ある程度感染予防効果があるという研究結果もあれば、3~4割程度という研究結果もあったりだとか、そこはまさに今知見が蓄積されているところなので、そこは今まさに動いている状況で、我々としてもそういった情報なり研究結果を注視して、感染予防効果についてもどの程度見込まれるのかというところは、引き続き調査なり蓄積させていただきたいなと考えております。
○中野分科会長代理 ありがとうございます。
3名の委員の方々、よろしかったでしょうか。
では、ほかの質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
池田委員、お願いいたします。
○池田委員 たびたび恐れ入ります。
先生方からの御指摘もあったところなのですが、いわゆる接種券のほうは順番に配られておりまして、例えば10代の方にも配られて、このモデルナワクチンも利用可能となりますと、接種の機会が増えるという点ではよいことかと思うのですが、それに関して2点質問でございます。
これはこの分科会では議論することではなくて、もしかしたら政府の分科会のほうで既に議論されたり決まっていることかもしれませんが、接種券だけ配ってもワクチンがないという自治体がたくさんあって、実際に私の家族も2週間前に接種券が来たのですが、2週間毎日やっていますけれども、一切連絡が取れないのです。
ということで、これはたまたま接種の予約が取れた方から打つということでいいのか。それとも、例えば上の年代から順番なのか、あるいはむしろ10代から先なのか、そういったある程度の方向性を決めないと、これはいわゆる感染の状況とか、重症化率とか、あるいは場合によっては費用対効果とか、様々な観点からどういう順番で優先的にやるかということもどこかで議論しないと、打てるチャンスが広がる、あるいはワクチン適用の年齢が広がることは望ましいことですが、さらに混乱を招くという状況も起こりかねないので、そういった全体的な方針、各国そういうのを決めているようですので、日本では政府のほうで決めているのだったらそれを教えていただきたいし、決めていないのならば、何らかの方針を考えるべきと思います。これは意見でございます。
もう1点ですが、他国ではこの後議論されるアストラゼネカのワクチンを1回目に打った方が、2回目はmRNAのワクチンを打つであるとか、あるいはファイザーとモデルナはどちらも1回目と2回目で変えてもいいという形で柔軟な対応をして、多くの方に早めに1回目の接種をしていただく、あるいは2回目についても限られた供給量の中で最善の選択をいろいろ模索していると理解しています。日本でもこうしたモデルナワクチンの対象年齢を広げるということと併せて、その接種のやり方も少し柔軟性を持たせるということも議論すべきと思いますが、それについてはいかがでしょうか。2点目は質問でございます。
○中野分科会長代理 事務局、いかがでしょうか。
○川村予防接種室長補佐 まず、1つ目の質問についてお答えをいたします。現時点で政府として当然分科会でどこまで議論するかというのはもちろんあるのですけれども、一応政府としてファイザー社とモデルナ社ワクチンについては9月末、ある程度の時期で、現時点で打つのを希望される方についてのワクチンの量というのは十分に調達できていると考えているところです。ただ、おっしゃるとおり、まさにワクチンの流通だとか、市町村への配付というところで、実際にそういったところによって、現に市町村のほうで例えば予約が取れなかったり、取れてもどうしても先になってしまったりという事情があるところは承知しているところです。
一応政府のほうで以前65歳以上の方の基礎疾患がある方で、あとは一般の方という方針をお示しして、一般の方についてはある程度幅を持って、かつ都道府県だとか市町村の需要に応じて、例えば特定の年代の方を早く、若い方は動きが多いので先に打ったりだとか、あとは単純に、私が住んでいる文京区とかもそうですけれども、上の年齢の方から順番に接種券を配って打っていくというところは市町村の現状だとか、特性に応じて御判断いただいているところです。
とはいえ、確かに現状、どのように予約を取っていくか、どういう年代から打っていくのかというところで一定の方針を示していただけると、ある程度それに基づいて動いて、スムーズに接種が進むのではないかという御意見もまさにあると思いますので、一律で示すことによる、まさに円滑に進むかというところと、示すことによって市町村の実情に応じた対応ができるかというところの比較考慮も含めて、接種の在り方について考えていきたいなと思っているところです。
以上になります。
2つ目については、九十九補佐からお話しします。
○九十九予防接種室長補佐 予防接種室の補佐の九十九でございます。
御指摘いただきました海外の供給状況に応じまして2種類のワクチンを交差して打つような実態があるのではないか、我が国においても柔軟な対応を検討するべきではないかという御指摘だと思います。現在の政府のスタンスといたしましては、現時点では2種類のワクチンを交互に使うことにつきましては確立したエビデンスがまだない、具体的な有効性や安全性に関する具体的な知見がまだ明確でないことから、現時点ではそのように位置づけておりませんが、もしそのような知見が確立してくるとか、あるいは諸外国の状況も踏まえまして必要な対応があれば、またこちらの分科会で議論いただくということを考えてございます。
以上でございます。
○中野分科会長代理 ありがとうございました。
ほかに御質問はいかがでしょうか。委員の方々、よろしいでしょうか。
伊藤町長、お願いいたします。
○伊藤(定)委員 豊郷町の伊藤です。
今現在、町村のほうでは7月末までに高齢者のワクチン接種の2回目はほとんど終わるということでありまして、64歳以下12歳までは7月ぐらいから順次予約接種を進めているのですけれども、特に若年層に副反応に対する懸念ということでいろいろ報道がされております。我々はこの12歳までモデルナを下げられても、実際に接種される方が安心できるという情報が欲しいのではないかなと思うのです。
特に65歳以上、豊郷町の場合ですと、大方90%の方々が接種の2回目をされます。今現在、64歳以下12歳を一括で予約接種をやっているのですけれども、今のところ、予約者も45%ぐらいしかいかないです。特に若い女性、そして、10代の学生等にはなかなか浸透しづらい面があるのですけれども、そこはぜひともこの安全性、有効性、そして副反応のリスクなどをしっかり情報提供していただいて、発信していただきたい。特に若い世代はネット社会ですから、変な情報が流れるとそちらに流れる可能性がありますので、そこは一つお願いしたいと思います。
以上です。
○中野分科会長代理 伊藤町長からのコメントは今日審議しております12歳、17歳の方以外のもう少し年齢が上の若年層の方への接種啓発という意味も含めてコメントと承ったということでよろしいでしょうか。
○伊藤(定)委員 それで結構です。
○中野分科会長代理 事務局から回答は何かございますでしょうか。
○川村予防接種室長補佐 お答えさせていただきます。
まさにおっしゃるとおりで、そこについてはもちろんワクチンの安全性、もちろん一定の軽微なものを含めて副反応が生じるというところの周知は当然必要だと考えております。この場を借りて申し上げると、もちろんワクチン、当然、副反応は先ほどモデルナの資料でお見せしたとおり、成人の方についても一定の、腕が腫れたりだとか、頭痛があったりだとか、そういった副反応は当然生じるというところはあります。ただ、発症予防効果だったりとか、重症予防効果だったりとか、あと、感染予防効果についてはまだ蓄積が十分ではないにしても一定程度期待されるというところも今データが上がってきているところでございます。
もちろんそういったものを踏まえて、そういった情報を我々はメリット・デメリットを含めてちゃんと発信して、かつ任意接種、御自身で受けていただくということもありますので、そういった情報も踏まえて受けていただきたいのですけれども、我々としてはそういった情報も見た上で、もし御納得いただけるのであれば、我々としては一定程度の発症予防効果等も期待できるので、そこはぜひ接種していただきたいなと考えております。
とはいえ、繰り返しになるのですけれども、そこは御自身で受けるか判断されるところになるので、我々としてはしっかりワクチンの有効性だとか安全性、副反応を含めてしっかり情報発信して、そういった方にもちゃんと伝わるように周知なり、広報なりをしていきたいと考えております。
以上です。
○中野分科会長代理 ありがとうございます。
引き続き、川俣委員、信澤委員の順にお願いいたします。
○川俣委員 川俣です。ちょっと遅れまして申し訳ありません。
うちのほうもクラスターが出まして、ワクチン接種を進めたいなというのが気持ちの中にあります。ただ、12歳以上という中では、今、受験生である中学3年生、それと、高校3年生を対象にちょっと早めにワクチン接種を進めようと今しています。その中で、担当していただいている医師会の先生方から出たことが、子供に対するデータがあまりないのではないか、私は子供は受けさせたくないと思っていますので、ワクチン接種の会場に私は伺いませんみたいな話も出てきていますので、その辺のところを医師会的にも子供のワクチン接種に関しての報道をしていただけるとありがたいなと思っています。
そのようなことで、市民や国民に対してもですが、医師会のほうでもできますことを進めていただければ、もう少し低年齢にもワクチン接種が進められるのではないかなと思っていますので、お願いしたいなと思っています。
○中野分科会長代理 引き続き信澤委員、お願いいたします。
○信澤委員 ありがとうございます。
今の御意見にちょっとかぶるのですけれども、私もモデルナワクチンの12歳以上への使用については異論はありませんけれども、先ほどからいろいろ御意見が出ているように、国内はもちろん国際的にも情報が多くない中で、接種後の副反応ですとか効果についての情報収集というのは今されていると思いますが、その情報を積極的に公表して、今後のワクチン行政に役立てていただきたいと思います。
一方、今後、変異株が12歳以下の小児へも感染する可能性というのはあると思いまして、大人への感染と同程度に感染が起きてくることは否定できないと思います。今の変異株では小児での重症例はほとんどないようですけれども、今後、ラムダ株など新しい変異株が日本に入ってきますと、やはりウイルスにとってはナイーブな小児というのは絶好の標的になりますので、小児での重症例が多発する可能性というのも否定はできないと思いますので、そのあたりも既に御検討いただいているのかもしれませんけれども、12歳以下の小児へのワクチンの接種を今後どのように考えていくのかというのも少々先走った意見かもしれませんけれども、今後、併せて御検討いただければと思います。
○中野分科会長代理 両委員からの御意見に、事務局から何かございますでしょうか。
○林予防接種室長 お子様への実際の接種をどう進めていくかということになってくると思います。今、まだ40代、50代の方の接種も進んでいない自治体から、もう既にそういったところがめどが立ってきて、中学生、高校生というようなところの自治体もあるということで、恐らくそこは自治体によって大分実情が違っているのかなと思います。
小児科学会の中で御懸念の声としてお伺いするのは、大人の接種も進んでない中で、子供さんの接種だけが進むようなことというのが本当に必要なのだろうかという御心配の声はいただいたことはありますけれども、おおむねお子さんに接種するということ自体の御理解はいただいているのかなと考えております。ですので、全体として進捗状況によって、お子さんに順次接種が進んでいくというようなことで理解を得ていきたいと思っておりますし、そういった形で言いかえることは可能だと思っております。
それから12歳以下についてなのですけれども、これは今のところ得ている情報では、ワクチンの臨床試験のほうが12歳以下についても行われていると、実際に未満についても行われていると聞いておりますので、薬事の承認がそこまで拡大されることが今後あれば、その時点でまた議論していきたいと考えております。
○中野分科会長代理 ありがとうございます。
○釜萢委員 中野先生、釜萢ですがよろしいでしょうか。
○中野分科会長代理 お願いいたします。
○釜萢委員 今、川俣市長さんから御指名をいただきました。ありがとうございます。医師に対するしっかりした正しい情報を頻回に周知することは医師会の大きな役割でありまして、先ほど林室長さんからお話があった内容は私も全く同感でありますので、そのように正しい情報を医師に幅広く伝えるという取組をさらに続けてまいりたいと思います。
それで、小児の接種に関して、小児科学会等からもいろいろ意見も出ておりましたけれども、私自身も以前小学校、あるいは中学校における集団接種に携わった経験から、この年齢のお子さんの迷走神経反射というのは比較的よく見られる、接種に伴って急に血圧が下がって尻餅をつくとか、意識がなくなるとかという事例はこれまでにもよく経験はしているわけで、そういう状況を集団の会場で見ますと、同じような年齢の方々はびっくりしてしまって、症状が伝染するような感じの経験も私自身もあります。
ですから、そういうことも踏まえて、状況をしっかり対応できるような個別の接種で、小児に対する接種は慎重にやったほうがいいという意見が出ていたと理解をしています。御両親、保護者の方の同意もしっかり取りながら接種をするという体制が望ましいということは、学会から指摘があるとおりだろうと思っておりまして、そのあたりも踏まえて正しい情報を幅広く医師に伝えるように努めてまいります。どうもありがとうございました。
○中野分科会長代理 ありがとうございます。
大体御意見も出たかなと思いますけれども、よろしいでしょうか。
それでは、次に資料2を御覧ください。資料2は本分科会への諮問が行われています。モデルナ社ワクチンの接種対象者を12歳以上に拡大することについて、大臣指示文書の改正案に盛り込まれています。諮問された原案どおりお認めいただけますでしょうか。
(委員首肯)
○中野分科会長代理 特に御異論なくお認めいただいたということで、了承いただいたということにいたします。
では、ここから脇田分科会長にお願いいたしたいと思います。
○脇田分科会長 中野先生、どうもありがとうございました。
私は別の会議がありまして、少し遅れたことをおわび申し上げます。
ここからまた進めさせていただきたいと思います。議題の2へ進みたいと思います。
議題の2はアストラゼネカ社のワクチンについてでございますけれども、5月21日のこの分科会におきまして、国内での使用の在り方については引き続き検討するということにされたところであります。今般、TTSについて診断法及び治療法が示されたこと、諸外国における若年層への接種推奨の状況等を踏まえて、このワクチンを予防接種法上の臨時接種に位置づけることについての議論ということになりますので、よろしくお願いします。
それでは、資料について、事務局から説明をしていただきます。ます。
○九十九予防接種室長補佐 予防接種室の九十九でございます。資料に基づきまして説明いたします。
2ページ目を御覧ください。まず、アストラゼネカ社ワクチンに関して本日御議論いただきたい事項についてでございます。令和3年5月21日に薬事承認されてございますアストラゼネカ社ワクチンにつきまして、以下の論点で検討いただきたいと思います。
1つ目が使用するワクチン、対象者につきまして、2つ目が予防接種不適当者につきまして、3点目が公的関与の取扱いにつきまして、4点目が接種方法に関するその他の事項について、本日御審議いただきます。
4ページ目をお開きください。これまでの議論の復習でございますが、令和3年5月21日の本分科会におきまして、論点といたしまして「有効性・安全性まとめ」の1番です。アストラゼネカ社ワクチンにつきましては、臨床試験を通じて70.42%等のワクチン有効率が確認されており、2回目接種以降でCOVID-19発症予防効果が期待できると。また、3ポツ目で、一方で、諸外国において実使用における血小板減少を伴う血栓症の発生に関して、比較的高年齢層における使用を推奨している状況にあるが、年齢設定は各国によって異なりまして、一国内において変動が見られる。また、血小板減少症伴う血栓症につきましては、その発症メカニズム等は必ずしも科学的に明らかとなっていないが、妥当と考えられる治療法についてあらかじめ周知が必要とされてございます。
このようなことから、本ワクチンにつきましては、諸外国における高齢者以外の層への接種推奨の状況などを注視しながら、我が国における使用の在り方について引き続き検討することとしてはどうかとなったところでございます。
5ページ目のスライドを御覧ください。ここで改めてこのスライドを用いておりますが、このワクチンに関しましては、接触後に副反応が生じることがございまして、この副反応をなくすことは困難でございます。ワクチンの接種によって得られる利益(有効性)と副反応などのリスク(安全性)の比較衡量(リスク・ベネフィット)により接種の是非を判断する必要がございます。
下の点線の囲いでございますが、1つ目のワクチンの接種に当たりましては、ワクチンの特性に加え、接種対象となる者の年齢や医学的な背景等を踏まえ、また、新型コロナウイルス感染によるリスクを勘案して、総合的に接種の判断することができるようにすることが必要だということで、こういった基本的な考えを改めて示させていただいたものでございます。
続きまして、6ページ目で、まず、ベネフィット、有効性のほうからの情報提供でございます。これは5月21日の分科会の資料でございますが、まず、海外試験の併合解析の発症予防効果に関しまして、第Ⅱ/第Ⅲ相パートにおきまして、主解析対象集団では、この発症予防効果として70.42%という結果が得られてございます。
7ページ目を御覧ください。続きまして、委員の皆さんも御懸念されておられます変異株に関する有効性についての資料がありますが、上から3ポツ目を御覧ください。このB.1351変異株、ベータ株ございますが、本剤の有効率は10.4%ということでございまして、下のPMDAの専門協議における専門委員の指摘では、このベータ株に対する本剤の有効率が極めて低い可能性があることは、適切に情報提供する必要があるとのコメントがなされているところでございます。
続きまして、8ページ目を御覧ください。引き続き変異株の有効性でございます。これは2021年7月に英国公衆衛生庁が研究結果を公表したものでございますが、まず、ファイザー社のワクチンの発症予防効果に係るワクチン有効率、これは2回目の接種後でございますが、アルファ株については約94%、デルタ株については88%、一方、アストラゼネカ社ワクチンの発症予防効果に関する有効率、2回接種後でございますが、アルファ株につきましては約75%、デルタ株については67%という結果が得られてございます。
引き続きまして、9ページ目を御覧ください。引き続き変異株のことでございます。デルタ株に関する御懸念も多いので、この資料を用いてございますが、これも6月14日、英国公衆衛生庁の研究結果の公表でございます。これはファイザー社ワクチンのデルタ株における入院の予防効果、2回接種後は約96%、アストラゼネカ社ワクチンのデルタ株による入院を予防する効果、2回接種後は約92%という結果が出てございます。
続きまして、リスクのほうでございます。安全性につきまして10ページを御覧ください。これも5月21日の分科会で御提示させていただいた資料でございますが、海外の試験、国内の試験の概要の取りまとめでございます。被験者の多くに接種部位及び全身性のAEが認められたものの、そのほとんどは軽度、または中程度であり、回復性が認められているということで、一番下に国内治験におきまして、本剤群において死亡及びシリアスなAEは認められなかったということでございます。
続きまして、11ページ目を御覧ください。このアストラゼネカ社ワクチンのAEの発生状況でございますが、アストラゼネカ社ワクチンの海外試験の併合解析において、局所及び全身のAEの重症度発現割合は、18~64歳と比較して65歳以上で低かったということでございます。また、いずれの年齢の部分集団でも初回接種後と比較して2回目接種後で低く、安全性プロファイルは65歳以上と18~64歳で類似していましたということで、日本についてもこの高齢の被験者では、ほかの年齢層の被験者と比較しまして、このAEの重症度及び発現割合が低かったということでございます。
ここからは諸外国の状況でございます。12ページを御覧ください。こちらも14日の分科会の資料でございますが、英国、EU、カナダを並べてございます。薬事承認に関しましては、対象年齢はいずれも18歳以上でございますが、推奨年齢というのが各国によって異なります。英国の年齢ですが、これは読み上げますが「基礎疾患のない40歳未満では他の選択肢があるならそちらを優先」ということで、端的に申し上げますと、40歳以上を推奨している状況でございます。EU諸国におきましては、これはばらつきがございまして、ドイツでは60歳以上の者に限って使用を推奨、フランスでは55歳以上の者に限って使用を推奨、デンマーク・ノルウェーは年齢を問わず停止しているというような状況でございます。
引き続きまして、13目ページを御覧ください。それでは、本ワクチンの接種状況、国際的にどのような状況かと申し上げますと、この棒グラフを見ていただければ約4700万回と、英国がかなり多い状況となってございます。
14ページ目に移ります。諸外国の使用状況でございます。こちらは先ほど口頭で申し上げましたとおり、各国によって推奨年齢にばらつきがございまして、真ん中の列が欧米の状況、一番右の列がアジアの状況でございます。アジアは18歳以上で年齢に着目した推奨制限がないところが多い、韓国が50歳以上でございますが、それに比較して欧米では13カ国が特に年齢に着目した推奨制限がない一方で、60歳以上が7カ国と分かれている状況でございます。先ほど御紹介しました英国につきましては、40歳以上を推奨しているところでございます。
引き続きまして、15ページ目でございます。本日、こちらの資料はしっかり御議論いただきたいと思ってございます。イギリスにおきましては先ほど申し上げましたように、使用量が一番多いのですが、皆さんが御懸念されております血小板減少を伴う血栓症、TTSの報告状況をまとめた資料でございます。7月14日時点のデータでございますが、まず、アストラゼネカ社ワクチン、英国において1回目が2470万回、2回目が2280万回、合計4750万回の接種がなされております。先ほど申し上げましたが、1回目の副反応が多い傾向にあるワクチンでございまして、このTTSの報告件数でも100万回当たり1回目が14.8件、2回目が100万回当たり1.9件となってございます。
年齢におけるそのような報告件数、または死亡報告の件数についてまとめたのが左下の資料です。こちらを御覧ください。読み上げますが、まず報告件数そのものでございますが、30代で50件、40代で102件、50代で97件、60代で59件となってございます。死亡件数でございますが、30代で11件、40代で11件、50代で20件、60代で9件となってございます。
件数だけではなかなか全体が見えませんので、報告件数10万回接種当たりで比較したものでございます。この10万回接種、注5に書いておりますが、これはEUにおけるアストラゼネカ社ワクチンの年齢別の接種回数の全年齢の接種回数が公表されておりますので、こちらの各年代に占める割合を英国のデータに外挿したものでございます。あくまで推計だと御理解いただければと思いますが、この推計によりますと、10万回接種当たりの報告件数が、30代で1.1、40代で2.2、50代で1.5、60代で0.3となってございます。それでは、死亡報告の件数ですが、10万回当たりの推計でございますが、30代で0.25、40代で0.23、50代で0.30、60代で0.05となってございます。
ここではやはりリスク・ベネフィットを御議論いただきたいので、参考までに資料の真ん中のオレンジの表をつけてございます。これはちょっと記載に誤りがあります。7月21日時点と書いてありますが、7月28日時点でございます。訂正させていただきます。申し訳ございません。
こちらは我が国における新型コロナウイルス感染症の陽性者における死亡率、ここで申し上げますが、必ずしも新型コロナウイルスが死亡原因だったものでない者も統計上含まれていると御理解いただければと思いますが、こちらを10万人当たりで見た場合、30代で22、40代で89、50代で276、このように60代以上で新型コロナウイルス感染者の死亡率・重症率が高まることは当然御承知のとおりですが、30代、40代でもこのような結果になっているということを情報提供させていただきます。このような状況を踏まえてリスク・ベネフィットについて御議論いただきたいと思います。
一応申し上げますが、あくまで英国における状況であるのと、あくまでこれは推計をしたものであるのと、また、アストラゼネカ社ワクチンは1回ではなくて、2回打つことが必要だということも合わせて申し上げます。
続きまして、16ページ目を御覧ください。こちらは新型コロナウイルス感染症の重症者割合でございます。7月28日時点でございますが、これは入院を要する者における重症者の割合でございますが、40代で0.3、50代で0.7と上がっていく状況でございます。
続きまして、17ページ目を御覧ください。こちらが陽性者10万人当たりの死亡者数、先ほど用いた資料で、ここはまた資料の誤りがございまして訂正させていただきますが、表の60代以上の陽性者10万人当たりの死亡者数に記載の誤りがございまして、これは2万671は誤りでございまして、これは6,532が正確な値でございます。大変失礼いたしました。繰り返し申し上げますが、60代以上の陽性者10万に当たりの死亡者数、これは正確には2万671ではなくて6,532でございます。失礼いたしました。訂正いたします。このような状況となっており、年齢が重なれば10万人当たりの死亡者数が上がるという状況でございます。
続きまして、18、19ページは、前回5月に御審議いただいてからの動きでございますが、2021年6月に日本脳卒中学会と日本血栓止血学会がアストラゼネカ社ワクチン接種後の血小板減少を伴う血栓症に関し、診断・治療に関する手引きを作成、公表しましたので、これまで明確に定まっておりませんでした診断・治療、本TTSに関する診断・治療のフローチャート、一定の流れについて周知を図れたというところでございますので情報提供させていただきます。
続きまして、20ページ目を御覧ください。アストラゼネカ社ワクチンの接種後の血栓症のことについて今、情報提供いたしましたが、この新型コロナウイルス感染後の血栓症についても、これはいろいろな知見が得られているところでございまして、御紹介させていただきますが、これはCOVID-19関連血栓症に関する日本血栓止血学会、日本動脈硬化学会のものでございます。このように知見がございますが、入院に伴う低活動性や感染に伴う炎症に加え、血管内皮障害や血液凝固の活性化により合併が多く、病態の重症化に関わっているところでございます。オランダのデータではICU例184例中、観察期間の中央値14日におきまして75例、40.8%に発症しているというようなデータもございます。これは情報提供をさせていただきます。
続きまして、21ページ目を御覧ください。副反応の追加の情報提供でございます。このアストラゼネカ社ワクチンに関しましては、海外において本剤接種後の副反応疑い事例として、血小板減少症、毛細血管漏出症候群及びギラン・バレー症候群の症例が報告されたことを踏まえまして各国の措置状況も鑑みて、7月21日に開催されました副反応部会合同部会におきまして添付文書の改訂が審議され、以下のように注意喚起を行っていく方針となっております。
具体的には、接種不適当者に毛細血管漏出症候群の既往歴のある者が入ったということでございますし、その他、真ん中の少し下のほうに、本剤との関連性は確立されていませんが、本剤接触後に、非常にまれにギラン・バレー症候群が報告されているということで、被接種者に対してはギラン・バレー症候群が疑われる症状が認められた場合には、直ちに医師等に相談するようにあらかじめ説明すること、また、副反応に関しまして、血小板減少が加わっているなどの改訂が行われたところでございます。
22ページ以降がまとめてございます。
1つ目のまとめでございますが、5月21日の分科会における指摘事項、現状をまとめました23ページを御覧ください。論点でございます。アストラゼネカ社ワクチンについて予防接種法上の接種に位置づけることとしてはどうかということを御諮問したいと思います。また、アストラゼネカ社ワクチンの使用に当たっては、諸外国の使用年齢の状況等を踏まえ、また、リスク・ベネフィットも考慮しまして、原則として40歳以上を対象とすることとして、今後の国内外の状況を踏まえ必要に応じて当該年齢設定を再度検討することとしてはどうかと御諮問いたします。
また、以下のようにアストラゼネカ社ワクチンの使用が必要である場合は、40歳未満でも接種可能としてはどうかということでございます。例えばほかの新型コロナワクチンではなく、特にアストラゼネカ社ワクチンの接種を希望する場合、具体的にはほかの新型コロナワクチンの含有成分へのアレルギーがある場合など、また、ほかのアクチンの流通停止等、緊急の必要がある場合などを考えてございます。
最後のポツでございます。ファイザー社ワクチン、武田/モデルナワクチンの接種が現在進められている中で、アストラゼネカ社ワクチンですが、このコホート調査に使用するほか、また、地方自治体のニーズも伺いながら使用を進めてはどうかと考えてございます。
24ページが具体的な大臣指示への改正事項でございますが、3の(3)、このアデルノウイルスベクターワクチン、アストラゼネカ社ワクチンにつきまして、このように使用するワクチンに位置づけてはどうか。ただし、このワクチンにつきましては、上記の1、12歳以上18歳未満の者に対して行う接種においては使用しないこととし、また、必要がある場合を除き、18歳以上40歳未満の者に対して行う接種においては使用しないこととしてはどうかと考えてございます。
続きまして、予防接種不適当者の論点に移ります。26ページ目を御覧ください。アストラゼネカ社ワクチンの添付文書に記載の新型コロナウイルスに係るワクチンの接種後に血小板減少を伴う静脈、もしくは動脈の血栓症を発現したことがある者、毛細血管漏出症候群の既往歴のある者は、現在の規定に含まれてございませんので、こちらを加えてはどうかというところでございます。
続きまして、27ページ目を御覧ください。こういったことを踏まえまして、予診票に関してアストラゼネカ社ワクチンに専用の予診票を新たに設けまして、具体的にこのように接種不適当者に該当する項目として、毛細血管漏出症候群の既往歴のある者を追加してはどうかということを書かせていただいております。
続きまして、論点の3番、公的関与の取扱いについて資料の29ページ以降を御覧いただければと思います。このアストラゼネカ社ワクチンを含むCOVID-19のワクチンに関して、妊娠中の方、妊娠を計画中の方に関してのデータは限られているものの、海外においてはこれらの方への接種は可能としているところでございます。
30ページ目を御覧ください。アストラゼネカ社ワクチンを含むCOVID-19ワクチンに関して、授乳中の方につきましては、海外では乳児へのリスクとみなしていないか、また、接種を控えることまでは推奨していない状況でございます。
31ページ目を御覧ください。御承知のとおり妊婦に関して、妊娠後期の方につきましては重症化因子として考えられているところでございます。
これを踏まえまして、32ページ目でございます。論点として、妊娠中の方については慎重に判断ができるよう、現時点においては引き続きほかのワクチンと同様に努力義務を適用しないこととしてはどうかということをお諮りしたいと考えてございます。
続きまして4つ目の論点、接種方法に関するその他の事項について御説明いたします。34ページ目を御覧ください。同一のワクチンの接種間隔でございますが、このアストラゼネカ社ワクチンの新型コロナワクチンに関しましては、ほかのmRNAワクチンと比べまして幅が広い設定となってございまして、1回目から4週間から12週間後に2回の接種とするように幅を持って規定されてございます。1回目と2回目の接種間隔が12週間を超えた場合は、ワクチンの有効率の信頼区間が非常に広くなるということで、12週間を超える接種間隔の妥当性を示す十分なデータは得られていないところでございまして、PMDAの審査報告におきましても12週を超える接種間隔を設定することについての適切性は見いだせず、本剤においては用法・用量に定められた接種間隔の範囲で2回の接種を行うことが重要であると指摘されているところでございます。
これを踏まえましてお諮りしたい事項でございますが、予防接種実施規則においては最短の接種間隔を規定しつつ、手引き等において標準的な接種間隔を示すことが適当ではないというところでございます。具体的には実施規則での記載事項案として27日以上の間隔を置いて2回筋肉内の注射、手引きの記載事項案として、標準的には27日から83日までの間隔を置いて2回筋肉注射、1回目から間隔が83日を超えた場合にはできるだけ速やかに2回目を実施、また、これは添付文書に書かれておりますが、最大の効果を得るためには55日以上の間隔を持って接種することが望ましいことも記載させてはどうかと思っております。
35ページ目は今申し上げた接種間隔を具体的なイメージにしたものでございますので、説明は割愛させていただきます。
続きまして、36ページ目を御覧ください。論点4-2、異なるワクチンの接種間隔でございますが、こちらに関しまして、英国とWHOの状況について記載させておりますが、論点としまして、アストラゼネカ社ワクチンはこれまで国内で使用実績のないタイプのワクチンであることから同時の接種を行わず、接種間隔は13日以上の間隔を置くこととしてはどうか。また、新型コロナワクチンの互換性というものは明らかでございませんので、同じ製品を打つように推奨し、誤った際には追加接種を不要としてはどうか。これは先ほど質問もありましたが、例えばmRNAワクチンで何らかのアレルギーがあった場合、2回目にアストラゼネカ社ワクチンを打つことについては、まだ安全性・有効性の明確なエビデンスがございませんので、そういったケースについては今回の対象としないことを考えてございます。
続きまして、37ページ目を御覧ください。既感染者への接種でございます。新型コロナワクチンにつきましては、現在の予防接種実施規則、また、臨時の予防接種実施要領においては、既感染者を対象から除外せず、事前の感染検査を不要としております。論点としまして、引き続き既感染者をアストラゼネカ社ワクチンにつきましても接種対象から除外せずに、感染検査不要としてはどうかというところをお諮りしたいと思います。
最後に論点4-4、接種後の待機時間でございますが、こちらに関しましても、ほかのワクチンと同様にアストラゼネカ社ワクチンにつきましても、15分の待機時間、30分の待機時間と、そういった時間を設けてはどうかと考えてございます。
39ページ目は副反応疑い報告基準についてでございます。こちらにつきましては、アストラゼネカ社ワクチンの新型コロナワクチンを臨時接種に位置づける際の副反応疑い報告基準の変更について、副反応部会が本日午後にありますけれども、こちらで審議を行う予定となってございます。
説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○川村予防接種室長補佐 資料2と4について御説明をさせていただきます。資料2を御準備願いますか。資料2が先ほどモデルナ社のワクチンのときに御説明をしましたものと同一のものなのですけれども、こちらが第二号のところに、今回アストラゼネカ社ワクチンを予防接種法上の予防接種に位置づける、原則40歳以上の者に打つところの改正事項でございます。
次に資料4について、こちらの最終ページの別紙1というところになってございますが、第一の関係で一号は、こちらが今回アストラゼネカ社ワクチンを追加するところでの改正になっておりまして、第二号のところが、こちらは午後の副反応検討部会で御議論いただく予定の血小板減少症を伴う血栓症の副反応疑い報告基準を追加しますというところの改正事項で、第二号のところについては、予防接種の不適当者のところに先ほどのTTS及び毛細血管漏出症候群の既往歴があることを追加するというところで、その次、第二号については、接種量について規定するというところの改正になってございます。こちらも厚科審にもし御了承いただければ、追って御諮問しますので、こちらについても御確認、御審議いただけると幸いでございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
ただいま説明していただいたとおりなのですけれども、既にファイザー、それから、モデルなのワクチンに加えて、アストラゼネカ社のワクチンも承認はされていて、5月21日にこの分科会において今後の使用の在り方について引き続き検討するということにさせていただいたところで、今回、事務局のほうで検討していただいて、このような諮問の内容になっているというところであります。
それで、主には資料の3の23ページですかね。今回のアストラゼネカ社のワクチンを臨時接種で使用するというところを加えるという御諮問ですので、やはり血小板減少症を伴う血栓症、TTSについての懸念というものがあって、しばらく臨時接種では使っていなかったということなのですけれども、今の日本の状況も踏まえてということもあると思いますけれども、原則としては40歳以上の方に使用してはどうかと、特段の事情があれば18歳以上であれば使うこともできるという形で進めるというような御諮問内容です。
それでは、委員の先生方から御意見・御質問いただければと思いますが、いかがでしょうか。
伊藤先生、福島先生、坂元先生の順番でお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
40歳以上の者にするのに特に異論があるわけではございませんが、イギリスの規制当局からデルタ株の基本再生産数が5倍とか7倍というような報道もあって、集団免疫のために接種率が高いことというのが一番の要件だろうと思っていますが、今回の年齢を区切ってという制限があって、有効率も異なるワクチンなので、被接種者の方が接種をしようと考えたときに、どのワクチンが接種ができるのか分からないという不透明な状況だと、接種をためらわれる方が出るのではないかと憂慮するのですけれども、地域への供給に当たって状況を明確にするようなことというのは、より重要になってくるのではないかと思うのですが、そこら辺についてはどのようになっているのでしょうか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、御質問を先に伺います。福島先生、お願いいたします。
○福島委員 ありがとうございます。
伊藤先生の御質問と同じような内容なのですけれども、アストラゼネカワクチンについては、その使用の考え方についていろいろあるとは思いますが、接種の有益性が勝ると考えられる年齢、具体的には40歳以上について、そのリスク・ベネフィットを理解していただける方が受けたいという場合に接種機会を提供するという考えには、私も賛成でございます。その上で、もし本日の審議会で予防接種上の接種可能なワクチンに位置づけるとなった場合に、今、地域で、実質mRNAワクチンの供給がストップして接種が受けられない中で、一刻も早く打ちたいという方に、アストラゼネカワクチンを供給できる体制がスタンバイされているという背景があっての本日の審議なのか、ということをちょっと確認させていただきたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは坂元先生、お願いします。
○坂元委員 ただいまの福島委員と似た質問なのですが、この大臣指示の中に必要がある場合を除きという表現、この必要があるなしの判断権者は恐らく自治体になるのかなと思います。ここで1つの問題は、では、必要がある場合は何なのかといった場合、例えば医学的な理由、例えばポリエチレングリコールにアナフィラキシーがあって使えないとか、多々の理由があると思うのですが、この必要のある場合を除きというところに、やはり今福島委員が言った、本人がリスクとベネフィットを理解した上でも打ちたいといった場合は、これは必要がある場合を除きの、この必要と自治体が判断しても構わないかという点なのです。
私はそういう安全性の情報を見て接種を受けたいという方はいらっしゃると思うのです。例えばイギリスとかドイツのほうを見ても40歳以下は駄目ではなくて、本人が希望した場合、それは構わないというような形で書かれていると思いますので、この必要がある場合を除きというところの解釈等を市町村等にしっかりお示しいただきたいというお願いでございます。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
ただいま、3名の先生方から御質問を受けましたけれども、事務局のほうからお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 御質問ありがとうございます。
伊藤委員からの御指摘で、いろいろなワクチンがあるので迷うのではないかということで、これは23ページ目に記載されているとおり、まず考え方としましては40歳以上の方、あるいは40歳未満の方で具体的に申し上げますと、ほかの新型コロナワクチンの含有成分へのアレルギーがある場合、これは実際にはアレルギーがあると事前に分かっているケースというのは、例えばmRNAワクチンに含まれているポリエチレングリコール、化粧品とか、あるいは内視鏡の検査に用いるものとか、いろいろ幅広く用いられているものについて、例えば事前に分かっているケース、疑われるケースみたいなものをかかりつけの先生に相談して、疑われる場合なども入ってくるかと思いますけれども、そういった必要性がある場合を想定してございます。
こちらとして、ただ、いずれも使える場合にどちらを行政のほうから使ってくださいということはなかなか申し上げられませんので、やはりこれは行政としては医療機関の皆様、あるいは御本人の皆様に各ワクチンの有効性・安全性がしっかりと理解できるような情報提供に努めていくことが重要かなと考えてございます。
また、福島委員からの御指摘でございますが、一刻も早くスタンバイできる体制についてどうなっているのかということでございます。こちらは鋭意政府を挙げて検討を進めているところでございますので、この時点で具体的に申し上げることはできませんが、必要な対応を行っているという状況でございます。
また、最後の坂元委員からの御指摘でございます。このような自治体が迷うことがないような具体的なといいますか、判断できるようなものがないかということでございます。これはどのようなことが書けるかを検討したいと思いますが、これは川村補佐のほうから追加いたします。
○川村予防接種室長補佐 お答えします。先ほどの諮問文の文章では必要がある場合と、おっしゃるとおり記載をさせていただいています。ここについては実施要領及び手引きにおいて解釈を明確化したいと考えております。今のところ記載事項として念頭に置いているのは資料の23ページになってございます。
23ページ目の点線の枠の中の下の2つ目の○になってございます。必要がある場合について、他の新型コロナワクチンではなくて、特にアストラゼネカ社ワクチンの接種を希望する場合については40歳未満の方についても必要がある場合として接種ができると規定をする予定です。それがまさに例えば他の新型コロナワクチンの含有成分のアレルギーがある場合については、御本人は当然アストラゼネカ社ワクチンの接種を希望する場合だと考えられますので、そういった場合については接種を希望する場合として必要があると、あと、例えばイギリスで滞在中にアストラゼネカ社ワクチンを接種した、2回目を打つ前に日本に帰国してしまった場合も同一のワクチンで打ちたいというニーズがあると思いますので、そういった場合も想定しています。
あと、他のワクチンの流通停止ということで、これは本当に日本国内に例えば海外からファイザーとかモデルナが一切入ってこないとか、国内で流通がというよりは海外から入ってこなくて回しようがないという場合については、まさに緊急の必要性がある場合になるので、こういった場合については40歳未満の方にも打つ場合を想定しているところです。
ただ、先ほど議論があったように、当然ファイザー、アストラゼネカ、それぞれ有効率等々で若干違いがありますので、そういったまさに他の新型コロナウイルスワクチンではなくというところに規定していますので、そういった既存のファイザー、モデルナワクチンとアストラゼネカワクチンの有効性だとか、そういったところの違いをしっかり周知・広報して、では、どちらのワクチンを打つのかというところはしっかり周知をしていきたいと思います。
一つあるのは、先ほどファイザー、モデルについては9月末までしっかりお送りできるようにというところはお話ししたのですけれども、アストラゼネカ社ワクチンについては最大の効果を得るためには8週間、2つのワクチンよりは若干間隔を空ける必要があるので、そういった中で、ファイザー、モデルナが入ってくる時期が9月末とかという時期になった場合に、どちらを打つのがいいのかという話はあるので、そこについてはまさに最後の○ですけれども、まずはコホート調査に使用するほか、自治体のニーズを伺いながら、そういった両者のワクチンの特性に応じて、アストラゼネカ社ワクチンをどう使っていくのかというところはしっかり考えていきたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
ただいまの説明で、今の御質問はよろしかったですか。
坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 確かにおっしゃるとおり、必要がある場合なのですが、少なくとも薬事承認では18歳以上となっていて、かつ本人が例えば接種間隔上、融通が利くので長いほうがいいとか、どうしてもこのワクチンの接種を受けたいと強い意思を示しても、今言った主に医学的な事由とか、海外で受けていないと駄目というこれは、つまりそれ以外の要件を認めないことなのかということです。これはすごい微妙な話ですが、法的に許されるのであれば、自治体としては本人の意思を尊重するというのが、やはりいろいろな場合でも建前だと思うのです。
だから、そこがちょっと不明確になっています。こういう理由で自治体が断るというスタンスでいくのか、やはり本人が希望した場合というところなのかというのは、今後接種をしてゆくときに自治体がいろいろ苦慮する場面が出てくると思いますので、私的には本人がどうしてもと希望した場合には、そのリスクとベネフィットを理解した上で、例えばもしこのワクチンの方が早く打てるという状況になった場合は、そういうこともありかなと私は一つ思うのと、今ちょっと出てきたコホートに当面使うという言い方は、これは一般の自治体に渡して、自治体がどういう形で接種するか分からないのですけれども、それの中でコホートと使うのか、あくまでもコホート研究としてしか使わないというニュアンスでおっしゃっているのか、そこをもう一度確認いたしたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
本人が打ちたいという希望がある場合に、そういった医学的なことでなくても、そこは自治体が了解せざるを得ないのではないかという御指摘、それから、コホート研究だけに当面使うのかという御質問です。そこを明確にしていただければと思います。
○林予防接種室長 ありがとうございます。
1つ目の点、これは言葉のニュアンスの問題にもなってきているかも分かりません。本人が希望する場合という言葉を非常によく解釈すると、希望しそうだからというような形でどんどん広く接種すると取られ得るのだと思いますけれども、そういうことを想定しているわけではなくて、先ほど御説明したように医学的事由であるとか、合理的な理由をもって、その方が本当にしっかり理解して、ほかのワクチンよりアストラゼネカのほうがいいというような状況であれば接種をするということだと思います。そのあたりの書き方については御指摘も踏まえて、どういったお答えをしていくかということは考えていきたいと思います。いずれにしても40歳未満については慎重にという姿勢を私どもとしてはここでお諮りしておりますので、そういうことで御理解いただければと思います。
それから、2つ目の健康状況調査だけしかやらなくて、ほかには使わないのかということですけれども、そういう意味ではなくて、健康状況調査をやろうということについては考えておりますけれども、それに加えて、十分にまだ確定しておりませんけれども、自治体のニーズをお諮りしながら使っていけるような形を考えていきたいと思っております。
○脇田分科会長 よろしいでしょうか。
今の2点目のところは、私も少し意見を言わせていただければ、やはり今mRNAワクチンを打てない、あるいは本人の判断であまり打ちたくないという人もいるわけで、そういった人に選択肢として新たなアストラゼネカのワクチンを打てるということが、自治体でやはり選択できるような体制というのはつくっていただく必要があると考えています。それは意見として言わせていただきます。
それでは、また委員の先生方から御意見をいただきますが、白井先生、中山先生、佐藤先生の順番でお願いいたします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
先ほどからリスク・ベネフィットを理解したらというお話があるのですけれども、アストラゼネカの一番懸念としては、やはり血栓症だと思いますけれども、血栓の注意事項として、そもそも血栓ができやすい人の注意事項ということを本当にその方が理解していただかないと、リスク・ベネフィットということの判断が、個人でできないと思います。
特に女性において低用量ピルの経口をしていらっしゃる方などは、避妊だけではなくて、子宮内膜症などにも使われますので、その場合、特に中学生、高校生ぐらいの年齢から40代までの方が使われることが多いです。そういったときに、御自分のそういうリスクということを分かっているかということを含めて、諸外国も年齢が高いようにしているのは、もしかするとそういうこともあるのではないかなと思いますし、先ほどの表の中では北欧諸国のワクチン接種対象年齢が高いということがあるので、多分ピルの普及率なども高いのではないかなと思いました。
男性についてはたばこがかなりリスクになっていると思いますので、喫煙歴がかなり長い人とか、そういうことについてはかなりリスクがあるということをお伝えしておいた上で、リスク・ベネフィットを考えていただくということが重要かなと思います。
もちろんワクチンだけではなくてコロナ自体も血栓の危険もありますし、そういうことを必ずお伝えするというようなことをしていただきたいなと思います。
あと、必要に応じてというところの判断ですが、対策としての必要、個人の打つタイミングの必要性ということがあるかと思うのですけれども、国として、このワクチンというのはアストラゼネカだけではなくて、全体に集団免疫ということをどこまで期待するのか。もちろん希望した方ということになっていますけれども、国民の7割、8割まで行くのかとか、そういうような計画的なものというのはありましたでしょうかということで、改めてよろしくお願いします。
○脇田分科会長 中山先生、お願いします。
○中山委員 ありがとうございます。
お話を伺っていて、選択肢が増えることはとてもいいことだと思うのですけれども、リスクとベネフィットの関係など、実際のオペレーションはなかなか難しいなと思いましたので、今後実施していくときには、厚労省と自治体でオペレーションについてうまくいくように進めていただきたいなと思いました。
それとちょっと違うことですが、最近の報道でアストラゼネカとファイザーのワクチンの組み合わせで抗体が増加するというような報道がなされているのですけれども、将来にわたってこういうことについても検討はされていくのでしょうかという質問です。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
佐藤先生、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
アストラゼネカのワクチンがデルタ株、特に今日本で主流になりつつあるB-1617-2変異株に一定の効果があると分かったことはよいニュースで、mRNAがすぐに打てない地域がある中で、選択肢を増やすことはよいことだと思います。
対象範囲についての考え方です。15ページの表を出していただいたことは大変よかったと思います。ありがとうございました。ただ、オレンジの表なのですけれども、これは陽性者10万人当たりの死亡者数になっていますが、本来は感染率を掛け合わせて考えるものではないかと思いました。当初、瞬間風速の感染率を掛けるのかと思いましたが、御説明を伺って累積の感染率を掛けるべきだと分かりました。それは全くそのとおりで、恐らくこれから先も感染者が増え、打っていない場合に感染する確率が多いことを考えると、そこの割合は、さらに大きくなっていくのだろうなと思いました。
これまでの累積の感染率を掛けても、40代以上では感染するリスクのほうが上回ることを考えますと、40代で線引きをして、40代以上を対象にすることは合理的だと思いました。対象範囲についても、こうした情報をきちんと出すことで理解してもらい、選択していただくことが大事だと思います。おっしゃられているように天秤の図は大変重要な図ですけれども、同時にそこにデータが入ることが重要で、データを示して理解して選択してもらうことが大事だと思います。
以上です。ありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今、白井先生、中山先生、佐藤先生から御意見と御質問がありますけれども、事務局からいかがでしょうか。
○九十九予防接種室長補佐 予防接種室の九十九でございます。
まず、白井委員の御指摘でございますが、このリスク・ベネフィットがある中で、やはりリスクはしっかり伝えるべきだという御意見と承りました。これはまさにおっしゃるとおりでございます。15ページにそのようなリスク・ベネフィットの議論に資するようなデータとして提示いたしましたが、やはりこのアストラゼネカ社ワクチンにつきまして、このTTSに関しましては、若年者に多いと言われているのは事実でございますので、そういったことはしっかりと情報提供した上でリスク・ベネフィットを考えていただくのが重要なので、ここについてはしっかりと情報提供するように努めていきたいと考えてございます。
また、今後ワクチンを何割打てばいいのかとか、総合的なビジョンについての御質問だったと思います。これは政府全体で総合的に考えるべき話だと考えてございます。
一般的に申し上げますと、やはりどれぐらいワクチンを接種したらいいかという考えに関しましては、当然ワクチンそのものの有効性、具体的には感染の予防効果というのも大事かと、先ほどありましたが、これがなかなかまだ明確に分かっていない。発症の予防効果についてはデータが出つつありますが、感染の予防効果の具体的な数値についてはなかなか測るのが難しいのが一つ、また、今後出てくるウイルスの新たな変位株の感染の伝播のしやすさ等の影響を受けるであろうこと、また、その際の例えば感染予防対策です、国、あるいは自治体の感染予防対策の影響など、そういった様々な因子を受けますので、具体的にこの接種率を示すのが、一概には容易に示すことが難しいのかもしれませんが、御指摘もいただきながら、これは政府の中で問題意識を共有して議論を深めていきたいと考えてございます。
中山委員の御指摘でございます。様々な報道でワクチンを組み合わせて接種することについて報告がありますが、今後どう考えるのかということでございます。これは先ほど少し申し上げたかもしれませんが、現時点におきまして、ほかのワクチンを1回目と2回目で打つこと、あるいは3回目にまた打つことなどが、まだ確たるエビデンスがございませんので、有効性・安全性ともに確たるものがまだございませんが、今後、新たな知見が確立してきた場合、あるいは諸外国の状況を踏まえまして迅速に対応していきたいと思っておりますし、そのような場合は、こちらの分科会でしっかりと御意見をいただいて対応していきたいと考えてございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 佐藤委員の御指摘についても考慮していただくということですね。ありがとうございます。
それで、今の組み合わせの問題なのですけれども、mRNAワクチンを打てないという方に対しては選択肢が増えると、もう一つ、今、1回目のワクチンを接種して、それでアナフィラキシーが起きて2回目が打てないという人たちに選択肢を与えるというか、その可能性を持ってもらうということも重要だと思うのです。このままでいけば、その場合にファイザー、あるいはモデルナからアストラゼネカという組み合わせになるわけですけれども、そういったところから希望がある方には、そういった組み合わせのワクチンの投与ということも考えてはいかがと、これはできるかどうか検討していただければと思います。これは私からの意見ということであります。
さらに続きまして委員の先生方から、森尾先生、坂元先生はもう一度ですね。それでは順番にお願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございます。
私も選択肢が増えることは重要だと思っておりますし、先ほどから議論でリスク・ベネフィットをよく理解していただくということが挙げられていたと思います。今、若年者のリスク・ベネフィットということが強調されておりましたけれども、15ページのところのすごく重要なデータのところで、やはり40代、50代での報告件数とか死亡報告件数というものを見ますと、やはりこの年代の方々にもしっかり情報をお伝えすることが重要ではないか、これはワクチン全般に関わることなのですが、特にこのワクチンに関しては御理解いただくことが重要かと思いました。
そういう点で、今回イギリスのデータだけが出ておりますが、先ほど白井委員のほうから低用量ピルとかの関係もあるのではないかということがあり、もしデータとして出せるのであれば、台湾とかほかの国のデータも出していただけると理解が深まるのではないかと思います。ちょっとこれは報道で、私も確かなものか確認はしておりませんが、台湾で若干低いのではないかといったようなデータもあると思うのですが、そこら辺のデータもできるだけ情報共有するといいのかなと思いました。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
坂元先生、お願いいたします。
○坂元委員 40歳以下にこだわって申し訳ないのですけれども、やはりこのワクチンが日本政府が海外支援という形で使っている以上、あまり40歳以下に厳しいような書き方をすると、ちょっとそこは誤解を受けるのではないかという意味で、やはり本人の選択というものも考慮すべきということで申し上げました。
それから、このワクチンは実際に予防接種法で認められた場合、現実に自治体がどのようにこれをハンドリングしていくかということが多分最大の懸案だと思います。例えば一律に市町村に、これを接種したいところは手を挙げてくださいとやるのか、それとも国の大規模接種会場でこのワクチン専用のラインを設けてやるとか、いろいろなオプションがあると思うのですが、また市町村から、このアストラゼネカで仮に手を挙げた場合に、その分をモデルナとファイザーの供給から差し引かれるのかというような懸念が来ているのです。
これはお願いなのですが、このワクチンを実際にやる際には、やはり市町村を含めて自治体とどのようにやっていったらいいかということを十分話し合ってやっていいただきたい。市町村にもいろいろ規模があると思いますので、そこら辺を十分自治体と話し合ってやっていただきたいというのがお願いでございます。これは多分伊藤町長さんも川俣市長さんも自治体と十分話し合ってこのワクチンをどう使うか検討してほしいというのは、多分同じお願いだと思いますので、この場で私が言わせていただきます。
以上でございます。
○脇田分科会長 坂元先生、ありがとうございます。
今、その点が出ましたので、川俣市長、それから、伊藤町長にも、もしそのあたりで御意見があれば伺っておきたいと思いますが、いかがですか。
川俣市長、お願いします。
○川俣委員 まず、薬やワクチンの質が変わることを市民に伝えることが結構大変なので、まず種類が3つになること自体が大変になります。また、40歳でというと、今、65歳以上がほぼ終わりになってきつつあります。その中で残っている40歳から18歳の間ではなく、40歳から50歳代なので、急に変わるということはなかなか市民に伝えることが難しいので、やはりその辺は協議をさせていただきたいし、早急に打ちたい人が実は40代から50代が多いので、その辺のところも加味していただけるとありがたいなと思っています。十分な判定をお願いしたいなと思っています。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
伊藤町長、お願いします。
○伊藤(定)委員 先ほどもお話ししましたように、45歳から12歳までで、今のところ45%ぐらいの申し込みしかないということで、ましてやファイザー社のものよりはリスクが高いという感じですと、町民さんの接種、打ちたいなというような気持ちにならないというのは私の本心でございます。そしてまた、いろいろ情報を流すと余計に混乱される可能性があるというので、ぜひともファイザー1本で我々はいきたいなと、このように思います。
○脇田分科会長 御意見ありがとうございます。
そうしましたら、森尾先生のところからの御意見・御質問ですけれども、いかがですか。
○九十九予防接種室長補佐 貴重な御指摘をありがとうございます。
まず、森尾委員からの御指摘でございますが、やはりリスクにつきましてもしっかりと情報を伝えることが重要というのは本当に御指摘のとおりでございまして、繰り返しでございますが、このアストラゼネカ社ワクチン、このTTSの発症に関しましては、やはり若年の方が多いと言われておりますので、そういった情報を伝えた上で御判断いただくということも重要でございます。
また、併せてですけれども、20ページに書いております、そもそもこの新型コロナウイルス感染後の血栓症についてもリスクがあるということも併せて情報提供、こういった情報があまりなかなか浸透しないようなところもあるかもしれませんので、そういった情報もしっかりと提供した上で判断いただくことが重要かと思います。
また、台湾の事例について御紹介いただきました。いろいろな情報がある中でございます。我々は今後も引き続き海外の情勢や最近の知見について情報収集を深めていきまして、必要な対応を取っていきたいと考えてございます。
また、坂元委員から御指摘をいただきました、今後進める上で自治体様としっかりと意見交換をしながらということで、これはまさにそのとおりで、しっかり御意見をいただきながら、混乱を招くことがないような体制の整備に努めていきたいと考えてございます。
また、川俣委員から自治体にいろいろな声があることを伺いました。こちらもしっかりと御意見をいただきながら対応していきたいと思っております。
また、伊藤委員のほうから情報が少し多くてなかなか分かりにくいということでございます。我々政府といたしましても分かりやすい情報提供というのが必要な一方で、細かいのだけれども非常に重要な、例えば今回のTTSの情報とかというのは、やや一般の国民には分かりにくいかもしれませんけれども、必要な大切な情報なので、分かりやすい情報に努めながら、必要な情報を伝えていくということのバランスが大事かなと思っております。これはしっかりと工夫していきたいと考えてございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そろそろ時間になってきますので、今の最初の論点のところ以外でも、もし御意見があればしていただきますが、まず釜萢先生に御意見をいただいて、その後、中野先生、福島先生の手が挙がっていますので、御意見をお願いいたします。
○釜萢委員 釜萢です。ありがとうございます。
これまでに我が国ではいろいろな予防接種を実施してきた経験がありますが、幾つかのメーカーから別のワクチンが1つの疾患に対するワクチンとして何種類かのワクチンという経験はあるのですけれども、ほとんどそれらは同等のものとして扱ってきたと感じます。その中で、かなり性質の異なるワクチンを今回のように使用するという経験があまりないので、それを全国にどのように広げて接種していくかということは、これまでにない経験ですけれども、一方で、この新型コロナウイルス感染症は、まだよく分からないところがたくさんあるし、それから、変異株が今後どう出てくるかということもありますので、いろいろな選択肢を国として持っておくということは非常に必要だろうと思います。
また、我が国で生産できるワクチンであるというのが、このアストラゼネカ社のワクチンの一つの特徴でありますので、そのことも含めて、これまでどちらかというとこのワクチンに対しては、ややネガティブな印象が先行してしまっていますけれども、イギリスでもかなりたくさん接種されているという実績も踏まえて、今後役立つのではないかなと私は期待をしています。
それから、種類の違うワクチンを接種したイギリス等からの報告については、まだ詳細が十分エビデンスとして確立されている部分ではないと思いますが、それについては我が国としてもできるデータは収集すべきだと思います。それで、先ほど脇田先生が言われた例えば1回mRNAワクチンを受けて、アナフィラキシーで2回目は受けられないという場合に別のワクチン、例えばアストラゼネカを打ったような場合の事例をしっかり収集して、そして、どうなったのかという知見を我が国としても取っておくということは極めて大事なので、有事でありますので、もう同一のワクチンしか使わないというところであまり硬直に運用するよりは、データを取りながら役に立つものを集めていくということも必要ではないかと感じました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
中野委員、お願いします。
○中野分科会長代理 本日、多くの委員の先生方からお話が出ておりますリスク・ベネフィットを国民の皆さんが理解した上で接種するということ、非常に大事だと思いますし、なおかつ、やはり今、流行が拡大しておりますので、これを何とかしたい。それに加えて、やはり個人が重症化する人の予防を心がけていただきたい。そうなると、40代、50代というのはとても大切な接種の対象で、その方々に接種するワクチンが増えることはいいことであると思いますし、また流通とか保管に関して、mRNAワクチンより少し現場でやりやすい点があるのも事実でございますので、それはありがたいことだなと思っています。
そして、コメントとして一つ申し上げたいのは、今日、血小板減少を伴う血栓症のことがリスクとして非常に議論されましたが、あくまで今日も出ておりますように接種不適当者は血小板減少を伴う血栓症がある方であって、血栓という言葉でピル内服中、喫煙している方々、あと、ほかに抗カルジオリピン抗体陽性者とか、いろいろな基礎疾患の方がいらっしゃると思いますが、単に血栓という言葉と血小板減少を伴う血栓症、少し別のニュアンスもあると思います。
これまでのmRNAワクチンでもいろいろな啓発資料を接種に際しては出していただいています。一般の国民の皆様はそこまで詳しく病名を区別できないことがあるという事項と、もう一つは、非常に素朴な、打った後どうなのという単純に申し上げればmRNAワクチンを打った後、2回目の副反応のほうが頻度が高いわけです。でも、これは回復する副反応、でも、第Ⅲ相臨床試験のデータを見てもウイルスベクターワクチンは1回目接種の後がその頻度が高いわけなのです。細かいパーセンテージはまたmRNAとウイルスベクターワクチンで異なると思いますけれども、そういった客観的な情報を国民の皆様に分かる形でぜひ引き続き、恐らく準備していただいていると思いますが広めていただきたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
福島委員、お願いします。
○福島委員 中野先生とほぼ一緒の意見なのですけれども、リスク・ベネフィットを考える場合、例えば集団で見たときに、TTSが接種後に発症する確率はこれだけあるのだけれども、自分の年代だったらコロナにかかる確率、重症化する確率もこれぐらい高いのだよと、マスで見たときのリスク・ベネフィットを判断するのは、今、厚生労働省からしっかり情報を出していただいていることもあり、メディアの皆さんも正しい情報を発信していこうと頑張っていただいていることもあって、接種会場に来られる方はそこをちゃんと理解した上で「私は接種を受けます」と言ってくださっていると感じています。一方で、アストラゼネカワクチンの接種不適当者、論点2です、スライドで言うと26枚目なのですけれども、実際のオペレーションではここで混乱が起こるのではないかなと思うのです。
スライドの27枚目には、問診票で、例えば接種不適当者に関する質問として毛細血管漏出症候群を入れるというのがあり、これはもちろんいいことなのですけれども、では、この病気はどういう症状があって診断されるのかとかは分からないですし、すごくまれな病気なので、現場で質問が出たときに、問診を担当する人が適切に答えられない可能性がある。私も自治体からの依頼で問診業務に行くことがあり、もちろんそれらの点は予診票の確認のポイントとかに含められると思いますが、予診の段階や、あるいは接種を受けるかどうかについて国民の皆さんが決める段階で、つまずくことがないような情報提供の資材を準備していただきたいということが希望として一つあります。
そして、これも中野先生が先ほどおっしゃったことと一緒なのですけれども、接種を受けた後にTTSが起こる可能性があるのだけれども、その典型的な症状が、一般の方、あるいは医療従事者でもすごく分かりにくいと思うのです。
具体的にはスライドの18枚目でお示しいただいているような、日本脳卒中学会や日本血栓止血学会がまとめられたフローチャートの一番上にある「典型的な症状」が挙がってくると思うのですけれども、こういう症状が出たら気をつけてくださいというような分かりやすい資材を、接種を希望される方にはお渡ししておくべきだと思います。mRNAワクチンの例では、厚生労働省から既に出していただいている「血をさらさらにする薬を飲まれている方へ」という資材がありますよね。あれはとても分かりやすくて、私も自分が問診業務に着く際にすごく活用させていただいています。あのような一般の方にも分かるような資材を、接種不適当者の論点でお示しいただいた事項について、ぜひつくっていただいきたいというのが私の希望です。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
それでは、そろそろ皆様からの御意見は最後にしますけれども、最後にどなたかございますでしょうか。よろしいですか。
そうしましたら、今3名の委員の先生方から御指摘があった点について、事務局のほうから何かコメントはございますか。お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 いずれも貴重な御指摘をありがとうございます。
釜萢委員から様々な御指摘をいただきましたが、特に我が国においても、そういったデータの蓄積が必要ではないかということに関しましては、こちらは我が国でどのようなデータが取れるのかというのも研究者とも少し相談しながら考えていきたいと思います。
また、中野委員、福島委員からしっかりとした情報提供といいますか、なかなか今回のワクチンがこれまでのワクチンと扱いが異なるところもあるのは事実でございますし、また、毛細血管漏出症候群とか、なかなかなじみがない用語が出てくるところもありまして、これは一般市民はもちろん、接種に関わるスタッフの皆様についてもなかなか理解が難しいところもあるかもしれませんので、これはしっかりと分かりやすい情報提供に努めていきたいと思います。
また、TTSに関する疾患概念がまだまだ深く周知している段階ではないと思っておりますので、このたび作成いただきましたガイドラインをしっかり周知するとともに、一般の市民に分かりやすい形で、疑われるような症状とか、そういったことについてもしっかりと啓発資料に盛り込んでいただきたいと考えてございます。貴重な御指摘をありがとございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、さらに御意見がなければ、ここでまとめさせていただきたいと思いますけれども、今、資料3について詳細に御説明いただき、また、委員の先生方からも御意見・御質問をいただきました。様々な条件がありますけれども、アストラゼネカ社のワクチンについて臨時接種に用いることに関して分科会への諮問が行われております。これは資料2、資料4で御説明を受けました。省令、それから、大臣指示文書の改正案に盛り込まれておりますけれども、この諮問されている原案のとおりにお認めをいただけますでしょうか。
(委員首肯)
○脇田分科会長 皆様首肯していただきましたので、これをお認めいただいたと判断させていただきます。ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては省令などの交付・発出のための事務手続を進めるようにお願いいたします。
それでは、本日の議事は以上となりますけれども、事務局から何かございますか。
○山口ワクチン対策専門官 少し戻させていただきます。資料1のところで、モデルナ社の12歳から17歳のところの心筋炎に関しての御質問がございましたので、お答えさせていただきたいと思います。
資料1の8~10ページ目のところにおきまして、心筋炎に関しての資料を載せさせていただいておりました。先ほど森尾委員のほうから、海外においてのモデルナ社において、あるいはmRNAワクチンにおいての情報ということでございましたけれども、10ページ目にその該当のところがございます。特に米国のほうがやはり非常に詳細なデータを積み重ねている中で、6月に若年者の新型コロナワクチンの接種の考え方ということが大変議論がありまして、その中におきまして、当初はファイザー社ワクチンのデータしか載っていないのですけれども、12歳から17歳においてファイザー社ワクチンの心筋炎の方がいらっしゃると、これはやはり若年者、かつ男性のほうが多いという傾向はあるけれども、その状況をもっても引き続き当該ワクチンのベネフィットは心筋炎関連事象のリスクをはるかに上回るということでまとめられております。
ただ一方で、御指摘のとおり、モデルナ社ワクチンの心筋炎の情報に関して、特に12歳、17歳に関しては、まだこれから情報が集まってくるというところでございますので、事務局のほうとしましても副反応検討部会におきまして、そういった情報を引き続き注視していきつつ、各国の状況も適切に見極めていきながら、国民の皆様に安心して接種していただけるように努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
森尾先生、よろしいですか。
○森尾委員 ありがとうございました。
○脇田分科会長 それでは事務局、さらにございますか。
○萩森予防接種室長補佐 本日は長時間にわたり活発に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。中野先生におかれましては最初の御司会、ありがとうございました。それでは、これで終了させていただきます。