2021年8月3日 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第8回) 議事録

日時

令和3年8月3日(火) 13:28~15:07

場所

労働委員会会館第612会議室(6階)

出席者

松尾主査、富田主査代理、亀岡構成員、河村構成員、斎藤構成員、田極構成員、山口構成員

議事

議事内容

○事務局
 定刻より若干早い時間ですが、おそろいですので、ただいまより第8回独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WGを開催いたします。私、事務局の政策立案・評価担当参事官室の戸高でございます。よろしくお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。まず、本日の出席状況について報告いたします。本日は松尾主査、斎藤構成員がオンラインでの御参加、大西構成員が御欠席です。松尾主査はオンラインでの御参加のため、本日の会議は富田先生に主査代理として進行をお願いしております。
 続いて、参事官の生田より御挨拶申し上げます。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 参事官の生田でございます。本日はお暑い中、お集まりいただき、どうもありがとうございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局
 続きまして、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。本日は議題として「厚生労働省における独立行政法人の評価の見直しについて」及び「国立病院機構の令和2年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっています。
 この後の進行は、当ワーキンググループ主査代理である富田先生にお願いしたいと思います。それでは富田先生、よろしくお願いいたします。

○富田主査代理
 主査代理を務めさせていただく富田です。議事進行に、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。それでは議事に入りたいと思います。厚生労働省における独立行政法人評価の見直しについて、事務局から説明をお願いいたします。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 事務局でございます。まず、資料1を御覧いただきたいと思います。1ページですが、これは現在の評価のやり方について書かれたものです。確認になりますが、ポイントにつきましては真ん中の所、Bが標準であるということです。定量的な指標があるものについては100%以上120%未満。これが、Bに該当する。120%以上がA。これに加えて、更に質的に顕著な成果があった場合がSということなので、Sというのはそんなに簡単に取れるというものではない。またBは初期の目標を達成している状態であるということで、100%でもBということになりますから、逆に言うとBだからと言って法人がきちんとやっていない、そういうことにはならないということです。この点を念頭に置き、御議論をお願いできればと思います。
 2ページ目です。私は昨年の夏に着任しましたが、評価をワンサイクルやってまいりましたが、その中で改善はしたほうがいいかなと思う点も出てきましたので、今御説明したBが標準というところも踏まえながら、より適正な評価を行うということで、言い方を変えると厚労省できちんとした評価をやっていますねと、そのように受け取られるように今回見直しを行っているということです。1つ目の目標設定の場面ですが、これは、ある意味厚労省の中の問題でもありますが、現在は目標を作るときに評価部局、これは我々政策統括官という部署のことを指します。法人所管の部局ではなく、我々の評価部局という意味ですが、ここが目標の策定に関与する仕組みになっていないということがあります。結果として、研修回数やあるいは雑誌の発行回数といったような感じの、単に実施すれば終わりといったような目標あるいは連続して150%、200%と、そういう非常に高い達成率を担っているものも見受けられるということで、従って法人、所管部局だけで目標を決めるのではなく、我々もきちんとチェックをするという仕組みにしたいということです。また、目標設定に関する共通のルールをつくることにいたします。
2つ目ですが、評価につきましてはせっかくこういった形で有識者会議を開催しても、資料や説明が法人の業務内容が中心になってしまうことも多いということで、どうしてそういう評価になるのかという議論になかなかならないということがあります。従って資料につきましては、評価のポイントが分かるような様式に改めるということで、会議では評価の妥当性について重点的に御議論いただきたいというふうに考えております。今回は見直し後の様式に沿って、評価の要約の資料を作成いただいております。これを基に御議論いただきたいということです。
 3ページです。これは、目標策定について先ほど共通のルールをということで定めたものです。①で定量的な指標については、1つの目標に対して3から5個を目安に設定する。②定量的指標につきましては、事業の実施頻度、単に何回雑誌を作った、何回研修会を開催したといったようなことではなく、研修対象者数や満足度がとてもいい目標だというわけではないのですが、より成果に関連する目標にしていくということ。③、平均してずっと120%以上の達成度になっているようなものが150%、200%、そういったものがある場合には目標の見直しというものを検討するということ。④、重要度「高」というものを付けることができますが、これは全体の半数以下にするということについて定めております。
 4ページです。新しい様式です。まず目標の内容、あるいは指標の達成状況について見てすぐ分かるようにきちんと書いていただく。また、要因分析という欄が下にありますが、達成度が120%以上あるいは80%未満といった場合には、何がその要因として考えられるのかということについても書いていただくということです。
 5ページです。これが評定の根拠です。なぜその評価になるのかというところをしっかり書いていただき、会議の中ではこの辺りを中心に御議論いただければというふうに考えております。
 最後の7ページですが、ここは評価の見直しに併せて試行的に、ちょっと試しにやってみようということで考えたものです。評価の適正化を図るというのはもちろん大事なのですが、評価のための評価ということになってもどうかと。法人に、より頑張ってもらえるような評価というのは大事なのではないかという視点もありますので、評定そのものには直結はしないが、こういうところは頑張ったねと、あるいは評価できる取組だよねということを、今後の法人運営の参考になるような法人のやる気やインセンティブを与えるような、そういう前向きなコメントがあった場合には、それについても正式な評価と併せてきちんと伝えようということで、こういった形にまとめて主査に御確認いただいた上で法人に渡すということを考えております。説明は以上です。

○富田主査代理
 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明について、皆様から御質問がありましたらお願いいたします。

○松尾主査
 名古屋大学の松尾ですが、よろしいでしょうか。

○富田主査代理
 はい、どうぞ。

○松尾主査
 今日は、ちょっとリモートでの参加で大変失礼いたします。今の御説明ですが、これまでの評価の仕方というところではクリアに段階があるのですが、依然としてやはりちょっと我々が迷うところがあり、3つぐらいあるのですが、簡潔に言います。1つは困難度、重要度というのは付きますよね。これの扱いを例えば前だとBですがこれは困難度が高いので1つ上げましょうというのがあったのですが、やはりここのルールはあまり明確ではないなと。困難度、重要度というのは非常に、一部はほかの医療機関等々と比較して非常に難しいよねというのも出ているのですが、そうでないところは非常に定性的なので、ここのルールは是非今後明確にしていただきたいなというふうに思うのが1点目です。
 それで2点目なのですが、この計画期間の途中で、もう既に100%を越えてしまっている、あるいは120%を越えてしまっている。その場合に、それを維持することが非常に難しい場合と、もともと目標設定が分かっているような場合とがあるのですよね。これらは今のお話では目標設定をするときに、厚労省も入って一応よく吟味をして決めていただくということなので、ここのところをしっかりお願いしたい。
 それから3つ目の最後のインセンティブなのですが、これは予算で決まっているのでなかなか難しいかと思うのですが、このインセンティブでここをよくやりましたねという言葉で誉めてもらっても、なかなかインセンティブにならないのではないかというふうに思って、これは是非機構からもお金で駄目なら例えば規制緩和で少しインセンティブを付けるとか、もう少し何か具体的なインセンティブを付けてもらったほうが、もっともっとやる気が出るのではないか。多分一番いいのは、そういう資金を出すのがいいのでしょうが、それは難しければせめてそういったほかの方法で具体的なインセンティブを付けてあげたほうが、単に言葉でよくやりましたと誉めてもらうよりはいいのではないかというふうに思いました。以上です。

○富田主査代理
 松尾先生、ありがとうございました。事務局はよろしいでしょうか。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 御意見ありがとうございます。3点あったと思います。1点目は、困難度の話で今ちょうど説明した資料で言いますと、1ページの所に下に困難度が高いものというのは、一段階評定を引き上げるということを考慮するということができることになっております。この困難度「高」につきましては、もうこれは目標設定のときに困難度「高」なのかどうなのかというのを付すことになりますので、目標策定のときにこれを実際に困難度「高」とするのが妥当なのかどうかというところをしっかり吟味して、この困難度「高」というのを付すかどうかを、きちんと合意の上で付けるかどうかを決めるというところをしっかり検討していく必要があると思います。
 それから100%を越えるものであっても、100%というか120%ですかね。これを維持するのが非常に容易なのか、あるいは実は保つだけでも大変なのかと、そこはいろいろな状況が有り得ると考えます。これも、先ほどの見直しのルールの中で、120%非常に高い達成度になっているものは見直しを検討するということで、必ず見直すということではなく、見直しを検討するということなので、これはそれを保つことがそもそも非常に高い目標であればそれをクリアしていくということが目標になり得ると思いますし、それは機械的にやるものではなく、やはりこれは目標策定のときにきちんと議論すべきことであるというふうに考えます。
 それからインセンティブの話ですが、これもなかなか評価の場ですので、ここの場で予算の話や規制の話が馴染むのかという部分はありますが、もしその評価に係るような、関連づけられる、あるいは関連が深いようなことでそういった視点が出てくれば、ちょっとここに反映させられるのかどうかというのは、今後ちょっと考えていくということかと思います。いずれにしても、これは今回初めてやってみようということでの中でありますので、扱いについてはまた検討させていただきたいと思います。私からは以上です。

○松尾主査
 インセンティブを付ける方向性というのは非常にいいかなというふうに思いますので、是非具体的な検討をよろしくお願いします。

○富田主査代理
 よろしいでしょうか。では、ほかにどなたか御質問。どうぞ。

○河村構成員
 御説明ありがとうございます。今、松尾主査がおっしゃられたうちのインセンティブのところで意見というか、気が付いた点を申し上げさせていただきたいというふうに思います。インセンティブを付けるというか、プラスに評価項目の所ということだけではなく、プラスに評価できるところをやはり是非しっかりと評価してという、そういう方向性は大変いいことではないかと私も思います。ただ、今お話が出ていましたように予算のところでどうする、それから規制緩和でどうするというのは確かにやはりストレートには難しいだろうと。特に、NHOさんの場合などというのは、これだけいろいろ大変なことをやっていらっしゃりながら基本的に収支相償でということでやっていらっしゃるのに、じゃあそこでインセンティブだからと言って、じゃあ運営費交付金を出しますかというと、それはちょっとやはり制度や組織としての運営の根幹に関わるところでもあるので、難しいのかなと。
であれば、やはりいい評価が出たときに是非評価書に書いていただくのは、国民に分かるようにしていただきたいという意味でもそう思いますし、可能であれば是非本省でも御配慮いただいて、例えばすごく高い評価が出た、こういう評価が出たというところを大臣の記者会見のときに言っていただく、一般向けにもっとプッシュして発信していただくといった形のこともお考えいただければというふうに思います。
 あとちょっと、併せて申し述べますと、私はかつて10年以上、ちょっと総務省での独法評価にも関わっていたこともありますので、それで承知している関係で申し上げます。法人自体についてはインセンティブという感じではなかなか金銭的な面ではしにくいですが、やはりこの独立行政法人でいろいろ経営マネジメントをやってくださっているということで、役員の方々が任期を終えて退任されるときには、それなりにこの組織の業績評価というものが、退職金の検討の対象の中に入ってくるというような枠組みになっていたのではないかというふうに思いますので、そういった意味では全く何もないという制度や運営にはなっていないのではないかなという気もいたしますので、併せて一言申し添えさせていただきます。以上です。

○富田主査代理
 ありがとうございました。まだ質問があるようですが、時間も限られていますので、次の議題に進みたいと思います。評価の見直しについて御不明な点があれば、次の議題でも適宜御質問いただければと思います。
 それでは、国立病院機構の令和2年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。はじめに法人から法人の業務概要及び、自己評価について御説明いただきます。自己評価については、先ほど生田参事官からお話があったように、評価に対する明確な根拠というものを分かりやすく説明していただきたいと思います。この説明は、この2つの説明が終わってから質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは法人から法人の業務概要及び、自己評価について説明をお願いいたします。

○国立病院機構企画経営部長
 企画経営部長でございます。まず私から御説明をさせていただきます。資料3-1、令和2年度業務実績評価説明資料に基づきまして御説明をさせていただきます。業務概要につきましては1ページですが、時間の関係もございますので別途御覧いただければと思います。
早速2ページの業務実績の評価につきまして、まず、背景として少し御説明させていただきます。2ページを御覧いただきつつお聞きいただければと思います。当機構におきまして令和2年度は、三本柱である医療、臨床研究及び教育研修に加えて、新型コロナの全国的な流行が続く中、人的、物的な体制に大きな負担がかかることを承知の上で、感染患者への医療提供体制の確保に積極的に取り組むなど、コロナ対応に大きく貢献をしてまいりました。その一方で、早い段階からコロナ後も見据えた経営改善の取組を進めまして、患者数が減少する中でも安定的な経営を維持していくことについて一定の目途を付けることができました。更に組織内のガバナンスにつきましても、コロナ禍という国全体での危機管理が重要となるこの局面において、前年度とは質的に異なる大きな成果を上げております。
自己評価に当たりましては、それらの成果を踏まえて個別事項の評定を行いました。具体的には、まず、評価項目の1-1-1、1-1-2、そして1-3の3つにつきましては、指標の達成状況のみで見るとC評定又はD評定ですが、評価に関する指針の規定の内容を踏まえ、コロナの影響という外部要因により業務が実施できなかったという点を考慮しまして、ベースとしてはB評定とさせていただき、いずれにつきましても質的に顕著な成果があったこと、また、特に1-1-2につきましては難易度が「高」であることなどを踏まえ、評定を引き上げさせていただき、それぞれA、S、Aというように自己評価をさせていただきました。
 更に評価項目1-1-3、1-2、そして2-1の3つにつきましては、指標の達成状況のみで見るとB評定となりますけれども、難易度が「高」であることなどを踏まえ、評定を引き上げ、更に質的に顕著な成果があったことから、S評定とさせていただいております。
 そして最後、評価項目の3-1につきましては、目標の内容を十分に達成できていることから、ベースをB評定とさせていただいた上で、更に質的に顕著な成果があったことからA評価とさせていただいております。
 最後、総合評価といたしましては、個別の評定をこの2ページ目の下にありますような形で数値に換算してS評定としております。以下、個別事項ごとに自己評価のポイントにつきまして各担当から御説明させていただきます。

○国立病院機構医療部長
 医療部長でございます。診療事業(医療の提供)について御説明申し上げます。5ページからよろしくお願いします。新型コロナウイルス感染症の拡大時には、一般診療を制限せざるを得ないときもありました。PCR検査の実施体制を大幅に拡充する、そして徹底した感染防止策を講ずる等により、一般医療そしてセーフティネット分野の医療など、全ての患者が安心して質の高い医療を受けられる体制を構築いたしました。具体的には、コロナへの感染の心配から直接診療・検査を受けられない状態が長期化するなどの事態を解消すべく、感染の有無が明らかでないことを理由に患者の受入れを断らない、動線や病室を明確に区分する、入院治療が必要で感染が否定できない患者全員に対して、PCR検査等を実施するといった内容につきまして、令和2年6月に理事長通知として、各病院に周知を図りました。
 入院患者受入れに係る具体的なフローとしましては、右下のイメージのとおりです。入院治療が必要と判断された方の感染が否定できない場合、初期病室においてPCR検査を実施し、陰性であれば通常の病棟、陽性であれば専用室で入院・診療を行う体制を構築しました。安心して療養いただける環境を整備しております。
 続きまして、6ページです。これらの体制を構築するため、急性期病床等を有する病院を対象に、PCR検査機器、簡易陰圧装置等を導入いたしました。令和2年度末時点で134病院にPCR検査機器を整備した結果、PCR検査の件数としましては、令和2年4月が195件であったのが、令和2年10月8,000件強、令和3年3月1万7,000件強という必要な検査が迅速に実施できる体制が構築されております。
 続きまして、右下に移っていただきまして、セーフティネット系の病院におきましても自院の診療機能、役割を果たしつつ、帰国者・接触者外来等を設置、そして重症心身障害や精神疾患等を有する者が感染した場合の受入れ体制の整備など、各病院の特色に応じた取組を通じて地域に貢献いたしました。
 続きまして、7ページです。医療の提供、その他の取組としまして、右側、コロナ禍の異例の状況の中ではありましたが、医療の高度化・複雑化への対応を進めました。具体的には、特定行為を実施できる看護師163名配置など、記載のとおりです。またクリティカルパスの活用につきましても引き続き取り組みました。医療安全の取組として人工呼吸器が関連する医療事故及びヒヤリハット事例、レントゲン撮影における左右間違い等について各病院に周知し、注意喚起を行いました。
 続きまして、診療事業(地域医療への貢献)です。まず、9ページを御覧ください。指標の達成状況の部分の2段目、短期入所の延べ利用者数につきましては。達成度は75.6%となっております。その下の要因分析の③外部要因としまして、令和2年度前半は受入れを一時的に断念せざるを得ない状況であったため、短期入所については、年間で見て80%を切る形となっております。しかし各病院におきまして、ノウハウの構築を行い、一部の病院で受入れが再開されております。
 10ページです。コロナとそれ以外の医療を両立するための工夫について、事例を2つ紹介させていただきます。1例目は、神奈川病院における取組です。神奈川県内の他の医療機関が有する結核病床がコロナ受入用へ転用され、結核病床の確保が困難となったことにつきまして、神奈川県庁からの要請を受け、縮小予定であった結核病床50床を維持したものです。当該体制を維持するため、全国10の機構病院から看護師確保を行いました。2例目として、肥前精神医療センターにおける取組です。休棟していた病棟を改修し、新型コロナウイルス感染症対応の精神科病床20床を確保いたしました。新型コロナウイルス感染症に感染した精神疾患患者で、身体的に軽症の診療に当たりました。また、PPEの脱着等の実施を含む、精神科医療従事者向け研修会を2回開催し、約210名の参加がありました。
続きまして右下をご覧ください。コロナ後を見据えた取組として、地域医療構想の基本的な考え方の維持、医療計画への新興感染症等への追加、これらの国の方針につきまして、各病院への周知を図るとともに、改めて地域から求められる医療を安定的かつ継続的に提供できるよう取り組んでいくべきことについて共有を図りました。
 続きまして、11ページです。NHO病院の機能再編等としまして、事例を2つ紹介させていただきます。1つ目は八雲病院の機能移転についてです。セーフティネット分野の医療等を提供していました八雲病院につきまして、北海道医療センター及び函館病院へ医療機能を移転することで、入院患者の医療の充実等を図ったものです。本部の担当者が現地に常駐するなど全面的なバックアップの下で、約82㎞、245㎞と前例のない長距離の移動を、病院・グループ・本部が一丸となりまして、移送を行いました。移送されました患者の中から感染者を1名も出すことなく、令和2年9月1日に機能移転を完了いたしました。
2つ目としまして、弘前病院への弘前市立病院の医療機能移転の話です。津軽地域におきましては、救急医療体制の維持が困難等の課題を抱えており、その課題を解決するため、平成30年10月に4者において、基本協定書を締結いたしました。令和2年5月には工事が開始されるなど、コロナ禍にあっても当初の予定から遅れることなく着実に準備を進め、新中核病院の開院日を令和4年4月1日としております。
右下に移りまして、地域包括ケアシステムへの貢献として、コロナ禍におきましても、在宅療養支援への取組、宮城病院における地域包括支援センターの受託、訪問看護ステーションの開設、運営等を行いました。
 続きまして、診療事業(国の医療政策への貢献)です。14ページです。令和元年度の武漢からの帰国者やダイヤモンド・プリンセス号の乗客への対応に続きまして、感染患者の受入れ、看護師派遣、ワクチン接種等に積極的に取り組みました。またDMATについて体制強化を行い、災害等への対応を行いました。病床の確保につきまして、コロナ収束後に通常の診療体制に戻すまでに相当な時間を要することを承知の上で、体制を取ることが極めて困難な病院も含めまして、コロナ患者受入病床の確保を積極的に進めました。具体的には、令和2年7月に771床であったのが、令和2年12月に1,752床、令和3年3月に2,032床、令和3年6月に2,259床となっております。この2,259床につきましては、国立病院機構全体でセーフティネット系の病床や他の疾患の患者で既に利用されている病床などを除きまして、対応可能な病床に絞って考えた場合、約2割強の病床をコロナ病床として確保しているというように言えるかと思います。
なお、これらの取組は、急性期病院だけではなく、がん、重症心身障害、神経・筋難病及び精神障害を主たる専門とする65病院のうち、約3分の1を超える病院でもコロナ患者の受入体制を取っております。また、本部DMAT事務局職員が、クラスターの発生した介護施設等における支援に派遣されるなど、地域の感染拡大防止に尽力いたしました。
右側に移りまして、看護師応援派遣体制の構築です。こちらは支援が必要な病院にNHO全体で看護師を派遣する体制を構築いたしました。令和2年度の派遣実績としましては49人、1,004人日です。またNHO病院以外への派遣としましては、北海道、東京、愛知、大阪、沖縄などの自治体からの要請等を受け、クラスターが発生した病院や施設に看護師派遣を実施し、国等から高い評価を受けております。こちらの実績が99人、2,016人日です。
 続きまして、15ページです。医療従事者等へのワクチン接種につきまして、積極的に協力するよう本部から各病院に周知し、その結果としまして、「基本型接種施設」として69病院、「連携型接種施設」として66病院が協力しております。高齢者や地域住民に対するワクチン接種に関しても下記のとおり積極的に協力をしております。またこれまでのNHO病院でのコロナ対応の経験を踏まえ、令和3年2月に中期目標において新型コロナに係るNHOの枠を超えた研修の実施等について新たに定められたことを受けて、中期計画を改定し、地域の関係者に対して感染症対応に係る研修を実施することとしております。令和3年度以降の事業実施に向けて体制の検討等を行っております。
 右側に移りまして、厚生労働省のDMAT体制への貢献です。令和2年4月より、「機構本部DMAT事務局」を新設いたしました。人員増強などを行って体制強化を図っております。熊本県で発生しました令和2年7月の熊本豪雨では、DMAT事務局員6名を派遣し、派遣調整や物資支援を行っております。また、国立病院機構8病院からDMATチーム、10病院から医療班を派遣しております。

○国立病院機構総合研究センター長
 続きまして、臨床研究事業、16~18ページの説明をさせていただきます。17ページを御覧ください。臨床研究事業の定量的指標として、英語論文掲載数が設定されております。令和2年度の英文論文数が2,759本で、令和2年度の目標値である2,619本に対する達成度が105%となっております。この数値は第4期の中期目標最終年度の目標値を超えておりますので、この数字を維持できるように引き続き努力していきたいと思っているところです。
 18ページです。令和2年度の臨床研究事業の特記事項として3点御紹介させていただきます。1点目が、新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)と呼ばれているものの対応です。令和2年度中は主にファイザー社の先行接種の対応を行っております。ファイザー社の先行接種の対象者は、国立病院機構、地域医療機能推進機構、労働者健康安全機構の医療従事者でありまして、優先接種の一部を先行接種として実施しております。先行接種の目的は、国民に広くワクチンの有効性、副反応などをお示しすることで、18ページに掲載しております写真のとおり、医学的知識を有する医療従事者が、ワクチンを接種する映像や、その後の感想などを公開することによって、その後の優先接種や高齢者接種をスムーズに移行することができたと考えております。国立病院機構は52病院、全体で100病院のうちの52病院で、1万2,192人のデータを研究班に提供して、副反応の情報が公開されております。
 2点目が、NCDAを活用したCOVID-19の自動サーベイランス体制の整備です。NHO独自の仕組みであるNCDAを活用しまして、新規入院患者数や在院日数などをサーベイランスに必要なデータを抽出いたしまして、感染症の流行状況などを評価することが可能となっておりますので、これを順次、厚生労働省へのデータの提供を開始しております。最も重要なことは、NCDAのデータの集積というのは日頃の電子カルテの入力によるものですので、NCDAを活用したデータの抽出には現場への負担がないということで、この仕組みは現場の負担が大きくなるパンデミック下でも、大変有効な仕組みとして機能しているところだと思っております。
 3点目は、次世代医療基盤法に基づく外部機関へのデータ提供です。医療の発展に向けてエビデンスは非常に重要であり、国立病院機構においても48病院が届出を行って、令和3年4月から、日本医師会の医療情報管理機構へNCDAデータを活用したデータの提供を開始しております。臨床研究事業に関して以上です。

○国立病院機構医療部長
 続きまして、教育研修事業です。19ページを御覧ください。指標の達成状況につきまして、2段目、地域の医療従事者を対象とした研修会の開催件数、地域住民を対象とした研修会の開催件数につきましては、達成度は20%程度、3段目、職種ごとの実習生の延べ受入日数の達成度は50~70%程度となっております。
 次に、20ページ、要因分析です。要因分析としましては、③外部要因として、新型コロナウイルス感染症の影響により研修の開催が困難となったこと、発熱外来等を設置するため研修会場の確保が困難となったこと等により、開催件数が大幅に減少しております。一方、WEB開催を実施する等の取組が新たに実施されております。21ページです。やむを得ず一部の研修を中止しましたが、令和2年9月までにテレビ会議システムを導入し、従来より安全に多人数の参加が可能な体制を整備いたしました。時間の確保が困難であった者の参加が可能となり、またグループワーク機能の拡張により、様々な研修が可能となっております。今後更なる研修の効率化、質の向上を目指してまいります。右側に移りまして、先ほど説明いたしましたPCR検査の拡充に関連するものです。テレビ会議システムを活用することにより、臨床検査技師138名を対象に講習会を開催することができ、検査体制の大幅な拡充につながりました。また各グループにおいても研修を実施しており、東海北陸グループにおいては、全11回にわたり新型コロナウイルス感染症関係の研修会を開催いたしました。
 続きまして、22ページです。また地域との関わりを維持し、地域全体での感染拡大防止に貢献するため、WEB講演会、高齢者施設向け、市民公開講座等を実施いたしました。先に説明いたしました地域の関係者向けコロナ研修に関連して、NHO内での検討体制の構築、システム環境の整備として、ネットワーク回線の強化など研修会開催に向け準備を着実に進めております。
 右側に移りまして、附属看護師養成所の関係です。令和元年度に作成及び周知しました指標と基準に基づいて各養成所において、運営方針の検討を進めてまいりました。その結果、信州上田、愛媛、別府について閉校、千葉について閉校・大学誘致の方針が決定されました。
また、看護管理者に求められる能力として5つの能力を定め、今後はそれに沿った研修の体系化の実施を図ってまいります。看護師特定行為につきましては、令和2年度に新たに15病院が指定研修機関となり、機構全体で18病院が指定研修機関となりました。また指導者講習会を厚生労働省から受託をし、講習会を3回実施しました。計84名の指導者育成に貢献いたしました。

○国立病院機構企画経営部長
 引き続きまして、業務運営等の効率化について御説明させていただきます。25ページです。この定量的指標につきましては経常収支100%以上を目指しております。左上です。令和2年度におきましてはコロナの影響により患者数が大きく減少しまして、医業収支は極めて深刻な状況となりました。一方、コロナ後も見据えつつ更なる費用削減などの経営改善の取組を行いました。それに加えまして、コロナ患者増の波が起きるたびに、国、都道府県の皆様からの緊急の要請を受けまして、各病院が様々な観点からの調整に奔走しながら、可能な限り多くのコロナ患者を受け入れたことで、結果的に多くの補助金を獲得することができ、最終的には経常収支は黒字となっているところです。なお、ペーパーには書いておりませんが、この黒字分につきましては、今後地域における感染症対応などで、中心的な役割を果たし続けるために必要な原資になるものと考えております。
 次に26ページの左上を御覧ください。テレビ会議システムの全面的な導入により、本部・グループ及び全ての病院間におきまして、感染防止を図りつつ、意思疎通が以前にも増してスムーズに行われるようになり、迅速な情報共有と意思決定が可能となりました。また、全国に先駆けてコロナ対応従事者への手当の創設、右上に移りまして、全職員に対する臨時特別賞与の支給などにより、職員のモチベーションの向上にも注力をしたほか、右下の働き方改革の一環として、国の補助金も得まして、ICTの利活用の実証実験を12病院で実施しまして、他病院にも展開していく基礎を作ったところです。
 次に、27ページです。左にありますように、中長期的な視点での法人全体の資金状況を踏まえた投資を行っております。令和2年度はそれに加え、地域医療構想などへの対応に必要な整備や短期間での投資回収が可能となる整備への投資も行いました。
次に右の本部出資金の創設につきましては、NHO病院の多くで外来棟の老朽化が問題となっている中で、感染防止や老朽化対策の観点から、外来棟などの改修を進めるために、NHOの経営に当たっての基本原則であります「自収自弁」の下で、今回黒字となった分などを活用し、本部、病院間での資金のやり取りを工夫することにより、本部におきまして一定程度の資金を捻出し、各病院に出資する仕組みです。このようにコロナ対応のみならず、できる限り補助金に頼らなくて済むような整備の仕組みを作ることにより、安定的な病院運営を行うための工夫にも取り組んだところです。
また、27ページ右下の一般管理費の削減につきましては、平成30年度と比較し、約25%減となっており、中期目標に掲げております5%以上節減の約5倍の削減率を達成しているところです。
 次に、予算、収支計画及び資金計画です。29ページの左上を御覧ください。繰越欠損金につきましては、今回大幅な増加も懸念されたところでしたが、先ほど申し上げましたような取組を通じまして、経常黒字を達成できた結果、最終的には約40億円まで減少しているところです。また右下、長期債務の償還につきましては、当機構創設以来初めて、財政融資資金の低利・長期間での借換えを財務省から認めていただくことができました。更に今後の借入期間の長期化も併せて認めていただくことができました。これによりまして、当面の資金余力が大きく改善されることになります。これらの取組によりまして、これまで進めてきた経営改善の取組を引き続き進めることが前提ではございますけれども、コロナ禍の影響を受けてもなお、将来的な経営の見通しに一定の目途を付けることが可能となっているものでございます。以上で説明を終わります。ありがとうございます。

○富田主査代理
 ありがとうございました。今、本当にコロナ対応に明け暮れて、その逆境の中で様々な活動をされたことがよく分かったと思います。
 それでは、御意見・御質問がございましたらお願いいたします。法人の説明のなかった事項についても結構です。河村構成員、どうぞ。

○河村構成員
 御説明くださり、ありがとうございました。コロナ禍の本当に大変な中でコロナ対応をしてくださり、そしてほかの部分の医療も私たち国民にとって欠かせないものはたくさんあるわけですよね。そして、ほかの病院の支援であるとか、それから災害対応であるとか、本当にいろいろなことをやってくださって、本当に国民の側からすれば有り難い、極めて高いパフォーマンスを国立病院機構は昨年度に達成されたのではないかなと、これは最初に本当に申し上げたいと思います。本当に立派な国の病院があってよかった、国立病院機構があってよかったと、本当に心から思いました。ただ、評価項目をこの独法の評価のルールに従って、どのように一つ一つ考えていくのかというのは、ちょっとそこはまた別な話であり、よくお尋ねしたいと思います。
 それで恐縮なのですが、冒頭に御説明くださったのですけれども、今回、コロナ起因の問題があったということで、もちろん総務省からも指針が出ていますし、定量的な目標というのがいつもの年のように単純に、やれ100に行ったの行かないのというふうに評価するわけにはいかないところがあって、そこは総務省も指針が出ていると。それにのっとって、まず基本的に考えて、どの評価になるのかと考えられたか、それから何を思ってそこから上げることにしたのかということを、最初にワッとお話くださったのですけれども、申し訳ありませんが、ちょっと行ったり来たりだったので、1-1-1から順番に、ベースとなる指標から見た評価と、それから何を思って、この結構高い評価が各項目に付いているのですが、上げていらっしゃるのかというのを、1-1-1から順番に教えていただけないでしょうか。すみません。その上でちょっと意見とか申し上げたいと思います。

○企画経営部長
 それでは私のほうから、まとめて1-1-1から御説明させていただければと思います。まず1-1-1、診療事業の医療の提供でございますが、これにつきましては定量的指標といたしまして・・・。

○河村構成員
 簡単に指標だけで結構です。私はCとか、本当はDだけれど、総務省の指針でBとかとおっしゃって、そういう意味で上げる所の理由を指摘してきたとか、いろいろ言われたではないですか。そこだけおっしゃってくだされば。

○企画経営部長
 分かりました。それではまず1-1-1につきましては、定量的指標だけで申しますとCになります。ただ、それにつきましてはコロナ禍での特殊事情があったということで、ベースはBとさせていただいた上で、質的な理由といたしましては、特にコロナ禍の中で病院に行くのがなかなか心配という国民の方々の声を踏まえて、正にコロナ医療と一般医療の両立を図るための取組を進めたというところに質的な成果があるものと考えておりまして、それに基づきまして最終的にはAということにさせていただいているというのが、まず1つ目でございます。
 次の診療事業、地域医療への貢献というところでございますが、これにつきましては定量的指標だけで申しますとDになります。ただ、これにつきましても正にコロナの対応の直撃を受けまして、行おうと思っても行うことができなかったというところがある中で、これは補正をさせていただいて、通常のパターンのBをベースにさせていただいて、これは困難度「高」とされております。
 それに加えまして質的な顕著な成果として、特に先ほどと多少かぶる部分もあるかもしれませんが、コロナ医療とその他のいろいろな分野の医療の両立を図ることにしたこと、あとはさらに、例えば1つのトピック的なものではございますけれども、令和2年におきましては、八雲病院の移転などにおいて、コロナの状況を見極めながら、かなり本部も関与した上で、きちんとした移転を、患者移送も含めた移転を成し遂げることができたというところで、その点につきましては、今後の病院再編を行う上でも大きな経験になったものと考えております。

○河村構成員
 すみません、多分お時間ないので、質の要因とか難易度とかだけで、もう本当に結構です。

○企画経営部長
 それでよろしいですか。分かりました。

○河村構成員
 いいです。すみませんでした。時間ですよね。

○企画経営部長
 それでは、国の医療政策への貢献につきましては、これは定量的指標でいきますとBがベースになりますが、困難度が「高」でございますので、まずAに上げて、それで質的に顕著な成果があったということでSにしているところでございます。

○河村構成員
 基本はBですか。Bですね。

○企画経営部長
 はい。それで1-2の臨床研究事業につきましては、これはベースがB評定になりまして、それにつきまして困難度が高いということ、さらに質的な顕著な成果があったということで、2段階引上げでS評価ということにさせていただいております。
 そして、教育研修事業につきましては、これは定量的指標だけで言うとD評価になりますけれども、正にコロナの影響で、やろうと思ってもできなかったというところもありまして、B評価に補正した上で、これにつきましては困難度が「高」になっておりませんので、質的に顕著な成果ということで、1段階上げてA評価ということにさせていただいております。
 そして、業務運営の効率化につきましては、これは定量的指標だけから言うとB評価になりますが、困難度が「高」とされていること、さらに質的に顕著な成果があったということで、2段階引き上げてSということにさせていただいております。
 そして最後、3-1の予算収支、1年計画につきましては、これは指標がそもそもございませんので、目標を達成できたということでBということにした上で、質的に顕著な成果があったということで、1段階引き上げてAということにさせていただいております。以上です。

○河村構成員
 ありがとうございました。すみません、今の評価を引き上げる要因の中で、困難度が付いているものは上げることができるというのが、今日の冒頭で、最初に御説明のありました独法の評価の方針、これは別に厚労省だけではなくて、全府省共通だと思うのですが、その中に出てきますよね。
 あと、質的に顕著なということで上げているという所があったのですが、これは政策評価官室に御質問いたしますけれども、質的に顕著な評価というのは、120%以上の目標が達成できたときに、AからSに上げるときにはそこを考慮というふうになっていますが、ほかの評定で、例えばBをAに上げるというときに、この質的に顕著な評価ということを考慮することが、これは独法のルール上ないのではないかなと私は理解しておりましたが、これはどのように考えればよろしいでしょうか。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 私も直接そこは、質的に高いからBからAという所はないと思いますが、ちょっと補足があれば。

○事務局
 御指摘のとおり、平成31年度の指針の改定で変わっておりまして、令和2年度から新しい目標が始まる場合は120%以上、プラス質的に顕著な成果、又は100%以上プラス困難度「高」、それから質的に顕著な成果となってございます。
 こちらの国立病院機構のほうは、令和元年度に中期目標が始まっておりますので、従来の指針である120%以上プラス、質的に顕著な成果ということで、数値目標が120%以上となっていることが条件となってございます。

○河村構成員
 ありがとうございます。その上で意見を申し上げます。全体的な評価としては、本当に立派な業績を上げられて、本当に国民の側からすれば有り難い限りでということなのですけれども、今のルールに則して考えますと、やはり元の指標についてコロナの事情がおありになったということが分かります。そこは総務省の指針もあるからBに持ってくる、ベースはBでというふうにおっしゃった、それも理解できます。ただ、そこからA評定、それからS評定に上げるときに困難度というのがあれば、1個評価を上げるということはできるのですけれども、2段飛びに行っているものがあるのは、ちょっとこれは独法評価のルールからいくと難しいのではないのかなと思います。
 一番最初、1-1-1の医療の提供であるとか、ここのところはAにはならないのではないかなと、Bなのではないかなと私は思います。それは、ですから決して駄目だとかということでは全然なくて、本当に立派にやってくださっていると本当に思うのですけれども、やはりこのルールにきちんとのっとってやる必要があると思いますので、Bなのではないかなと思います。
 次の地域医療への貢献というところも、BからSに二足飛びで上がるのは、ちょっと難しいのではないのかなと、困難度というのが付いていますので、やはりAなのではないかなと思います。ですので、その下の所も、国の医療政策への貢献であるとか、臨床研究のところ、これは難易度のところが付いていますよね。ですから、その分が上がるのはもちろん全然いいと思うのですが、質的にというところでまでSが付けられるかどうかというのは、ちょっとどうかなと思います。
 ただ、これは記号の問題ではなくて、今回、昨年度の話を伺っていて思ったのは、コロナの問題が、例えば日本の国全体としての日頃の実力を明らかにしたというか、やっていなかったところの問題が出たと、割とよく言われますよね。例えば給付金の支給がすぐにできなかったとか、デジタル化が進んでいなかったというときに、そういうことが言われる中で、逆に病院のお仕事、国立病院機構のお仕事として見ると、これまで本当に独法化されて、独法の中でトップランナーのような形で、本当にいろいろ改革を進めていらした成果が逆に出ていらしたなということを感じます。
 ですから、国の医療政策への貢献のところもそうですし、臨床研究のところでもNCDAのものとかもきちんと、やはりいちいち手を掛けなくてもデータを共有して、いろいろ御研究を進めていただけるようなところが整っていた、そういう日頃の積み重ねの実力が、良い意味ですごく出たということですので、記号の問題はちょっとどうかなというのはありますけれども、やはり本当に高く評価できるところなのではないかなと、私は思っております。
 その下の所、教育研修1-3のところというのも、やはりこれはAは難しいのではないかなと、困難度は付いていないですし、B評価で問題ということでは決してありませんので、コロナ禍の中ですごくよくやってくださっていて有り難いと思います。
 あと一言申し上げたいのは、業務運営の効率化のところです。これは経常収支率が105になっていますけれども、その背後には、やはり例のいろいろな国のほうから支援が出たことがあったということです。結果的にそういう穴埋めがあって、どうなったかということだけではなくて、もともとの医業収支のところには、いろいろ問題もおありになったと思いますし、結果的にはプラスが出たけれども、それはなぜプラスが出たのかというと、国がそういう政策的な手当をしたからだということで、これはやはり経営の御努力とは関係ない話なのではないかなと思います。
 これはある意味、国民の税金を原資に配っているお金ですので、やはりちょっと配り過ぎだったところもあるのかな、分からなかったからしょうがないというところもあるのですが、私は財務省の財政制度等審議会の委員もしていますので、財務省のほうには事後的に検証をしたほうがいいのではないかということを言おうと思っていますけれども、ただ、これが国立病院機構の業績評価のときに、すごく高い評価にということには、ちょっとならないのではないかなと。
 ですから、ここの指標についても、やはりSというのはどうかなといいますか、困難度が付いていますから、Bのところを1つ上げてA、あとはいろいろと機構として御努力されているところもありますし、ここは例の、いろいろ旅費が削減できたとか、今後の設備投資についても、いろいろ御努力くださっているというようなお話もありましたので、本当にそういうところを含めても、Aとかなのではないのかなという感じがいたします。以上、本当にすごくよくやってくださっていると思うのですが、記号の付け方については、今、申し上げたようなところで意見がございます。以上です。

○富田主査代理
 今、御意見をいただきましたけれども、ほかの構成員の方たちで、では、亀岡構成員どうぞ。

○亀岡構成員
 どうもありがとうございました。私は会計が専門なので、2-1の業務運営等の効率化と3-1の予算、収支計画及び資金計画についてお聞きします。先ほども河村構成員のほうからもお話ありましたけれども、3-1の予算、収支計画及び資金計画がB評定プラス質的に顕著な効果でA評定と言われましたが、質的に顕著な成果だけで評定が1つ上がることはないのかなと思います。と同時に予算、収支計画及び資金計画で、質的に顕著というのはどのようなことをいうのでしょうか。
 説明資料30ページを見ると、事業令和2年度における医業収支が435億のマイナスですけれども、国の補助金をもらって576億の黒字になった言われ、これが質的に顕著な成果でプラスになりましたと言われましたが、当然数字上はそうなるのですけれども、この説明は、補助金等収益として、特にコロナ関係の増加ということで980億が大きな収入源になっているのかなと思います。
 更に同ページの下のほうに臨時損失として424億が記載されています。これはコロナの関係でのマイナスではなかったといますけれども、これらを勘案して質的に顕著な成果といわれましたが、補助金をもらうことが質的に顕著な成果と言うのなら話は別ですけれども、質的に顕著な成果と言うのは政策等によるものだと思いますので、貴法人の努力はないことはないでしょうけれども、これをもって質的に顕著な成果ということになってしまうと、全部そうなってしまうのかなと思います。この辺の判断について、私はどうなのかなと思っております。
 それと、あともう1つ、これは質問なのですけれども、セーフティネット系病院が業務運営の足を引っ張っているような感じがします。27ページを見ると、セーフティネット系病院等を中心として、自力での償還が困難であること等と記載されています。一方で、セーフティネットの病院をやっていることが国立病院機構の、ある意味のインセンティブみたいなことをずっと言われています。これらは相矛盾するような気がしますが評価をする上でそのように考えられたのか教えてください。

○富田主査代理
 機構のほうからいろいろと御意見あると思いますが、まずはこちらの構成員の話を伺おうと思います。山口構成員、どうぞ。

○山口構成員
 ありがとうございます。毎年伺っていて、この140病院を束ねて、通常でも本当にここまでのことをされているということを感じていた中で、コロナ禍になって更に負荷が掛かった中で、これだけの事業をやってこられたということに、本当に敬意を表したいと思います。
 特に評価に関係して言いますと、例えば9ページの所で、短期入所が75.6%しか達成できなかったということですけれども、ここに関しては目標を立てた段階で、こういう短期入所というのは、そもそも受入れができなくなるという事態になるということは、予想できなかったことだと思いますので、ここはもう致し方ないことなのではないかと思っております。評価に反映させる必要はないのではないかなと私は思います。
 それから、10ページから11ページの地域医療への貢献や機能再編のことが書かれていますけれども、特に地域医療への貢献ということではコロナ対応で、それぞれの国立病院機構は本当に役割というのが急性期の病院から重心まで、いろいろな役割を持たれていますけれども、それぞれが特性をいかしてできることを取り組んでこられたのだなということを感じますし、その中にあって急性期だけではなくて、96病院がコロナ病床ということで、2割も割いていらっしゃる。さらには看護師さんの派遣も国立病院機構だけではなく、それ以外にも派遣されたということで、自施設だけでも看護師を維持することが大変だった中で、そこまで外への貢献もしていかれたということは、非常に評価に値することではないかと感じています。
 それから18ページの臨床研究事業のところですけれども、140病院あるということで、それをいかしてワクチンのコホート調査に貢献されたり、NCDAを活用したりと、こういう貢献は、ほかの病院ではなかなかできないことではないかと思いました。それも、ほかの病院ができないところはみんなやっているかというと、そうではなくて、何ができるかということを考えて実践された結果ではないかと見ております。
 そして次世代医療基盤法、これの認定業者がまだ数少ない中で、私はちょっとこのことに関わっている部分がありますので、NCDAを取り入れている病院が67病院ある中で、48病院のデータを抽出されている。これは外部から非常に大きく評価されているということを、私もお聞きしていますので、さらっと書いてありますけれど、これはとても大きな貢献だということで、評価に値することではないかと思っています。
 その中で、ちょっと質問をさせていただきたいことが数点ございます。まず、コロナということで、5ページの所に「各病院に周知した診療体制のイメージ」というような、このようにやっていきましょうというようなことのチャートが書かれているのですけれども、こういうフローを整えられた時期というのが、大体いつ頃整えて周知されたのかということをお聞きしたいです。
 7ページの所に、ホームページ等で感染症対策の案内の中に、「病棟の面会制限」ということが書かれています。実は私たちは電話相談を受けているグループで、この1年半の中で、一番相談が継続して多かったのが、入院患者への面会ができないことによる家族の方の不安、あるいは疑心暗鬼、看取りもできない、看取った後も十分に葬儀が開けないというようなこともあって、非常に悲しみを継続している方がいらっしゃいます。
 最近では説明も不十分だということで、「必要なときは病院から連絡しますので、家族の方から連絡するのは控えてください」とおっしゃっている病院も、どうやら増えているようで、そんな中で、例えばオンライン面会とか、オンライン面会をするときでも、家族だけの関係で話ができるような、そういう配慮をしながら取り組んでこられたのかどうかということを、もし何か努力されたことがあれば、聞かせていただきたいと思います。
 それから財政的なことで、先ほどからお話がある、私も国の補助金ということが、かなり、国立病院機構だけではなくて、結構いろいろな病院の評価委員会でも赤字にならずに済んだということをお聞きしているのですけれども、これは評価ということよりも、国からたくさん出たことによって助かったという感じかなと思いますので、それによって大きく評価をするということは、ちょっとどうなのかなと思っています。
 それと同じように27ページに、出張旅費等が節減できたと、テレビ会議システムを活用されたということも、もちろんそれを進められたことが背景にはあるのだと思いますけれども、出張が減ったことで支出が減ったというのは割と、私たちの所もそうなのですけれど、どこもみんなそれで、実は収入も減っているけれど、それによって支出も減ったので、赤にならなくて済んだというようなこともあると思うのです。ですので、これもどちらかと言うと補助金とよく似ている傾向があると思うのですが、どれぐらいの評価の材料になっているのかということを、もし分かれば教えていただきたいと思います。以上でございます。

○富田主査代理
 メモしておいてください。次に松尾主査から御質問がありますので、お願いします。

○松尾主査
 どうもありがとうございます。私が質問しようと思っていたこと、あるいは意見は、ほとんど今、言っていただいたかなと思うのです。それで、これはいつも評価は難しいのですが、今回、特に評価が難しいのは、こういうコロナ禍にあって、これをどの程度、各領域を評価に入れ込むかというのが、非常に難しいなと思った次第です。ふだんの診療も難しいのですが、それに加えてコロナ対応ですから、病院の運営は非常に、ふだんよりも更に難しくなっているというのはそのとおりなのですが、今後、これは私の要望ですけれども、例えば危機的災害があったときの医療支援と、そういったことも今後、起こり得るわけだし、それに要した支援と、それから通常の診療業務、あるいは先ほど経営の話も出ましたけれども、これをどのように切り分けて評価するのかというのは、これは是非、評価基準として、ある程度作っておいていただくといいのかなと思います。
 それから2つ目として、先ほど臨床研究のところのNCDAですか、これが出てきましたけれども、私はこれは極めて重要だと思っていて、これは結構地道に、これまで国立病院機構のほうで整備されてきたのですよね。これがすごくいきているし、これからも極めて重要になると思っています。というのは、デルタ株が出てきて、ワクチン……、今はどこ……感染しているのです。イスラエルのデータなんかだと、感染そのものに関して言うと、2回ワクチン接種を完了した人が6か月たつと、有効性が20%に減ってしまうわけです。最近のデータでは重症者もワクチンを打っても出てきているというデータが出てきていて、今後このワクチンを打てばいいのではなくて、極めて重要な局面になるので、私はそのときに、こういうしっかりデータが取れるシステムというのは、極めて重要になると思うので、こういったところは、ちょっと定量はできないのかもしれませんけれども、是非強調していただく必要があるのではないかと思います。
 このデータをどの程度取れば、国立感染症研究所等々、あるいは厚労省に行って、どれぐらい活用をされているのかみたいな話を、是非これを強調していただく必要があるのではないかと思っています。ということで、皆様の意見も私はそのとおりだと思いますので、若干補足をさせていただきました。

○富田主査代理
 そこにいらっしゃる方は齋藤構成員ですか。齋藤構成員どうぞ。

○斎藤構成員
 失礼しました。聞こえますか。今、緊急事態宣言が何度も行われ、言わば戦時下のような中で戦争の一番の直中で働いてくださっている方たちを、どう評価するかという問題なのだろうと私は理解しています。ですから、通常の点数で杓子定規に評価することに大いに疑問があります。資料を拝見しますと派遣という文字が大変多く見られます。いろいろな所から要請されて国立病院の内部、それから自治体、国から要請されていろいろ人を派遣し融通していらっしゃるわけです。御自分の住んでいる所から離れて家族を置いて派遣先で活躍していらっしゃるわけです。そういう方たちに説得して動いてもらうということだけでも大変なことで、それをやっていただいていると認識しています。病院が崩壊しなかっただけでも奇跡的なぐらいの努力をしていただいている。それに対して数字で120%いきませんでしたということを言うのは、大変忍びないことだと思います。皆さん、病院の方たちも苦労なさっていらっしゃる。その方たちのインセンティブを保つためにコロナ手当であるとか見舞金であるとか、お給料に関してもいろいろと考慮されています。経営者として、病院で働く方たちが働き続けられるようにインセンティブを与えるということもなさっている。そういったことを全部総合的に判断して評価できたらと思っています。以上です。

○富田主査代理
 ありがとうございました。田極構成員、どうぞ。

○田極構成員
 いろいろ御説明いただきまして、ありがとうございました。私も斎藤構成員と同じ考えで、確かに評価の仕組みとして、ルール化して横並びで比較しやすいようにするということ。透明感を持った評価をすることはとても大事なことだと思います。一方で、働いている方たちがこの評価を聞いてどう思うかという今後のことについても、この評価というのは非常に重要な意味を持つものだと思っています。ですから、これだけ非常に大変な中、また医療従事者ということでかなり御苦労されて家族に会えない。あるいは差別を受けるという中で必死に耐えて通常の医療、また、それ以上に他の施設や病院に派遣をしてということで頑張ってこられたことについては、敬意を持って非常に高く評価させていただきたいと思っています。
 そういったところで、この数字についてどう評価していくのかというところにつきましては、先ほど松尾主査がおっしゃったように、非常事態についての数字の評価は1個1個慎重に評価していく必要があるのではないかと思っています。先ほど山口構成員もおっしゃっていましたが、例えば9ページの短期入所の延べ利用者数については達成度75.6%いくだけでも大変な状態だと思います。
また、補助金のところ、収入のところについてもいろいろ御意見があったところですが、ここについて補助金の評価、独法の評価について補助金が入ったからプラスでという評価とは違うのですが、国民の目から見たときにこういったコロナの状況に応じて、また、これからどんな新興感染症が出てくるか分らないといったときに、いざというときに入院できる施設がなくなってしまっては困る。何もこれは箱物があるだけではなくて、そういったスタッフを抱えておく必要がある。こういった危機的な災害対応とかコロナの対応も含めて、そういった体制をきちんと日本として整備しておく必要がある。そういうところで補助金については、独法の評価そのものでどう評価するかは難しいところはありますが、これからのことも考えると、きちんと体制整備についての補助金は今後も、別の所だと思いますが、考えておく必要があると思っています。
 先ほど評価官室のほうから御説明がございましたが、有識者検討会議での議論については、コメント欄に定性的なところをインセンティブとして書き入れるということがございました。私たち評価委員につきましても構成員につきましても、こういったところについて定性的な所を丁寧に評価に書き加えて、法人で働く方々がモチベーションを高めて維持していけるように、評価のコメントをさせていただきたいと思っていますので丁寧な評価をするべきだと思います。私からは以上です。

○松尾主査
 一言だけ、よろしいですか。

○富田主査代理
 どうぞ。

○松尾主査
 今のお二人の意見を踏まえて私からもお願いしたいと思いますが、今のお二人の御意見はそのとおりです。然はさりながら、ある程度のデータみたいなものも必要です。要するに、どれぐらい頑張っているんだという評価も必要かなと思っていて、例えばセーフティネットですね、こういうコロナ禍でセーフティネットをやるのは大変なのですが、例えば短期入所の延べ利用者の達成度が75.6%で大分減りましたといったときに、私は比較が必要だと思っていて、国立病院機構以外のこういう施設ですね、ここは全滅しているのですが、NHOの機構では75.6%もやっていましたみたいなのがあると、非常に分かりやすいのではないかと思いますので、そういったものが取れたら是非取っていただきたい。
 それから、この評価ですが、誰のためにやっているのかというと、私は最終的には国民に見えるようにしないといけないと思います。結構、この評価委員会では肯定的な意見が多いですが、これが本当に国民の皆さんに伝わっているのか、伝わっていないのかというのは全く分からなくて、最終的には大臣評定で記号がバッと付いて終わりみたいな感じで、あと中身はほとんど見られないということなのです。この評価のシステム、ステークホルダー、特に国民に対して分かるように、企業だと統合報告書みたいなものを出していますけれども、そういう分かりやすい報告書並びに書面を、是非、今後、作っていっていただきたいなと。以上です。

○富田主査代理
 ありがとうございました。時間が来ましたので、構成員からの意見はお聞きになれたと思います。あと、今、幾つか御質問がありましたので御質問へ回答されるか、それともこの後に監事及び理事長から御意見を頂きますけれども、そこの場でお話されるか、どちらがよろしいですか。

○国立病院機構理事長
 それに関しては医療部長から。

○富田主査代理
 では個別のことで、もし手短に答えられることがあればお願いいたします。

○国立病院機構医療部長
 それでは、資料で申し上げますと、5ページの体制イメージ、診療体制のイメージがいつ整えられたかという御質問を頂いたかと思います。その件につきましては理事長通知を令和2年6月に各病院に発出し、この体制のイメージについて病院と共有をしたものです。また、PCRの検査体制につきましては、臨床検査技師に対しての講習を令和2年9月に行いました。さらに、検査機器自体の整備につきましては、各病院の納入時期がありますので一律にというわけではありませんが、段階的にしっかりと本部からも支援いたしまして、できるところから体制を取っていただいたという認識です。
 面会の制限についてですが、基本的には各病院においてしっかりと判断いただいて面会体制を取ってくれという形の通知は、令和2年2月の段階でさせていただいているところですので、各病院に判断いただいて可能な範囲で対応いただいたと認識しています。
 オンライン面会については、今、すぐには手元に情報がございませんけれども、一部の話で言いますと、例えば長期療養するような筋ジス病棟などを持っている病院であれば、こういうコロナ禍でかなり面会が制限されるような状況等がございました。そういった所においてはほぼオンライン面会が可能な状況、そしてオンライン面会では機器のセットアップから支援が必要になりますから、そういったものは各病院でマニュアルを整備していると聞いています。私からは以上です。

○国立病院機構副理事長
 河村委員から御指摘の点につきまして、補助金をもらったことで経営改善したということであるが、そこに質的な改善はあるかという点についてお答えをさせていただきます。まず前提としまして私どもは評価を頂く立場ですから、反論ということではございません。我々がどういう考えでそこに取り組んだのかだけ簡潔に申し上げたいと思います。正にコロナ感染がクルーズ船の頃から始まりましたが、先行きを見通せない、正に国難と言うべき事情があったときに、公的医療機関たる独法、NHOがどうすべきかということを考えました。そのとき私は本部の中でもよく伝えていたのですが、コロナの対応とともにNHOが医療供給の場から去っていくようなことがあってはならない。将来、2040年なども念頭に、これからも地域で役立つ、安定的に医療を提供できる立場を維持しながら、コロナにも対応することをしなければいけないと考えました。
 そうしたときに、効率化とコロナ対応をいかに両立するかという中で、コロナ対応に我々としては立ち止まることなく積極的に取り組むことによって、資金も確保しながら地域のコロナ対応の両立を果たすことという、思い切った決断をしたということがありました。そういう意味では、安易にもらえたから増えたということではなく、感染のリスクもありながら、日々の行動も自制しながらこのような結果を得たという意味では中身のある判断をしたのではないかと考えているということです。
 あと1点、山口委員から、出張が減ったから支出も減ったのではないかとの御指摘がありました。それは確かにそのとおりですが、出張が減ったからといって例えば研修の質が落ちたかと言えば、そういうことではなく、むしろ例えばお子さんがいてなかなか東京への出張が行けないという方などもテレビ会議システムにすることにより、むしろ多くの方が参加しやすくなり、研修の質も維持しつつ、安全性も確保しつつ費用も削減できた。そういう意味合いにおいては新たな一歩を踏み出し、働き方改革対応と合せ技のような点も含めてできたのではないかと思っている点は、御理解いただければ有り難いと思っています。

○国立病院機構医療部長
 あと、セーフティネット系について、先ほど短期入所の延べ利用者数のコンテクストの中で話があったと思いますので、セーフティネット系病院での取組も補足させていただければと思います。セーフティネット系分野の入院している患者さんの多くは、コロナに感染すると重症化のリスクが高い。そういった患者さんが入っておられると思っています。ですから、厳重な感染防止策を取って患者を守って医療を提供しているという認識です。
 そのような状況の中でも、令和3年6月のデータになりますが、セーフティネット分野、これは障害、精神を中心とする病院ですけれども、これらセーフティネット分野の病院においてコロナ病床の確保2,259床のうち、21%はこれらの病院が病床を確保している状況です。また、入院患者数の受入状況で言いますと、6月1日時点で入院患者数が950人という状況でした。そのときも、先ほど申し上げた障害及び精神が主の病院で受けた入院患者は16.6%という形になっています。短期入所の利用者数については期待に沿えられず、予定よりも少ない数でしたけれども、コロナという状況におきましてセーフティネット分野だからこそ、できるような支援をやっていると思っています。また、正に本日、この8月3日から厚生労働省の要請を受けて沖縄県内の精神科病院に、セーフティネット系ですけれども、看護師4名の派遣を開始しているところです。急性期の病院にも今日から3名派遣していますけれども、NHOのセーフティ系が強いという強みを生かした精神科病院への派遣ができていることを補足させていただければと思います。

○富田主査代理
 よろしいでしょうか。それでは、続いて法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえ、今後の法人の業務運営についてコメントいただければと存じます。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。

○国立病院機構監事
 監事でございます。よろしくお願いいたします。令和2年度の監査結果につきましては、お手元の監査報告のとおり全て適正であり特に問題はございません。
次に、法人の業務運営の状況や今後の課題ですが、令和2年度においては新型コロナウイルス感染症という未曾有の国難の中、国から負託を受けた公的医療機関として理事長の強力なリーダーシップの下、地域医療、セーフティネット医療を守るためにいち早くコロナ患者への対応を図るとともに、地域住民が安心して受診できる環境整備に取り組んだことを高く評価したいと思います。
コロナ禍による患者数の大幅な減少により、医業収支でかつてないほどの赤字を計上し、年度後半までは資金繰り逼迫による法人の存続すら心配しておりました。しかしながら、本部主導による様々な経費節減努力の推進に加え、理事長の強い信念のもと、各病院が通常の診療体制を制限してまでコロナ対応に取り組み、また、職員も自らの感染リスクや風評リスクと戦いながらも、懸命に診療に当たった結果として補助金を獲得することができ、経常収支が黒字になったことは国、自治体の期待に応えることができた証であり、当面の資金繰りに一息つけたものと思っております。
また、昨年度は長期公経済負担の廃止、財政融資借入の低利・長期間での借換えなどについて、厚生労働省のお力添えを頂きながら本年度実現への道筋を付けることができ、当機構の財務基盤安定化に大きく寄与したことも特筆すべき成果と思います。
 今後の課題ですが、未だコロナの収束が見通せない状況下、足元のコロナ患者の受入数は再び増加している一方で、入院、外来とも患者数の減少傾向は継続しており、昨年度と同様に極めて不安定な経営を強いられている状況にございます。また、その後のポストコロナ期においても自収自弁の経営を果たしつつ、地域医療構想において各病院が地域から必要とされる医療機関として質の高い医療をしっかりと提供すること。職員が安全・安心に働くことができる働き方改革に取り組むこと。加えて、国との関わりが強い公的医療機関として、第8次医療計画に追加された新興感染症への備えについても、その役割、期待に応えていくことなど、取り組むべき課題は多いものと認識しております。
このような多岐にわたる課題に取り組み、中期目標を達成していくためにも、業務運営に係る改善の取組に不断の努力を継続し、安定的な法人経営を行っていくことが重要と考えております。以上です。

○国立病院機構理事長
 理事長の楠岡でございます。本日は当機構の業務実績につきまして説明の時間を頂戴し、また、御質問、御意見を頂きありがとうございます。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の全国的な流行という極めて困難な状況に正面から向き合い、病床確保等の医療提供体制の整備に加え、当機構内外の病院への医師や看護師の派遣等にも積極的に取り組んでまいりました。また、国を挙げてのワクチン接種体制の構築への積極的協力や、サーベイランス情報の国への速やかな情報提供など、公的医療機関を経営する法人として広範囲かつ質的に重要な役割を果たすことができたものと考えております。実際、これらの取組は国や都道府県等から極めて高く評価されており、例えば、これまで培ったコロナ対応に係る知見を地域の医療関係者等に広めることが当機構の任務として明記され、それに必要な研修体制の全国的な整備のために国から新たに予算措置が行われております。コロナ流行以前に設定した定量的評価指標については、必ずしも当初の目標を達成できていないところも一部ございますが、それは当機構がコロナ対応に関する国などからの数多の緊急要請に対して、公的医療機関として優先的に注力した結果でございます。急性期の一般病院だけではなく、セーフティネット系の病院を含めた140病院の全てが各々できる限りの取組を行い、少なくとも我が国が諸外国に比して踏みとどまれていることに確実に貢献した点は御理解いただくよう、よろしくお願い申し上げます。
 経営面では、令和2年度は3期連続の経常黒字となりました。これは主としてコロナの影響により患者数が激減する中で、コロナ収束後に通常の診療体制に戻すまでには相当な時間を要すること、また、職員やその家族に長期間、特段に自制的な行動を強いることを承知の上で、可能な限り多くのコロナ患者を受入れたこと等により多くの補助金を頂くことができたことによるものですが、それに加え、コロナ対応下だったとしても、費用削減につながる有意義な工夫をこらしたことも御理解いただければと思います。この黒字分につきましては、コロナ収束後も患者数がコロナ前の水準まで戻らず、引き続き厳しい医業収支の見通しとなる中で、地域における感染症対策等で中心的な役割を果たし続けるために必要な原資になるものと考えております。
 また、今後の経営がこれまでにも増して厳しいものになることを見越し、コロナ対応と並行して、令和2年度に財政融資資金の過去債務の低利・長期間での借換え等を財務省から認めていただきました。これにより、令和3年度から公経済負担金が廃止されていること等と併せて、コロナ禍の影響を受けてもなお将来的な経営見通しに一定の目処を付けることが可能となりました。今後とも、引き続き着実な費用削減、中長期的に安定した投資を継続するための投資枠の設定等、先を見通した取組を継続してまいります。併せて、今後、資金余力が改善した際には、先ほど申し上げた感染症への対応を含め、医療の高度化に向けた新規投資についても取り組みたいと考えております。
今後は、コロナ収束を見据えた経営体力の強化に加えて、第8次医療計画への対応、2040年に向けた地域医療構想への対応等、病院経営を取り巻く大きな環境変化の中で、各病院が引き続き、地域から求められる医療を安定的かつ継続的に提供していくことが重要となります。将来を見据え、職員一同努力を重ね、厚生労働省大臣から示されている中期目標の内容を達成してまいります。さらに、働き方改革の観点から職員の長時間労働の削減を最優先課題として、ICTソリューションの積極的な活用による業務の質の向上や、医療法改正による医療関係職種の業務拡大等を踏まえた人員体制の効率化等に取り組み、引き続き全ての職員が安全・安心に働ける職場づくりに努めてまいります。
 終わりに、今般のコロナ禍が及ぼす法人経営への影響は予断を許さない状況でございますが、我々は今後とも国立病院機構の使命である医療の提供、臨床研究、教育研修を継続的に的確に果たし、我が国の医療の向上に貢献してまいります。引き続き本有識者会議の皆様の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。以上でございます。

○富田主査代理
 ありがとうございました。ただいまの御発言内容について御意見、御質問がありましたらお願いいたします。松尾先生、斎藤構成員、よろしいでしょうか。

○松尾主査
 特にございませんが、この目標とか数値目標については精選して見直していく必要もあるのかなという感じを持っていますので、それも併せて今後、よろしくお願いいたします。

○富田主査代理
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。特にほかに御意見がないということでしたら私のほうから一言、意見を言わせていただきます。国立病院機構が果たされた今回のコロナ対応についての貢献は極めて大きいと思っています。おそらく国がいろいろな要請をされたと思いますが、それに応えることができなければ日本は大きな混乱に陥ったと思っています。私も同じ公的病院グループのメンバーですけれども、いろいろな施策はまず国立病院機構がさっと動いてくれるのです。国立病院機構が動いたのでよろしくと言われて後から公的病院がわっと行くと、いつもそういうパターンで今回動きました。看護師の派遣でも、あんな派遣をこんなときにできるのかと思ったときに国立病院機構は何人出しましたと言われると、分かりましたと私たちもそれなりの人数を出す。大阪の重症管理センターなどは、国立病院機構の派遣がなければおそらく機能しなかったと思います。ですから、もっと大きな混乱があったと思いますが、国立病院機構の働きのおかげでそんなにひどい混乱がなくて済んでいるのが現状だと思います。
これはなかなか国民は知るチャンスがないのですが、この評価委員会がその場であるかと思います。先ほど何人か御意見があったと思いますけれども、大臣の評価の際にはこのことを強調して伝えるようにしていただきたいと思います。
経営のことは私たちも全く同じで、6月の段階では500億の赤字が出ていて、これは我々日赤の法人全体が倒産すると思ったのです。どうしようかと考えたのですが、大塚社長が、倒産のことを考えて手を引くわけにはいかない。それはやるしかないだろうということで、倒産覚悟で私たちも動きました。同じだと思います。幸い国が救ってくれましたけれども、夏までは、私たちは倒産するかもしれないと思いながらも国民の命を守るためにコロナに対応したのです。このことを是非、国民に知ってもらいたいと思います。私の意見を言わせていただきました。今日はありがとうございました。以上で議事を終了いたします。最後に事務局からお願いいたします。

○事務局
 事務局です。今後の流れについて御連絡いたします。本日、御議論いただきました国立病院機構の令和2年度業務実績評価につきましては、この後、本ワーキンググループにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますのでよろしくお願いいたします。なお、冒頭に説明いたしました法人へのインセンティブとして今年度は試行的に、本日の会議において構成員の皆様の御発言の中で評定に影響しないものの、法人の今後の運営に参考となる御指摘について取りまとめ、主査の御確認を頂いた上で所管課及び法人に提示したいと思います。事務局からは以上です。

○富田主査代理
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり熱心に御議論いただき、ありがとうございました。
 
(了)