第324回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2021年(令和3年)8月24日(火) 15時00分~

場所

オンライン会議会場
東京都港区芝公園1―5―32  労働委員会会館
第612 会議室(6階)

出席者

(公益代表委員)
  • 原 昌登
  • 松浦 民恵
  • 山川 隆一(部会長)
(労働者代表委員)
  • 相羽 迅人
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 佐藤 英毅
  • 田尻 久美子
  • 平田 充

議題

  1. (1)育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案要綱(職業安定法施行令の一部改正関係)等について(諮問)(公開)

議事

議事内容
 
○山川部会長 それでは、ただいまから第324回労働力需給制度部会を開催いたします。よろしくお願いいたします。本日は、公益代表の小野委員が所用により御欠席です。
今回の部会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンライン会議として開催いたします。本日は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案要綱(職業安定法施行令の一部改正関係)等について」を御議論いただきます。
それでは、議事に入りますので、カメラの頭撮りがありましたら、ここまでとさせていただきます。では、事務局から説明をお願いいたします。

○東江補佐 事務局です。本日は、政令の諮問案件が1件です。資料1-1を画面に表示していますが、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに政令の諮問をさせていただいています。内容については、資料1-2に基づいて説明をさせていただきますので、こちらを御覧ください。今回、先般の通常国会で成立しました育児・介護休業法の改正が行われていますが、その改正に伴いまして職業安定法施行令に影響が出てきますので、その改正内容について御説明いたします。
1の制度の概要について、まず現行制度の内容です。職業安定法第5条の5において、職業紹介事業者等に対して、求人の全件受理の義務を課しています。他方、求職者の就業継続に重大な影響を及ぼすような求人については未然に排除をするということで、一定の労働関係法令に違反するような求人者からの求人については受理しないことができるという制度になっています。一定の労働関係法令の内容等々については、職業安定法の施行令と職業安定法施行規則で規定をしています。
具体的な内容は点線の枠囲みの中に記載しておりますが、例えば労働基準法や最低賃金法の規定については、過去1年間に2回以上、同一条項違反で是正指導を受けた求人者からの求人については是正後6か月経過まで、送検・公表されたような場合については、送検後1年経過まで不受理にすることができる制度になっています。また、職業安定法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の規定については、法違反の是正を求める勧告をすることができますが、その勧告にも従わずに公表されたような求人者については、是正後6か月経過まで不受理にすることができる制度になっています。今、申し上げたように、現行の制度においても、育児・介護休業法に規定されている一定の義務に違反するような求人者については、求人不受理の対象になっています。
今回の職業安定法施行令の改正内容については、先般の育児・介護休業法の改正によって新設された義務規定についても、違反した場合には求人不受理の対象に追加するという内容です。
対象に追加する義務規定は、下の1~3に書いてあるものです。1が妊娠又は出産等についての申出をしたことを理由とした不利益取扱いの禁止。2が出生時育児休業申出に関する事業主の雇用管理上の義務。3が、この休業申出をしたこと等を理由とした不利益取扱いの禁止でして、こうした義務規定に違反し、その上で勧告に従わずに公表をされたような事業主についても、求人不受理の対象になってくるということが改正内容です。
施行期日は、育児・介護休業法の改正の施行日と合わせております。それぞれ1については令和4年4月1日、2・3については令和4年10月1日に施行ということです。私からの説明は以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問等があればお願いいたします。仁平委員、どうぞ。

○仁平委員 ありがとうございます。説明いただいた諮問内容については妥当だと思いますが、1つ意見を申し上げておきたいと思います。是正勧告に従わずに公表されるに至った場合、当該企業からの求人については不受理とする説明ですが、実際には、この違法に関して公表にまで至る事例というのはないのだろうと思います。今回追加していただく条項というのは非常に大事なもので、特に子供を育てる男女が、就業を継続して育児と仕事を両立するために大変重要なものだと思っています。労働者が安心して働き続けるためにも、違反があった場合にはしっかりと指導、監督いただきたいと思いますし、是正はするものの、それを繰り返して違反をする事業者については、是非、厳正に対処いただきたいと思いますので、意見として申し上げます。ありがとうございます。

○山川部会長 ありがとうございます。続きまして、佐久間委員、お願いいたします。

○佐久間委員 ありがとうございます。全国中央会の佐久間です。今、仁平委員から御指摘いただいた意見にも関連するのですが、私もこの諮問案件ついてはおおむね妥当だと考えています。資料の中にもいろいろな禁止規定が記載されていますが、今回の措置については、実際の不受理となる流れ、要するに労働者側が不都合な扱いを受けないよう不受理に該当する事業者を把握して、受け付けないということを実際、具体的にどのように行っていくのか、改めて御説明を賜れればと思います。お願いいたします。

○山川部会長 ありがとうございます。御質問ですので、事務局から説明をお願いできますか。

○東江補佐 事務局です。違反があって公表されたような場合、若しくは労働基準法や最低賃金法の違反について、基本的に公表されたものについては、それに基づいて求人不受理の対象になるかどうかを確認することになろうかと思います。
労働基準法や最低賃金法の違反については、現在、求人の申込みをした求人者に対してこの労働基準法や最低賃金法の違反をし、求人不受理の対象になるような状態になっていないかということを民間職業紹介事業者が確認した上で、求人の申込みを受け付けるというような手続になっていまして、それを踏まえて求人不受理にするかどうかを判断いただくというような形になっています。

○山川部会長 佐久間委員、何かありますか。

○佐久間委員 よろしいでしょうか。多分、流れはそういう形だと思いますが、例えばタイムラグが生じるなど、そういう期間的な影響といいますか、この辺はどのように考えればいいでしょうか。公表されたものが、労働局を通じて所管の事業者の所にすぐ流れていくとか、データベース化されて、対象となる事業者がリストアップされたということが瞬時に分かるようなシステムになっていればいいと思いますが、その辺の考え方を教えていただければと思います。

○山川部会長 事務局、いかがでしょうか。

○東江補佐 事務局です。現在、ハローワークでも求人の不受理ができるようになっていますが、労働基準法や最低賃金法に違反しているような事業主については、労働基準法の担当部署から求人不受理の対象になるような事業者の情報として随時連携をし、行政機関の間で求人不受理の対象になる事業者ということで記録をされていくというような取扱いになっているということです。

○佐久間委員 分かりました。ありがとうございます。

○山川部会長 ありがとうございます。では、平田委員、お願いいたします。

○平田委員 ありがとうございます。今回の改正案は、就職後のトラブルの未然防止につながるものと認識していますので、妥当ではないかと思っています。ただし、今後、不受理の対象となる法令違反を追加していく際には、改めてこの場で慎重に議論、検討をしていくことが必要だと思っていますので、念のため意見として申し上げておきます。以上です。

○山川部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はありませんか。
それでは、特にないようでしたら、諮問がありました、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案要綱(職業安定法施行令の一部改正関係」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案要綱(職業安定法施行令の一部改正関係)」について当部会としては妥当と認めるということで、その旨を職業安定分科会長宛てに報告したいと思いますが、いかがでしょうか。
 
            (異議なし)
 
○山川部会長 ありがとうございます。それでは、特に御異議がないようですので、事務局は報告文案を画面上に表示するようお願いいたします。それでは、妥当と認めるということで、以上の案のとおり職業安定分科会に報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
                                 (異議なし)
 
○山川部会長 ありがとうございます。御意見を幾つか伺いましたが、それについては御意見として受け止めさせていただきたいということで、諮問については御異議がありませんでしたので、職業安定分科会に報告をさせていただきたいと思います。
予定されていた議題は以上となりますが、事務局から連絡事項等はありますか。

○東江補佐 事務局です。1点御報告させていただきたい事項があります。資料を映させていただきます。1の現行の枠囲みですが、今、職業紹介や労働者派遣の事業の許可手続をする際には、法人や事業所の存在を確認するために、申請者の方から法人登記事項証明書及び不動産の登記事項証明書をあらかじめ法務局で取ってきていただいて、申請書類に添付していただき、その上で労働局に提出していただくというような取扱いになっています。
こちらですが、現在、デジタル化を進めるということで、添付書類の省略等々が政府全体の方針として進められています。この登記情報についても、行政機関間の情報連携のシステムが新たに整備されていまして、法人の名称や事業所の所在地の情報を頂ければ、行政機関のほうで登記事項の内容が確認できるようになっています。このシステムを利用すれば、申請者から登記事項証明書をあらかじめ法務局で取ってきて添付していただくということは不要で、省略することが可能になるということになっています。
ただ、下の3の対応の枠囲みにありますとおり、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第11条という規定があるのですが、その中で、行政機関の情報連携によって添付省略が可能となる書類というのは、個別法令の中で明示的に登記事項証明書という文言が書かれているものに限るということになっています。
他方、職業紹介や労働者派遣事業の許可手続が現行どうなっているかと申し上げますと、省令の中で申請に必要な添付書類が書かれています。下の枠囲みですが、職業紹介の許可申請を例に挙げていますが、省令上は第18条第3項第1号ルという所で、事業所ごとの施設の概要を記載した書面という書き方をしています。登記事項証明書という文字が出てこないために、技術的な改正ですが、「建物の登記事項証明書その他の」というものを追加して、この登記事項証明書というものを明示的にすることで、添付書類の省略を可能とするという内容の改正をするというものです。職業紹介や労働者派遣の事業の内容が変わるものではなく、添付書類が省略可能になるように、技術的な法令改正をさせていただくというものです。
こちらは職業紹介や労働者派遣だけではなくて、雇用保険や障害者雇用といった他法令の手続も合わせて措置するということで、26日の職業安定分科会で関係省令の改正についてはまとめて諮問をさせていただくという取扱いになっています。職業紹介事業や労働者派遣事業の手続についても関係がありますので、あらかじめこちらの需給制度部会でも御報告をさせていただくということで、皆様、御承知おきいただければと思います。私からの説明は以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。添付書類の省略に関する手続上の明確化という報告事項になりますが、何か御質問等はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、報告については以上で、事務局からそのほかについて何か連絡はありますか。

○笠松補佐 事務局です。次回の部会の日程については、追って事務局から御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○山川部会長 それでは、特にないようでしたら、以上をもちまして第324回労働力需給制度部会は終了します。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。