第108回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和3年6月29日(火)10:00~12:00

場所

オンラインによる開催(TKP新橋カンファレンスセンターホール13A)

議事

○中村障害者雇用対策課係長 それでは、ただいまから第108回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただき、誠にありがとうございます。本年427日付けで委員の改選がございましたので冒頭は事務局が議事進行させていただきます。

 まずは、分科会長の選出について御報告申し上げます。参考資料1の障害者雇用分科会委員名簿を御覧ください。分科会長は労働政策審議会令に基づき、本分科会に属する公益代表の労働政策審議会の本審の委員の内から本分科会に属する本審委員の間で選出いただくこととなっております。本分科会において該当する公益委員は山川委員のみですので、事前に山川委員が選出されております。それでは、以後の進行は山川分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山川分科会長 皆様、おはようございます。御紹介いただきました山川です。以前も当分科会に参加しておりましたが、中労委の常期委員になったことで、任期途中で退任しておりました。4年ぶりに復帰することになり、新人に戻っておりますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速ですが、労働政策審議会令に基づき、分科会長代理を公益委員の中から指名することになっております。こちらは小原委員に事前にお願いしております。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、議事に先立ち、障害者雇用分科会の委員に新たに就任された方を御紹介いたします。皆様、一言御挨拶をお願いいたします。まず、公益代表委員については、武石惠美子委員が退任されたことに伴い、427日付けで横浜市立大学都市社会文化研究科教授の影山摩子弥委員に新たに御就任いただいております。

○影山委員 影山です。どうぞよろしくお願いいたします。

○山川分科会長 ありがとうございます。使用者代表委員については、高橋陽子委員が退任されたことに伴い、同日付けで日本商工会議所産業政策第二部課長 清田素弘委員に新たに御就任いただきました。

○清田委員 日本商工会議所の清田です。どうぞよろしくお願いいたします。

○山川分科会長 ありがとうございます。また、佐渡康弘委員が退任されたことに伴い、同日付けで愛知県中小企業団体中央会副会長、株式会社アトラスジャパン代表取締役社長 山口高広委員に新たに御就任いただきました。

○山口委員 おはようございます。愛知県中小企業団体中央会副会長の山口と申します。今回から審議に参加させていただきますのでよろしくお願いいたします。

○山川分科会長 ありがとうございます。障害者代表については、小出隆司委員が退任されたことに伴い、同日付けで全国手をつなぐ育成会連合会副会長 大谷喜博委員に新たに御就任いただいております。

○大谷委員 お世話になります。育成会の大谷です。よろしくお願いします。

○山川分科会長 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。それから、阿部一彦委員が退任されたことに伴い、同日付けで社会福祉法人日本身体障害者団体連合会副会長 小西慶一委員に御就任いただいております。途中から御参加の予定ですので、後で御挨拶をいただきたいと思います。

 それから、眞壁博美委員が退任されたことに伴い、同日付けで公益財団法人全国精神保健福祉会連合会理事 下屋敷正樹委員に新たに御就任いただいております。

○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。どうぞよろしくお願いいたします。

○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、影山委員、清田委員、山口委員、大谷委員、小西委員、下屋敷委員におかれましては、改めてどうぞよろしくお願いいたします。また、ほかの委員の皆様におかれましても、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。本日は、森口委員、山内委員が御欠席と伺っております。それから、倉知委員、小西委員におかれましては途中から御参加される予定です。仁平委員におかれましては、途中で御退席される予定と伺っております。

 さて、本日の分科会は、ZOOMによるオンライン開催となりますので、開催にあたりまして事務局から説明があります。

○中村障害者雇用対策課係長 事務局です。本日もZOOMを使ったオンライン会議となっております。開催にあたりまして、簡単ではありますがオンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフといたしますが、御発言をされる際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後にマイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。

 会議進行中、トラブルがございましたら事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともございますので御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。

○山川分科会長 それでは、議事に入ります。頭撮りはここまでとなっておりますので、カメラ取材の方がおられましたら御退出をお願いいたします。

 本日の議題の(1)は、これまでの障害者雇用分科会(第103回~第106回)における主な意見についてです。(2)は、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会報告書についての報告です。(3)が、その他になっております。本日は議題(2)の関係で、社会援護局、障害保健福祉部に御出席いただいております。それでは、議題(1)について、事務局から説明をお願いいたします。

○小野寺障害者雇用対策課課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。それでは、資料1-1、それから資料1-2については、適宜、御参照いただくということで御説明いたします。これまでの当分科会においては、第103回~第106回の4回を通じ、本日の参考資料2としてお示ししております「今後の検討に向けた論点」に基づき、自由に御意見を頂いていたところです。

 その4回を通じて頂きました主な御意見を、資料1-1として御用意しております。論点は大きく3つの柱立て、雇用率制度の在り方、納付金制度の在り方、その他の論点をお示ししておりました。それに関連して、データ、現状などの共有のために、これまでの4回を通じてお示しした資料を、資料1-2としてお示ししたところです。

 それでは、資料1-1を御覧ください。まず、1.雇用率制度の在り方について、それぞれの各論があります。マル1は法定雇用率の引き上げに関する検討についてです。法定雇用率の総論的な意見として、雇用の量から雇用の質を評価する制度へ展開するという段階にきているのではないかという御意見を頂いております。このマル1の内容については、参考資料2を御覧いただくと具体的に書いてあります。法定雇用率については計算式に基づき算定した結果を法定雇用率とすると、もともとの考え方に立ち戻って次期の法定雇用率については設定をいたしますが、当該法定雇用率前の引き上げの幅、引き上げの時期については、当分科会で議論することが適当ということを、一旦、意見書での取りまとめとして頂いておりますので、確認の意味でこの論点を掲載しておりました。これについては、2つ目のポツにありますように、引上げの率・時期を検討する際には、複数の指標を総合的に勘案して決定していくべきという御意見を頂いております。

 マル2は雇用率制度における就労継続支援A型事業所の利用者の評価についてです。A型事業所の利用者の数については算定式から除き、つまり、併せて調整金、報奨金等、納付金から外すという御意見を頂いております。それと併せて、同じような考え方として、一般企業とA型を同列で議論するのは適切ではないのではないかといった御意見や、もともとA型が中小企業の障害者雇用に与えている影響などに関する意見を幾つか頂いております。

 マル3は精神障害者に関する雇用率のカウントについてです。まず1点目は短時間労働者に関するカウントの特例についてです。これについては、資料1-282ページに具体的な特例についての内容を御紹介しておりますが、今回、週20時間以上30時間未満の、いわゆる短時間労働者については令和4年度末までの特例措置として、雇い入れてから3年以内あるいは手帳取得から3年以内の方について、0.5カウントとすべきところを1カウントとするという形での特例措置を引いております。ですので、この令和4年度末までの特例の取扱いを5年度以降どうするかという論点です。

 これについては、総じて、延長が適当ではないかという御意見を頂いておりますが、その際に、本来であれば本人の意向に沿って労働時間、勤務時間を増減できるシステムが必要といった御意見や、3年という限られた措置についての見直しに係る御意見を頂いております。それから、精神障害者の重度の扱いについて、知的障害または身体障害には重度障害という区分があることから、格差をなくすことが重要といった御意見、あるいは精神障害者の雇入れに対しての支援の強化や好事例の情報共有といった御意見を頂いております。

 次のページは、1.雇用率制度の在り方についてのマル4です。1点目は、対象障害者の範囲についてです。手帳を所持していない方の取扱いについてですが、総論としては、手帳の有無によらず働き続けられる環境の整備、あるいは、本来、法定雇用率の対象者は手帳所持者に限定すべきという御意見、特に精神の場合には、更新ということで有効期限がありますので、更新されずに不所持となった方を引き続き実雇用率へ算定することについての意見であったり、手帳を所持していない方については、個別の就労困難性の判断が重要ではないかといった御意見を頂いております。

 特に精神障害者については、自立支援医療受給者証を取り扱ってはどうかという論点があり、これについては、雇用率制度自体に活用することは目的外使用になるというのが原則としながらも、一方で「重度かつ継続」に該当する方については、困難性が高くて継続した支援が必要になりますので、雇用率のカウントに入れてもいいのではないかといった御意見、あるいは、もともと障害者の就労促進ということで言えば、手帳の不所持者についても雇用率の対象に含めるべきと言いながら、法定雇用率は引き上げるべきではないといった御意見も頂いております。いずれにしても、精神障害者については、そういった意味ではいろいろな各論を頂いているところであり、広く就労パスポート、ジョブ・カードなどの書類も、確認として取り扱うことができるのではないかという御意見まで頂いております。また、難病患者についても、手帳対象にならないケースの評価スケールの開発について御意見が多くあったところです。

 3ページは、短時間勤務者、ここで申し上げるのは20時間未満の方たちのことですが、20時間未満の働き方についてどう評価するかということです。そういった短時間勤務の方について、御本人の意欲等によってフルタイムや正規雇用に転換できる、あるいは労働時間を引き上げていくような仕組みについての重要性の指摘があったところです。一方で、企業側にとっては恒常的な短時間勤務というのはいろいろ課題が多いといった御意見、それから、その短時間勤務を算定に入れるかどうかという議論だけではなく、そういった障害者の方たちがフレキシブルに労働時間を決定できることが重要ではないかといった御意見もありました。20時間未満の方についての雇用率へのカウントに係る御意見としては、本人の希望により20時間未満の働き方を選択する場合には、対象障害者として20時間未満の方も雇用率上、一定の評価をすべきといった御意見が多くありました。

 マル5は、中高年齢層等、長期継続雇用の評価についてです。特に、使用者側からを中心に一定の勤務年数を超えた方たちについては、雇用率制度の中で評価をしていくべきではないかといった御意見がありました。ただ一方で、長期継続雇用の在り方については、加齢現象の影響には非常に個人差があり、一律にそういった形でのカウントの評価というのはどうかといった御意見や、加齢によって働き方を見直さなければならなくなった状態の方については、福祉へ円滑に移行のできる仕組みづくりが必要ではないかといった御意見を頂きました。

 次のページは、マル6除外率制度についてです。除外率制度については、もともと廃止ということでしたので、廃止に向けてピッチを上げるべきであると。ただ、その上で、進むべきプロセス、目標、今後のタイムテーブルをきちんと設定すべきといった御意見や、準備期間や支援策が必要といった御意見がありました。一方で、この除外率制度は、考え方として整理してからは時間がたっておりますので、実態を正確に反映しているのかという問題提起がありましたが、これについては、もともと廃止が決定している制度なので、制度の見直しというわけではなく、除外率を引き下げたときに企業にどのようなサポートが必要かという、環境整備や支援策に対すること、それから好事例の紹介など、必要な支援策をしっかり議論すべきではないかといった御意見がありました。

 次の論点は、2.納付金の在り方についてです。まず1点目は、雇用の義務と納付の義務に隙間ができているということで、適用範囲の拡大についてということが1つ目の論点でした。資料1-2にもお示ししたように、この納付金制度の適用範囲を拡大すると、適用範囲の拡大に該当する企業規模によって実雇用率の改善やいわゆる達成企業割合が向上するといったような、これまでの経緯の御説明をしたところですので、企業の意識を高めるために納付金制度の対象範囲は拡大すべきといった御意見がある一方で、納付金制度の適用範囲については、特に中小企業等を中心に企業経営の厳しさなども踏まえた上で、対象拡大については反対といった明確な御意見の表明もありました。いずれにしても法的拘束力で進めるというよりはノウハウやマンパワー等の支援をすべきと、中小企業に対する必要なサポートの重要性についての御指摘がありました。

 次のページは、調整金制度の2つ目です。大企業及びA型事業所に対する調整金の在り方です。3つ目の納付金制度の調整機能についても同じような御指摘で、この調整金については、一定の上限を設けるべき、あるいは財政の安定化のために納付金額の増減ついての御意見がありました。また、財政構造の改善や、助成金の予算確保の充実を図るべきといったことや、財源が枯渇するのであれば一時的に緊急的な公的資金の投入も検討する必要があるのではないかといった問題提起がありました。

 それから、3.その他は、やや各論的な部分ですが、まずマル1については、雇用の質の向上について御意見を頂きました。また、マル2については、特に、在宅就業障害者支援制度という制度がありますが、この制度の活性化に向けて様々な御意見を頂きました。

 次のページは、マル3障害者の就労支援全体の在るべき姿、あるいはマル4教育等関連施策との連携、それからマル5通勤支援、職場における支援の検討ということで、雇用・年金・福祉等の連携に係る論点について様々な御意見を頂いております。

 マル6の中小企業のテーマについては、特に事業協同組合等算定特例の利活用の促進について御意見を頂きましたが、特に事業協同組合等算定特例をあわせて、「もにす認定」について、こういった認定企業等を中心に、発注や入札制度に係るインセンティブの付与についての重要性の御指摘が多くありました。

 次のページは、マル7多様な就労ニーズへの対応についてです。テレワークによる在宅就業が進むことを歓迎する一方で、一般就労への移行につながる制度が重要という御指摘がありました。あわせて、難病や発達の多様化する障害に対しての専門的支援の充実や、視覚障害者のヘルスキーパーなどの職域について公務部門でも促進すべきといった御意見を頂きました。短時間勤務制度については、前述した様々な論点と重複する部分の意見として整理がなされております。

 最後は、マル10公務部門における障害者雇用の促進についてです。主に自治体がどのように合理的配慮、差別禁止に対応しているか実態把握の必要性についての御指摘等があったところです。1点目の議論についての御説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

○山川分科会長 ありがとうございました。質疑応答に入ります前に、新たに委員に就任されました小西委員が到着されておりますので、一言、御挨拶をお願いいたします。

○小西委員 すみません。遅参してすみませんでした。小西です。よろしくお願いします。

○山川分科会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がございましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、指名させていただいた後に、視聴覚障害者の方々への情報保障という観点もございますので、お名前をおっしゃっていただいて、御発言をいただくようにお願いいたします。それでは御質問、御意見等はございますでしょうか。竹下委員、どうぞ。

○竹下委員 日視連の竹下です。ありがとうございます。今、課長から概略を説明いただいたように、これまでの論点が整理されて、課題がほぼ出そろったと思います。それだけに、この多岐にわたる論点を今後どのような議論の進め方で、この課題を解決していくのか、あるいは制度変更や法改正が必要な場合に結び付けていくのかということが大事になってくると思うわけです。そうなってくると、この論点を今後、どれから先にというのでしょうか、そういう優劣を付けざるを得ないだろうし、それから場合によったら論点ごとに一定の集中的な制度改革に向けた何らかの議論の場が、特に設定される必要が出てくるのかと思ったりもするわけです。

 例えば公務部門のことを一番最後に書いてありますが、この議論をするときには多岐にわたる分野が、例えばこれまでこの分科会には関係してこなかった人事委員会なり、職員局との関係での議論が必要になったりとか、あるいは公務部門に対する合理的配慮というものが、民間事業者と違って、その雇用納付金を使った支援というものを考えられない中で過度の負担にならない合理的配慮というものを、民間とは違った形で考える必要があるのか否かという形での議論の立て方をする必要があったりすると理解するわけです。

 そういう意味では、論点ごとでの議論の組立てをする場合の場面の設定ということと、最初に申し上げた今後のスケジュールというものを、どのようにお考えになっているかを現時点で分かっていることがあれば、御説明いただければと思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局からよろしいですか。

○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。今後のスケジュール等、具体的な議論の場の持ち方についての御質問を頂いたかと思います。まず今後のスケジュールにつきましては、本日の議題(1)として、これまでの分科会の意見等を共有させていただきまして、また議題(2)といたしましては、昨年来、検討してきております雇用福祉連携の強化についての検討結果を御報告申し上げます。

 この2つの大きなテーマ立て、大きな流れを、まず1つにまとめて9月以降じっくりと議論をいただくように、改めて事務局のほうから、ある程度の見通しを持ったスケジュールと、それから論点につきましても、その両者を合体させた上で一定の優先順位なり、あるいは具体的に踏み込んだところで、どこまで制度の改正に結び付けるか、あるいはそうではなくて予算事業として運用上、何らか仕組んでいくのか。あるいは引き続きの中長期的な研究課題としていくのかといったような流れも少しお示しできればしたいと思っておりますので、その辺りを整理した上でスケジュールとともにお示しできればと思います。

 その際には、やはりこの6月にまとめました議題(2)のほうの検討会報告書での雇用と福祉の施策の、せっかくの連携の成果を引き続き活かしていくということも重要な観点かと思いますので、本日も御参加いただいておりますが障害保健福祉部のほうともしっかりと連携を取ってお示ししていければというように思っています。

 そういった意味で言いますと、2点目の議論の場につきましても、全体としての論点整理をした上で、具体的にその中でテーマ立てをして、別途、作業的なチームとか、検討の場を設けることが適切かどうかというところも、併せて検討して、またお諮りしてまいりたいというように思っております。以上でございます。

○山川分科会長 ありがとうございます。竹下委員、いかがでしょうか。何かございますか。

○竹下委員 分かりました。結論は了解です。できれば、今すぐとは言いませんが、そのスケジュールも、ある程度どの時点かでお示しいただいて、我々が議論しやすいというのか、見通しが立つような形を取っていただくことをお願して、私の発言を終わります。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。非常に論点が多岐にわたりますので、そのようにお願いできればと思います。ほかに御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。山口委員、お願いします。

○山口委員 中央会の山口と申します。先ほどの竹下委員との話と重複するかもしれないのですが、雇用率制度の在り方、福祉との連携など、大変幅広い様々なテーマが論点として挙げられておりますが、検討項目も多いことからも、大くくり化をしないで、一つ一つの項目ごとに丁寧に議論をして、審議を進めていただけることをお願い申し上げます。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。審議の進め方についての御要望として受け止めさせていただければと思います。ありがとうございます。では、ほかに御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。全体的な項目ですので、また後から何かございましたら御発言いただければと思います。

 それでは、現在のところ特にないようですので、議題(2)について事務局から説明をお願いいたします。

○小野寺障害者雇用対策課課長 それでは、御説明申し上げます。障害者雇用対策課長の小野寺でございます。資料2-1、それから資料2-2につきましては御参考までということでございますが、資料2-1を中心に御説明申し上げます。障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会報告書ということで、過日、6月にまとめさせていただき、公表しております。本件につきましては、令和元年7月から省内プロジェクトとして、中長期的な視点に立った上で雇用と福祉の両者の連携強化において解決すべき課題について議論をしてきたところでございます。その省内プロジェクトの中間取りまとめなども踏まえ、令和211月に、この検討会を立ち上げ、3つのワーキンググループを併設した上で議論を進めてきております。この資料2-11ページにありますように、最終的な取りまとめとしての柱立ても、今申し上げたとおり、3つのワーキンググループの部分を中心に具体的な検討の方向性としてまとめております。全体の検討会の結論といたしましては、雇用施策と福祉施策の更なる連携強化に向け、必要な対応策について具体的な検討の方向性を議論して報告するということをお示ししております。

 まず基本的な考え方としては、雇用と福祉、それぞれの領域で障害者の就労支援を支える人材、それぞれの関係者等が同じ方向を向いて支援を行っていくということが重要であろうということです。第1として、基本的な考え方を取りまとめております。ここについては、具体的な中身を2ページに、更に詳細にわたって整理をしております。障害のあるなしに関わらず、いわゆる共生社会を目指すということがまず持って大事であるということを掲げております。ここで申し上げる働き方というのは、いわゆる企業における雇用、一般就労のみならず福祉的な就労ももちろん含むものであり、多様な働き方の中で社会全体で共に働くことを目指すといったような理念です。その上で、障害者の本人のニーズを踏まえるということが重要であり、本人のニーズを踏まえた上での一般就労の実現と、その質の向上に向けて関係者が最大限に努力をするといったような考え方に立っております。

 この大前提に立ち、具体的な雇用施策と福祉施策の連携強化についての検討の方向性としては、1つ目が障害者のニーズの把握と就労能力や適性の評価の在り方ということで、いわゆるアセスメントを中心に御議論いただきました。ワーキンググループ1での検討の結果を取りまとめたところです。2点目が、障害者就労を支える人材の育成・確保で、第2ワーキングに関する部分です。それから3つ目が、広く就労支援体系の在り方ということで、第3ワーキングで議論した中身を主に整理させていただいた内容になっております。

 それぞれについて、簡単に概略を御説明申し上げます。まず1点目のアセスメントの在り方につきましては、3ページを御覧ください。本ワーキング、あるいは検討会におきましても、まずは障害者が地域で働こうとしたとき、現状においては福祉の窓口を訪れますと、福祉サービスの利用ということでの流れに乗り、かつハローワークに訪れた場合は、その中で実際の求人に応募していくといったような職業リハビリテーションの流れに乗るということで、窓口が二分化されていることにより、本来その方に対して適切かつ実効あるような形でサービスの提供や支援が届いているかどうかということを課題認識として持っておりました。

 その上で、現状において、こういった2つの流れになってしまっているものを最終的にはサービス支援の決定・選択場面において一元的に、この図では左側のオレンジ部分の枠の中ですが、障害者本人に対して、雇用と福祉それぞれの選択をしていただく前の一元的なアセスメントの場面を用意します。この場面において、本人のニーズを踏まえた上で選択していただく支援サービスについて、お互いに両者が共有した上で選択いただくということを最終的な目標として掲げております。ただ、この最終像に至るまでに、現状は、この2つの流れがありますので、まず段階的に取り込んでいこうということで、上段のほうの福祉サービスの利用に当たっては現状として、B型の場合には就労アセスメント、A型や移行支援の場合には暫定支給決定を通じて、最終的にサービスを選択していただくことになりますが、これにつきましても、より実効ある形でアセスメントを行うということで、まずこの中において再構築を図っていってはどうかというような結論になっております。

 併せて、職業リハビリテーションの流れについてです。ハローワークを訪れた方につきましては、現状においてはかなり困難性を見た上で改めて職業評価なり、アセスメントをするというようなこともありますが、この辺りを運用上しっかりと認識し、個々のニーズ、状況に応じてアセスメントを行い、仮に福祉のほうで一旦訓練をしたほうがいいということであれば福祉のほうにという形での、この両者の中での円滑なサービス支援の提供といったことに認識を強めていきたいということで、運用の強化を図って実現していこうということになっております。それぞれの中でのアセスメントの実効性を高めた上で、最終的には、左側のオレンジの部分にありますように、一元的なアセスメントの仕組みづくりを目指そうということが、第1点目の項目の方向性となっております。

 それから、2点目の専門人材の育成・確保につきましては、4ページの研修体系のイメージ図ということでお示ししておりますので、これに基づき御説明申し上げます。今回の検討会の大きな方向性といたしましては、この図で申し上げますと真ん中のオレンジ色の部分です。雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修ということで、基礎的研修と呼んでおります。専門人材として、入口の部分について雇用と福祉それぞれに求められる基礎的なスキル等を身に付けていただくことが重要であろうということで、こういった形での両分野横断的な研修を創設してはどうかといったようなことになっております。この研修につきましては、障害者雇用と福祉の双方の理念あるいは倫理、それから雇用と福祉間の円滑な移行に向けての支援の在り方や、企業の理解、就労支援体系全体の理解等を含めて、両者において、まずは身に付けていただく部分をしっかりと身に付けていただくということを考えております。

 もう1つ、今回の基礎的研修についての方向性としては、いわゆる必須受講ということを検討してはどうかという御意見がございます。下のほうに、それぞれの機関あるいはジョブコーチということで人材のイメージを書いております。この中で、特に雇用と福祉のジョイント部分で企業への就職に向けての支援を行っていらっしゃる方を中心に、例えば左側の黄緑色の部分の障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者、クリーム色の部分の移行支援事業所の就労支援員、それから定着支援事業を行っていらっしゃる就労定着支援員、この3者については、それぞれの職務に就く前、あるいは就いてからの一定期間内において必ずこの基礎的研修を受けていただくという悉皆的な枠組の創設をうたっております。

 併せて、特に水色の部分、ジョブコーチの部分ですが、職場適応援助者養成研修を受講される方については、受講前にこの基礎的研修を必ず受けてきていただくという形に仕組み直してはどうかということになっております。こういった形でステップ0として、まず、就労支援に携わる方については分野横断的なスキル等を身に付けていただき、それぞれの専門人材として更に高度化するための研修を積み重ねていくという体系の仕組み直しについて議論の方向性がまとまっております。

 当分科会におきまして特に関連の深いところで申し上げますと、この職場適応援助者の研修については、今申し上げた形で、基礎的研修、それからいわゆる養成研修、その上に上級研修という形で改めて仕組み直し、この上級研修については、いわゆるジョブコーチに対してスーパーバイズできるような指導的な立場、あるいは地域の就労支援機関に対して、そういったスーパーバイズのできるようなスキルを身に付けていただく、地域において就労支援のコーディネート力の向上に資する人材の育成を目指すものという位置付けとなっております。

 併せて、将来的には、このような形でのジョブコーチ養成研修について、きちんと体系的に整理が確立された暁には資格化していくこと、ここでは国家資格という御意見としては出ておりましたが、そういった方向を目指してはどうかといったような意見になっております。

 それと基礎的研修の悉皆の枠組につきましては、まず当面は企業就労の近いところで支援をされる方について特に位置付けることとしておりますが、それ以外にも広くこういった障害者の就労支援に携わる人たちに対して受講機会を設けていくという意味で、例えば研修の方法のオンライン化などについての御意見も頂いているところでございます。いずれにしてもこの辺りが、具体的に今後それぞれが検討していくことが必要かなというふうに思っております。以上が、ワーキンググループ2、第2の項目についての主だった取りまとめでございます。

 最後に、就労支援全体の在り方については大変多岐にわたる議論が行われた中で、最終的に大きなテーマ立てとしてまとめている部分を3点、御紹介申し上げます。まず5ページ目です。企業等における就労と継続支援事業の関係についてということで、いわゆる併用を可能にしてはどうかというようなことでございます。現状につきましては、継続支援事業利用者は一般就労が困難な者ということでの運用になっておりますので、企業等における就労が短時間であっても、スタートした段階で継続支援事業が使えなくなるという原則に立っております。このような中で、より一層企業等の就労の裾野を広げていくという発想で、今後のイメージとして書いております。継続支援事業利用者が、企業への就労に移行していく際に、いきなり企業へということではなくて徐々に継続支援事業のサービス利用時間を減らし、企業等での就労の時間を増やしていくといったような働き始めの際の併用、あるいは一旦企業に雇用されて働き始めた後で一時的な不調といったようなことになった場合に、一時的に就労継続支援事業をお使いいただき、スムーズにリワークできるような形ということの利用、また、企業等で就労が困難になっていったときに徐々に企業の就労時間を短くして継続支援事業のほうのサービスの利用時間を増やしていくといったことで、福祉サイドにソフトランディングできるような形というような、幾つかのパターンでの併用のイメージを描いております。当分科会としては、この際に、20時間未満の短時間雇用について雇用率カウントを対象にしていくかどうかということが関連するテーマとしてはあります。

 それから、6ページです。定着支援・職場適応援助に関わる主な支援の関係整理ということで、これにつきましては特に大きく考え方を変えるということではありませんが、改めて様々な関係者がこの定着ということに携わるということになってきていて、その辺りを改めて整理し、関係者と共有するということかと思っております。一義的には企業就労に移られた方については、事業主が適切な雇用管理の責務ということで定着に当たるということになりますが、就業面については、特に課題が生じた場合に具体的な課題解決に向けてジョブコーチが様々な場面で介入していくということかと思います。併せて、就労移行等で就職した方については、就労移行支援事業等が引き続き支援機関6か月として定着支援を行っておりますが、その後、就労定着支援事業というのがスタートしており、これにつきましては最大3年ということで運用が図られています。

 この定着支援事業につきましては、最大3年間ずっと伴走というよりは、3年以内に御本人がしっかりと職業自立できるような形での支援ということを改めて認識を共有化するということと、併せて最後に、いわゆるセーフティーネットとしていずれの利用もできないような場合には、真ん中にあるような、なかぽつセンターがしっかりとサポートしていくということ。この辺りの関係性と役割分担等の整理を改めて現場の皆さんと共有していくということかなと思っております。

 それから最後ですが、地域の関係機関との連携ということでの、障害者就業・生活支援センターの位置付けにつきまして改めて整理をしております。障害者就業・生活支援センターにつきましては、これまでにもハブ機能として、各関係機関に対してしっかりとコーディネート力を発揮しながら地域の支援をしていくというような立て付けになっておりましたが、今回、基幹型ということで、その位置付けを明確化していってはどうかということです。基幹型として地域の就労支援機関の様々な支援につきまして、スーパーバイズ的な形で、一段高いところで地域就労支援機関全体の支援力の底上げを図っていくといったようなことを目指しつつ、各都道府県に原則、1箇所の設置がございます地域障害者職業センターについて連携を図りながら、地域内で互いに保管し合っていくというようなイメージになっております。生活支援部分もございますので、特に今後障害福祉課とも連携しながら議論をしていくことかなと思いますが、当分科会におきましても、なかぽつセンターの就業支援部分についての強化ということで、何かできることはないか検討していく必要があるかなと思っております。検討会の主だった中身については以上でございます。

 検討会につきましては、検討会の最終回において、今後もこの成果をしっかりと継続していくということの重要性について御指摘をいただいておりますし、それぞれの審議会に持ち帰って議論をするという立て付けにはなりますが、両者において連携を図りながら議論を進めていくべきということを御意見として頂いておりますので、そこにも十分に留意しながら福祉部局とも連携してやってまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、先ほどの議題1と併せて、また9月以降に議論をしていく上では、この検討会の成果も十分に踏まえた上での論点整理ということになってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。説明としては以上でございます。

○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、こちらについての質疑応答に移りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、指名させていただいた後に、お名前をおっしゃっていただいて御発言していただくようお願いします。御質問、御意見等ありますか。長谷川委員お願いします。

○長谷川委員 皆さん、おはようございます。福島大学の長谷川です。御説明どうもありがとうございました。要望です。最後に小野寺課長からおっしゃっていただきましたが、連携検討会の中身については、障害者部会と障害者雇用分科会等に分かれて議論していくことにはなると思いますが、検討会で取りまとめた報告書の中身がそれぞれの部会とか分科会でどういった議論がなされているかについては、情報共有しながら進めていっていただきたいと思っております。社会保障審議会の障害者部会での議論もYouTubeで配信されているので聞いていたのですが、かなり雇用に対する要望等をおっしゃっている委員の方がいらっしゃって、そういった御意見もあるということを理解しながら、この分科会でも議論していく必要があると思っております。ですので、是非、向こうの部会の議論の状況について情報提供していただきたいというのが1つです。

 同じようなことですが、事務的に大変でなければ、向こうの部会の日程等をメール等で教えていただけると、私たちも時間があればそれを見ることもできますので教えていただけると有り難いと思います。また、こちらの分科会は幸い、今はZoomでやっておりますので、Zoomで向こうの部会の方々も傍聴できるようにしていただけるといいのではないかと思いました。連携検討会のときには下に3つワーキンググループがあって、その下のワーキンググループの議論を傍聴できるように、常に連絡を頂いていて、時間があればそれを聞いて、向こうのワーキンググループではこういう話をしているから、この似た議論についてはこういうふうにまとめていったらいいのではないかということを踏まえながら議論できましたので、そういった意味でも、できる範囲で是非よろしくお願いします。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。連携検討会の報告書の今後の活かし方、具体的な情報共有等の進め方についての御要望と受け止めました。

○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御要望を頂きまして、ありがとうございます。障害福祉部とも、しっかり連携して対応させていただきたいと思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等ありますか。よろしいですか。特にないようでしたら、最後の議題3について事務局から説明をお願いします。

○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。その他として、情報提供させていただきたい点が2つあります。参考資料3、参考資料4ということで、公表をした状況について御説明します。

 1点目は、令和2年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介等の状況について、公表しております。これについては、参考資料3に基づいて御説明します。令和2年度ハローワークを通じて職業紹介をした状況ですが、コロナの影響ということで言えば、その一言に尽きますが、今回の令和2年度については、新規求職申込件数は211,926件ということで、対前年度比5.1%減となりました。これは平成11年度以来、21年ぶりに減少したということです。あわせて、就職件数についても89,840件で、対前年度比が12.9%減ということで、平成20年度以来、12年ぶりに減少ということです。これまで一般の雇用情勢に関わらず、障害者については比較的右肩上がりで推移した状況でしたが、今回このような結果になっております。

 就職率については42.4%、これも対前年度比3.8ポイント減ということです。下に障害種別のデータを載せておりますが、若干、「その他の障害者」については、ハローワークシステム刷新の影響があり、データが少しぶれている所があります。一方で、精神障害者が減している部分は、若干これもそういった影響を受けていまして、このデータよりは実態としては精神障害者の減が若干少なく、その他の障害者の増が少し少なくなるのではないかというのが見込みとしてはありますが、いずれにしても、この辺りは運用の是正を図ってデータの正しい取り扱いに向けて、令和3年度の今、調整をしているところです。若干、そこを除いて考えたとしても、その他の障害者の中での発達障害の伸びというのは、比較的伸びていると思います。いずれにしても、今回の全般的な状況としては、新型コロナウイルスの影響等がありまして、「製造業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「卸売業、小売業」といったように、障害者が比較的応募しやすい業種の求人数が減少したということです。あわせて、求職者の活動自体が抑制されて新規求職の申込みが減少しているということが、全般的に就職件数の減少につながっているのではないかと考えております。

 前回減少した平成20年度のリーマンショック以降の状況に比べて大きな違いとしては、リーマンショックのときには新規求職申込件数が前年度比で6.1%増ということで、求職者の増加があったため、求人が減ったという同じ状況の中でも、就職件数の減は今回よりも少なかったということになっています。正にコロナ禍におきましては、特に求職者自体が来所してこなかった、求職活動の抑制が非常に大きく影響していると評価しております。

 一方で、解雇者数の状況については、最終的には前年度で若干増となっておりますが、月別に見ますと、年度後半については一定の落ち着きを見せてきているということで評価しております。いずれにしても、障害者の雇用状況については、今後も注視はしつつ、必要な支援についてはしっかりとやってまいりたいと考えております。以上が、職業紹介状況についてです。

 もう一点は、「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績」について、同じく公表しております。寄せられた相談件数は246件ということで、対前年度比3.1%減となっております。このうち障害者差別に係る相談が69件、合理的配慮の提供に係る相談が177件ということで、両方ともに減少している状況です。

 安定所が行った事業主への助言件数が54件で、減となっております。一方で、紛争解決援助申立受理件数は12件ということで、これは増えております。最終的な調停申請受理件数は5件で、前年度よりは減となっております。

 平成28年度に制度が施行されて以降、5年が経過しておりますが、相談件数等の実績は増加しながらも、ここ数年間は安定傾向かと考えております。紛争解決援助や調停の受理利用件数等については、多少数が多くなる年度があったり、若干、その年度によって少し増減があるところですが、最初の2年以降、ここ数年については底上げされて安定してきていると見ております。いずれにしても、しっかりと評価をするほど件数的にもまだ積み重なっていない部分がありますが、障害当事者間での制度の理解は、ある程度浸透してきているという評価です。

 差別禁止合理的配慮の提供の取扱いについては、まずは障害者自身がしっかり認識するということと、事業主の理解が進むということが大事かと思っております。私どもとしては、61調査等の申請書を郵送する際に、差別禁止・合理的配慮の提供が義務になっていることをしっかりと周知するような内容や、相談体制について整備をしなければいけないのだということを周知するリーフレットなども入れまして、企業の皆様には、自主点検のチェックシートなども入れて認識を深めていただくということに努めております。また、ハローワークでの職業相談窓口においては、求職者の皆様にも合理的配慮についての認識をしっかりと持っていただくような相談を進めております。そのようなことを通じて、またこういった公表を年に1回するということも通じて、この制度等について周知を引き続き進めてまいりたいと考えております。御説明としては以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に移りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、同様に「手を挙げる」ボタンをクリックした上でお名前をおっしゃっていただいて御発言を頂くようにお願いします。竹下委員、どうぞ。

○竹下委員 日視連の竹下です。2点だけ、質問と感想も混じえて申し上げます。1点は、ハローワークの就職実績の問題ですが、この中で求人が減るというのは理解できますし、就職数が減るのもコロナの影響で理解できるのですが、求職者数までが下がっていると思いますが、これはなぜなのか不思議でならないのです。特にこの間、失業ないしは解雇された人がそれなりにいると推測されておりますので、求職者数までが減っているということが少し不思議だと思いますが、何かその点について分析できていることがあれば教えていただきたいのが1点です。

 もう一点は、相談件数は非常に興味のあるデータで、できれば公表、どういう相談があったかということについても個人情報との関係で差し支えない範囲で見られる方法はないのか、あるいはそれらをできるだけ大きなカテゴリー的な分け方で、例えば差別が何件とか、合理的配慮提供が何件とか、どういう差別事例だったのか、あるいは合理的配慮提供のどういうところで問題になっているか、内容面での紹介を是非、見たいと思います。

 併せて、労働局の個別労働紛争解決制度にまで持ち込まれて、解決ないしは問題になった事例が把握できていれば一緒に教えていただきたいと思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。御意見と御質問も含まれておりましたので、求職者の減少、相談窓口の内容、あるいは労働局の制度との関わり等について、事務局からいかがですか。

○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。まず1点目の御質問について、求職者の減についてどういった状況があったかということについては、網羅的に把握しているものではありませんが、全体としての数の推移を見ますと、やはり、緊急事態宣言が発令された期間におきまして、対前年同月比は2桁以上の減少ということで、大きく新規求職数が落ち込んでおります。という意味で申し上げますと、やはり、緊急事態宣言の中で求職活動の抑制をされたというのが大きな要因ではないかと考えております。1点目については以上です。

○大谷障害者雇用促進研究官 障害者雇用促進研究官の大谷です。2点目以降についてお話申し上げます。よろしくお願いいたします。相談の内容については、実は私どものほうでは、それぞれの件数についての報告を求めておりますが、具体的な相談内容についてまでの報告は求めておりません。と申しますのは、1つには、これは非常に個人的で個別な事情に基づく内容となります。

 あと、もう1つ申し上げますと、企業に対する様々な情報はいろいろなものがあります。したがいまして、この内容の公開については、私どもとしては非常に慎重に考えていることをどうか容赦いただければ幸いです。

 それから、個別労働紛争解決制度については、そもそも、いわゆる法的義務の履行の確保のためのものと最も違うところは、当事者間で紛争が実際に起こって紛争が成立している際に、こちらで援助の申立てを頂くことになっております。現実に紛争の内容については、例えば、差別の問題であれば、賃金に関わることや、あるいは配置に関わること、そういったことで頂くケースがあります。あと合理的配慮に関しては、これは非常に個別な事情に基づきますので、様々なケースがあります。

 いずれにしても、これらの紛争解決に関しては、私どもが行政サービスとして行わせていただいているものですが、一方でデータが、例えば事業主に対してどのような助言を行ったとか、どのようなことを申し上げたかとか、こういったことに関しては、非常にセンシティブな情報となりますので、そこの取扱いに関しては、私どもも今まで慎重に扱ってまいりました。繰り返しになって恐縮ですが、御理解いただければ非常にうれしく思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。以上について、よろしいですか。竹下委員、何かありますか。

○竹下委員 竹下です。今の差別、合理的配慮提供の相談内容については、デリケートな部分、個人情報の部分があるということは全くそのとおりだと思います。それはそのことを踏まえた上で、私は是非ともと言いますか、絶対に必要なのは、その原因で、どういう相談が持ち込まれて、どういう解決に至ったかというのは、私は絶対に把握していかなければいけないと思うのです。現に、雇用対策課でも障害者雇用促進法の改正をしたときに、Q&Aを作ったり、あるいは好事例集を作ったりしてきたわけですから、そういうことを考えると、相談事例、あるいは紛争解決に至る経過なり、内容というものをもっと大事にしないといけないと思います。時には加工したり、マーキングしながらの事例把握になるかもしれませんが、そういうことは少し御検討いただきたいと思います。私からは希望として発言しておきます。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。事務局から、もう一度お願いします。

○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。竹下委員からの今の御指摘も非常に重要な観点かと思っておりますので、少し整理をして、どういう形で報告内容について公表できるところがあるのかということについては検討させていただきたいと思いますので、御意見として承っておきます。ありがとうございました。

○山川分科会長 ありがとうございます。この分野の特殊性はあろうかと思いますが、一方で御指摘のあったように、今後の対応に参考になる部分があるかと思いますので、事務局のほうで今後検討をしていただきたいと、私としても思っております。事務局、お願いします。

○大谷障害者雇用促進研究官 障害者雇用促進研究官の大谷です。先ほど、すごく紋切り型の言い方を申し上げて大変失礼しました。12つ御参考に申し上げますと、法第36条の6、つまり、法の義務の履行確保のために助言を行ったのが54件だったのですが、現実は、その後、指導件数と勧告件数が0件になっております。この指導と言うのは、実際に法違反があった場合に助言に従わないと言いますか、是正の意思が確認できない場合、こういうときに安定所長名の指導書の交付によって行うとしております。一応、それが今は0件になっておりますので、要は助言を行った段階で是正が図られている、若しくは改善の取組を進めている、一方で、一部では確認ができないので繰り返し助言を行っているというパターンもありますが、私たちの助言に対する是正の方向については多くの事業主さんは、それに応じてくださっているという事実もありますので、一応、こちらを付け加えさせていただきます。

○山川分科会長 ありがとうございました。よろしければ、ほかに御質問、御意見等ありますか。長谷川委員、お願いします。

○長谷川委員 福島大学の長谷川です。今、竹下委員がおっしゃったところについては、私も非常に重要なことだと思います。助言・指導に従わなかった事業主がいなかったというのは素晴らしいことだと思いますが、どういった助言によって皆さんはそれに従って対応されたかということについては、他の事業主の方にとっても必要な情報だと思いますし、もちろん障害者の方にとっても、こういう相談をしたらこういう解決が図られる例があるということが分かれば、より積極的に相談をしようと思うと思います。そうすることによって、合理的配慮の規定や差別禁止規定が法律に入ったことの意味が広がっていくと思いますので、情報としてセンシティブなところはあると思いますが、何らかの形で、そこは対応しつつ、情報が皆さんに届くようにしていただければと強く思いました。

 もう1つ質問ですが、最初の参考資料3で、障害者については職業紹介状況等を教えていただいて、それはコロナの影響で減っているということですが、障害者に限らず、全般的な職業紹介状況について、今お分かりでしたら、それと傾向が同じなのか、それとも障害者については、より減少しているのか、それとも障害者については逆に減少率が低いのか、そういうことが分かれば有り難いのですが、いかがですか。

○山川分科会長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。御質問が後半に含まれておりましたが。

○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。一般職業紹介と比較しますとどうかということですが、やはり全体の傾向は、時系列で見ましても同じような増減をたどっています。ただ、特徴で申し上げますと、新規求職者については、対前年度比で減している部分について、先ほど申し上げた緊急事態宣言中などについては、一般の求職者の減よりも障害者の求職者の減の幅がかなり大きくなっております。求職者の求職活動の抑制は一般の方に比べると、やはり障害者のほうが顕著であったかなと思っております。

 就職件数については、実は、対前年度で言いますと、増減では一般の就職件数より減の幅は小さくなっております。これは障害者の場合はハローワークにいらっしゃっている求職者が、在職者もそんなに多くありませんし、知的障害の方については学卒者が多いものですから、就職される蓋然性は一般の方よりは高いかと思います。それと求人数については、同じような形で増減しておりますが、減の部分においては一般より、やや大きな幅で減しているという状況です。やはり、求職者の活動の抑制が非常に大きな特徴だったかなと思っております。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。状況がいろいろ変わってきていましたし、また今後も変わっていくと思いますので、この点は把握ないし分析を続けていただければと思います。

○小野寺障害者雇用対策課課長 追加で申し上げます。1点目の長谷川委員からの御要望についても、先ほどの竹下委員の御指摘と重ねての御要望と認識しております。頂いた部分についての御指摘は大変重要だと思っております。今回の公表にも、助言によって解決した事例などを、事例としては多少個人情報などに配慮しながら載せております。

 実は、これも公表の際にどこまで盛り込むことができるか随分検討した上で対応した結果です。いずれにしても、制度の運用からこういった形で公表し始めたのが昨年度からになりますので、いろいろな取扱い情報の機微なども踏まえて、一歩ずつ前に踏み出しておりますので、今、頂いた御意見なども踏まえて、また来年度はどういった形での公表の形があり得るかということ、御要望などに沿うような形で何ができるかを検討してまいりますので御理解いただければと思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等ありますか。議題3も含めて全体として御質問、御意見等ありますか。よろしいですか。

 それでは、特にないようでしたら、本日予定されていた議題は終了となります。今後の進め方等について、また検討会の報告書及び連携検討会の報告書の関係でも御意見、御要望を頂いたところで、検討の順序、あるいはスケジュール、検討の方法や場の設定等について検討していただいて、今後の進め方に反映させていただければと思います。また、法の施行状況に関しても御検討を頂いて決まりましたら、検討の結果を当審議会においても報告していただければと思っております。特段、御意見がないようでしたら、最後に事務局から連絡事項をお願いします。

○中村障害者雇用対策課係長 障害者雇用対策課係長の中村です。次回の日程については追って事務局より御連絡いたします。以上です。

○山川分科会長 それでは、本日の障害者雇用分科会はこれで終了させていただきます。本日はお忙しい中、皆様、大変ありがとうございました。終了いたします。