2021年6月2日 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録

日時

令和3年6月2日(水)16:00~

出席者

出席委員(17名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名出席

欠席委員(2名)

行政機関出席者
 鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
 山本史(大臣官房審議官)
 吉田易範(医薬品審査管理課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
 池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○事務局 薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。この度の本部会につきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議形式での開催とさせていただきます。
 本日の委員の出欠状況についてですが、稲葉委員、多賀谷委員より、御欠席との御連絡を頂いております。なお、多田委員は遅れて出席される御予定です。現時点で、委員19名のうち16名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。また、本日は審議事項議題1の参考人としまして、国立医薬品食品衛生研究所生薬部長の袴塚高志先生に御出席いただいております。
 また、令和3年3月開催以降の機構における幹部の人事異動について御紹介させていただきます。安全管理監及び医薬品安全対策第一部長に池田三恵が着任しております。また、執行役員に倉持憲路が着任しております。
 部会を開始する前に、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、今後、御負担をおかしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際しまして、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましてはマスクを着用したまま説明させていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。それでは、太田部会長に以後の進行をお願いいたします。
○太田部会長 まず、事務局から審議の進行方法の説明をお願いします。
○事務局 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際には、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言をお願いいたします。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージに御記入することで、部会長より発言者を順番に御指名いただきますので、適宜、メッセージ機能も御利用いただければと思います。
○太田部会長 これまでの御説明について、御質問、御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。
○事務局 本日の資料の確認をいたします。本日は、あらかじめお送りした資料のうち、資料No.1~資料No.3を用いますので、お手元に御用意ください。このほか、資料No.4として競合品目・競合企業リスト、資料No.5として専門委員リスト、加えて製剤サンプルの写真を事前に電子メールにてお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けいただければと思います。
 続いて、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告させていただきます。資料No.4を御覧ください。競合品目・競合企業及びその選定理由について、御説明いたします。
 議題1のコルペルミンは、セイヨウハッカ油を含有する過敏性腸症候群治療薬です。効能・効果は「過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和:腹痛又は腹部不快感を伴い、繰り返し又は交互に現れる下痢及び便秘(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」でして、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 議題2のギュラックです。こちらも同じく過敏性腸症候群の治療薬ですが、ポリカルボフィルカルシウムを含有するものです。効能・効果は「過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和:腹痛又は腹部不快感を伴い、繰り返し又は交互に現れる下痢及び便秘(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」という内容です。同様の効能・効果を有する製剤として、同じくセレキノンSを挙げております。
 議題3はモートリンNXです。ナプロキセンを含有する解熱鎮痛薬です。効能・効果は「頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷後の鎮痛 悪寒・発熱時の解熱」です。同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる3品目を競合品目として選定しております。
○太田部会長 ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものといたします。
 それでは、各委員からの申出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況について、御報告いたします。議題1のコルペルミンについては、退室委員はなし、議決に参加しない委員は多田委員です。議題2のギュラックについては、退室委員はなし、議欠に参加しない委員は多田委員です。議題3のモートリンNXについては、退室委員はなし、議決に参加しない委員もなしという状況です。
○太田部会長 ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものとし、議題に入りたいと思います。
 本日は、審議事項が3議題となっております。それでは、審議事項の議題に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 機構から、資料1のコルペルミンについて説明いたします。今回、Web会議にて実施する関係上、製剤サンプルをお見せすることができませんでしたので、製剤サンプルの写真を電子媒体で事前に送付いたしました。併せて御確認をお願いいたします。
 審査報告書を御覧ください。販売名は「コルペルミン」で、一般名は「セイヨウハッカ油」です。申請者はゼリア新薬工業株式会社です。申請区分は一般用医薬品の区分3-1で、新効能医薬品に該当します。
 2ページを御覧ください。効能・効果は、「過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和:腹痛又は腹部不快感を伴い、繰り返し又は交互に現れる下痢及び便秘(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」です。用法・用量は、「成人(15歳以上)1回1カプセルを食前又は食間に1日3回服用」です。
 3ページ中段からのイ項を御覧ください。本剤はセイヨウハッカ油、別名ペパーミントオイルとも言いますが、こちらを有効成分とする生薬製剤です。本剤は、「外国において一般用医薬品として汎用されている生薬製剤を一般用医薬品として製造販売承認申請する際の取扱いについて」という通知に基づき、新効能医薬品として申請されました。
 4ページの上から4行目に記載している外国での使用状況についてです。本剤は、スイス、英国、ドイツをはじめ、38の国と地域で一般用医薬品として承認販売されております。
 4ページの中段を御覧ください。本邦の過敏性腸症候群(以下、IBSと呼ばせていただきます)に関するガイドラインである、「機能性消化管疾患診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)」には、補完代替医療として、「ペパーミントオイルについては治療に用いることを提案する」とされており、また、海外の診療ガイドラインにおいても使用が推奨されております。なお、IBSを効能・効果とする一般用医薬品としては、本邦においてはセレキノンS、一般名トリメブチンマレイン酸塩が2013年に承認されております。本剤とセレキノンSの効能・効果は同一です。
 申請者は、本剤を要指導・一般用医薬品として開発した経緯及び意義について、次のように述べています。1点目です。トリメブチンマレイン酸塩製剤と異なる作用機序を持ち、国内外のガイドラインにおいて一定の評価を受けている本薬を開発をすることで、新たな治療の選択肢を提供することができる。2点目です。本薬は、海外において40年以上にわたり一般用医薬品として汎用されている安全性の高い医薬品である。3点目です。過去にIBSと診断された者にとって、IBSが再発した場合の症状は自己判断可能であると考えられる。
 以降は臨床試験成績を中心に説明しております。審査報告書の21ページを御覧ください。中段辺りのト項についてです。臨床試験に関する資料として、海外試験1試験の成績、さらに、安全性の確認を主たる目的として国内で実施された一般臨床試験1試験の成績が提出されています。
 提出された臨床試験のうち、ト-1.海外臨床試験について説明いたします。ト-1は、中国人のIBS患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験です。有効性評価項目として、IBSの諸症状の重症度の投与前後の変化が調査され、腹痛、腹部膨満、腹鳴、鼓腸、排便頻度の5症状において、投与4週間後に症状がなかった患者の割合は、コルペルミン群がプラセボ群より統計的に有意に高いという結果でした。また、22ページの表の下を御覧ください。安全性については、副作用として胸やけ、皮疹が各1例ずつ認められております。
 続いて、22ページの下部のト-2を御覧ください。こちらは本邦における試験であり、IBS患者を対象として、非対照の一般臨床試験が実施されました。有効性評価項目として、被験者及び医師による全般改善効果と、症状別重症度スコアが調査されています。被験者による全般改善効果は、投与2週間時で71.6%、投与4週間時で85.1%でした。医師による全般改善効果も同様の結果でした。
 25ページの下段以降で、安全性について説明しています。有害事象は14例17件、副作用は2例3件に発現しましたが、重篤な副作用はありませんでした。副作用の内訳は、湿疹、呼気臭、過敏症の各1例でした。
 続いて、これら提出資料に関する審査の概略を説明いたします。こちらもOTCにするに当たって重要な部分を中心に説明いたします。33ページの下部の効能・効果についてを御覧ください。本剤の申請時の効能・効果は、「過敏性腸症候群による次の諸症状の改善:腹痛又は腹部不快感、腹部膨満感、腹鳴、鼓腸(ガスがたまる)、残便感、急な便意、排便時のいきみ、下痢、便秘」と設定されていました。機構は、国内外の臨床試験成績からは、IBSの全般的症状において一定の効果を示すことは確認できますが、特定の症状に対する効果は確認できないと考えること、また、IBSの診断にはほかの器質的な疾患を除外する必要があり、自己判断が困難であるため、以前に医師の診断・治療を受けた人に限るべきと考えることから、再検討を求めました。その結果、セレキノンSと同一の効能・効果に変更されたことから、機構は問題ないと判断しました。
 34ページの使用上の注意についてを説明します。使用上の注意については、ガイドライン、本剤の臨床試験成績、海外の添付文書のほか、セレキノンSの添付文書を参考に設定されており、IBSを効能とする医薬品に必要な事項が記載されております。機構は、本剤の承認によって、本邦でIBSの効能を持つ要指導・一般用医薬品が複数存在することになる点について、「してはいけないこと」に、「過敏性腸症候群(IBS)の症状改善薬」の併用に関する注意事項が記載されたことなどを踏まえ、使用上の注意に特段の問題はないと判断しました。
 続いて、35ページの適正使用及び情報提供資料についてです。IBSにおいては生活習慣の影響も大きいことから、食事や生活習慣、またストレスのケアなどについても、使用者向け及び薬局・販売店向け情報提供資料に記載されています。また、本剤の対象は、以前に医師により器質的疾患が除外され、IBSの診断を受けた人に限られることから、チェックシートの冒頭に、IBSの再発であることを確認する項目が設けられています。さらに、過去にIBSと診断された後、長期間医療機関を受診しておらず、今回の症状がIBSによるものか明確でない人も除外できるように、チェックシートが作成されています。
 機構は、本剤を食後に服用した場合の影響について説明を求めました。申請者は、海外での食後投与の臨床試験では有効性及び安全性に問題は認められていないが、海外の添付文書において、本剤を食事と同時服用すると、カプセルが早く溶解し、胸やけを引き起こすことがある旨が記載されていることから、本邦の添付文書においても、その旨を注意喚起すると説明しました。
 機構は、申請者の説明及び対応を踏まえ、本剤の使用上の注意、また、情報提供資料及びチェックシートについて、現段階で特段の問題はないと判断しました。しかしながら、販売に当たっては適正使用されるための対策が十分になされることが重要と考えるため、製造販売後調査において、適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えます。
 最後に総合評価です。以上の検討を行った結果、機構は36ページに示した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は新効能医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適当であり、要指導医薬品に該当すると考えます。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○太田部会長 それでは、参考人としてお越しいただいております袴塚先生から、御意見や補足などをお願いしたいと思います。
○袴塚参考人 国立衛研の生薬部の袴塚です。簡単にペパーミントオイルに関して補足説明させていただきます。ペパーミントオイルは、古くは古代ローマ、古代エジプトの頃より薬用目的で使用されていまして、その主な用途は、消化器系の疾患と呼吸器系の疾患でした。こういう、ガムの香り付けに入っているようなありふれた素材に薬効があるのかと思われるかもしれませんけれども、例えばシナモンも桂皮という生薬で使われていますし、ショウガも生姜という生薬として使われていて、いずれも日本薬局方に収載されておりますし、皆さん御存じの葛根湯の有効成分として桂皮も生姜も配合されています。
 ペパーミントオイルの話に戻りますと、現代においても、欧州では医薬品として承認を受けて、30年以上流通しています。その効能は、IBSを中心とした消化器系の疾患です。日本でも、一般用医薬品の胃腸薬に配合してもよい生薬として承認基準に収載されています。これによって、間接的にではありますが、その安全性は既に保証されていると思います。今回はペパーミントオイルを単独で使用する製剤になりますが、その有効性及び安全性は、製品そのものを使ったヒト臨床試験により立証されていると、先ほど説明があったと思います。また、品質についても、天然物医薬品は多成分系ですから、非常に品質の保証は難しいのですが、各種の規格や試験法が適切に設けられていて、天然物医薬品の品質を保証するに、品質管理をするに足るものが設定されていると思います。
 一つ心配事としては、含有成分のプレゴンとメントフランに肝毒性、腎毒性が見出されたということがあります。これはペパーミントオイルだけに入っている特有の成分ではないのですが、これについて欧州の医薬品庁のEMAでリスク評価が終了しまして、本剤の用量はEMAが定めるところのADI、1日摂取許容量を大きく下回ることが分かっておりますので、不安材料も払拭されております。
 IBSの治療薬には、機序の異なる複数の選択肢があることが患者にとっては非常に利益になると思いますので、既にセレキノンSがありますが、新たな選択肢が増えるというのは良いことだと感じます。
 厚生労働省が発出した西洋ハーブ通知が求める要件は全て満たしておりますので、本剤が承認されることに特に問題がないと参考人として感じました。
○太田部会長 袴塚先生、ありがとうございました。ただいまの内容に関して、御質問、御意見がございましたらお願いします。いかがでしょうか。
○平石委員 平石です。質問をさせていただきます。機構及び袴塚先生から本薬の有効性及び安全性については御説明いただいて、十分に理解いたしました。そこで私の質問ですが、2ページの効能・効果には、「医師の診断・治療を受けた人に限る」という記載があります。また、5ページに、器質的疾患が疑われる場合には医療機関を受診するためにチェックシートを準備するということで、実際に準備してあるわけですが、そこでは器質的疾患を除外するということが非常に重要なポイントだと思います。IBSの既往があることはもちろんですが、大腸の器質的疾患の場合には、加齢が大腸癌発症の大きなリスク因子になっておりますし、また、厚生労働省は大腸癌検診の開始年齢を40歳以上に設定しておりますので、加齢が大腸の器質的疾患の大きなリスク因子であるわけです。そこで、チェックシートの内容について、特に器質的疾患の除外という観点から御説明いただければ有り難いと思います。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明いたします。平石先生、御質問ありがとうございました。器質的疾患の除外に関しては、最初に御説明いただいたとおり、過去にIBSの診断を受けたかどうかをチェックシートで確認しております。また、次の項目の「次のいずれかに当てはまりますか」の中で、いろいろと症状を挙げておりますが、こちらでは大腸癌、炎症性腸疾患など、ほかの疾患に代表される症状を挙げておりまして、これに該当する場合は医療機関を受診してくださいというような、本剤の使用対象から除くようなチェックシートになっております。
 また、先生に御意見いただきました年齢の所ですが、(3)の「次のいずれかに当てはまりますか」という所に、「50歳以上である」ということで、年齢も鑑別の一つとして挙げております。ただ、こちらに関しては、年齢だけだと必ずしも器質的疾患かどうかは分からないということもありますし、もともと本剤は器質的疾患でないことが分かっている人を対象にしておりますので、状況に応じて使用可能というように考えておりまして、これに該当する場合は、必要に応じて服用前に医師又は薬剤師に御相談いただくような注意喚起をしております。その上で、御相談いただいた上で服用可能と判断された場合は、本剤を服用可能としている状況です。
○太田部会長 平石委員、いかがでしょうか。
○平石委員 加齢の問題と、いわゆる器質的疾患としての警告症状については、十分な記載がなされているという理解でよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 そのように考えております。既に承認されているセレキノンSも同様の注意喚起となっております。
○平石委員 ありがとうございました。
○太田部会長 ほかに御質問、御意見はございますか。
○宮川委員 宮川です。今、平石委員が御指摘されたことは非常に重要なことだと理解しています。そうすると、チェックシートの書き方が不十分ではないかということになります。つまり、器質的疾患というものが最初から除外されていないということ、それから、35ページの「適正使用及び情報提供資料について」という所の中に、「過去にIBSと診断された後、長期間医療機関を受診しておらず」とか、「症状がIBSによるものか明確でない人も除外できるように」と書いてあるわけですが、そこの書きぶりがそういう意味では弱いです。特に、チェックシートも包括的なチェックシートになっているわけで、一つ一つの症状をチェックできない、全てチェックして包括的に矢印が書いてあるというところは、危機管理になっていないということなので、これでは器質的疾患というものを完全に除外することができないと考えますけれども、こういうのはいかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 宮川先生、ありがとうございました。器質的疾患が最初から除外できていないチェックシートになっているという御意見ですが、機構としましては、チェックシートの(1)と(2)の記載で、想定できるリスクの高い人は除外できているというように考えております。
○宮川委員 それはおかしいです。症状があってから矢印が書いてあるのですが、器質的な疾患がある人はもともと入れないというようにしなければならないはずなのですが、ましてIBSと診断されている人は最初から除外されるという形になるので、もともとそこに入らないというような仕組みを作らないと駄目だろうと思います。
 それから添付文書の所ですけれども、下段の「相談すること」のマル3には、「2週間服用しても症状がよくならない場合」という記載があります。「してはいけないこと」の中に合わせると、どうもそこが読み取ることができないように思えます。もともと、「相談すること」以前に、「してはいけない」という所に、そういうような書きぶりがないということがおかしいです。それと、「してはいけないこと」から始まって、それで初めて相談するという形になるので、全ての所の中で、「3か月を超えて続けて服用する場合は、医師に相談してください」というような書き方があります。もともと、スイッチ検討会を含めてですが、全ての今までの承認の中では、4週間という縛りで全部書いてあるはずなのに、ここだけ突出して「3か月」と書いてあるのはおかしなことかと思うので、是非これはスイッチ検討会も含めて検討すべき事項だと思いますので、これは突出した書き方はされないほうがよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。御意見、ありがとうございます。私どもとしましては、本剤は、IBSの再発の方であって、かつ示しているとおりの症状を呈している方が対象になるものと思っています。したがいまして、医療機関で受診されている場合と異なって、積極的に器質的疾患を排除するような仕組みになっていないところは、どうしても生じてくるのだと思います。それは、自己の症状をベースに考える点からすると、どうしても限界はあるものだと理解しております。
 後、投与期間に関しましては、本剤に関して先ほど袴塚先生からも御意見がございましたとおり、30年間以上にわたる投与の経験、そのほか海外の添付文書での記載を基に、このように設定させていただいて、4週間ではなくて長期間の設定をさせていただいております。しかしながら、要指導医薬品ですので、購入ごとに薬剤師とチェックシートをやって、症状を確認してから購入していただく仕組みになっておりますので、そのように適切に使っていただく分には問題ないのではないかと考えております。
○宮川委員 これは勘違いしてほしくないのですが、コペルミンそのものを使ってほしいと思っているからなのです。機構がずっと言っていることで、逆にいろいろなトラブルがあって使いにくくしてしまう、風評やいろいろな障害があるということを懸念するのです。参考人がお話になったように、ペパーミントオイル、そういうものは非常にいいものなのです。いいものは適切に使ってほしいという意味合いでお話しております。しっかりとした作り込みをしないと、逆に問題が発生してくる懸念があります。ですから、このチェックシートはしっかりと書き換えていただきたいというように思います。
 それから、添付文書上もそういう意味で、しっかりと「してはいけないこと」の所に書き込みがあって、さらに「相談すること」という所に書き込みがあって、3か月という形ではなくて、まず4週間という形で限定して、そして、それは問題なければ更に使っていただくというのがよろしいのではないでしょうか。薬剤師の方と相談しながらやっていく形に整えることと私は理解しているので、禁止するのではなくて、きちんと使っていただくための方策を整えていただきたいのです。薬剤師の方との話合いの中で適切に使っていただくということで、この薬を育てていきたいと考えているので、是非そういう書き込みをしていただきたいと思います。禁止したいということではないということを、是非理解していただきたいと思います。
○太田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。私どもとしましても、適切に使っていただけるようにという気持ちで本剤を見ておりますけれども、意見が異なるところがあるというところは承知いたしました。
 チェックシートに関しては、決められた記載要領のようなものが存在しませんで、各社によって多少の記載ぶりの違いがあると思っております。一般に、個別の項目についてチェックする方式、それから、このように一部のものをまとめて「はい」か「いいえ」かを記入する方式など、様々にございますが、それぞれ薬剤師と一緒に1項目ずつチェックをされていくものだと承知しておりますので、記載ぶりに関しては分かりにくいということでしたら変更することも検討はいたしますが、特段、この記載ぶりによってチェックの質が落ちるということはないのではないかと考えております。
 また、投与期間に関しても、海外の添付文書を参考にこのように設定していることが特段不適切だとは現時点で考えておりません。個別の成分に応じた投与期間というものを設定すべきなのではないかと考えております。
○宮川委員 それは個別ではなくて全体的にしっかりと押さえていくということが、このもともとの大事な話なので、全てこういう書きぶりも含めて、チェックシートがこのように個別にばらばらな記載であるということ自体がおかしいので、国民に対してしっかりと分かりやすくするということが、機構や厚生労働省がやらなければいけない仕事だろうと思います。記載の仕方がばらばらだということは、それを放棄していたという形になるのです。このような書きぶりは国民に対して分かりにくくしていることになるので、是非改めていただきたいと思って、発言させていただきました。御理解ください。
○太田部会長 大変重要な御指摘だと思います。今後に向けて検討していただければと思います。ほかに御意見、御質問はございますか。
○宗林委員 宗林です。IBSの場合に、便秘だったり下痢だったり、繰り返したりという症状があると思います。その方によって、便秘型だったり下痢がある程度続くというような峻別が少しあると思っていまして、医師にかかると、それなりに何剤かを組み合わせて処方していただくという形で対処しているのだろうと思います。
 このコルペルミンの場合、例えば24ページを見ますと、これが有意差がある数字かどうかというのは分かりませんが、例えば便秘型に比べると下痢型のほうが少し改善割合が低かったり、次に出てくるものは違っていて、セレキノンもあります。この辺を選択するときに、私はどちらかと言うと下痢気味のIBSだというようなことで、ずっと処方箋で対処してきた人の選択の目安にはなり得ないものでしょうか。と言うのは、効能・効果はみんな同じ並びになっておりますので、どれもIBSの薬として適切だとは思うのですが、その中でも多少のそういうようなアドバイスはできるぐらいの差があるものでしょうか、あるいは、どれもこのぐらいの差なので、差がなしというようなことになりますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本剤に関しては、今まで機構で認識している知見ですとか、今回提出された資料からは、どちらかに特に効くということではなくて、IBSの症状に全般的に効くと考えております。御指摘いただいた24ページ、25ページの記載ですが、こちらも、どちらかと言うと傾向は見られるものの、明確にどちらかのほうがよいというような結果としては、機構としては判断しておりません。また、ガイドラインでも下痢型、便秘型どちらも区別なく提唱されているというところから考えますと、こちらをもってどちらがいいというような状況ではないと考えております。
○宗林委員 そうすると、今までOTC化されたもの、これからされるものも含めて、余りどちらの方に効果が強いという話ではなくて、同じ効能・効果の言葉使いで薬局に並べられる、あるいは薬剤師とのお話を始めるということになるという理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、ほかの成分がどうかという、今後の全般的な方針という話は少し難しいのですが、本剤に関しては、そこら辺は特段の区別なく使用していただくことになるかと思います。
○宗林委員 セレキノンもそうですし、今回出るギュラックも同じような形でしたので、そのような御質問をさせていただきました。理解しました。ありがとうございました。
○太田部会長 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入りたいと思います。なお、多田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。また、再審査期間は4年、要指導医薬品に該当するとしてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可、再審査期間は4年、要指導医薬品に該当するとし、薬事分科会に報告とさせていただきます。ありがとうございました。また、袴塚先生におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 議題2に移りたいと思います。機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、機構から資料2のギュラックについて御説明いたします。今回はWeb会議にて実施する関係上、製剤サンプルをお見せすることができませんので、製剤サンプルの写真を電子媒体で事前に送付させていただきました。併せて御確認をお願いいたします。
 まず、審査報告書を御覧ください。本剤は、医療用医薬品である「ポリフル錠500mg」を要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。本剤は、有効成分としてポリカルボフィルカルシウムを含有しています。申請者は小林製薬株式会社です。
 2ページを御覧ください。効能・効果は「過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和:腹痛又は腹部不快感を伴い、繰り返し又は交互に現れる下痢及び便秘(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」であり、用法・用量は、「成人(15才以上)1回1錠を、1日3回、食後に水とともに服用する」です。
 3ページを御覧ください。下から4行目から記載しておりますが、「ポリフル錠500mg」及び剤形違い品目である「ポリフル細粒83.3%」は、2000年に「過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状」を適応症として承認され、2009年に再審査結果が通知されております。なお、審査報告書では、過敏性腸症候群は「IBS」と略称で記載しております。
 4ページを御覧ください。外国での使用状況について、本薬を含有する一般用医薬品は、令和3年4月時点で、アメリカ・カナダ・ブラジルの3か国において販売されています。
 本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は次の2点から説明しています。1点目として、ポリフル錠は、製造販売後の使用成績調査において、軽度な症状を中心に処方されており、軽度な疾患に伴う症状の改善を目的とするセルフメディケーションに適していること、2点目として、IBSは、行動制限により日常生活や社会生活に大きな影響を与えるため、過去にIBSの診断を受けた使用者にとって、本剤がセルフケアの新たな選択肢となることで、QOLの向上が期待できることです。
 また、本剤は、第7回及び第8回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」にて、要指導・一般用医薬品への転用の可否が議論され、4ページ下部から5ページに記載した留意事項とともに転用は可能と判断されています。
 以下、臨床試験を中心に説明いたします。6ページ中段、ト項の臨床試験に関する資料を御覧ください。新たな臨床試験は行われておらず、ポリフル錠及びポリフル細粒申請時の臨床試験成績及び使用成績調査を再集計した結果が提出されました。有効性について、表1に、ポリフル錠及びポリフル細粒の臨床試験成績を、表2に、表1のうち、過敏性腸症候群の患者を対象とした試験成績を示しています。改善率は、1日投与量1.5g群で60.6~70.0%、1日投与量3.0g群で59.3~75.0%でした。また、表3に示すとおり、使用成績調査においても、高い改善率が認められています。
 安全性については、8ページ下部を御覧ください。臨床試験における副作用発現症例率は7.1%であり、重篤な副作用は認められておりません。また、使用成績調査における副作用発現症例率は2.20%であり、そのうち重篤な副作用は3例に認められ、食欲不振、虚血性大腸炎、胃粘膜病変の各1例1件でした。
 次に、9ページを御覧ください。添付文書理解度調査についてです。「要指導医薬品の添付文書理解度調査ガイダンスについて」に基づき実施された調査結果が、参考資料として提出され、特に問題は認められませんでした。
 その下、審査の概略を御説明いたします。規格及び試験方法並びに安定性については、ポリフル錠に準じて設定されており、特段の問題はないと判断しました。
 続いて、有効性についてです。本剤の用量は、申請時、1日投与量1.5g又は3.0gでしたが、審査の過程で1.5gのみに変更されています。機構は、臨床試験において、1日投与量1.5gにおける有効性が認められたことを踏まえ、本剤をOTCとして使用するに当たり、有効性に特段の問題はないと判断しました。
 次に、安全性についてです。ポリフル錠の添付文書に「服用後に途中でつかえた場合に、膨張して喉や食道を閉塞する可能性がある」と記載があることを踏まえ、機構は、膨張や閉塞に関する症例の有無を説明するよう求めました。申請者からは、当該記載は海外報告に由来するものであり、ポリフル錠では喉や食道を閉塞した報告はないが、ポリフル錠の自発報告において、誤嚥が疑われた症例が4例いることが説明されました。
 また、安全性について説明するよう求めたところ、本剤は1回1錠の用法であること、閉塞リスクの高い「嚥下が困難な人」及び「75才以上の高齢者」を使用対象から除外すること、服用時の閉塞リスクが高まる懸念のある服用方法を避けるよう注意喚起すること、本剤と同程度の大きさの既承認一般用医薬品において、錠剤の大きさに起因する副作用報告がないことから、本剤服用時の安全性は確保できると説明されました。
 機構は、以上の申請者の説明、及び情報提供資料等において服用方法や除外される使用対象者が注意喚起されていることを踏まえ、安全性に特段の問題はないと判断しました。
 10ページ中段から、効能・効果についてです。評価検討会議において、審査報告書4ページに記載したとおり、「効能・効果は既に承認されている一般用医薬品の過敏性腸症候群の再発症状改善薬と同様とすること」との留意事項が付されました。これを踏まえ、本剤はセレキノンSと同一の効能・効果で申請され、特段の問題はないと判断しました。
 続いて、用法・用量についてです。申請時の用法・用量は「1回1~2錠を1日3回、初回は最小量を用い、便通の具合や状態をみながら増量又は減量」と設定されていましたが、一般の使用者が、自らの症状から適切な用量を判断することは困難と考えられること、また、「初回」の定義が明確ではないことを踏まえ、適正使用の観点から不適切と考え、検討を求めました。その結果、1日量1.5gの単一用量に変更されました。機構は、変更後の用法・用量について、ポリフル錠の承認用量範囲内であること、医療現場において1日量1.5gの処方実績が最も多いことを踏まえ、特段の問題はないと判断しました。
 11ページ中段、使用上の注意についてです。本剤の使用上の注意は、ポリフル錠及び類薬の添付文書、並びに使用上の注意の記載要領を参考に設定されております。また、評価検討会議で付された留意事項を踏まえ、「相談すること」に、「2週間服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること」が設定されています。また、本剤の承認後、本邦においてIBSの効能をもつ要指導・一般用医薬品が複数存在することになるため、併用について注意喚起を求めたところ、「してはいけないこと」に、本剤を使用している間はIBSの症状改善薬を服用しない旨が記載されました。機構は、設定された使用上の注意について、特段の問題はないと判断しました。
 11ページ下部、適正使用及び情報提供資料についてです。本剤の適正使用に資する資料として、使用者向け及び薬局・販売店向け情報提供資料並びにセルフチェックシートが作成されています。IBSにおいては、薬に関する情報だけでなく、病態及び分類、発症に影響を及ぼす食事、生活習慣等についても情報提供が必要と考えることから、これらの情報が使用者向け及び薬局・販売店向け情報提供資料に記載されています。また、本剤の使用対象は、以前に医師により器質的疾患が除外され、IBSの診断・治療を受けた人に限られることから、チェックシートに再発であることを確認する項目が設けられています。さらに、過去にIBSと診断されてから長期間医療機関を受診しておらず、今回の症状がIBSによるものか明確ではない人も除外できるように、チェックシートが作成されています。なお、申請時の用法・用量に関連する注意には、「水又はお湯とともに服用すること」と規定されていましたが、水の温度が膨張の速さ等に影響することが懸念されるため、「お湯」の記載を削除するよう求め、対応されました。
 以上から、機構は、本剤の適正使用及び情報提供資料について、特段の問題はないと判断しましたが、販売に当たっては、適正使用されるための対策が十分になされることが重要と考えます。したがって、製造販売後調査において、適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えました。
 最後に、12ページの総合評価です。以上の検討を行った結果、機構は、提出された申請内容について、こちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。また、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関しまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
○宮川委員 御説明ありがとうございました。添付文書の方ですけれども、添付文書の「してはいけないこと」の一番下、3ポツで「長期連用しないこと」と書いてあります。しかし、添付文書の用法・用量の一番下の(5)の所に、「症状の改善がみられても、服用は最大4週間までとすること」ということが書いてあるので、「長期連用しないこと」というよりは、これは「4週間まで」と書くべきではないかと思います。実際に、効能・効果の上の3ポツで、「2週間服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること」と丁寧に書いてあるわけですので、そうした意味では、最大4週間までですので、「長期連用しないこと」という所は、「長期」ではなくて「4週間」にしないと整合性がとれないということなのだろうと思うので、是非、書き方を注意していただければ幸いかと思います。
 そのように見てみると、蒸し返すわけではありませんけれども、もう一つ前の議題の薬剤と書きぶりと全然異なるということがよく分かってくるのだろうと思います。それから、適正使用のチェックシートも、このように個別に書いてあるわけでしょうか。前のものは、包括的に書いてあります。これより、チェックシートの仕方が全然異なるということが分かるので、こういうようなことが本当はあってはならないという形なのです。実際には、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討委員会の会議でも、こういうことは問題になっていて、もともとチェックシートというものを、しっかり書き込まなければいけないというようにされていたので、そういう会議に差し戻して、実例を見せていくということが必要なのではないかと考えます。そのようなことも検討されているのかどうかお聞かせください。ギュラックに関しても、「してはいけないこと」という所の書き込みを是非お願いできればと思う次第です。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。御意見ありがとうございます。使用上の注意「してはいけないこと」の記載ぶりに関しては、添付文書の記載要領との兼ね合いもありますので、厚生労働省の方と相談をさせていただきながら、案件とさせていただきたいと存じます。
 また、チェックシートの記載ぶりに関しては、先ほど申し上げましたとおり、記載要領がありません。ですので、これからスイッチが進むにつれて、チェックシートの記載ぶりについては整理していくべき課題かと、私どもとしても認識しております。こちらも、厚生労働省の方と相談させていただきたいと考えております。以上でございます。
○宮川委員 大変でしょうけれども、是非お願いしたいと思います。
○事務局 厚生労働省の方から補足させていただきます。チェックシートにつきましては、御指摘のとおり、スイッチ検討会の方でも議論になっているところです。まず、セルフチェックシートにつきましては、添付文書等と違いまして、薬事の中での位置付けも明確になっていないところがありますので、その位置付けからその記載の方法等まで、今後、スイッチ検討会の方でも整理する方向で考えておりますので、その中で整理していきたいと考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。そうした意味で、先ほどの議題の機構の方の言い方やお話というのは納得できないというのが私の意見ですので、是非、明記しておいていただければと思います。
○太田部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○宗林委員 宗林です。
○太田部会長 宗林委員、どうぞ。
○宗林委員 同じくチェックシートですが、このチェックシートは、最初の所の受診年月までは理解できるのですが、診療所の名前まで書くようになっております。もちろんこのチェックシートがばらばらであること、それから、共通の、ある程度の目安を作っていかなければいけないことは私も理解しておりますが、この個別のものに関しても、診療所の名前を書くというのは、特段、意味がなく、いつ診断されたのかという受診年月が大事なのかと思います。その辺、専門の先生にも御意見を伺いたいと思っております。以上です。
○太田部会長 病院・診療所名の記載がどうかという御指摘ですけれども、いかがでしょうか。どなたか御意見があれば。厚労省から、どうぞ。
○事務局 病院・診療所名の記載については、審査報告書5ページに、スイッチ検討会の指摘事項が8項目記載されておりますけれども、その5ページの1番の所で、「いつ、どこの医療機関を受診して」とあり、検討会の中で指摘されたということを受けての記載と理解しております。
○太田部会長 そこを反映して、チェックシートがそのような記載になっているということだそうですけれども、宗林委員、よろしいでしょうか。
○宗林委員 分かりました。一応了解しましたが、やはりこの辺は、余りにもレベルが違うチェックシートがありますので、整理する必要があると、同じように感じています。
 また、「ここは空欄でも、別に、だから売らないということではない」ということになると、実質的にきちんと診断がされて、必要な事項がきちんと書かれるようなチェックシートを目指して、やはりフォーマットをある程度決めていくということが大切ではないかと思います。ありがとうございました。
○太田部会長 ありがとうございます。いずれにしても、チェックシートの統一化は今後の検討ということになろうかと思いますので、是非、この辺もよろしくお願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。なお、多田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当するとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に該当するといたします。また、薬事分科会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。
 続いて、議題3に移りたいと思います。議題3の資料3-1について、機構から概要を説明してください。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、機構から資料3-1「モートリンNX」について御説明します。
 まず、審査報告書を御覧ください。本剤は、医療用医薬品である「ナイキサン錠100mg」を要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。本剤は、有効成分として、NSAIDsであるナプロキセンを含有した製剤です。申請者は、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社です。
 2ページを御覧ください。効能・効果は、「頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷痛の鎮痛 悪寒・発熱時の解熱」、用法・用量は、「成人(15歳以上)症状があらわれた時、1回2錠を、なるべく空腹時をさけて服用する。通常1日2回までとするが、再度症状があらわれた場合には3回目を服用できる。服用間隔は6時間以上おくこと」です。
 4ページを御覧ください。ナイキサン錠100mgは、表1のとおり1978年に承認されて以降、製造販売承認事項一部変更承認申請を経て、現在の効能・効果、用法・用量となっています。
 申請者は本剤を要指導・一般用医薬品とする意義として、次の3点を挙げています。1点目として、本薬は1978年3月に医療用医薬品として発売されて以降、40年以上にわたる使用実績があること、2点目として、要指導・一般用医薬品の解熱鎮痛成分の選択肢を増やすことができること、3点目として、日本人における血漿中濃度消失半減期は約14時間であり、既承認の一般用NSAIDsに比べて長いため、服用間隔を長くすることができることです。
 5ページを御覧ください。外国での使用状況については、2019年7月時点で、米国・英国・豪州を含む計35か国において、一般用医薬品として承認・販売されています。また、本剤は、第5回及び第6回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」にて、要指導・一般用医薬品への転用の可否が議論され、5ページに記載した留意事項とともに転用が可能と判断されています。
 以下、臨床試験を中心に説明します。6ページのト項、臨床試験に関する資料を御覧ください。新たな臨床試験は行われておらず、ナイキサン錠100mg申請時の臨床試験成績と製造販売後調査成績が提出されました。有効性について、本剤の効能・効果に類似する二重盲検比較試験が抽出され、評価されています。有効性評価対象となった試験一覧は、6~7ページの表2のとおりです。
 安全性について、7~8ページを御覧ください。ナイキサン錠100mgの臨床試験及び使用成績調査において、副作用発現率は3.48%であり、表2の臨床試験で認められていた副作用と大きく異なるものはありませんでした。8ページ、3)のとおり、国内で死亡が23例、重篤な副作用は150例225件認められています。これら安全性に関する点については、後ほど審査の概略にて説明します。
 次に8ページの下、添付文書理解度調査についてです。「要指導医薬品の添付文書理解度調査ガイダンスについて」に基づいて実施された調査結果が参考資料として提出され、特に問題は認められませんでした。
 9ページ、審査の概略について説明します。規格及び試験方法並びに安定性については、ナイキサン錠100mgと同様であり、新たに設定された純度試験、定量法についても、提出された試験結果を踏まえて特段の問題はないと判断しました。
 続いて、有効性についてです。表2のとおり、効能・効果の各症状に対する有効性が確認されていることから、本剤をOTCとして使用するに当たり、有効性に特段の問題はないと判断しました。
 次に安全性についてです。本剤の副作用として、「腹痛・胃痛・胃部不快感など」や「胃腸障害」がありましたが、ほかのNSAIDsと比較して、消化器症状の頻度が高いことを示唆する情報はないことから、ほかのNSAIDsと同様の注意喚起を行うことで差し支えないと判断しました。
 また、国内で死亡が23例認められていること、重篤な薬疹22例が認められていることから、OTCとしての安全性について、申請者に説明を求めました。類薬と比較して本剤で重篤な副作用が多いと評価する情報はなく、死亡例については、いずれも併用薬や患者背景による影響を否定できないか、情報不足により評価困難な症例であったと回答されました。機構は、当該回答を踏まえ、ほかのNSAIDsと同様の注意喚起を行うことが適切と判断しましたが、スティーブンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死融解症については、国内の死亡例が認められたことを踏まえ、より十分な注意喚起を行う必要があると判断し、販売店向け情報提供資料において注意喚起することを求めました。その結果、症状や好発時期が記載されました。
 10ページ、効能・効果についてです。申請後に開催された評価検討会議の留意事項を踏まえ、既承認OTCの解熱鎮痛薬と同一の効能・効果に変更されました。変更後の各効能・効果については、6~7ページにお示ししました表2「有効性評価対象試験一覧」に示すとおり、有効性が確認できたことから、特段の問題はないと判断しました。
 続いて、用法・用量についてです。申請時の用法・用量は、「1回1錠、初回のみ2錠」というものでしたが、適正使用及び有効性の観点から不適切と考え、変更を求めました。その結果、類薬と同様の用法・用量となりましたが、服用間隔が既承認OTCのNSAIDsより長いことを踏まえ、設定根拠の説明を求めました。本剤は半減期が長いこと、服用間隔を6時間としても臨床試験の用法と同じであること、海外において同様の服用間隔が設定されていることが説明されました。なお、ナイキサン錠100mgの承認用法・用量の範囲内である「1回3錠、300mg」を選択しなかった理由として、11ページ表3に示すとおり、頓用用法において1回2錠200mgと3錠300mgで有効性が同程度であったためと説明されました。これらより、変更後の用法・用量について、特段の問題はないと判断しました。
 12ページ、使用上の注意についてです。本剤の使用上の注意は、使用上の注意の記載要領並びにナイキサン錠100mg及び類薬の添付文書を参考に設定されています。また、12ページ中ほどのとおり、評価検討会議で付された留意事項を踏まえ、「相談すること」に次の2点が設定されています。1点目は、「3~5日間服用しても痛み等の症状が繰り返される場合又は1~2回服用しても症状がよくならない場合には、服用を中止し、医師等に相談する」、2点目は、「高齢者や腎臓病にかかったことのある人は、医師、歯科医師又は薬剤師に相談する」です。
 使用上の注意のほかにも、12ページ下の方のとおり、セルフチェックシート及び使用者向け情報提供資料に、外傷後の強い痛みがある場合には医師の診療を受ける旨が、販売店向け情報提供資料に、外傷後の強い痛みがある場合は受診を促す旨が記載されました。また、長期連用が懸念されることから、包装単位は使用上の注意で認められる最大量である5日分、30錠までとすることが承認申請書に規定されました。
 以上から、機構は、評価検討会議での留意事項が対応されており、本剤の適正使用、情報提供資料及び包装単位について、特段の問題はないと判断しましたが、販売に当たっては、適正使用されるための対策が十分になされることが重要と考えます。したがって、製造販売後調査において、適正使用状況も含め十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えました。
 最後に13ページの総合評価です。以上の検討を行った結果、機構が提出された申請内容について、こちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性などに関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。続きまして資料3-2について、事務局から概要を説明していただければと思います。
○事務局 それでは、資料3-2を御用意ください。本剤の毒薬又は劇薬の指定の要否について、御説明させていただきます。現行の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則において、ナプロキセンを含有する製剤は、原薬を用いた毒性試験の成績により劇薬に該当すると定められています。今般の申請品目は、ナプロキセンとして100mgを含有する製剤ですが、本資料の5ページ以降に示す「毒薬・劇薬指定基準」に基づきまして、100mg含有の本剤の各基準への該当性を見直したところ、いずれの基準にも該当しないことから、100mg以下を含有する製剤は、劇薬の指定から除外することが適当であると考えられます。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関して、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
○宮川委員 よろしいですか。この妊婦さんについての記載なのですが、これは確かに非常に重要なので、出産予定日12週以降の妊婦というのは、これはもう当然なのでしょうが、その辺のところというのは、ただそれだけの記載でよいのでしょうか。妊婦そのものに対して、注意喚起しないといけないのではないでしょうか。妊婦自身は何週かなど、そういうことはなかなか自覚がないので、その辺の書き込みはいかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明させていただきます。御質問、ありがとうございました。まず、本剤についての設定根拠について、御説明させていただきます。今回、医療用の医薬品承認申請において、動物実験で妊娠後期においては母体への影響、新生児毒性、胎児毒性が報告されたということから、医療用医薬品でも妊娠後期には投与しないことと規定されておりまして、本剤についても同様に規定させていただきました。販売店向け情報提供資料においても、医療用医薬品と同様に、動物試験で毒性が報告されている旨を記載させていただいています。御質問の妊娠後期以外についてなのですが、医療用医薬品において、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ投与することとされています。これを踏まえて、本剤は、「相談すること」において、妊婦又は妊娠していると思われる人は、医師、歯科医師又は薬剤師に相談することというふうに設定させていただきました。
○宮川委員 ありがとうございます。私もそれは理解しているのですが、非常に難しい書き込みだと思って、機構の方も御苦労されていると思うので、その辺はこれからもしっかりと書き込んでいただければ有り難いと思っています。ありがとうございます。
 それから、医療用のナイキサンでは注意喚起されているように、血液検査への影響というものが懸念されるというふうに書いてあるわけですが、特に血液凝固系の検査へ影響するということ、しかも半減期が非常に長いということで、その辺は販売する者や使用する者が自覚していないと危険だと考えます。こういうようなものの市販後の販売方法は別途、安全対策調査会や安全対策部会で検討されると認識しているのですが、薬剤師の関与を必須とするリスク区分1として維持すべきではないかと考えています。これはあくまでも意見として理解していただければいいのですが、そういうことをこれからも考えていかなくてはいけない、非常に問題点の多い薬剤であると考えているので、是非、御理解いただければと思います。
 それから、これは質問です。本剤を購入するような人が、骨折であれば早期に治療が必要であるし、それから重度のねんざであれば、早期に治療しないと重症化するおそれがあり、後遺症を残すおそれがあるということは考えられるわけです。特に外傷の強い痛みの場合には、できるだけ早期に医療機関を受診することが望ましいと思います。そういうことであれば、「早期に」「できるだけ早く」など、外傷の所にそのような文言が含まれていくと、トラブルなどが起こりにくいのではなかろうかと思いますので、何かしら配慮は頂けるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
○太田部会長 ありがとうございました。機構からいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。おっしゃるとおり、骨折痛については、なるべく早く診断、治療いただくのがよいかと思いますので、そのようなスイッチ検討会議での御意見も踏まえまして、販売店向け情報提供資料の14ページのQ&AのQ4にありますが、外傷後の強い痛みがある場合には、できるだけ早く医師に御相談するようにと薬剤師の方から御指導いただけるものと認識しています。説明は以上です。
○宮川委員 はい、ありがとうございます。そのようにしていただければ、非常に有り難いというふうに思います。
 それから、もう一つですが、審査報告書の13ページです。その他の所に、「配合剤が申請されることが考えられる」という記載があるのですが、この配合剤は本部会で審議対象になるのかどうか、少し分からなかったものですから、是非、お聞きしたいと思います。
○太田部会長 この点はいかがでしょうか。機構か事務局か。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明させていただきます。今回、記載したその他について、配合される剤次第ですが、例えば成分や効能・効果によって、また要指導・一般用医薬品部会に掛けさせていただくのか、検討させていただきたいと思います。もし、このような申請があった際には、審査管理課とも情報共有した上で審査を進めていきます。以上です。
○宮川委員 はい、ありがとうございました。
○太田部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○川名委員 ココカラファイン薬局の川名です。
○太田部会長 川名委員、よろしくお願いいたします。
○川名委員 ちょっとしたことで申し訳ないのですが、販売店向け情報提供資料の5ページです。「長期連続して服用しないでください」という所で、「3~5日間服用しても」という基準が一つあることと、さらにチェックボックスの下から二つ目、「1~2回服用しても症状がよくならない場合」とあるのですが、添付文書では3回目が飲めたような気がするのです、この1~2回というのはどう捉えていいのか教えてください。
○太田部会長 機構、いかがでしょうか。ちょっと、今、それを確認できていないので。
○医薬品医療機器総合機構 大変恐れ入ります。機構より回答させていただきます。「1~2回服用しても症状がよくならない場合」については、短期的な有効性が見られなかった場合には服用を中止してくださいというふうにしています。1~2回服用しても、その都度、改善した様子が見られない場合には、3回目を飲む前に、医師、薬剤師等に御相談いただければと思い、記載させていただいているものです。以上です。
○川名委員 では、2回飲んで症状がよくならない場合は一度相談してくださいということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおりです。
○川名委員 添付文書では、3回目を服用できますと書いてありますが、そこの間には相談してくださいが入るわけですね。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。
○川名委員 はい、かしこまりました。ありがとうございます。
○太田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。また、劇薬には該当せず、要指導医薬品には該当するとしてよろしいでしょうか。これについて伺いたいと思います。よろしいでしょうか。御異議のある方はいらっしゃいませんようですので、承認を可、劇薬には該当せず、要指導医薬品に該当するとし、薬事分科会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。
 そのほか事務局から何かございますか。
○事務局 本日の御審議、ありがとうございました。次回の当部会については、8月2日15時より開催を予定しています。部会の開催方法については、追って御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
○太田部会長 それでは、本日の要指導・一般用医薬品部会をこれにて終了し、閉会とします。本日、御参加いただきましてありがとうございました。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 高畑(内線2737)