第15回 職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和3年7月14日(水) 14:00~16:00

場所

労働委員会会館7階講堂
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1)職場における化学物質等の管理のあり方について
    (2)その他

議事

○中村課長補佐 本日は大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、第15回「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」を開催いたします。
本日は全委員に御出席いただいております。毎回のことですけれども、感染症対策ということで、マスク着用での御発言、御審議をお願いしたいと思います。以降の議事進行は城之内先生にお願いいたします。それでは城内先生、よろしくお願いします。
○城内座長 皆様、暑い中、お集まりくださいましてありがとうございました。
それでは、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○中村課長補佐 本日、資料はタブレットのほうに御用意させていただいております。資料1は、粉じん作業に対する発散抑制措置の柔軟化についてです。資料2として、検討会の報告書(案)を御用意させていただいております。参考資料として、検討会報告書の概要ということで格納されているかと思いますので、御確認をよろしくお願いします。
○城内座長 では、前回、宮腰委員から御意見のあった粉じん対策に関する発散抑制措置の柔軟化について、事務局から補足資料を御用意いただいているので説明をお願いいたします。
○主任中央じん肺診査医 よろしいでしょうか、主任中央じん肺診査医の松井でございます。前回御意見をいただきましたので、資料1を御用意させていただきまして、これまでの経過も含めて御説明をさせていただきたいと思います。
まず資料1を御覧ください。粉じん作業に対する発散抑制措置の柔軟化についてですが、これまでの検討で出された御意見等ということで、簡単な経過も含めて説明させていただきたいと思います。
今までの検討会におきましては、粉じん則においても、特定粉じん発散源に係る措置として、局所排気装置や密閉設備の設置などが義務付けられていますが、除じん装置等の有効な発散抑制措置の設置等により、作業環境測定に基づいた良効な作業環境を継続維持できるため、そのような事業場については、より多様な措置が選択できるとよいのではないかという御意見をいただいております。下の方に注釈を付けておりますけれども、厚生労働科学研究の中において平成25年~27年度までと、後続研究として平成28年~30年に掛けて研究をしていただいた背景があります。
元に戻りますが、こういった措置を柔軟化することによって得られるメリットとしましては、作業環境測定に基づく作業環境管理の重要性を明確に示すことにつながるということ、また設備や装置によっては、定められた制御風速以下での装置の運用が可能になることや、装置の小型化、設備費の削減が期待できるなど、効果を損なわずに効率的に作業環境管理を実施することが可能になるということで、その下に報告書案とさせていただいています。
この報告書案は、前回お示ししました内容と同一ですが、対象作業場の作業環境測定の結果が第一管理区分であって、一定の要件を満たせば、法令で定める局所排気装置以外の多様な発散抑制措置が認められる特化則などの「発散防止抑制措置特例実施許可制度」を参考に、粉じん障害防止規則における特定粉じん発散源に対する措置についても、良好な作業環境を継続的に維持できる事業場については、同様に多様な発散抑制措置が選択できる仕組みにすることが適当である。
これも下に注釈が付いておりますが、有機則や特化則では、こういった発散抑制措置に係る特例実施許可制度というものがありますので、こういったものを参考に粉じん則に合ったものを示していくというのが趣旨です。
今回、全体として、事実管理に規制を統一化していく中においては、将来的に廃止することも想定されている特別規則としては、粉じん則、特化則などと同様に対象として取り扱うこととしております。こういったことを踏まえまして、今回お示ししました発散抑制措置の仕組みにつきましても、こういった特化則等々と平仄を取っていく方向で考えております。前回、御意見をいただきました掲載場所につきましては、特化則等のところにはなるのですけれども、ここに掲載させていただくということ、あと過去の研究結果や御意見等々を含めて、粉じん則に合った発散抑制措置の柔軟化を示していくことを考えておりますので、文言といたしましては「適当である」という文言を選択させていただきましたので、ここで説明させていただきます。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。
○宮腰委員 すみません、貴重なお時間をありがとうございました。
個人的には、これまでの経緯では議論されてこなかったこの部分が出てきたもので、これが適当かどうかという判断が付かなかったというところがあります。今回の件で、過去の部分をもう一度よく読み直して考えていきたいと思います。
基本的には、今後これがどういう形で進められるかということについて、また更に検討されるということでよろしいのでしょうか。
○城内座長 ありがとうございました。そのほかは、いかがでしょうか。
○漆原委員 一点、確認です。今回の報告書を基に、仮に粉じん則を改正するとすれば、粉じん則のうち報告書に記載にあるもののみが改正の対象であって、粉じん則の他の所については、もし改正するにしても、また別途検討するという理解でよろしいでしょうか。
○城内座長 いかがでしょうか。
○中村課長補佐 私の方からお答えします。今回のこの見直しも規則改正が必要なのか、それとも通達などの解釈などで行けるのかということも含めて、これから検討かなと思います。基本的に、今回まとめていただいた部分についての改正をするのであれば、その部分の改正ということで考えております。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○名古屋委員 前回もお話したのですが、もともと平成22年度の「あり方検討会」で、「局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入」を検討したときに、粉じんと有機溶剤と特化物を扱ったのですが、技術的に粉じんが発散抑制措置を導入するのに一番合っているのです。なぜかというと、粉じんを抑制するためのバグフィルタとか、抑制装置からの漏洩濃度を常時監視できる測定装置などの条件も揃っているが、有機溶剤の場合は抑制法として活性炭しかないので、いろいろな化学物質についてどれだけ活性炭が抑制できるのかの情報などがあるかというのがなかなか把握できていないのと抑制装置からの漏洩濃度を常時監視するための測定装置が困難であるなどの条件で、やはり粉じんが実現できる可能性があるねと言われたのですが、残念ながら、粉じんを有機溶剤や特化物と同時に取り扱うことが出来るのかどうかということがよく分からなかったので、それ以降ずっと粉じんについては検討されなかったのですが、粉じんの現場も膨大な数有り、そうした現場で第一管理区分が続いていたら、やはり有機溶剤や特化物と同じような措置にして柔軟な対応をしていただけると有難いと思います。粉じんについて抑制装置を導入するための技術は、もう完璧に整っていますので、抑制装置の導入を認めても大丈夫だと思っております。
○城内座長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
実は、この検討会では、主に四則対応でずっと議論してまいりました。前回は宮腰委員から、また名古屋委員からも御発言がありましたように、粉じん則に関しても少し考えたほうがいいのではないかという御発言がいろいろありました。最終的には、今後は粉じん則全体についても事務局のほうでちょっと考えていただくということでしたので、また時期を待ちたいと思います。ありがとうございました。そのほかに御意見等はございますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、この報告書(案)は、このまま受け入れ可能であるということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
続いて、議題2に進みます。前回で一応、議論は収束してはおりますので、本日は前回の議論を踏まえて報告書(案)の修正案を御用意いただきました。事務局から説明をお願いいたします。
○中村課長補佐 資料2を御覧いただければと思います。こちらは前回も、一応お示しさせていただきました報告書(案)に、前回の議論で新しく追加したもの、それから前回の議論の後、もう一度報告書の書き方等を確認させていただいて、若干、文言の正確性なども含めて一部修正しております。お手元のタブレットのほうは、赤で修正したバージョンになっているかと思いますけれども、修正箇所を一つずつ御説明していきたいと思います。
まず初めに、3ページ目、検討会の趣旨・開催状況の(1)趣旨のところです。前回、中澤委員から御指摘があったかと思いますけれども、労働災害が頻発しているという部分の書き方をもう少し明確に数字で書くべきではないかという御意見を頂いたので、「原因とするものは8割を占める」という書き方に修正させていただいております。
次に、少し飛びまして7ページ目、マル1新規のGHS分類の括弧の中の「時間加重平均許容濃度」を「時間荷重平均ばく露限界値」と、正確な言葉に修正したというものです。
それから、8ページ目の下の部分を消して、上のほうに追記しています。これは記載場所を移したということで、内容の変更ではないのですが、括弧の初めに、ばく露限界値(仮称)という記載をしておりますので、そこに関連させて説明を追加したということで、場所を移動したというだけです。
9ページ目3行目ですけれども、これも表現ぶりの微修正ということですので、特段、内容の変更をしているものではございません。
それから10ページ目の上から5行目、これは前回、御意見を頂きましたけれども、保護具の選定に当たっての情報収集の公表・共有は、国が中心となってやっていくということをもう少しはっきり打ち出してやっていくべきではないかという御意見を頂きましたので、それを踏まえて修正させていただいております。
11ページ目のマル4は、正に前回御議論いただきました外部の専門家の指導を受ける事業所の選定条件ということで、前回の御議論を踏まえて、休業4日未満も含めて、労働災害を発生させた事業場で監督署長が必要と認めた場合という条件を追記させていただいております。
それから、12ページ目の(2)のアの(ア)の真ん中辺りですが、(保護具の選択、管理も含む)という部分を消しております。これらは前回、化学物質管理者と保護具着用管理責任者との役割分担が明確ではないのではないという御指摘を頂きました。保護具の選択、管理は保護具管理責任者の業務ということであり、どちらかというと化学物質管理者は保護具着用管理責任者の業務がきちんと行われているかという管理というか、指導という立ち位置になっているかと思いますので、括弧内を削除させていただいております。
次に、13ページ目の冒頭の1つ目のパラグラフですが、こちらは内容の修正というよりは文章がきちんとつながっていなかったということもあって表現上の修正をしているものです。同じ13ページの下のイの外部専門家としての云々という部分の修正も、「意見を担う」という表現が日本語として適切ではなかったということで文言を修正したものです。
14ページ目の(ウ)違反事業者に対する対策の強化の部分も、「指導を強化する」は、日本語として内容が合っていなかったということで、「対策を強化する」という表現に修正しております。また、14ページから15ページにかけての部分ですが、これは前回御議論いただきましたSDSの記載について、成分の含有量と成分(化学物質の名称)についての表示の省略の部分の内容を、前回御議論いただいたとおりに追記させていただいたものです。
次の15ページ目ですが、(ウ)のQRコードを「二次元コード」に直しています。QRコードというのは商標のようですので、その関係で、内容は変えておりませんが表現を修正いたしました。その下のウの(イ)設備改修等のところは、内容の修正というよりも、ちょっと文章が分かりにくかったということで、内容に合わせて表現を修正させていただいたものです。
次の16ページ目、(5)のアですが、もとの文章がどの部分を指しているのか分かりにくかったということで、具体的に指している部分が分かるように修正したものです。
次の17ページ目のマル4は、大前委員からの御意見で、「当該物質による」を「当該物質に起因する」と修正させていただいております。
18ページ目から19ページ目にかけての修正は、通し番号を打っていたのですが、そこの部分の修正と表現上の修正ですので、内容の修正をしているものではございません。
最後に、20ページ目ですが、(イ)がん集団発生時の報告の仕組みの部分で、前回、明石委員から御指摘いただいたと思いますけれども、労働局への報告の部分の趣旨をもう少し分かりやすく書くべきではないかといった御指摘でしたので、少し表現を修正させていただきました。私からの説明は以上になります。
○城内座長 前回の御議論を踏まえて修正していただいたものですが、御意見等ございましたらお願いいたします。大前委員、お願いいたします。
○大前委員 前回気が付けばよかったのですが、20ページの(イ)「がんの集団発生時の報告の仕組み」です。「発がん性区分がある化学物質」という限定がしてあります。発がん性区分があろうがなかろうが、その場所でがんが出てくれば見る必要があるということなので、「発がん性区分がある」という文言は消したほうがいいのではないかと思います。この文言が残っていると、今まで分からなかった化学物質が全部見直されてしまうことになってしまうので、むしろ、この部分はないほうが正しいのではないかと思います。
○中村課長補佐 事務局から少し補足いたします。この議論をしたときにも、全ての化学物質とすると、恐らく、私病のようなものも含めて、同じようながんが発生した場合に全て報告の対象にするのかという議論があったかと思います。大前先生がおっしゃるように、全く未知のものは捕まえられないのではないかという議論が、その際にあったかと記憶しております。まず、ある程度、確度があるところに絞ったほうがいいのではないかという議論で、こういうまとめにさせていただいたという経緯があります。
○城内座長 大前委員、お願いいたします。
○大前委員 今のでもよいのですが、こういう書き方をすれば、例えば、1,2-ジクロロプロパンは該当しなかったのです。あれは発がん区分がない物質でしたから、未知で胆管がんが起こったということがあるので、やはり、ここは少し考えたほうがいいのではないかと思います。
それから、もう1つ言い忘れましたが、「同一事業場において、複数の労働者が同種のがんに罹患」はいいのですが、時間の記述がありません。例えば、10年や20年など長い間にポツポツと、がんが出てくるので、1,2-ジクロロプロパンもそうだったのですが、最初に気になったのは、1年の間に2人か3人出て、遡ったら結構たくさんあったということですので、「複数の労働者が同種のがんに罹患した」という期間も、単に1年や2年という話ではなく、潜伏期間を考えると10年や20年あってもいいと思うので、期間のことを少し入れないといけないのではないかと思います。
○城内座長 明石委員、お願いいたします。
○明石委員 ここの問題は、私が指摘させていただいた話です。事業者が、がんを報告するのはかなり難しいことです。なぜなら、1つは、大前先生がおっしゃったように、業務上の判断は必ずしないと風評被害が起こるので、同じがんが起こったということで届出をするのはかなり難しいと思います。
それから、企業は、がんの把握はできません。医療者がいませんし、がんは定期健診に入っておりませんので見付けることはできません。特殊健診で少し見付けられるぐらいだと思っています。これは結構簡単に書かれていますが、事業者にとっては相当ハードルが高いですし、もう少し要件を絞っていただかないと、申出以外には方法がないと思っていますので、難しい話なのではないかと。
それから、がんは医療情報で個人情報保護法にも引っ掛かってきますので、その辺りも含めて、多分、同じがんが出て届けたというわけにはいかないのではないかと思っています。
○城内座長 大前委員、お願いいたします。
○大前委員 非常に不思議な話で、1つは、各企業がそれぞれ、現役中の死亡、あるいは、現役中の病気による休業を把握していますよね。それを報告するかは別にして、その前の問題として、なぜ、この人は1か月も2か月も休むのかということで、その理由を把握していますよね。それは人事の役目ですよね。例えば、5年間に同じ職場で特定のがんが5人出るということは分かるはずではないでしょうか。それを報告するにはハードルが高いということはあるかもしれませんが。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。大前委員からの最初の御質問では、「発がん性区分がある化学物質を取り扱う同一事業場において」を削除したほうがいいということでしょうか。
○大前委員 まず、「発がん性区分」を外したほうがいいのではないでしょうか。要するに、「化学物質を扱っている同一の事業場で」という文言だけでいいのではないでしょうか。先ほどの繰り返しになりますが、未知のものに関しては発がん性区分がないので、発がん性区分があるものだけを入れてしまうと、今まで発がん性区分が分からない、あるいは、これから出てくるかもしれないものが全部抜けてしまうと思うのです。
○城内座長 「発がん性区分がある」を除くということですね。分かりました。そのほかに御意見等はございますか。漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 私も大前委員の意見に賛成です。確かに、明石委員が言われるように、この物質は危ないという風評被害もありえるとは思いますが、報告したことと公表は違うと思いますし、仮に問題が確認できなければ「問題がない」ということになります。職業性のがんではないということが確認できるわけです。ここでは確証がなくても、とりあえず発がんの可能性が疑われる物質について、まず検討することが重要なのではないかと思います。
○城内座長 明石委員、お願いいたします。
○明石委員 今おっしゃられたことに関して言うと、一度届出をすると、今はSNSの時代なので打ち消すのが難しいと思います。消さないでずっと残っていますから、そこは一つ考えたほうがいいと思います。もう1つは、がんの可能性を見いだすのは事業者の役目ではなく、医療の役目だと思っています。そこはきちんと割って考えないと、事業者が何でもできるわけではないし、どういう病気になりましたかと聞くわけにはいかないので、そこは冷静になり、事業者が何をするのか、医療者が何をするのか、今後の報告の仕組みはこうあるべきだということを考えたほうがいいのではないかと思います。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。
○大前委員 反論みたいなものなのですが、今おっしゃったことは全然理解できません。がんと診断するのは医療者の義務であることは当然です。でも、事業者はそれを把握しておかなければいけないわけでしょう。
なぜこの人が休むのか。それは、がんかもしれないし、あるいは、メンタルの問題かもしれないけれども、特定のがんが集積するのはまずいではないですか。しかも、それが1つの事業場だけではなく、ほかの事業場でも起きたら、あるいは、これから起きるのであれば、ある意味、それを防がなくてはいけないのが、あり方委員会のミッションですよね。
○明石委員 発がん性物質を扱ったから、がんになるというわけではないと思います。私傷病というか、自分のいろいろなことがあっても、がんが起こる可能性だってあるのだから。
○大前委員 もちろん、そうです。それは当然で、ここに書いてあるのは、集積があったら労働衛生指導医等の協力を得て業務と関係があるかどうかを調べなさいと書いてあるわけです。がんがあったことが、すなわち化学物質が原因という話ではない。それが本当に業務に起因するかどうかは、次の段階に進みなさいということがここに書いてあると思うのです。
それは医療者の問題ではなくて、集積した集団を持っている企業、事業者が何らかの形で、それぞれの監督署に報告してくれないと、それから先は何も分からないですよね。
○明石委員 その前の文章に、「同種のがんに罹患したことを把握した場合」とありますが、その「把握」が難しいのです。そこは事業者には業務上かどうか分からないです。
○大前委員 分からないから調べるのです。そのように書いてあるではないですか。
○明石委員 把握したんじゃないですか、把握しないと何もできないのではないでしょうか。それがどちらであるかどうかを把握しないといけないのではないでしょうか。
○大前委員 把握するために調査するのではないでしょうか。事業主は自分の所で把握できないではないですか。それは当たり前ですよね。それは企業の責任ではないですよ。
○明石委員 したことを把握した場合だから、「したことを把握してから出せ」と書いてあります。
○漆原委員 よろしいでしょうか。
○城内座長 漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 多分、最初の所は、同種のがんに罹患したことがイコール職業性のがんかどうかということまでは、この状態では分からないので、その原因が仮に、たばこやアルコールであったとしても、取りあえず、同種のがんであれば報告するということなのかと理解しております。○明石委員 それを届け出るのは、少し無理があるような気がしますが。
○大前委員 よろしいでしょうか。
○城内座長 大前委員、お願いいたします。
○大前委員 今まで新しく見つかってきた職業性のがんは、それまでは当然、がんかどうかも分からない状態で、この工場のこの工程で、がんが出たと。そして、何人かいるということからスタートしているのです。それで、この物質が職業起因性かどうかということを科学的に調査して、最終的に結論を出す。当然、場合によっては、たばこではないかということもあるでしょうし、化学物質が原因ということもあります。
○明石委員 言っている意味は分かりますが、「把握した場合」の「把握」をどうするのか、事業者としてはかなり苦労することになると思うのです。
○大前委員 でも、把握は人事でしているのではないでしょうか。
○明石委員 いいえ、していないと思います。
○大前委員 どうして休んでいるかというのは、人事で分かるのではないですか。
○明石委員 それほどオープンではないと思います。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。事務局から何かありますか。
○中村課長補佐 事務局から補足いたします。この部分は、事業者に把握を義務付けることを想定しているわけではなく、多分、事業者が日常管理などの中で把握した場合のことがスタートになっているのかと思っています。例えば、本人から無理に聞き出して把握するという趣旨で書いているものではありません。
大前先生がおっしゃったように、胆管がんや膀胱がんなどが複数出たことが分かってから、事業者が相談に来ているというところが、端緒としては出ているので、無理な形で把握してほしいということではなくて、自然な形で把握した場合を想定しています。
○城内座長 明石委員、お願いいたします。
○明石委員 そうであれば、義務付けということが引っ掛かります。義務付けは、努力義務付けですか。把握したら持って来てくださいという話なのでしょうか。
○中村課長補佐 はい。
○明石委員 これは何に基づいて持って来てくださいと言っているのでしょうか。規則や法令などを作るという話なのでしょうか。
○中村課長補佐 これを規則にするのかどうかは別の議論ですが、これまでの議論では、こういうものを義務付けてはどうかという議論をしていただいていたということです。
○城内座長 そのほかに何かございますか。私の印象では、「把握した場合は」というのは、事業者が把握しなければ義務は掛からないと思います。事業者が変だと思ったら、事業者として調査をしたほうがいいのではないか、届けたほうがいいのではないかというぐらいにしか読めません。明石委員のように厳しい読み方をすると、そうかなという気もしますが。
私としては、今日この文章を決めたいので、意見をたくさん出していただいて解決したいのですが、いかがでしょうか。最初の「発がん性区分がある」は除いてもいいかと私も思います。そのほかに御意見はいかがでしょうか。
○尾崎委員 よろしいでしょうか。
○城内座長 尾崎委員、お願いいたします。
○尾崎委員 私は何百人という部下を抱える工場長をやっていましたので、一言言わせていただきます。現場で発がん性の情報が上がってきたときには、産業衛生医が把握していて、個人情報うんぬんの話がありますから細かいことに関しては人事としては分からないと思います。ただ、そういう人間が複数人出てきた場合には、産業衛生医がおかしいと気が付いて人事に相談するというのは当たり前の手順だと思います。
次にどうするかということで、人事は労基とのコネクションが薄いので、まず、環境安全部に相談するという手順が入るのだと思います。その辺りのルートを作っていただいて、事業者にはそういう義務をかけたほうが、身内の人間を守るという観点からすると非常に当たり前の話ではないかと思います。多分、この検討会が存在する理由も、そこにあるのではないかと思います。
○城内座長 今の尾崎委員の御意見では、文章の変更はないということでしょうか。
○尾崎委員 しかも、「発がん性区分がある」と明言してしまうと、思考回路がここで止まってしまう可能性があるので、やはり、これから250、700、850という数字の物質を評価していかなければならないのであれば、ここの枠組みは外したほうがいいのではないかと思います。
○城内座長 三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 ほかに根拠を思い付いたらまた申し上げますが、私見では、ここの部分はそのままでいいのではないでしょうか。要は、「発がん性区分がある」という所が、3行後の「義務付ける」と対になっているのではないかということです。政策なので、一気に理想的にはいかないけれども、まず、重点を置くところから着手し、その手順ができたら次の段階に進んでいくという配慮ではないかと思います。
それから、大きな視点から言えば、今回は化学物質管理を自主管理型に改めるということで、自主管理型とは何かというときに、ただ、事業者に責任を持ってもらうということではなく、要するに、事業者が自分たちで事業場の実態に応じた対策を打ちやすいように連携を進めるということだと思います。そうすると、リスクコミュニケーションが非常に重要になってくる。そして、行政が化学物質管理を主導してきたことは間違いないから、できるところから、一気に理想的にはいかないけれども、行政は収集すべき情報は収集し、事業場を有効に助けられるようにするというサイクルを作ることが必要だと。そういう意味では、政策的なバランスから考えて、この文章は妥当ではないかと思います。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。大前委員、お願いいたします。
○大前委員 この検討会のミッションは、当然、法律をつくることではなくて、法律をつくるかどうかはマネジメントの問題なので、それに対してどういう提言をするかという提言委員会だと思います。提言委員会の中で提言した結果を、実際にどのように行政に反映するかということは別の問題だと思います。したがって、義務付ける等々は提言としてはあり得る。これをなくしてしまうと、ここに関する提言の意味がなくなってしまうと思うので、この部分はいいと思います。
それから、「発がん性区分がある」をどうするかというお話ですが、「発がん性区分がある」を残すと10年、20年は変わらないです。そういうおそれがあるので、この部分は外しておかないと将来何が起きるか分からない。今、発がん性が分かっている物質は、IARCでもせいぜい数百だと思います。これから先どういう物質が出てきて、それがどういうことを起こすか分からないので、やはり是非、この部分は除いたほうがいいのではないかと。そのほかの文章はいいと思います。
○城内座長 三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 基本的な方向性は賛成です。ただ、現実的にどういう手順を踏むのが現場に対して有効かと考えたときに、例えば、1つの方法として、規則等では、これをアレンジした書き方にしておいて、ガイドラインなどで発がん性区分がないものについても放置ではないのだと。要するに、まず、代表的に発がん性区分のあるものを定めるけれども、それ以外のものについてもきちんと趣旨にかなった措置をしていかないといけないということをガイドライン等で書くという方法もあると思います。趣旨が伝わるようにしていくということではそういう方法も検討に値するかと思います。以上です。
○城内座長 そのほかに何かございますか。明石委員はいかがでしょうか。
○明石委員 その部分については、余りこだわりはありません。引っ掛かっているのは「把握した」という部分です。「把握した」ということは、イコール業務上だと、事業者も考えるという意味なのか、それとも、同じがんが起こったということを感知したという意味なのか、そこは大分違うような気がするのです。
○城内座長 事務局からお願いします。
○中村課長補佐 ここで書いているのは、業務上と分かっていれば、むしろ、改めて調査するということにはならないと思います。事業者も、これは業務と関連するかどうか分からないと。ただ、複数出てしまったという報告を頂いて、それをもとに労働局が専門家の力を得て、新たな疾病なのか業務上なのかという調査をするという立て付けで考えておりますので、今の御質問であれば後者かと思います。
○城内座長 それでいかがでしょうか。
○明石委員 そこは分かりましたが、そういう意味合いが出るように書いてください。「把握した」というと、多分、事業者としては業務上で複数出たと思ってから出すのではないかと思うのです。ですので、業務上との関連は後ほど労働局等が調べるので、そういう疑いがある場合には出してくださいというようなことが、意味合いとして通るようにしていただかないと、文言としては「把握した」は大きいと思います。
○城内座長 「同種のがんに罹患したと疑われる」などのほうがよろしいのでしょうか。でも、それだと少しはっきりしなくなりますか。非常に重要な部分なので、後で事務局にお任せしますということにはしたくないので、ここはどうしても皆さんから御意見を出していただいて、満場一致ができなければ決を採るという。大前委員、どうぞ。
○大前委員 今、委員長がおっしゃった罹患したことが疑われたというのは、逆に因果関係を示す表現になるので、むしろ把握だけのほうが客観的でいいと、私は思います。
○城内座長 いかがでしょうか。三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 まだ確信は持てていないし、先ほど別に、同様の御意見が尾崎委員からありましたけれど、本来、例えば産業医等の衛生管理の専門家が産業保健業務を行うときに、同じような場所で似たような疾病なりが起きていれば、まず疫学的に何かあるのではないだろうかと疑うのが、そうした専門家の基本的な手順ですよね。ですので、このケースでも同種のがんに罹患したことの把握というのは、本来は専門家を絡めて、蓋然性というか、可能性を疑うというのが、恐らく事業場の中での手順なのではないかと思います。
日本の企業の場合、確かに多くの事業場が診断書等の生データを手に入れているというデータは持っていますが、ただ、それが同種かどうか素人に見分けが付かないと言われればそのとおりなので、やはりそこで、その事業場内の産業保健の専門家等の確認を得て、ここに「その意見を聴取した上で」というような一文が加わってもいいのかなとは思います。余り仕組みが複雑になり過ぎてもいけないのですけれども、非常に重要なポイントではあるので、専門家を活用する手順を書き込むというのはありかなと思います。
○城内座長 いかがでしょうか、今の御意見について。
○明石委員 今の三柴委員の御発言に対しては、是非そういう一文を置いていただいたほうが、これは主語が事業者だと、そういうことを書いていただくことによって、より明確になりますので、是非、置いていただいたほうがいいのではないかと思います。
○城内座長 大前委員は、よろしいですか。
○大前委員 はい、結構です。
○城内座長 それで皆さん、合意は可能でしょうか。
(異議なし)
○城内座長 ありがとうございます。では。
○中村課長補佐 ちょっと、よろしいですか。
○城内座長 はい。
○中村課長補佐 頂いた御意見について、ちょっと1つだけ気になるのが、産業保健スタッフがいない中小も非常に多いと思うので、「産業保健スタッフがいる場合は、そういう手続きを」みたいな書き方のほうがいいかなと思います。
○三柴委員 私も、そこは気になりながら発言したのですが、「中小の場合は今までの例に倣って、産保センターを活用する」とか、そういうことを一言、ガイドライン等では触れてもいいかと。
○城内座長 合意はできたと思うのですが、最後までに、その案文はできますか。
○中村課長補佐 分かりました。
○城内座長 私は今日の会議は後に引きずりたくないので、どうしても。では、そのほかに御意見等ございませんでしょうか。報告書案について。
○尾崎委員 ほかの案件でもいいですか。
○城内座長 はい、ほかの案件でも、お願いいたします。尾崎委員、どうですか。
○尾崎委員 最後の検討会ということなので。今後、化学業界の各個社が実行段階に入ることを想定して、細かい意見や要望を発信することを御容赦願いたいと思います。
まず8ページ目の化学物質、1,800物質の義務化というのが、令和3年から令和5年という形で段階的に義務化されるのですけれども、ちょっと以前の資料、別紙か何かで付いていたと思うのですけれども、ここの本文部分の中に入れていただきたいなと思っているのは、令和3年に250物質の義務化完了というのをうたっておりますけれども、これは令和3年から3年間ということの猶予が与えられているという、そういう意味ですよね。
ということなので、猶予期間をこの本文の中にも記載いただきたいなと思っております。何か数回前の別紙で、横軸に箱がたくさんあったものが斜めに動いているという、そういう図があって、3年というデッドラインみたいなものがあったと思うのですが、それがなくなってしまった以上、今はこの本文で、その3年猶予というのがちょっと読みづらいなと思って、発言をさせていただきました。別紙が付いているときは非常に分かりやすかったのですけれども。
○中村課長補佐 例えば、この文章に図を追加してしまうとかでも、よろしいでしょうか。
○尾崎委員 図があれば別にいいのではないかと思います。ここが、別紙がなくなった途端に、3年猶予というのがどこかに飛んでいっているので、ちょっとここを残すか、別紙を付けるか、文章に入れるかということです。
○城内座長 別紙、事務局としてはどう対応できますか。
○中村課長補佐 何か恐らく文章で書くと、また分かりづらいかなと思うので。一度お示ししている図をこの中に入れ込むということでよろしければ。
○城内座長 ほかの委員の方、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○城内座長 では、そのようにお願いします。その次は何でしょうか。
○尾崎委員 その下のほうの「国が示す基準(ばく露限界値(仮称))以下とすること又は同基準が示されていない物質についてはなるべく低くすることを義務付ける」とあり、その下にaからdとして文言が書かれています。やはり、読み手によっては、対策をどこまでやらなければならないのかということが、少し分かりづらいなというのがあると思うので、事例などの具体例を挙げて示されたらいいのではないかなと思っています。特に、bの「機械設備の密閉化」はどこまでやるのかということとか、dの「管理の徹底」という、漠と書かれているところがありますので、ここに関しては具体例を示していただいたほうがいいのかなと。だから、これも別紙になるのかもしれません。
それから、続けてもよろしいですか。
○城内座長 はい。
○中村課長補佐 例えば、この報告書がまとまって、制度改正をするということになれば、多分いろいろなパンフレットとかを出していくことになると思いますので、そこに分かりやすく書くというイメージでもよろしいでしょうか。
○尾崎委員 おっしゃるとおりだと思います。それから10ページ目の、これは要望に近いのですけれども、やはり「化学物質のメーカー、保護具のメーカー、研究機関等の協力を得て調査研究、収集し、公表・共有する」ということですが、国が中心となってということなので、是非ここに関しては、お願いしたいなと思っております。
それから、先ほどもちょっと話が出ましたが、11ページ目の一番下の所ですが、「(産業医がいる場合はその意見を参考とする)、事業者が決定することとし」と書いてあるのですけれども、やはり個差で、中小企業にとっては、これは非常に厳しいので、判断基準をどうするのかとか、先ほども話が出ましたが、産保センターとか、そういう所に相談したほうがいいとか、そういう、本文には書く必要はありませんけれども、そのようなガイドラインを作っておいたほうがいいのではないかなと思います。
それから、12ページ目の化学物質管理者と保護具着用管理責任者のところに関してなのですけれども、化学物質管理責任者のところの教育体制、ちょうど下から3分の1ぐらいの所に、「必要な知識・技能を付与するための教育体制を整備するとともに」とありますが、その文章が、下の保護具着用管理責任者のほうにはないので、やはりある程度の教育をして、その下のスタッフや部下に情報を伝達する指示・命令をしていくということは非常に重要なので、これに関しても教育体制の充実というものが必要になってくるのではないかと思っております。
それから13ページ目の、ちょうど真ん中ぐらいに、マル4早期のラベル教育の実施という項目があるのですけれども、文科省のほうにお願いするのは面倒くさいというのがあるのかもしれませんが、ラベル教育の導入に当たっては、やはり、その上位概念にリスクアセスメントの考え方というのがあるわけです。ルールもなくラベルを作っているわけではなくて、「こういう考えがあってリスクがあるから、こういうラベルを作るんですよ」という関連性というか、リスクアセスメントの概念を併せて教育したほうがいいのではないかということです。
あとは、15ページ目の上の4分の1ぐらいの所ですが、発がん性とか重篤な障害につながる急性毒性に関わる情報は速やかに川下の業者に伝達する仕組みを構築してもらいたいなと思っています。これは、ある個社からの意見というか、そういう要望がありましたので、ここでお伝えしたいと思います。
それから、16ページ目のインフラの整備です。これも本当に要望になってしまうのですけれども、ちょっとここは長くなって申し訳ないのですが、やはりリスクアセスメントが苦手な中小企業から始まって、設備に問題があったりする所では、やはり設備を改善した良い事例というものが日本のどこかにあるはずなのです。
リスクアセスメントをしっかりとできる化学メーカー、これは手前味噌なのですが、日化協のほうでは、先週、2020年のリスクアセスメントの表彰をやったのです。だから、ある個社のほうからリスクアセスメントをちゃんと作って、マクロとかアクセスでデータベースを作って、これをしっかり回しましたと、そういうシステムができましたという仕組みがあるので、そういうものをまず国として知った上で、それを展開していくなり、設備が悪いのであれば、それを改造していく。金額も併せて、これだけ改造費が掛かって、このように変わりました、良くなりました、職場の環境が良くなりました、そういうグッドプラクティスのような事例とか、あとは、先ほど言いました保護手袋の話、こういうときにはこういうものを使ったほうがいいというようなデータを含めたところで、それを示すようなものなどです。
最後は、これも手前味噌になってしまうのですが、日化協は表示ラベルのガイドラインというものもお示ししますので、こういったいろいろな所の力を全部結集して、厚労省のほうに全部集めて、そこから、そこに覗きに行って、それを活用するというような、そういったインフラを是非作ってもらいたいなと思っていますので、是非よろしくお願いします。
あと、ちょっとこれは重い話になってしまうのですけれども、やはり現在は、そのラベル表示のところで、ラベル表示というか化学物質の含有量から化学物質の表示に関して、10%刻みで記載を容認していただいておりますけれども、本件に関しては、もう少し丁寧な対応が必要ではないかと考えており、追加の議論をお願いしたいなと思っております。
濃度記載の変更に関しては、ものすごく大きな変更なのです。多分、現場の混乱が予想されるということです。10%刻みではない濃度を記載する化学物質に関しては、濃度を特定する必要のある化管法や特化則等で、除外項目以上の濃度を含有する場合に限定するとか、そういった配慮を是非お願いしたいと思います。そこの表示を変えると、当然そのSDSを作る所、ラベルを変える所もそうですけれども、その原料を使っているお客さんのほうにもそれがはっきりして、ここで情報のキャッチボールのやり取りを始めるわけです。1個変わるということは、そういう意味なので、是非、今までと同じような表示方法をするなり、若しくは追加の議論をお願いしたいと思います。ここに関しては、現状保持というか、そのような意見が非常に多くございました。長くなりましたが、以上です。
○城内座長 ありがとうございました。事務局のほうから、今の御意見に関して何かございますでしょうか。
○中村課長補佐 いろいろ御要望を頂いたことにつきましては、我々も今後の運用に向けて、インフラもそうですし、教育もそうですし、そういうものはきちんとやっていきたいと思っております。この報告書そのものの修正は、恐らく先ほどの図を入れるという部分の御意見かなと理解しております。最後の10%刻みにするかどうかというのは、中身の議論ですので、城内先生のほうにお願いできればと思います。
○城内座長 最後の10%の件は、今までは、10%刻みでよいことになっていたのですが、それはこの会議の中で、それだと情報がちゃんと伝わらないかもしれないというようなこともあって、GHSの基準でやっていきましょうという結論が一応得られているのですが、それについて何か御意見等ございますでしょうか。今の尾崎委員の御意見は、少しそうではないほうがいいのではないかという御意見だったかという気もいたします。
○漆原委員 このときの議論では、ここに記載の通り、有機則、特化則にあるような対象物質の10%の省略は認めるべきでないということや、その含有量の情報伝達の話なども議論したと記憶しています。私どもは、この事務局から提示しているものでいいのではないかと思っております。
○城内座長 これは、私から意見を述べました。10%刻みとか、10%以下は記載しないというのは最初の案だったのですが、GHSでは、危険性・有害性を伝えましょうという大原則があり、成分も表示するという事になっています。そこが崩れると、こういう危険性・有害性がありますというのは、製造メーカーから最初に出て、パーセンテージが10%刻みだとしても、最初のSDSはちゃんと書かれると思うのですが、そのSDSを基にして別の業者さんが、それでまたSDSを作り、2回目3回目、それが続くと、もうほとんど危険性・有害性が分からないようなSDSになる可能性があります。そういう懸念があって、10%以下は記載しなくてもいいとか、10%刻みというのは余りにも情報伝達においてはでたらめになるので、反対をしたという経緯があります。
今までもそうですが、SDSの情報を基に、リスクアセスメントをしましょうとか、危険性・有害性を見ましょうというように、日本では進んできました。でも実際に、危険性・有害性を調べて作業者の健康を守るとか、危険性・有害性を他者に伝えるときには、SDSだけでは足りないのではないかということも、実は思っています。そういうことを考えて、現状の日本で、SDSに頼っているのであれば、やはり危険性・有害性の情報、成分と重量のパーセント(含有量)は、やはり担保する必要があるのではないかというのが私の意見でした。今、漆原さんも同じような御意見だったので、こういう赤字の記載になったという経緯があります。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。報告書のままということで。ほとんどの委員の皆様からは、うなずきが得られたと思いますので、そのようにしたいと思います。尾崎委員、いかがでしょうか。
○尾崎委員 今、システマティックに現行の企業さんたちはやられているので、そこを変えるとなると、やはり相当な労力がかかるということをちょっと発言させていただきたいと思います。
○城内座長 では、申し訳ありませんが、報告書のままでということで、よろしくお願いいたします。
○尾崎委員 ちょっと忘れていました。あと、事業場内でのラベル表示に関して、これは別紙資料の11ページになるのですけれども、「化学物質の危険性・有害性に関する情報の伝達の強化」ということで、「移し替え時等の危険性・有害性に関する情報の表示の義務化」ということで、大きな容器から小分けして、事業場内で保管するということなのですけれども、このラベルについては、やはりJISのZ7253には、作業場内での表示の代替方法として作業指示とかラベルに記載された情報を作業場に掲示するとか、あと、ラベルの一覧の備え付けというものが、うたってありますので、必ず小分けしたときにはラベルを貼れというのは、ちょっとやり過ぎかなと。やり過ぎだし、そこまで多分できないのではないかなと。現場感覚だとこのような形でもできるかもしれませんけれど、やはり現実としては、分析用の30ccのサンプルとして採ったものに、そういったGHSラベルを貼れるかといっても貼れなくて、もし貼ったら中が見えなくなるとか、そういうこともありますので、是非ここでは、JISのZ7253の5.3.3のところの代替方法を容認していただきたいなと思います。
○城内座長 事務局、どうぞ。
○中村課長補佐 今の点については、15ページのウの(ア)の部分かと思いますけれども、これは検討会で議論したときにも、ラベル表示の方法に限定されてしまうと現場は厳しいという御意見もあって、今の表現のように「ラベル表示その他の方法」ということにさせていただきましたので、方法としては、現場でできるいろいろな方法を使っていただいて、最終的に情報が伝わればいいというところを担保できればいいかなと思っておりますので、今の報告書でも、一応そこは含めて書いているつもりでございます。
○尾崎委員 分かりました。
○城内座長 これはペットボトルに有機溶剤を入れて、冷蔵庫に入れておいて、それを飲んだ人が結構いたというところから来ている話ですので、例えば、一人で小瓶に分けるときはラベルの表示は要らないじゃないかというのは、当初からのコンセンサスがあるように思いますので、うまく運用していただければいいと思っています。
あと、そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。三柴委員、お願いします。
○三柴委員 今回せっかく練った化学物質管理の再編プランですので、これを現場に浸透させるために、やはりその行政資源がどう動くかというのは非常に重要になると思います。あくまでイメージですけれども、重点監督月間みたいなものを、化学物質管理について打ち立ててもいいのではないかなというぐらいに思っております。
そこで、今回の再編の趣旨をきちんと説明してもらうということで、例えば監督官とか専門官に対しては、労働大学校等できちんと伝える。伝えて現場に落とし込んでいただく内容の重点は、恐らくリスクコミュニケーションが基本になるから、各事業場で体制をきちんと組んでいるかということと、情報を取っているかという、この2点が多分、重要になると思うのです。そこを監督官から、きちんと監督指導していただくように設定するという、ある意味けじめという北風の部分と、一方で、そのやり方はかなり自由になるのですよ、結果を出してくださいね。その代わり、やり方は自由になるんですよという、太陽の部分とをセットにして、現場に浸透するようにしていただきたいと。そのことで多分ピリッとして、この再編プランが生きてくるのではないかと思っています。以上です。
○城内座長 明石委員、お願いします。
○明石委員 ありがとうございます。すみません、11ページの赤くなっているマル4の所、ちょっと日本語の問題なのですが、3行目に「監督署長が必要と認めた事業場は」という書き方になっているのですけれども、ここは報告が必要なのだと思うので、「報告が必要と認めた事業場は」にして、最後を「届け出ること」ぐらいにしたほうが、事業者としては分かりやすくて、文章としては分かりやすいのではないかなと。「必要と認めた事業場は」と言われると、何か存在自体が必要なのかどうかみたいなことになるので、そこはちょっと書き直したほうがよろしいのではないかなと思います。
○城内座長 いかがですか、事務局。
○中村課長補佐 確かに、これはちょっと日本語がいまいちかもしれなくて、何が必要かというところが書いていないので、そこはきちんと書くようにしたいと思います。
○城内座長 では、お願いします。そのほかはいかがですか。報告書についての御意見が大体出そろったようであれば、さきほどの案文の候補をお願いします。
○樋口課長補佐 では、20ページの先ほどの(イ)の所なのですけれども、まず、たたき台の案ということで、「発がん性区分がある」という最初の文言については落とさせていただいて、そのあと、「化学物質を取り扱う同一事業場において、複数の労働者が同種のがんに罹患したことを把握した場合は、業務との関連性を解明する必要があるため」までは同じで、その後に「事業場の産業保健スタッフ又は地域産業保健センターの医師の意見を踏まえ」というのを入れて、所管労働局に報告することを義務付け、以下同じ」というようにしてはいかがでしょうか。
○城内座長 いかがでしょうか。明石委員、いかがですか。
○樋口課長補佐 ちょっとお待ちください。
○城内座長 はい。
○中村課長補佐 では、すみません。一旦5分ぐらい止めて、ちょっと先生と案を練らせていただいてもいいですか。
○城内座長 5分間休憩にしますか。
○中村課長補佐 はい。
○城内座長 申し訳ありません。では、20分頃から始めます。では、休憩にさせていただきます。申し訳ありません。
(休憩)
○城内座長 少し時間がかかって申し訳ありません。なるべく皆さんの御意見を反映させるように正確に書きたいなと思っています。難しいので少し考えております。よろしいですか。では、案文をお願いいたします。
○中村課長補佐 申し訳ありませんが、口頭で申し上げます。20ページの(イ)がんの集団発生時の報告の仕組みの部分です。先ほどのように、冒頭の「発がん性区分がある」というところは消して、その後の文章を「化学物質を取り扱う同一事業場において、複数の労働者が同種のがんに罹患し、外部機関の医師が必要と認めた場合、又は事業場の産業保健スタッフが同様の事実を把握し、必要と認めた場合は」とし、そのあと「業務との関連性を解明する」につなげるという案ではどうでしょうかという御提案です。
○城内座長 外部、内部にかかわらず、医師がそのような必要を認めた場合ということになると思いますが、いかがですか。よろしいですか。明石委員、いかがでしょうか。
○明石委員 はい。
○城内座長 よろしいですか。ありがとうございます。そのほかの委員の皆さんはよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのように。
○中村課長補佐 1点だけ、よろしいですか。
○城内座長 はい。
○中村課長補佐 先ほど、産業保健スタッフと申し上げましたが「産業医」としたほうがいいかなと思いましたので。
○城内座長 それでよろしいですか。
○中村課長補佐 はい。多分、衛生管理者などは判断できないと思います。
○城内座長 それでよろしいですか。ありがとうございます。では(イ)がんの集団発生時の報告の仕組みについては、そのように修正をお願いいたします。そのほか、全体に関して御質問、御意見等ありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、一応、報告書(案)はまとまったということで、ありがとうございます。今日、最後ということなので委員の皆様から一言ずつ御発言を頂きたいと思っております。髙橋委員から順番にお願いいたします。
○髙橋委員 委員として参加させていただきまして、私もいろいろと勉強させていただきました。どうもありがとうございました。今回の委員会の内容を経て、今後、化学物質の管理の仕方がかなり大きく変わると認識しております。今後、これを周知していただくということですが、目的は労働災害を減らすことだと趣旨にも書いてありますので、その目的を揺るがすことのないように、しっかりと周知をしていただきたいと思います。自律的管理を行うのだという、そのキーワードが出てしまうと、仕組みを変えることが目的化してしまい趣旨がずれてしまいますので、労働災害を防止するためにこれをやるのだということで、是非、周知を行っていただきたいと思います。
やはり、こういった仕組みが変わっても、結局、現場任せ、他人任せになってしまい、これまでと何ら変わっていない状況が発生してしまうのが労働者側としては一番懸念するところです。今回、この中に書かれておりますが、衛生委員会をはじめとする管理体制を築き、その中で労使がしっかりと議論を行い、そこでの判断を基に管理を行っていくという仕組みに変わると認識しておりますので、そういったことを踏まえて、企業や労働基準監督署にも周知をお願いしたいと思います。
化学物質が適正に管理できるかどうかは、やはり企業によってかなり差があり、特に中小においては、人的、経済的な制約も大きいと思いますので、それぞれの企業に適した方法、そこで働く労働者の皆さんの健康と命がしっかりと守られるように、引き続き、行政からの情報や専門家の支援、指導をお願いしたいと思っております。
最後に、衛生委員会の中で労使の管理状況をモニタリングすることが義務付けられると書いてあります。そういった意味では、労働組合の役割や責任も重くなると思っております。ですので、労働組合の立場からも現場の労働者の命と健康を守るのだという当事者意識を持って、しっかりと会社と真剣に議論を行い、管理が進められるように、私どもとしても周知をしていきたいと思っておりますので、今後ともお願いしたいと思います。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。中澤委員、お願いいたします。
○中澤委員 中澤です。長期間にわたり参加させていただき、ありがとうございました。私は化学物質の有用性を認めつつ、労働災害を防止していくにはどうしたらいいのかという観点で参加させていただいておりました。
先ほどのお話にもありましたが、中小の中には、人的あるいは資金的といったいわゆる経営資源にも限界がある中で、この報告を基に様々な施策等が展開されることを期待しているところです。国の支援の充実等々について御配慮いただければ有り難いと思っている次第です。自律的な管理を基本とする仕組みへの転換に向けて、すべての関係者が化学物質に対する理解を深めることがまず大事だと思っておりますので、引き続き、よろしくお願いしたいと思っております。ありがとうございます。
○城内座長 名古屋委員、お願いいたします。
○名古屋委員 検討会に参加させていただき、ありがとうございました。平成22年のあり方委員会で検討したときに、化学物質管理支援事業における簡便なリスクアセスメント手法の開発、個人ばく露濃度の測定の導入、作業環境測定の結果を踏まえた労働衛生管理の推進、局所排気装置の性能要件の柔軟化、作業環境測定の評価結果の労働者への通知、今回も検討項目にありました局所排気装置等以外の発散防止抑制方法の導入など、いろいろな検討項目が検討されており、結果的にその検討項目がその後多く法令化されていて、すごく良い成果を生んでいます。ただ、検討項目で化学物質管理支援事業における簡便なリスクアセスメント手法の開発等のリスクアセスメントに関する事項が、その後十分な成果を上げていなかったように思っていたのですが、それを今回の検討会では、前回以上に踏み込んだ議論により自律的な管理を基軸とする規制に移行する事等素晴らしい成果だと思います。ただ、一筋縄ではいかないなかなか難しいことが沢山あると思いますが、将来的に前回のあり方検討会のように良い成果が期待できるのではないかと思っております。
個人的には、最後の砦であった呼吸用保護具の法制化への流れができるということ、あとは、先ほどありましたように発散防止抑制措置が粉じんでも選択できる仕組みができたことは、大変うれしく思っております。ありがとうございました。
○城内座長 三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 長期にわたり本当にお世話になりました。私からは最後に1点で、私自身は、いわば法社会論者として参加させていただいており、この検討会の原点を考えると、特に中小企業で特別規則外の災害が起きた場合にどうするかということだったかと思います。そうすると、以前にも申し上げましたが、中小企業の責任者は大体、罰則、メリット、分かりやすい、社長の考えに合っているという、この4つが効き目を持つということかと思います。
社労士などは割とそうした事業者のニーズに寄り添って仕事をしている方が多いことを考えると、北風の部分では、どうしても監督官なりの威力、影響力が重要と思われます。今回練ったプランをどう落とし込むかということについては、引き続き、我々もそれぞれができることを探っていかなければいけないなと思っている次第です。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。宮腰委員、お願いいたします。
○宮腰委員 宮腰です。これまで15回にわたり検討会に参加させていただき、非常に勉強させていただいたと思っております。特に、趣旨の中で一番最初に出てくるオルト-トルイジンという物質に関しては、JEC連合に加盟している単組の方たちの中でも、この被害になった方たちはまだかなり存在しております。そういった部分では、このような人たちを二度と出さず、極力減らしていくために、この検討会があったと思っております。ここでまず、一つの形ができたと思っておりますが、現場で働く人たちは専門家ではないです。扱っている物質は分かっていますが、それがどれだけ危険か分からずに作業している人たちも結構いると思っておりますので、これをいかに、分かりやすくなるような制度にしていくか、今後も継続して検討していただきたいと思っております。私からは以上です。
○城内座長 ありがとうございました。明石委員、お願いいたします。
○明石委員 ありがとうございます。最後までお騒がせして、大変、申し訳ありませんでした。事業者側の人間がこのようなことを言うとはばかられますが、日本の企業は自律的に余り慣れていないのではないかと思っております。ある程度のところから自分たちでルールを作ってというのは、頭では分かっていてもなかなか踏み出せないというのが日本の企業のあり方なのではないかと思っております。
そのような意味では、やはり行政の皆さん、それから労働者の皆さんにも御協力をいただかないと、折角のこの画期的な自律的管理が進んでいかないと思っておりますので御支援のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 長い期間この化学物質の管理に関する検討をしてきました。最後にこの場で結論を得ることができて良かったと思っています。今、明石委員も御発言されていましたが、自律的管理をいかに現場に浸透させるかということが、今後、肝になってくるかと思いますので、教育訓練あるいは必要な支援策もそうですが、政府としても法令改正だけではなく、そのための十分な予算措置も行い、必要な支援・周知が中小企業にわたるまで、十分に対策を行っていただくことが重要であります。自主的管理は、現場の訓練や教育・啓発があってはじめて実現できるものだと思っております。正に、これからが大切な局面だと思っております。労働組合という立場でできる限り頑張っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○城内座長 大前委員、お願いいたします。
○大前委員 途中でコロナという問題があって一時議論が中断といいますか、延びたところがありました。本来ならもっと早く1年ぐらい前に結論が出たのだろうと思います。私自身は、中立的な立場で、今まで実際に現場で様々な調査等々をしてきた経験も踏まえ、自分の反省も踏まえてですが、自由に意見を言わせていただきました。そのような意味では、非常に御迷惑をかけたかもしれません。少し自由に意見を言い過ぎたかなという気もしております。
いずれにしても、リスク管理という考え方を入れた時点で、もう既にこのようになるのだろうということは、もう20年ぐらい前に、入れた時点で想定はできたと思います。それで今回、初めてそれが表立って自律管理ということで議論されたことは非常に良かったと思います。恐らく、この方法でなければ化学物質の管理は現実的にはできない。幾ら行政が頑張っても、もう7万もあるような物質を管理することは不可能なので、このような方向でいくような検討結果が出たということは非常に良かったと思います。
今、皆さんが言われましたように、これをいかに実をつけていくかというのは、これからの大きな問題だと思っています。個人的には、暫定ばく露限界値の議論が止まってしまったと、実質上は90数%を占めるような化学物質に関しては、取り立てて何らかの規制値とは言いませんが、勧告値と言いますか、それが作れなかったのは非常に残念に思いますが、これはもう継続の議論になっておりますので将来的には継続されると思います。そのときの一つの反省点は、500ppmという数字を私はひょこっと言いましたが、500ppmはすごく甘い数字だなと後で反省し、500ppmはまずかったなと今は思っております。どうもありがとうございました。
○城内座長 ありがとうございました。尾崎委員、お願いいたします。
○尾崎委員 私は14回、15回の2回のみ参加させていただきましたが、その分、今日は長くしゃべらせていただきました。ありがとうございました。日本の化学業界の底力というのは、これから汎用の世界から、どちらかというと機能製品にシフトすることが予想されます。今日も議論になりましたが、ばく露限界値、物質が爆発的に増えていくことが予想されますので、是非、このばく露限界値を積極的に公表していくことが、これから大事なことであり、また、財務的、人的情報の脆弱な中小企業を、大企業と中小企業が二極化しないように、これから実行ベースでサポートしていく必要があるのではないかと、ここが重要ではないかと思っております。ありがとうございました。
○城内座長 ありがとうございました。私からも一言。数十年間、いわゆる法令準拠型で日本の労働安全衛生が進んできましたが、ここでやっと自主管理というか自律管理型に変わるということで、これは本当に大変革だと思っています。
概念としては欧米に追い付くことになるとは思いますが、私は欧米のシステムよりもっと良いものができるに違いないと思っています。例えば、産業環境測定も数十年の歴史があり、健康診断もものすごく蓄積があります。そのようなものを上手く組み合わせていけば、多分きめの細かい労働安全衛生システムの自主管理ができるのではないかと思っております。ハザード情報に基づいたリスクアセスメントが基本だと思いますが、それが日本では、もっときめ細かくできるだろうと信じています。
ただ、これを進めるためには、今後、法令改正に携わる皆さんもそうですが、相当、頑張らないと、多分、かなり反対意見も出てくると思っています。反対意見というのは、何を変えるときでもそうですが、200でも300でも幾らでも出てきます。ですが、それをブレイクスルーするときは、たった一つの理由だけでよくて、それをいかに言い続けるかということも私は大事だと思っております。
実は、それはGHSのときもそうでした。反対意見は100、200あっても、基本的に労働者に危険性・有害性を知らせることがないと何も先に進まないのではないですかということだけで来ました。多分、この自主管理も同じような理由付けでブレイクスルーすると思っています。そのためには、行政担当の方もそうですし、我々もそうですが、多分、ぶれてはいけないのです。労働者の健康を守るためにはこれしかないでいくしかないと思っています。そのためには、法律が施行されても、その先10年ぐらいは我々が頑張り続けなければいけないのだろうと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。私からは以上です。事務局にお返しします。
○中村課長補佐 ありがとうございます。今日、最後なので安全衛生部長から簡単に御挨拶をしたいと思います。よろしくお願いします。
○安全衛生部長 皆さん、大変ありがとうございます。15回にわたる検討会ということで、これを思い返しますと、私は8回からなので後半の半分でした。むしろ私から挨拶するよりは、ずっと携わってきた事務局の者から御挨拶をさせていただいたほうがいいのではという気がしつつ、代表して私から御挨拶させていただきます。
15回の検討会で長く御議論いただいたこともあり、今日も最終日で、もう16時近い時間になっておりますが、非常に熱心な御議論をいただきまして大変ありがとうございます。このように熱心な御議論をいただくことも、やはり化学物質による労働者の労働災害を防止していくために何をすべきなのかということと、どうすれば現場でうまく回っていくのかということ、同じ方向に向かいながら、どうしたらいいのかを真剣に議論いただいた結果だと思っております。
特化則等々により化学物質の管理の仕方を規則で決めていくという方向からリスク評価をして情報開示し、自律的にその管理をする制度を、今、正直、本当に大きく転換する御提言をいただいていると思っています。そうすることによって国の果たす役割が低減するとは思いませんが、むしろ国がこのようなリスク管理のあり方を省令等々で決めていくことから、むしろ、いろいろなスタンダードを作って、それをいろいろな形で公表していく、情報を提供するなど、できるような形での体制をどのように作っていくのか考える、また、国の果たすべき役割も変わってくると思いますし、何よりも自律的管理ということで、専門家のお力もそうですが、やはり現場で労使がどのように取り組んでいただけるのかが非常に大きな重点となってくると思っております。皆さんにしっかり取り組んでいただく、国と一緒になって一つの方向に向かって進んでいただけることを大変期待しており、お願いしたいと思っております。
この報告書がまとまったことを受け、私どもは法令や通達等で何をするかといったことを整理しながら制度化につなげていく運びになるという想定をしております。省令でどうするか、安衛法の体系の中では、必ずしも法令でなくても、いろいろな形でenforceをする仕組みもありますので、何をすれば現場が一番うまく回っていくのかを考えながら、化学物質による労働災害を無くしていくという目的のために少しでも進むことができればと思っております。座長からもありましたが、今後もいろいろな意味で皆様のお力添えを頂くことが多くあると思います。この15回の検討会を踏まえて、皆で一緒になって1つの方向に進んで行こうという目標ができましたので、引き続きの御指導をよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○中村課長補佐 委員の皆様、2年間どうもありがとうございました。城内先生、座長をずっと勤めていただいて最後まとめていただきまして、ありがとうございました。これをもちまして検討会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。