令和3年9月10日 第68回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第17回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和3年9月10日(金) 13:00~15:00

場所

WEB会議(厚生労働省 専用第21会議室(17階))

議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより、第68回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和3年度第17回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
御発言される場合は、まずお名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、またはあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。現在、副反応検討部会委員9名のうち8名、安全対策調査会委員6名のうち5名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
なお、全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
石井委員、永井委員より途中退席となる旨の御連絡をいただいております。
また、永井委員と佐藤委員が遅れているようです。
また、本日は議題1「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等について」の関係で、武田薬品工業株式会社から日本開発センターファーマコビジランス部の林正晃さんに御参加いただいております。武田薬品工業からは、そのほか、品質、安全性の担当者も御同席いただいていると伺っております。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は、退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
本日の座長につきましては、岡安全対策調査会長にお願いしたいと思います。
それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○岡座長 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項について御報告をお願いします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
本日御出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
本日の議題において審議される品目は新型コロナワクチンであり、その製造販売業者はファイザー株式会社、武田薬品工業株式会社、アストラゼネカ株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。
各委員からの申告内容については事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、全ての委員においてファイザー株式会社及びアストラゼネカ株式会社より50万円を超える受け取りはございませんでした。宮川委員が武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、意見を述べることはできますが、議決に参加いただけませんことを御報告します。
なお、本日の審議対象ワクチンの製造販売業者ではございませんが、現在開発中の新型コロナワクチンも含め、関連する製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取状況について各委員より申告をいただいておりますので、この場で御報告いたします。
石井委員、宮川委員からは第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○岡座長 次に、事務局から本日の配付資料の御説明をお願いいたします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1から1-7-2、資料2、武田薬品工業株式会社提出資料、参考資料1から8-7までになります。
不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○岡座長 それでは、議題1「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等」について、まずは資料1-1-1から1-5-1について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 まず資料1-1、1-2を用いまして、対象期間中の副反応疑いの報告状況について御報告いたします。
資料1-1-1「予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について」を御覧ください。
まず、今回の集計対象期間ですが、令和3年8月22日報告分までとなっております。
2ページ目を御覧ください。マル1、週別報告件数の一番下の部分、合計(2021年8月22日現在)の行を御覧ください。8月21日からバキスゼブリアの接種が開始されておりますので、今回の資料からバキスゼブリアの集計も追加しております。
まずコミナティです。8月22日までの推定接種回数は1億180万9021回接種。高齢者の内訳につきましては、表の下の注釈が並んでいる部分の3つ目の※の部分に記載しております。副反応疑いの報告件数は2万1381件、報告頻度としましては0.02%で、前回と同一の値となっております。うち、重篤の報告件数が3,961件、報告頻度としましては表記上0.00としておりますが、0.0039%でして、前回報告時点の0.0041%からほぼ同一の値となっております。死亡事例につきましては、後ほど製造販売業者からの報告事例も踏まえまして、資料1-3-1にて御説明いたします。
続いて、表を右に行っていただきまして、モデルナでございます。8月22日までの推定接種回数が1650万1085回、副反応疑いの報告件数が2,075件、頻度としては0.01%で前回と同一の値でございます。うち、重篤の報告件数は249件で、頻度としましては0.002%となりますが、表記上は0.00としております。死亡事例につきましては、後ほど資料1-3-2にてまとめて御説明いたします。
さらに右に行っていただきまして、バキスゼブリアでございます。8月22日までの推定接種回数が35回接種、対象期間中に副反応疑い事例の報告はございませんでした。また、バキスゼブリアにつきましては、死亡とTTS疑い事例については、集計対象期間後、今回の場合は9月3日までとなりますが、そこまで集計し公表することとしておりましたが、いずれも報告はございませんでしたので、以降の説明の中では省略したいと思います。
続いて5ページ目、マル4、副反応疑い報告の報告基準別報告件数を御覧ください。報告基準に定められた症状を集計した表となります。
まずアナフィラキシーですが、8月22日までにコミナティで2,091件、モデルナで280件のアナフィラキシー疑いの事例が報告されております。
続いてTTSですが、8月3日以降集計しておりまして、コミナティで18件の報告がございました。
続いて、資料1-2-1「薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について」を御覧いただければと思います。
こちらも集計対象は8月22日報告分までとなっておりまして、2ページ目のマル1、週別報告件数の表の一番下の部分、合計の行を御覧いただければと思います。
まず一番左のコミナティですが、報告件数としましては1万1522件、報告頻度としましては0.01%で、値としては前回と同一となっております。死亡事例は後ほど御説明したいと思います。
続いて、真ん中のモデルナでございますが、副反応報告につきましては747件報告されてございます。表記上0.00としておりますが、頻度としては0.0045%でございました。死亡事例は後ほど御説明いたします。
右のバキスゼブリアは報告自体ございませんでしたので、割愛いたします。
3ページ目を御覧ください。
報告基準別の報告件数をまとめておりまして、アナフィラキシー疑い事例につきましては、コミナティで2,372件、モデルナで199件報告されております。
TTS疑い事例に関しましては、コミナティが7件、モデルナが0件となっております。
両事象ともブライトン分類の評価も実施しておりますので、後ほど御説明したいと思います。
資料1-3-1「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(コミナティ筋注)」をいただければと思います。
コミナティの接種後死亡事例について御報告いたします。
1ページ目の「1.報告状況」の部分でございます。前回の集計対象期間以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、医療機関または製造販売業者から死亡として報告された事例が新たに90件ありまして、8月22日までに報告された事例につきましては1,076件となってございます。なお、こちらの数字は重複と取下げ事例を除いた数字でございます。
2つ目の○の部分でございます。なお、状況に加えまして、集計対象期間外となりますが、8月23日から9月3日まででありますとさらに51件報告があったという状況でございます。
「2.専門家の評価」の部分でございます。8月22日までに報告されました1,076事例を対象に、ワクチンと死亡との因果関係について専門家の評価を実施しておりまして、結果としましてはβが7件、γが1,069件となってございます。
続きまして、資料1-3-2「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(COVID-19ワクチンモデルナ筋注)」を御覧いただければと思います。
モデルナの死亡事例について御報告いたします。
1ページ目、「1.報告状況」の部分でございます。前回の集計対象期間以降、医療機関または製造販売業者から報告された事例が新たに6件ございまして、接種開始以降8月22日までに報告された事例は計17件となっております。なお、集計対象期間外となりますが、23日から9月3日までに報告された事例につきましては11件ございました。
「2.専門家の評価」でございまして、8月22日までに報告されました17事例を対象に専門家の評価を実施しております。結果としましてはβが1件、γが16件となってございます。
次のページに行っていただきまして、○の部分となります。回収の対象となっておりますロットである3004734で接種後の死亡事例が3件報告されていることを踏まえまして、こちらの3件につきまして、ワクチンと死亡との因果関係について異物の影響の可能性も踏まえまして、専門家の評価を実施してございます。集計対象期間外の事例もございますので、それも踏まえまして後ほど資料1-6-1の中で改めて御報告させていただきます。
続きまして、資料1-4-1「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシー疑いとして報告された事例の概要(コミナティ筋注)」を御覧いただければと思います。
1ページ目、「1.報告状況」の部分でございます。前回の集計対象期間以降、製造販売業者からアナフィラキシー疑い事例と報告された事例が新たに161件ございまして、8月22日までに報告された事例は2,372件となってございます。
「2.専門家の評価」の部分でございます。この2,372事例を対象に専門家の評価を実施しております。
2ページ目に行っていただきまして、参考1、一番上の部分でございます。ブライトン分類1~3に該当する件数につきましては、100万件当たり4件となってございます。これまでの推移については後ほど資料1-7-1にてお示ししたいと思います。
続きまして、資料1-4-2「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシー疑いとして製造販売業者から報告された事例の概要(COVID-19ワクチンモデルナ筋注)」を御覧いただければと思います。
1ページ目、「1.報告状況」の部分でございます。前回の集計対象期間以降、製造販売業者からアナフィラキシー疑いとして報告された事例が新たに74件ございまして、接種開始以降8月22日までにアナフィラキシー疑い事例が計199件報告されてございます。
「2.専門家の評価」の部分でございますが、この199事例を対象に実施しておりまして、ブライトン分類1~3に該当するものは25件でございました。
2ページ目の一番上の部分に記載しておりますが、100万回当たりですと2件となります。
続いて、資料1-5-1「血小板減少症を伴う血栓症・血栓塞栓症疑いとして報告された事例の概要(コミナティ筋注)」を御覧いただければと思います。
1ページ目、「1.報告状況」の部分でございます。前回の集計対象期間以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして製造販売業者からTTS疑いとして報告された事例が新たに5件ありまして、8月3日から8月22日までに報告されたTTS疑い事例は計7件となっております。
「2.専門家の評価」の部分でございますが、この7事例を対象にしまして専門家の評価を実施しております。結果としましては、1~3に該当するものが1件、4が4件、レベル5に該当するものが2件となってございます。いずれも因果関係評価の結果はγとなってございます。
3ページ目の一番上の部分に100万回当たりの1~3の報告件数を記載しておりまして、0.1件。前回の0.2件から大きな変更は見られておりません。
資料1-1-1から1-5-1までの説明は以上となります。
○岡座長 続きまして、今回は議論に関連する内容としまして、モデルナの異物混入の事例について武田薬品工業株式会社から提出資料の御説明をお願いいたします。
よろしくお願いします。
○武田薬品工業株式会社 ありがとうございます。武田薬品工業、林正晃と申します。
本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、COVID-19ワクチンモデルナ筋注の回収対象ロットに関する評価の結果速報について、9月1日に公表したモデルナ社及び武田薬品の共同ステートメントについて御報告させていただきます。
なお、本資料は最新の情報に基づき更新しております。
まず背景でございますが、弊社はCOVID-19ワクチンモデルナ筋注(以下モデルナワクチン)の特定ロット、ロット番号3004667において未使用のバイアル内に異物があるという報告を複数の接種会場から受け、計3ロット、ロット番号3004667、3004734、3004956の使用見合わせを8月26日に公表いたしました。
厚生労働省と連携をとりながら、ワクチンの製造元であるモデルナ社及びモデルナ社の欧州における委託製造拠点であるスペインのROVI Pharma Industrial Services社(以下ROVI社)と弊社は迅速に徹底した調査を実施してまいりました。
調査結果について、モデルナ及び弊社による共同ステートメントを9月1日に公表いたしました。
調査内容は以下のとおりでございます。
1番、粒子状異物の混入理由及び実施された是正措置及び再発防止策。
2番、ロット番号3004667のバイアル内から得られた粒子状物質の性質の評価を実施いたしました。
3番、特定された粒子状物質の健康リスクについて医学的評価を実施いたしました。
続いて、原因調査のところですけれども、その是正策及び再発防止策について御報告いたします。
ROVI社が実施した原因調査の報告によりますと、ロット番号3004667で特定された粒子状異物が混入した最も可能性の高い原因としましては、ワクチンの製造ラインのモジュール、これはワクチンのバイアルの打栓を行う過程の機器の一つでありますが、これに取り付けられた2つの金属部品の設置不具合による摩擦に起因しているということが判明いたしました。
ROVI社の調査では、ロット番号3004667を製造する前の製造ラインの切替え中に不適切に部品が配置され、その結果、生産が続けられました。その後、部品の配置が是正されるまで、出荷されたロットとして影響範囲は現在使用を見合わせている3つに限定されて、今回回収ということになりました。
再発防止策といたしましては、ROVI社は次の措置を実施いたしました。
まず1点目、全ての製造ラインの目視による再確認。
2点目、製造ライン切替え時の標準業務手順書の改善。
3点目、内部プロセス管理として自動目視検査実施時の適切な限度値の設定。
以上の3点を実施いたしました。
弊社はこのたびの結果速報を受けまして、厚生労働省と協議の上、使用を見合わせた3つのロットに対して9月2日より自主回収に着手し、自主回収のロットについては現在調査を実施中でございます。
続きまして、粒子状物質の性質についての初期評価でございますが、モデルナ社が委託した独立調査機関によると、ロット番号3004667のバイアル内に認められた粒子状物質の解析結果から、写真にお示ししているとおり、粒子状物質は316ステンレススチールであることが同定されました。これは、先ほど御説明させていただいた調査原因と一致するものでありました。
なお、316ステンレススチールは、製造や食品加工の際に一般に使用されるハイグレードのステンレススチールであります。
続きまして、医療上の安全性評価についてでございますが、今回、モデルナワクチンの予防接種においては25ゲージの注射針を使用されていますけれども、それを通過できる大きさの粒子状金属が仮に筋肉内に注入されてしまった場合、接種された局所における炎症性反応(肉芽腫等)を引き起こす可能性はございますが、注射部位以外で副反応を起こす可能性は低いと考えられます。
ステンレススチールは、心臓の人工弁や関節置換、金属製の縫合糸など、医療機器に用いられております。このことから、当該ロットで見つかった極めて小さな粒子状金属が仮に筋肉内に注射された場合でも、医療上のリスクが増大する可能性は低いと推察しております。
最後に、ワクチン接種後の3件の死亡事例の調査について御報告申し上げます。
これら3例の死亡事例とモデルナワクチン(ロット番号3004734)接種との因果関係について、評価を行うために詳細に調査を実施していくことが重要であると考えております。厚生労働省と協力しながら、最優先事項として緊急性及び透明性をもって誠実に進めております。
以上でございます。ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございました。
続いて、資料1-6-1から1-6-2について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 異物事例の概要につきましてはただいま製造販売業者から御説明いただいておりますが、資料1-6-1と1-6-2を用いまして、回収の3ロットにつきまして副反応疑いの報告状況を御報告いたします。
まず資料1-6-1「モデルナ筋注使用見合わせロットに係る副反応疑い報告(死亡)の状況」を御覧ください。
接種後の死亡報告事例から御説明したいと思います。
「1.副反応疑い報告状況」の部分でございます。使用の見合わせ等の対応が行われているモデルナ筋注の3つのロットのうち、異物の混入が報告されていないものの、同じ時期、同じ設備で製造されましたロットの一つ、3004734でございますが、こちらにおきまして、昨日までにワクチン接種後に3件の死亡事例が報告されておりますので、専門家の評価を実施しております。
なお、前提としまして、この資料ではステンレス混入に関連して回収対象となっております3ロットの死亡報告事例をおまとめしております。製造や薬液採取の過程でゴム栓が混入するというような事例もございますが、ワクチンの成分に影響を及ぼす可能性は低いと考えられますので、そちらは回収の対象とはなってございません。
2ページ目を御覧いただきまして、3事例の概要と専門家の評価結果について御報告いたします。
まず事例1、38歳男性の事例でございます。接種回数は2回、2回目に回収ロットが接種されてございます。基礎疾患、アレルギー歴はなしと報告されております。
(4)症状の概要の部分でございます。当該事例につきましては解剖が行われておりまして、死因については致死性不整脈と報告されております。解剖所見についても詳細に御報告いただいておりますので、解剖結果として記載しております。
下に行っていただきまして、(5)ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)の項でございます。報告医によるワクチンと死亡との因果関係の評価につきましては、評価不能。報告者の意見でございますが、最後の2行の部分でございます。結論としましては、したがって、本屍の死因は致死性不整脈と考える。ワクチンの副反応の影響は不明であると報告されました。
また、本事例につきましては、事務局で報告医に聞き取りを行っておりますが、報告者の先生からは、心筋の好酸性変化、波状変化といった心筋の過度のストレスによる所見は見られたものの、心筋に炎症性の変化は見られなかったと補足いただいております。
(6)専門家の評価でございまして、ワクチンと死亡との因果関係についてはγ、コメントとしまして、本症例の2回目の接種に使用されたワクチンは異物混入が確認されたロットと同時期、同設備で製造されたことにより使用を見合わせられたロットである。剖検の結果、急性死が示唆されること、死因に影響を及ぼす損傷は認められず、中毒学的にも異常を認めないことから死因は致死性不整脈と考えると報告されており、ワクチンの影響は不明とされている。致死性不整脈は確認されたものではなく、除外診断であり、ワクチンと死亡との因果関係については評価不能である。使用ロットに異物混入があったとした場合に、異物が本症例の死亡に与えた影響についても同様に評価不能であるとされております。
続きまして事例2、30歳男性の事例でございます。接種回数2回で2回目に当該ロットが接種されております。基礎疾患等は特に報告されておりません。
(4)症状の概要の部分でございますが、本事例は剖検の結果待ちの事例ですので、現時点の死因は不明。概要としましては、2回目接種の翌日に発熱し、翌々日には回復、3日後にお亡くなりになっていることが確認されたという事例でございます。
(5)報告者の評価ですが、現時点では因果関係は評価不能。
(6)専門家の評価におきましても因果関係はγとなっております。コメントとしましては、本事例は剖検の結果待ちとなっている。情報不足のため、死亡とワクチン接種との因果関係は評価不能である。使用ロットに異物混入があった場合も、異物が本症例の死亡に与えた影響についても同様に評価不能であるとされております。
続いて事例3、49歳男性の事例でございます。接種回数は2回で2回目に当該ロットが接種されておりました。基礎疾患等としましてそばアレルギーと完全右脚ブロックが報告されております。
(4)症状の概要でございます。こちらも剖検の結果待ちという状況でございますが、概要の項に現時点での解剖所見というものを御報告いただいております。概要の下から4行目の部分となりますが、現時点での結果ということで、以上のように本屍の死因は体表観察や肉眼解剖所見のみからでは明らかではない。鑑別として心臓性急死や肉眼的には捉えにくい炎症性疾患などが考えられる。そのため、より慎重に死因を推定すべく、現在、全身諸臓器を組織学的に評価中であると報告いただきました。
(5)報告者の評価ですが、現在死因検索中であり、ワクチンと死亡との因果関係は評価不能であると報告されております。
(6)専門家の評価ではγと評価されておりまして、コメントとしましては、剖検が実施されているが、体表観察や肉眼解剖所見からは死因は明らかではなく、組織学的に評価中であると報告されている。現時点では情報不足のため、死亡とワクチン接種との因果関係は評価不能である。使用ロットに異物混入があったとした場合に、異物が本症例の死亡に与えた影響についても同様に評価不能であるとされております。
続きまして、資料1-6-2「モデルナ筋注使用見合わせロットに係る副反応疑い報告の状況(報告症例一覧)」をお開きいただければと思います。
集計対象期間における回収対象の3ロットの副反応疑いの報告状況を一覧としたものとなります。
なお、当該期間において製造販売業者からの副反応疑いの報告はございませんでした。
また、回収ロットは3ロットございますが、3004956についての疑い報告はございませんでしたので、表としては2ロット分を一覧にしております。
報告されている症状ですが、いずれも3ロット以外でも類似の症状が報告されているというものでございました。また、死亡例を除きますと、報告医の評価ではいずれも症状は重くないとされておりました。また、転帰も調査中の1件がございますが、それを除きますといずれも改善が確認されているという状況でございます。
関連する資料としまして、資料1-1-1の35ページ目を御覧ください。
モデルナの各ロットの納入数と副反応疑いの報告件数をまとめております。
表の下のほうを御覧いただきまして、ロット番号の部分ですが、右肩に注1と振ったものが異物の混入が報告されたロットでございまして、注2と振ったものが、異物の混入の報告はないものの回収の対象となっているロットでございます。現時点でロット別の接種者数のデータがございませんので、参考としまして、左から3行目にロット別の納入数を掲載しております。ここでの納入数は接種実績ではありませんので、下の行に行くほどに、実際の接種者数は低くなっているということに注意が必要となりますが、当該2ロットと同じ頃に出荷されました7月後半から8月頭のロットを見てみますと、この時点ではいずれも10件前後の副反応疑いが報告されておりますので、この回収対象の2ロットで特段報告数が高くなっているという状況ではないとなっております。
資料1-6-1、1-6-2の報告は以上となります。
○岡座長 ありがとうございます。
引き続き、資料1-7-1から1-7-2について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
続きまして、資料1-7-1「副反応疑い報告の状況について」を御覧ください。
まず2ページ目は、資料1-1及び1-2に該当する、それぞれ上段青囲みのところがファイザー社ワクチンにおける医療機関報告の報告数、右側に製造販売業者の報告数及びその報告頻度を載せておるものでございます。
下段のオレンジ囲みのところにつきましては、それぞれ武田/モデルナ社ワクチンの医療機関報告数及び報告頻度、右側に製造販売業者報告数及び報告頻度を載せておりますので、御参照いただければと思います。
また、3ページ目を御覧ください。
こちらは新型コロナワクチンにおいて死亡として報告された事例の概要ということでお示ししておりますけれども、まず上段、ファイザー社ワクチンにつきましては、今回の審議会時点までに死亡として報告された事例は1,076件でございました。また、9月3日までに死亡として報告された事例は51件でございました。
症状の概要に記載された死因等の上位3つは、虚血性心疾患95件、心不全95件、肺炎80件等でございまして、こちらは傾向に大きな変化はございません。
下段、武田/モデルナ社ワクチンにつきましては、今回の審議会時点までに死亡として報告された事例は17件ございまして、症状の概要に記載された死因等は出血性脳卒中5件等でございました。
また、9月3日までに11件が報告されております。
続きまして、4ページ目を御覧ください。
こちらはファイザー社ワクチンにおいて死亡として報告された1,076事例につきまして、報告書に記載のあった死因と関連する可能性のある症状名等を計上してまとめたスライドでございます。
今回も死亡として報告された事例の1%を超えました11例以上の死因等について記載しており、11例以上であっても具体的な疾患を想起できない心肺停止や心臓死等はその他に記載しております。また、死因を想起できるいずれの病名も読み取ることが難しいものについては不明として分類させていただいております。
また、引き続き注釈にも記載させていただいておりますが、こちらに列挙した症状名等はワクチンとの因果関係が示されたものではなく、例えばアナフィラキシーや心筋炎関連事象が原因で死亡したことを意味するものではないことに御留意いただければと存じます。
上位の疾患につきましては、先ほどのページでもございましたけれども、虚血性心疾患、心不全、肺炎と、前回と大きな変わりはなく、全体の傾向としても大きな変化はないと考えております。
65歳未満の症例につきましては、前回の69例から91例となっており、前回からの比較では、これまでバックグラウンドデータを用いて検討させていただいてきました虚血性心疾患及び出血性脳卒中でそれぞれ1例、不整脈で3例、不明6例などに追加計上しております。
なお、死亡の報告状況につきましては、今回、年齢別の報告頻度の検討も行っておりますので、後ほどのスライドで御説明申し上げます。
続きまして、5ページ目を御覧ください。
こちらは、モデルナ社ワクチンにおいて死亡として報告された17事例につきまして、報告書に記載のあった死因と関連する可能性のある全ての症状名等をまとめたスライドでございます。モデルナ社ワクチンは職域接種とファイザー社と大きく異なる属性の方々に接種されていることに留意が必要ではありますが、65歳以上で3例、65歳未満で13例の報告があり、今回、出血性脳卒中3例等としてまとめさせていただいております。
モデルナ社ワクチンにつきましては、接種回数がファイザー社ワクチンと比較しまして少ないため、引き続きその傾向を見ていく必要があると考えられますが、モデルナ社ワクチン接種後の死亡の報告状況につきましても年齢別での報告頻度の集計を行っておりますので、後ほどのスライドにて御説明申し上げたいと考えております。
続きまして、6ページ目を御覧ください。
こちらは今回の審議会までに死亡として報告された事例は1,076件ということで、これまでの100万回接種あるいは100万人接種当たりの報告件数の推移を示しており、今回、100万人接種当たりですと19.1件、100万回接種当たりですと10.6件ということで漸減傾向となっております。
7ページ目を御覧ください。
こちらは直近の海外における死亡事例に関する最新の報告状況ということで、米国、英国、欧州におきましては、100万回接種当たりですと10件台という状況で推移しております。
続きまして、8ページ目を御覧ください。
こちらは、武田/モデルナ社ワクチンの死亡として報告された事例の報告件数の推移をお示ししているところでございます。直近でいいますと、100万回接種あるいは100万人接種当たりの報告件数としましてはそれぞれ1.6件、1.0件という状況でございまして、同様の推移が続いているという状況でございます。
また、9ページ目におきましては、海外の死亡例に関するモデルナ社ワクチンの最新の報告状況を載せておりますので、御参照いただければと考えております。
続きまして、10ページ目以降を御覧ください。
こちらからはアナフィラキシーに関する報告状況でございますけれども、医療機関からのアナフィラキシー疑いとして報告された件数は100万回接種当たり直近21件でした。
また、11ページ目におきましては、製造販売業者からアナフィラキシー疑いとして報告された件数、及び下段におきましてブライトン分類に基づき専門家によりアナフィラキシーとして評価された件数を載せてございますけれども、それぞれ24件と4件ということで、現状、傾向に大きな変化はございませんでした。
12ページ目におきましては、ファイザー社ワクチンにおける海外のアナフィラキシーの最新の報告状況ということでアップデートされたものを載せてございます。
続きまして、13ページ目は武田/モデルナ社ワクチンのアナフィラキシーに係る医療機関からの報告状況ということで、以前からの傾向を載せておりますけれども、直近100万回接種当たりですと17件ということで同様の傾向が続いております。
14ページ目におきましては、同様に武田/モデルナ社ワクチンの製造販売業者からアナフィラキシーの報告状況を載せておりますけれども、100万回接種当たり12件、アナフィラキシーとしてブライトン分類に基づき、専門家によりアナフィラキシーと評価された件数は1.5件という状況となっております。
15ページ目は海外のモデルナ社ワクチンにおけるアナフィラキシーの最新の報告状況を載せております。
続きまして、16ページ目を御覧ください。
16ページ目、17ページ目におきましては、国内の新型コロナワクチン接種後における心筋炎関連事象疑い報告についてということで、16ページ目がファイザー社ワクチン、17ページ目が武田/モデルナ社ワクチンについて直近のものを反映して載せております。
これまで即時性を求めるという観点で、その動向を見るために医療機関からの心筋炎関連事象を発症したとして報告された事例を載せているものでございます。
まず16ページ目のファイザー社ワクチンのものでございますけれども、直近の値といたしましては、医療機関から62件(58例)の報告がございました。前回の審議会からの推移でございますけれども、前回の審議会の時点では医療機関から59件(55例)でございました。傾向としましては、引き続き40歳未満の男性の心筋炎疑い10件というところが注視すべきボリュームゾーンと考えております。
注釈で記載しておりますけれども、8月25日審議会の資料で40歳から65歳未満の女性のところ、心膜炎疑いのところにつきましては、今回重複報告であることが明らかとなりましたため、取下げ扱いとし、今回追加報告はないため、2件と記載しております。
また、65歳以上の女性の心筋炎疑いでございますけれども、こちらは前回8月25日の審議会資料で8件と記載しておりましたが、正しくは6件であり、今回追加報告はないため、6件と訂正記載させていただいております。
17ページ目を御覧ください。
こちらは国内の新型コロナワクチン接種後における心筋炎関連事象、武田/モデルナ社ワクチンについてでございますけれども、今回、医療機関からは27件(27例)の報告がございまして、前回13件(13例)でございましたため、14件(14例)の新たな報告がございました。
こちらに関しましても、以前から若年男性の因果関係が疑われているところでございますけれども、40歳未満の男性の心筋炎疑いが16件で、前回が7件でございましたので、9件の追加の報告がございました。
また、資料1-7-2を御覧ください。
心筋炎に関しましては特に注視が必要であるということで、以前から資料1-7-2あるいは1-6-2として全ての心筋炎に関して医療機関から報告されたものをラインリストとしてお示ししております。
また、一番右の転帰内容につきましては、それぞれの企業に転帰内容の状況を毎回求めまして、最新の転帰内容を記載するようにしてございます。これまで報告の即時性を求めるため、医療機関からの報告としておりましたけれども、今後はさらなる情報収集の強化に努めるとともに、また、重複症例の管理等も含めて、今後は企業報告への切替えを行い、引き続き注視していきたいと考えております。
資料1-7-1にお戻りください。
心筋炎関連事象の次の18ページ目でございます。こちらのページは令和元年度における心筋炎関連事象の発生者ということで、以前からお載せしております非ワクチン接種者における情報でございますので、御参照いただければと考えております。
19ページ目、20ページ目を御覧ください。
19ページ目は、ファイザー社ワクチンの心筋炎関連事象についての日本国内の報告の推移及び海外の報告状況を載せております。直近の値ですと100万人接種当たりが1.1件、100万回接種当たりですと0.6件ということで同様の推移が続いております。
また、武田/モデルナ社ワクチンにつきましては20ページ目を御覧ください。こちらは直近の値ですと100万人接種当たりが2.6件、100万回接種当たりですと1.6件という状況で、若干の増加傾向がございますけれども、海外と比較いたしますと日本国内の報告が多いという状況はないと考えられると思っております。
また、21ページ目を御覧ください。
心筋炎関連事象につきましては、海外当局における報告状況及び対応状況ということで、引き続き最新の情報を集めておりますけれども、今回の審議会時点において前回分からのアップデートはございませんで、引き続き、特に米国におきましては12歳以上の全ての人に対し当該ワクチンの接種を推奨するということで、ワクチン接種との心筋炎関連事象の因果関係についても評価を行っているという状況でございます。
続きまして、22ページ目を御覧ください。
こちらは血小板減少を伴う血栓症、いわゆるTTS疑いとして報告された事例について、mRNAワクチンについてまとめた資料でございます。今回、ファイザー社ワクチンにおきましては、直近報告件数といたしましては7件でございまして、ブライトン分類に基づき専門家によりTTSと評価された件数は1件ということで、現在、100万回接種当たりの報告件数としては0.1件といった状況となっております。
なお、集計期間の8月22日までに武田/モデルナ社ワクチンにおいてTTS疑いとして報告された事例はございませんでした。
また、23ページ目を御覧ください。
こちらは新型コロナワクチン接種後におけるTTSの報告状況、海外においての報告状況についてまとめているものでございますので、御参照いただければと考えております。
続きまして、24ページ目を御覧ください。
今回よりアストラゼネカ社ワクチンの副反応疑い報告状況についてまとめたスライドを準備しております。現時点で上段の紫囲みの表におきまして、上段の推定接種回数のところにつきましては現時点で35接種という状況でございますけれども、現在のところ、下段の医療機関報告及び製造販売業者報告はいずれも0件となっております。また、下の四角囲みのところにつきましては、専門家評価を付するとした8月29日時点までの医療機関からの死亡またはTTS疑い報告として報告された事例はございませんで、さらに、その報告数のみを公表するとしておりました9月3日時点におきましても、医療機関から死亡またはTTS疑いとして報告された事例はございませんでした。
25ページ目におきましては、アストラゼネカ社ワクチンの海外の死亡例に関する最新の報告状況ということで御参照いただければと考えております。
続きまして、26ページを御覧ください。
以前より取り組んでおりました年齢・性別別の推定接種回数につきまして、今回よりその概算を試みましたので、こちらにつきまして、推定接種回数の算出に係る考え方ということでまとめさせていただいておりますので、御覧いただければと考えております。
こちらの考え方に基づき算出しましたもので、続きまして、27ページ目、28ページ目を御覧いただければと思いますけれども、それぞれファイザー社ワクチン、武田/モデルナ社ワクチンについての年齢・性別別の副反応疑い報告の状況ということでまとめさせていただいております。
上段の表1におきまして年齢・性別別の推定接種回数を載せております。
また、表2におきましては、資料1-1、1-2における副反応疑い報告の報告数をこちらの推定接種回数で割った100万回接種当たりの報告頻度ということでそれぞれ計上しております。御覧いただきますと、副反応疑い報告の頻度といたしましては、20代、30代といったところにボリュームゾーンがあると考えられるかと思います。また、死亡報告につきましては、80代以上の方が多い状況となっております。
また、表3、アナフィラキシーの報告頻度を御覧ください。こちらは以前より報告数としましては若年の女性の報告数が多い状況でございましたけれども、今回、報告頻度ということでお示ししておりますが、やはり報告頻度という観点におきましても20歳、30歳、40歳代の女性の報告頻度が多いという状況が見てとれるかと思います。
また、表4を御覧ください。こちらは先ほどの医療機関報告に基づきました報告の件数を100万回接種当たりということで報告頻度を年代別に出しております。こちらにつきましては、以前から疑われております若年男性ということで、20代の男性の報告頻度が多い状況ということが見てとれるかと思います。
続きまして、28ページ目を御覧ください。
武田/モデルナ社ワクチンにおきましては、まだその接種回数が少ないことから、報告数につきましても、ファイザー社ワクチンに比べますと少ない状況でございますので、現時点の状況ということで単純な比較は難しいと考えられますが、現状ということで載せさせていただいているものでございます。
表2を御覧いただきますと、その副反応疑い報告頻度としましては、より若年者のほうが多い状況となっております。
また、表3におきましても、アナフィラキシーの報告頻度としては20代、30代の女性が多いという状況となっております。
表4におきましては心筋炎関連事象の報告頻度ということで載せてございますけれども、こちらは報告数が少ないので、また今後変動する可能性がございますが、現時点では若年者の報告頻度が多いという状況が確認されております。
続きまして、29ページ目を御覧ください。
こちらは最新の米国ワクチン接種に関する諮問委員会の議論の概要、ACIPの8月30日に開催されましたところにおきまして、副反応に係る最新の議論の概要をお示ししているところでございます。
まずアナフィラキシーにつきましては、VSDの枠組みにおける2021年7月31日までのデータでは、12歳以上の100万回接種当たりのアナフィラキシーの発生はファイザー社、モデルナ社のいずれも5.0回以下であり、多くは初回接種後の女性で発生していた。当該ワクチン接種のベネフィットとアナフィラキシーのリスクとのバランスに実質的な変化はないということが述べられておりました。
心筋炎関連事象につきましては、これまでも御紹介しておりますとおり、大きな変更はなく、若年者かつ男性においてその報告頻度が予測値を上回っているといった表現がございました。
下の2つの○のところを御覧いただければと思いますけれども、今回、FDAのほうでファイザー社ワクチンの正式承認がございましたけれども、そちらの添付文書に心筋炎の関連事象に関する情報が記載されております。また、この正式承認を受けまして、引き続き16歳から29歳の者においては当該ワクチンの接種のベネフィットは心筋炎関連事象のリスクを上回るとされておる記載もございました。
続きまして、関連するところでございますけれども、VSD、米国ワクチン安全データリンクに基づく新型コロナウイルス(mRNAワクチン)についてでございますが、JAMAの論文に接種後の有害事象の中間解析の掲載がございましたので、こちらは御参照いただければと考えております。要点といたしましては、四角囲みのところにございますけれども、VSDを用いた新型コロナワクチン接種後の重篤な疾患の発症リスクの中間解析の結果では、下の四角囲みにございます全ての対象疾患について、接種後1日から21日までのリスク期間の発症率の有意な上昇を認めるものはなかった。しかしながら、心内膜炎に関して追加解析を行いましたところ、こちらについては12歳から39歳において、特に2回目接種後の発症率の上昇を認めたということで、以前からと同じものが論文化されているといった状況でございました。
次のページは2ページ目で実際の表を載せてございますので、御参照いただければと考えております。
続きまして、32ページ目以降、まとめのスライドとなります。前回の審議会におきまして、まとめのスライドにおきましては、これまでの審議会で議論してきた内容、あるいはこれまで行ってきた注意喚起等を反映したスライドということで御用命いただきましたので、そのような観点から今回まとめさせていただいております。
まず死亡例に関する考え方でございますけれども、上段の四角囲みのところにおきまして、WHOでも述べられております、また、この審議会での方針ということで載せさせていただいております。個々のワクチン接種後に生じる有害事象の因果関係の評価に当たっては、個々の事例の丁寧な情報収集及び評価が重要である一方で、個々の事象においてはその因果関係の有無を確定できないことも多く、報告数が増加しつつある現状においては、個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてデータを系統的に検討していくこととしております。
こうした状況を踏まえまして、最新の死亡例の報告状況の整理でございますけれども、副反応疑い報告制度におきまして、今回の審議会時点までにファイザー社から死亡として報告された事例が1,076件ございました。また、モデルナ社については17件の報告がございました。報告された症状等は、虚血性心疾患、心不全、肺炎、出血性脳卒中でございました。
なお、これまでの審議会において特に注目すべき疾患と考えられた出血性脳卒中や虚血性心疾患等に関し、ファイザー社ワクチンについて人口動態統計を用いた被ワクチン接種群との比較、検討を行ってきたが、これまでにワクチン接種群において死亡が多いことが明らかとなった疾患はございませんでした。
また、専門家による評価では、御覧のとおりの結果となっております。
こうした状況を踏まえまして、死亡例に関する論点として以下のようにまとめさせていただいております。
現時点においては、個々の死亡事例について、mRNAワクチンとの因果関係があると結論づけることのできた事例は認めず、mRNAワクチンの接種と疾患による死亡との因果関係が統計的に認められた疾患もない。
引き続き集積する事例に関する情報を収集し、丁寧に評価を行っていくことにより、被接種者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討し、接種と因果関係のある疾患がないかを引き続き見極めていく。
死亡例の報告に関しては、被接種者の属性の変化や海外の報告状況も鑑みて、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということで御議論いただきたいと考えております。
また、33ページ目はアナフィラキシーに関する考え方ということでまとめさせていただいております。
上段の4つ目の○でございますけれども、今回、年齢・性別別の解析の結果も行っておりますけれども、こちらでは、若年女性においてはアナフィラキシーの報告頻度が多い傾向が見られたということが明らかとなっております。
一方で、引き続きその転帰についても確認しておりますけれども、アナフィラキシー疑いとして報告された事例については、そのほとんどの例で軽快したことが判明しております。
こうした状況を踏まえまして、新型コロナワクチンのアナフィラキシーとして報告された事例に関して、現時点において引き続きワクチン接種の体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということで御審議いただければと考えております。
34ページ目は心筋炎関連事象に関する考え方のまとめのスライドでございます。
まず上段でございますけれども、心筋炎関連事象に関しては、国内外において2回目接種後数日以内に発症する若年の男性での報告が多く、その因果関係が疑われているが、発症しても軽症であることが多い。国内の心筋炎関連事象疑いの報告事例においては、因果関係が疑われている若年男性に係る事例では、引き続きほとんどの事例で軽快または回復が確認されております。
また、今回、ワクチン間の被接種者の属性が異なること、その推定接種回数等にも差があることに留意が必要ではございますけれども、年齢・性別別の報告頻度の解析の結果、ファイザー社ワクチンにおいては20代男性の報告頻度が多く、また、武田/モデルナ社ワクチンにおいては10代及び20代の男性の報告頻度が多い傾向がございました。
こうしたことを踏まえまして、論点のまとめでございます。
最上段のところにおきまして、注意喚起に関してのまとめを載せさせていただいております。心筋炎関連事象の典型的な症状としては、ワクチン接種後の4日程度の間に胸痛や息切れが出ることが想定されることから、こうした症状が現れた場合には医療機関を受診することをウェブサイト、Q&A等によって注意喚起を行っております。
心筋炎関連事象に関しては、引き続き国内の接種状況を踏まえつつ、その報告状況や海外における報告状況も注視していくとともに、最新の情報の周知及び注意喚起を行っていく。今回、年齢・性別別の報告頻度に係る解析結果を踏まえても、現時点においては接種によるベネフィットがリスクを上回ると考えてよいか。また、若年男性を含め、全体としてワクチン接種体制に直ちに影響を与える重大な懸念は認められないと考えてよいかということで御審議いただきたいと考えております。
また、35ページ目、こちらは最後のスライドとなります。
年齢・性別別の解析についてのまとめでございますけれども、mRNAワクチンにおいてはアナフィラキシー及び心筋炎関連事象以外、副反応報告全体の報告頻度についても若年者において報告頻度が多い傾向が見られました。
また、死亡報告については高齢者において報告頻度が多い傾向が見られました。
こうした解析結果を踏まえた上で、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいか。
こうした状況を踏まえ、全体のまとめを載せております。
今回、主な検討項目といたしまして、死亡、アナフィラキシー、TTS、心筋炎関連事象、年齢・性別別の解析及び武田/モデルナ社ワクチンの一部のロットに係る異物混入に関する影響、これらの各項目に係る検討を含め、現時点においてワクチン接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、引き続き国内外の情報を収集しつつ、ワクチンの接種を継続していくこととしてよいかということで御審議いただければと考えております。
事務局からは以上でございます。
○岡座長 ありがとうございました。
ただいま、事務局より御説明をいただきましたけれども、これまでの副反応疑い報告の状況についてですが、それを議論するために、まず異物の混入に関連して回収が行われているモデルナの3ロットにおける副反応疑い事例の状況についても御報告をいただいております。
まずこの点、モデルナの回収ロットの安全性の評価から今日は行いたいと思っております。3ロットのうち、異物の混入の報告がない1ロットからこれまでに3例の死亡事例の報告がございました。症例の概要及び専門家の評価結果については資料1-6-1でまとめられて御説明いただきました。また、死亡以外の副反応疑いについては資料1-6-2で御報告をいただきました。
論点として、まずこの死亡3事例について、異物による影響が考えられるのかどうか。また、異物による影響の可能性も含めてワクチンと死亡との間に因果関係が考えられるのか。そして、回収ロットにおける死亡以外の副反応疑い事例について異物による影響が考えられるのか、回収ロット以外のロットの接種の継続についてどう考えるかといったところを御議論いただく必要があるかと思います。
それでは、何か御意見、御質問等いただけますでしょうか。
濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 今、座長の先生が言われたのであれっと思ったのですけれども、亡くなられた方が異物混入のロットの中にいらっしゃるということだったと思うのですが、結局、この亡くなった方々がお使いになったロットは異物混入が最終的になかったのですか。
○岡座長 ありがとうございます。
その点についてですけれども、まず武田薬品のほうからお答えいただけますか。現時点での見解でも結構です。
○武田薬品工業株式会社 武田薬品のイトウと申します。私のほうから回答させていただきます。
今回、死亡がありました3004734につきましては、市場からの異物に関する品質情報としては現段階では受け取っておりません。
○濱田委員 可能性はあったということなのか。といいますのは、今回の3例は30代、40代の若い方が比較的多いのです。モデルナのワクチンはもともとそんなに亡くなっている方はいなくて、資料1-3-2のラインリストですと今まで28人ですか。そのうちの3人ということなのですけれども、特に今回の30代、40代である40歳代以下は10人だけなのです。そのうちの3人がこれに該当しているということは、やはりこのロットに集中して多いと取れなくもないと思うのです。
ということなのですが、そういう見方はいかがでしょうか。その辺、武田さんないしは事務局としてお答えいただければと思うのですけれども。やはり亡くなる方の割合としてこのロットの頻度が高いように思うのです。
○岡座長 ありがとうございます。
多分2点あって、一つは濱田委員がおっしゃったように異物の混入の可能性をどう評価するかという点と、頻度の点でございますけれども、この異物の混入の可能性について、まず武田薬品のほうから何か追加の御発言はございますか。
○武田薬品工業株式会社 イトウです。私のほうから回答させていただきます。
さっき林のほうから簡単に説明がありましたように、今回、製造工程で原因となったある部品の設置不良という観点で、この当該3ロットは影響範囲の中に明確に入っております。なので、異物が混入されているという観点では十分にあり得るということは言えると思います。
○岡座長 ありがとうございます。
事務局から何か追加はございますか。お願いします。
○事務局 資料1-6-1を御覧いただければと思います。
1ページ目、「1.副反応疑い報告状況について」というところに記載させていただきましたが、まず回収の対象になっているものは3004667と3004734と3004956の3つのロットでございます。現時点において異物の混入が確認されておりますのが3004667でして、残りの2つに関しましては、現時点ということですが異物混入の報告はございません。一方で、3004734と3004956につきましては、現時点で異物の混入の報告はございませんが、3004667と同じ時期、同じ設備で製造されておりましたので、こちらについても念のために回収の対象としたというのがまず1つ目の経緯でございます。
もう一つ、この1ロットにおいて3人と死亡数が多いのではないかという御質問もいただいていたと思います。資料1-1-1の35ページを御覧いただければと思います。モデルナの副反応疑い事例をロット別に集計した表がございまして、先ほど説明の中でも触れさせていただきましたが、表の右から3つ目の部分に死亡報告数をまとめております。それで、1ロット当たりを見ていきますと、0、1、2というぐらいの報告が上がっておりますので、1ロットで3件あるということが今の時点で明らかに高いということはないかなと思っております。
というのと、もう一つ、先ほど説明の中でも触れさせていただきましたが、副反応疑いの報告件数そのものは同じ頃の時期のロットと比べて特に高いわけではないという状況でございますが、一方で、混入の可能性は当然否定できませんので、今回因果関係の評価結果をお示しさせていただきましたし、今後も引き続き状況はよく見ていく必要があると思っております。
○岡座長 ありがとうございます。
濱田委員、いかがでしょうか。
○濱田委員 引き続き個々の事例の因果関係も調べていった上で、またいろいろお知らせいただければと思っております。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
今の御説明ですと製造ラインでの不具合ということで、コロナワクチンに限ったことではないのかなという気もちょっとしたのですけれども、今までに同じようなステンレス片の混入といった事故というのは起きたことはないのでしょうか。
○岡座長 これはどうしましょうか。まず武田薬品のほうからお答えいただけますか。
○武田薬品工業株式会社 武田薬品のイトウから回答させていただきます。
現時点でモデルナ社から聞いている情報としましては、同様の事象が起きているということは聞いておりません。
○岡座長 あと、事務局から何か追加はございますか。特にないですか。大丈夫ですか。こういった事例というのはワクチンの製造の過程であり得るものなのかという御質問かなと思います。
○事務局 事務局から補足いたしますと、もちろん可能性という意味では今回のような事例はある可能性はございますが、ほかのワクチンでこういったものがあるという報告は現時点では特に聞いておりません。
○岡座長 伊藤委員、いかがでしょうか。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。もしも似たような事例があれば、そういうときの死亡例が少し多かったかとかということも参考になるかなと思ったのですけれども、もし今後そういうことが分かりましたら教えていただければと思いました。
○岡座長 そうしましたら、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。
目視についてですけれども、国内のワクチンメーカーでは全てのバイアルについて目で異物の確認を行っていると思いますが、今回のものも人による目視で確認はされていたのでしょうか。
○岡座長 武田薬品のほう、いかがでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 同じくイトウのほうから回答させていただきます。
前提のお話としまして、承認申請前から厚生労働省様のほうとは密に相談をさせていただいたプロセスにのっとって動かしておりまして、それに基づいて御説明させていただきます。
まず、当該製品については、モデルナ社の委託先であるスペインにあるROVI社において充填されたバイアル全数をカメラで流通前の機械検査をされます。その後、GMPの手順にて認定された目視検査員において抜き取りで同じく目視の検査を実施しております。その後、最終的に冷凍の状態で日本に空輸されて、武田薬品としては日本倉庫で受入れ時に輸送容器及び梱包について検品を行っております。梱包に異常があった場合は、その際、個装箱の包装異常がないか確認しております。また、ワクチンの国家検定用に地方自治体の薬務官、薬事監視員様に立ち会っていただき、一定数のサンプリングを行い、感染症研究所送付用のバイアルについて、ラベル等の外観を確認の上、送付させていただいております。
以上がこのモデルナワクチンのプロセスになります。
○岡座長 長谷川委員、いかがでしょうか。
○長谷川委員 ありがとうございます。
それに関連してもう一つお伺いしたいのですけれども、肉眼的に確認されないような大きさのものが混入している可能性があるかどうかということ。また、回収したものについて電子顕微鏡的にそういったものを調べる予定はあるかというのを教えていただけたらと思います。
といいますのは、先ほどステンレスは生体内にも医学的に使われているというお話で、取り入れられても肉芽腫ができる程度だというお話がありましたけれども、特に極めて小さい金属の場合には、金のナノ粒子であってもアジュバント作用があって、免疫系に影響を与えるということも分かっておりますし、肉芽腫というのも単独で金属を通した場合にはそうかもしれませんけれども、今回のようにRNAなどと一緒に投与した場合にどういったことが起こるかということを今後検討したりされるような予定があるかどうか教えてください。
○岡座長 武田薬品のほうはいかがでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 まず前半の部分、私、イトウのほうから回答させていただきます。
まず、目に見えない異物という観点では、注射については、今回の製品も含めて目視できない微粒子については、日本薬局方一般試験法、注射剤の不溶性微粒子試験に準拠することが求められており、もちろん当該製品についてはその試験に適合していることも含めて確認しております。
続いて、回収についてどのような検証、確認を行うのかというところの回答になります。回収ロットについて、今回、品質情報報告をいただいておりますので、当社が受領した当該品については異物の確認、はたまた安全性への影響評価というのを現在モデルナ社において実施しております。
以上になります。
○岡座長 その内容については、武田薬品のほうとしては今の段階ではあまり情報をお持ちではないということでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 ありがとうございます。
そこについてもモデルナ社と密なコミュニケーションをとっており、結果の詳細がまとまり次第、改めてお知らせさせていただければと思います。
○長谷川委員 金属の微粒子とRNAが同時に接種された場合の生体等についてはいかがでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 こちらのほうについては、金属微粒子がアジュバントとして作用して、ワクチン自体の有効性等に影響を与える可能性についてはモデルナ社のほうで評価しています。その結論といたしましては、現時点ではそのような可能性は低いと考えているところでございます。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○岡座長 佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
それに関連して同じような質問をさせてください。
武田さんのスライドの3枚目に原因調査の是正・再発防止策というスライドがあったかと思うのですけれども、チェックの手順として、全部のバイアルを確認する作業をカメラを通して行う、というところが、内部プロセス管理というところですよね。自動目視検査実施というところがそれに当たっていて、それ以外のところはほとんど抜き取りの検査になるかなと思いながらフォローしていたのですけれども、結局、この内部プロセス管理の適切な限度値というところは、要は何を見てどういう検出限界でやっているのか。例えばトランスペアレンシーを見ているのかどうか、その辺りの情報を教えていただきたいなと思ったのです。結局、全部のバイアルをチェックするのはここだけかなと思いましたので。
あと、この適切な限度値というところで少し曖昧な記載が残っているので、今後どのように基準を決めて最終的なSOPとして完成させるのかというところを少し教えてください。
○岡座長 武田薬品工業のほう、いかがでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 武田薬品のヤマグチと申します。
御質問ありがとうございます。ROVI社の内部プロセス管理として自動目視検査時の適切な限度値の設定というところだと思うのですが、ROVI社の中でまずカメラ検査を全数実施いたします。その中で異常があったものははじかれる、排除されるようなシステムを持っております。
○佐藤委員 その異常というのは、例えばスペクトルをとるとかでしょうか、もし情報をお持ちでしたら教えていただきたいなと思ったのです。
○武田薬品工業株式会社 最初に皆さんお持ちのようなカメラのようなもので、例えば溶液中に異物がありますと影のようになってカメラには映りますので、そういったものを捉えたり。
○佐藤委員 では、粒子として捉えられる大きさの設定を今決めているような状況という理解でよろしいですか。
○武田薬品工業株式会社 そうではありません。
もう少し話を進めさせてもらってもよろしいでしょうか。カメラで検知して、よいもの、悪いものを振り分けるのですけれども、よいもの、悪いものを振り分けたときに、例えば悪いものがたくさん出たときに、そこで何かおかしいのではないかというフラグが上がって、製造工程にもう一度捜査をかけるというプロセスを新しくつくろうとしております。
○佐藤委員 悪いものというのが何なのかなというところなのですけれども。
○武田薬品工業株式会社 おっしゃるように、悪いものというのは、例えば今回発見されたような粒子のものもありますし、この製品の難しいところが、若干白濁した溶液でございますので、その中の気泡とかも拾ってしまうのです。ですので、そこではじかれたものというのは、一義的にといいますか、一旦悪いものとするのですけれども、そこできっちり評価した結果、異物であるというものがある程度の割合出てしまったということイコール、そのロット、そこでつくったもので何かが起こっているのではないかということを要するにアラートとして製造工程内に上げて、製造工程の上流のほうにフィードバックできるという趣旨のものを私どもはROVIのほうで組もうとしていると認識しております。
お答えになっておりますか。
○佐藤委員 分かりました。
その場合の限度値というのは、一つでもおかしかったら差し戻すということですよね。限度値というところはそういうことですよね。
○武田薬品工業株式会社 これまでのカメラの精度もあったり、これまでの実績もございますので、そこから統計学的に数値を割り出して計算をして、この辺りだったら異常があるかもしれないというところに閾値を設定して、その閾値を超えたら調査をかけるというプロセスをつくろうとしております。
○佐藤委員 恐らくパーセンテージとして異物混入は日本に限ったことではないと思うのですけれども、今後そういったところの情報を集めて、それがきちんと網にかかるような限度値というのを計算されるような感じという理解でよろしいですか。
○武田薬品工業株式会社 御理解のとおりです。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○武田薬品工業株式会社 ありがとうございます。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。
多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。
当該ロットについては、日本にしか入ってきていないと思っていてよかったのでしょうか。海外でこの同じロットが使われていることはないと理解してよかったのでしょうか。
以上です。
○岡座長 いかがでしょうか。武田薬品のほうからお願いします。
○武田薬品工業株式会社 イトウのほうから回答させていただきます。
御理解のとおりです。
○多屋委員 ありがとうございました。
○岡座長 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 2点あるのですが、1点目は、まずこういった事象を発見したのが8月26日で、8月28日にはプレスリリースされているところは、厚労省、武田の部分での協議、報道は非常に早かったのかなと思うのですけれども、資料を見ますと、一番最初に発見に至った報告というのは、武田、モデルナのほうで報告を受けたのはいつだったのでしょうか。
○岡座長 この点、いかがでしょうか。武田薬品のほうでお願いします。
○武田薬品工業株式会社 質問の趣旨は、死亡例についてでしょうか。
○舟越委員 現場の接種会場で異物があるということが御社のほうに情報として届いたのはいつなのかなというのが資料で見受けられなかったので、正直、SNSや報道では、そこで武田から厚労省のほうに報告が上がるのに結構時間がかかっていたのではなかったのかという話も流れてきたのですが、今回の資料を見て確認しようかなと思っていたのですが、接種会場から何月何日という記載がなかったので、そこを確認させていただきたいなと思いました。
○岡座長 いかがでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 イトウのほうから回答させていただきます。
当該自主回収を行った3ロットに関して、今回のバイアル内に未開封の異物があったという最初の報告は、確認できているのが8月の14あるいは15日に弊社のほうに連絡があったのが最初の報告になります。
○舟越委員 ありがとうございます。
知りたかったのは、よく副反応や副作用の報告制度とかは何日以内とかいろいろ基準があるのですが、厚労省に聞くべきなのか、武田に聞くべきなのか分からないのですが、こういったものは知ったらいつまでに厚労省に報告をするとかという基準というのはあるのでしょうか。
○岡座長 厚労省のほう、いかがでしょうか。
○事務局 監視指導・麻薬対策課よりお答えさせていただきます。
今、先生から御指摘いただきましたような品質情報に関する行政への報告に関する制度といいますか、規制については、現在のところは明確にはなっておりません。
○舟越委員 ありがとうございます。
最近はメディア側の報道が結構早い時代になっていますので、そういったものが早めに厚労省のほうにまず、第一報として上がって、そこから精査をしていって正式にプレスリリースをするという手順になっていくといいのかなと今回の件で思いました。ゴム栓の混入等、ほかの薬でも非常にあることですので、ただ、今回のステンレス製のものという部分とかに関しては、できるだけ早いほうがいいのかなとひとつ感じたところです。
もう一つは、医療上の安全性の対策の部分で、リスクは低いということで共同声明を出していただいたところは医療従事者のほうは見て分かります。しかしながら国民へ、ワクチンの接種を考えている方々へという特設サイトを各社そろえていると思いますが、今回の件で、例えばQ&Aもしくは国民に対するリスクコミュニケーションの部分での情報がサイトを日々見ていてもなかなか見受けられないのですが、国民が不安になっても、そこを払拭するための共同声明を出されていると思いますけれども、一般市民についてはどう情報を流していく予定なのでしょうか。
○岡座長 武田薬品のほう、いかがでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 イトウのほうから回答させていただきます。
全ての回答になっているかあれですが、弊社のホームページ上には一般の方々にも御理解いただけるような主な問合せなど、各種発信内容を可能な限り分かりやすい形でまとめて公開しておりますので、そこは御参考になるかと思っております。
○舟越委員 分かりました。
なかなか見つからないところがあるので、サイトを探すのは結構大変だなと。現実、現場は希望される方のときにそういったことを今聞かれたので、紙を作ってくれとはいいにくいのですが、現場ですぐに説明できるものがあるといいなというところがあります。医療従事者であれば、筋注であれだけのマイクロサイズの微粒子に対して血液に乗って冠動脈とかどこか閉塞するのではないか、ということも現場では聞かれますけれども、医師のほうでは筋注の場合だとそういうふうに流れることはないと思うよとか、その可能性は非常に低いと分かりやすく医師が被接種または考えている人に説明されているのはよく見受けられます。そういったものが同じようにある程度適切に説明ができるような資材が手元にあるといいなというのは、今回の件で少し思っているところです。
その点はコメントとして発言させていただきました。よろしくお願いします。
○岡座長 舟越委員、ありがとうございました。
事務局、お願いします。
○事務局 今の点、厚生労働省のほうから補足をさせていただきます。
厚生労働省のホームページのほうにも一般の方に向けた情報発信は非常に大事だと思っておりまして、この事案が発生して速やかに特設のページを作成しました。その中でよくある問合せについて、というQ&Aを掲載しておりまして、自主回収ロットのワクチンを打ってしまいましたが大丈夫でしょうかとか、亡くなった方がいると聞きましたが、異物の混入が原因ですかとか、今後も武田/モデルナ社のワクチンを接種しても大丈夫ですかとか、ゴムの混入が認められていますが大丈夫ですか、あと、もっと早く使用を見合わせたほうがよかったのではないでしょうかといった、一般の方が本当に率直に感じられることをお答えできるような形にさせていただいております。
また、インターネットの検索用語でもワクチンプラス異物というのが多いように感じておりましたので、そういった検索用語で上のほうにヒットするように内容も調整しながらやっております。直接見にきていただくことを全ての方に期待するのは難しいかも分かりませんけれども、直接、間接にこういった情報を御活用いただければありがたいと思っております。
○舟越委員 ありがとうございます。
必要と思った方がダイレクトにたどり着けるように、今後もこういった現場からのことについてはまた発言させていただきたいと思います。
○岡座長 ありがとうございました。
続いて、石井委員、お願いいたします。
○石井委員 石井でございます。ありがとうございます。
既に武田社のほうで対策を立てられていて、御説明いただいたのですが、システムをこれからおつくりになるというと、どれだけ時間がかかるか分からないという印象を今受けました。対策を立てるのであれば、できればいついつまでにしたいとか、希望的観測でいうと非常に苦しいかもしれませんけれども、そうしないと管理を適切に実行するのは難しいと思います。
また、これは国内で作っているものではなくて外国に委託しているものであるということと、やはり今般、行き来が自由でない中、管理下に置くというのは非常に難しいと思いますが、経時的に計画を示さないと医薬品というのは正しい管理ができないと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうからは意見でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
武田薬品のほうから何かコメント等ございますでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 御意見ありがとうございます。十分承りました。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
森尾委員、お願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございます。
武田様に確認ですけれども、先ほどの多屋先生の質問と類似ですが、ROVI工場が欧州の生産拠点と書いてありますけれども、この工場からのほかの国への出荷というのは、どの程度、どこの国にかという点を教えていただけたらと思います。これが1点目です。
2点目、最近、製造、品質、衛生管理に関わるような標準業務手順書で変更があったようなことがあるのかどうかということについて教えてください。
以上です。
○武田薬品工業株式会社 ありがとうございます。同じくイトウのほうから回答させていただきます。
まず1つ目、ROVI工場から日本以外に出荷されているかという回答に対してはイエスになります。具体的な数量というのは、全体的なところはモデルナ社が把握しており、武田のほうでは明確な数値というのは今ここでは確認できていませんが、日本以外にもUSを除いた多くの国に出荷していることは確認できております。
○岡座長 2点目はいかがでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 2点目の御質問の確認なのですが、ROVI社の製造を管理するシステム等で最近何か変更があったかどうか、システムの大きな変更があったかどうかという御質問でよろしかったでしょうか。
○森尾委員 はい。製造管理、品質管理、衛生管理です。
○武田薬品工業株式会社 特に大きな変更等はないと報告を受けております。
○森尾委員 ありがとうございます。
○岡座長 よろしいでしょうか。
宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川でございます。
先ほど舟越委員がお話しされましたが、企業より厚生労働省のホームページのほうが情報としてより分かりやすい。今ある武田薬品工業のほうは国民に寄り添う形のホームページの構成ではないと思います。そういう意味では、今回の事象に関する国民に対するリスクコミュニケーションということに対して、もう少し分かりやすいように、しっかりと製薬会社として国民に寄り添う形にしていただければと思います。正確な情報が伝わらなければこれは意味のないことなので、情報はただ出すだけではなく、伝わって、そして、理解してもらったところで初めて情報という形になろうかと思います。ですから、製薬会社もぜひそのような形で国民に寄り添うような形で情報をお流しいただければ幸いかなと思います。
以上です。
○岡座長 いかがでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 ありがとうございます。承知いたしました。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ここは少し時間をとらせていただきましたけれども、いただいた御意見としては、まず、実際に安全性のことについて、ステンレスが非常に微粒子であるということで、それは例えばmRNAと一緒に投与していいのかとかといったことに関する検討ですね。モデルナ社のほうで安全性についてさらに調査しているということですので、引き続き情報をいただきたいということだと思いますので、その点はよろしくお願いいたします。
また、意見としては、やはりこの報告に至るプロセスがどうだったのかという点と、今、宮川委員もおっしゃいましたけれども、国民への説明というような点について、今後も情報が追加されると思いますが、引き続きお願いしたいという御意見があったかと思います。
それから、安全性に関して、システムをこれから変えていくということが記載されておりますけれども、それについても、時期も含めて対応を具体的に明確にしていただければというような要望があって、やはり今回の混入に関しては、現在投与しているモデルナのワクチンについての安全性を明確にする意味でも、本当に再発防止は大事だと思いますので、そういった御意見を出していただいたかと思います。
簡単にまとめさせていただいて、次に進めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
次に、最新の副反応疑い事例の報告状況を踏まえ、新型コロナワクチンの安全性評価のほうに移りたいと思います。
事務局から論点を示されておりますので、これに沿って進めたいと思いますけれども、通常のようにまず死亡事例から審議を始めたいと思います。
死亡事例について、資料1-7-1の32ページにおいて事務局から論点を挙げていただいておりますけれども、これについてどう考えるか、御意見、御質問等はございますでしょうか。
先ほど濱田委員も御指摘になったように、今回の異物混入の件に関しては引き続き剖検等も見ながら議論させていただくということになりますけれども、全体としていかがでしょうか。よろしいでしょうか。
山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 山縣です。ありがとうございます。
基本的にこれで問題はないと思うのですが、やはりこれまでもずっと議論されていることで、どうしてもγが多くなっていて、実際に死亡報告が1,000を超える中で、例えば剖検や検視という例もあるのですが、それでもなかなか因果関係が認められないということは、要するに、情報が不足していて因果関係が評価できない場合と、かなり丁寧に詳しく見ていったけれどもなかなか難しいという例があるわけで、その辺りのところ、改めてきちんと国民が分かるようにしておいたほうがいいのではないかと思いました。
それから、ネットなどを見ると、直後の死亡の報告が多くてだんだん少なくなるというようなことがあって、普通に偶然のイベントであれば同じ頻度に出るのではないかといったことなども出てきて、これは要するに、有害事象としての死亡の報告の在り方というか、の理解が十分ではないために起きる誤解だと思うのですが、そういうことを含めて、誤解を招かないような形の情報提供というのを常に心がける必要があるなと思っているのですが、現状では事務局のほうでそういった対応というのは何かあるのかということについて質問したいと思います。
以上です。
○岡座長 死亡原因のγといった評価の在り方についてですけれども、この点について事務局のほうでいかがでしょうか。お願いします。
○事務局 御指摘のとおりかと思います。資料1-3-1の定義のところにも書かせていただいておりますが、γの定義は情報不足等によるというものですので、大きく分けますと、情報が収集中というような事例もございますし、一方、御指摘いただきましたように、解剖等が行われておりまして、必要な情報があるという状況でもなお科学的な限界などの理由から明確な判断が下せないというような事例が多くあると思っております。まさに今おっしゃっていただいたとおりですけれども、例えばコミナティを例にとりますと、今時点で約1,100件報告がございますが、70件程度は解剖が行われておりまして、その上でγという状況であるというのはまさに御指摘のとおりかと思いますので、情報の示し方というのはよく考えていきたいと思います。
異物の事例にも関連しましたが、プレスリリースをするときも両座長の先生方にコメントをいただきまして、ただ単にこういう事例があったというだけではなくて、こういうふうに考えられるというようなコメントもお示ししております。
○山縣委員 ありがとうございます。
○岡座長 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 私はこの論点のまとめでいいと思うのですけれども、非常に基本的なところなのですが、専門家による判定でγが多かったということです。これは複数の方が専門家として判定されていると思います。それが、一般の国民にとってみると、専門家による判定というのはブラックボックスなのです。どこの組織がどうやって行っているのかというのが分からないままα、β、γというのがついている。決してここの部会で決めるわけではないのですけれども、どういうプロセスで判定をされているのかということをもうちょっと明確にされたほうがいいのではないかと思っておるのですが、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
○岡座長 これはどうしましょうか。
では、PMDAのほうから御説明ください。
○医薬品安全対策第二部長 PMDAから説明させていただきます。
PMDAに提出された報告の個別情報に基づきまして、複数の専門家に評価を依頼し、結果をお示しさせていただいているというところになります。
○岡座長 事務局のほうで今後の出し方みたいなことで何かありますか。
お願いします。
○事務局 追加で補足させていただきます。
先ほど複数の専門家で評価という御報告をさせていただきましたけれども、それぞれについてその結果を示していると理解しております。
一方で、我々としましては、できる限り情報の収集はしていきたいと思っております。ただ、この部会は副作用救済を目的にしている部会ではございませんので、個別の事例でそれは救済すべきかどうかという判断は別の部会でやってございます。この部会では専門評価をした上でモニタリングするという目的もございますので、一定程度全体としてどうかということにも評価を置きたいと思っております。そういう意味でいくと、我々としてはできる限りの評価をできるようになるべく情報を集めていきたいと思っておりますけれども、その努力は続けていきたいと思っています。その一方で、全体的なモニタリングに資するように、今回も年齢別の副作用発生頻度についても作成させていただきましたけれども、そういったことも併せてやっていくというような2つの方法で評価を進めていきたいと考えております。
○濱田委員 濱田です。
この部会の立ち位置は分かるのですが、国民の側からしてみると、専門家がどうやって決めているのかというのが、今のこの新型コロナで皆さん注目されているにもかかわらず、一般の方は専門家の方がどうやって決めているのかはよく分からないと思います。だから、それこそ先ほどのモデルナのワクチンのリスクコミュニケーションでもないですけれども、今回、もう少し専門家の評価がどのように行われているのか、今、これだけの数の評価をしなければいけないということは非常に大変だと思うので、それは十分に分かるのですが、その辺をもう少し伝えられるようにされたらどうかと思っております。
以上でございます。
○岡座長 事務局、よろしいですか。
○安全管理監 御趣旨の確認をさせていただきたいのですけれども、どのような評価をしているかということは複数の専門家で評価をしておりますということは申し上げたわけですけれども、そのことをどこかで分かりやすく示したほうがいいのではないかという御指摘でしょうか。
○濱田委員 このα、β、γという判定が、PMDAの側で複数の専門家にやってもらっているわけですよね。そういうシステム的な面を、我々が知っているというよりも、やはりそれをもうちょっと国民に知らせないと、何でγがこれだけ多いのかとかといったことが、システムそのものがよく理解できないのではないかなと思っておるわけですけれども、よろしくお願いします。
○事務局 私の理解でいきますと、PMDAにおいてそれぞれ複数の専門家に評価をしていただいて、なるべくコメントを書いていただいてそれを出していくという形になっておりますけれども、御指摘については、今、口頭でしゃべるのではなくて、分かりやすいように次回また説明をさせていただきたいと思います。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
いただいた御意見としては、死亡した報告の評価について、社会がどういうふうに理解されるかという点からいいますと、情報不足等により判定不能という判断について、もう少しその内容を分かりやすくする必要がある。そして、こういう判定をPMDAのほうで丁寧にやっていただいていると思うのですけれども、その点についてもう少し情報提供をしたほうがいいのではないかという御意見をいただいたかと思いますので、また事務局のほうで御検討いただければと思います。
実際に、解剖までやっても結局分からないというのは臨床の現場で非常によくあることで、結局、特に突然に亡くなる場合にはやはりそういうことになるかなと思います。その上で、この部会では統計的な解析もしながら因果関係等もやっているわけですけれども、その辺りをどう伝えていくかという非常に大事な御指摘で、これはずっと宿題になっているのですが、本当に難しいと思いますけれども、引き続き検討したいと思います。ありがとうございます。
そうしましたら、次にアナフィラキシー疑いとして報告された事例について、資料1-7-1の33ページに事務局から論点が挙げられておりますけれども、どう考えるかということで、御意見、御質問等ございますでしょうか。
伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
アナフィラキシーだけではないのですが、同じ資料1-7-1の27ページと28ページを比較しますと、ファイザーとモデルナのワクチンで少し違いがあるのかなというところがありまして、例えば今のアナフィラキシーでいいますと、ファイザーのほうでは若い女性が男性と比べてかなり多いとかというのがあるのですが、モデルナのほうですとそうでもない。差が少し小さいのかなと思うのです。あと、ほかにも、これはもうちょっと後になるかもしれませんけれども、副反応疑い報告自体が10代の方がモデルナだと多いとか、心筋炎も多いとかという傾向が見られるかなと思うのですが、こういった傾向というのは海外でも言われていることなのでしょうか。
○岡座長 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
○事務局 御指摘ありがとうございます。
おっしゃるとおりでございまして、先ほど少し注釈としても述べさせていただきましたけれども、まずこの2つのところ、直接的な比較に関しては、御存じのとおり、ファイザー社ワクチンについては、武田モデルナ社ワクチンに先行し、医療従事者等から接種が開始され、その後ハイリスクの御高齢等の方に接種いただいたところ、武田/モデルナ社については職域接種、あるいは高齢の方についても大規模接種会場等で相対的に元気な高齢の方が打たれていたと承知しております。このため、同じ年代あるいは性別であっても、その属性には違いがかなりある、というところに留意が必要で、単純な比較は難しいかと承知しております。
また、先ほど山縣先生からも接種日から近接した時点での報告がなされやすいという点の御指摘がございましたけれども、それぞれのワクチンの接種開始当初の注目度の高さというのも報告頻度に大きく影響を与えてくるかと思います。そうした観点でいいますと、27ページ目の表3のアナフィラキシーの若年女性に関しては、接種開始当初に優先接種対象となった医療機関において、女性が多い看護師さん等がたくさん御接種いただいたところ、ファイザー社ワクチンの接種開始当初であった点でも御報告いただきやすい状況であったのかなというところがあるかと思っております。
あとは、モデルナ社については、ある程度接種は進んでいるのですけれども、ファイザー社に比べると少ない状況であることから、今後この値についてはまだかなり変動していく可能性があるのではないかなと考えております。
また、モデルナ社ワクチンの表2の副反応疑い報告頻度については、副反応疑い全体の報告ですので、ある程度の傾向が見てとれるかなと思うのですけれども、特に心筋炎関連事象につきましては、資料でいいますと17ページ目でございますが、報告数自体ファイザー社ワクチンに比べると少ないところがあり、各年代あるいは性別別で分けるとさらに分子数が小さくなってきますから、値がまだ一定の傾向を示さないところがあるのかなと考えております。
こうした状況も踏まえて、特に御指摘の心筋炎の若年者についてはこれから若年者の方の接種が進んでいく中、特にその情報を集めていくべく、製造販売業者からの報告等も踏まえ、重複についても管理をしながら、引き続き情報を収集して審議会でお示ししていければと考えております。
以上でございます。
○岡座長 海外ではどうかという点はいかがですか。
○事務局 ありがとうございます。
海外につきましては、29ページ目でございますけれども、ACIPにおきましてちょうどアナフィラキシーについてファイザー社、モデルナ社のいずれも100万回当たりの報告頻度としては5回以下であり、多くは初回接種後の女性で発生したというところがございまして、日本国内と同様の傾向であったと承知しております。
○伊藤(清)委員 承知しました。
つまり、海外ではこういったファイザーとモデルナの違いといったところは特に報告されていないということなのでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
事務局でもファイザーとモデルナの差が述べられていないかというところ、特にアナフィラキシーや心筋炎関連事象については注視しておりますけれども、現時点でその差を大きく取り上げている当局はないと承知しています。
○伊藤(清)委員 承知いたしました。ありがとうございます。
○岡座長 そのほか、アナフィラキシーに関していかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
そうしましたら、次の論点として、心筋炎・心膜炎についてに移りたいと思います。心筋炎関連事象として報告された事例について、資料1-7-1の34ページになりますけれども、事務局から論点を挙げていただいております。これについて何か御意見等ございますでしょうか。
多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 今回、年齢別、性別にまとめていただいた表が非常によく、分かりやすくて、27ページの表を拝見しているのですけれども、ファイザー社のほうですが、20代の男性がほかの年齢と比べるとかなり大きく心筋炎の発生頻度が異なっています。前回、岸先生が来てくださったときに、循環器学会としてもしっかり検討していきますとおっしゃってくださっていたのですが、海外の情報でもいいのですが、20代の男性が10代とか30代とかと違って心筋炎をこのワクチンで起こす機序、スペキュレーションなど、何か分かっていることというのは出てきているのでしょうか。
以上です。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
その辺りは、多屋委員も御存じのようになかなか分からないで、一つのスペキュレーションとして、最近の論文などですとACE2のレセプターが心筋に発現しているというようなことも触れておりますので、場合によってはスパイクタンパクが関与しているみたいな考察もされていますけれども、どの論文もあまり根拠が示されていないかなと思いますので、私も本当に専門家の意見を聞きたいところではありますけれども、また分かりましたらぜひそういう機会をつくっていただければと思います。ありがとうございます。
柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
年齢・性別別の集計、ありがとうございます。先ほどから出ている27ページ、28ページに関してなのですけれども、推定接種回数なのですが、ファイザー社のワクチンと武田/モデルナ社のワクチンで男女比がかなり違うのですけれども、これはやはり個別接種と職域接種の関係でこうなっているという理解でよろしいのでしょうか。
○岡座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
御指摘のとおりでございまして、もちろん精緻に全てが言えるわけではないと思うのですけれども、主として職域接種でモデルナワクチンが使われているところから、職域において男性が多かった、といったところは言えるのかなと考えております。
また、ファイザー社ワクチンにつきましては、特に高齢の方については女性のほうが多いと思われますので、そういった点で説明がつくのかなと承知しております。ファイザー社ワクチンの若年で女性が多いのは、当初女性が多い医療従事者等で接種されたと思われますため、そういったところが影響しているのかなと思われます。
○柿崎委員 ありがとうございます。
もう一点あるのですけれども、武田/モデルナ社のワクチンで10代の男性の心筋炎の数が一見多そうに見えるのですが、先ほど報告数が少ないので正確な数字ではないということですけれども、武田/モデルナ社のワクチンは最近までは18歳未満は承認されていなかったので、同じ10代の中でも18歳、19歳の中で心筋炎が見られたという理解でよろしいでしょうか。
○岡座長 お願いします。
○事務局 ありがとうございます。
御指摘のとおりでございます。個別の事例につきましては、資料1-7-2を御覧ください。こちらの上段にファイザー社ワクチンの心筋炎に関する報告についてまとめているところでございまして、3ページ目の2列目以降がモデルナ社ワクチンについてまとめているところでございます。武田/モデルナ社ワクチンの10代については、19歳の方の報告が4件あり、うち1件につきましては重複の確認を進めております。今後、さらに年齢別の傾向がつかめていくと思われますので、重複の管理等も含めて情報公開に努めていきたいと考えております。
もちろん、今後18歳以下の方で御報告がありましたら、そちらについてもこちらのような形でラインリストとしてお載せしていくとともに、重要と考えております転帰内容についても引き続き求めていきたいと考えております。
以上でございます。
○柿崎委員 19歳ですと、20代に近い年代に多いという理解でよろしいわけですね。ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
あわせて、先ほど来いただいております年齢・性別解析についての論点、これは資料1-7-1の35ページにまとめていただいておりますけれども、そこも含めて御意見をいただいておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
山縣先生、お願いします。
○山縣委員 これは本当にコメントで、御礼で、本当にありがとうございます。これまで伊藤先生が出されてきたコホートにかなり近いような実データでも出ているのだなと思いながら、今回の結果を見ておりました。やはり年齢、性別というのは非常に重要な要素だと思いますので、今後も引き続きよろしくお願いします。特に先ほど多屋先生からもありました心筋炎のようなところというのはすごく重要だと思いました。ありがとうございます。
○岡座長 引き続き、これは今後データを見ていく上で大事なファクターなので、よろしくお願いします。本当にありがとうございます。
そのほか、よろしいでしょうか。
そうしましたら、そのほかの副反応についてということで、本日からはアストラゼネカ社のワクチンの副反応疑い事例の報告も始まりました。
どうぞ。
○佐藤委員 ちょっとだけお伺いしたいことがあるのですが、まだ全然分からないことかもしれないのですけれども、現時点で一番接種が多い、事例として多いのはファイザー社だとは思うのですが、今後、モデルナがファイザー社ぐらいの、今後の接種者の人口比率みたいな、どのぐらいの接種数を見込むのですかというところが分からないのですけれども、今、本当にモデルナの例数が少ないので何とも言えない部分もありますが、これからモデルナの接種数はファイザー並みにすごく増えると思っていればいいのでしょうか。
○岡座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
まず、国民の皆様で対象年齢で希望される方に打っていただきたいということで、接種数の見通しとしてはそういう数になると思っております。確保している数としてはファイザー社のワクチンのほうが多くて、モデルナのほうでは全部でも5000万回分でございますので、この比と比べるとモデルナのシェアがもう少し高くなるかも分かりませんけれども、おっしゃるような点でいうと、ファイザー社のほうが多いという状況はこれからも維持される予定でございます。
○佐藤委員 では、メジャーなところはファイザーということなのですね。了解です。
○岡座長 ありがとうございます。
そうしましたら、そのほかの副反応について、本日からアストラゼネカ社のワクチンの副反応疑い事例の報告も始まりましたけれども、新型コロナワクチンの副反応の全般について、そのほか、御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
そうしましたら、まとめに移りたいと思いますけれども、これまで議論された内容をまとめたいと思います。
まず、モデルナの回収ロットについてでございますけれども、回収対象のモデルナの3ロットのうち、異物混入の報告がない1ロットからこれまでに3例の死亡事例の報告がなされている。この3事例については、これまでに得られた情報からは異物が死亡に影響を与えた可能性や、ワクチンと死亡との因果関係については現時点では評価できないと考えられる。ただ、今後の情報を見守っていく必要があると考えております。
なお、死亡以外の副反応疑い事例については、現時点においてほかのロットと比べ、明らかな頻度の増加や特異な副反応疑い事例の報告はなされていない。
3ロットについては、引き続き副反応の報告状況等を注視し、慎重に調査検討を行っていく必要がある。
なお、企業でもモデルナ社等に調査を依頼しているということですので、そうした情報も順次上げていただきながら検討する必要があると思います。
既に関連するロットは回収が行われており、特定ロットに限定されたリスクであることから、ワクチン接種を継続していくことについては問題ないと考えられるとまとめさせていただきました。
続いて、副反応疑い報告の状況ですけれども、集計対象期間における医療機関からの副反応疑い報告状況を整理すると、コミナティは0.02%、モデルナは0.01%であった。バキスゼブリアについては、評価期間中に報告はなく、また、9月3日までに死亡事例及びTTS事例の報告もなかった。
続いて、死亡事例についてでございますけれども、死亡事例の報告状況を整理すると、コミナティについては、前回の集計対象期間から8月22日日曜日までに新たに90件の死亡事例の報告があった。専門家による評価では、接種開始以降報告された1,076例については、1,069件がγ、7件がβと評価された。また、8月23日月曜日から9月3日金曜日までにはさらに51件の報告があった。
モデルナについては、前回集計対象期間から8月22日日曜日までに新たに6件の死亡事例の報告があった。専門家による評価では、接種開始以降報告された17件については、16件がγ、1件がβと評価された。8月23日月曜日から9月3日金曜日までにはさらに11件の報告があった。
死亡例の報告に関しては、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられる。
あと、御指摘で、これまでも御議論があった死亡事例の評価の方法、あるいは情報の出し方について、引き続き検討していきたいと思います。
アナフィラキシーについてですけれども、アナフィラキシー疑い事例の報告では、集計対象期間中に、コミナティについては製造販売業者から2,372件の報告があり、ブライトン分類レベル1~3に分類されたものは439件であった。
モデルナについては製造販売業者から199件の報告があり、ブライトン分類レベル1~3に分類されたものは25件であった。
アナフィラキシー疑いとして報告され、転帰が確認された例は、引き続きほとんどの例で軽快されたことが確認されている。
以上のことから、現時点においてはワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないということでよいのではないかとアナフィラキシーに関してはまとめました。
続いて、心筋炎・心膜炎についてですけれども、若年男性も含め、全体としてワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められていない。国内の心筋炎関連事象疑い報告の状況や海外における報告状況を注視していくとともに、最新の情報の周知及び注意喚起を行っていくということでよいのではないかとまとめさせていただきました。この情報の周知については引き続き大事かと思います。
TTSについてですけれども、TTS疑い事例の報告では、コミナティについては接種開始から8月22日までの集計対象期間中に製造販売業者からの報告においてブライトン分類レベル1~3に分類されたものは1件であった。また、専門家による因果関係評価ではγと評価された。
モデルナ及びバキスゼブリアについては、それぞれの集計対象期間中に疑い事例の報告はございませんでした。
また、今回から始まりました年齢・性別解析についてですけれども、年齢・性別解析については、年齢・性別別の解析結果を踏まえた上で、現時点において引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられる。以上のようにまとめさせていただきました。
いかがでしょうか。このようなまとめでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 ありがとうございます。
以上、今回報告のあった具体的な事例を踏まえまして、3種類の新型コロナウイルスワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうかについて御意見はございますでしょうか。
そうしましたら、御審議いただきましたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、武田薬品工業株式会社におかれましては、これ以降の議論につきましては説明を求める予定はございませんので、退席していただいて差し支えありません。本日はどうもありがとうございました。
○武田薬品工業株式会社 ありがとうございました。失礼いたします。
(武田薬品工業株式会社退室)
○岡座長 それでは、次の議題に移りたいと思います。資料2「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)健康観察日記集計の中間報告(13)」について、伊藤澄信委員より御説明をお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
中間報告も13回目になりました。
ファイザー社のコミナティ筋注のデータについては、8月25日にデータをロックしましたので、今日はその集計結果と、アストラゼネカ社のバキスゼブリア筋注の最初のデータについて報告させていただきます。
国立病院機構、JCHO、労災、100病院の方々の協力で、回収可能なデータの調査を終了してデータをロックいたしました。
対象は医療従事者で、全体として1万9806人で、男性が6,694人で、女性が1万3112人です。割合は男性が33.8%、女性が66.2%でした。2回目接種をされたのは1万9657人で99.25%の方が接種されています。
接種後の日誌の回収率ですが、1回目が1万9792人で、2回目が1万9592人でしたので、それぞれ99.93%、99.67%の方の日誌が回収されました。
7月にお届けをしているデータのリバイスですので、20ページまでの説明は省略させていただきますが、19ページ、20ページについては、日誌のデータをMedDRAでダブルコーディングしている最中ですので、変更があるかもしれないことを御承知おきいただければと思います。
また、モデルナ社との比較のためにグラフは65歳以上とともに50歳以上の再掲欄も入れております。その点が違っておりますので、御注意いただければと思います。
モデルナ筋注の遅延性皮膚反応の際に説明させていただいておりましたけれども、ファイザー社のコミナティでも頻度と程度は軽いですが、遅延性皮膚反応が発現しております。21ページのスライドは発赤ですが、日誌1というのはDay8というと分かりにくいのですけれども、接種日と同じ曜日までの7日間のデータを記入いただいたもので、それ以後に発現した日誌2という形のデータがあるのですが、その2つのデータを突合させて作ったグラフです。
御覧いただいて分かるとおり、1回目は接種翌日、2回目は接種翌々日をピークとした発赤が10%程度見られておりますが、1週間後にはほぼ消失しており、頻度が低下しているのが分かります。
22ページはかゆみのグラフですけれども、かゆみのほうが頻度は低いのですが、発赤より少し遅いタイミングでピークを迎えていて、2回目接種後はDay4という3日後にピークがあります。
こういった変化から、もともとコミナティ筋注ではモデルナ筋注で起きている遅延性皮膚反応はないだろうと思っておりました。
遅延性皮膚反応の定義はないと理解しておりますが、モデルナ筋注の際と同様に、接種後10日以上まで発赤が出て、Day3よりもDay10のほうが発赤の長径が大きいという形で抽出しますと、23ページのように該当者が出てきました。箱ひげ図で示しておりますが、2~3日で発赤が出た人はDay6とかDay8には一旦消退するのですけれども、ちょうど1週間後からまた出てくる人が全体の0.23%、46人に見られていることが分かりました。発赤は最初の接種から平均13日で消退しています。
この皮膚反応は男性に比べて女性が3~4倍の頻度で見られていて、しかも、40歳以上の方に多いということが分かります。皮膚反応が起きた人の年齢は47.5歳、ない人は41.9歳と平均で5.6歳の違いがあり、ウェルチ検定をしますと差が95%信頼区間で2.4~8.7と、有意に年齢が高い方に皮膚反応が発現していることが分かりました。
これについても、43ページのモデルナ筋注と比較していただければと思いますが、明らかに頻度は低く、また、大きさの程度も軽いことが分かります。また、2回目接種後に遅延性の皮膚反応が見られたのは2万人の中にわずか3人。ですから、いわゆる遅延性に皮膚反応がおきるのはほぼ1回目だけという状況でした。
27ページからはモデルナ筋注のデータです。最終的には1万3114名の自衛隊の方が接種されています。先ほど議論がありました異物混入の人は今回のロットには含まれておりません。自衛隊の方々ですので、95.5%が男性です。2回目接種は1万2155人ですけれども、まだ終了しているわけではありません。日誌については、日誌1のほうですが、1回目が1万1149人、2回目は5,584人分が回収されて、その結果を提示しています。
データのリバイスですので説明は省略させていただきますが、40ページの2回目のAEの一覧表を御覧いただければと思います。前回、心臓障害の0.01%以上のところに記載があった心筋炎ですが、施設で原資料の判断の部分を修正いただいて、変更履歴の記載もいただきましたので、今回はMedDRAコーディングでは胸痛に変更していますので、前回の心筋炎が消えています。
41ページからは遅延性の皮膚反応ですが、1回目のDay7を底にしてDay8、Day9と増加しているのが分かります。2回目接種はDay3、接種の2日後にピークがあって2割の方に発赤があります。その後、再び出てくることはほとんどありません。
42ページのかゆみは、1回目はほとんどありませんが、2回目のほうで頻度が高いということで、接種3日後にピークがありますが、頻度は発赤の3分の1程度という状況です。
43ページを御覧いただきたいと思いますが、前回はDay3で発赤がない人を抽出していましたが、今回はDay10以降に発赤があって、かつDay3よりもDay10があった人ということで、少し基準を広げて195人で解析してみました。全体の割合は1.94%でしたが、下に書いております性別、年齢分布を御覧いただくと分かりますが、頻度は女性が5倍程度高くて、30歳から50歳代の女性の何と1割の方に遅延性の皮膚反応が出ています。遅延性の皮膚反応があった方と反応のない方を比較しますと、あった人が41.9歳で、なかった人が39.1歳と差が2.8歳で、ウェルチ検定でも差がありました。有意に年齢が高い人のほうが皮膚反応がありました。
さっきのファイザーもそうでしたが、20歳代では遅延性皮膚反応が少なくて30歳以上の人に多いという結果でしたので、興味深い結果だと思っております。
44ページを御覧いただきますと、1回目と2回目の皮膚反応の頻度ですけれども、3,408人のうち、皮膚反応が2回目で発生した2人で、2人ともが1回目に発現した人が再発していたということで、1回目に出ていない人は2回目も出ていないという状況でした。そこはファイザーと少し違っているのですけれども、まだ数が集まっていないので確定的な話ではありませんが、そういった結果が現状です。
45ページなのですけれども、薬剤の使用の状況ですが、自由記載欄で探すと、数々の一般薬の商品名が出てきております。一番多かったのは、商品名を申し上げますとイブというのが11人ぐらいいらっしゃって、一般薬の合計で30人弱ぐらいでありますが、最終報告時にまとめて報告したいと思いますが、この表の薬剤使用者は今ここに出してあるのより1割程度は増えるという状況だと思います。
病休者が36.5%でしたので、2回目接種後2日ぐらいは業務についての配慮が必要だと思いますし、また、先ほど話題になりましたが、不整脈とか心筋炎は接種直後というか、接種後何日かのうちに出ていますので、やはり2回目接種後に関しては筋トレするとかスポーツするというのは避けていただいたほうがいいのではないかと個人的には思っています。
46ページですが、COVID-19に既感染の方々が50人調査に協力いただけていますが、1回目接種時に発熱や全身倦怠感、頭痛の頻度が高いことは前から報告させていただいていますが、その方々が2回目接種の際どうなのかを示したのが47ページです。前回は7人だけでしたけれども、今回19人になりましたので、少し安定したデータになっているかと思います。
上の表は全体で、下の表はCOVID-19に既感染の方ですが、右端のカラムのところに1回目接種後の発熱で、発熱のなかった人が93.5%、37.5~38℃が4.4%、38℃以上が2.1%、2回目の結果は各表の下のほうの行に書いてあります。全体として比較しますと、COVID-19既感染者の方は2回目接種後の発熱頻度は低いようです。具体的には、1回目で38℃以上発熱があった6人のうちの2回目も38℃を超えた人が1人というだけでしたので、既感染が1回目と考えますと、2回目接種後の状況は3回目接種後の状況をシミュレートできるのかもと期待していますが、そうだとすると、3回目接種後のAEというのは2回目接種以上にはならないのかなと思っております。
51ページからはAZ社のバキスゼブリアの筋注の結果です。これが最初の報告になろうかと思いますが、順天堂大学で8月21日から接種を開始していて、JCHO、NHOの病院でも厚生労働省、順天堂のホームページを通じて接種者の募集を通じています。
52ページで、人数が153人になっていますが、昨日までの接種は241人という状況になっております。
54ページからは、順天堂医院の被接種者のデータを報告いたします。これを御覧いただきますと、最初の接種の35人の中のデータと御理解いただければと思いますが、海外でも言われておりますが、1回目から発熱が出ている。これは明確にファイザーなどとの大きな違いです。翌日は3割の方が発熱しています。発赤は2割の方が出ているということで、どうもmRNAワクチンに比べると発現が遅くて長く続く。3日後にピークが出ているという状況ですので、随分な違いがあるということが分かろうかと思います。
56ページを御覧いただきまして、痛みはmRNAワクチンに比べると少し頻度が低そうです。倦怠感、頭痛は接種翌日にピークがあるようです。年齢ごとの違いですが、若い人のほうが倦怠感、頭痛が強いのかもしれませんが、何分にもまだ31人ですので、例数が少なくて確定的なことは言いにくいということだと思います。
59ページにバキスゼブリアのまとめを書いております。
報告は以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。いつも貴重な報告をいただいて、本当に参考になります。
何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
本当に貴重な御報告、引き続きよろしくお願いいたします。
そのほか、全体を通じて何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の議事は以上となります。
そのほか、事務局から何かございますか。
○事務局 本日は長時間にわたり、活発に御議論いただきましてありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡さしあげます。
○岡座長 それでは、本日の会議はこれで終了いたします。
活発に御議論いただいて、どうもありがとうございました。