第1回 審査支払システム共同開発推進会議 議事録

日時

令和3年8月31日(火) 11:00~12:00

場所

厚生労働省保険局

出席者

構成員

議題

 1.審査支払機関システムの共同開発・共同利用に向けた推進体制
 2.その他

議事

(議事録)

○森田課長
 それでは定刻となりましたので、第1回審査支払システム共同開発推進会議を開会いたします。本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。本日進行を務めます、厚生労働省保険局国民健康保険課の森田です。よろしくお願いします。
 まず本日ご出席の皆様をご紹介しますが、私から役職、お名前の紹介とさせていただきます。厚生労働省大臣官房審議官(医療介護連携・データヘルス改革担当)の横幕、保険課長の姫野、内閣官房IT総合戦略室の内山審議官、山田参事官、社会保険診療報酬支払基金の神田理事長、国民健康保険中央会の原理事長、オンラインで厚生労働省の葛西参与、村嶋参与にオブザーバーとして参加いただいております。
 それでは開会にあたりまして、横幕からご挨拶申し上げます。

○横幕審議官
 今日はありがとうございます。改めて申し上げるまでもありませんけれども、今年の3月に検討会の報告を受けて、取りまとめました工程表の中で、支払基金、国保のそれぞれのシステムを審査支払システム、共同開発・共同利用を実現しようという工程表を作りました。これまでにない大がかりなものですし、機関を跨いで、機能も大きくあげていこうというものです。かなりの時間、といってもそうゆっくりしていられるわけではないので、工程に沿って、しっかり実現していこうということで、両機関、私どもと、IT室、デジタル庁にも一緒に入っていただいて、体制をスタートさせていただきたいというのが今日の趣旨です。どうかよろしくお願いいたします。

○森田課長
 早速議事に入りたいと思います。保険課長より資料を説明いたします。

○姫野課長
 それでは、お配りしている資料ですが、資料1ですが、本日開催しております共同開発推進会議の開催要網でございますのでご確認ください。
 それから資料2、資料3で、今後の大きな方向性、それから体制についてご説明したいと思います。順番が前後して恐縮ですが、資料3をご覧いただければと思います。
 資料3は、今年の3月に在り方検討会で取りまとめました審査支払機能に関する改革工程表でございます。表の面2頁目と書いてあるところは、審査結果の不合理な差異の解消ですので、今回のシステム開発とは別の話になります。裏面3頁と書いてあるところになりますが、支払基金と国保のシステムの整合的かつ効率的な在り方の実現に向けた工程表でございます。時間それから予算的な制約も様々あるなかで、効率的に整合性を図っていくために、まず、2024年の国保総合システムの更改のタイミングは、整合性の実現に注力するということで受付領域を既に共同利用されている部分も含めて、オンライン請求システム受付時点の形式チェック、告示通知に基づくチェック、こういったところについての共同利用を進めていく。更に審査領域の業務要件については、共同利用というところまではいかないと思いますけれども整合性をはかっていくということで、支払基金のコンピュータチェックルールあるいは自動レポーティングといったものを前提に整合性をはかっていく、というものが、2024年4月までのタスクということになります。更に、2026年ということで目標の年次を掲げておりますけれども、この目標年次に向けて、審査支払領域についても、更なる共同利用を深めていくということで、医療機関・保険者のための機能開放も含めて取り組んでいこうという方向性をお示ししてございます。注釈のところにいくつか制約要件とか細かな定義も書いておりますけれども、技術的な実現可能性ですとか、費用面、そういったものを勘案しつつ、内閣官房IT室、今後はデジタル庁の技術的な知見もお借りしながら、進めていくということで工程表を引いております。
 資料2になりますけれども、こういった工程表を実現するための体制づくりということで、検討会の中でも厚生労働省が、しっかりリーダーシップを発揮すべきだというご意見をいただいておりました。そういう意味でこの開発体制について、まず、厚生労働省の方でしっかりと構築したいと思っております。この下の段にイメージ図とありますけれども、中心になりますのは本日、1回目を開催させていただきました共同開発推進会議というところになります。ここで厚生労働省、内閣官房IT室、今後はデジタル庁、支払基金、国保中央会のこの4者が、集まって意思決定をしていくという会議体となります。今後、また人選については、相談しながら進めていきますが、右肩にありますようなアドバイザリーボードというところで、技術的な知見をいただけるような組織も作りつつ、進めていきたいと考えております。また、具体的な調達の方針ですとか、業務要件の整合性の確保の方針、そういったものを作り込んでいく体制として作業班というものを今後は設置したいと考えております。これも厚生労働省、内閣官房IT室、今後はデジタル庁、支払基金、国保中央会の4者で構成ということで考えたいと思っております。また、これらの体制を実際に運営していくために便宜上支払基金の中に共同開発準備室という組織も今後設置していきたいと思っております。厚生労働省からの人事的な支援も視野にいれて、こういった体制を構築していきたいと考えております。説明は、以上でございます。

○森田課長
 それでは議事に関してご発言がありましたらお願いいたします。

○神田理事長
 せっかくの機会ですのでお話をさせていただきます。長年の懸案であった支払基金と国保のシステムの共同開発ということで、体制ができることについて、我々もここでしっかりと方針を決めていただくということで、期待をいたしております。
 実は明日から支払基金は新システムの稼働を始めます。1日から5日までがシステム移行期間ということで、ベンダと我々は24時間体制をとることにしております。6日から9月いっぱいの1か月間、業務処理日程が終わるまでの間は、ベンダにも通常の1.5倍の体制を敷いていただいて、障害が発生した場合には迅速に対応するという体制を敷いて、緊張感をもって円滑稼働させていきたいと思っております。そういう意味では明日から24時間体制という前にタイムリーに会議を開いていただいて、ありがとうございます。今のシステムはおよそ4年の歳月と230億の経費をかけて開発してきたものであります。我々の支払基金改革で、審査事務を来年10月に集約すると、多くの職員を拠点に集約させることと、しておりますが、その改革の前提となる職員と審査委員が離れていても、同じレセプトを見ることができる、また、それによって同じレセプトを見ながら照会・回答ができるというメモ機能を搭載しておりますし、AIによって人が見るべきレセプト、査定率が高いレセプトを捕捉して、職員が注力するレセプトを明確化する機能を織り込んでいます。私どもも今回の両方の機関で質が高くて安価なシステムを共同開発していくという大きな目的のために協力していきたいと思っています。ただ、審査支払システムの在り方に関する検討会の報告でも指摘されておりますけれども、今申し上げたような支払基金において先行的に行われたシステム刷新の成果を踏まえ、と、書かれております。いたずらに自分のシステムに固執するようなことは決していたしませんけれども、やはり国民健康保険団体連合会・中央会もそうかと思いますけれども、特に支払基金の場合は、開発費をあげて被保険者の皆様の貴重な保険料によって開発をしているということでありますので、先ほどの姫野課長からお話のあった資料3の2頁目の注5に書いておりますけれども「技術的な実現可能性」ですとか、「一時的に生じる追加費用と共同化等による中長期的な費用の抑制効果」を精査して、費用負担者である保険者にも充分納得をしていただきながら進めていくことが、円滑に進めていくためのポイントになるかと思います。先ほど姫野課長のほうからリーダーシップを厚生労働省が発揮するという話がありましたので、この場において、今申し上げた点も含めて中立公正に費用対効果であるとか、そういった点について関係者に充分理解が得られるような方針を立てて行けたらと考えておりますので、国保中央会をはじめ、厚生労働省、IT戦略室、今後はデジタル庁ということになろうかと思いますけれども、ご指導のほどよろしくお願いいたします。

○原理事長
 これは検討会でも申し上げてお願いをしてきたことでありますけれども、より良い機能をもったシステムをより安く使えるようにすると、そういうシステムの共同開発、共同利用、これはこれまでにあまりやったことのない取り組みなわけでありますけれども、これをうまくやっていくためには厚生労働省の強いリーダーシップが必要だということで、共同開発体制の構築についても、その点ご留意いただきたいとお願いを申し上げました。今回、内閣官房IT推進室のほうもご参加いただいて、より強固なものができたのではないかと、まずもってこれについては御礼を申し上げたいと思います。国保サイドの場合は2024年更改があって、ここで結構お金がかかるということがあります。クラウド化するのですけれども、実は国保の場合にはシステムが大きくて複雑になっておりますので、一挙にシステムを集約化してクラウド化することについては非常にリスクを伴うこと、また開発期間も短いということで、2段階でクラウドリフトした上でクラウドネイティブ化していくということでございますので、逆にクラウドリフトする2024年時点では費用削減効果がなかなか出てこないと、いろんなことをやることでお金がかかるということで、今実は全国の連合会から、その全国の連合会の先にあるのは全国の市町村長ですけれども、言われているのは、お金が安くなるからクラウド化するのではないのか、あるいは、共同開発するのではないのかということです。それで私たちも2026年の共同開発、共同利用をしていけば支払基金とも一定の領域については費用折半にもなるし、それからクラウドネイティブ化、システムの一拠点化、集約化を実現していくので、安くなりますと説明はしながらも、やはりそこの部分が具体的な設計図というか、数字が示せないということがございまして、当面2024年にお金がかかるということで、今大変な状況になっているのが実のところです。それで是非共同開発をしていく上では、その辺の費用対効果、神田理事長からもお話がありましたけれども、そこをしっかりと関係者、特に費用負担者に対して説得力のある説明をしていく必要があると、国保サイド側が特に財政力が弱いということもございますので、求められているところです。また我々がベンダの調達をしてみても、結局競争入札しても一者応札のような実態がございまして、なかなか費用は安くならないということがあります。公正な競争とかの観点から難しいことがあるかもしれませんけれども、是非、全体のコストが安くなることについて国として是非ご尽力をいただきたいと、どんな方法があるのかはわかりませんが、ガバメントクラウドを使うとかそういったこともひとつのやり方かもしれませんが、費用が安くなる方向で是非ご協力をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。それから厚生労働省には2024年の第一段階の更改ではございますけれども、国庫補助要求、私どもがお願いしていた額、満額を要求していただきまして、このことについて改めて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

○内山審議官
 IT室の内山でございます。今お話がありましたけれども、いまIT室、百数十人の規模でやっておりますけれども、明日発足予定のデジタル庁では、民間の技術者の方百数十名を含め、五百人体制になるということで、まだデジタル庁自体の体制、業務運営の方向などは手探りで進めているような状況でございますけれども、今お話の出ましたように、たとえばガバメントクラウドの構築等もいま進めているところでございまして、あるいは、ガバナンスをひいたデジタル庁の調達ルール等も検討中でございますので、そういったことも踏まえながら、このプロジェクトについてはしっかりとした連携、協力をさせていただきたいという風に思っております。

○横幕審議官
 ありがとうございます。両機関からの今後に向けての前向きな話と、そのときにしっかりと抑えていかなければならないところは、我々も共通するところだと思いますので、そこを乗り越えていくためにも、こういう仕組みを作ったということです。とりわけ、デジタル庁と一緒にやらせていただけるということは、なかなか私どもだけでは足りないところもありますので、しっかり一緒にやっていけるようにしたいと思います。
 この工程表を作るときにも思いましたけれども、いろいろ難しい環境のなかで、立ち止まっているだけでは社会的に求められている役割が果たせなくなってしまうなかで、将来に向けて、どういう風に、これまで以上の価値を創出していくことができるかということです。社会からはデータヘルスも大きく求められているところでございますので、その基盤としての意味合いもあります。将来につないでいけるような、その基盤となるようなシステムになることを頭に置いてご相談させていただきたいと思います。

○森田課長
 全体を通して他にご発言ありますでしょうか。

○原理事長
 今後この会議で、決まっていくのでしょうけれども、共同開発準備室については、10月までに設置するということですが、9月中という理解でよいのでしょうか。

○姫野課長
 支払基金は、冒頭神田理事長からもありましたけれども、9月は新システムの刷新のタイミングですので、9月に体制構築はなかなか厳しいだろうということで、そういった意味で10月中というイメージです。

○原理事長
 この案でいくと、組織上は支払基金の中に置かれるというご提案でございまして、これについては実は国保連合会からは反対であると、そういう意見が出ております。ただ私としてはやはりそうは言っても、ここのトップは厚生労働省にリーダーシップを発揮してもらう意味では、厚生労働省からしっかりとした方がきていただくということがマストだと思います。そうしますとその方の年金の通算だとか退職金の話とかがあるということです。支払基金以外の第3の組織がないんですかという話も以前に提案したことがあるのですが、なかなか難しいということでした。そうした事情もありまして、結果的には支払基金のほうに置かれるということだと理解しています。そのことを連合会の皆さんにご説明しないといけないというのがひとつございます。
 その代わりといっては何ですが、実際の場所の問題ですけれども、お願いがあります。
 実は場所については中央会の会議室に余裕があるものですから、できればそこを使っていただけるとありがたいと思います。デジタル庁に近いというメリットもございます。支払基金から見ると少し離れるということにはなるのですけれども、そういうようなことが実現できるのであれば、連合会にも説明がしやすいと思い、内々保険局のほうにはお願いしているということでございます。もしそれでよろしいということになると、たとえば机を入れたり、いろいろ間仕切りしたり、多少の準備が必要でございます。そういう意味でもある程度目処をお示しいただけるとありがたいと思います。当然部屋の広さとかになってきますと、共同開発準備室にはどのくらいの人数のイメージなのか、私の理解するところでは、実際の作業はどこかに集まってするというよりは、この作業班で随時会議をやりながら連携をとりながらやっていくという理解でございますけれども、したがって準備室自体はそんなに大がかりな、大規模な組織にはならないという理解でおります。一応ある程度のイメージ、支払基金から、中央会から何人くらい、デジタル庁あるいは厚生労働省からは何人くらいいらっしゃるのか、その辺も10月中ということになればもう少し時間ありますからまだ良いと思いますけれども、早めにご相談できればと思います。もちろんこれは厚生労働省の人事異動が終わらないことには相談できないことではあると思いますけれども、そんなことがございまして今発言させていただいた次第でございます。

○姫野課長
 その話は内々伺っておりますし、支払基金の方にも内々こういうご意向があるということは話をしておりますけれども、まず準備室自体、原理事長おっしゃるとおり、そんなに大きな体制でスタートするものではないだろうと認識が皆さん共通であるものと思います。そういった意味では、厚生労働省から行っていただく方も人事課にもお願いしておりますけれども、支払基金、国保中央会のそれぞれのシステムについて理解をしていただくような段階も経ながら徐々に拡充をしていくと、そういうイメージでおりますので、場所の話も含めて4者で協議しながら進めていきたいと思っております。

○神田理事長
 要望されているということ自体はいいのかもしれませんが、その話については、私は十分聞いていません。したがって、この場で何か方向性を出すということは難しいと思います。国保中央会として要望しているということ自体を反対するものではございません。
 これまで、支払基金と国保中央会で協力してオンライン資格確認等システム開発準備室もそうでありますし、中間サーバー等の運用も行ってきた実績もあって、物理的に組織として支払基金にありますけれども、国保のほうも協力して実施機関運営委員会というものを設けて公正に運営してきたという実績もありますので、場所の問題では直ちに中立性を損なうということは私はないと思います。それからこの準備室というのは、先ほどおっしゃった厚労省からの出向先として支払基金でないと、という問題があって、支払基金に籍は置くということではありますけれども、支払基金に指揮命令が組織にあると言うことは思っておりませんので、中立的な立場で運営していただくということでいいのかと考えておりますけれども、本質的にはそういうことかと理解しております。

○原理事長
 そういうことでありますならば、申し訳ありませんけれども、共同開発準備室を支払基金の中に置くということについては、留保させていただきたいと思います。

○横幕審議官
 そういう要望をいただいているということで、相談させてください。

○森田課長
 他になにかございますか。

○森田課長
 ありがとうございました。それでは本日の議事は以上となります。最後になりますけれども、本会議の開催要網に基づきまして本資料および議事録については、後日ホームページに公開いたします。よろしくお願いします。
 それでは第1回審査支払システム共同開発推進会議を閉会いたします。ありがとうございました。