第14回 職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和3年6月9日(水) 14:00~16:00

場所

労働委員会会館7階講堂
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1)職場における化学物質等の管理のあり方について
    (2)その他

議事

○課長補佐(中村) 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、第14回となりますが、職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会を開催させていただきたいと思います。
本日は、全ての委員に御参加いただいていますが、日本化学工業協会から来ていただいていました永松委員が交代ということになりまして、尾崎委員にこれから御参画いただきたいと思います。一言、御挨拶だけお願いできますか。
○尾崎委員 皆さん、はじめまして、5月27日の日化協の総会において、永松から私尾崎に代わるということが承認されました。まだ永松から申し送りをしている最中で、右も左も分かりません。ただし、私の出身母体は三井化学で、その中でも工場の勤務で第一線の現場のライン職を17年間やってきましたので、今回、この会議に参加できたことを非常に誇りに思っていますので、皆様の御指導、御鞭撻を賜りながら委員として全うしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○課長補佐 よろしくお願いします。
それから毎回のことですが、感染症予防ということで皆様マスクを御着用ということで、進めさせていただきたいと思います。
それでは、議事進行を城内先生、よろしくお願いいたします。
○城内座長 皆さん、こんにちは。お暑い中、今日、全員御出席いただいたということで、誠にありがとうございます。
では、まず事務局から資料の確認と本日の議事の進め方について、説明をお願いいたします。
○課長補佐 お手元のタブレットに入れさせていただいていますが、本日、資料を3種類用意させていただいています。資料1、中間とりまとめに基づく具体的な進め方、これは前回の議論の続きということになります。それから、資料2ですが、こちらも前回の続きとなりますが、管理濃度以下に維持することが技術的に困難な場合の対策についての議論のための資料です。最後に資料3、これまで議論いただいたことを踏まえて報告書(案)として事務局でまとめさせていただいています。以上です。
○城内座長 では、早速、議事に従がって進めたいと思います。まず中間とりまとめの具体的な進め方について、資料の説明をお願いいたします。
○課長補佐 資料1を御覧ください。資料1の表紙に2点書かせていただいていますが、前回幾つか御議論いただいた中で、まだ引き続き論点について整理をする必要があるということで2点、今回、引き続きの議論で用意をさせていただいています。1つが自律的な管理の実施状況のモニタリングについて、それからもう1つがSDSの記載内容の見直しについてということです。1ページを御覧ください。前回も議論いただきましたが、化学物質の取扱いは今後、自律的な管理ということになっていきますので、自律的な管理がきちんと行われているかということで、実施状況について専門家の確認・指導を受けるというテーマで御議論いただいてきました。
前回、お示しした案は前回の案の所に書かせていただいていますが、どういう事業場を対象にするかということで、事務局からの御提案ということで年間の取扱量が一定以上、ここには●トンと書いてありますが、一定以上の取扱いがある事業場としてはどうかということで、3年ごとの確認ということで提案をさせていただいたわけですが、その下の前回の主な御意見の所にもありますが、一律に取扱量で対象を決めるということは適切ではないのではないかという御意見を幾つかいただいています。例えば重大な労働災害を起こした企業など、というようなことも考えられるのではないかということ、これが基準についての御意見としていただいています。 それから、3つ目のマルにありますが、健康障害が発生した場合に監督官や専門家が必要と認めた場合としてはどうかといった御意見もいただいています。
それから、専門家の資格についてですが、外部の専門家を入れるときの秘密保持に注意をしてほしいということや前回、国内のハイジニストということで案を示させていただいたのですが、ハイジニストは国際資格でもありますので、海外の資格も認めるべきではないかといった御意見を頂いたところです。
2ページに、前回の御意見を踏まえた修正案ということで御提示をさせていただいています。前回は一定量以上の取扱いということで、案を示させていただいたのですが、前回の御議論を踏まえて量で切るという方針は変更して、化学物質による労働災害を発生させた事業場ということを、まず前提条件としてはどうかということ。化学物質による労働災害を発生させた場合は、労働者死傷病報告などで監督署に報告が来る仕組みになっていますので、まずは監督署で調べるということになるかと思いますが、その際に事業場において自律管理が適切に行われていないというふうに監督署が判断した場合に、専門家による指導を受けていただくという仕組みにしてはという御提案です。
こういう条件を課すということが前提ですが、自律管理が十分でなく、労働災害を起こしているということですので、確認・指導を行う専門家は外部の専門家である必要があるのではないかということ。監督署の指示によって、専門家の指導を受けるということになると思いますので、その指導に行く専門家の位置付け、公的な資格や位置付けをどうするか、これはこの案に従えば国でよく検討させていただく必要があると考えています。こういった流れになりますので、専門家による確認を受けた結果というのは、監督署に報告をしていただくということにしてはどうかということです。
それから、この確認を行う専門家の資格についてですが、前回、資格要件についても整理する必要があるという御意見も頂いています。今回、お示ししている3つの資格、労働衛生コンサルタント、それから衛生工学衛生管理者、オキュペイショナル・ハイジニストをそれぞれの要件を若干整理させていただいて、実務経験の年限を修正をしています。それからオキュペイショナル・ハイジニストについては、国際機関が認証している育成プログラムということで海外の同様の資格を取った方も対象にしてはどうかということ。一応、例示でこの3種類の資格を挙げていますが、これ以外にも同等の知識、経験を有すると認められる者についても、その専門家の資格として入れてはどうかということで、修正案を提示させていただきました。
2点目です。SDSの記載内容の見直しについて、3ページを御覧ください。まず3ページですが、前回、御議論いただいたSDSの交付義務対象物質について、SDSの記載内容を危険性・有害性についての情報が更新されているか定期的に確認するということで、実際に確認をした結果、内容が変更されているということが確認された後にどれぐらいの期間で更新をしていくかということで、前回6月以内ということで御提案をさせていただいたのですが、6月ではちょっと短い、実際に現場でSDSの更新、ラベルの更新をしていくのに間に合わないという御意見もありましたので、そういった御意見を踏まえて1年以内ということで修正案を示させていただいています。
続きまして、4ページ、こちらもSDSの記載内容の見直しですが、これは別の論点になります。現在、全てのSDS交付義務対象物質について、SDSに記載する情報として成分、それから成分量を義務としているわけです。今後、この対象物質を拡大していくということにしていますが、その場合に同じように成分、それから成分量を全て書かせるということにした場合、SDSは公開情報ということになりますので、企業秘密がつまびらかになってしまうのではないかといった懸念の声、それから記載すべき項目が非常に増えるのではないかといった声もありまして、前回、省略をすることができる方法として、10%未満の物質は記載不要としてはどうかという提案をさせていただいたところです。この点線の所にありますように、前回の御意見としては10%で切るということについては、反対の御意見が多くて、ぎりぎり10%に満たないような製品を作るのではないか、10%が高過ぎる、そもそも数字で切るという方法は適切ではないといった御意見もいただきました。それから、特別則の対象物質は表示させるべきではないかといった御意見もいただいたところです。
こういった御意見も踏まえ、かつGHSのそもそものルールも念頭に置きまして修正案を提案させていただきました。4ページの下の所にありますが、今回の修正案としては成分及び成分量の記載、これは原則ということにしましょう。ただし、先ほど申し上げましたようにSDSは公開文書ということになりますので、その情報が企業秘密に該当する場合は記載しなくてもいい、省略できるということにしてはどうかということです。この場合も有機溶剤、特定化学物質、鉛、こういった個別の規則で一定の含有量以上に個別の規制が掛かっている物質については、成分と成分量を書いていただかないとその規則が適用になる製品なのかどうかも分からないということになりますので、こういった法令で個別に規制がされている物質については、省略できない、成分、成分量も記載していただくということにしてはどうかということが1つ。
それから、2つ目として今回、自律管理物質の中でばく露限界値が設定できるものについては、国の基準として設定していくということにしているわけですが、このばく露限界値が設定されている物質についても、それが含有されているかどうかが分からなければ、このばく露限界値以下の管理が求められるかどうかも分からないということになるかと思いますので、ばく露限界値が設定されている物質は成分については、省略できないということにしてはどうかという御提案です。このように成分や成分量について、省略の是非を御議論いただいているわけですが、大前提として危険性や有害性の情報、これはいかなる場合も省略できないということがGHSのルールでもありますので、それは前提となるということです。
5ページは、御参考で入れさせていただいていますが、GHSの中でこの営業秘密情報というものがどういう取扱いになっているかということで参考で付けさせていただいています。GHSの中でも、営業秘密情報として扱っていいというものは、物質の名前、それから混合物中の濃度ということになっています。今回、このGHSのルールに合わせた整理をさせていただいたということです。
最後に6ページ、ちょっと分かりやすいようにこのSDSにおける営業秘密情報の取扱い、今回こういうふうに整理したいということで御提案させていただいた内容を簡単に表にまとめさせていただいていますが、ここにありますように、省略が可能というのは成分と含有量の所だけです。ほかは基本的には省略できないということがルールになっています。一応、御確認のために付けさせていただきました。私からの説明は以上です。
○城内座長 どうもありがとうございました。それでは、資料1の論点について、御意見等をお願いいたします。漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 御説明ありがとうございます。質問と意見です。質問は、5ページ以降には、営業秘密と記載されていますが、4ページでは企業秘密と記載しています。不正競争防止法上の3つの要件を満たしていれば営業秘密で、企業秘密はそれよりもちょっと広い概念だとの理解しています。ここをあえて企業秘密として広げていることについて、GHSにおける記載が営業秘密であることとの整合性についてお聞きしたいです。
意見ですが、GHSによる記載では、5ページの所にありますように、営業秘密がある場合はラベルにその事実、つまりこれは営業秘密が含まれることを記載するということになっています。であれば今回の修正案も同様に、営業秘密で公開できない場合には、営業秘密がある旨を記載するようにする、ということがあってもいいのではないかというのが意見です。以上です。
○城内座長 事務局、お願いいたします。
○課長補佐 とりあえず御質問について、お答えしようと思います。すみません、営業秘密情報と企業秘密、言葉をきちんと精査をしていませんので、そこは御指摘を踏まえてよく整理したいと思います。
○城内座長 これは訳の問題かもしれないですが、Confidential business informationをGHSではこんなふうに訳しているということなので、それは多分、国でもちょっと違うかなという気はしています。ありがとうございます。そのほかにありますか。中澤委員、お願いいたします。
○中澤委員 2ページの所で従来、量的基準が案として上がっていたところを、化学物質による労働災害を発生させた事業場という書きぶりに変わっているわけですが、この後の「など」という文言は何を意味しているのでしょうか。この資料だけを見ていくと1ページの所の前回の主な意見の中に、「重大な労働災害を起こした企業、それらを起こした物質を新たに扱う企業」という記載があります。今回の修正案の所の「など」というのは、この新たな物質を扱う企業までをも含んでいるのか、あるいはそれ以外の何か意味があって「など」という言葉を使われているのか、教えていただきたいと思います。
○尾崎委員 ちょっと非常に似ている質問なのですが、やはり労働基準局でここに引っ掛けるモニタリングというか、そこに関するあり方というものがちょっと不明確かなという気がしています。具体的にやはりこういう基準で、こういうモニタリングをしました、こういう基準があったから、今回モニタリングから外しましたというようなそのあり方について、もうちょっと具体的に書いていただいたほうが、各化学メーカーの事業場の担当は非常に分かりやすいのではないかと考えました。
○城内座長 事務局からお願いいたします。
○課長補佐 まず労働災害を発生させた事業場などという所について、今、中澤委員からもお話があった、それを新たに使う事業場まで想定しているのかという御質問については、事務局の案としては想定していないです。基本的には、この労働災害を起こした事業場ということで考えているのですが、「など」と書いている主旨の1つとしては例えば胆管がんや膀胱がんを発生させた事業場についても、そのときは発生させた時点でそれが労働災害かどうか分からないというような状況もあって、最終的に労災認定をされて業務との関係性が明確になって労働災害というような遅発性なものについては、そういうこともあるかなということもありますので、基本は労働災害を発生させたという哲学で制度化をすることを考えているのですが、そういう場合もあり得るということでこういう書き方にさせていただいています。
それから尾崎委員からお話いただいた点については、基本的に自律管理ができているか、できていないかという判断はなかなか定型的にこれを満たしているからできている、これを満たしていないからできていないということを、ちょっと事前に示せるかどうかというのはこの場でお答えできないのですが、実際、運用していくに当たってはある程度ルール化ということが必要だと思っていますので、そこは国のほうでもよく検討したいと思います。
○城内座長 中澤委員。
○中澤委員 今の御回答で内容は分かったのですが、そうするとここの修正案に書かれている「自律管理が適切に行われていない可能性があるとして」ということというのが、例えば胆管がんの話などは確かに由々しき事態ではあるわけですが、実質的に、あるいは適切に管理を行えていたということが抜けて、新たな物質を使ったところについては対象にするという話にもなりかねないのではないのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○課長補佐 すみません、質問の主旨が理解できないのですが。
○中澤委員 中村補佐が言われたのは、労働災害が起きたということにプラスして、例えば非常に重篤な状況になる要因となった物質を使っていたというところが、ほかにあった場合にはそこで労働災害が起きていなくても、対象にする可能性があるというような御回答だったように理解をしたのですが、違うのでしょうか。
○課長補佐 すみません、そういう主旨ではなく、実際に労働災害若しくは労働者に健康被害が出ているということが前提になるということです。ただ、胆管がんのときのように、業務との因果関係が明確になっていない状態の場合、法令的には労働災害と呼ばないということもあって、そこは含みを持たせていただいているという主旨です。
○中澤委員 分かりました。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 今の件について、事務局の御説明に補足させていただくような話になるかもしれませんが、自律管理化の本来の主旨は、危ないかどうかがよく分からない、未解明な物質に対してどれだけ手を打てるかということが要点だと思われるのです。例えばドイツだったら、労災保険の管轄機関が労災の統計をとっているのですが、そこでは、明らかに労災だというものを受け付けて認定したデータと、それと同時に疑わしいものを受け付けて、それを労災保険機関がじっくり調べて、認定したものもデータに組み入れ、それを予防施策に活かすようなやり方をしている。つまり、それぞれ国の制度というのは形が違っても、特に化学物質等、危ないかどうかが分からないという問題については、何とか拾おうというふうに努力をしているということです。
科学的によく分からない問題、リスクに手を打とうとしたときに基本的な考え方としては、サイエンスをベースにしながら、それでは決まらない問題はコンセンサスで対応していく、それはCOVID-19対策でも同じなのですが、そういうことになります。従って、先ほど中澤委員から取り扱う物質を変えたら、モニタリングをしなくていいのかというお尋ねがありましたが、要するに明らかに安全だという物質を使うということだったら、恐らくモニタリングの対象から外すということもあり得ると思います。それはサイエンスで裏付けられるから、ですが、変えたとしても危ないかもしれない、あるいは危ないかもしれない物質を使い続けるということであれば、それは手続の中でちゃんと専門家が審査して、危なくないということが裏付けられるまでは対象とするというようなプロセスになってくるだろうと。それから、極論かもしれませんが、保護具を付けるなり、密閉なり、局排なり、かなり安全と言われる方法を採って試してみるなどというようなやり方、手順を踏んで確認をしていく。そうした手順を踏んで出てくる結果をみることが文系と言うか、社会科学の知恵であり、有効にコンセンサスを得るための基本的な方法ですから、そういうことになってくるのかなというふうに思います。すみません、長くなりました。
○城内座長 そのほか御質問、御意見等はありませんか。明石委員、お願いいたします。
○明石委員 今のところ、御意見を申し上げさせていただくと、やはり化学物質による労働災害にもいろいろなものがあり、事業者の無過失認定ということもあります。届け出をしたらそこは労働基準監督署が見るということになりますが、よく深掘りをして、本当に管理が悪かったのかどうかをしっかり見て判断をしていただきたいと思います。
質問です。その下の「外部の専門家」の「外部」の所で、4つほど質問したいのですが、1つはこの「外部」は必ずなのか、できればなのか。それから、この「外部」の定義です。何をもって外部とするのか。それから、外部の専門家の要件が一番下に書かれていますが、今、概算で結構なのでどれぐらいの方がいらっしゃって、これから5年間ということで、どこら辺まで増やすつもりがあるのか。もう1つは、これは化学物質ですが、川中や川下の企業、化学産業ではない部分もこれに当てはまってきますので、化学産業であれば分かる人もいれば、やはり鉄鋼や機械などになるとちょっとやり方が違ったりして、この外部の方がうまく当てはまるのかどうかというところもあります。その能力の担保と適合性というか、その辺りはいかがお考えなのかよろしくお願いします。
○尾崎委員 似た意見でいいですか。質問をまた上乗せしてしまいますが、専門家に求められる要件です。そこの基本的な考え方の根拠です。ここをちょっと示していただきたいと思っています。例えば、こういう制度がない前からずっと衛生コンサルタントをやっていましたなど、そういうことが3年続いていましたということがあれば、そういうものを差っ引くなど、そういうところの5年、8年に至るまでの考え方の根拠を示していただきたいなと思っています。
○城内座長 事務局、お願いいたします。
○課長補佐 順番にお答えします。まず外部が必須かどうかというのは、こちらからお示しした案としては必須にしてはどうかという御提案です。
それから、定義の所は厳密にまだこの時点で詰めているわけではありませんが、基本的にはその事業場に雇用されている又は契約している方以外というイメージで、ここには書かせていただいています。
すみません、人数はこの場でお答えできないのですが、こちらで調べておきたいと思います。特に衛生工学衛生管理者は人数は多いと思いますので、今、この場でお答えできる数字を持っていませんので、申し訳ありません。
それから分野別の所について、今後、この仕組みを制度化していくに当たって、そのマッチングをどうしていくのか、こういった専門家を例えば登録をしていただくのかなど、ちょっとそういうこともよく検討していきたいというふうに思っています。例えば、全然分からない人が指導に行くというようなことは、ないようにしていく必要があるなというのは御指摘のとおりだというふうに思っています。
尾崎委員から御質問いただいた経験年数の所かと思いますが、基本的に例えば5年以上経験があるということであれば、制度の運用を始めた時点で、過去5年経験があれば5年経験があるというような理解になるかなというふうに思っていますが、そういう質問でよろしかったですか。
○尾崎委員 そうです。
○城内座長 そのほかいかがですか。大前委員、お願いいたします。
○大前委員 SDSの記載の見直しの所で、3ページ、4ページですが、6か月以内が1年以内、これはよろしいと思いますが、新たに分かった情報を誰が見付けるのか、要するに企業の方が一生懸命見付けることにするのか、あるいは国がまとめて、例えばIARCは今年こう変わった、今回は労働衛生の話なので産業衛生学会やSDSやDFGの基本濃度がこう変わった、そういう情報を国のほうから例えば日化協なり何なりにお伝えして、それを広めてもらう。そのような形にしないと、各企業に任せてしまうと、その企業の能力によって知らなかったり知っていたりということが起きるので、そういうようなシステムにしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○課長補佐 そこは御指摘のとおりかなと思っています。国のほうで既にモデルラベル、モデルSDSを作った物質が義務化になっていくわけなので、その情報の更新というのは国としてもやっていかなくてはいけないということで考えています。特に危険有害性の情報に限定してということになるかと思いますが、更新があるかどうかは国のほうでも調べて、分かったことは分かりやすく公表、周知する。それは業界団体を通しても含めて、ホームページかもしれません。ちょっとそこはよく考えたいと思いますが、御指摘を踏まえて対応していきたいというふうに思っています。
○城内座長 そのほかにありますか。資料1の提案について、そのほか御意見等はありませんか。尾崎委員、お願いいたします。
○尾崎委員 SDSの記載内容の中で、ラベルの項目があります。2016年6月1日に安衛法の大改正があったときと同様に、今、全て在庫しているラベルに関しても猶予期間を有してもらいたいということです。ここで書かれていることから推測すると、例えばSDSのほうの発行にその物質が分かった時点で、そこから1年を掛けてSDSを改定していく。それまでに改定しなければいけないということなので、そこからまたラベルを作成して1年となると、最長2年間はラベルを在庫してもよいということになると思うのですが、それをどこかに明記していただきたいと思っています。多分、前回もそうしたのではないかと思いますが。
○課長補佐 今のイメージとしては、これから出荷するもの、これから製造するものについては、SDSもラベルも同じような適用になるのではないか、要はまずSDSを作って、その後ラベルを作るということではなくて、それぞれ同時に更新をしていただくのかなと思いますが、在庫品の扱いはおっしゃるように過去、猶予期間を設けていますので、今回どのぐらいの猶予期間を設けるかということはよく検討したいと思いますが、過去の例を踏まえながら、そこは考えたいというふうに思っています。
○尾崎委員 是非、お願いいたします。
○城内座長 そのほかありませんか。
○課長補佐 1つ追加で、漆原委員から御意見をいただいていました省略した場合に、省略したと書くべきではないかということは、おっしゃるとおりGHSもそういうふうなルールになっていますので、委員の皆様からもし御異論ないようであれば、そういう方向にしたいと思っています。
○城内座長 三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 今回、報告書に入れていただかなくてもいいと思いますが、企業機密、営業機密に関わるような物質の取扱いですが、例えば裁判所による審査であれば、証拠採用に際して、企業機密に関わるようなものについては、インカメラ審査というやり方、裁判の公開原則の例外として、要は裁判官だけが見て判定するというような仕組みがあります。今示されている案の仕組みは、要するに、物質の種別に応じて特別規則なりに引っ掛かるものであれば、ちゃんと示しなさいといった歯止めが設けられていると思うのですが、今後の検討材料として申し上げると、例えば労働衛生指導医なりが必要性を認めた場合については、その秘密が守られる状態でその危険性、有害性についての審査がなされるといった仕組みは考えられるかなというふうには思っています。ただ、今回は、これ以上報告書に追加して頂くのはなかなか難しいのではないかというふうに思っています。
○城内座長 そのほかありませんか。それでは、資料1の提案について、自律的な管理の実施状況のモニタリング及びSDSの記載内容の見直しについては、基本的にこの方向でまとめていくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○城内座長 ありがとうございます。
それでは、次の議題に移りたいと思いますが、2つ目、管理濃度の遵守が困難な場合の対策について、資料の説明をお願いいたします。
○環境改善室長 管理濃度以下の維持が困難な場合の対策については、自律的な管理の話題とは異なり、特化則や有機則、いわゆる現在の既存規制の中で第三管理区分と評価された作業環境下の健康確保対策を、どのようにするかという議題です。前回の検討会で論点ごとに御議論いただき、ある程度の方向性を集約いただいたところです。本日の資料は、この論点ごとの御意見を踏まえ、時系列的な流れに整えた形でお示ししております。
1枚目を御覧ください。前半では現行制度について説明しております。現行制度は作業環境の測定から始まって、評価、その後の措置、再測定、再評価となっています。一方、後半部分ですが、それでもなお第三管理区分であった場合にどうするかについて、前回までの御議論としてア、作業環境改善の取組の促進と、イ、作業環境改善が困難な場合の措置の強化について御集約いただいたところです。
2ページは、事業者が作業環境測定を実施した以降の流れを現行制度とともに、今後の取組も併せて全体的な流れとして示しております。左上の部分から作業環境測定の実施、評価、それから第三管理区分になって評価に基づく措置、再測定及び評価というこの白い部分までが現行制度のままです。その上で黄色い部分が新たに入れようかという部分について、今後の取組としてお示ししたものです。
マル1は応急的な措置として有効な呼吸保護具の使用、マル2は外部専門家の意見聴取、マル3は外部の専門家の意見を踏まえ、改善が可能であれば必要な措置と再測定、マル4は労働者への周知と結果の記録・保存です。一方、マル2の専門家の意見を借りても第三管理区分の改善が困難な場合はマル5に移るということで、a.として個人サンプラーによる測定、有効な呼吸用保護具の使用、フィットテストの実施、b.として保護具着用管理責任者の選任です。これらをマル6として労基署への届出をして、その後は定期的に個人サンプラーによる測定、有効な呼吸保護具の確認、フィットテストの実施、そして記録の保存を繰り返していくという形になります。ただし、その後において作業環境が第一や第二に改善された場合には、マル5のループから抜け出して元のルールに戻るということで、右下のほうに元に戻るループを作っております。
以上申し上げた全体的な流れを、前半と後半に分けて具体的にしたものが次のページ以降です。3ページのマル1は、第三管理区分と評価された時点から、有効な呼吸保護具を使用するということで、先ほど申し上げたとおりです。この保護具の選定方法については、作業環境測定の測定値を用いて、十分な防護ができるものを選定することを予定しております。マル2は外部専門家に対しての改善の可能性と、その方法の意見を聞くことになっております。外部専門家の要件としては作業環境測定士、労働衛生コンサルタント等を示しておりますが、これらは既存制度の新たな発生抑制措置を認める制度、いわゆる発散防止抑制措置特例実施許可制度で事業者が選任する確認者の要件と同じような形にする予定です。できるだけ既存規定で認知されているリソースを活用するということでセットしております。マル3は、外部の専門家の意見を踏まえて改善措置をして、措置を行ったら改めて測定と評価を行う、マル4は使用する保護具の概要、改善措置、その上での評価結果について労働者に周知し、そして所要の記録・保存を行うこととしております。
なお、労働者の周知については現在の規定でも第三管理区分となった場合には、測定の結果の評価、改善措置、効果確認のための評価結果を周知しなければならないという規定になっております。
その次の4ページです。専門家の意見を踏まえて作業環境改善措置を講じたけれども、それでも第三管理区分から抜け出せない、あるいは、そもそも専門家の意見が改善困難である場合は、今度は労働者個人のばく露防止というアプローチに切り替えます。a.は個人サンプラー等による測定、呼吸保護具を選択・使用します。この測定方法は、既存の現行制度にある個人サンプリング法による作業環境測定、いわゆるCD測定とする予定です。また、保護具の選択の方法はCD測定の結果で、マスクを選択するというインジウム化合物の規定を参考にしようと考えております。b.は保護具着用管理責任者を選任し、有効な呼吸用保護具の選択、フィットテストの実施について管理を行わせる。c.は定期的な個人サンプラーによる測定と保護具の確認、フィットテストの実施を行います。
以上のマル5の対象となった場合には、マル6として労基署への必要な届出ということで、行政は届けられた情報を基に、例えば同種物質で同じような作業で改善が困難という共通的な課題が見いだされた場合には、必要な制度の見直しを行うといったことを考えております。以上で資料2についての説明を終わりにします。
○城内座長 ありがとうございました。それでは資料2の論点について、御意見等をお願いいたします。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 3ページのア.のマル3です。「作業環境改善の可能性があると判断された場合は、専門家の意見に基づき」ということですけれども、これは判断ですよね。この判断は誰によってなされるのかというのが、ちょっと曖昧ではないかと思っております。事業者の場合、職場の作業環境が非常に悪いというのがあって、これを改善しなければならない、予算もスキルも設計の能力もあるというのであれば、それがドライビングフォースになりますけれども、専門家による判断がそこに入ってしまうと、そこの判断基準がどういうものになるかというのがよく分からないという気がしました。
○城内座長 事務局からお願いします。
○環境改善室長 ここは専門家の意見を踏まえて、事業者が判断するという形になります。やる、やらないの判断は、あくまでも事業者のほうでやることになります。
○尾崎委員 分かりました。
○城内座長 そのほかにいかがでしょうか。中澤委員、お願いします。
○中澤委員 今の所です。事業者が最終的に判断されるということですけれども、その場合の判断の要素というのは当然のことながら、いわゆる社内的な体制とか資金の問題とか、様々な要因が絡んでの判断を行うということでよろしいでしょうか。
○環境改善室長 もともと改善が困難な判断というのは、なかなか線引きができないというのが、確かこの中での議論であったと思います。そこを踏まえて、まず専門家に見てもらおうというのが1つです。事業場の中で改善できないわけですから、外部の専門家の意見を踏まえてやろうということです。今言われた社内体制や資金というのは、恐らく1つの要素になる可能性は、もちろんあるかと思います。
○城内座長 名古屋委員、お願いいたします。
○名古屋委員 「第三管理区分」と言っても、その濃度範囲は広いです。要するに測定対象の単位作業場所に測定点が100点あったら、その100点の内、管理濃度を超える測定点が50点から100点あるのが第三管理区分です。そうすると、100点に近い測定点がある作業環境と、50点に近い測定点がある第二管理区分に近い作業環境でどの部分の位置にある作業環境で第三管理区分になっているかによって、改善対策も違ってくると思います。例えば第二管理区分に近かったら改善も容易にできる可能性があります。しかし、それには程遠い第三管理区分だったら、これは専門家を呼ばなければいけないという意味で、作業環境測定結果を見て作業環境測定士と相談すれば、どの程度のところにあるかは判断できるのではないかと思います。
○城内座長 事務局から何かありますか。
○環境改善室長 特にありません。
○城内座長 そのほかにいかがでしょうか。明石委員、お願いします。
○明石委員 3ページ、外部の専門家ですが、一番上の作業環境測定士というのは、大変有用な方たちだと思うのですけれども、通常作業環境をお願いしている所ではいけないと理解していいのでしょうか。
○城内座長 外部の人。
○明石委員 外部で通常の作業環境測定をお願いしている機関の方は、外部にならないということですね。
○環境改善室長 特に身近なリソースということなので、おっしゃるとおり普段、作業環境測定を依頼している外部の測定機関でもいいのではないかと思います。
○城内座長 よろしいでしょうか。
○尾崎委員 不勉強なので教えていただきたい。4ページの一番上の「依然として第三管理区分である場合」ということですけれども、現在労基署に第三管理区分がずっと続いているという報告は、事業場から上げているのですか、上げていないのですか。
○環境改善室長 上げてないです。今、作業環境測定の測定結果の報告義務というのがない状態です。
○尾崎委員 では、そこを変えていくという意味ですね。
○環境改善室長 その中でも第三管理区分の改善がどうしても困難という場合には、労基署のほうへ届け出るということにして、かなり限定した部分だけの届出にしております。
○尾崎委員 分かりました。ありがとうございました。
○城内座長 そのほかにいかがでしょうか。三柴委員、お願いします。
○三柴委員 先ほどの中澤委員のお尋ねに関連するコメントです。まず裁判例を見ると、特別則に基づく特別基準であれば、やるべきこと、やってはいけないことが明確に決まっているのだから、たとえ現場視点では危なくなさそうだと思っても必ずやりなさいというように判例では言っています。それは、いわば安全秩序をつくるためにも必要だという趣旨だと思うのです。もっとも特定の基準を作るときには、コストベネフィットアナリシスは行われているはずです。アメリカでも、OSHA基準という特定基準を作るときは、経済的にもきちんと効率的な方法かということが考慮されます。それだけに、唯一の方法を決めるのではなくて、これかあれかをやってくださいというような決め方になることもある。
今回の検討会報告書案では、専門家の認定に基づいて一定の要件を満たせば特別規則の規制は外れるという枠組みも示されているので、そういう方法からも自律的な管理に近づく運用がなされていったらいいなと思います。ですから決められたことはやらなければいけないけれども、決められた範囲でお金の掛からない方法、経済的な方法が選択しやすいようになっていくのではないかと思っております。
○城内座長 そのほかに御意見、御質問等はありますか。
○尾崎委員 先ほどの質問から展開していくのですけれども、4ページの一番下から5行目に、※が1つ付いていますね。「国は、届出を基に、共通的な課題がある場合、必要な措置の見直し等を検討」とあります。ここの具体的な例としては、どこかの事業場が改善したものを何かの所で公開して、ほかの企業に改善を促していくというような政策なのでしょうか。
○環境改善室長 そこはむしろ、例えば、ある化学物質を使ってある作業をやっている。ここについて改善が困難だというところで、そういう結果を踏まえて労基署に届出をさせると。ところが全国的に同じような物質、同じような作業をやっていて、どこでも同じように第三管理区分の改善が困難という共通的なものが、もし見いだせたら、この物質でこういう作業については制度や規則の見直しをしていこうという、情報の端緒になり得るという整理で考えています。
○尾崎委員 むしろポジティブなほうではなくてネガティブで、例えばそれを使っている所は生産活動を休止するとか制限するとか、そういうほうに働くということですか。
○環境改善室長 生産というか、安全措置をもっと合理的なルールに変えていくということも、一つあり得るかなと思うのです。例えば、特別則で特殊な作業というシリーズ物が幾つかあります。インジウムのほかにもRCFとか、いろいろなものがあるのです。そういったように一律的な規制ではなく、その物質、その作業に合った合理的な規制の在り方に変えるということも考えられるのではないかというので、ここに入れさせていただいております。
○尾崎委員 ここに関しては、自律的な活動を促すということではないのですね。
○環境改善室長 自律的な話とは、また違ってくるとは思います。
○尾崎委員 むしろネガティブな方向ではなくてポジティブな方向で、もし、グッドプラクティスのような需要が出てきたら、国からそういうことを発信していくというように私は捉えたのです。そういうものがあれば政策に盛り込んでもらいたいと思った次第です。
○環境改善室長 分かりました。改善についての届出は求めていないのですけれども、例えば届出を受けた後、実は改善しましたという中で、改善する余地としてこういう工学的対策があるとか、そういった知見がもしあったら、それも紹介していくというやり方はできるかなと思います。
○尾崎委員 一番最初に、労基署の立ち位置というのを質問しましたね。1年なのか2年なのか、いつまでにその管理基準が外れたらいいのか、そういったところの立て付けとマッチしたほうがいいのではないかと思っていたのです。そういうように私は理解したのです。
○城内座長 ちょっと考えてみてください。
○環境改善室長 分かりました。
○城内座長 そのほかにありますか。漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 4ページの保護具着用管理責任者について質問があります。責任者の選任について、「保護具に関する知識・経験を有する者の中から」と記載されています。例えば中小企業も含めて、仮にそういう者がいない場合は研修等をするなどして、知識・経験を積んでいただくことが前提かとも思います。ここには企業規模による違いについて記載がないため、規模によらず第三管理区分となる所はすべからくという理解で良いかどうかというところです。
あと、この中でb.にあるように、保守管理をするのはあくまでも呼吸用の保護具であって、「保護具着用」と言いながらも、ほかの保護具は保守管理をするのかどうかというところをお聞きしたいと思います。
○環境改善室長 この資料に基づいて書いてあるのは、あくまでも特別則の規定の中で作業環境測定を行った結果、第三管理区分になったものということになっております。最初の御質問についてですが、労働衛生保護具に関する知識・経験を有する者として念頭に置いているのは、特化則の作業主任者とか有機の作業主任者などのような者です。作業主任者については、保護具も教育内容に入っていますので、そういった方を特に対象として考えて念頭に置いています。保守管理については、呼吸用保護具だけなのかということですけれども、正にこれは作業環境測定で第三管理区分になった後の措置なので、いわゆる吸気ばく露に対してですから、呼吸用保護具に限定しているものです。ここの部分についてはですね。
○大前委員 以前にも意見を申し上げたと思うのですけれども、作業環境測定の報告をしなくてもいいというのは、やはり非常に矛盾があります。これは是非、将来的にはしていただきたい。健康診断にはやる義務があって報告義務がある、作業環境測定はやる義務があって報告義務がないというのは、非常に不整合だと思うのです。ここら辺を将来的には報告義務を入れるようなことで考えていただきたいと思います。
○城内座長 そのほかにありませんか。それでは、管理濃度の遵守が困難な場合の対策についても、基本的にはこの方向で進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
◯城内座長 ありがとうございます。それでは議題の3つ目、検討会報告(案)について、資料の説明をお願いいたします。
○課長補佐 資料3を御覧ください。資料3はお手元のタブレットで表示していただくと、赤い字で斜線が引いてある資料になっておりますが、こちらは中間取りまとめを今年の1月にまとめていただいておりますので、そこからどこを追加したか、どこを修正したかというのが分かるように、あえてこのような資料の形式にしました。報告書(案)は本日議論いただいた資料1、資料2以外で、これまでの議論でおおむね方向性については御了解いただいている内容について、報告書の形に落とし込んだものです。一応確認ということで説明をしていきたいと思います。
7ページからが内容になりますので、まず7ページをください。7ページの真ん中辺りから赤字を入れておりますが、左側にどのような追加をしたかということを、補足で全体の議論を踏まえ書かせていただいています。真中の所については、今回、化学物質の規定全体を、自律的な管理に変えていくということでまとめております。前回に御議論いただいた、どれぐらいのタイムスケジュールでやっていくのかということについて、5年程度を目途にしましょうということで、5年の間に中小企業を含めて、きちんと自律的な管理を定着させる。そのために必要な人材育成、国による支援措置などを進めていって、5年たった時点で「なお」以降に書いてありますが、今はまだ残すということにしている個別の規則の特化則、有機則については、自律的な管理の中に残すものを除いて、5年後は廃止を想定して進めていきましょうという前回の御議論を、そのまま書かせていただきました。
その下の「また」以降の「ワーキンググループ中間取りまとめより」という所ですが、これは前回御報告させていただいた、中間取りまとめをそのまま記載させていただいておりますが、今後、特化則などは廃止を念頭に進めていくということですので、新たに特化則への物質の追加はしないということで、物質追加のためにやってきたリスク評価も今後は行わないということにさせていただいたわけですが、現在、リスク評価が途中になっている物質の扱いを、前回、御報告させていただいた中間取りまとめでまとめておりますので、その内容をここにそのまま記載したものです。
7ページの下から8ページにかけて、ワーキングの中間取りまとめの内容をそのまま書かせていただいておりますが、今後、国によるGHS分類、モデルラベル・SDSをどのように進めていくかということで、前回も御説明させていただきましたが、新規のGHS分類の優先順位はどうするか。今、厚労省、経産省それぞればらばらにやっているGHS分類を、国全体として統一的に各省連携してやっていくというような仕組みを作りましょうといった内容を、前回に報告させていただいた中間まとめのとおり書かせていただいております。分類結果の更新、モデルラベル・SDSの作成・公表も同様です。
9ページです。これは前回御議論いただきました、今後のSDSラベルの義務対象物質を3,000まで広げる中で、残りの1,800物質をどのような段取りで義務化をしていくのか。その義務化が終了した後、新規の義務化をどのように進めていくのか、前回御議論を頂いたとおり書かせていただいております。
10ページから11ページにかけてですが、今後、自律管理の物質の中で、ばく露限界値が設定できるものは設定をして、その濃度以下での管理を求めていくとしておりますが、このばく露限界値をどのような段取りで設定していくのか、それからばく露限界値以下に管理する方法ということで実測をして確認する方法、推定値で確認する方法を認めていこうということで、ワーキングの中間取りまとめでまとめていただいたとおり、この報告書にも記載をしています。
11ページのばく露限界値が示されていない物質ということで、暫定ばく露限界値などの検討をワーキングで行いましたが、こちらは引き続き検討するということで、前回御報告させていただいたとおり記載をしております。
11ページから12ページですが、経皮ばく露によるリスクアセスメントの手法です。これも中間取りまとめのとおり、今後も引き続き検討をしていくという内容で記載をしています。
12ページの真ん中ですが、場所を移動させただけですが、一番下のイ、GSH未分類物質の管理の所につきましては、内容の明記と書かせていただいているとおり、前回、記号しか書いていなくて内容が分かりにくかったということですので、内容を書き加えさせていただいたものです。
13ページです。労使等による化学物質管理状況のモニタリングということで、マル3ですが、自律的な管理についての保存期間は、前回御議論をいただいたとおり、基本は3年間としつつ、健康診断を実施した場合は5年間で、対象物質が発がん性物質の場合は30年間ということで、前回の御議論どおり書かせていただいております。
その下のマル4については、外部専門家の確認を受ける事業場の部分です。本日資料1で御議論いただいた内容を踏まえて追記したいと思っております。
その下の専門家に確認を受けるべき事項の部分は、前回御議論を頂いたとおりです。
その下の確認を行う専門家の要件は、先走って今日の資料1の内容をここに記載をさせていただいております。
続いて14ページから15ページにかけて、全体の御議論を報告書の形に書き下したものですが、化学物質の自律的な管理をするための体制をどう構築していくかということで、アに事業場内の化学物質管理体制の整備ということで、前回御議論いただいた化学物質管理者の選任の義務化、保護具着用管理責任者の選任の義務化、職長教育、雇入れ時・作業内容変更時教育の対象の拡大について、前回御議論いただいたとおり記載しております。
16ページのイ、外部専門家としての化学物質管理の専門人材の確保・育成ですが、前半に書いてありますのは、今日御議論いただいた外部の専門家として、労働災害を起こした事業場ですとか、第三管理区分事業場の確認をするという立場に加えて、化学物質管理に関する相談、助言を行う専門家の育成を進めていく、これも前回御議論いただいたとおりです。前回、御意見を頂きましたが、化学物質管理を担う人材の育成促進の観点から、化学物質に関する専門家の国家資格化を考えるべきではないかという御意見もいただきましたので、それを踏まえて記載をしています。これはこの検討会で資格化の結論まで出るのは難しいと思いますので、こちらは検討するという書き方にとどめています。
17ページです。SDSの記載内容、交付方法の見直し、(ア)保護具についてSDSにどう書くかは、前回御議論いただいたとおり、推奨用途での使用を想定して、吸入又は接触を保護具で防ぐということを想定した場合に、どのような種類の保護具を使用しなければいけないのかということを、SDSに書いていただくという整理を、前回の議論のとおり書かせていただきました。
その下の成分・含有量の記載方法は、本日資料1で御議論いただきましたので、その内容を記載させていただきたいと思っております。
その下の(イ)、更新の頻度も、資料1の内容に合わせて記載をさせていただいています。
少し飛びまして20ページです。(5)特化則に基づく措置の柔軟化で、アの特化則との適用除外の仕組みの導入ですが、場所を移動しただけですので、内容の変更はしておりませんが、一定の要件を満たす事業場については、特化則等の適用を外すというような仕組みについての記載です。
イ、特化則に基づく健康診断のリスクに応じた実施頻度の見直しについては、前回御議論いただいた内容で、前回の資料のとおり、特別管理物質以外の物質については、現行6か月に1回となっております健康診断の頻度について、マル1からマル3作業環境測定が第一管理区分が3回続いているでありますとか、こういった条件を満たした場合に、頻度を減らして1年以内ごとに1回とすることを可能にするという、前回の御議論をそのまま記載をさせていただいております。
(イ)で特別管理物質については、前回、御説明させていただいたとおり、引き続き調査、検討を行うということで、その内容で書かせていただいております。
この下のウの部分は本日資料2で御議論いただいた内容を書き下したものです。(ア)と(イ)、これは先ほど御説明したとおりの内容になっております。
23ページです。エ、粉じん作業に対する発散抑制措置の柔軟化です。こちらは前回名古屋先生から意見書ということで頂いていた内容を踏まえて、追加した記載で、現在一定の要件を満たす場合で、第一管理区分である作業場については、法令で決まっている局所排気装置以外の発散抑制措置についても、監督署長の許可をもらえれば認めるという仕組みが、特定化学物質障害予防規則などでは規定をされておりますが、同じような仕組みが粉じん障害防止規則には設けられていないということで、同様の仕組みを入れてはどうかという御意見を名古屋先生からいただいたところですので、それを踏まえて記載をさせていただいたものがこちらの部分です。
(6)がん等の遅発性の疾病の把握とデータの長期保存のあり方についても、前回、御議論いただいたとおりの内容で記載させていただいておりまして、遅発性疾病の把握がきちんとなされるようにということで、関係者に対する教育・周知啓発、(イ)については、発がん性物質を取り扱う同一事業場等において、複数の労働者が同種のがんに罹患したことを把握した場合は、労働局のほうに報告をしていただき、それを踏まえて業務との関連等を調査するという仕組みについて記載をさせていただいております。
イの健診結果の長期的な保存につきましては、(ア)は前回、御議論いただいたとおり、発がん性物質については30年保存という内容ですが、(イ)の第三者機関による保存の仕組みの検討ということで、そちらは各委員からこういう仕組みが必要だと御意見を頂いているところですが、この仕組みを具体化するに当たっては、いろいろと検討すべきことが多いと思いますので、この研究会で結論を出すというよりは、そういった仕組みについての検討も進めていくという記載にここではとどめさせていただいております。
最後になりますが、(7)、事業者及び国が行う有害性調査ということで、現在、新規化学物質の届出に対して求めている、有害性評価の種類についてどうするかといった議論をワーキングの中で行うとしておりましたが、関係省庁との連携も必要だということで、ワーキングの中間取りまとめでは、引き続き検討ということになりましたので、この内容をそのまま記載をさせていただいています。少々駆け足ですけれども、私からの説明は以上になります。
○城内座長 どうもありがとうございました。ワーキングも含めたこれまでの議論を踏まえて、報告書(案)の形にまとめていただきました。ただいまの御説明に関して、コメント等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。中澤委員、お願いいたします。
○中澤委員 具体的な内容のことではないのですが、3ページの最初の所に趣旨が書かれております。その中の2行目の所で、「化学物質による労働災害は年間450件程度で推移し、法令による規制の対象となっていない物質による労働災害も頻発している状況にある」と書かれております。一方で、6ページの所で労働災害の発生状況ということが書かれております。ここの所で、「特化則等の規制の対象外物質を原因とするものは約8割を占める」というような書きぶりがありますが、可能であれば前段の3ページに書かれております「法令による規制の対象となっていない物質も頻発している」という状況についても、ある程度数値的なものを盛り込んでいただいたほうが、整合性が取れるのではないかと思います。
○城内座長 よろしいでしょうか。そのほか御質問、御意見等はございますか。大前委員、お願いいたします。
○大前委員 文字の修正をお願いしたいのですが、20ページのアのマル4、「3年以上の期間、当該物質による有所見者を発生させないこと」という文章です。これは特健によって有所見者がないという意味だと思うのですが、ここのところをもっとクリアにするために、「当該物質に起因する有所見者」というような形にしていただくと、より明確になると思います。よろしくお願いいたします。
○城内座長 よろしいでしょうか。名古屋委員、お願いいたします。
○名古屋委員 7ページの所で、なお書きの所に粉じん障害防止規則が入ってきたというのは、これは今までと違って、粉じん則も他の規則と並べて進めていく方針なのだと思います。これは、すばらしいことなので是非お願いします。もう一点お聞きしたいのは、その下のマル1です。「ばく露実態調査が終了した物質」という所で、多分ここに書かれているのは、現状のリスク評価検討会で初期リスクと詳細リスクが終わった物質だと思うのです。ただ、リスク評価検討会にリスク評価の実態調査が終了した化学物質を報告してくれるばく露委員会が中央労働災害防止協会にあって、そこでもかなりリスク評価の検討が終わった化学物質があるのです。ただ、それらの化学物質が時期的なタイミングで国のリスク評価検討会に報告が上がってこないままになっているわけです。
その化学物質もこれと同じ扱いで情報を出してもらえるとありがたいです。その情報には化学物質の測定方法もきちんと掲載されていますし、そこに記載されたばく露濃度のデータを見るとある程度、初期リスクで終了する化学物質なのか詳細リスクまで行く化学物質なのかが分かります。あともう1つは、事業場の測定数が決められた数に足りなくて実態調査が途中経過で終わっている化学物質もあって、その中にはかなり実態調査が進んでいる化学物質があるので、それも汲み取ってあげるとそれを参考にして、自主管理のときに使えるのではないかなと思うので、是非それを汲み上げてほしいなというお願いです。
○化学物質評価室長 ありがとうございます。おっしゃられたとおり、委員会でばく露実態調査が終わっているものについては、今年度の行政の検討会で最終的なばく露評価をしていただくことで予定しておりますので、そういうものについては、できるだけ最終的な詳細評価まで終えてやっていくということですし、まだ十分にばく露実態調査のデータとかが取れていなくて、なかなかリスク評価が終えられないようなものについては、今後、ばく露限界値に移行して値を設定して、それに基づく管理を進めていくと、そういった形で進めていきたいと思っております。ありがとうございます。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。宮腰委員、お願いいたします。
○宮腰委員 今ほどもありましたが、23ページの粉じんの関係です。エとして、粉じん作業に対する発散抑制措置の柔軟化ということでこちらに記載があるのですが、ここの所というのは(5)の中でいう特化則の部分に関しての項目だと思います。その中において、この部分だけが特化則からは少し違和感があるなと思っているところでもありますし、また、ここの中で最後のほうの締めくくりとして、「適当である」という形で記載がありますが、私としては、そもそもこれを検討した記憶が余りございませんで、この部分について検討していくという内容であるならば、ふさわしいのかなと思っております。以上です。
○城内座長 事務局から、よろしいですか。
○主任中央じん肺診査医 よろしいでしょうか。
○城内座長 お願いいたします。
○主任中央じん肺診査医 先ほどの23ページの御指摘の部分ですが、適当であるということについては、検討するということも含めて考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。あと、記載の部分については、全体の構成等を含めながら検討させていただいて、適切な場所に記載させていただきたいと思いますので、こちらのほうもよろしくお願いいたします。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○名古屋委員 ちょっと説明させていただきますと、平成24年4月の特化則と有機則の一部を改正する省令で、作業環境が第一管理区分になっていると、有害物質をその場で処理可能な発散防止抑制装置の導入が可能になりました。つまり、局所排気装置の変わりに発散防止抑制装置の設置ができるようになりました。発散防止抑制装置と局所排気装置で、何が違うかというと、局所排気装置だと性能要件として制御風速があって、屋外排気になっています。ところが、発散防止抑制装置ですと屋外排気の場合は制御風速以下で稼動できる。さらに、特記すべきは屋内排気ができるということです。となってくると、発散防止抑制装置の設置でエネルギーコストの削減が可能になり、且つ設備費が全然違うのです。粉じんの場合は意外と屋内排気が可能な技術が整っているのです。なぜかというと、屋内排気するために必要なHEPAフィルターやバグフィルターがあるとか、排気口から漏えいする粉じん濃度を常時測定し、監視するためのデジタル粉じん計もあります。要するに、粉じんが発散防止抑制装置に一番適しているのですけれども、残念ながらこの議論をしているときには粉じんだけ外されて、有機溶剤と特定化学物質などの議論になってしまって、粉じんはずっと長い間置き去られていたので、技術的に発散防止抑制装置の設置要件を満足できるのをそのままにしているのではなくて、きちんと第一管理区分を頑張って維持しているのだったら有機則等と同じような取り扱いにしてもいいのではないかということです。
ただ、ここは化学物質ですので、粉じんがポンと入ってくるとなかなか違和感があり難しいのですが、粉じんもやはりある程度大きな作業現場を持っていますから、是非同じようにして、環境改善を実施し、第1管理区分を維持できるように一生懸命頑張っている企業に有規則などと同じよう取り扱って欲しいということでお願いした部分です。基礎的な研究から現場適用調査まで、厚労科研費を3年ももらって研究していますので、そういう意味で技術的には何の問題もないと思っています。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 私からは、7ページの赤で書かれた所のなお書きの所です。「5年後に廃止することを想定して、その時点で十分に自律的な管理が定着していないと判断される場合は」というように書いてあるところです。文章を変えてくださいということではないのですが、何をもって判断するのかというのは、ある程度念頭に置いておかなければいけないと思います。例えば、今日の議論の1にもありましたが、モニタリングをする企業として休業4日未満の労働災害を発生させた事業場を含むというような記載がありましたけれども、こういった数値についてはオープンになっておらず、我々が数字を追跡できるものではありませんので、このような数値の在り方などについても十分に考えていただきたいと思います。
○城内座長 よろしいでしょうか。明石委員、お願いいたします。
○明石委員 今回、全体を通して、かなり大きな化学物質管理の在り方を見直すということなので、まず1つはきめ細かい情報伝達等をやっていただきたい。また、5年というめどが示されたので、できれば1年ごとぐらいに、どういうことをやっていけばいいのかとかというマップを示していただけると、企業側も予定を立てながら進んでいけるのではないかと思います。それから、この中にいろいろ検討するとか調査するとか、拡大するとか書かれているのですが、これはいつぐらいに示されるというか、予定はどの辺りになりそうでしょうか。
○課長補佐 この検討会の報告書をまとめていただいた後に、どういう段取りで進めていくかということですが、夏をめどで検討会の報告書をまとめるということを想定させていただいております。報告書をまとめていただければ、報告書の中でこういう見直しをするということが書かれているものについては、我々で法令の改正の案を検討させていただいて、秋ぐらいをめどに労働政策審議会安全衛生分科会にかけさせていただくことを想定しております。もし、そこで妥当ということで認めていただければ、想定しているのは、年度内には改正するというぐらいのスケジュール感を持っております。引き続き検討とした部分については、ちょっと項目ごとについても時間を要する、例えば長期保存の検討等は結構時間が掛かるものもあるかと思いますので、そこは我々のほうでもどの検討をどれぐらいのスケジュールでやるかというのを、よく整理させていただきたいと思っております。
○城内座長 そのほか、ございませんか。尾崎委員、どうぞ。
○尾崎委員 ちょっと確認とか意見とかいろいろあるのですが、8ページの一番上の所です。「関係する省が連携して」というように、さらっと書かれてありますが、省が連携してというのが前提で、5年後廃止するというのが十分条件なのかというのが1つの質問です。
○課長補佐 この連携の部分は、情報伝達の大本になるGHS分類を今、各省がばらばらにやっているので、そこは連携しましょうという話なのですが、廃止する対象になっている特化則とか、そういうものは厚生労働省の仕組みなので、それは厚生労働省で判断するということになります。
○尾崎委員 分かりました。あと、9ページの下のほうに赤字でありますが、「国が示す基準」うんぬんかんぬん、「又は同基準が示されていない物質についてはなるべく低くする」ということがあるのですけれども、ここのなるべくというのが非常に引っ掛かってしまって、むしろ後半のほうの文章も「下記の施策を努めることを義務付ける」とか、そういうような文章に変えたほうがいいのではないかなという、そんな気がいたしました。なるべく低くすることを義務付けるではなくて、aからdの施策を実施することに努めなさいと義務付けるということにしたほうがいいのではないかなということです。
あと、10ページの、ここは多分これから名前が変わってくるのでしょう、仮称となっていますが、最初に出てくるばく露限界値(仮称)というのは、理解としては常時の濃度という、そういう意味ですよね。常時ばく露限界値というような感じの認識でよろしいのでしょうか。8時間。
○課長補佐 そうですね。
○尾崎委員 40時間ですね。後半に出てくるほうのばく露限界値というのは、瞬時ですね。瞬時限界値のような、そういうイメージなので、ちょっとここは後々間違えないようにしていただきたいなと感じました。
それから、ちょっと言葉の端々を摘んで申し訳ないのですが、11ページの下の所の※の所です。「保護具の選定に当たり必要な情報は、国において」というように文章が書かれています。やはり、保護具は従業員にとっては最後の砦なので、こういった化学物質のメーカーとか多くのメーカー、研究機関等の協力を得て情報収集してやるのですが、これは国のほうから声を高らかに上げていただいて推進していくという意思を、ここで盛り込んでいただきたいなと考えております。
あとは、労使の所なのですが、13ページのマル1です。今、大企業では、労使安全推進委員会に関しては、工場にとっては非常に重要な会議なのです。第一の会議と認識しています。そういう意味からすると、大企業に関しては非常にそういった安全推進委員会をどうやって、5W1H、いつ誰がどのように集まって、どのように議論をしてどのように議事録に残すというのがあるのです。ただ、中小企業の分野に限っていうと、こういったところは余り得意ではないというところの分野なので、ここに関しては、是非ガイダンス等の5W1Hを意識したような冊子などを作っていただいたほうがいいのではないかと考えました。
あと、これから新しく設定される化学物質管理者と保護具着用責任者の所の選任の所で、重複するところがあるのでちょっとイメージがつきづらいのですが、14ページの下のアの(ア)の「リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の選択、実施」、ここまでですけれども、括弧の中に保護具の選択、管理も含むとあります。一方で、15ページのイの保護具着用管理責任者の所に関して言うと、2行目の「、保護具の使用を選択する場合は」うんぬんかんぬん、「保護具の選択、管理等」というのがあって、ここが重なっているのです。どちらがやればいいのかというのが非常に曖昧になってしまうのではないかということなので、これは余り明記しないほうがいいのかなと。むしろ、現場を長いこと経験した感覚で言うと、化学物質管理者は製造の課長、保護具の着用管理者は係長だと設定すると、兼務は多分可能だと思うのですが、そうだとすると課長のほうはばく露防止措置というのは、ハード対策だったりソフト対策だったりというのがあります。ソフト対策は正に保護具の着用ということになるのですが、こういったところでPDCAを回していって運営していくということだと思います。
一方で係長、保護具着用管理責任者のほうは、むしろ選ばれた保護具をどうやって作業員、従業員に着用させるのかと。ここで使用を選択すると文章がありますが、むしろ製造の現場の言葉で言うと、着用させるという言葉なのです。着用させる場合はうんぬんかんぬん、保護具の選択等をさせるということなのです。従業員にそれをさせるということが非常に重要なので、ここら辺は文章をうまく構成してもらいたいなということです。後々この二方に関しては、教育等を施すというようにあると聞いていますので、もしそういうのがあるのであれば、職務の分掌なり職務の役割について明記していただきたいなと思います。以上です。ありがとうございました。
○城内座長 事務局から何かございますか。
○課長補佐 書き方については、また御意見を踏まえて検討したいと思いますが、一番最後の、保護具着用責任者と化学物質管理者の書き方の整理の所で、おっしゃるように、化学物質管理者のほうにも保護具の選択・管理、保護具着用責任者のほうにも書いてあるという所については、書き方を整理させていただきたいと思いますが、化学物質管理者というのは、全体、全てを一応カバーして管理をしていただく方というイメージを持っております。特にその中で、保護具を使うときに保護具に特化して管理をしていただく方が、保護具着用管理責任者というイメージでおりますので、化学物質管理者は保護具を全く扱わなくていい、見なくていいという趣旨ではないという意味で入れさせていただいていたので、ちょっと書き方は整理をしたいと思います。
○城内座長 漆原委員、お願いします。
○漆原委員 私からの意見も、正に今、御意見がなされた所です。保護具に関しては、やはり国を挙げて対応を推進するべきであり、保護具メーカーに任せるのでなく、率先していろいろな情報を収集、あるいは発信をしていただきたいと思います。例えば、海外でもEN ISO 374規格に基づいた情報が新しく公開されています。物質ごとの耐透過時間も含めて公開されているので、それを適切に国内に伝えて、必要な情報を現場に伝えるのが多分、一番重要になるのではないでしょうか。そういう海外の知見についても、省庁で連携しつつ適切に対応いただきたいと思います。
また、今ほど話のありました化学物質管理の選任の義務化の所、14、15ページの所です。14ページの(2)にあります実施体制の確立は、重要なポイントだと思っております。アの(ア)の所にありますように、「GHS分類済みの危険有害物質」の所で、「取り扱う業務」まで入っております。しかも、含有率による足切りの記載もないので、もともとGHS分類済みの危険有害物質を扱っているという認識の薄い事業者も、多分この中に入ってくると思います。
その場合、選任の義務化がどこまで現場に伝わるかというところがなかなか難しいと思います。保護具の着用責任者もそうですが、正に、この自律的な管理のためには、そういった情報が現場に十分伝わっていくことが当然必要ですし、どちらの担当者が選択をして、どちらの担当者が管理するのかによらず、適正に選択をして現場で管理をするところが重要です。例えば、ピンホールが空いていたら化学保護手袋として役割を果たせないわけで、現場どのように把握して、どの程度使ったら交換すべきなのかということも含めた情報が必要になってきます。その情報を中小零細の事業場まで伝えていかないと、結果として、ばく露してしまうため、「現場に定着した」とは言えないのではないかと思っています。
先ほどSDSの所の中にも、17ページ、「推奨用途」での使用について、保護具の種類を記載するなり選択するという説明がありましたが、その情報だけで現場で保護具の管理が適正にできるのか疑問です。もちろん、海外のSDSにも、耐透過性能が記載されているものとされていないものがありますので、記載の義務化までは言わないですが、今回の改正の際に、そういった情報までは求められてないと解釈され、情報があったとしても書かなくていいのかと安易に省略されてしまう危険性も、またその一方ではあるのかもしれません。現場の管理に必要な情報をいかに伝えるかというところについて、国の関与をもっと積極的にお願いしたいということと、できるだけ簡素に現場に伝える情報伝達のやり方についても工夫をお願いしたいというところです。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。事務局からありますか。
○課長補佐 そうですね、御意見を頂いたとおりですが、今回、明石委員からもありましたが、結構、大きい見直しになりますので、これを世の中にどう伝え、実際に社会に根付かせていくのかが、当然、我々にとっての大きな宿題だと思っておりますし、皆様、関係業界の御協力も頂きたいと思っているところです。制度の見直し自体の浸透もそうですし、中身とか、管理に必要となっていく情報をどうやって必要な人に伝えていくかというのは、これは言うのは簡単なのですが、なかなか難しい課題でもありますので、我々もどうしていけばいいのかというのは、よく皆様とも相談しながら実施の準備を進めていきたいと思っているところです。
○城内座長 そのほか御質問等ございますでしょうか。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 今のコメントなのですが、やはり、大企業というのはいろいろな人材とかシステムがあって、いろいろな所でこういったところの対応は取れると思うのですが、地方の中小企業は非常にそういうところは弱いのではないかと思います。我々は地域対話というのもやっていますので、そういった地域の輪を使って、中小企業は近隣の大企業に見学なり意見を求めるとか、今、拡散のシミュレーションでこういうのは使えますよとか、こういった安全の委員会をやっていて、こういうのが問題になったら、いつまでにこのように仕上げていくというのを宣言するとか、そういう仕組みを作っていますよとかいうのを、地域で対話をしていくことが非常に大事なのではないかと感じます。
○城内座長 そのほか何か、御意見、御質問等ございますでしょうか。高橋委員。
○高橋委員 今、漆原委員からもお話がありましたが、企業の大小だけではなくて、業種によっても関心の高さというのは全く違うと思っています。化学物質を実際に製造しているメーカーは化学物質を扱うこと自体が作業ですので、日常的にも教育も受けていて取扱いに注意が必要というのは分かっているかもしれませんが、化学物質による労働災害でいきますと、商業でも被災者はいらっしゃいますので、化学物質の取扱いをしている全ての業種において、こういった自律的な管理ができるように、広く適切な周知をしていただきたいと思います。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。名古屋委員、お願いします。
○名古屋委員 これは1点お願いになりますが、例えば、平成28年度の化学物質のリスク評価に係る企画検討会で、粉状物質についてGHSをどうしようかという議論をしたことがあったと思うのです。そのときに、粉状物質を吸引することによって有害性が認められた場合については、GHS分類に基づく危険有害性情報をSDSに記載すべきことを指導するということになっていて、そのときに、許容濃度がある第一種粉じんと第二種粉じんの取扱いをどうしようかという話し合いを行ったのですが、ただそのときには判断基準がないので、これから検討しましょうで終わっているのです。そのとき議事録に残っているかどうか分かりませんが、その時の記憶だと第一種粉じんはちょっと危険だからGHSにしようと。また、第二種粉じんについてはグレーゾーンだねという話で終わっていたのですが、やはり、ここの8ページを見ると、許容濃度が設定されている物質についてはGHS分類に選定する物質の中に入ってくるので、できたら、今までなかったかどうか分からないですが、これからはGHSに分類すべき対象物質を増やしていく流れの中で、やはり第一種粉じんとか第二種粉じんまでが対象物質になるかどうか分かりませんが、やはりGHS分類物質として選定する流れがあってもいいのかなと思っています。ただ、その中でカーボンブラックだとかチタン、これは第二種粉じんですが要するにGHS分類物質になっているのですが、第一種粉じんはあまり入っていないので、第一種粉じんもGHS分類の中の対象物質になるような流れがあってもいいのかなとちょっと思っているので、検討してもらえれば有り難いかなと。この後増やしていく中で、要するに、粉状物質についても少し検討していただくと有り難いかなと思っているということです。
○城内座長 事務局から何かございますか。GHSのほうから言うと、先生がおっしゃったように、こういうカテゴリーがあるからGHSで考えてというのではなく、GHSのあるハザードがあったら、それは全部分類対象になっています。
○名古屋委員 分類対象に。
○城内座長 はい。ただ、どのぐらいばく露して、どういう影響があったかという数値で切っていますので、そこに入れば全部危険有害性があるということになりますので、その評価だけしっかりしていれば、GHS分類、あるいは表示につながるということに、原則的にはそうなっています。ただそれを、日本でそういう扱いをしているかどうかというのはまた別なので、そこを検討する必要はあるのだろうと思っています。
○名古屋委員 よろしくお願いします。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。明石委員、お願いします。
○明石委員 ありがとうございます。ちょっともやもやしているのが、23ページのがん等の所の(イ)の「集団発生時の報告の仕組み」という所です。書いていることは理解しますし、こうやって早くに見つけて早く対策することは大事だと思っています。これは、健康情報なので取扱いがたいへん難しいのと、何に基づいて義務付けるのかがよく分からないので、そこら辺りが難しいなと思っています。これは、労働衛生指導医がいるから労働局に届けるわけですよね、労働基準監督署ではなくて。そこを含めて、何かもう少し分かりやすく書いていただくと、もやもやがちょっとなくなるかなと思っているのですが、いかがでしょうか。
○課長補佐 分かりました。ちょっと書き方は工夫させていただきます。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。漆原委員、お願いします。
○漆原委員 どこかで既に御説明頂いたのかもしれません。今回、これで報告書が出来上がったとしても、ワーキンググループの段階ではまだ中間取りまとめで、残された課題が確かあったと思っています。そうすると、ここで区切って検討会の報告がリリースされた後に、ワーキングにおいて最終的なとりまとめに至ると理解しています。つまり、ワーキングの最終的な取りまとめの扱いは、この検討会に出されるのではなく、直接、審議会なりに報告されるという理解でよろしいでしょうか。
○課長補佐 今のところの考えとしては、この検討会は、もうこれをもって一旦閉じたいなと思っております。ワーキングで引き続き宿題となったものについて、ちょっと検討がどのぐらい掛かるか分からないところもあります。各省との調整というのもあると思うのですが、その検討をまた再開するときに、どういうふうに、例えば、もう一回このような会を開くのか、それとももうワーキングだけで、あとは審議会に報告して議論していただくのかというのは、その際にまたちょっと改めて整理したいと思っております。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。中澤委員、お願いします。
○中澤委員 今の御回答の中で質問なのです。今回の報告書(案)の中に、ワーキングの記載がいっぱい出てくるのですが、これがワーキングの最終的な報告の段階で、例えば、修正が加わるとか、そういう可能性はないと考えてよろしいのでしょうか。
○課長補佐 ここで書かせていただく内容については、ワーキングとしてはもう最終結論という扱いで考えております。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。ちょっと私から確認というかお願いがあります。化学物質管理のあり方検討会で自律管理にしましょうといった先に、別の規則等も関わるわけですが、影響がありそうなのでちょっとお聞きしたいのです。例えば、特定業務従事者健診があって、それは、定期健康診断と同じような項目でやっているわけですが、その中に化学物質もあって、それはそのままほっておいていいのかどうかというのがあります。個人的にはやはり整理したほうがいいのではないかなというものが1点。もう1つ、女性労働基準規則があって、これは第三管理区分の場合は就業してはいけませんよという決まりだと思うのですが、それの第三管理区分というのも今後もそのまま続くかどうかも分からないし、リスクアセスメントに基づいている健診ではないと思うので、その辺どう考えるかということ、ここでは議論にならないと思うのですが、御検討いただければと思っています。よろしくお願いします。
そのほか、御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。はい。ありがとうございます。大体、ちょうど時間になりました。今日の議題は全て議論いただいたということで、本日の議論を踏まえて、事務局でまた整理していただいて、事務局からも話がありましたが、次回は報告書の取りまとめを行うことにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○城内座長 ありがとうございます。それでは、事務局から連絡をお願いします。
○課長補佐 御議論ありがとうございました。次回は、今日の御議論を踏まえて、また修正などもさせていただいて最終報告書を御提示させていただきたいと思います。
次回ですが、7月14日、14時からを予定しております。また、改めて正式に御連絡させていただきたいと思います。
○城内座長 ありがとうございました。では、以上で、第14回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。