第13回 職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和3年4月27日(火) 14:00~17:00

場所

労働委員会会館7階講堂
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1)職場における化学物質等の管理のあり方について
    (2)その他

議事

○課長補佐(中村) それでは、第13回「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」を始めさせていただきます。本日は急きょ名古屋委員が欠席となっておりますが、それ以外の方は御参加いただいております。コロナの影響もあり、一部の委員はオンライン参加ということで、開催させていただきます。
初めに、事務局に人事異動がありました。実は、私はこの4月で別の部署に異動となっているのですが、私の後任として、樋口補佐が着任しておりますので御紹介させていただきます。私も引き続きこの検討会については兼務として、しばらく関わらせていただきたいと思います。では、本日の進行、城内座長です。お願いします。
○城内座長 分かりました。城内です。皆様、御不便をお掛けして申し訳ありません。では、会議を始めたいと思いますが、まず、事務局から資料の確認と本日の議事の進め方について説明をお願いします。
○課長補佐 本日、議事を7点ほど御用意しております。会場の方はお手元のタブレットで、オンライン参加の方はお送りしている資料を御覧いただければと思います。配布資料、まず1つ目、中間とりまとめに基づく具体的な進め方について、資料1。それから、化学物質に関する健康診断のリスクに応じた頻度の見直しについて、資料2。管理濃度の遵守が困難な場合の対策について、資料3。化学物質管理を担う専門家について、資料4。化学物質による遅発性疾病の把握について、資料5。最後、昨日開催しましたワーキンググループの中間とりまとめについて、資料6を御用意しております。それ以外に議題1の参考資料として、参考資料1と参考資料2を御用意いたしましたので、御確認いただければと思います。
○城内座長 ではまず、中間とりまとめに基づく具体的進め方について、資料の説明をお願いいたします。
○課長補佐 資料1を御覧ください。中間とりまとめに基づく具体的な進め方ということで、5つほど論点を用意いたしました。これは前回の議論の続きとなります。1、2ページを御覧ください。まず1つ目、ラベル表示・SDS交付の義務拡大の進め方ということで、1ページ目は前回、御議論いただいたとおりで、3か年で既にGHS分類が終わっている物質を対象にしていくということで御用意しております。3か年のこの方針で進めた場合の対象の物質の数がどれぐらいになるかというものが2ページ目です。具体的な数字は若干修正がある可能性はありますが、大体、数字の規模感として令和3~5年度で、このぐらいの数の物質を義務化しているということで、参考として御用意しております。
それから議題の2点目、3ページを御覧ください。これは、自律的な管理の実施状況をどのように記録していくかという論点です。前回、保存期間3年にしてはどうかということで提案をさせていただいたものですが、前回の御議論の中で、例えば、発がん性物質については、もう少し保存期間を延ばしたほうがいいのではないかという御意見を頂いたことも踏まえ、改めて整理し直したものです。自律的な管理の中で健康診断を実施した場合、その記録の保存期間は今、特化則では5年、発がん性物質は30年となっておりますので、それに併せて健康診断の結果の記録については、発がん性があれば30年、なければ5年にしてはどうかという提案です。
それから、次の論点について4ページを御覧ください。こちらも前回御議論いただいた、一定規模以上の化学物質を取り扱っている企業で、外部の専門家の確認を定期的に受けるという仕組みについての議論ですが、年間取扱量というものをどうやって基準を設けるかというところで、前回は、化学物質の取扱量や種類などを検討してはどうかということを御議論いただいておりますけれども、今回、事務局からの提案としては、基準として、ある程度分かりやすい必要性もあると考えておりまして、年間のSDS交付義務、リスクアセスメントでもありますが、交付義務対象物質を年間数トン以上、製造又は取扱いを行っている製造業の事業場を対象にすることでどうでしょうかということです。確認の頻度としては3年に1回でどうか。
その専門家に確認していただく中身としては、この3つ目の○に書いてありますように、自律管理の実施状況がきちんと行われているかどうかを確認する内容としては、このような内容が考えられるのではないかということです。
外部の専門家とするか内部の専門家とするかという点もありますが、基本的には外部の者としつつ、何らかの条件を満たした場合に内部の者にするということを考えてはどうかという提案です。それから、具体的に専門家に求められる資質としては、これは、あくまでも例示で、具体的なものは、また御議論を踏まえるということだとは思いますが、労働衛生コンサルタントの資格を持っている方で化学物質管理の実績がある方。衛生工学、衛生管理者で同様に経験を有する方。それから、オキュペイショナル・ハイジニスト資格を有する方。こういった方が考えられるのではないかと想定をしております。
続いて4点目ですが、まず、SDSラベルの定期的な更新をどうするかという議論を前回させていただきました。具体的な頻度をどうするかということですが、GHSのルールの中でも、3~5年程度で更新のルールを決めるというようなことも想定されていることも踏まえ、今回の提案としては、5年以内ごとにしてはどうかということです。実際にその情報が更新されていることが分かったときに、その後どれぐらいの期間をもって更新を求めていくかについては、2つ目の○にあるように、提案としては6月以内にSDSラベルの更新をするということでどうでしょうかということです。
次の6ページも続きで、SDSについて前回議論をさせていただき、SDSに記載をする成分、それから含有率についての議論で、こちらは今後、SDSの対象物質が増えていくということになると、記載すべき成分名、含有率が非常に増えていくのではないかということで、労働者に危険性・有害性を伝達する意味で、どこまで成分量などの記載を求めるのか、ここについて改めて整理が必要ではないかという議論です。これはあくまでも事務局からのたたき台としてお示しするものですが、例えば、今、10%刻みでの記載となっているものについて、10%未満については記載を不要とするというような整理ができないかという提案です。
それから、その次の2つ目の○ですが、これも前回いろいろと御意見を頂いた保護具についてのSDSの記載はどこまで求めていくかという点について、ユーザー側からはなるべく具体的な記載を求める声がある一方で、メーカー側、提供する側からは、どういう使用がされるか分からない中で受けることに限界があるというような御議論がありましたけれども、その議論を踏まえて今回、SDSにその推奨用途を書くということになっておりますので、その推奨用途の範囲内で、仮に使用する場合に、保護具を使って吸入を防ぐ、若しくは直接接触を防ぐということを想定した場合に、どういう保護具が必要になるのか、その種類の記載をするというような整理にしてはどうかという提案です。
それから、7ページ目ですが、化学物質の自律管理を進めていく中で、特に中小企業が取り組みやすくするように、ガイドラインなどを作ってはどうかということで、これも前回どのような作り方をしていくかということについて、業種や作業ごとに作っていくことでどうかという御意見を頂いておりますので、それを踏まえたとりまとめなどをさせていただいております。
それから、最後に8ページ目ですが、今回、制度を大きく見直していって自律的な管理に転換をしていく中で、今ある特化則、有機則などをどのようにするかという議論ですが、一定の目標を決めておく必要があるのかという御意見もありましたので、今回の御提案としては、5年を目途として実施状況、定着状況の評価をして、その時点で十分に自律管理が社会に定着をしているというようなことであれば、特化則や有機則などの個別の規制を廃止するかどうか、廃止する場合も自律的な管理の中に一部残すべき規定があるかどうかは、この評価を踏まえて検討、判断することも考えられるのではないかなということです。
その5年後に評価をするときに、全て、全く廃止するということだけではなくて、特化則などの中に規定されているもので、自律管理の中に取り込んでいけるような有用な中身があるのであれば、それも含めて検討するということでどうかということです。仮にその5年後の時点で、まだまだ自律管理は定着していないという評価になるのであれば、更に5年後、10年後ということになりますが、5年先延ばしにして、もう一度評価をすることもあり得るということで、まとめさせていただいております。聞きづらいところもあり申し訳ございませんでしたが、資料1の説明は以上になります。
○城内座長 では、参考資料2を御覧ください。実はこれまでも小規模事業場、中小企業対策で、安全衛生調査が数年おきに行われており、これまでのあり方検討会にも資料として出されております。その中では、小規模事業場では化学物質についてどういう取扱いがされてきたのかということが、余り明らかになっておりませんでしたので、研究所でアンケート調査を実施いたしました。その結果を参考資料2に少しまとめてあります。全部ではないのですが、少し説明させていただきます。
時間が押しておりますので、ポイントだけお示ししたいと思います。スライドの2、3枚目は、事業主を対象とした調査結果です。事業者数は500社で、全て50人未満の小規模事業場を対象としています。ポイントとしては、情報をどのように理解されて、どのように使われているかということです。ポイントを2つ申し上げたいと思います。
化学物質による事故があったかどうかという質問については、事業者は大体10%弱ぐらいが、今までそういう事故があったと答えています。これは後ほども申し上げますが、労働者に対するアンケートでは3倍ぐらいになるということが、少し注目すべき点かと思います。もう1つは、3枚目のスライドの右上に書いてありますが、化学物質の危険性・有害性情報の入手手段としては何があるかということです。ラベルはかなり見られているということが分かりました。6、7割ぐらいがラベルを見て情報を取っている。もちろん、事業主ですから、SDSも参考にしているということが分かりました。
それから、労働者を対象としたアンケートです。労働者と事業者は母集団が違うことを考慮して見ていただきたいのです。先ほども申し上げましたが、労働者から見ると、化学物質による障害を受けたことがある人は30%ぐらいですので、かなり違ってくるということが分かりました。それから、危険・有害性情報の入手はどこからですかということについては、最後のスライドの左上のグラフにあるように、8割ぐらいの労働者がラベルから情報を取っているということが分かりました。
その先が重要で、ラベルの内容について理解しているのかというと、例えば、その下のグラフにあるように、GHSの絵表示などはほとんどちゃんとした意味を理解していないということが分かり、やはり、危険・有害性情報がしっかり労働者に伝わり、それを理解しているかということが少し疑問であるという調査結果でした。簡単ですが、以上です。
これから、先ほど中村補佐から紹介があった中間とりまとめの具体的進め方についての御意見を、委員の皆様からお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。では、大前委員からお願いいたします。
○大前委員 3点くらいあります。1つ目は、4ページの専門家に求められる資質・資格についてです。2つ目のポツに、衛生管理者(第1種、衛生工学)資格を有し、10年以上化学物質管理の実務経験とありますが、10年も要らないのではないかと思います。実務をやっていれば5年くらいでも十分ではないかと思います。その次のポツの、日本作業環境測定協会のオキュペイショナル・ハイジニストだけでいいのか。やはり、海外のオキュペイショナル・ハイジニストを持っている方も入れたほうがいいのではないかと思っています。
2つ目は、6ページです。その他の1つ目の○の化学物質の成分量の表示についてです。この案では、重量パーセントが10%と書いてあります。これは分子量によって、重量単位は10%だけれども実質的な分子の数が30%、40%になるということもあり得るので、本来は重量パーセントではなくモルパーセントとしたほうがいいと思います。ただ、これは計算が大変なのでなかなか難しい話かもしれませんが、重量パーセントは少し誤りを起こす可能性があると思います。
3つ目は、少し読み切れなかったのですが、「含有量が10%未満の物質については、成分及び含有量の記載は不要とする」を裏読みすると、例えば、有機則に入っている溶剤や入っていない溶剤も含めてですが、溶剤を9%ずつで11種類使えば、成分含有量を書かなくていいという読み方になってしまいます。
なぜこういうことを言うのかというと、随分昔にゴム工場に行ったときにゴム揮という接着剤があり、「うちのゴム揮は有機則には引っ掛かりません」と言われました。なぜかというと、あのときの有機則では5%だったでしょうか、みんな5%以下だから大丈夫だというようなことをおっしゃった会社がありました。ここには何らかの注意書きを付けるなど、例えば、有機則あるいは特化則等に含まれているものに対しては、成分含有量をちゃんと明示するということにしないとまずいことが起こるのではないかと思います。恐らく、この重量パーセントが10%はマイナーな成分、各会社の秘密に属することをイメージして書かれているのではないかと思います。それはそれで必要だと思いますが、そういう抜け穴もあり得るので、その辺りはちゃんと書いたほうがいいのではないかと思います。以上です。
○城内座長 質問をある程度受けてから、事務局からの回答をお願いします。漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 今、大前委員が御指摘された6ページの重量パーセントの所です。私も10%は数字として桁が違うかと思っております。確か、化審法のSDSも1%や0.1%という数字だと思います。大前委員のおっしゃっていた有機則の有機溶剤については5%でもありますし、金属化合物の元素換算などもいろいろ考えると、10%で本当にいいのかというと、引き下げることも検討すべきではないかと思ったところです。
6ページのその下の○です。実は昨日のワーキンググループでも発言させていただいたのですが、保護具についてです。保護具は経気道ばく露もそうですが、経皮ばく露でも必要です。保護具の規格としてJIS T 8116がありますし、服ではJIS T 8115だと思います。どういった保護具が必要かということもさることながら、保護具を洗わずにずっとそのまま付いていると透過してしまうこともあると思いますので、保護具の管理や透過も重要な情報です。JIS規格での試験結果は、あくまで、これは参考値と言うか、一定の環境下でJIS規格の指定した方法によってテストされているため、その温度や湿度などが、全ての事業場で、あるいは、使用する作業に当てはまるとは限らないのですが、透過時間のデータなどをSDSなどに提示していただくことが重要かと考えております。以上です。
○城内座長 次に、永松委員、お願いいたします。
○永松委員 まず、1ページのラベル表示・SDS交付の義務拡大の進め方の点です。あらかじめ義務化スケジュールを公表することについては是非必要であるということで、特に生産についてラベル・SDSの更新の準備、あるいは、生産計画へも影響するということです。あと、今後、具体的なことを考えた場合に流通在庫等をどうするのか。生産者が直接把握できないところもありますが、今後、そのような点について具体的に御検討いただきたいということが1つです。
次に、3ページの自律的な管理の実施状況のモニタリングについてです。これは今後のお話になると思うのですが、まず、実施状況の記録はリスクアセスメントをやったかどうかという点だけの記録でよいのかという点です。それから、その下の実施結果の記録は、実際にリスクアセスメントをやったことに関わる資料のことであるのかということです。また、次にリスクアセスメントを実施するまでの間は保存となっておりますが、生産が中止になる場合もありますので、この点においては、その生産に関わる作業をやめるまでの間も必要ではないかと思っております。
それから、自律的な管理の実施状況のモニタリングの点です。ここでは規模について一定以上の企業というようなことになっておりますが、この考え方には反対です。まず、なぜかと申しますと、一定以上の企業のほうが社内の管理が整備されている所も多く、また、そういう所では安全な管理がされている可能性も高いということで、この制度が目指しているものには相反するのではないかと考えております。そうではなく、化学物質による重大な労働災害が発生した企業、あるいは、新たに発生した重大な労働災害の原因となった化学物質を取り扱う企業のうち、一定量を取り扱う企業ということが、この制度をいかすためにも必要ではないかと思っております。
また、この制度そのものが自律管理の中で義務とされるのかどうか。自律管理との関係が少し曖昧なのではないかと思っております。また、外部から専門家を受けるときには、製品等に関わる秘密保持の点も必要かと思っているので、そういう点も踏まえた上で、どういう専門家を求めていくのかという検討が必要かと思っております。
それから、SDSの記載内容の見直しについてです。6か月以内の情報の更新となっておりますが、会員にヒアリングをしたところ、システムの関係があり準備に6か月掛かるケースがあり、さらに、それを生産に反映するには1年ぐらいは必要だということで、6か月は短すぎるという意見が出ております。
それから、記載内容の見直しの所で、1つは、保護具の種類を記載するということにおいて、どの程度のものを記載するのかという標準的な記載の例を、今後、検討していく必要があると考えております。また、今、ここで成分の表示について議論されておりますが、これは確認なのですけれども、例えば、混合物のSDSになれば、そこの参考情報にも書かれておりますが、成分量にとらわれずきちんと有害性情報が伝えられるということですので、混合物のSDSがある場合とそうでない場合で考えていくべきではないかと思っております。
それから、中小企業に対する支援措置についてです。業種・作業ごとのガイドラインを作成するということは非常に重要かと思っております。会員の中から、化学品の薬傷にかかわらず、引火性、圧力に関わる危険性、いわゆる、消防法、高圧ガス保安法も是非盛り込んでいただいて、中小企業の方がより使いやすいものにしていただきたいという意見があります。少し長くなりましたが、私からは以上です。
○城内座長 では、ここで事務局から、答えられるものについてお願いします。
○課長補佐 3ページからお答えしていきます。まず、自律的な管理のモニタリングでどういうものを保存していくかということについては、リスクアセスメントの結果、それに基づく措置、実際に健診をやった場合は健診の結果も入ってくると思いますが、そこはもう少し具体的に整理して、次回などに提示できればと思っております。
それから、4ページです。今、永松委員から、量で切るのは違うのではないかという御指摘がありました。まず、労働災害が起こった所を対象にすべきではないかという御意見を頂きました。この案を作ったときの考え方としては、化学物質を扱う量が増えれば増えるほど、それに応じてリスクが生じてくるということで、一定量で切るという考え方をお示ししております。
御指摘のあった労働災害が起こった場合は、基本的に全て労働基準監督署が一義的に対応することになっております。労働災害が起こった場合には監督署に報告が来て、それを踏まえて監督署で原因の調査も含めて対応していくことになります。むしろ、今回お示ししているのはそういう場合ではなく、定常的に自律管理をやっているときに、自律管理が適切に行われているかどうか専門家の目で見るということも必要ではないかという、これまでの御意見を踏まえての提案です。
先ほど、企業機密のお話もありましたので、外部の者を必須とするのか、それとも、内部の者でよしとするのかということも含めて御議論いただければと考えております。それから、大前委員から、専門家に求められる資質について実務経験は10年も要らないのではないか、海外のハイジニストを認めるべきではないかという御意見は参考にして、今回は案として提示したものですので、また整理させていただきたいと思っております。
それから、5ページです。6か月という更新期間は短いのではないかということです。実際に産業の現場で実施できる期間である必要があると思いますので、1年という御意見も踏まえて、事務局で改めて整理させていただければと思っております。
それから、6ページはいろいろ御議論のある所かと思います。大前委員や漆原委員から10%で切るのは正しいのか、そもそも、成分量について重量パーセントでいいのかという御意見もあるかと思います。今は10%刻みということがあり、10%で切ってはどうかという提案をさせていただきました。趣旨としては、大前委員からも御指摘があったように、企業機密に触れるような情報まで全部オープンにしてしまうのかという、産業界の実態も踏まえて御議論をさせていただいておりますので、パーセントで切るのがいいのか、それとも、企業機密に当たるものはオープンにすることを求めないという辺りは、更に委員の皆様方にも御議論いただき、整理していくことができればと思っております。
それから、その下の保護具についてどこまで記載するのかということについても、今後、実際に記載する場合にはどういう記載例があるのかということも含めて、実施に向けて整理が必要かと考えております。以上です。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 先ほど、永松委員と中村補佐のやり取りにもあった点です。自律的な管理の実施状況のモニタリングについて、申し上げたいと思います。要件なのですが、トン単位という量的な基準を基本にするとしても、そのほかに健康障害事案が発生した場合、その他、監督官、専門官が必要と認めた場合というような要件を加えていただくのはどうかと思います。
なぜなら、委員から縷々御指摘があったように、特に化学物質対策においては、恐らく、中小企業等のほうがむしろ厳しいコンプライアンスが求められるという逆転のコンプライアンスが必要な面もある。しかし、それを正面から書くのはなかなか難しいということになると、やはり、量的基準に加えて質的基準も設けるべきかと。
また、安全衛生政策はどうしても再発防止策、少なくともヒヤリ・ハット策というところが重要になるということを考えると、そうした質的な基準が求められるかと。更に言えば、現場の行政官で化学物質管理に詳しい方が減ってきている状況もありますので、そこへインパクトを与えるということも考えなければならないと思います。加えて1点申し上げれば、基準では、対象となる化学物質についてはラベル・SDS対象ということになっておりますが、これを拡大できないのかと思います。自律管理を推進する施策の一環では、この項目は結構重要な所だと思いますので、要は、有害性等が未解明な物質にもどれだけ触手を伸ばせるかという観点で御検討いただいてもいいかと思います。以上です。
○城内座長 続いて、高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 6ページです。先ほど、保護具の記載の方法について検討していくというお話だったのですが、同じ化学物質を扱うにしても、使用方法や使う環境によってリスクが異なると思います。働く側としては、できるだけシビアなケースを想定した記載をしていただくように検討していただきたいと思います。
もう1点は、8ページの将来的な規制のあり方の中で、5年後を目途として実施状況、定着状況の評価を行うということにしておりますが、企業の規模によっても取組の状況や定着も変わってくると思いますし、特に中小では、大企業ほど促進の定着はなかなか進まないと思いますので、企業によって異なることも十分考慮した上で評価していただきたいと思います。それから、今後の促進の定着を図っていくというのは既にアナウンスされているとおりなのですが、再度のお願いということで、自律管理は決して規制緩和ではないという、間違った伝わり方にならないように改めて周知していただきますよう、よろしくお願いします。以上です。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。中澤委員、お願いいたします。
○中澤委員 2つほど意見を申し上げます。4ページです。先ほどのお話にもあったかと思いますが、専門家の確認・指導を受ける必要がある事業所の規模についてです。化学物質の種類の如何を問わず年間●トン以上の化学物質を使用している事業所という御提案ですが、製造の過程で反応させて別の化学物質を生成する場合もあれば、反応を伴わず単に化学物質の混合物を製造する場合もあるかと思います。そういう場合に、製造数量イコール取扱量という形で理解するのはいかがなものかと思います。
それから、これとの関連ですが、4ページの一番最後のほうにある専門家に求められる資質・資格についてです。かなりハードルの高い条件となっていますが需要と供給の観点から対応できる方々を確保できるのでしょうか。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。明石委員、お願いいたします。
○明石委員 各論はまたその時々に意見を申し上げたいと思いますが、資料1の8ページの将来的な規制のあり方についてです。事業者として一番困るのは、ダブルスタンダードがずっと続くということです。ここはある程度タイムスケジュールを組んで5年後でやってくださいということが書かれておりますが、自律的な管理を促すのであれば、特別規則を廃止するタイムスケジュールをきちんと示していただきたい。
それから、最後に書かれておりますが、5年後の時点で定着していないと判断されるというのは、書き方がかなり曖昧なので、何をもって誰がどう判断するのか。やはり、両方がずっと続くということは一企業にとってはコスト的にも耐えられなくなってくるので、この辺りについては御留意いただければと思います。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。私から1点お願いがあります。既に大前委員、漆原委員、永松委員から御発言がありましたが、スライド6の10%刻み、あるいは、10%未満は記載不要にしてもいいのではないかというお話です。これがそのままいくと、労働者に情報伝達がうまくいかないということと、最終的に事業者が責任を取れないことが起きると思っております。したがって、法律で大体このぐらいでいい、記載しなくてもいいということはやるべきではないと思っております。
SDSをネット上でいろいろ見たのですが、私は事業者がうまく対応しているのではないかと思っています。つまり、GHSでは危険・有害なものだけ記載することになっているので、危険・有害でなければ記載の必要はないわけです。それから、先ほど大前委員からもお話がありましたが、混合物を正確にパーセンテージで示すということはそれほど簡単ではないので、実際にSDSで示されている濃度範囲はかなりばらばらです。それから、CBI対応については、既に企業はよくやっているように思います。そういうことを考えると、法令でラフでもいいという話にはしないほうが、将来に禍根を残さないのではないかと思っておりますので、是非、御検討をよろしくお願いいたします。1番目の議題について、皆さんから御意見はございますか。
それでは、次に進みます。議題の2つ目、化学物質に関する健康診断のリスクに応じた頻度の見直しについて、事務局から説明をお願いします。
○産業保健支援室長 労働衛生課産業保健支援室長の和田です。資料2に基づきまして御説明いたします。特化則等に基づく特殊健診のばく露リスクに応じた健診頻度の見直しについては、中間とりまとめにおいても今後検討を進めることとされた事項の1つであり、昨年12月の第11回の検討会においても中間報告をさせていただきました。その後、衛生工学の専門家の御意見をお聴きするなどもし、専門委員会のほうで議論を重ねて結果をとりまとめましたので、資料2に基づき御説明をいたします。
資料2の1ページ目ですが、専門委員会のメンバーと開催状況になります。次に資料2の2ページを御覧ください。ばく露リスクに応じた健診の実施頻度について背景と考え方をお示ししたものです。まず1つ目の○ですけれども、作業環境管理、作業管理、健康管理の3管理について趣旨と目的を記載しております。作業環境管理と作業管理については、労働者を有害物にばく露させないようにするように、できるだけばく露を減らすもの。一方、健康管理については、ばく露しているかどうか、健康に影響が出ているかどうか、そういったものを確認するというものになっております。
2つ目の○ですけれども、特化則等で規制されている物質の健康管理について、化学物質の危険・有害性やばく露リスクに応じて、業務従事中に定期的な健康診断が必要な物質、定期の特殊健診が必要なもの、あとは業務従事中に定期的な健康診断までは必要がない物質や、当該業務から離れた後、配置転換後も定期的に健康診断が必要な物質、そういったものがあります。
3つ目の○ですけれども、海外の動向です。有害物へのばく露の可能性がある労働者への健診については、1年から2年以内に1回というのが主流になっていることなどを書いております。
4つ目ですが、現行では6か月ごとに1回、定期で実施している健康診断については、近年の職場環境の改善ですとか、業種、作業によっては取り扱う量が極めて少ないといった場合があるなど、ばく露が著しく低い労働者に対しては必要以上に健康診断が実施されている可能性があり、健康診断の実施頻度は当該物質の危険・有害性等や労働者のばく露状況に応じ、適切な頻度で実施する必要がある。頻度を勘案する場合には、その程度に応じて、ばく露が少なくなっていることを適切なばく露評価指標などで確認する必要がある。そういった考え方をお示ししております。
2ページの下半分の中央に、ばく露状況を評価する指標について記述がありますが、これについては次の3ページで説明したいと思います。3ページを御覧ください。労働者のばく露状況を確認する方法として考える候補について、その基準例とかメリット、デメリットをお示ししたものが3ページになります。まず、作業環境管理、作業管理による対策の状況から確認する方法として、作業環境測定、個人サンプラーによる作業環境測定、CREATE-SIMPLEなどによるリスクアセスメントといったものを挙げております。例えば作業環境測定であれば、基準例として直近の測定で管理区分が1、直近何回かの測定で管理区分が1、あとは測定値が基準値未満といったものが考えられます。作業環境測定を使うメリットとしては、法令で既に義務付けられているものであり、新たな負担にならない。測定値であるため作業場の状況を反映したものであると。一方でデメリットとしては、管理区分が1であっても、管理濃度を超える可能性がある。作業時間を通して測定にはなっていないといったことが考えられます。
また、健康に影響が出ていないかなどを確認する方法としては、健康診断の結果や生物学的モニタリングが考えられます。例えば健康診断であれば、基準例として直近の健康診断で所見がないですとか、直近の何回かの健康診断の所見がないといったものが基準例として考えられます。また、健康診断の結果を使うメリットとしては、先ほど作業環境測定の所でも述べたように、法令で義務付けられているものですので、新たな負担とならない、健康に影響がないかなどについて労働者個人の状況が反映されているといったものが考えられます。
4ページ以降ですが、専門委員会でのリスクに応じた健康診断の実施頻度についての検討結果について、大きく2つに分けて示しております。まず1つ目ですけれども、有機溶剤、鉛、四アルキル鉛、特化物のうち、特定管理物質以外のものと、特定化学物質のうち特別管理物質のもの、そういったものを大きく2つに分けてお示ししております。まず、4ページの有機溶剤、鉛、四アルキル鉛、特化物のうち特定管理物質以外のものについて説明いたします。なお、これらの物質については、業務中に定期的な健康診断、特殊健診が必要な物質になっております。リスクに応じて健康診断の実施頻度ということで、まずここに検討結果を書いておりますが、リスクに応じて健康診断の実施頻度を緩和することが可能であって、現行の6か月以内に1回実施をリスクに応じ、具体的にここに書いておりますように、1年以内に1回、6か月以内に1回というようにしております。リスクに応じて区分1、区分2とありますけれども、区分1、区分2は作業環境測定の区分1、区分2ではなくて、下の表に掲げる基準に応じた区分になっております。
改正案の内容としては、この○の所を御覧になっていただきますと、頻度の緩和の可否は事業者が労働者ごとに行う。その際、労働衛生に係る知識又は経験のある医師等の専門家の助言を踏まえて判断することが望ましい。また、同一作業場で作業は同じもので、同程度のばく露をしていると考えられる労働者が複数いる場合には、その集団全員がばく露していないと判断される場合、そういったことでやるのが望ましいと書いています。
基準の所を御説明させていただきますと、以下のいずれにも該当する、満たす場合には健診の実施頻度を1年以内に1回とすることができると、こういった基準を書いております。まず1つ目として、労働者が作業する単位作業場所の直近3回の作業環境測定結果が管理区分1であると。2番目として、直近の健康診断において、法令で定める項目に所見がないこと。具体的な中身については括弧の中に書いています。3番目として、直近の健康診断の実施から、ばく露で大きな影響を与えるような作業内容の変更がないこと。そうしたものを書いております。そうしたもので該当するものは、区分1で1年以内の健診の実施ということになります。今説明した以外のものは区分2として、従来どおり6か月以内の健診を実施しなければならないことになっております。
1ページめくっていただいて、次は特化物のうち特別管理物質について結果を述べているものです。1つ目の○で、リスクに応じて健康診断の実施頻度を緩和することが可能であるが、物質により毒性が異なる部分があり、引き続き検討が必要となっております。この特別管理物質については引き続き検討ということで、今回の検討会ではまだ結論が出ていないとなっております。現時点での改正の内容として、○で書いておりますけれども、この○の内容は先ほどページで御説明した特別管理物質以外のものと一緒です。事業者が判断する、専門家の意見を踏まえて判断するのが望ましいなどと書いております。
次に、表を御覧になっていただきたいのですけれども、特別管理物質については、業務従事者健診と配置転換後の健診と両方あります。業務従事者健診については、先ほど御説明した特別管理物質以外の物質と、ここについては同じです。
配置転換後の健診については、次のページで御説明させていただきます。6ページを御覧ください。まず、左側が業務従事者の健診を書いていて、ここについては先ほど来御説明しているとおり、特別管理物質以外のものと取扱いは一緒です。配置転換後の健診について、現時点の検討結果をお示ししていますけれども、まず下線を引いてある部分について、ここは継続的な検討が必要なものということで下線を付しております。改正案で健康管理手帳の交付対象物質とそれ以外で2つに分けております。
まず、健康管理手帳の交付対象物質について、御説明させていただきます。これについては、配置転換時の状況に応じて健診頻度が緩和できるかという判断になります。まず区分2の期間ですが、区分2は先ほど御説明した業務従事中の区分2の期間ですけれども、具体的には、健診の実施頻度が6か月以内に1回の状況で従事した期間が、健康管理手帳の交付要件となる従事期間の1/2未満の場合は実施しない。区分4として、健康管理手帳の要件となる従事期間の1/2以上、それ未満の場合は1年以内に1回実施。区分5として、健康管理手帳の要件となる従事期間以上の場合には、6か月以内ごとの実施、という案になっております。健康管理手帳の交付対象以外の物質については、まずヒトに対して重大な遅発性の健康影響、具体的には主にヒトに対する発がん性のことを示しておりますけれども、それが生じるリスクが大きい、かつ早期発見に有効な健診項目がない場合、こういったものに該当しない場合は健診は実施しない。該当する場合は2つに分かれて、5年未満の場合、この5年未満と言いますと先ほど御説明した区分2の期間が5年未満の場合は実施しない。5年以上の場合は1年以内に1回実施する。そういった緩和の案になっております。ただ、特別管理物質については引き続き検討しなければならない項目を含んでおりますので、全体として継続検討ということになっております。説明は以上です。
○城内座長 ありがとうございました。御質問等ありましたらお願いいたします。宮腰委員、お願いいたします。
○宮腰委員 今ほどお聞きしましたけれども、リスクに応じた健康診断の実施の頻度についてということで、6ページになりますが、やはりいろいろと見てみますと、非常に複雑になってしまったというのが実感です。もともとの、現行であれば業務の従事中であっても、配置転換後であっても6か月以内に1回とシンプルだったのですが、この改定案でいくと、かなり複雑になったと感じます。ですので、もしこれを運用していくという形になるのであれば、今後きちんと事業者に対しても分かりやすい周知をしていただかないと、場合によったら健診を受けないでしまったということになってしまう可能性があると思いますので、そうならないように対応していただきたいと思っています。また併せて、診断を受けさせるのは事業主になるわけですけれども、特に配置転換後になると個人でもきちんと管理する必要があるのかと思っております。そういった部分で労働者に対しても、自分がどういう作業歴があったのか、更にはどういうパターンに自分がいるのかという部分についても、意識できるような周知というのを徹底していただきたいと思っております。以上です。
○城内座長 次、お願いします。
○高橋委員 今の宮腰委員の意見と基本的に同じですけれども、今回見直しを行うに当たって、先ほど参考資料2の説明の一番最後のスライドで、労働者を対象にしたアンケートの調査結果の中の、事業場に期待することという右下の棒グラフですが、健康診断が1番となっております。やはり労働者自身が自分の健康の状態を確認する一番重要に思っている方法でもありますので、緩和するということでありましたら、従業員がしっかりと認識をして理解できるような、丁寧な説明を頂くようによろしくお願いしたいと思います。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。今までの御意見に対して、事務局から何かありますでしょうか。
○産業保健支援室長 貴重な御意見をありがとうございます。配置転換後に必要な特別管理物質については継続検討ということにしておりますけれども、検討していく上で、また検討して制度になった場合、頂いた御意見については運用面のほうも含めてしっかりといかしていきたいと思います。
○城内座長 ありがとうございました。基本的に反対の御意見はなかったと思いますので、この改正案で進めていくということでよろしいのでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは、次に議題の3つ目、管理濃度の遵守が困難な場合の対策及び作業環境管理の手法の柔軟化について議論したいと思います。説明をお願いいたします。
○環境改善室長 資料3に基づきまして説明させていただきます。今回の第3管理区分からの改善が困難な事案については、議論が飛び飛びになっておりまして、前回は12月に議論したところです。資料に基づいてですが、前回の資料を踏まえつつも整理しております。1枚目は、前回と同じ資料です。2枚目は、技術的に第1又は第2管理区分に改善できない場合、改善できないのをどのように定義するかの議論です。上半分は前回と同じです。それを踏まえて、前回12月に議論があったところについて、簡単に四角枠で囲っています。前回の御意見では、物質ごと、作業ごと、事業場ごとによって改善できない判断が変わってくる、そういった御意見が多かったということです。それを踏まえ、下に矢印がありますが、今回、事務局からのとりまとめ案としまして、改善できない場合の判断は一律的な基準ではなく、物質ごと、作業ごと、あるいは事業場ごとの取組といったことについて、個別に見ていく必要があるということで、今回、ここは一旦、整理をしております。3ページは省略させていただきます。
4ページを御覧ください。前回、この改善が困難な議論で、委員の方から、企業として努力して、管理区分を2に下げることができた事例がそれなりにあるのかというような御質問がありましたので、参考になる資料として示しております。これは少し古いデータですけれども、中災防で作業環境測定を実施した事業場について、単位作業場ごとの管理区分の変化を測定5回にわたって追跡したデータです。
結論を申し上げると、全体の68.8%で、7割が当初から第1管理区分を継続しているという優良な現場であったということ。一方で、当初から第3管理区分であったけれども、次第に改善していって、第1区分となった例も、これは表の右上のほうですけれども、あります。それから、当初から第3管理区分で、なお改善されない例、これが表の右下ですが、こういった例も2.2%ほどありました。
5ページは、それを踏まえ、どこまで改善努力を求めるべきかということについては、前回の御意見では、作業あるいは事業場ごとに努力目標を設定するのではないかとか、管理区分を下げる努力についての公平感、一生懸命やっている事業場と、やっていない事業場の公平感、ここについて言及がありました。
そこで、本日は改善するまでの当面の措置と改善努力を促す仕組み、この2つに分けて案を整理しております。矢印案の以下について、アですが、これは改善するまでの緊急的、当面の措置として作業環境測定の測定結果を基に有効な呼吸用保護具を使用させるというものです。現行規定でも、有効な呼吸用保護具を使用させる旨の規定はありますけれども、その保護具の選定方法として、新たに作業環境測定の結果を基にするというように示したものです。矢印イのほうは改善を促す仕組みということで、具体的な例として、外部の専門家に事業場が意見を聴くとか、あるいは労働安全マネジメントシステムを導入するといった例を示しております。ウは、改善の取組を後から検証できるように保存規定をお示ししたものです。6ページは省略いたします。
7ページです。3つ目の論点として、改善できない場合の代替手段についてです。前回の御意見では、上のマル2の※の所ですが、呼吸用保護具を使用しない代わりに作業時間を制限することで、ばく露量を抑制する方法については、これは否定的な意見がありました。短時間でもマスクは着用させているといった御意見が多くありました。その上で、先ほどの論点と交通整理をしまして、矢印以降に事務局案のとりまとめを示しています。アは、事業場は、外部の専門家に、これ以上改善は困難か、改善が困難ならば、どのような代替手段があるかについて意見を聴くということ。そして、その意見を踏まえて、事業者が改善が困難と、代替手段について決定する。そして、これを行政へ届け出る。イは、代替手段については、先ほど事業者が決定すると申し上げましたけれども、最大限の作業環境測定と個人ばく露測定の定期実施。それから、個人ばく露測定の測定結果を基に有効な呼吸用保護具を使用させること。呼吸用保護具について、フィットテストを実施するということを要件とするものです。ウは、所要の記録の保存を義務付けるものです。
ここで作業環境測定と個人ばく露測定と申し上げましたけれども、作業環境測定の目的は、限界はあるにせよ、一定程度の作業環境の改善についての取組状況を評価するため。一方、個人ばく露測定については、代替手段とある呼吸用保護具、マスクの選択、それが有効であるかの定期確認ということで両方入れております。次のページは省略いたします。
10ページです。4つ目の論点として、改善できない場合の代替手段による管理を担保するための体制ですが、前回の御意見では、代替手段として呼吸用保護具を用いる場合の管理体制としては、作業主任者が中心となるべきとの御意見がありました。その上で、矢印以降に事務局からのとりまとめ案としまして、アは、保護具着用管理責任者の選任を義務付けること。イ、ウは、選任された保護具着用管理責任者が有効に機能するように、権限付与や教育などを示したものです。
ここで保護具着用管理責任者というのが突然出てきましたが、次の11ページを御覧ください。これまでも、平成17年以降ですが、防じんマスクの選択、防毒マスクの選択、化学防護手袋の選択の関係で、衛生管理者若しくは作業主任者の中から、保護具着用管理責任者を指名するように行政指導してまいりました。これを今回、制度化に盛り込もうということです。
12ページです。これは、第3管理区分からの改善が困難な場合とはちょっと違いまして、技術的に改善措置が可能であっても、保護具の使用を可能とする案についてです。これについては前回、委員の皆様方からは否定的な意見が多かったので、これで終わりにしたいと思います。
13ページ、これはまとめということで、上の半分、現行の規制については変わっておりません。下の半分については、第3管理区分となった場合に、新たな仕組みとして下の左側の四角のとおり、改善するまでの当面の措置と改善を促す仕組みの導入、そして、それでも第3管理区分の改善が困難な場合には、下の右側の四角、外部の専門家の意見を踏まえて代替手段の決定、そして、この代替手段については、先ほど申し上げました作業環境測定と個人ばく露測定の定期実施、それから、ばく露測定の結果に応じた呼吸用保護具の使用、フィットテストの実施、そして、保護具着用管理責任者の選任としております。以上が、事務局からの説明です。
○城内座長 いろいろ前回の御意見に対して御提案いただきましたが、御意見等をお願いいたします。いかがでしょうか。漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 御説明ありがとうございます。私からは支援についてお願いできればと思います。取り分け中小零細企業に対して、現状の状況から改善をするその努力に当たって、専門家の活用などの費用負担が大きくなる場合もあると思います。むしろそこには公平性の観点もあると思いますが、一定程度の要件を定めて、取り分け中小零細企業に対する支援や助成をすることも、こうした環境改善をするのに必要なことと考えていますので、そういったことも検討いただければと思っております。以上です。
○城内座長 永松委員、お願いいたします。
○永松委員 御説明ありがとうございました。1点確認したいのですけれども、外部の専門家というのは、8ページにあります参考の所に記載された方々を想定されているのでしょうか。例えば先ほどもありましたけれども、中小というか、零細企業も含めてどのようにコンタクトを取るのかというか、行政として事業者がアプローチしやすいようにするのか、何かそのほかお考えなのか、そこの辺をお伺いしたいと思います。
○城内座長 事務局からお願いします。
○環境改善室長 お答えします。まず、最初の支援のところ、永松委員の話とも共通しますが、支援や助成については、あるいはコンタクトの仕方については今後検討していきたいと考えております。
外部の専門家のイメージですけれども、8ページにありますのは確認者ということですが、今回、第3管理区分となったときの外部の専門家のイメージとしましては、衛生コンサルタントや衛生工学管理者の有資格者で、ある程度の実務経験者やハイジニスト、そのほかに作業環境測定士が活用できるのではないかということで、作業環境測定士である程度実務経験を積んだ方、なおかつ、作業環境を改善できるというところについてのスキルを備える、1つの例としては講習会を起用するとか、そういったことで考えております。この専門家の部分については、後ほどの資料4でまた御説明させていただきたいと思います。以上です。
○城内座長 そのほかありますでしょうか。中澤委員、お願いいたします。
○中澤委員 2ページの作業環境の改善が困難な場合の対応ということで、物質と作業の掛け合わせでポジティブリスト化するべきかと書いてあるのですけれども、現実の話としては、これが本当にに可能なのか疑問をもたざるを得ません。それから、一番下の矢印で、意見を踏まえての案ですけれども、詳細な情報を基に個別に行うと書かれていますが、個別に行うにしても、最終的には何らかの基準がないと判断ができないのではないかと思います。
それから、全体について、段階を追って対応策という方向をお考えだと理解しておりますが、ステップを踏まないと、最悪どうしようもないという状況、例えば洗浄作業の場合などはステップを飛び越えて対応するということは可能と理解してよろしいでしょうか。
○城内座長 事務局からお願いします。
○環境改善室長 おっしゃるとおり、前回の御意見でもありましたように、物質ごと、作業ごと、事業場ごとによって判断できない場合は変わってくるということもありますので、そういうことも含めまして、今回、専門家の意見を踏まえて考えてやっていくというような整理で、一旦させていただいています。外部の専門家に事業場が聴いて、ここはこれ以上できないとかという判断をしていただくようなイメージで考えております。その上で、第3管理区分から困難な場合について、その後については、行政に届け出ていただくというようにしているわけですけれども、これは正に届け出ていただいた情報を踏まえて、全国的には共通な課題がある。この物質でこういう作業の場合にはどうしても難しいとかという共通的なものがありましたら、それはポジティブリスト化して、合理的な規制に見直すこととか、あるいは先ほどから皆様方から御意見を頂いている支援措置とか、そういったものについて考えていきたいと考えております。
段階的にステップを踏まなければならないかということですが、第1管理区分、第2管理区分に改善する努力はしていただいた上で、どうしても難しければ保護具を使うというようなところでやっていくのがいいかなということで整理しております。以上です。
○城内座長 大前委員、お願いいたします。
○大前委員 大前です。この話というのは、あくまでも特別則の中の話だと思います。特別則ではない自律管理をしようとする物質については、どうしようかという何らかのお考えはありますか。
○課長補佐 自律管理物質についての御指摘ですが、基本的に自律管理物質については作業環境管理だけではなくて、手段が保護具によるばく露防止も認められることになりますので、そこはどの手段を用いていくかということについて事業者のほうで判断をする。場合によっては専門家の助言というのもあるかと思いますけれども、それが基本になると考えております。
○城内座長 宮腰委員、お願いいたします。
○宮腰委員 10ページに書いてある保護具着用管理責任者の部分ですが、その中の以下の案で如何か、という所のイに、保護具着用管理責任者の権限と責任を明確化と書いてあるのですが、ある程度の権限は与える必要はあると思いますが、責任という考え方はいかがなものかと思っております。これはどちらかというと、事業主がこういったいろいろな部分に関しての責任を負うべきではないのかという考え方です。以上です。
○城内座長 事務局から何かありますでしょうか。
○環境改善室長 ありがとうございます。御指摘のとおりです。権限と責任を明確化することについては、具体的には職務を法令で定めるといったことでいこうかと考えております。最終的に責任者ができない場合には事業主責任のところになってくると思います。以上です。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 このスキーム自体は、よく練られていると思います。過去の安全衛生政策で災防効果を発揮したものというのは、昨日のワーキンググループで申し上げたように、目標を明確にして体制と方法論を示す。目標と体制と方法論を明示するといったスキームは、概ね効果を発揮したということが分かっております。
このスキームもその要素をきちんと含んでいると思いますけれども、法律論者として1点気になるのが、ダブルスタンダードを避けるという意味で、例えば第3管理区分から第2管理区分への移行については罰則を付けるのかという点です。現状、要は、第3管理区分ということが分かっても、そのこと自体に対して罰則は付さないという条件なわけですけれども、このスキームを組み立てたことでその点が変わるのか、罰則の取扱いが変わるのかという点を伺いたいと思います。
○環境改善室長 ありがとうございます。今おっしゃられた罰則を付けるかということについては、今後、法令とも相談しながら検討してまいりたいと思います。
○城内座長 そのほかありますでしょうか。明石委員、お願いいたします。
○明石委員 3つほどあります。4ページに先ほど中災防の調べで1が3になるとか、3が1になるとかというものが示されていますけれども、多分この部分は今後、ベストプラクティスを集めていただいたのだと思いますが、逆に1が3になったワーストプラクティスも集めて示していただければ、事業場にとってかなり参考になると思います。
先ほどの保護具着用管理責任者の件ですが、これは事業者がその方を指名するということでいいのだと思いますけれども、やはりこの際、権限と責任は明確にしてもらわないと、事業者もどういう判断をしていいか分かりません。範囲の職務が書かれていますけれども、ある程度責任の範囲も明確にしてもらいたいと思います。
最後のまとめのところで、どうしても事業者としては、行政への届出というのはかなりハードルが高くなります。特に、これは良いことをやったわけではないので、それによって行政に届け出たから何かインセンティブがもらえるわけでもありません。いろいろ考えてみますと、多分、先に管理3の所がどうしようもないから、どうしていいのかわからないということで行政にお尋ねをして、良い専門家を紹介してくれませんかとか、良い方法はありませんかという方が先なのではないかと思います。後から行政届出をするということはなかなか難しい。それによって何か生まれるかと言われると、なかなか難しいのではないかと思っています。以上です。
○城内座長 今の御意見に対して、事務局から何かありますでしょうか。
○環境改善室長 ありがとうございます。1から3のプラクティスについての御意見ですけれども、特に事例集については、また今後検討してまいりたいと思います。いろいろな方に聞いてみますと、事業場現場の中の写真などを撮ることについて、いろいろ企業秘密とかあるようなので、ちょっと難しいという話もあるのですが、いずれにしましても、そういった改善事例とかができるだけ提供できるようなことについて検討したいと思います。
保護具着用管理責任者については、先ほど申し上げましたとおり、職務について明確化していきたいと思います。行政の届出ですが、先ほど申し上げましたとおり、1つは、全国的な共通な課題がある場合について整理するという目的の情報収集もそうですし、それから、第3管理区分だけではなくて、更にそれから改善が困難な作業場というのを把握するという目的もありますので、そこでやっていきたいと思っております。以上です。
○城内座長 そのほか御意見はありますでしょうか。ありがとうございます。本日欠席の名古屋委員から御意見を頂いていますので、事務局から御紹介をお願いします。
○課長補佐 名古屋委員から、管理3の対策について具体的に3つほど御意見を頂いております。ペーパーで頂きましたので、私のほうで読み上げさせていただきます。まず、7ページです。7ページの下の「御意見を踏まえ、以下の案で如何か」のイ、代替手段の所です。代替手段について、下のイの所に作業環境測定プラス個人ばく露測定の定期実施とあります。個人ばく露測定というのは確立された共通の定義や法令上の定義が現実的ではないと。一方で、今年4月から個人サンプリング法による作業環境測定、いわゆるCD測定が導入されたということで、第3管理区分対策について現場への円滑な徹底ということであれば、作業環境測定プラス個人ばく露測定とするよりも、まずは法令に入っている個人サンプリング法による作業環境測定、CD測定としたほうがいいと思います、という御意見を頂いております。個人サンプリング法による作業環境測定、CD測定であれば、作業環境の評価もできるし、その測定値で呼吸用保護具の防護係数を求めることもできる、という御意見が1つ目です。
8ページ、参考資料で付けております発散防止抑制措置の特例実施許可制度について御意見を頂いております。この制度は、対象作業場の作業環境測定の結果が第1管理区分であれば、法令で定める局所排気装置以外の多様な発散防止抑制措置を認めるという制度です。4ページにありました作業環境測定結果の推移を見ても、多くの作業場で第1管理区分を継続しているということで、この許可制度を、実は特化則、有機則には入っているのですけれども、粉じん障害防止規則には入っていないということで、この粉じん則においても、特定粉じん発散源に係る措置として局所排気装置や密閉設備の設置などが義務付けられていますが、企業努力や良好な作業環境測定を継続維持できる事業場については、事業者の判断により多様な措置が選択できるようにすることがいいと思います、という御意見を頂いております。これは2つ目になります。
3つ目の御意見は、13ページになります。13ページのまとめについては、立て付けとして、まずはその左側の下の四角にあります改善措置を講じて、それがどうしても作業環境の改善が困難な場合に、右側の代替措置に移行することになっていまして、外部の専門家に聴いて事業者が判断するというのはいいことです。ただし、専門家の意見を踏まえて改善措置を行っても、第3管理区分からの改善ができない場合はあるかもしれないということで、その場合は事業者の判断任せにしないで、強制的に右側の枠に移るという仕掛けも必要だと思います、という御意見を頂いております。以上、御紹介させていただきました。
○城内座長 ありがとうございました。今、事務局から示していただいた案で、大体進めてもいい感触は受けたのですが、最後、明石委員から頂いた、届出は重いのではないかということについては、いかがでしょうか。前半のア、イで義務付けをして、それでもなおかつ第3管理区分なので、改善の方法も行政に届け出てくださいという段階なので、それほどたくさん事業者がいるとは思えないのですが、ここはいかがでしょうか。更に検討して、事務局から案を出すということでよろしいでしょうか。そのほか御意見はありますでしょうか。三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 結論的に、管理責任者の選任義務については罰則を付けていただくほうがいいのではないか。ただし、準備期間を十分に置いて履行を図るという方法がいいのではないかと思います。理由ですけれども、やはり第3管理区分を放置すること自体が問題なわけで、ただ、この改善策がなかなか見付からないという場合に、改善努力はする、その手順は作るということは、やはり確保したほうがいいのではないかという趣旨です。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか御意見はありますでしょうか。では、基本的に提出された方法論で進めていただきたいと思います。あと、明石委員から提出された御意見、それから、名古屋委員から提出された御意見は整理して、事務局でまた検討をお願いします。次に、議事の4つ目、化学物質管理を担う専門家について議論したいと思います。資料説明をお願いします。
○課長補佐 資料4を御覧ください。1ページは前回も提示しました資料そのままですので、2ページから御覧ください。前回の御議論のときに、専門家、若しくは化学物質の管理を担う人材と一まとめに言っても議論がしにくいという御指摘もありましたので、事業所の種類を3つほど分けて、原材料等のメーカー、最終製品のメーカー、最終製品のユーザーといった形で議論をさせていただいたところです。更に具体化をしていくに当たって、一口に人材と言っても、自律管理を企業の中で回していく人材、担っていく人材、外部から指導、助言、アドバイスもあると思うのですが、こういうことを行う人材としての専門家も、改めて整理したほうがいいのではないかということで、今回、まずは内部人材、内部で化学物質管理を担う人材について整理させていただこうということで、資料を準備しました。
3ページを御覧ください。こちらが今回御提案する、企業の中で化学物質管理を担う体制をどうしていくかということについての御提案です。まず、3ページの上にある化学物質管理者です。次の4ページに説明がありますが、化学物質のリスクアセスメントが義務になったときに、化学物質のリスクアセスメントについての指針を示しておりまして、その中で化学物質のリスクアセスメントを回していく人材ということで、化学物質管理者というものをお示ししております。
3ページに書いておりますが、企業の中で安全衛生管理をする人材として、衛生で言えば衛生管理者がいるわけですが、その中でも、特に化学物質管理というのは、例えばSDSとかラベルも含めて、少し専門的な管理も必要になってくることも踏まえて、化学物質管理者の選任を求めるということにしてはどうか。対象としては、化学物質のリスクアセスメントが義務となる事業場ということで、特に業種や規模を限定するところまではせずに、リスクアセスメントをやる場合に、その担当をするという形になると思いますが、選任をすることを想定しております。
それから、その下にある保護具着用管理責任者です。これは、先ほど第3管理区分3の対策としても出てまいりましたが、今後、自律的な管理になっていくと、ばく露防止の手段が法令で規定されるのではなく、事業者が自主的に選択をするということになっていきますので、仮に保護具を用いて労働者のばく露を防止するという手段を選ぶことになると、保護具をきちんと選択をして管理することが非常に重要なってきます。その手段を選ぶ場合には、この保護具着用管理責任者の選任を求めることが必要ではないかということで、ここに書いております。
併せて、自律管理になると、今の特化則で言うような作業主任者といった方々が法令で規定されることではなくなりますので、それに代わる役割を果たす方として、職長に対する教育を強化する。それから、実際に作業する労働者自身に対する教育も強化することを総合的に進める中で、今後の自律管理というものの実効性を上げていくことを案として提案しております。
5ページを御覧ください。ここで出てきた化学物質管理者の選任を求めることにするとしても、どこまで要件を求めるかということで、いきなり厳しい要件にしてしまうと、業種や規模を限定しないということで、なかなか実効性の担保も難しいということになるかと思います。御提案としては、新たにGHS分類をしたり、SDSの作成が必要な製品を製造しているようなメーカーなどについては、一定の専門性が必要になると思いますので、化学物質に関する講習を受けた方の中から選任するということでどうでしょうか。それ以外の方については、特段の選任要件を求めず、まずは担当者として選任して職務を担っていただくということが大事なのではないかという御提案です。
それから、化学物質管理者については、自律的な管理ということで、絶えず能力向上を図っていく必要があるだろうということで、今、安衛法の第19条の2で、努力義務として能力向上教育ということが規定されておりますが、化学物質管理者についても対象に入れてはどうかというのが、2点目です。
続いて6ページを御覧ください。保護具でばく露防止措置を講じる場合の保護具着用責任者です。これも先ほどの第3管理区分の所と同様ですが、保護具の選択や管理を担う責任者として選任を求めることにしてはどうかということです。
7ページを御覧ください。先ほど申し上げた職長教育です。現状も7ページの右下にあるように、職長教育の中には、上から3番目にあるように、第57条の3で、これは化学物質のリスクアセスメントですが、その教育も入っております。課題としては、その左側にあるように、対象業種が限定されていますので、化学物質による労働災害の発生状況も踏まえて、対象業種を拡大することを検討してはどうかということです。
8ページは、労働者教育です。労働者教育としては、雇入時の教育と作業内容変更時の教育があるわけでして、8ページの左下にあるように、1番から4番まで、有害物質を扱うような作業をする場合の教育というのもあるわけですが、こちらは右下にあるように、対象が業種で限定されています。考え方としては、業種で限定するよりも、むしろこういう化学物質を扱う作業をする方については教育をするという整理ということで、業種で切るのではなく、こういう作業をやるかどうかで安全衛生教育の対象にするというような考え方にしてはどうでしょうかというのが、8ページです。
最後は9ページを御覧ください。外部の人材ということで、先ほど資料1でも御議論がありましたが、一定以上の規模の企業に対する定期的な確認や指導をするような立場の専門家とか、先ほど御議論いただいた第3管理区分の事業場に対する指導、助言であるとか、こういったことを担う専門家としての位置付けもあると思いますし、これは法令の義務と言うよりは、企業に対する助言とかアドバイスという立場として、マル4・マル5に掲げているような業務を担う専門家も必要になってくるだろうということで、こういった方の育成を進めていくことが大事だと考えております。
マル1からマル3が法令上位置付けていく業務ということになるかと思いますが、これらの業務については、どういった方、どういうレベルの専門家を想定して育成していくのかということで、9ページにたたき台としてお示ししております。真ん中の○は資料1で御説明したとおりです。一番下の3つ目の○が、先ほどの第3管理区分に対する指導とか助言をする専門家として、先ほども少し御説明がありましたが、作業環境測定士を基に、更に経験を積んだ方を育てていく、若しくは労働衛生コンサルタントとして、特に化学物質管理の実績が必要だと思いますので、こういった実績のある方を育てるといったことが、案として考えられるのではないかと整理させていただきました。御説明は以上です。
○城内座長 今の資料について、御意見等をお願いいたします。高橋委員、お願いします。
○高橋委員 事業場の中で化学物質の管理をする人材の位置付けと役割が一目で分かるようになり、理解しやすくなったと感じております。それから、職長とか雇入時とか作業内容変更時の教育について強化していくということについても、基本的には賛成です。そして、業種についても見直しを行っていくということですが、一方で、そもそも自分たちが化学物質を取り扱っているという認識がないような事業場も、もしかしたらあるのではないかと思います。ですので、自律管理にしていくということであれば、そういった事業場についても、何らかのアプローチをしていくことも考えないといけないのではないかと思いました。
○城内座長 永松委員、お願いします。
○永松委員 2ページですが、内部人材に対して外部専門家から定期的な確認・指導を行うということです。先ほど資料1の実施状況のモニタリングにも関係するわけなのですが、この原材料等のメーカーから最終のメーカー、様々な事業者がおられるわけですが、一律にこれを求めるのは適当ではないと考えております。
まず、内部人材についての御説明がありましたが、これらのメーカーにおいても、既にこのような体制を整えてしっかりやられている所もございますし、また、先ほど外部人材としてどういう方が必要かということでしたが、以前の議論にもありましたが、ここに書かれた内容について、これらのメーカーにおいては、既に組織的に9ページに書かれた内容と同等のものを有した部署、あるいは人を抱えておりますので、ここでの外部専門家からの定期的な確認・指導については、自律的に行うのではなくて、それが必要なメーカーについては要件をきちんと検討していくことが、これらの外部専門家をいかすという意味でも、また、原料等のメーカー、最終品メーカーに過度の負担を強いないという点でも重要かと思っています。
○課長補佐 今、永松委員から頂いた御意見ですが、2ページの定期的な確認・指導というのは、正に資料1で御議論いただいたところを書いているものですので、先ほど資料1で御議論いただいた部分については、いろいろ御意見を頂いたので、もう一度事務局として整理し直したいと考えております。それとは別に、外部専門家としては、例えば中小企業支援という側面でも、これは法令で義務付けるということではなくて、アドバイスをするといった役割はあるかなと思っています。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。明石委員、お願いします。
○明石委員 9ページの外部人材の件ですが、外部の第三者というのが理想的だと思いますが、現在、感染症等の関係もあって、簡単に外の人を受け入れるというのが難しい状況にもあります。5年後に自律的な管理をやられるということになると、考え方は2つあると思うのですが、最初から外部専門家をかなり高いレベルにして、かなり厳しくやるというものです。もう1つは、数を求めて、少しレベルを下げてでも広げておいて、後々プレミア資格を付けるとか、そのようなことが大事だと思います。
もう1つは、事業者としては国家資格というのが大変有り難いと思います。先ほど申し上げたように、第三者の外部の人材を迎え入れるということで、私的な資格ですと、なかなか内部に入れにくいというのが現状です。その辺りは是非お考えいただければと思います。よろしくお願いします。
○城内座長 そのほかに御意見はございますでしょうか。高橋委員、お願いします。
○高橋委員 3ページに人材の体系が書いてあって、化学物質管理者の選任義務化の四角の下に※印が幾つか並んでいて、衛生管理者が兼務することも可能と書いてあります。これは全ての業種、規模に求めていくことになっているのですが、例えば50人未満の事業所ですと、現行の法律でいくと、管理者ではなくて、衛生の推進者というような選任の仕方になっていると思います。そういった所の場合には、当然、推進者と管理者では経験なども違いますので、化学物質管理者については、推進者とは別にその人を選ぶということになるのかどうかということです。あと、事業場規模の小さな所については、それぞれ別の人を当てがうというのは難しいということになってくると思いますので、そういった兼任についても、ある程度示していただく必要があるのではないかと感じました。
○城内座長 事務局からお願いします。
○課長補佐 ここの衛生管理者が兼務することも可能という所は、当然50人未満であれば衛生推進者ということになると思いますので、そこの兼務も可能とすることを想定しております。現状、多くの所では、初めから厳しい選任要件は求めないことを想定しております。かつ、この化学物質管理の業務に専属でいることを求めるということも、現時点では想定しておりませんので、まずはできるところからということで、中小とか零細の事業所でも、可能な体制をまず整えていただくことを想定しながら、制度作りをしていきたいと思っております。
それから、先ほど明石委員からも頂いた、化学物質に関する国家資格についても考えるべきではないかという御意見については、すぐにできる話ではないかもしれませんが、化学物質管理の人材の社会的地位の確保という観点でも、検討はしていきたいと考えております。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。三柴委員、お願いします。
○三柴委員 先日示された中間とりまとめ案でも、大企業に割と偏在しているこの領域の専門家を中小企業等の指導に活用するという案は入れていただいていると思うのですが、このスキームでも、そうした想定がされているのかを、まず教えていただきたいと思います。
私が厚労科研を頂いて実施した社会調査でも、大企業の3割程度では、自ら給与負担をしても、ほかの会社を指導しつつ事情を見て、詳しくなっていくというメリットを見込んで、人を派遣することにやぶさかではないようです。こういうデータも出ていましたので、もしそこを想定されているのであれば、もう少し申し上げるべき点があるかなと思います。
○課長補佐 おっしゃるとおり、中間とりまとめ、これまでの議論でも、外部からの人材ということで、特に中小企業支援については、化学メーカーなどのOBに限らないかもしれませんが、人材に御協力いただいて支援をしていくという議論をしてきておりましたし、当然、この資料に明示的に書いておりませんが、それも含めて考えていきたいと思っております。永松委員からも何度か、日化協としても協力しますという非常に有り難い御意見も頂いておりますので、当然そういうことも検討していきたいと思っております。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。
○三柴委員 是非その方向で進めていただきたいと思います。御存じかと思いますが、現在、安コン、衛コンで独立して食べていくというのは、なかなか難しい状況があって、企業内、特に大企業がそうした人材を抱えている場合が多いということです。ただ、そうなると、先ほど明石委員が提言されたように、何らかの国のクレジット、資格とは限らない、ただ何かのクレジットがあったほうが動きやすいだろうなと思います。アメリカの制度でもそうなっています。
○城内座長 そのほかにございますでしょうか。私から1点確認させていただきます。スライドの5ですが、化学物質管理者は、製造業の事業所は新たにGHS、SDS作成とか、提案が3つに分かれています。化学物質管理者は私のイメージだと、その事業場で行っている作業を理解するための教育を受けるべき人だと思っています。ですから、例えば建設業の塗装をやっている人やメッキをやっている事業場は全然違うので、そういう事業場別の教育が特に中小に対しては必要だと思っています。ここの分け方だと、そうではなくて、GHSの分類ができるかとか、それを利用できるかとか、そういう意図で書かれているような気がするのです。GHSを分類して、SDSを作るというのは、相当な時間と経験が要るので、これを一緒に並べると、カリキュラムが全く違うし、教育の内容も違うので、もう少し分かりやすく砕いて書かれていたほうがいいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
○課長補佐 ここの書き方が誤解を生んでしまったのかもしれないのですが、先生がおっしゃるように、この化学物質管理者に備えていただく能力というのは、その事業場の中で化学物質管理、これはリスクアセスメントを含めてですが、それをやるために必要な知識や能力であることが基本にあると思います。ただ、ここでこういう分け方をしたのは、単に買ってきた化学物質を使うというだけではなくて、そこで新しいものを混合したり作ったりという場合に、より様々なリスクアセスメントの中身も高度になっていくと思いますので、より高度な知識を持った人材が必要だという分け方で括弧内を書いているものですから、教育の中身でGHS分類を教えるとか、SDSの作り方を教えるということを想定していたわけではございません。
○城内座長 了解しました。ありがとうございます。そのほかに御意見はないでしょうか。それでは、専門家については、基本的に提案のような方法で進めていただければいいかと思います。よろしくお願いいたします。次に、議事の5つ目、化学物質による遅発性疾病の把握についてです。御説明をお願いいたします。
○課長補佐 資料5を御覧いただければと思います。こちらは少し長期的な課題も含めての論点になっているかと思います。1ページに前回お示しした論点と頂いた御意見ということで、前回御議論させていただいたのは行政でもなかなか把握ができていない、がんなどの職業性疾病をどのように把握し、それをどう活用していくのか、把握するに当たっては、どういう課題があるのかということを御議論させていただきました。
これは保存も含めてですけれども、把握に当たっては前回、作業歴やばく露歴といったことで、きちんとフォーマットを統一して長期保存していく必要があるのではないかといった御意見、同じ職場から複数のがん患者が出た場合は、職業性を疑って調査するような仕組みが必要ではないかといった御意見、QSARなどを活用して同種物質の発がん性予測をして、アラートを出すような仕組みが必要ではないかといった御意見を頂きました。
そういった御意見も踏まえて、今回の議論においても課題を2ページで整理しております。がんの把握という観点では、今は特化則の中で発がん性がある物質として特別管理物質を規定しております。この特別管理物質であれば、健康診断の個人票や作業環境測定の記録や作業の記録は、今、30年保存するということが義務になっております。
ただ、こういった情報が残っている中で、一方で実際に10年とか、もう少し時間を経過してがんを発症した労働者若しくは元労働者の場合に、なかなか労災申請につながっていないという現状があるかと思います。通常、がんになったということであれば、一般の疾病として治療を受けることになっているのではないか。その現状の背景にある課題として考えられるのは、ここに挙げておりますように、労働者自身が昔、自分が発がん性物質を扱っていたことについて、認識が十分ではないのではないかと。現役の労働者であれば、従業員ががんを発症したということについて、まず初めに業務との関連を疑うというよりは、私病としての対応を前提に考えているのではないか、そこに産業医の関与がきちんとできていないのではないか。労働者が転職をしたり、若しくは会社が倒産したりすると、そもそも左側にあるような記録が散逸したり、アクセスできなくなったりという課題もあるのではないかということでした。
もう1つは今、特化則では30年保存というのが決まっているわけですけれども、今後自律的な管理になっていった場合に、長期に影響が出てくる発がん性物質の健康情報、ばく露歴、従事歴といったものの記録をどうしていくのか。これも今後、仮に全面的に技術管理に移行していくとなった場合は、整理をしておかなければいけない重要な課題ではないかと考えております。
次の3ページに論点として書いております。今、御説明したように、自律的な管理の中で法令上も含めて、長期の様々な情報の保存をどういうように位置付けていくかという議論を、一度整理をしておく必要があるかと思っております。どういう記録を残しておくのか、対象の物質はどういうように決めていくのか、どの程度の期間、保存することを求めていくのかといった整理が必要ではないかと思っております。
4ページは、労災申請につながらないことへの対応です。1つは、労働者自身の認識不足も課題としてあるかと思いますので、雇入時、作業内容変更時の教育にラベル教育も取り入れようということを、中間まとめでもまとめていただいております。その中には発がん性物質が健康に及ぼす影響も、当然含まれると思いますので、それをきちんと明示的に示していくと。それから事業者や産業医の意識という意味でも、きちんと周知啓発を推進していく必要があるのではないかということです。
前回頂いた御意見にもありましたように、例えば発がん性区分がある化学物質を取り扱っている事業場において、例えばこれは同種のがんということになるかと思いますが、複数のがん患者が発生した場合に、まずは産業医に報告をして、業務との関連について御意見を頂くといった仕組みとか、労働局に報告を頂いて、労働衛生指導医などが業務との関連性の調査も含めて関与する仕組みとか、こういったことも考える必要があるのではないかということです。
最後の4つ目は、少し長期的な課題になるかもしれません。30年の保存を義務付けている健診の個人票や、先ほどから御提案している自律管理の物質についての長期のデータの保存というのは、散逸やアクセス困難性を回避するということもあると思いますし、保存のコストを下げるということもあるかと思いますが、第三者機関で保存していくような仕組みも考えられるのではないかと。仮に第三者機関で保存するということになっていくと、個々のデータと言うよりは、ビッグデータとして活用して、がんの発生リスクを含めた予防対策にいかすとか、例えば危険な物質がそこから見えてきたら、アラートを出すということにもいかしていけるのではないかということで、論点としてまとめております。説明は以上です。
○城内座長 ありがとうございました。スライドの3、4番に論点が整理してありますが、御意見等がありましたらお願いいたします。漆原委員、お願いします。
○漆原委員 これについては、労働者側から何度も発言をしているところです。仮に自律管理になったとしても、労働者が職業生活において取り扱った経験のある化学物質の情報については、もちろん作業従事歴もそうですけれども、ばく露歴などについても当然記録が必要です。特に遅発性疾患との関係を把握するという観点からすると、現時点で発がん性が確認された物質のみでいいかと言えば、より広範な物質について記録があったほうがいいということは、労働者側からすれば言わざるを得ないということになります。そして、もちろんそういう情報については、長期間保存をしていくことが重要だと思います。
その上で、保存の方法についてはどうかということです。今、PHRの話が進んでいますが、PHRと同様に、例えばデータの管理を支払基金などの公的な機関で使用するとともに、データは健康データという機微な個人情報であるので、仮にビッグデータとして使う場合だとしても、営利目的ということで第三者にむやみに提供しないことが重要ではないかと考えております。もちろん、結構いろいろなものが書き込まれているPHRの書式の中にまで書き込めとは言いませんけれども、労働者がマイナポータルで参照できる、これはPHRもそういう方向に進んでいると言いますが、そういうときに該当する労働者本人が、健診のデータとともに、ばく露歴や従事歴を閲覧できることが重要です。それを健診機関や、がんなどが発生したら医療機関が閲覧することができるというのが重要ではないかと思っています。以上です。
○城内座長 そのほかにいかがでしょうか。明石委員、お願いします。
○明石委員 がん検診というのは、事業者にとってはかなり大きな問題です。というのは、がん検診は定期健診とは別ものです。これは完全に医療情報、健康情報になりますから、事業者が取り扱うことは難しいものです。確かマイナンバーには、がん検診の情報も一応入れようということにはなっていたと思いますが、事業者としてそれを取り扱うことは難しい。ですから、漆原さんもおっしゃったように、PHRが始まっていますので、そういう所をうまく利用して、できるだけ個人が確認できるような方法がいいのではないかと思います。また、これまでは事業者がいろいろな情報を記録して持っているということになっていましたが、これからはPHRも始まっていますし、政府から兼業・副業等も促されておりますので、そういう意味合いからも、これからは個人ができるだけ情報を持って、自分の状況を確認するような方向になったほうがいいのではないかと考えているところです。
○城内座長 そのほかにいかがでしょうか。
○課長補佐 事務局から、コメントだけよろしいでしょうか。今の御意見は、同様の御意見かと思いますけれども、今後長期的な保存、例えば第三者機関と言っても公的な機関を想定するかと思いますが、そういった所でどういうように保存していくかということについては、この検討会だけで結論が出る話ではないと思いますので、引き続きよく検討していきたいと思っております。漆原委員からも御指摘がありましたように、化学物質関係で言いますと、単に健診の結果だけではなくて、ばく露歴とか作業歴といったものも一緒に残していくことが非常に大事ではないかと思っております。それも踏まえてどういう制度にしていくかということは、よく検討していきたいと思っております。
○城内座長 次に永松委員、お願いします。
○永松委員 2つあります。1つ目は先ほどから出ておりますように、今後は労働者の働く市場の流動性も出てくるということで、やはり何らかの公的な機関を持った所で情報をきちんと管理して、労働者の皆さん個人もそこにアプローチできるようなシステムが重要かと思っております。
2つ目は今、SDSで提供される情報はSDSという1つの様式になっているわけですが、各会社、事業所でその情報をどのようなものとしてやっているかというのは様々です。そこら辺についても今度、公的な所で何らかの形で一括で管理するのであれば、作業上のリスクの状況ということについても、必要最小限のものには何らかのフォーマット等が必要ではないかという意見があります。私のほうからは以上です。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前委員 大前です。PHRについて、少し分からないところがあるのです。PHRのイメージというのは、個々の方々のそれぞれの個人情報がどこかにストックされていて、それを引き出して見ることができるというイメージでおります。そうすると、個々の情報がどこかで保管されている、保存されているということになるのではないかと思っているのです。それを今回のいわゆるデータベース、ビッグデータですね、ここには第三者機関が保存を行う仕組みというように書いてありますけれども、こういう所で使えるものかどうか。ここら辺はよく知らないので、どなたか教えていただければと思います。PHRが集めているというか、PHRの記録が残っている所に対してのアクセスは、今回の遅発性疾病の把握の目的のために使えるのかどうか、そこら辺はどのようなものですか。
○城内座長 事務局、お願いします。
○課長補佐 今回の第三者機関、公的機関による保存というのは、必ずしも今あるPHRに載せることを前提にしているわけではありません。PHRはPHRで、例えば保険者が関与している、安衛法とはまた異なる仕組みもありますので、そういうことも加味しながらどういう仕組み、システムを組み上げていくかというのは、よく検討しなければいけないと思っております。恐らく健診データや作業環境測定データというのは第三者機関で保存する代わりに、事業場のほうでは保存しなくてもいいということが想定されると思うのです。ですから当然、労働者個人だけではなくて、事業者もアクセスできるような仕組みにしていく必要があると思いますから、単純にPHRを使えるかということにはならないかもしれません。そこは今後、よく整理が必要かというように思っております。
○大前委員 そうしますと、今のPHRの仕組みでは、多分この目的には使えないだろうということで、別途第三者機関を立ち上げるなり何なりして、健康診断の情報や作業環境測定の記録、作業記録を1か所に集めようということになるわけですね。それと、実際にがんになった方がいたとしたら、そこの情報が結び付くようになれば非常にいいだろうということですよね。
それでもう1つ法的に分からないのですけれども、健康診断にしても作業環境測定にしても、これらは会社の情報ですよね。会社がお金を出して取る情報なのです。その場合に本人の了解は必要ですか。健康診断の情報というのは病院の情報ではないわけですよね。病気の情報は当然個人情報が強いと思うのですけれども、健診の情報までそういう縛りは掛かるものですか。
○課長補佐 今は事業者に保存を求めているものを第三者ということで、まだ現時点ではどういう形になるかは分からないので、仮に入れているものだと考えていただければと思います。この議論の中で、本人の同意は要らないのではないかという議論も当然あり得るというように思っております。
○城内座長 大前委員、よろしいでしょうか。
○大前委員 個人の了解が要るかどうかというのは、また後日ということですね。私は要らないような気がするのですけれども、これは個人情報との関連なので、プロの方に判断していただかなくてはいけないと思います。というか、本人の了承を得てしまうと、現実的にこのシステムは無理ですよね。特定の場所で、第三者機関で何十年も保存するということは、ほとんど不可能に近いと思うのです。そういう意味でお尋ねしました。
○城内座長 そのほかに御意見はありますか。重要なテーマで、なおかつ難しいテーマだと思いますが、更に検討をお願いしたいと思います。それでは、最後に議事の6つ目、リスク評価ワーキンググループ中間とりまとめについて、報告をお願いしたいと思います。
○化学物質評価室長 資料6、リスク評価ワーキンググループの中間とりまとめについて御説明します。化学物質評価室長の内田です。よろしくお願いします。このワーキンググループについては、昨年の10月から、これまでに計5回にわたり御議論いただきました。3ページの趣旨の所にもありますが、主な内容として、この検討会において示された化学物質の規制体系の見直しを踏まえて、これまで国がやってきましたリスク評価というのは、ある意味役割を終えるという形になります。それに代わりまして、自律的な管理に向けて、国としてどういう情報提供などを進めていくのか。特に有害性の情報、あるいは自律的な管理を行うための判断基準、こういったものを中心に御議論いただいて、昨日、ワーキンググループとしてとりまとめを行っていただいたものです。
5ページ以降の主な内容について御説明します。まず、危険・有害性の情報伝達ということで、国によるGHSの分類を進めて、それを基にモデルラベル・モデルSDSを作って、さらには、ラベルSDSの義務対象物質を拡大していくといった取組に関してです。(1)国によるGHSの分類についてです。これまで、私ども以外に経済産業省、環境省がそれぞれ独自に対象物質を選んで分類を進めてきた経過がありますが、今後は、これら関係する省が連携して、統一的に分類を行う仕組みに見直しをしていくことで進めていきたいと考えております。
具体的には、新規の分類については、毎年度50から100物質を対象として、関係する省が連携して開催する会議において、物質の選定、分類を行っていくこと。それから、国だけで決めるわけではなくて、事業者の方々が危険・有害性情報を持っていて、なおかつ、有害性試験結果など明確な根拠があるといった場合には、国が行う分類にその情報を反映をしていく仕組みについても検討していきたいと考えております。それから、対象となる物質について、労働安全衛生の観点からは、aからcに書いてあります、労働災害の要因となった物質や危険・有害性の情報があるものと専門家が判断されたようなものを中心に、新規の分類を進めていきたいというところです。
また、ウにあります、これまで分類したものについても、新しい情報があれば分類の更新を進めていくことですとか、あるいは、6ページの(2)にあります、それらの分類の情報を基に、モデルラベル・モデルSDSの作成についても、随時進めていきたいと考えております。(3)SDS交付・ラベル表示の義務化については、議題1で説明がありましたので割愛します。
(4)ばく露限界値(仮称)の設定ということで、名称については今後、もう少し検討する必要があるという御指摘を頂いておりますが、(ア)に書いてあります、化学物質ごとにばく露限界値(仮称)を法令上の基準として定めて、労働者が吸入する濃度をこの限界値以下に保つことを義務とするということで、自律管理の判断基準として、新しくこのような値を設ける形で進めていきます。その値については、(ウ)に書いてあります。日本産業衛生学会の許容濃度とか、あるいは海外の類似の値などを参考に定めていくことで、(イ)にありますが、労働者が1日8時間、週40時間程度の時間加重平均の値を基本としますが、昨日のワーキンググループでも、もう少し短期間の値、ただし書きで書いてあるような天井値と呼ばれるような値も含めて検討していくべきということで御指摘いただいていますので、にどのように決めていくかについては、今後また別途、検討会を設けて具体的に検討を進めていく形になるかと考えております。
また、設定の進め方ということで、(ア)にあります。これまでのリスク評価の取組を新しい仕組みに円滑に移行していくことも必要であることから、このばく露限界値については、来年度、2022年度からスタートしますが、2022年度においては、リスク評価が終了した物質ということで、リスクが低いと判定された物質を除いて優先的にばく露限界値を設定することとしたいと考えております。なお、事前の説明の際に、除くものとして、リスクが低いと判定されたものに加えて、特化則等には規定されている物質も除くとしておりましたが、すみません、これら特化則の物質についても、ばく露限界値を定める必要がありますので、その点については訂正をいたします。
それから(イ)です。その翌年度以降については、ラベル表示・SDS交付義務対象物質について、毎年度200物質程度のばく露限界値を設定してきます。このうち、下から2行目に書いておりますが、許容濃度等の数値がより低いものから優先して設定していくことで進めたいと考えております。
8ページです。このばく露限界値は来年度から設定していく形になりますが、(ウ)にあります、実際の適用までの期間は1年程度の猶予期間を持たせること。それから、許容濃度等の見直しが行われれば、ばく露限界値についても随時見直し進めていきます。
それから、ウ、ばく露限界値に基づく化学物質管理ということで、基本的には、実測値を基にばく露限界値と比較していただくことを推奨したいと考えております。国としても、それに資するよう、その物質の測定分析手法を順次定めて公表していくこと。それから、現場の実態によってはなかなか実測が困難な場合などもありますので、そうした場合においては、CREATE‐SIMPLEなどの数理モデルについても可能とするということで整理をしているところです。
5点目、経皮吸収化学物質に係る健康障害防止措置の推進ということで、これまでやってきましたリスク評価においても、経気道のばく露については手法は確立されておりますが、経皮吸収化学物質については、まだ手法についてもいろいろと検討を進めてきたという段階でした。そうした中で、経皮吸収化学物質のばく露防止を進めるという観点からは、イの(ア)については、検討会のとりまとめの中にも記載されておりますが、まず、直接接触の防止義務ということで衛生基準等の見直しを行っていくこと。それから、(イ)にも書いてあります、リスクアセスメントを進めていただくに当たっても、実際にはCREATE‐SIMPLEなどの数理モデルを活用したケースなどが多くなるかと思っております。9ページにありますが、ワーキンググループの中でも、例えば農薬などほかの分野では、皮膚のばく露の評価についてもより精緻にやっているケースもあるというお話もありましたので、そういった情報も参考にしながら、こうしたリスクアセスメントの手法についても適宜見直しを行っていきたいと考えております。
(ウ)です。経皮吸収勧告があって生物学的許容値が提案されている物質について、自律的な管理においても生物学的モニタリングを進めていくべきだという御意見がありました。現在、私どもも、実際の皮膚のばく露の状況を踏まえながら、どういった形でこういう取組が進められるか検討を進めているところですが、引き続きそういう取組を進めていきたいと考えております。
以上が今回、とりまとめていただいた内容です。それで、残された課題ということで、3に書いてあります。1つは、(1)暫定ばく露限界値(仮称)の取扱いということで、ばく露限界値(仮称)が設定できないような物質についても、やはり自律的な管理を行う上での目標が必要であるということで、物質の性状に応じて一律に暫定ばく露限界値(仮称)を設けて、その濃度以下に保つことを努力義務とすべきであるといった御指摘を頂いたところです。いろいろと御議論を頂いた中で、昨日も複数の委員から、是非とも設けるべきだという御指摘を頂いたところですが、科学的根拠に基づかない限界値を法令に位置付けて設定することに関して、行政としては、より慎重に検討する必要があると考えております。これまでも、注釈にありますような通知に基づく目標の設定とか、あるいはCREATE‐SIMPLEにおいても管理目標濃度について設定している状況もありますが、そうしたことに加えて、今後、新しくばく露限界値の設定の取組も進めていくところですので、そうした状況も踏まえながら、この暫定ばく露限界値については改めて整理をしたい。少し先送りな形になりますが、そういった形で今後の課題として整理したいと思っております。
2点目です。このワーキンググループの議題の大きな柱として、もう1点、事業者に行っていただきます有害性の調査とか、国が発がん性等の有害試験を行っておりますが、今回の規制体系の見直しに応じて、こうした試験のあり方についても検討していく予定でしたが、ワーキンググループの御意見の中でも、他省の法令、例えば化審法などでも類似の制度を設けている中で、それらとの整合というか、いろいろと無駄とならないような、重複しないような整理が必要であるといった御指摘を頂いたところもあります。そうした点で、引き続きこのワーキンググループで議論をするというよりは、まず役所ベースで、どのように整合を取っていくかをよく整理をした上で、改めてこのワーキンググループにお諮りをしたいということで、少しお時間を頂いて検討させていただきたいと思っております。
それから10ページです。同じく(3)として、有害性情報の一元化などについても検討いただく予定でしたが、これらについても同様に他省との連携について、まずは事務的に整理をした上で、このワーキンググループにお諮りをしたいと考えているところです。
最後に、こういった形で見直しを行っていく中で、リスク評価についてはどうしていくのかです。冒頭で述べましたように、基本的には役割を終える形になりますが、新しい仕組みに円滑に移行する観点から、1つは、今年度はばく露実態調査が済んでいる物質もありますので、こういった物質については、今年度リスク評価を実施して、報告書をとりまとめて、その結果に基づいて必要な周知等を行っていくこと。それからマル2として、来年度以降、ばく露限界値(仮称)を設定していく形になりますので、特にリスク評価の対象物質を優先的に設定して、それに基づく自律的な管理を進めていくことで対応していきたいというところです。
といったところで、4番、繰り返しになりますが、本来であれば、ここに書いてあります残された課題も含めて整理を行った上で、6月ぐらいにとりまとめる予定でしたが、少し状況が変わりまして、今回、中間とりまとめとして整理をして、残された課題については、少し時間を掛けて事務的に整理した上で、改めて、然るべき段階でワーキンググループで検討を頂くことで進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。何か御質問等ございますでしょうか。永松委員、お願いします。
○永松委員 どうも御説明ありがとうございました。1ページの経皮吸収化学物質に関わる健康障害防止措置の推進を今後も図っていただけるということなのですが、イの(イ)にもあります、リスクアセスメントに基づくばく露防止対策ということですが、実際に化学物質を取り扱う方は、いわゆる化学産業だけではなくて非常に幅広い皆さんですので、このような対策についても、そのような方々に使いやすいと言いますか、周知や講習会等も含めて是非やっていただきたいということです。それから、個々のばく露防止としては保護具の使用というのが1つ大きな要素になるわけですが、言わば、実際にどのような、例えば化学防護手袋を使えばいいかとか、そのような情報も、使いやすいように、あるいは、国としても、新たな化学防護手袋の性能などにも力を入れて取り組んでいただければと思います。以上、要望です。よろしくお願いします。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前委員 大前です。暫定ばく露限界値の重要性について、もう一度、皆さんに認識していただきたいと思っております。と言いますのは、産業界で7万物質ぐらい使われておりまして、3,000物質ぐらいが今度GHS等々で出てくるのですが、残りの95%の物質が、この暫定ばく露限界値が対象とする物質なのです。それぐらい大量の物質、非常に多くの物質がこういう形でないと自律管理ができないと思います。それから、科学的根拠に基づかない暫定ばく露限界値ですが、科学的根拠に基づくものは、やはりリスクアセスメント機関である産業衛生学会やACGIHが評価して数字を作って、それをリスクマネジメントである行政が何らかのことを加えて使っているということですが、科学的根拠に基づかない数字となりますと、これはリスクマネージャーが作るべきものなのです。ですから、それがリスクマネジメントの役割なので、是非そこのところは、科学的根拠がないことを理由にして作らないという発想にはしていただきたくないと思っております。ワーキンググループの中間報告はこれでいいと思いますが、本検討会の報告では、もう少し、暫定ばく露限界値の重要性について言及していただきたいと思います。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。事務局から何かございますか。
○化学物質評価室長 いろいろと御意見を頂きましてありがとうございました。ワーキンググループでも御指摘いただいておりますが、今回、方向性について整理いただいているところですが、先ほども御指摘いただきましたが、より具体化して、きめ細やかな内容で幅広い方々に御理解いただくような仕組み作りが必要かと思っております。今後も御意見を頂きながら進めていきたいと考えておりますので、どうぞ御協力のほど、よろしくお願いします。
○城内座長 約束の時間を過ぎてしまいました。御意見はないということでよろしいでしょうか。はい。通信状況が悪い中、辛抱してくださり、活発な御意見をありがとうございました。本日の議論はこれで終了したいと思います。事務局から連絡事項をお願いします。
○課長補佐 本日は、本当にいろいろ、初めに不手際があって開始が20分ほど遅れてしまい申し訳ありませんでした。本日、いろいろ御意見を頂いて、特に、議題1の一部ですとか、議題3ですとか、いろいろ宿題を頂いた事項もありますので、改めて事務局で整理をして、とりまとめに向けて準備をしたいと思っております。次回の開催は、6月9日(水)14時からを予定しております。また、改めて正式に御連絡を差し上げたいと思います。
○城内座長 以上で、第13回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会を閉会します。ありがとうございました。