2021年3月3日 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録

日時

令和3年3月3日(水)16:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(1名)

行政機関出席者

 鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
 吉田易範(医薬品審査管理課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
 山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。この度は、本部会につきましても新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Web会議形式での開催とさせていただいております。
  先日、1月25日付けで薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われております。本部会につきましても新しく委員の任命が行われております。つきましては、既にお送りしております要指導・一般用医薬品部会の委員名簿に即し、委員の先生方を私の方からお名前だけ順次、御紹介させていただければと思います。新任の委員で市瀬浩志委員です。稲葉雅章委員です。岩月進委員です。新任の委員で太田茂委員です。川名三知代委員です。新任の委員で神田祥一郎委員です。木下玲子委員です。嶋澤るみ子委員です。新保卓郎委員です。宗林さおり委員です。多賀谷悦子委員です。多田弥生委員です。西森康夫委員です。長谷川洋一委員です。平石秀幸委員です。新任の委員で堀里子委員です。本間正充委員です。水上愛弓委員です。宮川政昭委員です。御参考までに、退任の先生としましては、五十嵐委員、川原委員、橋田委員、望月委員でございます。委員については以上です。
 続きまして、本日の委員の出欠状況についてですが、新保委員からは御欠席との御連絡を頂いております。平石委員も遅れて出席される予定となっております。したがいまして、現時点で委員19名のうち17名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。また、部会長でございますけれども、1月25日の薬事分科会におきまして、この要指導・一般用医薬品部会につきましては、太田茂委員が選任されておりますので御報告申し上げます。太田部会長から一言、お願いいたします。
○太田部会長 太田でございます。皆さん、よろしくお願いいたします。この部会、セルフメディケーションの重要性がいろいろ言われている中で、要指導あるいは一般用薬というものに関する重要性あるいは意義というものが、ますます高くなってきているのだろうと私自身感じております。また、医療用医薬品と違いまして、より患者さんの目線あるいは立場、そうしたところからの議論も必要なものではないかと思っております。これからよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。続きまして、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づきまして、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するとされておりまして、部会長から部会長代理を御指名いただくことになっております。太田部会長、御指名のほどよろしくお願いいたします。
○太田部会長 私の方からは、新保委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。新保委員は本日欠席との連絡を頂いておりますが、事務局から事前に連絡をしていただいておりまして内諾を頂いております。よろしいでしょうか。それでは、新保委員に部会長代理をお願いしたいと思います。
○医薬品審査管理課長 新保委員、よろしくお願いしたいと思います。続きまして、部会を開始する前に、事務局から所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただくこととなり、今後、御負担をおかけいたしますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。また、本日のWeb会議に際しまして、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましてはマスクを着用したまま説明させていただいておりますことを御了承いただければと思います。また、本日ですが、改選後初めての要指導・一般用医薬品部会に当たりますので、特に御留意いただきたい事項などにつきまして事務局の方から御説明をさせていただければと思います。
○事務局 それでは、本部会への御参加に当たりまして留意事項を3点ほど御説明させていただきます。第一に、守秘義務の関係です。国家公務員法第100条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されております。本審議会の委員、臨時委員、専門委員は非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密につきましては漏らすことのないようお願いいたします。
 第二に、薬事に関する企業等との関係でございます。関連資料としまして事前にメールにて、資料8「薬事分科会規程及び薬事分科会における確認事項」をお送りしております。こちらの資料の8ページの上部を御覧ください。薬事分科会規程第11条におきまして「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 第三に、薬事分科会の審議事項でございます。18ページを御覧ください。要指導医薬品及び一般用医薬品(殺虫剤を除く)という見出しの表の右側、「部会」「分科会」と書かれております欄に、区分ごとに印が付いております。○印は審議、△印は報告、▲印は文書配布による報告、×印については審議・報告はなしとなっております。基本的にはこれに基づきまして、部会、分科会において御審議をお願いしております。
 続きまして、戻って6ページを御覧いただければと思います。一番下ですが、第7条におきまして、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない。」と定めております。先ほどの表に記載しております事項以外にも、この但し書きにありますように、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、分科会において御審議をお願いすることとなります。委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。御説明は以上でございますが、御不明な点がございましたら事務局までお申し付けいただければと思います。以上です。
○医薬品審査管理課長 よろしいでしょうか。それでは、太田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○太田部会長 部会長の太田でございます。改めて、よろしくお願いいたします。それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いしたいと思います。
○事務局 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、御自身のお名前と、発言したい旨の御発言をお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。発言いただく際には、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、発言をお願いいたします。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名いただく形にさせていただきます。適宜、メッセージ機能も御利用いただければと思います。以上です。
○太田部会長 これまでの御説明に御質問、御意見はございますか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日の審議に入りたいと思います。まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。あらかじめお送りさせていただきました資料のうち、資料No.1~No.6を使用いたしますのでお手元に御用意いただければと思います。なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けいただければと思います。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料6を御覧ください。競合品目、競合企業及びその選定理由について御説明させていただきます。
 議題1のイラクナにつきましては、イトプリド塩酸塩を含有する胃腸薬でございます。効能・効果は「胃もたれ、胃部・腹部膨満感、食欲不振、胸やけ、はきけ、嘔吐」であり、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる品目を競合品目として三つ挙げさせていただいております。
 議題2のバップフォーレディ、ユリレスは、プロピベリン塩酸塩を含有する過活動膀胱治療薬です。効能・効果は「尿意切迫感(急に尿がしたいとの我慢し難い訴え)、尿意切迫感を伴う頻尿(尿の回数が多い)・尿もれ」であり、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる3品目を競合品目として選定しております。
 議題3のナシビンメディですが、オキシメタゾリン塩酸塩及びクロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する鼻炎用点鼻薬です。効能・効果は「鼻づまりのある急性鼻炎又はアレルギー性鼻炎による次の諸症状の緩和:鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみ」であり、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる3品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○太田部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとさせていただきます。それでは、各委員からの申し出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申し出状況について御報告させていただきます。議題1「イラクナ」につきましては、退室委員なし、議決に参加しない委員は、稲葉委員、多田委員のお二方でございます。議題2「バップフォーレディ、ユリレス」につきましては、退室委員は多田委員、議決に参加しない委員は、多賀谷委員となっております。議題3「ナシビンメディ」につきましては、退室委員なし、議決に参加しない委員なしという状況でございます。以上です。
○太田部会長 ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものといたします。議題に入りたいと思います。本日は、審議事項が3議題、その他事項が2議題となっています。それでは、まず審議事項に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 それでは機構から、資料1「イラクナ」について御説明いたします。今回、Web会議にて実施する関係上、製剤サンプルをお見せすることができませんので、製剤サンプルの写真を電子媒体で事前に送付させていただきました。併せて御確認をお願いいたします。
 審査報告書を御覧ください。本剤は、医療用医薬品である「ガナトン錠50mg」を要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。本剤は、イトプリド塩酸塩を含有しています。申請者は小林製薬株式会社です。
 2ページを御覧ください。効能・効果は、「胃もたれ、胃部・腹部膨満感、食欲不振、胸やけ、はきけ、嘔吐」であり、用法用量は、「大人15才以上1回1錠を1日3回、食前に服用する」です。
 3ページを御覧ください。ガナトン錠は、1995年に「成人の慢性胃炎における消化器症状」を適応症として承認され、2005年に再審査結果が通知されております。
 3ページ下段~4ページを御覧ください。申請者は本剤を要指導・一般用医薬品とする意義として、次の3点を挙げています。1点目として、ガナトン錠にて実施された、軽症・中等症の自覚症状を有する被験者を対象とした臨床試験において、申請効能・効果を含む消化器症状に対し有効性が示されていること。また、臨床試験及び使用成績調査の結果から副作用の発生頻度が低いことから、軽疾患に伴う症状の改善を目的とするセルフメディケーションに適していること。2点目として、本剤の効能・効果は、一般消費者の判断で容易に自覚できる症状であり、使用の際に特別な検査を伴わないこと。3点目として、胃腸の不具合症状は生活の質に深く関わり、本剤を要指導・一般用医薬品として開発し健胃薬の選択肢を増やすことで、一般消費者の生活の質の改善や向上が期待できることです。
 外国での使用状況については、本年1月時点で、一般用医薬品として承認・販売されている国はありません。また、本剤は、第6回と第7回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」にて要指導・一般用医薬品への転用の可否が議論され、4ページに記載した留意事項とともに転用は可能、と判断されています。
 4ページの下部、ロ項及びハ項を御覧ください。規格及び試験方法に関する資料及び安定性に関する資料として、本剤はガナトン錠と同一の製剤であるため、ガナトン錠の資料が提出されています。そのほか、現在の科学水準に従い、新たに製剤均一性試験が設定され、それに関する資料が新たに提出されています。次に、5ページのニ項から、ヘ項を御覧ください。本剤の薬理作用、吸収・分布・代謝・排泄、並びに毒性に関する資料として、ガナトン錠の資料が参考として提出されており、新たな試験は行われておりません。その下のト項、臨床試験に関する資料を御覧ください。新たな臨床試験は行われておらず、ガナトン錠の臨床試験及び、使用成績調査の結果が提出されました。
 有効性については、5ページの表1の右端の欄に、各試験における最終全般改善度の改善率を示しています。本剤と同じ1日当たり150mg投与した群における改善率は66.7%~94.1%でした。6ページの表2には、第III相比較試験の各症状別改善度の改善率を示します。イトプリド塩酸塩投与群における、申請効能・効果の症状別の改善率は64.8%~78.6%でした。また、ガナトン錠の使用成績調査について、本剤と同じ1日当たり150mg投与した症例における「改善」の割合は95.2%でした。
 安全性については、6ページ中段を御覧ください。ガナトン錠の臨床試験において、副作用発現率は4.02%であり、重篤なものはありませんでした。また、ガナトン錠の使用成績調査において、副作用発現率は1.25%であり、承認時までに認められていた副作用と大きく異なるものはありませんでした。
 次に、添付文書理解度調査についてです。「要指導医薬品の添付文書理解度調査ガイダンスについて」に基づき実施された調査結果が参考資料として提出され、特に問題は認められませんでした。
 続いて、6ページ下段、<審査の概略>を説明いたします。規格及び試験方法並びに安定性につきましては、ガナトン錠と同様であり、新たに設定された製剤均一性試験についても、提出された試験結果を踏まえて特段の問題はないと判断しました。
 続いて、有効性についてです。ガナトン錠の各臨床試験の有効性評価対象症例は、対象疾患のほとんどが慢性胃炎であり、その自覚症状の重症度は主に軽症又は中等症でした。これらを踏まえ、機構は、本剤の有効性について、ガナトン錠の臨床試験成績に基づき評価することに特段の問題はないと判断しました。ガナトン錠の臨床試験及び使用成績調査において、高い改善率が認められていたことから、有効性については問題ないと判断しました。
 次に、安全性についてです。ガナトン錠の臨床試験及び使用成績調査において、発現頻度の高い副作用及び重篤な副作用は認められませんでした。これを踏まえ、安全性については問題ないと判断しました。
 7ページ中段から、効能・効果についてです。評価検討会議において、審査報告書4ページに記載したとおり、「効能・効果の「胃痛」は胃潰瘍等の胃痛と誤解される懸念があることから削除すること」との留意事項が付されました。これを踏まえ、本剤は、ガナトン錠の「胃痛」に関する効能・効果を削除して申請されました。
 機構は、申請された効能・効果について、ガナトン錠の「腹部膨満感」を、「胃もたれ、胃部・腹部膨満感」と読み替える妥当性について、申請者に説明を求めました。申請者は、一般消費者が自覚する「腹部膨満感」は「もたれ感」であり、それは胃と腸の両方の膨満感を含むこと、ガナトン錠の臨床試験でも効果が確認されていること、また一般用医薬品の類薬を参考にしたことを説明しました。機構は、申請された効能・効果について、申請者の説明及び、胃腸薬製造販売承認基準の健胃剤の効能・効果を踏まえ、特段の問題はないと判断しました。
 8ページ、用法・用量につきましては、ガナトン錠及び類薬に合わせて設定され、特段の問題はないと判断しました。
 続いて、使用上の注意についてです。本剤の使用上の注意は、ガナトン錠及び類薬の添付文書、並びに使用上の注意の記載要領を参考に設定されております。また、評価検討会議で付された留意事項を踏まえ、「相談すること」に、「2週間くらい服用しても症状がよくならない場合は、服用を中止し、この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること」と設定されました。そのほか、機構が、ガナトン錠の添付文書に合わせて、本剤がアセチルコリンの作用を増強する点について注意喚起する必要がないか、申請者に検討を求めたところ、類似薬効の、アセチルコリン作用を持つ成分との併用について、注意喚起が記載されました。機構は、設定された使用上の注意について、特段の問題はないと判断しました。
 また、8ページ中段~9ページ、適正使用及び情報提供資料についても、評価検討会議で指摘された留意事項への対応が適切になされていました。なお、本剤の用法・用量が食前服用であるため、誤って食後に服用した場合に、有効性及び安全性に及ぼす影響を申請者に尋ねたところ、申請者は、ガナトン錠で実施された臨床試験結果を踏まえて、食事の影響はほとんどないと説明しました。また、薬剤師が適切な情報提供ができるよう、薬局・販売店向け情報提供資料に、当該臨床試験のデータが記載されました。機構は、申請者の考察及び対応について特段の問題はないと判断しました。
 以上から、機構は、評価検討会議での留意事項が対応されており、本剤の適正使用及び情報提供資料について、特段の問題はないと判断しましたが、販売に当たっては、適正使用されるための対策が十分になされることが重要と考えます。したがって、製造販売後調査において、適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えました。
 最後に、9ページの総合評価です。以上の検討を行った結果、機構は提出された申請内容について、こちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関しまして、御質問、御意見等ございましたらお願いしたいと思います、いかがでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です、よろしいでしょうか。今の御説明ありがとうございました。これで、添付文書の[してはいけないこと]の4ポツ目で、「長期連用しないこと」と書いてございますけれども、これは実際に審査報告書の4ページの中段の所にもありますように、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議での結果を踏まえ」という所に、「2週間服用して症状がよくならない場合は服用を中止し」と書いてあります。これは2週間くらいでもないし、「2週間」と書いてあります。これは長期の服用で、連用しないでくださいということとともに、2週間くらいというのは「くらい」ではないはずなので、まず「くらい」を取ることと、いたずらに長期連用しないでくださいというのは、もちろん当然のごとく書かなければならないのだろうと思うのですが、機構の方はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、少々お待ちください。先生、御意見ありがとうございました。「2週間くらい」という点について、御指摘のとおり、評価検討会議での留意事項は「2週間」というようにされているのですけれども、一般用医薬品の添付文書の記載要領が、別途、医薬安全対策課の方から通知で出ております。そちらには、全て「2週間くらい」と記載されております。また、ほかの胃腸薬に関しても、「2週間くらい」と記載されておりますので、OTCとして、一般的な記載ということで、「2週間くらい」という記載で問題ないと判断しております。
○宮川委員 私は、そう判断したくないから申し上げました。このようにずるずると、許可していくのはよくないので、第6回の検討会議で、実際にこのように書いてあるのですから、これを準拠するほうが当然だろうと思います。実際には「2週間を超えて長期連用しないこと」と、若しくは「2週間以上長期連用しないこと」というのが、本来からすると正しいのではないかと思うのですが、厚労省はいかがでしょうか。
○事務局 厚生労働省でございます。検討会議の結論につきましては、2週間服用して症状がよくならない場合ということですので、その記載に添付文書を合わせるべきという御意見ではございますけれども、検討会議の指摘はよくならない場合であり、長期連用については、また別の観点で、その効果があってもということですので、そこは別の観点というように理解をしております。「くらい」ということについては、機構からも説明がありましたとおり、ほかの医薬品との、一般的な記載ということで合わせる形でよいのではないかと考えているところでございます。
○宮川委員 では、評価検討会議での、この記載は無視されるということですか。そうした期間は全て「くらい」として、3週間であれば3週間くらい、4週間であれば4週間くらいというように、全部置き換えることが、常套化されていると、そのように主張されるということで、厚労省はよろしいのでしょうか。
○医薬品審査管理課長 先生すみません、今の御指摘はごもっともだと思いますので、2週間ということにできないかを、機構と企業とで調整させていただきます。「くらい」がなくてもいいと思いますので。
○宮川委員 これはくらいではなくて、「くらい」という言葉を用いないほうが医学的に正しいことですし、薬学的にも正しいので、薬剤師がきちんとしたプロフェッショナルであれば然るべきことは当然のことだろうと思います。どうせ1日、2日だといいのではないかというような、不確かな言葉を使うのはいかがかと思いますので、是非そのように配慮していただければ有り難いと思うわけです。
○医薬品審査管理課長 そうですね、分かりました。機構と企業と調整して検討してもらうようにしたいと思います。また、前段の長期連用の話は、先ほど事務局から御説明したとおり、基本的に2週間で効果を見るのでしょうけれど、それでいけた場合には、それを超えていてもあり得るということだと思いますので、もしやるとすれば、長期連用しないことという形にするのですが、相談することという所の3ポツであることにも注意するとか、そのような語句を付けるとか、そのように連携するようにすると。
○宮川委員 そうです、そうした注意喚起が必要ですし、チェックシートの所にもしっかりとそうしたものを反映していただいて、やはり黒字ではなくて、そうした所こそ赤字でしっかりと、若しくは色を変えてしていくことが非常に重要なことではないかと思うわけです。
○医薬品審査管理課長 そうですね、分かりました。
○宮川委員 それから是非、御検討していただきたいのは、セルフチェックシートで、有効にそうしたものを活用するためにも、1回の販売量を2週間以下の分量、○パック以下で販売されるようなそのような徹底した管理が、厚労省として必要ではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○医薬品審査管理課長 先生、そこはパッケージといいますか、1回のパッケージの話までは少しなかなか難しいかとは思いますので、添付文書なり、セルフチェックシート等の徹底をもって、また検討させていただくということで。
○宮川委員 そうしたことができなければ、そのセルフチェックシートや添付文書の方も、2週間という記載をしっかりとしていただければ幸いかと思います。
○医薬品審査管理課長 はい、その線で、企業と調整してもらうように機構に御検討をお願いしたいと思います。
○宮川委員 はい、ありがとうございます。それから少し一般的なことで大変申し訳ないのですけれども、評価検討会議における見解として、店頭に並べるのではなくて、カウンターで必ず薬剤師が説明する必要があるということで、そのような記載が確かあったはずだと思います。しかしながら、スイッチOTC後の要指導用の医薬品の間はそうしたことが担保できるのですが、要指導の分類にとどめるのは今の制度上非常に難しいことが分かっています、原則3年等や、いろいろなものがありますので。そうすると、実際には第1類から第3類医薬品に移行してしまって、同時にインターネットで販売も可能ということになってくるので、今後の安全性を担保するための対応策も慎重に考えることが必要ではなかろうかと思います。是非、そのようなことも、このことではないのですけれども、御検討いただければ幸いかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 はい、ありがとうございます。先生、それはまた別の検討会議での御指摘だということでございますので、そこはまた別の一つの大きな課題ということで、それはそれで認識させていただいた上で、今後、また引き続きの課題として検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○宮川委員 ありがとうございました。
○太田部会長 ほかにいかがでしょうか。
○宗林委員 すみません、宗林です。確認です。このイラクナについては、○○錠入りと言っていたような気がするのですが、今の2週間の話との関連もありますが、幾つか用量の異なるものが出る予定があるのでしょうか。○○錠だと当然、2週間以内に使い切るのではないかと私は理解しておりましたが、確認です。
○太田部会長 いかがですか、機構、どうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。今の御質問ですけれども、最初の包装単位は○○錠で販売予定と聞いているものの、それ以降、どのように錠数が変化するかのところは確認しておりません。
○宗林委員 分かりました。そういう意味だったのですね。承知しました。
○太田部会長 よろしいでしょうか。それでは、平石先生、いかがでしょうか。
○平石委員 平石です。質問させていただきます。この対象となる症状につきましては、消化器病の立場からですと、疾患名としては、機能性ディスペプシアという病態を含む症状になろうかと思います。機能性ディスペプシアの場合には、認可されている医薬品として、アコファイドがあるわけですが、これを使用する場合には、まず上部消化管内視鏡、いわゆる胃カメラを行って器質的な疾患を除外すること。その上で、約1か月投与した場合には、中止も検討する。更に症状が持続する場合には、胃カメラ以外の諸検査を行うことが設定されているわけです。先ほど宮川先生が御指摘になりましたように、投与期間、パッケージの大きさ等は非常に重要な問題になってきますので、この点については慎重な御検討をお願いしたいと思います。これはコメントになろうかと思いますけれども、よろしく御検討ください。以上です。
○太田部会長 平石先生、ありがとうございました。ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。長谷川先生、どうぞ。
○長谷川委員 それでは、1点。情報提供資料の使用者向けの所に、この薬の使い方が幾つかQA形式で書かれているのですが、基本的にはどの質問も分かりやすく書かれていると思ったのですが、下から三つ目の、「割って量を調節して服用してもいいですか」という所が、読んでいて少し分かりにくかったといいますか、意味は伝わるのですが、目的が最初に書かれてあって、[してはならないこと]に最後につながるので、ほかの説明より少し長い感じがしました。そこで、「錠剤に溝が入っていますが、割って量を調節して服用しないでください。期待した効果が得られなかったり、作用が強く出る可能性があります。」というような記述のほうが、伝わりやすいのではないかと感じました。
 それに加えて3ページですが、「服用する前に確認すべきことはどういうことですか」という所で、本剤がコリン作用の薬剤ということになりますと、下の方に前記の質問から、「服用可能な場合は次のことを必ず守ってください」という説明はあるのですが、上の1番、2番のチェックリストの中に、症状や、今通院していることや、疾患に関することが書かれています。事前のチェックとして、今、何か薬を飲んでいるかどうかというのも、チェック項目としては必要ではないかという気がしました。実は、風邪薬や、ほかのOTC医薬品には抗コリン作用のものが成分として含まれているものが多いこともありますので、こうしたチェックが入らない人は、何かほかの薬を飲むことを控えてくださいという順番ではなくて、最初にそういう現在何か薬を飲まれていないかどうかということがチェック項目の中に入ってもいいのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。
○太田部会長 これは機構ですね。よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。先生、ありがとうございます。割線の量を調節する説明の修正と、チェックシートの所に併用薬も項目に入れるということを、御意見を踏まえまして検討させていただきたいと思います。
○長谷川委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。
○太田部会長 岩月先生、御質問をよろしくお願いいたします。
○岩月委員 ありがとうございます。薬剤師の岩月でございます。先ほど宮川先生から御提案がありましたが、2週間くらいではなくて2週間とすべきだということは、私もそのように感じるところはありますけれども、一般的な使用方法として、毎日連用して2週間ということが実態としてどうなのか、飲んだり飲まなかったりするということを含めて考えると、今まではそうした意味で2週間くらいという表現があったのかどうか、少し確認をしたいのですけれども、よろしいでしょうか。
○太田部会長 これは機構ですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。先生、御質問ありがとうございました。一般的にどうかというところは少し分かり兼ねるところがあるのですが、本剤に関しては、毎日服用、1日3回服用ということで考えております。ですので、先ほどの先生方の御意見も踏まえて、2週間に関しては、厚生労働省とも相談して検討させていただきたいと思います。
○岩月委員 ありがとうございます。要するに、「くらい」というように、今までそのことを認めていたのは、飲んだり飲まなかったりという事態を考えてそのようにしていたのかという質問であったのですが、そうではないということですか。
○医薬品医療機器総合機構 これまでの一般用医薬品の記載がどういう考えの下にそういう通知なりで示されているのかというところは、少し現段階では、すぐに御回答することが難しいので、申し訳ございません。回答が難しいところでございます。
○岩月委員 ありがとうございました。そのようなことで、今まではそうした解釈だったけれども、表記を変えることは、その解釈を変えることになりますので、その辺の御説明も、できればよろしくお願いいたしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。検討させていただきます。
○岩月委員 ありがとうございます。
○太田部会長 続きまして、堀先生、よろしくお願いいたします。
○堀委員 慶應の堀でございます。少し細かなところで恐縮ですけれども、先ほどの長谷川先生が御指摘されていた部分で、「割って量を調節して服用してもよいですか」の所の理由ですけれども、ここで「期待した効果が得られなかったり」というのは分かるのですが、「作用が強く出る可能性」なのでいいのですが、これは先ほどのお話ですと、医療用で販売されているものの製剤をそのまま転用されているということで、医療用の場合は、用法用量として適宜減量があるので、割線があるということは、効果として半量でもしっかりと臨床試験で見られていると思ったので、「効果が強く出る可能性がある」という表記に少し違和感を覚えました。可能性ということで入れておいてもいいかと思いますし、割線ではない所で割ったりすれば効果が強く出るかもしれないのですが、割線で割ったことを想定する文章になっているので、この説明に少し違和感があります。例えば患者さんの中には半量を飲んでいる方がいらっしゃるかもしれないので。OTCでは、実際に半量で飲まないというのは、もちろん問題ないと思うのですけれども、その点、質問というよりコメントです。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。先生、御意見をありがとうございました。御質問のところですけれども、こちらの記載は、量を調節して服用ということですので、例えば半量だけではなくて、半分に割って1.5錠にして1回に飲むということも想定しておりますので、「作用が強く出る可能性」というような書き方をしております。
○堀委員 分かりました。すみません、少し誤解がありました。ありがとうございます。
 もう1点だけ、よろしいでしょうか。外箱の太括弧の所に「○○○○○○○○○○」と書いてあるところが気になりました。効能・効果である食欲不振など、腹部膨満感が強い場合、なかなか食べられないというのは分かるのですが、この「○○○○○○○○○○」症状の方へというのは、一般的な胸やけの薬でもパッケージなどにこのように書かれるのでしょうか。○○○○○○○○○○方が漫然とお薬に頼ってしまうなど、別の用途で使われてしまわないのかという印象を受けました。
○太田部会長 はい、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。先生、御意見をありがとうございました。機構の審査においては、一般的に外箱・パッケージ案に関しては審査の対象になっておりませんので、ここの記載がどういうつもりで申請者が記載したのかというところは、詳細に検討はしておりませんが、今の先生の御意見を申請者に伝えて検討を求めたいと思います。
○堀委員 ありがとうございます。
○太田部会長 手を挙げていらっしゃるのは、稲葉先生ですか、よろしくお願いいたします。
○稲葉委員 稲葉です。6ページの所で、この薬剤を飲んでも血中濃度が食前と余り変わらなかったということですけれども、薬剤師さんに問合せがあった場合、「食前に飲み忘れてしまった場合には、どのようにしたらよいでしょうか」ということについては、1回分をとばすということになるのですけれども、多分、食前服用を厳守ということですけれども、腹部膨満感などがかなり強いときは食後に飲んでも効果が、もし血中濃度が上がって、効果が出ると思うのでしたら、「食前」と書くのはいいのですが、薬剤師さんに問合せがあったときは、今から飲んでくださいという形で説明したほうがいいのかと思ったのですけれども、そこら辺については、いかがでしょうか。
○太田部会長 それは、機構、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、機構でございます、回答させていただきます。食前に服用をし忘れた場合ですけれども、食後に飲んだ場合であっても、薬物の血中動態については大きく影響しないというデータが得られております。そこにつきましては、薬局・販売店向け情報提供資料の10ページのQ&Aにお示ししております。そのQ&Aにおきまして、食前に飲み忘れた場合については、OTCですので、次の回に1回分服用してくださいというQ&Aにしております。
○稲葉委員 問合せがあるということはかなり症状が強いと思いますので、もし血中濃度が上がって効能が期待できるのでしたら、薬剤師さんの問合せについては、今からでも飲んでくださいというマニュアルのほうがいいかと思ったのです。食前投与が原則というのは理解しているところですけれども。
○医薬品医療機器総合機構 症状が余りに強い場合においては、OTCの対象かどうかというところもございますので、基本的にはOTCの場合は、適切に用法・用量をお守りいただくのが、やはり原則にはなってくるのだろうと考えております。
○稲葉委員 分かりました。
○太田部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょう、よろしいですか。いろいろな御意見を頂きました、ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。なお、稲葉委員、多田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当するとしてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に該当するとし、薬事分科会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、議題2に移ります。議題2は、バップフォーレディ、ユリレスです。多田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題2の審議の間、会議から御退出して、御待機いただくことといたします。多田委員、御退出をお願いいたします。
──多田委員 退室──
○太田部会長 議題2につきまして、機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 それでは機構から、資料2、「バップフォーレディ」及び販売名のみが異なる「ユリレス」について御説明いたします。今回、Web会議にて実施する関係上、製剤サンプルをお見せすることができないため、製剤サンプルの写真を電子媒体で事前に送付させていただきました。併せて御確認をお願いいたします。
 審査報告書を御覧ください。本剤は、過活動膀胱の治療薬である医療用医薬品「バップフォー錠10」を要指導・一般用医薬品にスイッチするもので、1錠中にプロピベリン塩酸塩を10mg含有するフィルムコーティング錠です。申請者は大鵬薬品工業株式会社です。
 2ページを御覧ください。効能・効果は、「尿意切迫感(急に尿がしたいとの我慢し難い訴え)、尿意切迫感を伴う頻尿(尿の回数が多い)・尿もれ」です。用法・用量は「成人女性(15歳以上70歳未満)、1回1錠を1日1回食後に服用する。」です。
 4ページ上段を御覧ください。医療用バップフォーは、1993年に「神経因性膀胱、神経性頻尿、不安定膀胱、膀胱刺激状態(慢性膀胱炎、慢性前立腺炎)における頻尿及び尿失禁」の効能・効果で承認され、2003年に再審査結果が通知されております。その後、2009年に「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」の効能・効果が追加承認されました。なお、審査報告書では、過活動膀胱をOABと略称で記載しておりますので、御留意ください。
 4ページ下段を御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は次に述べる6点から説明しています。まず、1点目としては、本剤の対象疾患である過活動膀胱は、仕事・家事の制限、身体的・社会的活動の制限などにより、様々な日常生活に支障を及ぼし、QOLを低下させる疾患である点です。2点目としては、過活動膀胱は症状症候群であり、使用者でも自覚することが可能な疾患である点です。3点目として、本薬は「過活動膀胱診療ガイドライン」で推奨グレードAに分類されており、また、医療用医薬品として25年以上の使用実績がある点です。4点目としては、医療用バップフォーの通常量の半量である1日10mgとする場合であっても、1週間以上の服用で頻尿及び尿失禁の症状に対する有効性が確認されており、実際の臨床の現場で過活動膀胱の治療に多く使用されている用量である点です。5点目としては、用量を医療用バップフォーの通常量の半量とすることで、抗コリン作用に基づく副作用の程度及び発現頻度を抑えることが可能と考える点です。6点目としては、本薬は薬理作用として抗コリン作用を有するため、安全性を考慮し、服用者の対象を15歳以上70歳未満の女性、用量を医療用バップフォーの通常量の半量に限定した点です。本剤の外国での使用状況について、一般用医薬品として承認・販売されている国はありません。
 5ページ中段を御覧ください。本剤は「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」にて、要指導・一般用医薬品への転用の可否が議論され、次に述べる六つの留意事項とともに転用が可能と判断されております。第1に、効能・効果は「女性における尿意切迫感(急に尿がしたいとの我慢し難い訴え)及びそれを伴う頻尿(尿の回数が多い)、尿もれ」に変更すること。第2に、男性の服用は前立腺肥大症を伴い、排尿困難、尿閉のリスクがあることから、服用は女性に限定すること。第3に、長期に漫然と服用されることがないように、まず1週間服用後に安全性の確認を行い、2週間で効果の判定を行う必要があること。第4に、安全性の観点から、用量は10mgとすること。また、対象者は70歳未満とすること。第5に、抗コリン作用を有することから、緑内障などの疾患を有する者は服用対象から除き、ほかの抗コリン作用を有する薬剤と併用されないように添付文書等で適切に注意喚起すること。第6に、そのほかの議論として「スイッチOTCの服用をお薬手帳などで適切に管理する必要がある。例えば、製剤の包装中にお薬手帳に貼付するシールを添付し、購入時にお薬手帳にシールを貼付することで服用を管理するなどの工夫もあり得るのではないか。」との御意見があったとのことです。
 5ページ下段~6ページを御覧ください。規格及び試験方法に関する資料及び安定性に関する資料として、本剤は医療用バップフォー10mg錠と同一の製剤であるため、医療用バップフォーの試験成績が提出されております。薬理作用、吸収・分布・代謝・排泄及び毒性に関する資料は、医療用バップフォー初回申請時の資料が参考として提出されており、本申請のための新たな試験は行われておりません。臨床試験に関する資料は、医療用バップフォーの臨床試験及び使用成績調査の結果及びそれらの再解析結果が提出され、本申請のための新たな臨床試験は行われておりません。
 8ページ、2)を御覧ください。初回承認時の臨床試験における女性1日10mgの有効性の再解析の結果である主要評価項目及び副次評価項目の結果は、表6、表7に示しております。主要評価項目は、自覚症状及び他覚所見を総合的に判断して著効、有効、やや有効、不変、悪化の5段階で主治医が判定し、有効以上を有効率として示しており、その有効率は50%でした。副次評価項目である排尿回数と尿失禁回数は表7のとおり減少していることが認められております。
 10ページ中段、添付文書理解度調査についてです。「要指導医薬品の添付文書理解度調査ガイダンスについて」に基づき実施された調査結果が参考資料として提出され、特に問題は認められませんでした。<審査の概略>を御説明します。規格及び試験方法、並びに安定性については、医療用バップフォーに準じて設定されており、特段の問題はないと判断しました。
 有効性についてです。評価検討会議において、用量は医療用の半量である1日10mgとするようにと留意事項で示されました。医療用バップフォーの過活動膀胱の効能追加時の臨床試験は1日20mg又は40mgで実施されたため、10mgの臨床試験成績はありません。
 11ページを御覧ください。申請者は、次に述べる四つの理由より、女性の過活動膀胱患者における1日10mgの臨床試験成績を不要と判断したと述べております。まず、一つ目の理由は、初回承認時には、過活動膀胱の概念がなかったが、実施された臨床試験の被験者には過活動膀胱の患者が相応に含まれていると考えるためです。二つ目の理由は、初回承認時に実施された用量設定試験のサブグループ解析の結果、女性における1日10mgでの頻尿又は尿失禁に対する有効性が確認されているためです。三つ目の理由は、過活動膀胱患者に対する本薬1日20mgの有効性が確認されているためです。四つ目の理由は、株式会社○○○○のレセプト情報によると、15歳~69歳の過活動膀胱女性患者における1日10mgの処方割合は29.3~44.2%であったためです。
 機構は、本剤の有効性を厳密に評価するためには、本剤の効能・効果及び用法・用量における臨床試験を実施することが必要と考えるものの、次に述べる二つの理由を踏まえて、本剤の臨床データパッケージ及び有効性に特段の問題はないと判断しました。
 まず一つ目の理由としては、過活動膀胱の効能追加時には、初回承認時の効能・効果の投与対象に過活動膀胱患者が含まれることが考慮され、過活動膀胱患者における用量設定試験を実施しなかったことは許容可能と判断されたためです。二つ目の理由としては、使用成績調査において、1日10mgの症例が一定数認められており、また、医療実態として1日10mgの投与実態が示されているためです。
 次に、安全性について、11ページです。臨床試験における主な副作用は、泌尿器系の症状として排尿困難及び尿閉のほか、消化器系の症状として抗コリン作用に基づく自覚症状である口渇、便秘及び腹痛が認められております。12ページの効能・効果についてですが、申請者は、「女性における尿意切迫感(急に尿がしたいとの我慢し難い訴え)及びそれを伴う頻尿(尿の回数が多い)・尿もれ」とされており、また、効能・効果は評価検討会議で示された留意事項のとおりに設定されたものでした。
 機構は、次の三つの理由を踏まえ、「尿意切迫感(急に尿がしたいとの我慢し難い訴え)、尿意切迫感を伴う頻尿(尿の回数が多い)・尿もれ」とすることが適切と判断しております。まず、一つ目の理由としては、女性が対象であることは、用法・用量に記載されており、男性が対象ではないことは、[してはいけないこと]に記載されているためです。二つ目の理由としては、「それ」を明確にしたほうが分かりやすいと考えるためです。三つ目の理由としては、医療用バップフォーの効能・効果である「切迫性尿失禁」は、「過活動膀胱診療ガイドライン」において、「尿意切迫感と同時又は尿意切迫感の直後に、不随意に尿がもれるという愁訴」とされていることから、「尿意切迫感を伴う」のは「頻尿」だけではなく「尿もれ」にも係っている必要があるためです。
 続いて、使用上の注意についてです。本剤の使用上の注意は、医療用バップフォー及び要指導・一般用医薬品の類薬の添付文書を参考に設定されております。機構は、過活動膀胱と鑑別すべき対象への注意喚起について、次に述べる3点を踏まえ、適切と判断しております。まず1点目としては、医療機関を受診すべき疾患に罹患していると考えられる「血尿、排尿痛、膀胱痛」の者は、本剤の使用対象から除外されている点です。2点目は、使用者が、ほかの疾患と鑑別することは困難な場合があると考えられるものの、頻尿や尿もれが発症後1か月以内であるなど、過活動膀胱と鑑別すべき疾患の症状を有している場合や、2週間服用しても症状が改善しない場合には、医師又は薬剤師に相談するよう注意喚起されている点です。3点目は、本剤による継続服用期間は最長1か月とされ、たとえ効果が認められていても、泌尿器科への受診を勧奨する方策を講じている点です。
 13ページ、適正使用の方策です。本剤の適正使用の方策として、添付文書のほか、購入前に適正な使用者であることを確認するチェックシート、薬局・販売店向け情報提供資料、使用者向け情報提供資料及びお薬手帳に貼るシールが提出されました。部会資料「お薬シール案」のタグを御覧ください。お薬手帳に貼るシールは、評価検討会議の留意事項において作成することを求められた資料であり、有効成分の名称、用法・用量、貼付に当たっての注意事項などが記載されているほか、服用開始日、購入場所を使用者が自ら記載することができます。
 機構は、お薬手帳に貼るシールについて、本剤の服用状況を記録することで、処方薬との重複服用を避けられる、副作用の把握がしやすくなるなど、医薬品の適正使用を推進できるため、お薬手帳に貼るシールを添付すること及びシールの記載内容に問題はないと判断いたしました。
 最後に、総合評価です。14ページにある効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性などに関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの内容に関して、御質問、御意見はございますか。いかがでしょうか。
○川名委員 川名です。質問があります。
○太田部会長 お願いいたします。
○川名委員 実際に店頭で販売している薬剤師です。セルフチェックシートの使い方について質問させてください。初回購入用の1問目です。「はい」「いいえ」でお答えくださいと書いてあり、その下の赤い矢印の横に、全てが「はい」の場合は下に進むようなイメージに見えます。そうすると、この四角の「女性である」「15~69歳である」というのは、ここに「はい」か「いいえ」のチェックが全て入っている場合、下にも右側にもチェックしたボックスがあるように記載してしまうのです。
 そうではなくて、恐らく該当項目全部にチェックがあれば下に進むというイメージで作っていらっしゃると思うのです。そうすると、今度は右側の「いいえ」に進む矢印は、どれか1項目でも「チェックあり」だと「いいえ」に進んでしまうのです。三つともチェックしてしまった人は、どちらに進んだらいいのか分かりかねると思います。ここは間違いだと思いますので訂正をお願いしたいと思います。
○太田部会長 機構、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。企業に伝えて、修正してもらうようにいたします。
○太田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、本間委員からお願いいたします。
○本間委員 二つほど質問いたします。5ページです。本剤はもともと海外での開発品だと思います。海外ではOTC化されていないということですが、理由を教えていただきたいということが1点です。さらに、男性が使ってはいけないという理由に、男性の服用が前立腺肥大を伴い、排尿困難、尿閉のリスクがあることから服用は女性に限定するということですが、これは女性にはリスクがないように見えます。女性にもリスクがあるけれども、男性のほうがリスクは高いから使用してはいけないということではないかと思うのですが、これはリスクのレベルのことなのか、それともリスクは全くないのかということを教えていただきたいのです。
○太田部会長 機構、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、1点目の海外でOTCがない理由について説明いたします。企業に確認していないので、海外でOTCがない理由については不明です。
○本間委員 分かりました。
○太田部会長 2点目はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 2点目については、男性の場合は前立腺があり、女性には前立腺がありません。前立腺肥大を伴う排尿困難や尿閉のリスクがあるということで、女性に限定してくださいというのが検討会での御意見だと認識しています。前立腺肥大に関しては、女性には起こらないという認識です。以上です。
○本間委員 排尿困難、尿閉のリスクは女性にもあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 排尿困難、尿閉のリスクは女性にもあります。
○本間委員 ですから、両方ともにリスクはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 両方にリスクがあります。こちらは評価検討会議での留意事項をまとめたもので、機構の見解ではありませんが、評価検討会議でこういう御意見が出されたという事実を記載している部分です。
○本間委員 医療用では、男性も使われているわけでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○本間委員 OTCになった場合に、女性に限定するということは、リスクレベルが異なるからということだと思うのです。そうした理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 リスクレベルというよりは、使用対象者のリスクの問題として、男性は今申し上げたリスクがありますので、安全性の観点から本剤は女性に限って使用してはどうかということです。
○本間委員 チェックシートを見ると、排尿困難や尿閉があるかどうかというのを、初回購入時も継続購入時もチェックシートがあるのですが、こういうものを利用すれば男性も使えないことはないのではないかと思うのです。
○医薬品医療機器総合機構 本間委員が御指摘のように、医療用は投薬されているものと承知しておりますが、OTCですので、安全性の観点も重要だと考えております。申請者にもその旨を確認しており、安全性の観点から女性に対象を絞るという見解を頂いております。私どもとしても特に異論はございませんので、このような審査報告書にしております。
○本間委員 申請者がそう言うのでしたらしょうがないです。ありがとうございます。
○太田部会長 よろしいでしょうか。それでは、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 先ほどと同じような意見になってしまうのですが、使用者向けの情報提供、特に販売店向けの情報提供のところで、初回購入時と継続購入時でチェックシートが分かれています。少し気になるのが、継続使用は現在、下記の薬剤を服用中である場合は、どれか一つでもチェックがあれば継続服用できないことがあるというようなことが書かれております。やはり初回にも、そうしたチェックをするべきではないかと思いますので、その辺りを御検討いただいたほうが良いという気がいたします。先ほどとは違い、今回は抗コリン作用ということで、併用薬との相互作用が心配になりますので、その辺りのチェックが必要ではないかと思います。
○太田部会長 ありがとうございます。機構、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。御意見を頂き、ありがとうございます。初回購入時のチェックシートについては、一番上のチェックは本剤の対象かどうかを確認する項目です。ロートエキスなどを含有する抗コリン作用を有する医薬品を服用していたら本剤の対象外とするものではなく、バップフォーレディを服用したい場合は、それらの併用をやめていただければ構わないと考えておりますので、初回購入時においては下段に注意事項として記載することで構わないのではないかと考えております。
○太田部会長 いかがでしょうか。
○長谷川委員 分かりました。少し気になったのは、相互作用が強く出るということが心配になる場合もありますし、要指導医薬品を使用する場合には、併用薬との関係を入念にチェックすべきではないかというところから意見させていただきました。これで問題がないということであれば、チェックシートとしてはいいと思うのですが、添付文書にも、本剤を服用している間は次のいずれの医薬品も服用しないでくださいというように書かれているので、その辺りのニュアンスに差があるのではないかと少し感じました。
○医薬品医療機器総合機構 一つ補足させていただいてもよろしいでしょうか。
○太田部会長 お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 初回のチェックシートの医師の診療を受けているというところで、その目的は併用薬の確認も含まれておりますので、長谷川委員が御指摘の併用薬が御心配というところは、医師の診療を受けている場合にあっては、お薬手帳で薬剤師に御確認いただくなどという状況を想定しております。
○長谷川委員 分かりました。
○太田部会長 ありがとうございます。それでは、宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 宮川でございます。今、長谷川委員がおっしゃった御懸念は非常に重要なことであろうと考えております。やはり初回購入時のときにも、継続購入用と同じように、医師の治療を受けているといっても治療が十分でないときもありますので、併用薬との関係をチェックシート上に反映される記載があったほうがよろしいのではないかと思います。ですから、セルフチェックシートに入れていただければ有り難いと考えております。
 もう一つございます。添付文書に書いてあることも含めて、先ほどと同じなのですが、審査報告書の5ページに同じように、評価検討委員会でも指摘がありますように、「1週間後に安全性の確認を行い、2週間で効果・判定を行う必要がある」ということなので、この添付文書の裏面ですが、「相談すること」の5ポツの所に、「2週間服用しても症状が良くならない場合は服用を中止し、この説明文書を持って医師又は薬剤師に相談してください」と書いてあります。さらに、[してはいけないこと]の5ポツに、2週間との記載はなく、長期連用しないでくださいと書いてあるので、ここにも2週間と書いてあれば良いと思いました。
 戻ってしまいますが、「相談すること」の所で、2週間服用しても云々の後段に、「なお、1週間服用後、服用状況を薬剤師から確認を受けること」というような形になっています。これは薬剤師がとても大事で活躍する場所ですので、そうした文言が少しでも入ると非常によろしいのかと思います。スイッチOTCも含めてですが、薬剤師の活躍しどころですので、セルフチェックシートの中に先ほど長谷川委員からご指摘のあった項目を挿入をお願いします。さらに添付文書に2週間という文言が一つ入るということ、1週間後に薬剤師に是非、御相談してくださいという項目が入れば幸いかと思いました。以上でございます。
○太田部会長 ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。初回のチェックシートの件に関しては、先ほど頂いた御意見を踏まえて、前向きに厚労省とも検討させていただきたいと思っております。添付文書の「相談すること」についてですが、薬剤師の確認を受けるということを記載するかどうかについては即答することが難しいので、厚労省とも相談させていただきながら添付文書の記載については検討させていただきたいと考えます。セルフチェックシートは初回用と2~4回目購入用に分けており、これは1包装が1週間分になっておりますので、購入するたびに薬剤師が確認することになっております。また、本剤においては、お薬手帳に貼るシールを御確認いただけると思いますので、その辺りの背景も含めて厚労省と検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○宮川委員 御説明ありがとうございます。今、購入ごとにという言葉があったのですが、1回の購入が何箱でもよろしいのであれば購入ごとという話にはならないので、これは1箱が7錠ですので、1週間後には必ず相談してくださいと表現してください。2箱を渡すけれども、1週間後には必ず相談してくださいなど言葉が添えられると、薬剤師にはすごく役立つと思いますので、御検討いただけると有り難いと思います。以上でございます。
○太田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題に関して、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当するとしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし要指導医薬品に該当することとして薬事分科会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、ロビーで御待機されている多田委員をお呼びください。
──多田委員 入室──
○太田部会長 それでは、議題3について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 資料3のナシビンメディについて説明いたします。今回はWeb会議にて実施する関係上、製剤サンプルをお見せすることができませんでしたので、製剤サンプルの写真を電子媒体で事前に送付させていただきました。併せて、御確認をお願いいたします。
 審査報告書を御覧ください。販売名は「ナシビンメディ」で、オキシメタゾリン塩酸塩及びクロルフェニラミンマレイン酸塩を配合する鼻炎用点鼻薬です。申請者は、佐藤製薬株式会社です。2ページです。効能・効果は、「鼻づまりのある急性鼻炎又はアレルギー性鼻炎による次の諸症状の緩和:鼻づまり、鼻水(鼻汁過多)、くしゃみ」であり、用法・用量は、「成人(15歳以上)、各鼻腔に1回2~3度ずつ、1日1~2回噴霧する。なお、適用間隔は、10~12時間以上おくこと。連続して1週間を超えて使用しないこと。使用を中止した場合は2週間以上あけること。症状が改善したら使用を中止すること。」です。
 3ページの下段のイ項を御覧ください。本剤は、イミダゾリン誘導体の一種であり、末梢血管の収縮作用を有するオキシメタゾリン塩酸塩と、抗ヒスタミン剤であるクロルフェニラミンマレイン酸塩を配合する鼻炎用点鼻薬です。本剤と同様のオキシメタゾリン塩酸塩を含む一般用医薬品の点鼻薬として、本剤の申請者と同じ佐藤製薬株式会社が製造販売する「ナシビンMスプレー」が承認されております。本剤と「ナシビンMスプレー」の比較は、4ページの上段の表1に示しております。外国での使用状況について、本剤と同様のオキシメタゾリン塩酸塩及びクロルフェニラミンマレイン酸塩が配合された鼻炎用点鼻薬が承認・販売されている国及び地域はございません。
 4ページの中ほど、「本剤を開発する意義として」から始まる段落を御覧ください。申請者は、本剤を要指導・一般用医薬品として開発した経緯及び意義について次のように述べております。急性鼻炎やアレルギー性鼻炎の主要な症状として、鼻づまり、くしゃみ及び鼻みず(鼻汁過多)が挙げられ、これらの鼻症状により日常生活に支障を来すことが知られている。一方、「ナシビンMスプレー」は、「急性鼻炎、アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎による鼻づまり」のみが効能・効果として設定されている。そこで、鼻みず及びくしゃみにも適応を有する、より有用な医薬品を提供するために、「ナシビンMスプレー」に対し、鼻みず及びくしゃみに対する効果が期待できる抗ヒスタミン剤であるクロルフェニラミンマレイン酸塩を配合した本剤を開発した。
 続いて、5ページのロ項及びハ項を御覧ください。本剤に関して、3ロット3回の実測値資料、及び加速試験の資料が提出されております。その下のニ項を御覧ください。薬理作用に関する資料として、誘発くしゃみモデルモルモットを用いた薬効薬理試験の結果が提出されております。プラセボ、本剤、クロルフェニラミンマレイン酸塩単独、オキシメタゾリン塩酸塩単独をそれぞれ点鼻投与したところ、本剤投与時の症状スコアは、プラセボ及びオキシメタゾリン塩酸塩投与時と比べて有意に低下しました。
 5ページ下部~6ページにかけて、ヘ項について記載しております。毒性に関する資料として、プラセボ及び本剤を用いた単回経口毒性試験、鼻粘膜一次刺激性試験、鼻粘膜累積刺激性試験の結果が提出されています。単回投与毒性試験の結果より、本剤の致死量は、オキシメタゾリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩の量それぞれ0.3mg/kg及び3mg/kg以上であると推定されました。また、局所においては特に異常所見は認められませんでした。
 次に、審査報告書6ページ、下段のト項についてです。臨床試験に関する資料として、急性鼻炎又はアレルギー性鼻炎を有する患者を対象とした一般臨床試験成績が提出されました。本試験では、急性鼻炎又はアレルギー性鼻炎患者のうち鼻閉、つまり鼻づまりの症状を有し、かつ、くしゃみや鼻汁の症状を呈する患者69例が対象とされました。
 7ページです。有効性の主要評価項目は最終来院日前日、つまり投与5又は6日目の鼻症状の改善度とされ、その結果は表2のとおりです。「改善」以上の改善率は56.5%でした。また、副次評価項目として、各鼻症状の改善度、並びに鼻腔所見の改善度も検討されております。結果は表3及び表4のとおりであり、多くの項目で「改善」以上の改善率は50~70%程度でした。
 安全性について、副作用は9例に、投与部位の刺激痛が認められましたが、いずれも軽度、かつ無処置で回復しました。また、概括安全度については「安全である」又は「ほぼ安全である」と評価されました。
 続いて、審査報告書7ページの一番下から、<審査の概略>を説明いたします。こちらは審査上の論点を中心に説明いたします。9ページの「有効性について」を御覧ください。機構は、一般臨床試験における鼻症状の改善度、類薬で実施された臨床試験の成績等も参考に、要指導・一般用医薬品としての本剤の有効性に問題がないことを確認いたしました。また、表5に示すとおり、急性鼻炎患者、アレルギー性鼻炎患者、急性鼻炎及びアレルギー性鼻炎の併発患者のそれぞれにおいて、本剤投与時の改善率に大きな差異はなく、急性鼻炎とアレルギー性鼻炎に対する本剤の有効性に大きな差異はないことを確認いたしました。
 9ページ、最下段の「安全性について」を御覧ください。機構は、一般臨床試験における安全性については、特段の問題はないと判断いたしました。本剤と類似した効能を持つほかの製剤を併用した場合の安全性について、申請者は、次のように説明しております。まず、ほかの鼻炎用点鼻薬を併用したときの安全性について、併用により効果が増強されるなどといった可能性があるものの、既存の鼻炎用点鼻薬の添付文書において、ほかの鼻炎用点鼻薬との併用に関する注意喚起がされていないことを考慮すると、鼻炎用点鼻薬同士を併用することによって、安全性上の重大な問題が生じる可能性は低い。しかし、リスクをより低減させるため、添付文書や情報提供用資料などに、本剤を使用している間はほかの鼻炎用点鼻薬を使用しないよう、記載する。
 続いて、本剤と経口剤とを併用したときの安全性について、本剤と経口剤とでは投与経路が異なることから、本剤によって経口剤の作用を著しく増強する可能性は低く、また、経口剤の添付文書においても、鼻炎用点鼻薬との併用に関する注意喚起はなされていないことから、経口剤を併用することによって、安全性上重要な問題が生じる可能性は低いと説明しております。機構は、ほかの鼻炎用点鼻薬との併用に関する対応を含め、申請者の説明に特段の問題はないと判断いたしました。
 また、11ページですが、本剤の専門協議において、抗ヒスタミン薬を有効成分とする既存の鼻炎用点鼻薬の中に眠気に関する注意喚起がなされている薬剤があることなどから、本剤においても眠気などの全身性の副作用に関して注意喚起を行う必要はないかとの御意見を頂きました。この点に関して、機構は、一般臨床試験において眠気の有害事象及び副作用は認められなかったこと、クロルフェニラミンマレイン酸塩を有効成分とする既存の鼻炎用点鼻薬における注意喚起の状況を踏まえ、現時点で眠気などの全身性の副作用に関する注意喚起を行う必要はないと判断いたしました。
 11ページの中ほどの「効能・効果について」を御覧ください。申請時の効能・効果は、「急性鼻炎患者及びアレルギー性鼻炎患者における次の諸症状の緩和:鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみ」とされておりました。機構は、一般臨床試験では鼻づまりの症状を有する患者が対象とされていたことから、本剤の投与対象は、急性鼻炎及びアレルギー性鼻炎患者のうち、鼻づまりの症状を有する患者のみとすることが適切と判断し、申請者に指示したところ、効能・効果が変更されました。変更後の効能・効果について、問題はないと判断いたしました。
 最下段の「使用上の注意について」を御覧ください。本剤の使用上の注意は、関連通知や「ナシビンMスプレー」の添付文書を参考に作成されているほか、先ほど説明しましたほかの鼻炎用点鼻薬と併用しないことについて適切に対応されたものと考えることから、使用上の注意に問題はないと判断いたしました。
 12ページの7行目の「適正使用及び情報提供資料について」の項を御覧ください。本剤の適正使用に資する資料として、使用者向け及び薬局・販売店向け情報提供資料並びにセルフチェックシートが作成されております。これらの資料には、使用上の注意と同様、ほかの鼻炎用点鼻薬と併用しないことについて注意喚起が記載されております。
 また、オキシメタゾリン塩酸塩を有効成分とする医療用医薬品の添付文書では、併用により反応性の低下や局所粘膜の二次充血を起こす可能性がある旨が記載されております。そのため、「ナシビンMスプレー」の添付文書では、連続して1週間を超えて使用しないこと、使用を中止後は2週間の休薬期間を設けることについて、注意喚起がなされているほか、容器の噴霧容量及び最大1週間の連続使用期間を考慮し、製剤容量は8mLと設定されております。本剤においても、「ナシビンMスプレー」と同様の対応を取ることにより、漫然とした本剤の使用を防止するとされました。さらに、頻回投与を防ぎ、本剤の用法を遵守させるために、本剤の用法である1日1~2回噴霧すること及び適用間隔を10~12時間おくことについて、情報提供資料にも記載し、注意喚起を行うこととされました。
 機構は、以上より、使用者向け及び薬局・販売店向け情報提供資料並びにセルフチェックシートについて現段階で特段の問題はないと判断しております。ただし、販売に当たっては、適正使用されるための対策が十分になされることが重要と考えます。したがって、製造販売後調査において、適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えます。13ページの2行目の3を御覧ください。こちらには、適合性書面調査に関する事項を記載しておりますが、特段の問題は認められませんでした。
 最後に、総合評価です。中ほどの4を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構は、こちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関して、御質問、御意見などをお願いいたします。いかがでしょうか。
○川名委員 川名です。質問があります。
○太田部会長 お願いいたします。
○川名委員 添付文書の「使用を中止した場合は2週間以上あけてください」という記載についてです。今、御説明を伺って分かったのですが、1週間を超えて使用しようとして使用を中止した場合は、2週間の休薬期間を設けて、また再開してもよいということだと思いました。
 添付文書の記載を見ると、中止する基準が二つあります。「相談すること」の所に、「3日くらい使用しても症状が良くならない場合は使用を中止し」とあり、「中止」という表現が使われています。この文章だけを読むと、それから2週間経てば使ってもいいのかと読もうと思えば読めてしまうので、今、言葉でお話された休薬期間を設けてということを分かりやすい表現にしていただけると、「中止」が何のことなのか分かりやすくなるかと思いましたので、御検討をお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございます。機構、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらですが、既承認の「ナシビンMスプレー」と同じような記載にしているところですので、2週間以上あけることについては用法・用量にも記載しているということも考慮し、このままの記載で御了承いただければと考えております。
○太田部会長 いかがでしょうか。
○川名委員 それでしたら、販売店向けの所に「休薬期間を設けて」ということを入れておいていただければ、迷ったときにはこれを必ず見ますので御検討をお願いいたします。
○太田部会長 ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 販売店向けと使用者向けの情報提供資料については、追記する方向で検討させていただければと思います。御意見ありがとうございました。
○太田部会長 ほかに何かございますか。
○宮川委員 宮川ですが、よろしいでしょうか。
○太田部会長 お願いいたします。
○宮川委員 割って入ってしまい、ごめんなさい。少しお聞きしたいことがあります。審査報告書の8ページです。先ほど御説明があったように、吸収に関する資料は省略されるという理由は縷々伺ったのですが、「ナシビンMスプレー」の需要がほとんどであり、今回は新規ではなく今までずっと使われている薬を新たに配合するということなので、これを踏まえると注意喚起はどうしても必要である気がするのですが、これはそういうものなのでしょうか。
 先ほど、機構からお話がありましたが、こういうことを軽々に許してしまうと、全てのものがこのような審査のやり方になってしまいます。やはり、二つのものが入ったという形になると、実際にどのような注意喚起が必要なのか、是非、御配慮をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ただいまの御質問の趣旨を念のために確認させていただきます。注意喚起の必要性というのは、そういう意味では吸収に関する試験が実施されていないことをいう。
○宮川委員 そうです。この薬剤に対しては、吸収に関するものは全くないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤の申請に際しては、新たにオキシメタゾリン塩酸塩とクロルフェニラミンマレイン酸塩を配合した吸収の試験は実施されておりません。
○宮川委員 配合剤に対して審査をするに当たり、そうした報告をしないでいいということは許されるのかと思っているので質問いたしました。今までこういうものを見たことがなかったものですから。
○医薬品医療機器総合機構 吸収に関する資料については、必ずしも追加の試験を求めているわけではございません。科学的な説明がなされていれば必ずしも求めるものではないということです。本剤に関しては、審査報告書の8ページに記載しているとおり、申請者から薬物相互作用を起こさない旨の御説明がなされており、私どもとしても追加の試験は必要ないものと考えております。加えて、臨床試験も実施されており、特段の有害事象や副作用として相互作用によると思われるものは検出されていないことを確認しております。以上です。
○宮川委員 ありがとうございます。もう一つですが、添付文書の[してはいけないこと]の1.の(2)に、「モノアミン酸化酵素阻害剤等」と書いてあります。本当に些細なことで申し訳ないのですが、「等」は、何を表すのかと思ったのでお聞きいたしました。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。
○太田部会長 機構、いかがでしょうか。もし時間が掛かるようでしたら、後ほど宮川委員に。
○医薬品医療機器総合機構 現時点ですぐに回答することは難しいので、確認して回答させていただければと思います。
○太田部会長 後ほど、宮川委員に御回答していただくということで、いかがでしょうか。
○宮川委員 ありがとうございます。
○太田部会長 よろしくお願いいたします。それでは岩月委員、お願いいたします。
○岩月委員 今のお話でもそうなのですが、スイッチOTCの検討会の中間とりまとめにもあったように、医師と薬剤師が情報共有をするということで考えると、先ほど宮川委員からもお話がありましたが、多分、今のところは、お薬手帳が有効な手段ではないかと思います。私どもとしても、ほかに何を使っているのかということを知るためのお薬手帳、あるいは、医師に情報提供をするためにお薬手帳の活用を十分に考えていかなければいけないということを改めて感じたところですので、一言、意見ということで付け加えさせていただきます。以上です。
○太田部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。これ以上の御意見や御質問がないようでしたら議決に入ります。よろしいでしょうか。
 それでは、本議題に関して、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当するとしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、要指導医薬品に該当することとし、薬事分科会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、その他の議題に移ります。その他事項の議題1について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、その他事項の議題1として資料4について説明いたします。資料4は、「一般用医薬品の製造販売承認基準(外用鎮痛消炎薬)の策定予定について」です。まず、背景及び経緯を御覧ください。一般用医薬品の一部は、都道府県知事が承認を行うものとして告示により定められており、承認基準(局長通知)において、承認審査に当たっての詳細を定めております。
 これらについては、承認前例の蓄積等を踏まえ、新たな基準の策定や見直しを行っており、現在、かぜ薬や解熱鎮痛剤など、17の薬効群について承認基準を定めております。今般、外用鎮痛消炎薬について、一般用医薬品等承認基準検討連絡会議において新たに承認基準を策定するための検討を行い、今月の下旬に承認基準を策定したことを通知するとともに、都道府県知事が承認する医薬品の種類を定めている告示に追加する予定としております。
 概要を御覧ください。外用鎮痛消炎薬の製造販売承認基準においては、剤形としては、塗布剤、テープ剤、パップ剤とし、剤形ごとに配合できる有効成分の種類や組み合わせを規定いたしました。有効成分としては、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチルを主体とする製剤を承認基準の範囲といたします。効能・効果については、生活者の視点で分かりやすい効能表現を考慮した上で、承認前例に従い設定しております。
 なお、現在、販売されている一般用外用鎮痛消炎薬の効能・効果に「骨折痛」と記載されている品目がありますが、検討会において、一般の使用者が「骨折痛」の判断をすることは難しいと考えるという御意見を頂きましたので、承認基準の効能・効果には「骨折痛」を含めないことといたしました。また、そうしたことを踏まえ、現に承認を受けた一般用外用鎮痛消炎薬の効能・効果からも「骨折痛」を削除することとし、この承認書上の取扱いについては、別途通知をする予定としております。今後の予定ですが、告示日等は今月の下旬、適用期日は7月1日です。説明は以上です。
○太田部会長 ただいまの内容に関して、御意見、御質問があれば、お願いします。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、その他事項の議題1については御確認いただいたものといたします。
 それでは、その他事項の議題2について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 その他事項の議題2として、資料5について説明いたします。「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議における中間取りまとめについて」です。医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議においては、平成28年8月より、学会、団体、企業、一般消費者などの多様な主体からスイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望を受け付けて、その要望成分をスイッチOTCとすることの妥当性について、医学・薬学の専門家のほか、消費者代表にも会議に参加いただき、公開の場で議論しております。
 検討会議においては、これまで28成分についてスイッチOTC化の可否を検討しており、議論の中でスイッチOTC化をする上で対応が必要とされた事項、スイッチOTC化をする上での課題等について様々な御意見を頂きました。前回の当部会において、スイッチOTC化の推進を図るため、これまでの検討会議における各成分の検討結果及び議論となった事項等をまとめて整理することにより、スイッチOTC化の要望及び検討会議の議論を効果的・効率的に行うことを目的として、中間とりまとめを行う予定であることを報告いたしました。今般、その中間とりまとめが終了したことから、その概要について報告いたします。
 中間とりまとめでは、第1に、これまでの議論の際に挙げられたスイッチOTC化する際に必要とされた事項、課題とされた事項等について、大きく三つに分けて整理することといたしました。スイッチOTC化を議論する際、まず、薬剤の特性(副作用、薬理作用の強さ等)にかんがみて、そもそも一般用医薬品として適しているかどうかを議論してきたことから、薬剤の特性の観点から整理いたしました。
 2点目は、薬剤の特性にかんがみて、スイッチOTC化が否定されるものではないと判断された後は、薬機法の一般用医薬品の定義である「事業者の選択により使用されることが目的とされているもの」にかんがみて、適応疾患の適切性、適正使用を担保するための対象者、用法・用量の設定、情報提供資材等のあり方が議論されてきたことから、疾患の特性及び適正使用との項目で整理いたしました。
 3点目は、薬局等での販売体制やOTC医薬品を取り巻く環境の観点から、OTC化した際に公衆衛生上の懸念等なく使用者が使用できるかの観点で議論が行われていたことから、販売体制及びOTC医薬品を取り巻く環境との観点で整理を行いました。
 スイッチOTC医薬品は、関わるステークホルダーが多岐にわたるということで、スイッチOTC医薬品における各ステークホルダー、具体的には製造販売業者、薬局開設者・店舗販売業者、薬剤師(登録販売者)、医師、使用者等ですが、それぞれの関係性を整理した上で、整理した課題等に対しての各ステークホルダーの役割を整理いたしました。また、併せて行政の役割についても整理し、どちらについても想定される、期待される具体的な対応案を列挙いたしました。
 また、議論の整理を通して、スイッチOTC化する上で満たすべき基本的要件を4点に取りまとめております。マル1については、主に薬剤の特性の観点から要件を取りまとめました。2点目は、疾患の特性、使用者の適正使用の観点から取りまとめを行いました。3点目は、スイッチOTC医薬品を使用することにより、原疾患以外の症状をマスクするリスク等、医療機関への受診が遅れるリスクについて要件を記載しております。最後の4点目は、販売体制、OTC医薬品を取り巻く環境の観点から整理を行っております。
 また、中間とりまとめの中で、検討会議の運営の改善等についても行うことといたしました。変更内容としては、これまではスイッチOTC化の可否の決定を行っておりましたが、昨年の7月17日付けで閣議決定されている検討会議に対する規制改革実施計画も踏まえ、可否の決定までは行わず、要望成分のスイッチOTC化を行う上での課題や論点等を抽出し、それらの具体的な解決策を検討する課題解決型として会議を行っていくことといたしました。
 また、より多様な主体からの御意見が反映されるよう、希望に応じて要望者等からの説明機会を設定すること、また、中間とりまとめで挙げられた課題等について継続的に議論を行っていくこととしております。中間とりまとめ、検討会議の運営の改善等を通じて更なるスイッチOTC化の推進に資する会議として、引き続き議論を行っていく予定としております。説明は以上です。
○太田部会長 ただいまの内容に関して、御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、その他事項の議題2についても御確認いただいたものといたします。事務局から、何かございますか。
○事務局 本日は御審議いただき、どうもありがとうございました。次回の当部会は、6月2日(水)の16時より開催を予定しております。部会の開催方法等については、追って連絡いたします。よろしくお願いいたします。以上です。
○太田部会長 それでは、本日の薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会を、これにて終了いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 高畑(内線2737)