第323回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2021年(令和3年)7月30日(金) 10時00分~

場所

オンライン会議会場
東京都千代田区九段南2-1-5 三番町共用会議所
第3・4会議室(本館1階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 原 昌登
  • 松浦 民恵
  • 山川 隆一(部会長)
(労働者代表委員)
  • 相羽 迅人
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 田尻 久美子
  • 平田 充

議題

  1. (1)労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに係る通知について(公開)
  2. (2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  3. (3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)
     

議事

議事内容

○山川部会長 おはようございます。ただいまから第323回労働力需給制度部会を開催いたします。
本日は、使用者代表の佐藤委員が所用により御欠席とのことです。
なお、本日は議題の「(1)労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに係る通知について」をまず御議論いただきまして、続いて許可の諮問に係る審査を行います。このうち許可の諮問に係る審査につきましては、資産の状況等、個別の事業主に関する事項を扱いますことから「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」という場合に該当しますために、非公開となっております。
それでは、議事に入りたいと思います。カメラの頭撮りの方がおられましたら、ここまでとさせていただきます。
まず、議題「(1)労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに係る通知について」につきまして、事務局から説明をお願いします。

○吉村補佐 事務局の需給調整事業課の吉村でございます。よろしくお願いをいたします。
まず、資料1を御覧いただければと思います。
1ページでございます。まず、「派遣労働者の同一労働同一賃金【概要】」を御覧いただければと思います。派遣労働者の同一労働同一賃金につきましては、令和2年4月から施行されてございまして、派遣元事業主に対しまして、派遣先均等・均衡方式または労使協定方式のいずれかの待遇決定方式による待遇の確保を義務づけているところでございます。
資料の左側でございますが、これが派遣先均等・均衡方式ということでございまして、派遣労働者と派遣先の正社員との待遇につきまして、均等・均衡を図っていただくというものでございます。資料の右側が労使協定方式でございまして、派遣元の労使で労使協定を締結いただきまして、その協定の内容によりまして派遣労働者の待遇を決めていただくというものでございます。
この労使協定に定めるべき内容が、法令上に定められてございます。その資料の特に赤で四角囲みをしておりますが、賃金の決定方法について、一般労働者の賃金額と同等以上にしなければならないということになってございます。
このさらに下の四角囲みでございますが、一般労働者の賃金額につきまして、賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計に基づきまして、毎年厚生労働省が算出しまして、公表することとしているところでございます。これがいわゆる一般賃金水準に係る通知でございまして、今回御報告申し上げるものでございます。
続きまして、2ページから御説明をさせていただきます。まずは派遣労働者の同一労働同一賃金につきまして、令和2年度の状況を御説明させていただきます。この「選択している待遇決定方式」でございますが、先ほど申し上げました2つの待遇決定方式につきまして、約9割が労使協定方式を選択している状況にあるところでございます。
続きまして、3ページ「労使協定書(基準値(0年))の状況」でございます。こちらにつきましては、令和2年度に労働局に報告がございました労使協定書の一部を抽出いたしまして、協定書上に記載されます基準値(0年)の一般賃金額と派遣労働者の賃金額を集計したものでございます。この集計に当たりまして、例えば「1,000円~」などと幅を持った書き方をしている場合につきましては、集計上「1,000円」として集計してございます。このため、実際に派遣労働者に支払われている賃金額ではないということに御留意いただければと思います。
資料の中につきましては、情報処理・通信技術者、一般事務従事者、製品製造・加工処理の3職種につきまして表にしてございますので、御覧いただければと思います。なお、この集計につきましては、令和3年1月15日に開催されました第314回労働力需給制度部会において報告し、公表されているものでございます。
4ページをお願いいたします。施行状況については先ほどのとおりでございますが、続きまして、「派遣労働者の雇用状況等」について御説明させていただきます。この上段でございますが、まず派遣労働者につきまして、総務省の労働力調査による雇用者数の状況でございます。昨年7月、8月は大きく減少してございましたけれども、本年の4~5月につきましては、前年同月または前々年同月ともに増加となってきているところでございます。
下段につきましては、各都道府県労働局の聞き取りやハローワークに寄せられた情報を基に、新型コロナウイルス感染症の影響による解雇等見込み労働者数の動向を集計したものでございますが、本年7月の状況を見ますと、昨年から大幅に減少している状況でございます。
続きまして、5ページをお願いいたします。新規求人数の状況でございます。本年4~5月の状況を見ますと、上段の全体でございますが、対前年同月比でプラスとなっているところでございます。
下段の「職業紹介・労働者派遣事業」の新規求人数につきましても、対前年同月比で3月から増加傾向にございまして、全体の新規求人数より増加傾向がさらに大きくなっている状況でございます。
続きまして、6ページをお願いいたします。「令和4年度の経済情勢の見通しについて」でございます。おおむね上昇していく見通しとなっているところでございます。
以上が、派遣労働者の雇用状況等につきまして御説明をさせていただいたところでございます。
次に、7ページでございます。冒頭説明いたしました一般賃金水準の仕組みにつきまして、改めて御説明をさせていただきたいと思います。一般賃金水準につきましては、適用される年度の前年度に局長通達によりましてお示しするところとなっているところでございますが、そのときに用います統計調査等につきましては、直近の統計調査等でございます適用年度の前々年または前々年度のものを活用するということが原則となってございます。したがいまして、令和4年度の一般賃金水準につきましては、資料の中ほどでございますけれども、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響を反映している令和2年または令和2年度の統計調査等ということになります。
下段につきましては、一般賃金水準の動きを見たものでございまして、産業・職業計でございますと、前年度から賃金構造基本統計調査を活用したものでプラス13円、職業安定業務統計を活用したものでプラス12円となっているところでございます。
続きまして、8ページでございます。そこで、「令和4年度に適用する一般賃金水準」でございますが、枠内のとおり、先ほど御説明申し上げましたように令和2年または令和2年度の統計調査を用いるということでございますので、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を反映しているというところでございます。また、直近の4~5月の状況でございますと、前年同月、前々年同月ともに派遣労働者数は増加となっておりますし、新規求人数につきましても前年同月比で増加傾向にございます。
これらのことから、労使協議においては、原則どおり、直近の令和2年または令和2年度の統計調査等を用いることとしたいと考えているところでございます。
続きまして、9ページでございます。賃金構造基本統計調査の職種の見直しがございました。昨年、賃金構造基本統計調査を活用した一般賃金水準につきましては、過去3年分の統計値を用いて算出するということで御説明し、見直したところでございますが、一方で、今回令和2年の賃金構造基本統計調査におきましては、職種区分の変更が行われてございまして、前年調査から「継続性有り」とみなせる職種が28職種となってございます。全職種の3年分の統計値を用いた算出は困難になっているところでございますので、令和4年度につきましては令和2年の調査の統計値を用いて算出した賃金水準を一般賃金水準とすることとしたいと考えているところでございます。
今回は令和2年単年の統計を用いた賃金水準ということでございますが、過去3年分の統計値を用いるという考え方に変更はございませんので、来年度以降におきましては、過去2年分もしくは3年分の統計値を用いて算出する予定としているところでございます。
また、前回から参考値でございますが、これまでで最も高い賃金額を併せて示すこととしておるところでございましたけれども、賃金構造基本統計調査による一般賃金水準につきましては、今回は直近の統計調査等を活用した水準のみを示すこととしております。なお、職業安定業務統計による一般賃金水準については、昨年同様これまでで最も高い金額を併せて示すこととしているところでございます。
次に、10ページでございます。地域指数の算出方法でございますが、地域指数につきましては、派遣就業場所の地域の物価等を反映するため、職業安定業務統計の求人平均賃金を基に、都道府県及びハローワークの管轄地域別に毎年度最新のハローワークの求人賃金を用いて算出しているところでございます。このため、特にハローワーク単位におきましては、企業・工場等の設立や閉鎖といった当該年度に特有の管轄の雇用情勢の変化による特定の求人賃金の影響を受けやすくなっているところでございます。
そこで、地域指数の安定性を確保するために過去3年分、令和4年度におきましては平成30年度から令和2年度における各年度の平均賃金額を算出しまして、それの平均から算出したものを地域指数とすることとしたいと考えているところでございます。詳細は下段に記載のとおりでございます。
以上が主な変更点でございます。
続いて、11ページを御覧ください。「一般賃金水準に用いる各指数等の更新」でございます。令和4年度通達に関します数値につきましては、各統計に基づきまして最新の数値に置き換えたというところでございます。
続きまして、12ページ「一般的なスケジュール」でございますが、御覧いただきましたとおりのスケジュールで進めてまいりたいと考えているところでございます。
簡単ではございますが、説明といたしましては以上でございます。

○山川部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がありましたらお願いいたします。
仁平委員、どうぞ。

○仁平委員 現状を確認させていただきたいのですが、昨年度分の特例措置を用いて労使協定を結んだところがどれぐらいあるのか、厚労省として把握しておりますでしょうか。まず質問です。

○山川部会長 では、御質問ですので、事務局から回答をお願いします。

○吉村補佐 事務局でございます。
例外的取扱いの状況につきましては、事業報告に併せまして、本年6月30日までに提出することになってございますので、現時点で取りまとめをされているわけではございません。幾つかの労働局に聞き取りましたところ、例外的取扱いの活用状況につきましては、あまり活用しておらず、全体としては少数の活用にとどまるのではないかと考えているところでございます。

○仁平委員 ありがとうございます。
取りまとめ中だということですので、令和2年度の事業報告を公表する際には、この適用状況についても、きちんと御報告していただきたいと思っておりますので、お願いしておきたいと思います。
今回の一般賃金水準について、令和2年度のものを用いて示すことについては原則にのっとった妥当な対応だと考えております。その上で意見ですが、賃構等の統計に基づけば賃金水準が上がる場合もあれば下がる場合もあるということでございまして、ただ、一方、労使協定において前年度に定めた賃金を下げることは労働条件を不利に変更することになるわけでございまして、そうしたことがないように、ぜひ労働局において御指導いただきたいと思っております。
それと、資料の中で説明がありましたが、職種の見直しによる集計方法の変更、地域指数の算出方法の変更を御説明いただきましたが、この制度になって2020年4月の施行から2年目ということでございますが、この間、集計方法がころころ変わるのはいかがなものかと思いますので、ぜひ制度の安定的な運用に努めていただきたいと思います。
以上、意見です。

○山川部会長 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
佐久間委員、お願いします。

○佐久間委員 佐久間でございます。よろしくお願いします。
まず、9ページ、10ページ、11ページのところに関して意見と質問があります。意見としましては、地域指数の算出方法の変更で、見直しの内容、これはハローワーク単位という比較的狭いというか地域を限定した指数になりますので、過去3年分ということで平均値により算出することで、平準化された水準として反映されると考えられ、安定的なものになるのではないかと思っております。ですから、私はこの点については、「賛成」です。
それから、1点質問なのですけれども、11ページに各種の賞与指数や能力・経験調整指数等々が掲載されています。一般通勤手当のところで、3年度から4年度について、平均値や平均的な賃金額で通勤手当を算出いただいているのでしょうけれども、僅かですが、71円に下がっているわけですね。これは集計対象となった多くの企業がテレワークになったとはいえ、このことで通勤手当が大幅に減額するといった現象にはならないと思います。つまり、あまり影響は出ないのではないかと思います。ですから、通勤手当がどうして下がったのか教えていただきたいと思います。例えば、地方ですと車で通勤されている方多くがいらっしゃると思いますけれども、通勤手当として支給する額が少なくなったとはいえ、あまり金額自体が下がるという感じはないのではないかと思います。この辺の考え方をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○山川部会長 ありがとうございます。
この辺りの通勤手当についての数値の変化、事務局として何か分析されているようなことはございますでしょうか。

○吉村補佐 事務局でございます。
この一般通勤手当の変化につきまして、一般通勤手当は時給換算で時間換算をさせていただきますので、その際に直近の統計から所定内労働時間で除すというような取扱いをしている関係で、直近の所定内労働時間が若干増えており、割り算をするときに割る時間が増えたのが主たる要因となっているところでございます。

○山川部会長 ありがとうございます。
佐久間委員、何かございますか。

○佐久間委員 ありがとうございました。
では、総労働時間というか、時間が増えたという認識でいればいいということですね。要は、時間単価で算出するので、時間数で割れば算出されるということですね。そこで時間が増えているから、これだけ単価も減ってきたということになるのですか。

○吉村補佐 事務局でございます。
主たる要因はそういうところだと考えてございます。

○佐久間委員 分かりました。ありがとうございます。

○山川部会長 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
では、田尻委員、どうぞ。

○田尻委員 ありがとうございます。田尻です。
御説明ありがとうございました。意見を申し上げます。
令和4年の派遣労働者の一般的な賃金水準を示すに当たって、令和2年度の統計調査を用いることは、マクロ的な雇用調整などを踏まえるとやむを得ないものと考えています。
ただ、新型コロナウイルスによる中小企業への影響は大きく二極化しているという特徴があって、注意が必要だと考えています。巣籠もり需要等で好調な業種、業界が見られる一方で、特に人の移動に関わる宿泊業あるいは飲食業、交通運輸業などを中心に、極めて厳しい状況の企業が多いのが実態になっています。
今回示される一般賃金の水準が、職種別の平均的な賃金に基づくことを考えると、賃金水準が上がった場合に、コロナによって深刻な影響を受けている企業にとっては、経営面での負担から派遣契約の継続を躊躇してしまう懸念があります。
今後、ワクチン接種が進んで経済活動が正常化していくことを期待しておりますが、現在も緊急事態宣言あるいはまん延防止等重点措置が継続されている地域があることも踏まえまして、コロナの影響が深刻な業種の企業をはじめ、雇用情勢には引き続き注視をしていただき、大きく悪化した場合には機動的に対策が講じられるように、ぜひ御検討いただきたくお願いいたします。
以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。
それでは、ほかに御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、幾つか御質問のほかに御意見もいただきましたので、そちらにつきましては受け止めていただいて、御対応を検討していただきたいと思います。
ほかに特段ございませんようでしたら、議題(1)の公開の議題はここまでとさせていただきます。
冒頭に申し上げましたように、次の議題は非公開になりますので、傍聴の方々につきましては、ここで御退席をお願いいたします。

(傍聴者退室)