第14回アレルギー疾患対策推進協議会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

令和3年7月29日(木)16:00~19:00

場所

AP虎ノ門 11階 会議室C、D
(現地とWebでのハイブリッド形式)

議事

議事内容
○桑原課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第14回「アレルギー疾患対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は事務局を務めます厚生労働省健康局がん・疾病対策課課長補佐の桑原と申します。協議会の会長が決まるまでの間、議事の進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは初めに、会議の開催に当たりまして、審議官の宮崎より御挨拶を申し上げます。
○宮崎大臣官房審議官 審議官の宮崎でございます。
 本日はこのコロナ禍、特に今、首都圏を中心に大変なコロナの感染の急速な拡大が続いており、その関係もありまして、本日、局長は失礼させていただいておりますけれども、全国的に大変な中で、恐らく本日の委員の皆様方もそれぞれのお立場で大変な日々を送っていただいている中にもかかわらず、御出席を賜りまして、御礼を申し上げます。
 また、このたびは「アレルギー疾患対策推進協議会」の委員の改選に伴いまして、新たに8名の委員の方々に御就任をいただきました。引き続き委員をお願いいたしております方も含めまして、各委員の皆様、今回御快諾をくださいまして、重ねて御礼を申し上げます。
 アレルギー疾患につきましては、国民のお二人に一人が罹患をしていると言われておりまして、国民の皆様お一人お一人の生活に大変大きな影響を及ぼしております。こうした中で、平成27年12月にはアレルギー疾患対策基本法が制定されまして、また、平成29年3月には、このアレルギー疾患対策基本法に基づきまして、アレルギー疾患対策の推進に関する基本指針を告示いたしました。これらに基づきまして、中心拠点病院や都道府県のアレルギー疾患医療拠点病院の整備、あるいはアレルギーに関する正しい情報をお届けするウェブサイト「アレルギーポータル」などによりまして、この間、アレルギー疾患対策を進めてまいりましたところでございます。
 平成27年12月に施行されたアレルギー疾患対策基本法におきましては、基本指針は、少なくとも5年以内に見直しの検討をすることとされていることから、今年度の協議会では、このアレルギー疾患対策の推進に関する基本指針の見直しに関して御議論をいただきたいと考えているところでございます。アレルギー疾患対策をさらに推進するために、委員の皆様方には、今後のアレルギー疾患対策について、忌憚のない御意見と活発な御議論をぜひお願いできればと存じております。
 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 なお、宮崎審議官はほかの公務のため退席をさせていただきます。
 続きまして、委員の皆様方を御紹介させていただきます。お手元の委員名簿に沿ってお名前を読み上げさせていただきますので、Webでの御出席の方はミュートを解除していただき、一言御挨拶をいただけますようよろしくお願い申し上げます。なお、御所属案内につきましては、委員名簿の記載をもって代えさせていただきます。
 朝倉敬子委員は、本日は御欠席の御連絡をいただいております。
 浅野浩一郎委員、お願いします。
○浅野委員 東海大学呼吸器内科を担当しております浅野と申します。日本呼吸器学会を代表して、引き続き参加させていただきます。よろしくお願いします。
○桑原課長補佐 荒木田美香子委員、お願いいたします。
○荒木田委員 川崎市立看護短期大学の荒木田です。看護師、保健師、養護教員の立場から発言させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 海老澤元宏委員、お願いします。
○海老澤委員 国立病院機構相模原病院臨床研究センター海老澤元宏です。6月20日に日本アレルギー学会の理事長にも就任させていただきまして、両方の立場でこの会に参加させていただいております。よろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 大矢幸弘委員、お願いします。
○大矢委員 大矢幸弘です。国立成育医療研究センターのアレルギーセンターで、中心拠点病院の立場で参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 岡本美孝委員、お願いします。
○岡本委員 千葉労災病院の岡本です。日本耳鼻咽喉科学会の推薦を受けて参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 加藤則人委員は遅れて御出席という御連絡をいただいております。
 上島通浩委員、お願いします。
○上島委員 名古屋市立大学の上島と申します。新田前委員の後任として推薦をいただきました。子供さんの健康を胎児期から追跡をする環境省のエコチル調査の研究代表者をしております。どうかよろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 嵯峨山文子委員、お願いします。
○嵯峨山委員 失礼します。中学校の保健室の立場からお話をさせていただければと思います。嵯峨山文子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 佐藤真奈美委員、お願いします。
○佐藤委員 佐藤真奈美と申します。歯科医師の立場から参加させていただいております。よろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 下浦佳之委員、お願いします。
○下浦委員 日本栄養士会の下浦と申します。どうぞよろしくお願いします。管理栄養士・栄養士の立場で食と栄養の観点から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 玉利真由美委員は、本日御欠席の御連絡をいただいております。
 中澤よう子委員、お願いいたします。
○中澤委員 神奈川県の医務監をしております中澤と申します。全国衛生部長会という衛生行政を担っている団体の代表として参りました。よろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 中西和代委員、お願いします。
○中西委員 たまごクラブ編集部の中西と申します。よろしくお願いいたします。妊婦さん向けの雑誌の編集をしておりますので、妊婦さんの素朴な疑問的なところを発言させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
○桑原課長補佐 藤澤隆夫委員、お願いします。
○藤澤委員 国立病院機構三重病院の藤澤と申します。日本小児アレルギー学会から推薦をいただいて、参加させていただいております。三重県は地方拠点病院の1つでもあります。よろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 前田えり委員、お願いします。
○前田委員 NPO法人アレルギーの正しい理解をサポートするみんなの会の前田です。東京都品川区の任意団体からスタートしまして、2019年にNPO法人化しました。患者会として10年以上活動しています。よろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 益子美沙子委員、お願いします。
○益子委員 益子美沙子と申します。ながさき食物アレルギーの会ペンギン、地域の患者会を代表して参加させていただきます。小・中・高・大の家庭科の教員をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 松本吉郎委員、お願いします。
○松本委員 日本医師会の松本でございます。診療科は皮膚科です。埼玉県におけるアレルギー疾患対策協議会の座長もしております。よろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 宮﨑世志子委員、お願いします。
○宮﨑委員 四国愛媛県松山市アレルギーっ子の会代表の宮﨑世志子と申します。患者側の立場とともに、また、数年頻発する災害から防災士も取得しております。そういったところで得られた意見なども今回御意見申し上げたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 矢上晶子委員、お願いします。
○矢上委員 藤田医科大学の矢上晶子と申します。専門は皮膚科専門医です。愛知県の県拠点病院、地方拠点病院の立場から参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
○桑原課長補佐 また、本日の参考人として、国立病院機構福岡病院名誉院長 西間三馨先生に御出席いただいております。御挨拶をお願いいたします。
○西間参考人 西間です。この法律が発議されるときからずっと携わっておりますので、本日も参考人として参加させていただいております。ありがとうございます。
○桑原課長補佐 委員の皆様、ありがとうございました。
 なお、17時頃に松本委員が、18時過ぎに上島委員が退室される予定と伺っております。
 よって、本日は18名の委員の方に御出席いただく予定であり、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 続きまして、資料の御確認をお願いいたします。
 議事次第、座席表、アレルギー疾患対策推進協議会委員名簿。資料1-1、1-2、資料2、資料3、資料4-1、4-2、4-3、資料5-1、5-2、資料6-1、6-2、6-3、参考資料1、2、3、4。
 以上でございます。御不足はございませんでしょうか。
 以上をもちまして、カメラを収めていただきますよう、御協力をお願いいたします。
 続いて、会長選任及び会長代理指名に移ります。参考資料3を御参照ください。
 本協議会の運用を定めたアレルギー疾患対策協議会令第3条において、「協議会に、会長を置き、委員の互選により選任する。」こととされており、また、「会長は、会務を総理し、協議会を代表する。」、「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。」と定められています。
 本日は委員の皆様方が新たに選任されて最初の協議会となりますので、本規定に基づきまして、委員の互選により会長を選任させていただきたいと思います。
 本協議会に先立ち、矢上委員から御推薦意見として、日本アレルギー学会の理事長であり、アレルギー疾患対策に関する幅広い御見識をお持ちの海老澤元宏委員がふさわしいとの御意見を頂戴しており、事前に委員の皆様からも御同意いただいておりました。
 改めて、形式的ではございますが、確認いたします。
 海老澤委員に本協議会の会長をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「賛成します」と呼ぶ声あり、首肯する委員あり)
○桑原課長補佐 ありがとうございます。全員一致のようですので、海老澤委員に本協議会の会長をお願いします。
 それでは、海老澤会長、会長席へお移りいただきまして、御挨拶をお願いいたします。
(海老澤会長、会長席へ移動)
○海老澤会長 ただいま御指名いただきました海老澤です。私は日本アレルギー学会の理事長に先月就任いたしまして、また、中心拠点のセンター長として、中心拠点、また、連絡協議会等のことも過去に行ってまいりました。
 本年度は、アレルギー疾患対策基本指針の見直しに当たる年度ということになりまして、先生方には大変お忙しい中御尽力いただきながら、指針の改定について御議論いただくことになると思います。
 私、今までこういう会では意見を述べる立場で参加してきましたけれども、司会をする立場ということで慣れないこと多々あるかと思いますけれども、どうかよろしくお願い申し上げます。
○桑原課長補佐 ありがとうございました。
 この後の進行は海老澤会長にお願いいたします。
○海老澤会長 それでは、議事に入らせていただきます。
 まず、会長代理の指名をさせていただきたいと思います。恐れ入りますが、藤澤委員にお引き受けいただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○海老澤会長 それでは、御異議がございませんので、藤澤委員に本協議会の会長代理をお願いしたいと思います。藤澤先生、よろしくお願いいたします。
○藤澤委員 承知しました。よろしくお願いいたします。
○海老澤会長 本日の議題2「アレルギー疾患対策の概要と基本指針の見直しについて」に移りたいと思います。資料1の説明を事務局よりお願いいたします。恐れ入りますが、Web参加の委員の方々はミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
○桑原課長補佐 それでは皆様、資料1-1をお手元に御準備ください。
 まず、我が国におけるアレルギー疾患対策の概要について、御説明させていただきたいと思います。2ページを御確認ください。
 現在、厚生労働省では、平成26年6月に成立した「アレルギー疾患対策基本法」及びこの基本法に基づき、平成29年3月に策定された「アレルギー疾患対策基本指針」に基づいてアレルギー疾患対策が行われています。
 3ページを御確認ください。
 アレルギー疾患対策都本法では、厚生労働大臣はアレルギー疾患対策の総合的な推進を図るため、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針を策定しなければならないと定めており、基本指針の策定に当たっては、アレルギー疾患対策推進協議会の意見を聞くものとしています。
 続いて、4ページ、5ページを御確認ください。
 アレルギー疾患対策基本指針は、平成29年3月に告示されました。基本理念として、生活の仕方や生活環境の改善、アレルギー疾患に係る医療の質の向上、及び提供体制の整備、また、生活の質の維持・向上のための支援を受けることができる体制の整備、研究の推進、研究などの成果の普及・活用・発展を掲げており、アレルギー疾患を有する者が安心して生活できる社会の構築を目指し、国や地方公共団体が取り組むべき方向性を示しているものです。
 この基本指針は、前文に続いて第一から第五までで構成されており、それぞれ基本的な事項、啓発や知識の普及、医療提供体制、研究調査、その他の推進する事項についてまとめられております。
 ここでは、基本指針の各項目で示されている取り組むべき方向性の要点としてまとめております。
 資料1-1については以上です。
 続けて、お手元に資料1-2を御準備ください。2ページを御確認ください。
 「アレルギー疾患対策基本指針の見直しについて」を御説明いたします。基本法では、少なくとも5年ごとにアレルギー疾患対策基本指針に検討を加え、必要があると認めるときにはこれを変更しなければならないと定められています。
 2021年度は、現在の基本指針策定から5年目となりますので、本協議会では、委員の先生方に基本指針の見直しに係る御議論をいただきたいと考えております。基本指針の見直しに係る御議論をいただくに当たり、事務局から見直しの方向性の案を示しております。
 まずは、指針策定から現在に至るまでのアレルギー疾患対策に関して改善された点、指針の見直しが必要な点、新たに発生した課題等について検証を行っていただきまして、その上で、次期の基本指針については、大きな枠組みについてはこれまでの基本指針を基盤としてアレルギー疾患に関する状況の変化などを踏まえて、必要な対策について変更を加える方向で進めてはいかがでしょうか、というものでございます。
 3ページを御確認ください。
 アレルギー疾患対策推進協議会の今後の開催スケジュール(案)をお示ししております。本日の第14回の協議会の後、9月に第15回の協議会で、アレルギー疾患対策基本指針に係る議論のとりまとめ骨子(案)を作成いただき、11月の第16回の協議会でアレルギー疾患対策基本指針に係る議論をとりまとめて、協議会議論をまとめていただくというスケジュールで指針の改正に係る御議論をいただきたいと考えております。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 ただいま事務局の説明にありました資料1-2の2ページ、「基本指針の見直しの方向性について(案)」につきましては、この方向性でよろしいでしょうか。
 特に御異議ないようですので、この方向性で基本指針の見直しのための議論を進めていきたいと思います。
 それでは、本日、議題3「アレルギー疾患対策基本指針の概要と国におけるこれまでの主な取組状況」に移りたいと思いますが、この後、議題6まで各省庁から基本指針に基づく取組状況について説明が続きます。
 会の後半に議題8「アレルギー疾患対策基本指針に係る議論」として、基本指針の改正に関する議論の時間を設けておりますので、ここではまず各省庁からの報告を通しで聞いて、各取組についての御質問や御意見は議題8の中でいただきたいと思います。
 それでは、事務局からまず議題3と議題4に関する説明をお願いいたします。
○桑原課長補佐 議題3及び4に関する御説明をさせていただきます。お手元に資料2を御準備ください。「アレルギー疾患対策基本指針の概要と国におけるこれまでの主な取組状況」について御説明させていただきます。
 国におけるアレルギー疾患対策の取組は、基本指針に基づき多くの関係省庁にまたがって行われております。これまでの主な取組状況をまとめさせていただきました。
 このうち、がん・疾病対策課の取組につきましては、資料3でもお示ししておりますので、適宜、お手元にて御参照ください。
 左列から順に、「基本指針における今後取組が必要な事項」「主な関係省庁」「主な取組状況」の順でまとめさせていただいております。
 基本指針の第二「アレルギー疾患に関する啓発及び知識の普及並びにアレルギー疾患の予防のための施策に関する事項」から御説明いたします。
 今後取組が必要とした事項のアとイに関する取組としまして、「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」の報告書を各都道府県に周知し、拠点病院を通じたアレルギー疾患の情報提供、及び学校、児童施設等における対応への助言、支援等を行う体制の整備の推進をしております。
 また、令和元年度に、文部科学省で「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」を改訂し、同様に、厚生労働省保育課で「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を改訂しております。こちらは、後ほど所管部局より詳細を説明させていただきます。
 ウに関する取組としまして、厚生労働科学研究で、「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」を作成し、各都道府県へ配布及びウェブ上で公開しております。
 エに関する取組として、アレルギー疾患に関する情報ウェブサイト「アレルギーポータル」(以後、ポータルと呼びます。)の周知協力を依頼しております。ポータルに関しては、アレルギー疾患に関する正しい情報を提供するためのウェブサイトとして、アレルギー情報センター事業の1つとして実施しておりまして、詳細は資料3(5ページ)を御参照ください。
 続いて、3ページを御覧ください。1ページの表の続きとなっております。
 カに関する取組として、環境省では、スギ、ヒノキの花粉飛散量を測定し、ウェブサイトで情報提供し、林野庁では、花粉症対策苗木や広葉樹等への植替を促進、スギ花粉飛散防止剤の実用化試験等を実施しています。
 続いて、クに関する取組として、内閣府食品安全委員会と消費庁が実施しておりますので、こちらは資料5-1、5-2で御説明をいただく予定となっております。
 次に下の表、第三「アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項」に移ります。
 アに関する取組としては、資料3の6ページ、7ページにございますように、アレルギー疾患医療提供体制整備事業(以後、整備事業と申し上げます。)の1つである都道府県拠点病院の医師に対する中心拠点病院での研修の推進と、リウマチ・アレルギー特別対策事業の1つである地域の医療従事者に対する研修体制の整備等の推進をしております。
 イに関する取組として、文部科学省で、職種ごとに卒業時までに身につける能力を示した医学教育、歯学教育、薬学教育及び看護学教育「モデル・コア・カリキュラム」を周知し、アレルギー疾患に関する教育の充実を大学関係者へ要請しています。
 続いて、4ページを御覧ください。
 ウに関する取組は、整備事業とアレルギー情報センター事業によるアレルギー相談員養成研修会を実施しております。
 エに関する取組は、ポータルで都道府県拠点病院並びに関係学会等が公開するアレルギー専門医及び食物経口負荷試験実施施設に関する情報を提供しております。
 オ、カ、キに関する取組は、資料3、2ページ、6ページにございます。「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」、整備事業や昨年度まで実施しておりましたアレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業で進めてまいりました。
 また、クに関する取組は、資料3、8ページにございますように、厚労科研などでアレルギー疾患の臨床研究基盤構築や重症・難治性アレルギー疾患に関する研究や整備事業で進めております。
 続きましては、下の表、第四「アレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事項」についてでございます。
 今後、取組が必要とした事項のアは、資料3、8ページにございますように、厚労科研で現在実施中でございます。
 続いて、5ページを御覧ください。
 第五「その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項」。
 (1)「アレルギー疾患を有する者の生活の質の維持向上のための施策に関する事項」のア、イ、ウですが、資料3、5ページ、7ページにございますアレルギー情報センター事業やリウマチ・アレルギー特別対策事業での実施と文部科学省での「モデル・コア・カリキュラム」策定などで推進をしているところです。
 エとオの取組について、後ほど所管部局より、資料4-1から4-3で御説明をいただく予定となっております。
 キの取組は、厚生労働科学研究で「アレルギー疾患・関節リウマチに罹患した労働者と患者の養育者に対する治療と就労の両立支援マニュアル」の作成などで推進しております。
 続いて、6ページを御覧ください。
 クの取組は、整備事業で一般の方からの電話相談事業を実施していただいております。
 第五(3)「災害時の対応」について、厚生労働省ではポータルでの周知などを、農林水産省では「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」の作成や、ウェブサイト「家庭備蓄ポータル」の開設などの取組をしております。
 続けて、資料3の説明に移らせていただきます。
 先ほど、資料にて説明した箇所については割愛させていただきますので、この資料での説明は、3ページと9ページ目のみになります。3ページを御確認ください。
 こちらは都道府県アレルギー疾患医療拠点病院の選定状況です。現在、41都府県70病院が選定されております。国の目標としましては、今年度中に全都道府県での設置を目指しております。
 9ページ目を御覧ください。
 こちらは「第13回アレルギー疾患対策推進協議会での協議を踏まえた対応状況」でございます。前回の協議会で、アレルギーポータルの周知不足と内容の改善について御指摘をいただきましたので、まずは周知の推進といたしまして、文部科学省に依頼いたしまして、学校保健担当者、管理職を対象とした「学校におけるアレルギー疾患に対する普及講習説明会」で、アレルギーポータルについて資料として配布を予定していただいております。また、日本学校保健会「学校保健」ポータルサイトとアレルギーポータルの相互リンクを設置いたしました。
 また、母子保健課に協力依頼いたしまして、母子健康手帳に”アレルギーに関する「正しい情報」をお届けするWebサイト アレルギーポータル”を記載して、産前から周知することを検討していただいております。
 内容の改善については、ポータルサイト内でアンケートを開始いたしましたので、その内容を参考に、コンテンツ等の改善を図りたいと考えております。
 前回の協議会でのほかの協議につきましては、後ほど、所管部局より御説明いただきます。
 本資料につきまして、事務局からの御説明は以上になります。
○海老澤会長 続けて議題5「学校、保育所、児童施設等におけるアレルギー対応」に関して、文部科学省と厚生労働省の担当部局から説明をお願いします。
○文部科学省健康教育・食育課 文部科学省健康教育・食育課でございます。「初等中等教育におけるアレルギー疾患対応の取組」ということで、御説明させていただきます。資料4-1を御覧ください。
 まずおめくりいただきまして、これまでのアレルギー疾患に対する取組の概要をお示しいたします。平成20年に、文部科学省の監修で、日本学校保健会のほうから「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」を策定いたしまして、このガイドラインに基づいた取組を進めてきていただいたところでございます。
 平成27年3月には、ガイドラインの要約版、それから、研修用のDVD、学校給食におけるアレルギー対応指針、エピペンの練習用トレーナーということで、これを全国の国公私立幼稚園、小学校、中学校、高等学校等に通知・配付いたしまして、さらに取組の充実に努めてきていただいたところでございます。
 それから、アレルギー疾患対策基本法や指針が策定されまして、このようなことなどを受けまして、令和元年度に、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」を改訂したところでございます。
 研修について、アレルギー疾患等に対する普及啓発講習会については、平成20年度から全国で実施しております。資料には記載はございませんが、令和2年度の実施状況を少し申し上げますと、令和2年度については、冊子が改訂されたばかりということもあり、全国8か所で研修会を実施いたしました。コロナの関係がありまして、会場の半分の人数ということで人数制限をいたしましたが、山形、青森、横浜、広島、佐賀、徳島で実施しまして、総計約1,000人が研修に参加していただいております。
 次のページを御覧ください。
 「児童生徒のアレルギー疾患有病率」をお示ししております。これは文部科学省の委託事業で、「学校生活における健康管理に関する調査」ということで、日本学校保健会のほうで実施いたしまして、この有病率について、水色が平成16年度、濃いブルーが平成25年度の結果でございます。この結果を見ていただきましても、全ての教職員にアレルギー疾患に対する正しい知識、そして、適切な対応を身につけておく必要があるということで、全ての学校で取組が必要ということで、取組を進めていただいているところでございます。この全国調査についてですが、一番新しいものが平成25年度の調査になっておりますので、この全国調査についても、実施の時期とか実施方法について検討しているところでございます。
 次のページを御覧ください。
 ガイドラインを改訂したと申し上げましたが、改訂のポイントを少しお示ししております。「第一章総論」のところでは、先ほど御紹介しましたような対応資料ですね。DVDの資料等を参考に記載を充実しております。特に教育委員会の役割とか、対応委員会についてとか、緊急時の対応、研修等について、新たに項を起こして説明をしております。それから、「学校生活管理指導表」の改訂を行っております。
 次のページを御覧ください。
 改訂については、大きな変更は現場の混乱にもつながることから、必要部分のみを修正しております。この管理指導表については、医師が記載するものであるということを明示したり、情報共有に関する保護者の同意欄を分かりやすく表示。また、学校生活上の留意点に「保護者と相談し決定」の文言がありましたが、この文言を管理必要か不要かというようなところで変更をしております。その他、そこにお示ししておりますが、この改訂した管理指導表に順次変更していただきながら、令和3年度(今年度)からは新しい管理指導表を活用していただくようにということで、事務連絡等で周知しているところでございます。
 最後のページ御覧ください。
 「疾患各論」で、食物アレルギー等、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎等々の記載の充実を図ったところを掲載しておりますので、御確認いただきたいのですが、その中でも、改訂のポイントの留意事項等も、日本小児アレルギー学会に作成していただいた英文の参考資料等も、日本学校保健会のポータルサイトから活用できるようにということで、様々な情報を各学校で活用していただくように周知しているところでございます。
 この改訂されたガイドラインですが、国公私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等の各教育委員会でそれぞれ冊子を配布して、この新しいガイドラインに沿って取組をさらに進めていただくようにお願いしているところでございます。
 文部科学省からは、以上でございます。
○厚生労働省子ども家庭局保育課 続きまして、厚生労働省保育課でございます。
 私のほうからは、「保育所におけるアレルギー疾患対応の取組」ということでお話をさせていただきたいと思います。
 まず1枚目ですけれども、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の見直しについて。こちらでございますが、2017年3月告示、2018年4月適用。「保育所保育指針の改定」と関係法令制定等を踏まえ、保育所における取組状況に留意し、有識者による検討会において、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の見直しを検討しました。そして、2019年4月25月付け「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の改訂について」(厚生労働省保育課庁通知)にて、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」を周知ということになりました。
 今回、見直しの検討の主な内容ですけれども、子どもの健康と安全の確保に一層資するよう、保育の現場における保育士等による実用性に留意し、改善を図るということで、医療の専門家ではない保育士等のアレルギー対応に関する理解の促進、アレルギー疾患対策に関する保育所の組織的対応と関係機関との連携強化。この中では保育所における各職員の役割の明確化、そして、生活管理指導表の位置づけの明確化等を踏まえております。そして、3番目に、保育現場の状況、最新の知見、関係法令等を踏まえた取組の充実を見直しの主な内容として、検討会を進めてまいりました。検討会の中で調査項目がありますけれども、次のページのほうへ移らせていただきます。
 「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の見直しについての調査の中で、生活管理指導表のことについて調査をさせていただきました。「厚生労働省作成の生活管理指導表を使用している」と回答した施設は約2割、「都道府県・市町村作成のものを使用している」と回答した施設は約4割、「施設独自で作成したものを使用している」と回答した施設は約2割でございました。
 次のページをお願いいたします。
 また、「自治体による保育所等へのアレルギーを有する子どもの把握及び管理のための様式の提示について」ということですけれども、都道府県、厚生労働省作成の生活管理指導表の参考様式を指導するよう指導しているというのは17都道府県、続いて、市町村、厚生労働省作成の生活管理指導表の参考様式を使用するよう指導している402市町村(29.8%)と、いずれも活用されているというにはまだまだ達していないという調査の結果が出ました。
 次のページでございますけれども、その調査を踏まえまして、2019年改訂版の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の概要を説明いたします。
 <目的>といたしましては、保育所保育指針に基づき、保育所における子どもの健康と安全の確保に資するよう、乳幼児期の特性を踏まえたアレルギー対応の基本を示し、保育士等の職員が医療関係者や関係機関との連携の下、各保育所においてアレルギー対応に取り組む際に活用するという目的の中で、第I部、第II部と分けさせていただき、基本編では、「保育所におけるアレルギー対応の基本」、「アレルギー疾患対策の実施体制」、そして、「食物アレルギーへの対応」と、3点を基本編として学び、そして、II部「実践編」では生活管理指導表を活用していくということで、生活管理指導表は「保育所におけるアレルギー対応に関する、子どもを中心に据えた、医師と保護者、保育所の重要なコミュニケーションツール」という位置を明確化し、乳幼児期がかかりやすい代表的なアレルギー疾患ごとに概要を明記した上で、生活管理指導表に基づく適切な対応に資するよう、「病型・治療」欄の解説、「保育所での生活上の留意点」に求められる具体的な対応等を、この第II部の「実践編」の中で説明しております。
 そして、次のページでございますけれども、今回、このように「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」を発出させていただきました。また、保育士等の皆様に分かりやすく、このアレルギーガイドラインを伝えていくということで、ポスターやリーフレットも分かりやすくイラストをつけて発出していくとともに、次のページにもありますが、一つ一つ研修をしやすく学んでいただけるように、研修テキストのほうもホームページから自由にダウンロードしていただけるよう、厚労省ホームページに公表をしております。
 そして、次のページに移っていただきたいと思いますが、研修に当たりましても、「保育士等キャリアアップ研修の分野及び内容」こちらの研修の中にも、食育・アレルギー対応の分野としまして、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を学んでいただくことも進めております。こういったリーフレット、ポスター、研修テキスト、研修等々を含めながら、今回の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の周知を進めているところでございます。
 以上、説明を終了させていただきます。
○厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課 続きまして、子ども家庭局家庭福祉課より、御説明差し上げたいと思います。
 それでは、資料4-3を御確認いただければと思います。家庭福祉課では、「児童養護施設等におけるアレルギー疾患対応の取組」について御説明させていただきます。本文のほうを御参照ください。
 子ども家庭局家庭福祉課では、令和2年度の委託事業で、「児童養護施設等におけるアレルギー対応に関する調査研究」を実施いたしました。これまで、児童養護施設等の入所型の児童福祉施設においては、アレルギー対応に関するガイドライン等が作成されておらず、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を参考にし、各地域において、また、自治体や施設独自のアレルギー対応マニュアル等を作成するなどして対応させていただいておりました。
 そうした現状を踏まえ、本調査研究では、施設等におけるアレルギー対応に関する実態把握並びに課題の整理を行うとともに、施設現場において、食物アレルギー対応に関する具体的な方針やマニュアル等を作成する際の参考となる「児童養護施設等におけるアレルギー対応ガイドライン(案)」を作成いたしました。調査フレームは、概要の1枚目のとおりです。有識者による検討委員会も開催しましたが、この委員には、本日ご出席いただいている国立三重病院の藤澤委員にも御参画いただき、ガイドライン(案)を作成させていただきました。ありがとうございました。
 調査では、施設等へのアンケート、児童相談所へのアンケート、さらにはヒアリング等を実施いたしまして、エビデンスを収集いたしております。
 次のページを御確認ください。調査アンケートやヒアリングの内容から、回答のあった施設等において、食物アレルギーを有する子供の割合については全体の5.2%という報告がございました。アレルギー全体では18.7%の割合で存在していることが確認できました。児童福祉施設等では、その施設の特性上、実親から子供に関する情報が十分に得られずに入所するというケースが大変多くございます。そのおかげでアレルギーに関する情報が分からないことを前提とした対応が基本となっており、子供も施設職員もリスクを背負っているといったことが確認されました。例えば児童虐待による緊急保護の入所であったり、実親の協力が得られない、また、実親と連絡が取れないために既往歴等の基本的な情報がないまま対応を求められる。また、子供本人も年少の場合、本人からの申告のみにより対応せざるを得ないという、そういった厳しい状況もあるということが確認できました。
 また、アレルギー対応においては、医師の診断、指導に基づき行うことを再確認しました。これは基本的なことですが、改めて重大であるということで、報告書の中に記載させていただいております。また、緊急的に子供を受け入れる一時保護所や生後間もない乳児を受け入れている乳児院、その他の年代や子供の特性等の異なる施設類型が多くございまして、その対応も、施設類型ごとに異なっている。そういった知見も得られました。
 今後の提言といたしまして、アレルギーに対応できるような専門人材の配置も必要との意見もございました。これらの調査結果をもとに、「児童養護施設等におけるアレルギー対応ガイドライン(案)」を作成しました。これについては厚生労働省のホームページでも御確認できます。また、各自治体においても通知しているところでございます。
 これら調査研究の内容につきましては、自治体を通じて各施設等に周知を図っているところでございまして、今後も施設においてアレルギーの問題を有する子供に対し適切な対応が図られるよう、体制の構築に努めてまいりたいと思っております。
 家庭福祉課からは、以上でございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 続けて、議題6「アレルゲンを含む食品の表示について」に関して、内閣府食品安全委員会と消費者庁から説明をお願いします。
○内閣府食品安全委員会 内閣府食品安全委員会事務局でございます。
 食品安全委員会事務局からは、資料5-1に基づきまして、食品安全委員会で実施いたしました「アレルゲンを含む食品に係る食品健康影響調査(リスク評価)」につきまして、御説明を申し上げます。
 食品安全委員会では、平成29年度よりワーキンググループを立ち上げまして、アレルゲンを含む食品に関するリスク評価を実施してまいりました。本年6月に、卵の評価につきまして資料5-1の2ページ目以降にございます別添1の評価書としてとりまとめました。評価書は大部にわたりますので、本日は、その評価の概要につきましては、資料5-1の1枚目と、別添1の関連するところに触れながら説明申し上げます。
 まず、評価に至った背景について御説明申し上げます。別添1の7ページの「Ⅰ.背景」を御覧いただければと存じます。資料5-1全体ですと、9ページ目になります。
 「1.経緯」の3段落目から4段落目にございますように、平成27年にアレルギー疾患対策を総合的に推進するためにアレルギー疾患対策基本法の施行されたことを踏まえまして、食品安全委員会は食物アレルギー疾患を有する者に係る食品の安全の確保のため、アレルゲンを含む食品に関する食品の表示等について、科学的な検証を行うことを目的として、食品安全委員会自らの判断で行うリスク評価を実施してまいりました。
 また資料5-1の1枚目に戻っていただきたいのですけれども、その評価につきましては、資料5-1の1枚目の「1.アレルゲンを含む食品(卵)の評価結果の取りまとめについて」に記載させていただいておりますので、御覧いただければと存じます。アレルゲンを含む食品に関する表示の対象は、表示の義務がある特定原材料が7品目、表示を推奨する特定原材料に準ずるものが21品目ございますが、今回は、このうち国内における患者数が多く、科学的知見が豊富な「卵」を評価の対象といたしました。
 評価の結論といたしましては、この2段落目にございますように、アレルギー症状の誘発には個人差があり、個人レベルで見ると、数μgという微量の鶏卵タンパク質レベルによりアレルギー症状が誘発されることもあるため、鶏卵アレルギーに限らず食物アレルギー患者は医師の指示の下に加工食品を摂取する必要があるが、現在のアレルゲンを含む食品に関する表示制度があることにより、おおむね鶏卵アレルギー患者において、表示義務対象の加工食品にはアレルギー症状が誘発されないと判断される。したがって、現在のアレルゲンを含む食品に関する表示制度は、「卵」についてはおおむね妥当であると判断した、としています。
 今回の評価はもともと定量的な評価を目指していたのですけれども、このように、おおむね妥当という定性的な結果となってございます。といいますのも、資料5-1の別添1の後ろほう、23ページの「今後の課題」にも記載をさせていただいておりますが、食品安全委員会によって食品健康影響評価を実施するに当たり、鶏卵アレルギーに関する科学的知見を整理したところ、食品健康影響評価を定量的に実施するための科学的知見が十分でなかったということが明らかになっているところでございます。
 そのため、評価のさらなる精緻化につきましては、「今後の課題」の最後に記載がございますような課題についての情報が必要であるとされたところでございます。
 「卵」について、このような状況でございましたので、卵以外のアレルゲンについてはどのように対応するかということについて、食品安全委員会におきまして検討をいたしました。
 資料5-1の1枚目に戻っていただきたいのですけれども、卵以外の特定原材料6品目につきましては、食品安全委員会の情報収集のスキームを用いまして、科学的知見を収集してございます。しかしながら、卵でさえ定量的な評価、精緻な評価をするに至らなかったというところもございましたが、これらの6食品につきましても科学的な評価を行うために、十分な科学的知見が整った状況ではございませんでした。そのため、この6食品につきましては、評価という形ではなく、これまでに収集した情報を取りまとめて公表をする予定でございます。
 資料5-1については、以上でございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 消費者庁の発表に移る前に、松本先生のほうから、途中で御退席されるということなので、アレルギー疾患対策の国の取組について、学校のガイドラインについて、先生からちょっと御発言があるとお伺いしております。松本先生、よろしくお願いします。
○松本委員 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 埼玉県で、児童生徒の食物アレルギーに取り組んでおります。埼玉県小児医療センターの小児科部長の西本先生はアレルギーの専門医ですけれども、その先生を中心に取り組んでおります。
 先ほど、文部科学省のほうから御説明ありましたけれども、学校生活管理指導表をもとにしていろいろ調査をやったりしますと、10年間で2.5から5%に埼玉県の場合は倍増しているということがあります。ただ、この数値については若干疑問に思っております。
 これが指導表の中身ですけれども、診断の根拠は①明らかな症状の既往とか、②食物負荷試験とか、③IgE抗体の結果とかを踏まえていますけれども、ほぼ①あるいは③をプラスして書いているのが現状かと思いまして、負荷試験を行っているものはあまりないのではないかと思います。①と③だけですと、かなり不確実な例も入り込んでくると思っています。
 診断情報ですけれども、先ほどのとおり、負荷試験を行っているのは13%でございまして、3分の1以上は診断が怪しいのではないかと考えております。
 そういった中で、この指導表の精度を少しでも上げようということで取り組んできておりますけれども、学校における食物アレルギーに関する課題検討委員会を設置して、学校生活管理指導表をなるべく提出していただいて、それを学校生活に生かしていくということで、提出を一生懸命促しております。精度を上げるために、専門医の医師がここに関与することが大事だと考えておりますし、医療機関検索システムや電話相談事業等も、あるいはいろいろな研修会も併せて行っております。
 相談事業にはこのような形で、提出された管理指導表を元に診断するにはなかなか難しい面もあるので、不適切な医療とか学校での対応をなされている方も結構多いのではないかということで、3人のアレルギー専門医が管理指導表を確認して、適切な助言を行っているということであります。将来的には、記載医師の登録制度を目指したいと思っております。
 鶏卵の診断統計ですけれども、これを行った結果、2015年と2018年は、母集団はちょっと違いますけれども、3年間で負荷試験の割合が多くなって、確実な診断の割合が増加しました。検査結果のみとか、根拠なしの数が非常に減ったということで、実際的には鶏卵アレルギーが14%減少したという結果になっております。
アレルギー疾患医療拠点病院は、埼玉県では埼玉医大になっておりますけれども、ここを中心にいろいろなところと連携して、生活管理指導相談事業を行って、この精度を高めて、児童生徒の学校における対策について取り組んでいるという現況でございます。
 また、私は中医協の委員もしておりますし、診療報酬に関係しておりますけれども、医療的ケア児の問題も担当しております。医療的ケア児の情報を学校に主治医が伝えたときに、それを評価する動きもかなり強くなっております中で、この生活管理指導表も同様な扱いが将来的に検討されるべきだという考えもありますので、その辺につきましても、厚生労働省で今後検討していただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。
○海老澤会長 松本先生、大変貴重な御意見ありがとうございました。また、この件に関しては後ほど御議論いただきたいと思います。
 それでは、消費者庁の御発表のほうに戻っていただけますでしょうか。
○消費者庁食品表示企画課 消費者庁の食品表示企画課でございます。
 それでは、指針の食品表示法に基づく義務表示等の充実に関して、資料5-2に基づきまして御説明を申し上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 こちらは食物アレルギーに関する現行の表示対象品目になってございます。発症数、重篤度から勘案いたしまして表示する必要性が高いものとして7品目を義務表示対象品目として、食品表示法に基づく食品表示基準で規定しております。症例数や重篤な症例数が義務表示7品目と比較すると少ないものであっても、一定の症例数が確認されているものは推奨表示対象品目として21品目を消費者庁次長通知の中でお示ししております。
 続きまして、資料中段の表で朱書きとなっておりますアーモンドとくるみについてお話しさせていただきたいと思います。
まず、消費者庁で行っている食物アレルギーに関する全国実態調査の概要についてお話しさせていただきます。配布資料にはなく、口頭のみの御説明で恐縮です。こちらの調査は、アレルギー疾患対策の中心拠点病院である相模原病院、海老澤先生に業務委託を行い、暦年実施いただいているものです。受診した方で、何を食べて、どのようなアレルギー症状を起こしているかということで、全国のアレルギー専門医の方々に御協力をいただきまして、海老澤先生のところで集約いただいているものになります。調査対象となる食物アレルギー患者の対象については、何らかの食物を摂取後60分以内に症状が出現し、医療機関を受診したものとしているところです。
 これまで3回分の実態調査における即時型症例数とショック症例数を比較した資料についてご説明申し上げます。中段が即時型症例の総件数、下段が内数として重篤なショック症例件数になりますが、くるみにおきましては黄色、アーモンドについてはオレンジ色で色づけしている箇所が、とりわけ平成30年度の報告書で特異的な傾向が見られたところです。括弧内の数字は順位を示しておりまして、その下の数字は症例数を示しているところでございます。
黄色で塗り潰したくるみですけれども、現在は推奨表示対象品目として特定原材料に準ずるものということで、消費者庁次長通知においてお示ししているところでございます。くるみによる即時型症例数と重篤な症例数のいずれも増加しているという実態になっているところでございます。他方で、オレンジ色で塗り潰したアーモンドにつきましては、30年度調査の即時型症例数は21件、27年度調査でも14件となっておりまして、数だけで見ると、特定原材料に位置づけられているかにや、特定原材料に準ずるいか、さけよりも多い結果となっているところでございます。
先ほどの結果を、消費者委員会食品表示部会に報告させていただきまして、アーモンドにつきましては、2019年9月に推奨表示対象品目に追加させていただいております。他方でくるみにつきましては、義務表示化を視野に入れた検討に着手することについて、同部会からさらなるデータの必要性に関する意見等があったものの、おおむね了承を得ているところでございます。
 義務表示化に当たりましては、表示の適正性を科学的に検証する試験方法が必要であるため、令和2年度から検査法開発に着手しております。なお、検査法開発に関しては時間を要するところでありますので、そちらのほうを継続的に実施していくとともに、義務表示化に向けたエビデンスの集積として、くるみの交差反応性に関する解析や、くるみを原材料とした加工食品の使用実態調査等に関しても進めているところでございます。        
全国実態調査の直近の報告における症例数の増加が一過性のものではないことに関する確認をすべきという部会意見につきましては、現在行っている実態調査の結果を確認することとしております。
 簡単でございますけれども、消費者庁からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 続いて、議題7「金属アレルギーについて」に移りたいと思います。
 金属アレルギーについては、前回までの協議会において意見があったものです。
 今回、これらを議題として取り上げ、歯科の観点から佐藤委員に、皮膚科の観点から矢上委員に金属アレルギーについて御説明をいただきます。
 続けて、アレルギー疾患対策における金属アレルギーという観点からアレルギー疾患対策基本法と基本指針の策定に大きくかかわってこられた西間参考人に御説明をいただきたいと思います。
 まず、資料6-1の説明を佐藤委員よりお願いいたします。
○佐藤委員 日本歯科医師会の佐藤真奈美と申します。このたび、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 それでは、資料6-1「歯科金属アレルギーと医科歯科連携」についてお話ししたいと思います。本発表に関しましては、開示すべき主要な関係にある企業などはございません。
 私たちの周囲には多くの金属が存在しています。金属は操作性が非常によく、精密であるという特徴がありまして、医療分野、特に歯科分野におけるその用途は広範にわたる歯の欠損部を補うためのブリッジとか、義歯の金具、それから、歯科矯正用のワイヤー、インプラントの人工歯根やその上部構造等、金属に依存する治療法は多岐にわたっております。近年、金属に代わる非金属材料による治療法も広く普及しておりますが、歯科医療では金属なしで治療を行うことは難しい状況です。
 次のページをおめくりください。歯科金属アレルギーについてですが、私たちの口の中には常に唾液が存在しております。口腔内の金属は唾液に接触しますと、そこでイオンが起きるわけですが、口腔粘膜内に存在しますランゲルハンス細胞がイオン化した金属を異物と認識し、免疫応答が始まります。それをイメージしたものが左下の青い図です。2回目に同じ金属が入りますと、リンパ節からキラーT細胞が出てきまして、上の写真のように、その部分で赤くなったり青くなったり白くなったりしますから、その部分で金属イオンと戦ってくれているわけですけれども、白色の扁平苔癬ができたり、びらん型になったり、赤くなったり、そのほか潰瘍型になったり、様々な症状が口腔粘膜に現れます。
 歯科金属につきましては、歯科材料に含有される金属含有の関与が疑われる金属アレルギーであると定義されます。日常の臨床で私どもが接する金属アレルギー患者の臨床症状は、歯科金属アレルギー関連疾患と言われる諸症状でありますが、口腔扁平苔癬様疾患のように金属との接触部位に起こる接触皮膚炎や粘膜炎、あるいは口腔から離れた遠隔部位の湿疹反応や掌蹠膿疱症など様々です。これらの歯科金属アレルギー関連疾患に対する歯科的な対応としましては、アレルギー被疑金属元素を含有した修復物や装置を除去する置換療法が一般的です。
 3枚目のスライドでございます。歯科金属アレルギーの検査と診断についてですが、東京歯科大学の井上孝先生は、2004年の時点で次のように提案しております。まず問診、それから、パッチテストを行い、金属感作があるかどうかを検査いたします。次に、患者金属が口腔内に存在するかどうか金属同定検査を行い、感作金属を除去し、症状の消失・軽減を確認するなど、可能な範囲で多面的に複数の検査結果を複合して診断する必要があるとしております。
 写真は52歳の女性で、口腔内の写真はございませんが、口内炎、皮膚症状に掌蹠膿疱症がある患者さんで、パッチテスト2日目でニッケルとパラジウムに陽性反応が見られたということを示しております。感作金属の除去につきましては、金属を除去したからといいまして、次の日に症状が軽減するかといいますと、そうではなく、最も早くて2か月から3か月ほどかかると言われております。また、金属を除去しても、皮膚・粘膜症状の消退が認められない患者さんもおりまして、これらの症状の原因が歯科金属なのかどうか。つまり、口腔内の金属元素に陽性反応が出たからといって、口腔内の金属が原因で様々な症状が出ているとは限らないわけですし、ここに歯科金属アレルギーの診断・治療の困難さがあります。
 また、例えば口腔内の違和感などの訴えがある場合、歯科金属のアレルギーなのか、レジンアレルギーなのか、その他の疾患なのか、容易に診断できるものでもなく、口腔内の金属を除去して、症状が消退すれば歯科金属アレルギーだったのだというように、診断と処置が同時に行われるというところにも診断の難しさがあります。このようにアレルギー疾患対応の困難性をきわめているところでございます。
 パッチテストは金属アレルギーの最も一般的な検査法でありますが、日々の臨床においてパッチテストを行いたいという場面に直面いたします。歯科単独では、歯科金属アレルギー検査、パッチテスト等を実施するのは困難な状況にありまして、さらに、パッチテストを実施している医療機関に紹介したいなと思いましても、どちらの医療機関に紹介していいか分からず、紹介先に困っているというのも現状でございます。
 また、病院などに紹介しましても、以前行っていたのだけれども、今はしていないなどの理由でほかの医療機関を紹介されるなど、患者さんにとっても時間的や精神的な負担を強いられているケースもありますので、このようなことから、パッチテストを実施している病院とか、内科・皮膚科とか、医療機関の情報を提供していただければ、非常にありがたいところでございます。
 次のページをお開きいただきます。こちらは大阪大学と協力歯科診療所で行われた臨床研究です。歯科金属アレルギーと診断された患者さんを対象として、歯科金属アレルギーの臨床研究。性別・年齢・疾患名について調査分析を行ったものですが、ここでは疾患についてのみお示ししてあります。なお、被験者の年齢・性別については、特徴として、女性が多く、20代~30代の年齢層が多かったということです。対象患者が歯科金属アレルギーであるかどうかの判定基準ですが、まず患者にその症状に対する医院、例えば内科とか皮膚科を受診してもらって標準治療を受け、医師による適切な治療を受けていただいて、症状が改善しない場合はより専門的な対応が必要であるとし、例えば皮膚科の先生からしますと、幾つかある原因の1つが歯科金属ですので、ステロイド等の標準治療でも治癒しない、あるいはほかの原因を回避しても、なお、歯科金属アレルギーではないかと疑われた場合、口腔内の金属の除去に移行いたしました。そこで、歯科金属アレルギーが疑われた被験者1,731名にパッチテストを行いまして、陰性の被験者、経過途中で断念した、追えなかった被験者を合わせまして640名は除外しまして、1,091名の被験者が歯科金属アレルギーではないかと診断し、この1,091名についての症状や疾患を調べたところ、右上のグラフのような結果が得られました。
 このように確実に歯科金属アレルギーの患者さんを集めてみますと、口腔内に現れる症状はごくまれで、口腔内の違和感、口内炎、口腔扁平苔癬疾患と合わせましても、全体の2.3%でごくわずかで、ほとんどが全身性で、圧倒的に皮膚疾患に多く現れているということが浮かび上がってきました。金属アレルギーといいますと、恐らくほとんどの患者さんは、歯科に行かず医科を受診すると思います。ところが、皮膚に症状が現れて、口の中に金属があるからとなりますと、歯科金属アレルギーかもしれないと御自分で判断して、内科や皮膚科を受診せずに歯科を受診する患者さんもいらっしゃいます。まず医科で標準治療をしていただき、その中で症状が改善しないわずかの患者さん、その中でも本当に数%が歯科金属に依存している、あるいは原因がある可能性があるということで、そこで歯科を受診するのが望ましいと考えます。
 そのように考えますと、医科の先生と共通した認識の下で連携を組む。つまり、医科歯科連携が非常に重要になってくると考えます。そして、連携することによりまして、難知性に陥る可能性のある患者さんを減少させ、また、適正な金属除去が期待できると考えます。
 まとめます。次のページ、最後のページです。金属は非常に操作性がよく精密であるという特徴から、私ども歯科では金属に依存する治療も多く、完全なメタルフリーは望めませんが、歯科金属アレルギーは可能な限り予防しなければならないと思っております。アレルギー性疾患の原因・悪化因子として歯科金属アレルギーが関与している可能性が報告されておりますが、金属アレルギーについては、診断や疫学等に関して不明な点が多いので、早急な調査が望まれます。今後は、アレルギー性疾患に関する研修や講習会に歯科も含めた多職種が参画し、各職種が互いに新しい情報や共通認識の共有を行う必要があると思います。医科歯科連携を含めたアレルギー疾患医療提供体制を構築することで、アレルギー疾患の重症化予防と症状の軽減に寄与できると考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○海老澤会長 佐藤委員、ありがとうございました。
 続いて、資料6-2の説明を矢上委員よりお願いいたします。
○矢上委員 私は藤田医科大の矢上と申します。本日はありがとうございます。「本邦における金属アレルギー診療の現状と課題」について、皮膚科専門医の立場からお話ししたいと思います。
 次のスライドお願いいたします。金属アレルギーは様々な臨床症状を起こします。そして、一度発症すると症状は一生続きます。ですので、この疾患に関しましては、成人、そして、高齢者に至るまで様々な年齢で苦慮する方が少なくありません。金属アレルギーとは、佐藤委員もおっしゃっていましたけれども、製品中の金属が皮膚や口腔粘膜でイオン化されると、体内でタンパク質が変性を起こしまして、そして、体を異物とみなしてアレルギー反応が起こります。ですから、この症状は遅延型アレルギーとも呼ばれております。そして、疫学調査では、金属試薬による陽性率は以前から高く、減っていないのが現状でございます。また、ニッケルによるパッチテストの陽性率は以前から高いのですけれども、ヨーロッパではニッケルへの規制がありますが、本邦においてはニッケルの規制はなく、日常生活で接触する多岐にわたる製品に今も含有されております。装飾品などによって感作をされ、そうしますと、後年、歯科やそのほかの整形外科等の診療の際に金属アレルギーが問題になる患者さんは後を絶ちません。
 次、お願いいたします。こちらが金属アレルギーの実際でございます。上段のほうは金属によるアレルギー性の接触皮膚炎です。歯科金属による金属アレルギー、または若い方ですと、ピアスによるアレルギーを起こして、そして、小児の場合には恐らく感作の段階は、歯科矯正器具による金属アレルギーではないかと言われております。
 そして、下段ですけれども、一方で全身型の金属アレルギーを起こしていきます。ですので、異汗性湿疹のような汗疱状湿疹、または、掌蹠膿疱症という掌蹠に膿疱を作るような金属が粘膜や体内に入っていくことによって起こっていきます。ですので、金属アレルギーは様々な部位でアレルギー症状を誘発する、繰り返していくということがあります。
 次、お願いします。こちらが接触皮膚炎の検査法でございます。パッチテストですけれどもパッチテストは金属アレルギーを含むアレルギー性接触皮膚炎の唯一の検査法と言われております。そして、金属によるアレルギー性接触皮膚炎の確認とともに、金属アレルギーの症状を自覚している患者さんが、歯科や整形外科の領域の治療の前に金属アレルギーの確認を希望することがとても多いです。しかしながら、先ほど佐藤委員もおっしゃっていましたけれども、金属アレルギーの検査、診療においては、解決すべき課題がまだ山積しております。
 次、お願いいたします。こちらが本邦におけるアレルギー性接触皮膚炎の疫学調査ですけれども、一番上の赤い枠ですけれども、これは金属の疫学調査を過去から現在に至るまで示しております。そうしますと、金属は、ニッケル、クロム、コバルト、金の感作が多いことが過去から今に至っても分かっております。
 次、お願いいたします。そうしますと、これは最後のページですけれども、本邦における金属アレルギーの診療の課題を挙げてみました。金属アレルギーに苦慮する国民は、小児から高齢者に至るまで一定数はやはり存在しています。そして、その数は近年も減っておりません。本邦では、製品へのニッケル規制が法的に整備されていないので、ニッケル含有量の多い製品が今も様々な製品として流通しております。特に若い方の場合にはニッケル含有量の高いピアスや装飾品を日常的に使うことによって感作を受けているのではないかと考えられております。そして、金属アレルギー精査のために、歯科や整形外科から皮膚科に依頼される症例は多いのですけれども、診療科間の連携の改善は以前から課題とされております。ですから、お互いの情報を共有して解決するようにしていくことが大事だと思います。そして、診療科における、他科における問題を抽出していって、そして、より詳細な疫学調査を行う。または、金属アレルギーのエビデンスをまとめた一般の方向けのハンドブック、そして、診療の手引きなどがあるとよいのではないかと考えました。それは未然に感作を防いで、そして、適切な診療をおこなっていくために、多くの国民が小児から高齢に至るまで苦慮しているこの金属アレルギーについて、私たちは何か取り組むべきことがあるのではないかと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○海老澤会長 矢上委員、ありがとうございました。
 続いて、資料6-3の説明を西間参考人よりお願いいたします。
○西間参考人 それでは、この法律をつくるときに、15年から20年前に考えられていたことから、その文言に金属アレルギーが入っていないことについての説明をしたいと思います。
 次、お願いします。これが法案をつくるときの検討をしたときの文章ですけれども、見て分かりますように、ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、ここまでは臓器別ですね。気管支、皮膚、鼻、目と、そういうところのアレルギー。そして、それとはちょっと切り口が変わって、ここだけ花粉症と食物アレルギーがあります。つまり、原因の抗原、アレルゲンの病気ということで、ここだけは変わっているわけで。そうなれば金属アレルギーがここにあってもいいのではないかということになるかもしれませんけれども、この法律をつくった当時、花粉症は非常に増加の一途で、今、舌下免疫療法がありますけれども、それもまだなかったという状況でありまして、国民病とも言われた、40~50%が感作されているという大変な病気でありましたし、食物アレルギーは低年齢の子供たちに非常に多くて、保育園、幼稚園、学校でも、食物対応に非常に苦労をしていた。それから、死亡例も出たということもあって、ここだけ花粉症と食物アレルギーは出したわけです。だから、基本的にはアレルゲンに起因する免疫反応と、そういう疾患であるということでくくったことがあります。
 次、お願いします。これは有名な馬場實先生のアレルギーマーチでありますが、アレルギーというのは生まれたときからいろいろな形の症状が出ていって、そして、それがよくなり、また、再発しということが繰り返されるわけで、これでよく知られているのがぜん息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎等であります。
 だから、アレルギーというのは全身疾患として診るべきであるということで、左側の赤い色で書いているのは、これが法律の中ではっきり病名として出しているものです。右側は、実際はアレルギーが非常に関連している病気でありますので、これは総合アレルギーのガイドラインの中にはこういう疾患は、今は、追加されて書いておりますが、この中にも金属アレルギーはまだ出ておりません。
 皮膚に症状が出ることが多いということですが、アレルギー性の皮膚疾患はこういういろいろな分け方はありますけれども、4つ分けると、アトピー性皮膚炎は法律の中に名前が出ていて、総合ガイドラインの中には接触皮膚炎、蕁麻疹、薬疹、こういうのもガイドラインとして載っています。
 この分け方は必ずしも全員が理解しているというか納得しているわけでもないのですけれども、ADはアトピー性皮膚炎ですね。アトピー性皮膚炎の原因がなかなか分かりにくいのを例えば内因性とすると、その中にニッケル、コバルト、クロムが結構なパーセントあるのだという報告もあります。
 そして、接触皮膚炎の原因として金属は非常に重要ですけれども、接触皮膚炎の分類の中で、2番目にありますが、先ほど矢上先生がお話しになりましたが、装身具とかに非常によく使われているということが、これはもう分かっているわけです。
 年齢分布は正確なデータはないようですけれども、九大の皮膚科の教授だった古江先生がまとめた分がありますが、それを出しておりますけれども、こうして見ると、各年齢に接触皮膚炎がある。この中に金属アレルギーがかなりあるのではないかと考えられるわけですが、接触皮膚炎というのは、アトピー性皮膚炎が10%とすると、4%が接触皮膚炎で、接触皮膚炎はかなりの数字が出ているわけです。
 「アレルゲンとなる金属と使用可能な歯科金属との対応」という北崎先生がまとめたのがありますが、非常に多岐にわたって、実際、これを臨床で的確に使うとなると非常に難しいのではないか。この辺のエビデンスは十分ではないと考えられます。
 それから、もう一つの考え方がありまして、足立先生が最近示されている分ですけれども、食物アレルギーで金属が関係しているのだと。金属が関係しているとなると、例えばニッケル、コバルト、クロムが入っている食物はかなりたくさんありまして、もしもこれが事実であれば、この辺についても食物アレルギー絡みで検討が必要であるということを示しています。
 このように、先のお二方の先生方の話でも、金属アレルギーはかなり重要なものではないかと考えられます。そして、全身性のアレルギーであろうと。検査もIgEは今は外注で簡単にできるわけですけれども、パッチテストで抗原を調べる金属についてはなかなか難しい。どこでもできるわけではない。多くのアレルギー疾患の治療管理はガイドラインに則って行われるようになってきましたけれども、この金属アレルギーについてはなかなか難しくて、歯科や他の診療科を含めて解決することが必要であろうと。すなわち、この中間の見直しで、本文の中に入れることについては、委員の先生方で検討してもらわなければならないのですけれども、私がこの法律をつくってきた過程から言うと、金属アレルギーということで1つそこで追加するにはまだまだエビデンスが足りないのではないか。しかし、非常に重要なものであるということは確かであります。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 金属アレルギーについてはまだ課題が多いようですが、医科歯科連携を含めた幅広い診療科の協力によるアレルギー疾患医療提供体制の構築が重要ということだと思います。
 後ほど、医療提供体制に関係する指針見直しの議論を行いますので、その中でも御意見をいただけたらと思います。
 それではここで5分ほど休憩を挟んでから、次の議題に移りたいと思います。現在17時半ですので、17時35分から再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(休憩)
○海老澤会長 それでは時間になりましたので、再開いたします。
 恐れ入りますが、委員の先生方におかれましては、ビデオのほうをオンにしていただきたいと思います。
 課題8「アレルギー疾患対策基本指針に係る議論」となります。アレルギー疾患対策は非常に幅広い領域に関わるものですので、現在の基本指針の枠組みの中で整理しながら議論を進めていきたいと思います。
 事務局から事前に連絡がありましたが、御発言されたい先生は、Zoomの「手を挙げる」機能を使っていただけたら、こちらから指名させていただきます。機能がうまく反応しない場合などは、カメラに向かって挙手していただけますようお願い申し上げます。
 では、事務局の資料1-1の4ページから5ページに現在の基本指針の骨子が、取組状況については、資料2にありますので、参照してください。
 現在の基本指針は、前文に続いて、第一から第五までで構成されています。
 このうち「第一 アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な事項」については、基本的な考え方や国、地方公共団体等の責務について示したものです。
 ここでは、具体的な対策に関連する部分から検証したほうが議論を進めやすいかと思いますので、最初に「第二 啓発及び知識の普及とアレルギー疾患の予防のための施策に関する事項」に関連する御意見からお伺いしていきたいと思います。
 現在に至るまでのアレルギー疾患対策も踏まえて、改善された点、指針の見直しが必要な点、新たに発生した課題について、御意見を伺っていきたいと思います。
 ここまでの省庁の報告や委員の説明も踏まえて、御意見はございませんでしょうか。御意見のある委員におかれましては、挙手をお願いしたいと思います。こちらから指名させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 どなたもございませんでしょうか。
 前田委員から手が挙がっております。前田委員、ミュートを外していただいて御発言いただけますでしょうか。
○前田委員 ありがとうございます。前田です。
 アレルギー物質を含む食品に関する表示の件でよろしいでしょうか。
○海老澤会長 お願いします。
○前田委員 食品のアレルギー表示の制度によって、患者のQOLは大きく向上しました。そして、今や、アレルギーのない人にも広く認知されています。多くの関係者の方々の御努力に感謝申し上げます。
 患者・家族にとって、外食や中食へのニーズも大きいです。外食や中食についても、安心で安全が確保されるアレルギー表示を進めていただきたいと思います。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 以前、消費者庁のほうで、外食に関しての検討をしたことがあるのですけれども、その後、東京オリンピック2020年目指してガイドライン等を作成して進めていこうということになっていたのですけれども、その後、ちょっと進み具合のほうがどうなっているのかということを消費者庁のほうから御説明いただけたらと思います。よろしくお願いします。
○消費者庁食品表示企画課 消費者庁でございます。
 先生御指摘のとおり、確かに、過去外食等に関しての検討会を実施しておりました。中間整理のところで終わってしまっていてというところでございまして、直近で実施していることといたしましては、表示対象品目をピクトグラム化した訪日外国人向けに活用いただけるリーフレットを作成・公表しているというような取組をさせていただいているところでございます。
消費者庁といたしましては、先ほど来、御説明させていただいております、くるみの義務表示化に向けた検討というところを喫緊の課題として、進めさせていただいているところでございまして、御指摘いただきました外食等における食物アレルギーに関する情報提供に関する取組の推進につきましても、指針に記載されているところでございますので、今後、適切に取組を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○海老澤会長 前田委員、よろしいでしょうか。
○前田委員 はい。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○海老澤会長 日本の加工食品に関する表示は非常に世界でも先進的な取組、今から20年前から行っていただいているのですけれども、外食に関しては、昨今、外国のほうがかなり進んでいるという状況があるので、また、その辺についても対策のほうをしっかり進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ほかにいかがでしょうか。
 宮﨑委員、よろしくお願いします。
○宮﨑委員 患者側からの食品表示に関するちょっと危惧されることがあることでお伝えしたいのですけれども、アレルギーの個別表示を行う際に、繰り返し出てくるアレルゲンの表示は省略されるという点について、患者側がまだちょっと分かっていない、理解できていないところもあるようで、誤食やアナフィラキシーを起こす例があると周りで聞いています。
 よく聞くのは、小麦を含むと書いていた場合、しょうゆがもしその原材料に入っていた場合、ほかに小麦由来の食品があったとしても、しょうゆ由来のみの小麦だけだろうと思って食べられる方がいらっしゃいます。私のように、患者会の代表をしているとそういう情報も学ぶ機会があるのですが、患者会に入っておられない方とかであれば、そこまでの理解がまだ認識できていない方もいらっしゃるかなということがあります。
 アレルギーポータルの中に、加工食品の食品表示に関するハンドブックを消費者庁さんが載せていただいているのですが、そこに、表示のポイントとして、繰り返しになる表示を省略する場合に、一般的に摂取可能と言われているしょうゆのような食品以外に、小麦を含むものが入っていた場合は、しょうゆではなくてそちらのほうに小麦を含むという表示を書くようにということを推奨されてはいるのですが、もしかしたら、現実、加工食品をつくられているところは、そこが実践されていないのかなというところもちょっと誤食につながっているのではないかと考えました。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 ただいまの御発言に関して、消費者庁のほうから御説明、御対応よろしくお願いします。
○消費者庁食品表示企画課 先生、御指摘いたただきまして、ありがとうございました。ハンドブックのほうも御覧いただけたということで、ありがとうございます。
 先ほどの御指摘いただいた内容につきましては、ハンドブックにも記載させていただいておりますし、それ以外にも事業者の食品表示をつくる際に参考となる「食品表示基準のQ&A」というようなものもございまして、そういったところでも先ほどの表示に係る小麦のお話とか、繰り返し表示のお話とか、こういったところも言及させていただいているところでございます。
 コロナ禍にあって、様々な事業者様のほうに出向いてというところがなかなか難しい状況ではあるのですけれども、消費者庁においては、食物アレルギーに関する講演の依頼も多くいただいておりますので、事業者において適切な食物アレルギー表示がなされるよう対面やオンライン等、あらゆる機会をとらえて普及啓発の取組を引き続き推進してまいりたいと思います
 以上でございます。
○海老澤会長 宮﨑委員、よろしいでしょうか。
○宮﨑委員 はい。ありがとうございます。
○海老澤会長 ほかに御意見ございますでしょうか。
 藤澤委員、よろしくお願いします。
○藤澤委員 受動喫煙のことについて発言させていただきます。
 日本小児アレルギー学会では、受動喫煙の健康被害について科学的なエビデンスを明らかにするためにワーキンググループをつくりまして、システマティックレビューを行いました。やはり確かに科学的によくないのだということをまとめまして、提言として発出させていただいております。ただ、コロナ禍で、十分に啓発活動がまだできておりませんので、これから力を入れていきたいと思っております。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。先生のお立場で、厚生労働省のほうに対してどのような働きかけをするとか何かございますか。
○藤澤委員 厚生労働省にお願いしまして、プレスリリースをしたいと考えておりますが、なかなか私どもが東京に行けないので、落ち着いたら、冊子もつくりましたが、まだ配布できていない状況ですので、今後、相談させていただきたいと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 桑原先生。
○桑原課長補佐 事務局です。
 承知いたしました。受動喫煙の資料に関しましては、藤澤先生より以前いただいておりましたので、また、御指示いただけましたら、厚生労働省のほうからも周知をさせていただきたいと思っております。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 続きまして、岡本委員から手が挙がっております。よろしくお願いします。
○岡本委員 千葉労災病院の岡本です。
 ここのマル7のところに、「花粉飛散状況の把握、情報提供、森林の適正な整備」等がございます。最近の報告を見ましても、アレルギー性鼻炎、花粉症の患者さんが依然増加しているとされていますが、2019年に耳鼻咽喉科学会で行いました、会員並びに耳鼻咽喉学会員の家族を対象にした疫学調査では、10年前に比べてもかなりの数の増加が認められています。
 ただ、この項目に関係して資料2のほうで先ほど御説明もございましたけれども、花粉症対策としてスギ・ヒノキの花粉量の測定、スギ花粉発生源対策、スギ花粉が産生されにくいスギの植林などが重点的に記載されていますが、実は、花粉症はスギ花粉あるいはヒノキ花粉以外に、たくさんのほかの種類の花粉飛散でも起こっています。そして、疫学調査結果を見ますと、この10年間でスギ・ヒノキ花粉以外の花粉症も10%増えて、有病率は25%、4人に1人がスギ・ヒノキ花粉以外の花粉にも花粉症を発症しているということが指摘されています。
 海外でもこういう花粉による花粉症は大きな問題になっていて、特にぜん息など他のアレルギー疾患発症の引き金になっている、あるいは花粉そのものによってぜん息も高い頻度で引き起こされていると報告されています。ですから、今後、国内で増えているスギ・ヒノキ花粉以外の花粉に対する取組についても、記載が必要ではないかと考えます。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 厚生労働省のほうからよろしいでしょうか。
○桑原課長補佐 岡本委員、御指摘ありがとうございました。スギ・ヒノキ以外の花粉症が増えているということで、こちらの情報に関しましても、スギ・ヒノキ以外の花粉の具体的な名前についても挙げていただけますと、環境省、林野庁と情報共有しやすいので、挙げていただいても構いませんでしょうか。
○海老澤会長 岡本先生、ミュートを外していただいていいですか。
○岡本委員 申し訳ありません。
 例えば樹木でしたら、ハンノキ、シラカバ等があります。イネ科、キク科など、いわゆる草本花粉による花粉症は従来から存在は知られていますが、増加が指摘されています。ただ、その実態は、まだ十分明らかになっていないという問題もあります。
 以上です。
○岩佐課長補佐 事務局の厚生労働省でございます。
 先生おっしゃっていただいたように、まさに実態が明らかになっていないというところですと、まずは一定実態を把握し、また、種類によってどういった対策が必要なのか、どういった対策ができるのか、その辺りも変わってくるのではなかろうかと考えておりますので、そういったところから多分スタートをしていかざるを得ないのかなと考えておりますが、その辺りいかがでしょうか。
○岡本委員 私もそう思います。実際にどれぐらいの患者さんがいる、どんな症状が強いかなどより詳細な検討が必要ですし、治療については、現在は対症療法しかありませんが、海外では免疫治療が行われています。花粉の種類はたくさんあるのですが、その中で共通成分を持つようなものについては、一つの花粉に対して有効性が示された抗原を用いることで、共通抗原性を持っている複数の花粉症に対して有効性があるといったことも指摘され、特に欧州のEMA(欧州医薬品庁)では、そういった抗原を用いての幅広い免疫療法も推奨しています。そういったことも踏まえて日本での検討が今後強く望まれるのではないかと考えています。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 今の先生の御発言に関連して、ハンノキ及びシラカバですと、バラ科の果物の関係とか、あるいはブタクサや、イネ科ですとウリ科のスイカとかメロンとか、その辺の果物アレルギーとの関連も非常に大きな社会問題になってきつつあるのではないかと思うので、ぜひ、その辺も含めて、疫学をきちんとしていくというところが多分スタートなのかなと理解しましたが、そういうことでよろしいでしょうか。
○岡本委員 はい。よろしくお願いします。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 続きまして、荒木田委員よろしくお願いします。
○荒木田委員 ありがとうございます。
 啓発及び知識普及のところの4番で、乳幼児の健診等での保健指導というところがありまして、この中で母子健康手帳等にも入れていただけるということが先ほど発表にありましたので、とても重要なことかと思っております。できれば、生まれてからの乳幼児健診も重要ですが、生まれる前の両親教室とか母親教室とかそういったところで、子供のスキンケアの大事さとかというところを教えていただくというのもすごく重要なことではないかなと思いましたので、乳幼児健診の前に両親教室や乳幼児健診という形で生まれる前からの対策に取り組んでいただければ、保健指導に取り組んでいただければいいかなと考えております。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。特に乳児のアトピー性皮膚炎の発症予防、また、食物アレルギーの発症予防等に関しても、産前からの御両親の教育、情報提供は非常に重要ではないかと思います。
 大矢委員、追加発言でしょうか。
○大矢委員 ありがとうございます。
 幾つかありますけれども、今、話題に出たことからしますと、乳児のスキンケアの指導に関しては、既に取り組んでおられる自治体とかも結構あるのですけれども、ただ、最近、欧米で出た報告では、乳児期からスキンケアをすると余計食物アレルギーが増えるとか。つまり、欧米ですと、体をきちんと洗わないで塗ってしまうので、それで抗原を塗りたくって、経皮感作が増えるというデータが出ているのですね。スキンケアのやり方は、日本式だと体を洗ってから塗るので、逆にプロティクティブになるのだけれども、欧米式にやると、きちんときれいに洗わないで塗ってしまうということがあって、かえって食物アレルギーが増えているというデータもあります。なので、スキンケアを指導するときに、そのあたりをきちんと日本式でやるとか、何でも塗ればいいのではないとかというふうに指導しないと、子供の頃から塗っていたのに、逆に悪くなったとかいうことも起こりかねません。まだまだその辺りに関しては、これからエビデンスをきちんと出さなければいけない段階にあるものですから、やたらに普及すればいいものではないと。ちょっと慎重にやらなければいけないと私は思っています。
 それから、先ほど岡本先生が御指摘になったこともすごく重要で、花粉関係のアレルギーは、海老澤先生も御指摘になったように、すごく多いのですね。疫学調査はないのかというと実はあります。今、エコチル調査でもやっているし、それから、既に、一般人口を対象として、私たちは成育コホート研究をやっているのですけれども、そこで出てくるのが花粉との交差反応で起こってくる食物アレルギーですね、そういうものが思春期になってくると十数%もあり、すごく多いということです。大人だと、花粉症は25%ぐらいかもしれないけれども、今の子供たちは50%もあり、学童期から急増します。なので、すごく大きな問題で、今、学童期の後半から花粉とフルーツのアレルギーのように、交差反応によって起こる食物アレルギーがすごく増えています。重篤なアナフィラキシーを起こす人は少ないので、自分でちょっと変だなと思いながら病院に行かずに過ごしている人が結構多いという実情もあるかも知れませんが、今すごく増えていて。これはかなり深刻な問題だと私は思います。いわゆる有病率からしたら、子供のいわゆる古典的な卵アレルギー、小麦アレルギー、牛乳アレルギーよりも恐らく多いくらいだろうと思っています。しかも、今それが急増しているので、これを何とかしなければいけないと思うのですね。
 そういう意味では、環境省もスギとかヒノキを一生懸命モニタリングをやっていますが、それだけでは不十分で、シラカバは北海道のように北のほうだけだとしても、抗原が似ているハンノキは東京のほうにもあるし、それに感作を受けている人がすごく多いのですね。子供たちで調べると結構な割合でいる。それから、草のアレルギーですね。そっちのほうのアレルギーも今、結構増えています。今、ヨーロッパなどではむしろそっちのアレルギーが多くて、9月がアレルギーシーズンと言われていますね。だから、雑草の花粉なんかかなり問題で、そういうものとの交差反応で食物アレルギーとかが起こってくるので、そっちのほうのモニタリングも必要で、環境省もスギとかヒノキの花粉を減らせばいいみたいな考えだけだと、間違っていて、樹木の花粉にもいろいろなものがあり、さらに、樹木の花粉だけでなくて、雑草などいろいろな草花の花粉のアレルギー、もとても増えています。ですから、そういうことも総合して考えていかないといけないと思うのですね。
 スギとヒノキをやめて、ほかのものを植えればいいのにというような、そんな考えは完全な誤解で、総合的に考えていかなければいけません。今の子供たちの体質がいろいろな花粉の曝露、さらに、大気汚染物質によるアジュバント効果によって浴びた花粉抗原に感作を受けて花粉症になってしまうことがあるので。ですから、スギやヒノキだけを減らせばいいという考え方を持っている人がまだまだいますが、それは完全な間違いだということを啓発する必要があって、環境省ももっと総合的にその辺りのモニタリングに取り組んでほしいなと思います。
 大気汚染がアレルギーを増やしていく一つのリスクファクターになっているので、喫煙による直接の健康被害だけなく、受動喫煙などによる室内空気汚染や、車のディーゼルの排気ガスやオゾン、PM2.5とかの問題もあります。あともう一つは、最近あまり言わないけれども、シックハウスの問題です。結構劣悪な環境で家の中のカビで悪化している人たちがいるのです。東京などは住宅事情が結構悪くて、狭くて、カビだらけの家に住んでいる人は結構多い印象です。入院させるとすごくよくなったりするという方はいるので、そういう劣悪な住居環境も見直さなければいけないのではないか。一応新築では20年ぐらい前から24時間換気が義務づけられているけれども、寒いからとか、汚い空気が入ってくるからと、空気の入り口を閉じてしまう人がいます。そうすると、コンセントの穴から壁の内側にびっしりついているカビが出てきたりして、体の調子が悪くなってしまう患者がいます。日本の劣悪な住宅の環境はまだ解決されていなくて、そういう環境的な問題も取り組んでいかないと、根本的な予防にはいかないのではないかと思うのです。だから、もっと広い視野でモニタリングとか啓発活動をやっていくことが必要ではないかと思います。
○海老澤会長 御意見承りましたけれども、シックハウスに関しては、基本的にアレルギー疾患対策の範囲外ということだったと、私、認識しております。
 厚生労働省から特に何かありますか。
○桑原課長補佐 特にございません。貴重な御意見ありがとうございました。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 アレルギー物質を含む食品に関する表示等についての科学的な検証を行うという部分について、内閣府のワーキングの委員を務めていたのでコメントしますと、食品安全委員会からの報告結果を踏まえて、これについては修正の方向でよいのかなと思います。
 それと、文部科学省の御発表に関して1つだけ。管理指導表の精度向上というのは、これは各医師会と市区町村の教育委員会の間で取り組んでいるところでありますけれども、国としても何らかのそれを促していくようなことも必要ではないかと、松本先生のお話を聞いていて思いました。
 それと、今回の資料をおつくりになっていただいた2ページ目のところに関して、なぜ、平成26年の3月に最終報告書が出たのかというところのいきさつですね。実は、平成24年12月に調布で給食の事故によって小学校5年生の女児が亡くなっているということがきっかけでこういうこと、そして、平成27年の全国にこういうものを出していったといういきさつはすごく大切な点だと思うので、亡くなったお子さんの命と引き換えにこういうことが進んだということを明記しておいていただきたいなと私は思いました。
 あともう一つ、学校に関して、給食対応が、全国の市区町村がもちろん学校を管理しているのですけれども、そこにおいて設備が十分整ってなくて、給食対応が実際に管理指導表とか運営していても、できていないところがたくさんあると思います。ですから、そういったところに関しても、今後、文部科学省としてどういう対策をしていくかということも非常に重要ではないかと思いますが、それについても御検討いただけたらと思います。
○文部科学省健康教育・食育課 ありがとうございます。経緯も説明いただきまして、ありがとうございました。
 管理指導表のどのように活用がなされているかというところの今実際数字が25年の数字になっておりますので、この辺りも今後ちょっと検討していきたいと考えております。
 それから、管理指導表は改定されまして、活用のしおり等もポータルサイトに掲載して使っていただくように周知をしておりますし、藤澤先生のほうがアレルギー疾患のサポートポータルというのもつくっていただきまして、これも日本学校保健会のポータルサイトで掲載しておりまして、このような周知も併せて努めていきたいと考えております。
 給食のほうも、御意見をいただきましたので、今後、検討課題として承りたいと思います。
 以上です。
○海老澤会長 予算等をきちんとつけていかないと、多分そういうことは動いていかないのではないかと思うので、よろしくお願いいたします。
 保育所の対応について、管理指導表が二十数%しか運用できていないというところについても、これは各市区町村で、保育課は公的な保育所に関しては何らか促していくことは可能ですけれども、私的な保育園とか認可外とかそういったところに対して働きかけていくというのが、学校の命令系統と違って非常に難しいのかなと思うので、その辺をいかに進めていくかというのは今後の課題かなと思って聞かせていただきました。
 保育課のほうで、何か意見はありますか。
○厚生労働省子ども家庭局保育課 御意見ありがとうございます。現段階では、調査というところの予定はございませんが、引き続き、お話しさせていただいたように、研修、リーフレット、ポスター等々、周知のほうは継続して進めていきたいと思っています。ありがとうございます。
○海老澤会長 中西委員から手が挙がっておりますね。お願いします。
○中西委員 荒木田先生がおっしゃっていたように、私も両親学級等々での啓発をぜひしてほしいなと思って挙手させていただきました。
 ここまでのお話を伺っていて、まだ分からないことが多いので発信が難しい分野の話なのだなとは思いました。ポータルについても、すみません、私この委員になるまで存在も知らなかったという状態でして、ちょっともったいないので、もっと積極的にポータルの存在等々を広報したほうがいいと思いました。
 そして先ほど、妊婦、アレルギー、厚生労働省で、ちょっと検索してみたのですけれども、今討議しているアレルギー的なことにドンピシャな感じのものが何も出てこない、食事の取り方みたいなところの項目しか出てこない状態でした。妊婦さんは何か困ったこと、心配なことがあったら、すぐにサイトを検索するというふうになっていますので、そういったところの広報も力を入れていくべきではないかなと思いました。もちろん私のような雑誌等々でも、広報活動は頑張ってやっていくべきだと思っております。
 以上です。
○海老澤会長 貴重な御意見ありがとうございました。
 あとお一人だけにさせていただきたいと思いますが、嵯峨山委員よろしくお願いします。
○嵯峨山委員 失礼いたします。私のほうから、所感も含め2点お話しさせていただきたいと思います。
 まず、アレルギーポータルサイトのことですが、日本学校保健会のホームページからも拝見することができるようになって、大変うれしいと思います。とてもたくさんの情報が分かりやすく示されていて、もっと多くの学校現場の関係者に見ていただきたいと思っています。そこで、日本学校保健会のホームページの中からアレルギーポータルサイトを見ようと思ったら、中へ中へと4回ぐらいクリックして進んでいく必要がありますので、こちらの学校保健ポータルサイトのもう少し目立つ位置にバナーを貼っていただくことなどがもし可能でしたら検討をしていただければ、一層効果的に学校関係者がこちらのサイトにつながって勉強できるのではないかと思います。
 2つ目には、現場で思うことですけれども、一番怖いのは管理表を出してもらっていないといいますか、初発のアナフィラキシーがとても怖いです。初期症状が、ちょっと気分が悪いとか、手足に蕁麻疹ができたということから保健室に来るのですが、急激に症状が進んで意識が薄れていったということが私も経験していますし、いつもそうではなく、時間の経過とともに症状が改善することも多いので、本当にこの場合はかなり注意深く経過観察をしながら、必ず家庭連絡をして、念には念を入れて対応しておるのですが、こういった場合の対応として、注意深く経過を見る必要があるという認識が、遅発性のアナフィラキシーに進む場合もあるので、こういった認識が一般的におうちの方とかに少し薄いのではないかなという気もしておりますので、そういった辺りも広く周知していただければ、子供の命を守るために大切なことかなと感じました。
 失礼いたします。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 文部科学省のほうに、御意見としてお承りいたしました。
 すみません、ちょっと時間のほうが押しておりまして、どうしてもここでということであれば。益子委員、一言どうぞ。
○益子委員 もう時間がないということなので、結構です。
○海老澤会長 よろしいですか。
○益子委員 はい。
○海老澤会長 すみません。
 それでは、続きまして、「第三 医療を提供する体制の確保に関する事項」に関連する議論に入りたいと思います。アレルギー疾患医療提供体制について、御議論いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
 前田委員、よろしくお願いします。
○前田委員 前田です。ありがとうございます。
 医療を提供する体制の確保ということで、移行期医療の体制づくりを進めていただきたいと思います。例えば食物アレルギーでは、小児科で免疫療法を受けている場合に、内科に移っても治療が継続できる、あるいは、小中学生で治療を中断してしまった人が高校生になって、もう一度治療をスタートしようとしたときに受入先に困らないような体制をつくっていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 今、厚生労働省の研究班のほうで、成人の食物アレルギーの診療に関連して、移行期の今、御指摘いただいた点に関しても、日本アレルギー学会の教育研修施設を対象にして調査をしようと、今、準備しておりますので、その実態を把握した後に、対策どういうことができるのかということを検討していきたいと思っております。
 浅野先生、よろしくお願いいたします。
○浅野委員 ちょっと中座しておりまして、申し訳ございませんでした。
 医療提供体制に関してですが、中心拠点病院と都道府県の拠点病院との関係は構築されてきていると思うのですが、今度は、都道府県の拠点病院とその都道府県内の医療機関とのネットワークづくりが重要な課題ではないかと思います。特に三重のほうで藤澤先生がされておられたようなネットワークづくりというのが各都道府県で普及しないと、実際に拠点病院のところに受診できない患者さんにとっては十分な医療が提供できないのではないかと思います。ネットワークづくりをどうするかということは今後の重要な課題ではないでしょうか。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 厚生労働省のほうから、何かございますでしょうか。
○岩佐課長補佐 厚生労働省です。
 まさに、その辺り非常に大事なポイントだと考えております。そういった観点でモデル事業をこれまでにも実施をし、各都道府県においてそういったネットワークをつくっていただくような取組を進めていただいているところで、これから先については、そういったネットワークをいかに横展開してよりよい事例をつくっていっていただけるかということで、取組を進めていきたいと考えます。
○海老澤会長 岡本先生。
○岡本委員 各地域に拠点病院ができて、地域の中でのネットワークの形成が進んできていると思いますが、実際に、これまでどういう成果として見られるのかというのは、モデル事業となったところからは一部報告されていますが、そのほかのところがあまりはっきりしていない。
 それから、もう一つ非常に危惧するのは、新型コロナウイルス感染の広がりの影響はもちろんあると思うのですが、例えば都道府県の拠点病院を中心に各地域にネットワークができても、予算が全く止まってしまったというところが出ています。地域によって事情は全く違うとは思います。千葉県は幸い県からのサポートが続いてはいるのですが、都道府県によっては全くそれがなくなってしまったというところもあるということで、危惧しています。その辺の実態もぜひ調査をしていただければと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 今、厚生労働省の研究班のほうで、指定研究1年間ですけれども、そこで、今、拠点病院の機能に関しての評価をどのようにしていくかという、そういう検討を進めているところでありまして、今年度中に全国の拠点病院を対象にして、先生が御指摘いただいたような点についても調査させていただきたいと思っております。
 中澤委員から手が挙がっています。
○中澤委員 ありがとうございます。すみません、挙手のボタンがなかったので。
 今、お話に出ている都道府県の拠点病院ですけれども、先ほど、資料3の3ページにもありましたように、まだ6つの自治体で拠点病院が設置できていない状況はあるかと思います。今般、コロナ禍にあって拠点病院となるような病院は、多分みんなコロナの対応で精一杯だと思うのですね。恐らく自治体のほうも手一杯な状態で、設置に向けて進めていたところすら止まっているところもあるのではないかなと心配しています。ただ、コロナを越えて、また、そういう余裕が出てきたときに設置を進められるような環境になりましたら、ぜひ、また、前向きに進められるように、国のほうであったりとか、関係学会のほうであったりとか、そういった皆さんに御協力いただきながら、設置が全国47都道府県で全て進んでいくように御協力をお願いしたいと思います。
 以上です。
○桑原課長補佐 事務局でございます。御指摘ありがとうございました。
 中澤委員がおっしゃってくださいましたように、やはりコロナの影響で止まっているというところが多くございました。聞き取り調査をしながら、現在、認定が済んでいない都道府県の担当者におきましても、メールや電話等で御相談等を行い、設置を進める御助言や推進などをさせていただいている次第でございます。
 以上です。
○海老澤会長 矢上先生から、手が挙がっていますか。
○矢上委員 矢上です。ありがとうございます。
 先ほど、金属アレルギーのことをお話しさせていただいたのですけれども、私は皮膚科専門医で、移行期から大人のアレルギーの方を多数診ています。そうしますと、小児は、今、乳幼児から学童で文部科学省も関わっていて、たくさんの医療体制ができていると思います。しかしながら、成人の方はどこにかかればいいのかということ、潜在的にどこにかかって、どういう検査を受けたり治療を受ければいいのかというような情報提供がまだできていない。または、大人を診られるような、例えば歯科と医科が連携できていないとか、たくさんのそういう大人のアレルギーの方のアンメットニーズというのがあると思うのですね。ですから、そういうところから掘り起こしていく、高齢者から成人の方まで幅広い方々が、小児以外の方で何がずっと問題になっていて、それを医療体制で、体制を変えることによってその方々が救われるような、そういう仕組みができたらいいなと思っています。
 ですから、今は、成人食物アレルギーが動いていますけれども、それは第一歩ですごくうれしいのですけれども、接触皮膚炎や金属アレルギー等、多くの幅広い方が悩んでいるような疾患にも目を向けていただけると、すごくありがたいと思います。
 ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 佐藤先生、どうぞ。
○佐藤委員 ただいま、矢上先生からもお話ありましたので、私も医科との連携ということで、このネットワークの中に何とか組み込んでいただければと思いました。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 成人のアレルギーをきちんと診ていくことは非常に重要な点ではないかと思います。ただ、今は、全国的に成人の患者さんのアレルギーを診ていくときに、診療報酬の面からサポートが全くないというところにおいて、多分それをきちんとやっていこうという医師がなかなか多くなくて、また、患者さんもそういうところにたどり着けてないという、そういう問題があるのかなと理解しております。その辺については、今後、成人の食物アレルギーが一つのきっかけになれば、また、いいかなと思っているのですけれども、ただ、すごく大きな課題なので、成人のアレルギーをきちんと診ていく体制づくりをどういうふうにしていったらいいかというのは、今後の非常に大きな問題かなと認識しております。どこから手をつけていいかというとなかなか難しいのですけれども、桑原先生、何か意見ありますか。
○桑原課長補佐 事務局です。ありがとうございます。
 多くの委員の方々や海老澤先生からも御意見ございましたように、食物アレルギーを含めて成人のアレルギーに関しては、課題となっていることは認識しております。ですので、現在、厚労科研で海老澤先生に、成人の食物アレルギーの研究を行っていただいているところでございますので、そのように、成人のアレルギーに対しても今後取組を進めていきたいと考えております。
○海老澤会長 浅野先生、成人のアレルギーをきちんと診ていけるような体制づくりに必要なことは、具体的に、先生から何か御提言とかもしあったら、お願いしたいと思います。
○浅野委員 ありがとうございます。
 1つは、成人のアレルギーの場合、小児から移行してくるタイプのアレルギー疾患と、成人特有のアレルギー疾患とがあると思います。この辺りが今の体制ですと、小児から移行してくるものに関しては、ある程度移行期を含めてやっていくという形でできていくのかとは思うのですが、成人特有の疾患に関しての議論は、今回の議事次第をいただいたときに、全く欠落していると感じました。その辺りをどういうふうな形でしていただくのがよいのか、私もすぐ答えはないのですけれども、ぜひ、今後御検討いただければと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 加藤先生がちょっと遅れて入られたのですけれども、加藤先生にも一言、今の成人のアレルギーをいかにきちんと診ていくかという点について、御意見いただけたらと思います。
○加藤委員 遅れて、申し訳ございません。京都府立医大皮膚科の加藤と申します。
 私たちのところでも、成人の食物アレルギー、薬物アレルギーの皮膚試験、負荷試験をかなりやっています。食物については、海老澤先生がおっしゃったように、診療報酬は小児のみということですので、診療報酬のところも含めて充実させていくことが必要ではないのかなと思っております。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 医療提供体制に関しては、今後のすごく大きな課題として、成人期発症のアレルギーをいかにきちんと診ていくかという点について、長い目でというか、今後の検討課題として承ったということで進めていきたいなと思います。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
 上島委員が退室されたのですけれども、その際にコメントをいただきましたので、そちらを発表させていただきます。
○上島委員(代読) アレルギーポータルの日本の取組として、研究の紹介をされていますが、厚労科研やAMED研究への入り口のみであり、そこをクリックしても、アレルギーに関してどういう研究があるか自分では検索が必要な状況です。一般の方には敷居が高いと思いますので、アレルギーをキーワードとした研究を見やすくするような工夫がなされてもよいかと思います。
 という御意見をいただいてございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 さらに、疫学研究や実態調査という言葉が何回か出てきましたので、エコチル調査の中でも意識していきたいと思いますという上島委員のコメントでした。ありがとうございます。
 それでは、次の「第四 調査及び研究に関する事項」に関係する議論に入りたいと思います。
 資料2の5ページのマル1~マル5に関して、御意見・御提言等ございましたら、よろしくお願いしたいと思います。
 これに関しては、既に、岡本先生から、花粉症について、スギ花粉だけでなくて、ほかの花粉症も含めた調査等が必要だろうという話と、あと、文部科学省関係、厚生労働省関係において、ガイドライン等を改定した後に、それが実際にどういうふうに作用しているのかとかそういったような評価をきちんとしていくことが定期的に必要であろうということが、先ほど既に議論として挙がってきておりましたけれども、それ以外に関して、何かございますでしょうか。
 岡本先生、お願いします。
○岡本委員 どうもありがとうございます。
 花粉に関しては、先ほど大矢先生からコメントをいただいたように、口腔アレルギー、食物アレルギーとの関係が増加している、そのとおりだと思うのですが、大きな課題は、その根本の花粉測定そのものが、どんなものがどこでどれぐらい飛んでいるのかというデータがどんどん欠けてきている。花粉測定がこれまでボランティアで行われていたということが背景にあると思います。花粉測定についても、今後、きちんとした形でぜひ進めていただく必要があると思います。
 それから、治療に関して、アレルギー治療に様々な抗体医療が入ってきて、選択肢が増えてきて、有効性も高いというのは確かだと思うのですが、一方、費用の問題も大きいです。今後のことを考えると、アレルゲン免疫治療は欠くことができないと思います。ただ、例えばぜん息では、残念ながら国内ではぜん息の適用に舌下免疫療法はなっていない。海外では認められています。企業への適用拡大の働きかけをぜひ進めていく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 花粉の測定について、過去それぞれの例えば相模原病院の屋上において我々もやっているのですけれども、確かに先生おっしゃるとおりボランティア活動になっている状態で、そういうものを諸外国においてはきちんと測っておりますので、国としてそういうことが対応できるのかどうかというところですね。環境省としてとか、また、国としてそういう対応がきちんとできるようにしていく必要があるという御提言とお伺いいたしました。ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 舌下免疫の適用拡大等については、そうすると、それは学会と厚生労働省と併せて企業に対して働きかけていくという、そういうスキームですかね。
○岡本委員 ぜひ、そういう形が必要だと思います。高い有効性や効果の持続を示すエビデンスがいくつも明らかになってきているので、ぜひ、そういうところを進めていただければと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 抗体製剤とかもできてきて、アレルゲン免疫療法の有効性とか、治療における医療経済学とかも含めてそういうのはきちんと評価取り組んでいかなければいけないのではないかと思っております。
 ほかはいかがでしょうか。
 このパートについてはよろしいでしょうか。
 そうしましたら、最後の「第五 その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項」に関係する議論に入りたいと思います。その他ということで、これまでの枠組みに入らなかった御意見もぜひここでお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
 ここでは、例えばガイドラインとか、あるいは自治体でのアレルギー対応部署、災害時の対応等も、意見として事前にいただいておりますが、下浦委員よろしくお願いします。
○下浦委員 ありがとうございます。私のほうから、この項目のところでは2点ほどお伺いしたいと思っております。
 まず1点目のマル3のアレルギー疾患医療に係る職種の関連学会等を有する認定制度等の有効活用というところです。今、日本栄養士会では、食物アレルギーに関して、日本小児臨床アレルギー学会を中心にこういった認定制度を立ち上げようとしているところでございまして、そこはこちらのほうで粛々と進めてはいるのですけれども、海老澤先生が今回日本アレルギー学会の理事長になられたことと、先ほどの議論の中では成人のアレルギー対応の推進に向けてという話もあったかと思っておりますので、そういった意味では小児だけではなく成人も含めた形でこの認定に向けて推進をしていきたいと考えているところでございます。
 これは私の感想といいますか、先ほど西間先生のご説明の中で、特に金属アレルギーの中では一部食事の制限食も必要ということでした。実は足立厚子先生がご勤務の兵庫県立加古川医療センターで私も以前勤務しておりました。そう言えば、足立先生のほうからこういった食物アレルギーの方の食事制限食についていろいろな指導を受けたなというのを思い出しました。そういった金属性アレルギーも含めた形での管理栄養士、栄養士の認定制度の推進に向けて進めていきたいと考えています。
 それから、2点目が12の平常時・災害時における、国、地方公共団体の実施すべき役割の整備というところです。特に災害時においては、資料3の8ページに「大規模災害時におけるアレルギー疾患患者の問題の把握とその解決に向けた研究」ということで、今回、厚生労働省の事務局であります桑原先生、それから、主として帝京大学の小林先生を中心にこの研究が進められているところでございまして、私どももそれに関しては協力をさせていただいております。まさに、災害時の要配慮者の中でもアレルギー疾患患者さんに対していち早く手を差し伸べないといけないということで、災害時において支援活動ができるようにチームとして体制を組んでいるところでございます。ぜひ、この研究の成果を施策のほうに反映していただければありがたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○海老澤会長 貴重な御意見ありがとうございます。
 それでは、4名から手が挙がっておりますので、順番にお願いします。宮﨑委員よろしくお願いします。
○宮﨑委員 先ほど下浦先生からもお話しいただいた災害に関する研究をしていただいているところなのですが、患者側からも今までの災害支援活動を行った経験からに国とか小児アレルギー学会では、災害時の相談窓口をつくっていただいているのを知ったのですが、地域でもアレルギー担当窓口が必要ではないか、また、その事前周知が必要だと思った経験がありましたので、少しお話しさせていただきます。
 2018年の西日本豪雨災害で被災された広島県の患者会へ支援活動をしたのですが、自助をしていても、水没したり、また、避難所で備蓄食品があったとしても、粉ミルクとアルファ化米のみだけなどの例もあり、嘔吐や、猛暑で発熱を起こす方たちから、何か食べられるものが欲しいというSOSを聞きました。市町村に問い合わせても、対応者が分からないなどとたらい回しになった例もあるそうです。
 また、当時被災時にアレルギーに関する情報や相談窓口を、必要とされる方へ貼り紙とかテレビなど周知をしていただいたのですが、現在、情報収集はインターネットや携帯を使われている方が多いため情報が届かず、また、患者会に入っておられない方も情報収集には苦労されたようです。被災する前から、地域のアレルギー相談窓口をつくっていただけるよう統一していただくことが重要だと思いました。あとは、市町村と支援していただく方との連携がうまくとれるように、情報がどこに集まるのかということを、患者側や市町村等にも事前周知しておくことが必要ではないかと思います。さらに、そこの情報が一本化されることで、また、自助も促進するのではないかと思いました。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 この間も、災害対応の件で会議があったのですけれども、地方拠点病院が、今後、行政と協力して都道府県の対応についてしていけるような体制づくりが望ましいのではないかという話も出てきておりました。また、研究班のほうでいろいろな資料とか役に立つものを多分つくっていただけると思うので、そういったものを紙ベースではなくて、おっしゃるようにネット上できちんと見ていかれるようなものにしていっていただくようにしていけたらなと思いますけれども、藤澤先生、それに関して何かコメントはございますか。
○藤澤委員 小林先生の研究班で、今、調査を行いまして、実態、行政あるいは患者さん、それから、医療機関、それぞれのレベルでの問題点を明らかにされて、これからどのように有効な情報発信をしていくかということで、最終的には役に立つツールづくりということで、最終のアウトプットとしたいとされています。その中に、海老澤先生もおっしゃったように、地方拠点病院の役割、そのネットワークをつくっていく必要があろうかということになっています。そこら辺の提言が研究班からはなされると思います。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 続きまして、前田委員お願いします。
○前田委員 前田です。ありがとうございます。
 今のお話少し重なる部分があるのですけれども、資料1-1の中のP5、五-10と11に関わる地方公共団体に関する部分ですけれども、各市区町村の中での連携が、今、課題だと思っております。行政として物事を決めたり、実行しやすい単位で住民に直結しているものが市区町村だと思います。アレルギー連絡会のような横でつながる仕組みづくりを進めてほしいと思います。アレルギー疾患のある一人の小学生は、子育て支援、教育委員会、保健部門、地域活動部門等、たくさんの部門にまたがって関係していて、その部門ごとに取組はしているのですけれども、ほかの部署が何をしているかは知らないということがあるのではないかと思います。お互いに情報共有して、住民に必要な情報を効率よく提供してほしいと思います。保育部門なら保育園から保護者へ、教育委員会なら学校から子供を通して保護者へ、子供支援部門なら地域の児童センターから保護者へ,毎日人が集まってくるという恵まれたルートはあるので、患者さんへの漏れのない情報伝達のためにもお願いしたいと思います。10番にありますアレルギー疾患を統括する部署または担当者の設置がどういう状況か分からないのですけれども、これが明確になれば先に進みやすいのではないかと思っております。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 国だけではなくて、地方の縦割り行政でなくやってもらいたいと、そういう御意見だと御拝聴いたしました。地域のアレルギー担当を唯一置いている都道府県は東京都だけです。ほかの都道府県は、多分、自分が認識している限りでは、どこもなかったと思います。今後、コロナが落ち着いた後に、そういうのが置いていただけるように働きかけていくということは重要かなと思っております。
 荒木田委員、お願いします。
○荒木田委員 ありがとうございます。
 私はアレルギー疾患を有する者への両立支援というところで少し要望を出させていただきたいなと思っております。産業保健の中で、今、両立支援というところはすごく重要視されていまして、両立支援コーディネーターというのがかなりな数養成されております。労働者健康安全機構などで両立支援コーディネーターの養成をしているのですが、本当に時間的なところでがんとか難病とかというところが中心にはなってくると思うのですが、先ほど来お話がありますような、精神のアレルギーを含めてこの両立支援というところでアレルギーの内容に入れていっていただきたいという具体的なことになります。今のところでは、特にコーディネーターの教育内容にそれほど時間を割けないとは思うのですが、あまりアレルギーの事例が入っていないというふうに拝見させていただきました。ハンドブックではなくて、ガイドラインが出ておりますので、ぜひ、そういったものを活用して両立支援コーディネーターの教育にアレルギーを入れていただきたいなと思いました。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。厚生労働省として承ったということでよろしいでしょうか。
○桑原課長補佐 事務局です。
 貴重な御意見ありがとうございました。昨年度まで、加藤先生に両立支援に関するマニュアルを作成いただきましたので、引き続き、厚生労働省としても取り組んでいきたいと考えております。
○海老澤会長 続きまして、益子委員お願いします。
○益子委員 失礼いたします。先ほど質問できなかった分をチャットでも上げさせていただきましたが、ここでお願いいたします。
 「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」についてです。改訂をしていただきまして、ありがとうございました。保育士や当会役員からも、そして、預ける立場である保護者の方からも、非常に分かりやすいガイドラインだという声を伺っております。患者会としてもありがたいと感じております。しかし、こちらのガイドラインを知らないという保育士に出会った保護者がいるという長崎の現状もございます。そして、保育士より、血液検査で数値が出ていないアレルギーではない食物アレルギー等を知らないと言われたという保護者からの御相談を受けたこともございますので、周知徹底に対して、もっと強くしていただければありがたいと思っております。
 そして、もう一点、先日、長崎県私立学校の教頭会に行って、長崎市内の中学生でたばこの残り香でアレルギーを発症するという事例の生徒がおり、プライベートでのたばこを吸わない教員を配置する人事をしているという話を伺いました。たばことアレルギーに関しまして、教育現場の教員が参考にできる資料があると大変ありがたいと感じております。そして、アレルギーポータルに関しましても、教頭会で紹介しましたところ、知らない管理職ばかりという現状でした。
 以上でございます。ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 保育所・保育園に関しては、さっき申し上げたとおり、学校現場と違ってなかなか一筋縄ではいかないということがあると思います。それをどういうふうに解決していくかということに関してはすごく難しい点だと思うのですけれども、保育課のほうで、今のことについて御発言いただけますか。
○厚生労働省子ども家庭局保育課 貴重な御意見ありがとうございます。
 先ほどもお話しさせていただきましたけれども、現段階においては、調査等々の予定はないのですけれども、引き続き、先ほど御意見をいただきましたので、周知に努めていくということで、こちらのほうでも真摯に受け止めたいと思います。ありがとうございます。
○益子委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 たばこに関しては、先ほど藤澤先生からもお話ありましたけれども、また、厚生労働省のほうでも啓発等をしていただけると認識しておりますので、承りました。
 浅野委員、お願いします。
○浅野委員 ちょっと中座しておりましたので、その間に既にお話が出ていたかもしれませんが、アレルギー疾患対策基本法の中に含まれない薬物アレルギーについて、今後、ぜひ検討をしていただければと思っております。薬物アレルギーの中でも、皮膚に症状が出るものに関しては、ある程度アレルギーに関する専門知識のある医師に受診をすることになりますけれども、そうでない場合、アレルギー専門医ではない医師が診るケースがほとんどになります。成人におけるアレルギーの中でも、薬物アレルギーは非常に重要な問題かと思います。PMDAへの報告という形では、恐らくほとんどのものは見逃されている状態かと思いますので、精緻なサーベイランスができるようなシステムづくりからまず検討いただきたいと思います。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○岩佐課長補佐 厚生労働省です。
 薬物アレルギーの中で皮膚に症状が出ないものというのを、ちょっとイメージとしてどういうふうに拾い上げていけばいいのかとか、その辺りは何かアイデアをお持ちでしょうか。
○浅野委員 一番分かりやすいのはアナフィラキシーですけれども、それ以外に、臓器障害として出てくるようなもの、あるいは肝臓といったようなものもあります。その辺りを、全てを網羅するというのは最初からするのは難しいと思いますけれども、アレルギー性の機序が疑われるものをピックアップしていくということは必要だと思います。
○岩佐課長補佐 1つ先ほどPMDAということもおっしゃられましたが、薬物に対する副作用という観点での取組は一定程度されているのかなと思っているのですが、それとは違った仕組みが必要というふうな御意見なのでしょうか。
○浅野委員 薬物に対してアレルギーがあるからその薬剤は使わないだけでは済まないケースが非常に多いです。ですので、アレルギーがある場合に、どのようにして使っていくのかというようなことも含めたことが必要になってくるのではないかと思っています。例えば抗がん薬等に対するアレルギーですね。それが使えないということになると患者さんにとっては大きな不利益になります。
○海老澤会長 そうすると、先生、脱感作とかそういうことも視野に入れてという、そういうお話ですね。
○浅野委員 そうですね。脱感作がある程度プロトコルがあるものもありますし、逆にないものもありますので、どういったものが脱感作の適応になるのか、どういうプロトコルがよいのか、そういったようなところをきちんと情報提供ができるようなものは必要なのではないでしょうか。
○海老澤会長 今度、先生、日本アレルギー学会のほうでつくる総合アレルギーガイドラインの中で入れていく薬剤アレルギーのパートについて、その辺も含めてという理解でよろしいでしょうか。
○浅野委員 それは非常に重要な情報提供だと思います。海外の学会では薬物アレルギーは非常に大きなテーマの1つでもあります。例えば造影剤に対するアレルギーだったりとか、あるいは、抗がん薬に対するアレルギーだったりとか、そういったものに対してもシンポジウムみたいなものがしばしば開かれていますので、そういったようなものは我が国においても必要だと思いますし、そういったものに対する情報提供できるような体制も必要だと思います。また、その前に、どれぐらいの薬剤アレルギーを発症している方がおられるかというサーベイランスが必要なのではないかと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 加藤先生から手が挙がっています。よろしくお願いします。
○加藤委員 私も途中から参加なので、金属アレルギーのところをしっかり聞けなかったので、もし重なっていたら申し訳ないのですが、例えば歯科金属でパッチテストをして陽性だった場合に、その金属を除去したことでその皮膚の病気が治るかどうかというのは結構乖離がある場合もあるということが言われていますので、そのパッチテストをするということとともに、どういう患者さんでは歯科金属の除去をすべきなのかというようなところをしっかりと疫学的なところを含めて研究をしていって、それらに基づいたガイドラインが出されていくことが必要なのだろうということを思いました。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 本日の成人アレルギーをいかにきちんと診ていくかという観点から、金属アレルギーも1つでしょうし、薬剤アレルギー、成人の食物アレルギー、今の臓器別の切り口で診られてないところをいかにきちんと診ていくかという、そういうところがこのアレルギー対策において今後大切な課題なのかなと認識したということだと思います。
 浅野先生、一応そういう方向性で成人のアレルギーもきちんとやっていこうということでよろしいでしょうか。
○浅野委員 はい。ぜひよろしくお願いします。
○海老澤会長 矢上先生もそういう方向性でよろしいですかね。
○矢上委員 ありがとうございます。お願いいたします。
○海老澤会長 藤澤先生、手が挙がっていますね。
○藤澤委員 ありがとうございます。
 児童施設のアレルギー対策について一言発言させていただきますが、学校と保育所についてはガイドラインができましたが、基本的に難しい点がありまして、食物アレルギーを持つ小児は、必要最小限の除去ということになっていて、食べられるものは食べていきましょう。ですが、学校、保育所、集団生活の中では、それぞれ段階の違う除去食であると安全が確保されないということで、基本的に、除去か除去でないかという二択に、学校・保育所の姿勢なのですが、児童養護施設の場合は、そこが生活の場、家庭でもあるという問題があって、それはほかの子たちと同じように食べさせてあげたいというところはありながら、しかし、人員あるいはいろいろな体制が十分ではないということで対応できないという問題があるということで、このガイドラインの案はできましたが、なかなかそこは明確には方針が出せないというところですので、ここら辺は非常に難しい問題ですが、今後、このガイドライン(案)をガイドラインにしていただけるように、引き続き、御検討いただけたらと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 私も以前、児童養護施設に入所しているお子さんを診ていたことがあるのですけれども、そのときはその養護施設の方がいつも外来について来てくれて、きちんとそこで管理してくれていたのですね。ですから、マンパワー的な問題がきっとあるのかなと思うのですけれども、そうやって十分対応できるところは対応できるし、なかなか手薄いところだと難しいという、そういう状況なのかなと理解しましたけれども、その辺が多分全国に画一的に発出できないという問題点なのかなと思いました。どうもありがとうございます。
 ほかに御意見いかがでしょうか。
 二から五までやってまいりましたけれども、大体委員の先生方の意見はできたということでよろしいでしょうか。
 西間先生、ずっと発言する機会がなくてすみません。
○西間参考人 ずっと私聞いておりましたけれども、ちょっと決定的にというか、非常に不十分なところがあったと思います。それは資料1-1の3ページを御覧いただくと分かると思うのですけれども、アレルギー疾患対策基本法で特に基本的な施策として打ち上げているのが4つあるわけですね。この4つの根本に流れているのが、この法律をつくったときに、患者さんのほうから、ガイドラインに基づいた、つまりエビデンスに基づいた医療がどこでも受けられる、均てん化ということが強く望まれていた背景があります。
 そういう面から見ると、2)の医療従事者の育成、これは非常にまだ不十分な状況です。それから、拠点病院を中心とした医療機関の整備も遅々として進んでおりません。それから、4)の研究の推進の中で、疫学研究は全くと言っていいほど手つかずのままでありますし、臨床研究は、患者さんたちの希望は、患者ベースのというか、患者視点の臨床研究をしっかりとやっていただきたいというものがありましたので、この辺については、スタートのときから今5年ぐらいたつのですけれども、非常に不十分な状況にあるということで、大きな大本のところでの議論もしていただきたかったなと思っておりました。
○海老澤会長 高所から重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、大体これで予定していた時間の7時になりましたので、委員の先生方から御発言がなければ、ここで時間なので終わりたいと思いますが、最後に、本日の議論を踏まえまして、次回の協議会では、基本指針の改正に向けた議論の骨子を示して、具体的に議論したいと思います。このため、委員の先生方におかれましては、本日の協議会中にお伺いできなかった御意見も含めて御意見を提出していただきたいと思います。
 会の後に、事務局から、各委員への先生方に御意見の提出の詳細について連絡してもらいますので、1週間程度で御意見を頂戴いただきますようお願い申し上げます。
 事務局からはよろしいですか。
 以上で本日の協議会を終了したいと思います。
 委員の皆様、長時間にわたり誠にありがとうございました