地方課

各地方厚生(支)局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等の評価について(平成30年度・令和元年度)

 厚生労働省大臣官房地方課は、平成30年度及び令和元年度の各地方厚生(支)局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、次のとおり評価を行いました。
 また、当該評価結果については、外部有識者を委員とする地方支分部局法令遵守委員会の各委員に報告し、その際の意見とともに、令和3年8月27日付けで各地方厚生(支)局宛て通知しました。
 平成29年1月31日付け地方課長通達「地方厚生(支)局における法令遵守の徹底について」に基づく各地方厚生(支)局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、以下のとおり総括的に評価する。

1 定期的な内部点検結果について

 各地方厚生(支)局における法令遵守の実施状況の定期的な内部点検は、「法令遵守チェックリスト」を用いて、各地方厚生(支)局長が自ら点検と検証を実施し、当課に報告してきたところである。
 その報告をみると、地方厚生(支)局法令遵守要綱(平成23年7月4日制定)に基づき法令遵守の徹底についての取組が行われており、一部において問題点が発生し、是正措置等を講じることとなった例もあるが、概ね適正に実施されているものと評価される。
 
【是正措置等を講じた事例】
● 公務員倫理の徹底と綱紀保持
 ・窃盗による逮捕事案があった。【H30】
 ・個人を疎外するハラスメントがあった。【R1】
● 行政文書の保存
 ・行政文書を保存するドッチファイルの背表紙に必要な記載事項が漏れているものがあった。【R1】
● 保有個人情報の管理
 ・書類の誤送付、メール・FAXの誤送信があった。【R1】

2 会計事務監査指導結果について

 大臣官房会計課監査指導室による一般監査指導は、平成30年度は6地方厚生(支)局等(平成29年度は4地方厚生(支)局等)に対して実施されたところ、是正等を要するものとして指摘された件数は27件であり、平成29年度(22件)と比較して、1地方厚生(支)局等あたりの件数は減少している。また、令和元年度は4地方厚生局に対して実施されたところ、是正等を要するものとして指摘された件数は16件であり、平成30年度と比較して1地方厚生(支)局等あたりの件数は減少しており、この3ヵ年において指摘件数は減少傾向が見られるところではあるが、次のとおり指摘を受けたことから、引き続き適正な会計経理事務を行うよう徹底することが必要である。
 
【主な指摘事項】
● 検査職員として任命されていない者が検査を行っていた。【H30】
● 航空機を利用した旅行について、支払に関する証明書類が不足している。【H30】
● 資金前渡官吏が取り扱う小切手帳及び国庫金振替書に連続番号が附されていない。【H30】
● 一部の契約書について、契約書に記載すべき「契約保証金」に関する事項が定められていない。【H30】
● 借り上げ物品を物品管理簿に記録していない。【H30】
● システムへの入力誤りによる振込不能が多数発生した。【R1】
● 官署支出官に係る証拠書類の編綴状況について、予定価格等に関する証拠書類が編綴されていなかった。【R1】

3 1及び2に係る評価について

 上記1、2を踏まえ、当課においては、各地方厚生(支)局における法令遵守の徹底に係る取組について、次のように総括的に評価等を行うこととする。
 
(1)総括的な評価について
各地方厚生(支)局における法令遵守の徹底に係る取組は、概ね適正に実施されていると評価できるが、ハラスメント対策、行政文書の適正な保存と管理、保有個人情報の厳正な取扱い及び漏えい防止、会計経理事務手続の適切な事務処理等、引き続き取り組むべき課題も見られた。
 
(2)これまでの取組について
地方厚生(支)局長会議等の機会を捉え、管理職員としてのハラスメント対策の重要性、メール誤送信による個人情報漏えい等の情報セキュリティインシデントを防ぐための具体的な対策等について周知徹底し、法令遵守の意識向上を図ってきたところである。
また、会計経理事務の適正化にあたって、会計事務監査指導において指摘を受けた事項についてその原因を分析させるとともに、指摘内容を全地方厚生(支)局に情報提供し、今後の会計監査指導等において同様の指摘を受けることがないよう、より一層必要な措置を講じるよう指示を行ってきた。
各地方厚生(支)局等において、それぞれ必要な措置を講じているところではあるが、改めて以下の取組の状況を把握の上、必要に応じて所要の対策を講じさせることとする。
 
(3)具体的な取組指示について
ア ハラスメント対策、法令や服務規律等の遵守に係る意識の向上に必要な措置を講じること。【公務員倫理の徹底と綱紀保持】
イ 会計事務監査指導等における指摘事項について原因を再認識するとともに、再発防止策を確実に実施する等、今後の会計事務監査指導等で同様の指摘を受けることのないよう徹底を図ること。【適正な会計経理事務等の徹底】
ウ 保有個人情報の取扱いについての意識の向上に必要な措置を講じるとともに、個人情報漏えい防止対策を徹底すること。【保有個人情報の適正な管理】
 
 以上の改善措置の取組状況を確認するため、大臣官房地方課地方支分部局法令遵守室員が計画的に実地にて検分することとする。

地方支分部局法令遵守委員会委員の主な意見(平成30年度・令和元年度)

○ 会計事務監査指導における指摘事項について、誤ったシステム入力により多くの振込不能が発生した事案以外は、基本動作を怠った結果のミスであるように思える。
 
○ 人事異動等による引継ぎ時にミスが多くなるのではないかと考える。引継ぎ等で過去の事案が共有されておらず、再発防止措置が機能していない場合があるのであれば、よくある間違いをとりまとめて共有する等を検討してほしい。
 
○ 認められた問題点について、国民に与える影響や国民が関心を寄せるような事項等、より職員が考える機会になると考える重大な案件に絞って注意喚起をするなど工夫してほしい。
 
○ 公務員倫理の徹底と綱紀保持に関する取組として、局独自で実施したアンケートは良いと考える。他局にも共有すると、各局における今後の取組みの参考になる。
 
○ 今後、新型コロナウイルス感染防止に関係したストレスによるメンタルへの影響が懸念される。それにより、パワー・ハラスメント、長期の病気休暇を含めた欠勤等につながることがある。職員が一人で悩みを抱えることのないよう、健康管理医などの相談体制の周知の取組みをお願いしたい。
 
○ パワー・ハラスメントの相談については、業務上必要な会話等によるものがあるため、事実確認・評価においては、慎重に対応する必要がある。また、パワー・ハラスメントの調査において、周囲の職員からの調査は大切であるが、その場合、調査に協力をしたことによりその人が不利益な取扱いを受けることがないようにしないといけない。
 
○ 内部通報制度について、制度を知っていても詮索されることを望まない職員がいることも考えられるため、各局でそれぞれ周知しているのであれば、実際に内部通報制度が機能しているかどうかを確認するためにも、時期をみて一般職員に対し、知っているか、知っていても利用するか、利用しない場合の理由は何か等、周知状況等について、アンケートによる調査の実施を検討するとよい。

厚生労働本省の地方支分部局の職員等からの法令違反行為に関する通報対応の仕組みの運用状況(平成30年度・令和元年度)

 厚生労働本省の地方支分部局(都道府県労働局(労働基準監督署・公共職業安定所を含む。)及び地方厚生(支)局)の職員等からの法令違反行為に関する通報対応の仕組みの運用状況について、平成30年度及び令和元年度は以下のとおりでした。

平成30年度

  通報又は入手した情報  
調査(事実確認)に着手したもの  
事実関係が確認され、是正等措置を講じたもの
 件数 55 18
   内部窓口 46
 外部窓口

令和元年度

  通報又は入手した情報  
調査(事実確認)に着手したもの  
事実関係が確認され、是正等措置を講じたもの
 件数 39 15
   内部窓口 35 14
 外部窓口
※ 通報又は入手した情報について、法令違反行為に関する内容であって、具体的なものについては、全件、調査(事実確認)を行っています。

(厚生労働省大臣官房地方課 03-5253-1111(内線7270))