第144回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和3年7月29日(木)15:00~17:08

場所

全国都市会館

議題

  1. 1.診療報酬改定の基本方針について(前回の振り返り)
  2. 2.医療費適正化計画の見直しについて
  3. 3.保健事業における事業主健診情報の活用について
  4. 4.今後のNDBについて
  5. 5.オンライン資格確認等システムについて

議事

議事内容

○須田課長 定刻になりましたので、ただいまより第144回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
また、議題に対して賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、一瀬委員、本多委員、菅原委員より御欠席の御連絡をいただいております。安藤委員におかれましては、少し遅れておられます。
本日、記者の方には、別室にて会議の模様を傍聴いただいております。会議冒頭のカメラの頭撮りがございましたら、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○須田課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
本多委員の代理といたしまして、井上参考人の出席につき御承認いただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、出席をお認めしたいと思います。
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
本日は、「診療報酬改定の基本方針について(前回の振り返り)」、2番目として「医療費適正化計画の見直しについて」、3番目として「保健事業における事業主健診情報の活用について」、4番目として「今後のNDBについて」、5番目といたしまして「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。
初めに、「診療報酬改定の基本方針について(前回の振り返り)」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料1「診療報酬改定の基本方針について(前回の振り返り)」を御覧いただきたいと思います。
おめくりいただきまして、診療報酬改定は2年に一度ということで、次回は、診療報酬は令和4年度改定です。
それで、おさらいになりますけれども、診療報酬改定に関する社会保障審議会医療保険部会の皆様方の関わりでございます。まず、診療報酬全体についての医療費総額の決定は内閣で行います。一方で、医療費の分配の決定は中央社会保険医療協議会で議論して決めていくことになります。この社会保障審議会の医療保険部会、これは医療部会とともにですが、何を行うかといいますと、医療政策の方針の決定ということで、診療報酬改定に当たってどういう方針で臨むのかという方針を決定します。この部会と医療部会と両方で議論していきながら決めていくことになります。
次の資料を見ていただきたいのですけれども、参考までに令和2年度の診療報酬改定の基本方針はどういう内容かということで概要を用意しております。
2部構成になっていまして、1部としまして、改定に当たっての基本的な認識をどういうふうに考えるのかということでございます。参考までに、前回は、全世代型社会保障の実現、また、身近な医療の実現、また、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進、最後に4番目の認識としまして、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政等の調和ということを置いております。
もう一つの部の構成としまして、改定の基本的視点とその視点に基づいた具体的な方向性ということにしております。これが4つありまして、御覧のとおり、「1 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」、「2 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」、「3 医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」、「4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」ということが前回の基本方針になっております。
今後、皆様方の意見を通じて、令和4年度の診療報酬改定に当たってどういう方針で臨むのかということをこれから議論いただいて、つくっていくということなりますので、よろしくお願いいたします。
事務局からの説明は以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、平井委員、よろしくお願いいたします。
○平井委員 本日も、田辺部会長をはじめ皆様の大変貴重な御議論をいただきまして本当にありがとうございました。また、内容的にも進めていただいていることに感謝を申し上げたいと思います。
今日は議題が幾つかありますが、この後、クラスター関係がございまして、ちょっと抜けさせていただきますので、申し訳ありませんが、まとめてお話し申し上げたいと思います。
今、お話がございました診療報酬改定の方針については評価させていただきたいと思いますが、国民レベルで議論、しっかりとした検討をしていただくことが大切かなと。特にコロナ禍がまだ続いておりますので、そうした議論を今後も求めていきたいということであります。
次の医療費の適正化についてでありますけれども、若干懸念をいたしておりますのは、医療費の額と連動して保険料が決まる仕組みというのは、一見合理的ではあるのですけれども、被保険者のほうでは負担が簡単に累増してしまうことになりまして、その辺の十分な理解が得られるような議論が必要ではないだろうかということでありまして、慎重な検討をお願い申し上げたいと思います。
また、地域医療計画に絡めまして医療費の問題というのも記載があるわけでございますが、病床の機能の分化、また連携の推進というものを特記事項ということで書くということでありますが、必ずしも今のコロナの状況の中で、地域医療計画の名の下に病院を統合・廃止をするという単純なことには理解が得にくい状況でありますし、コロナは今急上昇しておりまして、対応に追われている現場からしますと、士気の低下につながるのではないかと考えております。
単に医療費を減らすということではなくて、やはり適正化なのでありますから、適正な医療費水準になるように様々な工夫をしていくというアプローチなのではないかと思います。そういう意味では、単純に病床の機能の分化、連携、推進という言葉の下に統廃合、あるいはドラスティックな見直しを強調するのはどうかなということであります。
また、その後の40歳未満の健診のことやNDBにつきましては、個人情報との関係を若干気にしておりまして、そうしたところに対して配慮をしながら議論を進めていただく必要があるのではないかと思います。
あと、もう一点のことにつきましては、顔認証、オンラインの資格認証等、確認のシステムが若干遅れていますけれども、それにさらに先立つ問題として、マイナンバーカードを健康保険に使うことの周知徹底、理解が国民の間でまだ十分広がっていないのではないかということを心配しております。
ぜひそういう幅広い見地でこの問題を、まずは利便性、あるいは医療の高度化ということの使命があるのでしょうから、その理解を国民に得ていただくことをまずもって行っていただきたいと思います。ありがとうございました。
○田辺部会長 平井委員、ありがとうございました。
それでは、石上委員、よろしくお願いいたします。
○石上委員 ありがとうございます。
今回の基本方針の議論ですけれども、日本全体の医療提供体制の在り方と医療保険の持続可能性の確保が引き続きの課題だと認識をしております。制度別、個別の議論ではやはり解決は難しいだろうと、この間の議論の中でも感じております。
そういう意味では、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、良質な医療提供体制を確保することと、それを支える皆保険の維持が重要だと考えておりまして、相互に関連する様々な仕組みを総合的に議論していくべきだと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
今般のコロナ禍を通して、日本の医療提供体制の課題として、以前から言われていることですが、医療資源の散在が改めて浮き彫りになったと思っております。
感染症に対応できる医療体制を構築する視点から考えても、入院医療の機能分化・強化、連携はこれまで以上に重要な課題になってくるのだろうと思っております。
あわせて、外来関係について言いますと、これはまた新型コロナの検査、診療やワクチン接種を通して、かかりつけ医に対する国民の期待が高まっていると感じます。国民・患者が必要なときに必要な医療にアクセスできる、そのための外来医療の機能分化・強化、連携、特にかかりつけ医機能の強化についても、極めて重要な視点だろうと考えております。
そういう点で言いますと、今日お示しいただいた資料の3ページにある、前回改定の基本方針の基本的な視点で申し上げるならば、3番の医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進がより重要度を増していると考えております。
また、2022年、来年には団塊の世代が後期高齢者に入り始める。そして、現役世代の負担が急増していくという状況にございます。次回の2022年度の診療報酬改定においては、制度の安定性、持続可能性の確保の観点から、効率化・適正化の取組は非常に重要であると考えております。
さらに申し上げるならば、新型コロナ対応については、まずは補助金と診療報酬の役割の整理、また、これまでの特例的な対応の検証が前提条件になると思いますので、しっかり対応いただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。
日本歯科医師会といたしましても、口腔と全身の健康に関しまして関連性があるということで、様々なエビデンスを示してまいりました。また、今回の新型コロナウイルス感染症を通じて、よりそのことが重要視されてございます。
3ページにありますように、前回の改定でも、患者・国民にとって身近であって、安全・安心で質の高い医療の実現ということで、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進という基本路線をお示しいただきました。今改定もその辺りを引き継いだ改定としていただきたく要望いたします。
患者・国民に身近な医療の実現におきましては、かかりつけ歯科医が担う役割は大きく、特にコロナ禍で規模の小さい歯科診療所にとって、予約調整や診療所内で密にならないような配慮も非常に大変なところではございますが、安全・安心の歯科医療提供のためにこれまで以上の感染対策に取り組んでございます。
これまでも発言いたしましたが、新型コロナウイルス感染症を通じ、口腔健康管理の重要性や期待も高まっております。感染予防対策の引き続きの充実と、ICT等の活用推進など、感染症対策にも資する口腔健康管理の充実を念頭に基本方針の策定をお願いしたく思っております。
また、医師等の働き方に関しましても、歯科は医科歯科連携の推進によりましてその役割を果たすことも重要だと考えておりますので、その辺りを含めまして、令和4年度診療報酬改定の基本方針における基本認識並びに視点と方向性において、引き続き御検討のほどよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
全体を通してですけれども、前回の基本方針については今回もほぼ引き続き継続することが必要ではないかと思っております。
ただ、前回の基本方針策定時との一番の違いは、先ほど御意見がありましたけれども、新型コロナウイルス感染症の発生、拡大ではないかと思います。医療機関、薬局では、外来、入院問わず徹底した感染防止対策に努めた上で医療を提供しています。基本方針として、ウイズコロナの中での医療提供体制の確保への対応が一番の課題になるのではないかと考えます。
また、前回との違いという点では、医薬品の安定供給という視点も必要ではないかと思います。今、後発医薬品の安定供給に大きな支障を来しています。また、医療用医薬品の供給不足時の対応スキームも国から示されました。このスキームをしっかりと実効性のあるものにしていくことが必要で、医薬品の安定供給のためには、サプライチェーン全体の機能を強化すること、その仕組みを支える支援が必要となります。
今年の4月に初めての中間年改定が行われましたけれども、医療の質向上に結びつくものとなったのか、関係者への影響はどうだったのか、その辺りについての検証が必要になってくると思っております。
また、かかりつけ薬剤師に関しては、引き続きかかりつけ機能の強化・推進が必要だと思っています。患者に対する薬物療法の有効性・安全性を確保するため、服用薬剤の一元的・継続的な把握と、それに基づく薬学的管理・指導を推進し、評価していくことが今後も必要だと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。参考人の経団連の井上でございます。
今回の改定の議論はコロナ禍という大変厳しい環境下、また緊急的な状況下での議論となるわけでございます。
一方で、中長期を見据えますと、当然のことながら高齢化の急速な進展とか現役世代の減少といった構造変化は不変でございますので、前回の改定の基本方針で柱に据えられました社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和、こういうことは引き続きの重要な視点だと思います。
例えば、急性期の入院などにおきまして、これまでも将来の医療需要の変化に見合った提供体制を目指して改定を行ってきているところでございますけれども、こうした改革は継続していく必要があると思います。
今回の改定の基本認識としては、やはりコロナで明らかになったことにつきまして、平時と緊急時の体制とに分けてその在り方などにつきましてしっかり目配りをしながら議論をする必要があると思います。例えばかかりつけ医の在り方とか、緊急時の医療機関の役割分担の在り方、こういったものにつきましても、よく議論する必要があると思います。
また、現状、コロナ対応といたしまして、診療報酬上の様々な特例的、緊急的な措置が講じられておりますけれども、これが平時においても講じられ続けるべきものなのかどうか。さらに言いますと、平時を想定して保険制度が成り立っておりますので、これを保険制度の中で賄っていくことがよいことなのかどうか。こういうことにつきましても、しっかりと検証を行っていくことが重要だと思います。
そのほか、全体を通じまして、やはり適正化すべきところは適正化をして、評価すべきところは評価するというメリハリのある改定が重要だと思います。
特に適正化につきましては、どうしても薬価に帰する面が多いことになっておりますけれども、日本国内の創薬の力を強化することも医療の基盤でございますので、きちんと必要な対応を行っていくべきだと思います。
最後に、今回のコロナの中で、例えばオンライン診療を活用する意義も一層高まったと認識しております。今後、こうした新しい技術をさらに活用していくことも重要だと思いますので、その点、対面診療との報酬の違いがその阻害要因となっているということであれば、そうした点につきましても検討していく必要があると思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
考え方として2点、また具体的な項目分野として6点お話をします。
何回かこの協議には参加させていただいていますけれども、当座、問題があるところへの配慮というのがこれまでの主な議論になっていると思います。そういったことを尊重しますと、一つは、厳しくなっている現場、厳しい医療現場をどう支えるかということは配慮していただく必要があると思っています。
考え方として同時に思っているのは、それを続けている限り、目の前の問題の対応を重ねていくことになります。本来であるならば、一つの目指すべき医療の姿、医療をコアとした社会のあるべき姿を政府などで政策立案をしていただいて、政府からその姿を示していただいて、それに向かっていくにはどのような歩みをしていくべきなのか、そのときにどのような配慮が必要なのかという考え方も、一方ではぜひ考えていただく必要があるのではないかなと思っています。
そういった大きな2つの考え方に基づいて、6点ほど意見を述べたいと思います。
1つは、マイナンバーの関係です。マイナンバーはデジタル社会に欠かせないものとして、いろいろなガバナンスを効率的かつ効果的にしていくものとして評価をしているのですけれども、マイナンバーカード自体の普及率がいまいちですが、マイナンバー活用、またマイナンバーカードの活用について評価をしたり、対策をどうしていくかということをどこかで間接的に考えていただくことも重要なことではないかと思っています。
2点目は、とはいえ、地方の医療の確保ということについては、極めて重要な時代に向かってきているなと改めて思っています。病院の統廃合のこと、こうやって進めなさいというメッセージが政府から出て、いろいろな反応が出ていますけれども、地方にとっての地域医療の存在また確保は、極めて重要な生活のインフラでもありますし、命を守る大切な機関でもあるわけです。こういったことを考えていきますと、そこをどのように支えて将来的な医療確保をするか、その政策的な配慮もどこかにあっていいのではないかというのが2点目です。
3点目につきましては、今回のコロナ感染症に関することです。感染症対策を講じるとき、医療機関でもいろいろな工夫をされたり、努力をされたりしていると思います。これは大きな病院から小さな診療所まで含めてです。そういった中で御苦労があったもの、御苦労されていることを配慮した在り方もどこかで配慮していくのが今回のコロナ禍が与えている教訓ではないかと感じています。
4点目は、かかりつけ医関係のことです。コロナワクチンの接種に関しまして、大きな働きをしていただいています。また、日々の「みとり」をはじめとした地域の密接な医療という意味でも、かかりつけ医の皆さんには本当に大きな働きをしていただいています。これは単純にメディカルのみならず、デンティストであります歯科医の皆さん、薬剤師の皆さんも同じお立場だと評価をし、感謝をしているところです。今回のコロナのこと等が注目をさせてくれるかかりつけ医の皆さんの努力、あるいは御苦労、そのことの配慮も必要ではないかと思います。
5点目は訪問に関することです。とはいえ、みとりを含め、多くの病院が入床が難しくなってきますと、今回も明らかになりましたけれども、訪問して診てくださる医療機関の存在は極めて重要ですし、その御家族にとっても欠かせない存在だと思うのですね。とはいえ、訪問診療、訪問看護をするというのは大変御苦労も多いと思うのですが、こういった配慮もどこかでしていかないと、なかなか持続可能にならないのではないかなということも感じています。
最後、6点目ですけれども、これから5年、10年先を見渡していくと、既に加速が始まっていますが、コロナ禍の中でも加速が始まっていると思っていますが、AI、ICTなどの活用が当然出てきていますし、また先ほどもどなたか発言されたオンライン診療や、それにまつわるサポートの仕方も出てきています。
これらについても、創造的なチャレンジをされているわけでありますので、ぜひこれからの時代に必要なビジョン、あるいはあるべき姿ということも踏まえながら、そこをどうサポートして促していくのか、そういった政策的な加速ということも必要になる時代でありますので、こういった配慮もどこかですべきではないかと感じています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 日本医師会の副会長の松原でございます。
コロナは今また大変な事態に至っております。感染症対策というのは非常に難しゅうございます。その点におきまして、まず、日本国で病床が十分にあるのかないのかという議論をいたしますと、ヨーロッパの国々に比べて余裕があったというのが今回非常によかった点だと私は思っています。病床があって財政的に負担をかけるということだけで考えていたら、これは大変なことになっていたのではないかと思います。そういったことについても適切に考えていただきたく思います。決して、ウイルスや細菌に完全に医学が対応できているわけではございません。今後、いろいろなことが起きると思います。それに対して対応するためには、余裕がなければできないということを御理解いただきたいと思います。
もう一点は、財政的な問題で、後発品の薬剤を推進するということについては、私どもも非常に大事なことだと思っていますけれども、海外に依存し過ぎて、海外でつくったものを日本の国で錠剤にして製品化するということだけに特化しますと、現在起きているように、各国で起きたトラブルによって日本の国の薬品がなくなっているということもあります。さらに、後発医薬品メーカーの中に今回大変な不祥事があったと思います。そういったことについてもきちっと指導していただかなければ信頼性がなくなりますので、これは大きな問題でございます。前から申し上げていますように、やはりきちっとしたところできちっとつくっていただく。日本の国でつくるということは大変大事なことでございますので、この対応について十分お願いしたいと思っているところであります。
また、先ほど働き方改革のお話もありました。医師というのは10年たってようやく一人前になれるかどうかという、ほかの職業と少し違う点がございます。いろいろな技術においては、他の職業においても一人前になるのに大変時間がかかるところもございますが、医療というのは大変な時間を経て、また経験を経て、そして学問を経て十分なことができる領域でございます。若い先生たちがもっと勉強したくてもっと知識を得たいのに、働き方改革で勉強ができないような状態で、大変つらいという訴えを医師会のほうでも聞いております。
そのようなことを考えると、単純に働いているから時間で切るという形ではなくて、必要な研修はさせていただきたいと思いますし、その研修をすることが最終的には国民の皆さん、患者さんの皆さんにとって大変大事なことでありますので、その視点を忘れて、単純に時間だけで切ることにおいては問題があるということをよく御理解いただきたいと思います。
さらに、現在、医療機関において一番負担になっているのは、医師が様々な事務的な書類を書かねばならないということでございます。これはアンケートを取ってみても、ほとんどの医者がそのように申しております。そういったことに鑑みますと、事務のスタッフに十分対応していただいて、医師でなければならないことを明らかにして、事務的なことについてはやっていただくべきです。対応できるということはやっていただくことがまず本来あるべきであって、そこのところができなければ、最終的には働き方改革にはならないと私は思っているところでございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
また、オンラインというのは非常に大事でございますし、使ってみれば大変使い勝手があるものであります。ITは進歩しておりますし、これを使っていくのは当たり前の話であります。ただ、医師は、予診、問診だけで話をしているのではございません。問診だけでできるのであれば、電話で話して、治療できるものもあります。しかし、問診だけで話が分かるわけではありませんし、検査したり、点滴治療したり、あるいは触診やエコーなどその他の検査をきちっとしなければならないということもございます。そうしなければ患者さんに十分な対応ができません。十分な対応をしたい、あるいはそれが義務であると私たちは思っておりますので、そのことを御理解賜りたいと思っています。
最後に、かかりつけ医の話でございます。かかりつけ医機能を持つことは非常に大事であります。どのようなことがあっても、どのような相談を受けても対応できるような医者を育てなければならないと私たちは思っております。ただ、これを法律で決めて制度化しますと、きちきちの状態になって、ヨーロッパの国々は医師に診てもらうまで大変時間がかかったり、あるいは専門医にかかるまで物すごく時間がかかってしまうというような現実問題がございます。日本の国はフリーアクセスでございますが、患者さんにとってフリーアクセスは大事なことであります。大病院においてはそこに集中しないように、かかりつけ医が十分に相談を受けて対応するということも大切です。大変うまくできている仕組みでございますので、かかりつけ医を制度化するのではなく、かかりつけ医機能をさらに増進させていただくような考え方で進めていただきたく思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
2点お話しさせていただきたいと思います。
今、松原委員のお話とかぶるところもありますが、まず、病床の件です。コロナ禍において日本の病床数としてはある程度数があったことはよかったことだというお話がありましたが、一方で、当初言われていた、なぜこれだけあるのにコロナに対応できないのかという批判をいただいた経緯があったかと思います。
その大きな理由の一つは、数はありますけれども、その中身というか、体制ですね。医師、看護師等の数の上では、欧米の急性期中心の病床数との大きな違いは、日本の病床というのは急性期だけではなくて回復期、慢性期を合わせた病床の数であるということ。しかも、配置基準で言えば、例えば最高の配置基準、看護配置基準7対1が最高になっているというところ、その辺がぎりぎりの配置基準であって、なおかつ場合によっては、今回のコロナ禍の重症患者を診ようと思うと、1人の患者に2人、3人、4人という看護師等の人数を配置しなければいけない状況にはなかなか対応が難しかったということがあると思います。その辺も含めて、こういう新興感染症、新たなそういう疾患に対応できる、ある程度余裕を持った配置基準も必要ではないかということを考えています。
一方で働き方改革を進めなければいけない中で、今、日本の医療は病床に関しては、医師、看護師の配置基準でほぼ決まっています。あとは看護補助者。あと、薬剤師とか管理栄養士を病院全体でどのくらい配置するかしないかということになっています。そろそろ日本の病床も多職種の配置をどれだけしっかり置くかということに視点を置いて、もう少し考え直さなければいけないのではないでしょうか。
そういう意味で、多職種配置をきちんとした、どんなときにも対応できる病床がどれぐらい必要かということを検討しながら、令和4年度、あるいは次の同時改定に向けて、根本的な議論も一方では必要ではないかと思います。医師や看護師だけではなくて、特に病院では薬剤師、病棟薬剤師、あるいは管理栄養士、そして先ほど言いましたように、(現在は)看護補助者という名の下にある看護師以外の介護福祉士さんも必要になってきます。
今回、コロナ禍で、急性期の中で非常に大変だったのは高齢者が重症化して入院した場合、介護の手間を看護師さんが全てやっている、非常に大変だったということがあります。そろそろ病院においての介護をどうするかという問題にも手を触れていかなければいけないのではないかという気がしています。
2点目です。オンライン診療に関しては、アクセスのよさということを考えると、今回のコロナ禍でやはり利便性は非常に高いと思います。ただし、あくまでもこれは対面診療の補完的な役割ということを逸脱してはいけないように思います。
例えば、ずっと続いている医療保険部会のこういうウェブでの会議は、何となく物足りなさを感じることがあります。やはり肌と感じて、空気感があって、診療で言えばその人の肌の色、声の調子、歩き方等々、全てを見て診療は行われるわけなので、そういう対面の診療の重要さ、そしてそれを補完するためのオンライン診療のアクセスをよくするということに対しては私も賛成ですが、あくまでも補完的役割であるということを逸脱してはいけないのではないかということを感じました。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
ほかに御意見がなければ、本議題についてはこれまでとさせていただきます。
次に、「医療費適正化計画の見直しについて」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○山下課長 医療介護連携政策課長です。
資料2「医療費適正化計画の見直しについて」を御覧ください。
おめくりいただきまして、2枚目のスライド、医療費適正化計画の概要でございます。
計画期間は6年を1期としておりまして、現在、第3期目ということで2023年度いっぱいという形で進んでいるところでございます。
計画の考え方です。入院医療費と外来医療費と分けまして、入院医療費は各都道府県の地域医療構想に基づいた病床機能の分化・連携の推進の成果を反映していくこと。外来医療費については、特定健診・保健指導の推進のほかに、糖尿病の重症化予防や後発医薬品の使用促進、医薬品の適正使用、こういった効果を盛り込んでいくことになっております。
3ページ、その医療費の見込みを概略で御覧いただきたいのですけれども、一番左側にある国民医療費40.8兆円、これは2014年の数字ですが、これを入院医療費として16.1兆円、入院外・歯科医療費として24.7兆円に分け、これが2023年度ではどれくらいなのかということを見越して、その上で医療費適正化の取組をすることによってどれくらいの効果があるのかということ、これが全国全体で言うと、入院外の医療費について適正化効果として約6000億円の適正化効果という形で進めていこうとしているところでございます。
続きまして、4枚目のスライドでございます。第3期の医療費適正化計画の目標、これは第1期、第2期と並べておりますけれども、第3期については2つありまして、「住民の健康の保持の推進に関し、達成すべき目標に関する事項」としまして、特定健診、特定保健指導、あとはメタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少率、たばこ、予防接種、生活習慣病の重症化予防、その他予防・健康づくりの推進という形。もう一つは、「医療の効率的な提供の推進に関し、達成すべき目標に関する事項」として、後発医薬品の使用割合、医薬品の適正使用を目標にしているところでございます。
それで、15枚目のスライドまで飛びますが、今、都道府県の医療費適正化計画の課題としまして、この前の経済財政諮問会議の骨太の方針でも指摘されたことを踏まえて、現在、私どもが抱えている都道府県医療費適正化計画はどういう課題があるのかということでございます。
4つありまして、適正な医療を地域に広げるために、もう少しそのほかの、今、私が申し上げました目標以外に様々な医療に関する状況、課題把握、また課題を把握した上でどういうふうに取組をしていくのか、こういったことをしなければいけないのではないか。具体的に言うと、住民の健康意識はどうなのか、その上で、例えば健診について受診しているかどうか、その健診をした上でその後フォローアップをどうしているのか。これを数値で表す。また、外来についても、患者さんの数、受診動向、受診回数など、一つ一つの患者さんの行動についてどうなのか、数値で把握するということ。もう少ししっかりとした課題把握をしていかなければいけないのではないか。
その次に、2つ目のこととしまして、医療費適正化計画と他の様々な取組、特に地域医療構想との関係の整理が必要ではないかと。
3番目として、医療費の見込みについては、都道府県の医療費適正化計画ですから、都道府県が健康の課題について、もしくは地域の医療の課題について、取組の結果どうだったのか明確にさせるということ。一方で、全国全体で、診療報酬改定で医療費が変わっていくということがあります。そうすると、都道府県での努力があまり見えてこないという観点もありますので、そこについてどうしていくのか。また、都道府県の医療費適正化の取組を踏まえて、医療費が出てきますので、それと保険料率の関係を整理すべきではないかということを課題として考えております。
その上で、4番目ですけれども、適正化計画というのは都道府県が策定するのですけれども、関わる者として、都道府県以外にも被用者保険の保険者、また市町村国保とか、様々な保険者もありますし、都道府県単位では保険者協議会というのがありますので、そういった計画の策定主体と保険者との関係、保険者協議会との関係についても考えなければいけないのではないかと私たちは考えております。
続きまして16ページ、これらを論点としまして、それぞれについてこの医療保険部会で適切なタイミングで御議論いただきたいと思っていますので、今後、私たちの事務局のほうで案をつくりまして皆様方にお諮りをさせていただきたいと思っています。
最後、17ページですけれども、今後のスケジュールということで、大変申し訳ございません、介護の事業計画が漏れておりますけれども、医療保険部会において医療費適正化計画の検討、それは2024年度から始まる新たな第4期の医療費適正化計画を見据えて、このようなタイミングで議論していくということを考えているところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
今回は、医療費適正化計画の見直しに向けた議論のキックオフということで、5つの観点から御意見を申し上げさせていただきます。
1点目ですが、ただいまの説明に介護というところが抜けているという事務局からの説明がありましたが、しっかりとスケジュール案に入れていただけるよう、よろしくお願いします。基本的には、医療費適正化計画を創設した当時から、地域包括ケアの推進に当たっては医療と介護の連携は必須であったということでございますので、現場を含めてそのような意識を浸透させるためにも、介護保険事業計画についてもスケジュールの中に加えていただきますよう、よろしくお願いいたします。
2点目ですが、医療費適正化計画の外来医療費部分の核とされてきている特定健診、特定保健指導につきましては、現行の制度下におきましてその効果を疑問視するような研究結果も最近出てきております。特定健診、特定保健指導を改めて一層推進するということであるならば、この制度が医療費適正化に資するというエビデンスをしっかりと整理していただき、厚生労働省として発信していただきたいと考えております。
3点目ですが、外来医療費部分につきましては後発医薬品の使用促進も含まれておりますが、後発医薬品につきましては全都道府県で80%以上という新たな目標が設定されたところでございます。この目標を達成するためには、特に使用促進が進んでいない地域におきましては、保険者の引き続きの取組だけでは不十分であり、医療機関、製薬会社、薬局、流通等も含めて目標達成に向けて取り組むことが不可欠であると考えております。そうした点で、国が地方厚生局等も活用し、リーダーシップを発揮していただきますよう、よろしくお願いいたします。
4点目です。医療費適正化計画の見直しを進めるのであれば、その実施主体となる都道府県がこの重要な課題にしっかりと取り組んでいただけるよう、組織や人事等の体制を整えていただくことも重要であると考えております。保険者協議会の在り方や運営等、都道府県が中心的な役割を十分に発揮していただけるよう、国としても後押しをしていただきたいと思います。
最後に、先ほどの4つ目の観点とも重なる部分がございますが、この医療費適正化計画の取組は、実施主体である都道府県単位で必要な体制も整えながら着実に取り組んでいただくことがまずは求められると考えております。今後の議論では、保険者単位での目標設定という考え方も出てくる可能性があると思いますが、この点につきましては、職場単位や地域単位といった保険者ごとの構成の特性を踏まえながら、それぞれの取組の推進を促すよう、都道府県に主導していただきたいと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
資料15ページと16ページに記載されております課題、主な論点につきまして、方向性としてはおおむねこの内容でよろしいのではないかと思いますが、16ページの検討事項(3)につきまして、1点意見を申し述べたいと思います。
高齢化の進展によりまして医療費の増加が確実視される中、医療保険制度を持続可能なものとすることが求められており、国が定める基本方針に則り医療費適正化計画の取組を着実に推進することが重要であります。
同時に、同計画は、一つには保険者や医療機関など多様な主体が互いに連携しながら、また、二つ目にはそれぞれが担当すべき取組を進めていく必要があるとの基本的な考え方に基づいて進められるべきものであるということを、改めて強調したいと思います。
その意味で、主な論点の中に、保険者の関与、国の支援が掲げられていることに注目をしております。今後、健康保険組合や全国健康保険協会等の保険者が都道府県での計画策定に、より実質的な関与ができる仕組みの構築と、それを踏まえた国の支援の在り方につきまして具体策を御検討いただくようお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、石上委員、よろしくお願いいたします。
○石上委員 ありがとうございます。
まず、16ページの見直しの主な論点の(2)の③、「地域医療構想との関係」という記載がありますが、コロナによって現在の医療提供体制の課題が明らかになっているわけで、そういう意味で言うと、改めて地域医療構想をどのように議論していくのかということは重要だと思っております。災害時とか緊急時も含めた医療提供体制の確保については、全ての設置主体によって、入院だけではなくて外来も含めて地域医療構想の議論、再検討が必要ではないかと思いますので、これについては指摘をしておきたいと思います。
次に、同じ16ページの(3)にインセンティブ制度の記載があるわけですが、インセンティブ制度が医療費適正化に寄与しているのかどうかということについて全くエビデンスがない状況なのではないか、しかし一方では、このインセンティブ制度をさらに強化しろという方針も出てきています。適正化に寄与しているかどうか分からない制度なのに、結局、納得性がない中で強化する方針だけが出てきていることに対して私は非常に疑問を持っております。こういう制度をやることで、保険料の地域格差が拡大していく可能性が非常に高い、さらには、医療資源の乏しい地域で、受けられる医療サービスと保険料負担が見合わないといった状況が発生する可能性すらあると思っております。
その意味では、インセンティブ制度というものが医療費の適正化に寄与しているのだという根拠をしっかり示していただく、保険料を払っているメンバーに対して納得性のある説明をしていただくということがまずスタートなのではないか、インセンティブ制度を医療費適正化の中に書くとすれば、そこがまず必要なのだと思っておりまして、これについてはお願いをしておきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
最初に、15ページの都道府県医療費適正化計画の課題というところについて1点。2つ目に「適正化計画と地域医療構想との関係の整理が必要ではないか」とありますけれども、これは当然ながら極めて密接に関連していると思いますので、この両者の関係の整理はぜひともやっていただきたいと思っております。
また、先ほど石上委員の発言にも若干関連するのですが、今回の適正化計画に限った話ではないと思うのですけれども、計画の見直しに当たっては、現在進めている計画の進捗、検証、評価が大前提になると思います。都道府県単位で言えば、うまくいっている県とそうでない県はどうなのか。その理由は何なのか。また、やっている計画の項目ごとの分析も当然必要だろうと思います。
そういう観点で、第4期の適正化計画の策定については、第3期計画の達成状況がポイントになるということは言うまでもないことでありまして、特に第3期計画が6年間という長期間のスパンであることを考えれば、少なくとも中間的評価を行った上で第4期計画に反映させるのは当然だろうと思います。
17ページの次期計画に向けたスケジュールを見る限りにおいては、そういう考え方がほとんど見えてまいりません。データ収集等、技術な問題はあるのかもしれませんけれども、少なくとも第3期計画の達成状況や評価を第4期計画に反映させるということを目に見える形で明確に示していただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
ほかの委員の御意見と重複しますけれども、今後の人口構成の変化を踏まえますと、もちろん給付・負担面の改革というのは重要でございますけれども、それだけでは不十分でございまして、医療費そのものの伸びの抑制に知恵を出していくことがやはり重要になってくると思います。
したがいまして、各自治体で医療費の適正化が推進されるように、計画を医療費の伸びの抑制に実効性が上がるような形で見直していくことが重要だと思います。その議論に当たりましては、皆様がおっしゃいますとおり、やはり具体的なデータに基づいて取組の効果を評価していくことが重要だと思います。
例えば、本日の資料の9から14ページ辺りに取組の実施率などが示されておりますけれども、もちろんこれらは重要な指標ではございますけれども、これらが医療費の適正化とか生活習慣病の罹患率のアウトプットにどういうふうに影響したのかというところまで踏み込んで評価をする必要があるのではないかと思います。
また、7ページとか8ページ目にも医療費に与える影響を計算するような形が出ておりますけれども、こういうものも非常に重要だと思いますので、こういうデータに基づいた議論をぜひお願いしたいと思います。また、こうした観点を踏まえまして、次期計画が実効性ある取組につながるようにお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。
私は、医療費適正化ということの課題と、4ページの辺りに書かれています健康の保持の推進という課題について、それぞれの課題の重要性は十分に認識しているつもりですけれども、4ページで示されているような形で、健康づくりというものが医療費適正化という大きな目標のためのある種の手段のような位置づけのようにも読み取れるのですが、そういうようになっていることに関しては少し違和感があります。
それには2つの理由があります。第1の点は課題の捉え方という点でして、医療の目的はそもそも健康を支えるということであって、費用というのはその一つの制約であるという捉え方が本来あるべき姿なのではないかと思います。あくまで目的としては健康や予防があって、それが手段のような位置づけにあるということは順序が逆転している、そのような印象を持ちます。
もちろん予防・健康づくりというのは、それ自体が非常に重要な課題でありますので、医療費適正化とは独立に、その目標の実現のためにどのような政策をすべきか、また、その政策に伴う費用がどれくらいなのか、そういうことを議論されるべきではないかと思います。
同時に、様々な社会的な状況の中で皆保険の維持のために医療費の適正化が必要であるという現実を前にして、医療費適正化のために医療や保険に関わる制度の設計において、できる努力からは目をそらすことがないようにしていくことが重要ではないかと思います。
第2の点は、1点目と関係するのですけれども、医療費適正化と健康づくりとの関係性です。やはりこの2者は異なる目標であって、常に同じ方向を向いているわけではないわけです。予防の医療費削減効果については数多くの研究の蓄積があるわけですけれども、全ての予防が等しく医療費適正化という面で効果があるわけではないということは分かっていることです。
資料の4ページ目には、個別の目標事項が掲げられているわけですけれども、予防や健康づくりによって医療費適正化の方向性を目指すということであれば、どのような条件下では予防・健康づくりが医療費適正化につながるのかということを踏まえた上で、具体的な個別目標の設定をすべきだと考えます。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
まず、医療費適正化ということだけ考えていくと、どうしても数字の話になりがちなのですが、それだけではなくて、むしろいかに健康であるかというのがまず基本的に大事だと思っています。1つ目は病にならない、健康を維持する、そのためにどのような習慣やライフスタイルをキープするかということを啓発して、実行していくということが極めて重要だと思っています。
2つ目は、さらに重要なのは、手術等で大変医療費がかさんでいくのですけれども、早期発見・早期治療という昔から言われている言葉を着実に実行できるようにしていくことが重要だと思っています。健診率のアップにも関係しますけれども、このことが大切です。
3点目に重要なのは、予防が可能な手だてを全て行うということで、きちっと関係者と御本人も含めてやるようにしなければいけないと思います。例えばがんに関しまして、ワクチンでの予防がありますし、あるいはフレイルについてもやるべきことがあるなら、それを啓発してやっていただく。実行する。そういった3点をきっちりやることがまず基本的に重要なことだと思っています。
そして、具体的にこれは多久市がかつて経験したことですけれども、実は特定健診の健診率の向上と保健指導の率の向上を目指して取組を始めました。今まで診察に行っていない人が健診をしますので、病気が分かって医療費が上がっていきました。しかし、途中からは今度は医療費が下がっていきます。これは、啓発によって自分の健康をチェックすることによって注意深くなっていかれますので、健康を意識して努力をされる。そのことが間接的に響いて医療費が下がっていくというふうになっている状況です。このことから、そういった基本的なことをきっちりやることが大事だと思っています。
ちなみに、私ども、特定健診の健診率と保健指導の率については、都市自治体で全国2位を2つとも取ることができて厚生労働大臣から表彰状もいただいたのですけれども、当初は難しいかなと思いましたけれども、ここはしっかりやらないといけない。人生にとって健康は欠かせないことですし、多くの皆さんにとっても自分の健康ほど大切なことはないので、難しくても地道にやろうということで、保健師、職員を中心にやったのです。ぜひ多くのところでこういったことが広がることを願っています。より健康で自分らしい暮らしができる環境を整えていく、そのことが間接的に医療費適正化につながっていくと思っていますので、冒頭に申し上げた3つの基本のこととか、具体的な経験で感じたことを述べさせていただきました。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。
先ほど、佐野委員からの課題を把握して分析して4期につなげるというお話は非常に重要なことだと思います。今、特定健診の実施率を見ていたのですけれども、全国平均で53.1%となっていますが、一番特定健診が進んでいる県と進んでいない県では実施率が25%違っています。特定保健指導に関しては全国平均19.5%ですけれども、一番実施が進んでいる県と進んでいない県では実施率が倍違います。どういう要因でその差が出てきているのか、また、特定健診に関しては未実施者はどういう層の人が実施していないのかなど、細かく分析しながら協議していくことが重要ではないかと思っています。
先ほど関係者の関与の在り方というお話がありましたけれども、後発品に関しては保険者を含めて関係者が協力してここまで来られたと思っています。例えば特定健診にしても、薬局にふらっと相談に来られる方、また処方箋を持って来られる方などに健診の重要性等説明しています。特定健診等についても、保健者等と連携して進めることにより、実施率を上げることができるのではないかと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
今皆さんがおっしゃったように、医療費適正化ということは世界に冠たる日本の医療保険制度を維持するために必要だということに対しては、恐らく保険者側、被保険者側、そして国民も総論としては賛成することではないかと思っています。その中で、その手法として、今15ページに挙げたようなことに対して少し気になる点をお話しさせていただきたいと思います。
まず、都道府県単位で適正化を行うということに対して反対するものではありませんが、この中で、先ほどどなたか委員がおっしゃったように、医療費の目標設定を数字に落とし込もうとする。そして、3つ目のポツにありますように、「都道府県単位でPDCA管理を働かせる観点から」云々ということでありますと、最終的には医療費目標が達成できなければ、都道府県単位の1点単価を変えてしまえという拙速な議論になることだけは明確に反対をさせていただきたいと思います。
もう一点は、保険者としてもこういう適正化に寄与するために努力していただくことに対してもちろん反対するものではありませんが、一方でそれも進んでいくと、例えば保険者の言うとおりになるような医療機関を指定してしまうというような、欧米にあるようなシステムを考えられてしまったら、これまた本末転倒だと思います。あくまでも日本の一番世界に誇れるフリーアクセスということを損なわないような形での適正化ということを考えていく。本末転倒にならないように、そして国民の健康保持・向上が一番の目標だということを明確に意識しながら適正化計画は立てていくべきではないかと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 適正化することにおいて反対ではありませんけれども、その結果として質が落ちたり、結局は国民の皆さんの健康にとってマイナスになるようなことは決してしてはいけないと私たちは思っています。
以前、たしか横尾委員がおっしゃったことですけれども、現在だけやるのではなくて、小中学校等の教育の時点でどのようなことを知ったらいいのかについて、日本国は健康についての教育に力を入れるべきだと私は思います。そこのところをきちっとやらなければ、成人になり、病気に近くなってから、こうしなさい、ああしなさいというようなことではだめです。目の前の事だけでなく長い目で見て、根底のところで日本の国の健康教育を考え直して、そこをきちっとやることが医療費にとっても一番プラスになるのではないかと最近思っているところであります。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
ほかに御意見等がなければ、本議題につきましてはこれまでとさせていただきます。
次に、「保健事業における事業主健診情報の活用について」を議題といたします。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料3をお願いいたします。
2枚目のスライドですけれども、この前の国会で、「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」の中に、「生涯現役で活躍できる社会づくりの推進」ということで、事業主が毎年従業員に対して行っている事業主健診の情報を保険者のほうに集めることを可能とするという規定が盛り込まれました。
4枚目のスライドに入ります。その結果、例えば保健事業における事業主健診情報の活用事例としまして、これまでは保険者のほうは、自ら特定健診を加入者に対して行うことによって得られるデータしかなかった。ところが、特定健診の情報は40歳以上に限られてしまいます。一方で、事業主健診は働く人全てを対象にして行っているということであれば、これらの情報を得ることによって、例えば入社後に生活が急激に変わることによって何か大きな変化が起きている、それは食習慣であり、生活習慣による何らかの対応が40歳までは保険者のほうで気づかないことが防げる。こうしたことも、例えば特定の健保組合のほうで、もしくはヘルスケアの企業のほうで、もっと早い段階で健康状態について把握して、健康の意識について一人一人の加入者に意識してもらう、喚起をさせるということをやっているという事例でございます。
5枚目のスライドもそういった取組事例でございます。
そうしたことから、6ページですけれども、事業主健診情報の活用をさらに促進させるために、他の様々な保険者でもやっていただくために、こういった事業主健診情報を活用する保険者については、データヘルス計画において明示していくということについてどう考えるのかということを御議論いただければと思っています。
もう一つの論点ですけれども、平井委員からもありましたが、事業主健診情報は大変な個人情報でございますが、その保護についての対応でございます。7枚目のスライドですけれども、国会での議論の中でもやはりありまして、参議院の厚生労働委員会の附帯決議で、機微性が高く、第三者には知られたくない情報が含まれ得る健診情報が各保険者により多く集約されるようになることを踏まえて、適切に管理・運用されるように個人情報保護法に基づく適切かつ十分な助言・指導を行うとともに、ガイドラインの見直しを通じて対応していただきたいということを言われています。
このため、個人情報保護について、この情報を取り扱う保険者、またその情報のまさに当事者となる一人一人の方々が個人情報保護法はどういう規定になっているのかということを御紹介させていただいた上で、今後の対応について御紹介させていただきます。
8枚目のスライドです。個人情報保護法について、どういう取扱いかといいますと、特に事業主健診情報は単なる個人情報ではなくて、個人情報保護法上、要配慮個人情報に当たりまして、通常の個人情報以上に厳しい規定がなされているところでございます。具体的には、オプトアウトによる手続によって提供することは禁止するということも要配慮個人情報ではあるということでございます。
続きまして、9枚目のスライドです。今度は、個人情報保護法上、そういった情報を扱う方々、これは個人情報保護法上、個人情報取扱事業者と定義されますが、具体的には、今回の事例でいいますと、保険者や事業主が個人情報取扱事業者に当たるのですけれども、この事業者に対する規制としてどうなっているのかということです。情報を取り扱うに当たって、その情報をどういう利用目的でやるのかということをきちんと特定しないといけない。また、その利用目的の範囲内でしか使ってはいけないということになっております。さらに、その利用目的について、取得に際しては必ず伝えないといけない。また、得た情報についてのデータの正確性の確保、また、それらのデータを安全に管理すること、また、情報に関わる従業員の監督、委託先の監督ということがしっかりと書かれております。
これらについてしっかりとしていない場合については、厚生労働大臣が事業所管大臣として、また、個人情報保護を扱う個人情報保護委員会に対して個人情報保護法上の対応を求めるということになりますので、個人情報保護委員会には、こうした個人情報取扱事業者に対する指導監督規定もあるところでございます。
続きまして、10ページです。では、その当事者である個人情報を持っているその本人はどのような形で情報を持っている個人情報取扱事業者に対して要求できるのかということです。利用目的の通知を求めることとか、自分の情報を開示するようにという開示請求とか、その開示の結果、間違っていれば、自分の情報を訂正する請求、また、自分の情報は使わないでくれというような利用停止請求というものが規定されています。
こうした個人情報に関する一般的な規定が個人情報保護法にある中で、では、健康保険法の体系の中で事業主健診情報をどういうふうな扱いをしているのかというのが11ページと12ページ目にあります。
まず、11ページ目については、事業主健診情報のうち特定健診とみなせる情報、具体的に言うと、実際に受けた事業主健診のうち40歳以上の方々の事業主健診は特定健診とみなすとなっているのですけれども、これらについては、提供する事業主と保険者の関係で言うと、本人の同意なく事業主から保険者に提供される。もちろんそれは個人情報保護上の他の規定はきちんと守るという前提ですけれども、本人の同意は不要の上で保険者としてしっかりと事業目的の範囲内で使うことができるという規定でございます。
次の12ページですけれども、同様に今回皆様方に御議論いただきたいのは、今、私が申し上げましたとおり、個人情報保護法上、一般的に個人情報取扱事業者である保険者や事業主に対して今申し上げたような規定がある。その規定に対して、改めて保険者の皆様に対してきちんとしたガイドライン、ガイダンスを周知するということをしたいと思っております。
また、今回、健康保険法上の規定でどういうふうな対応をするかというと、これまで事業主健診情報として特定健診情報と同様にみなすという規定があるのと同じような形で、特定健診とみなすことができないような方々、具体的には40歳未満の方々についても特定健診と同じような対応をするということで進めていきたいということを考えているところでございます。
事務局からの説明は以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
資料の3ページ、「40歳未満の者に係る事業主健診等の結果が事業主等から保険者へ提供される法的仕組みを設ける」、これに関しましては、重要な取組としてぜひお進めいただきたいと思います。
我が国の場合、特に若い方々の健康に関する意識について危惧しております。例えば、弊社の中国人社員とか海外の提携先の社員、また中国での健康関連製品の販売動向などを見ますと、中国ではビジネス社会における個人競争が激しいことや、国が面倒を見てくれるという期待感がどうも薄いということもありまして、若いうちから自助、いわゆるセルフメディケーションの考え方が根づいているように感じます。
日本は皆保険であり、かつ手厚い保険制度になっていることが、国民の安心・安全な暮らしの基盤になっていることは確かでありますが、それに過度に依存した形では持続可能な姿を維持できないと考えます。幅広い年齢層へセルフメディケーションを広げることが強く求められていると考えます。
そうした観点からしますと、生活リズムが完成した40歳代で生活指導を受けるよりも、20歳代、遅くとも30歳代のうちから保健指導を受け、適切な生活習慣を身につけるという仕組みが必要ではないかと思います。
以前にも御紹介いたしましたとおり、全国の法人会では小学生を対象とした租税教育セミナーを実施していますが、これに公的医療に関する情報を盛り込む、あるいは中学・高校あたりで途切れる保健教育を社会人になるまで、何らかの形でつなげられないかということを検討していただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
要望というか意見と、あとで1点質問が厚生労働省にありますので、よろしくお願いします。
まず、申し上げるべきことは、40歳未満の方の事業主健診情報を保険者へ提供していただくこと、今回の法整備は、保険者による効率的な保健事業の実施への活用が可能となりますので、これは非常にいいことでありますし、医療費の抑制にも資していくものであると考えております。
その際、施行に当たって、保険者に対して確実に情報が提供されることが重要であると思いますので、保険者から事業主への働きかけはもちろん必要ですが、国におかれましても事業主に対して、今回の法整備や保険者への情報提供の有益性について、制度の実効性を図るためにぜひ周知をよろしくお願いしたいと思っております。
それに関連して、6ページで、今後、事業主健診情報を活用する保険者は、被保険者の理解を促す観点からデータヘルス計画において明示するということを案として書いていただいています。
ここで山下課長のほうにちょっとお尋ねをしたいのは、データヘルス計画において明示するに当たって、例えばこういう形で今まで実施していますよ、現在こういう形で活用していますよ、ですから今後もやりますよというような現状を書くのか。それでは不十分で、未来に向けてこのように使いたいのですという意思表示を書いていくのか。計画だから未来のことだと言えばそういうことなのかもしれませんが、それに当たって我々がどう意思表示をしていくか、保険者が意思表示をしていくかというのが、鶏が先か卵が先かみたいなところがあって、なかなか難しいなと思いながら今聞かせていただきました。少し御指導願えればと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 では、この点、連携課長、よろしくお願いいたします。
○山下課長 前葉委員、ありがとうございます。
ちなみに、事業主健診情報ですけれども、例えば個別の企業ですけれども、イオンさんは、たくさんのパート労働者の方々に対しても事業主健診を行っております。もちろん被用者保険に入っているパートの方々もいらっしゃいますけれども、国保に加入しているパートの方々もいらっしゃいますので、こういった情報が被用者保険に限らず国保にも行くということでございますので、まさに前葉委員がおっしゃるような形で、ぜひ活用いただければと思っています。
その活用の方法については、未来というよりは現状このような形で皆様の情報を活用させていただきますよというようなことをぜひ紹介していただければと思っています。もう既に市町村国保のほうはKDBを使って自分たちの状態を地域の住民に対してお知らせをしていただいていると思います。情報を入手するための根拠となるルートが増えたという形で私たちは考えておりますので、ぜひこういった活用をしていただいて、より健康づくりに取り組んでいただきたいと考えております。
○田辺部会長 前葉委員、よろしゅうございますでしょうか。
○前葉委員 ありがとうございました。よく理解できました。
○田辺部会長 では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
何点か意見を申し上げたいと思います。
まず、通知の徹底についてでございます。事業主健診情報の取得につきましては、保険者はこれまで苦慮してきましたが、昨年の12月に労働基準局長と保険局長の連名の通知を発出していただきました。まずは通知を発出していただきまして誠にありがとうございました。感謝申し上げます。
そこで、通知では、保険者への健診情報提供に関する取決めを盛り込んだ契約書のひな形をお示ししていただきました。協会といたしましても、通知の趣旨を周知するために、発出後、間髪入れずに説明資料を作成の上、事業主団体や健診団体を訪問して協力要請を行ってきたところでございます。
しかしながら、とりわけ健診機関におきまして事業主との間でそもそも契約書を取り交わしていないという事例が多いこともあり、必ずしも十分な効果が見られているとは言えず、情報取得が期待したようには進んでいないのが現状でございます。
厚生労働省におかれましては、その後の状況把握をしっかりと行っていただき、事業主、健診機関に対して改めて働きかけを行っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
今回の議題では、40歳未満の健診情報の活用が取り上げられております。この点につきましても、次に意見を述べますが、この40歳以上の健診情報の取得スキームが適切に機能することが大前提であるということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
次に、40歳未満の健診情報の取得についてでございます。我々といたしましては、事業主健診がしっかりと行われていること、公平な費用負担の下で取得を行うこと、健診情報を効果的に活用ができることが40歳未満の健診情報の取得にあたって必要であると考えております。
まず1つ目に、40歳未満の健診情報の取得については、その前提として事業主健診がしっかりと行われていることが重要であると考えております。特に協会は主に中小企業の従業員の健康増進を担当しておりますので、中小企業を含めた事業主健診の着実な実施が重要であると考えております。改めて事業主健診の全体的な実施状況について、次回以降お示ししていただければと考えております。
2つ目に、40歳未満の健診情報の活用につきましては、今回、幾つかの活用事例をお示しいただきましたが、さらに保険者が活用できる事例を集めていただき、有効な活用方策を例えばガイドラインといった形で国においてお示しいただいた上で、保険者が活用を推進しやすい状況を整えていただければと考えております。
3つ目に、以前の医療保険部会でも申し上げておりますが、40歳未満の健診情報取得に関わる費用負担をどのように整理するのかという点も大きな課題であると認識しております。この点につきまして、厚生労働省の具体的な考えをお示しいただければと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
引き続き、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。意見を申し上げます。
まず1つは、事業主健診情報は極めて大切な情報だと思っているところです。後段で説明がありましたように、40代にかかわらず全従業員の皆さんが分かりやすい健康の管理、その上でもデータがとても大切ですので、健康指導という意味でも活用できるようにしてほしいと思っています。
その際に、非常に重要なのはもちろん個人の情報管理ということがあるのですけれども、一方では、2点目に申し上げたいのは、そのことを個人の匿名性を保ちながらデータ処理することを前提に言いますと、ビッグデータとして活用していくことも当然考えていったほうがいいなと思います。
その上では、実は自治体現場の保健師が強く願っていることですが、自治体が取り組んでいます国保のデータ、あるいは私ども後期高齢者のデータ、そして企業をはじめとした事業主健診等のデータがあるのです。もちろん共済もあります。こういったものをぜひトータルで家族単位で見られるように将来はぜひしていただきたいと思います。なぜならば、食事のこととか、健康に関する話とか、病気になったときの対応は、実は家族単位でかなりやっています。自治体の保健師は家族単位で健康ケアをしたいのですけれども、必ずしも全部が全部、健康に関するデータ、医療に関する診察のデータが入りませんので、データベース活用となり切れないところがあって非常にもったいないと思っています。ぜひこれらが全てリンクして使えるようにしていただきたいというのが将来に向けて希望していることです。
あわせて、個人で見てみますと、成人して就職してからではなくて、誕生してから天寿全うまでに近いぐらいまでの健康データが実は存在しているのです。でも、リンクされていません。ぜひこれらを母子健康に基づくもの、そして学童・児童に関する健康の法律に基づくデータ、そして一般社会人となったデータなどあります。ぜひこれらをリンクして、個人でもそれがマイナポータルで見られるとか、活用できるとか、お医者さんに相談するときに過去まで遡って指導が仰げるとか、そういう環境を将来、ビジョンに入れていただいて対応いただくのがとても大切だと思っています。
また、健康とリンクした事業主健診の情報につきましては、私どももお世話になっていますが、日本健康会議の取組が非常に注目に値すると思っています。その中でも特に私が関心を持っているのは、「健康企業」、「健康経営」ということを、経団連をはじめとして取り組んでいただいていることです。あの会社は従業員の健康をとても大切に思ってくれている、健康をとても大切に仕事をしていただいているというところにやはり多くの人たちが人材としても行かれると思うのですね。そういった社会としての意識が上がっていくこともとても大切ですので、ぜひそういったことも射程に入れながら、個別の取組ではございますけれども、ぜひよりよくなるように活用していただきたいと思っています。
個人情報保護法の重要性はもちろん認識していますが、あまり立派につくり過ぎてしまうと何も活用できなくなってしまいかねない面も出てきます。本人しか見られないとなってしまっては、社会的にもったいないなとも思えます。ほかの国では、過去の数十万から百万人単位の健康データ、医療データをベースに、血液検査等の指標だけで、あなたは5年後にこんな病気になる、だから今から気をつけたほうがいいと、ちゃんと教育・啓発に使えるようになっている国もあるのですね。日本は当然その技術は持っているわけですから、ぜひそういったことも今後は検討していただきたいと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。
これは要望でございます。
歯や口腔の健康が全身の健康に寄与するエビデンスは日々蓄積されております。少しずつですが、国民にも浸透してきております。このような中、自主努力で保険者や事業主による歯科健診も、まだ少ないですが、実施されてきております。
健康増進法においては歯周疾患健診もございますが、10年ごとであり、その受診率もなかなか向上しておりません。歯や口腔の健康を考えると、学童期以降40歳までという期間は非常に予防効果も高く、将来の重症化予防を考えますと、できるだけ早い口腔健康管理が重要と考えております。
今回はデータの活用ということで少し話題が外れてはございますが、働く世代の歯科健診の受診率向上とともに、今後は切れ目のない、歯や口腔の情報の一元化も視野に入れた政策をお願いしたく要望いたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
私も基本的には40歳未満にも適用するということに対しては、特にこの年代は健康について自信があり過ぎてあまり頓着しない、例えば産業医健診を受けて指摘されていても1年、2年放っておく方も結構いらっしゃるので、そういう方々のデータがこういう形でオンライン資格確認を経由して医療機関でもいずれ見られるようになるということに対しては、診療所側にもメリットがあるかと思います。
1点質問させていただきたいのですが、もし40歳未満がこういう形でできるようになったとして、同意は必要ないということですけれども、そういうデータが事業者から保険者側に行って、医療機関でもマイナンバーカードを通して見られるということに対する周知は必要ではないかと思います。その周知をするということについては、そういう流れがあるかどうか、これは事務局にお伺いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 それでは、お願いいたします。
○山下課長 ありがとうございます。
池端委員のご質問ですけれども、まずちょっと整理をしますと、今回、本人の同意なく事業主健診の情報が動くのは、事業主健診を行った事業主からその事業主の加入する保険者のほうにだけでございます。それらの情報は、まさに保険者としてどういうふうに使っていくのかという利用目的をしっかりと伝えて、そして、その利用目的の範囲内で使うということが、私が資料で説明したとおり、個人情報保護法でございますので、それをしていただくということです。この周知は厚生労働省とともに、その情報を得ようとする保険者のほうも一緒になって行うということでございます。
あわせて、それらの情報が保険者のほうに入って、将来、オンライン資格確認のシステムに事業主健診の情報も入ってくると、マイナンバーカードを使って受診する際に、御本人がその都度同意をして自分の信頼する医療機関に共有するということでございます。ですので、医療機関で見る際は御本人が同意をした場合のみ、見ることができるということになりますので、そういう違いがございます。
いずにしても、事業主健診の情報というものを医療機関でも活用していただく、これは、活用できることを、御本人に知っていただかないと使っていただけませんので、様々なルートで周知してまいりたいと考えております。
○池端委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○田辺部会長 ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
ほかに御意見等はないようでございますので、本議題についてはこれまでとさせていただきます。
次に、「今後のNDBについて」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料4「今後のNDBについて」を御覧いただきたいと思います。
まず2枚目、NDB全体がどうなっているかということを改めて振り返ります。レセプト情報や特定健診の情報、これは保険者が持っていらっしゃいますけれども、それらの情報を法律に基づいて厚生労働大臣のほうに保険者から提出をしてくださいということでお願いをしまして、そのお願いの結果出来上がったデータベースがNDBでございます。
厚生労働省に提供する際には、レセプトや特定健診の情報は、保険者では個々の一人一人の情報になっていますけれども、これらの情報がハッシュ化されて、つまり誰のものかは分からないけれども、個人の情報が匿名化されて提供されていますので、厚生労働省のほうのデータベースは、個人は特定されないけれども、全ての加入者の情報がデータベース化されている。これらの情報を厚生労働省が自ら医療費適正化計画を作成するとか、他の医療計画とか健康増進計画で利用することのほか、求めがあれば研究者にも提供しているところでございます。
続きまして、4枚目のスライドになります。そのNDBですけれども、最近法律改正が2度ありました。どう改正されたのかといいますと、令和元年の法改正によって、第三者提供制度、これまで任意でやっていたのですけれども、法定化されましてルールが厳格化されました。これは罰則つきになっております。ルールを守らなければ罰則があるということでございます。
一方で、研究者に限らず民間事業者でも研究したいということであれば提供するということになっております。さらに、他のデータベース、今具体的にあるのは介護データベースと連結して提供することも可能になったということでございます。
また、令和2年の法改正によって、オンライン資格確認の基盤を利用しまして、これまで一人一人の情報ですけれども、加入している保険者が変わってしまうと名寄せが非常に困難だったことが、保険がどんどん変わっていったとしても、どの人なのかということで名寄せをすることが可能になったということでございます。
次に5枚目のスライドです。このナショナルデータベースの情報を第三者に提供するための審査体制につきましては、医療保険部会の下に「匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会」がありまして、それぞれ医療のほうの専門委員会、介護のほうの専門委員会というふうに分かれて議論する場合もありますし、医療と介護両方でやる場合には合同の委員会という形でやりながら、どの研究に対して提供するのか、しないのか、もしくはどの範囲の情報を提供するのか、ということを議論しているところでございます。
10枚目のスライドです。これまでの成果としまして、医療分野でのナショナルデータベースの提供と成果についてはこのような成果物になります。一方で、不適切な事例もありまして、そういった不適切な事例に対しては見つけ次第対応しているところでございます。
11枚目のスライドです。この専門委員会ではどんな議論をしているのかというと、個々の研究者からの利用の求めに応じて、研究内容に対してどの範囲の情報を提供するかのほか、ナショナルデータベースについて、例えば収載する情報を拡大するということも議論をしております。また、他の公的データベースとの連結や、研究者が利便性を高めて対応できるようにということも議論をしております。
それで、今回の医療保険部会の議題では、収載させる情報について拡大させることと、利便性の向上について、まさにこれまで専門委員会で議論してきた状況を御報告させていただきたいと思っております。
14枚目のスライドです。ナショナルデータベースに収載させる情報としまして、新たに4つのことを付け加えたいと考えています。
1つは、患者さんの郵便番号や市町村コードという情報も付け加えるということでございます。
もう一つは、高額療養費の自己負担限度額区分ということで、所得階層の区分を付け加えるということでございます。
3つ目は、医療機関コードということで、医療機関コードそのものではないのですけれども、医療機関コードからその医療機関が診療所なのか、病院なのか、もしくはその診療所なり病院がどこの所在なのか、また、例えば病院であればどういう病床なのか、それは200床未満なのか、500床以上なのかというような様々な属性がありますので、その属性がしっかりと分かるような形で提供するということを考えております。
最後に、公費負担医療ということで、レセプト全体ではこちらにあるのですけれども、そのレセプトが例えば感染症法に基づく公費負担医療なのか、生活保護の医療扶助となっているのか、様々な公費負担医療のコードもありますので、そのコードについても提供するということについて検討しております。
メリットにつきましては資料のとおりですので、説明を飛ばします。
次に19枚目のスライドを御覧いただきたいと思います。そうした様々なデータが収載されていくと、匿名と言いながらも個人が特定されやすくなるのではないかという懸念があります。その懸念は当然でございますので、どういう対応をしているのかということでございます。
実際に、まず19枚目のスライドは、レセプト情報の中からどういうところをハッシュ化して個人が特定されないようにしているのかということでございます。
ナショナルデータベースに格納されている項目は、レセプトのうち、保険医療機関名や被保険者証の記号番号、氏名については消しております。さらに、生年月日の日についても消しております。これらを消した上での情報をハッシュ化している。ハッシュ化しているというのは、保険者番号が、例えば01234というのがハッシュ化しましてAZ何とかとして、全然違う記号にしてしまうということでございます。そのほかについては、傷病名や診療行為、点数については残している。それに併せて、追加情報として郵便番号や市町村コード、高額療養費の区分、公費負担医療ということを追加しまして格納するということでございます。
その上で、次に20枚目のスライドですけれども、それらの情報を研究のために使いたいといった場合に対してどうしているかということです。今、私が言った事前規制のうちの1はお伝えしたのですが、3として、何でもかんでも研究者から求めがあれば渡しているわけではなくて、その研究で本当に市町村コードを使わないといけない研究なのかということ、もしくはそのほかの状況も含めてちゃんと見た上で、必要最小限の範囲でしか提供しておりません。
また、事後規制として、提供した場合であっても、安全管理がちゃんとされているのかということについて、もしされていなければ法令による対応ということで、厳しい場合は、罰則があるということでございます。また、もしちゃんとした使い方をされていなければガイドライン上の対応ということもあります。また、実際に研究した最終的な成果物を出す前に、どういうふうな成果物なのかということで、それが個人情報の最小集計単位を守っているかどうかというのを厚生労働省のほうで一つ一つ確認をしているところでございます。
さらに、今回追加としまして、市町村コードとか高額療養費というものを使う場合には、それらの研究についてしっかりと専門委員会のほうで審査ができるように、こういったデータが欲しいという場合には研究者のほうから提供申出書にしっかりと書いてもらう。それを基に、今までは研究者と専門委員会が直接会って審査をするということはなかったのですけれども、今後は個別に一つ一つの研究者の申出に基づいて、研究者自身が専門委員会に出向いて審査を受けるという形で対応するということでございます。
その上で、次に今度は利便性の向上の話をさせていただきます。34枚目のスライドまで飛びます。
次の35枚目のスライドですけれども、利便性の向上ということです。これまでナショナルデータベースについては、先ほど言った専門委員会のほうで了解が得られれば、そのデータをどういうふうに渡しているかというと、スライドの左側ですけれども、該当するデータを抽出して直接渡すということになりまして、そして、その渡されたデータを研究者は自らのセキュアなところに持っていって対応するということにしていました。
今後、今まさに私どもが開発しているのですけれども、そうではなくて、認められた研究者が認められた情報を使ってクラウド環境下で研究をしていただくという形をすることによって研究者の利便性を高めるという形で、今進めているところでございます。
そのほか、提出する書類の効率化などを図っているところでございます。
最後に、これらのスケジュールがどうなっているのかということが38枚目のスライドです。今回提案させていただいた4つの追加的な情報について、郵便番号、市町村コード、高額療養費の自己負担限度額区分につきましては、システム改修を経て、来年度提供できるようにしてまいりたいと思っています。
また、公費負担医療については、生活保護法上の医療扶助以外については、ガイドライン改正を経て提供したいと考えています。また医療扶助のレセプトにつきましては、社会局のほうで行っている医療扶助検討会のほうにこの方針を伝えた上で、ガイドライン改正をしまして提供するということを考えております。
最後に、ナショナルデータベースでもう一つだけお伝えしたいのですが、42枚目のスライドです。NDB、ナショナルデータベースを利用したいという第三者に対して手数料をいただいているのですけれども、その手数料の改定の話でございます。
43枚目のスライドです。これまで、私どもの入っているナショナルデータベースというのは、名寄せについては提供した先の研究者が自ら対応しなければいけなかったという状況です。これにつきまして、先ほどの私どもの法改正によって、ナショナルデータベースのほうに、保険が変わったとしても名寄せについて自動的に行うというふうに私どものほうで用意をしました。
そのための費用がかかりますので、44枚目のスライドですけれども、現在、第三者提供に係る手数料については、1時間当たりNDBは6,100円となっていますけれども、この手数料について若干上げさせていただくということでございます。
その施行ですけれども、45枚目のスライドですが、これらの名寄せがもう既にビルトインされた形のシステム改修が施行されるのが来年の4月ですので、来年の4月に合わせて手数料の額も若干上がるというところで進めているところでございます。
こちらの議題の説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。
NDBに関してということでございますと、14ページにありますように、患者情報はハッシュ化されることは理解しておりますが、医療機関コードの提供が可能ということでございまして、医療機関とそれに基づく属性情報を把握することが可能になっていると理解しております。
診療所コード等のデータの属性に関しましては、診療所の不利益にならないように、また、医療機関からのオプトアウトにつながらないように、慎重に今後取り扱っていただきたいと要望したく思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、今の件に関しましてレスポンスをお願いします。
○山下課長 林委員、御指摘ありがとうございます。
これは私が説明し損なったので、ちょっと誤解がないように念のためお伝えします。
おっしゃるとおりで、14枚目のスライドでございますが、医療機関コードそのものを提供することはなく、この医療機関コードもハッシュ化をします。一方で、研究者にとってみると、例えば病院のデータが欲しいのだけれども、ハッシュ化してしまうと分からなくなってしまいますので、研究者の方から病院のデータが欲しいのだと言われて、そのコードをいただければ、その病院が関係するレセプトについて提供しますが、その病院のコードについてはハッシュ化しますので、どの病院というのは分からない。診療所でも同じようにします。
ですので、研究者について見ると、500床以上なのか、200床なのかということは分かりますけれども、病院そのものは分からない。また、診療所で言うと、例えば、どこの地域にある診療所なのかということは分かるけれども、どの診療所なのかということは分からないという形で提供するものでございます。
説明が足りなくて大変申し訳ございませんでした。
○田辺部会長 林委員、よろしゅうございますか。
○林委員 分かりました。
いずれにいたしましても、地域、規模、そういったところから特定につながっていく可能性があるわけでございますので、その辺りも含めて慎重に取り扱っていただきたいという要望でございます。
○田辺部会長 では、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。
NDBの利活用推進に当たって、提供情報の拡大をはじめとする今回の御提案ですけれども、これはEBPMと言われるものの実施に当たっても非常に大きな前進であると感じておりまして、また一研究者としても関係各位の御尽力に深く感謝を申し上げる次第です。
例えば、健康と社会・経済状況の関係はこれまでも様々な研究の蓄積がありますけれども、やはりNDBという網羅性の高いデータベースを用いた解析から得られる知見から、医療保険制度のみならず、健康との関係も深い他の社会政策等に対しても多くの解が得られると考えております。
また、昨年も本部会で議論が行われておりました医療保険の窓口負担等について、応能負担の議論がありましたが、このような政策の議論にも今回のいろいろな情報があることが非常に重要になってくると思います。
今後、様々な施策の効果について正しく科学的な根拠を得ようとすると、情報というものがキーになりますので、他の公的データベースの連結の広がりにはさらに期待を寄せたいところであります。
以上です。
○田辺部会長 次に、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
今回の提案につきましては、基本的に賛成です。非常に重要なことであると考えております。
その中で、44ページにあります今後の手数料について、これを見ますと、感想でございますが、非常に安いと思うのと、研究者用に提供する際の手数料と一般企業用に提供する手数料はちょっと変えてもよいのではないかと個人的に思います。
それと、厚生労働省に要望です。NDBの情報も非常に大切なのですが、各保険者が持っているデータも非常に大事であると思っています。様々な年代の方たちの健康を守るためにどういうことができるのかということを解析するのに、先ほど井深先生からもお話があったように、様々なデータベースを組み合わせて解析できるようにするというのは非常に重要であると思いますので、その辺も視野に入れて、それが行いやすいような仕組みをつくっていただけるようなことも考えていただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
今の安藤委員にも少し関連するかもしれません。NDBデータを含めてビッグデータの利活用がこうやってどんどん進んでいくことに対して私も大いに賛成していきたいと思うし、さらなる発展を期待したいと思っています。
先ほど何ページかにありましたように、NDBと介護DB、DPC等がある程度自由に使えるとなってきているとなると、どうしても高齢者とか在宅ということに対する評価をする場合に、KDBのデータの利活用も視野に入れていかなければいけないのではないかと思います。匿名化、ハッシュ化ができるかどうか分かりません。匿名化は非常に難しいということもお聞きしていますが、2年ほど前にもこの部会で私は発言させていただいて、前向きに検討ということもお聞きしていますので、もしKDBの利活用についての進捗状況等がありましたら、むしろこれは原委員にお聞きしたほうがいいのかもしれませんけれども、事務局で分かっている範囲でお答えできることがありましたらよろしくお願いします。
以上です。
○田辺部会長 では、よろしくお願いいたします。
○原委員 池端委員から御意見をいただきましたので、説明させていただきます。
まず、NDBとKDBは基本的な違いがございます。事務局から説明がございましたように、NDBはあくまでも匿名データということでございます。個人が特定できないというところが特徴で、その範囲の中で研究とか政策立案に活用していくというのが役割だと理解しています。
一方で、KDBはいわゆる顕名データでございまして、これは市町村国保、後期高齢者医療広域連合の保険者さんからの依頼を受けまして、それぞれにおける保健事業を展開していく上で活用してもらうためのデータでございます。
ですから、先ほど横尾委員からですか、生涯を通じた健康づくり、あるいは家族単位で顕名データを見られるように将来はしたほうがいいのではないかといったような意見もございましたけれども、将来的な方向としてはそういうことだと思いますが、現時点では被用者保険の顕名データと直接結びつけてやるというのはまだできておりません。
ただ、私どもKDB側から言いますと、市町村国保や後期高齢者医療広域連合で、KDBを保健事業等で活用してもらうときに、匿名データであるNDBデータというものを合わせて活用できないだろうかと考えております。
例えば、国保側で市町村のいろいろな健診なんかのデータを、保健指導等を行うときに、その地域の被用者保険の、匿名ではありますけれども、例えば受診率の傾向がどうなっているかということを比較をして見るとか、そういったNDBも活用したKDBによる保健事業の充実ということはこれからできるのではないかということで、内部でいろいろ検討しているところでございます。
以上でございます。
○池端委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 ほかはいかがでございますしょうか。よろしゅうございますか。
では、御意見等がないようでございますので、本議題につきましてはこれまでとさせていただきます。
最後に、「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料5「オンライン資格確認等システムについて」ということでお願いいたします。
2枚目のスライドです。オンライン資格確認の導入準備状況です。プレ運用参加施設については、左下ですが、現在、1,664施設でもう稼働をしております。一方で、下にありますけれども、院内のシステム改修などでもう既に準備が完了している施設は全国で7,411あるということでございます。
私どもとしては、この準備が完了している方々についても、院内での取扱いとか、今研修をしていただいているのではないかと思いますが、早くプレ運用という形で参加していだたきたいと思っていますし、また、今13万以上の医療機関から顔認証つきカードリーダーを申し込んでいただいておりますので、この申し込んでいただいた医療機関に速やかに顔認証つきカードリーダーをお届けするとともに、システムベンダーさんと一緒になって、この13万の方々がいち早くプレ運用のところまで届くように進めているということでございます。
その関係でいきますと、4枚目ですけれども、前回の医療保険部会でも御説明しましたとおり、7月9日に集中導入開始宣言という形で、3月に起きたデータの不具合についてはもう解消していますということで、御安心してオンライン資格確認を使ってくださいということをお伝えしたところでございます。
10月からの本格導入に向けて、10月まで待っていると結構時間がかかりますので、いち早く進めていただくためにも、もうすぐ7月から使えますので対応してほしい。そのためにも医療機関からシステム事業者に、例えばレセコンと電子カルテを医療機関に導入しているところに対し、医療機関が御連絡をしていただいて対応していただきたいということをお伝えしたところでございます。
結果として、ライブ配信では当日1万8000以上の施設に御覧いただいています。これはアーカイブになっておりますので、アーカイブは現在確認したところ3万6000以上の方々に、医療機関だろうと思っているのですけれども、ご覧いただいているところでございます。
現在、保険局においては、医療関係団体や公的な医療機関に対して、導入をしてくださいということを働きかけています。さらにそういった医療機関に関わるシステム事業者に対しても計画的に対応していただきたいということをお願いしております。
あわせて、前回も説明しましたが、半導体不足でノートパソコンが不足しているのですという説明をしました。これに対し、ノートパソコンを生産しているパソコンの事業者の方々、また、ノートパソコンについての卸をしていただいている企業に対しても私のほうから直接お願いをして回っているところでございます。
また、既に導入されたところの施設にインタビューに参りまして、一番下にあるように、ホームページでインタビューの結果をお伝えしております。非常に好意的な御発言をいただいているところでありますし、また、今後考えていただいている方も、例えば受付でどうなのか、入れるまでにどんな御苦労があったのかということが分かりますので、ぜひ御覧いただきたいと思っております。
続きまして、5枚目のスライドですが、話が変わりまして、訪問看護ステーションにおけるオンライン請求の話でございます。
6枚目のスライドです。訪問看護ステーションにつきましてもオンラインで費用請求ができるようにということで、これまでもずっと研究をしておりまして、今年の2月の医療保険部会で、令和5年1月からオンライン請求ができるようにということをお伝えさせていただきました。
一方で、7枚目のスライドですけれども、審査支払機能の在り方に関する検討会を踏まえまして、国保の総合システム、支払基金でのシステムにつきまして、将来的に共通化して対応しようということが決定した結果、それらを踏まえて国保の総合システムについても対応しないといけない。その結果、訪問看護のオンライン請求のスケジュールにも影響しまして、大変申し訳ございませんが、令和5年1月ではなくて、令和6年5月請求分から対応するという形で、全体のシステムの構築の影響を受けまして、こういったスケジュール変更になるということを御報告させていただきます。
事務局からの説明は以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 本システムは、医療機関に対して参考資料2に整理されているようなメリットをもたらすだけでなく、今後の電子処方箋や電子カルテの共有など、データヘルス改革の起点になるものと考えます。
また、前回の部会で申し上げたとおり、不慮の事故や急病等の際に迅速かつ効果的な治療を行い、早期の職場復帰を実現する仕組みとしても機能することになれば、働く人や雇用者側にとってもよい効果が期待できます。
このように、オンライン資格確認等システムは、医療サービスを提供する側と受ける側の両方にとって必要な、いわば公共インフラとしての役割を担うものであり、着実に全ての施設において早期の整備・活用が図られるようにお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
本件については、この場でもう何回も申し上げていますし、また厚労省において御努力されていることは十分理解しているところではあるのですが、それにつけても、プレ運用の参加状況を見ますと、10月からの本格運用の開始が本当に大丈夫なのかという不安の声が依然として健保組合から上がっているのが現状でございます。
特に健保組合から見ますと、10月からの開始に向けて加入者に対してオンライン資格確認の周知案内をしたくても、この参加状況を見ますと、マイナンバーカードの保険証利用はほとんどできませんよと。そういうアナウンスしかできないような声も出ている状況でございます。
当然ながら、10月以降、さらにレセプトの振替・分割、医療情報の提供であるとか、今後、オンライン資格確認システムはさらに様々な機能が追加されると、まさに極めて重要な基盤インフラになるものだと思います。そういう意味でも、10月からの本格運用の開始は絶対条件だと思いますし、本格運用がきちんとしたスタートを切れるように環境を整備していただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
次に、秋山委員、よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。
日本看護協会の秋山です。
資料5の7ページ、訪問看護レセプトの電子請求開始時期の変更に関しまして、まず意見を申し上げる前に2点確認させていただきたいと思います。
1つ目は、訪問看護レセプトの電子化の遅れによって、議題2にもございました、第8次医療計画策定に支障が出ることはないのかということです。
もう一つは、訪問看護でのオンライン資格確認も、オンライン請求と同じタイミングで実施されるという理解でよろしいのかという2点について確認したいと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 では、この2点をよろしくお願いいたします。
○山下課長 秋山委員の御質問ですけれども、医療計画の見直しに関して、当然、訪問看護のデータが必要になってくるということでございます。これにつきましては、今、医政局のほうと相談をさせていただいておりますが、医療計画の検討に必要なデータにつきまして、現在、紙で来ている訪問看護のレセプトにつきましてデータ化させるということで、どういうものが必要なのかということを聞いているところでございますので、皆様方、医療計画の見直しのほうに影響のないような形で、私どもが持っているレセプトのデータを活用していただくことを考えているところでございます。
また、オンライン資格確認とのシステムにつきましては、訪問看護につきましては、患者さんとカードリーダーが離れているところもありますので、これらにつきましては技術な整理をした上で、できるような形で進めてまいりたいと考えております。
○田辺部会長 秋山委員、よろしゅうございますか。
○秋山委員 ありがとうございます。
その上で2点要望させていただきたいと思います。
まず、訪問看護のレセプトの電子化につきましては、かねて本会からも要望してきたところですので、今回、電子請求開始時期が1年4か月待ちのスケジュールとなることは大変遺憾に思っております。できれば当初の予定どおりに進めていただきたいところではありますけれども、少なくとも7ページのスケジュールからさらに遅延するということのないようにしていただきたいと思います。
あわせて、オンライン請求導入と同時にオンライン資格確認がスタートできるように準備していただきたいと思っておりますが、この際にはオンライン資格確認の改修を理由にオンライン請求の開始時期がさらに遅れるといったことは避けていただきたいと思います。
以上の2点、要望です。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
オンライン資格確認システム等については大変期待をしているところでございまして、このシステムの開発とか実際の導入、また医療機関や薬局においていろいろな御苦労をいただいていることは特に感謝したいと思っています。
ポイントとして申し上げたいのは、先ほど説明ありましたので、恐らくこれから広報なさると思うのですが、このスケジュールもずれが生じるということでございます。このことについては、期待されている方も多くございますし、全体のデジタル社会に向けての日本のガバナンスとも密接にリンクしていきますので、ぜひ分かりやすく、多くの皆様が御納得できるような、そういう広報体制をぜひよろしくお願いしたいと思います。また、さっきの委員もおっしゃったように、これ以上遅延がないようにお願いしたいと思います。
ただ、ぎりぎりのところで拙速はいけませんので、そこのところは慎重に御判断をし、また努力もしていただきたいと期待をしています。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
御意見等がなければ、本日はこれまでとさせていただきたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
本日は、御多忙の折、御参集いただきましてありがとうございました。それでは、散会いたします。