薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和3年度第2回安全技術調査会議事録

日時

令和3年7月27日(火)15:00~17:00

開催形式

Web会議

出席者

 

出席委員:(9名)五十音順、敬称略



欠席委員:敬称略
 
  • 長村 登紀子
  • 脇田 隆字



国立感染症研究所:敬称略
 
  • 水上 拓郎



日本赤十字社:敬称略
     
  • 佐竹 正博
  • 後藤 直子
   


事務局:
 
  • 中谷 祐貴子  (血液対策課長)
  • 菅原 高志     (血液対策課長補佐)
  • 佐野 圭吾     (血液対策課長補佐)
  • 太田 一実   (主査)

 

議題

  1. 1.新型コロナウイルス既感染者の採血制限について
  2. 2.輸血後の感染事例とその対応について(非公開)
  3. 3.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 
 
○佐野血液対策課長補佐 それでは、定刻には少し早いですが、委員の皆様がそろわれましたので、安全技術調査会の方を開始させていただきたいと思います。
それでは、「血液事業部会令和3年度第2回安全技術調査会」のWeb会議を開催いたします。なお、本日の会議は、議題2を個人情報保護の観点から非公開で行います。また、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
本日はお忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日のWeb会議における委員の出席についてですが、長村委員及び脇田委員より御欠席との御連絡をいただいております。現時点で安全技術調査会委員11名中9名の出席をいただいていることを報告いたします。
本日は参考人として、国立感染症研究所血液・安全性研究部第1室、水上拓郎室長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博中央血液研究所所長、後藤直子技術部安全管理課長に御出席いただいております。
続きまして、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。また、「薬事分科会審議参加規程」に基づいて各委員の利益相反の確認を行いましたところ、岡崎委員、岡田委員から関連企業より一定額の寄附金、契約金などの受取の報告をいただきましたので、御報告いたします。以上の委員におかれましては、議題2に関しましては意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員につきましては、対象年度における寄附金・契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はありません。これらの申告についてはホームページで公開させていただきます。
委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出していただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞお願い申し上げます。
本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、御自身のお名前と、発言したい旨を御発言いただくようお願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度、皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は座長からお願いする場合がございます。その場合には記入されたメッセージに応じて、座長より発言者を御指名いただきます。
また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。まもなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、以降の進行を濵口座長にお願いいたします。
○濵口座長 皆さん、こんにちは。議事を始めたいと思います。これまでの説明に御質問、御意見等、皆様の方からございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは議事に入ります。議題1「新型コロナウイルス既感染者の採血制限について」です。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。それでは、資料1を御覧ください。新型コロナウイルス感染症の流行による患者数の増加に鑑み、新型コロナウイルス既感染者に対する採血制限の考え方について、検討が必要となっております。昨年7月22日以降、複数回の安全技術調査会において、当該採血制限について検討を行ってきたところでございます。
本年4月27日に実施されました、前回の令和3年度第1回安全技術調査会においては、新型コロナウイルス既感染者において後遺症等が認められていることが報告されている一方で、本邦における新型コロナウイルス既感染者における後遺症についての知見が乏しいこと等から、更なる知見を収集した上で再度検討することが適切であるとの結論となっておりました。
今般、本邦における新型コロナウイルス既感染者における後遺症の知見が集積されたこと等から、先日の6月23日及び7月7日に実施されました厚生労働科学研究班(「安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築に関する研究」、以下「浜口班」と略す。)において改めて知見の整理を行いました。その結果、資料1の1ページの下段から3ページの上段までに記載されている理由から、新型コロナウイルス既感染者における採血制限につきましては、後遺症の有無に係る問診を実施することや、必要時には動脈血酸素飽和度を測定する等の新たな健康診断項目を加えた上で、新型コロナウイルス感染症による症状消失日、無症候の場合は陽性となった検査の検体採取日から4週間とすることが適切であるとの見解となりました。
当該見解の根拠となった理由につきまして、順に御説明させていただきます。まず、マル1「献血者の安全性確保の観点」からは、1つ目、参考資料として、参考資料1-9のスライド10枚目を御覧ください。「新型コロナウイルス感染症(COVID=19)診療の手引き(第5版)」における「退院職場復帰基準」が、「発症日(無症候の場合は陽性となった検査の検体採取日)から10日経過し、かつ症状軽快後72時間経過すること」と設定されていることを考慮いたしまして、症状消失(無症候の場合は陽性となった検体の検査採取日)から2週間の採血制限期間を設けるとともに、献血者の安全性への更なる配慮を目的として、追加の2週間を加えた計4週間の採血制限を設定することにより、献血者の安全性をより保守的に見積もることが可能であると考えられたこと。
次に2つ目は、以下の3つの矢印の理由から、現在、献血時に一般的に行われている健康診断に加え、献血に不適切と考えられる後遺症の有無等に係る問診や、必要時に動脈血酸素飽和度を測定する等の健康診断を追加で実施することにより、献血者の安全性を確保することが可能であると考えられたこととなっております。
その詳しい理由につきましては、まずは、参考資料1-3のスライド8枚目を御覧ください。本邦において、新型コロナウイルス既感染者については、発症後120日を超えても全身倦怠感や呼吸苦といった比較的重度の後遺症が、それぞれ10%前後の者に認められていることが報告されていること。
次に参考資料1-2のスライド2枚目を御覧ください。海外からの報告にはなりますが、入院加療を必要としなかった患者において、新型コロナウイルス感染後6か月の間に約55%の患者において何かしらの後遺症が認められております。そのうち約15%には呼吸困難が認められると報告されていること。
最後に、上記のような献血を実施する上で問題となる後遺症について報告されている一方で、後遺症を認めない患者や、後遺症を認めたとしても味覚障害や嗅覚障害のように、献血を実施する上で問題とならない後遺症のみを認める患者も存在するということ。これらの3つの理由を踏まえますと、問診や動脈血酸素飽和度の測定を適切にすることで、適切な献血者の選別ができると考えられたこと、となっております。
次にマル2「採血所における感染拡大防止の観点」についてです。参考資料1-1のスライド2枚目を御覧ください。新型コロナウイルス感染症につきましては、再陽性者が認められることや、発症後4週間を超えて咽頭ぬぐい液によるPCR検査が陽性となる例が知られているものの、以下の2つの矢印の理由から、症状消失後4週間の採血制限を設けることにより、採血所におけるクラスターの発生を抑制できると考えられたとなっております。
その理由の詳しい内容についてですが、まず、再陽性者の接触者における新型コロナウイルス感染は認められておらず、また、再陽性となった検体のウイルス培養は陰性であること等から、再陽性者より感染性のあるウイルス株は分離されていない旨が報告されているとなっております。
次に、軽症又は中等症の患者につきましては、発症後10日以降の症例からの感染リスクは低いことから、少なくとも発症後10日目以降については、咽頭からウイルスRNAが検出されていたとしても、感染性がなくなっている可能性が高いと考えられたとなっております。
最後に、マル3「血液製剤の安全性の観点」についてですが、こちらについては、以前から安全技術調査会で議論させていただいている内容となっております。新型コロナウイルス既感染者から採血した血液において、RNAemiaを認めた場合に、当該血液から製造された血液製剤について感染性があったとの文献報告はないこととなっております。
以上から、献血者及び血液製剤の安全性確保の観点、並びに採血所における感染拡大防止の観点を総合的に勘案し、安全技術調査会の見解として、新型コロナウイルス既感染者の採血制限につきましては、以下のとおりとしてはどうかと事務局からは御提案させていただきたいと思っております。資料1の3ページ中段を御覧ください。
内容ですが、症状消失から4週間、無症候の場合は陽性となった検体の検体採取日から4週間。ただし、採血を実施するにあたり、献血者の安全性の観点から問題があると考えられる後遺症の有無に係る問診を行い、献血を実施する者を適切に選定した上で、必要時には動脈血酸素飽和度の測定を実施すること。
議題1について、事務局からの説明は以上になります。御審議の程宜しくお願い申し上げます。
○濵口座長 ありがとうございました。詳細な報告だったと思います。これに関しまして、研究班の中でまとめた見解について、水上参考人の方から説明、追加をお願いいたします。
○水上参考人 宜しくお願いします。聞こえますでしょうか。
○濵口座長 聞こえています。
○水上参考人 先程、事務局の方より御報告いただいたとおり、我々研究班といたしましては、やはり、後遺症が非常に大きな問題になっていると考えておりました。先程事務局の方からも御指示いただいたとおり、参考資料1-1の6枚目のスライドを見ていただくと分かるのですが、この急性COVID-19の後遺症・症候群という症状が既に提唱されておりまして、このスライドにあるように疲労や呼吸困難、様々な症状が、回復した後も出てくるということが明らかになってきております。
そのスライドの9枚目には、非常にビジーなスライドで申し訳ございませんが、各国の研究の報告がまとめられております。この赤い枠で囲っている所が、イタリア、イギリス、フランス、アメリカ、様々な国でこういった症状が、やはりPost-acute COVID-19 Syndromeということで報告されているということが分かっています。その内訳として、呼吸困難や味覚・嗅覚の喪失、それらを含めたQOLの低下などが報告されております。
さらにNCGMの森岡先生のスライド、参考資料1-3の8枚目の所で、こちらは日本での報告となりますが、発症120日後の症状ということで、やはり呼吸困難や倦怠感ということが報告されております。
こういったところから、研究班といたしましては、通常、再エントリーを不可としていたSARSコロナウイルス感染症に関しまして、再エントリーを可とするには、やはり血液の安全性確保のための2週間にプラスして更に2週間というものが、献血者の安全性の確保のために必要と考えておりまして、最終的に4週間ということを提案させていただきました。
また、マル2「採血所における感染拡大防止の観点」に関しましては、同じく参考資料1-1の1枚目に、感染症研究所の感染症疫学センターがまとめた様々な報告からまとめ、推測できるところを御報告させていただきました。こちらに関しましても、このスライド1の所を見ていただくと分かるのですけれども、軽症・中等症におきましては、発症10日目以降の症例からの感染リスクは極めて低いということ、それから、核酸検査再陽性例よりウイルス培養の陽性例、つまり感染性の再燃はないということ、二次感染もないということが様々なエビデンスから明確になっております。
このようなことから、この2週間と2週間をプラスしてトータル4週間というところが、献血者の安全性及び血液の安全性の観点から、必要ではないかということを御報告させていただきました。研究班からの補足といたしましては以上となります。
○濵口座長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして日本赤十字社より意見があればお願いいたします。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 日本赤十字社の佐竹でございます。現在の、今、いただきました御意見、それからその方針等につきましては、我々としては、そのとおり遂行できるものと考えております。以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。それでは、これまでの説明につきまして、委員から御質問、御意見を頂きたいと思います。どなたでも結構です。お願いいたします。
○熊川委員 福岡大学病院の熊川と申します。今、御説明いただいた内容については理解できました。書類に書いてあることとの整合性の確認ですが、参考資料1-12の浜口班のウイルス安全性についての報告書の2ページ目の「新型コロナウイルス既感染者の献血制限について」の黒丸の2つ目ですが、WHOや海外の基準はということで、この文章だけを見ますと、28日以降に症状が出るものもあるので、この上記の基準、28日以降という基準は恐らく安全とは言えないと書いてあるように受け取ったのですが、先程の説明だけを伺いますと、28日で十分いいように思いますので、ここに書いてあることが少し違うのか、私がそこを分かっていないのか教えてください。
○濵口座長 ありがとうございます。これは昨年まとめたときの見解ですが、確かに、完全に回復した後に、また再燃される方がいらっしゃいました。多分、そうした場合に感染性が残っているのではなかろうかということで、この時点ではよくその辺りの解析ができていないということで、一応、情報が集まってから検討ということで、ペンディングの状態にしておりました。
先程説明がありましたように、海外のデータ、それから国内においても、感染者の血中、若しくは咽頭ぬぐい液等で認められるウイルスの状況、若しくはRNAの状態ということから、そのリスク自体が2週間でほぼ消失してしまうのではなかろうかというのが、一応、その後のアップデートということになります。この時点での再燃例というのがあるのは確かだとは思いますが、その方から次の方に感染させる可能性というのは、ほぼないというように、研究班の中では検討いたしました。以上です。
○熊川委員 ありがとうございます。浜口班のこの報告書の後に、さらに色々な知見がアップデートされて、今回の御判断になったということについて理解できました。ありがとうございます。
○濵口座長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。
○熊川委員 すみません、もう1点、質問してもよろしいですか。
○濵口座長 はい。宜しくお願いします。
○熊川委員 ありがとうございます。もう1点、今回の献血制限の解除の事案について、先程ちょっとおっしゃっていたように思ったのですが、私の中の意見といいますか、理解についての確認です。いくつか書いてあるところから考えますと、現時点での献血制限の解除については、献血状況が逼迫したためというわけではなくて、途中、書いてあったところを見ますと、献血ドナーさんで頻回に献血してくださる、大体は血小板のドナーですが、やはり献血制限を継続していることで、献血のモチベーションが維持できないという現場の問題が挙がっていることが、一つ大きな問題であるというように書いてあると受け取ったのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○濵口座長 ありがとうございます。研究班の中での検討では、今、熊川先生がおっしゃったようなところが一番大きな今回の課題ということで、検討を行いました。昨年、7月に見解を出した時点で、日本赤十字社の逼迫状態について、検討いたしましたが、その時点での状況は、十分、大丈夫であるという見解でした。今、熊川先生が御指摘された点に関して、感染して回復した後も献血ができないという状況からリエントリーさせるための、基準を作ることを研究班の中では進めてまいりました。以上です。
○熊川委員 熊川です。ありがとうございます。大事なポイントであるということが理解できました。ありがとうございました。
○濵口座長 他はいかがでしょうか。特にないようでしたら、献血者の安全性確保、血液製剤の安全性及び献血会場における安全性を総合的に勘案し、新型コロナウイルス既感染者の採血制限については、事務局が御提示された案で御了承いただけますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。今回の見解を踏まえて、事務局においては通知の発出等、対応をお願いいたします。
それでは、以上で公開議題については終了いたします。次に非公開議題に移りますので、事務局よりお知らせをお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 この後の議題につきましては、個人情報保護の観点から非公開で行います。非公開の議事の結果につきましては、議事要旨を可及的速やかに厚生労働省のWebサイトにて公開するとともに、議事録を後日同サイトに公開いたします。傍聴の皆様は、ここで退席をお願いいたします。非公開議題は、15時30分より行いたいと思いますので、宜しくお願いいたします。
(非公開議題のため、中断)
○佐野血液対策課長補佐 先生方、お時間が少し早いのですが、そろそろ議題を始めてもよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、濱口先生、宜しくお願いいたします。
○濵口座長 それでは、準備が整いましたので議題を始めます。議題2の「輸血後の感染事例とその対応について」です。まず、事務局より、資料2-1、2-2、2-3について説明をお願いします。
○佐野血液対策課長補佐 資料2-1~2-3をお手元に御用意ください。まず、資料2-1を中心に、今回、委員の皆様に御議論いただく内容について御説明いたします。本年6月9日に実施された運営委員会において、遡及調査ガイドラインでB型感炎ウイルス(HBⅤ)のHBc抗体陰性、HBV-NAT検査陽性の献血用血液製剤からHBV感染が成立した症例について報告がなされました。
当該運営委員会では、日本赤十字社において採取された血漿について約180日間の貯留期間を設けていることを踏まえた当該事例における日本赤十字社の対応についての適切性や、現行の遡及調査ガイドラインの内容の適切性等について議論がなされました。その結果、遡及調査ガイドラインの改定も視野に入れつつ、当該症例を踏まえた今後の輸血用血液製剤の安全性確保の方策について、安全技術調査会で引き続き議論するとされたことから、本調査会で議論することとなっております。なお、運営委員会における詳しい議論内容については、参考資料2-2を御覧ください。
それでは、当該事例の概要について御説明いたします。まず、HBVに感染した症例です。2020年9月に輸血が施行されております。資料2-3の5ページに詳細を記載しております。その後、2020年11月20日にHBV-DNAが陽性という状況です。ただ、2021年1月に肝炎を発症するとともに、この時点で急性肝炎となり、肝炎治療のために転院しております。2021年2月には、抗ウイルス薬エンテカビルによる治療により肝炎は落ち着き退院となり、その後は通院加療継続とされております。
次に、資料2-1の1ページの中段から下と資料2-2を御覧ください。献血者の検査結果について御説明いたします。2019年12月、これは受血者に輸血用血液製剤が投与され感染の原因となったと考えられる新鮮凍結血漿が採取された献血が実施された時点ですが、その時点における当該献血者のHBV関連検査は全て陰性でした。次に、84日後に再来献血に来られたときの献血者のHBVの関連検査は、HBV-NATが陽性、HBs抗原が陰性、HBc抗体が陰性という状況でした。
当該事象のその他の情報についてですが、資料2-1と2-2を、適宜御覧いただければ幸いです。HBVを発症した症例に輸血された輸血用血液製剤は24名の献血者由来のものです。献血時のHBV-NATは全例で陰性です。また、問題となっている献血者を除いた23名のうち10名は再来献血を行っており、再来献血においてもHBV関連検査は全て陰性でした。そして、献血者及び受血者から分離されたHBVはジェノタイプがAであり、患者検体内に存在が示唆されたうちの1株と献血者検体株は、検査した範囲で塩基配列が全て一致している状況でした。
次に、資料2-1の2ページ、現行の遡及調査ガイドラインにおけるHBc抗体陰性、HBV-NAT陽性の場合の対応について説明いたします。まず、遡及調査期間は72日以内であり、遡及調査内の過去の直近及び前回から過去42日以内の全ての輸血用血液製剤、血漿を遡及するとなっております。なお、72日間という設定については、以下の※の理由となっております。つまり、血漿中に1copy/20mLのHBVが存在すると仮定した上で、かつ、HBVのウイルス量が2倍になる時間を2.6日間と仮定した場合に、HBs抗原が陽性となるのは36日となることから、保守的にDNAのNAT検査が陽性になるよりは、より長い期間の36日を2倍したものとなっております。
今回の献血者の追加情報は、後ほど、日本赤十字社から詳しい御説明があると思うのですが、資料2-1の中段の4つの矢印です。特に我々が重要と考えている点は、矢印の3つ目です。当該献血者については、HBc抗体、HBs抗原が、現行の検査では検出できなかったHBV感染既往者であったと考えられているところです。当該事象を踏まえた対応については、後ほど、日本赤十字社から詳しい御説明があると思うのですが、(2)のような対応を取られている、又は取られる予定となっているという状況です。
最後に、資料2-1の3ページの(3)を御覧ください。当該事例を踏まえた事務局からの提案です。当該事例の経過等を総合的に判断すると、本事例については、今までのウインドウ期の考え方のみでは、HBVの感染を防ぐことができない事例であったと考えます。このような事例の存在が明らかとなったことから、本事例については上記を踏まえて、事務局としては、現行の血液製剤に係る遡及調査ガイドラインのうち、HBVの規定について改定を行う必要があると考えております。我々としては、当該対応の適切性について、委員の皆様に御審議いただきたいと考えております。宜しくお願い申し上げます。
○濵口座長 続いて、現在、日本赤十字社で行っている輸血用血液製剤の感染症に対する安全性確保の方策と、当該症例を受け日本赤十字社が行っている対応について、日本赤十字社より御説明をお願いいたします。
○日本赤十字社技術部後藤安全管理課長 お手元に資料2-4を御用意ください。こちらを中心にお話いたします。併せて、資料2-5の補助資料も御覧いただければと思います。
はじめに、輸血により患者にHBVを伝播させる血液は、その血液の献血者の感染状態によって大きく2つに分けられます。1つは、ウインドウ期にある血液です。感染後最も早く(平均21日)陽性となる検査マーカーは、個別検体の核酸増幅検査(個別NAT)であり、日赤はこれで感染初期の血液を排除しています。個別NATは極めて高感度(95%LOD;4.3IU/mL)となっておりますが、これで捉えられないHBV濃度の血液でも感染が起きます。補助資料の3ページを御覧ください。日本では、2020年までにこれが5例を数えます。個別NATの次に陽性となるマーカーはHBs抗原検査で、感染から陽性まで平均36日掛かります。
もう1つのHBVを伝播させる血液は、HBs抗原陰性のHBV低濃度キャリアで、オカルトHBV感染者、OBIなどと言われるものです。思春期以後にHBVに感染し、それが治癒した状態ではありますが、今日、HBVは一度感染すると生涯肝細胞に潜んでおり、完全に除去されることはないと考えられています。それが時々、特に高齢者や免疫能の低下した個人において、末梢血中にHBVが漏れ出すことがあり、そのときの献血が輸血感染のもとになることがございます。また、長期の経過中にHBs抗原を失った慢性感染者もこの群に含まれます。このような血液は、感染既往マーカーであるHBc抗体陽性で特徴付けられます。これらの血液のHBV濃度は、個別NATでも捉えられないほど低い場合がありますが、HBc抗体陽性をもって排除することができます。
補助資料の4ページを御覧ください。HBVに感染すると、HBc抗体に後れて中和抗体であるHBs抗体も産生され、これが肝炎治癒のマーカーとなります。HBc抗体は低力価になってもほぼ一生検出できるのに対し、HBs抗体価は加齢とともに下がる傾向があり、しばしば陰転化します。ただ、まれではありますが、HBc抗体が先に陰性になりHBs抗体だけが残る場合もあります。さらに、HBc抗体やHBs抗体など一切の血清学的マーカーが消失する場合もあり得ます。通常、HBc抗体はカットオフ1.0以上を陽性、HBs抗体は10mIU/mL以上を陽性と定義しています。HBV低濃度キャリアの判定はNAT陽性とHBc抗体陽性の2つで行い、HBs抗体は通常考慮いたしません。
次に、遡及調査について御説明いたします。日本赤十字社では、複数回献血者のHBV- NAT陽転時において、「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」に従って、過去の献血血液から製造された血液による感染に係る受血者の調査を行って評価・分析を実施してきました。補助資料の6ページを御覧ください。当ガイドラインにおいては、過去のいつまでの献血血液にリスクがあるかを、HBVの血中の増殖速度やHBc抗体の有無に基づいて定め、遡及期間として明記されております。
補助資料の7ページに図で示したとおり、HBc抗体が陰性でHBV NATのみが陽転した場合は急性HBV感染と考え、過去72日以内の前回献血、及びその前回献血から42日以内の献血について遡及調査することになっています。ガイドラインの内容及び遡及調査手順については、補助資料の8、9ページにお示しいたしました。
なお、72日という期間は、先程も御説明があったとおり、血清学的ウインドウ期の36日を基本とし、安全のためにその2倍の数字を設けたものであり、42日という期間は、NATウインドウ期の21日を基本として、安全のためにその2倍とした数字となっております。当ガイドラインに基づき遡及調査を実施してきた結果、前述のとおり2014年の個別NAT導入以降に献血されたHBV NAT陰性の血液によるHBV感染を2020年末までに5例確認しています。この5例の詳細については、補助資料の10ページにお示しいたしました。
一方、医療機関から輸血による感染が疑われる情報を入手した際には、補助資料の11~13ページに手順を示しておりますが、感染が疑われた血液と同一の採血に由来する輸血用血液について、供給停止、情報提供、製剤の回収等の対応を実施してきました。個別NAT導入後から2020年末までの間、医療機関からの感染疑い例で実際に感染が確定した事例はございませんでした。
次に、当該HBV陽転献血に係る対応についてお話いたします。補助資料の15ページを御覧ください。当該HBV感染事例に係る複数回献血者は、2020年○月HBV NATが単独陽転、これはHBs抗原が陰性、HBc抗体が陰性、NATのみ陽性という陽転で、急性感染とみなされました。過去の献血を確認したところ、遡及調査ガイドラインではHBV NAT陽転でHBc抗体陰性の場合は過去72日以内の前回献血及び前回から42日以内の献血について遡及調査することになっていることから、84日前であった前回献血は遡及調査期間外となり調査対象となりませんでした。
次に、輸血後HBV感染症疑い報告、医療機関からの報告の対応について御説明いたします。補助資料の17ページを御覧ください。ある医療機関から、2020年9月のFFP輸血の約4か月後に肝炎を発症し、HBs抗原が陽性となったことから輸血後HBV感染症が疑われるとの報告を受けました。なお、当該患者は輸血約70日後にHBV DNAが陽性になっていたということが追加報告されました。
このHBs抗原が陽性になったという第一報の報告を受け、輸血に使用された血液24本(いずれも個別NAT陰性)について、遡及調査ガイドラインに従い、マル1同時製造品を確認、マル2供給先への情報提供を行い、マル3でお示しした輸血で使用された血液と同一の献血者のその後の献血を調査したところ、マル4でお示ししたとおり、FFPの献血者1名が84日後の献血においてHBV NATが陽転していることを確認いたしました。
このHBV NAT陽転時の保管検体と患者検体を用いてHBV-DNAの塩基配列を調査いたしました。補助資料の18ページの下側を御覧ください。塩基配列はPreS/S領域を含むP領域の前半部1,556bp、CP/PreC領域の223bpの塩基配列が完全に一致したことから、輸血による感染と考えられました。ウイルスのジェノタイプはともにA2でした。なお、当該FFPの同時製造品である赤血球製剤の受血者を調査したところ、感染は認められませんでした。
次に、この献血者の感染状況について御説明いたします。補助資料の21ページを御覧ください。○○○○年から○○○○年までの○○回の献血は、全て個別NAT陰性でした。20プールNATでスクリーニングを実施していた○○○○年から○○○○年の分は、保管検体で個別NATを実施し陰性を確認いたしました。2020年○月にHBV NATが陽転したときのHBV濃度は定量限界以下であり、急性感染例とした場合、84日前に献血された当該血液がHBVを含んでいるということは、HBVの増殖速度の上からは考えられません。
HBs抗原及びHBc抗体の検査履歴は、○○○○年から○○○○年までの○○回の献血で2種類の検査システム(2019年5月まではCLEIA法、その後はCLIA法)を使用して完全に陰性であるということを確認いたしました。また、研究的に追加実施した高感度のHBs抗原検査も、肝機能の軽度異常を示した○○○○年から○○○○年までの保管検体で陰性となりました。総じて、本献血者はHBc抗体やHBs抗原が、現行の血清学的検査では検出できないほど低いレベルのHBV感染既往者であった可能性があります。なお、当該血液を輸血された患者では、明瞭なHBc抗体が検出されておりました。
一方、HBs抗体の検査履歴は、○○○○年から○○○○年まで○○回の献血のうち、○○○○年と○○○○年の○回、CLEIA法にて僅かに陽性で○○.○と○○.○mIU/mLとなっておりました。感染の原因となった当該献血では○○.○mIU/mL、HBV NAT陽転時の献血は○○.○mIU/mLであり、いずれもHBc抗体は陰性でした。また、当該献血者の現在の感染状況について調査を行いましたが、現時点では協力が得られておりません。
最後に、今後の対応について御説明いたします。補助資料の22ページを御覧ください。複数回献血者が献血血液の検査において病原体マーカーが陽転した場合の遡及調査は、遡及調査ガイドラインに基づき、決められた遡及調査期間の過去の献血血液について実施し、調査対象の献血血液から製造された輸血用血液に出庫停止等の対応をしています。その遡及調査期間は、先程お話したとおり、血清学的ウインドウ期及びNATウインドウ期をもとに設定されています。
また、現在の献血血液のHBVスクリーニング検査は、主としてHBV NATで新規感染を、HBc抗体で既往感染を検出するロジックとなっています。しかし、本事例の献血者は、HBc抗体が陰性であるため、現在の献血血液のHBVスクリーニング検査のロジックでは、急性感染の時期にあると判定され、感染既往とは判定されない感染事例と考えられました。今後、同様の事例の発生について注視し、遡及調査の仕方を変更する必要が出てくる可能性がありますが、同様の事例が発生した場合の安全対策として、FFPの貯留保管を利用した暫定的な対応を実施することといたしました。
補助資料の23ページを御覧ください。FFPの貯留保管は、同時製造品の赤血球製剤や血小板製剤の使用により感染が疑われた場合に、保管中のFFPの使用を取りやめることにより感染の拡大を防止するためのものです。しかしながら、今回の事例に鑑みて、献血血液のスクリーニングにおいてHBV NATのみ陽転した場合、遡及調査期間を超えた過去の献血のうち、貯留保管中のFFPがある場合は、輸血用血液製剤としては使用せず、分画製剤の原料血漿に転用する対応を既に実施しております。日本赤十字社からは、以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。ただいまの説明について御意見や御質問がありましたら、委員の先生方からお願いいたします。岡田委員、何かありますか。
○佐野血液対策課長補佐 岡田委員、聞こえておりますでしょうか。
○岡田委員 すみません、埼玉医大の岡田です。
○濵口座長 どうぞ。
○岡田委員 この症例は非常に珍しいというか、増えるのが遅いウイルスだと思うのですが、1つ質問があります。このNATが陽性になった○月○○日のHBs抗体は、通常の検査では陽性になるような数字なのですか。それとも、日赤が行っている特殊な検査でないと陽性にならないような値なのでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 これは特に特殊なものではありません。通常のスクリーニング検査で10以上が陽性になりますので、極めて弱い陽性ですが通常のスクリーニングで陽性になっております。
○岡田委員 この方は、いわゆる新規の感染ではなく既往の感染であったのが、たまたま不幸にも血中にごく微量のウイルスがあり、それで受血者に感染が成立したという、そのような理解でよろしいですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 そう思います。コア抗体はずっと陰性なのですが、この若干のHBs抗体が感染の既往を示す一つの印の可能性がありますので、そういった可能性があると思っております。
○岡田委員 分かりました。この遺伝子型がジェノタイプA2でヨーロッパや米国に流行する株で、日本でも最近は増加していますが、これまで日本で検出される数は東京都など都会部以外ではあまりなかった症例ですよね。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 そうですね。
○岡田委員 文献等を調べると、ジェノタイプAはジェノタイプBやCに比べて、ダブリングタイムが非常に長いという報告もあり、日本の別の症例で発症まで266日かかったという報告もあり、その間のウイルスの量が非常に低くて、増殖が我々の常識からすると考えられないぐらいゆっくりと増えるB型肝炎のウイルスがいるようなのですが、この症例に関しては、増えが遅いというよりも、既往感染で起こったということですね。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。その辺のところは非常に大事かと思いますが、1つはID-NATが陽性になったときも実は定量限界以下で極めて低濃度です。ですので、84日前も陽性だということは、もともとジェノタイプA2がダブリングタイムが非常に長いとしても、それでも計算が全く合わないわけです。確かに、おっしゃるようにジェノタイプAではダブリングタイムが長いと、3.何日というデータを出したペーパーもありますが、もともと我々が準拠している2.6日というは、アメリカのブッシュらが出したもので、20何人かの非常にいいセロコンパネルの計算で出したものです。
元の文献を見ますと、非常にきれいに傾きが2.6日ぐらいになっております。アメリカのセロコンパネルですので、当然、ジェノタイプB、Cではなく、主にジェノタイプAのもの、これはペーパーには書いていないのですが、ジェノタイプAのものを用いたセロコンバージョンパネルかと思われます。そこで計算されたものですので、別のペーパーでは3.何日というのがありますが、2.6日というのも代表的な欧米のジェノタイプでやった値であろうと考えます。別のジェノタイプCになりますと、1.何日というデータもあります。
それから、もう1つ御指摘いただいた発症の遅さも確かにおっしゃるとおりで、最近見つかる輸血によるB型肝炎というのは皆そのような傾向があります。それは、もちろん増え方の問題もあるかもしれませんが、もともとの輸血用血液中のHBVの濃度が極めて低いところから発展しています。ですので、それだけでも相当、発症までは遅くなるだろうという感じがいたします。遅くてもあるところからは段々増えるわけですが、ウイルスの少ないところではホストのinnate immunityといいますか、そういったところでの働きが結構あり、増殖する速度は一般に言われているよりは速くはないのではないかと、あくまでも推測ですが、そのような説明もあり得るかと思っております。我々が現在考えていることはそのようなところです。
○岡田委員 どうもありがとうございました。今回の例も含めて、従来考えられたよりもインキュベーションタイムが長いということがありますので、確かに、今の180日の貯留保管は、それを擦り抜けてしまうような症例が出てきたということなので、B型に関しては、貯留保管の間にそのような症例が出た場合は原料血漿として使うのが良いのかなと思います。以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。少し確認ですが、180日間のクアランチンの期間は、今回の場合はどのように関わっていますか。岡田委員がおっしゃったように、そこを擦り抜けたと考えるのですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 それは180日は、擦り抜けたのではなく、72日という遡及期間を擦り抜けたのであり、180日の中にはこのFFPは入っていたわけですね。
○濵口座長 入っていたということですね。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 はい。
○濵口座長 岡田委員、今の説明はよろしいですか。
○岡田委員 はい、いいです。
○濵口座長 基本的には、そのクアランチンの期間と遡及の期間、それぞれ日にちが違うと思いますが、日赤のスタンスとしてはどちらをどのように尊重しながらやるということでしょうか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 このようなことがありましたので、180日押さえておくことの効果を十分にするためには、ウインドウであろうと既往感染者であろうと、このようなNAT陽転した場合には、一律180日以内にあった、貯留されていたものについては全て、先程のような手立てをとると我々の方では考えております。ですので、現在それで実行しております。
○濵口座長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。委員の先生方から御質問、コメントがありましたらお願いいたします。
○大隈委員 関西医大の大隈です。質問です。資料2-5の21ページです。当該献血者の方の検査の経過を○○○○年から○○○○年まで示してありますが、これを見ると既感染者ということが少し窺える点もあるかと思いますが、○○○○年頃はALTの上昇だけ異常が見られて、このような方で既感染者というのはなかなか難しいかとは思いますが、ただ、その後、HBs抗体が上昇してきたり、ALTが一旦少し下がった後、また上がってきたりという変化を示しています。こういったところからオカルト感染されている方を見つけるといいますか、そういった特徴的な所見としてなり得るのか。他の方々はこういったパターンを示す方はいないのか。こういったデータからこのような人を、特殊なパターンかもしれませんが、それを見付け出すことはできないのでしょうか。参考までに、もし分かれば教えていただきたいと思います。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。そのようなことができれば大変有り難いのですが、それは非常に困難ではないかと思います。我々もこの肝機能の動きを見て、すぐ調べたのはこの方の体重と身長を全部調べてみました。そうしますと、かなり大きな体格で体重も重い方です。それでこの方は脂肪肝の可能性もあるのではないかと疑ったりしております。ただ、こういった肝機能や体重、BMIなど、そういったことを全部合わせて、疑いのある人を出すとなりますと、非常に難しいことでありますし、500万人の方からそういった方を抽出すると、ものすごい数になるかと思います。なので、アイデアとしてはありますが、現実的には非常に困難なことかと考えております。以上です。
○濵口座長 大隈委員よろしいですか。
○大隈委員 ありがとうございます。確かに脂肪肝になられている方のパターンにも見えますので、そういった方々をすべからくオカルト感染しているのではないかと疑うのは非常に難しいと私も思います。日赤の対応としてはよく分かりました。ありがとうございました。
○濵口座長 他はいかがでしょうか。
○朝比奈委員 朝比奈です。よろしいでしようか。
○濵口座長 宜しくお願いいたします。
○朝比奈委員 この問題は、分からない問題点が2つあると思います。1つは、本当にこの方がキャリアというかオカルトであったのか、急性感染だったのか、そのどちらかによって保管あるいは遡及をどこまでやるのかという問題点が分かれてくるのではないかと思います。
増殖速度からすれば、今から思えば、この人は急性感染ではないだろうということですが、ただ、先程も指摘があったように、非常に遅く発症する症例も出ていると思いますので、その点についてはよく検討する必要があると思います。本来であれば、この献血者の方の御協力を得られて行動歴等も含めた検討ができるといいのですが、それができないということなので問題を非常に難しくしていると思います。
先程の米国のパネルですが、ジェノタイプAだろうということですが、それは確実ではないとは思います。米国においてもジェノタイプDというのもありますし、それから米国は人種が非常に多様ですので、米国のB型肝炎の患者さんを見てみますと、ジェノタイプAのみならずBもCもDもいらっしゃるということですので、そのパネルが本当にAであったかどうかは確認してみないと言及することはできないのではないかと思います。
それと、この患者さんは既往感染であったということですが、その場合にキーポイントになるのは、やはりHBs抗体であると思います。私の所属している日本肝臓学会のHBVの再活性化をモニタリングするための既往感染者の拾い上げに関しては、HBc抗体のみならず、HBs抗体も使っております。HBc抗体又はHBs抗体が陽性の患者さん、その陽性は通常のカットオフですので、HBs抗体の場合は、先程の10IU/mLということになると思いますが、そのどちらかが陽性であった場合には、HBVの既往感染者の可能性があるということで、その患者さんに、例えば免疫抑制剤や抗がん剤を使う場合には、HBVの再活性化をしてこないかどうかということで、厳格なモニタリングをしていくことになっておりますので、HBs抗体だけ陽性のHBV既往患者がいるということは、やはり認識しなければいけないと思います。
現実に、この患者さんが急性感染でなく、既往感染者であったとすれば、このような事例が既往感染で起こってしまったということで、それを唯一予見できたのが、今回の場合はHBs抗体ではなかったかと思います。もちろん、ワクチンを打たれている患者さんは、ユニバーサルワクチンも始まっていますので、これからはワクチンでHBV陽性者が増えてきますので、その方はHBs抗体のみ陽性、あるいはHBc抗体は陰性ということになりますので、そういった方まで排除するのか、遡及をどこまでやるかという問題点は残るかと思います。今回、やはりHBs抗体が1つのキーポイントかなとこの事例を見て思いました。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。佐竹先生どうぞ。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 佐竹です。どうもありがとうございました。詳しい説明をありがとうございます。HBs抗原をおっしゃられましたが、「HBs抗体」の間違いかと思います。HBs抗体につきましては我々も同様に考えております。コア抗体だけではなく、先程もちょっとお話しましたが、HBs抗体が陽性になったところも1つの感染既往の証左であろうと、そのように考えるべきだろうと思います。
ですので、この例も、このHBs抗体が、しかも非常に弱くなだらかなカーブを描いているようなところは、いかにもごく感染既往者の、ちょっとしたフラクチュエーションというような感じに見えます。ですので、感染既往というところを考えることが、HBs抗体のほうからももちろんあるかと思います。ですので、これからそこも含めて考えていきたいと思います。
あと、急性感染の可能性につきましても、先生がおっしゃられたとおりでございます。1つこの例で、我々は既往感染だろうと、その可能性が高いだろうとは考えておりますけれども、もう1つの可能性としましては、今も出ましたワクチンのブレークスルーの可能性が少しございます。ですので、このような弱いHBs抗体を持っていたところにHBVのチャレンジを受けたときに、このようなデータが出る場合が報告されております。これもまれな例でありますが、ですので、もしかするとワクチンを打った方が感染しますと、HBs抗体のほうが先に出てくると。そして実際にその後はコア抗体が非常に急速に出て、そして引っ込むわけでありますけれども、そのような可能性も考えております。
それから、ジェノタイプにつきましてはおっしゃるとおりで、私がAだろうと言ったのはちょっと不用意なことで、ジェノタイプA、Dが向こうの主流ですので、何をもってしているか分かりません。それは大変失礼いたしました。セロコンバージョンパネルは向こうのアメリカで行われておりますレギュラーな血漿提供者のデータから出ているものですので、この数値そのものは非常に正確な数値かと思いますが、そのジェノタイプのものについては慎重に考えなければならないかと思います。
それから、このドナーの方が、その後、本当に肝炎を発症したのかどうか、コア抗体が陽転したのかどうか、それからワクチンを打ったことがあるかどうか、そのようなことを是非聞きたいところではありますが、これまでドナーの方には2回アクセスしまして、2回目のアクセスの後は、「これ以後はアクセスはしないでくれ」と断りの手紙がありまして、大変我々は残念に思っているところでございます。以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。朝比奈委員、私の方から、ちょっと先生の見解をお聞きしたいのですが、先程肝臓学会での検査のアルゴリズムの話がちょっと出てきたかと思うのですが、HBc抗体に加えてHBs抗体を非常に重視して、検査を進めていくということだったのですけれども、そこというのは、やはりHBc抗体では不十分であるという見解が肝臓学会ではあるということなのでしょうか。
○朝比奈委員 はい、そのとおりでございます。感染既往例ということで見ますと、HBs抗体陽性、かつ、HBc抗体陰性という患者さんはいらっしゃいますので、そういう患者さんの肝臓の中にはHBVの遺伝子断片等が含まれている可能性があるという認識でございます。したがって、そういう患者さんに対して、その患者さんに、免疫抑制剤を投与した場合に、肝臓内に潜むHBVが再活性化するという事例は、これは確かにありますので、HBc抗体だけでは感染既往は診断できないというのが基本的なスタンスです。
それと、ちょっとコメントなのですけれども、先程の佐竹さんからの、ワクチンのブレークスルーなのですが、もしブレークスルーだったとすれば、残っているHBVのSの領域のシークエンスをして、例えばワクチンエスケープミュータントですとか、そういうことを起こすアミノ酸の置換というのは報告されていますので、その辺は調べられているのでしょうか。もし、ワクチンのブレークスルーを考えられるようであれば、S抗原の抗原決定基周辺のアミノ酸配列を詳しく調べられるとよろしいかなというふうに思います。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。では、どうぞ。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 そのことについても、こちらでシークエンスを見ておりますけれども、それをやった係の方のほうからの報告では、典型的な代表的なワクチンのミュータント、これは認められなかったと、特殊な配列も特になかったという報告は受けております。さらに、代表的なものだけではなくて、その他マイナーなもの等もあるかどうかは、もう一回確認したいと思いますが、これまではそのような報告を受けております。
それからS抗体につきましては、おっしゃるように再活性化等については、そのような考え方で進んでおりますので、我々としてもS抗体を、先程読み上げました日赤からの文書の「はじめに」の所にも、「HBs抗体だけ残る場合があるので」というようなことも記載しておりますけれども、それについてはこちらも検討してまいりたいと思います。
ただ、それをそのまま用いますと、ワクチンを接種した方との区別をどうしていくかと、その辺が非常に難しくなりますので、そこは非常に慎重にしていかなければならない。これからもユニバーサルワクチンを経た世代が増えてきますので、そういったところをどのようにするかということを考えなければならないかと思います。
ただ、世界的には、輸血医療のところではそこまでまだ行っていませんで、コア抗体だけで対応しているわけですが、その方の、何度も献血されていて、データが過去を含めて流れが見えるような場合には、S抗体のみ陽性であっても、「これは低濃度キャリアだな」と分かる場合もあるかと思いますので、何らか考えていきたいと思っております。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。ただいま日赤の方からは、更なる検討を進めていくというお話だったと思いますけれども、初めに厚生労働省の方からありましたガイドラインにつきまして、少し検討を進めていったらどうかという御提案があったかと思います。少しそこも含めて、皆さんの御意見を伺いたいのですが、いかがでしょうか。御発言いただいていない先生、もし何かございましたらお願いいたします。
○岡崎委員 岡崎ですが、よろしいですか。
○濵口座長 どうぞ。
○岡崎委員 遡及調査のガイドラインとかそういうことに関しては、対応としてはいいと思うのですけれども、いわゆるこういう献血者の方、例えば先程佐竹先生がおっしゃったように、ワクチンを打っている方と、このような非常にまれなHBs抗体が出たり出なかったりするようなフラクチュエートするような人を、起きてからではなくて、今までの献血者の事例のデータをある程度解析して、本当にこのような方が実際にいらっしゃるのかどうかということを調べる手立てというのはないのでしょうか。
○濵口座長 いかがですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 一応これまでの間に、似たような経過、検査データの流れを取ったものがどのぐらいいるかということは、我々の所は人数とかは調べております。これと完全に一致するかどうかは、更なるコピー数とか何かをもう一回調べるところまではまだ行っていませんので、これからその詳しいデータを出していきたいと思いますが、人数、それからどんな検査データのバリエーションがあるかというところは、こちらで現在検討しているところです。
○岡崎委員 分かりました。ありがとうございます。非常に何か手作業だと大変かなという感じがするので、もう少しシステマチックにそういうデータを蓄積するということは、今後必要になってくるかなと思いましたので。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 おっしゃるとおりですが、本当に手作業で、これは一例一例見ていくしかないのですが、大型のコンピュータで、どのようなパターンがあるかとかを見始めますと、ちょっと大きな作業になって、現在はマニュアルで紙ベースで見ていくしかないのですが、それを今は、やっているところです。すみません。
○岡崎委員 多分、非常に重要な課題だと思うので、例えば厚労科研だとかAMEDのお金を使ってとか、そのような研究的なレベルでやるべき問題ではないかというふうに思いますけれども。
○濵口座長 ありがとうございます。一応検討して、必要があればガイドラインの中にも反映させていくというようなことが今後必要だろうというような御意見だったと思います。他、いかがでしょうか。
まず、ガイドラインについて、少し皆さんの御意見というか、方向性を一応定めたいと考えています。先程朝比奈先生からも少しコメントがございましたように、献血の場合と、それから肝臓病の場合とで、若干、場合によっては少し肝臓学会の内容も含めた形での検討もした方がいいのかなと私は考えているところでありますけれども。
どうでしょうか、先程岡崎先生からありましたように、研究班等で、こういった事例についての検討を少しやると。加えて、今の検査、スクリーニングの方法、それから実際に遡及の期間をどのように設定するかというようなことも含めて、今一度検討してみるというのは重要かなと考えておりますが、いかがでしょうか。御意見がありましたらというか、「いや、そうじゃない」という意見があれば、ちょっと先にお願いしたいのですけれども。
それでは、今、申しましたような方向性で進めていくということでよろしいですか。はい、佐竹先生。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 ガイドラインの改定ということでありますが、ガイドラインの改定ということで、何か実効性を持たせるという意味より、患者の安全のためということで現在できるところだと、この180日のクアランチンの時期にある製品、その疑わしいものについては出庫を全部取りやめると。ですので、ガイドラインの遡及の仕方とか何とかというのとは別に、最終的に取れる安全策というのは、180日おいているものについては、結果的にそこで安全策は取れてしまっているのではないかなと、そのように今考えております。
○濵口座長 ありがとうございます。それは次の話にしようかなと思っていたところなのですけれども、取りあえず日赤の方で一応対応を取ってもらうというのは、言うならばこのガイドラインをどうするかというようなことも含めて検討するまでの期間、今すぐやるべきこととしては、このクアランチンを活かしていただくということは、できればそういった方向性をまず示していただきたいなというのがあります。
その上で、ただ180日で収まらない可能性も、場合によっては出てくる可能性があって、それが今回の症例に限らずという話になってきた場合には、やはり抜本的に、この遡及の期間というのを、何をもって逃がすのかどうかというようなことを、やはり検討しておく必要があるのかなと思います。
1例ではありますけれども、非常に重要なところでもありますし、これまで日赤が培ってこられた、特にB型肝炎の輸血感染のところのこれまでの活動を、さらにやはり強化していくということが、我々としても非常に望ましいところかなと思っていますので、そこは実現可能なところの中で、検討させていただきたいなと考えております。
というようなことで、皆さんの方から少し、この症例を基に、次のステップとして、ガイドラインの改定の是非も含めてですけれども、やっていきたいと思いますが、いかがでしょうか。御異論ないということでよろしいですか。ないようでしたら、先程岡崎先生からありましたように、研究班等で情報をもう少し集めて、その中で、方向性を一応また安全技術調査会の方に御提案するというような形で進めてまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。
御異論がないようですので、そのような形で進めさせてください。当座、ガイドラインの改定を進めるに当たっても、日本赤十字社の方で、今、対応を出していただいた案につきまして、これでよろしいかどうかということについての御意見をここでお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○熊川委員 福岡大学病院の熊川です。今、日赤の資料2-5の最後の23ページの「暫定的な安全対策として」ということで、確認よろしいですか。
○濵口座長 お願いします。
○熊川委員 ここに書かれてありますように、HBV-NATのみ陽転した場合に、「貯留保管中のFFPについては」ということで、分画製剤の原料血漿に転用するという案につきましては、廃棄ではなくて、もしウイルスが存在していたとしてもごく低濃度であり、かつ血漿分画製剤の作製の場合にはウイルス低減化がされているので、廃棄ではなくて、そういう転用でいいというお考えと理解していますが、よろしいですか。質問は以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。どうですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 おっしゃるとおりです。個別NAT陰性であれば、その転用は可能となっております。
○濵口座長 他はいかがでしょうか。
○天野委員 東京医大の天野です。今の貯留保管のFFPを分画製剤の原料血漿に転用する対応というのは、現状、今残っているもので新たに感染を起こさないようにするという対応は、私はそれは全然問題ないと思うのですが、遡及調査のガイドラインの、スクリーニングの後のHBc陽転時の対応というものを考えてみると、今回、それの72日以前のものというので、そこは対象にならなかったから、それが起こったというふうになるわけですけれども、そのときに輸血を、血小板若しくは、血小板は使わないかな、赤血球等で使われた人がどうだったかというのを調べるという対象には、今のこのガイドラインだとならないということですよね。それはそれでいいのかというのが一つ疑問にはなりますので、そこはガイドラインも考えたほうがいいだろうなと思いました。
○濵口座長 ありがとうございます。正に先生が御指摘になった部分を含めて、ガイドラインの中で、できるだけそこの部分を見逃しがないように、見逃しという言い方はちょっとあれですけれども、隙のない内容に変えていく必要があるかなと考えております。他、いかがでしょうか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。遡及をどのくらい長くしたらいいかというのが、当然、検討が必要になると思います。そのヒントになるのではないかと思うのですけれども、長期間掛かって輸血が原因で発症したような症例を、いくつか文献で探すと引っ掛かってくるので、日赤の方もそういう情報を持っていると思いますので、それでウイルスの増える速度等の判断になるかと思いますので、そのような資料を是非収集してもらいたいと思います。以上です。
○濵口座長 宜しくお願いいたします。今のはガイドラインを改定する際に、必要な情報として、ウイルスの増殖速度も含めた形で、それを盛り込んでいただきたいという御意見ということですよね。
○岡田委員 そうです。今、佐竹先生がおっしゃいましたけれども、長期間掛かって発症しているような症例が実際あるというのですね。ですので、それはやはり、どこまで遡及したらいいかという期間を決めるときの参考になると思いますので、是非お願いします。
○濵口座長 ありがとうございます。他、いかがでしょうか。それでは皆さんに、また決を取りたいのですけれども、今、至急追加で行う日本赤十字社の対策、これについてはクワランチンの180日を生かしていただくということで対応するということだったのですけれども、この方法を安全技術調査会としては認めるということでよろしいでしょうか。
天野先生、天野先生が先程おっしゃった意見というのは、この日赤の今の緊急対応に関連したところの御意見ということだったのでしょうか。もう一回ちょっとすみません、お願いします。
○天野委員 対象になったもので、180日の貯留保管期間中のものに関して、対象として、緊急対応をそうやってしていますということには賛成です。ただ、それだけだと、その人が、そのFFPが取られたときの赤血球を使われた人の状態がどうなのかというのを調べる対象に入っていないので、自発報告がない限り分からないということでいいのでしょうかということでした。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。赤血球の方についても、きちんと医療機関の方へ連絡し、その輸血後の状態について、こちらで遡及したいと思っております。以上です。
○天野委員 ということは、では遡及調査の対象に、その時期の人も入るということですか。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 はい、そうです。
○天野委員 そうすると、今のガイドラインとはちょっと違うということになるということですかね。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 そうですね、今のガイドラインはそこまでは書いておりませんので、その辺がガイドラインの改正の1つの形になるかなと思っております。
○佐野血液対策課長補佐 すみません、事務局でございます。少し確認させていただきたいのですけれども、天野先生のおっしゃっている意図としましては、今の日赤の対応だと、結局、FFPが取られたときの赤血球製剤を投与された人の対応というものが片手落ちになっているように見えてしまうので、そこが必要なのではないかというような御意見として、私は伺ったのですけれども。なので、先生の意見としては、今の日本赤十字社がやろうとしている対応に、追加で何かする必要性があるのではないかという御意見だと、私は理解したのですが、それで間違いないでしょうか。
○天野委員 そういうことです。
○佐野血液対策課長補佐 ありがとうございます。
○濵口座長 それについて、日本赤十字社は。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 ただいま申しましたように、そのようにしていきたいと思っております。
○濵口座長 ありがとうございます。一応、追加の対策というのを、今、御提案いただいて、日本赤十字社ではそれも含めてということだったと思います。他はいかがでしょうか。何か追加の部分がもしあるようでしたら、今の緊急の対策として、一応提案されている内容について、皆さんから御意見を伺いたいと思いますが、いかがですか。
特にないようでしたら、ただいまの天野先生の御意見を一応含めた形で対策を取っていただくと、次のガイドラインの改定までの間ですね、ということで進めていきたいと思いますが。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 日赤の佐竹です。基本的にはそれで行きたいと思いますが、こういう場合もあるかどうか分かりませんけれども、血小板のドナーが中に含まれていて、その方が2週間に1回、ずっとレギュラーに献血されていたりしますと、膨大な数になる可能性がありますので、その辺についてどうするかは、ちょっとこちらでまた考えさせていただければと思います。
○佐野血液対策課長補佐 すみません、事務局でございます。少し1点、今のところで質問なのですけれども、それは血小板献血をしたときに同時に血漿献血もされていたという場合の話ですか。
○日本赤十字社技術部後藤安全管理課長 同時です。(会議後訂正;血小板献血時に同時に採取する血漿は原料血漿にのみ使用しているため、FFPの転用は発生しません)
○佐野血液対策課長補佐 同時ですよね。同時なので、結局、2週間ごとに献血されていた場合に180日の間なら、血小板は次々と使用されてしまっていることから、かなりの量の遡及調査が出てくる可能性があるという内容ですか。
○濵口座長 宜しくお願いいたします。その他、何か御意見が委員の方からございましたらお願いします。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。いいでしょうか。
○濵口座長 宜しくお願いします。
○岡田委員 今回の症例のように、NAT陽性でHBs抗体が陽性だけれども、HBc抗体が陰性だということで、考え方の1つとして、HBcに対するローレスポンダーという、低反応性の1つという可能性もあるのですけれども、日本赤十字社で、もしこういうNATが陽性でHBs抗体が陽性だけれども、HBc抗体が陰性だという、そういう症例も存在するのかどうかということで、これは調べるのが大変だと思いますので、それもちょっと検討していただけると、将来的にHBs抗体陽性の人の取扱いとかというのを検討するときに役立つデータになると思いますので、その辺の情報収集も宜しくお願いします。
○日本赤十字社佐竹中央血液研究所長 佐竹です。その辺が1つの大事なところかと思いますので、数字については粗々には出ておりますけれども、そういったところは大事なテーマですので、見ていきたいと思います。
○岡田委員 宜しくお願いします。
○濵口座長 他はいかがでしょうか。事務局の方から何かございますか。
○佐野血液対策課長補佐 いえ、私の方からは特に現段階ではございません。
○濵口座長 ありがとうございました。議題はこれで以上となりますけれども、よろしいでしょうか。特になければ事務局の方に議事進行を戻したいと思います。
ごめんなさい。1つ、これからの進め方について御提案なのですけれども、ただいま皆さんで一応決めていただきましたガイドラインの改定に関する検討というのを、進めていく方向で、場合によっては、できるだけ早い時期にもう一度皆さんに集まっていただいて、そこの検討結果について、また御審議いただくということに流れとしてはなると理解しています。よろしいですか。
○佐野血液対策課長補佐 そのとおりと考えます。
○濵口座長 議事進行を事務局に戻したいと思います。
○佐野血液対策課長補佐 特に事務局から追加ではございません。濵口座長、ありがとうございました。次回の安全技術調査会の日程は、別途御連絡差し上げます。これにて血液事業部会令和3年度第2回安全技術調査会を終了いたします。ありがとうございました。
 
(了)