第5回多様化する労働契約のルールに関する検討会(議事録)

日時

令和3年7月28日(水)10:00~12:00

場所

厚生労働省労働基準局第1会議室 中央合同庁舎第5号館16階
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者(五十音順)

  • (あん)(どう)(むね)(とも) 日本大学経済学部教授
  • (えび)(すの)(すみ)() 立正大学経済学部教授
  • (くわ)(むら)()()() 東北大学大学院法学研究科准教授
  • (さか)(づめ)(ひろ)() 法政大学キャリアデザイン学部教授
  • (たけ)(うち)(おく)()寿(ひさし) 早稲田大学法学学術院教授
  • (もろ)(ずみ)(みち)()  慶應義塾大学大学院法務研究科教授
  • (やま)(かわ)(りゅう)(いち) 東京大学大学院法学政治学研究科教授

議題

無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する実態調査について

議事

議事内容
○山川座長 おはようございます。
 定刻となりましたので、ただいまより、第5回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」を開催いたします。
 本日も、御多忙のところ、御参加いただき、誠にありがとうございます。
 本日の検討会につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえて、Zoomによるオンラインでの開催となります。
 議題に入ります前に、事務局からオンライン操作方法の説明と資料の御確認をお願いします。
○竹中課長補佐
 事務局より、操作方法の御説明と資料の確認をいたします。
 本日の資料は、説明時に画面に投影いたしますので、そちらを御覧いただければと思います。
 御発言の際には、Zoomの「リアクション」から「手を挙げる」という機能を使用して、御発言の御意思をお伝えいただき、座長の許可がございましたら御発言ください。御発言時以外はマイクをミュートにしていただいて、御発言の際にミュートを解除の上、御質問等をいただきますようよろしくお願いいたします。不安定な状態が続く場合には、座長の御判断により、会議を進めさせていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。
 続きまして、お手元の資料の御確認をお願いいたします。
 まず、資料1としまして、実態調査の概況がございます。
 続いて、参考資料でございます。参考資料1-1と1-2ですが、本日公表の実態調査の報告書の抜粋でございます。参考資料2-1~2-4でございますが、今日の検討会で御紹介する4つの調査の調査票でございます。参考資料3としまして、第1回の検討会の資料6をつけております。参考資料4で、検討会におけるこれまでの主な議論をまとめております。
 不足などございましたら、事務局までお申しつけください。
 以上でございます。
○山川座長 ありがとうございます。
 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 本日の議題に入ります。資料1を御覧ください。事務局から「無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する実態調査の概況」について説明をお願いします。
○竹中課長補佐
 それでは、画面共有いたしますので、少々お待ちください。
 順次説明させていただきます。
 資料1を用いて、4つの調査について御紹介させていただきます。まず、調査の概要というところでございまして、3ページ目であります。
 こちらのページについては、厚労省のほうで行いました有期労働契約に関する実態調査の概要でして、今回は主に無期転換ルール関係で調査しているものでございます。まず、左側の①は事業所のほうに聞いたものでして、昨年の4月時点で調査しておりまして、常用労働者を5人以上雇用している全国の民営事業所約1万事業所を調査対象としており、有効回収率としては49%程度ということでございます。
こちらの事業所調査で、それぞれの事業所に無期転換ルールによる無期転換者が何名いて、その会社独自の制度による無期転換者が何名いて、有期契約の方が何名いるかということを把握しておりますので、その情報を基に、もう一度同じ事業所に対して個人調査票を送って調査したものが右側の個人調査でございます。
 そういった事情もありまして、調査時点が異なっておりまして、こちらの個人調査については今年の1月時点、調査対象としては、今申し上げたような事業所で働く有期の方と無期転換者の方で約1万名、有効回収率としては66.6%でございます。
※1で書かせていただいていますが、いずれについても統計法に基づく総務大臣の承認を受けた一般統計調査でございまして、※3で記載しておりますが、いずれの調査も標本調査ということで、母集団に復元したものを調査結果として表章しております。※4で記載していますが、各グラフ、表については、復元した対象数を母数nとしているということでございます。
 4ページ目でありますが、このJILPTの調査については、多様な正社員を主に調査したものでございますが、一部無期転換ルール関係も調査しています。まず、左側の③は企業のほうに調査したものでありまして、今年の1月1日時点に従業員規模が30人以上の企業を調査対象としております。先ほどの厚生労働省で行った調査が事業所に対してだったのに対して、こちらは企業に対してという点で異なります。有効回収率が28.6%でございました。
 右側については、個人調査でありまして、同じく今年の1月時点で調査して、ウェブの調査で2万人を調査しております。
 JILPTの調査については、※3と4で書かせていただいていますが、この調査結果自体は単純集計した結果であるほか、速報値ということでお示ししているものでございます。
 5ページ目でありますが、調査の用語の解説でありまして、ここから数枚にわたって基本的に調査票の中で記載したそれぞれの用語についての定義を載せているものでございます。
 説明の詳細は割愛させていただきますが、7ページ目について補足すると、厚生労働省のほうで行った調査については、有期契約労働者の方をひとくくりに調査するのはなかなか難しいだろうということで、①~⑤の分類に分けて調査しているところであります。例えば、①であれば正社員と同様の職務を行っているかどうかですし、④であれば正社員よりも軽易な職務に従事しているかといった形で調査しているものであります。
 8ページはJILPTの調査の用語の解説であります。
 続いて、対象の属性等ということで、9ページ目でありますが、まず、厚生労働省のほうで行った事業所の調査であります。一番左側でありますが、事業所ベースで見たときに有期契約労働者の方を雇用している事業所の割合としては、全体の中で42%程度ということで、そういった有期の方を雇用している事業所のうち、その雇用している有期雇用労働者の職務タイプとしましては、④の軽易職務型が一番多くなっております。
続いて、真ん中が人数ベースで見たときに常用労働者に占める有期契約労働者の割合というのは22.4%ということで、その職務タイプとして最も多いのは、④の軽易職務型でございます。
 右側でありますが、人事管理上、事業所が最も重要と考えている有期契約の方の分類ということでありますが、なぜこれがあるかについて補足すると、この調査の中で先ほどお見せしました5つの分類全てについて聞いていくのは、事業所側の負担が大きいだろうということで、一部の設問については、事業所が最も重要と考えている有期契約労働者の職務タイプについてだけ御質問しているところでありますので、その関係でこれは掲載しております。一番多いのは軽易職務型、次いで正社員同様職務型ということでございます。
 10ページ目でありますが、こちらは今、見ていただいた人数ベースのものの企業規模別のデータであります。規模が大きいほど有期契約の方の割合が高くなっているということであります。
 次のページは、業種別に見たものということで、説明は割愛させていただきます。
 続いて、個人のほうにお伺いした厚労省の有期実態調査でありますが、この調査全体として3つの分類に分けて調査しているところでありまして、一つは有期契約の方ですが、無期転換者については、法定の無期転換ルールによる無期転換の方と会社独自の制度等による無期転換者の方ということで2つに分けています。この性別で見ますと、いずれにしても女性の割合が高いということと、有期契約の方についてだけ見ますと、男性のところでは60代以上が多くなっているところが見てとれます。
 13ページ目でありますが、同じく厚労省の個人調査でありますが、左側はその勤務先の業種の割合を示しているものです。右側が就業形態の割合でありますが、こちらは有期契約の方と無期転換ルールによる無期転換者の方、いずれも構成としてはおおよそ同じような形になっているわけですが、無期転換ルールの方については、11.5%ほど正社員という層がございます。右側については、会社独自の制度による無期転換者であり、67%ほどが正社員でございます。
 14ページからは、JILPTの調査についてであります。ここで一つ御留意いただきたいのは、先ほども申し上げましたように、厚労省のほうで行った調査については復元しているということと、時点が昨年の4月ということでありまして、JILPTの調査とはその点で少し違うということで、有期契約労働者がいる企業の割合の見え方も少し違ってきているということでございます。
 この調査の中で言えば、有期契約の方がいる企業の割合が75%程度で、無期転換社員がいる企業の割合としては32%程度でございます。
 続いて、個人のほうに聞いたJILPTの調査でありますが、15ページ目であります。まず、全体の回答者に占める正社員の割合としては64%程度で、その正社員に占める多様な正社員の割合としては12%程度で、その内訳として一番多いのは勤務地限定でございます。
 続いて16ページ目、同じく個人調査に関する属性です。左側を見ますと、勤務地限定、職務限定、勤務時間限定のいずれにしても、男女比率はほぼ半々ということで、年齢分布としては幅広く分布しています。勤務先の業種の割合としては、いずれの区分にしても製造業が一番多いところでございます。
 次に、無期転換と有期契約関係の状況でございます。
 18ページ目でありますが、まず、事業所ベースで見て、無期転換権が生じた人がいる事業所を分母としたときに、その権利を行使した人がいる事業所の割合としては、2018年度と2019年度合算ですと、35.9%でございます。
 19ページ目は、人ベースで見て無期転換権が生じた人のうち、その権利を行使した人の割合が2018年度と2019年度の合算で27.8%。右側はそれぞれの年度別に見たときの数字でありますが、2018年度で行使した人の割合は32.4%、2019年度で行使した人の割合は19.8%でありました。
 20ページ目は、今見ていただいたデータを企業規模別に見たものでありますが、企業規模が大きくなるほど行使した人の割合が高くなっているのが見てとれます。
 21ページ目については、無期転換権が生じた人の状況を業種別に見たものでございます。
 次のページからは、無期転換権を行使したかどうかではなく、無期転換した人がいるかということでありますが、事業所全体の中で無期転換をした人がいる事業所は、11.8%ということでございます。参考までに、このデータの中では、各業種別に有期契約労働者を雇用している事業所の割合も併せて載せているところでございます。
 今度は人ベースで見たときに、無期転換した人の内訳を見たものであります。23ページ目でありますが、こちらも2018年度と2019年度の合算で見たときに、無期転換した人全体の中で法定の無期転換ルールによって無期転換した人が75%程度、事業所独自の制度などで無期転換した人が25%程度でありました。
 右側が企業別にその状況を見たものであります。企業別には、見ていただいたとおりでありますが、復元後の常用労働者数に占める無期転換者の割合としては、全体の中で2.9%でありました。
 24ページ目は、業種別に見たときの状況であります。
 25ページ目は、会社独自の制度による無期転換制度と考えていただければと思いますが、無期転換ルール以外について、個人の方に聞いたときの制度の有無ですと、全体の中では19%というお答えになっていますが、無期転換ルール以外の無期転換とはどういうものかと聞きますと、5年より早く無期転換できるということでしたり、期間を問わずに業績などに応じて無期転換できる制度があるというのが挙げられています。
 26ページ目は、無期転換後の意識の変化を聞いていますが、まず、特に変わらないという方が43.6%で、変化の内容として、より長く働き続けたいと思うようになったが41.9%、正社員と同様の業務量・労働条件で働きたいと思うようになったが11.9%ということでありました。黒い太線で囲ってあるところだけ抜き出して、意識が変化した理由をもう少し見たものが右側でありますが、その理由としては、正社員として雇用されるわけではないからというのが一番多く挙げられています。
 27ページ目でありますが、無期転換者の方が現在の働き方に満足しているかというと、満足しているが60.7%、満足していないが28.5%ということでありまして、満足していない理由については右下ですが、一番多いのは賃金水準が正社員に比べて低いからというのが挙げられています。
 28ページ目からは、無期転換権の申込み機会の確保とか周知、通知の関係で、少し入り組んだデータで恐縮ですが、左側の分母としては、通算契約年数が5年以内の有期の方ということで、いわば改正労働契約法が施行された以後に有期契約を締結した方について見ますと、締結時に契約更新の方針に係る説明があったかというと、92.7%が「あった」。その説明の内容として、上から3つ目のところで、労契法における無期転換ルールの利用が可能であるというのが20.3%とあります。
 続きまして、右側でありますが、nのところでるる書いていますが、いわば無期転換権を有していると目される方で対象を絞ってみますと、そういった方々の直近の有期契約の更新時にどういった説明があったかということで、契約更新に関して説明を受けたのが28.7%であります。そのうち労働契約法における無期転換ルールの利用が可能であると説明を受けたのが74.2%でありました。
 この74.2%の方だけ抜き出して、無期転換希望があるかどうかを見たのが右下のデータでありまして、この説明を受けた方が上の棒グラフで、下が説明を受けていないという方々で、無期転換を希望するかどうか分からないというのが灰色でありますが、説明を受けた方々については54.5%であるのに対して、説明を受けていない方については69%ということで、15ポイントほどの差がございます。
 次のページでありますが、無期転換できる機会の規定について、就業規則に規定があるかというと、あるというのが63.5%であります。右側でありますが、有期の方に対して、無期転換できるかどうか説明をしているかというのが67%であります。
 30ページ目でありますが、要件を満たした有期の方に対して無期転換できる機会を案内しているかといいますと、52.3%が案内している。この案内しているという企業だけ抜き出しまして、その案内と同時に転換後の労働条件も案内しているかと聞くと、89.3%が案内しているということでありました。
 31ページ目は、個人の方の無期転換ルールの認知状況を聞いたものでありますが、内容について知っていることがあるというのが38.5%でありました。その情報入手のルートとして一番多かったのが勤務先でございます。
 続いて、企業側に対しても無期転換ルールの認知状況を聞いたものでありますが、内容について知っていることがあるというのが、77.6%でございます。
 33ページ目でありますが、企業規模別に見たときの無期転換ルールに関する知識の有無ということで、企業規模が大きいほど知識があるというのが見てとれます。
 34ページ目でございますが、企業規模別に見たときの企業が無期転換ルールについて情報を入手するルートであります。入り組んだデータで大変恐縮でありますが、例えば、1,000人以上の規模の企業であれば、人事労務関係の雑誌や本で最も情報を入手しているのに対して、49人以下のところであれば、社労士の方とか弁護士などからその情報を入手しているという割合が高くなっています。
 35ページ目から何枚かで、無期転換の希望の有無を見ていますが、有期の方全体の中でいえば、無期転換を希望するというのが18.9%でありました。下を見ていただきますと、正社員としての働き口がなかったから有期になったという方だけ抜き出しますと、38.7%の有期の方が無期転換を希望する。あと、60歳以上の嘱託を除きますと、20.6%が希望するということであります。
 続きまして、無期転換を希望する理由というのが36ページ目でありますが、一番多いのは雇用不安がなくなるからということで81%程度。
 次のページが無期転換を希望しない理由でありますが、最も多いのは高齢だから、定年後の再雇用者だからというのが40.2%であります。60歳以上の嘱託を除くと、一番多いのは、現状に不満がないからですとか契約期間だけなくなっても意味がないからという辺りでございます。
 38ページ目でありますが、無期転換の希望の状況と認知の状況の関係であります。無期転換することを希望する、希望しないということを決められている方については、青い部分、内容について知っていることがあるという割合が5割を超えているのに対して、無期転換を希望するかどうか分からないという方については、赤い部分の無期転換ルールを知らないという方が5割超を占めているということでございます。
 39ページ目以降については、契約の更新だとか更新上限関係でございます。まず、有期の方に対して、労働契約の締結時に契約期間などを明示しているかということで、契約期間の明示が91.7%で更新の有無については89.4%、更新の判断基準ということであれば77.9%でございます。その明示の方法として、書面の交付がそれぞれ一番高くなっているところであります。
 続いて、職務タイプ別に見た契約更新に関する要件などでありますが、まず、軽易職務型の方ですと何らか契約更新について要件があるというのが51.7%ということで、ほかの職務タイプと比べて高くなっているところであります。その要件の内容については右側でありますが、本人が希望し、上長などに申し込む等が挙げられているところであります。
 左下については、有期の方の契約更新の形態ということで、一番多いのは更新の都度説明を行って、署名や記名押印ということでありますが、一部には自動的に更新とか、期間満了後に締結なども含まれております。
 41ページ目でありますが、事業所に聞いたときの有期の方の勤続年数の上限であります。設けているというのが14.2%で、設けているところのうち、5年以内の上限があるというのが94%でございます。
 次のページについては、業種別に見たときの勤続年数の上限設定の有無であります。
 43ページ目でありますが、勤続年数で上限を設けているケース以外にも、契約更新の回数で上限を設けているケースもありますが、回数の上限を設けているのは11%。下のデータは先ほど見ていただいた勤続年数の上限の設定でありますが、真ん中の勤続年数または更新回数の上限のいずれかで上限を設定しているのは18%程度でございます。右側でありますが、契約年数と更新回数の上限ということでいきますと、年数の上限のみ設けているのが40%程度、更新回数の上限のみが22%程度、いずれの上限も設けているのが37%でありました。
 44ページ目は、個人のほうに聞いたときに、勤続年数の上限が設定されているかということで、52.5%は上限があるということでお答えになっています。先ほど、事業所に聞いたときは14.2%ということだったのですが、その差は今、断定的に特定できるわけではないですが、一つには先ほど説明を割愛していますが、事業所調査については、41ページ目の※で書いていますけれども、事業所が人事管理上最も重要と考えている職務タイプについてのみ答えているということで、可能性としては、そういった最も重要と考えている職務タイプについては更新上限を設けていない割合が高いのかもしれませんし、企業のほうは制度として更新上限を設けていることについて比較的答えているのに対して、個人のほうについては、運用面といいますか実態的にこうではないかというものも含んでいる可能性もございます。
 こういった個人の上限があるという状況がございまして、個人に聞いたものの業種別に見た状況が45ページ目でございます。
 46ページ目は、勤続年数の上限の設定の理由について、説明を受けたかどうかを個人のほうに聞きますと、理由について説明はなかったというのが56.7%であります。この説明がなかったという方だけ抜き出したのが右側でありまして、上限設定の理由の説明を求めたいというのが16.2%でありました。
 47ページ目については、改正労契法と上限設定の関係について見たもので、何らか上限を設けている企業に対して聞いたものですが、左側がフルタイム、右側がパートタイムでありますけれども、いずれにしても改正労契法の全面施行に伴って新設したのが5割~6割ぐらいを占めているということであります。
 48ページ目でありますが、無期転換ルールに対しての企業の対応状況であります。これは、フルタイム、パートタイムのいずれにしましても、一番多いのは申込みがなされた段階で無期契約に切り替えているところでありますが、下から4つ目の辺りで、通算5年を超えないように運用しているところがフルタイムで8.4%、パートタイムで6.4%ございます。
 この5年を超えないように運用しているところだけを抜き出しましたのが49ページ目でありまして、左側がそういった運用をしている理由でありますが、従来からそういった管理を行ってきたからということだとか、高年齢の労働者の方を無期で雇用するのは困難であるからとか、新陳代謝を図りたいからとかいったことが挙げられています。
 右側が、5年を超えないように運用している方法ですが、一番多いのは回数や勤続年数の上限等を制限するというところでございます。
50ページ目については、雇い止めの状況を事業所に聞いたもので、過去2年間に雇い止めがあったという割合が10.7%でありました。右側については、雇い止めに関する考え方を掲載しているものであります。
 続いて、51ページ目ですが、事業所に聞いた過去2年間に雇い止めをめぐってのトラブルがあったかどうかでありますが、あったというのが11%でありました。
 52ページ目は個人のほうに聞いた雇い止めや解雇の状況でありますが、過去5年間で雇い止めや解雇のいずれかがあったというのが4.1%でありました。右側は、雇い止めとか解雇のときの通算の契約期間を載せています。
 53ページ目は、有期の方の通算契約期間が左側にありますが、通算契約期間が5年超は38.2%であります。右側が更新の状況で、更新したことがあるというのが85.2%でありますが、更新したことがある方だけ抜き出しますと、11回以上更新しているという方は13.5%であります。
続いて、54ページ目はクーリング期間の関係ですが、クーリング期間を置いている事業所は3%ほどであります。
 55ページ目からは、無期転換後の労働条件の関係でございます。これは職務タイプ別に見ていますが、緑色のところが正社員になったということで、正社員同様職務型であれば正社員になった割合も一定いらっしゃいますが、大多数は薄い水色の無期転換社員区分Cということで、業務量変化なし・労働条件変化なしという方々でございます。
 56ページ目については、無期転換した方の転換後の職務タイプについて見ています。無期転換ルールにより無期転換した方については、最も多いのは軽易職務型であるのに対して、独自制度による方々については、正社員同様職務型が割合として一番高くなっています。
 57ページ目からは、各職務タイプ別に有期契約の方と無期転換した人、それぞれの項目ごとにどういう状況になっているかというのを見てるものでございます。57ページ目については、残業だとか異動、昇進などについて見ているものですが、いずれにしても有期の方、無期転換した方でさほど大きな差は見られないところでございます。
 58ページ目も同様に、職務タイプ別に見た比較でありますが、基本給の水準であります。これを見ますと、有期の方より無期転換した方のほうが若干基本給の水準として正社員と近いとかいった割合が高くなっているところであります。
 59ページ目は、退職金だとか賞与だとか通勤手当の状況を見ているものでございます。
 60ページ目は、教育訓練機会について見ていますが、これも有期の方、無期転換の方でさほど差はないか、若干無期転換した方のほうが高くなっているところであります。
 61ページ目は、個人のほうに聞いた無期転換者の状況でありますが、基本給で見ますと、無期転換ルールによる無期転換者と比べて、独自制度による無期転換者の方のほうが正社員とほぼ同水準の割合が高くなっているのが見てとれます。
 62ページ目でありますが、退職金や賞与についても同様の傾向が見られるということでございます。
 63ページ目でありますが、無期転換後の働き方とか処遇の変化というところで見ますと、いずれにしましても変化はないというのが一番多くなっているところであります。
 64ページ目以降は、別段の定めの関係で何枚か見ているものでありますが、フルタイムですと別段の定めを活用しているのが29%、パートタイムですと9.2%でありました。
 65ページ目は、別段の定めによって変更を求めている労働条件でありますが、一番多いのは職務であります。右側ですが、有期のときから改善された処遇があるというのが46%程度。労働者に不利になる処遇があるというのが5.2%でございました。
 66ページ目については、今見ていただいたデータの細目別の別段の定めの状況でございます。
 67ページ目は、仕事がほぼ同じいわゆる正社員がいらっしゃるかということを無期転換社員に聞くと、いるというのが42.5%の方でした。なお、仕事がほぼ同じということで、※を打っていますけれども、それはいわば職務の内容とか配置の変更の範囲などまで同じであるかまでは把握していない点に御留意いただければと思います。あとは、基本給ですとかそれぞれの処遇に関して、ほとんど同じ仕事をしている正社員と比べてどういう状況かというのを見ているところであります。
 68ページ目は、そういった仕事がほぼ同じ正社員と処遇などを比較したときに、無期転換社員の方々が満足しているかと聞くと、不満があるというのが52.7%で、不満があると回答した方のうち、会社に説明を求めたいという方は30.4%であります。不満を感じた具体的な事柄として一番多いのは、不合理な賃金差があるというところでございます。
 69ページ目でありますが、無期転換後労働契約について改善してほしい点を聞きますと、無期転換ルールによる方々について改善してほしい点があるというのが71.1%、独自制度による方であれば48.8%でありました。
 70ページ目は、正社員への転換の関係でありますが、有期の方がいわゆる正社員への転換を希望するのが27.4%でありまして、右側は年齢別に見ますと、年齢が若いほど希望する割合が高くなっているところが見て取れます。
 71ページ目でありますが、事業所独自の正社員転換制度があるかそれぞれの職務タイプごとに見てみますと、正社員転換制度がある割合が一番高いのは正社員同様職務型ということでございます。
 72ページ目ですが、事業所として考える正社員転換を実施する上での支障ということで、一番多いのは、正社員となることを希望しないということですが、あとは能力が不足しているとかポストが少ないことが挙げられています。
 73ページ目からは有期特措法の関係でありますが、まず、左側が第一種の高度専門関係、右側は第二種の定年後再雇用者関係であります。いずれにしても、内容まで知っているところについては、16%とか20%というのが挙げられています。
 74ページ目は、第一種の高度専門職の方の特例でありますが、特例の活用状況は左側でして、右側はその特例を活用する上での課題ですが、対象の要件に該当する労働者がいないですとか、5年を超えるプロジェクトがないというのが挙げられています。
 75ページ目は、第二種の定年後再雇用者の方でございます。分母は定年制があって、かつ再雇用した60歳以上の有期の方がいる企業ですが、活用しているというのが22%でありました。そういった特例を活用している場合に、更新上限を定めているというのが61.8%であります。右側は、特例を活用していない理由でありますけれども、一番多いのは特例の存在を知らなかったからというのが挙げられています。
 76ページ目は労働組合の加入関係でありますが、有期の方と比べて無期転換者の方のほうが正社員と同一の労働組合に加入している割合が高くなっています。
 77ページ目も労働組合関係でありますが、一番左側のデータだけ御紹介しますと、労働組合への加入資格の有無で見ますと、有期の方で加入資格ありが43.9%、無期転換社員でかつ現在正社員である方を除きますと51.9%ということで、正社員の方々と比べて少し低い数字になっているというところであります。
 78ページ目は、事業所に聞きました有期の方を雇用できなくなった場合の影響でありますが、有期の方がいないと事業が成り立たないというのが62.4%でありました。
 79ページ目の左側は、事業所に聞いた期間を定めて有期の方を雇用する理由でありますが、一番多いのは、高齢者の活用のため、あとは中長期的な変動に対応するためというが並んでいます。右側は、有期の方を今後どう活用していく方針かです。
 80ページ目でありますが、無期転換ルールに関する労働者の方の意見ということで、無期転換ルールが有効だとおっしゃる方が38.2%で、有効でないという方が18.4%でありました。有効でないとお答えになった理由については、一番多いのが、かえって更新上限設定などによる雇い止めが増えるおそれがあるというのを挙げられています。
 81ページ目以降は多様な正社員の雇用ルール等の関係であります。
 82ページ目は多様な正社員がいるかどうかですが、全ての企業の中では、18.3%がいるということであります。企業規模が大きいほどその割合が高くなっています。限定内容別に見たものを下のほうに書いています。
 83ページ目については、業種別に見たデータを並べています。
 84ページ目については、例えば、一口に勤務地限定正社員といっても、勤務地以外にも職種、職務だとか労働時間が限定されている割合が一定あるだとかいったものをここに並べています。
 85ページ目でありますが、企業における正社員全体に、多様な正社員が占める割合です。
 86ページ目でありますが、企業が多様な正社員を導入した理由ということで、勤務地限定であれば正社員の定着を図るため、職務限定であれば、職務を限定することで専門性などの向上をより促すため、勤務時間限定であれば、育児・介護等と仕事との両立への対応のためというのが挙げられています。
 87ページ目ですが、多様な正社員がいない理由を企業に聞きますと、そもそも正社員は多様な働き方が可能だからというのが多く挙げられています。
 88ページ目については、無期転換社員の社員区分としましてどういうものがあるかというと、無限定のほかに一定数の限定正社員も挙げられています。
 89ページ目でありますが、多様な正社員が今の働き方を選んだ理由を限定区分ごとに見ているものであります。
 90ページ目からは、この検討会の検討の論点として挙げられている雇用ルールの関係で見ていますが、まず、多様な正社員の労働条件の限定内容の規定を就業規則、個別契約、労働契約のいずれかで規定しているというのが7割超であるのに対して、特に規定していないというのが1割前後ということであります。この特に規定していないというところを抜き出して規定していない理由を聞きますと、従業員の希望に応じて限定内容を柔軟に変更したいからですとか、企業の希望に応じて柔軟に変更したいから、限定内容が明瞭でないからというのが挙げられています。
 91ページ目でありますが、限定内容についてどう説明しているかというと、口頭でのみ説明だとか特に規定していないというのが一定あるわけですが、その理由も先ほど見ていただいたものとほぼ同じようなものが並んでいます。
 92ページ目でありますが、限定内容の変更の関係であります。企業に過去5年間で労働条件の限定内容を変更したことがあるかと聞くと、1割超があるということであります。
 93ページ目でありますが、変更した理由を聞きますと、一番多いのが労働者の希望ということでありますが、下のほうでは、事業所や部署の廃止や人手不足などが並んでいるということであります。
 94ページ目でありますが、そういった限定内容を変更するときの手続であります。個別の従業員の同意を得たというのが8割を超えているのに対して、一部、就業規則で変更したとか同意を得ずに変更したというのも並んでいます。
 95ページ目でありますが、今度は個人のほうにも同じように限定した労働条件の変更に関して聞いたものです。左上のグラフについてですが過去5年間で限定した労働条件の変更があったかと聞くと、変更がなかったというのが約70%である一方、会社の都合で変更した方は11.1%であります。
 この11.1%の方だけもう少し細分化しまして、個別の契約で労働条件を変更した場合の本人の同意があったかどうかで見ますと、同意を得ずに労働条件を変更されたというのが約25%であります。右下のグラフですが、説明方法や説明がなかったことによる限定内容が変更されることへの不安があるというのが28.9%であります。
 96ページ目でありますが、多様な正社員をどういうふうに採用・補充しているかを見ていますが、新卒だとか中途採用がある一方で、有期から転換とか無期転換社員から転換というものも一定見られます。
 97ページ目から数枚にわたって転換関係を見ていますが、まず、無限定正社員と多様な正社員等との間で転換制度があるか聞くと、両方向で転換可能というのが21.8%であるのに対して、いずれも転換制度なしというのが32.1%でありました。こういった制度がある企業について、実際に転換した従業員の方がいるか、そういう実績があるか聞くと、5割弱ぐらいということでございます。
 98ページ目でありますが、多様な正社員と無限定正社員の間の転換の条件でありますが、多様な正社員等から無限定正社員にしても、無限定正社員から多様な正社員等にしても、いずれにしても、本人の同意があることが一番高く挙げられています。
 99ページ目は、多様な正社員になった経緯を見ますと、83%ほどは採用の段階からこの形態だからということでありますけれども、16.8%ほどは転換したことで現在の就業形態になった。この多様な正社員に転換した方々だけ抜き出しますと、それぞれの限定区分ごとに見ると、いわゆる正社員から転換して今の限定正社員になっているという方々が65%超いらっしゃるということであります。
 100ページ目でありますが、多様な正社員からどういう形態に転換できるのか、無限定正社員からどういう形態に転換できるのかというのを並べています。
 101ページ目は、多様な正社員の方がいわゆる正社員に転換を希望するかと聞くと、31.9%が希望する。希望する理由としては、賃金が上昇するからというのが高く挙げられているほか、希望しない理由としては、右側でありますが、自分の都合のよい時間で働けなくなるからというのが一番高く挙げられています。
 102ページ目でありますが、今度はいわゆる正社員の方が多様な正社員として働くことを希望するか聞くと、希望する可能性があるという方が26%で、その理由としては先ほどの裏返しのようなものが挙げられています。
 103ページ目では、いわゆる正社員として多様な正社員制度の利用に必要だと考える支援や配慮でありますが、一番高いのは採用段階から多様な正社員の採用枠を設けてほしいということでありますが、今回の検討会の関連でいきますと、真ん中辺りの勤務地や職務等の限定内容の書面等で明示してほしいというのが12.6%であります。
 104ページ目でありますが、無限定正社員と比較した多様な正社員の処遇ということで比較したものですと、いわゆる正社員と同じというのが一番多いですが、いわゆる正社員よりも低い層も一定いらっしゃいます。
 105ページ目でありますが、仕事がほぼ同じいわゆる正社員がいるかどうかというのを多様な正社員に聞きますと、いるというのが62%ほどであります。
 この関連で106ページ目でありますが、そういった仕事がほぼ同じ正社員と処遇等を比較したときの満足度を多様な正社員に聞きますと、不満があるというのが46.6%で、不満があると回答した方のうち、会社に説明を求めたいというのが30.8%でありまして、右側の不満を感じた具体的な事柄としては、不合理な賃金差があるというのが一番高く挙げられています。
 107ページ目でありますが、多様な正社員と比較したときのいわゆる正社員側の不満も聞きますと、不満があるというのが39.4%で、不満を感じた事柄として一番多いのは合理的な賃金差が設けられていないということであります。
 108ページ目でありますが、今度は事業所の閉鎖などに直面したときの対応方針ということで、無限定正社員の取扱いと全く同じく、できる限り多様な正社員についても雇用の維持努力を行うというのが各限定社員区分でいずれにしても50%超あるということであります。
 109ページ目でありますが、事業所閉鎖等に直面したときの雇用対応方針の明示をあらかじめしているかどうか聞くと、あらかじめ明示しているというのが1割前後ほどで、その明示している雇用対応方針としましては、右側でありますが、ほかの職務や勤務地に勤務させるとか労働契約を終了させるというのが挙げられています。
 110ページ目からはトラブルの関係を見ています。まず、企業のほうに過去5年間で多様な正社員等とのトラブルがあったかと聞くと、1.9%があった。その原因としましては、会社から限定区分の変更を申し入れたけれども拒否されたとか、無限定正社員との待遇差に不満が出た、指示内容が限定内容に反していると拒否されたとかいうことが挙げられています。
 111ページ目は個人のほうに聞いた過去5年間における現在の会社とのトラブルでありますが、そういうトラブルあったというのは6.3%でして、112ページ目でその原因としましては、会社の指示が限定内容に反していたからとか、限定区分の変更を受け入れた場合の配慮が足りないとか、限定区分の変更に納得がいかなかったというのが挙げられています。
 長くなりましたけれども、資料の説明としましては、以上でございます。
○山川座長 ありがとうございました。
 詳細な調査結果の報告をしていただきましたけれども、これまでの説明につきまして、質問、コメント等がありましたら御発言をお願いいたします。
 竹内委員、どうぞ。
○竹内(奥野)委員 詳細な説明をいただきましてどうもありがとうございました。
 いつも初めに発言させていただいて恐縮ですけれども、2点ないし3点質問させていただければというのと、思ったところについて感想レベルですけれども、申し上げさせていただければと思います。
 質問の1点目ですけれども、資料の右下にあるページ数で28ページのものは、無期転換権についての説明等に係る重要なデータではないかと思いました。ここまでの検討会でも私はこの無期転換権の説明については何度か申し上げたことがあって、その関心もあって重要だと思いました。
 これに関してお伺いをしたいのですけれども、このページの左側で契約締結時の説明として20%ぐらいの割合ですけれども、労働契約法における無期転換ルールの利用が可能という回答項目があると考えられるわけですけれども、これは具体的にどういう説明をしているものとして理解し、ないしは解釈することになるのでしょうか。
 例えば、締結時には、まだ無期転換権は生じていないと当然考えられるわけですけれども、更新を経て5年を超えたところで、つまり、うまく雇い続けられれば、将来あなたは無期転換権が発生しますという内容の説明をしていると理解をすることになりますでしょうか。もちろん、これは調査の質問項目について、回答者が質問項目の選択肢を適宜解釈した上で答えているはずですので、実際のところはどういう説明がなされていることを持って労契法における無期転換ルールの利用が可能であるという項目が20%余りと出ているのか分からないと言うほかはないという可能性もあると思いますけれども、この無期転換ルールの利用が可能である説明をしていることが具体的に何を意味しているかについて、もし分かるところがあれば教えていただきたいというのが1点目でございます。
 これはコメントですけれども、同じページの右側のデータの右下のほうで、無期転換権が生じている人で、説明を受けた人は行使する、しないのどっちの方向でも態度がよりはっきりしている。そういう意味では、説明することで態度を明確にする意味はあるのかなという感触を持ちました。
 質問の2点目ですけれども、29ページ目も無期転換権についての説明等に係る重要なデータだと思っていますが、右側の機会の説明状況の点なのですけれども、これはどの時点で説明しているかの詳細は分かりますでしょうか。
 例えば、更新を経て5年を超えた無期転換権が発生した段階、すなわちその後で説明したのか、あるいは、これから更新する契約のさらに次の契約に入ると5年を超えて無期転換権が発生する、すなわち、もうすぐ無期転換権が発生する段階であらかじめ説明しているのかといった、説明の時期ないしタイミングについて、もしこのデータが何か示していることが分かれば教えていただきたいと思います。
 同じような質問になりますけれども、30ページの左側も案内とかはしているということですが、これもどの段階で、あるいはどの時点で説明しているかについて、もし詳細が分かれば教えていただきたいと思います。
 質問は2点で、これはデータについての質問からは外れますけれども、確認をしたい点が3つ目としてありまして、今回の調査のここまでの紹介として、無期転換に関しては、労働契約法所定の仕組みによるものと会社独自の制度によるものとを双方詳細に紹介をいただきました。私としては非常に勉強になったなと思うところがあるし、こうした調査をしたので、それを紹介したというのはもちろん分かりますし、ありがたいことなのですけれども、この検討会において、もちろん労契法所定の仕組みについては必要な見直しがあれば行うということで守備範囲に入っていることはよく分かるのですが、会社独自の制度については、この検討会はどのように向き合うことが念頭に置かれているかについて、これはどちらかというと検討会の守備範囲というかミッションかと思いますけれども、その点について決まったものが必ずしもあるわけではないと思いますけれども、何か事務局等でお考えのことが確認できれば御教授いただきたいというのが、資料そのものではないですけれども、3つ目の確認的な質問でございます。
 その上で、2つ似たような形になるかもしれませんがコメントですけれども、これはページを出していただく必要はないですけれども、68ページとか106ページで、処遇差とかについて説明の希望についてのデータが出ていました。ご承知のとおり、パートとか有期の人であれば、処遇格差について、パート・有期法の14条で説明の求めがあったらすべきという規定があるわけでして、これを発展させて考えるといろいろな雇用区分の人が増えていく、法もそれをより推進していくことになるという場合、パート・有期以外の区分の人でも、自分は何でほかの区分の人と比べて違うのかという関心は自然と増えていくことになるのではないかと思いました。その点では、そういう説明の仕組みをほかの区分も含めて新たに考えるべきではないかということについて、まだ決まった考えがあるわけではないですけれども、検討対象にし得る可能性はあるかと思いました。
 あと、107ページを見ると非常に面白かったのですけれども、いわゆるフルの正社員の方は、むしろ合理的な賃金差がないことを中心に不満を感じている人が4割程度いる。そういう意味では、無期転換、多様な正社員の話の両方を通じて、使用者と労働者の間のみならず、労働者間を含めて労働条件に係る情報を共有するだとか、コミュニケーションを充実させることが重要なのではないかと思いました。要するに、それぞれの立場の人がそれぞれ不満を持っており、それぞれの人たちの間でのコミュニケーション不足が大きいのではないかと思いました。もちろん、それはこの検討会が守備事項としている労契法とかの話なのか、あるいは、労働組合法とか、過半数代表制のような他の法制度の問題なのか、あるいはそもそも法制度の問題というよりかは、労使コミュニケーションとか人事労務管理とかの問題なのか、そこは確たる見解はありませんけれども、とにかく、使用者と労働者間、労働者間においてのコミュニケーションの充実が、いろいろな区分の人たちが増えていく、あるいはそれを推進しようとする中での一つの重要な課題かなと思いました。
 長くなってすみませんけれども、以上です。
 質問としては、初めの2つと確認事項について御教示いただければ幸いです。よろしくお願いします。
○山川座長 それでは、御質問につきまして、事務局からお願いします。
○竹中課長補佐 御質問ありがとうございます。
 最初の28ページ目の件に関しましては、参考資料の中で調査票をおつけしているところでありますけれども、その中の通しナンバー120ページ目でありますが、これは調査票としてどういうことを挙げていたかということでございます。資料の中で御紹介したように単純に無期転換ルールの利用が可能かどうかということをお尋ねして、それ以上のことは推測の域を出ないわけですけれども、先ほど先生のほうでおっしゃったようなことが想定されるのではないかと思われます。
 続きまして、資料の29ページ目の無期転換ルールについてどういうタイミングで説明をしているかというと、参考資料の通しナンバーで135ページ目の問2-7-1で書いてある辺りで、これも無期転換できる機会の内容について説明していますかということだけをお尋ねしていますので、どのタイミングでということはこの中では把握できていないところであります。
 もう一つ御質問いただいた期間などを満たした個別の対象者に案内しているかどうかという点についても、同様に、具体的にどのタイミングかまで今特定できている調査ではございません。
 確認事項ということでいただきました法定の無期転換ルールだけでなくて、独自の制度による無期転換の制度については、今、資料でおつけしているものではありませんけれども、第1回の検討会の中で論点として設定されたものの中では、あくまでも無期転換ルールに関して様々御議論いただくことになるわけですが、論点の中でその他という項目も設けてございましたので、議論の過程で必要に応じて御議論いただくこともあり得ると思います。
 以上でございます。
○竹内(奥野)委員 どうもありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございました。
 御質問の中で30ページの案内についても時期がいつだったかというお話もあったかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○竹中課長補佐 すみません。今、見ていただきました参考資料の通しナンバーで135ページ目でありますけれども、その点についても問2-7-2のところでありますが、期間等を満たした個別の対象者に無期転換できることを案内していますかということだけ聞いておりますので、具体的なタイミングまで特定できた調査ではございません。
○山川座長 ありがとうございます。
 通算契約期間等を満たしているという要件は確認した上でということになりますかね。その上でさらなる詳細はここでははっきりしないということかと思います。ありがとうございます。
 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
 私からは2点質問と3点コメントがございます。
 まず、質問からですが、18ページ目と19ページ目のところで、無期転換を行使した人がいる事業所が35.9%、19ページ目で権利行使をした人の割合が27.8%といった数字がございました。ここから、いろいろなことが想像できるわけですが、一部の企業に偏っているのか、受け入れてくれそうな企業で権利行使をするのかとか、ほかの労働者が行使したのを見て、ここの会社では行使しても大丈夫だと思って行使するのかとか、このデータから何か分かることがあったら教えていただきたいと思ったのが1点目です。
 2点目です。23ページ目の全数のところで、復元後の常用労働者に占める無期転換者の割合として2.9%とパーセント表示で書いてありますが、ここから無期転換者の人数を推計できると思うのですけれども、人数でいったらおよそ何人なのかを教えていただければと思います。ここまでが質問です。
 あとはコメントですが、97ページ目で、無限定正社員と多様な正社員の転換で両方向可能といった場合に、これはどういう意味なのかが注意が必要かなと思って話を聞いていました。以前のこの検討会で発言した内容でもありますが、私が勝手に予想したものとして、最初に無限定正社員として会社に入った人間が、例えば育児のタイミングに合わせて一度多様な正社員として働き方の強度を落とした場合であったら、そもそも採用時のスクリーニングをクリアしているから、もう一度無限定正社員に戻るのは容易なのではないか。
 反対に、最初に多様な正社員、または非正規として入って無期転換したとか何かの理由で多様な正社員になった人間が無限定に進もうと思うと、やはり厳しい審査があるのではないかといった点が気になっていました。この観点から、ここで両方向転換可能な制度があるといったときに、ここにはいろいろなパターンがあり得るのだろうと思います。私がイメージしたような無限定で入った人は行ったり来たりできるけれども、多様な正社員として入った人はかなり厳しいというのもあり得ると思うので、ここの解釈は注意が必要かなと感じています。
 次に、106ページ目ですが、ここは107ページ目について竹内先生から先ほどコメントがあった話の反対側です。多様な正社員側が、仕事がほぼ同じ正社員との処遇格差について46.6%は不満があるという答えがあったわけですが、これは個人に聞いていて、仕事がほぼ同じだと認識しているというところに難しさがあるのだろうと感じています。責任の重さや、ほかの要因についての差が仮にあったとしても本人は気づいていない。実際に仕事内容に差があるのだけれども、差がないと思っているということもあると思うので、竹内先生からあった話に関連して言えば、これは制度の話というよりは企業との労使コミュニケーションというか、説明がとても大事なことだろうと思っています。この場にお集まりの委員の先生方は大学の教員なわけですが、大学の世界でも専任教員と非常勤講師の間での処遇格差がいろいろ問題になったりもしますが、専業で非常勤をされている方からすると、恐らく処遇の格差はとても大きいものと認識されているでしょうし、専任教員からすると、教育以外にもほかにもいろいろと仕事があるのだとか、この辺りのすれ違いは我々も感じている、または直面しているところかと思うので、この辺りは説明が必要だろうと感じます。
 併せて、以前、厚生労働省の主催のあるシンポジウムに登壇した際に、参加している企業の方から、限定正社員、多様な正社員を導入している会社の場合に、多様な正社員の側の不満を減らすために、本来は必要ないのだけれども、無限定正社員をあえて転勤、あえて配置転換をやってみせることで納得感を形成していますよ、本当は意味がないし、もともとの仕事で習熟してほしいのですけれどもねみたいな話を聞いたことがあるので、この辺りもどういう形で納得感をつくっていくのかというのは、効率性の観点からも重要かと思いました。
 長くなってすみません。最後に108ページ目のことについても過去に1回コメントしたことがある内容なのですが、雇用保障と雇用の保護についてのところで一番上です。無限定の正社員の取扱いと全く同じくできる限りの雇用維持努力を行うというのがかなり大きい数字になっていますが、無限定の正社員と多様な正社員、両方とも人員を削減しないといけないぐらい大幅な経済環境の変化、経営環境の変化が起こったときに、優劣があるのかないのかというところがとても気になっています。これは、そういう状況に直面していないときにアンケートとして、あなたの会社では多様な正社員の雇用保障をどう考えますかといったら、それはとても前向きな返事が来るでしょうけれども、限定がある人とない人で全く区別なく、例えばくじ引きで決めるのかといったら、多分そんなことはないような気もするので、この辺りの解釈は注意が必要かなと思いました。
 以上、長くなりましたが、質問とコメントでした。
○山川座長 ありがとうございました。
 御質問についてお願いします。
○竹中課長補佐 御質問ありがとうございます。
 1点目の18ページ目と19ページ目の部分ですが、この資料上、事業所ベースと人数ベースで挙げていまして、どこかに偏りがあるかどうかという辺りにつきましては、データ上で見ますと、事業所のことではなくて恐縮なのですけれども、20ページ目に挙げていますのが企業規模別でありまして、これの事業所別ということでも別途詳細な報告書の中では挙げております。全体については参考資料の1ページ目から全体版に飛べるわけですが、そういったところで見ましても、事業所規模別に見たときに行使した人の割合とかで見ても、人数規模として少ないときには行使した人の割合が低いとかいったところも一定見られるところもありますが、データ上、申し上げられることとしては今時点ではその辺りでございます。
 もう一つ、23ページ目でございますが、復元後の常用労働者数に占める無期転換者ということで、ここでは割合として記載しておりますけれども、人数ベースでどうかということでございます。この点は、まず留意すべき点として最初に申し上げますと、今回の調査は標本調査ですので、無期転換した人の全数を把握する調査ではないということもありますし、今回の調査というのが、あくまで5人以上の民営事業所を母集団としておりまして、復元したときに常用労働者が5人未満の事業所は考慮していないということと、この調査はあくまで2018年度と2019年度だけを見ているといった留意をした上でありますが、この事業所調査の結果で2018年度と2019年度に常用労働者が5人以上の事業所において無期転換した人の数としては、この調査上、復元した数でいえば約158万人です。そのうち無期転換ルールによって無期転換した人は、資料でお示しした内訳の74.5%と関連するわけですが、約118万人ということで推計されるところでございます。
 以上でございます。
○安藤委員 ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございました。
戎野委員、どうぞ。
○戎野委員 ありがとうございます。
 私からは2点感想と、それに関することになるのですけれども1点質問をお願いしたいと思います。
 今、既に2人の委員からお話がありましたことと私も感じるところはかなり共通していると思ったのですけれども、やはり労使関係の視点から見ても従業員への周知と納得感を持った理解がとても重要だとこの調査から改めて感じました。
 勤務先から情報を入手している人が非常に多いという結果が大体30ページ前後にあったと思うのですけれども、ほかのところからの情報入手というのは個人にとってはなかなか難しく、やはり労使関係は非常に大きな役割を担っていると思います。
 以前、嶋﨑弁護士に質問した際の回答にもありましたけれども、いわゆる集団的労使関係が構築されていないところでは、個別の労使関係の力関係もあるし、いろいろ問題があるとのお話がありましたが、情報入手自体、組合員でない場合、あるいは組合がない場合においては制約があるのだろうということがこの調査結果からも読み取れます。やはり情報を皆に、そして名前だけではなくて内容を正確に周知していくことは一つ大きな課題だろうと思いました。
 2点目はそれとも関連しますが、やはり納得感を持っているかどうかということで、これも69ページ辺りでこれまでに御指摘があった辺りと重複しますけれども、不合理な賃金差を感じているなどの不満というのは、本人のみならず周囲を含めて、また、企業にとっても非常に大きな問題だろうと思いました。
 そもそも本当に不合理なのかということもあります。仕事が同様という解釈によっても違いますので、本人の見方や周囲の見方、また企業の見方によって違うだろうと思います。当然、客観的に見て不合理があることも問題ですし、説明が不十分であるためにそこにそれぞれの理解の相違が生じていることも、また問題だと思います。実際に案内しているところは半分ぐらいでしたので、恐らく情報が正確に全員に伝わっていないこともあるだろうと思いました。
 この辺りは、規模によってもかなり大きな違いがあるのではないかと思います。以前、峰弁護士から、労使の力関係において、大企業に関しては転勤が問題になるので、この辺りは労働組合があるところもあり、いろいろと交渉ができる。中小零細、特に零細になってくると、無期転換してもらいよかったと、特に大きな問題は今のところ聞いていないということでした。確かに転勤という明確な差異があったりすると問題を表に出しやすいと思います。ただ、そうでない、日々やっている仕事や責任あるいは守備範囲であったり今後のキャリアだったりというのは、すぐ顕在化しないところもあり何となく不満ということで、潜在化した不満になって表に出てこないこともあるのかなということを今回の調査から思いました。労働側の嶋﨑弁護士は不満をたくさん聞くという話でしたので、この辺のお話も、今回の調査結果と整合性を持っていると思いました。
 したがって、問題として顕在化してくる部分のみならず、なかなか見えにくい部分の不満や納得感といったものをきちんと整理していく必要があると思います。そこには、労使関係の情報共有、コミュニケーションとともに、力関係というものも見え隠れしているのではないか注意してみていくことが重要だと思いました。
 そこで、最後に質問なのですけれども、従業員調査において、制度の理解度であったり不満であったりというものを中心に、従業員の所属している企業の規模によって何か差はありますでしょうか。分かりましたら教えていただきたいと思います。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 それでは、お願いします。
○竹中課長補佐 御質問ありがとうございます。
 参考資料ですが、まず、通しナンバーで94ページ目の辺りが最後に御紹介いただいた最も改善してほしいことはあるかどうかという辺りであります。企業規模ごとに見させてもらったところでありますが、改善してもらいたい点があるという段で行きますと、法定の無期転換ルールによるか独自の制度によるかは分けずに、無期転換者全体で見ていますが、一番高い1,000人以上のところであれば、68.1%が改善してもらいたい点があり、5~29人であれば43.4%ということですが、間のところで上下しているということでございます。
 あとは、通しページでいうと91ページ目でありますが、満足している、していないというところでいきますと、企業規模別で満足しているというのが無期転換者の中でいえば1,000人以上であれば60%、5~29人であれば67.7%ということで、その間で多少上下している状況が見て取れます。
 続いて、認知度の関係でありますが、通しナンバーでいうと75ページ目でありまして、こちらで無期転換ルールに関する知識の有無、内容ということで、何らかここに書かれているもののうちどれか知っているという有期の方の割合として企業規模別に見ますと、1,000人以上が43.3%で、5~29人が41.9%でありますが、その間で多少差がある層もあるのが見てとれます。
 私のほうからは以上でございます。
○戎野委員 ありがとうございました。
 これを見ると、相対的に経営者と近い関係になりやすい小さい企業と、集団的労使関係が形成されているような規模のところが比較的高くて、その中間部分が問題になっていて、情報共有や満足度などが下がるのかなという印象を受けました。どうもありがとうございました。
 また、先に質問させていただいてありがとうございました。
○山川座長 それでは、桑村委員、お願いします。
○桑村委員 ありがとうございます。
 今回、詳細な統計データを出していただきまして、感謝申し上げます。今後のこの検討会での議論にも資する有益なデータだと思います。私からは質問ではなくて、今考えていることをコメントとして2点申し上げたいと思います。
 まず、29枚目のスライドです。これは以前にも申し上げたことがありますが、私自身は無期転換後の労働条件が就業規則に規定されているかどうかに関心を持っております。無期転換後の労働条件が不明確である、それによって無期転換権の行使が抑制されることに対処するということであれば、必ずしも就業規則に記載する必要はなく、口頭での説明や個別の労働契約で書面化して明示するという手法もあると思いますし、実際にヒアリングでも就業規則に書かずに個別契約でやっているという例があったと思います。
 ただ、私が気になっているのは、就業規則の作成義務との関係でして、労基法89条で賃金について必要的記載事項で必ず書かなければならないことになっていますので、無期転換後の労働者に適用される労働条件、特に賃金について、従前の就業規則が適用されなくなって、制度として就業規則に賃金についての規定がない状態になっていないかに注意する必要があると思います。この左のデータですと、就業規則の中に無期転換後の労働条件について規定していない割合が5割以上ということが示されておりますので、今後は就業規則の作成義務との関係で就業規則にきちんと規定する必要があることも周知していく必要があると考えております。
 もう一つは多様な正社員の関係でして、86枚目以降に多様な正社員を導入した理由、導入しない理由が示されております。多様な正社員の制度は、労働者側から見ると選択肢が増えるのでメリットがあり、これをどう促進していくかという手法を考えた場合、法的に言えば、例えば、多様な選択肢について提供する制度を導入する努力義務が考えられるのかなと思います。
 他方で、企業側から見ると、87枚目だと労務管理が煩雑になるとか、限定に応じた労働条件の設定が困難になるということになっておりまして、育児とか介護というように社会的に考慮すべき、配慮すべきとされている事情以外の、より広い労働者の生活上のニーズに応えるという観点から、そのような制度を導入する努力義務を課すのは強過ぎるのか、企業にとってそれを将来的なものを含めて強制していくときにそこに正当性があるのか、十分な説明ができるのかはさらに検討していかなければならないと考えております。
 努力義務にせよ、義務という形で導入することが難しいのであれば、このような制度を導入することによるメリット、好事例という形で発信していくという、もう少し緩やかな方法になるのかなということで、私自身は社会に対して促していくための方策について、もう少し考えてみたいと思っております。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
坂爪委員、お願いします。
○坂爪委員 御説明ありがとうございました。
 私からは全部で3点となります。最初に質問が2点、コメントが1点です。
 最初に、12ページ目で今回の調査のサンプルの御説明をいただきました。ここについての確認なのですが、基本的にはこれは調査時点での有期雇用、無期転換者、会社独自の転換者という3つのカテゴリーについての、日本の現状を反映していると理解していいですかというのが質問です。
 資料を見ていていくと、無期転換者の年齢構成は基本的には40代や50代が中心だと言えます。一方、会社独自の転換者では、一気に若手、具体的には30代までが多くなると言えます。言い方を変えると、20代や30代の有期労働契約者にとって必ずしも無期転換ルールが何かの理由でフィットしていないこともあり得るのかなと感じましたので、今回の調査が日本の有期雇用、無期雇用転換者の実態を反映していると理解していいかというのが1つ目の質問です。
 2点目は、無期転換後の労働条件明示に関することです。幾つかのスライドを見ていくと、一定数の有期雇用者が、無期転換を志向しない理由として「仕事の責任が重くなりそう」を挙げており、企業側も別段の定めで職務の定めを設定していることがわかります。一方で、無期転換してみると、有期雇用と比較してほとんど仕事が変わっていないことがわかります。ここから、無期転換後の仕事に対するイメージとその実態の間にミスマッチがあるのではと感じました。これに関連する質問です。令和3年度の調査の問12の(2)でどんな説明を受けましたかという設問があったのですが、その結果を見つけられなかったので、そこの具体的な数値を教えてください。要は、業務量が増えるのかという設問があったので、そこの回答を教えてくださいというのが2つ目の質問になります。
 3点目、これはコメントです。多様な正社員に関するところですが、もともといわゆる正社員が多様な正社員になることがわかります。特に、労働時間などについては、いずれいわゆる正社員に戻ることも想定されます。もともといわゆる正社員だったという意識が限定内容を超えた指示につながる一因となりうると思いますので、やはり労働条件の明示、労働条件の変更の際の手続きの明示、それらが従業員に確実に伝わる状態をつくることが非常に大事だと考えました。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 質問も含まれておりましたので、事務局からお願いします。
○竹中課長補佐 御質問ありがとうございます。
 まず、このデータ自体は日本の実態を反映しているかどうかという点で申し上げれば、今回の調査自体がこの資料の冒頭のほうで調査自体の概要を御説明しているものがございますけれども、総務省のデータを母集団にして復元しているということで、日本の実態を反映できるように抽出していって調査しているという意味では、日本の実態を反映しようとしているものでございます。
 もう一つ御質問いただいたのは個人の調査票で通しナンバーでいうと120ページ、121ページ辺りですけれども、問12の(2)に当たる部分がないかどうかという御質問だったと理解しております。この調査全体が非常に大部だったこともありまして、今回の調査の結果として資料に全ての項目を載せているものではございません。かつ、おつけした概要の中で申し上げますと、通しナンバーで77~78にかけてになります。77ページはこの資料の中でもおつけしたものでありますが、78ページ目は先ほど御下問の問12の(2)についてであり、独自の制度により無期転換した場合の業務量とか労働条件の変化について説明を受けたという方の状況を掲載しています。
 こちらで回答になっておりますでしょうか。
○坂爪委員 分かりました。
 ご説明ありがとうございました。独自の制度で無期転換した方限定ではありますが、業務量はほとんど変わらないという説明を受けた方が70%を超えているということですね。ありがとうございます。
○山川座長 ありがとうございます。
 補足は何かありますか。
○田村労働関係法課長 事務局から補足します。
 最初の御質問は12ページ目の有期契約労働者と、無期転換ルールによる転換者と、会社独自の無期転換者の比率が現時点での状況を反映しているかどうかという御質問だったかと思います。無期転換ルールについては、有期の方と比べて10代、20代の比率が低いと思うのですけれども、一つは5年を超えて転換権が生じた方がまだいない可能性、年齢が高い方のほうが5年を超えて既に10年とか働いている方がたくさんいらっしゃるということも可能性としてはあるかと思っておりまして、この辺りは今回2020年時点の調査ということで、本格的に転換権が発生したのが2018年4月ですから、そこから2年間で転換した人の状況ということで、今後の状況も見ていく必要があるのだろうと考えております。
 一方、会社独自の制度については、無期転換ルール導入とともに整備した会社も中にはあるかと思いますけれども、無期転換ルールが法律化される前から導入されていた企業もあるかと思いますので、そういった意味では、こちらは幅広い世代が転換していると考えております。
 最初のほうに竹内先生が御指摘された会社独自の制度について、この検討会でどういうふうに見ていくべきかという御質問があったと思いますけれども、その点に関して、今回の調査結果もそうですし、これまでのヒアリングの中でも、企業によって会社独自のルールを設定しているところ、あるいは法定の制度と会社独自の制度を並立させているところ、法定の制度だけのところ等々いろいろなパターンがあると見てとれたかと思います。この検討会自体は、法律上設けた無期転換ルールそのものを検討対象としておりますけれども、それとともに会社独自の制度にも何らかの影響を与えている可能性もありますし、企業の中の人事戦略としてどういうふうにそれぞれの無期転換制度ないし多様な正社員も含めて使い分けて活用していくかの方針なども含めて、その辺りの状況も検討の際には留意していく必要があるかと考えているところです。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 ほかに何か追加的にございますか。よろしいでしょうか。
 データが非常に膨大になっておりますので、今日以外でも何か御質問等がありましたら、事務局のほうに問い合わせていただければと思います。非常に面白いデータがたくさん出てきたと思います。委員の先生方の御指摘のあったとおりですけれども、例えば、今、課長からも説明のありました独自の無期転換と法定の無期転換ルールは、いろいろな違いがあることが明らかになったと思います。ある種、パート・有期法13条の正 社員転換制度的な位置づけを与えている場合もあるのかなと思います。それから、周知とか説明、あるいはコミュニケーションの重要性についても今回のデータでよく示されているかと思います。これも委員の先生方の御指摘のとおりです。
 これから改めていろいろ個別の議論になるかと思いますけれども、御意見は今日いただいた部分も含めて、これまでのヒアリング、実態調査の結果等を踏まえて、これから以降、各論点についての個別の議論に入っていければと思っておりますけれども、今後につきまして、そういう方向でよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○山川座長 ありがとうございます。
 まだ若干時間がありますけれども、何かございますか。よろしいでしょうか。
 先ほど申しましたように、何か追加で御質問等があれば事務局のほうにお寄せください。
 それでは、本日の議論はここまでにさせていただきたいと思います。
 次回の日程について、事務局からお願いします。
○竹中課長補佐 次回の日程につきましては、現在、調整中でございます。確定次第、開催場所と併せまして連絡いたします。
○山川座長 ありがとうございます。
 それでは、これで第5回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」を終了いたします。お忙しい中、皆様、お集まりいただきまして、大変ありがとうございました。

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