第16回労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会 議事録

日時

2021年(令和3年)6月22日(火) 16時00分~

場所

厚生労働省 職業安定局第1・2会議室
千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 12階

出席者

 
  • 阿部正浩
  • 安藤 至大
  • 大久保 幸夫
  • 鎌田 耕一(座長)
  • 武田洋子
  • 山川 隆一

議題

  1. (1)これまでの議論の整理

議事

議事内容

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第16回「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」を開催いたします。皆様、本日は御多忙のところ御出席賜りまして誠にありがとうございます。本日は中田委員が御欠席です。また、阿部委員が遅れて御参加いただく予定です。よろしくお願いいたします。
 本日は、これまでの研究会で御議論を頂いた内容を、座長の御指示に基づきまして事務局で整理いたしましたので、改めて委員の皆様に御議論を頂きたいと思います。
 それでは、議事に入りますので頭撮りはここまでとさせていただきます。なお、本日は個別論点の議論ということですので、以後の議事進行を鎌田座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○鎌田座長 それでは、事務局でお作りいただいた資料について、説明をお願いいたします。
○事務局  「議論の整理を踏まえた骨子(案)」を御覧ください。基本的考え方の下、各論を整理し、取りまとめることとしてはどうかということです。
「○求人メディアや新たな雇用仲介サービスが労働市場において果たす役割を積極的に評価し、労働市場において需給調整の一翼を担うものとして位置付ける。」
「○労働市場全体のマッチング機能を高め、実効的な雇用対策を行うことが重要であり、職業安定機関は求人メディアや新たな雇用仲介サービスを行う者とも情報の共有や連携を進めていく。」
「○労働市場における雇用仲介サービスの位置付けを確固たるものとし、仕事を探す者の立場に立って雇用仲介サービスの利用者が安心して利用できる環境とするため、雇用仲介サービスを行う者が守るべきルールを明確にする。」
「○雇用仲介サービスがIT技術を駆使し、マッチング機能を高めていることや、サービスの進展が早いことを踏まえ、雇用仲介サービスを利用して仕事を探す者にとって有益なイノベーションを阻害しないよう留意する。」
 次に各論です。Ⅰ.労働市場の整備の「法的な区分」について、
「○雇用仲介サービスを、仕事を探す者の安心した利用と機能のイノベーションを両立させる観点から、法的に位置付けていくべきではないか。」
「○雇用仲介サービスの法的位置付け、サービスの態様等については、サービスを提供する事業者だけではなく、サービスを利用する者にとっても明確なものであるべきではないか。」
 また、「公共の役割」については、
「○職業安定機関が、労働市場全体の情報を把握できる仕組みを構築し、総合的な雇用対策を担っていくべきではないか。」
「○ハローワークは就職困難者への対応を充実させるとともに、全国で知見を共有し職業の安定に対する役割を強めていくべきではないか。また、雇用仲介サービスを行う者のみならず、就職困難者を支援する関係機関や、職業訓練機関との連携の基幹としての役割を果たしていくべきではないか。」
「○雇用仲介サービスを行う者とハローワークが効果的な連携を行うことができるよう、職業安定機関が雇用仲介サービスに関する情報を提供する等のサービスの共有を行っていくべきではないか。」
「○雇用仲介サービスを行う者等は、厚生労働大臣が雇用に関する情報を収集する際に必要な協力を行うものとするべきではないか。」
 次に、「新しいサービスの把握等」について、
「○求人メディアや多種多様となっている新たな雇用仲介サービスの労働市場における役割が大きくなっていることから、労働市場における需給調整の一翼を担うものとして位置付けるべきではないか。」
「○労働市場におけるマッチングの向上等を図るための参入を阻害しないよう配慮しつつ、求人メディアや新たな雇用仲介サービスを行う者を把握すべきではないか。」
「○職業紹介事業や労働者派遣事業における認定制度を参考に、募集情報等提供事業等においても、より優良な事業者の利用を促進するべきではないか。また、そのためにも対象の法的位置付けを明確化し、対象となる事業者を把握することが必要ではないか。」
 次に、「職業情報・募集情報等の共通フォーマットの整備」について、
「○職業安定機関は、日本版O-NET等の職業情報を一元化するインフラの整備を進め、充実を図るべきではないか。その際、実際に職業情報を活用する企業や関係団体の意見も踏まえつつ、情報の項目を充実・更新していくべきではないか。」
「○募集者や募集受託者、雇用仲介サービスを行う者は、労働条件に限らず、職業選択を助け、職業生活の充実に資するような情報について積極的な提供を行っていくべきではないか。」
 次に、Ⅱ.雇用仲介サービスの取り扱う情報についてです。「情報の的確性について」、
「○雇用仲介サービスを行う者は、仕事を探す者に誤解を与えることのないよう、募集情報の的確な表示を行うべきではないか。」
「○求人者が募集情報を事前にかつ的確に明示することができるよう、雇用仲介サービスを行う者は必要な支援を行うべきではないか。」
「○雇用仲介サービスを行う者は、提供する募集情報や仕事を探す者の情報について誤り等があった場合、早急に訂正等を行う責任があり、募集を行う企業や求職者からの苦情を受け付ける体制を整備すべきではないか。」
 次に、「個人情報等の保護」について、
「○仕事を探す者が自分の個人情報を不利に取り扱われることのないよう、雇用仲介サービスを行う者は、業務の目的の達成のために必要な範囲内で利用される個人情報について収集、保管、使用すべきではないか。」
「○日本の労働市場の特性を踏まえれば、雇用仲介サービスを行う者が本人の同意を得て個人情報を利用する場合であっても、どのように同意を得るべきか明確にしていくべきではないか。」
 次に、Ⅲ.人材サービスの役割です。「人材サービスの役割」について、
「○雇用仲介サービスに従事する人材の質を確保するため、必要な職業・雇用に対する知識を保有しているか、募集者や求職者等の雇用仲介サービスの利用者にとっても、明確になるようにしていくべきではないか。」
「○雇用仲介サービスを行う者に寄せられた苦情やその処理の状況について、業界団体における公開を促すとともに、雇用仲介サービスを行う者からの情報提供を受け、職業安定機関が市場全体に公開していくべきではないか。」
 次に、「求職者等の特徴・保護」について、
「○職業安定機関は職業紹介事業者だけでなく、募集情報等提供事業者の事業に関する情報や、労働市場に関する情報を提供すべきではないか。」
「○AIやマッチングアルゴリズムの技術の使用によって仕事を探す者が不利になることのないよう、雇用仲介サービスや業界団体の基本的な考え方を示すべきではないか。」
「○原則として、求職者から手数料を徴収できないという現行の規定や慣行は維持するべきではないか。」
次に、「業界団体の役割」について、
「○雇用仲介サービスにおける先駆者を会員とする業界団体は、業界全体のコンプライアンス遵守と啓発についての役割を果たすべきではないか。」
「○職業安定機関は業界団体との連携を緊密にし、雇用仲介サービスの把握と高いサービス水準を確保するための施策を推進するべきではないか。」
「○業界団体は、職業安定機関と連携して職業に求められる能力、処遇等に関する情報を労働市場で共有する役割や、事業者に対する苦情に中立的に対処する役割を担うべきではないか。」
 次に、「雇用以外の仲介について」、
「○非労働者とされている人でも、労働者性のある人や交渉力の低い人が存在することを踏まえ、雇用以外の職業を仲介するサービスについても、雇用仲介サービスを行う者が守るべきルールに倣うことができるようにするべきではないか。」
として議論を整理しております。
○鎌田座長 それでは委員の皆様より、ただいまの説明に対し御質問、御意見を頂きたいと思いますが、論点ごとに進めていきたいと思います。この骨子の基本的な考え方、それから各論においては、Ⅰ.労働市場の整備。Ⅱ.雇用仲介サービスの取り扱う情報について。Ⅲ.人材サービスの役割。このようなかたまりで、皆さんから御質問、御意見を頂きたいと考えております。
 それでは一番最初に、基本的な考え方の部分について御質問、御意見がありましたら御発言をお願いいたします。
(意見無し)
 御発言の要望がありませんので、次に移ります。もし戻って発言がある場合も構いません。それでは、各論の労働市場の整備の所で御質問、御意見がありましたら御発言をお願いいたします。
 
○大久保委員 「対象の法的位置付けを明確化し、対象となる事業者を把握することが必要ではないか」ということろですが、これまでも、募集情報等提供事業という概念はあったわけですけれども、具体的にどこからが募集情報等提供事業に該当するのかということが特定されておりませんでした。このため、十分に対象者を把握していないという状況ですので、それを改善していくことは方向としては良いのではないかと思っております。
 特に、これは日本の労働市場の特性なのですけれども、いわゆる募集情報等提供事業者のサービスを使って転職先を見付けたという人たちの比率が結構高くて、入職経路においてかなり大きなシェアを占めています。また、SNSやプラットフォーマーと言われるようなところのサービスを使って、今後仕事を探していく人の比率は、日本においてはまだ小さいのですが、主要国においては相当シェアを上げてきている状況ですので、日本においても今後増えていく可能性が高いということです。そういう意味で、この領域を今回新たに法的にも定義することは、マッチングにおいて占める役割や重要性が大変高いことを踏まえ、対象となる事業者の把握等が必要になっているということだろうと思います。
 ここをどういう形でしっかりとできるのかが重要で、何度もこの研究会の中でも議論で出てきているように、プラットフォーマーというのは人材サービス業を専業でやっているわけではありません。プラットフォームの事業の1つとして、転職先の発見に資するサービスをやっているということです。今までのような形ではなかなか把握しづらいこともあると思うのですが、そういうところも含めてきちんと把握する。特に新形態と言われているサービスについては、国内に資本を持っているところが新たに始めたサービスではなくて、海外の資本が始めたサービスが日本に参入してくるケースも大変多いものです。そういうところも含めてきちんと把握をしないと、これは実際に求職をするサービス利用者にとっても正確な情報になりませんし、またサービスを展開する国内の事業者にとってもイコールフッティングになりませんので、その点について十分な留意をした上でこれを進めていくことが大事ではないかと思っています。
 
○安藤委員 Ⅰの労働市場の整備について、4点お話いたします。1点目は公共の役割の所にある、職業安定機関が労働市場全体の情報を把握するという話です。労働市場全体の情報とは何か。また、それを把握できるのかということについて、少し整理が必要かなと感じております。失業率や有効求人倍率など、様々な統計データから労働市場のことを把握したいと考えるわけですが、どのようなことであったら把握できるのかという観点からもう少し書ければいいかなと思ったのが、1点目です。
 2点目は同じく公共の役割の所で、ハローワークが就職困難者への対応を充実させるということは、とても大事だと思っています。今回のこの研究会の範囲からは外れるかもしれませんが、やはりハローワーク又はハローワークで働く担当者の皆さんに、適切なインセンティブが与えられているのかというところに関心があります。求職者が職に就くことができた件数だけでなく、より長期間、より処遇のいい仕事に就いたかどうかが、ハローワークで働く方々への適切な評価であったり、処遇に結び付けるようなことができないかという点は、長期的な課題として考えないといけないと思っています。
 3点目として、新しいサービスの把握等です。どうやって把握するのかといったときに、これまでこの研究会では、どちらかというと実際に仲介サービスを行っている方に対してどういうことをやっているのかを聞こうとか、新型のビジネスを行う際にいろいろと情報提供をしてもらおう、報告をしてもらおうというような考え方で議論してきています。場合によっては事業者に聞くだけではなくて、利用者である求職者や求人企業にどういうツールを使って就職活動をしているか、どのように人を探しているか、どんなものを使っているのかを質問することで、最近どういうものが注目されているのか、ということが捉えやすいのではないかと思います。必ずしも事業者の皆さんは自分がやっているビジネスが雇用仲介事業だとは認識していないというケースもあり得ることを踏まえると、利用者の方に聞くというのも有効かと思っています。
 最後の4点目は、共通フォーマットの整備についてです。日本版O-NETの充実と更新について、これは日本版O-NETについて扱った時にも発言しましたが、是非このシステムの利用者からの、もっとこうしてくれたら使いやすくなるのにという要望を聞いて、確かにそれはもっともだと思えるものについては反映させていくことで、利用者が使いたくなるものを作っていくことが有益かなと感じております。
 
○山川委員 法的な区分の所の最初に、「法的に位置付けていくべきではないか」という記述がありますが、この辺りはもう少し書き足していく方向になるのではないかと思います。
 法的な位置付けという場合には3つぐらいあるような気がします。1つは区分の問題です。これは、これまでの発想は職業紹介・あっせんとそれ以外という二分法だったのですけれども、募集情報等提供事業が出てきて、そちらの比重が実際上非常に大きいということになると、職業紹介と募集情報等提供とそれ以外といったような三分法的になるのではないかと思います。ビジネス上の予見可能性の点からは、現在のような二分法よりも三分法のほうが、その内容にもよりますけれども予見可能性が高まって、またビジネスの実践においても有益になり得るのではないかと思います。
 区分の内容は、まだいろいろ検討すべき点があると思います。現在のところ、告示がありますけれども、より現代化していくとどうなるかという点も検討が必要かと思います。前もどこかで申し上げましたけれども、自分で検索することもできることを踏まえると、自分で検索するようなこと以外の、依頼の範囲を超えて業者が自らの判断をもって情報に手を加えたり、いろいろな選択をしたりしていくというようなことで区分することも、あり得るのかなと思います。
 もう一つ、今のお話は区別又は区分の問題ですけれども、次は何を求めるかという話で、求めることの内容に応じて区分もいろいろと変わってくるところがあると思います。今回ヒアリング等を聞いておりますと、情報産業だというような言葉が端的に出てきまして、もしそうだとすると情報の的確性のようなことが重要になるかと思います。情報には把握の面もありますし、表示の面もあるかと思いますので、それは業態に応じていろいろ変わってくる可能性があるかと思いますけれども、やはり情報を提供しているという側面が非常に強いので、そこを的確にしていくというのが1つあると思います。
3つ目の法的な位置付けという点では、把握という点も重要になるかと思います。把握の方法をどうするかという点も出てくるかと思います。優良な事業者を推奨する、あるいは何らかの形で周知させるということを考えるに当たっても、何らかの方法で把握していなければ、優良事業者といえるかどうかも位置づけできないと思います。どういう手法的な位置付けを取るかに応じて、把握のやり方も全く変わってくるのではないかと思います。以上3つですけれども、必ずしも決め打ちで、これという形ではなくて、検討事項ということで視点だけ申し上げました。以上です。
 
○阿部委員 2点あります。1点目は、これはまだ骨子(案)なので報告書になってきたところでお考えいただければと思うのですが、雇用仲介サービスという言葉が、文脈によって指しているものが違っているような気がします。全てを包含した形で雇用仲介サービス、そこには募集情報等提供だけではなくて、職業紹介や派遣、あるいは新たな雇用仲介も含めて、全体に傘を掛けたような形で使っている部分もあれば、まだ具体的に安定法で出てきていないようなサービスについて、新たな雇用仲介サービスといった形で使っていたりします。雇用仲介サービスという言葉をどのように定義しているかは、後々考えていただければいいなと思いました。
 それから山川委員の御発言に触発されて、区分の問題はやはり重要ではないかとは思います。先ほど一例として、山川委員が今の職業紹介かそれ以外かという2区分から、そこに募集情報等提供を入れた3区分になるのではないかというようなことをおっしゃったのだと思います。この辺りは、今後そうした区分も含めて、検討していくことは必要かと思っています。
 例えば職業紹介の中でも、今はいわゆるリアルな場面設定の中で人が介在してあっせんをしているという場面が多いと思いますが、それが徐々に機械化していくという方向に動いてくる場合もあるでしょう。逆に、今度は募集情報等提供のほうが職業紹介に近づいていくといったものもいろいろとあって、そこをどうやって区分していくかが今後の課題としては大きいのではないかと思うのです。そういう意味で、区分の在り方は非常に重要な論点であるので、もう少し議論していったほうがいいのかなと、個人的には考えております。
 
○事務局 今回の骨子(案)で記載している文言ですが、雇用仲介サービスとしている場合については、職業紹介、現行の募集情報等提供事業、それから今御議論いただいています新たな仲介サービスというものをすべからく包含した形で書いています。雇用仲介サービスを行う者と書いている場合については、それを事業として行う形のイメージで書いております。ただ報告書の段階については、もう少し詳細な形で書いたほうが良いということでしたので、報告書の段になりましたら精査を行いたいと思っております。
○阿部委員 文脈によって読み取る側がどこまでを範囲とするかと読むのが大変かなと思ったので、もし可能であれば少し整理していただければ助かるなと思った次第です。よろしくお願いします。
○鎌田座長 ありがとうございます。
 
○武田委員 取りまとめ頂きましてどうもありがとうございます。骨子ではありますけれども、全体の議論の整理としてうまくまとめていただいていると受け止めております。その上で2点、意見と感想を述べたいと思います。
 1点目は、今回職業情報や募集情報等の共通フォーマットの整備を、より具体的に充実、更新していくべきと書いていただいておりますが、これは是非、前に進めていただきたいと思います。
 2点目は、新たなサービスについて、以前のこの研究会での議論として、全部をつぶさに見ていくのはなかなか難しい中で、ここだけは守ってほしいということを守っている企業に対して、認定制度を導入してはどうかという議論があったと記憶しております。そちらについて今回更に具体的に踏み込んで進めるのかどうか、是非そうした制度を導入してはどうかと私は考えています。その点について、見解を伺えればと思います。
 皆様のおっしゃるとおり、今後の区分の在り方については、事業者の立場に立つと、確かにどこまで含んでいるのかが伝わりにくかったところもありますほか、仮にここで分かるように書いたとしても区分をまたがるビジネスが今後も出てくる可能性が高いため、その辺りの考え方は整理が必要になってくるのかもしれません。新たなビジネスが生まれてくることを前提とした枠組みにしておかなければいけないと、お話を伺って感じたところです。最後の点は感想です。
 
○大久保委員 改めてなのですけれども、この数年間におけるICT技術やAIを取り込んだサービス展開は、急速に進んでおります。今回区分の問題で、職業紹介なのか募集情報等提供事業なのかという議論がありましたけれども、もともと定義されている職業紹介自体、あるいは職業紹介者に関する規制というものが、完全にICTを使ったオンラインで提供されているものというよりは、事業所を持って展開しているようなものを前提に置いてルールが作られてきたという経緯があるので、そこに新たなルールを付けていくときに、どうもリフォームをしていった土台が古いものになっている感じが常にするわけです。
 つまり、募集情報等提供事業でなくても、職業紹介事業者でも大半がオンラインで事業をやり始めてきているわけで、そういう意味ではこれは早晩、オンラインを通じた職業紹介というものが圧倒的な比率を占めていくのだということを念頭において職業安定法の規定の書き換えをするタイミングがいずれ来ると、私は思っています。そういう意味で、現行のこれまでの過去の判例で、職業紹介とみなされるものが多かったという議論のみを引きずるのではなくて、もう1度オンラインをベースにとらえ直した議論をしなければいけないのだと思うのです。現行の職業紹介の解釈を広げ、あれもこれも職業紹介に該当するのではないかという議論は余り合理的ではないのだと私は思っています。以上です。
 
○山川委員 非常に有益な議論がなされていると思います。先ほど申し上げた三分法というのは正に1つの例で、例えば大久保委員のおっしゃったプラットフォーム型の事業は、もし「それ以外」に該当するとしてもまた別の規律があるかもしれませんし、また「募集情報等提供事業」に含まれることもあるかもしれないということで、いろいろあり得るかなと思います。
 もう一つは、今回はあまり議論していませんけれども、職業紹介に該当した場合の規制の在り方自体の議論も今後必要になってくるのではないかと思います。その場合、許可制の対象になって、しかも罰則もいろいろあり、事業規制自体は維持するとなると、不明確な内容を許可制の対象にした場合、予見可能性がかえって削がれてしまいますので、特に許可制の対象になるという観点からの区分は明確にしておかなければいけないのではないかと思います。許可制の対象になった場合の規律の在り方は、また別の問題になるかと思います。
 もう一つは、今の点とも関係するのですけれども、結局どのような規律をするかによって範囲も変わってくると思います。やはり罰則を付けるとなると、それだけきっちりした決め方をしないといけないのですけれども、行政指導の対象とするということでしたら、いろいろ柔軟な対応をする方向性もあり得るのではないかと思います。今後いろいろなビジネスの在り方が出てくると思いますけれども、許可制の対象と罰則の対象だけは法律的に明確にしないと、かえって予見可能性が阻害されるのではないかと思います。
 
○事務局 武田委員からありました、いわゆる認定制度についてです。求人メディアに関しては、全国求人情報協会様に委託して、求人情報提供ガイドラインを作成し、それに基づいた事業運営を宣言していただく適合メディア宣言制度というものを運営していただいている状況です。先ほど来、委員各位に御議論いただいておりますが、新しいサービス等がいわゆる募集情報等提供事業となるのかは分かりませんが、対象となる範囲に基づいて求人情報提供ガイドラインや適合メディア宣言が対象とするサービスに適合している形になっているのかを考えなければいけないと思っています。
 その上で、職業紹介事業や派遣事業に認定制度が設けられておりますので、そういうものを参考にさせていただき、どのような形でより優良な事業者の利用を促進していくかを考えていくことになるのではないかと思っております。この骨子(案)に書いておりますように、認定制度について現行のものを参考にしつつ促進するべきという考え方をしております。
 
○鎌田座長 既に皆さんからの発言の繰り返しになるのですけれども、まずこの法的な区分に関連して、どういったところがポイントになるかです。先ほど山川委員が、現状では職業紹介とそれ以外ということで、二分法でできているのではないか。それを、職業紹介と募集情報等提供事業とそれ以外という3つに分類するという考えがあると。その場合、それら以外というものが更に幾つかに分かれる可能性もあるのですけれども、そういった考え方については私もそうかなと思っております。
 ただ、その際に少し考えなければいけないのは、実はこれまでの職業紹介とは何かということについては、判例が幾つか繰り返されております。これは先ほど大久保委員も御指摘いただきましたが、かなり広めの定義がされております。例えば、これはこの研究会でも紹介されたのかと思いますが、関東求人情報センター事件という1982年の最高裁判決などを見ますと、求職の申込みをした人について情報センターという団体が氏名・住所・年齢・希望職種などを記載した求職者リストを作って、求人者に紹介する体制を整え、さらに、この情報センターに契約金を支払って、会員となった求人企業に対して購読者リストと題する求職者名簿を提供しています。その場合の求職者名簿というのは、希望職種に即して選別をした数名の求職者リストを提供して、さらにその求人者が採用面接をするということになれば、様々な面接のための準備の便宜を図って、求職者と面接するように仕向けるという実態があると。このような具体的な事情に照らせば、これは職業紹介だと言っているのです。これをそのまま考えると、かなり広めの定義かなと私も考えております。
 判例があって、現状それを踏まえて事業者が活動しているというのも実態だと思います。しかしそうは言いながらも、これからオンラインを通じた様々な事業を考えた場合に、これをどのように現代的に定義していくかが大きな課題になるのではないかと考えております。その際に、判例の細かなことについてはともあれ、職業紹介を考えた場合、ある程度求職者と求人者を特定するようなことがあって、更にそれにあっせんにつながるような便宜を図っていくということになれば、この判例から言うと、なかなか職業紹介ではないと言い切れる範囲があるかどうか、今後法的な精査が必要になってくるのかなと思っております。
 次に、これまでの求職者や求人企業というものを、どう捉えるかです。今度の骨子の中に、仕事を探す者と求職者という言葉があって、同じようなことだとは思うのです。ただ、今までのヒアリングなどを踏まえて考えてみますと、普通求職者とは求職の申込みをする、あるいは求人者とは求人の依頼を申し込むというように、意思表示がある場合について、ある程度明確な形で、求職者、求人者と捉えていたと思うのです。ところが、今はオンラインやプラットフォーム、SNSなどの中での雇用仲介サービス―それを雇用仲介サービスと言うかどうかは1つの議論なのですけれども―そういったものを捉えた場合に、依頼をする、申し込んでいるという要素を、いわば今までのように必要要件として考えるかどうか、再度検討することになっていくのではないかと思います。
 これも先ほど来、皆さんがおっしゃっているように、情報の的確性を考えた場合に、双方それぞれから依頼があるから的確性が必要なのだと。依頼がなければ、そういうものは必要ないのだという区分けになるのかといったことも考えると、この依頼の有無というものを今後どのように捉えていくかが、課題かと思っております。
 それから、これも大久保委員に御指摘いただいたことなのですけれども、いわゆる専業として雇用サービス事業を行っている者が大体今までの議論の中心であったかと思うのです。本来の事業目的はそうではないが、本来の事業目的の一部において、雇用仲介サービスを実施している者をどう捉えていけばいいのか。これは事業者という概念に関わることなのか、あるいはそうではなくて新たな雇用サービスを行う者という位置付けになっていくのか、新たなサービス提供者となっていくのかということも、今後は少し検討していくのかと思います。
 それでは、また戻っていただいても結構ですが、次のパートに移ります。「Ⅱ.雇用仲介サービスの取り扱う情報について」、皆さんの御意見を頂きたいと思います。
 
○大久保委員 「情報の的確性」と「個人情報等の保護」とありますが、やはり、特に個人情報等の保護の所が重要な論点かなと思っています。これは、研究会の第1回のときにも、個人情報の問題と人権の問題というのは重く見るべきであろうと申し上げました。個人情報の保護の問題に関していえば、途中、研究会でも同意に基づくことがどれだけ有益かと、日本は割と同意主義というように偏っているところがあるけれども、EUとか米国ではそうでない流れもできてきているというようなお話があったかと思います。その辺りの論点に関しては、個人情報保護法の改定の中で、日本としてどういうスタンスを取っていくのかというのが、諸外国との関係の中でこれから議論されているでしょうし、個人情報保護法と職業安定法の両方でその問題を議論するというよりは、個人情報について、職業安定法の中でどういう問題をプラスアルファーしたらいいのかというところをしっかりと議論していくことが大事なのかなと思っております。
 私は求人・求職者情報、主に求職者情報というものは、ちょっと個人情報の中でも個性があると思っていて、その個性というのは両面性だと思っています。1つは、個人情報の中でも非常にナーバスな側面を持っている個人情報であるということです。一般に転職活動をしているということは、あまりほかの人にも広く知られたくないわけですし、また、自分の中で積極的に企業側に伝えたいことと、そうでないことがありますので、そういう意味である種の特殊性を持っています。ただ、一方では全く反対と言ってもいいような特性を持っていて、つまり、自分の情報をうまく仲介業者等に活用してもらわないと、自分の転職できる先が見付からないわけでして、うまく個人情報を活用してコーディネートして仲介してほしいというニーズも持っています。この両方をきちんと満たすということが求められているわけでして、そこに職業安定法上で個人情報の問題を捉える重要な意味があるのではないかと思っています。つまり、個人情報保護法に対して、プラスアルファーして職業安定法でそこを見つめる意味があるのではないかと思っております。
 個人情報の問題は、目的外使用等という主要な領域に共通する問題もありますが、特に職業紹介事業とか募集情報等提供事業においては、集められた情報が選考において差別のもとになったりとか、あるいは人権を侵害する可能性につながったりとか、そういうことはあってはならないことだと思っております。これも一度この場でも申し上げたと思いますが、以前に部落差別解放推進法ができたときに、収集してはならない求職者情報は何かということについてのガイドラインが提示されたこともありましたけれども、どういうものが採用の判断に使ってはならないのか、情報として集めてはならないのかということについてが特に気になっているところです。
 その問題について、現代の選考における論点になりやすいもの、例えば、それこそ障害に関するものとか、男女差別や年齢差別に関するもの、あるいは性的志向に関連するもの、途中で欧州においては妊娠情報についての規制が掛かっているという話もありましたが、そういうような選考において判断に使われて、特定の人が不利になりやすいというもの、本人の能力や志向以外のもので選考に影響を与えてしまうことが想定されるものは何なのかといったことについて十分に検討し、職業安定法の中でしっかりと視点を持っておくということが大事なのではないかなと思っております。
 
○山川委員 情報については、基本的な点について特段異論はありません。また、今の大久保委員の御発言には、基本的に賛成したいと思います。特に、個人情報について差別的な取扱いをしてはいけないというようなことは、非常に重要になると思います。法的にどう取り扱うかは確かに難しいところで、また判例を持ち出すのも恐縮なのですが、判例は非常に採用の自由を広く捉えています。昭和40年代の最高裁は採用のプロセスで政治的なことを聞いても差し支えないという判断をしているのですけれども、現在、就職の際に、行政指導等によって聞かないようにするべきとされていることは非常に多岐にわたっています。そうすると、法律あるいは指針において、どのような形にしていくのか、いろいろなやり方があり得るのかなと思います。いずれにしても、そこは重要なポイントになるだろうと思います。
 あとは、情報の的確性については、付け加えることはありません。先ほど申しましたように、表示のレベルの問題と内容の把握のレベルの問題の2つがあり得、表示は恐らくどのような場合でも重要になると思いますが、内容の把握のところは業態によってなすべき内容が違ってくる可能性があるのではないかと思います。特に、依頼を受けていれば調査をすることは非常に簡単ですし、むしろすべきであろうと思いますが、その辺りは業態によって違ってくる可能性があると感じております。
 
○安藤委員 情報の的確性について、過去にも発言した内容と重なると思いますが、まず求人者や企業がなぜ的確な情報を出さないのかという観点で、正直に出すと採用に苦労するというようなこともあるのかもしれないと考えております。しかし、それについては正直に出すのがベストになるような仕組みづくりで対応する。例えば、就職活動で学生が見るような資料の中に、3年以内離職率のような情報が載っている会社と載っていない会社があります。載っていないということは、その数字が高すぎて出せないのかもしれません。そのような記載の有無や内容を考慮した上で学生は就職先を探すことになります。同様に、どういう形でどういう情報を出してもらうのか。うそをついてはいけないというルールの下で、出す出さないは自由としておいたとしても、出さないということが何らかのメッセージにもなったりする。このような点で、必ずしも一律に義務付けをしなかったとしても伝わるメッセージもあるだろうというのが、まず1つ考えたことです。
 もう1点は既に申し上げた話ですが、日本的な雇用慣行の下では、仕事内容と労働条件をセットで明確に提示するのが難しいということも多々あるのだろうと思っています。仕事内容も配置転換などを通じて変わる可能性もありますし、特に大企業の正社員、ホワイトカラーなどの場合には職能給型であって、自分の今の仕事とは切り離された形でスキルが評価されて賃金が決まっているというようなこともあります。これが職務給型であれば、能力が高かろうと今やっている仕事に賃金が結び付くということで条件を提示しやすいわけです。大学の求人などでも、大学の規程に従うとか、そういうふんわりした書きぶりしかできないというのに対して、もっと明確化しろと言うのは簡単ですけれども、そうすると雇用慣行を一律にかなり否定しないといけなくなってしまいます。何が申し上げたいかといいますと、諸外国との比較のようなことをする際に、外国ではできていることが一部日本で通用しないかもしれないという点には注意が必要だと思っているということです。
 
○阿部委員 個人情報の収集の際に、差別につながるような情報の収集についてといったところで、少し課題として論点を提起したいと思っております。それは、たとえば障害者雇用の採用においては、どのような情報を収集したらよいのか。特に、本人の申出によって事業主側が合理的配慮を提供するといったときに、採用の際にそうした情報を収集することもあるのだろうと思うのですが、その辺りをどのように整理していくかということを、差別を助長するような情報収集に関連して、論点は整理しておくべきかなとお話を伺いながら考えたところです。
 私自身もちょっとまだ整理がついていないので、その辺りは職業安定法でやるべきなのか、あるいは障害者雇用政策のほうでやるべきなのかというのもありますので、ちょっと整理したほうがいいかなと思いました。
 
○大久保委員 今の阿部委員の御発言に関連して、私もずっと考えているところなのですが、今、ICT技術を使ったマッチングサービスというのが大変進んできており、HRテクノロジーと言われるものが次から次へと登場しています。HRテクノロジーの中にはマッチングサービスの領域だけではなくて、その後に企業の中で採用内定に進んだ人たちをどのように適正に配属するかということを支援するようなテクノロジーもありますし、あるいは就業後、早期に定着して仕事になじめるように支援するようなテクノロジーというのもあって、社内のことが分からない人に全部テクノロジーが代わりに回答してくれるというようなものが、随分世の中には浸透してきています。つまり、マッチングを点で捉えるのではなくて、どちらかというとそれ以前の募集の説明とか、あるいは個人からするとキャリアの分析とか、そういうところから始まって、マッチングを経て、その後、円滑なスクール・トゥ・ワークというか、就業への移行とか、就業後の早期の戦力化というところまでHRテクノロジーが展開しているサービスとして広がっているわけです。
 そうすると、例えば障害者の問題を取り上げても、障害者枠で障害者雇用のパーセンテージに計算される人たちの採用と、そうでない採用というのは別々に行われていて、その別で行われている中で特定の疾病歴があるとか、障害者手帳は持っていないけれども若干配慮すべきことがあるというような人たちに対して、採用の過程では差別につながるから聞いてはいけないと。でも、その後採用するのであればちゃんと配慮しなければいけないということになっていくわけで、その辺りの線引きとか、具体的なルールのようなものが比較的曖昧なままになっていると思っていて、マッチングにおける差別を解消するためにも、合理的配慮と選考における差別の撤廃というものを別々に捉えずに、1つの大きな流れの中でどのようにルール化していくかということを考えなければいけないと思っています。これはこの研究会のテーマとちょっと外れているような気がしますが、やはり大きなテーマなので、発言させていただきました。
 
○鎌田座長 ありがとうございます。では、私も少し意見がありますので、ここで述べさせていただきたいと思います。
 情報の的確性と個人情報の保護ということですが、まず現在、情報の的確性といった場合に、的確性の中身というのは一体何なのだろうということが、1つ気になるところです。現行の職業安定法を見ますと、誤解を招かないような表示というような表現なのです。それでは的確性ということの意味がやや少ない、薄いのではないかと思っています。求職者からすると的確性ということを考えた場合には、情報の正確性とか、あるいは最新のものであるとか、そういったようなことがやはり求められると思います。
 ただ、ここが少し問題なのですが、そういったような正確性とか最新性というものは、今までの現行法では正に求人者の責任とされていると思うのです。その点については基本的な考え方にも関わるかと思いますが、先ほど来、皆さんがおっしゃっているように、我が国では募集情報等提供事業者の役割というのが非常に大きくて、現実にもこういう求人メディアの方たちがかなり苦労されて、様々な情報の的確性、正確性とか最新性ということに苦労して、求人企業からもらった情報を更に求職者に対して適切なものとして提供しているということですので、そうしたことから、今後法的な在り方としては検討すべきことではありますが、そういった雇用仲介事業の責務ということを、まず考えてもいいのではないかということです。
 正確性といった場合に、そもそも求人者が正確なものを出してくれないのにそこまで担保するのかというと、一般的には正確性を仲介事業が担保するまでの一般的な義務はないというような最高裁判例もあります。しかしながら、そのことが正確性を疑わせるような状態にある場合には、やはり一定の正確性の担保が必要であると、そういう仕組みの最高裁判例であったと理解しております。この辺のところは、少し考えておきたい問題と考えております。
 さらに、正確性の質についてです。私などが第一に思ったのは、例えば古い最低賃金に従って求人を載せてきたとき、それをそのままサイトなどのに載せるということが、果たして求人企業から出されたものそのままだから許されるということにもならないのかなと思っており、的確性の中身については、もう少し求職者目線から厚くする必要があるのではないかと思っております。
 それから、個人情報の保護に関しては、これも多くの方が既に言われていることですが、求人・求職者情報に関して言うと、必ずしも個人情報保護法のような意味での保護ということが第一義的な意味を持つというわけではなくて、やはり適切なマッチングというか、仕事を探すということから自分の個人情報もある程度は出しながら、最も自分に合った仕事を見付けるという、そういう性格のものかと捉えております。そう考えると、個人情報保護法というものはあるわけですが、現在の職業安定法に定めるように、業務の目的の達成に必要な範囲で、同意がなくてもそういった目的を明確化する中で、それを相手方の求職者がちゃんと分かっている上で収集するということがやはり求人・求職者情報を考える場合の1つの出発点かなと思います。
 しかしながら、そうはいっても業務の目的の達成の範囲というものの中身が不明確であれば、非常に問題が起きてくるということですので、その範囲については明確化するということが大切だろうと思いますし、また、第三者に提供する場合は、ある程度本人の同意についても考えなければいけないかなと思っております。その場合には、同意ということをどのような段階で捉えるのか検討すべきかなと思います。
 最後になりますが、差別につながるような情報は、収集レベルでやはり一定の規律が必要になってくるということです。これについては私も皆さんと同感で、こういったものについて何らかのルールというものが必要になってくるのかなと思いますが、先ほど山川委員から御指摘いただいたような最高裁判例を踏まえますと、求人者について採用の自由を広く認めるという状態がある中で、どこまで仲介事業に一定のルールということで示し得るのか考えなくてはならないと思っています。また、差別につながる情報というのは一体どこまでを言うのか、どう担保するのか、差別につながらないような情報ということでどこまでを捉えるのか、これが大変難しい問題ということになってくるのかなと思っておりますので、しっかりと考えていく必要があるのかなと思っております。

○山川委員 簡単に1点だけ追加したいと思います。先生方の言われていることも含め、基本的に異論はないのですが、以前、情報の的確性について、募集情報等提供事業者から求職者への表示の場面で、現行法の規定で抜けている部分がありそうな感じがしたところで、その点はちょっと現行法の規定を、ここでの基本的な方針を踏まえてチェックしていく必要があるかなと思います。
○鎌田座長 御指摘ありがとうございます。そのとおりですね。正に求職者に対する仲介事業の責務というか、そういったことを御指摘いただいたかと思います。ありがとうございます。
 
○安藤委員 1点だけ、座長にお話しいただきました差別につながるような情報を集めてはいけないというお話について、差別につながる事項なのだけれども、求職者側が知っておいて欲しいと考えた情報を自ら提供しようとしたときに、それをどう扱うのか。一律的に雇用仲介事業者はその情報を扱えないこととしてしまうのか、それとも本人が望んで伝えてほしいといった情報については、伝えてもよいこととするのかといった辺りの配慮というのは、よくよく考える必要があると思っています。
 今マッチングの接点の部分、先ほど接触する最初だけではなくて、時間の流れを考えたマッチングというお話がありましたが、結局、入口のところでいろいろな情報を使えないものとした上でマッチしたとしても、その後実際に入職してから、処遇とか仕事の割り振りなどで影響があるかもしれません。例えば障害や性的指向の問題として、最近ですと誰がどのトイレを使うのかというようなことで問題になった事例があったと思います。そういう必要な配慮をあらかじめ求めておくことで入口でのマッチ確率は下げたとしても、長く働けるだろうと考慮して自分の情報を伝えたいという求職者がいたときにどうするのか。それを一律で禁止してしまうと、入口としてのマッチ確率は上がっても、その後、良好な関係で長く働くことはできないであれば、お互いにとって不幸な可能性もあります。このようなことについてどう考えるのかというところを個人的な関心事として持っておりますので、一応お話しさせていただきました。
 
○武田委員 今出ていた個人情報から少しそれる議論になるかもしれません。骨子(案)では、雇用仲介サービスを行う者という前提で書かれていますが、もともとは雇用仲介サービスを行う業者ではなく、異なるビジネスを立ち上げ、そのサービスにおいて得た情報をしばらく蓄積した後に、新たなサービスとして広義の意味で雇用仲介や、マッチングに関わるサービス、ビジネスをされる企業が今後出てくる、あるいは、既にいらっしゃるとすると、情報を提供した方が、雇用仲介サービスなどという認識の下で情報を提供したわけではないことになります。この場合はどのように捉えればよろしいでしょうか。
○鎌田座長 なかなか難しい御質問で、論点提起というふうに受け止めさせていただいてよろしいですか。ここでは何か皆さん、今の御提起に対して発言があれば、どうぞ発言していただければと思うのですが、私自身は、しっかり考えないといけないなと思っております。
 
○山川委員 おっしゃられるように、非常に難しい問題でして、個人情報保護法でしたら個人情報を取り扱う事業者が対象となるので、別に仲介ビジネスでなくてもあっても同じ規制が掛かるのですが、ここで問題にしているのは雇用仲介サービスの場合ですので、そこはある種先ほどの区分の話と関わってきて、どこかの区分に該当したら、そこでの規律が掛かってくるというようなことは想定されます。もう1つは、情報の利用目的のような観点で、雇用仲介に使用するとか、あるいは求人・求職活動に利用されるということを想定する考え方もあります。区分のほうから考えていくか事業の目的のほうから考えていくか、あるいは情報の性質から考えていくか、抽象的に言えば3つぐらいあるかと思います。
○武田委員 ありがとうございます。議論を伺っており、個人情報という情報の性質のほうから議論をしていくのであれば個人情報保護法ということになります。雇用仲介サービスという区分で議論するのだとしますと先ほどの区分の話の議論にもなってきます。区分をまたぐビジネス、当初はこの区分に含まれないビジネスだったが転換するケースの議論とも関係するのではないかと思います。将来的にはこの辺が難しくなってくる気が致します。自分でも整理できているわけではないのですが、そんなことを感じましたので問題提起させていただきます。
○鎌田座長 ありがとうございます。
 
○事務局 武田委員のお話ですが、冒頭の区分や定義の所でご議論いただいた内容と関わってくると考えております。現行の募集情報等提供の法律上の定義ですが、「求人者若しくは求職者の依頼を受けて」という文言が入っております。つまり、依頼がないものについては対象にならないということになりますので、求人情報若しくは求職者情報の提供の依頼がなければ、現行法では募集情報等提供に該当しないということになり、個人情報保護の規定も対象とならないということになる状況です。先ほど来、労働市場に出ている求人・求職者情報について、提供の依頼を受ける受けないということに意味があるのだろうかということを御議論いただいていたと思いますので、市場における求人・求職者情報の位置付けというものを考えていく際に、今、武田委員にお話しいただいた内容というのは重要な論点であろうと考えております。
○鎌田座長 ありがとうございます。
 では、2ページ目の一番下、「Ⅲ.人材サービスの役割」について、皆さんの御意見を頂きたいと思います。
 
○安藤委員 求職者等の特徴・保護の点について、2点コメントがあります。
 まず、AIやマッチングアルゴリズムなど技術の使用について仕事を探す側が不利になることのないようにという点について、これを誰一人不利になってはいけないと考えるのか、全体としての記載なのかというところが重要なポイントかなと感じております。例えば最低賃金の規制であったり、5年たった場合の無期転換のルールであったりするように、一部の労働者が得をして、一部が損をする、こういうタイプの規制、制度というのは労働の世界にはたくさんあります。最低賃金が設定されると、それによって雇われ続けて賃金が上がる人もいれば、雇われなくなってしまう人もいる。こういう効果を考えないといけない。無期転換についても、無期転換されてよかったという労働者の背後には、5年になる前に雇い止めされているというケースもあるでしょう。しかし、全体として望ましいからということで導入されている仕組みがあるわけです。
 では、AIやマッチングアルゴリズムの話について、仕事を探すものが全体的には効率性が上がっている、マッチングの精度が上がっているようなことがあっても、一部に不利益を被っている人が現れたとして、全体を規制すべきかというと、これまでのほかの仕組みとの横並びでは難しいのではないかと思っています。新たに仕組みを導入しようというときには、目に見えるかわいそうな人をどう救うかという方向に議論が進みがちなので、その辺り注意が必要だろうというのが感じていることの1点目です。
 2点目は、原則として求職者から手数料を徴収できないこと、これについて維持すべきかという話ですが、この点については、前からよく言及しているわけですが、求職者と言わずとも、誰かと誰かのマッチングを支援するというビジネスにおいて、その一方から手数料を取れないというようなビジネスというのはほかにあるのかというと、なかなか思い付かないのです。例えば不動産の仲介、賃貸でも売買でも、結婚の仲介、結婚の相談所みたいなもの、ネット上のマッチングアプリみたいなものを考えたとしても、取ろうと思ったら、どちら側からでも対価を取れるものです。労働者については保護が必要だみたいなことは当然あるのだと思いますが、とはいえ、以前から申し上げているように、お金を支払う主体ではないということは、お金を支払っている側、企業側のほうを向いて仲介ビジネスが動いているのではないかという問題も生み出しかねないので、求職者から原則として手数料を取れないということが本当に求職者のためになっているのかということは、よくよく考える必要があると思っています。
 これまでのいろいろな経緯もあることは承知しておりますが、例えば、お金をたくさん払った人が優先的に紹介されるなどとなってしまったら問題がある気もしますが、どういう形であったら、マッチングの効率性を上げていくのか、特に求職者にとって、よりいい仕事に、より長期間就くことができるということにつながるのかというのは、まだまだ考える余地があるのかなと感じております。
 
○大久保委員 1つ目は、業界団体の役割というところです。職業に求められる能力というのは、具体的にどういうことを指しているのでしょうか。これも先ほどのO-NETの話からつながっていますけれども、業界団体として職業に求める能力を一律に分かるようにしていこうということについて、あまり現実的には見えていません。日本の場合はジョブ型ではないので、求めている能力の水準もかなりばらつきがありますし、もちろん職業訓練機関などが能力の達成状況を据えて一定のカリキュラムで教育するのは当たり前の話なのですけれども、マッチングを行う機関で職業に求める能力は何か明示的に求職者に対して分かるように一律に提示するということにしては、ちょっと今、イメージが湧かないということです。
 逆に言うと、実際にマッチングでどのぐらいの決定賃金だったのかということに関しては、相場情報を提供することについて積極的に行っておりまして、自分が幾らぐらいで転職できそうなのかということを知る手段として、情報提供をしようということでやっています。
 それから、事業者に対して苦情に中立的に対処する役割を、業界団体が担うということは具体的にどういうことなのか。この辺りは確認させていただきたいと思います。
 2点目は、安藤委員が触れた手数料徴収の問題というのは、なかなか難しい問題でして、もともと江戸時代の職業紹介事業というのは、求人側だけではなく求職者からも手数料の徴収をしていたわけです。個人からも手数料を取ると、ある程度資金を用意しないと、いいマッチング先が見付からないということになるので、無料で国が専ら担うということにくくられた領域でして、マッチングにおいて個人から手数料―数百円とかそういうレベルの話は別として―サービス内容に見合った手数料を取ろうとすると、それなりのお金を用意しなければいけないということにつながっていくと思います。そのような可能性があるのではないかという観点において難しいかなと思っております。
 一方で、マッチング周辺のサービスというのはいろいろありまして、それはキャリア支援サービスなどですが、適切な料金を取るというのは当然あって然るべきだというように思いますけれども、そういう歴史的な長い流れの中で求人のマッチングに関して個人から費用を取るということについては、私は慎重であるべきではないかなと思っていますので、ここに書いてあるような維持するべきではないかという書き方に基本的には賛成であります。
 
○鎌田座長 ありがとうございます。
 今、確認ということで、御質問だと思いますが、職業に求められる能力あるいは苦情に中立的に対処する役割ということで、どういうイメージなのかという御質問であったと思います。事務局のほうで何か回答はありますか。
○事務局 明確なイメージというわけではありませんが、ここに書いてある職業安定機関と連携してということで、日本版O-NETのことも十分意識して書かせていただいております。職業に求める能力という中で何か具体的な資格ですとか、能力と書いておりますが、そういう経験ですとか、そういう情報が提供できればと思っているのと、処遇の部分は、大久保委員がおっしゃったような賃金の相場観というものを、いわゆる職業に紐付けて御提供できる部分があるのではないかという、そういうイメージで書かせていただいております。
 2つ目の中立的に対処するというところですが、何か業界団体に中立的な機関を作っていただきたいという意味ではなく、事業者側に直接言いにくいような方がいることもあり得ますので、業界団体として事業者や会員企業について苦情の窓口的な部分、苦情というものを受け付ける所を設けていただいてはどうかという形で考えております。
 
○大久保委員 なかなか職業に求める能力のところについて、業界団体が役割を果たすというのは、説明を聞いた上でも、あまりイメージは湧かないなというのが正直なところであります。後者のときには、窓口を設けろということを言っているのか、それとも、万が一のときには、そういう役割を果たすという話なのかによっても随分違うのかなと思います。固定的に窓口を設けるという話は、やはり本来は各社が窓口を設けて、そこでちゃんとやりきるということが大前提だと思いますし、業界団体に各社が担うべき役割の窓口があるという形は、あまりいい方法ではないと思います。
 
○阿部委員 人材サービスの役割の2つ目の部分に関連してですが、この発想自体はいいと思うのですけれども、苦情やその処理状況について職業安定機関が市場全体に公開していくということは、具体的にどのようなイメージを持ったらいいのかなというのが1つあります。一方で、いわゆる求人不受理の関係で言うと、多分、民間職業紹介事業者等は、いわゆる監督署でどのような法令違反があったかというのを完全に知っているわけではなくて、求人不受理についていろいろと困っているような話を、以前聞いた覚えがあります。その辺りも、ここの話と関係するのかしないのかというのが、ちょっとイメージが分からなくて、そういったことも含めて考えているのか、お聞きしたいなと思いました。
 
○事務局 こちらで書かせていただいているイメージとしましては、あくまでも個別の会社に対する苦情とイメージではなくて、行政機関として職業紹介事業者若しくは募集情報等提供事業者から、どういう苦情がこの市場ではありますよということを伺って一般的にお示しすることで、これからのビジネスを適正に保っていただく、若しくは苦情があったことを前提にビジネスを行っていただくということを考えているものです。
 求人不受理については、想定して記載をしたものではありません。求人不受理というよりも、今申し上げたように、一般的な苦情がどういうものがあるのかということを少しお示ししていくというイメージでおりますが、書いておりますように、あくまでも事業者から御提供いただいた範囲の情報で、ということになるのだろうと考えております。
 
○阿部委員 ありがとうございます。
 労働市場における情報の的確性ですとか、そういったものを担保していこうという話であると理解すると、求人不受理についても、やはり情報の的確性というのは必要かと思います。つまり、法的にはそういった法令違反等が起こった事実を知った段階で不受理にすることができるとされていて、知らなければ不受理にしなくていいのだと理解していますが、そういう意味で、情報があまり明確に流通していないというようにも考えられるので、今回、こういった議論をする際には、もちろん監督署の監督というのがあるので、なかなか難しいところではあるなとは思っていますけれども、その辺りをどのように整理するのかなというのも、今の指摘した部分から連想するところが私にはあったので、発言させていただきました。
○鎌田座長 ありがとうございます。事務局から補足をお願いします。
 
○事務局 現行法の規定振りですけれども、昨年3月より職業安定法におきまして、求人不受理の規定が整備され施行されています。職業安定機関ですとか職業紹介事業者は、原則として求人情報を全件受理しなければならないとされていますが、法令違反ですとか、一定の場合には、求人を受理しないことができるという形で規定させていただいております。これは全事業者適用されているものです。その中で法令上の規定といたしまして、どうやって法令違反等を確認するのかということですけれども、基本的には職業紹介事業者が求人者に対して確認するという形の規定を置いておりまして、確認をし、その上で受理しないことができるという形の規定になっております。規定振りの御説明は以上ですが、今、阿部委員がおっしゃった内容を十分踏まえまして、どういう形で対応するか検討してまいりたいと思っております。
 
○山川委員 求人不受理の件は、私も運用に関心のあったところで、ハローワークと民間の事業者は違いますけれども、ある種のデューデリジェンスと言いますか、コンプライアンスの促進の一環としては重要な役割を果たすと思っております。ただ、不受理の規定は、求人受理を拒否しなければいけないというのではなくて、拒否できるという規定ですので、それが適切に運用されるような周知等の話かなと思っておりますけれども、私はあの規定は非常に重要な規定だと思っています。
 求職者等の特徴・保護の点で、情報を提供するということも、特に事業に関する情報については、職業紹介事業者でしたら、現行の職業安定法で求人実績とかを公表するようにという規定が既にできておりまして、要するに、利用者の目線からしたら、今、利用している事業が一体どのようなことをしているのか、個人情報の同意にも関係しますけれども、どういう事業者なのかを理解した上で利用するということは重要ではないかと思いますので、業務の状況を公開するようなことを促進する方向は非常に望ましいと思います。ただ、職業紹介事業者でしたら、成約実績は比較的分かりやすいのですが、募集情報等提供事業者になりますと、一体何を公開するのかということ自体を検討する必要があると思います。一体どういうサービスを提供するのかということは、分かったほうが利用者にとっては便利ではないかと思います。
 
○大久保委員 別件ですが、業界団体の役割の所に、雇用仲介サービスの把握と高いサービス水準を確保するための施策を推進すべきではないかと書いてあります。こう書いてあるニュアンスについては私も同意しております。実際にこの雇用仲介のサービスを展開するためには、かなり多様な知識が必要で、それは労働関係法令に関する知識や実際の採用選考プロセスに関する知識、そのほか具体的な職業とか賃金に関する様々な知識と、結構知っておかなければいけない知識が幅広くあります。これは実際に顧客と接点を持っている営業職もそうですし、サービスを開発するようなシステム開発、商品開発をするようなスタッフも含めて、それを知らないと適切なものができないということで、これは大事なポイントだと思います。確かに業界団体はこれまでも力を入れてきて、業界団体加盟企業において横断的にやってきているということで、大きな役割を担っておりますので、更にそれを強化していくということだと思います。それをやっていくことに関して、職業安定機関と密に連携しながら、職業安定機関が、業界団体が提供している教育のプログラミングを、後方支援するような形で、それを浸透させていくということがいいのではないかと思っていますので、内容について同意する立場から少し具体的に方向性をコメントさせていただきました。
 
○鎌田座長 ありがとうございます。
 人材サービスの役割について私も意見を述べたいと思いますが、まず、求職者からの手数料徴収の話ですけれども、現行法においては、求職者からの手数料徴収はできない、ただし、一定の人的グループについては手数料を徴収することができるというのが、職業紹介に関する規定なのですが、私としてはこれが維持されるべきかなと思っております。ただ、安藤委員がおっしゃったように、いわゆるサービスの質などを考えた場合に、求職者からの手数料徴収について、更に検討課題として今後も考えていくということについては、これまでもそうだったのですが、やはり考えていかなければいけないかと思っていたところです。
 苦情処理については、大久保委員から御発言がありまして、まずは各事業者が受け付けて対応するのが筋ではないかというのは、誠にそのとおりだというように思っております。現在、職業紹介事業者に関して言うと、各事業者が求人企業あるいは求職者からの苦情について、紹介責任者が的確にこの苦情について対応するということになっておりまして、ただ、その場合に、それで十分なのかという議論があります。実際に私が聞いたところでは、特に医師、看護師などの医療関係の職業紹介事業に関しての様々な研究会でお話を聞くと、求人企業、つまり病院が持たれている各事業者単位での苦情の対応に対する不満というのが、強くあって、その際に、やはり業界団体と言いますか、そういった所で自分たちの苦情を受け付けるような仕組みを作ってほしいというようなことが言われております。そういったこともこの問題を対処する場合に、1つの在り方なのかなというように思っているところでもあります。
 また、今実際に、求人メディアにおいても業界団体で苦情の受付窓口ということをやっていて、一定の統計的にこういったことが問題だということを情報提供しているということもありますので、今後の展開を見ながらではありますけれども、一定の役割を果たしていくのではないかと思っているところです。
 全体を通じて、もう一度何か言い残したことがあれば御発言いただければと思います。
 
○武田委員 先ほどの業界団体が職業安定機関と連携して職業に求められる能力等の情報を提供するというところですが、先ほども話がありましたけれども、業界団体の中では様々な認定制度、資格を自ら作ったり、教育プログラムを提供したりされています。私自身が持っているわけではないので恐縮ですけれども、不動産証券化市場の立ち上げや拡大を目指し不動産証券化協会が認定するマスター資格制度を創設され、資格を取る方が増えて、実際に市場も拡大し、市場規模も増え日本の金融市場の1つの中核市場に育っていった経緯がございます。業界団体の中にも、ビジネスを適切に行っていく上で、自らそうした努力をされていらっしゃる団体が、相応にいらっしゃるのではないかと思います。
 一方で、大事なのは、公的な職業安定機関において、新しい市場が生まれ、新しいビジネス市場や産業が拡大していく中で、職業訓練メニューがキャッチアップできているかが非常に重要と思います。今回は業界団体の役割としてまとめますが、公的な職業訓練の在り方としても、産業構造の変化やビジネスの変化を受けて、スキルや資格の習得ができるようキャッチアップしていくことが大事で、そのために、業界団体に御協力いただくという姿勢でお願いしていくことが大事ではないかと思います。
 確かシンガポールだったと思いますが、他国の事例では毎年職業訓練の内容を見直す際に経済団体や業界団体から話を聞いて、その上でカリキュラムを見直しているという話を伺ったことがあります。今回の骨子にそれを記述するということではないのですが、大きな方向性として、公的な職業訓練の在り方も、産業構造や新たな技術にキャッチアップできる資格やスキルを反映するような形に、業界団体の知見を活用させていただくことが重要なのではないかと思います。
 
○鎌田座長 ありがとうございました。それでは、本日は、この辺りで議論を終了したいと思います。
 本日の御議論を踏まえ、本研究会で御議論いただいた内容は、おおむね示された骨子(案)に沿って総括されるのではないかと考えておりますが、様々な御議論も踏まえて、御意見を頂いた箇所をはじめ、残った論点については、個別に調整することを含めて、事務局に議論の調整をしていただきたいと思います。それでは、事務局から連絡事項をお願いします。
○事務局 次回以降の日程ですが、決まり次第、各委員に御案内させていただきたいと考えております。事務局からは以上でございます。
○鎌田座長 それでは、本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。これにて、終了いたします。