令和3年7月27日 第6回 障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議(議事要旨)

日時

令和3年7月27日(火)
16:00~18:00

場所

オンラインで開催(厚生労働省)

出席者

構成員
代理出席

議題

  1. (1)報告書(案)について
  2. (2)その他

議事の概要

議題(1)について、資料1-1の「障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議報告書(案)」を事務局から説明した。その後、意見交換を行った。報告書については座長一任となった。当日出された意見等については、事務局が座長と相談の上、修正して報告書をとりまとめることとなった。

構成員からの発言の概要

  1. (1)報告書(案)についての意見
    • P2の4行目について、医療型障害児入所施設のうち療養介護を一貫してサービス提供する仕組みが恒久化されているのは、重症心身障害児施設が中心ということが分かるように記載した方がよいのではないか。
    • 印象として、児者転換を進めて行くように見える。障害者支援施設に転換した後の地域生活への移行を意識する必要があるのではないか。
    • P7の一番下の段落は、「重要である」という文言が重なっているので、下線の所は「踏まえることが求められる」や「踏まえることが必要である」とした方がよいのではないか。
    • P13の最後について、はっきりとみなし規定を終了することが分かるよう、「令和5年度末のみなし規定終了に向けて」と書く必要あるのではないか。
    • P11の真ん中の赤字の修文について、「多数の障害のある児童」だと、「多数」がどこに係るのか分かりづらいので、「障害のある児童が一定数おり」とした方がよいのではないか。
    • 社会的養護のように、ケアニーズの高い子どもという言葉を使ってもいいのではないか。
    • P5の囲みの下の段落について、措置や給付決定は児童相談所が行っているが、都道府県と表現されている。都道府県が移行調整の協議の場を設け、関係者の協力のもとで、移行調整を進めることが必要と考えられるという趣旨で書いてはどうか。今の書き方だと、都道府県が個別ケースの調整を直接するように見えるのではないか。
    • 地域移行を進めていくことを考えると、児者転換はそういう考え方に反するのではないか。
    • 児童相談所は子どもの最善の利益を考えて措置している。都道府県内の子どもを把握する会議は都道府県が責任を持つ必要があると考えるが、都道府県任せにするという発想ではなく、都道府県を中心に皆で協力し合って進めて行くという発想で進めていければよいのではないか。
    • 障害児入所施設については、18歳で高校を卒業して20歳まで措置延長されている間は障害者の福祉サービスを使うことができない。このことは全体の子どもの暮らしを保障していくという観点からすると大きな課題なのではないか。
    • P5などGHやSWと略して書かれているが、略の解説を書いた方が分かりやすいのではないか。
    • P8の2段落目の「その上で」と書かれている部分について、「障害者支援施設への移行が相応しい場合がある」という書きぶりではなく、「障害者支援施設への移行が必要な場合がある」というような書きぶりに修正した方がよいのではないか。
    • P13の最後の書きぶりは、もう少し踏み込んだ表現でまとめることを希望する。
    • 実務上は措置や給付決定は児童相談所が行うので、実務としては、児童相談所が実施主体となって、都道府県は調整の場の音頭をとるということでよいのか。都道府県が全ての実務を負うという趣旨だとは思っていないが、書きぶりについて違和感を感じた。誤解のないように修正する必要があるのではないか。
  2. (2)全体を通しての意見(オブザーバー(重症心身障害児(者)を守る会)の意見を含む。)
    • 地域の連携を進める必要があると改めて思った。地域から離れた障害者支援施設ではなく、地域全体をまとめることができるような障害者支援施設になる必要がある。
    • 今回、市町村、都道府県、相談支援の役割が明確に示されたので、この後、それぞれがどう本気で取り組んでいくのかが問題。入所する手前のところに子どものリソースがあれば、入所ではない選択肢の暮らしも考えられる。地域に、入所を選ばなくていいような子ども支援の充実が必要。障害児入所施設から地域に戻られる方のためのグループホームなど、より障害の重い方たちでも生活できる、支援できる場の整備が必要。
    • 社会的養護の施設は地域小規模などの家庭養護を大切にしながら、地域の家庭を支える方向で進められている。今回、これだけたくさんの人が集まって障害児入所施設の子どものことを考えたり、本人中心に暮らしのことを考えたりした。このことをきっかけに、社会的養護の必要な困り感の高い子どもたちが幸せに暮らせるように進んでいくとよい。
    • 今回の移行調整の仕組みを公的な枠組みで作っていくことができれば、医療型障害児入所施設の子どもについても選択肢が広がっていくのではないか。
    • 18歳から20歳にかけての貴重な時期に、障害児入所施設に入所している場合も、様々な社会体験や障害者のサービスを利用できるようなシステムを検討してもらいたい。
    • 施設や児童相談所だけではなく、全体で調整していく枠組みが示されたことは良かった。ただこれからこれをどうやって実現していくかが重要。居住地特例については押し付け合いにならないように今後上手く実施できるとよいと考える。在宅で頑張ってきた親御さんやお子さんについて、強度行動障害が強い場合に、中高校生になって入所できる施設がない例が増えてきていると感じている。そういったことも全体で考えていけるような協議の場になっていくとよい。
    • 大人になった方が単に施設に入っただけでは解決しない。成人サービスの協力が欠かせない。調整のための会議だけでは過齢児をゼロにするのは難しいのでそれ以外の取組もしていく必要がある。
    • これからあと2年間で、ここで話し合われたことを形にしていく必要がある。これからが本番。児童の意思決定を最大限尊重することを合い言葉にして進めて行く必要がある。
    • 重層的な支援体制整備が進められているが、相談支援がこういった課題に取り組んでいけるマンパワーが確保できるのか懸念している。社会福祉連携推進法人などで、うまく連携していくなかで社会課題にアプローチできるような仕組みが作れたらよい。都道府県を越えて広域で取組んでいくことが今後は必要になるのではないか。
    • 援護の実施機関が分からない、成人サービスが見つからないということがないよう、きちんと枠組みを作っていくことは重要。成人サービスの体験がスムーズにできることが重要であり、現在は就労移行支援事業なども利用できない。できるだけ成人移行に結びつきやすくなるように様々な体験利用ができるシステムを整えていくことが必要。
    • 障害のあるお子さんのできる限りでの家庭での支援と、それが難しくなった場合のセーフティーネットの構築は極めて重要であり、なお一層よりよい環境が選べるようになっていけるとよい。
    • 入所施設を希望されている方が多く、移行がなかなか進まない現状がある。グループホームなど整備も含め進めていく必要がある。
    • 短い期間の中で移行を進めることは難しいが、多機関連携で進めていく必要があると感じている。
    • 今後ともグループホームでの地域移行等を進めて行く中で、令和5年度末に向けてより一層取組を進めて行きたい。
    • 個別の複雑な解決できない事由で施設から移行できない方については、法秩序を守るために無理に移行させることがないようにしてもらいたい。
    • 行政や相談支援の方々と一緒に考えていけるとよい。医療的ケアや強度行動障害の方など少し医療の関わりがあった方がよい方々について、医療が受けられるよう福祉と医療が繋がりを持ってやっていけるようにする必要がある。
    • 入所の生活からグループホームの生活に移行した場合に、生活の中でどういう質が保たれているのか、その人が主人公となるような生活が担保された形で移行しているのか、空きがあったから入るだけで本当にその人がしたい暮らしや願い・夢を内包して移行しているのか、そういうことを保障することができるよう、制度が追いついているのか。1人ひとりに合わせた生活を保障できる制度設計についてもう少し議論してもよいのではないか。