令和3年7月8日 第5回 障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議(議事要旨)

日時

令和3年7月8日(木)
16:00~18:00

場所

オンラインで開催(厚生労働省)

出席者

構成員
代理出席

議題

  1. (1)報告書(素案)について
  2. (2)その他

議事の概要

議題(1)について、資料1の「障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議報告書(素案)」、資料2の「(別紙1)障害児入所施設から成人サービスへの移行調整の流れイメージ(案)」、資料3の「(別紙2)都道府県協議会の運営のイメージ(案)」、資料4の「障害児入所施設における新たな移行調整に向けた工程表(案)」を事務局から説明した。その後、項目ごとに意見交換を行った。

構成員からの発言の概要

  1. (1)「1.はじめに」「2.基本的な考え方」
    • 「特定の大人」という文言は記載しなくてもよいのではないか。
    • 障害児入所施設には、子どもとして安定した環境の中で愛着形成がなされ、発達保障などの役割があることを書くのではないか。
    • 障害児入所施設も有期限の入所であることを記載した方がよいのではないか。有目的の利用で目的が達成されたら退所するのであって、年齢で区切って退所するわけではないのではないか。
    • 「総合司令塔」という文言はなくてもよいのではないか。
    • 「本人及び保護者の意思決定」という記載は違和感がある。「本人の意思」と「保護者の意向」とかき分けてはどうか。
    • 「リービングケア」を日本語表記にするか、注を入れた方がよいのではないか。
  2. (2)「3.都道府県等での新たな移行調整の枠組みについて」「4.移行に関する受入先確保・施設整備のあり方について」
    • 空き定員を作るために、成人施設から地域への移行を進めることを一番最初に書くのは違和感がある。障害児入所施設から障害者支援施設へスライドさせればいいように見てしまう。地域の中で受け止めることが前提であり、次に移行先の確保や施設整備の在り方を書くべき。そのうえで児者転換や併設の順でないと、とにかく施設から施設へ移行するという話になってしまうので、地域に軸を置いた書きぶりにする必要があるのではないか。
    • 最終的に施設整備に関して、各都道府県で検討してやるということではなく、国として優先的な国庫補助や、新しい支援に関してのサポートを書いたほうがよいのではないか。そうでないと2年たっても改善していかないのではないか。
    • 市町村にとっては3年に1回くらいでしか移行の事例が発生しないので、事例が発生すると混乱するのではないか。なぜ自分の市町村なのかとなることが考えられる。都道府県からその都度か定期的に市町村に丁寧に制度説明や情報提供をすることが必要ではないか。
    • 保護者の頻繁な転居で入所児童の住民票が職権で抹消されてしまうケースもあるので留意が必要ではないか。
    • 都道府県と施設が一緒になって社会の子どもとして、本人の意思を大切にしながら成人としての暮らしを保障していくべきではないか。都道府県が責任主体となることを法律や通知などで形にする必要があるのではないか。
    • 都道府県は、数は把握しているが、個々のケースは把握していない。個々のケースについては市町村が主体となって進め、サポートとして都道府県がバックアップするのが適当ではないか。都道府県で行える制度的なものを作ることで移行を後押しすることになるのではないか。
    • 移行が進んでも、非常に困難な人が残ることになり、その1人、2人についての対応を補強する必要があるのではないか。
    • どうしても行動障害が重く、健康上の理由も含めて移行先がない場合、何らかの形で対応するよう報酬改定で反映させることが必要ではないか。
    • 上手く地域へ移行している好事例を、今後照会していくとイメージがわくのではないか。
    • 障害福祉計画と障害児福祉計画に記載することを考えると、マスで捉えると1件になる。「障害児入所施設からの地域移行は重要な課題であるとの認識のもと、個別の事案ではあるけれども重要な社会的な問題という認識であることを踏まえて」など、前提として強調したほうがよいのではないか。
    • 現在は、児者転換や併設の施設も子どもの設備基準でよいことになっている。これから児者併設する場合には、成人期に相応しい暮らしになるよう計画することが必要ではないか。国庫補助の優先も必要になってくると思うが、ハード面からも位置付ける必要があるのではないか。
  3. (3)「5.移行に関する年齢と必要な制度について」「6.みなし期限のあり方等について」
    • 今回の延長を最後とするべきであり、準備のための延長の提案と捉えている。みなし規定を終わりにするためのロードマップが示されているとの認識。
    • 状況が整えば家庭復帰もあるということを示すべき。15歳までいる人は自動的に成人の福祉サービスに移ることを前提としたサポートが組まれるというのは本末転倒。17歳、18歳でも家庭に復帰することもあるので、そのことに留意した書きぶりが必要ではないか。
    • 施設単位で計画を作ることとなっているが、移行支援計画は個人単位で作ることを書き込む必要があるのではないか。一人一人まで計画に落とし込むことで、なお厳しい状況の人がいることを明確にする必要があるのではないか。
    • 協議会で入所延長のための協議を行う際には、本当にシビアな状況であることを確認するように、ガイドラインを作る必要があるのではないか。
    • もうこれ以上みなし規定の期限は延ばすべきではない。しかし、セーフティネットは必要ではないか。1年や半年ごとに移行支援計画を見直して、ハードケースは都道府県や相談支援事業所など皆で暮らしの場、日中の場を考える必要があるのではないか。移行を受け入れる側も応援があるからこそ引き受けることができる。移行が難しければ難しいほどこの体制は必要ではないか。
    • 成人も地域移行支援の仕組みができて進んだ現状がある。子どもについても必要と明記していることはよい。児童養護施設に入所する中軽度の障害児も移行調整が難しい。このことも言及する必要があるのではないか。
    • 都道府県をまたぐケースの調整はハードルが高い。成人サービスの側から体験や見学なしでの調整は難しいと言われる。体験利用の際の移動について、措置停止等をせずに障害児入所施設や児童相談所の協力を得ながらできる方法を検討できるとよいのではないか。
    • 令和4年度~5年度末の準備期間の2年間で、都道府県がいつまでに何をやるのかを具体的にロードマップで示す必要があるのではないか。都道府県がいつまでに市町村や相談支援事業所等を集めてケース会議をするのか。いつまでに市町村側が体験の調整をするのか。どの人が施設にいて、どの市町村が支給決定権者になるのかをいつまでに把握するのかなど、都道府県はケアマネみたいなことは難しいので、それについては市町村や相談支援事業所に任せることを含めて、時期と役割を示すと、この2年間で進むのではないか。
    • 児者併設、児者転換ができるのは財政状況がいい法人。何かしらの支援が必要ではないか。本人の特性からどうしても難しいケースは発生する。詳細なロードマップが示されると取り組みやすいのではないか。都道府県は個別ケースについて詳細な情報を持っていないので、市町村や相談支援事業所等と一緒にやっていくことになるのではないか。
    • ずるずるとみなし規定の期限を伸ばしても移行は進まない。過齢児が増えることは避けたい。市町村や相談支援事業所のケースワークを都道府県がサポートする必要があり、皆で協力しながら進める必要がある。みなし規定の期限の延長を最後にして過齢児の数をゼロにして2年後を迎えたい。
    • 児童養護施設に入所している軽度の人の移行は難しい。児童養護施設にいる子どもへの配慮も記載する必要があるのではないか。
  4. (4)「7.移行に関する意思決定支援のあり方について」「8.おわりに」
    • みなし規定は終了するという決意表明の1文があるとよいのではないか。