2021年6月30日 第68回 厚生科学審議会 疾病対策部会 難病対策委員会・第47回 社会保障審議会 児童部会 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(合同開催) 議事録

日時

令和3年6月30日(水)17:00~19:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンターホール15D(15階)

議事

議事内容
○江崎難病対策課長補佐 では、定刻となりましたので、第68回「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」と第47回「社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」の合同委員会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。また、本日は、一部の委員の方にはオンラインにて御参加していただいております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、報道関係者及び一般の方の傍聴は行わず、代わって会議の模様をYouTubeによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。
以下、オンラインでの参加の方に向けたお願いでございます。
ビデオカメラはOnにしていただき、マイクはミュートでお願いいたします。発言時にはマイクをOnにしていただくとともに、お名前をおっしゃった上で御発言ください。また、発言が終わりましたら、マイクをミュートにお戻しください。よろしくお願いいたます。
本日の出席状況について御報告いたします。岡委員、坂上委員及び花島委員より御欠席を連絡いただいております。また、駒村委員、春名委員、小国委員及び中澤委員は少し遅れる旨の御連絡を伺っております。
また、オブザーバーとして、厚生労働省の職業安定局障害者雇用対策課、秋場課長補佐、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、米岡課長補佐も同席しております。
以降の議事進行につきましては、千葉委員長にお願いいたしたいと思います。千葉委員長、よろしくお願いいたします。
○千葉委員長 皆様こんにちは。御苦労さまです。
それでは初めに、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○江崎難病対策課長補佐 タブレットフォルダーの中の資料一覧を御覧ください。タブレット内の本体資料として、
議事次第
資料1-1 難病・小慢対策の見直しに関する意見書(案)の本体
資料1-2 難病・小慢対策の見直しに関する意見書(案)の(概要)
資料1-3 難病・小慢対策の見直しに関する意見書(案)の(ポイント)
資料2 指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等のデータの提供に関するガイドラインの改正について
参考資料 難病対策及び小児慢性特定疾病対策の現状について
を御用意しております。オンラインでの参加の方も含め、資料の過不足等がございましたら、挙手または御発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。
それでは、議事を進めていきたいと思います。本日の議事は「難病・小慢対策の見直しについて」ということで、前回までの合同委員会に引き続いて、報告書の取りまとめに向けて議論をしていただきたいと思います。
全体の流れとしましては、まず、報告書案である資料1について、前回からの修正点等を事務局から説明していただきます。また、本日は資料2として事務局から報告事項があるということですので、併せて説明していただきます。そのあとに、報告書案について前半と後半とで時間を区切って皆さんに議論していただく形としたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いします。
○領五難病対策課長補佐 厚生労働省難病対策課でございます。
本日は、資料1-1から資料1-3ということで、前回に引き続き意見書の取りまとめに向けた御議論をお願いしたいと考えております。
資料でございますが、資料1-1から資料1-3につきましては意見書の案ということで、前回お示しさせていただきました素案からの変更点に下線を付す形でお配りさせていただいております。前回御意見を幅広にいただきましたので、そういった点を反映しているものになります。
では、資料1-1の意見書案の本体に沿って、修正箇所について御説明させていただきます。
冒頭からまいりますが、4ページをお開きください。これまで指定難病の対象疾病、現在333ございますけれども、これにまだ指定されていないもの、それは情報がまだ足りない等々いろいろな事情がございますが、こういったものについては調査研究をしっかりしていくべきであるということで御議論いただいてまいりました。その中で、診断基準の早期の確立が重要であろうということで、「診断基準の早期の確立も含め」を2行目に追記させていただいております。
続きまして、一番下の○でございます。こちらは前回御指摘があった点でございますけれども、いわゆるトランジションの問題につきましては、そういった課題があるのだということを書くべきであるという御指摘がございました。これを踏まえまして、下線部分でございますが、「児童の健全育成のために行う小児慢性特定疾病対策については、その対象疾病の要件として、希少性の要件等が設定されていないことから、希少な疾病を対象とする指定難病の医療費助成の対象とならない疾病があるという課題がある。こうした疾病の場合も、小児期から成人期にかけてシームレスに適切な医療が受けられる体制づくりや、福祉や学習の支援が受けられるようにすることが必要である」という形で表現を修正して文章をつなげさせていただいております。
続きまして、6ページを御覧ください。認定基準、いわゆる重症度基準と呼ばれているものでございます。これまでの合同委員会におきまして、まずは医学的により公平なものとなるように必要な見直しを検討していくということで御議論いただいてまいりました。前回の委員会におきまして、それはやるべきであるけれども、それに加えて、「認定基準が、『日常生活又は社会生活に支障がある者』を対象とする趣旨で設けられていることを踏まえ、より一層適切に病状の程度を評価する基準のあり方について、今後も検討していくことが望ましい」という御意見をいただきましたので、そのような形で追記させていただいております。
続きまして、一番下の部分につきましては、前回お示しした素案におきまして、これまで「現時点において特段の事情変更があるとまでは言い難い」といったような表現をさせていただいていたのですが、その表現を改めるべきであるという御指摘をいただきましたので、修正しております。「現在の自己負担限度額は、医療費助成を持続可能で公平かつ安定的な制度として位置付ける中で、前述のとおり、他制度の給付との均衡を図る観点から定められたものであり、その水準については、他制度の動向を踏まえるとともに、客観的なデータに基づいた議論が必要である」、このようにさせていただいております。
続きまして、7ページ「(4)円滑に医療費助成が受けられる仕組みについて」でございます。「対応の方向性」の1つ目の○でございますけれども、前回、重症化時点は指定医が診断した日なのかどうかといった御指摘がございましたので、「(認定基準を満たすことについて指定医が診断した日)」ということで補足をつけさせていただいております。
また、一番下の部分でございますけれども、医療費助成の始期につきまして申請日より前倒しすることについては、他制度においては申請日の前までさかのぼって適用している制度はあまり見られないということも踏まえつつ、上限を設けるなど慎重に検討すべきではないかといった御議論がございましたので、その点を書かせていただいております。
また、上限の具体的な期間につきましては、8ページですけれども、一月前までを限度とすることが考えられるが、患者の病状や指定医の状況によっては1か月以内に申請手続を行うことが難しい場合もあり得るといった御指摘を多々いただきましたので、その点を書かせていただいております。また、「その際には自治体の事務負担に留意するとともに、施行に当たっては、十分な周知期間を設けることが適当である」との御意見を踏まえて、その旨も追記させていただいております。
続きまして、9ページの中ほどでございます。難病診療連携拠点病院につきまして、令和3年4月1日現在、44都道府県となってございますので、数字の修正をさせていただいております。
続きまして、10ページでございます。「対応の方向性」の1つ目の○でございますけれども、難病診療連携拠点病院につきましては、44都道府県まで設置が進んでいるということでございますので、残る県につきましては実情を把握して、きめ細かな支援を行いつつ設置をしっかり促していくということで追記させていただいております。
また、同じパラの一番最後でございますけれども、難病の中には症例数が非常に少ない疾病も含まれる中で、より円滑に適切な医療につなぐことができるように、拠点病院と高度専門医療研究センターや研究班、関係学会等との連携強化を図っていくことも重要であろうと考えておりますので、その点を追記させていただいております。
また、下から2つ目の○は、遺伝カウンセラーの重要性について御指摘をいただきましたので、「遺伝カウンセラーの育成、配置等も含め、相談支援体制を整備していくべきとの指摘もあった」と追記させていただいております。
続きまして、12ページの一番下でございます。データベースに登録されるデータの提供先について前回御議論をいただきました。民間事業者につきましては、一律に排除することなくといった趣旨の表現ぶりにさせていただいていたのですが、ここについては「民間も含め幅広い主体」ということがいいのではないかという御指摘がございましたので、そのように修正しております。
また、その上で、適切にデータが利活用されるよう審査会でしっかり審査をしていく仕組みとすべきであるという御議論がございましたので、13ページは「厳正に審査の上」という形にさせていただいております。
続きまして、下から2つ目の○、安全管理措置につきましては、難病については希少な疾病であり、また、小慢の中にも希少な疾病が含まれるものでございますから、そういったことにしっかり留意しつつ、「必要な規定が確実に設けられるべきである」という形に修正させていただいております。
続きまして、14ページでございます。「(2)医療費助成の申請をしない患者の登録について」ということで、いわゆる軽症者の患者さんのデータ収集についてでございます。1つ目の○でございますが、これまでも軽症者のデータ収集の意義について色々と御議論いただいてきましたので、少し膨らませる形で一文追記させていただいております。「症状が抑えられている時期のデータや、軽症から重症にいたる経過を追うデータは貴重であり、こうしたデータを活用した研究により、新たな医薬品等の治療法の開発や診療ガイドラインの策定・改定などにつながるとともに、こうしたことが診療体制の一層の充実に寄与することも期待されるところである」という形で追記させていただいております。
続きまして、16ページでございます。こちらは軽症者の方のデータ収集の登録の項目や頻度についてでございます。項目につきましては、臨個票の重症者と軽症者の様式が異なると混乱するであろうということで、同じにするということで、これまで御議論いただいてきました。頻度につきましても、基本的には同じであろうということで御議論いただいてきましたので、前回もそのような形にしていたのですが、完全に同じであると書き切ってしまうと強制的な仕組みであるとの誤解も招きかねないことに配慮しまして、「頻度についても同じとすることを基本としつつ、患者の事務負担と研究の意義のバランスを踏まえた運用を検討していくことが適当である」という形に修正をさせていただいております。
続きまして一番下の部分でございます。前回、小慢の軽症者登録をどうするのかについて集中的に御議論をいただきました。この点につきましては、前回事務局からは自治体において判断することとしてはどうかという形でお示しさせていただいたのですけれども、そこは国が一定程度決めるべきではないかといったこと、一方で、全ての疾病について導入していくのは事務負担の観点にも配慮が必要であるといった御意見がございましたので、それらを踏まえまして、「例えば指定難病にも該当するような疾病など、軽症者のデータ収集の必要性がより高いと考えられる疾病から、軽症者登録を始めることが考えられる」とさせていただいております。
また、今後、具体的な対象の範囲等を決める際には公開の場で議論すべきといった御指摘もございましたので、「今後、導入までの間に、国において詳細を検討するに当たっては、現場が混乱しないように配慮するとともに、必要に応じて、審議会において議論していくことが適当である」とさせていただいております。
続きまして、19ページでございます。こちらは単なる表現ぶりの修正ではありますが、一番下の部分でございますけれども、地域の特性の中に関係機関の役割分担の在り方や連携の状況といったものも含まれるのではないかということで、例示として入れさせていただいております。
続きまして、21ページでございます。一番上の○でございますけれども、前回様々な事業との連携を図っていくことが重要ではないかという御指摘をいただきましたので「難病相談支援センターと地域の関係者とが連携し、様々な事業や取組をより効果的に推進するため」ということで、連携をすることによって様々な事業を効果的に推進することを書かせていただいております。
続きまして、22ページでございます。地域協議会の箇所になりますけれども、中ほどでございますが、特に市区レベルになりますと構成員の選定に当たって、必要な参考となる情報が不足している場合があるという御指摘がございましたので、その点を書かせていただいております。これにつきましては、既に地域協議会を設置している都道府県等に地域の関係機関の情報確認をするといったことが考えられますので、そういった「自治体間での情報共有を進めることが考えられる」とさせていただいております。
また、一番下の部分でございますけれども、難病と小慢の地域協議会につきましては合同開催という方法もあるのではないか、一方で、地域の実情に応じていろいろなやり方があるのではないかといった御議論がございましたので、その点を書かせていただいております。
続きまして、23ページの一番上の○は、今回事務局で追記させていただいたのですけれども、災害時の支援や、まさに現下のコロナもそうですが、感染症対策におきまして、市町村が対応する場面が生じております。一方で、難病・小慢の医療費助成の実施主体は都道府県あるいは指定都市、小慢の場合はこれらに加えて中核市、児童相談所設置市区となっておりますので、必ずしも市町村が難病や小慢の患者に関する情報を有していない場合があるという御指摘をいただいておりますので、その点について書かせていただいております。
また「難病や小児慢性特定疾病の患者の命や健康を守り、緊急時に速やかに支援にあたることができるよう、引き続き、避難行動要支援者名簿への掲載について自治体に働きかけるとともに、個人情報の取扱いに留意しつつ自治体間の情報共有が図られるような運用上の工夫を検討するなど、地域において安心して暮らせる社会づくりを図っていくことが望ましい」とさせていただいております。この点、御意見がありましたら、また後ほどいただければと考えております。
その下の○につきましては、前回、社会参加や生活の質に関するデータの収集も重要ではないかという御指摘がございましたので、1つパラグラフを追加させていただいております。
続きまして、24ページでございます。福祉支援につきましては、医療費助成の受給の有無にかかわらず利用できる支援として、障害福祉サービスが代表的なものの一つとして考えられますので、改めてここで例示を入れさせていただきました。
続いて、就労支援でございますが「対応の方向性」の1つ目の○でございます。前回タイムリーかつ一体的な支援が重要であるという御指摘がございましたので、その旨を追記させていただいております。
また、25ページでございますけれども、両立支援の重要性ということで、産保センターだけではなくて、企業内の産業保健スタッフも考えられますので、追記させていただいております。
また、3つ目の○でございますが、両立支援をすることによって仕事による症状悪化の予防等にも資するということ、また、医療機関と企業や両立支援の関係機関の連携を図ることが重要であるという点を追記させていただいております。
また、単なる就職支援だけではなくて、キャリア教育や生涯学習といった視点も重要であるという御指摘もございましたので、追記させていただいております。
続きまして、26ページでございます。障害者雇用率につきましては、労働政策審議会の検討状況をフォローしていくべきであるという御指摘がございましたので、その点について追記させていただいております。
続いて27ページでございますが、先ほども申し上げましたキャリア支援について、小慢についてもこちらで書かせていただいております。
続いて、28ページでございます。小慢の任意事業については、努力義務化をすることについて検討するということですが、これについては「積極的に検討するべきである」とさせていただきました。
また、一番下の部分ですが、難病患者さんにおかれましては、支援ニーズが分かりにくい場合もあるといった中で、登録者証が各種のサービスを円滑に受けられるようにするための有効なツールになることが期待されるのではないかといった御指摘がありましたので、入れさせていただいております。
また、この仕組みの導入により、幅広い関係者が地域で生活を支えていこうとする機運の向上や各種サービスの整備にもつながるのではないかということで追記させていただいております。
また、29ページの上から2つ目の○、下線が分かりにくいのですが「『受給者証』が交付されることから、別途『登録者証』(仮称)を交付する必要はないこととする」ということで、この間に「必ずしも」と入っていたのですけれども、分かりにくいので削除すべきという御意見を前回いただきましたので削除しております。
最後でございますが、30ページ「第5 おわりに」でございます。こちらは前回、難病だけではなくて小慢についてもしっかり書くべきであるという御指摘がございましたので、追記させていただいております。
意見書案に関する説明は以上です。
続きまして、今回、簡単な御報告事項がございますので、資料2を御覧ください。今回の難病法・改正児童福祉法の5年後見直しとは全く関係ない話にはなるのですけれども、現在あります指定難病患者データ及び小慢児童等のデータの提供に関するガイドラインについて、こちらで一部引用しております「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の名称が変わりましたため、難病・小慢のガイドラインにおいて所要の改正を行うことになっておりますので、この場をお借りして御報告をさせていただきます。本日6月30日から指針名が変わっているということでございますので、本日付での適用となります。
事務局からは以上になります。
○千葉委員長 ありがとうございます。
資料1-1につきましては、かなりのボリュームになっておりまして、特に前回御指摘いただいた点について検討いただいて、追加や変更部分については下線を引いていただいているわけで、それについて御説明をいただきました。これから御意見をいただくわけですけれども、ボリュームが多いのですので前半と後半に分けて議論していきたいと思います。
まず、前半として「第3 研究・医療の推進」、3ページからになりますが、この部分について御議論をいただきたいと思います。
流れに沿っていただくのが好ましいと言えば好ましいのですけれども、どこの箇所でも結構ですので御意見をいただきたいと思います。挙手をお願いします。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
意見書4ページについてです。小慢のトランジションについて詳しく書いていただきまして、ありがとうございます。前回も指摘をさせていただきましたけれども、このトランジションの問題は医療費の問題と移行支援の問題と2つあると思うのですけれども、医療費については今回、上から2つ目の○に「難病法制定以前からの課題であり」と書いてありますが、もっと正確に言うと、制度ができた1974年からの問題ですので、ぜひ、そのあたりも書き加えていただければと思います。
一番下の○です。指定難病に結びつかない疾病についても盛り込んでいただきありがとうございます。ここには「希少性の要件が設定されていないことから」と書かれていますけれども、このほかにも「他の施策体系が樹立されていない疾病を対象とする」という、小児がんのようなものを除外するような要件もありますので、そのあたりもぜひ書き込んでいただいて、トランジション問題を解決するという心意気を示していただければと思います。
以上でございます。
○千葉委員長 ありがとうございます。
特に4ページの下ところは、希少性の要件と希少性ということが書かれているけれども、その他の施策がないということも考慮に入れてほしいという御意見だったと思います。よろしいでしょうか。この点については御検討をお願いします。
ほかはいかがでしょうか。森委員。
○森委員 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(JPA)の森幸子です。よろしくお願いします。
まず、6ページの対象者の認定基準の2つ目の○ですけれども、最後のほうに認定基準が日常生活または社会生活に支障がある者について、より一層適切に病状の程度を評価する基準の在り方について、今後も検討していく旨を御記載いただき、ありがとうございました。検査画像や数値ではかれない痛みやしびれ、だるさなどがあっても、強く長く続きますと生活に大変な支障が出ています。これらは患者の努力だけでは超えられない支障ですので、計測不能な自覚症状も患者の訴えなどを重視して病状として認められるようなものにしていただきたいです。
もう一つ、8ページの申請日からの前倒しの期限ですけれども、1か月では手元に書類が届いていません。ここで期限を設けて制限をかけたことが、結果として認定を満たす重症化の時点や初めて診断された時点で医療費助成が受けられないということにならないようにしていただきたいです。当初の診断や重症化したときにしっかりと適切な治療を選択できることが重要ですので、なぜ前倒しして認めるのかという一番重要なところに制限がかからないようにお願いしたいです。
続きまして、14ページもよろしいでしょうか。「(2)医療費助成の申請をしない患者の登録について」ですけれども、「対応の方向性」ですが、これは主に軽症とされた患者になると思いますけれども、2つ目の○の中ほどに研究の促進の後に「福祉支援等の他の支援が」とありますけれども、これは福祉支援等の「等」の中に就労支援が含まれているのだと思いますが、ここは「福祉支援や就労支援等」と、就労についての支援があり必要としていることを示すためにも就労支援を書き込んでいただきたいです。後で24ページから就労支援の項目が出てきますけれども、軽症者がデータを登録して登録者証が発行される意義において、就労支援は大変重要だと思います。難病を発症しますと日常の中でも多くの費用がかかりますし、医療費助成も外れ、特に軽症者にとっては就労がとても重要で、働きたいと希望されている方はとても多いです。また、社会参加の意味からも就労は重要です。ただ、それなのに相談窓口や就労支援の関係者にも企業などの事業者にも理解を得られず、就職するときもまた就労継続にも苦労していますので、難病患者が就労できることや就労継続、就労支援が必要であることが分かるようにしていただきたいです。
16ページの登録の項目や頻度ですけれども、頻度についても検討していくとありますが、ある程度安定してきた患者の病状というのは大きく変わらないことも考えられますし、変わったときには医療費助成の申請などもするわけですから、この登録については医療費助成と同じく、毎年となると登録も進まないと思われますので、登録しておこうと思えるように患者にとっても負担にならないようなものにしてください。
もう一つ、17ページの2つ目の○の文書料の負担軽減についても検討と記載いただきました。特に、軽症者の登録を進めるためにもここは大変なネックになっている、登録しない理由になっているところです。研究への寄与は自分だけのために登録するのではないので、他の公費負担、医療費助成とは少し違うと思います。ぜひ負担軽減を強くお願いします。
以上です。
○千葉委員長 幾つか指摘されましたが、6ページ、数値で表せないような障害といったものを考慮してもらいたいという御指摘だったと思います。
それから、8ページについては、1か月以内では足りない、そういうことはよくあるのでという御指摘で、前にも御指摘いただきましたけれども、ここでもあり得ることも踏まえて設定されるべきであるとは書かれてありますが、そこを強調されたのだと思います。
次が14ページ、福祉支援と同時に就労支援をしっかり記載してほしいという御依頼だったと思います。
16ページは、患者の事務負担でとにかく文書について記載するのに負担がかからないようにと強調されたのだと思います。そこをきちんと記載してほしいということですね。
17ページの文書料についても負担があるのでと御指摘をいただきました。
繰り返させていただいたのですけれども、おっしゃったのはそのところでしたよね。
○森委員 結構です。ありがとうございます。よろしくお願いします。
○千葉委員長 いろいろ御指摘いただきました。検討いただきたいと思いますが、厚労省から何かございますか。
○竹林総務課長 事務局でございます。今、森委員から様々御意見をいただきました。まず認定基準については、まさに前回のこの場でもおっしゃられた、今もおっしゃられたようなことを踏まえて文案は書き込ませていただいたつもりでございます。ただ、数字に表れない部分をどうやって拾っていくかというところは技術的に難しい点もあろうかと思いますが、ここに書いていただいたことを一つきっかけとして何ができるか、これは専門家の方々の御意見も踏まえて、これから追求していくことだと思います。
あと、軽症者登録の就労支援の話は、多分ほかの先生方もあまり違和感がないところだと思いますので、特になければそういう方向で書き込むことは問題なさそうに思います。
また、軽症者登録につきましても、まさに今おっしゃられたようなことが既に文案になっていると思いますが、患者の事務負担と研究意義のバランスを踏まえて運用を検討していくということでございますので、例えば、毎年登録することを強いられて非常に負担だということにならないような形で運用を考えていくものだと思います。
文書料につきましては、ほかの公費負担制度との均衡という観点からなかなか難しい面もございますが、まずは今回、一定の負担軽減が図られるように検討していくべきという指摘があったと書き込んでいただいております。このことは非常に重いことだと思いますので、私どもとしても一定の制約の中でどういったことができるか、まさにこの記載をきっかけに様々検討してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。御指摘いただいた点については、また、ぜひよろしくお願いします。
ほかはいかがですか。
○竹内委員 竹内ですけれども、今の議論にコメントが1つと、私からの修正をお願いしたい点が1点ございます。
森さんの御指摘はごもっともですが、6ページの痛みなどの数値に表れない評価をどのように重症度に反映していくかに関しましては、学会で様々な疾患領域で患者さんの痛みのVAS値というのを患者さんに書いてもらって、それを重症度の中に入れ込んでいくという学会側の努力もありますので、この点は学会としてもそのような形で多分動いていくのだと思いますので、そのあたりは御心配なさらないようにしていただければと思います。6ページのこの書きぶりで、私たちも十分重く認識しております。
それから、私からのコメントに加えまして10ページですが、医療提供体制について一つお願いしたいことがございます。「対応の方向性」の一番上の○、大変詳しく丁寧に書き加えていただきましてありがとうございました。1つだけここでお願いしたいのは、上から4行目「未対応の県の実情を把握の上、きめ細かな支援を行いつつ設置を促すとともに」と難病診療連携拠点病院について書き込んでいただきましたが、その次に出てきます難病診療分野別拠点病院については、さらに各県で対応がばらばらでございます。したがって、6行目の「その上で」の間にできれば「分野別拠点病院についても実情把握を行い、課題を抽出していくべきである」という1行を入れていただきますと、難病診療連携拠点病院だけではなくて分野別拠点病院への実情の把握も入った上でとつながるのでいいのではないかと思いました。よろしく御検討のほど、お願い申し上げます。
○千葉委員長 後半部分については10ページの1番目の○で、難病診療分野別拠点病院が必ずしも十分整備されていないということで、その把握もちゃんと入れるべきであるという御意見でした。重要な御指摘だと思います。よろしいでしょうか。
それから、6ページの数値化できない痛みや悩みといったものについては、学会もそれに向けて努力しておられるので、そこのところは皆理解していると思うので、この書きぶりでとりあえずはいいのではないかという御意見だったと思います。よろしいですか。皆さん認識しておられると思いますが。
ほかはいかがでしょうか。
○井田委員 慈恵医大の井田ですけれども、よろしいでしょうか。
今、話題になっています6ページの森さんがおっしゃった痛みや自覚症状はSF-36やクオリティー・オブ・ライフなどを示す指標なども結構取り入れているので、竹内先生もおっしゃったように、そんなに心配要らないのではないかと思います。
それから、6ページの「対応の方向性」の2つ目の○ですけれども、この文章は何を言いたいのかちょっとよく分かりません。厚労省の方にお伺いしたいのですが、これは負担額を増やしたほうがいいという方向を示しているのでしょうか。ほかの制度と鑑みてということですが、これはどういう意図なのでしょうか。そこが読み取れないので、ご説明をお願いします。
○竹林総務課長 自己負担限度額につきましては、5年後見直しの議論の中でも様々御意見があったと思います。これは新法をつくるときにも本当に活発な御議論の末、例えば障害者の自立支援医療などとの均衡も踏まえ今の形になっているものでございます。自立支援医療とは全く同じということではございませんけれども、かなり似た要素を勘案しながら、今のところにとりあえず落ち着いているというものでございまして、そういった他制度との均衡を踏まえてさらに上げるにせよ、下げるにせよということだと思いますけれども、今まさに我々が把握している実態あるいはデータは非常に限られているものでございますから、どちらの議論をするにしても不十分だということでございますので、今後の課題としてデータに基づいた議論ができるように実態を把握していくということを書いておりますので、どちらの方向性とはっきり出しているわけではないのですが、まずは将来的な議論に耐えられるようなデータを集めていくべきだということでございますので、特に今回これをすぐに改めるということではないということで書かれているものだと理解しております。
○井田委員 了解いたしました。
それから、7ページのさっき森さんのおっしゃった1か月の期限ですが、実際の現場だと書類が事務から上がってくるまで1か月などすぐにたってしまうんです。やはりここは短すぎるのかなというのが現場サイドとしての意見です。
あと最後ですけれども、14ページの医療費助成の申請、いわゆる軽症者登録のところですが、医療側から見た意義みたいなことはいろいろ書いてあるのですけれども、患者さん側からの視点の文章を記載する必要はないでしょうかというのが意見です。後で登録証のことなども書いてありますが、ここに意義の概要などを記載したらいかがかなと思いました。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。同じように数値化できないバーデンについてのお話と、期限の1か月はなかなか難しいよという同じような御意見をいただきました。
もう一つは、14ページの軽症者登録について、患者の視点に立った記載を御指摘いただいたのですよね。
○井田委員 そうですね、何のために登録を進めるかという文章があったほうがいいのかなと思いました。
○千葉委員長 この点は御検討いただきたいと思うのですけれども、よろしいですか。
○竹林総務課長 全くごもっともな御意見だと思いますが、例えば今の案文について申し上げましても、14ページの「対応の方向性」の2つ目の○、先ほど森委員からもコメントがあった箇所でございますが、2行目から「研究が促進され治療方法の開発に資する、福祉支援等の他の支援が患者に行き届きやすくなるといったメリットをもたらすことが期待される」ということで、患者側のメリットも書き込んでありますし、28ページに「5 『登録者証』(仮称)について」というチャプターがございますけれども、2つ目の○に「難病は多様であり、支援ニーズが分かりにくい方もおられるが、『登録者証』(仮称)はこのような患者を含め、難病患者が各種のサービスを円滑に受けられるようにするための有効なツールになることが期待される」といった形で、患者視点からのメリットについても言及しているところでございます。
○井田委員 了解いたしました。
○千葉委員長 もう一つは、6ページの下ですけれども、これは各指定難病間での公平性と同時に、いろいろな制度の間での均てん化・公平性を視野に入れた話だと思います。したがって、上限を上げるとか下げるという話ではないと、適正にというお話だと思います。よろしいでしょうか。
ほかに何かございますか。
○竹内委員 慶應の竹内ですけれども、今の点ですが、14ページの「対応の方向性」の1つ目の○で、冒頭から「研究を促進する観点からは」と書き込まれているので、これだけ読むと研究面だけしか考えていないのかと言われるのではないかと私も危惧しました。むしろ、ここはこの「研究を促進する観点からは」を除いていただいて、「医療費助成の申請をしない患者についても、データ登録をすることができる仕組みを設けることは」と次の○に続けていただいたほうがいいのではないかと思います。そうすると、その次に「関係者にとって、研究が促進され治療方法の開発に資する、福祉支援等の他の支援が患者に行き届きやすくなるといったメリット」と書いてあるので、こうなってくると研究だけではなくて患者支援の側面もあると読めるのではないかと思いました。
○千葉委員長 今の点につきまして、何か御意見のある方いらっしゃいますか。研究というのが前面に立ち過ぎているという御指摘だったと思いますが。厚労省から何かございますか。よろしいですか。そこは考慮いただいて御検討いただくようにしたいと思います。
ほかはいかかでしょうか。
○渡辺委員 発言してよろしいですか。日本医師会の渡辺です。
10ページの上から3つ目の○の遺伝カウンセラーの育成の文章ですが、記載していただいたことはありがたいのですけれども、この文章だけが「指摘もあった」という一歩引いたような表現で、あとの文章は全て「適正である」とか「重要である」と断定してあるので、ここの文章だけこのような書き方になると優劣がついたような印象があるのですけれども、ほかの文章も全て委員全体のコンセンサスが得られたわけではないので、ここだけ「指摘もあった」という表記はあまり好ましくないような気がするのですけれども、事務局の方いかがですか。
○千葉委員長 記載方法ですね。「べきである」というのが多いわけですよね。それに対して「指摘もあった」という御指摘ですが。
○竹林総務課長 「指摘もあった」という書き方は、ほかにもぱらぱらとは出てくる状況になっておりまして、どちらかというと委員の先生方からコンセンサスとまでは言わなくても、多くの御意見があったものは割としっかり書き切ってあって、必ずしもそうでもない、これは議論の経緯を見て、本当のところ先生方がどう思っているかはともかくとしまして、意見の出具合に沿って部分的にこういう書き方をさせていただいているところでございます。特に御異論がなければ書き方を少し工夫するというか、もう少し前向きに書くこともできるかと思いますけれども、そこは事務局でこれまでの意見の出方を見て、今のところはこのような書き方にしているものでございます。
○渡辺委員 ありがとうございました。
○千葉委員長 重みの問題といいますか、今まで議論されてきたものに対して意見が出されたものをどう記載するかといったところだと思いますが、御検討をお願いします。
ほかはいかがでしょうか。
○中澤委員 よろしいでしょうか。神奈川県の中澤でございます。遅参いたしまして申し訳ございません。
もしかしたら既に出ていた御意見で重なってしまうかもしれませんけれども、7~8ページで先ほどほかの委員からお話がありました、申請の1か月以内というところですけれども、8ページの上から3行目に「自治体の事務負担に留意する」と御配慮いただいているのは大変ありがたいと思うのですけれども、先日の御議論の中でも主治医の皆さんや患者さんたちの御意見で、1か月以内にはなかなか難しいよという、確かに現場としてはそういうことはあるのだろうなと思うのですが、一方で、事務の申請を受ける自治体の職員としましては、上限どこまでが皆さんの御事情によるものなのかという判断は、そういう医療の部分では素人ですので受けられない。一方で、患者さんに寄り添いたいという気持ちの中で仕事をしていくに当たっては、どの辺という上限が難しいのであれば、例えば実際に実施するに当たっては、具体的にこういう事例があるとか御指導をいただけるような参考になるようなものをつけていただきたいと思っております。そのほうが現場の状況にしっかりと合った対応を私たちもしていけると思いますので、そこを御検討よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○千葉委員長 これは、お立場によってそれぞれ考え方も変わってくると思いますが、えいやと決めつけるのは私個人的にはなかなか難しいなという印象です。記載につきましては、いただいた御意見を入れて考えていただくということでよろしいかと思いますが、よろしいでしょうか。
ほかにありますか。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
6ページの「(3)患者の自己負担について」の一番下の○ですが、前回の会議で自己負担の見直しについて特段の事情変更があるとは言い難いという部分を、もうちょっと優しいといいますか、暖かみのある言葉に変えていただきたいということで今回変えていただきまして、ありがとうございます。
しかし、資料1-2の概要の1ページの真ん中あたりの(3)に「特段の事情変更があるとまでは言い難い」という表現がまだ残っていますので、この部分も本文と合うような形で表現を工夫していただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。
○千葉委員長 資料1-2の記載ですね。合わせていただきたいということだと思います。
ほかはいかがでしょうか。
○駒村委員 駒村ですけれども、発言よろしいですか。遅れてきまして、すみません。
先ほど森委員のお話があった17ページの文書料についてですけれども、データ登録というのはある種公共的な意味もあるという特性があるというお話は非常に説得力があるなと思いました。確認ですけれども、他の公費負担医療制度については、生活保護以外は感染症に関するものも含めて自己負担ありとされているのですか。それだけ正確に教えていただきたい。どういうケースで負担軽減がされているのか正確に聞きたいので、説明をお願いできますでしょうか。
○千葉委員長 いかがでしょうか。他の制度の自己負担、文書料の負担は。
○領五難病対策課長補佐 駒村先生、御質問ありがとうございます。皆さんのお手元にあるか分からないのですが、かなり大部なのですが、本日お配りしている参考資料の127~128ページに、公費負担医療制度における文書料の取扱いについてまとめているものをつけさせていただいております。この中で、国庫負担と書いてあるところは公費が出ているところになっておりますが、例えば戦傷病者特別援護法であったり、128ページの中国残留邦人等の支援法、あるいは御指摘がありました生活保護法といったところは公費が入っております。そのほかの部分につきましては自己負担ということになっております。なお、感染症法などは恐らく措置入院ということだと思いますので、申請ということではそもそもないという事情がございます。
他制度の状況につきましては、こちらにまとめさせていただいているとおりでございます。
○千葉委員長 127~128ページに記載があるということですが、駒村先生いかがですか。○駒村委員 感染症というのはかなり特殊なのでということですよね。そこを考えると、なるほどなと思う一方で、このデータ登録は御本人のためのみならず、性格上社会的な貢献という部分もあるので、その部分は考慮の余地が十分あるのではないかと思って先ほど森さんのお話を聞いておりました。私も軽減することに関しては一定の根拠があるのではないか、ほかのものとちょっと違う性格を持ったことは留意すべきではないかと思いました。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。データの収集といういろいろな観点から考えると、重要性で必ずしも自己負担に決めつけるのはという御意見だったと思いますが、よろしいでしょうか。御検討いただきたいと思います。
ほかはよろしいですか。
○尾花委員 埼玉医大の尾花ですけれども、よろしいですか。
先ほどの1か月の話に戻ってしまうのですが、やはり1か月というのはかなり厳しいと思いますので、上限を何にしたとしても、それどおりにいくかどうかというのは分からないものですから、例えば除外規定を出していただいて遅延の理由を出していただく等を考えていただくことはできますか。
○竹林総務課長 いわゆる前倒しでどこまでさかのぼるかという話、前回は1か月を上限という形で出させていただいて、それでは短過ぎるケースもままあるのではないかというお話。他方で、今お話があったような除外規定という話になりますと、自治体で事務処理の観点から非常に難しい面があるのかなと思います。この2つの御要請両方に何とか応えられるような形。一つには、1か月という期間より少し長い期間を取るといったことも視野に入れながら具体的にどうするかは、さらに考えていきたいと思っております。
○尾花委員 実際に書類を作るときの問題ももちろんあるのですけれども、診断をさかのぼらないと分からないとか、前の標本等を見直して初めて診断がつく場合もありますので、そういったときにどこまでさかのぼれるかとか、病状から遅れざるを得なかったということがあることも御理解いただければと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。何人かの委員の方々から御指摘いただいていますけれども、共通して言えることは1か月では難しい例がかなりあるということだと思います。実際の運用につきましては、細かくここに入れるのはなかなか困難かなと私個人的にも思いますので、この記載でとりあえずはよろしいのではないかと考えます。実際に運用面につきまして厚労省でしっかり御検討いただきたいということだと思いますが、それでよろしいでしょうか。
では、後半部分が残っておりますので、とりあえず後半に入らせていただきたいと思います。「第4 地域共生の推進(療養生活支援の強化)」からになりますが、御意見いただきたいと思います。18ページからになります。いかがでしょうか。
どうぞ。
○西澤委員 新潟の西澤でございます。
23ページの最初の○ですけれども、災害支援について書いていただいているのは大変ありがたいことなのですけれども、現場では県も含めて自治体の中で、難病の患者さんに関する情報を持っている部署と防災に当たる部署との連携が取れないことが一番問題だと思っております。
後半の1つの文が非常に長いのですけれども、避難行動要支援者名簿への掲載ということは個別に書いていただいているのですが、これは大前提であって、実際にこの名簿に記載されたからといって具体的な計画が立つわけではなくて、この先に個別の避難行動支援策が策定されなければ、現実の計画としては役に立たないわけです。そのことについて、総論としては各自治体で用意できているのですけれども、個別の計画策定が一向に進まないところに問題があるということを指摘していただけるといいと思います。
それから、後半で「個人情報取扱いに留意しつつ自治体間の情報共有」が出てくるのですけれども、先ほど申し上げたように一番の問題は、自治体の内部で情報共有ができていないことであって、自治体間というのは県と市町村のことなのか、市町村同士なのか、より広域的なことをお考えなのか、言葉として曖昧だと思いますので、自治体間というのであれば県と市町村という形で、もう少し具体化されたほうがいいのではないかと思います。
以上です。
○千葉委員長 23ページの上ですけれども、ここを入れてもらったのは大変結構な話ですが、具体的なところもきちんと文言を入れるべきであるというお話だったと思います。
それから、「自治体間」につきましては、自治体内の共有がまず問題であるという御指摘で、両方記載できるようにしてはどうかという御意見だったと思いますが、厚労省から何かありますか。
○竹林総務課長 御指摘どうもありがとうございます。御指摘のとおりだと思いますので、御指摘を踏まえてどういう書き方ができるか少し工夫させていただければと思います。
○千葉委員長 ほかはいかがでしょうか。
○小国委員 鎌倉女子大学の小国です。
27ページの一番下、小慢の自立支援事業についてですが「任意事業の活性化のためには、現状把握→課題分析→任意事業の企画・実施という流れを作ることが重要」で、これを必須事業の把握調査と位置づけていただいたことはとてもありがたいのですけれども、実質が伴わないとなかなかこれが進まないということで、もう一歩進んで自立支援への昇格であったり、例えば助成金の2分の1負担をもう少し軽減させるというような、少し具体的な流れをつくる動機になるようなものを入れていただきたい。あるいはそれをもう少し検討するという文言が入っていると非常に活性化するのではないかと思います。
○千葉委員長 27~28ページにかけてですね。もう少し具体的に突っ込んだ表現にしてほしいということだったと思います。
○小国委員 必須事業への昇格や助成金の軽減という検討ができないかどうか。積極的というだけではなくて。
○千葉委員長 もっと具体的にということになりますね。これは何かありますか。
○竹林総務課長 ここの○ですが、既に「具体的な立ち上げ支援など、さらに一歩踏み込んだ国の取組が必要である」とかなり踏み込んで事務局で案を作っているのですけれども、これまでの御議論もそうであったので、そのような書き方をさせていただいているところでございます。
助成金の軽減というのは、自治体の負担を軽減するということかと理解しましたが、自立支援事業につきましては国費が半分ついていく形で、自治体が半分持つというものでございます。もちろん自治体の財政状況も一つの要因だと思いますけれども、他方で、地域の中で本当に真剣に考えて中身を詰めて住民の皆さんに喜んでいただける、支えになるものを各自治体に自分のこととして考えていただく必要がある中で、あまり国の負担率が高くなるのも、財政当局の理解が得られるかという問題ももちろんありますけれども、制度の立てつけとしてはなかなか難しい面もあるのかなと思っております。
加えて、自立支援事業については他の似たような法律と少し違うところがあって、これは消費税財源が当たるものとして、要は自治体さえ事業を立ち上げていただければ国の2分の1の負担は義務的経費という形になっている。もともと特別に、自治体に前向きに取り組んでいただきやすい仕組みにはなっている、その点も少し御理解いただければと思いまして、今の時点でこの文章に書き込んでいただくのは、このぐらいが限界なのかなと事務方としては思っているところでございます。
○千葉委員長 「積極的に」という文言をどうするかということですけれども、今の御意見は御意見として御検討いただければと思います。
ほかはいかがでしょうか。春名委員。
○春名委員 24ページの就労支援の全般的な記述なのですけれども、収入確保や社会参加という意義が強調されて、医療機関の負担になるというスタンスが強調されているのですけれども、これでは今後、就労支援と医療や難病相談支援センターなどが連携していく必要性について誤解を生んでしまって、連携を進める上で妨げになってしまうのではないかということを危惧します。
むしろ25ページの下から2つ目の〇の5行目に「治療と仕事の両立支援は、仕事による症状悪化の予防等にも資するという点に留意しつつ」とあります。この点は治療と仕事の両立支援だけに限るものではなくて、ハローワークだとか障害者職業センターなどでの就労支援においても無理なく活躍いただけるような就職や職場で理解を確保するということの重要な狙いともなっております。治療と仕事の両立支援ということだけに限定するのではなく、就労支援全般の意義として、収入確保や社会参加だけではなく仕事による症状悪化の予防等にも資するという点も、もっと全般的なところに書いておくことで、今後の連携促進で医療側にも資するメリットがあるものだという理解促進につながるのではないかと思います。
もう一点は、同じ25ページの下から2番目の○ですけれども、下から3行目に「併せて、生涯学習やキャリア教育」という文章があるのですが、ここがその前の文章とつながっていないような気がしまして、文章の意味が分かりにくいところがあると思います。この部分は、例えば、成人前の小児慢性特定疾患児童にとって直接の就職ではなくて、キャリア教育という視点も重要である、というようなことで分けたほうが、内容が整理できるのではないかと思います。
以上です。
○千葉委員長 24ページの就労支援と25ページの下から2つ目の〇の記載を、一つは整合性を合わせるようにということと、文言の整理をしてもらいたいというお話だったと思いますが、これは御検討いただくということでお願いしたいと思いますが、ほかはいかがでしょうか。
○小幡委員 よろしいでしょうか。小幡です。
1点、登録者証のことで28ページに目的が2つあるということをきちんと明確にされているのでよろしいかと思うのですが、患者さんの立場からすれば、治療研究が推進されれば本質的にはそれが一番御自分へのメリットになると思いますが、せっかく登録者証を作るのであれば、第2の目的でもメリットをより大きく示したほうが登録者証というデータ登録が推進されることは自明な循環になると思いますので、ぜひ第2のメリットも推進していただきたいと思いと思います。
例えば、駐車場が使いやすいという話というのは、厚労省の方にお伺いしたら、それは民間の動きだということで、これからだと思うのですが、まずは登録者証を作って、これを広く周知していって、よりメリットを大きくしていくことが必要なのかなと思っております。これは単なる意見です。
○千葉委員長 28ページの2番がより重要であるという御指摘だったと思います。ただ、文言を変えるということではなくて、十分認識をしていただきたいという御意見だったと思います。
どなたか手を挙げておられましたね。安達委員。
○安達委員 明星大学の安達です。
22ページの一番下の○の「また、実際の運用に際しては」というところですが、先ほどほかの委員の方々からもお話がありましたが、もう少し具体的に、あるいはより一歩踏み込んだ形で表記されるといいのかなと。ただ、非常に難しい部分があるかと思いますが、そのような感想を持ちました。
以上です。
○千葉委員長 一番下の○について、先ほども意見が出ていましたけれども、もう少し具体的な表現の仕方がいいのではないかという御指摘だったと思います。
ほかはいかがですか。
○渡辺委員 渡辺ですけれども、よろしいですか。
細かいことなのですが、21ページの「(2)地域協議会等について」と名前をつけておられるのは、恐らく2つの協議会と支援協議会を示しておられると思うのですが、22ページの上から2番目の○から3か所ほど「地域協議会」という名前が出るのですけれども、「地域協議会」と書いてしまうと、普通に考えると慢性対策協議会のような地域協議会だけを示しているように誤解を生まないかなという気がするのですが。つまり慢性疾病児童等は地域支援協議会なので「地域支援協議会等」とずっと書いていくか、「地域協議会」という言葉が何を示しているか、全体を見ているのだろうというのは読んでいると分かるのですけれども、タイトルに「等」がついているので本文と合わないような気がしたのですが、表記はこのままでよろしいですか。
○竹林総務課長 御指摘ありがとうございます。趣旨としては今先生からお話があったとおりでございますけれども、意味合いもよく考えまして表記にぶれがないように、理解する上で誤解がないような形にしたいと思いますので、そこは少し事務的に検討させていただければと思います。
○千葉委員長 御検討をよろしくお願いします。はっきりと誤解を招かないようにきちんと記載していただくということですね。
ほかはありますか。
○田中委員 東京都の田中ですが、よろしいでしょうか。
23ページの上から2つ目の〇で、新たに追加された項目なのですが、ここで「データの収集と利活用のあり方について、関係者の事務負担に留意しつつ、検討」と記載されているのですが、ここで言っているデータというのは、大きな3番で記載されているデータベースのデータのことをおっしゃっているのでしょうか。そうだとすると、そちらにも患者の社会参加や生活の質にもこのデータが活用されるようにと記載したほうがよいのではないかと思われるのですけれども、ここで言われているデータが何を指しているのかという質問と、「関係者の事務負担に留意しつつ、検討」というのは、誰が何を検討していくことを言われているのかという、どちらも質問になりますが、よろしくお願いいたします。
○千葉委員長 この点いかがでしょうか。
○領五難病対策課長補佐 御質問ありがとうございます。こちらは前回、2日の合同委員会の場で御指摘があった点になりますが、端的に申し上げると、ここで言っているデータ収集というのは、今構築している難病・小慢の臨個票等に基づくデータベースとは別ものでございます。臨個票は医学的な情報を今入れていただいていますが、それをむしろ簡素化していくべきであるという御議論の中で、さらに項目を増やしてやっていくのはなかなか難しいということでございます。一方で、社会参加や生活の質みたいなものに関する研究といったことも重要なのではないかという御指摘がございましたので、そのことについて、国において、そういったデータに基づく施策について検討していくという意味合いでございます。もし分かりにくいということであれば、その趣旨が分かるように、主語を補うといった表現の修正をさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 確かにこのデータだけだと、おっしゃられたように、もともとの臨個票のデータと思ってしまわれる方もいらっしゃるかもしれませんね。もう少し具体的に記載していただいたほうがいいのではないかと私も感じます。主語・述語の話、「関係者の事務負担に留意しつつ」ということも含めて御検討いただけたらと思います。よろしいですか。
では次に、本田委員。
○本田委員 難病相談支援センターの活動について記載いただいている内容なのですけれども、19ページの中ほどから専門職の支援も行われているのだけれども、3つ目の○で、ここはかなり参考資料にあるような不満だったという割合も挙げて、なかなか分かってもらえないというところで専門職の関わりが必要という御指摘があるのですけれども、その中で「対応の方向性」としては、関係機関との連携を取って強化していくようにという方向性を出していただいていると思います。
20ページになりましたら、専門性が求められる相談事項への対応で、地域では保健所が関係機関として関わっていくと思うのですけれども、そこも難しいと言っていて、そこにもう少し人材の育成をして専門職、保健や看護で機能できるような人たちを配置するような方向性もある程度示していただいて、専門的な支援が難病相談支援センターの活動の中で、ある程度満足いくというデータがいただけるぐらいのものにしていくということで、人材育成、専門職の配置も考えていただけるといいのかなと思って言わせていただきました。
以上です。
○千葉委員長 19ページの関係強化を図ることが必要であるというところについて、専門職の養成をもう少し具体的に記載してはどうかということですね。この点、御検討をお願いします。
ほかはいかがでしょうか。森委員。
○森委員 まず、23ページの災害時の支援や感染症についての記載、どうもありがとうございます。個人情報ですので課題はあると思うのですけれども、やはり患者が暮らしている身近な地域において難病患者に向けての対策が取れるようにしていただきたいです。地震や豪雨などの災害もですけれども、今苦労している新型コロナウイルスのような感染症も、当初は全くマスクや消毒液が手に入らず、大きな災害時と同じように医療機関への受診などもなかなかできない、外出することができず大変な思いをしました。そしてまた、今ワクチン接種にしても、基礎疾患を優先と言われていましても、自治体でもなかなか把握できずに準備に当たられているところですし、いまだ自治体からの通知も何もなく、どうなっているのかと心配される方も非常に多く相談を受けています。命と健康を守る対策につながるように、ぜひ検討いただきたいです。感染症に対しましては、災害救助法のような対応になるのは難しいかもしれませんが、データ登録で今御検討もありますので、こういったところの同意で行うのか、また災害時と同じように考えて行うのか、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
次に、23ページの福祉支援ですけれども「対応の方向性」には患者、難病相談支援センター、医療機関などの支援側に対する周知も重要と記載いただいております。周知はもちろんなのですけれども、制度を知っていても困り事がなかなか支援につながらないという現状があります。自治体の福祉支援窓口でさえ、外見から支障が分からない難病などはきちんと理解されていない状況がありまして、例えば、発行されている「障害者総合支援法における障害者支援区分難病患者等に対する認定マニュアル」などの活用をもっと広めていただき、支援内容についても病気を悪化させないために制限されることなどもできないと判断に含んでいるということで、支援が受けられることなどを理解して支援に当たるように、具体的な必要な支援につながるようにしていただきたいです。
最後に26ページ、就労支援の最後の○ですけれども、難病患者の法定雇用率の問題ですが、これは働きづらい障害者が就労の機会を得て働き続けることができるための制度だと思いますけれども、この議論の労働政策審議会障害者雇用分科会には難病の団体からも委員に入っておらず、年に一度程度のヒアリングなどで患者の意見を述べておりますが、これだけでは意見も伝わっていないと思います。就労という入り口で苦労している難病患者にこそ支援が必要な制度だと思います。法定雇用率の対象となりますと難病患者が働くことができるということを社会に示すことにもなりますし、また、合理的配慮についても、まずは申し出ることが重要で建設的な対話につながる、そんな環境整備が必要だと思います。今はまだ無理して働いている患者も多いかと思いますので、ぜひ、こういったところも進めていただけるように強くお願いいたします。
以上です。
○千葉委員長 23ページの上、西澤委員も言われましたけれども、特に感染症対策等について、実際に具体的に運用されるようにしてもらいたいという御意見だったと思います。そこは、ここでの記載も含めて御検討をよろしくお願いします。
それから、同じページの下ですけれども「対応の方向性」について、より具体的な支援内容と、周知について、これも具体的にやるべきであるという御指摘だったと思います。
それから、もう一つは26ページの一番上の○ですけれども、労働政策審議会に難病患者が参加できていないということで、審議会においてもしっかりと議論して、実際に改善に向けてほしいという御指摘だったと思います。よろしいですか。今御指摘いただいたところで、何か盛り込んで改変できるようなところがあれば、よろしくお願いしたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。
○滝田委員 よろしいでしょうか。京都大学の滝田でございます。
22ページの一番上ですけれども「慢性疾病児童等地域支援協議会について」という記載を受けて、一番下の○の記載をしていただいているのだと思いますが、上の記載を見ると、慢性疾病児童等地域支援協議会の設置率が全体で5割とかなり低いことが記載されておりますので、設置率を上げることもここに加えていただけるとありがたいかなと思いました。
○千葉委員長 事実が記載されていて、それについて設置率を上げることを記載すべきであるという御意見ですね。私も確かにそうだと思います。よろしいでしょうか。
ほかはいかがですか。
○駒村委員 慶應義塾の駒村ですけれども、「第5 おわりに」についてもコメントしてよろしいでしょうか。
「第5 おわりに」か「第1 はじめに」のどちらかに記述があったほうがいいのではないかと思っていることがあります。全体のトーンとしては現行制度の理念、考え方に従って必要な改革を行うということだったと思いますが、2013年の難病法の改革の提言のときに、非常に重要だったキーワードがいつの間にか随分後ろに後退してしまった感じがしています。その文章は2013年の文書の「おわりに」にあった重要な言葉なのですけれども「難病は、その確率は低いものの、国民の誰にでも発症する可能性がある。難病は、生物としての多様性をもつ人類にとっての必然であり、科学・医療の進歩を希求する社会の在り方として、難病に罹患した患者・家族を包含し、支援していくことが求められている。」これが、この難病法を社会連帯として、社会保障として位置付けた考え方・哲学だったと思います。先ほどの文書料のことも含めると、この考え方が真ん中になければいけないと思うのですけれども、今回の「第5 おわりに」と「第1 はじめに」にこの考え方がどこか残っているかなと探しても見つからなかったので、可能であれば再び、その考え方は生きていて位置付けられるのだということを注でもいいかもしれません、引用でも構わないかもしれませんけれども、再確認していただきたいなと思います。
以上です。
○千葉委員長 重要な御指摘だと思います。難病制度の理念を継続していく必要があるということで、必ずしもここに十分反映されていないような印象があるという御指摘だと思います。私もその点については認識しておりませんでしたが、この点何かありますか。
○竹林総務課長 今、駒村先生から御指摘いただいた点でございますけれども、新しい制度をつくるときの議論の中で、私も当時のことは議事録を読むことでしか分からないのですけれども、今、御紹介いただいたくだりは当時の委員会の委員の先生方からも大きな賛同を得られて、みんなそうだそうだとなった部分だという認識をしております。非常に大事な難病あるいは小慢の制度の根幹に関わる部分でございますので、御指摘を踏まえてどこかの場所に書き込んでいきたいと思っております。
○千葉委員長 従来からずっと一貫してこれは変わっていないわけですけれども、難病患者さんの救済と種々の難病の治療法の進歩、この両方が二本立てで行われている制度であるということで、駒村先生は難病法の制定の以前からずっと関与しておられますので、非常に重要な御指摘ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。大分時間が来ましたけれども、全体を通してでも結構ですので。
本間委員どうぞ。
○本間委員 あせび会の本間でございます。
意見書の文言の修正ではなくて、今後を見据えた上の希望みたいなものを少し申し上げたいのですけれども、今回の意見書は治療研究と地域共生の2つに分けて、それぞれワーキンググループを作って関係者などからヒアリングを随分重ねて、かなり詳細に検討したその積み重ねがこの意見書になって、ここまでまとめていただいた両ワーキンググループの先生には厚く御礼申し上げます。かなり希望は盛り込まれたなというのが私の率直な印象なのですが、ただ、積み残しも結構あったというのが正直なところです。これはひとえに新型コロナのおかげで途中中断してしまいまして間延びしてしまった結果が基本的なことだと思うのですけれども、それにしてももう少し盛り込めればよかったかなと思うものはあります。例えば、治療研究の場合、6ページの「(3)患者の自己負担について」、先ほど井田先生から質問が出た全く同じ問題なのですけれども、もっとワーキンググループなどでもエビデンスに基づいた議論を本当はしたかったんですね。本当に今の仕組みが必要な患者さんに届いているのかというのは、どの程度の所得区分の方がどの程度の援助を受けているのかという調査がないと何とも議論ができないんです。それでこのような書き方になって、要するに増やせと言っているのか、減らせと言っているのかどっちなのだということなのでしょうけれども、これはどちらかに傾けるような言い方ができるまで議論は深まらなかったというのが実情なのではないかと思います。
もう一点、もう一つの地域共生のほうも18ページにありますように、難病相談支援センターの拡充、これだけ大事なのだということをずっと書き連ねるのは結構なのですけれども、ワーキンググループなどで実際に相談支援の方からお話を聞きますと、これをもし仮に進めた場合、皆さんどうなるのですかと聞いたら、そのまま仕事が増えてしまうというのが正直な御意見だったんです。ということは、難病相談支援センターを拡充するにしても、増員なり対応を変えるなり、そういったものまで踏み込まないと、ここに書いたものがおよそ理念的なもので終わってしまう可能性もなきにしもあらずなんです。ですから、そこをもう少し私どもでもワーキンググループの段階で議論したかったなというのが私個人の意見なのですけれども、これもまた今後の課題としてぜひ深めて、実効性のある相談支援センターの拡充に結びつけていくのが今後の課題かなと思いました。
その辺から考えると、この意見書を私などが見ると、患者サイドから見ても割とよくまとまってありがたいのですが、今後の課題もあるということで、今後の皆さんの議論に期待したいと思います。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございました。今後の課題を御指摘いただいて、話を進めるに当たってはしっかりしたエビデンスを作る必要があるということで、もう少しきっちりと調査を続けていく必要があるという御指摘が一つと、支援センターの充実についても、人員といったインフラの支援が必要であるといった課題がまだ残されているという御指摘だったと思います。重要な点だと思います。
西澤委員どうぞ。
○西澤委員 今ほど駒村先生から大変重要な御指摘がありました。難病法が制定されたときには基本的な考え方としては、地域包括ケアの推進に難病も乗せるという方向で私たちは考えておりましたけれども、今回の基本的な考え方の最初の文言には、「共生社会」という言葉が出てきます。これが今、厚労省でお考えになっている「我が事・丸ごと」という「地域共生社会」の理念を指しているのか、それとももうちょっと一般的な意味でお書きになっているのか、そこが私は少し不明確ではないかと思います。一番根本の考え方のところなので、どう書くのがよいのかというのはいろいろ御意見あろうかと思いますけれども、その点もう少し明確にされたほうがよいのではないかというのが私の意見です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
続いて、西村委員、お願いします。
○西村委員 支援のところですけれども、26ページの法定雇用率の御指摘があったと思います。就労支援の大きな柱の中で、ここは最終成果として表される指標の一つだと思いますが、その対象になっていないということをさらっと書かれ過ぎており、これまでなぜ対象にならなかったのかという状況の整理を書いたほうがいいと考えます。単純に追加して対象になるのがよいのかどうかも検討すべきですが、法定雇用率としての何らかの位置付けでもう少し踏み込んだ意見、これまでの状況整理を書いてほしいと思います。御検討をお願いしたいと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。ここはもう少し踏み込んだ記載が欲しいという御意見だったと思います。何かございますか。
○竹林総務課長 今の御指摘は、実際に障害者の雇用率に関するところをどういう形で進めていくかというより、これまでどうして入ってこなかったのかという状況の整理をという話だったと理解しますが、この文書の性格上、そこにどれくらい紙面を割くと申しますか、これはあくまでこの委員会としての意見書ということでもございますので、ただファクトとしての情報をどういう形で入れていくのか、少し御指摘も踏まえて考えさせていただければと思います。
○千葉委員長 西澤委員からは共生という記載があるけれども、そこについてはこの制度の根幹にかかわる問題なので、しっかりと記載してほしいという御指摘だったと理解します。御検討をお願いします。
ほかはよろしいでしょうか。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
22ページの一番下の○に地域協議会の活性化について、下から3行目に「適切な支援がより効果的・効率的に行われるよう、両協議会を合同で開催することも含め」云々という記載がございます。この部分ですが、難病と小慢と共通する課題については、もちろん一緒に議論していただいて効果的に進めていただくというのはとても大事だと思いますけれども、やはり時には別々に深掘りするような議論も必要なのかなと思っておりまして、特に「効率的」という言葉が独り歩きしてしまって合同開催によって回数が減ってしまったり、議論が深まらずに協議会そのものが形骸化されてしまってはとても困ると思っております。
これに関連するものとして、今後のお話ですけれども、当委員会も今回の報告書の取りまとめのように、合同で効率的に共通する部分について検討するのは大変よかったと思うわけですけれども、小慢の軽症登録の対象の線引きや自立支援事業の活性化などについては、小慢の在り方検討会単独で深掘りするような議論ができるといいのかなと個人的には思っております。皆様もお感じかもしれませんけれども、リモートでなかなか発言の機会をつかむのが難しかったり、あるいは人数も多かったりして、なかなか発言できないということもあるかもしれませんので、そういったことも含めて今後の検討の進め方を考えていただければと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。これは結構重要なことで、小慢と難病制度が一体化したというところで合同でこのようにやることは極めて重要ですが、今御指摘のように、小児と成人ではやはり違うところがあるわけです。したがって、私の観点と五十嵐先生の観点が100%一致しているかどうかという関連もあるかと思いますけれども、それぞれの独自性というのがあるので、そこをしっかり押さえておく必要があるという御指摘だったと思います。重要な御指摘ですが、それをここにどう入れ込んでいくかはなかなか難しいと思いますが、御考慮いただければと思います。いかがですか。
○竹林総務課長 まさに、今コメントいただいたようなことも含めて、必ず合同で開催するということを書いているつもりはなくて、「開催することも含め、地域の実情に応じて、柔軟に」と書かせていただいているつもりですけれども、確かに「効率的に」という言葉は少し誤解を生む面もあるのかもしれません。重要なのは効果的に行われることだと思いますので、その点御指摘を踏まえて表現ぶりを検討させていただければと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。春名委員、お願いします。
○春名委員 雇用率に対してなぜ難病の人が入っていないのか、幾つか御指摘いただいたこととも関連しますが、28ページの登録者証の目的のところ、下から3行目に「支援ニーズが分かりにくい方もおられるが」とあります。これについて、より具体的に書くことによって理解を促進するということもいいのではないか。具体的には、「固定した後遺症としての障害」というのが今までの障害者として扱われることが多かったのですけれども、難病の場合は適切な治療を継続していくことや社会の理解・配慮があることによって普通の生活ができるようになる人たちが多いといった支援ニーズがあるのだということについて、まだまだ理解が不十分なところがあります。そういった支援ニーズを啓発していくことが必要で、そのための一つのツールとしてこういった登録者証もあるのだということ。「支援ニーズが分かりにくい」というだけではなくて、もう少し具体的に書いておくことによってそういった理解も進みやすくなるのではないかと思います。
○千葉委員長 28ページの最後のところですね。支援ニーズが分かりにくいという点について、もう少し具体的に記載してはどうかという御指摘だったと思います。御検討をお願いします。
ほかはいかがでしょうか。本間委員、お願いします。
○本間委員 あせび会の本間でございます。
今の春名先生の件に関して関連なのですが、これもここで文言を入れてもすぐに前進するわけではないので、今後の大きな課題として難病対策委員会のメインテーマの一つとして据えていくべきではないかと思います。というのは、今日は障害者雇用対策課の方も見えているようなのですけれども、障害者雇用は物すごく根深い問題がいろいろありまして、なぜ難病患者が対象になっていないかというのは、いろいろ議論しないと一朝一夕には分からない部分がかなりいっぱいあります。ですから、向こうの審議会からどなたか呼んでくるなり、あるいはこちらから出向くなりして、先ほど森先生がおっしゃったように、こちらから意見陳述するなりして、障害者施策とこちらはどう違うのかというすり合わせをしながら1年かけてやらなければ、なかなか解決できない問題ではないかと思います。これは提案です。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございました。重要な提案だと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
かなりたくさんの御意見をいただきました。コロナで大分遅れてしまったのですけれども、皆さんのいろいろな御意見をいただいた結果、厚労省も御検討いただいて、先ほど本間委員も言われましたように、かなり進歩したと私も認識いたします。細かいところはいろいろ御意見あったかと思いますが、大きな本筋では特に異論といいますか、反対意見というか、そういうものはなかったように思いますので、ここでとりあえず取りまとめなければなりませんので、大筋としてこの意見書を御了承いただけたものと私は理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○千葉委員長 ありがとうございます。
それでは、この案件につきましては御了承いただけたものとしたいと思います。ただ、今日結構たくさん御意見をいただきましたので、今回の案に対してさらに改善すべきところは厚労省で改善していただきまして、最終案としてまとめていただきたいと思います。そのために所要の法的な手当や運用の改善を行うようにお願いいたします。
もう一つは、本間委員も言われたように、まだ課題が残っておりますので、これにつきましては今後も議論を継続していくということで皆さん御認識いただきたいと思います。
それでは、最後に事務局からお願いしたいと思います。
○正林健康局長 最後になりましたが、健康局長の正林でございます。今日は遅れて参りました。最後に一言御礼を申し上げたいと思います。
この難病法と改正児童福祉法について、一昨年の5月から合同委員会と2つのワーキンググループで御議論を重ねていただきました。回数にすると合同委員会は本日を含めて8回、ワーキンググループは計10回にわたっています。医療費助成のみならず研究から地域療養、生活支援、様々な視点あるいは論点について幅広く、非常に精力的に御議論をいただきました。今日、先ほど座長に取りまとめをしていただいて、細かな修正は入ると思いますけれども、一応御賛同いただけたと理解しております。一つの区切りになるかなと思います。
様々な御意見、法的な措置も含めて、そのほか運用の改善、最後のほうには課題も御指摘いただきましたので、そういった意見書の内容をしっかりと我々は受け止めて、この難病対策、小慢対策、一歩でも二歩でも前に進めていきたいと考えております。
本当に長きにわたりどうもありがとうございました。また、これからも御指導をよろしくお願いいたします。
○千葉委員長 ありがとうございました。
先ほども言いましたように、法制定から5年が経過して今回見直しということで、かなり改善されたと思いますが、更なる改善が今後必要かと思います。それと同時に、ここに記載された文章が具体化されていかないと意味がないと思いますので、この点につきましては今日参加されている委員の方々は、いろいろな形で難病に関わっておられますので、具体的な運用につきましてそれぞれ御努力いただけたらと思います。
本当に何回にもわたりましてありがとうございました。
それでは、今日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございます。