第106回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和3年4月23日(金)13:00~15:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省職業安定局第1会議室)

議事

○阿部分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第106回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただきましてありがとうございます。はじめに委員の改選があり、障害者雇用分科会の委員に新たに就任された方を御紹介したいと思います。使用者側代表委員について、本年4月16日付けで池田三知子委員が退任されたことに伴い、一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部長 新田秀司委員に新たに御就任いただきました。一言御挨拶をお願いしたいと思います。
○新田委員 御紹介いただきました経団連の新田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 また、議事に先立ちまして、事務局である職業安定局にも異動がありましたので御紹介したいと思います。この度、佐藤主任障害者雇用専門官が就任されております。
○佐藤主任障害者雇用専門官 佐藤です。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 本日の分科会も、Zoomによるオンラインでの開催となりますので、開催に当たり、改めて事務局から説明があります。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 本日も、Zoomを使ったオンラインの会議となっております。開催に当たり、簡単ではありますがオンラインについて操作方法のポイントを御説明させていただきます。本日分科会の進行中は、皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際にはサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後にマイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いをいたします。会議進行中にトラブルがございましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお通信遮断等が生じた際には、一時休憩とさせていただくこともございますので御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上となります。
○阿部分科会長 それでは、よろしくお願いいたします。本日は、長谷川委員が所用のため途中で退席される予定と伺っております。また、田中職業安定局長におかれましては、所用のため途中で退席される予定と伺っております。
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題ですが、まず第1に、週20時間未満の就労を希望する障害者に関する調査についての報告。2番目が、障害者雇用率制度・納付金制度等について。3番目が、地方公共団体における障害者差別禁止及び合理的配慮の提供義務に関する実態調査についての報告。4番目が、その他となっております。
なお、本日は労働政策審議会運営規程に基づき、議題(1)の関係で独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構より野澤研究員に、そして議題(4)の関係で、社会・援護局傷害保健福祉部障害福祉課に御出席をいただくことになっております。
それでは議題(1)について、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の野澤研究員から説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○野澤研究員 よろしくお願いします。障害者職業総合センターの野澤と申します。お手元に資料1があると思いますが、まず3ページから説明させていただきます。3ページに、本報告について方法が載っておりますが、本報告では就労継続支援事業所に対するアンケート調査の結果を一部報告させていただきます。アンケート調査は、令和2年11月から12月にかけて実施し、A型事業所が3,250か所、B型事業所が11,632箇所郵送させていただきました。その結果、有効回答は7,447か所から得ることができ、回収率は51.2%でした。
4ページです。アンケート調査の項目ですが、大きく3つあります。今回の報告では、2.の利用者の状況。こちらは、令和2年3月時点での状況をお聞きしました。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令される前の時点で、令和2年3月に遡って回答いただきました。3.は、一般就労移行者の状況で、その事業所から一般就労に移行された方の状況についてお伺いしました。
それでは、事業所の属性は割愛して、7ページに移りたいと思います。利用者の状況についてです。スライド上部の表を御覧ください。実利用者数の回答があったのは7,239事業所からでした。令和2年3月の実利用者数は、知的障害が76,885人と全体の約5割を占めており、次いで精神障害が48,804人で、全体の約3割で、知的障害と精神障害で全体の約8割を占めているという状況でした。利用時間別に、それぞれの人数と割合を障害別にまとめていますが、割合が最も多いものに黄色、2番目に多いものに緑色を付けています。障害別に、Nの数が全く違うので障害ごとに人数と割合を出しております。
障害別に利用時間の割合を見てみると、週20時間以上の利用者の割合は知的障害の方が最も多くて83.6%なのですが、その次が身体障害の方でした。ほかの障害も見ていただくと、週20時間以上利用されている方が一番多いという結果ではあります。ただ今回の調査は、週20時間未満の方がどれくらいいらっしゃるのかということで、利用者の状況でも時間を把握しております。そうしますと、週10時間以上20時間未満については高次脳機能障害の方や、精神障害の方が多い割合を占めていて、週10時間未満については精神障害の方や発達障害の方が、それぞれの障害の中での割合では多いという結果です。円グラフを3つ用意しておりますが、週20時間未満の利用割合が多い3障害について表しております。
8ページです。その利用時間が、週20時間未満の者の状況について尋ねています。令和2年3月の利用者のうち、利用時間が週20時間未満の者がいると回答した事業所の割合は、全体のうち65.9%あったのですが、A型事業所は38.1%で、B型事業所は74.3%で、B型事業所の利用者の方が週20時間未満の利用が多いという実態が分かりました。利用時間が週20時間未満の者がいると回答した事業所から、最大5事例まで、どんな事例があるかということを回答いただいており、15,940事例の回答が得られています。その事例を見ていきますと、利用時間が週20時間未満の理由として最も多かったのは体調の変動・維持、それが60.6%であり、次いで症状・障害の進行が20.4%でした。
続きまして、11ページに移ります。その次の質問として、週20時間未満での就職を希望する方がどれくらいいらっしゃるかということを聞いています。週20時間未満での就職を希望する人がいる事業所の割合は14.5%と、利用者の割合と比べてグッと減るわけなのですが、A型事業所は8.7%で、B型事業所は16.2%でした。こちらもB型事業所において、週20時間未満での就職を希望する方が多いということが分かりました。その就職を希望する方がいると回答した事業所から、最大5事例まで回答いただいて2,546事例の回答が得られました。その事例の中で理由として最も多かったのは、体調の変動・維持であり、やはりこれも利用時間が20時間未満の方と同じ結果となりました。
続いて、スライドの14ページです。更に利用者の中で、職歴のある方が一部いらっしゃると思うのですが、その職歴のある方の中で、週20時間以上働くことが離職の要因となった方がどれくらいいらっしゃるかということを聞いたのが、このスライドです。週20時間以上の就労が難しく離職した者がいるという事業所の割合は6.0%、A型事業所が5.9%、B型事業所は6.0%と、ほぼ同じぐらいの割合でA型、B型にそういう事情の方がいるということが分かりました。そして、この質問でも同様に最大5事例まで回答いただいたところ、1,031事例の回答が得られました。
週20時間以上の就労が難しくなった理由として多かったのは、やはり症状・障害の進行、これが50%で、体調の変動・維持も同じぐらい49.2%ということで、この両方の理由が多いということが分かりました。
続いてスライド17ページに移ります。一般就労に移行した方がいらっしゃるかどうかということを、まず平成29年度から令和元年度の3年間について聞いています。こちらでは2,935事業所から回答が得られ、やはりA型又はB型から一般就労に移行するということが余り多くないというふうに見えますが、この3年間で一般就労に移行された方は8,688人、そのうち精神障害の方が4,556人と、半分以上が精神障害の方でした。そして、知的障害の方は2,678人で30%ぐらいですので、やはりここでも精神障害と知的障害で全体の8割以上なのですが、利用者の状況と比べると、精神障害と知的障害の方が逆転している形で、知的障害の方の利用が多いが、就職しているのは精神障害の方がたくさん就職しているというところです。
そして、雇用契約時点の労働時間について聞いています。現時点での労働時間ではないのですが、この表でも最も割合が多いものに黄色が付いており、2番目に多いものに緑色を付けております。一般就労移行者のうち、週10時間以上20時間未満での雇用の契約は821人。そして、週10時間未満での雇用契約は197人ということで、割合としては本当に10%も満たないのですが、一定いらっしゃるという実態が分かりました。
障害別に雇用契約時の労働時間の割合を見てみますと、週20時間以上での雇用契約は発達障害の方が92.8%と割合としては最も多く、知的障害の方が92.4%、身体障害の方は91.3%、精神障害の方も85.1%ですが、やはり20時間以上で働く方は全体の中での割合は高いというのは分かります。更に週20時間未満の働き方を見てみますと、いずれも高次脳機能障害の方や、精神障害の方が週20時間未満の働き方をしている割合が多いという結果です。ちょっと分かりづらい表で申し訳ないのですが、障害ごとに労働時間の割合を出したところでは、円グラフの一番左を見ていただくと、全体では一般就労に移行されている方は、週20時間以上の方が88.3%と多いですが、20時間未満の方も高次脳機能障害の方や、精神障害の方でその割合が多くなっているということが分かります。
18ページです。労働時間が週20時間未満で雇用契約をした方の状況です。事例としては、やはり就労の事例ですので事例数としては543事例と少ない事例ではありましたが、把握できました。週20時間未満の雇用契約であった理由は、やはり体調の変動・維持というものが最も多くて、次いでその他というものが25%あったのですが、その他の内容については、もともと求人の内容であった、会社の都合であったという記述が見られています。こちらについては分類を続けているところです。
最後に21ページ、本調査結果のまとめです。このような調査を実施したところ、就労継続支援事業所の利用者の中には週20時間未満での就職希望者が一定存在するということ、そしてその理由は、体調の変動・維持が理由である方が多いということが分かりました。そして、特に精神障害者を中心にそのニーズがあるということが分かりました。そして、一般就労へ移行された方の中で労働時間を週20時間未満とする雇用契約を締結した方は、体調の変動・維持が理由であるという方が多く、特に精神障害者の約7割は体調の変動・維持を理由としていました。そして職歴のある利用者の中では、週20時間以上の就労が離職の要因であった者の具体的な理由は、全ての障害において症状・障害の進行と体調の変動・維持の2項目が多いということが分かりました。以上のことから、障害者就労継続支援事業所の利用者や、そこから一般就労に移行された方、特に精神障害者の中には週20時間未満での働き方を認めるなどの配慮がなされることで、体調や症状の安定を図りながら働くということが可能な方もいるのではないかと考えられます。以上で、報告を終わります。ありがとうございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がございましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、私が指名した後に聴覚、視覚障害者の方々の皆様への情報補償の観点から、お名前を名乗って御発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、小出委員の手が挙っているようですので、小出委員お願いいたします。
○小出委員 ありがとうございます。育成会の小出です。特に、障害種別をそれぞれ分類して調査いただき、ありがとうございます。1つ、19ページのデータ、これの知的障害、よろしいですか。知的障害のこの20時間未満である理由、そこのところが知的障害の場合だけ、その他が一番多くなっておりますが、その他の内容はどういう内容でしょうか。
○阿部分科会長 はい、どうぞ。
○野澤研究員 野澤です。その他の内容には、求人内容が短い時間で設定されているという、御本人の事情でない場合や、会社の都合、そして中には知的障害の方で少しずつ慣れるために、短い時間から仕事を始めているという記述もありました。
○阿部分科会長 小出委員、よろしいですか。
○小出委員 はい、ありがとうございます。
○阿部分科会長 では、長谷川委員お願いいたします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。御説明、どうもありがとうございました。今回、就労継続支援のA型とB型を調査の対象になさったということですが、就労移行支援事業所を対象とされなかった理由というのは何かあるのでしょうか。
○阿部分科会長 では、お願いします。
○野澤研究員 野澤です。今回、就労継続支援事業所というのは、一般就労が困難な方、あと、一般就労経験があった離職した方が含まれているということを想定して、週20時間未満の就労ニーズの把握ができるのではないかと考えたのが1つあります。そして、就労移行支援事業所については、A型事業所やB型事業所とは異なって、週20時間以上の一般就労を希望する方が多くいらっしゃるというふうに考えて、週20時間未満での就労ニーズが少ないというふうに考えました。そういうことが理由になります。
○阿部分科会長 長谷川委員、よろしいですか。
○長谷川委員 分かりました。ありがとうございます。
○阿部分科会長 ほかに、何か御質問等はございますか。よろしいですか。それでは、野澤様ありがとうございました。
○野澤研究員 ありがとうございます。
○阿部分科会長 では、議題(2)に移りたいと思います。議題(2)について、では事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。資料2に基づいて説明いたします。1ページです。今回、情報共有させていただきたいテーマは大きく2つあります。1つは、対象障害者の範囲についてです。もう1つは、短時間勤務者、いわゆる20時間未満の就業をされている方です。なお、対象障害者の範囲については、前回も手帳を持たない精神障害者等について御議論いただきましたが、今回もその追加です。基本的に手帳を持たない難病の方、発達障害というテーマが2つ含まれております。順次説明いたします。
ここからの部分は、難病の関係について資料を取りそろえております。4ページです。指定難病の対象疾病数と指定難病受給者証の所持者数の推移を載せております。疾病数で申し上げると、平成26年12月31日の110という所から27年7月で306と急増しております。これは、平成27年1月の難病法の施行によるものです。そもそも、原因不明で、治療法が未確定である病気であっても医療費助成の対象となっていない疾患が多くあった旧制度の中で、難病法は、不公平感を排除するために対象疾患の拡大が1つの目的になっておりましたので、新たな枠組みの中で指定数が進んだということかと思います。それ以降はほぼ横ばいで、現在は333の疾病が指定されております。併せて、所持者数についてもほぼ横ばいの状態で推移しております。
5ページです。こちらは旧事業に基づいたデータしかありませんでしたので、それを御参考までに載せております。疾患別の受給者数の推移です。受給者数が最も多いのは消化器系の疾患である潰瘍性大腸炎、次はパーキンソン病、次は全身性エリテマトーデス、4つ目の水色の線は強皮症という皮膚の疾患、次はクローン病という形で続いております。
6ページ以降は、現在の333疾患の一覧を御参考までに載せております。
11ページです。指定難病疾患者への医療費助成の概要です。医療費助成としては、指定難病にかかっておられて、大臣が定める程度に該当すれば対象者となり得ます。対象となった場合には医療費に係る自己負担について一定の措置がなされます。基本的には7割は医療保険、3割は自己負担ですが、所得に基づいて月額の上限額がそれぞれ設定され、その上限額までの御負担ということになります。例えば、医療費2割に対して自己負担額が上回る場合には、医療費の2割までを負担していただくという措置がされるようです。国庫負担率は1/2ということで運用されております。
12ページです。特定医療費受給者証のひな型を御参考までに載せております。病名の確認、自己負担額等が記載されております。13ページ以降は、手帳等についてデータを載せております。13ページです。難病患者の障害者手帳の所持割合です。しづらさ調査に基づいての結果ですが、この調査によると、難病患者のうち約56%の方が障害者手帳をお持ちになっているということです。一方、JEEDが行っている患者団体等を通じた調査によると約3割というデータもありますので、全体として共通して言えるのは、手帳をお取りになっている方については、当然、身体機能に後遺症が残るということも踏まえ、身体の障害者手帳を取っていらっしゃる方が大半であるということです。
併せて、各個別の疾患ごとに手帳の取得割合等に非常に大きなばらつきがあるのが特徴です。例えば、網膜色素変性症という視覚系の疾患では8割以上の方が身体手帳をお取りになっている一方で、神経や皮膚に関連する難病の場合は1割に満たない方しか手帳を取っておられないということで、大変ばらつきがあるということです。もう1つの特徴は、下のほうの年齢構成を御覧いただくと、手帳所持者の割合や患者の状況を見ると高年齢者が多いのが一つの特徴です。
14ページです。難病疾患の中で就業している方たちの状況を紹介しております。これはJEEDの調査です。難病患者の中で就業中の方は、この調査によれば54.2%です。一方、非就業者の状況が下のほうに書いてあります。53.7%が主婦等家事手伝い、7.8%が学生等ということになっております。
15ページです。難病の方たちの就労の困難性について紹介しております。共通する部分は全体的な体調の崩れやすさということで、体調変動、ストレス耐性が弱い、倦怠感、集中力の低下などが上げられております。一方、それぞれの難病疾患群により生じ得る機能障害等はまちまちであるということ、併せて、個々人の治療の状況等に基づき、様々な症状があり個別性があるということです。
ただ、難病自体は慢性疾患ですので、体調の良いときには健常者と変わりなくお仕事ができるという状態である一方、体調が崩れると一気に離職しなければならないという状況になり得るということで、症状の安定のためには、通院や治療に関する自己管理が生涯にわたって続くということ。その裏返しとしては、定期的な通院や疾患管理上の業務制限などをしっかり配慮していただければ、就業される方は多いのではないかと考えております。
16ページです。主な指定難病の概要を載せております。13.5万人というデータがありますが、パーキンソン病については高齢者が大変多いということで、下の年齢構成を御覧いただくと約8割が70歳以上です。次の消化器系疾患である潰瘍性大腸炎やクローン病は、実際の治療は数箇月で終わり症状が安定するということで、就労継続自体は可能になってくる方たちかと思います。
それから、全身性エリテマトーデスは女性に圧倒的に多い病気で、膠原病の一種で体の各部位に炎症が起こります。多くはステロイド剤などの服用により、症状を抑えつつ普通の生活を送り就業している方も多いかと思っております。最後の後縦靭帯骨化症は、骨の病気です。体のこわばりや痛みですが、この辺りも業務上でいろいろな配慮をしながら就業している方が多いのではないかと思っております。
17ページです。ハローワークでの紹介状況等を載せております。令和元年度については、ハローワークシステムの刷新の影響で数字が若干ぶれております。ここを少し割り引いて見ていただいても、求職者数や就職件数が右肩上がりで上がってきております。18ページです。先ほど紹介した患者数の多さと併せて、パーキンソンについては高齢者が多いということですので、ハローワークの取扱いの状況を見ても、新規求職登録の中で多くを占めているのが消化器系疾患の潰瘍性大腸炎やクローン病、全身性エリテマトーデスについて以下のような状況になっております。こうした難病の患者の皆様方については、特別に難病患者就職サポーターという専門スタッフを配置して、地域の難病相談支援センターなどとも連携しながら就職の支援を行っているところです。実績については、20ページに載せております。
21ページ以降については、手帳を所持していない発達障害者の情報を共有させていただいております。21ページです。やはり、令和元年度については捨象していただき、右肩上がりでの傾向は難病と同じです。22ページです。発達障害で手帳を持っていらっしゃる方の割合を載せております。発達障害者のうち、約7割以上が手帳を所持しているということです。手帳を所持している方の約7割が療育手帳という結果になっております。年齢別に見ると難病とはかなり異なっており、10~69歳で約84%が手帳を持っており、比較的若年層に手帳の取得者、あるいは、障害者の数が多いという状況になっております。
23ページです。発達障害の方たちの離職状況について載せております。具体的な離職理由としては、障害・病気のためが多いのですが、それに続いて、業務遂行上の課題や人間関係の悪化が続いております。一方、離職を防ぐことができたと考えられる職場での措置等については、コミュニケーションに関する支援が一番に上がっております。
24ページです。発達障害者の就労上の困難性ということで、比較的多くの指摘がある部分として、社会性、コミュニケーション、こだわりの問題を上げております。社会性の問題としては、暗黙知を認知するのが非常に難しく苦手であるということで、こうした方たちに対して直接、具体的に説明することが効果的であると言われております。また、苦手な音や文字、情報がある方もいらっしゃるので、落ち着いて集中できる環境を整えることが効果的であると言われております。
2つ目のコミュニケーションの問題については、タイミングよく質問できない、感情のコントロール、電話の対応についてなかなか難しいというところがあります。こういうことを配慮して、気付いたらこちらから声を掛けるなど、同じように環境を整えることが効果的だと指摘されております。
それから、こだわりの問題としては、複数のことを行う際に優先順位を付けにくいということ、あるいは、経験したことがないことに対して不安をお感じになったり、予定が急遽変更になると同じように不安になるということで、あらかじめ、作業時間や工程を明確にする、あるいはメモを取って、御自身の中でしっかり落とし込んでいくということが効果的であると言われております。
次のページです。これは御本人が職場への要望として上げておられるものです。分かりやすい指示、仕事が変更になるときには前もって伝えてほしい、優先順位を示してほしいということで、発達障害の方の困り感を表しているかと思っております。
26ページ以降です。このような方たちに対して、ハローワークでは発達障害者雇用トータルサポーターを配置して、地域の発達障害者支援センターなど、関係機関とも連携して就職支援をしているという紹介です。27ページには実績を付けております。
28ページ以降は、最近、特に課題認識を持っている学生の状況です。日本学生支援機構の調査です。上のほうですが、2009年と10年後の状況を比べております。障害学生の数の状況です。2009年と比べると圧倒的に多くなっているのは病弱・虚弱ですが、その後に続くのは精神障害、次に発達障害の増加が著しいのが見て取れます。
また、※書きに記載があるように診断書を持っていなくても、例えば、支援をするキャリアセンターなどの職員から疑わしいと思われている発達障害者の学生が2009年では809人であったのが、2019年は2,854人ということで、増加が著しいということが分かります。一方、こうした学生に対して、下のほうの就職の状況を見ると、障害全体として77.7%に対して発達障害は61.1%と最も低調になっている状況です。
29ページです。これは精神障害の方に対しての調査なのですが、発達障害ということを御自身が認知するきっかけはどういうものなのかということを、御参考までに載せております。作業上のトラブルやコミュニケーション上のトラブルということで、学生時代等にはなかなかこういうことに気付きにくいのですが、職場においてミスが減らない、コミュニケーションのずれなどから御本人が気付いたり、あるいは、そういうことをきっかけに専門家への御相談や書籍、インターネット等の情報に当たり気付くということが見て取れます。
30ページです。もう1つの課題は、障害の開示状況です。発達障害の方について、就職の時点での開示の状況を見ているものです。障害者の全体平均は、障害をクローズにして就職される方が約3割であるのに対して、発達障害の方は5割以上で53.5%ということで非開示で就職される方が多いということ。それから、下のほうの棒グラフを見ていただくと、就職の時点で開示している方が2割強であることに対して、就職の時点では非開示で就職されて途中で開示される方も8.8%と大変少なく、大体の非開示の方たちは、退職の時点まで非開示を通されているということが状況として分かっております。
最後のページです。こうした学生等に対して、今年度から私どもが対応している施策について紹介申し上げております。これまでの学生支援は、グレーゾーンの方を中心に大学等との連携の中で、特別支援チームでハローワークで対応してきた枠組みがあります。今年度からは私どもがこの特別支援チームに参画して、障害の認知を明確にお持ちの方や手帳をお持ちの方、障害学生に対して支援を行っていこうと考えております。
これまでの支援とは異なり、特に企業サイドへの対応を新たに加えております。障害者であることを前提とした事業所の見学、あるいは、インターンシップの開拓、個別求人開拓、それから、個々の特性を踏まえた雇用管理上の配慮などもしっかり助言させていただきながら、定着に対しての支援を行っていくという枠組みをスタートしております。以上、ここまでが発達障害の部分です。
次のテーマは、20時間未満の短時間勤務者の取扱いについてです。34ページ以降に資料を載せております。先ほど来、JEEDからの御報告の内容もありましたので、それと併せてこちらの資料を踏まえていただければと思っております。
まず、34ページは、当分科会でも御議論いただき、令和元年改正で措置している特例給付金について資料を載せております。本特例給付金は下限を10時間と設定し、20時間未満の一定の働き方に対して支援をしていこうという枠組みで、この特例給付金は昨年の4月からスタートしております。昨年度の実績については、現在、正に申請中です。状況については、見えてきた段階で共有させていただければと思っております。
35ページです。障害者雇用実態調査による20時間未満の割合を載せております。身体、知的、精神の3障害について、労働時間別の構成比をそれぞれ載せております。やはり、全体的に20時間未満の割合は大変少ないのですが、特に精神障害について、平成25年から30年で伸びが著しいことが分かります。
最後のページです。これはハローワークにおける求職の状況等を示しております。ハローワークにおいて、20時間未満で働きたいということで求職登録を行っていらっしゃる3障害について比べております。身体と知的は少ないけれどもある一定数こういう働き方を希望しておられるのに対して、精神障害者は、より一層そういう傾向が強くあります。それから、右側は、その就職の状況です。20時間未満の就職の実績は、3障害ともにそれ以上の労働時間に比べると苦戦している状況です。求人サイドのデータが取れないので推察ですが、雇用率の達成に向けて求人をお出しになるという事業所の状況と、20時間未満で働きたいという方たちに対する困難性を合わせ持っている状況かと思っております。説明としては以上です。よろしくお願い申し上げます。
○阿部分科会長 それでは、質疑応答に移ります。御質問、御意見がございましたら手を挙げるボタンをクリックしていただいて、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言していただきますようお願いいたします。それでは、内田委員、お願いいたします。
○内田委員 御説明いただき、ありがとうございます。労働側の内田です。私からは、要望を1点述べさせていただきます。資料2の35、36ページの障害種別の週所定労働時間別構成比では、いずれの障害種別においても20時間未満の者が一定程度存在しており、その中でも、特に精神障害者の割合が増加傾向にあります。一方、希望就業時間別の就職率では、ほかの時間数別に比べて、いずれの障害種別においても週20時間未満が低くなっています。これは企業が採用する際に、20時間以上の法定雇用率を意識していることが影響しているのではないかと思われます。
また、先ほど資料1で御説明いただいたJEEDの調査によると、週20時間未満の労働時間とする雇用を結んだ者が、「なぜ20時間未満を希望するのか」という質問で、体調の変動や維持に関する理由が最も多いとされています。そのようなことを踏まえれば、20時間未満の就労であったとしても、企業に合理的配慮などを実施するためのインセンティブを付与することで、障害者の就職を支援し体調や障害による症状などを勘案した上で、労働時間を引き当てていくような取組も必要ではないでしょうか。また、働く時間が長くなれば比例して得られる賃金も高くなることから、そうした支援の在り方についても是非御検討をお願いします。私からは以上です。
○阿部分科会長 御意見ありがとうございました。それでは、続いて、森口委員、お願いいたします。
○森口委員 労働側の森口です。私からは、手帳を所持しない者の取扱いについて意見させていただきます。今後、対象障害者の範囲を検討することになると思いますが、労働側としては、手帳の有無にかかわらず働きづらさを抱える者が、必要な合理的配慮を受けて働くことができる共生社会を作っていくことが必要だと考えております。
難病や発達障害については症状が多様だと思いますし、その中には、働くことのできる様々な障害者もいることから、手帳を取得できる者は従来の枠組みを前提としつつ、手帳を取得できない者については、個別に就労困難性を判断した上で雇用率にカウントする考え方があってもよいのではないでしょうか。以上、意見です。
○阿部分科会長 御意見ありがとうございました。では、続いて、高橋委員、塩野委員、新田委員の順番でお願いいたします。まず、高橋委員からお願いいたします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。私から意見を述べさせていただきます。まず、資料2の「1対象障害者の範囲について」です。障害者手帳を所持しない障害者の取扱いについては、先月の分科会でも申し上げているとおり、障害者の就労支援促進の観点から、法定雇用率の算定対象に含めることを、是非、前向きに検討していただきたいと思います。
一方、資料2の5~10ページを拝見すると、指定難病の種類は非常に多岐にわたっています。また、21ページ以降に掲載されている発達障害者については、22ページの「発達障害者の障害者手帳所持割合」を見ると、療育手帳所持者が最も多く、次に精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳の取得者となっています。これまでも発達障害者に関する議論が様々行われていますが、今一度、療育手帳が多いということを確認する必要があると思います。
したがって、障害者手帳を所持しない難病患者や発達障害者を、どの程度法定雇用率の算定対象に含めるかについては、今後、慎重な検討が必要であると考えます。また、手帳所持割合とアンケート回答内容を比較し、今後の大事な方向性を判断する際に、アンケートの母集団を明確にした上で分析結果の共有を行うことが非常に重要であると考えているため、次回より是非お願いしたいと思います。
一方、難病患者就職サポーター、発達障害者雇用トータルサポーターなどによる専門的支援の実施により就職率も年々上昇しており、障害のある本人や企業にとっても良い仕組みであるため、今後もより充実していただきたいと思います。
なお、多くの中小企業はコロナ禍の厳しい経済状況において、現在でも雇用調整助成金等を活用しながら、「事業の継続」と「雇用の維持」に懸命の努力をしているのが実態です。
加えて、100人未満の中小企業の雇用率が1.74%にとどまっている中、コロナ禍で障害者の業務が減少しており、「雇いたくても雇えない」状況がいまだに続いています。現下の経済状況や障害者雇用の実態を踏まえると、本年3月1日に実施された法定雇用率0.1%の引上げでさえ、中小企業にとっては厳しく反対する声も多かったことから、仮に手帳を所持していない方を法定雇用率の算定対象に含めることで障害者雇用が進んだとしても、法定雇用率は更に引き上げるべきではないことを重ねてお願い申し上げます。
次に、資料2の「2短時間勤務者の取扱いについて」です。35ページを拝見すると、「精神・週所定労働時間別構成比」における週20時間未満の障害者の割合は、5年ごとに着実に高まっています。
一方で、同資料の36ページの右側の「ハローワークにおける希望就業時間別の就職率」を拝見すると、身体障害者、知的障害者、精神障害者いずれも、20時間以上に比べ20時間未満の就職率の割合が低い傾向にあります。
したがって、短時間労働を希望する障害者の雇用を、定着支援を含めて丁寧に後押しすることで障害者雇用の底上げを図る観点から、先月も申し上げたとおり、「精神障害者である短時間労働者に関するカウントの特例」については、是非、令和5年4月以降も引き続き維持していただきたいと考えております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、塩野委員、お願いいたします。
○塩野委員 使用者側の塩野です。企業の立場から、2点意見を申し上げたいと思います。
1点目は、雇用率制度の対象者の範囲、手帳を所持しない方についてです。特定医療費受給者証などの目的は医療費の負担軽減を図るために発行されているものであり、手帳と同様に雇用率のカウントに使うことにはとても違和感を感じています。また、ひな型を見ると、記載事項の中には雇用率制度上に必要ない項目もかなりあるため、受給者証をお持ちの方の中には企業に提出することに抵抗のある方もいるのではないでしょうか。雇用率については現行どおり、あくまで、手帳所持者に限定したほうがシンプルで、企業としても対応しやすいと考えています。
2点目は、週20時間未満の短時間勤務者の取扱いについてです。今後、精神障害のある方の雇用が増えていくと思われる中、職場に慣れるまでの間、体調の不安定なときなどの対応として、短時間勤務は有効な施策ではないかと考えています。また、弊社でも精神障害の方に限らず、何かをきっかけに体調を崩す社員がいます。現在であれば、一定期間休んだ後に出勤や勤務の訓練などをして個別の対応を行っておりますが、やはり、個々人によって症状等が異なることを考えると、体調が悪い期間の選択肢の1つとして週20時間未満の短時間勤務はあってもいいのではないかと思います。その際、引き続き雇用率もカウントできるようにしていただけると企業としては大変有り難く、是非、お願いしたいと思っています。ただ、恒常的な短時間勤務については、業務の切り出し、あるいは、一緒に働く社員との連携など、企業としては検討すべき課題がまだまだ多いと考えています。私からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、新田委員、お願いいたします。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。私から、今回の論点2つについてコメントさせていただきます。まず1つ目の手帳を所持しない者の取扱いについて申し上げます。企業が障害者を採用し、合理的な配慮をしながら雇用していく上で、手帳は重要な役割を果たしていると考えております。こうした実態を踏まえれば、雇用率制度の対象者の範囲については、基本的に現行の手帳所持者を対象とする枠組みを維持すべきと考えているところです。
近年、企業では発達障害者の雇用を増やしてきておりますが、企業の担当者の方々からは、発達障害に対する偏見などから、手帳を取得しにくい状況があると伺っております。そこで、当面は社会全体で発達障害に対する理解促進を図りながら、手帳を取得しやすくなる環境整備に取り組んでいくことが優先課題と考えているところです。また、障害者雇用に積極的に取り組んでいる企業の方々からは、手帳を所持していたものの、医師の判断で更新されず、手帳を失った社員の雇用率上のカウントが問題になっているという声が聞かれているところです。手帳を保持しなくなっても企業は雇用を継続し、就労に当たっての配慮はほとんど変わらないにもかかわらず、カウントから外れるということになります。こうしたケースについては、引き続きカウントできるように検討すべきと考えております。
次に、短時間勤務者について申し上げます。企業では、障害を持つ社員の週20時間未満の短時間勤務は、体調が悪化した場合など、一時的な対応として実施していることが多いと承知をしております。今後、精神障害者の雇用増大が見込まれる中、先ほど資料1の中での調査でも紹介がありましたように、体調の変化に応じて一時的に短時間勤務を可能とすることは、多様で柔軟な働き方の1つの選択肢でもありますし、障害者雇用を今後更に促進していく上でも、非常に重要と考えているところです。短時間勤務となっても、企業に求められるマネジメント上の配慮には変わりがなく、更なる配慮が必要な場合もあり得ると考えております。こうした状況を考慮して、やはり一時的に週20時間未満の就労となった場合には、雇用率上のカウントができるように検討していくことが望ましいと考えているところです。私からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。続いて、佐渡委員、山内委員、長谷川委員の順番でお願いいたします。
○佐渡委員 愛媛県ビル管理協同組合の佐渡です。今回、全国中央会様からの意見と、私から意見を述べさせていただきます。まず自立支援医療受給者証についてですけれども、障害者のカウントについて前回の分科会でも協議されましたが、手帳の他に受給者証による医療費の助成対象を行っている方を雇用した場合も、カウントを加算していただくのがよいと考えます。また今回、資料にありますように、指定難病の中にも症状に応じて、各手帳を保持されている方がおられますので、まずは自立支援医療受給者証の保有者に拡大して、状況を見てみるのがよいと考えております。
次に、発達障害者雇用ポータルサポーターです。サポーターの方々の業務の広範囲、専門性、必要性については十分理解できるのですが、就職支援ナビゲーターなど、人数加算の予算化など、雇用保険二次事業予算にも見られますように、徐々に厚生労働省の正規職員でなく、このような業務別名称を使って、必要があるから人数が拡大する傾向にあるのではないかとも思います。まず支出項目があり、それに合わせた収入として、障害者雇用給付金を増加していく傾向にあるのではないかと感じます。企業経営であれば、目標売上げがあり、収益を確保するためにそれに応じた費用としてコストを算出するわけですが、費用に係る対象範囲を拡大することにつながる発想ではなく、現在の納付金会計の収入の範囲内で収まるように、各地域で同様な雇用安定に関わる業務を行う方を使っていけるような工夫をしていただくことも必要だと感じております。
私の意見なのですけれども、短時間労働の方の件です。現在、私どもの会社は213名中136名が、20時間未満の雇用状況となっています。これは、業種によっても違うとは思いますが、少子高齢化が進む中、特に中小企業において障害者雇用を促進する上でカウントすることも、1案であると考えております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。山内委員、お願いします。
○山内委員 使用者側委員の山内です。私からは2点お伝えしたいと思います。1点目は、手帳を所持していない者の取扱いについてです。これは使用者側の意見としてですが、発達障害とは把握せずに採用し、コミュニケーションがうまく図れない等の理由によって、残念ながら退職を余儀なくされるケースは少なくないと認識しております。手帳を取得しやすくする環境整備や、障害を有していることを踏まえて就職活動に臨む。先ほど御説明いただきました31ページのような、大学等に対する働き掛けは、非常に有り難い取組と受け止めておりますので、是非とも進めていただきたいということが1点です。
もう1点は、いわゆる短時間勤務の取扱い、週20時間未満の就労についてです。私ども企業、特に約1,000人以上規模の身体障害者の方々についてですが、かなり高齢化が進展していることと、その多くが身体障害を抱える方という現状があります。一方で、先ほどの御説明にもありましたように、近年の就職希望の多くに知的障害者の方が多いということで、我々は今後多くの方々が高齢化を迎える中で、同じように仕事をシフトしていくような形を検討するのですが、やはりこれがなかなか身体障害を持たれている方から知的障害の方に、安易には仕事のシフトができないというのも現状です。業務のマッチングとか、更なる職務開拓には課題が多い中で、引き続きこのカウントの取扱い等を当面継続していただけると、非常に有り難いということです。私からは以上2点です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。私からは、手帳を所持していない者として、難病と発達障害について御説明がありましたので、この点について意見を述べさせていただきます。説明の中にもありましたけれども、難病などについては特に症状が非常に多様だと思います。それによって、働くことに対する影響も多様で、ほとんど影響がない方から、非常に重大な影響がある方もいらっしゃるということですので、このようなことを前提とすると、一律に雇用義務の対象とするということは望ましくないと、私自身は考えております。その上で、先ほど森口委員もおっしゃったと思うのですけれども、ただ非常に個別性があるということですので、個別に就労困難性を評価して困難性が高いと判断された場合には、その場合に限って雇用率にカウントするというような、個別の対応も今後検討していくべき時期に来ているのではないかと思っております。
加えて、雇用促進法が2013年に改正されて、合理的配慮の提供義務が導入されたわけですから、もっと制度として、合理的配慮の提供義務が徹底されるべきだと思います。雇用義務の対象になるから配慮するではなくて、たとえ雇用義務の対象にならないとしても、そういった配慮が必要な障害者に対しては、促進法上の義務である合理的配慮の提供義務に基づいて、しっかりと配慮がなされるように制度を徹底していくべきだと考えております。私からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。岡本委員、お願いします。
○岡本委員 労働者側の岡本です。私からも、将来的な課題として、いわゆる手帳の有無に関わらない働きづらさを抱えている労働者に関して意見です。今回、難病関連と発達障害の関係の資料を出していただきましたけれども、どちらのサポーターも大体各県に1人か2人といったようなサポーターの人数です。それに加えて、表の20、27ページの支援件数等を見ると、かなりいっぱいいっぱいではないかと思います。その上で、また今後の個別対応といったようなことも、労働側としては課題感を持っておりますので、そういった意味でもこういった各種サポーターの拡充は必須ではないかと思っております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。会場から倉知委員から御発言がありますので、倉知委員お願いします。
○倉知委員 会場から失礼します。公益委員で九州産業大学の倉知です。私からは、まず対象障害者の範囲の件です。発達障害のある方は、今は仕事上の支障がある場合には、全て精神障害者保健福祉手帳の取得が可能なので、私はここに一本化していいのかなと思っています。問題は、難病なのです。難病の方イコール障害のある方ではないと。様々な障害者手帳で救えるのですが、救えない難病があって仕事をする上で支障があるけれども、障害者手帳の範囲で救われないものがあると思っていて、1つが痛みなのです。痛みがひどくてできないというのは、障害者手帳では拾えないと。もう1つは、疲労です。要するに、疲れて体調が悪化していく、それも障害者手帳で拾えないのです。あとは、変化です。いいときと悪いときがある、この変化も障害者手帳では拾えないので、この3つの評価で救えるような評価スケールを開発することで、難病の方で仕事に支障のある方は救えるのかと思います。その研究開発を、そろそろ検討する時期にあるのではないかというのが、私の考えです。
それから短時間雇用についてですが、今日のJEEDの報告でもあったように、一定数の短時間雇用の方が、全ての障害でいらっしゃるということは、もはや特例で対応する時期ではないのではないかと思います。継続的に考える必要がありますが、私の考えとしては、本人側の理由で短時間雇用となる場合には、何人かを合わせて常勤換算していくという方法を導入する時期にきているのではないか、これが私の考えです。以上2点です。
あと1点、ちょっと教えてください。発達障害の学生にハローワークの特別支援チームが対応していらっしゃいますが、これはどういう流れで学生の支援につながっていくのでしょうか。大学に学生がいて、ハローワークの支援チームとどうつながっていくのかということを教えていただけたら有り難いです。私からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。では、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御質問のありました大学等と連携いたしました特別支援チームについてです。これは、まだ設置箇所数がモデル事業に近くて、10数か所です。やはり大学側の御協力もないと、今、正に倉知委員がおっしゃったように、学生さんをどうつなげていくかというところがクリアできませんので、そういう意味では御協力いただいて協定を結ばせていただいた大学に対しては、就職に対しての支援を行っているキャリアセンターなどに、直接的にハローワークのチームのメンバーが例えば巡回するとか、一定の曜日については常駐するといったようなことからつながっていく。あるいは、大学と連携することによって、大学側からの積極的なアプローチで特定の学生をつなげていただくといったような形で、全体的な取組というよりは、まずはモデルケース的に個別の好事例を積み重ねていって、全国に波及していくものかなと思っています。現状としては、そのようなことです。以上です。
○倉知委員 その協定を結ぶというのは、ハローワークのほうから大学に働き掛けて協定を結んでいるのでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課課長 おっしゃるとおりです。
○倉知委員 ありがとうございます。
○阿部分科会長 ほかにありますか。小出委員、眞壁委員、小原委員の順番でお願いいたします。
○小出委員 今、倉知先生から大学での発達障害のお話が出たものですから、現在の学校教育ですけれども、特別支援教育が始まって10年以上経つということで、実は義務教育の中の特別支援教育を受けている、特別支援学級にいる生徒の中学校卒業以降の進路先が多様化しており、特にフリースクールに行くという希望者が非常に多くなっております。その中には、特別支援学校の高等部に入れない子たちもいるのですけれども、中には養育手帳を持ちながら特別支援学校ではなくてフリースクールのほうを選ぶというのが、今は特別支援学級の中学校の卒業生の40%ぐらいを占めているというのが、私の地元がそうです。その子たちが、大学と同じようにフリースクールというのは、職業教育的なことが一切ありませんので、単位を取るということが目的であって、キャリア教育あるいは実習というものが、3年間ほとんどありません。そういう子たちが、3年間高等学校で過ごして卒業してくるということが夏ぐらいに問題になりました。職業準備制度が整っていないということを言われている、今の就職に向かっている子たちのナカポツとかハローワークでの現状です。その間、大学だけではなくて高等学校の年代も手をつけるべきではないかと思っております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。眞壁委員、お願いします。
○眞壁委員 全国精神保健福祉会連合会の眞壁です。先ほど精神障害者のことで、調子が悪いときには20時間以下にというお話もありましたけれども、私は基本的にはもちろん20時間以上働ける人は大勢いると思うのですけれども、やはり非常に疲れやすい人たちが多いので、1回体調を崩しますとまた復帰するのにものすごい時間が掛かります。そういうことを考えると、余り無理をさせて体調が落ち込んでということになると、結局退職せざるを得ないみたいなことになりますので、やはり20時間未満で働く人たちが雇用率にきちんとカウントできるような形を、先ほど倉知先生からもお話がありましたけれども、そういうことを制度として考えていただけたら有り難いと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。小原委員、お願いします。
○小原委員 若干本質とずれるのですが、2点です。統計についてなのですけれども、先ほどどなたかから母集団をということでしたが、母集団は恐らく明確だと思うので、説明するだけで終了なのだと思うのですけれども、むしろ対象となった調査をして対象となった標本が、回収が50%でかなり高い回収率、25%で高いなという高さだけではなくて、そこに歪みがあるかと。答えやすい企業が答える、答えやすい人が答えるというような、あるいは困難者ばかりが答えるというような歪みのほうが、多分大きな問題になると思います。標本の説明は、今回説明を受けたときもそうだったのですけれども、もう少し丁寧にあると有り難いかなという気がしました。
2つ目は、最後に見せていただいたハローワークにおける就職率のような統計なのですけれども、例えばここで20時間未満の短時間の所で就職率が低いということなのですけれども、この意味は先ほどの説明に求人の情報が全くないので、予想にしかならないのですけれどもというお断りを、そのままのことを繰り返させてもらうのですけれども、必ずしも20時間未満の所を企業が採用していないという統計にはなっていないと思うのです。20時間未満の人の求職側のタイプ、例えば精神障害者の中で、20時間未満を希望している人のタイプなのですけれども、その人たちが非常に就職困難になりやすい人であったら低い統計が出てくるわけで、必ずしも企業がここを手控えているということには多分なっていない統計なので、企業がここを欲していないという証拠には全然なっていなくて、注意して読まないといけない所が出てくるので、そういうちょっとした解説は口頭の中には求人側の情報がなくてというのがありましたけれども、解説としては文字であってもよかったかなという気がしました。以上です。お答えは頂かなくて結構です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、この議題はこの辺りにして、次の議題に移ります。議題(3)について、事務局から説明をお願いいたします。
○大谷障害者雇用促進研究官 障害者雇用対策課障害者雇用促進研究官の大谷です。よろしくお願いします。今般の実態把握ですが、令和元年の障害者雇用促進法の改正案に対する衆参附帯決議において、地方公共団体における障害者差別禁止及び合理的配慮の提供義務の実態把握と公表が求められていることから、実施しました。結果については、3月10日に厚生労働省のホームページに既に掲載させていただいております。
御承知のとおり、地方公務員にあっては、差別禁止は障害者雇用促進法については適用は除外されます。一方、合理的配慮の提供義務に関しては、同法が適用されます。一方で、法の義務の履行を確保するために、助言・指導・勧告を行っておりますが、これらは適用されない。このような法体系であります。その中ではありますが、地方公共団体が自らの取組を進める上での参考になるようにということを考えながら取りまとめを行い、公表いたしました。
以下、概要を説明していきます。1ページの実施方法です。今回はWEBを用いて行いました。以降、調査結果については、主な設問を取り上げて御紹介してまいります。
2ページの1です。このアンケートの回答割合ですが、通報義務がない、法定雇用率の義務が掛からない規模の団体も含まれている可能性がございますので、ここは留意点として申し上げます。
3ページの2ですが、こちらは差別禁止に関する周知ですが、27.3%が「周知していない」という回答でした。あと、周知に関しては都道府県や政令市が進んでいるという結果になっております。
4ページの3ですが、差別への取組で「取り組んでいる」か、お聞きしております。条件としては、法令で規定された基準どおりに実施・運用しているという条件での回答となっております。
その下の4は、差別の禁止について課題に感じていることです。「本人の適性や能力から配置できる部署が限られる」が72.2%と大変高い割合になっています。実はJEEDによる民間調査と聞き方や選択肢が異なるものもありますが、同じ設問も多く設けておりまして、この設問について算出方法をそろえますと、非常に近い割合になります。したがって、これは官民両方で同じ考えであることが見受けられると思います。
6ページの5では、合理的配慮指針についての周知を問うております。33%が「周知していない」という回答でした。こちらも、都道府県や政令市が進んでいるという結果になっております。
7ページの6では、採用後における合理的配慮の対応についてまとめております。
7では、合理的配慮の提供について取組を進める中での課題等を問うています。ここでの特徴としては、「配置転換や業務内容の切出しが難しい」が46.8%と高い割合となっております。こちらの理由についてですが、あらかじめ申し上げますと、今回の調査はヒアリングや追加アンケートを行っておりません。このため、理由の特定は難しいのですが、自由記載からいろいろと当たってみますと、難しいということに関しては、ノウハウの問題、そのほかに休憩スペースなどの設備的な問題、それから、窓口業務を回避しなければいけない場合の配置先の問題、さらには、他の職員の負担が大きいといった認識等が、背景にあるようにも考えられます。この設問についての民間との比較ですと、17ポイントほど地方公共団体のほうが高いという結果となっております。
9ページの8は、今申し上げた設問に対する行政区分別の結果です。各質問ごとに傾向が異なっているように見えます。
ここからは、職員を対象とした調査結果となります。12ページの3を御覧ください。今回、回答いただいた方で、行政職が約8割弱、雇用形態は7割以上が常勤職員でした。ちなみに、JEEDの民間調査では事務職が約4割、正社員が約5割です。この後、クロス集計を御紹介させていただいておりますが、こちらについてもなかなか確定が難しい項目もあるかと思いますが、まず御報告させていただきたく存じます。
14ページの5で、「差別があると思う」、「差別がないと思う」の上位の3項目をまとめております。それから、その下ですが、差別が「あると思う」との回答に関する障害種別の比較を設けております。
こちらを見ていきますと、聴覚又は平衡機能障害の方で配置や昇進が「ある」の割合が高くなっております。福利厚生に関しては、精神障害の方で割合が高くなっております。
16ページの7は、差別禁止の取組について問題に感じていることがあるかどうかなのですが、「ある」との回答が19.3%、民間では14.1%でした。その内容としては、「障害雇用の理念や障害特性一般について、会社の理解が不足している」が一番高くて70.8%でした。「自分の適性や能力が十分に理解されず、画一的に対応されている」が50.6%でした。それぞれ前者は民間調査では68.6%、後者は45.8%と、官民ともに高い割合となっております。
その下の8は、職場における「差別の禁止」への取組について問題と感じているといった障害種別での割合の比較です。これも聴覚又は平衡機能障害の方で「ある」が高い結果となっています。
18ページの9は、差別の禁止への取組に問題に関じていることがあるの内容についての比較です。選択肢ごとに傾向が異なっておりますが、例えば「相談すると不利益があるのではないかと感じる」は精神障害がある職員で回答割合が高くなっています。
その下の10は、「差別の禁止への取組に問題に感じていることがある」との回答と、その内容に関する行政区分別比較です。こちらも選択肢ごとに異なっているように見えます。
次に11と12ですが、仕事を続けるために必要な合理的配慮を受けているかについてです。12のとおりに、これは障害種別によって必要な配慮の重みは異なってきます。なお、11の中で、疲労・ストレスなどに配慮した福祉施設・設備について、「必要だが、配慮を受けられていない」の割合が高くなっております。これは団体側の回答の傾向とも一致します。考えられる理由としては、特に精神障害の方にこの需要は多いのですが、精神障害のある方に限らず、あらゆる障害種別で求められている中身になります。したがいまして、最近、雇用がどんどん進んできています。その雇用が進む中で、増える需要に対する供給といったところの回答なのかなと見ております。
22ページの13は、合理的配慮の提供について問題に感じていることが「ある」との回答が24%で、民間に比べて約9ポイントほど高くなっております。その内容は、「どの程度まで合理的配慮を求めてよいのかわからない」が64.8%、「自分から必要な配慮を求めるのは気が引ける」が61.5%と高い割合となっております。
次に14と15を合わせて申し上げます。先ほどの「ある」と回答した24%を障害種別で見ていきますと、視覚障害及び聴覚障害又は平衡機能障害の方で高い結果になっております。
こういった、「ある」との問題意識と、関連が想像される情報としての自由記載がありますので、そちらを15で紹介しております。この中で目を引くのは、聴覚又は平衡機能障害にて、マスク着用による業務での不自由に関する記載で、今回、とても私も印象に残っております。
なお、こうしたことをはじめとして、聴覚障害者は御自身を「見えない障害」と表現されている方が結構おられました。その中で合理的配慮の不足というのは、ともすれば、いわゆる意思疎通として不自由をしてしまうことになりますので、業務遂行上のダイレクトな支障として受け止めざるを得ない。そのために、差別の意識や合理的配慮の提供に関する問題意識にも、特に強くつながったのかなというように見ております。なお、この15の中で、それぞれの障害種別で御意見、お考えというものが様々に特徴が出ていると見ております。
16は、13の設問に関する行政区分別の結果の紹介です。
最後に26ページの17です。これは障害種別の比較です。「職場のどこに相談すればよいか分からない」というのが、精神障害のある職員の回答割合が高くなっています。それから、「配慮を求めたが対応してもらえなかった」は、聴覚障害又は平衡機能障害、精神障害がある職員の回答割合が高いという結果になっております。
まとめです。最後の所に4つほど書かせていただきました。今般のアンケートに関しては、項目としてJEEDが実施した民間企業を対象とした調査と、多くの部分を同一としました。コミュニケーションの工夫とか、職員の障害理解の重要さに関する結論ですが、これは特に差別禁止や合理的配慮の提供に関する団体、職員の双方の問題意識に関して、JEEDの調査と非常に結果が近似していたこともあって、同様の内容となっております。これらは、言わば必要な合理的配慮を導くインフラとも言えるものではないかと私は考えております。また、ここ数年、特に知的、精神、発達障害者をはじめとして、地方公共団体で障害者雇用が進んでまいりました。その中でノウハウの共有に関しては、より必要性が高まってきたのではないかと考えております。特に、今、雇用環境整備に取り組んでおられる団体の方々に対して、よい材料をこれからも事例として提供する必要があると考えております。
なお、差別禁止に関しては、障害者雇用促進法が地方公務員に対して適用除外になっておりますので、ここでの記載は本アンケートの結果などを紹介しながら、周知や取組に向けて、地方公共団体にお考えいただけたらなという趣旨でございます。大変駆け足になりまして恐縮ですが、以上でございます。
○阿部分科会長 それでは質疑応答に移りたいと思いますが、御質問、御意見がございましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただいて、私が指名した後にお名前を名乗って、御発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。では、竹下委員お願いいたします。
○竹下委員 日視連の竹下です。地方公務員の仕事実態を知る上で、極めて重要なアンケート結果を発表していただいたことに感謝します。これまでも、公務員に対して合理的配慮がなかなか進まないということで、幾度か議論になったことがあるわけですが、雇用分科会では民間事業所に対する就業問題が中心であり、公務部門における就労実態、あるいは公務部門における合理的配慮の進行が見えてこなかったわけです。その点で、今回の調査を2つの意味で今後に結び付けていただきたいというお願いです。
1点目は、この調査を今後定期的に実施していただきたいということです。それによって、自治体がどのように合理的配慮、差別の解消を進めてきたかを見られるということで、そこから1つの問題点も抽出できるのではないかというのが1点です。
2点目には、ここで出てきた内容を情報提供として各自治体にフィードバックするのは当然なのですが、それだけではなくて、合理的配慮が進んでいない所の問題点や、あるいは差別が解消できない部門について、あるいは自治体について、今後どうするかということの議論の場を設定することに結び付けていただきたいということがお願いです。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。確認なのですが、公共施設は指定管理が多い割合を占めているのだと思います。かつては地方公共団体で行っていた様々な公共施設の管理・運営が、指定管理ということになっているということでの確認です。今回の調査は、指定管理の事業所の職員は含まれていないのかなと思いますが、そのことの確認と、どうしても指定管理になると管理料の上限ということがあって、働く環境が厳しくなっているということで、指定管理の在り方などについても大事な視点なのかなと思います。単純な質問ですが、今回は指定管理の職員は含まれていないのかどうかということと、そのような公共施設で働く人の場合、指定管理団体関係の職員については、どう考えていったらいいかということでお話しいただければと思いました。以上です。
○阿部分科会長 御質問ですので、事務局からお願いいたします。
○大谷障害者雇用促進研究官 障害者雇用対策課障害者雇用促進研究官の大谷です。御意見、御質問ありがとうございます。まず、今回のアンケート調査ですが、一番最初にお書きした、団体と職員は知事部局、あとは市区町村部局に限って展開させていただきました。そういったことで、先ほどおっしゃっていたとおり、それ以外の所は入っておりません。
一方で指定管理、例えば図書館でしょうか、そういった所の取組ですが、今回のアンケートではデータはないのですが、私どもは地方公共団体を主とした公的機関による合理的配慮の事例集を作っておりまして、昨年度と一昨年度に更新しております。その中では幅広に情報を集めまして、例えば図書館の司書の仕事も含めました。そういった様々な施設の好事例も含めて、御紹介させていただいております。真っ直ぐなお答えでなくて恐縮なのですが、そのような発信もさせていただいていることを、この場で御紹介させていただきます。
○阿部委員 ありがとうございます。
○阿部分科会長 ただ、一般的に指定管理事業者の委託を受けた事業主が、その対象になっていれば障害者雇用を促進しているという理解ではあると思いますので、今回のは、あくまで地方公共団体部門内での障害者雇用の状況と御理解いただければと思います。門﨑委員、お願いいたします。
○門﨑委員 労働側の門﨑です。地方公共団体の実態調査については、今後の私どもの運動に関しても非常に参考になる資料をありがとうございました。これに関連してなのですが、自治労のほうで簡単な調査をしたので、ここで御報告したいと思います。画面の共有をしていただいてもよろしいでしょうか。障害者雇用促進法改正の関係で、関連するという形で、皆さん御存じのとおり、障害者活躍推進計画を策定することが義務付けられているわけなのですが、これについて自治労で、2021年4月1日現在で、全都道府県と全国1,724市町村のホームページを拾ってということで、計画を策定、公表された所をお調べしたのですが、その結果、47都道府県は全て策定されていたということで、市区町村で言うと1,724が全体で、1,392で公表されていたということで、81.3%の公表率ということになります。このような形で簡単に調査いたしました。基本的には画面にお示ししたように、ざくっと策定期間と目標とを全部拾ったのですが、その中では、計画期間については、国のほうはおおむね2年から5年ということになっていますが、最も多いのが5年、次いで3年、最短は1年、最長で10年ということになっていました。目標については、市町部局ということで見ていますが、採用に関する目標はほぼ100%設定されていますが、同じく必要事項である定着に関する目標というのは、8割弱の策定状況というところです。また、設定が望ましいとされている満足度、ワークエンゲージメントに関する事項については、策定率が3割弱で、キャリア形成に関するものだと25%ぐらいです。その他の目標については2.4%程度となっています。ただ、策定されている計画のほとんどが、国が示しているモデルに基づいた画一的なものでした。今後、先ほどの実態調査とともに、こういう形で地方自治体に指導ということにはならないと思うのですが、これも併せて取り組んでいただきたいということで、御紹介させていただきました。以上です。
○阿部分科会長 他にいかがでしょうか。小原委員、お願いいたします。
○小原委員 1つ質問なのですが、教えていただきたいのは、「配慮を求めたが対応してもらえなかった」という回答があるのですが、どのような配慮を求められたのかという情報はないのでしょうか。この回答の中では、一番深刻なのかなと感じたのですが、何かアクションを起こしたけれどもということなので、どこの市町村が何という話ではなくて、どのようなことを配慮として求めたのかというのが、ほかの市町村とも共有できたら役に立つのではないかと思いまして、お聞きします。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○大谷障害者雇用促進研究官 障害者雇用対策課障害者雇用促進研究官の大谷です。具体的に求めた配慮うんぬんについては、自由記載で何件かはございます。例えば視覚や聴覚の方であれば、システム的なものを求めて、それはなかなか応じられないと言われたこともあります。あと、精神障害の方などに関しては、はっきりとこのことを書いておられる方もいたと思うのですが、この場で要約して話すのは難しいものですから、御了承ください。いずれにしましても、それぞれの障害種別によって特徴があると思われます。
あと、肢体不自由の方とか、あるいは内部障害の方などは、駐車場を近くにとか、そういったことも見受けられました。
○小原委員 大阪大学の小原です。よく分かりました。情報として共有できるところもあるのかなという気がしました。もちろん、プライバシーのことなどは要らないと思います。
1つだけコメントで、この調査はWEBの調査で、都道府県また市町村を介して対象に投げ掛けているようなのですが、一番深刻なのは、何かがあって辞めてしまっている人、すなわち今回は漏れていると思うのです。今働いている人にだけ、都道府県と市町村から調査の依頼か何かが行ったようで、最初のページの紹介だと、そのように読みました。そうすると、今の時点で職員ではない人は、この調査の対象になっていなかったと思うのです。
恐らく、何かが起こって辞めることになってしまった人というのが一番深刻なところになると思うので、これまでに働いた経験がある人というようなところで投げてみても、情報が得られるかなと思いました。今後機会があったら、そういうところにも行けばいいかなと思いました。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。小出委員、お願いいたします。
○小出委員 確認させてください。大谷さんから最後のまとめの所で、「知的障害、精神障害の方々もだんだん増えてきている」というようなことがありましたが、知的障害者の団体の代表として、このデータの中にシート10の調査をした職員の所に、知的障害が非常に少ないという数値があるものですから、それ以降の状況の説明の中では知的障害者が対象になっておりません。
というのは、これだけのサンプリングが少ないものですから対象にならないのかなと思っておりました。竹下委員からも、今後も定期的にこういうデータを計上してほしいということで、知的障害がだんだん増えてきて、この対象の数値になってくることを期待して、そうかなという思いでおります。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 事務局からお願いいたします。
○大谷障害者雇用促進研究官 障害者雇用対策課障害者雇用促進研究官の大谷です。御意見、御指摘ありがとうございます。少し訂正させていただくところがあります。さっき私が申し上げたことなのですが、実は、今回回答いただいた方々で、知的、精神、発達の方が、勤続年数3年未満の方が6割前後おられました。それで、私はそのように申し上げたのですが、これは厳格に申し上げれば、あくまでも回答いただいた方の数ともなりますので、少し勇み足で言い過ぎたことかも分からないのですが、今チャレンジ雇用などをはじめとして、現実に雇用に取り組んでいる状況は聞こえてきますので、これからも、そういった知的の方も含めて雇用が進むことを私たちも期待しますし、それをきちんと見ていきたいと思います。
○阿部分科会長 眞壁委員、お願いします。
○眞壁委員 全国精神保健福祉会連合会の眞壁です。調査結果で「自分の適性や能力が十分理解されず、画一的に対応されている」という不満が結構あるようなのですが、具体的にはどういうことを言っているのでしょうか。
○阿部分科会長 事務局からお願いいたします。
○大谷障害者雇用促進研究官 障害者雇用対策課障害者雇用促進研究官の大谷です。この画一的な対応につきましては、自由記載などでも何点かございますけれども、1つには、例えば自分自身としてはもっといろいろなことができるように認識されているのだけれども、あなたはこういう障害がおありだからといって、そういったチャンスを頂けないとか、あるいは同じ障害で呼称したとしても、その程度、程度は人によって大きく違います。例えば聴覚障害であったら、難聴の度合いというのもそれぞれ個人差があります。そういったことに関しても、通り一遍と言いますか、つまり、あなたはこういう障害がおありなのだからといって、そういった個人差になかなか目を向けていただけないとか、そういう内容の記載を見ております。
○眞壁委員 ありがとうございました。
○阿部分科会長 ほかに何かありますか。よろしいですか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。次の議題は「その他」です。議題(4)ですが、まず、参考資料3について、社会援護局障害保健福祉部障害福祉課の竹内課長から説明をお願いいたします。
○竹内障害福祉課長 障害福祉課長の竹内です。私から参考資料の3.「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」という資料を用い、就労系サービスの改定内容について御説明させていただきます。
まず資料の1ページ、一番上の箱書きの2つ目の○を御覧ください。令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の全体の改定率です。+0.56%ということで、右側に※が振ってありますが、うち新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価ということで、+0.05%分については、いわゆるコロナ対応の評価として含まれているものです。この0.05%については、令和3年9月末までの間ということで取りあえず半年分ですが、またコロナの感染状況等を踏まえて10月以降の対応については、柔軟に対応するということになっています。
就労系のサービスの内容です。全体6本の大きな柱で構成されておりますが、就労系のサービスについては2番目の柱の所にあります。赤枠で囲っていますが、効果的な就労支援ということで3つ掲げています。1つ目が就労移行支援・就労定着支援の質の向上に資する報酬等の見直し、2つ目に就労継続支援A型の基本報酬等の見直し(スコア方式の導入)、3つ目として就労継続支援B型の基本報酬等の見直し(報酬体系の類型化)です。それぞれについて、後ろの資料で説明させていただきます。
2ページを御覧ください。就労移行支援、就労定着支援における支援の質向上に資する報酬等の見直しです。まず左側です。就労移行支援、いわゆる一般企業等への就労を希望する方に、一定期間必要な訓練を行うサービスですが、この就労移行支援については、実績に応じたメリハリのある報酬体系としていく観点から、一般就労の高い移行実績を実現する事業所について、基本報酬において更に評価をすることとしております。
2つ目の黒ポツですが、現行、就労定着率ということで、前年度において就職後6か月以上定着した者の割合をもって、基本報酬を設定していますが、この基本報酬の区分の決定に係る実績について、標準利用期間が2年間であることを踏まえ、直近2か年度の実績による算定とすることとしております。
また一番下の黒ポツ、アセスメントの質を高めるための取組の評価ということで、地域のノウハウを活用し、その精度を上げ、支援効果を高めていくための取組として、本人や他の支援機関等を交えたケース会議等を実施した事業所を評価するための加算を新たに創設することとしております。
また、右側の就労定着支援です。これは一般就労に移行した方に、就労に伴う生活面の課題に対応するための支援を行うものです。この就労定着支援については、出社率が2.9%ということで、サービス全体の出社率に比べて低かったということもあり、経営の実態等を踏まえて基本報酬の見直しを実施しています。
2つ目の黒ポツですが、基本報酬の区分、現在、就労定着率に応じて7区分に分けられていますが、実績上位2区分に8割以上の事業所が分布している一方で、下位2区分には事業所がほとんどないといったことを踏まえ、よりきめ細かく実績を反映するために、各区分に係る実績の範囲を見直すこととしております。
3つ目の黒ポツですが、支給要件です。特定の支援内容を要件とはせず、どのような支援をしたか等をまとめた「支援レポート」を本人その他必要な関係者で月1回、共有することを要件としています。
また一番下の黒ポツですが、関係機関との連携を強化し、個別の支援における協力関係を常時構築するため、関係機関とのケース会議等を実施した事業所を強化する新たな加算を創設することとしております。
3ページを御覧ください。就労継続支援A型の基本報酬等の見直しです。現行の報酬設定は、左側、「1日の平均労働時間」に応じて報酬を算定することとしていますが、今年の4月以降、見直し後ですが、右側、現行の「1日の平均労働時間」に加えまして、「生産活動」、「多様な働き方」、「支援力向上」及び「地域連携活動」の5つの観点から成る各評価項目の総合評価をもって実績とする方式、いわゆるスコア方式に見直すこととしております。
また下の黒ポツですが、スコア方式による評価内容については、全て事業所のホームページ等を通じて公表していただくこととしており、事業所に運営基準の見直しを行い、義務付けております。また、未公表の場合には、基本報酬を減算するということで、所定単位数の15%を減算することとしております。
4ページです。4ページは参考として、就労継続支援A型の基本報酬おけるスコア式について、評価の方法等について、少し詳細な資料を入れていますので、御参照いただければと思います。
5ページを御覧ください。就労継続支援B型の基本報酬等の見直しです。現行、「平均工賃月額」に応じた報酬体系となっていましたが、地域における多様な就労支援ニーズに対応する観点から、現行の「平均工賃月額」に応じた報酬体系に加え、右側ですが、「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系を新たに設けることとしており、事業所ごとに選択することとなっています。
現行の平均工賃月額に応じた報酬体系を引き継ぐ体系ですが、見直し後の表の左側ですが、高工賃を実現している事業所を更に評価することとしており、また、よりきめ細かく実績を反映するための8段階の評価を導入するということで、現行の報酬体系の中で、実績下位3区分にやはり8割近くの事業所が分布していること等を踏まえ、このようによりきめ細かく実績を反映するために、段階区分を8段階の評価というように見直しを行っています。また、今回新たに設けます右側の体系ですが、こちらについては新たに2つの加算を創設することとしており、1つが「地域協働加算」で、就労や生産活動の実施に当たり、地域や地域住民と協働した取組を実施する事業所を評価することとしております。
また「ピアサボート実施加算」、ピアサポートといいますのは、自ら障害や疾病の経験を持ち、その経験を活かしながら、他の障害や疾病のある障害者のための支援を行うものです。このピアサポートによる支援を実施する事業所を評価することとしています。
6ページを御覧ください。就労移行支援及び就労継続支援における在宅でのサービス利用に係る要件の緩和です。現行、利用者については、通所利用が困難で、在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した場合に、これまでは利用を認めていましたが、今年4月以降は、在宅でのサービス利用を希望するものであって、在宅でのサービスス利用による支援効果が認められると市町村が判断した場合ということで、見直すこととしております。在宅でのサービス利用については、このコロナ禍において、新たな生活様式の定着を見据え、本人の希望や特性を踏まえつつ更に促進するため、令和2年度に限って新型コロナウイルス感染症への対応として、臨時的に要件緩和をしていましたが、この取扱いを令和3年度以降は常時の取扱いとすることとしたものです。
最後に7ページを御覧ください。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を踏まえた今後の実績算定の取扱いについてです。令和3年度の報酬算定に係る実績の算定については、令和元年度、あるいは令和2年度の実績を用いないことを可能とすることとしています。例えば表の一番上、就労移行支援ですが、今年の4月以降の見直し内容の所を御覧いただきますと、先ほど御説明させていただいたとおり、過去2年間の就労定着率の実績を踏まえて評価をすることとなっておりますが、右側、柔軟な取扱いということで、1として令和元年度~令和2年度、2として平成30年度~令和元年度のいずれかの就労定着率の実績で評価をしてよいということで、柔軟な取扱いを認めることとしております。また令和4年度以降に係る報酬の取扱いについては、改めて検討することとしています。
雑駁ではありますが、就労系サービスについての4月の報酬体系の主な改定内容について御説明をさせていただきました。以上です。
○阿部分科会長 それでは、質疑応答に移りたいと思いますが、御質問、御意見ございましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただいて、私が指名したあとに、お名前を名乗って御発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。
皆様のほうから特段、御質問、御意見がないようですが、事前に長谷川委員から質問を頂戴しておりますので、私のほうで読み上げさせていただきます。
今回の報酬改定について、実情に応じた評価が可能になった点など、意義があると思っております。その上で雇用との関係で課題があると思われる以下の点について質問いたします。質問は大きく3つあります。
まず1つ目、就労継続支援A型、B型のスコア化について。制度が複雑になることによって、事業所及び自治体等の事務作業が煩雑になるおそれはないのか。誰かがフォローする体制は整備されているのか。また、A型について、平均労働時間の配点が依然として高く、生産活動についても評価の対象とするのであれば、結局就労能力の高い障害者が求められることとなり、障害者の選別が生じるおそれはないのか。
2つ目の大きな質問として、就労継続支援B型についてということで、高い基本報酬を得るため、より高い平均工賃を達成しようとする事業所が、B型利用者に対し、指揮監督を行うことにならないか。指揮監督を行うと、B型利用者の労働者性が生じてしまうということを懸念するというものです。就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について、2006年10月2日、障害発1002003のウに示された指揮監督とは、具体的にどのようなものが当たるのか。またそれが行われていないことを誰がどのように確認しているのかも併せて質問しております。
3つ目に就労継続支援A型から就労移行支援への移行についても、加算対象となることについて、A型は労働法の適用があるため、最低賃金の支払いなどが保障されているが、就労移行支援は、労働法の適用対象とされておらず、移行したことによって、就労条件が低下する可能性が高いのではないか。利用者に適切な説明を行う機会の保障など、何らかの対応が図られているのか。以上です。
御質問ですので、事務局のほうからお願いいたします。
○竹内障害福祉課長 障害福祉課長の竹内です。今、長谷川委員から頂いた御質問についてお答えをさせていただきたいと思います。大きく3点あったかと思いますが、まず就労継続支援A型のスコア化についてのお尋ねです。事務作業が煩雑になるおそれはないのかといったような御趣旨でした。先ほど参考資料3の3ページで、A型のスコア化について御説明させていただきましたが、このスコアについては事前に事業所のほうで評価を自らしていただきまして、それをホームページ等で公表していただくということで、自治体のほうに何か審査をお願いするとか、そうしたことは想定をしていません。そういう意味で評価方法等については、通知、Q&Aなどによって、様式や取扱いをお示ししているところです。今後も引き続き関係団体、自治体等の意見を聞きながら、できるだけきめ細やかにフォローするように努めてまいりたいと考えております。
またA型について、平均労働時間の配点が依然として高く、障害者の選別が生じるおそれはないのかといった御趣旨での御質問ですが、就労継続支援A型の基本報酬については、事業所の働く場としての質の向上を図る観点から、5つの項目による総合評価方式、いわゆるスコア方式ということで、今回導入したところです。労働時間や生産活動といった項目のほかに、短時間労働、あるいは在宅勤務等の障害特性等に応じた多様な働き方が実現可能な環境を整えている事業所、あるいは、事業所の職員の支援力を向上させる取組を充実させている事業所を評価する項目も盛り込んでいまして、従前の1日の平均労働時間のみの評価と比較をして、より多角的な観点から、就労継続支援A型事業所の評価が可能となったと考えています。委員からの御指摘も踏まえて、今後この報酬改定による効果や影響については、しっかり検証してまいりたいと考えています。
また、就労継続支援B型についてのお尋ねもありました。B型利用者に対して指揮監督を行うことにならないかということで、この指揮監得とは具体的にどのようなものが当たるのか、また誰がどのように確認しているのかということですが、工賃向上に関する取組としましては、生産活動に関する技術的指導などの利用者への支援のほかに、事業所自身の経営力の強化、あるいは販路の開拓等、様々な取組があり、厚生労働省としても支援を行っているところです。労働者性の判断については、なかなか私どもとしてというよりは、むしろ労働基準局の所管事項ですので、私どものほうからお答えするのはどうかなというようにも思いますが、私ども承知しているところでは、指揮監督下の労働に当たるかどうかの判断要素としては、例えば業務の内容や遂行方法について、具体的な指揮命令を受けているかどうか、勤務場所と時間が指定をされ、管理されているのかといったようなことなどがありまして、業務の性質などによって判断がなされる部分もあるということで、一概にはお答えすることが難しいものというように承知をしています。
最後に、就労移行支援への移行についてのお尋ねがありました。就労条件が低下する可能性が高いのではないかという御質問です。就労継続支援A型から就労移行支援への移行を評価する加算といたしまして、新たに就労移行連携加算という加算を今回創設したところです。この加算については、就労移行支援の利用を希望する利用者が、円滑に就労移行支援に移行できるように、就労継続支援A型事業者が、移行先の就労移行支援事業者や、相談支援事業者との連絡調整、情報提供を行った場合に算定できるものです。この連絡調整等の過程においても、利用者に対する一定の説明は当然なされるものと考えておりますし、また、就労移行支援などの障害福祉サービスの利用の申込みがあった場合には、事業者から申込者に対するサービスに関する説明が義務付けられておりますことから、利用者への説明の機会は保証されていると考えています。以上です。
○阿部分科会長 ほかに皆様のほうから御質問、御意見はございませんでしょうか。それでは、特段なければ次の参考資料4と5について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。それでは2点、参考資料の4からまず御覧ください。この参考資料4については、当分科会において、雇用率0.1ポイント引き上げの議論をさせていただいた際に、新型コロナウイルス感染症の影響ですとか、法定雇用率の0.1引き上げの影響等に対して、企業等がどのように取り組んでいくか、具体的な事例なども収集し、共有することという御意見いただいておりましたので、今般それを取りまとめた結果としてここにお示しをしております。全国障害者雇用事業所協会ですとか、特例子会社については、障害者雇用企業支援協会、サセックなどを通じまして、会員企業の皆様方のお取組の状況を取りまとめています。また、今般の0.1引き上げに当たっては、ハローワーク、職業センター、中ポツセンターなどに、引き上げの影響を受ける企業に対しまして支援の強化を指示しているところです。その指示と合わせまして支援した結果について、様々な事例を報告するようにと伝えていまして、そこからも合わせて、情報を取りまとめております。
まず1ページ目ですが、職域開発等を行った事例として取りまとめております。今回やはりコロナの影響により、従前、障害者が行っていた業務自体が減少したというようなことが多々見られました。特に社員の出社制限などにより、従前あった事務補助や社内のメール便などの業務が減少したというような中で、一方で感染拡大防止のための消毒等を含む清掃業務など、あるいは在宅勤務が進んだことによる、それらに対しての対応をする、書類をPDF化するなどの業務、中には出社していない社員に届いた郵便物をPDFで読んで、その社員にメールで送るといったような業務も含めて、こういった周辺の新たな業務も生じまして、これらに対してうまく障害者を割り振って、雇用の維持なり、障害者の職務の継続を続けたような事例が見てとれます。
また特にこの資料で申し上げますと、1つ目、2つ目の○の所に記載していますような、e-Learningを活用した上で、システムエンジニアとして必要なスキルの付与や、スキルの向上を図った上で、それらに対応して、障害者自身の在宅勤務を推進したというような事例も見られました。このような新たな職域開拓等に関しましては、職業センターや中ポツなども積極的に入り込んでいって支援をしている事例も見受けられたところです。
もう1つ、2ページ目ですが、こちらは職務というよりは障害者御本人に対しての様々な支援の事例です。障害者自身についても、テレワークですとか、あるいは在宅といったような状況の変化から、体調を崩す障害者も見られたといったような中で、IT技術なども活用しながら、チャットなど、あるいは様々なコミュニケーションが円滑に行われるような取組も推進されたという御報告がありました。また、併せて在宅の時間が増えたことにより、交友関係ですとか、金融関係、それらに対して問題が生じたり、あるいは家族関係等、御自宅での状況が悪化したというようなことでの、グループホームへの入居を提案して転居したといった事例など、様々、就業を支える生活面での問題に対して対応していったという事例も見受けられました。こうした事例については、団体を通じまして、各会員企業の皆様にもフィードバックさせていただき、私どもも行政、関係機関等と情報共有いたしまして、今後の支援に役立てていきたいと考えています。参考資料4については以上です。
最後に参考資料5として、厚労省のプレスリリースを入れています。来週月曜日ですが、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会を開催することとしています。これまでにも分科会でも、参考資料として共有させていただいておりました、3つ設けましたワーキンググループにおいての議論が取りまとまりましたので、この件について、検討会のほうで御報告を申し上げるということがメインです。本検討会については、今後6月の取りまとめに向けまして、数次の開催を予定していますが、今回第5回についても、分科会の各委員におかれて、傍聴を希望される場合には、傍聴可能となっています。事務局のほうに御連絡を頂ければと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。参考資料4、5について、何か御質問、御意見ございますか。それでは、高橋委員お願いいたします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。参考資料4、新型コロナウイルス感染症や障害者雇用率0.1%引上げの影響を踏まえた企業、支援機関の取組事例について、意見を述べさせていただきます。コロナ禍で障害者の業務が減少している状況が続いている中、参考資料4に掲載されている取組事例は、障害者雇用の経験やノウハウが不足している中小企業にとって、大いに参考になることから、是非幅広い周知をお願いいたします。
また、今後、企業への支援体制の一層の強化を通じて、より多くの企業が、事例に掲載されている取組を実施でき、そしてその先に事業継続・発展、三方よしにつながるよう、サポート体制の充実を是非お願いいたします。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにはよろしいですか。それでは、ほかにないようでしたら、議題(4)は以上とさせていただきたいと思います。本日の議題は全て終了いたしました。
本日は障害者雇用分科会がこのメンバーで行うのは最後の分科会になります。そこで、達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官から御挨拶を賜わりたいと思います。よろしくお願いします。
○達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官 高齢・障害者雇用開発審議官の達谷窟でございます。職業安定局長の田中が本日所用のため途中退席をさせていただきましたので、代わりまして、私のほうから委員の皆様に御挨拶を申し上げます。
まず、本日は大変お忙しい中、御議論いただきまして、誠にありがとうございました。先ほど阿部分科会長からも御紹介がありましたが、本日がこのメンバーで行う最後の障害者雇用分科会となります。任期が2年ということですが、この2年間を振り返りますと、令和元年の障害者雇用促進法の改正やその施行に向けまして、大変多くの議論を頂きますとともに、法定雇用率の段階的な引上げや、今後の障害者雇用対策に関する各種論点について、多くの御議論をいただきました。改めて感謝を申し上げる次第でございます。
また、この1年間は分科会の開催方式も、感染症の影響を受けて大きく変わり、オンライン開催が中心となったところです。事務局といたしましても、初めてのことでございまして、至らぬ点も多々あったかと存じております。そのような状況の中でも、委員の皆様に御協力を賜わりましたことに重ねて感謝を申し上げるところでございます。
今回、御退任なさる委員の皆様におかれましては、今後とも障害者雇用行政に御指導・御鞭撻を賜わりますようお願い申し上げる次第です。これまでの皆様の御尽力に、心より御礼申し上げます。また、引き続き委員をお引き受けいただく皆様については、我が国における障害者雇用の在り方に関する議論を具体化していく重要な時期となります。その時期に入りますので、引き続き当分科会での御議論をよろしくお願い申し上げます。
最後に委員の皆様には重ねて御礼を申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それではこれにて障害者雇用分科会は終了とさせていただきます。本日もお忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございました。最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 次回の日程については、詳細は追って事務局より御連絡をさせていただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。これで終了させていただきます。