2021年7月19日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年7月19日(月)18:15~

出席者

出席委員(18名)五十音順

欠席委員(3名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」のウェブ会議を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 この度の医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ウェブでの審議とさせていただきます。
 まず、本日のウェブ会議におけます委員の出席状況でございますが、亀田委員、小崎委員、渡辺委員から御欠席、それから、あと山本委員と島田委員が遅れて御参加というように御連絡をいただいております。したがいまして、本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち、16名の委員がこのウェブ会議に御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」というように規定されております。
 今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告をさせていただきます。
 委員の皆様方には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 ただいま島田委員も御出席、どうもありがとうございます。
 また、本日のウェブ会議に際しまして、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましてはマスクを着用したまま説明させていただきますので、御了承いただければと思います。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 清田でございます。皆様、こんにちは。
 それでは、始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日の審議に入りますが、まず事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のウェブ会議に係る資料の確認をさせていただきます。
 本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1と製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
 その他、資料No.2として審議品目の薬事分科会における取扱いの案を、資料No.3として専門委員リスト、資料No.4として競合品目・競合企業リストを事前にお送りさせていただいております。また、その他事項として、資料1-1から1-3についても送付させていただいております。
 また、直前の送付となり大変申し訳ありませんでしたが、特例承認に係る報告書に修正がございましたので、これを冒頭に修正表を付した報告書として本日お送りさせていただいております。こちらも御準備をお願いいたします。
 なお、システムの動作不良などがございましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
 続きまして、本日のウェブ会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料No.4の1ページを御覧ください。
 ロナプリーブ点滴静注セットでございますが、本品目はSARS-CoV-2による感染症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○島田委員 島田です。
 資料No.4の競合品目を選定した理由というのがあるのですけれども、そこの表に競合品目の2にアビガンが入っているのですが、これはこれでよろしいのでしょうか。まだ承認されていないと思うのですけれどもね。
○事務局 事務局でございます。
 この競合品目・競合リストに記載する品目については、承認されている品目のみではなく、開発中の品目も含めることとしております。開発中の品目については、必ずしも全ての情報は明らかになっていませんが、少なくとも申請されているものについては情報がある範囲で記載することとなっておりまして、アビガン錠につきましては承認申請がされていることが既に公になっておりますので記載をいただいているところです。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○島田委員 分かりました。
○清田部会長 それでは、本ウェブ会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況につきまして、御報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
 議題1、ロナプリーブ点滴静注セット、退室委員、大曲委員、松下委員、議決に参加しない委員、濱委員、南委員、山本委員でございます。
 薬事分科会審議参加規程第5条におきまして「申請資料作成関与者である委員等は、審議又は議決が行われている間、審議会場から退室する」とされております。ただし、同条のただし書におきまして「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる」となっております。
 以上でございます。
○清田部会長 ここで、今回、議題1の審議に関して、SARS-CoV-2による感染症に関する治験の実施経験がある大曲委員の意見は参考になるのではないかと思われます。当部会として、大曲委員には、御出席いただき、御意見を述べていただいてはどうかと考えておりますが、いかがでしょうか。
○島田委員 私は賛成です。島田です。
○清田部会長 皆様、ほかよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、御了解いただいたものとし、大曲先生には御出席、御意見をいただくことといたします。
 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。
 ありがとうございます。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は、審議事項1議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移ります。
 松下正委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題1の審議の間、会議から御退出して御待機いただくことといたします。松下委員は御退室をお願いいたします。
── 松下委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題1につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ロナプリーブ点滴静注セット300及び同点滴静注セット1332の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
 資料No.1の星マークのついている特例承認に係る報告書のファイルをお開きください。
 新型コロナウイルス感染症はSARS-CoV-2による感染症であり、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が宿主細胞のアンジオテンシン変換酵素2(以下ACE2)に結合することで宿主細胞に侵入し、感染に至るとされております。ロナプリーブ点滴静注セット300及び同点滴静注セット1332(以下、本剤)は、スパイクタンパク質上の受容体結合ドメインの異なるエピトープを認識する2種類の遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体製剤で、スパイクタンパク質とACE2の結合を阻害し、宿主細胞へのSARS-CoV-2の侵入を阻害すると考えられています。海外では、米国FDAによるEmergency Use Authorizationが得られており、今般、特例承認に係る承認申請が行われました。なお、本申請における主な臨床試験である海外第I/II/III相試験(COV-2067試験)の成績は、速報値が提出されました。本申請の専門委員として資料No.3に記載の8名の委員を指名しました。
 審査の概要について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、通し番号40ページ、表30の全体のカラムを御覧ください。重症化リスク因子を有し、酸素飽和度が室内気93%以上のSARS-CoV-2による感染症患者を対象とした海外第I/II/III相試験の第III相パートにおいて、主要評価項目である無作為化後29日目までのSARS-CoV-2による感染症に関連のある入院または理由を問わない死亡が認められた被験者の割合は、カシリビマブ及びイムデビマブ各600mg群で1.0%、プラセボ群で3.2%であり、プラセボ群との比較において統計学的に有意な差が認められました。
 日本人患者における有効性の結果は得られておりませんが、SARS-CoV-2による感染症の症状や治療法、重症化リスク因子等に国内外で大きな違いはなく、日本人と外国人の間でPKに明らかな差異が認められていないこと、本剤が外来性因子に対する抗体製剤であること等を踏まえると、日本人のSARS-CoV-2による感染症患者に対する有効性について、一定の評価は可能であり、有効性は期待できると判断いたしました。
 以上を踏まえ、海外第I/II/III相試験の第III相パートの成績に基づき、重症化リスク因子を有し、酸素飽和度が室内気93%以上のSARS-CoV-2による感染症に対するカシリビマブ及びイムデビマブ併用の有効性は示されたと判断しました。
 変異株の影響について、次のページ、通し番号41ページ、中ほどより下「SARS-CoV-2の変異株の影響について」から始まる段落を御覧ください。
 海外第I/II/III相試験の実施時期に実施国で認められた主なSARS-CoV-2は野生株、Alpha株、Epsilon株及びIota株でした。また、in vitroにおける検討において、検討中であるLambda株を除き、懸念される変異株及び注目すべき変異株に対するカシリビマブ及びイムデビマブ併用の中和活性の低下は確認されておりません。
 変異株に対する有効性については、製造販売後も引き続き情報を収集し、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療現場に情報提供する必要があると考えます。
 次に、本剤の投与対象について、通し番号46ページを御覧ください。
 中ほどの「機構は」から始まる段落を御覧ください。海外第I/II/III相試験の第III相パートにおいては、重症化リスク因子を有し、酸素飽和度が室内気93%以上の患者が対象でしたが、酸素投与を要する患者に対する本剤の有効性及び安全性については、別途臨床試験が実施中であること、海外臨床試験において高流量酸素または人工呼吸器管理を要する患者に対するベネフィット・リスクバランスが良好ではないことを理由に被験者の登録が中止されたことから、本剤の投与対象の目安は、重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者とすることが適切と判断しました。
 本剤は、重症化リスク因子を有する軽症から中等症IのSARS-CoV-2による感染症患者に対して、新規の作用機序を有する薬剤として治療選択肢の一つになると考えます。
 安全性について、ページを少しお戻りいただいて通し番号43ページを御覧ください。
 表33ですが、海外第I/II/III相試験では、重篤な有害事象や抗体製剤で発現が想定される過敏症等を中心に安全性情報が収集されました。表33に安全性の概要を示しております。プラセボ群と比較して、本剤のいずれの用量群でも発現割合が高い傾向は認められませんでした。
 また、次のページ、Infusion reaction及び過敏症の発現状況は表34のとおりでした。
 本表の第III相パートにおけるAESI及び重篤なAESIの発現頻度の数値に誤りがございましたため、修正箇所は報告書冒頭に正誤表としてお示ししております。大変申し訳ありません。
 以上より、非重篤な有害事象等の評価に限界があることに留意する必要はありますが、得られた情報を踏まえて、過敏症反応及びInfusion reaction等について適切に注意喚起を行うことを前提に、本剤の安全性リスクは管理可能と判断いたしました。ただし、日本人の患者に対して本剤を投与した経験は得られていないことから、製造販売後に引き続き情報収集し、医療現場に適切に情報提供する必要があると考えています。
 最後に、通し番号51ページを御覧ください。
 以上の審査を踏まえ、機構は、ここに記載した承認条件を付した上で本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。
 本品目は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 事前に亀田委員より次の御質問をいただいております。投与対象が酸素投与を要しない患者に限定されていますが、酸素投与を要する患者における本剤投与と非投与のリスクベネフィットの記載が報告書に記載されていません。ADCCやADEなどによる増悪機序もほとんど見られないようですので、肝機能や腎機能からもう一つの抗ウイルス製剤であるレムデシビルが投与しにくい患者にとって重要で安全性の高い選択肢と思われますので、十分に御検討の上で御回答くださいとの御質問をいただいております。
 こちらについて、機構より回答いたします。本申請の根拠とされた海外臨床試験の第III相パートにおいて、室内気で酸素飽和度93%以上の患者に対して有効性及び安全性が示されています。一方、別途実施されている酸素投与を要する患者を対象とした臨床試験では、被験者の酸素投与状況に応じて設定されたコホートのうち、高流量酸素または人工呼吸器管理を要する被験者のコホートについては、独立データモニタリング委員会の勧告を受け、本剤によるベネフィット・リスクバランスが良好ではないこと等を理由に被験者登録が中断されております。低流量酸素または酸素投与不要な患者のコホートについては現在も試験が継続中です。
 このような状況を踏まえ、現時点における本剤の投与対象は酸素投与を要しない患者とすることが適切と考えました。また、酸素投与を要する患者におけるベネフィット・リスクバランスについては、現時点で結論づけるのではなく、今後得られる試験結果に基づき評価されることが重要と考えています。
 以上、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御質問あるいは御意見ございましたら受け付けたいと思います。いかがでしょう。
○島田委員 島田です。よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○島田委員 すみません。今のところ、私も亀田先生と同じ問題意識を持っていまして、これは比較的軽症の方にはいいのですけれども、より重症になってきて93%以下になってしまうとベネフィット・リスクバランスが良好でないというのは、これは何かやはり危険性まで感じさせるような記載なのですよね。だから、これは要するに作用機序から言うと、要はモノクローナル抗体でACE2とSタンパクのそこの結合を阻害するというようなことから言うと、それは初期の頃の方が望ましいのは分かるのですけれども、どういう患者さんに、本当に軽症の人で、勘でやるしかないという感じがしてしまうのですよね。
 その方が重症化するかどうかなどというのは、本当は分からないわけでして、そういう患者さんに主に投与するというのは非常に軽症の人のところまでいってしまうのではないかという懸念もありますし、かといって、93と94でどれぐらい違うのというのもありますよね。だから、要するに、より重症化した患者さんでは、もし有害事象が本当に生じてしまうのであればやや問題が大きいのかなというようにも思います。これは非常に重要な点なのですけれども、リスク・ベネフィットバランスが悪いという理由で治験を中止されたような、そういうようなところで本当に危険がないかというのはちょっと危惧するところなのですよ。ということです。
○清田部会長 ありがとうございます。
 機構の方から何かお答えいただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
 今、御指摘いただいた点につきましては、今回提出されました臨床試験では軽症から中等症Iに相当する患者さんを対象に有効性及び安全性が検討されており、本剤の投与対象の目安につきましては、基本的にはその臨床試験で対象となった患者さんとすることが適切ではないかと考えております。また、酸素投与が必要な患者さんにつきましては、現在、臨床試験実施中でございますので、そちらの結果を確認してからきちんと評価をしてベネフィット・リスクバランスについては検討されることが重要ではないかと考えております。
○清田部会長 島田先生、よろしいでしょうか。
○島田委員 それは今、お聞きしたのですけれども、私の質問にはあまりお答えになっていないような気がするのですけれどもね。そうなると、本当に軽症者まで投与するということになって、そちらの方がどんどん広がってしまって、要するにどの患者さんに本当に必要なのかというのが非常に分かりにくくなりますよねということが一点と、本当に微妙なところがあると思うのですけれどもね。ちょっとでも悪くなってしまって93とか、その辺になると、では、どうなのというのがあって、93以下と94以上でどんな本当にあれがあるのかというような、そういう点も危惧されるわけですよ。
 だから、それは難しいのではないかなというようにも思うのと、それから、これはリスク・ベネフィットバランスが悪いということになると、本当にちょっと重症の方にややいってしまった人にも使われる可能性が非常に高いですよね。というのは、このときに使う薬はおっしゃっているとおり本当にないのです。ということは、かなり使われて、重症化にいってしまった人に使われてしまった場合に本当にリスク・ベネフィットバランスが悪くて、つまり、何かが起こってしまうというようなことがあるのであれば、これはある意味、危険な薬に入ってしまうので、ここのところの記載が具体的でないので分からないので、どういうようにリスク・ベネフィットバランスが悪かったのかというのは本当を言うと知りたいところなのですよ。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問の意図をうまく理解できているか分からないのですけれども、投与対象が明確になっているかという点というように理解をいたしました。添付文書はお手元にございますでしょうか。
○島田委員 あります。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。添付文書の「5.効能又は効果に関連する注意」を御覧いただけますでしょうか。そちらの5.2のところですけれども、海外の臨床試験で組入れが中止された投与対象である高流量酸素または人工呼吸器管理を要する患者においては、症状が悪化したという報告がございますので、こちらで注意喚起をしております。また、15.1参照というようにさせていただいておりますが、そちらに具体的にどのような症状が認められたのかというのも注意喚起をしてございます。
 また、軽症患者さんの方ですけれども、こちらにつきましては、7項の用法・用量に関連する注意というところで、あくまでこちらは感染症の症状が発現してから速やかに投与してほしいというところを記載しているところでございます。
 御説明になっておりますでしょうか。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○島田委員 いや、分からないわけではないのだけれども、感染症の症状が出た瞬間に投与したら本当にこの投与対象が無限に広がるのではないかということも危惧されるわけです。そういうことであればね。要するに確かに高流量酸素は、では、中流量酸素だったらどうなるのということですけれども、これもやはり駄目なわけですよね。だけれども、書いてあるのは5.2の高流量酸素で悪化したというような報告があるというだけで、これはどれぐらいまでいくと悪くなるのか本当にすごい注意が必要だと思うのですけれども、その辺のところの書き方もちょっと問題があるのではないかなというようには思います。
○清田部会長 島田先生、具体的にどう表現したらいいか教えてください。
○島田委員 だから、それが難しいのですよ。
○清田部会長 これはこのような表現で一応始めて、医師の裁量権もある程度入ってそれで使われるという理解と、それから、重症化したときにはもう使う対象外になります。単回投与ですからね。ですから、使った後に。
○島田委員 そうなのですけれども、だから、そのときにね。
○清田部会長 その瞬間ですよね。
○島田委員 軽症だったらいいという、そういうことですよね。
○清田部会長 そういう判断でよろしいかと思います。そう理解いただければ。
○島田委員 ただ、大体モノクローナル抗体は非常に高価なのです。だから、ほかのモノクローナル、これは感染症に対するモノクロですけれども、我々、モノクローナル抗体はいっぱいもう今は、要はバイオロジクスとして持っているわけですけれどもね。大体こういう高い薬が要するに本当に軽症で、ちょっと肺炎の症状があったらすぐ使っていいですよということを推奨されているので、その辺のところ、何か本当に制限が要らないのですかね。今までのこの機構、厚労省さんのいわゆる医療費高騰の観点からすると、これは本当にすぐ使われてしまう可能性があるのではないかという、ちょっとそこを危惧するのです。
○清田部会長 ちょっと待ってくださいね。
○医薬品審査管理課長 先生、すみません、審査管理課の吉田でございます。
 先生御懸念のところについては重々理解できます。これについては、先ほど御説明した添付文書の中でも5.1を御覧いただければ分かりますとおり、あくまでも重症化リスク因子を有する者というものが大前提になります。
 その重症化リスクというのは何ぞやという話があるのですが、これについては、後ろの方に添付文書の表17-2のところなどにはその選択基準というのが示されておりまして、年齢でありますとか基礎疾患でありますとか、そういったようなもので今後重症化する可能性が高い、そういう因子を持っている、そういうことを参考にして、もちろん、重症化因子というのはこれだけではなくて御案内の診断の手引であるとか、あるいはアメリカ、EUAで出している基準とか、そういったものを参考にして現場のお医者さんが判断するということにはなるのですけれども、一応そういう一定の重症化するリスク因子を持っている患者さんを投与対象にすると。さらには、重症過ぎるといいましょうか、高流量酸素とか人工呼吸器管理を要するような患者に対して、そこまでは使わない。ですから、軽症から中等症Iでリスクを持っている患者さん、そこを投与対象にするということを考えております。
 モノクローナル抗体でございますので物も限られております。これについては、いわゆるレムデシビルの場合もそうなのですが、国の方で一定量確保いたしまして、それで投与対象については事前に登録をしていただいて、対象となるというようになる方にのみ取りあえず一定の制限を加えた形で投与を続けていく、そのような形でコントロールをしていきたいというように思っておりますので、先生御懸念のようなどんな人にでも広く使われてしまうというような医療費的なことも含めてそういう御懸念については一応問題ないという形になろうかと思います。
 今、申し上げた対応については薬事の対応以外で健康局、コロナ対策本部といいましょうか、そちらの方で国全体としてそういう対応を考えているということでございますので、薬事とリンクした形で国全体としてこの薬剤の管理をしていきたいと思っているところでございますので、御理解いただければありがたいと思います。
 以上です。
○島田委員 おっしゃる意味は分かるのだけれども、ただ、重症化因子で50歳以上などとなっているのですよ。だから、こんなのが重症化リスクということでなる。しかも、肺炎症状が出たらすぐ投与しろというようなことだと、本当を言うとばんばん行くぞという感じに普通はなってしまうわけですよ。ということがあるので、ちょっとそこが要するに懸念されるところだなと。薬の取り合いになるような感じがするのでね。
○清田部会長 ありがとうございます。
 先生の御意見は十分反映されていくと思いますので、どうぞそこのところで御理解いただきたいと思います。
 御質問の順番は、南先生からお手が挙がっていますので、南先生、その後、宗林先生と、そういう順番でお願いしたいと思います。
 南先生、どうぞよろしくお願いします。
○南委員 ありがとうございます。いくつか伺いたい点があります。
 1点は、今の島田先生の御質問とも関係するのですが、この安全性に関してですが、高流量酸素が必要な患者さんで症状が悪化したという2066試験はランダム化試験だったのでしょうか、シングルアームの試験だったのでしょうか。分かりますでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験として実施されております。
○南委員 では、プラセボと比べて症状の悪化が多かったのでしょうか。それとも、単にプラセボと同程度だったのでしょうか。試験の途中なので詳しくは分からないかもしれませんが、点推定値だけでも結構ですが、分かれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 IDMCが判断した内容については承知しているところでございますが、その具体的なデータにつきましては提出されておりませんで、申し訳ありませんが手元にデータがございません。
○南委員 分かりました。分からないということが分かりました。
 今の点に関して、添付文書の書き方についてですが、例えば15.1の書きぶりとか、先ほどの5.1の書きぶりなどを見ると、これは単に有効性がなくて患者さんの症状が悪くなっただけだろうというように通常の医者は読み取る表現です。ということは、逆に駄目元で使ってみようという意識が働きそうな表現なので、もう少し情報が入り次第、ここは変更が必要と思います。御検討ください。
○医薬品医療機器総合機構 結果が得られましたら適切に添付文書も改訂するよう申請者に指示いたします。
○南委員 よろしくお願いします。
 それから、これは単純な質問なのですが、入院がこの試験でプライマリーエンドポイントになっていたわけですが、これは入院の基準は決まっていたのでしょうか。もし決まっていなかったとすれば米国などでは入院する人はかなり症状が悪化した人だと思われるのですが、米国と同程度の基準で入院させる国で試験を行ったのか、教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本試験は3か国で実施されておりますが、ほとんどが米国の患者さんでございました。NIHのガイドラインですと今回の投与対象になる患者さんにつきましては外来等での管理が可能というようにされておりますので、そういった患者さんが入院に至らなかったかということで評価されているところでございます。
○南委員 ありがとうございました。
 それから、今の点とも関係するのですが、有効性の点でabsolute risk reductionが小さいのが気になります。有効性のデータが添付文書にも書いてあるのですが、入院が必要となる方が3%から1%に減ったという数字が出ていますが、これは100人を治療しても二人の入院を避けられるだけということを意味します。ところが、現在の添付文書案では絶対的な効果の大きさが実際は小さいということが使用者側にあまり伝わらないような気がします。この点は、どのような患者さんに使っていくのかということにも関係します。どのように使っていくかというのはこの会議の主題ではないということは理解していますが、決して100人治療しても救える人は多くない、お金をたくさんかけても救えるのは二人だけですよ、ということを現場に伝えるような情報提供をお願いしたいと思います。
 それから、もう一点、副作用についてです。この試験で収集している副作用は、今のところは比較的中等度から高度の副作用の情報であると理解しました。逆に言えば、軽度の副作用に関しては情報がないということになります。添付文書でも副作用の欄で重大な副作用のみが書いてあってその他の副作用は書いてありません。これで分かるのかもしれませんが、多くの医者はこれを読むとその他の副作用は起きないと思ってしまいます。中等症までの副作用については分かっていないということが伝わるような方法を御検討いただければと思います。
 それから、先ほど有効性・安全性のデータが日本人にも外挿できるとおっしゃったのですが、この600mg+600 mgの製剤はIVで使われますが、日本人のデータはSCしかありません。海外は600mg+600mgのIVのデータがあるのですが、日本人のSCのデータとは当然Cmaxは違うと思います。それでも海外の有効性のデータが日本人でも期待できると十分主張できるか議論が必要と思います。感覚的には薬の特性を考えれば問題ないだろうとは思うのですが、データでもし説明できるのであれば教えてください。
 以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず最初にいただきました臨床試験でイベント数が少ないというところでの結果だということがきちんと臨床現場に伝わるようにということだったと思いますけれども、添付文書におきましては臨床成績の項に例数等もきちんと記載しておるところでございますが、こういった試験であったということはきちんと臨床現場に伝わるように情報提供するよう申請者には指示をしたいと思います。
 また、安全性につきましても添付文書においてもこういった情報を集めたデータですよというのは記載をしているところではございますけれども、そういったところも含めてきちんと臨床現場に伝わるようにこちらも申請者に指導したいと考えております。
 それから、その次にいただいた日本人と外国人のPK差の話ですけれども、こちら、報告書の通し番号の28ページを御確認いただけますでしょうか。本剤は抗体製剤ですので、生体内のIgGと同様の過程で消失し、腎排泄ですとか肝代謝が影響しないことを踏まえますと、民族差が生じにくい製剤であると言えると考えております。
 その上で、今回、各1,200mgと各4,000mgの点滴静脈内投与で日本人と外国人のPKが得られておりまして、そちらのPKパラメータに大きな差が認められていないことが確認できております。また、PKパラメータに本剤では、線形性が認められておりますことから、各600mgにおいても国内外でPKパラメータの差は想定されないというように評価をしているところでございます。
 以上、御質問の答えになっておりますでしょうか。
○南委員 そのPKについては私も理解はしているつもりですが、例えばSCとIVではCmaxが違うはずですね。その場合は有効性にはピークよりもトラフの濃度が大事と理解してよろしいでしょうか。そのくらいの濃度で十分効果が期待できると考えていいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤、非常に半減期が長い製剤でございますので、ピークというよりはトラフが大事というように考えております。
○南委員 例えば、生体内のウイルス量を中和するのに必要な濃度はどの位必要か理論的にでもいいのですが、推定したりすることは可能なのでしょうか。
 それから最後に、先ほどの副作用の点ですが、どのようなデータを収集したかというのはこの添付文書の書きぶりからは、やはり分からないのではないでしょうか。次の副作用が現れることがあるので観察を十分に行い云々かんぬんに続いて、重大な副作用しか書いてありません。重大な副作用しか収集していないということ、あるいは中等度以下の副作用に関しては不明であるとか分かりやすく記載しておいたほうがいいような気がしますが、いかがでしょう。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書の17.1.1項の表17-3の上のところになるのですけれども、こちらに臨床試験でどのような有害事象が収集されたのかというのは記載をしておるところです。ただ、先生の御指摘を踏まえますと、こちらではなかなか伝わらないのではないかというように理解をいたしましたので、そこはきちんと現場に伝わるように情報提供するように申請者に申し伝えたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
○南委員 医者がどんな副作用が出るのだろうと思って添付文書を見るときは、普通は臨床試験のところまでは見ないと思います。有効性に関して調べる時は見ると思いますが、副作用が書いてあるのはこの11のところなので、ここにも何か一言一文あったほうが私はいいように思います。この点は他の委員の方の意見も聞いていただければと思います。私だけがそう思うのであれば取り下げますが、いかがでしょう。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。添付文書は記載のルールもございますので、そちらも踏まえて記載できるかどうかも含めて検討させていただきたいと思います。
○南委員 よろしくお願いします。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、宗林先生、お願いします。
○宗林委員 すみません、2点ですけれども、一つは、読んだときの素朴な疑問、質問でございます。軽症で、症状が出てから7日以内に使うものだという記述がある一方で、点滴静注であること、それから、先ほどの課長のお話ではレムデシビルのように病院からオーダーを受けて一定の管理の下配付するというようなお言葉がありましたが、その二つのイメージがつながらなくて、外来でも単回投与なので点滴静注もできないわけではないですけれども、7日以内に入院するということを前提として使われる感じなのかということがこの部会で検討することではないのかもしれませんが、ちょっとイメージがつながりにくいので教えていただければと思います。
 それから、もう一点は、54分の29のところにあります最終的な目標濃度の20μというのがこれ以上あればいいよという目標濃度だと思うのですが、これは読むには読んだのですが、これを超えているから600でも1,200でもいいとかというような根拠になっているようですが、ここのところ、説明をもう少しいただければと思います。
 以上です。
○医薬品審査管理課長 宗林先生、すみません、審査管理課、吉田です。
 先ほど国の方でこれをどう扱うのかということについて御説明いたしました。その関連の御質問をいただきましたけれども、投与対象は一般論的には重症化リスク因子を有し、軽症から中等症Iの患者という形になると思うのですが、実際には入院患者を想定する形になります。ですから、実際の投与患者は、今回は取りあえずは入院患者という形。それはやはり確保する量の問題もちょっとございますので、まずは入院患者ということを国としては考えている、そういうことでございます。
 私の方から以上です。
○宗林委員 そうしますと、これはまた運用のときにそういうことの利用の前提を書くということですか。
○医薬品審査管理課長 はい。あらかじめ健康局サイドからいろいろと通知を出します。どういう方が対象患者かということ、使うときにはどういう手続が事前に必要かとかという、それは健康局サイドの方から各医療機関に周知されるという形になりますので、それに従って対応するということです。
○島田委員 すみません、今のは本当に入院患者なのですか。
○清田部会長 ちょっと待ってください。
○島田委員 ごめんなさい、どうぞ。
○宗林委員 発症してから7日以内の入院患者さんということですね。今のお話を続けます。
○清田部会長 その期間の国からのサプライが間に合うのかというような御意見、御質問もありましたね。違いますか。
○宗林委員 いや、軽症で発症したら7日以内というお言葉と、それから、吉田課長がおっしゃった注文を受けて、レムデシビルのように一定の管理をして、しかも、点滴静注ということを結びつけて考えると、外来では難しいのかという素朴な疑問がありまして、入院患者さん対象と思ったのでお聞きしたまでです。
○清田部会長 では、今のお答えで大丈夫ですか。
○宗林委員 今のお答えで十分でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
○宗林委員 私はあともう一つ、20μg/mLのところ、20μg/mLぐらいの濃度があれば有効として600mgの設定をされているということだと理解したのですが、そうですよね。ここのところ、少しだけお話ししてください。20μg/mLであればいいということ。
○清田部会長 機構から。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。20μg/mLを超えれば有効性が期待できるというところで御理解のとおりです。
○宗林委員 どのページを見ればいいのでしょうか。表16でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 報告書の今、御紹介いただいた通し番号29ページ、表ではお示しはしていないのですが、6.R.2のポツのところで御説明をしているところでございます。
○宗林委員 そうですね。そうすると、28日たっても、それを超えているから600mgでいいということで決めたということの理解でよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりでございます。
○宗林委員 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川でございます。
 先ほど南先生がおっしゃったところと重なるのですけれども、重症化のリスクの表が17.2、添付文書に書いてあるのですが、あまりにも記載内容が不足しているのかなと感じます。特に54分の49のところに1ポツの丸の三つ目ですが、これは疾患のリスクが進むに伴い変わり得ることなので、これに関してはしっかりと書き込みが必要ですし、新しい知見があれば適切に更新していくということが重要で、先ほど言ったように判断というか対象患者さんがあやふやになってしまうと懸念されている先生方は多くいらっしゃいます。そこのところの枠組みというものはしっかりとつくっていただかなければいけないのだろうなというように思います。
 それから、先ほどの600mgの話なのですが、今後、提出されることがないことが先ほど分かりましたが、米国のEUAは正式承認ではないために、EUAでは12歳以上とされているということ自体は日本で12歳以上とする根拠にはならないと思います。本来であればデータの入手を待って判断するべきですが、治療法が必要という状況であるので特例承認という条件では、18歳未満は全例調査をすべきではないでしょうか。その文言の中にしっかりと加えていただければというように思います。
 それから、これは静注の順番というのはどちらが先でもいいのでしょうか。臨床試験で順番は決められていたのかどうか。実際には、これは抗体の受容体結合ドメインの結合が認められたのでどちらが先でもいいはずなのですが、それも教えていただきたいと思います。その3点でございます。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品審査管理課長 では、一番最初の御質問ですが、いわゆる重症化リスク因子の関係について、これは薬事だけでない部分もあろうかと思いますので私の方から承知している範囲内でお答えいたしますが、確かに薬事に書いているのはこの添付文書に書いている内容、これはいわゆるアメリカでの臨床試験での基準という形になっております。
 一方で、重症化リスク因子というのは疾病の理解が進むに伴ってどんどん変わっていくということで、それについてメンテナンスをするべきだという先生の御指摘はそのとおりでございますので、その辺りについて、健康局、国の方で考えておりますのは、ここの選択基準ももちろんそうですし、あと別途、これまでも出しておりますコロナの診療の手引でありますとか、あるいはアメリカの緊急使用許可におけるリスク因子、こういったものを健康局の方で出す通知の中で併記する形でお示しして、それらを参考にして現場の方で御判断ください、そのような形で考えております。
 したがって、これを今後メンテナンスする方法は、いろいろ方法はあると思いますが、添付文書でやるという方法ももちろんあろうかと思いますが、健康局サイドで出す通知の中でもメンテナンスしていくという、そういう方法もあろうかと思いますので、いただいた御意見を踏まえて健康局サイドとも相談しながら適切な方法を考えさせていただきたい、そんな感じで考えております。
 最初の質問については以上です。
○宮川委員 では、そういう意味では、使われる医療機関はある程度限定されると考えてよろしいのでしょうか。
○医薬品審査管理課長 恐らくそうなるのではないのかなと思っております。
○宮川委員 ありがとうございます。
 それから、600mgの方はどうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そちらにつきましては機構からお答えさせていただきます。
 報告書の通し番号の30ページを御確認いただけますでしょうか。こちらに小児患者における用法・用量の設定根拠について記載させていただいております。御指摘があったように米国EUAでも12歳以上かつ体重40kg以上の小児に対して成人と同じ用法・用量で認められているというところも事実関係としてございますけれども、我々の評価といたしましても、まず12歳以上かつ40kg以上の小児では成人の体重と重なることから、成人患者と同程度の曝露量が得られるというように考えられること。それから、本剤、外来性因子であるSARS-CoV-2のSタンパク質のRBDに特異的な結合能を有し、ヒト組織と交差性を示さないこと。それから、今回、提出されておりますCOV-2067試験におきまして申請用法・用量より高用量で体重40kg付近の被験者に投与されていること。また、ほかの薬ではございますけれども、近年、12歳以上40kg以上の被験者においては成人と併せて評価されているようなこともございますので、本剤は成人と同一の用法・用量とすることで特段の安全性・有効性上の懸念が生じる可能性は低いというように評価をさせていただいているところでございます。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○宮川委員 そのことは了解しました。
 それから、静注の順番はどうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。
 臨床試験におきましては、この2剤を一つの点滴バッグに混合しまして同時に投与されております。本剤の臨床使用でも同様の投与方法を想定しております。
○宮川委員 分かりました。
 それから、厚労省の方にお伺いしたいのですけれども、承認後2か月以内に追加資料が提出されたりすると、特例承認から正式承認になるのかどうか、その際の保険収載の方向性というのはあるのかどうか、それは可能性のことで申し訳ないのですが、お聞きしたいと思います。
 以上です。
○医薬品審査管理課長 よろしいでしょうか。これは今、レムデシビルがそうであるように特例承認で承認が取れますと基本的には特例承認のままです。データが出てきて確認はいたしますけれども、特例承認というステータスは変わらないという扱いにさせていただいているということでございます。
○宮川委員 了解しました。
○医薬品審査管理課長 あと保険の方の話は、これはまたお金の話といいますか、そういう話になりますので、そこの辺りとの兼ね合いだと思います。
○宮川委員 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 それでは、次に、横幕先生、お願いします。
○横幕委員 すみません、お願いいたします。実際の患者の診療をしている立場として、恐らくこの薬は一番ありがたいのはまず手が一つ増えるということとです。本来であれば適切な症例に適切な時期、外来で1回投与して帰宅させそのまま様子が見られるというところがたぶん本来の在り方だとは思います。そういった形で使えるようになれば現場としての立場としてはいいかと思います。ただ、今までの御議論にもあったように、やはり私もこの薬の有効性がもう少し腑に落ちるというか、納得できる何か材料があればと思って少し御質問させていただきたいと思っております。
 まず一つ目です。こういった抗体製剤が直接ウイルスの複製の制御をすること以外にも様々な機序を持って疾病のコントロールをする可能性があることは理解しておりますが、例えばお示しいただいた臨床試験の中で個々の症例で著効例といわゆるウイルス量が並行して動いたような症例があったかどうか、もしデータ、もしくは知見をお持ちであれば教えていただければと思います。
 また、海外では先行してもう既に緊急承認されているという状況ですけれども、ここでデータを出していただくことが適当かどうかは分かりませんが、少し有効性を納得させていただくという理由で、海外で今までどれぐらいの症例で使われて、実際臨床試験どおりの効果が実感されているかどうか、また、使用後の成績等をもってそれが示されたデータがないかどうか教えていただければと思います。
 これにつきましては、検討期間における様々なバリアントに対する有効性の検討については臨床試験でも示されているところかと思いますけれども、緊急採用されてからも随分時間がたっておりますので、現状、なるべく近いところでこの薬がまだしっかりと効果を発揮できる状態であるというところの検証はあるでしょうか。
 最後に、HIV等では抗ウイルス薬の標的にはなり得ないと思うのですが、こういった変異をするウイルスの変異が非常に富む部位を標的にする薬を、薬として一定期間使っていこうという方向性については、緊急採用的なものであることは理解しているものの、いい中和抗体であっても薬として作っていくというところは少し抵抗があります。市販後の様々な効果や耐性獲得に関するアセスメントの体制構築が大事だと思います。様々なダイナミックな耐性化の機序も最近報告もされております。例えばどういった機関がこの薬の有効性とか無効になったときの機序の解析だとか、臨床情報の解析をどういうようにやっていくのでしょうか。何かそういったものが整った上でこれを承認していくのでしょうか。現在、その体制が整っているかどうかも教えていただければと思います。
 以上です。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 まず1点目、御質問いただいたのが臨床試験における著効例と、それから、ウイルス量がリンクしているような情報があるかという点ですけれども、個々の患者さんでのそういった情報は提出されておりませんで、全体の臨床試験として臨床的な有効性が認められたというところと、あとはウイルス量につきましてもプラセボ群と比較して本剤投与群で下がっているという情報は提出されているというところでございます。
 それから、海外での使用状況ですけれども、海外でどのくらいの量が使用されているかというところと、その患者さんで有効性がどうだったかという情報は、申し訳ありませんが提出をされておりませんので分かりません。
 それから、変異をするウイルスに対して市販後も含めてどういったことで見ていくのかという点でございますけれども、御指摘のとおり、コロナウイルスは変異をするものが知られておりますので、それについては引き続き検討するよう申請者には指導しているところでございます。海外の状況を見ましても臨床試験で有効性が認められているような抗体製剤に対しても、in vitroにはなりますけれども、そちらで中和活性が落ちているような場合には使用がやめられたりもされておりますので、本邦においても同様の対応になるのかなというように考えております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○横幕委員 ありがとうございました。
○清田部会長 それでは、島田先生、また御質問あるようです。
○島田委員 すみません。宗林先生のときにもちょっと言いたかったのですけれども、基本的に入院患者さんなのですか。要するに欧米ではこれは外来患者さんに主に、だから、軽症から中等症のごく初期で軽症の部類に入りそうな人たちに使うということであれば外来患者さんに使っているようですけれどもね。この日本では入院患者さんに特に推奨するとかということであればそういうように書かれればいいのですが、この添付文書、何かややこしい書き方をしてあるのでちょっと難しいかなと。それは1点で、それはまたいいのです。
 先ほどの先生の御意見にもありましたけれども、このウイルスはすごく変異が激しいですよね。だから、いろいろなバリアントが出てきていまして、この要するに添付文書にも最初のページに2段落目に2021年5月時点で海外と本邦で流行するSARS-CoV-2流行株の変異に大きな差異は認められないことから、日本人も外国と同じようにやっていっているというようなことなのですけれどもね。
 本当に一時点だけ取り上げると似たようなプロファイルを示したかもしれませんけれども、今、もう諸外国その他ではほとんどデルタですよね。日本は今、デルタに置き換わりつつあるということなので、そういう意味ではいいのかなと思いますけれども、この大体臨床試験自体はAlphaで行われていますよね。主にアメリカで行われて、かなり今年の初めとかということであればAlpha株で行われていると見るのが普通かなというように思うのですけれども、だから、今度、デルタ株に変わったときにどうかということなのです。
 先ほどvitroの試験でデルタにもある程度効果があるということはおっしゃったのですけれども、でも、実際にデルタでどうかというのは本当に問題になるところかと思うのですよね。だから、その辺をもう少し強調されないといけないのではないかと思うし、この添付文書の書き方だと、いや、日本とアメリカ、外国も一緒だからとちょっと乱暴な言い方なのではないかなというように思いますし、この辺、添付文書に別に必要ないのではないかなと思うのですけれどもね。その辺のところはまたもう一回御検討いただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○医薬品審査管理課長 科学的なところは後ほど機構の方から補足していただくとしまして、変異株の関係につきましては、審査報告書の中でも基礎の段階でデルタ株についても中和活性の変異倍率としてはそんなに変化がないというような結果にはなっております。このもの自身がいわゆる二つの抗体のカクテルになっていますので、多少変異があってもそこはカバーし合うといいましょうか、変異に対して抵抗性があるといいましょうか、そういったような薬剤のデザインになっているということもあろうかと思います。
 変異株に対する考え方は一応そういうことでアメリカでの臨床試験におきましても野生株、それから、Alpha株、Epsilon株、Iota株等々が見られる中で臨床試験が行われており、今のところの情報では変異株でその効果が期待できないという情報はないので、逆に申し上げますと、変異株に対しても有効性は現時点の情報では期待できるというように考えております。そういった中で日本人でのデルタについては、抗体のPKというところでの評価をもって、先ほど言いましたデルタについても変異株のデータを確認できていますから、日本においても効果については、推定できるというように考えて差し支えないのではないかなというふうに考えております。
○島田委員 それは今、機構がおっしゃったことをそのままおっしゃっているので、それは分かっていますよ。だけれども、vitroでデルタに効いたからといって実際の試験はデルタでやっていないので、そこはあまりアグレッシブに言わないほうがいいのではないかなと思います。
○医薬品審査管理課長 我々も確定的なことを申し上げるつもりはございませんが、ただ、承認。
○島田委員 だから、そういうようなことを誘導的におっしゃるのでね。
○医薬品審査管理課長 分かりました。
○島田委員 別の言い方をされていれば私もいいとは思うのですけれども、日本とアメリカは同じバリアントのプロファイルだったような、わざわざこれは言っているわけで、それはちょっと乱暴かなと。それはある時点ではひょっとしたらそうだったかもしれないけれども、今のこの変わり方を見ているとかなり違うと。
○清田部会長 部会長です。
 部会長から一言申し上げたいのですけれども、この薬剤が末永く変異を繰り返すバリアントに有効かというと誰もそれは思っていないのではないかと思いますが、現時点で。
○島田委員 そんなことは当たり前ではないですか。だから、私はそういうことを言っているわけではないです。
○清田部会長 現時点でこれが必要かどうかを議論しているのですね。
○島田委員 そういうことを言っているわけではないでしょう。だから、私は慎重な言い方が必要ではないかと言っているだけですよ。末永くどうのこうのという話なんか、それは駄目でしょう。先ほどの名古屋医療センターの方がおっしゃったのとそれは一緒ではないですか。バリアントでどんどん変化するから危ないに決まっているわけで、ただ、この時点でも本当に大丈夫かということも完全には保証されてないので慎重な投与が必要だということを言っているだけです。
○医薬品審査管理課長 そうですね。言葉足らずで申し訳ありません。我々もそういうつもりはございません。ですので、変異株に対する効果については引き続き情報収集して適切に現場に提供するということが条件になっておりますので、その辺は注意してやらせていただきたいと思いますが、少なくとも現時点で一定の有効性は期待できるということだけは申し上げたいと思います。ただ、確定的なことはそれ以上申し上げませんが、そういうことでございます。よろしくお願いします。
○島田委員 分かりました。それでいいと思います。
○清田部会長 南先生から御意見いただいているようなので、こちらで代読させていただきます。
○事務局 事務局でございます。
 南先生からチャットをいただいております。入院で使用するのでは重症者では効果が示されていないというこの薬の特徴と矛盾します。軽症者を入院させるのは現場が混乱しかねません。
 それから、関連して宮川先生からも、入院症例と外来症例が混在しないかどうか、南先生同様、現場の混乱が心配ですというコメントをいただいております。
○島田委員 ありがとうございます。私もそれを心配したのです。
○医薬品審査管理課長 そこは健康局の方と調整させていただきたいと思いますが、薬事というよりもそのものの確保の問題等々ございますので、その辺りは意見を伝えて調整させていただきます。
○清田部会長 浦野先生、御意見あるようですが、いかがですか。
○浦野委員 浦野でございます。
 臨床ではないサイエンスの観点から質問したいのですけれども、審査報告書を読んでいてKDの値がすごいばらばらなのが気になったのですが、54分の11では、それぞれの抗体2種類のKDというのが片方は数値、nmolで、イムデビマブの方が○○○○○○nmolぐらいというようなことが書いてあって、これは相手がSタンパク質に対するKDを○○○で測ったと書いてあって、それが少し先に行って17ページぐらいのところで出てくる表だと全部オーダーがpmolになっていて、RBDに対してだったらまだ分かるのです。Sタンパクもpmolオーダーで書かれているというのが、ちょっとこれがどういうことを言っているのかよく分からなくて、その先に今度はバインディングをELISAで測ったときというのはやはりRBDに対するpmolオーダーであるというようなことが書いてあったのですが、この辺のオーダーの差というのは何か由来することはあるのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 少々お時間いただけますでしょうか。
○清田部会長 では、この間にちょっと。
○医薬品審査管理課長 すみません、この間に先ほど入院の患者の話について健康局の方にお伝えしたいと思いますが、ただ、全世界的な供給量は限られている中で目いっぱい日本での供給量を確保するべく取り組んでいるところでございます。ただ、やはり一定の限界はございますので、御意見はお伝えしますけれども、当分の間は入院している患者に限定せざるを得ないかもしれない、そこはちょっと御理解いただければと思います。もちろん、量がどんどん広がっていけば、その辺、改善の余地はあろうかと思いますが、当初、当分の間は入院患者で該当する者という、そこに限定せざるを得ないという面はあろうかと思います。御意見はお伝えします。
 以上です。
○清田部会長 機構、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。試験系がそれぞれ異なっているというところがあるとは思うのですけれども、すみません、それ以上は今の段階でお答えできません。
○浦野委員 ○○○なのでそんなに差が出るとは思えないというか、3乗違うのは何か違うのかなと思うので確認していただきたいのですけれども、それはどうでもいいわけではないですが、確認してほしいのですが、もう一つ伺いたいのが、今回、この抗体でターゲットにできるRBDというものと今、日本だと少なくともファイザーとモデルナでワクチンによってやはりIgGができるわけで、それのSタンパクに対するエピトープというものというのはどれぐらいオーパーラップがあるというように考えればいいのですか。
 使う側からしたときに、結局ワクチン接種者と接種していない人に関して関係なくこれは使っていいのだというように、説明をされたときにはそういうように伺ったのですけれども、実際にその効果というのが期待できるのかどうかというのは、そのエピトープが違ったら多分それは効果が期待できると思うのですが、エピトープが重なるようだったらば少なくともそのブレークスルーで感染してしまって症状が出てしまった患者さんに対してこれを通してもあまり意味がないのかなと思うので、その辺に関してというのはどこまで分かっているのかというのを伺いたかったのです。
○清田部会長 機構、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。ワクチンによってもどこのエピトープがというところは異なるところがあると思いますので、すみません、それらとどの程度重なるのかというのは今、情報が手元にございません。ワクチンは中和抗体を期待するものだけではなくて細胞性免疫などの働きもございますので、一概にワクチン投与接種者で本剤投与したときにどうかというところはデータがない状況ではございます。ただ、抗体の有無によって本剤の有効性に大きな影響はないというところはCOV-2067試験で確認をしているところでございます。
○浦野委員 大体のことは理解できたのですけれども、そのワクチンの方がやはり細胞性免疫の方まで上げるということなので、今回のものというのは、そこは期待できないわけですよね。だから、むしろワクチンで駄目なものに対してこれを入れることによって効果があるということを期待するためには、やはりそのワクチンでは惹起されなかったようなエピトープに対するIgGであるというところが必要なのかなと思うのですけれども、結局、日本で使う場合というものもワクチン接種者かそうでないかというのに限らず、先ほど言った重症化リスクの因子が1個以上あれば全員に使えるという形で日本では通すということも考えられているのですよね。
○清田部会長 ちょっと課長さんから。
○医薬品審査管理課長 審査管理課です。
 ちょっとアバウトな回答になってしまって恐縮ですけれども、現在あるファイザーとかモデルナのワクチンがターゲットにしているのはSタンパク全体に対する抗体を狙っているワクチンだというように認識しております。一方で、今回のこの薬剤、カシリビマブ、イムデビマブについては、いわゆるReceptor Binding Domain(RBD)、そこに特異的に認識する抗体となっていますので、そういった意味では先生御指摘のワクチンが狙っているところとこのものというのはかなり特異性の面では違う可能性もあるのではないかと言えるのではないか。それ以上詳しいことはちょっと申し上げられませんが、概念的にはそんなところで差別化できるのではないかなというように認識します。
 以上です。
○清田部会長 使えるかどうか。
○医薬品審査管理課長 使えると思います。
○浦野委員 了解しました。ということは、結局、ブレークスルー感染した人にもこれは効くというように考えてよろしいのですよね。多分これから先、抗体価が下がってくるせいなのかどうか分からないですけれども、明らかに各国を見ている限り、ブレークスルーがどんどん出てくるのは確実だと思うので、その場合というのは、やはり先ほど言った重症化リスクがある人に対しては、これを入院専用にするかは分からないですが、投与すると効くということというのは海外で結構大きな試験をやられているのでブレークスルーの人も結構いると思うのですが、それは効果が出ているというように考えてよろしいのですか。
○清田部会長 大曲先生、聞いていますか。
○大曲委員 はい。聞いております。
○清田部会長 今の御質問に答えられますか。
○大曲委員 すごく難しい御質問で、私は、ファクトは持っていないのですが、一つ思うのは、細かいことは正直存じ上げません。ただ、ブレークスルーが起こった場合に実際にブレークスルーで受診された患者さんを拝見しています。そうすると、CT値レベルでしか分からないのですが、しっかり症状はあって、ウイルスはPCRで出て、CT値は、いわゆる既往がない方と比べればやはり高めです。ウイルスでは低いのだろうなと思います。ただ、やはり恐らくはこの感染症が成立して発症というところに至る中で自然免疫と細胞性免疫と液性免疫が働いているわけだと思うのですけれども、結局それで十分に応答ができない、それがゆえにウイルスの増殖をやはり一定程度許してしまっている、症状も出てしまっているという状況ではないかと思います。
 そうやって出ているウイルスに関しては理屈の上では、このカクテル、抗体カクテルはウイルスを純粋に減らすという意味では効果があるのではなかろうかとは思っています。うまく答えになってはいないかと思いますが、私なりの概念的な把握です。
 以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。
○島田委員 すみません、変異はどうなったのですか。島田です。そのブレークスルーしたウイルスの変異部位、いかがだったのでしょうか。
○大曲委員 これはもう一度確認しますが、たしかN501Yだったと思います。今回の事例に関してはですね。
○島田委員 それが出てきたということですか。
○大曲委員 そうです。
○清田部会長 浦野先生、途中ですけれども、いかがですか。
○浦野委員 大曲先生、御説明ありがとうございます。大体そんな感じだろうなというのは納得できるので、実際に使う側としては多分それを気にせずというか、履歴を気にせずに使っていくということで、私、個人的にはいいかなと思いますし、多くの臨床の先生がおっしゃったみたいに一つ手が増えるというのは圧倒的にいいことだと思うので、私としては、これはもちろん通すことに全く異議はございません。
 一国民としては、こういう抗体製剤をすごいもしかしたら対象者が多いところに通して本当に保険は大丈夫なのかなというか、お金、大丈夫なのかなとすごい心配になるところはやはりあるので、ここは第二部会の議論ではないですけれども、ぜひそこに関してはしっかりと調整していただければと思います。
 以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。
 ほかの委員の先生方、よろしいでしょうか。
 大曲先生、追加して何か御意見ございますでしょうか。
○大曲委員 ありがとうございます。
 いや、でも、議論を聞かせていただいてすごく勉強になりました。1点だけ、すごく議論になった点で、やはり対象をどう選ぶのかということはすごく私もこれはこの薬の目に見えるような効果をちゃんと現場で期待する上でも、やはり医療経済の観点からも重要だと思っています。これは本来、本日の議論とは外れるところかもしれませんが、そこのところに関しては、例えば亡くなるということをリスクとして捉えた場合に特にリスクが高い方は腎臓疾患があるですとか、虚血性心疾患があるですとか、慢性肺疾患がある方は特段に高いといったようなことは分かっています。ですので、これは運用をどうされるかは、もうそれこそ健康局でお決めになると思うのですが、そうしたデータを基にされてハイリスクの方を選ばれて適応とするということになるのかなと思って話を伺っていました。
 あとは外来で使えるか、入院で使えるかという話、本当に難しいところかなと思います。現状ですとレジストリのデータですと、発症から入院までの時間が4~5日だと思います。ですので、医療がうまく回っている状況であればぎりぎり7日以内に間に合うのかなと思っています。ただ、厳しい状況だとなかなか難しいかもしれません。医療が逼迫している状況だとですね。
 あと外来でやるのはすごく効率がいいと思うのですが、現状、外来でのいわゆる診断の場がなかなかこうしたお薬を使うのに適してないような状況があるような気がします。例えば自治体で行っている検査スポットだったりですとか、あるいは開業されている先生方の外来ですとかというところで多くは診断がつくことはあります。そこにこのお薬を届けるということはなかなか大変かなというのと、あとは人によっては診断がつくまで自宅で待機される方がいらっしゃいます。診断がついたのでハイリスクなのでこの方を外来で治療ということになると、現状は、では、誰がどうやってアレンジして外来に連れてくるのかとか結構面倒な問題があります。
 そういう意味では、時間が間に合うのであればハイリスクの方をしっかりと選んで、行政などが用意した手段で入院、病院まで連れてきていただく、そこで投与するというのが現場でロジを組む側からすると回しやすいです。この病気の扱いが感染症法で下の扱いになれば外来での使用というものももう少し楽になるのではないのかなと思うのですが、現状ですとなかなか難しい制約が多い印象は持っております。
 すみません、ちょっと話がずれましたが、以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。
 最後に石井先生から何かコメントがあるようです。石井先生、お願いします。
○石井委員 すみません、2点確認させてください。
 まず一つ目が、今、話題になっていました事前に抗体を持っている方への投与ですけれども、臨床試験では血清学的検査によりSARS-CoV-2抗体陽性であることが判明している患者というのが除外基準に含まれていますが、本剤の使用に際しては事前に抗体の有無を検査することはないという理解でよろしいでしょうか。
○清田部会長 機構、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 実際には抗体の有無は事前に確認されないというように考えます。
○石井委員 ありがとうございます。
 もう一点、大変細かくて恐縮なのですけれども、抗体医薬品は、通常は劇薬指定されていると思いますが、本剤が非該当であるのは抗原が外来性のものだからという理解でよろしいでしょうか。
 以上です。
○医薬品医療機器総合機構 先生のその理解で結構でございます。
○石井委員 ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、そろそろ議決に入りたいと思いますので、よろしいでしょうか。ありがとうございます。大曲先生、どうもありがとうございます。議決への参加は御遠慮いただくことになります。また、濱先生、南先生、山本先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加は御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで待機されています松下先生をお呼びください。
── 松下委員入室 ──
○清田部会長 本日の議題は以上ですが、事務局からの報告があるようでございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 それでは、続きまして、事前にお送りしたその他資料No.1-1「COVID-19ワクチンモデルナ筋注(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2))試験の概要」を御覧ください。
 武田薬品工業株式会社が製造販売するCOVID-19ワクチンモデルナ筋注は、5月20日の臨時部会で御審議いただき、現在、臨時接種のワクチンとして接種が進められているところでございます。COVID-19ワクチンモデルナ筋注の第III相試験については、18歳以上を対象として実施されましたが、別途12~17歳を対象とした約3,000人の海外第II/III相試験のデータが提出されておりまして、その概要を御報告させていただきます。
 用法・用量については、成人と同様に1回100μg、0.5mLを28日間隔で2回、筋肉内接種しております。
 有効性に関しましては、2ページの説明及び3ページの表1にお示ししておりますように、12~17歳の被験者の免疫原性について別の海外第III相試験における18~25歳の被験者データに対する非劣性が確認されております。
 また、3ページの説明及び表2にお示ししておりますように、COVID-19発症に関するワクチン有効率として100%という結果が得られております。
 安全性に関しては、5ページの表3や6ページの表4にお示ししておりますように、接種後7日間における特定有害事象や接種後28日までに1%以上に認められた非特定有害事象及び副反応をお示ししております。ショック・アナフィラキシーの発現は認められましたが、治験薬との因果関係は否定され、転帰は回復でした。ワクチン接種による疾患増強リスクを示唆するような情報も確認されておりません。
 このような試験成績を基に、先般、武田薬品工業株式会社から添付文書改訂の相談が機構に申し込まれました。
 その他資料No.1-2、新旧対照表の1ページを御覧ください。
 現在、COVID-19ワクチンモデルナ筋注の添付文書では、用法及び用量に関連する注意として、接種対象者を「本剤の接種は18歳以上の者に行う」としておりますが、今回提出された臨床試験データを踏まえ「本剤の接種は12歳以上の者に行う」という記載に改訂する予定です。これに合わせて、添付文書の臨床試験成績の欄に12~17歳における臨床試験成績を追記するなどの対応が行われます。これらの変更を反映した添付文書改訂案をその他資料No.1-3にお示ししております。
 COVID-19ワクチンモデルナ筋注に関する報告は以上ですが、続きまして、アストラゼネカ株式会社が製造販売するバキスゼブリア筋注について報告させていただきます。
 アストラゼネカ株式会社が製造販売するバキスゼブリア筋注については、先ほど御説明したCOVID-19ワクチンモデルナ筋注と同様に5月20日の臨時部会で御審議をいただき、承認させていただいているところです。この際、承認は可とするものの、本剤の有効性や安全性、接種対象者等に関する本部会での御議論については、予防接種政策を所管する部局、審議会等に適切に申し伝えるべきとされました。これを踏まえ、5月21日に開催されました厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、医薬品審査管理課長より本部会での議論を紹介させていただきました。
 なお、5月21日の厚生科学審議会においては、バキスゼブリア筋注については、諸外国における高齢者以外の層への接種推奨の状況などを注視しながら、我が国における使用の在り方について引き続き検討することとしてはどうかとされ、臨時接種の対象とするかどうかについては引き続き検討することとされております。
 報告は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。
 今の御説明で委員の先生方から御質問等がありましたら承ります。
○中野委員 中野です。よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○中野委員 1点だけお教えください。事前の御説明のときにCOVID-19ワクチンモデルナ筋注は米国でも12~17歳まではまだ年齢は適応拡大されていないということは確認させていただいたのですが、世界のほかの国々で12~17歳に年齢拡大された、あるいは実地で使っているという国のもし情報があったらお教えいただきたいと思います。
○事務局 事務局でございます。
 実際に諸外国で12歳以上にまで拡大したというところまでは行っていないと認識しておりますが、諸外国においても企業側と規制当局において調整がなされており、もう少々でほかの国でも拡大される頃というように聞いてはおります。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○中野委員 承知いたしました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問ございますでしょうか。
 ありがとうございました。ないようでございますので、その他事項については御確認いただいたものといたします。
 事務局からの御報告はございますでしょうか。
○事務局 そうしましたら、次回の部会は7月30日金曜日、午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 お疲れさまです。それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)