第3回 日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価に関する検討会 議事概要

日時

 令和3年7月28日(水)持ち回り開催

議事概要

議題(1)日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価

【事務局から第2回検討会における評価方法案の変更を提案】
 第2回検討会においては、逸脱行為がなされた可能性のある試験の評価方法として、ラット肝中期発がん性試験及び遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験のいずれの試験についても、「『要注意動物観察記録』に記録があり、かつ、試験期間中に死亡せず、最終的な評価対象となっていた動物について、『投与が中止されていたにもかかわらず、投与されていたように記録されていた』可能性を最大限に考慮し、全て評価対象から除外した上で、試験としての成立の可否及びこれまでの評価の妥当性を検討する。」こととし、この方法に基づき試験結果を整理し、逸脱行為事案による試験結果や規制への影響について検討を行った。その結果、発がん性評価WGにおいて試験結果の評価を実施済みの試験について、試験結果の評価を変更する必要はなく、規制への影響はないとの結論を得た。
 しかしながら、第2回検討会における委員からの指摘を踏まえ、事務局で確認したところ、ラット肝中期発がん性試験と遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験では死亡等した動物の取扱いが異なり、今回検討の対象となった試験においては、ラット肝中期発がん性試験では肝臓の前がん病変(GST-P陽性細胞巣)の単位面積当たりの個数及び面積の試験結果に死亡等した動物のデータは含まれていないのに対し、遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験では腫瘍発生数の試験結果に死亡等した動物のデータは含まれているといった違いがあることから、ラット肝中期発がん性試験については、第2回検討会の整理に変更はないが、遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験については、上記の評価方法ではなく、評価方法を改めて整理する必要が生じた。
 
 このため、遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験の評価方法案として、事務局から、以下のとおり変更することを提案し、この内容に則して、第2回検討会の資料について所要の変更及び資料を追加した上で、改めて逸脱行為事案による試験結果や規制への影響について検討を行った。
(遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験の評価方法案(変更後))
「『要注意動物観察記録』に記録がある動物について、『投与が中止されていたにもかかわらず、投与されていたように記録されていた』可能性を最大限に考慮し、投与回数が少ないことにより腫瘍が発生しないといった影響を控除するため、『要注意動物観察記録』に記録があり、かつ、腫瘍が発生していない動物について評価対象から除外した上で、試験としての成立の可否及びこれまでの評価の妥当性を検討する。
 
【検討結果】
 遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験のうち、発がん性評価WGにおいて試験結果の評価を実施済みの4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールを対象とした試験のうち、変更後の評価方法案に基づき除外対象となる動物がある3試験(試験番号900、906、907)については、第2回検討会における検討結果と同様に、以下について委員各位から同意を得た。
○ 変更後の評価方法案に基づき除外対象となる動物の除外前と除外後で試験結果を比較したところ、腫瘍発生数に係る検定結果に違いはみられず、また、当該物質を対象とした遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験については陽性の評価であることに鑑み、これまでの評価を変更する必要はないものと考えられる。
○ 従って、当該試験について再試験を行う必要はなく、また、当該物質に係る規制への影響はないものと考えられる。
 
 一方、遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験のうち、発がん性評価WGにおいて試験結果の評価が未実施である以下の試験については、第2回検討会における検討結果と同様に、変更後の評価方法案に基づき試験結果を精査した上で、発がん性評価WGにおいて適切に評価がなされるべきとの方針について委員各位から同意を得た。
(試験結果の評価が未実施である遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験)
1. 1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオンを対象とした試験のうち、変更後の評価方法案に基づき除外対象となる動物がある3試験(試験番号912、913、924)
2. 2-クロロベンゾイルクロリドを対象とした2試験(試験番号933、934)
 (注)病理組織診断中のため除外対象となる動物は現時点で不明
 
 
議題(2)その他
 
 第2回検討会における検討結果及び上記の変更後の評価方法案をもとにした検討を踏まえ、事務局が作成した検討会報告書(案)について、委員各位から了承された。