第143回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和3年6月25日(金)13:00~14:54

場所

全国都市会館

議題

  1. 1.「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」の成立について
  2. 2.「経済財政運営と改革の基本方針2021」、「成長戦略(2021年)」及び「規制改革実施計画」について
  3. 3. オンライン資格確認等システムについて
  4. 4. 医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響について

議事

議事内容

○須田課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第143回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
また、議題に対して賛同いただく場合には、カメラに向かってうなずいていただくということで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
委員の異動がございましたので、御報告いたします。
藤原弘之委員が退任され、新たに日本経済団体連合会 社会保障委員会 医療・介護改革部会長 本多孝一委員が就任されておられます。後ほど一言御挨拶をいただければと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、菅原委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、林委員より遅れて御出席、また途中退席との御連絡をいただいております。
本日、記者の方には、別室にて会議の模様を傍聴いただいております。
会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○須田課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、先ほど事務局からの御紹介のとおり、新たに本多孝一委員が就任されておりますので、本多委員から一言御挨拶を賜れればと思います。では、よろしくお願いいたします。
○本多委員 経団連の本多でございます。本日からよろしくお願いします。
○田辺部会長 こちらこそよろしくお願いいたします。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ります。
本日は、「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」の成立について。それから、「経済財政運営と改革の基本方針2021」、「成長戦略(2021年)」及び「規制改革実施計画」について。3番目として、「オンライン資格確認等システムについて」。最後、4番目といたしまして、「医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響と対応について」、以上の4つを議題といたします。
では、初めに、「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」の成立についてを議題といたします。
それでは、早速でございますけれども、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○須田課長 総務課長でございます。
資料1を御覧いただければと思います。「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」案につきましては、今年2月12日の本部会で御報告しましたとおり、2月5日に国会に提出されました。その後、衆議院では4月8日に審議が始まり、厚生労働委員会で5回審議、参考人審議を経て、5月11日に衆議院で可決。参議院では、5月19日から審議が始まり、委員会で4回の審議、参考人質疑を経て、6月4日に原案どおり可決・成立しております。6月11日に公布されております。
参考人質疑におきましては、当部会の遠藤前部会長、佐野委員、前葉委員も出席され、意見陳述、質疑対応をお願いいたしました。また、連合からは佐保総合政策推進局長が出席されまして、意見陳述、質疑対応をされたという経緯がございます。
成立した法律の概要、資料の1ページにございますけれども、前回御説明した原案どおりとなっております。項目だけ、かいつまんで申し上げます。
1点目、全ての世代の安心を構築するための給付と負担の見直しとして、後期高齢者医療の窓口負担割合の見直し等。
2点目、子ども・子育て支援の拡充として、育児休業中の保険料免除見直し。また、国保の保険料の子どもの減額措置の導入。
大きな3点目、生涯現役で活躍できる社会づくりの推進として、健診情報等の活用促進。
最後にその他として、国保についての財政安定化基金の見直し等の改革。また、医療扶助へのオンライン資格確認導入といった内容になっております。
施行期日も原案どおり成立しております。
続きまして、資料の2ページ目を御覧いただければと思います。資料の2ページ目と3ページ目の2ページにわたりまして、参議院の厚生労働委員会で決議された附帯決議を掲げております。12項目ございます。その主な内容について御説明させていただきたいと思います。
1番目から4番目の項目が後期高齢者医療制度に関するものとなっておりまして、まず1番目は、窓口負担の見直しに伴いまして、必要な受診の抑制、あるいは疾病の早期発見が妨げられて重症化につながるといったことがないよう、健康診査の強化など必要な取組を進めるといったことが書いてあります。また、窓口負担の見直しが後期高齢者の受診に与える影響を把握し、長瀬効果につき研究を進めるといったことも1点目に書いております。
2番目の項目ですけれども、月の負担増を3000円までに抑えるという配慮措置の申告漏れ等が起きないよう、周知・広報等を徹底する。また、事前に高額療養費の振込先口座の登録が行われるよう協議していくということ。また、事務負担の増加が見込まれる広域連合等の支援を的確に実施するといったことが書かれております。
3番目ですけれども、現役世代の負担増を踏まえて、後期高齢者医療制度における財源の在り方について検討するといったことが書かれております。
4番目ですけれども、特に財政状況が厳しい健保組合への財政支援等を図るといった内容が書かれております。
以上が後期高齢者関係になります。
5番目は、傷病手当金につきまして、改正内容の丁寧な周知。また、不適切事例の指導等を行っていくということが書いてあります。
6番目は、育児休業中の社会保険料免除につきまして、恣意的な運用が行われないように促す。また、適用状況の把握検証を行うといったことが書かれております。
次のページ、お願いします。7番目は、国保の保険料、未就学児の減額措置については、対象者のさらなる拡大等について検討していくということ。また、出産に関する保険料についての配慮の必要性等を検討するといったことも書かれております。
8番目、健診情報等の適切な管理・運営に十分助言・指導等を行う。ガイドラインの見直しなど、必要な検討を行うといったことが書かれております。
9番目は、医療扶助のオンライン資格確認導入につきまして、福祉事務所また被保護者への支援を行うといったことが書かれております。
10番目ですけれども、高額な医薬品・医療機器、また遺伝子治療といったものの適切な評価の在り方について検討するということ。
11番目ですけれども、患者の受診行動に影響を与え得る制度変更の検討をするに当たっては、医療費の効果額の詳細な内訳等を関係審議会に明示すべきということが書かれております。
最後、12番目ですけれども、引き続き持続可能な全世代型の医療保険制度を構築するため、保険料賦課限度額の引上げなど能力に応じた負担の在り方、あるいは保険給付の在り方、医療費財源における保険料、公費、自己負担の適切なバランスの在り方、また、税制も含めて総合的な議論に着手し、必要な法整備等を講ずることという内容になっております。
政府といたしましては、附帯決議の趣旨を十分尊重して、今後の円滑な施行等に向けて取り組んでいく必要があると考えております。特に、窓口負担見直しの施行に向けた準備におきましては、広域連合等と十分相談しながら進めてまいりたいと思います。また、窓口負担の配慮措置につきましては、ポスターの掲示、リーフレットの配布など、被保険者に対する丁寧な周知・広報に取り組んでいく必要があると考えておりますので、医療機関を含め、関係者との連携をしっかり取りながら進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
説明は以上になります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私からは、附帯決議に関連して3点お願いしたいと思います。
まず、1点目は、1番の後期高齢者の関係で、衆議院のほうの参考人として出席させていただいた折に、国会議員各位が受診抑制について大変関心が高いということを感じました。議論がまだまだ明快になっていなかったような感じがございまして、結局、実際に実施したときに、データ分析とともに現場の感覚、現場で先生方のお捉えの感覚がどうなってくるのかということをしっかりと把握していく必要があるのかなという感じがいたしました。十分な経過措置、配慮措置等を設けておりますので、それほど受診抑制が起こるとは私どもは思っていないのですが、しっかり検証していただく必要があるのかなということを感じました。
2点目は、これはかねてから審議会でお願いしてきました広報の徹底について附帯決議でも書いていただいております。2番目のところです。よろしくお願いします。
最後に、1枚めくっていただいたところの7番で国保でございますが、未就学児の均等割保険料の減額に関して、対象者のさらなる拡充の検討を書いていただいております。ただ、これが市町村や都道府県等における財政状況等を勘案しながらということがございますが、もとより、この新しい政策、国2分の1の御負担でスタートするものでございますし、そもそも国保財政というよりも、子育て支援として行うものであろうかと思いますので、自治体の財政状況を勘案するというよりも、政策として子育て支援を今後どこまで広げていくのかという観点で議論を続けていただくことが必要かなと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
引き続き、平井委員、よろしくお願いいたします。
○平井委員 田辺部会長をはじめ、皆さんに大変お世話いただきまして、ありがとうございました。
基本的には、今、前葉委員がおっしゃったのと重なるところが多いと思いますが、まず、高齢者の医療費のことにつきましては、受診抑制のことのお話がございましたが、大きな制度改正になりますし、国民各層に行き渡らなければなりませんので、しっかりとその趣旨を伝えることが大切だと思います。地方団体も含めて、将来の長い財政負担ということからしますと、1つの方向性を出していただけたものということで評価させていただきますが、負担増の方もいらっしゃいますし、制度の大きな変わり目にもなりますので、これがいたずらに受診抑制などに必ずしもいかないと思うのです。負担が増えるから行かなくなるということでもないわけでありますので、その辺の上手な円滑な移行をぜひ政府としても責任を持ってやっていただきたいと思います。
あと、子育て関係では、かねて地方団体側のほうから申し上げておりました、国保の子供さんの均等割につきまして、このたび半分を措置していただけるということの改正があったことは感謝申し上げたいと思います。ただ、結局、お子さんをもうけると負担増になるというのは、子育て世代にとりましてはブレーキをかける要素があります。また、子供たちの健康な育ちを保障するという意味で、それこそ受診抑制になってはいけませんし、保険料負担がいたずらに増えてもいけない。
特に、多子世帯もございますので、そういう意味で、5割公費で負担するということにとどまらず、本来であれば、お子さんにつきましては、この際免除しようというのが、菅内閣が今、骨太の方針で言っている子育てを柱にすることにほかならないのではないかと思います。そういう意味で、これにつきましては、さらなる前進、改革をお考えいただければありがたいと思います。
また、未就学児という要件が本当に必要なのかということですね。子育て世帯につきましては、少なくとも高校卒業ぐらいまでは直接的な負担というものはいろいろあるわけでありましょう。大学に入れば、若干は自分でアルバイトするということがあるかもしれませんが、その間は完全な扶養家族という場合でないかと思います。そういう意味で、こうした要件につきましても、今後緩和していただきますようお願いを申し上げたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
若干のコメントと1点質問をさせていただきます。
まず、今国会の法案審議を通して、既に限界にある現役世代の負担軽減の必要性。また、過重な拠出金負担に苦しむ健保組合の厳しい実情について理解が進んできたということを実感しております。参議院の附帯決議においても、先ほど御説明がありましたけれども、後期高齢者医療制度における財源の在り方の検討ですとか、財政状況が厳しい健保組合に対する財政支援等も盛り込まれております。この国会審議や附帯決議の内容を尊重して、その実現を図っていただきたい。そういう意味で、将来を担う世代が希望を持てる医療保険制度の抜本改革に向けて、法律の附則に定められた総合的な検討を早期に開始すべきであると思っております。
また、若干、次の議題の骨太にも関連しますけれども、総合的な検討を進める際においては、さらなる全世代対応型の持続可能な社会保障制度の構築に向けて、給付と負担のバランス、また現役世代の負担上昇の抑制を図る。こういう考え方に基づいて、後期高齢者の現役並み所得者の対象拡大や、公費投入の在り方などの課題。さらに具体的に言いますと、後期高齢者の保険料負担割合の見直し、拠出金負担割合の上限設定、前期高齢者納付金のいわば不合理な調整方法の見直し等といったことについても、しっかり検討していっていただきたいと思っております。
最後に、1点質問でございますけれども、今回の法改正において、見直しの施行日でございますが、令和4年度の後半、令和4年10月から令和5年3月までに政令で定めるとされております。我々としては、できるだけ早期に施行してほしいと考えておりますけれども、この施行日というのは、今後どういうプロセス、スケジュールで決定されるのか。また、その際において、この医療保険部会というのはどういう位置づけになるのか、この点について確認させていただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 では、今の件につきまして、事務局、お答えをお願いいたします。よろしくお願いします。
○本後課長 高齢者医療課長でございます。
施行日につきましては、法律にありますとおり、来年度の後半に政令で定めるという形にしております。具体的には、システムの整備に係る期間等々を踏まえまして、政府の中で検討いたしまして定めていきたいということになります。まだ、具体的にいつ定める、どのような形で定めるかということは明確にはなっておりませんけれども、医療保険部会のほうにも御報告させていただければと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 佐野委員、よろしゅうございますか。
○佐野委員 了解いたしました。
○田辺部会長 では、引き続き、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
今回、後期高齢者の窓口負担割合が一部引き上げられることになったことは一歩前進でありまして、ぜひとも早期の施行をお願いいたします。
また、引き続き、持続可能な全世代型の医療保険制度の構築がなされるよう、取組を進めていただきたいと思います。また、その際は、高齢者と現役世代間の公平性の確保、及び現役世代や企業の保険料負担の抑制に向け、高齢者や後期高齢者の窓口負担について、その割合や対象のさらなる見直しを今後の検討の俎上に乗せていただくべく、お願いいたしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
引き続き、石上委員、よろしくお願いいたします。
○石上委員 ありがとうございます。
今回の法改正による後期高齢者の窓口負担割合2割への引上げにつきましては、負担軽減措置が講じられることを前提に、年齢ではなくて、支払能力に応じた負担に転換する観点から、我々としては前向きに受け止めております。その一方で、今までの発言にもありましたけれども、受診抑制による健康悪化への懸念も残っているといった状況だと思います。施行に向けては、附帯決議を踏まえて、ぜひ丁寧な取組をお願いしたいと思います。
また、議題2に関連しますけれども、保険料賦課限度額の上限について検討する際には、受診行動の変化を検証するための具体的方法を確立した上で、本部会において、一定所得基準の妥当性や配慮措置の継続などについて検討する必要があると思っております。
また、今回の法改正で、多くの健診情報が各保険者に集約され、委託業者も含め、利用されるようになります。国民が不安なく健康情報等を利用できるように、これも附帯決議を踏まえていただいて、適切な助言・指導、関連法令やガイドライン等の周知・広報を徹底、併せてガイドラインの見直しなど、適切な個人情報保護に向けた不断の検討と対処をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
幾つかございまして、説明ありがとうございました。
参議院のほうでまとめていただいた附帯決議事項の内容は、とても大事なことを指摘いただいたと思っています。特に、先ほど、他の委員もおっしゃったように、また詳細な実態は調査しないと分かりませんけれども、医療の受診控えというのがあってはいけませんので、ぜひこういったことで重症化にならないようなことの配慮を、引き続き政府としてお願いしたいと思っています。
また、2点目にありますけれども、事務負担の増加についても御懸念いただいて、「事務を担う広域連合へのサポートを的確に」ということでございますから、ぜひこの辺も御配慮いただくとありがたいなと思うところです。
また、3点目は、財源の在り方について、今後改めて検討すべきだというご指摘でありますが、その中に、現役並み所得の後期高齢者の皆さんには、公的な医療費給付について公的負担がなかったということも御指摘されてあります。これはトータルな医療費財政の在り方と医療の仕組みの在り方にも関わりますけれども、今後十分な御検討もしていただくと、とてもいいのではないかと思います。
そして、4点目は、ほかの健康保険組合についても憂慮いただいて、財政の厳しいところへのサポートをということで書かれています。これは、長年、この会議に出ておられます、他の保険組合の皆さんからも御指摘がありまして、国策として医療と福祉と健康をどうするかということと大きく関係します。こういったことの視点は今後重要になっていくと思いますから、ぜひ大所高所の議論や検討も一方では行っていただく必要があるかなと思っています。
そして、最後ですけれども、8点目です。機微性の高い健康情報について集約もできているのですけれども、慎重な対応をということでございますが、一方では、この健診情報によりまして、ビッグデータとして、創薬の関係とか健康指導とかにも活用できるわけです。たとえばエリアごとに、あるいは都道府県とか市町村別にデータにもとづく健康指導が可能になります。
そういった意味もありますので、ブレーキを踏むだけではなくて、いい意味での活用、より有効な活用。当然、個人情報保護という前提はございますけれども、それに立った上で、セキュアな状況の中で、ビッグデータとしての活用、メディカル、ケア、ヘルスの今後の充実が図れるように、そんなことも一方では厚生労働省では御検討いただきたいと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、本多委員、よろしくお願いいたします。
○本多委員 御説明、どうもありがとうございました。
今般の改正法の成立に当たりまして、これまでも経団連のほうから主張させていただいており、あるいは、今日、委員の皆様からも出ておりますけれども、改めて私どもからも2点ほど申し上げさせていただきたいと思います。
まず、1点目ですけれども、後期高齢者の窓口負担割合の見直しについてでございます。今回の改革効果をしっかりと発揮させるという観点から、今、2022年度の後半とされております施行のタイミングについて、可能な限り早期の施行とすべきと考えてございます。
それと、2点目ですけれども、御説明がございました今回の改革は当然重要な前進だと理解しております。ただし、この改革の歩みを止めることなく、引き続き増加する現役世代の負担の適正化、ひいては医療保険制度の持続可能性をさらに高めていくための継続的な取組が大変重要だと考えてございます。この医療保険部会も含めて、間断なく、次なる改革に向けた検討を進めていただきますようお願い申し上げます。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ほか、いかがでございましょう。
松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 日本医師会の松原でございます。
今回、健康保険法の改正について、随分議論しました、全世代型の安心を構築するための給付の見直しでございますが、法律上、今まで原則1割負担で、3割というのが例外として法律に記されていたわけでありますが、今回も同じく原則1割で、2割、3割が例外ということで記されたことを大変評価したいと思います。ただ、現時点では23%の方が2割対象でございますが、これについては、非常に議論した上での結果でございますので、今後、変更するような場合は、この審議会並びに国会で十分に議論していただいて、国民の皆さんの納得を得るべきだと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見がなければ、本議題については、これまでとさせていただきます。
次に、「経済財政運営と改革の基本方針2021」、「成長戦略(2021年)」及び「規制改革実施計画」についてを議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○須田課長 総務課長でございます。
資料1ページ目を御覧いただければと思います。まず、いわゆる「骨太の方針」につきましては、今年6月18日に閣議決定されております。
1ページ目の上段、感染症に対し強靱で安心できる経済社会の構築の項目ですけれども、真ん中辺りに「また」とありまして、感染症患者を受け入れた医療機関の減収への対応を含めた経営上の支援、また、病床確保・設備整備等の支援について、診療報酬や補助金・交付金による今後の対応の在り方を検討し、引き続き実施するということが書かれております。
下段の子育て関係、少子化対応関係では、不妊治療への保険適用。また、出産育児一時金の増額に向けた検討といった文言が盛り込まれております。
2ページ目、お願いします。
上のほうですけれども、セーフティネット強化、孤立対策のところでは、いわゆる社会的処方、かかりつけ医等が患者の社会生活面の課題にも目を向けて、地域支援と連携する取組を進めていくといったことが書かれております。
下のほうの項目、社会保障改革ですけれども、下3分の2ぐらいのところ、更なる包括払いの在り方の検討も含めた医療提供体制の改革につながるような診療報酬の見直しといった文言が記載されております。
次のページ、3ページ目をお願いいたします。前のページからの続きになりますけれども、既存の施策になりますけれども、保険者努力支援制度等に基づく予防・重症化予防・健康づくりへの支援の推進といった文言。また、データヘルス計画の手引の改定等を検討するといったこと。また、後半のほうになりますけれども、医薬品関係では、革新的な医薬品のイノベーションを評価する観点から、それ以外の長期収載品等について評価の適正化を行う観点から、薬価算定基準の見直しを透明性・予見性の確保にも留意しつつ図るということ。また、OTC類似薬等の既収載医薬品の保険給付範囲につき、引き続き見直しを図る。また、医師と薬剤師との連携により、一定期間内に処方箋を反復利用できる方策の検討等々といった施策が記載されております。
4ページ目に行きます。こちらも、既存の検討項目などが並んでおりますけれども、1つ目の段落は、様々なメニューがありますけれども、工程表にのっとりデータヘルス改革を着実に推進するということが書かれております。
駆け足になりますけれども、5ページ目に行きます。全世代型社会保障改革のところですけれども、給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、保険料賦課限度額の引上げなど能力に応じた負担の在り方も含め、社会保障全般の総合的な検討を進めるということが書かれております。
5ページ目の後段から6ページ目にかけましては、医療費適正化計画の見直しについて、やや具体的に記述されております。後ほど御参照いただければと思います。
6ページ目の一番下のほう、中長期的課題としてとありますけれども、広域連合により事務処理がされている後期高齢者医療制度の在り方、また医療扶助の在り方の検討を深めるといった記載もございます。
「骨太の方針」につきましては、かいつまんで申し上げますと以上でございます。
7ページ目は、「成長戦略」についての抜粋でございます。これも同じく6月18日に閣議決定されてございます。内容としましては、先ほど御説明しました骨太と重なるところもありますけれども、薬価制度における新薬のイノベーションの評価や長期収載品の評価の在り方の検討。また、予防・重症化予防・健康づくりの支援の推進といった項目が列記されているところでございます。
3点目、8ページ目をお願いいたします。こちら、「規制改革実施計画」、これも同じく6月18日に閣議決定されております。8ページ目は、プログラム医療機器の評価の在り方についての検討ということ。
最後のページをお願いいたします。オンライン診療の特例措置の恒久化などにつきまして、3年度、検討していくといったことが書いてあります。詳しい内容については、御参照いただければと思います。
説明は以上になります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、平井委員、よろしくお願いいたします。
○平井委員 ありがとうございます。
田辺先生のほうで、これにつきましてもいろいろと応援していただきまして、ありがとうございました。
いろいろとお話がございましたが、先ほど横尾委員がおっしゃったと思うのですけれども、今、コロナでいろいろと医療環境、変わってきております。それが病院などの経営に響く。他方で、保険財政にも大きく影響を与えるということがあります。そういう意味で、これについては、国としてもしっかりとフォローしていくことが、「骨太の方針」でも新型コロナがイの一番の課題でもありますので、そのことをぜひお願い申し上げたいと思います。
地域性は結構あると思います。鳥取県は、今、24日間連続して陽性患者がいないという状況でありまして、鳥取方式で真っ先に感染者を見つけたら、陽性者の周りは全部PCR検査をする。これによりまして、早期に感染の拡大を抑えてしまうことから、基本的には感染がない状態へその都度戻していこうということをやり、また、患者さんも最初から入院して、その後、医療の適切なフォローアップをするわけです。自宅には入れないというのを原則とさせていただいていまして、これで重症患者が限られていまして、今も重症患者ゼロですし、そのほかの陽性患者は全部入院してもらっていますが、今2人だけということです。
こういう医療環境にあるものですから、こういうことをこれからデルタ株に対して全国的にも徹底してやっていけば、デルタ株の波も抑えたり、また医療負担も減らすことができるのではないかと思いますので、ぜひそうしたことも御検討いただきたいと思います。
ただ、こういう状況なので、私どもは受診控えということは正直余り起きなくなってきている環境にはありますが、特に感染が拡大していく地域になりますと深刻化するということがあります。非常に難しい課題ではありますけれども、そういうときに、いずれの場合も医療に対するしっかりとしたケアができるような、そういう柔軟で機動的な対応が当面はコロナ対策で求められるのではないかと思います。ぜひこのことをお願い申し上げたいと思います。
また、後期高齢者医療につきまして、これも今回、中長期的な見直し項目として入ってきているわけであります。現在、市町村によります後期高齢者の連合体による保険者としての設定が定着してきておりますし、効果も上げてきているところであります。拙速に検討すべきではない事柄だと思いますので、十分な議論を地方側とも協議しながらやるべきだろうと思いますし、後期高齢者の枠組みを変えれば、それで物事が解決するというよりは、先ほどの医療費プランのトータルの問題とか、薬価の問題とか、総合的にアプローチすることが重要でありまして、そのことをぜひ履き違えない議論をしていただきたいと思います。
また、医療費適正化計画については、今回も問題提起があるわけでありますけれども、それも地方側、現場とよく協議しながら進めていただきたいと思います。例えば、国保料の料率改定等にも反映されていくようなこともございますが、十分な議論の期間が必要でありますし、その設定自体も現場の特性に即したものにならなければいけません。ですから、これについても十分な地方側との協議を取っていただくようにお願い申し上げたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
いただいた資料で、まず1つ目は、4ページでございます。感染症のことに関する記述がずっと一連続いています。特に後段のほうでありますが、歯科医療あるいは口腔ケアのことが述べられていました。歯の健康は全身との関連性が当然あるというエビデンスも出てきているようですし、私自身も親しい歯科医の方や専門家の方に聞いてみると、神経系とか体の随所の痛みとかは、実は歯のかみ合わせが原因であったりするのだと聞いたこともあります。特に感染症やその他の疾病の発症についても、口から菌が入ってくる、ウイルスが入ってくるということですので、こういったことをよりよく広報していくことが物すごく大事だと思っています。
特に、日々多くの方が歯磨きをされているわけです。その時にこういった意義があるということや、よりよい歯磨きはこうだとか、ケアについて、もっとしたほうがいいということは、ぜひ啓発が必要と思います。
その上で感じるのは、一部に永田町か霞が関で少し動きが始まったようにも情報を聞いているのですが、これまで国民皆保険・国民皆年金という言葉がありますし、その制度もありますけれども、一方では、「国民皆・歯のケア」ということを勧めていくようなムーブメントをしようというグループもいらっしゃるようです。まさにそういった重要性もありますので、政府としてもぜひ考えていただくと、今後の健康保持、ひいては医療の財政的な基盤、あるいは国民の活動の基となる健康保持に意味があると思っているのが1点目ですので、広報等、よろしくお願いしたいと思います。
次に、6ページ目でございますが、社会保障制度の今後の在り方について記述があります。特に、先ほど平井委員も述べられましたが、後段の3行目ぐらいから、中長期的な課題として、都道府県のガバナンスなどについても、その観点からいろいろな検討をすべきだという記述があります。ぜひ現状について、特にこれまで10年ほどかけて後期高齢者医療広域連合が全都道府県に設置されて、国の配慮や制度設計、また都度の改善もあって運営してきて、ようやく落ち着いてきております。そのような現状もよくよく踏まえて対応を検討いただきたいと思います。
こういったものがスムーズに行くことが重要と思いますし、今後、都道府県単位でやることを仮に想定するなら、一方で、国保の都道府県運営というものが既にスタートしたわけですけれども、よりよい制度が将来的には本当はどうあるべきなのかということを、しっかり、慎重に、また丁寧に、現場の話を聞くとか、現場の状況も分析いただくということを是非とも行っていただくほうが、より有効なものになっていくと思います。仮に都道府県単位で考えたときに、将来、健康あるいは医療を守る1つの保険的な制度として、どんなことがあり得るのか。そこに民間の健保組合も加えて、将来はどうあるべきなのかということも、大所高所の観点から議論が当然必要になると思います。厚生労働省におかれましては、そういった長いスパンでの将来性も考えていただく必要があるのかなと感じているところです。
特に、北欧型等の福祉社会や施策を見ると、大変高い国民負担ではありますけれども、医療についてはほとんど個人負担がない。学校に行くにしても、大学までほとんど無償で行ける。老後についても、福祉ケア、認知症のケアも全部制度がやってくれるという安心のもとに、皆さん納得して負担してお互いを支えているという現状があるわけです。トータルとして社会的にいかに支えるか、どのような社会の創造が重要かつ必要なのかということの深堀りが重要です。かといって、いきなりそこを目指せというのも難しく、それを強いる意味ではないのですが、そういうトータルな社会の在り方も含めて、厚生労働省でぜひいろいろな意味から、大所高所、多角的に検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
骨太について、全体的なところでは3点コメント、それから個別については2点のコメントをさせていただきます。
まず、1点目は、かかりつけ医機能の推進ということでございます。今般のコロナ禍における教訓からも、国民が必要なときに必要な医療を受けられるためには、かかりつけ医をベースにした外来医療の機能分化・連携の強化が重要だと考えております。国民がかかりつけ医に期待することとしては、必要なときに専門医を紹介してくれるという、いわゆるゲートキーパー的な機能。また、どんな病気でも、まずは診療してくれるといった声が我々保険者のほうにも多く寄せられております。
そういう意味で、まずは国民目線に立って、国民が求めるかかりつけ医の機能を明確化した上で、あるべき制度の仕組み、枠組みを検討していくべきだと考えております。その際においては、国民から期待、ニーズが高まっているところのオンライン診療も、かかりつけ医の機能の一つに位置づけるべきだろうと思っております。
それから、2点目ですけれども、新型コロナ患者の受入れによる減収への対応を含めた経営上の支援等の検討については、診療報酬や補助金・交付金による今後の対応の在り方を検討とされておりますが、診療報酬は診療行為の対価であるという原則をしっかり踏まえた上で、公費によって対応すべきだと考えております。
3点目でございますが、これまでも申し上げてきたことでございますけれども、保険給付範囲の見直し、またフォーミュラリーの推進、一定期間に処方箋を反復利用できる方策、いわゆるリフィル処方についても、「骨太の方針」を踏まえてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
それから、個別項目で2点申し上げます。
まずは、1ページの下のほうの(1)の2、3行目に「出産費用の実態を踏まえた出産育児一時金の増額に向けた検討」という表現がございますけれども、増額ありきの議論ではなくて、データに基づいた検討をすべきだと考えております。
それから、最後、6ページでございますけれども、一番下のところに、生活保護受給者の国保及び後期高齢者医療制度への加入についての検討が記載されておりますけれども、これをやりますと、拠出金という形で被用者保険にも大きな影響を及ぼすものでございますので、現役世代の負担がこれ以上増加することのないようにすべきであると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、石上委員、よろしくお願いいたします。
○石上委員 ありがとうございます。
私のほうからは、骨太方針の関係で何点か申し上げたいと思います。
まず、2ページの下段にあります感染症を機に進める新たな仕組みの構築、ここに書かれていることは非常に重要な論点だと思っておりまして、日本全体の医療提供体制の在り方をどうしていくのかということが問われていると思います。医療は、国民の命と暮らしを支える大切な社会インフラだと思っておりまして、診療所や公立・公的病院、民間病院の役割分担、医師の偏在対策、医師・医療従事者の働き方改革など、全体をどう見直していくのか、早期の検討開始が重要だと思います。
次に、3ページの中段ですが、予防・重症化予防・健康づくりサービスの産業化、包括的な民間委託の活用などの記載に加え、保険者が策定するデータヘルス計画の手引の改定等を検討するという記載があるわけですが、予防・重症化予防・健康づくりに民間業者を活用する場合でも、丸投げではいけない、保険者がしっかりコミットすべきだと思います。産業化されることによって、被保険者や加入者、サービス利用者の負担が増えるということも懸念されます。保険者機能を強化するという観点を十分留意していただいて、検討すべきだと思います。
次に、5ページ、中段に、先ほども説明ありましたけれども、「医療、介護、年金、少子化対策を始めとする社会保障全般の総合的な検討を進める」という記載があります。今後、日本は労働力人口が減少していくという状況にあります。医療、介護、年金、少子化対策をはじめとする社会保障は、仕事と生活の両立というサービスを利用する者、そして費用を負担するという意味では、働く者にとって重要な基盤だと思います。社会保障全般の総合的な検討を進めるに当たっては、制度別であったり、縦割りであったり、そういう議論ではなくて、労働者を含めて、様々な立場の人が参画する検討の場を設けて、広く国民的な議論を進めるということを求めておきたいと思います。
次に、5ページの後段になりますけれども、医療費適正化計画について、「保険料率設定の医療費見通しや財政運営の見通しとの整合性の法制的担保を」行うという記載があります。保険料の引上げの根拠というよりも、むしろ一人一人の健康づくり、受診行動の変容などにつながる、そして、そのことが医療費を抑えていくことにつながることが重要だと思っておりまして、そのためには、どのような取組が医療費適正化に効果的なのか。エビデンスを明らかにして、国民が納得して取組ができるように、効果的に進むように、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私も6ページをお願いいたします。最後の中長期的課題ということで、後期高齢者のことと国保のことを書いていただいています。後期高齢者は市町村が広域連合をつくってやってきている。そのことの検証は確かに必要だと思いますが、これは県によるガバナンスというのはどういうことなのかということを、平井委員がおっしゃったように、十分検討していく必要があろうかと思います。
もっと違和感がありますのは、都道府県のガバナンスということで、生活保護受給者の国保なり後期高齢への加入ということに触れられてきているというところでございます。中長期的な検討事項であるということはもちろん否定しませんが、これは医療扶助までガバナンスを及ばせたいということであれば、それはいわば生活保護のガバナンスというのが効いていないということなのかとも受け取られ、いずれにせよ、この2つの全く違う事柄が、都道府県のガバナンスの強化という言葉で括られていることについて、市町村としては非常に大きな違和感を覚えております。
後期高齢にしても、国保にしても、市町村が大切に育ててきている制度でございますし、そして、国保に対して県が保険者として加入していただいて、一緒に力を併せてやってきているものでございます。その中で、このような形で少し議論が出てくること自体が、我々としても十分な主張をし、そして論じていかなければいけないと感じておるところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
かかりつけ歯科医の役割も明確になってきておりまして、先ほど横尾委員のほうからも御指摘いただきました、4ページの「経済財政運営と改革の基本方針2021」の記載についてでございますが、内容に関しまして、フレイルのところにオーラルフレイルという言葉も入りました。それから、ICTの歯科における活用というものも明記されてございます。全身との関連性を含むお口の健康管理の重要性というものは、昨今、かなり明確になってきておりますが、今回の新型コロナウイルス感染症を通じて、よりその事が重要視されております。口腔ケアというものの重要性、さらに、口腔機能を含めて、口腔健康管理と言われる言葉の位置づけというものをはじめ、今後、よりわかりやすく明確に国民に周知していきたく思ってございます。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森です。
「骨太の方針」について、私のほうから2点、意見を述べさせていただきたいと思っております。
まず、2ページから3ページ目までの外来医療機能のところです。医療機関の機能分化、連携、強化の推進、かかりつけ医機能の強化・普及、かかりつけ薬剤師・薬局の普及等により、質が高く、効率的な医療提供体制の整備を進めることが示されています。地域包括ケアシステムの中で、そのようなことを進めることは非常に重要だと思いますけれども、そうした外来医療の方針に逆行するような動き、敷地内薬局の誘致が進んでいます。
特に近年、大学病院など公的病院を中心に、病院の敷地内に専らその医療機関の処方箋のみを応需するための保険薬局を開設する誘致事例が増加しており、大病院の外来を受診した患者を地域に戻していく、地域包括ケアシステムの中で連携していくという方針を阻害する要因にもなりかねないものとして、強い懸念を感じています。また、そうした敷地内薬局の開設がビジネスモデル化しているところもあります。敷地内薬局は、適正な医薬分業のためはもちろん、地域包括ケアシステムにおける外来医療の在り方、かかりつけ薬剤師・薬局の推進、求められている薬局の機能と役割とかけ離れたものであり、外来医療機能の観点からも検討することが必要だと考えます。
2点目は、3ページ目の後発医薬品についてです。後発医薬品に関する記載ですが、後発医薬品の使用促進については、新目標及び後発医薬品調剤体制加算の見直しの検討などが言及されています。昨年末から、後発医薬品に関しては、ジェネリックメーカーによる不祥事が続き、後発医薬品への信頼が大きく損なわれるとともに、安定供給に大きな支障を来しています。これらの不祥事を理由に、後発医薬品の普及推進を止めてはいけないと思います。
ただ、現場では、必要な後発医薬品が納入されない、納入に時間を要するなど、安定供給に大きな支障を来しています。先日、東京都薬剤師会が行った後発医薬品に関する流通及び対応に関する調査の結果では、993薬局中、希望する後発医薬品が発注数どおり納品されている薬局が13薬局、全体の1%ということになっております。また、納品が滞り、調剤業務に影響が出る場合があると回答した薬局が646薬局、全体の約65%。製品が流通していないため、発注できない場合があると回答した薬局が171薬局、17%ありました。後発医薬品の使用率が1月に比べて下がっていると回答した薬局が355薬局、36%に上っています。6月に新たに薬価追補収載された品目も、既にメーカーにより出荷調整されている現状です。
現場としては、現状を維持することも大変難しい状況です。今後も、薬局・薬剤師として、後発医薬品の普及・推進に積極的に取り組んでいきますけれども、今は再発防止、品質の確保、それから安定供給、そして信頼回復に最優先で取り組むべきだと考えます。また、そうしたことに国が主体となり、責任を持って取り組んでいただきたいと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、一瀬委員、お願いいたします。
○一瀬委員 私からは、国民健康保険の安定運営の確保について申し上げたいと思います。
御承知のとおり、人口減少や少子高齢化などにより、医療保険制度の持続可能性の確保が求められている中、とりわけ市町村国保は、他の制度に比べ、被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高いほか、保険料負担が重いなど、構造的に厳しい状況にあります。今後も、加入者の高齢化により負担の増加が見込まれるため、各自治体の実情に応じて財政支援を講じるなど、国保基盤の強化を図っていただきたいと思います。
また、全世代対応型の社会保障制度を構築することは重要であると認識していますが、制度が複雑化しているので、町村に対して丁寧な情報提供をお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。日本慢性期医療協会の池端です。
病院団体という立場から、2点お話しさせていただきたいと思います。
まず、2ページの第3章 感染症で顕著化した課題等を克服するための一体改革の中で、(1)感染症を機に進める新たな仕組みの構築ということ、もちろんこれに対して早期対応するということに決して反対するものではありません。ただこの中で、病院の連携強化や機能強化・集約化の促進ということ、それだけが前面に出ておりますが、実際に日本で今回起きた、有事とも言えるコロナ禍のリスク管理に対する病院の脆弱性ということが顕著になったことも明らかです。これは、高度急性期から慢性期に至るまで、全ての病院と言っていいと思いますけれども、ぎりぎりのスタッフ配置、そして経営的にも余裕のなさから来ると思います。
御承知のとおり、たった数か月、これは一般診療所も含めてそうですけれども、患者の2割3割の減で、たちまち賞与が出せないという病院の現状があることも御承知いただいたのではないかと思います。一方で、一部上場企業であれば、優に内部留保があって、それで賄えることがありますけれども、病院がいかに脆弱か。内部留保もほとんどない状況。そして、数%の利益率もなかなか認められない、ここ数年の診療報酬改定の在り方に対しての問題提起にもなったのではないかと思います。
その辺のこともぜひ御理解いただいて、今後どうあるべきかということ。決して(むやみに)診療報酬を上げろと言っているわけではありませんが、有事のときに対応できるだけの少し遊びの部分、余裕の部分が一方で求められる。これをどう考えるかということをぜひ議論していただきたいということが1点です。
もう一点は、デジタル化というのが菅内閣の大きな旗印の一つだと思います。4ページに、その点についてありますように、電子カルテと介護情報の標準化の推進ということがあります。これは、病院団体としても決して反対するものではなくて、むしろ推進していただきたい。ただ、現状は、各病院が様々なベンダーで電カルをスタートさせてしまって、なかなか標準化は難しいということで、ずっと据え置かれています。そのために、各病院が各ベンダーに、(例えは悪いが)これは麻薬のように、一旦そこに手を染めたらそこからなかなか抜け出せない状況で、数年に一度、大きな更新をしなければいけない。そこに対して、病院が一生懸命働いて、そこにお金を注ぎ込んでいるというのが現状です。
この際、少し大胆な計画を立てていただいて、ある意味では、一斉に1つのプログラムで電カルが動くようなシステムを構築する。一時的に費用がかかったとしても、それはいずれ、そのデータが全て利用できるデータになることを考えれば、非常に有用性も高いのではないかと考えています。ぜひ電カルの標準化ということを大きな柱の一つに考えていただきたい。
この2点を基本方針の中で感じたこととして要望させていただきます。以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ほか、いかがでございましょう。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 今回の基本方針でございますが、いろいろな点、非常によくできていると思っています。
意見を申し上げますと、経済安全保障の確保の点で、医薬品のサプライチェーンの強化が必要だということであります。今回、コロナのワクチンの件を見ますと、必要なものは国産で作るのが本来の在り方です。後発医薬品も含めて、一定の施策として日本の国で作るということは非常に大事ではないかと思っております。循環器の薬や直接命に関わるようなもの、抗生物質の一部など、現在、後発医薬品は中国とインドで大量に安く作っておられるわけですけれども、何か事があり、その供給が遮断されると大変なことになります。
日本の国には、そういったものを作る技術も人もいますので、ぜひ国産のものをある一定以上の割合で作っていただきたい。以前からの私どもの主張であります。
また、医療費適正化計画でございますけれども、今回、コロナの問題で、イタリアやフランスやスペインで医療壊滅が起きました。廊下にまで患者さんがあふれているような状態でありました。そういったものにつきましては、一定の余裕がなければなりません、イタリアは財政的に大変厳しくして病床を閉めたわけでありますけれども、あのような形になりますので、余裕がなければならないということです。
もう一点は、感染症というのは、一定のところから指数関数的に急速に増えます。日本も非常に危なかったのですけれども、政府の皆さんが大変的確に御判断いただいて、医療職のほうから、どうしても緊急事態宣言が必要だということを御理解いただいて、速やかに宣言したということで、指数関数的な増加はなく、廊下に人が寝ていなければいけないような状態にはならなかったというのが実際のところであります。直線的に増えるものではなく、指数関数的に増えるものがどんなに危険なものかということをよく踏まえていただいて、これからの計画に盛り込んでいただきたいと思います。
3番目、最後ですけれども、かかりつけ医機能の強化・普及について推進することについては、私ども、大変大事だと思っています。日本の国は世界と違いまして、一定の勉強を病院でし、専門医の能力と学術的なレベルを持った者が、その地域の医療を担当しているという、世界で珍しいやり方であります。どういうことかといいますと、ある一定のレベルまで各専門分野で勉強しています。さらに地域医療を勉強すれば、地域でのかかりつけ医機能を発揮できるという、世界に冠たる仕組みでございます。
財政的に頑張っているということだけを中心にしますと、かつての英国のように医療壊滅が起きるようなこともあります。日本独特でございますけれども、非常に有効的です。原則として、フリーアクセスで十分な医療が受けられるということを守っていただきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
樋口委員、お手を挙げていらっしゃいますか。では、樋口委員、よろしくお願いいたします。
○樋口委員 今回、後期高齢者の窓口支払いの負担が今のような形に落ち着きまして、毎度申し上げるのですけれども、私は後期高齢者の1人として、日本のこの世界最高と言ってもいいほどの医療が、保険制度の中であまねく享受できますことは、これは若い世代の方々の御協力のおかげだと思って、心から感謝しております。ですから、私自身は、今回の一定所得の高齢者が2割負担になったということは、むしろある意味で当然だと思っておりました。
ただ、実際に数字が見えてまいりますと、後期高齢者で恵まれたほうではあるけれども、一生懸命長いこと働いて、公務員とか大学の教授で、人よりむしろ長く働けて、やっとまあまあ人並み、プラスアルファぐらいの生活をしている辺りを、どうやら支払いの上でも直撃しているらしい。だから、結構な不満も私はあちこちから聞いております。
もちろん、若い方に負担いただくということは心苦しいことでございますから、これからも二度三度の改定の中で、後期高齢者自身に負担がかぶさってくるということは、これは私は当然あると思うのですけれども、今回のようなやり方ですと、結構大変な人のところにもかかるのだということも目に見えてまいりますでしょうから、どうぞもうちょっと根本的な保険制度そのものといいましょうか、あるいはもっとずっと高所得の高齢者に負担をお願いするとか。今のやり方を踏襲して、これからも若い人と高齢者との格差を埋めていこうというのは、繰り返さないほうがいいのではないかという思いを持っております。
もう一つ、後期高齢者医療制度ができるときに、私もわあわあ申し上げたのですけれども、被保険者が発言する。私どもがこの医療保険部会に入れていただいているのが、その発言の機会であり、ありがたいことと思っておりますけれども、例えば余りきちんと利用されておりませんけれども、介護保険には、介護保険法の中に介護保険制度を改定するようなときには、被保険者が参加して介護保険の在り方について意見を言うことができるという条項が、初め私たちは参画条項と呼んで喜んでおりましたけれども、二度三度の改定の中でも、この条項は生き残って、介護保険改定のときには高齢者の代表などが意見を言う機会が法律的に認められております。
残念ながら、後期医療保険制度ではそういう規定がございませんようですこれから大規模な医療保険制度の改定がなければ、絶対財政は破綻すると思います。それは覚悟しておりますけれども、どうぞそういうときには、一番病気をして、一番お金を使う。しかし、病むということは、私は基本的な人間の権利。病んだときに支えを受けることは基本的な人間の権利だと思っております。中国でも韓国でも、昔は奴隷というのは病む権利がなかったそうです。病んだら病みっ放しで放り出される。人権の一つである治療・医療を受けるということを、受ける側も参画して議論できるような場をつくっていただきたいと申し上げて、以上でございます。
ありがとうございました。
○田辺部会長 では、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
今、樋口先生からもお話がありましたけれども、私は前々から申し上げておりますが、基本的に応能負担を徹底していくという議論をぜひそういう方向でやっていただきたいと思っております。窓口の負担というのは、応益負担ということになりますので、先ほどから受診控えという問題が出ております。今回のコロナの経験から見ても、かぜと紛らわしい症状とか、いろいろなことがありますので、窓口でちゅうちょするような形での負担の在り方というのは、私は反省していく必要があるだろうということで、1つ申し上げたいことと。
あと、資料2の2ページの下から3行目に医療人材の問題が出ております。例えば、医師については偏在対策ということが出ておりますけれども、偏在対策だけで本当にいいのかどうなのか。医師が足りているのかどうなのか。私が一市民としてマスコミ等で取り上げられる問題を見ていますと、医師の働き方ということでは、過労死ラインまで時間外労働が認められる。あるいは、協定を結べば過労死ラインをはるかに超える千数百時間まで認められる。こういう状態というのは、今度のコロナの経験から言えば、非常に危機的なのではないかと思います。そういう意味では、医師の方あるいは医療従事者の方々について言えば、過重となる働き方の改革に早急に取り組む必要があると思います。
それで、こういう世界的なパンデミックの問題。これも新型コロナウイルスだけではとどまらないであろうということもいろいろ言われているわけですので、医師の働き方、医療従事者の方たちの働き方については、もう少し余裕を持った形でやっていければ、急激なこういう問題に対してもう少し対応が余裕を持ってできるのではないかと、こんなことを今度のコロナを通して感じたところです。
それから、先ほど松原先生からお話がございましたけれども、医療資材も重症化した患者さんたちのところに入る防護服を取り替えるものもなく数日同じものを使っていたというニュースには非常に驚かされました。よく聞けば、国内での生産が十分でない。こういう問題についても、国内できちんと生産して、緊急時対応できるようなことについても、きめ細かく対応していただきたい。そんなふうに市民としては強く感じるところでございますので、一言申し上げました。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとさせていただきます。
次に、「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
「オンライン資格確認等システムについて」でございます。
2ページになりますが、前回、3月26日の医療保険部会で御報告申し上げたところから、今に至るまで、どういう状況だということを紹介させていただきます。
まず、医療機関・薬局における状況ですけれども、マイナンバーカードを読み取るための顔認証付きカードリーダーの申込数は、全医療機関のうち57%以上の13万の医療機関に申し込んでいただいております。内訳を言いますと、病院については全体の77.6%、薬局は全体の80%以上申し込んでいただいています。また、医科診療所については全体の44.7%。これは、14県では50%を超えたところでございます。歯科診療所の申込みにつきましては全体で49.4%、これは3県で70%以上のところもありますし、10県では60%以上のところがあるところでございます。
一方で、カードリーダーの生産のほうですけれども、5月末時点で申し込んでいただいたうちの7.1万台は、既に申し込んでいただいた各医療機関には配送済みということでございます。一方で、3月にも申し上げましたが、オンライン資格確認のカードリーダーを動かすため、またオンライン資格確認のためにはパソコンが必要なのですけれども、そのパソコンにつきましては、皆さんも御存じのとおり、報道で出ておりますが、世界的な半導体不足の影響で、パソコンの需給についてはちょっと逼迫しているところでございますので、我々としてはシステムベンダーさんに何としてでも調達するようにということでお願いしているところでございます。
また、マイナンバーカードを健康保険証にするためには、生涯に一度だけ健康保険証と同期していただく必要があるのですけれども、それをしていただいているのは、マイナンバーカード交付実施済み数が4000万枚を超えていますが、その10%の方々に健康保険証の登録、同期をしていただいているところでございます。
続いて、3ページになりますが、医療機関・薬局において、既に稼働している状況を御報告いたします。3月時点では、全国で100の医療機関・薬局で稼働していますということだったのですけれども、直近で言うと732施設。来週になると800を超えた機関が稼働しているということでございます。
後でも説明しますが、実際に導入していただいている医療機関に伺いますと、初診の患者さんは一体どこの保険に入っているのか分からないということで、改めて情報を頂くのですけれども、その入力の手間が大幅に減った。また、予約の患者さんについて、事前に確認することができますので、そうすると資格の有効性を一括で照会することができるようになりまして、医療事務にとって手放せない機能になったという声をいただいています。
一方で、医療機関でそのシステムを作るためには、セットアップ時に結構課題がありますので、そういった御意見をいただいているところでございます。なお、当初は、そういった照会がたくさん来ていたのですけれども、最近の動向を見ると非常にフラットになっていまして、システムベンダーさん側のノウハウもある程度蓄積されていて、問合せという形での件数は減少傾向にあるという状況になっております。
一方で、運用上の課題としましては、マイナンバーカードを持参する患者さんがもう少しいていただければという意見をいただいているところでございます。
次に、今度は保険者のほうでございます。5ページを御覧ください。保険者の対応状況、3月の時点では、個人番号の誤りがあって、そうしたことの対応が必要ということを紹介しました。
3月26日以降、どうしたかといいますと、1ポツですけれども、既に別の保険者がこの加入者の情報を登録して、その方が例えば引っ越しをして国保に、転職して別の健保にという場合に、また新たにその人の情報を新しい保険者から入れるのですけれども、その際、その方のマイナンバーと生年月日が、既に別の保険者に入っていたデータと差異がある場合には検知をしてお伝えするという仕組みを、既に3月31日より導入しております。
次に、今度は各保険者にこれまで入っていない方が健康保険に入った場合のことです。例えば、生活保護の方とか新生児の方については、定期的に月に2回、住基ネットに照会しまして、マイナンバーが正しく入っているかということを確認しているところでございます。
さらに、6月末からは、こうした新規登録者につきまして自動的に住基ネットに照会しまして、その方のマイナンバーと生年月日が合っているかどうかを照会することによって強化していくということでございます。
その他ですけれども、医療機関として請求に必要となる証記号番号・保険者番号につきましては、保険者のほうが大変優先的に対応していただいているおかげで、医療機関・薬局のほうが請求した場合に何かトラブルがあるということは全くないということでございます。
ということで、5ページの括弧のところにありますけれども、前回お伝えしたように、保険者が登録した個人番号に誤りがあるというのが、昨年の12月時点では3.5万件あったところはゼロ件です。
また、被保険者番号が正確でないということが、前回の医療保険部会で約3000件あるといったところにつきまして、保険者のほうで集中的に対応していただいたおかげでゼロ件ということです。
さらに、被保険者証の情報が登録されていないことについては、保険証の発行前に、短い、例えば10日間だけ協会けんぽにいたけれども、また出て別の健康保険にいってしまったという場合でも、その10日間だけであっても、きちんと記録していただかなければいけないのですけれども、保険証回収済みで資格確認には支障はないものの、そうしたデータがまだ埋まっていない、過去の分が埋まっていないという件数が、前、6.3万件のところ2.7万件でございます。
こうしたことにつきまして、今、被保険者として入っている加入者の情報については、データの正確性は担保されております。なので、また新しく転職とか引っ越しということについても検知できるということでありますので、我々としては、こうした機能を強化しながら、また保険者の皆様方の入力といったことを支援させていただきながら、データの精度をしっかりと維持していくことを考えているところでございます。
これを踏まえまして、次に8ページになるのですが、今後、オンライン資格確認等システムをどうしていくかということでございます。前回は、そういったことから足踏みをさせてくださいと言いましたが、もう既に732の医療機関のほうでは本番と同じ環境でサービスは開始しております。さらに今、申し上げたとおり、保険者さんの加入者のデータについての正確性も担保されております。
そこで、我々としましては、6月末から新システムも入りますので、この医療保険部会を踏まえ、7月から本格運用していくと伝えている10月までの間、顔認証付きカードリーダーを申し込んでいただいた医療機関13万の方々、多くの医療機関の方々にこのオンライン資格確認等システムを御利用していただきたいと考えております。
このため、この下の表にありますけれども、今の医療機関の状態というのは、顔認証付きカードリーダーをまだ申し込んでいない方もいらっしゃいますし、また、申し込んでいるのだけれども、システムの対応については、まだなされていない医療機関もありますし、申し込んでシステム対応中の方々もいますので、それぞれの段階に応じて、厚生労働省保険局としまして、一つ一つの医療機関にきめ細やかに支援していくのを7月から開始してまいりたいと思っております。
また、それを踏まえまして、7月からは、医療機関においても保険者さんが入力していただいた40歳以上の特定健診等の情報についても閲覧できるようにしていくということでございます。
9ページ、10ページは、既に医療機関・薬局で導入しているところの感想というか、こういうふうに入れました、また、入れた結果、こうだったということが書かれている内容でございます。
続いて、11ページは、マイナンバーカードが実際にどれくらいの方々に交付されているのかということでございます。日本全国1億2000万人いらっしゃいますが、そのうち4000万人以上の方々がもう既にマイナンバーカードを持っていらっしゃいます。31.8%というと、まだ3割かということですが、実数で言うと4000万人を超えております。また、まだ交付はしていませんが、申請を既にしていただいている方は5000万人を超えているところでございます。
さらに、12枚目の各都道府県別で見ていただくと、全体が31.8%に対して、例えば東京都は34.9%で平均を超えている。さらに、大阪は33%、兵庫は36%、奈良では36.8%ということで、非常に高い数値でございます。
参考までに、資料につけていなくて申し訳ないのですけれども、これを年齢別で見ると、一番交付されている方々の年齢層は70~74歳の方々、43.2%の方が持っております。続いて多い割合は、60~64歳の方々、39.4%でございまして、高齢者ほど非常に多く方々がマイナンバーカードを持っているということを御紹介させていただきます。
続いて、13ページ、14ページになりますが、オンライン資格確認についての意向調査をさせていただきまして、医療機関の回答を紹介します。回答数2万5298件のうち、47%がオンライン資格確認の導入の予定がある。その47%のうちの80%は、今年の10月までに導入したいということを言っていただいております。そのための鍵としましては、マイナンバーカードの普及率の向上だということもいただいているということでございます。
そのため、今度は15ページを見ていただきたいのですけれども、マイナンバーカードを健康保険証で使っていただけると、ふだん使っていただいている健康保険証よりもよりよいサービスが受けられるということを伝えます。一般の方々向けに広報をさらに強化してまいりたいと思っております。こういった15ページ、16ページ目の資料を用意して対応しているということでございます。
参考までに18ページを見ていただきたいのですけれども、生涯で一度だけやっていただきたい、マイナンバーカードを健康保険証に同期するという手続なのですけれども、これはカードリーダーのある医療機関でもできますけれども、セブン銀行のATMでできますので、これをあえてこの場で紹介させていただきたいと思っています。必要なものは、御自身のマイナンバーカードと、御自身しか知らない4桁の番号です。マイナンバーカードを持ってセブン銀行のところに行っていただければ、置いて、その4桁の番号を入れていただくだけで健康保険証に早変わりする。健康保険証でも使えるということでございます。
ちなみに、19枚目のスライドですけれども、そうした機能を使って加入者にお伝えいただいている市町村国保や広域連合の方々のチラシがありますので、参考までに用意させていただいております。こういったセブン銀行のATMでもできますよということを、各保険者のほうでお伝えいただいているというところでございます。
説明は以上でございます。ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
本システムの導入が進み、マイナンバーカードが健康保険証として利用されることによる重複診療や多重投薬の抑制効果については、大いに期待するところでございます。また、病歴等の参照ができるようになることで、例えば不慮の事故や急病などの際にも、正確な情報による迅速かつ効果的な治療が可能となり、早期の職場復帰につながるなど、働く人にとっても、あるいは雇用者側にとっても、働きやすい職場環境の整備の一つという捉え方ができるのではないかと思います。
このたび取りまとめられました骨太方針や成長戦略におきましても、デジタル化の加速が掲げられております。マイナンバーカードの普及と活用促進に向け、関係省庁が一体となった取組をぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
今後のスケジュールの中で、10月から本格運用開始となっておるのですけれども、本当に大丈夫なのかという不安の声が健保組合のほうからも挙がっております。もちろん、我々保険者のほうも、データの修正、また確認作業をしっかり進めていくのは当然ではあるのですけれども、先ほど御説明があった参加医療機関数を見ると、残りわずか3か月ぐらいという中で、まだまだ少ないなという感じを受けます。そういう点で、先ほど山下課長のほうから、今後の対応についての御説明があったのですけれども、全体のスケジュール管理をしている厚労省として、10月開始は問題ないと考えておられるのかどうか、そこは見通しをお伺いしたいと思います。
それから、それとは別に、1点コメントをさせていただきます。それは、費用負担についてでございます。オンライン資格確認については、当初、全体の6割の医療機関が参加目標という中で、現在、様々な要因もあって、参加医療機関というのは七、八百、要は当初の1%以下ぐらいの状況でございます。一方で、このオンライン資格確認の運営負担金については、若干の減額はしていただいたのですが、当初予定額の8割程度の費用を今年4月から我々保険者が負担することになっておりまして、この数字のアンバランスについて、健保組合においては大変強い不満があるという状況でございます。
以前、この医療保険部会でも申し上げたところであるのですけれども、この費用負担に当たっては、負担に見合うメリットがあることが当然前提になると思います。従来、こういうICT関連の施策についてのシステムは、システムの完成・運用開始をもって保険者負担、利用者負担となっていたわけですけれども、今後のICT施策においては、運用開始から、その全体的な体制整備をするまでの間、いわゆる立ち上げ時期について、通常の運用期間とは異なる対応が必要だと思っておりますので、国の費用負担も含めて、費用分担の在り方について、ぜひとも検討いただきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 前半部分の10月の本格運用に関して、見通し等、お願いいたします。
○山下課長 ありがとうございます。
まず、佐野委員からありました10月開始は問題ないのかということですけれども、3月から今まで、私ども、保険者の皆様方と一緒になって、入力していただいているデータの正確性、もしくは入力されたデータの正確性について対応してまいりました。保険者のご協力のおかげで、データの正確性が担保されましたので、我々としては、今後は参加していただく医療機関の参加数を多くしていくために取り組みたいと思っています。医療機関に伺ってみますと、3月のこの医療保険部会での状況を見て、もう少し様子を見たほうがいいのではないか、データの正確性がちゃんとされてからというお話を伺っております。
なので、医療機関とともに、医療機関のシステムを改修するシステムベンダーさんに対して、まさにこのデータが正確になった議論も含めまして状況をしっかりと伝えて、今からでも直ぐにつないでいただきたいということを発信していって、13万の既に申し込んでいただいている医療機関の少しでも多くの方々につないでいただくということを進めてまいりたいと思っています。そういった面では、10月の開始というのは、今でも731の医療機関はつないでやっていただいていますので、問題なく広げてまいりたいと思っております。
○田辺部会長 佐野委員、よろしゅうございますでしょうか。
○佐野委員 残り3か月ぐらいですので、進捗状況の管理をきちんとやっていただいて、報告といったこともお願いできればと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ほか、いかがでございましょう。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 今、参加しているところが大変足りなくて、申し訳なく思っております。御存じのように、コロナのワクチンで手いっぱいでございまして、6月までワクチンが医療機関に本当に届かなくて、皆さんに御迷惑かけていたところでありますけれども、総理大臣と河野大臣がアメリカと交渉して、6月前に5月末にワクチンが大量にやってきました。そこで、6月から本当にしゃかりきになって、私も含めて、土日も全部返上して1週間、ワクチンを打っております。そのあれもあって、この7月中頃には、恐らく高齢者の方々には、御希望の方はほとんどワクチンが終了するのではないかと思っております。
そのような忙しい状態で、しかも打った方の分は、またVRシステムでデータを国に送らなければならない。これをしないと、これから使うであろう接種証明の担保ができないということになりますので、事務も医者も看護師さんもみんなへとへとの状態であります。10月には何とかなるだろうと私も思っているところですけれども、国の御発表では、9月末までには国民のワクチンが全部配れるということでありますので、頑張りたいと思います。
ただ、ちょっと余計なことを心配しているのですが、65歳以下の方にチケットが7月から配られますと、恐らく今のワクチンの私たちが見えている計画では、ほとんどパンクします。そうすると、また停滞が起きるのではないかと、我々医療機関は非常に心配していると同時に、地方自治体もワクチンが整わなければ約束したことができないということで、皆さん、今、緊迫した状態でございます。
そういったことも乗り越えて、国民の皆さんにワクチンが届かなければ、最終的にコロナの災いからは逃れられませんので、全力を尽くして、この6月を過ごしているところでございますので、参加が少ないというのはよく分かりますけれども、これはお許しください。まず、優先順位は国民の直接的な健康を守ることだと、私ども、思っているところでございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、御意見等がなければ、本議題については、これまでとさせていただきます。
最後に、「医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響について」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○調査課長 調査課長でございます。
資料4を御覧になっていただけたらと思います。新型コロナウイルス感染症の影響として、2月分までの最近の医療費の動向を取りまとめましたので、報告いたします。前回、3月の部会では、11月分まで報告していたので、それ以降を中心に報告いたします。あと、後段にレセプト件数・点数に関する調査がありますが、これは3月分まで公表されているので、それを報告いたします。
2ページを御覧になっていただけたらと思います。概算医療費全体に関しては、12月は対前年同月比マイナス1.9%、1月はマイナス4.7%、2月はマイナス4.4%となっており、1月、2月は再びマイナス幅が大きくなっております。これは、後でその要素を紹介したいと思いますが、新型コロナの新規感染者が第3波で増加したことと、あと、例年、冬に流行するインフルエンザが流行しなかったことによるものと考えております。
医療費の要素、頻度を表す受診延べ日数と密度を表す1日当たり医療費に分けてみますと、受診延べ日数は、12月はマイナス6.9%、1月がマイナス10.8%、2月はマイナス9.4%。1日当たり医療費のほうは、12月はプラス5.4%、1月はプラス6.8%、2月はプラス5.5%となっております。
3ページを御覧いただけたらと思います。診療種別で見ますと、入院についてですが、12月はマイナス2.6%、1月はマイナス4.3%、2月はマイナス5.6%となっており、2月のマイナス5.6%は、昨年6月以降では最大の下げ幅になっております。
続いて、4ページを御覧になっていただけたらと思います。入院外についてですが、12月はマイナス2.9%、1月はマイナス6.6%、2月はマイナス3.9%で推移しております。1月のマイナス6.6%が、昨年6月以降で最大の下げ幅になっております。その要素の内訳につきましては、受診延べ日数は10%程度減少している一方で、1日当たり医療費はプラス7~8%で推移しているところでございます。
5ページですが、歯科になります。歯科のほうは、12月はプラス3.2%、1月がマイナス1.9%、2月はマイナス0.5%で推移しております。
続いて、6ページ、調剤でございますが、12月がマイナス1.4%、1月がマイナス4.3%、2月がマイナス4.9%で推移しているところでございます。
7ページからは、年齢の区分ごとに分けたものでございますが、従来から御説明しているとおり、7ページの75歳以上の状況と、9ページに飛んでいただきたいのですが、こちらは未就学者を除く75歳未満、この2つに関しては、両者に大きな違いはありませんけれども、10ページは未就学者の状況について見ておりまして、未就学者が12月はマイナス13.9%、1月はマイナス16.1%、2月はマイナス13.1%ということで、引き続き減少幅が大きくなっております。ただ、昨年の春から夏にかけての状況に比べると、この未就学者とそれ以外の差はやや小さくなっているのかなと思います。
11ページでございます。診療所の診療科別に見ると、子供医療費の減少幅は再度大きくなったことを受けて、小児科や耳鼻咽喉科の減少幅が大きくなっております。ただ、小児科については、1日当たりの医療費、下のほうにありますけれども、こちらがプラスで、1月が19.6%、2月は20.7%と、大幅に増加しております。こちらは、新型コロナへの対応として診療報酬の加算を行ったことが現れているのではないかと考えております。
12ページでございますが、都道府県別の状況でございます。こちらは入院外について見ておりますが、1月は都道府県別の変動に多少ばらつきがありましたが、2月はばらつきが小さくなっておりまして、地域別の大きな傾向は確認できないのかなと考えております。
13ページでございます。こうやって月ごとの医療費の動向を見るに当たっては、稼働日数の違いによる影響を見る必要があります。補正後の数字を書いておりますが、補正後では、総計で12月がマイナス1.9%、1月がマイナス4.7%、2月がマイナス2.4%となっておりまして、1月の下げ幅は6月よりは小さくなっております。また、入院で見ると、12月がマイナス2.6%、1月がマイナス4.3%、2月がマイナス3.2%となっておりまして、補正後のほうでは、2月よりも1月のほうが減少幅が大きくなっております。
14ページからは、医科メディアスとして、電子レセプトで分析したものを見ております。
15ページを御覧になっていただきたいと思いますが、年齢階級別に入院と入院外を見ていますが、0~5歳、5~10歳のところで減少幅が大きくなっているということが分かります。
16ページでございますが、疾病分類別の分析でございます。入院については、12月から2月で減少幅の最も大きい2月について見てみますと、「呼吸器系の疾患」が引き続き20.1%減少。これは、医療費全体への寄与度としては、マイナス1.2%です。その次に「新生物」がマイナス6.7%だったので、医療費全体への寄与としてはマイナス1.1%などがありまして、合計でマイナス5.7%となっております。
17ページでございますが、入院外について、こちらは12月から2月のうちで最も減少幅が大きい1月について見てみますと、「呼吸器系の疾患」でマイナス40.8%の減少となっておりまして、医療費全体への寄与としてはマイナス3.9%、合計でマイナス6.7%となっております。減少幅が40%を超えるのは昨年5月以来ということになりますが、こちらがコロナの受診控えに加えて、インフルエンザが流行しなかったことによる影響もあると見ております。
18ページ、診療内容別に見ますと、2月の入院は「DPC包括部分」がマイナス10.6%で、医療費全体を3.0%押し下げたこと。あとは、「入院基本料、特定入院料等」の減少幅が大きくなっていることが特徴でございます。
19ページの入院外については、「初診」等が引き続き減少幅が大きくなっていることが分かります。
20ページからは、調剤メディアスでございます。
21ページを御覧になっていただけたらと思いますが、調剤医療費は技術料と薬剤料に分けられます。そのうち薬剤料について、処方箋枚数と1枚当たりの薬剤料に分けて示したのが、この下側の表とグラフになります。受診回数の減少により、処方箋枚数が継続して減少している一方で、処方箋1枚当たりの薬剤料は増えております。1月は、昨年6月以降の最大のプラス11.8%となっております。
22ページでございますが、薬剤料の減少を薬効分類別に分けてみますと、2月は「中枢神経系用薬」がマイナス12.1%、薬剤料全体で1.7%押し下げております。あと、「化学療法剤」がマイナス21.5%で、薬剤料全体の0.8%、「循環器官用薬」がマイナス5.8%で、薬剤料全体をマイナス0.8%押し下げております。
24ページに飛んでいただきたいですが、こちらは数量ベースの後発医薬品割合の推移を見たものであります。11月の81.7%から、12月は81.9%、1月は82.0%、2月は82.1%ということで、微増傾向が続いているところでございます。
以上、ここまでがメディアスの分析で、2月分まで示しましたので、残すは3月分で令和2年度全体となりますが、今後、この3月分の取りまとめに当たっては、それと同時に、年度計の分析も行って、例年どおりの夏ぐらいの時期に公表したいと考えております。
26ページからでございますけれども、レセプトの件数・点数に関する調査でございます。こちらは3月分まで示しておりますが、昨年3月頃から新型コロナによる影響が現れておりまして、これまでどおり、単純に対前年同月比を示すだけではなくて、もう一本横に、括弧書きで書いておりますが、対前々年同月比も示しております。一番右の総計のところでみますと、レセプト件数は、対前年同月比で105.9%と大幅に増加しておりますが、対前々年同月比では96.2%と、マイナスになっております。依然として、平常どおりにはまだ戻っていないのかなと思います。
31ページに飛んでいただきたいのですが、こちらは総点数の資料になります。こちらは対前年同月比は106.7%になるのに対して、対前々年同月比も105.5ということで、点数ベースではかなり戻ってきていることが分かります。ただ、4月以降、第4波と呼ばれる新規感染者の増加が再び見られたことから、1年前、2年前との対比を確認する際にも、様々な点で留意が必要と考えておりまして、今後どのようにお示ししていくことが適切なのかを検討していきたいと思います。これまで月次で医療費の動向を見てきた限り、この新型コロナの状況にある程度影響を受けていることは分かっておりまして、引き続きしっかりと注視していきたいと思っております。
説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
御説明いただきましたように、昨年度はかぜや季節性インフルエンザの流行が抑えられたということでございますが、これは新型コロナウイルスの感染予防策として、手指消毒やマスク、うがいの励行、さらには睡眠をよく取るといったことが習慣化されたことだと言われておるわけですが、これによりまして、多くの方がこうした自助による健康づくり、疾病予防の重要性・有効性を再認識することとなったと言えます。また一方では、報道にもありますように、コロナ対策には今後多額の医療費がかかるだろうと見られておりますし、コロナ以外でも、新薬の導入など医療の高度化というのは終わることがないわけであります。
したがいまして、まず、持病の重症化予防やがんの検診とか急性期の対応などを控えるというのは論外であるというのが前提なのですが、この機会を逃さず、国民の間にセルフメディケーションの正しい理解を進めていくことが何よりも重要ではないかと思います。必要に応じて、かかりつけ医、医師、薬剤師とも相談しながら、自分自身で健康管理を行い、市販薬などを適切に使って軽症のうちに治すといった国民の意識向上につながるような取組や、そのために必要な施策の展開をぜひともお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
今回のデータを見て、特にこの13ページでしょうか、休日調整後の医療費伸び率を見ていると、1月の減少幅は大変大きくなっているということで、まさに今も若干御説明がありましたように、インフルエンザによる影響が相当大きく出ているのだなと感じました。そういうことで、前回の部会でも申し上げたのですけれども、インフルエンザも含めて、どういう影響があったのか。
また、実際、受診行動の変化はどういうふうに起こっているのかという点で、今後詳細な要因分析をお願いしたいと思いますし、先ほど御説明がありましたけれども、データの示し方。単なる月別の推移だけですと、その辺のところをどういうふうに織り込んだ形で、実際に近い形の示し方をするのか。なかなか難しい部分があるかと思いますけれども、ぜひそこにも工夫をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
今、藤井委員からのお話で、少しお話しさせていただきたいと思います。藤井委員おっしゃったように、この令和2年度に関しては、新型コロナ感染症以外の一般の感染症が非常に少なくなって、それで受診が減ったことにつながっていることは事実かと思います。
一方で、今年度に関しては、例えばRSウイルス等々の感染症が、1年、何もなかったためにかえって増えてきているという状況があって、単純に全てのほかの感染症が手洗いとマスクで抑えられるとは限らないということがありますので、またこれは経時的に見ていかないと、軽々には(受診を控えてセルフメデケーションを推進すべきと)判断できないこともあるということだけ、ちょっとお話しさせていただきたかったので手を挙げさせていただきました。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
私も、今、池端先生からお話がありましたけれども、私たちは小地域で地域活動をやっていますけれども、コロナの中で非常に警戒して1日中在宅で過ごす高齢者が増えていると思います。あるいは、私は呼吸器に疾患があるのですけれども、そうすると、クリニックに行くのを少し減らす。先生には、お薬は2か月分お願いしますという形で対応している高齢者が多くいると私は思っております。地域社会の中では、コロナの中で、専門家の方たちからいろいろと助言をいただかないと、健康維持の上で課題を抱えている高齢者が増えていると、私は実感として思っております。
そういう意味では、窓口受診だけではなくて、今後、地方自治体の協力も必要なのでしょうけれども、コロナ感染という事態の中で、医療の適切な利用の仕方といったことについても十分配慮いただく必要があるのではないかと思っております。決して自助に大きく依拠する施策だけで乗り切れる事態ではなかったと思っておりますので、申し上げました。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がないようでございますので、本日の「医療保険部会」はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたします。
本日は、御多忙の折、御参集いただきまして、誠にありがとうございました。それでは、散会いたします。