第2回 日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価に関する検討会 議事録

日時

 令和3年6月22日(火) 13:00~15:00

場所

 労働基準局第2会議室(15階)(一部オンライン開催)

議事

○植松化学物質評価室長補佐 それでは、本日は、お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより、第2回「日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価に関する検討会」を開催いたします。
 本日も、前回に引き続き、全ての委員に御出席いただいておりますが、小野委員、平林委員及び吉成委員はリモートでの御参加となります。
 それでは、時間も限られておりますので、早速議事に進んでまいりたいと思います。
 今後の議事進行につきましては、座長の大前先生にお願いしたいと思います。
○大前座長 大前でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 第1回の検討会から随分時間がたったような感じがしておりますけれども、もう一つのほうの検討会で丁寧に調査をしていただいたということだと思っております。
 それでは、早速、今日の議事の1つ目でございますが、「日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順からの逸脱行為事案に関する検討会からの報告」につきまして、事務局から説明をよろしくお願いします。
○樋口化学物質対策課長補佐 それでは、事務局の樋口のほうから御説明させていただきます。ちょっと説明が長くなりますので、もし聞こえない等ございましたら、その時々で御発言いただければと思います。
 それでは、資料1を御確認ください。資料、1ページの1のところになりますけれども、皆さん御存じのように、日本バイオアッセイ研究センターで実施される化学物質の有害性試験というのは、試験ごとに定められた試験計画書、それから標準操作手順書、SOPですね、これに基づいて実施されているところでございます。
 今回、逸脱の確認されている被験物質の投与の状況については、後ほどまた詳しく説明いたしますけれども、SOP上は投与者が、投与量指示シートというものがありまして、そこに投与を開始した時間、それから、終了した時間並びに投与のチェックを記入してサインすることとされておりますけれども、具体的に投与のチェックの方法というものは定めておらず、運用上は投与指示シートの各動物ごとの備考欄のところに、投与した場合はレ点を記録する、それから、投与中止した場合は、投与中止と書いた上で、その理由を記載するというような運用をやっていて、その記録については毎日記録ができるわけですけれども、定期的にその投与の担当から試験責任者に渡されて、試験責任者が確認を行った上で、一旦投与の担当の部署に戻されて、そこで試験が終了するまで保管された後に試験責任者のほうに戻されるというような運用をなされていました。
 その辺りの詳しい流れが別添1、8ページ目以降に記載されておりますので、そちらのほうを説明します。8ページ目を御覧ください。
 まず、どの動物に対してどれくらいの量投与するかについては、週1回、動物の体重の測定を行いまして、LA端末と書いておりますけれども、コンピュータのほうに入力することとされております。こちらについては、電子天秤と端末がつながっており、動物の体重をはかると自動的に体重がコンピュータのほうに入力されるという形になっております。
 その下の※印になりますけれども、その日の投与量については、入力された体重のデータをもとに自動的に算出され、動物管理室の端末から投与量指示シートという形で出力して、そのシートに各動物当たりの投与量が記載されたものが印字されるということになります。
 8ページの(2)ですけれども、日々の流れということになります。動物の一般状態を観察した後、次の9ページの(3)になりますけれども、先ほどの投与量指示シートに指定された用量ずつ被験物資を投与するという形になります。
 (3)の左側になりますけれども、SOPの抜粋を書いておりまして、(3)の4つ目のポツになりますけれども、投与者は、投与量指示シートに投与動物のチェック、それから投与開始時間及び終了時間を記入しサインすることとSOPに書いているということでございます。
 これに対して、右側になりますけれども、動物管理室等の職員の方については、投与を行ったときに、先ほどお話ししたように、レ点を備考欄に打つというのを書いておりましたが、投与しなかった場合には、シートの該当部分は何も記載せず、一旦空白にしていたというものでございます。
 10ページ目になりますけれども、右側の※印の一番上のところですが、ここで確認された逸脱というのが、被験物質を投与しなかった場合に、通常、運用は空白にしていたということになりますけれども、それに投与していなかったときに投与したというレ点をつけていた場合が確認されたということになります。
 (5)のところになりますけれども、今のお話で、投与量指示シートというのは毎日記録されるわけですけれども、その内容については試験責任者のほうで同シートに確認した上で署名・捺印をしていたということです。
 ここでもう一つ確認された逸脱というのが、この投与量指示シートについては毎日試験責任者が確認するといったようなことになっておりますけれども、実際は週に1回、試験責任者のところに届けられて、1週間分まとめてチェックしていたというのが確認されております。
 11ページのほうにいきますけれども、その1週間分をまとめて試験責任者がチェックした後、動物管理の部屋に戻されて、そこで保管されていたということになります。
 同じく11ページの2の(1)になります。※印2つ書いている部分ですけれども、もう一つの逸脱ということで、先ほど、運用上、投与量指示シートについては投与しなかったときは一旦空白にしているということで、その後、A氏がその投与状況について投与を中止したこと及びその理由を書くというのが本来の手順ですけれども、この空白の部分に後からチェックマーク、投与したというレ点を行ったというのが1つ確認されております。それについて、御本人は、回復しそうな動物についてはレ点を打っていたこともあったということをお話しされていたということでございます。
 最後、11ページの下の※印のところですけれども、そういった投与していないものについて、レ点を打ったときについて何かしら修正の記録等も特に書いていなかったというのも1つ逸脱ということで書いているところでございます。
 もう一度資料の1ページに戻っていただいて、次は後段の2からになります。そのような逸脱が確認されている中で、この1ページから4ページの中段までの2、3、4については、それぞれの試験で物証とともに逸脱が確認されたことを詳細記載されております。
 2ページの真ん中辺りに、試験番号0933ということで、被験物質投与分、例えば投与量250mg/kg、25匹中、逸脱が行われた箇所1匹1日と書いておりますけれども、これは何を意味するかを説明しますと、まず、こちらについては、投与量指示シートに投与したという記録のレ点が打っているものについて、GLP上残す必要がない、例えば試験責任者のメモとか、動物管理室での伝言のやり取りのメモとか、そういったメモ等が残っているものに比べて、この日は投与していないと思われるもの、すなわち、レ点を打っているのだけれども実は投与していないと思われるものをピックアップしたものということになります。
 同じような整理をしておりまして、3ページの3の中段辺りの試験番号0942、0943ということで書いている動物のところ、それから、4ページの中段の0940について、8匹のところでそういう箇所が確認されています。
 今お話ししたように、GLPに基づき現存する投与量指示シート以外のいろんなメモ等で確認できる逸脱というのがこちらであったというのが今確認できているところでございます。
 4ページの真ん中の5のところから御説明します。今お話ししたように、3つの試験についてはメモ等残っておりまして、今お話しした逸脱と、すなわち、動物の状態が悪くて投与できなかったときに投与したという記録をしてしまったものということになりますけれども、5にまず書いておりますのは、この逸脱については、A氏と書いておりますけれども、動物管理の責任者の方が自ら、それからA氏の指示でその投与に協力している方が行われたということが確認されております。
 5ページのほうに行っていただいて、まず、投与前の状態観察によって、投与の負担に耐えられない状態にあると判断された動物、瀕死状態であるとか状態が悪い動物について、その日は投与を中止して、経過観察をするというSOPとか試験手順書に基づいて行われているのですけれども、動物の状態に応じて投与を中止するという、運用を始めた時期について、まず確認しております。
 それについては、A氏は、2015年からそういった運用を始めたと述べております。こちらについては、皆さん御存じのとおり、最近は動物愛護等の観点で、動物の状態が悪いときについては投与を中止するというような運用については問題なかったものと整理しておりますけれども、その運用自体は最近の2015年から始められたということを御本人は申していたということになります。
 これに関しては、投与を手伝っている協力会社の方に聞いても、それ以前から、時期ははっきりしないけれども、そういった運用はやっていたというのを確認されております。
 それから、5ページ目の真ん中辺りになりますけれども、投与量指示シートとは別に、投与が困難な瀕死状態、あるいは状態異常の動物については、全てではないものの、要注意動物観察記録というのを残すということを確認しておりまして、その要注意動物観察記録を確認したところ、こちらについても、2014年に実施された試験では、被験物質の投与期間中にそういった記録というのはなかったのですけれども、2015年に開始された試験以降、そういった要注意動物観察記録というのが投与中に記載されることがありまして、前提となる動物の状態が悪くなるといったことについては、2015年の試験以降でそういったものが生じていたというのも確認されておりまして、結果としては、2015年以降、動物の状態が悪いときに投与中止するという運用を行っていたと考えているところでございます。
 6ページになります。ここからは逸脱の話になりますけれども、では、その動物の状態が悪いといったときに、投与中止して、その上で、今回の記録の逸脱ということになりますけれども、投与量指示シートに投与したという記録をいつからしたのか、いつからそういう逸脱をしたのかというのを確認したところ、A氏は、2019年の試験からやっていますと述べております。ただ、この2019年の試験について、先ほど申したような試験責任者のメモとか動物管理室のメモというのは残っておりませんので、これについて、実際投与中止したときに投与中止したという記録をしたかどうかというのは確認することはできませんでした。
 投与を請け負っていた協力会社のヒアリングでは、類似の逸脱がいつから行われていたか記憶はないのだけれども、ここ1年から3年ぐらい、そのような指示を多く受けてやることがあったというような話を聞いております。
 これに関しても、先ほどお話しした2015年からこういう運用が始まって、2019年の間にこういった逸脱がでは実際行われたかどうかという部分については、特定することはできませんでした。
 こういったことで、2015年から2019年の間の試験について、今回確認されたような逸脱が行われたかどうかについては、A氏の証言、2019年以降やりましたというような証言以外に、これらを特定する情報というのは得られなかったところです。
 こういった状況の中で、別添2をまた見ていただきたいのですけれども、13ページになります。ちょっと字が小さくて申し訳ないですけれども、この別添2の真ん中のところに、先ほど、動物の状態が悪いときについては要注意動物観察記録を残すという証言がありまして、この要注意動物観察記録の状況を各試験ごとに並べたものがこちらになりまして、真ん中の要注意動物観察記録で確認できた情報というのが要注意動物観察記録のデータの記載状況ということになります。
 グレーにしているところが2014年に行われた試験で、今ずっとお話ししていた2015年からの試験というのが13ページの白塗りのところ、下の2つからになります。
 この要注意動物観察記録が残っているものに対して、投与量指示シートがどのような記載になっているのかというのが、その右の欄の左記の「要注意動物観察記録」に対する投与量指示シートの記載というところになります。
 御覧になられたように、要注意動物観察記録が残っているものについて、投与を中止したケースもあれば、投与したというレ点を打っているケース、それから、「-」になっているものについては、動物が死んで試験系から除されてしまったというような印になりますけれども、そのまま動物が死んだという記録もあるということです。
 現状、投与量指示シートについては疑義がある状況でして、この要注意動物観察記録を記録していた状態の悪い動物について、実際投与したかどうかというのは今となっては確認できないところでございます。
 これに対して、さらに右の欄になりますけれども、こちらは投与量指示シートについて、レ点以外の記録が出ているものについて、その記録の状況を記載したものになります。多くは、いついつから「-」という形になりますけれども、その日以降、動物が死んで、投与が行われなかった、試験系から排除されたということでなっているところでございます。
 この投与量指示シートのレ点以外の記述と、先ほどの真ん中の要注意動物観察記録を見比べた上で、多くの弱った動物、要注意動物観察記録が記載された動物については、試験の途中で、その動物、死ぬことが多くて、ほとんど右側の投与量指示シートの欄には動物が死んだという形で記載されておりますけれども、中には、弱った動物について、試験終了まで生きていて、最終評価に試験結果の評価に使われているものというのが存在します。
 要注意動物観察記録が残された動物について、最後まで生きていて、実際試験の評価に使われたものというのが、真ん中の要注意動物観察記録の記録シートのさらに下線を引いたものというのがその要注意動物観察記録が残っていた動物で、さらに最終試験の評価まで使われたものということになります。
 こちらについて、1試験当たり0匹だったり1匹だったり、多くて2匹だったりというような状況であったというのが別添2のほうでまとめているところでございます。
 6ページに戻っていただいて、今お話ししたような別添2のリストの説明が以上になりまして、ちょっと整理いたしますと、逸脱がいつから行われたかについては、まず、物証とともに逸脱が確認されているものについては、2020年の試験については、それが3試験確認されたということです。
 それ以前については物証等確認できなくて、逸脱のあったという記録はなかったわけですけれども、しかし、瀕死、あるいは状態異常などの理由で、投与の実施が困難な動物に対して投与を中止するという運用そのものは2015年から始まっていて、それについて、可能性としては逸脱を行おうと思えば行える下地があったということになります。
 もう一つは、逸脱が行われた頻度というのが前回の検討会で確認すべきということで承ったところでございますけれども、これについても、今お話ししたとおり、投与量指示シートの記録そのものは残っておりますけれども、これ自体が今ちょっと疑義があるという状態で、実際のところは投与の状況が確認できないということになりますが、その投与量、逸脱の記録の前提となる投与中止を検討すべき投与の困難な瀕死または状態異常の動物がどの程度発生していたかについては、先ほど別添2で御紹介した要注意動物観察記録というのがございまして、その要注意動物観察記録の数の程度の投与中止する可能性がある状況が発生していたということになります。
 そのうち、試験終了まで生き残って最終評価に使われた動物の頻度というものも、先ほどの別添2の下線を引いた動物の程度の数だったということになります。これは別添2の説明になります。
 7ページになります。今お話ししたのはいわゆる強制経口投与が行われた試験の話でございますが、それ以外の試験についてどうかということで、バイオで特にやられている長期発がん性試験について確認したところ、詳細は割愛しますけれども、そちらについては逸脱等の記録は確認できなかったということで、逸脱が行われた記録はなかったということで報告ということになります。
 資料1の説明は以上となります。
○大前座長 ありがとうございました。
 もう一つの委員会、逸脱行為事案に関する検討会のほうの報告をしていただきましたけれども、この御報告の御説明につきまして、何か先生方のほうから御意見、御質問いかがでしょうか。
 手を挙げる機能、もしくは画面を出していただいて、御自分で手を挙げる、どういう手段でも構いませんので、御意見があればと思いますが、いかがでしょう。
 特に御意見ないということで、進めてよろしいですか。
 ありがとうございます。では、今回の報告につきましては特に御意見なしということで、今日の本来の議題であります、日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価、これにつきまして、事務局のほうから説明をよろしくお願いします。
○植松化学物質評価室長補佐 そうしましたら、私、植松のほうから御説明させていただきます。
 まず、資料2を御覧ください。こちら、日本バイオアッセイ研究センター、以下、バイオと呼ばせていただきますけれども、バイオで実施してきた職場における労働者の健康障害防止に係る規制等に係る試験ということでまとめてございます。
 大きく、直接投与試験、これが強制経口投与試験ということでございますけれども、直接投与試験と、直接投与以外の試験ということでまとめてございます。
 全体の数字としてはここにまとめているとおりですけれども、先ほど逸脱行為事案検討会の調査結果を御報告させていただきましたが、これまでの調査結果に基づきまして、今回、試験計画書等からの逸脱行為事案がなされた可能性を否定できない試験の範囲としましては、2015年以降に試験が開始された直接投与試験ということになりましたので、この表の左上の直接投与試験からさらに絞り込んでみますと、右下の四角で囲ってございますように、ラット肝中期発がん性試験で12物質、遺伝子改変動物を用いる中期発がん性試験で3物質になります。そして、この2つの試験のうち2物質が重複しているということですので、物質数としては合計で13物質が今回の検討の対象となるということで整理させていただきました。
 続きまして、資料3を御覧ください。こちら、「規制影響評価検討会における検討方針」ということでまとめさせていただいております。
 繰り返しになりますけれども、今回、2015年以降に試験が開始された直接投与試験、詳しくは別添資料4にまとめてございますが、計13物質が検討の対象となってございます。
 試験の評価方法案ということでございますけれども、まずポイントとしましては、動物が衰弱していた場合には被験物質を投与しなかったことがあるという証言がございました。また、動物の状態異常が見られる場合には、「要注意動物観察記録」というものに観察記録を残すルールとなってございました。また、「要注意動物観察記録」に記録があって、試験期間中に死亡してしまった動物については、最終的な評価対象からは既に除外されていたということがございました。
 この3点を総合的に考えまして、この検討会での評価方法の案としましてまとめたのがこの四角の中身でございますけれども、「要注意動物観察記録」に記録があって、かつ、試験期間中に死亡せず、最終的な評価対象となっていた動物については、「投与が中止されていたにもかかわらず、投与されていたように記録されていた」可能性があるということでございますので、そういった可能性を最大限に考慮しまして、こういった動物に関しては全て評価対象から除外した上で、試験としての成立の可否及びこれまでの評価の妥当性を検討していただくというように整理させていただきました。
 こういった評価方法の案に基づきまして、さらに本検討会での検討対象試験を絞り込みました。一番下の◆でございますけれども、「要注意動物観察記録」に記録があり、かつ、試験期間中に死亡せずに、最終的な評価対象となっていた動物が確認できた試験を抽出しますと、該当する試験は7物質(9試験)ということでございます。
 ここで参考資料4を一度御覧いただければと思います。これは、今回よく出てくる単語として「要注意動物観察記録」というものがございますけれども、それのサンプルということで添付させていただいております。
 試験番号と動物番号を書いておりまして、動物の状態が悪い場合、衰弱しているような場合には、ここに理由を書いて、その日付も書いて記録するというルールになっていたということでございます。
 これが「要注意動物観察記録」ですが、同じ参考資料4の3ページ目以降に、実際に投与したかどうかというものを記録する「投与量指示シート」というもののサンプルをつけてございます。ここに書いてあるのは日付をリンクさせてございますけれども、参考資料4の2ページ目に、例えば2015年の12月8日について、貧血、深呼吸というような観察記録が書いてあるわけでございますけれども、3ページ目見ていただきますと、この動物番号1308の部分に関して、「投与休止」という記載があることが確認いただけるかと思います。
 これは本来このように書くべきものでありまして、要するに、要注意動物観察記録に記載があって、実際投与していない場合は、このように投与休止というような記載をするというルールになっていたわけですけれども、今回はこういった記載が正確にはなされておらず、実際には投与していないにもかかわらず、この部分が例えばレ点になっていたということでございます。
 ということで、参考資料4の説明は以上になりますので、資料3に戻っていただきまして、資料3の2ページ目を御覧ください。
 「評価方法案に基づく具体的な検討事項」ということでございます。こちら、2つ分けてございますけれども、まず1つ目ですが、こちらが本検討会で今回評価していただく対象となるわけでございますが、「試験結果について、既に発がん性WGのほうで評価済みの試験に係る検討」ということで、1つ目、ラット肝中期発がん性試験ということでございますけれども、3物質対象になってございます。
 対象となるのが全部で10試験あったのですが、その中で要注意動物観察記録に記録のある動物が、試験期間中に死亡せず、当該動物も有効動物数に含めて試験結果がとりまとめられている以下の試験ということで、試験番号871の1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノベンゼン、試験番号880のm-クロロフェノール、試験番号927の5-クロロ-2-ニトロアニリンの3物質に係る試験について、当該動物を試験結果から除外した上で、試験としての成立の可否及びこれまでの評価の妥当性について検討していただきたいということでございます。
 次に、遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験に関するものでございますが、こちら、1物質ということでございます。
 同様に、要注意動物観察記録に記録のある動物が試験期間中に死亡せず、当該動物も有効動物数に含めて試験結果がとりまとめられている物質、試験番号900の4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールにつきましては、当該動物を試験結果から除外した場合の試験としての成立の可否及びこれまでの評価の妥当性について、今回検討していただきたいということでございます。
 それから、下のほうに整理してございますけれども、試験結果について、まだ発がん性WGで評価がされていない、評価が未実施の試験に係る検討ということでございます。こちらに関しては、ラット肝中期発がん性試験が1物質、試験番号940の3,5,5-トリメチルヘキサン酸というものと、遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験に係るものが2物質、試験番号913及び924の1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、試験番号933及び934の2-クロロベンゾイルクロリドということでございますけれども、これらについても同様の考え方、要するに、「要注意動物観察記録に記録のある動物で試験期間中に死亡していない動物を試験結果から除外した場合の試験としての成立の可否、及び今後の評価に当たっては当該動物を除外した上で評価することの妥当性について検討する」と書いてございますけれども、我々事務局といたしましては、この方針を本検討会から発がん性WGのほうに提言という形で、こういった方向性で評価することが妥当であるというような内容をお伝えしたいと考えてございますけれども、まずは、ここまでの部分について、先生方から御意見いただきたいと思います。
○大前座長 2ページまでの部分につきましていかがでしょうか。特に2ページの最後のところの、まだ発がんWGで評価が未実施の物質についてはこのような取扱い、発がんWGのほうでまず評価していただくという取扱いでよいかどうかということですけれども、先生方、御意見いかがでしょうか。あるいは御質問でも結構ですが。
○平林委員 平林でございます。
 念のための確認でございますが、要注意動物観察記録に記載がない動物で、投与していないのにレ点を打ったものというのは確認されていないということでよろしゅうございますか。
○樋口化学物質対策課長補佐 そういった可能性は排他されていませんので、要注意動物観察記録が残っていないけれども、投与中止しているものというのは存在すると思います。ただ、そういう点では定量的な評価はできないと思うのですけれども、定性的には要注意動物観察記録が、多くの動物の状態が悪いと記載されるということになりますので、動物の状態が悪い頻度みたいなものについては、要注意動物観察記録が残っている動物の数程度はあるだろうと考えられるのではないかと考えます。
○平林委員 排除されていないことは十分理解できているのですけれども、物証として、そういったことが確認されたことはなかったという理解でよろしゅうございますかという確認です。
○樋口化学物質対策課長補佐 物証としては、資料1の別添2の17ページの試験番号0933、0934のベンゾイルクロリドの物質がございまして、ここの備考の欄に試験責任者のメモというのが書いております。この試験責任者のメモというのは何かというと、先ほどお話ししたところで、一旦、投与量指示シートというのは、試験責任者がチェックして動物管理の部屋におろされるという話をしましたが、その試験責任者が最初にチェックしたときに、空白であった動物と日付を記載したものになります。
 これと要注意動物観察記録を見比べると、投与量指示シートが空白であったものについて、要注意動物観察記録がない動物というのは存在していますので、御質問からすると、その要注意動物観察記録を残さず投与を中止したものというのはあるのではないかというのはここから推察できます。
○平林委員 なるほど。その動物は生きていて、評価に使われた可能性があるということですね。
○樋口化学物質対策課長補佐 ちょっとそこまでこの表では整理していませんけれども、可能性という意味では排他はされないという、先ほどと同じ回答になります。
○平林委員 分かりました。すみません。ありがとうございます。
○大前座長 そのほかの先生、いかがでしょう。何か御意見、御質問。
○吉成委員 吉成です。
 議題1のところで聞くべきだったかもしれませんけれども、今の平林先生の議論とも関連すると思うのですけれども、実際に今回確認がとれていないところの問題点が裏に存在するのではないかということに関して、先ほどの資料では、A氏とその指示で実験を実際にされた方というのは、実際の聞き取り調査を行った人数というのですか、どのぐらいの数の方、投与された方に聞かれて今回の資料を作成しているのか。その数がかなり多いのであれば、そういう方の証言から、実際に投与していたように言いつくろっているものの数というのは少ないのではないかと見積もることはできるとは思うのですけれども、そこの人数とかそういうところは明らかにできるのであれば参考として教えていただければと思います。
○樋口化学物質対策課長補佐 複数のやり方をやっておりまして、まず書面調査で64人の方にお話を聞いております。そのうち15名の方に実際お話をお伺いしてヒアリングさせていただいております。その中で、投与に関係する人については、5名の方は主に投与されている方で、その全ての方についてお話を聞いております。
○吉成委員 5名の方は実際、そうすると、記録に残らない逸脱行為、可能性としてはその5名の方がされているのですけれども、ということになるという理解でよろしいですか。
○樋口化学物質対策課長補佐 5名の方ですけれども、主にやっていたのが5名ということで、もう一人、ヒアリングしていない方が、たまに投与を手伝っていた方というのがいらっしゃいますので、その方、確認しておりませんが、主にやっていたのは5名なので、その方が主にということには変わりません。
○吉成委員 それで、その5名の方からは今回まとめたことと異なるような証言は得られていないという。
○樋口化学物質対策課長補佐 そうです。それは資料1に書いているとおり、以上のことはございません。
○吉成委員 分かりました。ありがとうございます。
○大前座長 そのほかございますでしょうか。
○小野委員 小野です。
 今の平林先生の質問への回答でちょっと疑問に思ったのですけれども、僕の認識というか、先ほどの説明では、投与に耐えられないであろうというような状態の動物には投与しないという、SOP上そうなっていて、そういう方向で投与されなかった動物がいたという認識だったのですが、今の平林先生の質問への回答からすると、要注意動物観察記録には特に記載がないものの、投与されていなかったであろう動物がいる可能性があるという話でしたが、それらの動物というのは全然状態は悪くなっていないのに投与されていないという、そういうことがあったということですか。
○樋口化学物質対策課長補佐 そこはちょっと誤解でして、動物の状態が悪くないにもかかわらず、そもそも投与中止したというのは、ないと聞いています。動物の状態が悪いときに投与中止したというのは皆さん一致しております。
○小野委員 状態は悪いけれども、でも、観察記録なり何なりには何も記録がないのですか。
○樋口化学物質対策課長補佐 ここは、要注意動物観察記録を残すところの基準と投与中止するという基準が若干違うみたいで、そこの差異があるのですけれども、具体的にそこの基準みたいなところについては分からないのですけれども、ただ、皆さん一致しているのは、動物の状態が悪いときに投与を中止するということは一致しておりまして、そのときの多くについては要注意動物観察記録を残していたと話をされています。
○小野委員 要注意動物観察記録が、通常の動物試験だと、投与のためというよりも一般状態観察を日々実施して、それを記録していると思うのですけれども、そちらにも何も記録がないのですか。
○樋口化学物質対策課長補佐 もう一回整理すると、皆さん一致しているのは、動物の状態が悪いときにだけ投与中止を行ったというのは皆さん一致しています。そのときに、多くについては要注意動物観察記録を残していたというところも一致しております。ただ、100%要注意動物観察記録を残したかというとそうではなかったとは言っておって、実際、先ほどの別添2の記録のような状況は確認されていますけれども、繰り返しになりますが、動物の状態が悪いときには、多くは要注意動物観察記録を残していたというふうには皆さん共通して発言されておりまして、実際、投与中止したものについて何かほかの記録はないかと確認したところ、皆さん、要注意動物観察記録を見れば大体状況は分かるという御発言もされていたところです。
○大前座長 小野先生、よろしいですか。今の御説明。
○小野委員 はい。
○大前座長 投与しなかった物質に関しては要注意動物観察記録はあると。投与したのだけれども、要注意動物観察記録がある動物もあったかもしれないと、そういうことですか。
○樋口化学物質対策課長補佐 まず、動物の状態が悪いときについては要注意動物観察記録というのは残します。ただ、要注意動物観察記録を残していたからといって、その日全部中止したかというと、動物の状態が悪いけれども、投与したというのもあるということです。
○大前座長 ということだそうですが、小野先生、いかがですか。
○小野委員 動物の状態が悪いけれども、投与したほうは構わないのです。でなくて、要注意動物観察記録には何も記録がされていなくて、だけど、状態が悪いと判断して投与しなかったものはあるというさっきの説明だったので、それは何らかの形で確認が。先ほど説明いただいた試験は、たまたま試験責任者のメモというのがあったからということで分かったのだろうと思いますけれども、それ以外は、結局、追いかけようがないわけですよね。
○樋口化学物質対策課長補佐 はい。なので、今回の整理については、結局、投与の状況というのが、投与量指示シートは残っているのですけれども、実際のところは今疑義があるという状況ですので、今、記録としては要注意動物観察記録というものしか手がかりがないということです。
 今お話ししたように、要注意動物観察記録が残っているものについて、投与したかどうかというのが実際は今疑義がある状況で、かつ、今お話ししたように、要注意動物観察記録がないものについても一部投与しないことも運用上はあり得たということでございますので、そういった状況の中で定量的な評価というのは最早できないわけですけれども、動物の状態が悪いというところについて投与しないことがあったというのは皆さん一致しておりますので、動物の状態が悪いという頻度がどの程度あったかというのを確認するためにまとめたのが別添2ということになりまして、その頻度というのは確率的な意味の頻度なのですけれども、そういったことで、このそれぞれの物質試験について要注意動物観察記録、いわゆる動物の状態が悪いという動物が発生し得る頻度というのが、今、別添2に記録にあるようなものということで、その程度の頻度があったときにどういう試験の影響があるかというのを再度評価できるのではないかということでの今回の事務局の提案が資料2、資料3ということになります。
○大前座長 小野先生、いかがですか。あるいは他の先生方。
 観察記録がなくて、投与しなかった場合もあり得るという、今そのようなお話ですね。
○樋口化学物質対策課長補佐 はい。
○大前座長 ただ、その頻度は全然分からないと。
○小野委員 ちょっとその頻度がどれぐらいであったと考えられるのかというところにもよると思うのですけれども。
○樋口化学物質対策課長補佐 唯一手がかりになるのは、別添2の17ページの、先ほどの2-クロロベンゾイルクロイド。
○大前座長 先ほどの5名の実際に投与していた方、ほとんど全部の投与がこの5名の方がやっていたという、この方とはヒアリングはされていて、そこで今のような話はあったのですか。投与しなかったけれども、観察記録もないことがあったというような。体調悪くて投与しなかったというのは、観察記録も実はない。それはないか。それはさっき、ないとおっしゃいましたよね。投与しなかったものに関しては全部観察記録があると。
○樋口化学物質対策課長補佐 いや、投与しない程度、動物の状態が悪いものについて、多く要注意動物観察記録を残していたという言い方をしていますので。
○大前座長 全部ではない、多くという。
○樋口化学物質対策課長補佐 はい。
○大前座長 それの頻度に関しては特に質問されなかった、要するにそのようなことはどれぐらいの頻度ありましたかみたいな。
○樋口化学物質対策課長補佐 多くはという言い方をしていますので、それは数多くは残していたと解しています。
○大前座長 その5人の方は。ということは、恐らく、そういう形でデータが抜けてしまった頻度は少ない可能性があると。多くは残していると。
○樋口化学物質対策課長補佐 多くは残していると考えます。
○大前座長 残さなかったものは多分少ないだろうと、そういう推測はできるということになりますか。
○樋口化学物質対策課長補佐 はい。
○大前座長 ということで、ここは定量的にはちょっと話ができない部分にはなりますが、いかがでしょう。
 5人の方のヒアリングが正しくおっしゃっているということでしたら、今のようないきさつの頻度は多くはないだろうと。ただし、どれぐらいあったかは分からない、何%ぐらいあったかは分からない。
 では、この点は直ちに解決できる問題でない、疑問として少し残っている部分だと思いますけれども、もう一つの、まだWGで評価未実施の物質に関しては、まずWGのほうで評価していただいてという先ほどの事務局のほうからの提案、これについていかがですか。
 今、この委員会では、評価済みの試験については検討すると。ただし、まだWGで評価されていない試験については、まずWGのほうの評価をお願いして、そのような手順でどうかという御提案でしたが、いかがでしょう。
○平林委員 平林でございます。
 発がんのほうの座長をさせていただいておりますので、その立場から申し上げますと、こちらで対処方針を決めていただいた上で、それに沿って評価をするという方針で私は結構かと思います。よろしくお願いします。
○大前座長 ありがとうございました。そのほかの先生方、今の平林先生のような御意見でよろしゅうございますか。
(「結構です」の声あり)
○大前座長 ありがとうございます。それでは、この件に関しては、事務局の提案で、未実施の物質に関しましてWGのほうでまずやっていただくということでお願いします。
 それでは、先ほどの点も含めてもう少し説明があると思うので、説明を進めていただいて、また必要に応じて先ほどの点に戻るということでよろしくお願いします。
○植松化学物質評価室長補佐 ありがとうございました。そうしましたら、説明を再開させていただきますけれども、資料3の3ページ目を御覧いただければと思います。3ページ目以降は、行政のほうで定めている「ラット肝中期発がん性試験」及び「遺伝子改変動物を用いた発がん性試験」に関する調査の基準と評価の基準の抜粋をまとめてございます。
 まず、ラット肝中期発がん性試験の調査基準ということで1番と振ってございますけれども、その抜粋で試験に用いる動物の数ということですけれども、こちら、有効匹数15匹以上とするとなっております。また、投与群及び対照群ということで、試験における起始物質及び被験物質投与群の用量は3段階以上とするということになってございますので、こういったことが調査を満たすためには必要な条件ということでございます。
 その下に評価基準ということでまとめてございますけれども、陽性の判断基準ということで、投与群における肝臓の胎盤型(GST-P)陽性細胞巣の単位面積当たりの個数又は面積が、媒体対照群と比較して有意に増加し、かつ、用量反応性が認められる場合、又は単一の用量群において明らかな増加が認められる場合は陽性と判断するというような基準が示されてございます。
 以下、陽性と判断された場合、陰性と判断された場合の取扱いについてもまとめてございますので、適宜御確認いただければと思います。
 4ページ目ですが、こちら、2番目に遺伝子改変動物を用いたがん原性試験に関する調査の基準ということで、まずは試験に用いる動物の数ということですけれども、こちらは1群につき、雄及び雌それぞれ25匹以上としなければならないということでございます。
 次に投与群及び対照群ですが、こちらの数は、雄及び雌それぞれについて、3段階以上としなければならないということになってございます。
 次に評価基準ということで書いてございます。素案ということで、令和2年度の第1回発がん性評価WGのほうに提出させていただいたものですけれども、中身を議論していただいた結果、この内容については今後も検討を重ねる必要があるということになりましてフィックスされたものではないのですけれども、判断材料の一つとしてお示ししているというところでございます。
 ということで資料3の説明は終わりまして、次に資料4のほうを御覧いただければと思います。こちらがバイオにおける試験手順書からの逸脱行為がなされた可能性のある試験リストということで、一番最初の2015年以降に試験が開始された直接投与試験の数ということで、物質のNo.というところを見ていただければと思いますけれども、13物質あるということでございます。
 その内訳としまして、試験方法の列に記載のありますとおり、ラット肝中期発がん性試験と遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験というものに分かれてございます。
 試験結果というところで、右から4列目でございますけれども、こちらが試験報告書の結論ということで、バイオが実際に試験をして集計して得た結論ということで整理してございます。
 これらにつきまして、発がん性WGで試験結果の評価をするということで、その右隣に発がん性WGでの評価結果ということでまとめてございます。それぞれ、どの発がん性WGで議論がなされたかということで、その右に書いてございますけれども、詳しくは参考資料3として議事録をまとめてございますので、適宜御参照いただきたいと思います。
 資料4の右から2列目でございますけれども、試験結果が評価された発がん性WGというところで、未実施となっている試験に関しましては、先ほど御確認させていただきましたとおり、本検討会で示された方針に沿って発がん性WGのほうで評価していただくということになるかと思います。
 資料4の2ページ目を御覧いただければと思います。こちらが要注意動物観察記録に記録されていた動物数などをまとめてございます。中ほどに試験動物の総数ということで、実際に用いた動物の総数をまとめてございますけれども、そのすぐ右隣に4列ございまして、こちらが要注意動物観察記録に記録されていた動物の全ての数ということでまとめてございます。
 左から、溶媒対照群、低用量投与群、中用量投与群、高用量投与群ということでございます。そのすぐ右隣の4列に、投与期間中に死亡した動物数ということで、要注意動物観察記録に記録されていて、なおかつ投与期間中に死亡した動物の数ということでまとめてございます。
 これらの数を総数から引いたもの、要するに、要注意動物観察記録に記録されていて、かつ、最終的に評価対象となった、最後まで生き残っていた動物の数というものを一番右の4列でまとめてございます。御覧いただければと思いますけれども、1つの試験の中で、多くても3匹という状況でございました。
 次に、資料5を御覧いただければと思います。こちらのほうは個別の試験ごとに要注意動物の観察記録等の情報をまとめているもので、例えば資料5の1ページ目を御覧いただければと思います。4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールの肝中期発がん性試験に関する情報のまとめということで、要注意動物観察記録があった動物番号は1308ということでございますが、この括弧書きになっているものは、投与期間中に既に死亡しているということを意味しておりまして、既に最終的な評価の対象からは除外されているといったものでございます。
 次に、2ページ目を御覧いただければと思いますけれども、こちらは、同じ物質ですけれども、動物番号1019というものを記載してございまして、こちら、括弧書きとなっていないのですが、これの意味するところは、要注意動物観察記録に記録がされていて、なおかつ、最後まで生き残った動物ということになります。また、観察記録のあった日数、すなわち、投与される機会が何日あったかということでまとめているのが右から2列目ですけれども、全部で8日間あったということでございます。全体として、その試験期間が半年ほどありますので、被験物質の投与日数の総数は182日ということで、182日分の8日ということでその割合を出していますけれども、4.4%について要注意動物観察記録が書かれていたということでございます。
 そのページ以降も、同様の解釈で御覧いただければと思います。
 それらの情報は適宜に御確認いただくとしまして、次に資料6を御覧いただければと思います。今回検討の対象ということで整理させていただいたのが、資料3の2ページ目でも御確認いただきましたけれども、要注意動物観察記録に記録があって、なおかつ、最後まで生き残っていた動物が確認された試験ということで、まず、資料6はラット肝中期発がん性試験において3物質該当するものがございましたので、それらに関して再評価いただくための資料ということでまとめてございます。
 まず、試験番号871の1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノベンゼンというものでございますけれども、除外の対象とすべき動物が1匹ございまして、こちら、1303というものになります。
 ここで動物番号の意味を御説明させていただきますと、1桁目、1303の1というものは、これはバイオの中のルールということですけれども、雄か雌かを表すもので、1が雄、2が雌ということで、1303は雄の動物を指しております。
 左から2桁目がどの用量群かということを表しておりまして、ここは0であれば媒体対照群、1であれば低用量投与群、2であれば中用量投与群、3であれば高用量投与群といった具合でございます。
 それから、最後の2桁は、その群の中での動物の個別の識別番号ということになっております。今回の1303ということは、高用量投与群で1匹そういった対象が存在したということでございます。
 ここでお示ししている表ですけれども、通常、評価はこの試験結果を評価する際に、こういった表をまとめてございまして、特にGST-P陽性細胞巣というところに着目して、ここの部分が媒体対照群と比べて有意に増加していたかどうかということで、陽性か陰性かいうことを判断いただいているものでございますけれども、今回、その除外対象となった1303を除外した形で、オリジナルのデータの表からその対象となる動物を除外した形で再度集計した表ということになります。
 ちょっと見づらくて申し訳ないのですけれども、オリジナルのデータの表を参考資料2の3ページ目につけてございます。こちらにオリジナルの集計結果をまとめてございまして、見比べていただければと思います。
 まとめてラット肝中期の3物質を御説明させていただきますと、同様に、2番目の試験番号880のm-クロロフェノールに関しては、除外対象動物が1305、1311ということで、こちらも、高用量投与群の中から2匹、対象となるような動物がございましたので、これを除外した形で再度集計をし直したというものでございます。
 こちらのオリジナルデータの集計表に関しましては、参考資料の8ページに記載してございます。これは1番目の物質と2番目の物質と表の形が異なるわけでございますけれども、これは、行政検討会の中で標準偏差が定量的に確認できるように表を書き直すようにという整理がありまして、途中から、この2番目の物質のように、数値的に標準偏差を示すような表の形式に改めたということですので、御了解いただければと思います。
 それから、資料6の2ページ目に、試験番号927の5-クロロ-2-ニトロアニリンということで記載してございますが、こちらも除外対象動物1319ということで、高用量投与群の1匹の動物に関して除外した形で再度集計をし直したということになってございます。
 こちらのオリジナルのデータが参考資料2の12ページのほうにまとめてございますので、御確認いただければと思います。
 事務局といたしましては、こういった除外対象動物を除外して、GST-P陽性細胞巣の個数及び面積を再度集計したところ、除外する前のデータと比較しまして、差は極めて僅かであるということでございますので、当該データを除く前後で媒体対照群との有意差に違いは見られないと言えると考えました。結論としましては、今回の逸脱行為によって試験結果の評価を変更するほどの影響はないものと考えております。
 続きまして、資料7を御覧いただければと思います。こちらは遺伝子改変動物を用いた中期発がん性試験に関する試験結果ということで、試験番号900の4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールに関する試験結果ですが、こちらは除外対象動物としましては1019という動物が該当するということでございますけれども、溶媒対照群の動物1匹が除外対象動物ということになってございます。なので、こちらの表で赤く記載しているところでございますけれども、その溶媒対照群の検査動物数というところが、本来25であるところが、除外したので24となってございます。
 念のために、こちらもオリジナルのデータを参考資料2の17ページに記載してございます。この試験に関しましても、除外対象動物を除外した場合、つまり媒体対照群の動物を1匹除外しただけということで、腫瘍の発生状況には変更は見られないということで、当該データを除く前後で媒体対照群との有意差に違いは見られなかったことから、事務局としましては、今回の逸脱行為によって試験結果の評価を変更するほどの影響はないものと考えております。
 事務局からの説明は以上になります。
○大前座長 ありがとうございました。
 最終的に生き残った動物を使って最終評価するのですけれども、その群から投与量が少なかった可能性がある除外動物を除いて計算しても、それ以前の結果等変わらなかったというお話だったと思いますけれども、先生方、何か御意見いかがでしょうか。あるいは御質問。
 一番最初の御意見の観察記録のありなしで投与ありなしみたいな、そこのところに関しては、完全にクリアーになっているわけではないと思いますけれども、一応5人の方々の証言を信じれば、先ほどおっしゃったような懸念の確率といいますか、それは高くはないだろうということだと思いますけれども、いかがでしょう。
 この委員会のミッションは、先ほどの既に報告が出ている物質に関する結果の妥当性はどうかという、それを最終的に判断するというミッションですけれども、事務局の案としては、除外動物を除いても、特に前の報告による結果とは変わらなかったので、結果の変更、あるいはその後の種々の変更等々は要らないのではないかという御提案だと思いますが、いかがでしょうか。
○小野委員 今、資料6と7で示していただいた点に関しては、事務局のほうで説明があったように、問題があったであろう動物を除外して、さらに言えば、記録が残っていなくて問題があった、投与されていない動物が仮にいたとして、そういうのが数匹、もし仮にいて、それをさらに除外したとしても、恐らく結果には影響はないであろうと考えます。十分な動物数確保できていますので。恐らく、だから、それはちょっとケース・バイ・ケースな部分もあると思うのですね。例えばその用量の動物がほとんどが死んでしまって、動物が非常に少ない状態になっていたら、1匹2匹って重たくなると思うのですけれども、今、資料6、7で示してもらった試験に関しては、ここからさらに1匹2匹に問題があっても、最終的な結果に影響があるとは考えませんので、特に問題ないだろうと考えます。
○大前座長 ほかの先生方、御意見いかがでしょうか。
○平林委員 平林でございます。
 今のを受けますと、かなり意地悪なことを言いますが、ほかの試験で陰性と判断されたもので、実際にそういった分からないものが含まれているというところで、ぎりぎりのところで陰性に判断されたような剤はなかったでしょうか。
○大前座長 いかがでしょうか。
 陽性、陰性の判定のところで、十分陰性なら問題ないけれども、陽性に近い陰性って言い方、変ですね。陰性だけれども、少し判断に迷うような事例がなかったかという御質問ですが。
○植松化学物質評価室長補佐 確認ですけれども、今回の検討対象となった物質以外でということですよね。
○平林委員 そういうことになろうかと思いますが、結局、不確実性のところで、今お示しいただいたものは、小野先生もおっしゃったとおりで、ここに1匹2匹、不確実なものが含まれていても大丈夫だろうということが判断できるということは異論がないわけですけれども、ほかの剤で、大前先生もおっしゃったように、ぎりぎりのところで、これは陰性と判断しましょうと決めるようなもので、小野先生もおっしゃったように、1匹2匹の比率が非常に高くなるような剤がなかったかどうかだけはちょっと気になったので、もし分かれば教えていただければと思っております。
○植松化学物質評価室長補佐 すみません。事務局として直ちに回答できませんので、後ほど御確認して、改めて御連絡差し上げたいと思います。ただ、基本的に、判断に迷うような場合には安全サイドに考えるのが通常かなと思いますので、そういった場合は恐らく程度の低い陽性というような判断になっているのかなと思いますけれども、改めまして事務局として整理しまして、もしそういうものがあれば、改めて御連絡差し上げたいと思います。
○平林委員 すみません。よろしくお願いします。
○大前座長 今回の物質以外に関して、もしそういうのがあればということに関してはペンディングということで、今回のこの物質に関しましては、皆さん、それでは、特に結論を変更するようなことがないというお考えでよろしゅうございますか。
○吉成委員 吉成ですけれども、1点。
 結論に関しては全く異存はないのですけれども、動物の取扱いについて、この評価基準における取扱いについてちょっと教えていただきたいのですけれども、現在のバイオのプロトコールですと、実際に状態が悪くて投与しないことは動物愛護の観点からももちろん問題ないと思うのですが、それが例えば何日以上投与しなかった場合には採用しないとか、そこら辺の基準というのはあるのでしょうか。
○樋口化学物質対策課長補佐 事務局で確認したところ、何日投与しなければ排除するとか、そういった基準は確認していないです。
○吉成委員 そうすると、今回採用された動物の中にも、複数期間、投与期間の間で、1日ぐらいだったら投与されていない動物もあり得るという理解でよろしいですか。
○樋口化学物質対策課長補佐 すみません。御質問がちょっとよく分からなかったのですけれども。
○吉成委員 今のプロトコールで、SOPに基づくと、状態が悪いときには投与しないことがあるという理解だったのですけれども、そうすると、現在採用されている動物の中にも、最小日数が1日だと思いますけれども、投与しなかった日が存在する動物もあり得る、含まれているという理解でよろしいですか。
○樋口化学物質対策課長補佐 先生の御質問は、投与を中止して、記録も残っているものがもしあったとして、それについて最終評価までいったものがあるかという御質問ですかね。
○吉成委員 そうです。正しく中止された動物が含まれているか。何を言いたいかというと、そういうものがあるのであれば、本当に万が一投与しないものがこの中に含まれたとしても、今回の記録で残っているのでも、ほとんど数日間という、数は少ないですので問題ないだろうと考えたということが1つです。なので、それも踏まえているのであれば、より問題ないかなと思いました。
 もう一点、ちょっと確認だけしたいのですけれども、ラット中期のほうは、有効匹数15匹ということでしたけれども、この有効という言葉の定義だと思うのですが、今回は特別な事例なので、16匹って、m-クロロフェノールですとぎりぎりに近い数字になりますけれども、その中に不確定なものが含まれていても有効であるという、今回は特別という理解でよろしいですか。私はよいと思うのですけれども。
○大前座長 有効匹数ってどういう意味かという、そういうお話だと思いますが。
○吉成委員 そう。今回、最初のほうの議論にあった、全てが本当に確実ではないという不確実さが残っている状態で、全部有効匹数と定義してよいかという質問なのです。
○小野委員 そうせざるを得ない。
○吉成委員 まあそうなのです、実際には。特例ですので、そういうことでということで。
○小野委員 例えば明らかにこれは投与されていないという、今回のような外した動物ですね。それを外した段階でもう15匹切っているという場合は、それはちょっと考えなければいけないと思うのですけれども、今言っているm-クロロフェノールでは、16匹で、不確実な動物がいる可能性は排除できないけれども、いないかもしれないですよね。
○吉成委員 WGのほうで評価するほうでもし除いたときに、これが今の時点で決めていただければと。これが除く前は16だったけれども、除いたら14とかになったときには、採用しないということになりますか。
○小野委員 そのデータ次第だと思います。動物愛護の問題ももちろんありますので、例えば今、GST-P陽性の体重とか肝重量よりも、発がん性試験なので、下側の表3のほうが重要だと思いますけれども、これが1匹2匹いるかいないかで有意差がつくかつかないかみたいな微妙な数字の上がり方をしているとかいうのであれば、そこはちょっと気にしないといけない部分もありますけれども、個票を見てないから分からないですけれども、今残っている16匹の中のどれか1匹外しても、どれか2匹外しても、恐らく差はないだろうと。そういう結果であれば、まあいいのではないですかね。定量評価するわけではないという考え方からすると。
○吉成委員 今回特例ですので、14とかになったとしても、総合評価でその試験自体は有効とするという考え方、私も別にそれでもいいのかなと。示していただいた基準に有効匹数15匹というのが定義されていましたが、これまでこの基準に満たなくて、高用量群がちょっと採用できなかったという事例があるのか。それであれば、もうちょっと下げたりとかするとは思うのですけれども、今回は特別な事情で数が減っているということなので、それで満たさないときに、この基準から外れていても、特例として評価するというふうに、恐らくこちらでルールを決めておかないと、またWGのほうでというのは、先ほどの以外のところでも、こちらで決めたことに従ってWGのほうでやるということになると、そこもきちんと、どういうことが起こるか分かりませんけれども、決めておいたほうがいいのかなと個人的には思ったので、ちょっと聞かせていただきました。
 以上です。
○大前座長 ここら辺はむしろ平林先生のWGのほうが知見をたくさん持っていらっしゃる方がいらっしゃると思うので、そちらでディスカッションしていただいたほうがいいような気がするのですが、いかがですか。
○平林委員 ありがとうございます。そのようにさせていただければと思います。個別の表と個別の試験ごとに判断せざるを得ないだろうと思いますので。承知いたしました。よろしくお願いします。
○大前座長 ありがとうございます。
○内田化学物質評価室長 化学物質評価室長ですが、先生方から幾つか御質問があったことに関して、補足で御説明させていただければと思います。
 まず、先ほどお話ありました、例えば1日投与していないものについて、試験結果として採用しているかということに関しては、実態としては採用しているという状況になっています。
 また、要注意動物観察記録に載っていないけれども、投与していないものがどれぐらいあるのかというような話がありましたけれども、少し別添2の資料で御説明させていただければと思います。資料1の別添2の13ページ目を御覧いただければと思います。
 例えばこの13ページ目の下から2つ目に870番という試験がございます。これについては、要注意動物観察記録の中で記録されているのは、1308という動物、1匹だけでございますけれども、それから2つ飛んで、右から2つ目の欄に、投与量指示シート記載(レ点以外)という形で書いてあるところがございますけれども、いわゆるレ点がされていない、投与されていないと記録されたものについては、ここには10匹ほどありまして、要注意動物観察記録には1匹しか載っていないのですけれども、投与されていないものは10匹ぐらいあるといったような状況がございます。
 ただし、これら10匹ほどございますけれども、一番右のほうにそれぞれ「-」を書いてありまして、これについては、上の注釈にも書いてございますが、動物が死亡して試験系から外れていることを示すということで、これら投与していないものについては最終的に死亡したということで最終的な試験結果から除外されているといったような状況になってございます。
 このように、要注意動物観察記録には出ていないけれども、投与されていないものについては最終的に除外されたものが多くあるといった状況でございます。
 他方、ごく僅かな例として、次の14ページ目の上から3つ目の898番を御覧いただければと思います。これについては、要注意動物観察記録では0匹ということで、要注意動物観察記録には残ってないのですけれども、右に2つほどいった投与量指示シート記載(レ点以外)の欄には幾つかの動物について記載がございます。
 これについても、多くは「-」となっていて、死亡して、試験結果からは除外されているという形になりますけれども、一番下、動物番号1319、これについてはレ点なしということで、1日だけレ点がないものがございます。これについては死亡しているわけではないので、試験結果には、この1日だけ投与していないものも採用されているといったことになります。
 こうしたケースについては、この表全体で見てもごくまれでございまして、今御説明した898番、それから17ページ目を御覧いただきたいと思いますが、一番最後のところの下2つ、942、943というものがございますけれども、まず一番下、943で言いますと、右から2つ目の欄の投与量指示シート記載(レ点以外)と書いてあるところの一番下にございます動物番号2310、1月19日に空白になっているというものがあります。
 これについては、要注意動物観察記録には載っていないけれども、1日だけ投与していない動物ですが、試験結果としては引用しているということでございますし、その1つ上の942で言いますと、一番下にある動物番号1317、それから1つ飛んで、もう一つ上にございます1314については空白と書いてございますが、これら動物については要注意動物観察記録には載っていないけれどもそれぞれ1日ずつ投与されていないといった状況になってございまして、全体を整理いたしますと、13物質に係る試験の中で要注意動物観察記録には残っていないけれども、実際に1日だけ投与していない日がありますが、死亡していなくて試験結果に引用されているものは、先ほど申しました4カ所にある4動物についてのみというような状況になってございます。
 あとは、投与量指示シートにはレ点を打っているけれども、実際に投与していない場合があるかどうかということに関してはもう調べようがないので、そこの部分は分からないといったような状況になってございます。
 細かい説明となり少し分かりづらいかと思いますけれども、補足説明については以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
 先生方、何か御意見いかがでしょう。
○吉成委員 よく分かりましたので、特にございません。
○大前座長 ありがとうございます。
 そのほか御意見がなければ、今回我々が評価しなくてはいけないこの物質についてに限定した話でございますけれども、先ほど事務局が計算してくれた数字と、それからもとのオリジナルの数字、1匹ずつ外してありますけれども、結果としては全然変わらないので、今回の試験結果につきましては、修正、変更する必要はないという結論でよろしゅうございますか。
(「結構です」の声あり)
○大前座長 したがって、今回の事例が規制のほうには影響しないと考えるということでよろしゅうございますか。
(「結構です」の声あり)
○大前座長 ありがとうございます。先ほど、今回のこの物質以外については、平林先生の御質問に関してはちょっとペンディングになっている状態で、後でまた調べていただける可能性があると思いますけれども、ということで、今日のこの委員会のミッションは一応終わったということになりますが、事務局のほうから何か補足すべき点ありますか。
○植松化学物質評価室長補佐 ありがとうございました。今回、現時点で把握できている事案の全容から、化学物質規制への影響はなかったということをただいま御確認いただいたところでございます。
 本検討会の今後についてですけれども、もう一つの逸脱事案検討会での調査の過程で、もしさらなる逸脱行為事案が確認された場合には、本検討会としましても第3回を開催して御議論いただければと考えております。逆に、もしこれ以外に試験の妥当性について新たに検討を要する試験が確認されなかった場合には、本検討会として第3回を開催することはなく、会議形式での開催は今回をもって締めさせていただきたいと思います。
とりまとめ 以上です。
○大前座長 ちょっと用語の問題で気になっているのですが、直接投与試験という用語が使ってありますけれども、直接投与というのは、強制経口投与だけでなくて、例えば腹腔内投与とか、そのほかにも当然使う言葉なので、この直接投与という言葉は、今回はあくまでも強制経口投与ですから、それに変えないと何か誤解を生む可能性があると思うのですね。
○植松化学物質評価室長補佐 そこはとりまとめとしてまとめるときに誤解のないように記載したいと思います。
○大前座長 この用語は変えたほうがいいと思います。それはぜひ検討してください。
 先生方、そのほか何か御意見、御質問いかがでしょうか。
(「特にありません」の声あり)
○大前座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、本検討会の結論でございますけれども、日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書の逸脱行為の事案を受けまして、今回の物質に限ってございますけれども、その個別の試験の評価に関しては影響はないと考えられることから、規制への影響はなかったと結論したいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
(「はい」の声あり)
○大前座長 ありがとうございました。
 本日の課題は以上になりますけれども、そのほか何か事務局のほうからございますか。あるいは先生方のほうから、今回の課題以外の点で何か御意見、あるいは今後に向かっての御提言みたいなことがあればと思いますが、いかがでしょう。
 SOPはちゃんと守ってくださいという、それは当然の要望でございますけれども、場合によっては、SOPを改定するみたいなことも必要がありますよね。例えばさっきの、僕思ったのですが、レ点のつけ方というのは、あれだと間違えるのは当然で、同意したかどうかという欄をつくってレ点を書くとか、そのようにしないと恐らくまた間違えると思うのですね。そういう細かいヒューマンエラーをなくすようなSOPの改定はこれからもぜひ時々に考えていただきたいと思いますね。
 それから、これはまたちょっと別な話ですが、今回僕がびっくりしたのは、この強制経口投与が週に7日間やっていると。僕は、当然労働現場の話なので、週5日間かと思っていましたら7日間やっているということなので、これは本当に7日間でいいのかなというもともとの問題もどこかで考えていただきたいと思います。これは、聞くところによりますと、5日間やるのがスタンダードみたいな話も聞いたことがあるので、そこら辺はぜひまた考えていただきたいと思いました。
 そのほか、先生方、この機会なので、何かよい御提案もしくは御意見ございませんか。
○小野委員 この検討会の議題ではないのですけれども、今回、バイオアッセイセンターのGLP施設ですので、担当した責任者、作業した方だけではなくて、GLPの仕組みや試験責任者、それからQA、運営管理者、全てが責任を負うものですので、もちろん、言っていると思いますが、再発防止に向けた対応というものをくれぐれもお願いしたいと思います。
○大前座長 ありがとうございます。そのほか、よろしいですか。
 事務局、何かございますか。
○植松化学物質評価室長補佐 事務局から、今回の結果について補足させていただきます。今回、逸脱行為が否定できないと整理された試験の範囲は、いずれも中期発がん性試験でありました。中期発がん性試験は、国のリスク評価の対象物質を選定することを主目的とした発がん性スクリーニングの一部として実施してきたものでございます。
 今回確認された試験手順書からの逸脱行為は、「実際は投与していなかったのに、投与した」と記録した行為ということで、可能性としましては、まず1つ、本来有害性がある物質について、「有害性がない」という誤った結果を得ていた可能性があるということが考えられました。2つ目としましては、有害性があると評価されていた物質について、その有害性の程度が低く見積もられて評価されていた可能性があるということを想定してございました。
 もしそのような事態であれば、2年間の長期発がん性試験の対象候補物質となり得るか、がん原性指針の対象候補物質となり得るか、もしくはリスク評価の対象候補物質となり得るかといった3点につきまして、一連のリスク評価検討会の場で専門家の皆様に該非の判定を御議論いただく必要があるということでございました。
 しかしながら、本日皆様に御議論いただきました結果、今回の事案を受けて、個別の試験結果の評価への影響はないというように評価いただいたということでございますので、ひいては、既存の化学物質規制の本来のあるべき姿を歪めたというような、あるいは規制を遅らせたというような事案ではなかったと整理できたと考えております。
 皆様、長時間にわたりまして御議論いただきまして、どうもありがとうございました。
 なお、本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で公開させていただきたいと思います。
○大前座長 分かりました。それでは、議事の2も終わりました。
 最後、議事の3「その他」とありますけれども、その他は何かございますか。
○植松化学物質評価室長補佐 先ほどお伝えした事項の繰り返しとなり恐縮でございますけれども、新たな逸脱行為事案がもし出てこないようであれば、本検討会としましては、この第2回をもちまして会議形式での開催は終了させていただきたいということでございます。
 また、今後本検討会としてのとりまとめを作成させていただきますけれども、それらに関しては委員の皆様に持ち回りで御確認いただくということを想定してございますので、よろしくお願いいたします。
○大前座長 この検討会のとりまとめにつきましては、また後日皆さんにメールで回して、それで修正等々いただくということでございますので、その際はよろしくお願いいたします。
○植松化学物質評価室長補佐 もう1点だけ、最後になりますが、本検討会のとりまとめにつきましては、後日、厚生労働省のホームページにてアップすることを予定しております。
 以上になります。
○大前座長 ありがとうございました。
 それでは、特に先生方のほうからその他発言がなければ、本日の検討会は閉会いたしますけれども、よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございました。