2021年6月22日 第12回「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」 議事録

日時

令和3年6月22日(火) 10:00~12:00

場所

労働委員会会館講堂(7階)
(東京都港区芝公園1-5-32)

出席者

参集者:五十音順、敬称略
磯博康、杉薫、髙田礼子、高橋正也、
嵩さやか、豊田一則、西村重敬、野出孝一、水島郁子

厚生労働省:事務局
小林高明、児屋野文男、中山始、本間健司 他

議題

  1. (1)脳・心臓疾患の労災認定の基準について
  2. (2)その他

議事

議事録


○本間職業病認定対策室長補佐 では、定刻となりましたので、第12回「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、検討会に御出席いただき、ありがとうございます。
今回は、小山委員、杉委員、髙田委員、高橋委員、嵩委員、野出委員、水島委員の7名の方がオンラインでの参加となります。小山委員は、若干遅れてございます。
なお、西村補償課長は、所用により、急遽欠席となりましたので、御了承願います。
検討会に先立ち、傍聴されている皆様にお願いがあります。
携帯電話などは、必ず電源を切るか、マナーモードにしてください。そのほか、別途配付しております留意事項をよくお読みの上、検討会開催中は、これらの事項をお守りいただいて傍聴されるようお願い申し上げます。
また、傍聴されている方にも、会議室に入室する前に、マスクの着用をお願いしておりますので、御協力お願い申し上げます。
万一、留意事項に反するような行為があった場合には、この会議室から退出をお願いすることがありますので、あらかじめ御了承ください。
傍聴されている皆様方へお伝えいたします。
写真撮影等は、ここまでとさせていただきます。以後、写真撮影等は御遠慮ください。よろしくお願いいたします。
次に、本日の資料の御確認をお願いいたします。
本日の資料は、資料1「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」。
資料2「第11回検討会の議論の概要」となっております。
本検討会は、ペーパーレスでの開催とさせていただいておりますので、お手元のタブレットで資料等の確認をお願いいたします。
それでは、磯座長、以後の議事の進行をよろしくお願いいたします。
○磯座長 おはようございます。
それでは、資料1「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」について検討いたします。
本日は、資料1の検討会報告書案の検討となります。
この1年にわたって、様々な視点から検討してきた内容について、事務局で報告書案の形に取りまとめたものです。
本日の検討の進め方ですが、前回までに様々な御議論があり、検討を重ねてきました項目Ⅴ「業務の過重性の評価」項目Ⅲ「認定基準における対象疾病の考え方」について先に検討し、その後、それ以外の項目について順次検討していくことといたします。
それでは、初めに、48ページの「Ⅴ 業務の過重性の評価」について、事務局から説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 それでは、事務局から御説明させていただきます。資料1を御覧いただければと思います。
本日の検討会では、報告書案について御議論いただきたいところでございまして、最初に、報告書全体の構成について簡単に御説明してから、章ごとに私どもから御説明し、先生方に御議論いただくという流れで御検討いただければと存じます。
章ごとの御議論をいただく順番ですけれども、先ほど磯先生から御説明がございましたように、まず、第Ⅴ章の「業務の過重性の評価」について、次に、第Ⅲ章の対象疾病の考え方について御議論いただきまして、その後、第Ⅰ章の「はじめに」から順に御議論いただきたいと考えてございます。
なお、本日の資料につきまして、資料1が報告書案でございますけれども、資料2は「第11回検討会の議論の概要」です。こちらの説明は割愛いたしますけれども、適宜御参照いただければと存じます。
それでは、資料1の報告書案について、まず、全体の構成を御説明いたします。
大変恐縮ですが、1枚目に戻っていただきまして、1枚目と2枚目が報告書案の目次となってございます。ページを振っておりませんけれども、こちらを御覧いただければと思います。
目次にありますように、報告書案は「Ⅰ はじめに」で検討会開催の背景や検討の視点を記載した上で「Ⅱ 脳・心臓疾患の現状等」では、統計等を基に現状認識をまとめてございます。
Ⅲからが実質的な検討内容となりまして、先ほどから出ておりますⅢは「認定基準における対象疾病の考え方」、Ⅳは「脳・心臓疾患の疾患別概要」、次のページに行きまして、Ⅴが「業務の過重性の評価」、Ⅵが「脳・心臓疾患の危険因子」、最後のⅦが「まとめ」ということになってございます。
末尾に資料という形で疫学調査、症例報告の概要を添付してございます。前回検討会の資料2に相当するものがこの巻末の資料となります。
以上が、報告書案の全体の御説明となります。
これらの中でも、この検討会で大きくお時間をお取りいただきまして御検討いただいてきたものが「Ⅴ 業務の過重性の評価」となります。前回の検討会におきましてもいろいろと御指摘をいただいておりまして、また、特に労働時間の評価に関しまして、この報告書案をもって、今回検討することとなっていたかと存じますので、まず、「Ⅴ 業務の過重性の評価」について御説明したいと思います。少し説明が長くなるかと思いますけれども、御了解いただければと思います。
それでは、48ページを御覧いただきたいと思います。「Ⅴ 業務の過重性の評価」ということで、「1 過重負荷の考え方」は総論の部分でございます。大きな1は、前回の第11回検討会の資料1の別添2-1で、総論ということで御議論いただいたこれまでの整理のペーパーが基になっているところでございます。
今回の資料につきましては、今まで検討会に提出いたしました資料から表現等を変えているところを黄色マーカーとさせていただいております。
ただし、全体の報告書案としてお示しすることによって付けました図表番号の振り直しや、全体の書きぶりの体裁を整えるための形式的な修正については、マーカーをしていない部分もありますので、御了解いただければと思います。
「1 過重負荷の考え方」でございますけれども、「(1)過重負荷の考え方」については、本文について表現は大きく変更しておりませんが、黄色マーカー部分が変更部分ということで、49ページを見ていただければと思います。図1と前後の表記につきまして、一部修正をしてございます。
まず、今回は図5-1と振っておりますけれども、図5-1と本文の記載の関係で、時間的な経過がはっきりするようにするべきではないかという御指摘が前回の検討会であったかと思います。そのために、ここでの文章を追加いたしまして、図の傾きあるいはその中の表現も少し変更してございます。
前回、①、②、③と3つの発症パターンがあり得ますということを御説明いたしましたけれども、①は、アに示すように、いわゆる長期間の過重業務、長期間の疲労の蓄積が血管病変等を増悪させ、発症するというパターンを示しております。
②は、アのところにさらにイの矢印が乗っかってくる。こういった長期間の疲労の蓄積の上に、発症に近接した急性の負荷が重ねて起こり、これとあいまって発症する。
ウのところは、こういった長期間の疲労の蓄積はないのだけれども、急性の過重負荷を原因として発症するパターンでございます。
前回までも評価期間のところでも御検討をいただいておったところでございますけれども、発症に近接した時期というのは、発症直前から発症前おおむね1週間とこれまでの議論で整理いただいております。
また、長期間というのは、基本的には発症前おおむね6か月が想定されるということで御議論いただいておりますので、そのようなことを追記させていただきまして、この図の傾きについても、前のものから修正させていただき、アの横軸の長さについては、6か月、180日を想定した長さとなってございます。
イとウについては、同じ傾きになっておりまして、この横軸の長さについては、おおむね1週間、7日間を想定した長さとなってございます。
そういった形で、縦軸は、血管病変等の進行状態でございますので、アの傾きと自然経過の差が示すものについては、もともと「疲労の蓄積」とだけ書いておりましたけれども「疲労の蓄積による血管病変等の進行」という形で表記を修正させていただいております。
「なお」のところは、前回、血管病変等の改善ということで書かせていただいていた部分でございますけれども、これは図5-1とは区別されるものとして、図の後ろに場所を移動いたしまして、先生方と御相談しまして、記載も修正し、参考文献も追加した形となってございます。
50ページから評価の基準となる労働者の関係でございますが、こちらについては、前回検討会の資料から大きく変えておりませんけれども、51ページの冒頭の(2)の最終段落でございますが、重複した記載について削除したということで、文末を少し調整した形になってございます。
また、51ページからは評価期間の記載でございますけれども、こちらにつきましては、実質的な変更はございません。
56ページは大きな項目の2でございます。総論の次に、いわゆる急性の負荷、「発症に近接した時期における異常な出来事や短期間の過重負荷の評価」ということでまとめさせていただいております。こちらは第11回検討会の資料1の別添2-2が基になってございます。これについては、58ページまで変更はございませんで、そのまま貼り付けているものです。
58ページからは「長期間の過重業務の評価」となってまいります。こちらは、労働時間の評価以外のところで、長期間の過重業務の総論的なところ、疲労の蓄積の考え方、労働時間以外の負荷要因に関しましては、前回検討会の資料1の別添2-3が基になっておりまして、基本的にはそこを貼り付けたものとなってございます。
その中でも、疲労の蓄積の考え方に関しまして、59ページの図5-2でございます。この図については、大幅に修正しておりまして、前回はNIOSHのモデル、原著の直訳を載せていたところでございますけれども、平成13年の報告書などを参考に、脳・心臓疾患に合うように改変したモデルを掲載するべきだということで、高橋先生と御相談させていただきまして、修正したものでございます。
これは、最終的に「疾病」に至るところは、「脳・心臓疾患」に関するものといたしまして、一番左の「職場内のストレス負荷要因」も、本検討会で御議論いただいた要因に修正してございます。
また、真ん中辺りの下の方の「緩和要因」でございますけれども、上司や同僚、あるいは家族からの人間関係上の支援のほか、例えば会社の中でもいろいろな対応が取られておりまして、長時間労働者に対する「医師による面接指導など」の会社からの制度的な支援についても記載したところでございます。
また「ストレス反応・疲労」と右上の「健康/不健康行動」ですけれども、この点線矢印は、いろいろなストレスがあってストレス反応が出る、このストレス反応が本人の行動にも影響する、また、その行動がさらにストレス反応にも影響するという相互の関係にあるということで、高橋先生の御指摘を受けて、こういった形で書かせていただきまして、個人の行動についても「飲酒」や「喫煙」など、どちらかといえば望ましくないものから、「運動」「睡眠」「休養」といった望ましいものなど、いろいろとございますけれども、こういった個人の行動について、緩和としても働くし、負荷としても働くということを示す記載となってございます。また、ストレスへの対処で、相談したりなどのいろいろな対処についても個人の行動として記載してございます。
そして、こういった様々な要因が絡み合っているのだけれども、回復の不全を含む疲労の蓄積によって、脳・心臓疾患が自然経過を超えて増悪して発症するというモデルの形で整理させていただいております。後ほど御議論いただければと思います。
続いて、(2)から「長期間の過重業務の検討の視点等」で、そのうちの「ア 労働時間」でございます。こちらは、先ほど申し上げました前回の資料1の別添2-3では「P」、と保留としていたところでございますけれども、今回、ここを埋めさせていただいておりますので、特にここについて御議論をいただければと思います。
労働時間の評価に関して、67ページまで、(ア)から(カ)まで記載しているところでございます。このうち、(ア)から(エ)までは、前回の資料1の別添1で、事実としてこういった整理になりますという形で記載していたものを貼り付けたものという形になってございます。まず、(ア)で現行認定基準の概要、(イ)で睡眠時間と脳・心臓疾患の発症に関する主要な疫学調査の状況、62ページの(ウ)が、労働時間と脳・心臓疾患の発症に関する疫学調査の状況、さらに66ページの(エ)が、労働者の1日の生活時間と睡眠時間、労働時間の関係。この辺りは既にお示ししたものになってございます。
(オ)と(カ)について御説明させていただきたいと思います。
(オ)は、これまでの御議論をまとめさせていただいたものでございます。「長期間労働と脳・心臓疾患との関係についての考察」という小見出しを立てさせていただきましたけれども、まずは前回御議論いただきました、長時間労働が脳・心臓疾患に影響を及ぼす理由について整理してございます。
平成13年のときも①~④という形で整理されているということを前回御議論いただいたところですけれども、その表現ぶりとかこういった要素も要るのではないかという御指摘をいただいたところでございます。
今回、書かせていただいたのは「①長時間労働のため睡眠時間が不足すること」「②長時間労働のため睡眠以外の休憩・休息や余暇活動の時間が不足し制限され、かつ、生活習慣に悪影響があること」「③長時間にわたり業務を遂行しなければならないこと自体が直接的な負荷要因となること」「④就労態様による負荷要因(心理的負荷、身体的負荷等を含む。)へのばく露時間が長くなること」などがあると判断するということで、特に③などは、少しシンプルな書き方にさせていただいておりまして、また、御議論の中でありました長時間労働が、例えば食事時間とか内容であるといった生活習慣に悪影響を及ぼすといったことについては、前回御議論いただきました大きなオンの話か、オフの話かと言われればオフの話で、睡眠でない話ということになりますので、②の中で整理させていただいたところでございます。
その上で、次の段落でございますけれども、御議論の中でありましたこれらの理由は、先ほど申し上げた①、②がオフの、労働時間以外の時間の話、③、④は労働時間そのものに関するものですが、これらは表裏一体であって、相互に関わりながら影響を与えるものなので、全体を総合的に考慮する必要があるという記載としてございます。
その中でも、疲労の蓄積をもたらす要因として、睡眠不足は深く関わっているという整理で、現在の疫学調査の結果を踏まえても、引き続き1日5~6時間程度の睡眠が確保できない状態が継続していた場合には、そういった短時間睡眠をもたらす長時間労働と発症との関連性が強いと評価できると判断するというまとめとさせていただいてございます。6時間睡眠が確保できないものは月80時間の時間外労働、5時間睡眠が確保できない場合は100時間の時間外労働ということでございます。
また、一方で、7~8時間の睡眠が一番リスクが低いということもございますので、7.5時間睡眠が確保できる状態は、45時間程度の時間外労働ということになりますので、45時間を超える時間外労働に従事していない場合には、疲労の蓄積は生じないものと考えられ、また、それ以前の長時間労働によって生じた疲労の蓄積は徐々に解消していくものと考えられる。ですので、45を超えて長くなるほど、業務と発症の関連性は徐々に強まると評価できる。こういった辺りは、平成13年の整理と同じになりますけれども、こういったまとめでよいかどうかも御確認、御議論をいただければと思います。
68ページの「なお」の段落でございますが、検討会で御議論いただいたところでございますけれども、先ほどの(ウ)の労働時間と脳・心の発症に関する疫学調査でいろいろと御検討いただきましたが、御議論の内容といたしましては、そういった疫学調査の知見のみでは、労働時間の長さ、定量的な評価のみで業務と発症との関連性が強いと評価するには、現時点では十分ではないと判断する。ただ、労働時間の長さと、労働時間以外の負荷要因などを総合的に考慮して、業務と発症との関連性が強いかどうかを判断する際には、こういった知見の内容を踏まえて検討することが適切である。これまでの御議論の内容をこういった形でまとめさせていただいてございます。
次の段落は、説明になりますけれども、ここでいう長時間労働は、疫学調査で長時間労働と脳・心臓疾患の発症との間に有意性を認めたものでは、長時間労働を週55時間以上あるいは1日11時間以上というふうに調査・解析しているものがございます。この水準は、1日3時間の時間外労働の水準になりまして、これが1か月継続するとおおむね65時間を超える時間外労働という形が想定されようかと思います。
また、支給決定事例を非公開の検討会でも見ていただきましたけれども、支給決定事例におきまして、労働時間の長さだけでなく、拘束時間など労働時間以外の負荷要因を考慮して、労働時間の長さと合わせて、全体として業務上と判断、認定した事例について見ますと、1か月当たりの時間外労働は65~70時間以上のものが多かったところでございます。
ですので、このような時間外労働に加えて、労働時間以外の負荷要因で一定の強さ、それなりの強さのものが認められるときには、全体として、労働時間のみで業務と発症との関連性が強いと認められる水準、いわゆる過労死ラインの水準と同等の過重負荷と評価し得る場合があることに十分に留意すべきであるということでまとめさせていただいてございます。
具体例については、検討会にもお出ししたものでございまして、これは支給決定事例を参考に、フィクションのイメージの事例でございますけれども、こういったもので業務と発症との関連が強いと認められている例があるということを示したものでございます。
69ページの箱の下の「ここで」のところでございますけれども、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮するに当たりましては、労働時間がより長ければ、ほかの負荷はより小さくても、全体として業務と発症との関連性が強い場合があり得るし、また、労働時間以外の負荷で非常に大きいものがあったり、非常に積み重なっていたりということがあれば、労働時間がより短くとも業務と発症との関連性が強い場合があるということには注意すべきなので、認定基準においては、時間数だけにとらわれず、総合的な考慮が適切になされるような表記をすべきであるといったことを書かせていただいてございます。
「加えて」の段落は、前回の検討会での御議論でありました、①~④までの理由が全て相互に関連して総合評価になるということで、総合評価の規定に何か盛り込めないかという御指摘があったところですけれども、労働時間の裏側のプライベートのことについて認定基準に書き込むというのはなかなか難しいところもありまして、ここの段落ではそういった4つの理由はいずれも相互に関係しているので、1か月におおむね45時間を超える時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まることを踏まえて、こういった労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮して、業務の過重性の評価を適切に行う必要があるということを記載したものでございます。
最後に、(カ)になりますけれども、(カ)はこれまで論点という形でペーパーでお示ししてきて、先生方にこれでよいのではないかということで合意をいただいたところを書かせていただいておりまして、現行認定基準と同様に、いわゆる過労死ラインの考え方については、引き続き示すことが妥当であると。
さらに、この考え方に加えて、労働時間以外の負荷要因において、一定の負荷が認められる場合には、労働時間の状況をも総合的に考慮して、業務と発症との関連性が強いと言えるかどうかを適切に判断することと、その際、いわゆる過労死ラインの水準には至らないけれども、これに近い時間外労働が認められる場合には、特に他の負荷要因の状況を十分に考慮し、そのような時間外労働に加えて、一定の労働時間以外の負荷が認められる場合には、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断することを新たにはっきりと示すことが妥当であるというまとめとさせていただいてございます。
続いて「勤務時間の不規則性」からは、前回検討会の資料1の別添2-3を貼り付けたものでございます。
ほとんど変更はございませんけれども、ずっと行きまして、72ページの真ん中ちょっと下のところから「(エ)不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務」とございますが、その中の検討の視点について、73ページの勤務のため夜間に十分な睡眠が取れない程度の括弧書きについて、そういった深夜時間帯の勤務の連続回数についても考慮すべきではないかという御指摘をいただいておりましたので、ほかのインターバルのところの記載などと併せて「連続性」という形で追加してはどうかということをお示ししてございます。
ずっと送っていただきまして、80ページまで進んでいただければと思いますけれども、(3)の上までは、前回の検討会でお示ししたものと同じでございます。
「(3)業務の過重性の総合評価」でございますけれども、こちらは、労働時間のところの(オ)と(カ)に記載した総合評価について再度記載させていただいておりますが、労働時間以外の負荷要因も踏まえての過重性の総合評価でございますので、最後のところにも改めて書かせていただいておるというところと、平成13年の報告書には、この中にございますように、監視・断続労働のような非常に負荷の小さい労働の考え方が示されております。
実際の請求事例でも、もちろん多くはありませんけれども、中には労働時間中に仮眠が取れるような事案もゼロではないということもございまして、非常に負荷の小さい労働については、時間数のみをもって業務の過重性を評価することは適切でなく、全体を総合的に判断する必要があるということで、平成13年と同じ整理でよいかどうかを書かせていただいているものでございます。
80ページの一番下の4からは、複数業務要因災害の関係でございまして、第9回で、第1回の検討会でまとめていただきました考え方については、特段変更しなくてよいという結論をいただいておりますけれども、それを記載させていただいたものでございます。
長くなりましたけれども、「Ⅴ 業務の過重性の評価」についての御説明は以上となります。御議論のほど、よろしくお願いいたします。
○磯座長 ありがとうございます。
それでは、報告書の48ページからの「Ⅴ 業務の過重性の評価」について検討します。
今説明がありましたように、たくさん検討する項目がありますので、テーマに分けて一つ一つ検討したいと思います。
まずは、業務の過重性の総論についての検討です。前回の図5-1は、報告書の49ページを御覧ください。このグラフですが、この書きぶりを含めて、過重負荷の考え方について議論をお願いしたいと思います。
また、ここで報告書の49ページの評価の基準となる労働者、さらに、報告書案の51ページの過重性の評価期間、そして、報告書案の56ページの発症に近接した時期における過重業務の評価についても併せて検討しますので、御意見等がありましたら、よろしくお願いします。
いかがでしょうか。
まず、49ページのシェーマに関して、黄色のところが新たに修正もしくは付け加えたところなのですが、これについてはいかがでしょうか。特に御意見等はございませんか。
どうぞ。
○高橋委員 非常にクリアになったかと思うのですが、最後の「留意する必要がある」の意味するところを、できたらもう少し明確化できたらと。
というのも、ここは、きちんとした労働条件の整備であれ、適切な治療であれ、いわばポジティブに治していく策についての議論ですけれども、こういうことがあるから、冒頭の疲労の蓄積があって、適切な治療を受けましょうというメッセージにするのか、いや、こういうことになったら、マイナスがゼロないしはポジティブになるということを言いたいのか、そのあたりの整理はいかがでしょうか。
○磯座長 今の御意見について、事務局から何かありますでしょうか。
要するに「留意する必要がある」という意味合いをもう少しはっきりした方がいいという御意見だと思います。
○西川中央職業病認定調査官 ありがとうございます。
書かせていただくとすれば「留意する必要がある」というか、その前に「発症リスクが低減する」とあるので、疲労の蓄積については、一旦解消すれば、またそこから改めて考えていくといいますか、どんどん積もるのかというと、もちろん、続いていればどんどん積もるのだけれども、続かなくなれば、またそれは一旦クリアになるといいますか、改善が図られるものであって、決して一方通行だけではないという趣旨をどのように書いていくのかということかと思いますが、そういう趣旨でどのように書けばいいのかということで御意見があれば、ぜひいただきたいと思います。
○磯座長 これは恐らく「留意する」をやめて、疲労の蓄積の解消や適切な治療云々によって低減する場合がある。逆方向の場合があるという意味ですね。
○高橋委員 「留意する必要がある」というのは、磯先生がおっしゃるように、低減するからこそ、もう少し強くこういうことに取り組まなければいけないみたいなことでもいいのかなと思っていました。そこまで強くここで書くかどうかかと思います。
○西川中央職業病認定調査官 先生が御指摘でいらっしゃるのは、低減するからこそ、もちろん、非常に長い長時間労働はそもそも起こさないことが一番いいわけですけれども、起こした場合にも、その後の解消といいますか、改善をより考えていくべきだという記載にした方がいいのではないかという御指摘でございましょうか。
○高橋委員 そうですね。労働条件的にはそうでしょうし、個人の健康確保という観点からいえば、きちんと生活習慣とか、自分の健康を守ることが大事になってくるわけです。
○磯座長 これの文章は、例えば「なお」からすぐに、急性冠症候群の発症リスクは、疲労回復の蓄積の解消や適切な治療などの動脈硬化の危険因子の是正によって低減する可能性がある」とか、ちょっと入れ替えるのです。「急性冠症候群の発症リスク」を主語にして、それが何々によって低減する可能性があると言った方がよいのではないでしょうか。
要するに、逆方向はあり得るということで、言っていることは同じなのですけれども、この場合、時間的経過のX軸が、左から右へ時間的な経過につれて、一方通行で冠動脈症候群の発症リスクがどんどん悪くなっていく。それが長期間にわたるか、急に悪くなるかというシェーマなのですけれども、その発症リスクが、疲労の蓄積の解消や適切な治療云々によって低減する場合がある。同じことですね。ちょっと難しいですね。
○西川中央職業病認定調査官 よろしければ、事務局の方でも検討いたします。
○磯座長 要するに「留意する必要がある」という意味合いが少し分かりにくいということなので、逆に疲労の蓄積の解消や適切な治療が有用であるという意味合いにしてもらった方が分かりやすいかと思います。
先生、どうぞ。
○西村委員 西村です。
多分、ここの下の「なお」のパラグラフは、上の図を念頭に、自然経過におけるリスクが直線的に上がることに対して、リスクファクターの是正、過重労働の軽減によって、傾きが少し低下するというか、角度が穏やかになることを示せば、磯先生がおっしゃったように、経過が改善することもあると理解しやすいと思うのです。この文章だけを見ると、この部分の説明になっていなくて、別のことのように思われます。
ここは、私が高橋先生と一緒に書いたところなのです。何らかの介入によって動脈硬化の進行を抑えられるのか、さらに急性心筋梗塞の発症を低下させることができるかは、この20年間のいろいろなインターベンション(介入試験)で検証され、その結果からは、例えばコレステロールを下げれば急性冠症候群の発症率は30%低下することが、明らかにされてきました。その改善の機序も解明されつつあり、血管の病変において、内皮機能の改善や、病理学的には動脈硬化の粥種の炎症反応が低下し、線維化に傾くことが分かってきました。
医学的には、危険因子としての過重労働だけを取り上げて、動脈硬化病変はどう変化したかを研究した介入研究は、私の知る限りではないように思いますが、このような状況を示しておくことは大事なので、ここは根拠に基づき、慎重に練ってまとめるのがよいと思います。
○磯座長 今の先生の御説明でもう一度読み返してみたのですけれども、図5-1の内容と合わせるとしたら、ここに「急性冠症候群」と入っていますが、そうでなくて、Y軸にある血管病変等の進行は、疲労の蓄積の解消、適切な治療などの動脈硬化危険因子の是正により、進行がとどまるか、もしくは軽減する可能性があるというふうな意味合いにして、その理由としては、冠動脈の動脈硬化病変の不安定な性状から安定化して、症例によっては退縮する、もしくは血管内皮機能の障害が改善するということがこれまでに指摘されていると文章を2つに分けた方がよいのではないでしょうか。
括弧の中が非常に長いので、一般の方は分かりにくいのではと思いますので、そのあたりは文言を修正してください。
どうぞ。
○豊田委員 詰めなので、本当に細かいことですけれども、一応でございますが、本当に理屈をこねるようで申し訳ないのですけれども、疲労の蓄積を解消することで、血管病変が軽減されるのかと聞かれると、私は文献を読んでいないのですけれども、確かにそれは確証がないような気がして、これは疲労の蓄積が解消したから軽減するのではなくて、過重負荷が改善されるから、それによって例えば時間の余裕ができて、生活習慣の改善を促したりできて改善するのであります。
だから、今、疲労が蓄積することの解消ではなくて、過重負荷を解消することが血管病変の進行の軽減につながるのではないかとずっと思いながら聞いていたのですが、それを言い出すと、図5-1まで手を加えることになるので、ちょっと難しいかもしれないですね。一応、意見として申し上げます。
○磯座長 多分、これは上の表と対応させるために「疲労の蓄積」と入れたのだと思うのですが、疲労の蓄積は、我々は長期間の影響と前の段落で定義しているので、「疲労の蓄積の解消」には、急性期の過重労働の解消も入っていると考えていいのではないでしょうか。
ただ、それによって本当にリスクが軽減するかどうかは、難しいところがあるので「リスクが軽減する」とか「進行が食い止められる」もしくは「軽減する可能性がある」くらいにしておいた方がいいのではないでしょうか。
○豊田委員 分かりました。よろしくお願いします。
○磯座長 そこはもう一度西村先生と高橋先生で検討いただいて、事務局で整理してください。
どうぞ。
○高橋委員 もう一点よろしいでしょうか。
今は、要するに、ここが言わばターゲットになる特定の疾患に関する議論なのか、先ほど磯先生から血管病変の進行等というお話がありましたけれども、もう少し広めに脳・心に関する一般的な改善のことを言っているのかを整理した方がいいと思うのですが、それに関連して、1行目の危険因子のところで「動脈硬化危険因子」と動脈硬化に特化しているのですが、ここで動脈硬化だけに特化するのは、どのくらい適切でしょうか。
○磯座長 それについては、確かに、広く取るとなると、必ずしも入れなくてもいいと思います。「疲労の蓄積や適切な治療など」を前に持ってきて、血管病変等の進行は疲労の蓄積の解消や適切な治療などによって、その進行状態が云々とする。
○高橋委員 一番広くいえば「脳・心臓疾患に関わる危険因子」ぐらいに一般化してもいいのかなとは思っていたのです。不整脈もありますし。
○磯座長 その場合「動脈硬化」という言葉をあえて入れない方がいいということですね。
○高橋委員 はい。
○磯座長 そこは先生に文言を整理していただきたいと思います。確かに、動脈硬化に規定しない方がいいかもしれません。
ただ、実際にそこの括弧づけにしてあるところをもう一つの文章にして、こういうことが科学的な根拠としてあるとは、動脈硬化に特化している話なので、「危険因子」という言葉をもう少し広く解釈してもいいかもしれませんので、先生、その文言の修正をお願いします。

○西村委員 そうしますと、引用文献に基づく正確な理解が必要で、そのようなことを示した文献があるのかも重要な問題なのです。野出先生、この点はいかがですか。野出先生にぜひ御意見を賜りたいと思っています。
○野出委員 先生の御意見はそのとおりなのですが、あまり厳密にこれを言い出すと、図との整合性とか文献との整合性がなくなってしまうので、私はこの文章でよろしいのではないかなと思っています。
動脈硬化性疾患のリスク是正によってイベントが減る、特にACS(急性冠症候群)が減るというのは十分にエビデンスがございますので、その文章の表現はこれでよろしいのではないかと思いました。
それから、前半の「留意する必要がある」という文章に関しては、これはネガティブな感じで、何か悪いことがあって留意する必要があるということで受け止められるので、そこの表現だけは変えてもいいかなと思いましたが、この文章自体は、これでよろしいのではないかと思いました。
以上です。
○磯座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○豊田委員 動脈硬化の危険因子以外の危険因子は何だろうと考えたら、私たち脳の脳卒中の領域で考えれば心房細動で、例えば心房細動が十分な睡眠を取ることで発症が減るというのは先生も御存じでしょうけれども、たしかうちの國分部長もよく学会などで発表していますから、そういうのを動脈硬化の危険因子と呼ぶべきでないと考えたら「動脈硬化」を外すべきです。
ただ、この場合の心房細動は、弁膜症性ではなくて明らかに非弁膜症性で、非弁膜症性の心房細動は動脈硬化の疾患の一つであるというふうに包括してしまえば、動脈硬化が危険因子と言っていいと思います。
それ以外にも何か危険因子があると言われたら、それはそれですが、私が思いつく範囲では、大体動脈硬化で包含され得るのではないかと思います。
○磯座長 ありがとうございます。「動脈硬化」を入れてもいいという御意見も多々ありました。
ただ、解釈が微妙なところもあるので、ここは単に「危険因子」としておいて、後半で冠動脈とか不安定プラークの話をしていますので、ここはあえて「動脈硬化」を入れずに「危険因子」を入れてもいいのではないかと思いました。
野出先生、いかがでしょう。
○野出委員 それでいいと思います。
それから、豊田先生が御指摘の疲労の蓄積の解消による結果は、確かにないのですけれども、長時間労働の負荷を取ることはほぼイコール疲労の蓄積の解消になるので、この表現はこれでよろしいのではないかと思いました。
以上です。
○磯座長 ありがとうございました。
西村先生、よろしいでしょうか。
それでは、図5-1については、今、先生方に御議論いただきましたので、事務局で文言の修正をお願いします。
次に、49~51ページについてはいかがでしょうか。「過重負荷の評価の基準となる労働者」ということで、これまでの議論の中で、大きな修正点は特にないと思いますが、これについては、51ページの最初の文章で書かれています。
特に、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同種の労働者にとって特に過重な精神的、身体的負荷と認められる業務であるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断することが必要であると。
これについては、いかがでしょうか。
特によろしいかと思います。
ありがとうございます。
それでは、51ページの「(3)業務の過重性と評価期間」については、①、②、③とありますが、②に「疲労の蓄積による血管病変等の著しい増悪に加え」と書いてあります。「近接した時期の業務による急性の負荷とあいまって発症する」といった修文がありますが、これについてはいかがでしょうか。
これは、法律の面からはどうですか。
嵩先生、何か違和感はありますか。
○嵩委員 特に違和感なく受け取りまして「あいまって」というので相乗的な効果が出ているということがよく出ているかなと思ったので、特に気になるところはなかったです。
○磯座長 水島先生、どうですか。
○水島委員 私も嵩先生と同じです。
○磯座長 ありがとうございます。
ほかの先生は大丈夫でしょうか。
ありがとうございます。
それでは、56ページに移ります。
53ページは同じように「あいまって」と書いてありますが、同じ議論です。
56ページを見てください。これについては「発症に近接した時期における異常な出来事や短期間の過重負荷の評価」ということで、これまでの議論をまとめたものですが、もう一度見返していただいて、特に何か御意見等はございますでしょうか。56ページ、57ページですが、よろしいでしょうか。
特にないようでしたら、ここまでの記述について、過重負荷については、基本的に発症に近接した時期における急性の負荷及び長期間にわたる疲労の蓄積という考えについては、先生方の御同意をいただいたと考えます。
あとは、これまで特に黄色で示していないところについて、特に過重性の評価期間は、先ほど事務局から説明がありましたが、平成13年の報告と同じ考え方を維持したということとなります。
いかがでしょうか。特に御異議はありませんでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、次に「長期間の過重業務の評価」特に労働時間について検討します。58ページを御覧ください。「長期間の過重業務の評価」の疲労の蓄積の考え方と、もう一つは、前回も議論がありました59ページの図5-2「職場内外のストレス負荷要因と脳・心臓疾患との関連」です。これは「ストレスモデルを一部改変」とあります。
さらに、ここをもう一回頭に入れておいていただいて、67ページの「(オ)長時間労働と脳・心臓疾患との関係についての考察」とあります。黄色で小見出しが示してあります。
さらに、70ページになりますが、小見出しを黄色で示した「労働時間の負荷要因の考え方」とありますので、これについて御意見をお願いします。
まず、59ページに戻ってください。図5-2について、何か御意見等はございますでしょうか。
ここは、高橋先生らにいろいろと編集していただいたのですが、一つだけ、「健康/不健康行動」のところで「飲酒」の前に「食事」が抜けているようですので「食事」を入れてもよろしいですか。「食事・」として入れてください。
このモデルについて、ほかに御意見等はありますでしょうか。
どうぞ。
○西村委員 西村です。
確かめたいのですが、前半の下の「緩和要因」の「会社からの支援」で「医師による面談」とありますが、これは労働時間超過が軽度の人への面談は看護師も行いますね。重度であり改善の見られない人には医者(産業医)が行いますね。看護師が第1段階、より進んだ段階では医師という仕組みになっていなかったかでしょうか。
○西川中央職業病認定調査官 長時間労働を行った方に対する面接指導は、医師の方にお願いする形にしてございます。
一方で、例えば健康診断の結果に所見があってという指導については、看護師の方にやっていただいていることもあろうかと思ってはおります。
○西村委員 過重労働時間では区切りをしていないのですか。過重労働時間の程度で100時間を超えるような人だったら、医師が面談するのでは。
○西川中央職業病認定調査官 はい。そこはお医者さんにお願いしている。
○西村委員 60時間の方は看護師さんでは。
○西川中央職業病認定調査官 それは、法律でこのライン以上はお医者さんがやらなければいけないという基準がありまして、そこより下は、会社が独自の取組で、例えばより幅広に社内の保健師や看護師とかで対応されているケースもあると思います。
○西村委員 保健師がやっているという事実もありますね。
○西川中央職業病認定調査官 会社によってはおありだと思います。
○西村委員 それも記載した方が良いのではと思ったのです。会社によっては保健師がやっているところもある。
○西川中央職業病認定調査官 例示として、「医師による」という書き方をするかどうかを含めてということですね。ちょっと調整させていただきたいと思います。
○磯座長 そうですね。「医師」に「等」を入れるか、ただ単に「面接指導など」にするかを考慮してください。
ほかにありますでしょうか。
どうぞ。
○豊田委員 使われている用語で2つ確認です。
1つは「健康/不健康行動」の中で「自己保健行動」といえば、いわゆる生活習慣のようなものなのでしょうか。これは、この業界でよく使われている言葉ならこれでいいと思いますが。
では、もう一つも言っておきます。もう一つは「ストレス反応・疲労」の最後の「疾病休業」は、何となく意味は分かるのですけれども、要するに病休のことなのでしょうか。この2つを教えていただければと思いました。
○磯座長 高橋先生、いかがでしょう。
○高橋委員 「自己保健行動」は、まさにそのとおりで、当初の私の考えでは「自己保健義務」みたいな、やや法律的な義務と受け取られる懸念もあったので、事務局によれば、ちょっと整備した方がいいということで「行動」という形にしました。
「疾病休業」は、おっしゃるとおり、病欠です。
○豊田委員 ありがとうございます。
○磯座長 これは、原著に「自己保健行動」と入っていましたか。それを日本語訳したということでしょうか。
○高橋委員 NIOSHのモデルには入っていなかったかと思います。
○磯座長 入っていなかったですか。
一般の方が見たときに、何というふうに思われてしまうので、これを削って、最後の「ストレス対処」に「など」とか「等」と入れればいいのではないかと思います。
○高橋委員 そこは少しオーバーラップしますね。
これの草案をつくっているときに、恐らくここの四角のカテゴリー名を「健康/不健康行動」と変えて、当初は「健康行動」だけだったのです。広い意味で、疫学的には飲酒や喫煙とか、言わば体に悪いものもある意味「健康行動」として捉えてきたところがあるのですけれども、一般的に分かりやすくするには、あえて「不健康行動」なるものを入れた方がいいだろうと。これはプラスマイナス両方を書いているという状況という感じです。
○磯座長 では、先生「健康/不健康行動」と上にあるので、その四角の中の具体的なものに、わざわざ「自己保健行動」と入れなくてもいいような気がします。
○高橋委員 そうですね。
○磯座長 では、ここを取って、最後を「ストレス対処等」ぐらいにしておきますか。それとも、要らないですね。ここは「自己保健行動」を削るという形でよろしいでしょうか。
○高橋委員 はい。
○磯座長 よろしいでしょうか。
それでは、削ってください。ありがとうございます。
ほかに何か御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、ここのページは御議論いただいたということで、67ページに移りたいと思います。いかがでしょうか。
67ページの文言は「長時間労働と脳・心臓疾患との関係についての考察」ということで、これまで我々が委員会で検討したことを事務局でまとめたものです。要は、労働時間、長時間労働は非常に重要であるということと同時に、第3段落目では、疲労の蓄積をもたらす要因として、睡眠不足が深く関わっているということで、睡眠不足の記載をしております。
先ほどありましたように、第4パラグラフでは、1日6時間程度の睡眠が確保できない場合は80時間を超える時間外労働、5時間程度では100時間を超える時間外労働が想定されるということで、これまでの労働時間の基準と非常に整合性がつく。よろしいでしょうか。
細かいところですけれども、67ページの最後のパラグラフの下の方の「7~8時間」は全角と半角なので、後で確認してください。
68ページ目に入りますと、基準のボーダーラインのところで、第2パラグラフに45時間を超える時間外労働についての考察があります。これについては、45時間を超えだしますと、これまでの議論のように、業務と発症の関連が徐々に強まるということで、ここにそれ以外のことを総合的に考慮することが適切であるとしてあります。
次のパラグラフについても、55時間以上についての考察があります。1日の労働時間が8時間を超え、3時間程度の時間外労働を行った場合に相当するということで、1か月以上継続した場合は、おおむね65時間を超える時間外労働が想定されるという考察です。これまでのいろいろな事案について見ると、1か月当たりおおむね65~70時間以上のものが多かったということで、この辺りが非常に重要になってくるということです。それ以下のところでも、労働時間以外の負荷要因もしっかりと総合的に考慮すべきだというのが68ページです。
この辺りの文言の全体の書きぶりについては、いかがでしょうか。
あと、69ページについても、その事例がさらに詳しく書いてあります。
何か御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、70ページの「労働時間の負荷要因の考え方」についても、先ほど事務局から説明がありましたが、①、②と分けていますが、先ほどの前段の説明と一部繰り返しになりますが、まとめております。
①で、おおむね45時間を超えて、時間外労働時間が長くなればなるほど、業務と発症との関連性が強くなっていく。②については、100時間、2か月ないし6か月間にわたるとおおむね80時間を超える労働時間が認められる場合は、同じように業務と発症との関連が強いと評価できるということで、これまでの基準を引き続き示すことが妥当である。 また、時間外労働に加えて一定の負荷、時間外労働以外の負荷については、総合的に判断することが重要であるという記載となっています。
また「勤務時間の不規則性」についても、我々がこれまで繰り返し議論したことが70ページの後半から71ページ、72ページでまとめられております。
73ページ目の第3パラグラフは、前の会議で議論になった「連続性」という文言を、十分な睡眠が取れない程度ということで、勤務の時間帯、深夜時間の勤務の頻度、もしくは連続性といったもの、また、深夜から日常とかの連続性も含めた「連続性」という言葉を今回、追加しております。
そして、74ページ目については、最後に、時差についても、特に4時間以上の時差を重視することが適切であるということで、アメリカの睡眠学会の診断基準も踏まえてこのような文言としております。
75ページについて、また、76~77ページに具体的なデータを出しております。これについても、これまで議論した内容です。
79ページも「適切」であるというところが黄色に塗ってあります。
先生方、78ページまでで何か御意見等はございますか。
どうぞ。
○高橋委員 ここは、本検討会でもかなり時間をかけて議論したところかと思うのですけれども、できるだけ最近の知見に基づいて、なおかつ、判定をより段階的にできるように、数字もかなり見直した部分もあります。
そこで、今回、時間以外の要因のところで、今回の検討会における見直しの骨子みたいなものを少し入れてはいかがでしょうか。
○磯座長 先生、何ページ辺りに入れたら。
○高橋委員 個別には、例えば70ページの不規則性のところは、現行基準がこれとこれとこれなのだけれども、今回はこういったものを不規則性と整理し直したとあるのですが、個別にここまでするか、あるいはもっと冒頭の方、例えば(カ)の後段とか最後の段落辺りに、見直しのポイントとか見直しの方針みたいなものを簡潔に入れたら、前回の基準との比較で読む人は分かりやすいかなと思いました。
○磯座長 となると、例えば67ページなのかな。
要するに、(オ)の前に入れるのですか。66ページと67ページの間に見直しの方針を入れると。
○高橋委員 そうですね。時間以外の負荷に関しては、多分、70ページのイ辺りから始まるかと思うのですけれども、その前とかはいかがですか。
○磯座長 どこでしょうか。
○高橋委員 70ページから時間以外の負荷がリストにされていますね。
○磯座長 はい。
○高橋委員 ですので、イの時間以外の不規則性の前辺りに1段落取って、今回の見直しのポイントみたいなものを付してはいかがと思いました。
○磯座長 70ページの「イ 勤務時間の不規則性」の前にですか。
○高橋委員 はい。
○磯座長 なるほど。
今回の基準の新しいポイントとして、これまでのアップデートしたデータから入れ込んだという意味ですか。
○高橋委員 そうですね。平成13年からどのように改定しようとしたのかというのを示すことによって、今回の検討会の意義も見えてくるかなと思いました。
○磯座長 これについては、事務局の方で何か方針はありますか。
○西川中央職業病認定調査官 非常に長い報告書案になってございますので、ポイントが分かりにくいという御指摘なのかなと思います。
事務局としては、整合性を気にはいたしますので、ここだけにつけるのか「業務の過重性の評価」の頭に書くのか、どの段階で、あるいはどの段階ごとに、どのレベルのポイントを書くのかということは、整理させていただいた上で、何がしかの整理を書くような形でまた御相談させていただきたいと思います。
○磯座長 今回の基準の報告書の中に、要約みたいなものを最初につけるのですか。
○西川中央職業病認定調査官 今の報告書案のつくりは、平成13年の報告書案のつくりを踏襲しているのですけれども、最後に、これから御説明する「まとめ」の項目がありまして「まとめ」には、今回検討した結論はこうだったということを1~9まで箇条書きのような形で書いておりまして、ある意味ポイントといえばポイントなのですけれども、前とどこが同じで、どこが違うかというところは、読めば分かるのですが、ぱっと見てすぐにこれが同じ、これが違うと分かるかと言われると、ちゃんと読まないと分からないところもあるかと思います。
「まとめ」自体もこれから検討していただくわけではありますが、「まとめ」に記載している中身も踏まえつつ、長い報告書の途中途中のポイントにそういうまとめがあった方がいいという御指摘と理解いたしまして、どのような形で反映するか、持ち帰らせていただければと思います。
○磯座長 そうですね。
要するに、1ページに戻りますけれども、目次のところに今回の新しい考え方とか、新しく導入したものを入れることはできないですか。
3番目は認定基準の対象疾患の考え方、4番目は概要、そして、リスクファクターは、新たにアップデートしたものを入れたということで、それほど違和感はないと思います。
1ページに戻りますが、初めに「検討の視点等」ということで、1番が「現行認定基準の考え方と改正の経緯」で「検討の視点」と書いてある。
では、最後の「まとめ」のところに、何か新しい項目といいますか、前回と比べてどこを改定したかというところを入れますか。最初に入れるか「まとめ」の方に入れるか。
○西川中央職業病認定調査官 やり方としては、最初に入れるか「まとめ」に入れるか、第Ⅴ章のポイント、第Ⅲ章のポイントを冒頭に囲みで入れるみたいにするか。
ⅣやⅠ、Ⅱとかは多分無理だと思いますけれども、そういったことはできようかなと思いますので、また御相談をさせていただければと。
○磯座長 多くの一般の方は、前とどこが違っているのかというのは知りたいところと思いますので、そこはどのようにしたらいいですか。 「はじめに」で述べた方がいいのではないかな。
高橋先生、そういう意味ですね。それとも、個別のところで少しまとめればいいという話でしょうか。
○高橋委員 そうですね。確かに、3ページの一番下の「具体的には」の段落に「業務起因性を客観的かつ迅速に判断できるよう、できるだけ医学的証拠に基づいた医学的思考過程に沿って」と大方針みたいなものが書いてあるので、無理のないスペースでこれをどのように受けるかという形になるかと思います。
○磯座長 4ページの後に、具体的には何ページ参照とかにしますか。特に検討内容をリストアップして、何ページ参照というのは、分かりにくいので、全体のどこを見たらいいかというものです。それは可能ですか。
○高橋委員 特に今回は、前の版から時間以外の負荷が大きく変化したので、それに時間をかけていますし、冒頭の改定のポイントとか方針みたいなものを受けてみたいなところで、時間以外の負荷について、ちょっとつなぎがあると分かりやすいかなと思いました。
○磯座長 最初に検討を行ったと話をしているので、その結果、どうなったかというまとめがないですね。
最後の「まとめ」はそうですか。最後の「まとめ」で検討の視点の結果をこのようにまとめたと。
最後のまとめは何ページになりますか。
○西川中央職業病認定調査官 最後の「まとめ」は97ページからです。
○磯座長 97ページですね。
高橋先生、「まとめ」に書いてありますが、これ以外にも何か足した方がいいというのはありますか。
○高橋委員 ここは「まとめ」ですごくすっきりまとまっているかと思っています。
○磯座長 「まとめ」以外に、先ほど先生がおっしゃったように、途中の文章のところで何か入れた方がいいですか。
○高橋委員 一貫性との関わりで、どのくらい、どのように入れられるかを事務局でも少し検討していただければと思います。
○磯座長 「まとめ」はかなりまとまっていますね。
○高橋委員 そうですね。
○磯座長 小まとめのような形で、特に、今回重点的に検討した点についてはこうであるという文言が入れられるようであれば、事務局と一緒に少し検討してもらえませんか。基本的には、最後に「まとめ」が書いてありますので。
○高橋委員 了解しました。
○磯座長 ありがとうございます。
それでは、 70ページまでで、ほかに特に御議論はありませんでしょうか。
どうぞ。
○豊田委員 細かいことですが、形式ですけれども、私はいつも言うのですが、文献の書き方がどうも気になって。
○磯座長 何ページでしょうか。
○豊田委員 どのページでもいいのですが、例えば今、議論していた70ページ辺りだと。
1回出してみましょう。ちょっとお待ちください。
僕はぱっと74ページを出したのですけれども、74ページは、74~76番まで3つ文献がありますが、要するに、文献の書き方は筆頭著者を書いて、題名を書いて、発行年を書いている形式で、これは公文書の書き方なのですか。
僕たちがこういうのを書くときは、短くしたければ、筆頭著者を書いて、雑誌名を書いて、巻・号を書いて、ページを書いて、発行年を書き、題名を外すというのが簡潔に書くときの僕たちの書き方なのですけれども、公文書はこれなのですか。
○磯座長 いかがですか。
○西川中央職業病認定調査官 出典の巻・号を書いていないのは、確かに御指摘としてありまして、それは入れなければいけないと思ってはいるのですが、題名を削ると、何の論文か分からなくなるので。
○磯座長 ジャーナルの名前です。
○豊田委員 まず、雑誌名が要るのです。雑誌名、番号、ページが要る。
○西川中央職業病認定調査官
そこは確かに事務局の作業が追いついていなくて、まだ入れられていないところなのですけれども、題名はない方がいいですか。
○磯座長 あってもいいのですが。
○豊田委員 もし短くしたいのなら、僕は題名を外しますが、どうなのでしょうということでした。
○西川中央職業病認定調査官 いずれにせよ、ジャーナルとページ数は記載するようにいたします。
○磯座長 先生、スペースが欄外にあるので、タイトルは入れておいても大丈夫だと思います。ジャーナルと巻・号とページ数が分かれば。
今はMEDLINEでぱっと引けますが、一応入れておいた方がいいと思います。
ほかにありませんか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、次に進みたいと思います。
先ほど一括して説明がありました「業務の過重性の評価」のその他の課題として、議論を重ねてきました報告書案の72ページです。「不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務」についてです。また、80ページの「(3)業務の過重性の総合評価」さらに「(4)複数業務要因災害における脳・心臓疾患の認定」の記載について検討します。
また、それ以外の負荷要因に関することも含めて御意見等がありましたら、よろしくお願いします。
まず、72ページを御覧ください。
勤務間インターバルはおおむね11時間未満ということで、これまで議論で、その数字を入れております。
72ページの後半からの「不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務」についても相当議論しました。これについて記述されております。
73ページには「連続性」という言葉が書かれております。
80ページまでですが、これもほとんど文言の小修正となります。よろしいでしょうか。特にございませんか。
ありがとうございます。
それでは、御了解いただいたものとしたいと思います。
それでは、先生方、いろいろな御意見をありがとうございます。
以上で、一番重要なところの「Ⅴ 業務の過重性の評価」の検討を終え、次に進みたいと思います。
報告書案19ページの「Ⅲ 認定基準における対象疾病の考え方」について、事務局から説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 お時間をありがとうございました。
時間もなくなってまいりましたので、手短にⅢの対象疾病の考え方のところについて、御説明させていただきたいと思います。
19ページを御覧ください。こちらにつきましては、第10回の資料1の別添1が基となってございます。
別添1から変更した点については、黄色マーカーをつけさせていただいておるのですけれども、大変申し訳ございません。1点誤植がございまして、19ページの黄色マーカーのところは「器質性心疾患」ということで御議論を踏まえて直させていただいておるのですけれども、杉先生から「器質的心疾患」の方がよろしいのではないかと御指摘いただきまして、そこの修正が漏れてございましたので「器質的心疾患」という案にさせていただくつもりであったということでございます。
修正点につきましては、基礎疾患を有する者の考え方について、もともと「先天性心疾患等」としていたところを、御指摘を踏まえまして「器質的心疾患」に修正して、括弧内も修正しているということ、それから「重篤な心不全」の関係について、御議論を踏まえまして、治療内容や予後等も含めた病状の全体像を見て、業務による負荷及び基礎疾患と発症との関係を判断する必要があるといったことを補足したこと、また「その他の疾病」の具体的な例示から「右」とか「左」といった部位を削除したということ、ICD-10の関係につきましては、表記がより正確な記載となるように、形式的な修正をしたものでございます。
23ページでございますけれども、まとめ的に、今度のといいますか、検討しました対象疾病については、(1)、(2)の全部で9疾病とすることが適切であるというまとめをつけさせていただいております。
簡単でございますけれども、Ⅲの対象疾病の考え方についての御説明は以上でございます。御議論のほどよろしくお願いいたします。
○磯座長 これについても、文言の小修正でありますが、全体を通じて特に御意見等はございますか。
どうぞ。
○豊田委員 これも確認ですけれども、解離性大動脈瘤と大動脈解離の記載で、21ページを読むと、解離性大動脈瘤は「大動脈解離」と書くことが妥当であると書いてあって、それはいいのですが、最初の19ページに名前の一覧を載せるときは「解離性大動脈瘤」としておいて、21ページで今回、それを修正したというふうにしているわけなのですか。
○西川中央職業病認定調査官 さようでございます。
19ページに書いてあるのは、平成13年の認定基準で、現行認定基準の8疾病でございます。
○豊田委員 現行というのは、平成13年のということですね。ありがとうございます。
○磯座長 よろしいでしょうか。
ほかにございますか。
先生、どうぞ。
○西村委員 19ページの「器質性心疾患」のところに(先天性心疾患、弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、心筋炎等)とあるのですが、この点について、以前の検討会で野出先生等の御意見を伺ったことがありました。心筋炎は、大きく分けるとウイルス性の急性心筋炎と、慢性心筋炎があり、この病型はアメリカ学派ではあまり認めていないこともあって、拡張型心筋症との鑑別診断が難しいところがあって、定義に幅があります。
急性心筋炎で劇症型まで行く前に不整脈で亡くなるような方で、心臓突然死として剖検を受け原因が心筋炎であったような例で、該当疾患であるか否かで議論となった事案もありました。心筋炎をどう考えるかを磯先生に、その辺の意見をまとめていただければと思います。
○磯座長 いかがでしょうか。
要は、心筋炎をこの中に入れるかどうかということですね。
○西村委員 そうです。「その他の心筋疾患」とかいろいろな書き方もあると思うのですけれども、歴史的に見ますと、最初から「心筋炎」との病名が含まれています。
議事録には記載はないのですが、私が伝え聞いているところによりますと、心筋症の中に、解剖したら慢性心筋炎だったという例があるので、そういうものも含めて判定するために、幅広く検討するとの考え方です。
以前の検討会に岡田了三先生が入っておられましたので、その辺を留意された上での判断であったと聞いております。ウイルス性心筋炎ですと、COVID-19によっても発症します。
それは別の基準からの判断で労災補償になるかもしれませんが、この会で心筋炎についても1回議論しておいた方が良いのではと思います。
○磯座長 いかがでしょうか。
一つの案は「心筋炎」を取ってしまって「心筋症等」に統合するという案が提出されました。いかがでしょうか。
野出先生、いかがでしょう。
○野出委員 今の御指摘のとおりだと思います。
慢性心筋炎と捉えますと、恐らく拡張型心筋症の一部に入りますので、必ずしも書く必要はないのかなと思うのですが、先ほどおっしゃったように、今、COVID-19の心筋炎が注目されておりまして、これを心筋症という定義に入らないと思うのです。従来のコクサッキーとエンテロの慢性心筋炎は、拡張型心筋症には入ると思うのですが、最近のCOVID-19の心筋炎は、また特別の分類に入りますので、ここをどうするかだと思うのです。
従来の分け方だと「心筋症」だけ置いておいて「心筋炎」は省いてもよろしいのかなと私は思いましたので、どちらにするかですけれども、杉先生、いかがでしょうか。
○磯座長 杉先生、お願いします。
○杉委員 野出先生がおっしゃったことと、西村先生がおっしゃったことでよく理解できるのですけれども、中には心筋炎で亡くなってしまう、それから、劇症型の心筋炎で血行動態的にも非常に悪くなって、心筋症までいかないけれども、そこで亡くなる。
心不全としての治療を受けなければいけないことになるということもありますので、私としては、このまま置いておいていいのではないかとは思ったのですけれども。
○磯座長 西村先生、いかがでしょう。
○西村委員 その考え方もあると思います。含まないとする特別な理由が文献等にあるのであれば、別問題になります。
○磯座長 今、野出先生がおっしゃったように、COVID-19による心筋炎は、もしかしたらこれから慢性的に影響が出てくる可能性があり、労災の認定に入ってくるかもしれません。それを考慮して入れておいた方がいいかという御意見なので、よろしいかと思います。ありがとうございます。
ほかにありますでしょうか。
20ページの「心不全を対象疾病として追加することに当たっては」という黄色のところですが、これについてもよろしいでしょうか。20ページの一番下のところです。
西村先生、この辺りはよろしいですか。
○西村委員 はい。特に意見はございません。
○磯座長 ありがとうございます。
それでは、全体を通じて、ほかにありませんでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、この議論は合意を得たものとさせていただきます。
次に進みたいと思います。報告書案のその他の項目について、構成の順番に検討していきます。
「Ⅰ はじめに」について、事務局からお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 ありがとうございました。
それでは、次に、報告書案の1ページの「はじめに」でございます。この検討会の開催の背景、検討状況、検討の視点をまとめてございます。こちらは検討会で初めて御議論いただくものでございますので、見出しだけに黄色マーカーをつけてございます。
開催の背景については、第1回でお示ししております開催要綱に記載しておりますとおり、平成13年の前回認定基準の改正から約20年が経過するということで、最新の医学的知見を踏まえた検証を行う必要があるということで、御参集いただいたものでございます。
「2 検討状況」にこれまでに何回検討いただいたということを書かせていただきまして「3 検討の視点等」でございますけれども、まず、(1)として、現行認定基準の考え方とこれまでの改正の経緯について書かせていただいております。
後ろの方の過重性の評価のところでも何度も出てきておりますけれども、今の認定基準は、発症に近接した時期の急性の負荷と長期間にわたる疲労の蓄積の双方を考慮するという形になっているということで、平成13年の認定基準は、その後、平成22年と昨年令和2年に法律改正等に伴って所要の改正を行っていることをこれまでの経過として示してございます。
先ほども少し御議論の中に出ましたけれども、3ページの後半は「検討の視点」ということで、そういった最新の医学的知見を踏まえた検証が必要となったということで、厚生労働省の方で平成30年度、令和元年度に医学的知見の収集を行いまして、これを踏まえて、さらに個別の支給決定事例とか裁判例等に基づいて、認定基準の全般にわたって現行基準の妥当性を検証していただいて、業務の過重性の評価の具体化、明確化について検討を行ったという検討の視点を示してございます。
そして「具体的には」ということで、現時点での案は、①~⑤までの項目については、この報告書の構成に沿った項目としておりますけれども、先ほどの御議論も踏まえまして「まとめ」との整合性、あるいは結論のポイントをここに示すかどうかということについても御意見をいただいた上で、改めて整理させていただきたいと思います。
簡単でございますが、「Ⅰ はじめに」についての御説明は以上でございます。御検討のほどよろしくお願いいたします。
○磯座長 これまで事務局からいろいろと説明があったところをまとめていただいたものですが、何か御意見等はございますか。
どうぞ。
○豊田委員 3ページの後半から4ページの最後のところです。特に、②、③、⑤に関しては、全く紋切り型の文章に終わっているので、例えば途中でおっしゃったように、最後の「まとめ」で書いた内容を短く、エッセンスだけここに書くというのが僕はスマートに思いました。
○磯座長 ありがとうございます。
ほかに御意見等はございますか。
法律の面からはいかがでしょう。
水島先生、嵩先生、特に最初のこういった文章は重要かと思いますが。
○水島委員 水島ですけれども、確かにこの部分でもう少しエッセンスを書くという考えもあるかと思いますし、逆に、ここは端的に指摘して、最後の「まとめ」で書くという方法もあろうかと思います。
○磯座長 ありがとうございます。
嵩先生、いかがでしょうか。
○嵩委員 ありがとうございます。
全体的に分かりやすく書いていただいたと思いますけれども、先ほどの「検討の視点」は、確かに「検討を行った」だけだと、その後、どうなったのかなと。
視点を示すだけなので、要らないのかもしれませんけれども、確かにどういうことを検討したかというのがもう一言あると、ぱっと見て、最初から内容がより分かりやすいのかなと思いました。
以上です。
○磯座長 ありがとうございます。
確かに紋切り型になっているので「以上の検討の結果、最終的にまとめとして示す」という形でもよいかと思います。最後の「まとめ」の方に導入してもよいかと思いますので、そこは事務局で検討してください。ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、次に進みたいと思います。
5ページの「Ⅱ 脳・心臓疾患の現状等」について、説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 それでは、5ページからでございますけれども「脳・心臓疾患の現状等」についての御説明をさせていただきます。
こちらにつきましては、昨年7月の第2回の検討会におきまして御紹介しました、脳・心臓疾患という疾病の現状に関するもの、あるいは関係する労働者の状況とか労働時間についての現状に関するもの、そして、労災認定の現状に関するものについて、統計を基にまとめたものでございます。
第2回のときにも、大体ここにお示ししているものと同じ種類のデータをお示ししたのですけれども、約1年経過してございますので、統計データについては、ほとんどのものが新しい数字、新しいグラフになってございます。
まず、疾患の状況でございますけれども、図2-1は、人口動態統計の令和2年の概数値で、この6月に発表されたものでございます。死亡率としまして、心疾患が悪性新生物に次いで2位、さらに、老衰に次いで脳血管疾患が4位というところは変更がないところでございます。
疾患別の細かい死亡率については、6ページ、7ページにお示しさせていただいているところでございます。
7ページの下の方から8ページにかけましては、男女別と年齢別の傾向となってございます。8ページの下の図でございますけれども、年齢が上がりますと対数的に死亡が増える。当たり前といえば当たり前ですが、そういった状況を示させていただいてございます。
患者調査につきましては、平成29年の数字が現時点でも最新ということでございまして、こちらは、基本的には第2回にお示ししたデータと同じものでございます。
11ページからでございますが、労働者の方の状況で、健康状態や労働時間等の状況になっておりまして、11ページでございますけれども、職場でストレスを感じる労働者は大体6割弱いらっしゃって、その内訳としては下のグラフでございますが「仕事の質・量」に関するものが多いというところでございます。
12ページは、高年齢労働者の割合に関するものでございますけれども、こちらは引き続き実数も、割合も増加しているという状況でございます。
13ページから労働時間の話になります。1人当たりの労働時間は、総実労働時間、所定外労働時間ともに、新型コロナウイルス感染症の影響もあると思われますけれども、令和2年について減少しているという状況でございます。
14ページは、週60時間以上働く労働者で、このグラフでいきますと、一番上のピンクのところがいわゆる長時間労働をされていらっしゃる労働者の方でございますが、こちらについても、割合あるいは実数も減少しているという状況でございます。そうであっても、まだ5.1%の方が週60時間、つまり月の時間外が80時間以上の水準で働いていらっしゃるという状況でございます。
15ページは、その男女別かつ年代別の内訳となってございます。
16ページは勤務間インターバルに関するもので、令和2年1月1日の状況といたしましては、導入を検討している企業が15.9%、導入した企業が4.2%といずれも前年より増加しているという状況でございます。
17~18ページに関しましては、労災補償の状況でございますが、第2回の検討会で御紹介した内容と同じものを記載しております。労災補償の状況につきましては、例年6月下旬に前年度の数字を公表しておりますので、今年度はまだなのですけれども、近々公表ということになろうかと思いますので、令和2年度の数字を公表しました後には、数字の差し替えをさせていただきたいと考えてございます。
「Ⅱ 脳・心臓疾患の現状等」についての御説明は以上でございます。御議論のほどよろしくお願いいたします。
○磯座長 これまでの新しい知見や統計も含めてまとめていただいたものですが、特に御意見等はございませんでしょうか。
どうぞ。
○高橋委員 高橋です。
これは内容というよりも、体裁の問題なのですが、たくさんの図があるのですけれども、できましたら、フォーマットを統一されてはいかがかと思いました。使うフォントや、軸を太字するとか、しないとかは、現状ですとばらばらなので、できれば同じフォーマットの方が見やすいかと思いました。
以上です。
○磯座長 先生がおっしゃるのは、フォントの統一と、もう一つは何でしょうか。
○高橋委員 例えば図2-14は、縦、横の軸が太くなっていたりしますが、ほかのはそうでなかったりする。軸も含めて、図の全体のフォーマットの統一があるといいかと思いました。
○磯座長 分かりました。
フォーマットの見やすさもありますので、統一することを検討してください。
ほかには。
豊田先生、どうぞ。
○豊田委員 9ページの図2-7の説明なのですけれども、私は単位がよく分からなくて、例えば「高血圧性疾患」の患者数は65万人であると書いてあるのは、分母が何なのでしょう。
このままだと、総人口において65万人が高血圧性疾患と読めるのですけれども、これは人口10万人単位とか何万人単位とか、何か大事な言葉が抜けているのではないですか。
○磯座長 患者調査ですね。
○西川中央職業病認定調査官 患者調査の数字でございます。
確認をさせていただきまして、必要があれば修正させていただきたいと思います。
○磯座長 お願いします。
ほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。
どうぞ。
○水島委員 ありがとうございます。
18ページに「勝訴判決」とか「敗訴件数」とあるのですが、このような書き方が一般的でしたらこのままでもいいのですけれども、勝訴、敗訴は当事者によって変わってくるものであって、やや違和感がありました。
もし可能であれば「請求認容」や「請求棄却」とか、中立的な書き方を御検討いただけますでしょうか。
以上です。
○西川中央職業病認定調査官 修正させていただきます。
○磯座長 そうですね。
多分、厚生労働省の図のところにはこのように書いてあると思いますが、一般の人には分かりにくいので、注釈に入れるとか、工夫をしてください。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
先生方で、後で気づいた点がありましたら、事務局の方に御連絡ください。
それでは、次に、24ページの「Ⅳ 脳・心臓疾患の疾患別概要」について、事務局から説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 それでは、24ページからの疾患別概要について御説明させていただきます。こちらは第10回の資料1の別添2が基となってございますけれども、第10回の検討会でいただいた御指摘と、検討会終了後にもいただきました先生方からの御指摘を踏まえまして、様々な修正をしております。逐一の修正にマーカーがし切れませんで、見出しにマーカーをしているという形になってございます。
大きな変更点といたしまして、24ページの1といたしまして「疾患別概要について」という記載を行いまして、読者として想定している方を明らかにし、概要を取りまとめたものであるので、より詳細な医学的事項については、専門書ガイドライン等を参照することが適切であるという記載を行っているところでございます。
医学専門家の方をターゲットにした文章としては、非常に簡略に過ぎるという内容でもございまして、一方で、医学専門家の方をターゲットにしてしまうと、私も含めて行政官、労働者、皆さんに分からないというところもございますので、ここでは行政官、労働者、その御家族、事業所関係者等の医学専門家でない方を読者のターゲットとしているということを記載させていただいております。
そして、段落番号がずれまして、2が「脳血管疾患」3が「虚血性心疾患等」という形になってございますが、第10回の資料には(1)として「解剖と生理」の記載がそれぞれございましたけれども、こちらは様々な情報が教科書、成書、あるいはインターネットにもあるということで、そちらを確認すれば足りるのではないかということで、報告書から削除する形としてございます。このため、それぞれの(1)がそれぞれの疾患の全体の概要という形になっています。
また「脳血管疾患」につきましては、25ページの「疫学」について、数字を令和元年の国民生活基礎調査や人口動態統計の数字に修正しているほか、豊田先生から幾つか御指摘いただきまして、治療法とかいろいろな記載について、修正を行っているところでございます。
また、ずっと進みまして「虚血性心疾患」でございますけれども、特に「心停止」に関する記載と「大動脈解離」に関する記載について、杉先生や西村先生の御指摘を受けまして、いろいろと修正をさせていただいているところでございます。
ここでもう一点、誤植の御説明をさせていただきまして、35ページの一番下のところでございますけれども、申し訳ございません。「多くは、心電図上、心室静止、心室細動のいずれかを示す」となっているところで「心室静止」を「心静止」に修正する御意見をいただいていたのですが、その修正漏れでございまして「心静止」に修正したいと考えてございます。37ページの図4-2は「心停止」を「心静止 心室細動」という形で表現しておりますので、そことの平仄もあり、「心静止」に修正したいと思います。
非常に簡単で恐縮でございますけれども、Ⅳの疾患別概要についての御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○磯座長 これは臨床の先生方に詳しく見ていただいて、簡潔にできるところは簡潔にしたというところです。
いかがでしょうか。
どうぞ。
○豊田委員 26ページの文献で、この辺りは私の文献をたくさん入れさせていただいて、本当にありがたいのですけれども、文献10の「古賀正利」の「マサ」は「政」にしてください。
それから、11番以降で「高橋淳」と何度も出てくるのが、一応「髙」なので、変えてください。
○磯座長 漢字の違いですね。御指摘ありがとうございます。
ほかにありますでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、次に、82ページのⅥです。危険因子(リスクファクター)について、事務局から説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 それでは、82ページからの危険因子についての御説明でございます。こちらは、前回の第11回の資料1の別添3が基となってございます。
前回の検討会の御指摘を踏まえまして「虚血性脳卒中」の記載を「脳梗塞」に修正するなどの修正を行っているほか、基本的には脳卒中のガイドラインと動脈硬化性疾患の予防ガイドラインを参照しているのですけれども、参考文献については、ガイドラインに記載しているものについては削りまして、直接参照したもののみを記載する形に修正してございます。
文献でございますけれども、最初の82ページの(2)の頭のところに2つのガイドラインを書かせていただいておりますが、78が脳卒中のガイドライン、79が動脈硬化性疾患のガイドラインということで、その後の引用文献については記載を省略させていただいて「文献79」とか「文献78」という書き方で書かせていただいているところでございます。
大きく修正したところについて、まず、脳血管疾患についての84ページの一番下のところから「(エ)心疾患・不整脈」と小見出しをつけさせていただいているところでございます。
前回の御議論の杉先生の御意見も踏まえまして、豊田先生とも御相談いたしまして、非弁膜症性心房細動に関することを前回の資料で書いておったわけでございますけれども、それに限らず、心房細動全般、心疾患全般に関する記載としておりますが、小見出しがこれでいいかどうかということも含めて、記載内容も含めて御議論いただければと思ってございます。
89ページでございますけれども「高尿酸血症」についてでございます。
まず、並べ方の順番について御指摘がございまして、前回の検討会での結論に沿って、最後に持ってきたところでございますが、併せて記載内容なのですけれども、前は2010年版のガイドラインを2017年の動脈硬化予防ガイドラインの方で引いていたことから、そちらを参照していたというところであったのですが、野出先生から心疾患の関係で新しくなっているという御指摘があったところでございます。2019年版を確認しますと、心臓についてはそんなに変わりはなかったのですが、脳卒中については、ここに書いてあるとおりの内容となっておりまして、少しネガティブな記載かなと思われるところでございます。この内容であれば、削除するのかどうかということも含めて御意見をいただければと存じます。
89ページからは「虚血性心疾患等の危険因子」でございますけれども、こちらについては、90ページの「性」についての関係でございますが、人口動態統計の数字を新しいものに修正しております。ただ、傾向については、特段変化はないと思ってございます。
また、最後でございますが、96ページでございます。高尿酸血症について記載させていただいておりますけれども、こちらはガイドラインのバージョンを修正いたしましたが、前回、先生からも御指摘がございましたが、内容には特段の修正はなかったということでございます。
簡単でございますが、危険因子についての御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○磯座長 危険因子について、御意見はいかがでしょうか。
特に、今、コメントがありました89ページの高尿酸血症についての記述については、これを残すか、もしくは削除するかということについての御議論をお願いしたいのですが、先生方、コメントはございますでしょうか。
どうぞ。
○高橋委員 高橋です。
リスクファクターの内容自体のコメントではないのですが、報告書の構成として、1番目に「はじめに」があって、2番目に脳・心の現状、3番目に対象疾病の捉え方があって、その次に疾患の説明が来ます。5番目に過重性の評価が来て、最後に、6番目にリスクファクターとなるのですけれども、何となく基準改定に関わる部分と対象疾患の説明の部分がややあっちに行ったり、こっちに行ったりしているような感じがするのですが、その意味で、リスクファクターが最後でいいのかなと。
場合によっては、疾患との関連性でいえば、疾患の概要、つまりⅣの次に来ることもあり得るかと思うのですけれども、この辺の順番はいかがでしょうか。
○磯座長 どうしたらいいですか。
○高橋委員 いわゆる一般的なと言っていいのか分からないのですけれども、それぞれの脳・心の疾患の説明の部分と、そういう背景の下で、今回の検討会で何をどう議論し、改定したのかというのは、できるなら分けた方がいいように思うのですが、いかがでしょうか。
○磯座長 後で疾患の概念を出していますね。先ほども議論があった疾患についての説明があるのですが、リスクファクターを後に持ってくるということですか。概要があって、リスクファクター。
○高橋委員 多分、リスクファクターは、いわゆる各疾患に関わる危険増悪因子に関しての議論かと思うのですが、その一つ前の過重性とかは、いわばこの基準改定のコアとなる部分があって、その前にまたいわゆる各疾患の概要があって、何かサンドイッチみたいになっているような気がするのです。
だから、いわゆる一般的な疾患の説明を前にするのか、後にするのかを受けて、今回の基準改定をどうするのかというふうにまとめるという手もあるかと思いましたが、いかがでしょうか。
○磯座長 いかがでしょうか。
○西川中央職業病認定調査官 先生の御指摘は、今の章題でいえば、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅴ、Ⅳ、Ⅵということですか。
○高橋委員 例えばⅢの次をⅤにするとかです。
○磯座長 要は、疾患の概要の後に、リスクファクターを入れた方がいいということですか。
○高橋委員 その方が近接性があるかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○磯座長 先生方、いかがでしょうか。
要は、全体の報告書の目次に戻っていただいて、最初のページに戻っていただくと、1番が「はじめに」次が疾患の現状等、その後に対象疾患の考え方、疾患別の概要。
高橋先生の御意見は、疾患別の概要の後にリスクファクター。ですから、ⅤとⅥを入れ替えるという提案でよろしいですか。
○高橋委員 はい。それが一つの方式かと思いますし、場合によっては、Ⅲの対象疾患の考え方に次に「業務の過重性の評価」を置くという手もあるかと思います。
○磯座長 「Ⅴ 業務の過重性の評価」をⅢの後に持ってくるということですね。
○高橋委員 はい。
○磯座長 病気の説明は一番後にするということですか。
○高橋委員 そうですね。
○磯座長 そうすると、全体の流れで何か分かりにくいことはありますか。
ざっと中身を見ないで今の高橋先生の御意見を聞くと、そういった形で最初に今回の基準の話をずっとしていって、後で病気とそのリスクファクターをまとめた方が分かりやすいのではないかという御意見なので、そこの構成について事務局でもう一回検討してもらえませんか。
○西川中央職業病認定調査官 分かりました。検討させていただきます。
○磯座長 ほかにありますでしょうか。特にありませんか。
ありがとうございます。
先生、どうぞ。
○豊田委員 誤字が1個ありました。
89ページの文献に「痛風・拡散」ガイドラインというのがあって「拡散」という字を間違っているのではないかと思います。89ページでした。
○西川中央職業病認定調査官 学会のお名前ですね。修正いたします。
○磯座長 それでは「高尿酸血症」はこのままでよろしいですか。入れておいて、リスクファクターとしてガイドラインにも出ていると。
それとも、ここの文言を見てみると、すごく微妙な文言になっているので、危険因子として考えるには少し程度が低いのではないかという議論にもなります。
○豊田委員 私が事務局と個別に相談したときは、あまりにもエビデンスが弱くて、これは個別に考えることになるだろうから、あえて書かなくてもと私は思いました。
○磯座長 分かりました。
では、先生方、ここは削るという形でよろしいでしょうか。
西村先生、よろしいですか。
では、ここは削る形にさせていただきたいと思います。
あと、84ページの脂質のところの最後のパラグラフで、日本を含む東アジア地域での検討では、血清総コレステロール値が高いことは脳梗塞の、低いことは脳出血の発症リスクが高まる傾向があるものの、有意ではなくという「有意」は、統計的な有意性でしょうか。
ここは統計的に有意になっている論文もあるので、発症リスクと関連するとか、コレステロールが高いことは脳梗塞、低いことは脳卒中の発症リスクと関連する傾向があるものの、血圧と比べてその重要性は低いとされているという事実を記載した方がいいので、そこら辺の文言も検討してください。
○西川中央職業病認定調査官 分かりました。修正させていただきます。
○磯座長 ありがとうございます。
それでは、次に移ります。「まとめ」に移りますので、Ⅶです。97ページを御覧ください。これについて、事務局から説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 それでは、時間を過ぎておりまして、大変申し訳ございませんが「まとめ」について、手短に御説明させていただきたいと思います。
冒頭に脳・心臓疾患についての基本的な認識を記載いたしまして、これらを踏まえて、最新の医学的知見とか支給決定事例等や裁判例を踏まえて検討したということを記載してございます。そこで結論を1~9まで箇条書きで書かせていただいておりまして、こういったことが妥当と判断されるということでまとめているものでございます。
ただ、これは現時点の医学的知見に照らして妥当ということでありまして、今後の医学の進歩によって再検討を要するものであることに留意する必要があるということ、それから、各負荷要因の明確化、具体化を図り、監督署の認定といいますか、業務の過重性の評価が迅速・適正に行われるように配慮したということを98ページの9の下のところに記載しているところでございます。
98ページの下から2段落目以降は、一番の結論といいますか、まとめといいますか、終わりにという感じのものでございまして、過労死は本来あってはならないものであるということ、そして、行政当局、事業主、労働者のそれぞれの取組により、過労死等が減少・消滅することを期待したいという形でまとめているところでございます。
御説明については、以上です。よろしくお願いいたします。
○磯座長 「まとめ」については、慎重に確認する必要があるかと思いますが、現時点で先生方からのコメントはございますでしょうか。
1~9番まで書いてあって、最後に、事務局から説明がありましたように、最後の4つのパラグラフでまとめをしております。
これについては非常に重要なところなので、先生方で今すぐに御意見がない場合には、本日の資料を基に、持ち帰りいただいて、十分に御検討いただきたいと思います。まとめは非常に重要ですので、読み込んでいただいて、これまでの議論も踏まえて御指摘、御意見などがあれば、各自の先生から事務局へ御報告していただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○磯座長 全体として、問題ないかと思いますが、細かい点については十分に検討する必要があります。
そして、先生方からそれぞれコメントをいただいて、反映した報告案をできれば次回で最終的に確認したいと思います。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○磯座長 ありがとうございます。
それでは、事務局は、本日の検討の結果と、幾つか指摘点がありましたので、それを反映させて、資料の準備をお願いします。
今申し上げましたように、検討報告案に関しては、最終確認して、それぞれの先生方の了承が得られれば、次回を最終回にしたいと思います。それについては、先ほど申し上げましたように、それぞれの先生方から個別にまた意見を聞いて、まとめていってください。
それでは、本日の検討会はこれで終了といたします。
次回の日程等について、事務局から連絡をお願いします。
○本間職業病認定対策室長補佐 長時間の御議論をありがとうございました。
次回は、ただいま座長から御発言がありましたとおり、検討会での御議論を踏まえ、また、各委員からの御指摘をお待ちした上で、それらを報告書案に反映させる形で資料を御用意させていただくことといたします。
次回の検討会の日時、開催場所につきましては、後日、改めて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、大変お忙しい中、ありがとうございました。