2021年5月28日 第8回化学物質による疾病に関する分科会 議事録

日時

令和3年5月28日(金) 10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館仮設第3会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

参集者:五十音順、敬称略
上野晋、圓藤吟史、角田正史、野見山哲生

厚生労働省:事務局
西村斗利、児屋野文男、中山始、本間健司 他

議題

  1. (1)労働基準法施行規則第35条別表第1の2第4号の1の物質等の検討について
  2. (2)今後の検討事項について
  3. (3)その他

議事

議事録

○古山係長 先生方、本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。定刻となりましたので、労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会を開催いたします。角田先生におかれましては、本日少し遅れての御出席となり、野見山先生におかれましては、所用のため11時半までの御出席となります。
 初めに、年度をまたいだ開催となり、事務局に異動がありましたので紹介させていただきます。職業病認定対策室長の児屋野です。職業病認定対策室長補佐の本間です。中央労災医療監察官の井上です。職業病認定業務第二係の佐野です。同じく松尾です。同じく對馬です。
 それでは、座長の圓藤先生に議事の進行をお願いしたいと思います。
○圓藤座長 それでは、議事に入る前に、事務局より本日の資料の確認をお願いいたします。
○古山係長 それでは、資料の御確認をお願いいたします。本分科会はペーパーレスの開催とさせていただいておりますので、お手元のタブレットや、事前に送付させていただいた電子媒体の御確認をお願いいたします。本日の資料は、資料1が化学物質評価シート(SDS交付義務のある物質)、資料2-1が化学物質評価シート(シャンプー液等による接触性皮膚炎)➀、資料2-2が化学物質評価シート(シャンプー液等による接触性皮膚炎)➁、資料3及び資料4が業務上疾病に関する医学的知見の収集に係る調査研究報告書、資料5が木材粉じんによるがんに係る検討のポイント、資料6が今後の検討スケジュール(案)です。参考資料1が「労働基準法施行規則別表第1の2第8号の規定に基づき、労働大臣の指定する疾病を定める告示等について」の通達です。参考資料2が「代替フロンによる健康障害予防のための当面の対策の推進について」の通達です。
 机上配付資料1、2-1、2-2として、化学物質評価シートにそれぞれ評価いただいた先生のお名前を記載したものです。机上配付資料3が日本皮膚科学会の「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」となっております。資料の不足等はございませんか。以上です。
○圓藤座長 最初に事務局から、資料の説明をお願いいたします。
○秋葉中央職業病認定調査官 説明いたします。資料1は、SDSの交付義務がある物質のうち、最終的な検討の対象となった23物質についての評価をまとめたものです。前回までの分科会で、それぞれの物質について5名の先生方に評価を行っていただき、分科会での検討内容を踏まえて最終の評価を行っていただいたものになります。
 資料2-1及び資料2-2は、シャンプー液等による接触性皮膚炎に関する物質についての評価をまとめたものになります。資料2-1は、先行して評価を行っていただいた物質、すなわち、システアミン塩酸塩(CHC)及びコカミドプロピルベタイン(CAPB)について、これまでの検討結果を踏まえて最終の評価を行っていただいたものです。資料2-2は、シャンプー液等による接触性皮膚炎に関する物質について、他の物質の評価をまとめたものです。今回、新たに評価を行っていただいた先生の分を白いマスで表示しています。以上について、先生方には短期間で膨大な作業を行っていただき、誠にありがとうございました。
 資料3及び資料4は、先生方には評価シート作成に当たり送付させていただきましたが、厚生労働省で実施した調査研究の報告書です。今回、評価を行う基となるものです。資料5は、今後、検討予定としていた木材粉じんによるがんについて、過去の検討結果及び検討に当たってのポイントをまとめたものです。資料6は、化学物質分科会の今後の検討予定です。詳しくは最後に御説明します。
 参考資料1は、「超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患」が労働基準法施行規則別表第1の2に規定された際の通達です。タングステンの評価の際に御説明します。参考資料2は、代替フロンによる健康障害予防のための対策について示された通達です。こちらは、HCFC-123の評価の際に御説明します。
 机上配付資料1、机上配付資料2-1、2-2は、各評価シートに、評価を行っていただいた先生のお名前を記載したものになります。机上配付資料3は、日本皮膚科学会が出している「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」です。シャンプー液等による接触性皮膚炎について御検討いただく際に参照いただきたいと思います。資料の説明は以上です。
○圓藤座長 それでは、先生方に作成していただいた評価シートに基づき、各物質の検討に入りたいと思います。まず、SDS交付義務のある673物質から、既に大臣告示等に規定されている物質を除いた物質のうち、当該化学物質による症状及び障害に関して症例報告が一定数ある物質及び平成25年度の第35条専門検討会において検討されたものの大臣告示に規定されていない物質について、現在までに症例報告がなされた物質のうち、一定の症例報告がある物質の2つについて、別表第1の2、第4号の1に基づく大臣告示に追加するか否かを検討していただきたいと思います。まず、事務局から説明をお願いいたします。
○秋葉中央職業病認定調査官 前回の分科会から今回の分科会にかけて、最終評価の対象となった23物質について、これまでの議論を踏まえた評価シートを各先生方に作成いただきました。こちらを用いて、告示に追加するかどうかを検討いただきたいと思います。
○圓藤座長 ありがとうございました。評価の進め方ですが、物質ごとに上から順番に評価及び簡単な理由を述べていただきたいと思います。各先生方の評価の後、物質ごとに追加するかどうかを決められればと思っております。そのような進め方でよろしいでしょうか。また、評価するに当たって、どのような告示上の表記、具体的な内容等も御検討いただければと思っております。よろしいでしょうか。
 それでは早々、評価シートの順番に沿って進めたいと思います。まず、2番のエタノールについて、各評価者とも×にしております。幾つか症例がありますが、私は、共通する症状、障害というようなものではないと判断しております。先生方の御判断はいかがでしょうか。角田先生、御参加ありがとうございます。
○角田委員 よろしくお願いいたします。
○圓藤座長 先生方から御意見はございますか。上野先生、何か御発言いただければ有り難いのですが。
○上野委員 私も、特に職業性ばく露の点から、追加するものはないと判断しております。
○圓藤座長 角田先生、野見山先生も同じでよろしいでしょうか。
○野見山委員 結構です。
○角田委員 はい。
○圓藤座長 それでは、エタノールについては対象から外したいと考えます。よろしいでしょうか。
 続いて、すず及びその化合物ですが、野見山先生、御意見はございますか。
○野見山委員 これは今回、×にしております。特に疫学調査がきちんとあるわけではないので、Gilのほかはないので、×でよろしいかと思います。
○圓藤座長 それでは、今回、すず及びその化合物については×にいたします。古いので、すず肺というのはじん肺の1つとしてあるのですが、それは現在ではほとんど見られないのではないかなと思っております。あれば、じん肺の中で救済されるだろうと思っております。すず及びその化合物については、今回は外したいと思います。
 次のタングステン及びその水溶性化合物については、昭和56年2月2日基発第66号がございますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○秋葉中央職業病認定調査官 参考資料1を御覧ください。炭化タングステン等の金属炭化物によって発生する気管支肺疾患については、別表第1の2第8号(現 第10号)に基づく大臣告示に掲げられており、気管支肺疾患があれば、「超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患」として労災補償上認められています。一方、じん肺所見があれば、じん肺として労災認定されています。
○圓藤座長 この通達、告示を踏まえて、何か御意見はございますか。この告示でかなりタングステンについては検討されていて、それを改めて追加するというようなことは、現時点では必要ないと思いますが、先生方、それでよろしいでしょうか。それでは、タングステン及びその水溶性化合物については、告示以上の知見はないということで、今回は対象から外させていただきます。
 続いて、14番のクロルピリホスについてです。私は当初、アセチルコリンエステラーゼの阻害作用があるのではないかと思って△にしておりましたが、職業ばく露による健康障害事例は極めて少ないということで×に変えております。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 私も一応いろいろ文献を見て、そこに書いてあるように、どちらかと言うと遅発性神経毒性という有機リン系農薬に共通する症状に関しての議論をしている論文等はあったのですが、遅発性神経毒性自体がコリンエステラーゼ障害というメカニズムとはちょっと別なものだという、もともとの概念もありますし、圓藤先生が御指摘のように、非常にまれな症状で、現時点でエビデンスとして十分あるわけではないと思いましたので、私も×とさせていただきました。
○圓藤座長 武林先生も△から×に変更されておられます。現時点でクロルピリホスは対象から除外したいと思います。
 次の案件にいきまして、16番の二酸化塩素です。この物質は、水と反応して塩酸を生じるということで、塩酸と同様な前眼部障害、気道障害を加えるのは妥当ではないかということで○にしております。角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 私の場合は、近年の報告がないので、現在の労働環境では起こりにくいと考えて、一応×にしたのですが、最近、コロナウイルス等をやるといっぱい出てくるので、何か呼吸性障害の可能性は指摘されているのかなと思いました。現時点では一応×にはしています。
○圓藤座長 ありがとうございます。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 圓藤先生が御指摘のように、水分と反応して塩酸が生じるというもので、多分、粘膜辺りでの酸による障害というのは、それで説明できると思います。ちょっと角田先生の分と関係するかもしれないのですが、最近、二酸化塩素は除菌剤として製品化されて作っている所が多くなり、まだ事例はないですが、今後そういう現場で事故的なばく露が起こるのかどうかというところで若干の懸念もあります。圓藤先生にも御指摘いただいた前眼部障害と気道障害については、一応説明はできるのかなという印象です。
○圓藤座長 ありがとうございます。野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 前回と同様ですが、刺激による2つの症状、説明もきちんとできますし、使用もされているということで○です。
○圓藤座長 角田先生、先ほどおっしゃったのは、コロナウイルス対策として二酸化塩素を除菌剤として用いて、それの使い方の誤り等でばく露する事例があるようなないようなということでしょうか。
○角田委員 ええ、まだそういう事故例はないのですが、使うときにリスクがあるのではないかというような形と、あと消毒液に使いますからみたいな話のものは結構出てくるので、そういうリスクはあるかなということですね。
○圓藤座長 ありがとうございます。武林先生は×にされておられます。以上をもって、二酸化塩素については、引き続き検討するということで残しておきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。では次回、継続審議をしたいと思います。
 次は、白金及びその水溶性塩についてです。白金及びその水溶性塩としましても、白金と水溶性塩とは異なる物質ですので少し迷ったわけですが、白金塩で起こっている、あるいは白金の錯体での事例が報告されているということで、少数例ということで、私は△にしております。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 前回の議論の中で、COPDに関しての機序も含めた検討が必要なのではないかということで、どちらかと言うとそれに絞って調べたのですが、そこの機序についての知見がちょっと得られないというか、私が探しきれなかったこともあったので、×に近い△とさせていただきました。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 皮内テスト陽性を指標にしたものが多いのですけれども、1つは職業性喘息の症例と一筆入っているのと、それから皮内テスト陽性者に喘息が多いという、仮説的ですがそういうことがあったのでと、ただ、抄録からの判断ですので。ただ、ほかの論文でも陽性が増加ありということなので、一応、気道障害で○にしたということです。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 機序が明確でなくて、○にするには少し躊躇されたので△です。
○圓藤座長 残して検討していきたいと考えます。1つは白金及びその水溶性塩という言い方が範囲が大きすぎないかというので、白金の種類を特定して考えるということ。標的臓器を気道として、気道障害あるいは喘息として考えるのかどうか。それから、機序について気道過敏性としての知見があるのかどうか、これらと症例がどれだけあるのか、もう一度調べ直す必要があると思います。武林先生は×にされておられますので、まだ十分な知見がないという判断を武林先生はされていると考え、もう少し意見を集約したいと思います。そういう含みで継続審議に回したいと思います。よろしいでしょうか。
 21番のプロピルアルコール(イソプロピルアルコール)ですが、これについて各先生とも×にしております。通常の労働現場では起こり得ないということで×にしております。また、有機則に従って適切に管理されておれば、あえて追加する必要はないと思います。角田先生、接触皮膚炎に関しても、特によろしいでしょうか。
○角田委員 追加する必要はないと思います。大丈夫だと思います。
○圓藤座長 では、皆さん×ですので、対象から除外します。
 続いてロジンです。ロジンについては、上野先生は△にしておられますがいかがでしょうか。
○上野委員 そこに挙げた文献で、これはFIOHからの疫学報告だったようなのですが、いろいろな職業性皮膚炎のパッチテストの結果があって、その中でロジンに陽性だったのが4.6%ということだったのですが、これだけで判断していいかどうかというのは、自分でもちょっと何とも言えなかったので、△とさせていただきました。
○圓藤座長 ありがとうございます。野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 アレルギー性皮膚炎の症例の報告が結構ありましたので、○といたしました。
○圓藤座長 若干症例があるので、感作性について議論をする必要があると思います。角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 前の意見なのですが、職業性ばく露というよりも医療によるものの文献が多かったので、特に職業性ばく露ではないかなとして一応外しましたということです。
○圓藤座長 これは、後ほどの理美容師のシャンプー液等の使用による接触性皮膚炎の際に議論しておきたいと思いますが、「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」という日本皮膚科学会のガイドラインが出ており、その知見も考慮して考えていきたいと思います。今回は検討対象として残しておいて、理美容師のシャンプー液の使用に関する接触皮膚炎の議論をするときに一緒に考えたいと思います。
 続いて、アジピン酸です。私は当初△にしていたのですが、少数例であるということで×にいたしました。野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 報告があったので、△として残してあります。その報告が希少でありということで、多くの方が×ということであれば、×で結構です。
○圓藤座長 いかがいたしましょうか。論文が1つですので、今回は除外することでよろしいでしょうか。
 続いて、アスファルトです。私は、皮膚障害があるということで当初○にしていたのですが、その知見が最近そんなに多く認められないということで×にいたしました。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 前回の議論の中で、呼吸機能の話もちょっとあったので、少し肺機能との何か結び付きがあるのかと思って、そこに挙げてある幾つかの文献に目を通したのですが、全部海外のものでしたし、日本の労働現場との違いもありますので、これだけで積極的に追加するのはどうかなという考えです。以上です。
○圓藤座長 こちらは、肺機能低下や、上野先生が挙げられた3つの論文がありますので、この3つの論文を各先生方に読んでいただいて結論を出したいと思いますが。
○野見山委員 すみません。
○圓藤座長 はい。
○野見山委員 ちょっと1点、上野先生に質問があるのですが。
○上野委員 はい。
○野見山委員 書いてある、前回×にした理由なのですが、いわゆるアスファルト単独なのかどうなのかというのがやはり気になるところでして、いろいろな物質が含まれているので、本当に原因をアスファルトとしていいかどうかというところ。読むことは全然あれなのですけれども、もし先生がその辺りをお分かりでしたら教えていただきたいのです。
○上野委員 実は結局、成分として、例えば3つ目の論文についてですが、これは表で曝露指標としてrespirable dust、total dust、total airborne PAH、benzothiazole、nitrosamineと、そういった項目で調べているので、実際のところは先生がおっしゃるように混合物である可能性が高いので、そこら辺は確かに御指摘のとおりだと思います。それもあって、ちょっと何とも言い難いかなというのは正直ありました。御質問していただき、ありがとうございます。
○野見山委員 ありがとうございます。
○圓藤座長 これらの論文は、アスファルトを使用する、例えば道路工事を行う作業者なのか、アスファルトを製造する工場での話なのか、その辺のところはどうなのですか。
○上野委員 アスファルトを使用する作業者ですね。道路の補修とか、そちらのほうだと思います。
○圓藤座長 分かりました。そうすると、少し3つの論文を読みながら検討したいと思いますので、次回に回したいと思いますが、よろしいでしょうか。
○上野委員 何か逆にお手数をお掛けするようで申し訳ございません。
○圓藤座長 いえいえ。
○上野委員 論文については、PDFを所持しておりますので、それを事務局に送らせていただきます。それでよろしいでしょうか。
○圓藤座長 助かります。そのようにしていただいて、私どもに転送していただければ、また読んでみたいと思います。ありがとうございます。
○上野委員 了解いたしました。
○圓藤座長 次に、31番のフッ化アルミニウム、塩化アルミニウムについてです。私は、ボーキサイトの使用からアルミニウムを精錬する作業の中で、フッ化アルミニウムができのではないか、あるいはフッ酸とかを使ってコーティングするような作業で起こると考えておりましたが、ボーキサイトからアルミニウムを精錬する作業は我が国ではもう中止しており、報告されているような事例は日本で起こらないとして、×に変えました。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 たまたまそこに挙げてある文献には、前回の議論の中でフッ化アルミニウムと三塩化アルミニウムとを分けてということで、2つの論文に一応そういう喘息との関わりがあるようなことが書いてあったというだけの話で、これだけではなかなか判断が付かないという印象です。
○圓藤座長 角田先生、野見山先生、いかがでしょうか。
○角田委員 この場合は以前のものでチェックしたところで、新しく加えるほど症例が多くないので、因果関係不明なものが多いということで×のままにしています。
○圓藤座長 はい。そうしましたら上野先生、先ほどと同じように、この2文献も検証していただき、次回、各委員が読んで再評価したいと思いますけれども、お願いできますでしょうか。
○上野委員 では、ちょっと文献を確認させていただきます。
○圓藤座長 はい、ありがとうございます。
 40番の固形パラフィン、これは上野先生、お願いいたします。
○上野委員 いろいろすみません、逆にお手数をお掛けします。私がそこに3つ簡単に内容を書いていますが、一番上は確か日本の方、教会の方だったようですね。それで、西洋ろうそくをずっと使っているような環境で、西洋ろうそくが固形パラフィンを使っていて、和ろうそくは使ってないのですけれども、それで、パラフィン蒸気に長い間ばく露されていたので、リポイド肺炎を起こしたのではないかというような、そういうごく1例のケースレポートだったということです。一番下はパラフィン油が含有されている点鼻薬の長期使用ということで、職業ばく露ではないということです。真ん中が職業ばく露のようなところがあるのですけれども、いずれも固形パラフィンというか、それを熱したことによるパラフィン蒸気だったので、どう考えたらいいのかという印象です。
○圓藤座長 はい。パラフィン蒸気に絞って少し見ておきたいと思いますので、できましたら、上野先生、この2つの論文をまたお送り願えますでしょうか。3つ目は職業性ではないということですので、除外したいと思いますが。
○上野委員 了解しました。
○圓藤座長 はい。それで確認したいと思います。次に、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン(別名HCFC-123)について、これは事務局のほうから平成10年6月1日付け基安発第15号の1というのがありますので、御説明をお願いいたします。
○秋葉中央職業病認定調査官 参考資料2を御覧ください。平成10年6月1日付け安全衛生部長通達「代替フロンによる健康障害予防のための当面の対策の推進について」になります。ここにHCFC-123の健康障害防止対策について示されていますが、この物質については2020年までに全廃することとされています。しかしながら、全廃するとされた期限が昨年ということで、最近であり、必ずしもHCFC-123のばく露及びそれによる疾病が発生しない状況とは言えないのではないかと考え、本分科会においては、この規制の事実をもって検討対象から外すのではなく、引き続き検討対象としたいと考えています。
○圓藤座長 そうしますと、ここに書かれているように、肝障害について『THE LANCET』に載っている事例並びにここの基安発に載っている事例がありますので、検討しておきたいと思います。ただ、事務局がおっしゃられたように、昨年全廃することになっており、今後、高濃度ばく露の事例というのは少なくなるのか。あるいは、今まで既に使っていて、それが残っている可能性があるのか。例えば、これを冷媒として使っている古い製品を解体する作業のときに事故例的に発生し得ると思いますので、今後のばく露状況がどうなっていくのかを考えつつ検討するのが妥当かと私は考えています。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 はい、圓藤先生の方針でよろしいかと思います。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 肝障害はかなり出るようなので、ばく露の可能性があるようであれば肝障害を入れるということでいいのではないかと思います。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 製造現場からはなくなりつつあると思いますが、正に圓藤先生が御指摘のとおりの事案が起き得るので、石綿則のように事後に回るような、後手の対策になるとよくないので、むしろこれは入れるべきではないかと思います。
○圓藤座長 それでは、これは引き続き検討しておきたいと思います。入れ方をどのようにするのか、今後の使用状況を踏まえて、引き続き検討していきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 続いて、46番のジチオりん酸O,O-ジメチル-S-1,2ビス(エトキシカルボニル)エチル(別名マラチオン)ですが、これについていかがでしょうか。上野先生、いかがでしょうか。私のほうは中毒事例としては少ないのではないかと思い、×にしました。自殺目的とかはあるかと思います。それから、治療に当たった医療従事者で症状が出たというのは気になっているのですが、上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 その医療従事者のを見付けたのは、多分学会発表だったと思うのですけれども、二次ばく露を受けた医療従事者の調査の中では、結局コリンエステラーゼ活性との相関が認められていないという報告があったので、ちょっと二次被害例についてマラチオンで起こったものではないのではないかという印象がありました。
○圓藤座長 それを採用しないとなると、野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 今の上野先生の御指摘がもし正だとすると、×でいいのかなと思います。有機リン中毒を引き起こす可能性があるとすると、入れたほうがいいのかなと思っていたものですから、一応△にして残しておきました。以上です。
○圓藤座長 経気道ばく露で起こった事案がそれほどないということですよね。ということで、マラチオンについては、たくさんの使用例があろうと思いますが、経気道での中毒事例は見当たらないということで、×ということでよろしいでしょうか。それでは除外します。
 次に臭化水素です。私は、気道障害が少数例だが認められるとしていますが、上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 私も事例としては少ないのではないかと判断しています。
○圓藤座長 角田先生。
○角田委員 こちらに出した論文でいくと、労働者のばく露があったので、これで3つになったので、例としてはトータルすると3件以上にもなる、前のと合わせてなったので、これで気道障害を起こすと思われますので、これで○でいいのではないかと思いました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 今の角田先生のお考えと同様です。
○圓藤座長 武林先生が、症例報告のみということで△でしたが、それほど多くないということで×に変えられています。そのようなことで、少し論文を閲覧して、どの程度起こるのかをもう一度確認したいと思いますので、今回は継続審議のほうに残しておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 次は水酸化カルシウムです。私は前回と同じく○にしています。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 水酸化カルシウムは、水に溶ければアルカリ熱傷が起きることは十分想定できます。セメントというキーワードにすると、これは炭酸カルシウムなので、セメントと水分が反応して水酸化カルシウムが生成されて、そういう化学熱傷ということになるのかなということで、前回の議論で物質名をどうするかというところがあったので、ちょっとその辺は分けたほうがいいのかなという印象はあります。
○圓藤座長 野見山先生、角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 私の場合は、前に挙げられたと思いますが、日本語の文献を調べていても、セメント皮膚炎という文献が日本にもありますし、セメント火傷という文献もあるので、あとニュージーランドの文献を見ると、セメント作業者の皮膚疾患という報告があるので、水酸化カルシウムにするかどうかという議論は確かにあると思うのですけれども、皮膚障害は入れていいのではと判断して○にしました。
○圓藤座長 その辺は、告示にもっていくときの表記する名称をどのようにするのか。水酸化カルシウムが適切なのか、セメントが適切なのかを含めて、事務局にも考えていただいて、次回に回しましょうか。机上的に考えれば水酸化カルシウムのほうが妥当な気がしますが、一般にはセメントと言った方が分かりやすい。それらを含めて、今までの告示の作り方もありましょうから、今後の検討課題にしたいと思います。
 続いて灯油です。これは全員が×にしていますが、いかがでしょうか。皮膚障害が限られているということで×にしました。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 特に職業ばく露という事例は少ないので、ここで挙げる必要はないと思っています。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 職業性ばく露という言葉がほとんどなくて、職業性の皮膚障害と言っても、確定はできないとか、パッチテスト陽性でないとか、余り肯定的な論文ではなかったので、×にしました。
○圓藤座長 それでは、皆さん×ですので、除外します。
 続いてトリエタノールアミンです。私は、症例数が少ないのではないかと思いましたが、野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 症例数が少ないということであれば、×で結構です。
○圓藤座長 野見山先生、これは1つの論文ですか。
○野見山委員 そうですね。古いですし、あるものはあるのですけれども、確かに症例数が少ないというのは一番の×にする根拠に今までもしていますので、その通りで結構です。
○圓藤座長 上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 化粧品に含まれるトリエタノールアミンについては、何かアレルギー性の接触皮膚炎の報告というのが散見されるのですけれども、職業性のばく露という点では不十分かと思います。
○圓藤座長 ということで、これは除外したいと思います。よろしいでしょうか。
 続いてニコチンです。これも生葉たばこ病としてないことはないのでしょうが、症例が少ないということで×にしました。上野先生、いかがでしょうか
○上野委員 前回からの続きの議論になりますが、もともとグリーンタバコシックネスというのが、概念としては急性ニコチン中毒であるということと、それ以外に、たばこの業者を対象にした慢性ばく露に関しての文献が少しあったような気がしますが、それはニコチンと農薬の混合ばく露という考え方もあって、なかなかそれをニコチン単体の慢性ばく露として、いわゆる職業性のニコチン慢性ばく露という評価が難しいので、これはもう外していいのかなと考えました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 結構です。×としていただければと思います。
○圓藤座長 それでは、ニコチンは×として対象から外します。
 フェノチアジンについて、私も症例が少ないとして△から×に改めました。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 一応フェノチアジン系の副作用としての光接触性皮膚炎というのはあるのですが、これが職業性ばく露で起こるかどうかというのは、ちょっとよく分からなかったので、注意喚起が要るのかどうかも何とも言えないというところです。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 文献が十分でないので×ではないかと思います。以上です。
○圓藤座長 角田先生もよろしいでしょうか。
○角田委員 薬剤の副作用という形で出てきているので、それでは十分ではないということで、×で結構だと思います。
○圓藤座長 では、フェノチアジンについては除外します。
 続いて、ほう酸及びそのナトリウム塩です。症例数が少ないということで、私は×にしています。角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 これは、2つですか、呼吸器障害がある文献を見付けたものですから、プラスして3つにもなると、一応それで○にしました。
○圓藤座長 そうしましたら角田先生、この2つの論文を事務局に送っていただけますでしょうか。
○角田委員 はい、分かりました。
○圓藤座長 皆で読んでみたいと思います。では、次回まで継続審議にしたいと思います。
 続いて、N-メチル-2-ピロリドンについて、症例が少ないとして、私は×にしました。野見山先生も症例が十分かというふうに書かれていますね。
○野見山委員 すみません、ここに文献がちょっと書いていないので、今幾つあるのか明確にはすぐ答えられないのですが、2つ以上認めていると自分が思ったので△にしました。ただ、症例がそれでも十分でないということであれば、これも同様に×にしていただいて結構です。
○圓藤座長 症例について、上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 私は症例が見付けきれなかったので、職業性ばく露による皮膚障害という症例報告を十分見付けられなかったので、×に近いかなと判断しました。
○圓藤座長 では、一旦これは×にしておきますが、復活することもあり得るとして、症例が多数あるかどうか、御確認だけお願いいたします。
 続いてヨウ化メチルです。これは、症例は十分ある、過去に幾つかあるということで、私は○にしています。ただ、告示上の表記をどのようにするかというので迷っています。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 圓藤先生が既に挙げられている論文と多分同じものだと思いますが、中枢神経障害の事例報告、特にそれが遅発性で出てくるということで、あと脳梗塞の症状とも区別がつきにくいという、報告書にあった文献も参考にすると、やはり表示は必要かなと考えています。
○圓藤座長 武林先生も○にしています。角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 ちょっと古いですけれども見つけたもので、保護具不十分による症例報告ということで、職場で神経障害が2例起きたというのがありましたので、○にしておきました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 これは従前から○にしていたのですが、臭化メチルの記載が気になるところで、使用についてもある程度同じような使い方をされているということがありますので、実際に臭化メチルの記載が神経障害なのか中枢神経障害なのかというところも一度確認をした上で、決めたらいいと思います。
○圓藤座長 では残しておいて、次回は告示上の表記、それから具体的な内容、告示等で用いることができる文献について、精査したいと思います。以上をもちまして、SDS交付対象物質は終了したいと思います。よろしいでしょうか。
 続いて、資料2-1の理美容師のシャンプー液等の使用による接触皮膚炎に関して、システアミン塩酸塩(CHC)について、私は皮膚障害があるということで○にしています。上野先生が△から○にされていますが、上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 そこに文献として挙げた1つは、第2報となっているのは、労災疾病の研究の報告書みたいなのが公開されていたので、その中でシステアミン塩酸塩のこともちょっとありました。あと、前回御紹介した西岡らの報告の2年前に、イトウらの報告というのがあったのですけれども、そこで、システアミン塩酸塩も含めて13物質ほどを、日本人美容師のアレルギーとして挙げておくことを推奨するといった報告もありましたので、今回○としました。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 上野先生の論文を見たところでは、7例の美容師の例が出ていましたので、これでいいのではないかと考えました。ただ、この論文は2ページしかないので、非常に短いなという印象はあったのですけれども、報告されているのでいいのではと考えました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 今の症例の数であれば十分だと思いますので、△から○に変更します。
○圓藤座長 しかし、武林先生は△から×にされています。日本皮膚科学会ガイドラインがありますので、これが、昨年の時点での接触皮膚炎診療ガイドラインに記載されているのが、我が国での接触皮膚炎に対する考え方をほぼ網羅しているのではないかと考えていますので、そのガイドラインに沿って、もう一度評価していきたいと思っています。これを読みましても、必ずしも明確にこれらの物質について、ここに挙がっているものに関しては接触皮膚炎があるのではないかと思いますが、多数の例が挙がっていないということ、接触皮膚炎に関しては、職業性に関しては、少し540ページの表7、表8にございます、これらのものに関しては記載があるが、これ以上書かれていないというのが気になるところです。どのように取り扱うか、もう一度このガイドラインを見て評価したいと思いますので、このシステアミン塩酸塩についても継続審議として残しておいて、このガイドラインに沿って評価していきたいと思います。
 今までは中毒系のもの、あるいは損傷、障害が明白なものについて選んできましたが、アレルギーが関与するような接触皮膚炎に関しては、感作を受けたから即、業務上疾病として認めるかどうかというのは、少し一段階あるような気がしますので、慎重にしたいと思っていますが、よろしいでしょうか。継続審議のほうに残しておきたいと思います。
 続いて、コカミドプロピルベタイン(CAPB)に関してです。特にこれは、これによるアレルギー性の接触皮膚炎というより、非アレルギー性の皮膚炎ではないか、あるいは皮膚のバリア機能を破壊することによって、他のアレルゲンにばく露したときに感作が起こるというものであろうかと思っていて、私は○にしていいかとは思うのですが、取扱いをどのようにしたらいいのか悩んでいるところです。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 まず、先ほども御紹介した労災疾病研究の報告書の中で、パッチテストの陽性率というのが紹介してありまして、コカミドプロピルベタインに関しては48例施行して陽性が19例、39.6%という、あくまでパッチテストの陽性率ですが、そうだったということがありました。その上にあるアメリカ接触皮膚炎協会のものは、当初はアレルギーであると結論したのですけれども、Cosmetic Ingredient Reviewが出したscientific reviewでは、これ自体がアレルゲンではないと結論していますので、そうなると、圓藤先生のおっしゃるように、非アレルギー性の皮膚炎を起こす可能性のほうが考えられるのかなと、今、思っております。
○圓藤座長 ありがとうございます。先ほどのガイドラインの543ページ、左の欄の真ん中辺り、界面活性剤であるCAPBは、パッチテストでしばしば刺激反応を引き起こすが、その中にDMAPAやコカミドプロピルジメチルアミンなどの感作性物質を含んでいると、これと、今、上野先生がそうおっしゃったのが絡んでいるということですね。
○上野委員 多分このレビューも、同じこの文献を引用した結論ではないかと推測します。
○圓藤座長 そういうことですね。そのようなことを含めまして、慎重に取り扱いたいと思います。武林先生は×、角田先生も×にされていますね。
○角田委員 これは、武林先生のもの等をもう一回読んでみたのですけれども、最初の論文には、アトピーを持っている人は避けたほうがいいと書いてありまして、もう1つ上のものには、偽陽性でしょうということが確かに書いてあるので、むしろ否定的な論文ということで、アレルギーに関しては×ではないかなと思って×にいたしました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 アレルゲンに関しては、今日、先生方から御指摘があったとおり、ない可能性があるということで、武林先生も同様の指摘をされています。圓藤先生も先ほどそのようにおっしゃっています。ですので、非アレルギー性の皮膚炎ということで、私も圓藤先生のものと同一の幾つかの文献を見つけておりますので、これをもって皮膚障害とする可能性を検討していいのかなと考えました。以上です。
○圓藤座長 それでは、継続審議に回したいと思います。
 続きまして資料2-2、パラトルエンジアミンです。これに関しまして幾つかの論文があることで、私は○にしました。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 日本での報告としては、イトウらの報告で、非理美容師群と比較しても理美容師群でのパラトルエンジアミンのパッチテストの陽性率というものが高いということで、考えてもいいのかなと思います。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 誤字があって申し訳ないのですが、日本の文献に加えて海外の文献がありましてということで、複数の文献がありましたので、これでよろしいのではないかなと。それで、パッチテスト陽性と尿中のパラトルエンジアミンが陽性ということで判断させてというケースが多かったので、○にしていいのではと考えました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 報告書も十分ですので、○としていいと思いました。以上です。
○圓藤座長 それでは、引き続き継続審議で、次の段階に移りたいと思います。
 続きまして、ONPPDにつきまして、私は、職業性ばく露による知見が乏しいといたしましたが、上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 これは前回、御報告させていただいたとおりでございまして、現時点では、圓藤先生の御指摘よりちょっと知見は乏しいのかなという、特に日本人を対象としたものが乏しいかなという印象です。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 美容師の皮膚炎ということが職業性の問題になるかと思って、この永木先生の文献を読んだら、パッチテスト陽性は皮膚炎の患者で見られますが、パラフェニレンジアミンの交叉性も判断できないということがありました。それから、弱い感作性が、非常に動物実験では弱いということがあって、むしろ否定的な意見が多かったので、というか、余り肯定的なものはないかなということで、一応ここでは△で×に近いような形で判断しました。
○圓藤座長 野見山先生も△ということですね。
○野見山委員 はい。
○圓藤座長 判断を難しくしている事柄として交叉性があるということをどのように理解していくかを含めまして、現時点では削除はしのびないと思いますので残しておきますが、否定的であるという理解でとどめておきたいと思います。
 続きまして、PAPにつきまして、私は、職業性ばく露の知見は乏しいのではないかなとしておりますが、上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 すみません、見ている文献がほぼ一緒なのですけれども、パッチテストの陽性率からは加えてもいいのかなという。
○圓藤座長 分かりました。野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 上野先生が御指摘のように限られてはいるので、これを十分とするのか、不十分とするのか、もう、そこだけではないかと思います。私はいいかなと思いました。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 先ほどと同じ論文、永木先生のものとかで、論文は終わったと。専門家同士の対談で、やはりこれについてもうパラフェニレンジアミンとの交叉性が判断できないということで、パッチテストの陽性がこの物質によるのではなくて、交叉性で起こっているのではないかという議論が結構強いと。もう1つ、動物実験では感作能が低いということもあるので、前と同じなのですが、やや否定的なところが強いので、△にとどめておくとしました。
○圓藤座長 それでは、継続審議として、結論を出さないで次回に回したいと思っております。
 次はPAABです。私は、パラフェニレンジアミンに交叉反応を示すアレルゲンであるが染毛剤の成分ではないということで、×にしております。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 前回お示ししたとおりでございますが、パラアミノアゾベンゼンそのものの障害起因性とか、あと、美容師に限定した陽性率というのが、ちょっと分からなかったので。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 職業性ばく露の報告ではないということで、また、ここでも誤字があるのですが、交叉反応の可能性が高いという記述もありましたので、これは×にいたしました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 現在の報告では十分ではないかなと判断しました。
○圓藤座長 それでは、全員×ですので除外いたします。続きまして赤色225号です。私は、職業性ばく露の知見が不十分であるということで、×に近い△にしております。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 これも前回お示ししているのですが、ちょっと陽性率は高いのですけれども、集団が日本人ということで63人という、その辺の報告1つで検討するのはちょっと不十分かなという印象はあります。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 これは文献が1つだけで、パッチテストで判断されているのですが、ちょっと交叉反応の可能性も指摘されていますので、情報としてはちょっと不十分ではないかと考えて×にいたしました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 少ないというより、1例ではちょっと厳しいと思いました。
○圓藤座長 今回は残しておきますが、多くの文献があるかどうか、載せるだけの根拠があるかどうかは、次回以降に持ち越したいと思います。
 次の8番のATGにつきまして、私は、文献は2、3あるのですが限られているということで△にいたしました。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 先ほどの文献から、パッチテストの陽性率、あるいは理美容師群での陽性率の高さから考えてもいいのかなという結論です。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 疫学研究で日本の文献があって、あと、症例報告も国内例が結構ありますので、それで一応○ということにしました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 私も今の角田先生と全く同様です。○だと思います。
○圓藤座長 では、残しておいて、今後の検討を行いたいと思います。
 次、9番のモノチオグリコール酸グリセロールです。海外での報告はあるが我が国での報告は不明と、私はしました。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 これは前回に示しているのですが、これ自体は使用量が減ってきていることで最近の陽性率が低下しているというのが、報告書にあった文献だったので、その辺をどのように、圓藤先生が御指摘のように、ちょっと日本では実態がどのようになっているのかという、そういうところだと思います。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 海外での使用を撤廃という記述があって、陽性数が減ってくるのは使用量がぐんと減ってきているのではないかなと。医中誌で見ても、これで出てこないので、ちょっと情報がエビデンス不足ではないかなというところです。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 実態ベースは、今おっしゃっているとおりではないかと思います。エビデンスからは○に近いかなと考えて、△ではなく、あえて○にしております。以上です。
○圓藤座長 それでは残しておきたいと思います。
 13番のペルーバルサムです。私は、陽性率が1.7とそれほど高くないということで、△にしております。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 私は、理美容師という職業起因性についての、そこの結び付きが、この横断研究1つで十分なのかどうかというところです。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 国内で一応パッチテストの対象アレルゲンとして使用されているというものがあって、それで陽性があるというのが1点。あとは、海外での報告例が結構出てくるので、そこで一応2つぐらい出しましたけれども、海外と日本を合わせると認めてもよいのではないかと、○にいたしました。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 これも3つの疫学研究と、あとは症例報告も比較的あったのではないかと思います。ですので、エビデンスは十分だと判断して○にいたしました。
○圓藤座長 それでは残しておきます。
14番のケーソンCGです。私は、2種類の混合物で妥当かどうかということと、理美容師で8%のパッチテスト陽性率があるということ、しかし、交叉反応もあり確定が困難であるということで、△にいたしました。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 その報告書でパッチテストの陽性率が8.3%だったという、そういう記載だけだったので、△としております。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 疫学研究報告は国内等があって、各海外例が結構あったのと、単独かどうかは非常に議論があると思うのですが、物質を含有する接着剤がばく露源として挙げられているので、一応○にしています。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 私も今の角田先生と同様に十分ではないかと。数とかそういったものに十分ではないかと思いましたので、○といたしました。
○圓藤座長 それでは、引き続き検討として残しておきます。
 次、15番につきましては各先生とも×にしております。十分な情報がないということで削除いたします。
 18番、チウラムミックスです。これは4種類の混合物でなじまないということで、私は×にいたしました。上野先生、いかがでしょうか。
○上野委員 その報告書でパッチテスト陽性率というのは10.4なのですけれども、個人的にちょっと懸念したのは、手袋などにも含まれているらしいので、純粋にシャンプー液由来のチウラムミックスによるアレルギーというのと区別が難しいところもあるのかなという印象です。
○圓藤座長 角田先生、いかがでしょうか。
○角田委員 ここに挙げた文献のほかに、海外例が結構これでやると出てくるので、それで○にしております。
○圓藤座長 野見山先生、いかがでしょうか。
○野見山委員 角田先生がおっしゃるように、そういった海外例があります。それが1つ○の理由なのですが、圓藤先生のおっしゃるパーセントが低いというのは、私もちょっと気にはなったのですけれども、ほかのペーパーではもう少し高いものもあったので、あえて○にしております。もしかすると、その対象に影響している可能性があるのかなと考えました。以上です。
○圓藤座長 以上より、2-2のチウラムミックスについては残しておきたいと思います。
 それで、接触皮膚炎についての評価の考え方というのを議論したいと思いますが、私は先ほど日本皮膚科学会のガイドラインを提示いたしましたが、これ以外にも産業衛生学会の許容濃度委員会で、感作性につきまして議論がございます。野見山先生、進捗状況はどのようになっておりますでしょうか。
○野見山委員 まだ終了していないと思いますが。
○圓藤座長 途中ですか。この理美容師のシャンプー液等に関する評価に当たって、感作性の接触皮膚炎というのが無視できない要素だと思うのですが、それについての評価基準のようなものが明白にあるのかどうか。例えばパッチテストでもって評価していいのかどうか。エビデンスの重さについての議論もあろうかと思います。それらを含めて今後どのように評価していけばいいのかについて検討していきたいと思いますが、本日、議題として残しました物質を次回に評価するに当たって準備しておくようなこと、知見、ございますでしょうか。
○野見山委員 この辺の皮膚感作性については、先生も御存じのように、少し基準を修正している段階ですので、その辺りについては、次回に資料をお出しした上で検討していただければと思います。
○圓藤座長 もし、そのような資料がございましたら提示していただきまして、次回までに、今回の評価を再評価するということで行っていきたいと思います。それでよろしいでしょうか。ほかの先生方、国際的な評価なども含めまして、どのような評価がされているのか、何か知見がございましたらお教え願いたいと思います。ということで、ここまでは終了したいと思います。ありがとうございました。
○野見山委員 ここで失礼させていただきます。
○圓藤座長 どうもありがとうございました。
○野見山委員 ありがとうございました。失礼いたします。
○圓藤座長 では、引き続き今後の進め方につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○秋葉中央職業病認定調査官 今後の評価方法ですが、SDSの交付義務のある73物質については、評価が終了しましたので、追加すべき理由等を事務局でまとめまして、次回お示ししたいと思います。シャンプー液等による接触性皮膚炎については、今回のご議論を踏まえて最終評価を実施していただき、次回検討を行いたいと思います。今後の評価の進め方については以上です。
○圓藤座長 ありがとうございました。SDS交付対象の物質につきましても、まだ完全に評価が定まったわけではございませんで、残っている中で、告示としてどのようなものが考えられるかを考えつつ、進めていきたいと思っております。何か御質問はございますでしょうか。では、事務局からお話いただきました今後の評価の進め方に従いまして行いたいと思います。
 次に、前回の分科会で今後の検討項目として説明されております、木材粉じんによるがんにつきまして、これまでの分科会等における議論を踏まえた検討のポイントの御説明をお願いします。
○秋葉中央職業病認定調査官 資料5を御覧ください。「1 これまでの検討結果」ですが、木材粉じんによるがんにつきましては、労働基準法施行規則第35条専門検討会及び化学物質分科会において、計3回ご議論いただき、いずれも別表に追加する必要はないとされているところです。
 直近の平成23年度、24年度の分科会におきましては、「新たな国内発症例の報告は確認できず、別表に追加する必要はないと考えられる」とされました。このため、今回、木材粉じんによるがんを別表に追加するか否かを検討するに当たっては、「2 検討に当たっての主なポイント」にお示しした観点で評価を実施していただきたいと思います。1点目、日本における症例報告は少ないが、諸外国における症例報告や疫学研究報告から国内で発症する可能性があると言えるか。2点目、別表への追加に当たり、具体的に作業や疾病名を限定することはできないか。このような観点になります。以上です。
○圓藤座長 ありがとうございます。(3)の所で、平成23・24年分科会のときには、まだIARCの報告(2012)は出たばかりか、それの評価はしていないですよね。
○古山係長 そうですね。
○圓藤座長 ということは、今回、IARCの報告(2012)を読んだ上で進めたほうがいいということですかね。
○古山係長 恐らく平成24年の最初までやっていたので、IARCの報告は対象としなかったのではないかと思います。確認して、御連絡させていただきます。
○圓藤座長 そうですね。もし評価していなかったら、今回は検討に当たってIARCの2012年を加味して、検討したほうがいいと思いますので、そのようにしたいと思います。よろしいでしょうか。先生方、御質問はございませんでしょうか。それでは最後に、本分科会での検討も進んできましたので、改めて取りまとめに向けてのスケジュールにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○秋葉中央職業病認定調査官 今後の検討予定につきましては、資料6「今後の検討スケジュール(案)」にお示ししています。次回は、シャンプー液等による接触性皮膚炎及び木材粉じんによるがんについて検討を行い、次々回は、カドミウムによる肺がんについて検討を予定しています。その後、昨年度以前の分科会で別途検討とされた項目について検討を行い、年度内の取りまとめを予定しています。
○圓藤座長 ありがとうございます。このようなスケジュール感と審議する内容につきまして、御意見がございましたらよろしくお願いします。よろしいでしょうか。それでは、検討すべき項目はおおむね終了したかと思いますが、事務局から連絡事項はございますでしょうか。
○古山係長 次回の分科会についてですが、先生方から予定表を頂いておりますので、現在調整を行っています。後日改めて、次々回の日程も含めまして先生方にお送りしたいと思います。また、先ほど御説明させていただいた最終の評価シート及び木材粉じんに係る評価シートについても様式を作成の上、先生方に御依頼させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。また、上野先生と角田先生から論文を頂きまして、また先生方に御提供差し上げたいと思います。先生方、よろしくお願いいたします。
○圓藤座長 よろしくお願いします。それでは、本日はこれで終了したいと思います。よろしいでしょうか。長時間、ありがとうございました。