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令和3年7月7日 第63回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第12回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録
日時
令和3年7月7日(水) 18:00~20:00
場所
WEB会議(厚生労働省 共用第9会議室(17階))
議事
○事務局 定刻になりましたので、ただいまより、第63回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和3年度第12回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中を御出席いただき、ありがとうございます。
まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
御発言される場合は、まずお名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、またはあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。現在、副反応検討部会委員9名のうち9名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
なお、全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
また、長谷川委員より途中退席される旨の御連絡をいただいております。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は、退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
本日の座長につきましては、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。
それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾座長 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
本日御出席をされた委員、参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
本日の議題において審議される品目は新型コロナワクチンであり、その製造販売業者はファイザー株式会社、武田薬品工業株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。各委員からの申告内容については事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、全ての委員においてファイザー株式会社から50万円を超える受け取りはございませんでした。宮川委員が武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、意見を述べることはできますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。
なお、本日の審議対象ワクチンの製造販売業者ではございませんが、現在開発中の新型コロナワクチンも含め、関連する製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取状況について各委員より申告いただいておりますので、この場で御報告いたします。
石井委員、宮川委員は第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も御確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
次に、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1から1-4-2、資料2、資料3-1から3-2、資料4、参考資料1から4、また、机上配付資料をお配りしております。
不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○森尾座長 ありがとうございます。
それでは、議題1に入ります。「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等」について、まず資料1-1-1から資料2について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 まず資料1-1、1-2を用いまして、対象期間中の副反応疑いの報告状況について御報告いたします。
資料1-1-1「予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について」をご覧いただければと思います。
今回の集計対象期間は令和3年6月27日報告分までとなっております。
2ページ目をご覧ください。マル1、週別報告件数の表の一番下の「合計(2021年6月27日現在)」の行をご覧ください。左半分がコミナティ、右半分がモデルナとなっております。
まずコミナティです。6月27日までの推定接種回数は3921万8786回接種、医療従事者、高齢者別の内訳につきましては、表の下の注釈の3つ目の※の部分に記載しております。副反応疑い報告件数は1万5991件、報告頻度としましては0.04%となっております。前回の合同部会報告時が0.06%でしたので、前回と比べますと約0.02%低い値となっております。うち、重篤の報告件数は2,262件、報告頻度としましては0.01%で、前回と同一の値となっております。死亡事例については394件となっておりますが、製造販売業者からの報告事例もございますので、後ほどまとめて資料1-3-1にて御説明いたします。
続いて、右に行っていただきまして、モデルナでございます。6月27日までの推定接種回数が95万9165回接種、副反応疑いの報告件数が191件、頻度としましては0.02%で前回と同一となります。重篤の報告件数はうち14件、死亡事例については0件となっておりますが、後ほど資料1-3-2にて改めて御説明いたします。
5ページ目のマル4、副反応疑い報告の報告基準別報告件数をご覧ください。アナフィラキシーにつきましては、コミナティは2月17日以降、モデルナについては5月22日以降の累計となります。6月27日までに医療機関からはコミナティで1,629件、モデルナでは14件のアナフィラキシー事例が報告されております。
以降のページにおきましては、コミナティ、モデルナ別に性別、年齢別等の集計をさせていただいております。
各症例のラインリストにつきましては、コミナティを1-1-2-1、モデルナを資料1-1-2-2という形でお示ししております。
続きまして、資料1-2-1「薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について」をご覧ください。
こちらも集計対象期間は6月27日報告分までとなっております。
2ページ目、マル1、週別報告件数の表の一番下の行をご覧ください。
まずコミナティでございますが、こちらは重篤なものが報告対象となっておりますが、5,943件、頻度としましては0.02%で、前回の合同部会時と同一の値となっております。死亡事例は324件となっておりますが、医療機関分との重複もございますので、後ほど資料1-3-1にて改めて御説明いたします。
続いて、右半分のモデルナに行っていただきまして、副反応疑い報告件数については43件報告されております。死亡事例は1件報告されておりますが、こちらも改めて資料1-3-2という形でお示ししたいと思います。
1点の補足が今回ございまして、下の※の注釈の下から2つ目の「この他に」という部分の記載となります。ここで集計表に加えたものとは別に新型コロナワクチンの製造販売業者ではない製造販売業者から、当該業者の医薬品の副作用報告の中で、詳細は不明なものの新型コロナワクチンが報告されるという事例が2件ございました。
詳細な事例は資料1-2-2-3や資料1-2-3-3という形でお示しておりますが、例えば新型コロナワクチンが接種された方でアバスチン治療時に十二指腸出血が発現されたような事例がありまして、アバスチンとの因果関係はありということで副作用報告されておりつつも、一方、その他の要因としまして、詳細は不明ながら新型コロナワクチンも接種されていたということがありまして、被疑薬として報告されたという事例でございます。新型コロナワクチンの詳細が不明ですので件数には集計しておりませんが、こういった事例につきましても報告がありましたら、資料1-2-2-3あるいは資料1-2-3-3という形で今後もお示ししたいと考えております。
資料1-2-1の続きでございます。3ページ目をご覧ください。アナフィラキシー事例の報告件数でございまして、コミナティが1,632件、モデルナが13件報告されております。ブライトン分類の評価結果につきましては、後ほど資料1-4-1、1-4-2という形で御報告いたします。
続きまして、資料1-3-1「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(コミナティ筋注)」をご覧ください。コミナティの死亡事例について御報告いたします。
1ページ目、「1.報告状況」でございます。前回の合同部会以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、死亡として報告された事例が新たに99件ございまして、6月27日までに報告された死亡事例は計453件となってございます。
なお、※の部分に記載しておりますが、これまでNo.158と215というように異なる2件の事例と報告していたものがございましたが、調査の結果、同一症例であったことが判明いたしましたので、今回からラインリスト上ではNo.215を158のほうに統合してございます。その結果、別紙1の症例Noでは1から454が今回の症例に対応しておりますが、事例数としましては重複が1件排除されますので、453件と表記してございます。
2つ目の○に進みまして、集計対象期間外とはなりますが、6月28日から7月2日というところまで見ますと、新たに101件死亡事例が報告されてございます。
「2.専門家の評価」の部分でございます。6月27日までに報告されました453事例を対象に専門家の評価を実施しておりまして、結果としましてはαが1件、βが7件、γが451件となっております。
今回αとなった事例がございますが、下の★の注釈を入れたとおりの状況でございまして、血小板減少の原因としましては、ワクチンが誘因となった可能性が否定できないが、血小板減少と死亡との直接的な関連性は不明であるとコメントされた事例がございまして、血小板減少がα、その他の症状がγと報告されておりますので、こういった事例のように1つの報告書の中で複数の症状が報告されました6症例につきましては、症状別にα、β、γの評価が分かれておりまして、こういった場合はいずれの評価結果も全て足し合わせておりますので、総数としては459件となりますが、症例数としましては453例という形となります。
具体的な事例が分かったほうがよろしいかと思いますので、机上配付資料という形で6症例の症例表を本日お配りしております。机上配付資料をお開きいただければと思います。本資料につきましては、資料1-2-3-1の抜粋でございます。
先ほどαとγと報告された事例を例に取って御説明いたします。机上配付資料の15ページ目をご覧ください。左から2番目の項目の部分に、報告されている全症状を書き出しております。この場合は血小板減少症、腎機能障害・腎不全、くも膜下出血、水頭症、高窒素血症、頭蓋内圧上昇の6症状がありまして、今回の専門家の評価では血小板減少のみがαという評価になっておりまして、その他の症状がγという結果でございました。これらの症状との因果関係も踏まえまして、ワクチンと死亡との総合的な評価というものに記号は付与されていない状況でございました。
資料1-3-1に戻っていただきまして、39ページ目になります。No.356以降が今回初めて報告する事例となります。
飛んでいただきまして、一番最後のページとその前の56ページとなります。別紙2でございます。集計対象期間中までに報告があった453事例につきまして、因果関係評価を問わず死因等の症状を性別、年齢別で件数を集計しております。また、ある程度症状をグルーピングしたほうが評価しやすいということもあるかと思いますので、後ほど資料3-1にてある程度グルーピングしたものを別途お示しさせていただきます。
続きまして、今度は資料1-3-2「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(モデルナ筋注)」をご覧ください。モデルナの死亡事例について御報告いたします。
1ページ目、「1.報告状況」でございまして、前回の合同部会以降、死亡として報告された事例はなく、接種開始以降6月27日までに報告された死亡事例は、前回の合同部会で御紹介しました1件でございます。
なお、集計対象期間外となりますが、6月28日から7月2日までに新たに報告された事例が1件ございました。
「2.専門家の評価」でございまして、今回は1例目を対象に専門家の評価を実施しておりまして、結果はγでございました。
以降はコミナティの資料同様、2ページ目にラインリスト、3ページ目に死因別の集計をおつけしております。
資料1-3の説明は以上となりまして、続きまして、資料1-4-1「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして製造販売業者から報告された事例の概要(コミナティ筋注)」をご覧ください。コミナティにつきましては、製造販売業者からの報告内容に基づきましてブライトン分類評価を実施しております。
1ページ目、「1.報告状況」でございます。前回の合同部会以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、製造販売業者からアナフィラキシーと報告された事例が新たに225件ありまして、6月27日までに報告された事例は1,632件となりました。
「2.専門家の評価」でございます。この1,632事例を対象に専門家の評価を実施しておりまして、表に結果をお示ししております。
2ページ目の一番上の参考1と記載した部分をご覧いただければと思います。ブライトン分類レベル1から3の報告件数は3921万8786回接種につきまして289件、100万回当たりの報告件数では7件という状況でございました。これまでの推移につきましては、後ほど資料3-1にてお示しいたします。
以降はブライトン分類1から3に該当する289件について集計したものですので、こちらも適宜御参考いただければと思います。
続きまして、資料1-4-2「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして医療機関から報告された事例の概要」のモデルナ筋注のほうをご覧いただければと思います。
モデルナにつきましては、医療機関からの報告内容に基づきましてブライトン分類の評価を実施しておりまして、1ページ目の「1.報告状況」の部分でございますが、前回の合同部会以降、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例は新たに10件ありまして、接種開始以降27日までに報告された事例は計14件となってございます。
「2.専門家の評価」の部分になりますが、この14事例を対象に専門家の評価を実施しておりまして、ブライトン分類レベル1から3に該当する事例は1件でございました。
2ページ目の一番上に100万回当たりの報告件数を記載しておりますが、1件ということとなります。
続きまして、資料2をご覧いただければと思います。コミナティ筋注とモデルナ筋注の添付文書の改訂について御報告いたします。
まず初めに、諸外国における最新の状況から御報告させていただきますと、前回のこの合同部会以降に米国のACIP等で議論が行われておりまして、米国、英国の添付文書におきまして、コミナティ、モデルナの心筋炎に対する記載が追記されている状況でございます。
具体的な記載はまた資料3-1の中でお示ししておりますが、市販後の副反応疑い報告によりますと、心筋炎、心膜炎のリスクの増大が示唆されているのではないか、あるいは特に2回目接種時のリスクが高いといったこと、あるいは心筋炎の徴候が見られた場合には直ちに医療機関を受診するべきではないかといった内容でございました。
諸外国におけるこういった内容あるいは前回合同部会のときにラインリストという形で国内の発生状況についてお示しさせていただきましたが、日本の市販後の副反応疑い報告ということでも若年男子の2回目の接種者での心筋炎事例ということが何件か報告されておりましたので、これらも踏まえまして添付文書が改訂されておりまして、心筋炎に対する注意喚起を行ってございます。
資料2において追記内容をお示しいたしております。右上の改訂後「8.重要な基本的注意」の項でございます。本日新たに「本剤との因果関係は不明であるが、本剤接種後に、心筋炎、心膜炎が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること」といった文言が追記されております。
また、右下の部分につきましては、CDCからステートメントが発出されておりますので、「15.1 臨床使用に基づく情報」という形でその内容を追記するとともに、「23.主要文献」ということでCDCの原著を引用しております。
本日、会議資料としましてコミナティ、モデルナの添付文書を配付しておりますが、配付したものはどちらも改訂後の添付文書となっております。
資料1-1-1から資料2までの説明は以上となります。
○森尾座長 ありがとうございました。
それでは、資料3-1、3-2について説明をお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。事務局でございます。
資料3-1「副反応疑い報告の状況について」ということでまとめさせていただいております。
2ページ目でございますけれども、こちらはこれまでは死亡についての事例の御報告からさせていただいておりましたが、まず全体を俯瞰するためということで、2ページ目につきましては、資料1におきまして御紹介させていただきました医療機関報告全体像、あるいはその重篤な報告のうち死亡報告等につきまして整理させていただいております。まず上段の青色でお示ししているのがファイザー社ワクチン、下段のものが武田/モデルナ社ワクチンでございます。
ファイザー社ワクチン、青の表の上段におきましては「推定接種回数」あるいは「推定接種回数(うち高齢者等)」についてお示ししております。なお、今回より右側の「備考」のところにございますけれども、これまでは「高齢者等」という枠組みで首相官邸ウェブサイトで御紹介されておりましたものが、一般接種の中で高齢者以外の接種も進んでおりますため、一般接種のうち高齢者の接種回数というものがレファレンスできるようになってまいりましたので、そのような枠組みでこちらに接種回数を載せさせていただいております。
その下段の2段でございますけれども、こちらは前回分6月13日分までと今回分6月27日分ということで、それぞれ左側に「医療機関報告数(報告頻度)」、右側におきまして「製造販売業者報告数(報告頻度)」ということで上段、下段で分けさせていただいておりますので、こちらで改めて御確認いただければと思います。
下段につきましても同様の構成となっておりまして、武田/モデルナ社ワクチンについて、前回と今回について全体像をご覧いただければと考えております。
続きまして、3ページ目でございます。「新型コロナワクチンにおいて死亡として報告された事例の概要」ということで、従前どおりまとめさせていただいております。新型コロナワクチンにおいて、予防接種後開始後より今回の審議会までに死亡として報告された事例の概要は以下のとおりでございました。
前回の審議会6月13日時点までに死亡として報告された事例は277件でございましたけれども、今回の審議会時点6月27日時点に死亡として報告された事例は453件でございました。症状の概要に記載された死因等は、次のページでもお示ししてまいりますけれども、心不全58例、虚血性心疾患41例、出血性脳卒中37例等でございました。また、6月28日から7月2日までに医療機関または製造販売業者から死亡として報告された事例は101件でございました。
また、武田/モデルナ社ワクチンにおきましては、今回の審議会時点までに死亡として報告された事例が1件、また、6月28日から7月2日までに死亡として報告された事例が追加で1件ございました。
続きまして、4ページ目をご覧ください。こちらは資料1-3-1の別紙2でもお示ししておりましたとおり、予防接種開始後より今回の審議会までにファイザー社ワクチン接種後に死亡として報告された453例のうち、年齢及び症状の概要に記載された死因等についてグルーピングを行いまして、より因果関係が疑われるもの等につきまして見やすいようにまとめさせていただいておる次第でございます。
年齢別につきまして、委員の先生方より年齢別で少し見ていくことが重要であろうというお言葉をいただいておりましたので、65歳以上、65歳未満ということで今回も分けさせていただいておりまして、65歳以上につきましては420例、65歳未満が31例という状況となっております。なお、前回65歳未満につきましては29例ということで、今回2例、65歳未満の中で死亡として報告されたものがございました。
実際に症状の概要に記載された死因等につきましては、下に列挙させていただいておりますけれども、そのうち括弧の中につきましては65歳未満の内数となっております。65歳未満の2例につきまして、1例は不整脈、10例のうちの(3例)のうちの1例でございます。また、具体的な死因が不明であるといったものに(4例)ということで記載しておりますけれども、こちらが65歳未満の1例でございました。全体の傾向として見ますと、心不全、虚血性心疾患、出血性脳卒中等、65歳以上の方に多く見られる疾患での死亡の報告が多かったかと考えております。
また、最下段に記載しておりますけれども、武田/モデルナ社ワクチンの接種後に死亡として報告された事例1例におきましては、94歳女性、出血性脳卒中との記載がございました。こちらを御参考にいただきながら御議論いただければと考えております。
なお、前回までの審議会におきまして、令和元年度の人口動態統計による死因等につきましての表を載せさせていただいておりましたけれども、こちらは参考資料に載せておりますので、そちらも御参照いただければと考えております。
続きまして、5ページ目でございます。こちらは日本における死亡として報告された事例のファイザー社ワクチンにおける経時的な変化をお示ししてございますけれども、最下段が最新のデータでございまして、100万回接種当たりですと11.6件、100万人接種当たりですと17.3件ということで、前回からほぼ横ばいの推移になってきたという状況かと考えております。
6ページ目でございますけれども、こちらも引き続きまして、英国について若干のアップデートがございまして、海外の死亡例に関する最新の報告状況ということでご覧いただければと考えております。
7ページ目でございますけれども、こちらは武田/モデルナ社ワクチンにおいての海外死亡例に関する最新の報告状況ということで、こちらも英国に関して若干のアップデートがございます。
8ページ目、死亡例の報告状況及び因果関係に関する考え方ということでまとめさせていただいております。副反応疑い報告制度におきまして、ファイザー社ワクチン接種後に死亡例として報告されたものは、接種開始後から453件でありました。また、ワクチン間において被接種者の属性等に大きく差があることに留意が必要でありますが、武田/モデルナ社ワクチンにおきましては1件の報告がございました。
報告された症状等は心不全、虚血性心疾患、出血性脳卒中でございました。
死亡例については、引き続き報告内容について透明性をもって公表するため、個人情報につながる情報を除き、報告情報を可能な限り公表するとともに、併せて専門家による評価も公表しております。
専門家による評価につきましては、453件のうち446件はワクチンと症状名との因果関係が評価できない(γ)、1件はワクチンと症状名との因果関係が認められない(β)とされました。また、症状により評価が異なった6件のうち、1件はαまたはγ、5件はβまたはγと評価されております。
まとめといたしましては、ご覧いただいた資料のように引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団として適切にグルーピング等を進めながら、データを系統的に検討していくこととしてはどうか。
また、死亡例の報告に関しては、被接種者の属性の変化や海外の報告状況等も鑑みつつ、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということで御議論いただければと考えております。
続きまして、9ページ目をご覧ください。こちらは日本のアナフィラキシーに係る医療機関からの報告状況ということで、ファイザー社ワクチンの医療機関からの報告の経時的な変化をお示ししております。こちらも前回同様100万回接種当たりの件数で言いますと、現時点で42件ということで、引き続き減少傾向が続いております。
10ページ目におきましては、製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された件数及び製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された件数に基づきブライトン分類を行って評価された件数をお示ししておりますけれども、こちらも100万回接種当たりの報告件数で42件及びブライトン分類でも100万回接種当たりの報告件数で言うと7件ということで、緩やかな減少傾向が続いております。
続きまして、11ページ目でございますけれども、海外のアナフィラキシーに係る最新の報告状況ということでファイザー社ワクチンのデータをお載せしており、英国におきまして若干のアップデートがございます。
12ページ目でございますけれども、「日本のアナフィラキシーに係る医療機関からの報告状況について」ということで、武田/モデルナ社ワクチンでございます。こちらも以前に御紹介しておりますけれども、武田/モデルナ社ワクチンとファイザー社ワクチンは被接種者の属性等が大きく異なるため、単純な比較は困難であることに留意を要するとは考えておりますが、医療機関からのアナフィラキシーとして報告された件数は現時点で14件、100万回接種当たりですと14.6件、ブライトン分類に基づきまして評価された件数としましては1件、100万回接種当たりとしても1.0件という状況となっております。
13ページ目におきましては、海外のアナフィラキシーに係る最新の報告状況ということで、武田/モデルナ社ワクチンについてのデータをまとめております。
14ページ目、アナフィラキシーに関する報告状況についてのまとめでございます。
副反応疑い報告制度において、製造販売業者からファイザー社ワクチンのアナフィラキシーとして報告されたものは1,632件でありました。うち、ブライトン分類に基づく評価においては289件がアナフィラキシーと評価されております。
また、ワクチン間において被接種者の属性等に大きく差があることに留意が必要ではございますけれども、武田/モデルナ社ワクチンにおいては医療機関報告は14件、ブライトン分類に基づくアナフィラキシーとしてはブライトン分類2ということで1件がございます。
アナフィラキシーとして報告された例については、こちらも透明性をもって公表するため、報告件数をそのまま公表する一方、正確な評価も必要ということで、引き続きブライトン分類による評価を行っております。
海外との比較においては被接種者の違いあるいは報告制度の違い等の理由から、単純な比較が難しい状況にあると考えられますが、接種後には一定の頻度でアナフィラキシーが生ずるということを踏まえました上で、引き続き経過も確認しておりまして、アナフィラキシーとして報告されたほとんどの例で軽快したことを確認しております。
以上をまとめまして、新型コロナワクチンのアナフィラキシーとして報告された事例につきましては、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等の差に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続していくこととしてはどうかということで御審議いただければと考えております。
続きまして、15ページ目でございます。こちらは以前より少し注視しております心筋炎関連事象についてのスライドでございます。米国における新型コロナワクチンの接種後の心筋炎関連事象についてということでまとめておりまして、青囲みの中をご覧ください。まずファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチンについて解析ということで、CDC、ACIPにおきましての会議資料をこちらにお載せしております。
心筋炎関連事象につきましては、1回目接種よりも2回目接種のほうが報告例が多く、年齢は低い層で多く、かつ男性の割合が多く、2回目接種後の報告例の約8割が男性であった。2回目接種後の報告例について、年齢による層別解析を行った結果、若年層では実際の報告数のほうが予測値も大きかった。大部分の報告例は接種後1週間以内、多くの場合は接種後4日以内に発症した。現時点で得られている予後のデータでは、一般的に患者は症状が回復しており状態は良好であると示唆されると記されておりました。
また、下段におきましては、ファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチンのFact Sheetが更新されましたのでお載せしております。Warningsの項におきまして、2回目接種後の心筋炎及び心膜炎のリスク上昇が示唆されること、心筋炎または心膜炎の既往のある者への接種の判断は患者の臨床状況を考慮すべきであること等が記載されておりました。基本的には前回の審議会と同様の内容であると承知しております。
16ページ目でございますけれども、こちらは英国と欧州ということで、米国に比べますと若干トーンとしては弱めでございますが、同様の更新がございまして、英国におきましては心筋炎関連事例やそれらの重大な症状への注意喚起を含むように製品の情報が更新されているといった情報がございました。
また、欧州におきましても引き続き追加でのデータの提出を製造販売業者に求めるといった内容がございました。
また、両者に※としてお載せしておりますけれども、こちらのバックグラウンドとなる一般的な心筋炎、心膜炎の発症率について記載がございましたが、日本でNDBのデータを用いましてお示ししたデータとほぼ同等のレベルのものがあるということで、バックグラウンドデータとしては同等のものがあると考えております。
続きまして、17ページ目、こちらが国内の新型コロナワクチン接種後に心筋炎関連事象ということで報告されたものについての資料ということで、キースライドとなります。医療機関からの心筋炎関連事象を発症したとして報告された事例の概要でございますけれども、今回の6月27日時点におきましては医療機関から20件(19例)の報告がございました。年齢別で見ますと40歳未満が9件(8例)、40歳から65歳未満が4件、65歳以上が7件という状況でございました。注視すべきとされております40歳未満の男性におきましては、今回、前回の審議会から1例の追加がございました。また、前回の審議会から最も増えておりましたのは65歳以上のゾーンでございましたけれども、こちらは手元の計算ですと前回時点に比べまして報告の割合が大きく増えているといったことはないと事務局としては考えております。
なお、武田/モデルナ社ワクチンの接種後に心筋炎関連事象として報告された事例が65歳の女性として1件ございましたので、併せまして御報告させていただきます。
18ページ目でございますけれども、こちらは令和元年度における心筋炎の関連事象の発生者ということで、いわゆる非ワクチン接種者のコントロール群のデータとしてお載せしておりまして、前回同様のものとなりますけれども、こちらを御参照いただきながら御議論いただければと考えております。
19ページ目及び20ページ目でございますけれども、全体の接種者を区切らず全体像としての報告件数ということで海外との比較をしておりますので、それぞれご覧いただきながら御議論いただければと考えております。19ページ目がファイザー社ワクチン、20ページ目がモデルナ社ワクチンについての情報でございます。
また、先ほど添付文書の改訂のお話がございましたけれども、21ページ目におきまして、これらを受けました心筋炎関連事象についての周知ということでまとめさせていただいております。発生状況が注視されている心筋炎関連事象につきましては、今回、前回の審議会の時点からウェブサイトのQ&Aの更新や添付文書の改訂により周知及び注意喚起を行っております。
先ほど、右側の添付文書の改訂につきましては御紹介申し上げておりまして、左側のウェブサイト、Q&Aの更新について簡単に御紹介申し上げますけれども、こちらは7月2日に更新を行いまして、「ワクチンを接種すると心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当ですか」というQを立てまして、そちらに対しましてはAとして「mRNAワクチン接種後、頻度としてはごく稀ですが、心筋炎あるいは心膜炎になったという報告がなされています。軽症の場合が多く、心筋炎や心膜炎のリスクがあるとしても、ワクチン接種のメリットの方がはるかに大きいと考えられています」ということで、国内の状況及び国外の状況を含めまして、このようなAを立てさせていただいております。
字が小さくて恐縮でございますけれども、その下段におきましては、前回御登壇いただきました循環器内科の岸参考人等のコメントも含めまして、審議会でいただきました御議論を踏まえてのコメントを載せておりますので、こちらをご覧いただければと考えております。
22ページ目に「心筋炎関連事象及び副反応疑い報告例に関する全体のまとめ」ということでお載せしております。
まず、心筋炎関連事象についてのまとめでございますけれども、心筋炎関連事象は一般にウイルス感染症等によって発症する。顕在的な症例はまれではあるが、無症候性や軽症例のものも含め、潜在的な症例が存在しているものと想定されている。
海外の報告では、ワクチン接種後の心筋炎関連事象は、1回目よりも2回目接種後の報告例が多く、若年の男性で多い傾向にあり、また、発症しても軽症が多いとされている。
我が国の報告においても、海外の報告と同様、1回目よりも2回目接種後の報告例が多く、若年の男性で多い傾向にある。引き続き若年男性に係る報告事例では、全例、軽快または回復が確認されている。
正確な比較は困難ではあるが、若年男性においては、非接種者における発現頻度に比べ、接種者における発現頻度が高い可能性があるが、前回審議会時点以降報告頻度に大きな変化はないと考えております。
また、これらの状況を受けまして、ウェブサイトや添付文書改訂により周知及び注意喚起を行ったところと。
ワクチン接種後の心筋炎関連事象の考え方についてのまとめでございますけれども、現時点においては、これらの状況を鑑み、ワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、国内の発生状況や海外における報告状況を引き続き注視していくとともに、ウェブサイトの更新等により最新の情報の周知及び注意喚起を行っていくこととしてはどうかということで御審議いただければと考えております。
これらの副反応疑い報告例に関するまとめということで、全体をまとめさせていただいております。死亡、アナフィラキシー及び心筋炎関連事象を含めた国内の発生状況については、現時点において、ワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、引き続き国内外の情報を収集しつつ、新型コロナワクチンの接種を継続していくこととしてよいかということで御審議いただきたいと考えております。
以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
事務局からこれまでの副反応疑い報告の状況について御説明をいただいた状況であります。今の資料3-1で論点が示されていますので、これに沿って議論を進めていきたいと思います。
まずは死亡事例についてでございます。3-1のまとめのところにはございませんでしたけれども、1つ論点を示していただいたかと思っております。それは先ほどの資料1-3-1の事務局の説明の中で、複数の症状が報告された症例のうち症状により評価が異なった6例について、症状別にα、β、γの評価が分かれたため、いずれの評価結果も集計しているという説明でございます。
このような評価方法を行った場合、症状とワクチンとの因果関係評価は非常に明確になり、どういった症状に留意して、接種後の副反応にどのように介入すべきかという検討が可能になるということはございますけれども、一方で、死亡とワクチンとの因果関係の評価が不明確になるという問題があるのではないかと思われます。
事務局から提案のあった6症例については、資料1-2-3-1の企業報告において、その経緯も含めて詳細な報告がなされておりますし、今回机上配付資料として御提示させていただいている中で6例が示されている状況であります。
ここでお諮りしたいのは、今後、複数の症状を持つ死亡事例が報告された症例について、症状別ではなくて症例単位でもワクチンとの因果関係を評価すべきではないかという論点がございますけれども、この点についてどう考えるか、御意見や御質問をいただきたいと思っております。
まず、α、β、γというところをもう一回明確にしておきたいと思っておりますけれども、皆様、参考資料3をお開きいただけますでしょうか。「合同会議へ報告する資料の作成に関するルール」ということでございまして、参考資料3の2ページ目のところに資料の作成方針が書かれております。
後遺症・ADEM/GBS・アナフィラキシー・死亡症例について、共通でこのような形でα、β、γと追っていきましょうということでありまして、αは「ワクチンと症状名」と書いてありますが、「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」という形でありまして、これは中を読むと、いろいろな要素を勘案して医学・薬学的観点から総合的に判断して、ワクチン接種が事象発現の原因となったことが否定できない症例と書いております。
γについては「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」、「等」ということでいろいろなものが含有されていると考えますけれども、因果関係の評価ができないと判断されたものということでございます。
付随的なことも説明をしてしまいましたけれども、症状単位ではなくて症例単位で死亡との因果関係を評価したほうがいいのではないかという論点でございますが、委員の皆様から意見、御質問等があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。
いろいろと難しい問題がある中で、例えば今回141番を例として挙げていただいていますけれども、血小板減少症が今回のワクチン接種と関係しているのではないかということでα、そのほか腎障害、くも膜下出血、水頭症、高窒素血症、頭蓋内圧上昇、これはγとなっていて、総合的な評価としてはいただいていないという状況であります。いかがでしょうか。
○佐藤委員 今のラインリストに載っているのでしょうか。今の症例が実際にどこにどういう感じで並んでいたのかを見てみたいと思ったのです。
○事務局 資料1-3-1をご覧いただければと思います。19ページのNo.141になります。論点でお示ししたのは一番右の部分のところでして、今、α、γという形になっておりまして、コメントもいただいているところなのですが、「血小板減少はα、その他のPTはγ」で、少し省略させていただきまして、コメントの一番最後の部分で「血小板減少と死亡との直接的な関連性は不明である」となっておりますので、この症例とワクチンとの因果関係というよりは、この症状についてのα、γが付与されている状況ですので、これをどう考えるのがいいかという論点でございました。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾座長 佐藤委員に御指摘いただいたのは重要なところでありまして、これは実際の表でどうなっているかを見ていただくことが一番重要で、最終的な死因との因果関係というところで「不明である」という書き方に終わっているということでございます。
濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 この会は個別の症例を云々言うことではないという話であったと思うのですが、この141番というのが例に挙がっているのでお伺いしたい。血小板減少がこのワクチンで起きていると、判定された方は考えたわけですね。海外の文献などを見ても、mRNAワクチンで血小板減少が起きているというのは、私は今まであまり見たことがないのですけれども、そのように御判断されたということですね。その結果、くも膜下出血が起きたということではないのですか。もしそれであれば、くも膜下出血は、ワクチンで血小板減少が起きて、例えば出血傾向などがあるために起きたという流れもあるわけですけれども、どういう論理展開かがいま一つよく分からなかったのです。その辺を事務局で説明していただくと、血小板減少、くも膜下出血という関係です。この141番をとやかく言うわけではないのですけれどもね。
○森尾座長 濱田委員から非常に重要な点を指摘していただきました。まずは個別の症例を詳しくとなるとなかなか大変なことになるのですけれども、どうでしょうか。非常によく記載されていて、抗HIT抗体は陰性であって、PAIgGは調べていただいていて上昇しているという経過から、ワクチン接種から血小板減少が起きているということはαでいいのではないかという御判断で、くも膜下出血との関係があるのではないかというところを含めての見解であると。
事務局、お願いします。
○事務局 補足させていただきます。
座長からお話がありましたけれども、αというのは特にこの報告された先生、それから、評価された先生が、これが原因だということを言っているわけではなくて、因果関係が否定できないという表現になっております。そういう意味でいくと、先ほど座長からも言われたように、原因として考えられる幾つかの仮定、想定されるものが否定された場合において、ワクチンの接種時期を考慮するとワクチンの因果関係は否定できないという趣旨でαになったと理解しております。
その上で、先ほど資料1-3-1だと思うのですが、そこに書いてあるように、血小板減少はα、その他はγとして、ワクチン接種後の血小板減少の原因としては、ワクチンの関与よりも接種時の身体状態に問題があったのではないかと推測されるけれども、誘因になった可能性は否定できないという表現になっています。更に、血小板減少と死亡との直接的な関連性は不明という表現になっているということになっております。
○濱田委員 そうすると、この因果関係評価のα、β、γは、死因に対する因果関係の評価という意味合いでよろしいのでしょうか。
○森尾座長 お願いします。
○安全管理監 PMDAでございます。
資料1-3-1では、それぞれ示されている副作用名、例えば血小板減少症やくも膜下出血についての因果関係評価を、今、α、γのところでは書いている状況になっております。
○森尾座長 死因との関係を明示されていないので、今回皆様の御意見をいただきたいのは、死因との関連についてα、β、γとしてお示しいただくことがよろしいのではないかということに対して、御意見を頂戴できればと思っております。結局、死因とはどうなのかということです。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 専門家による評価、141番のラインリストの6月23日時点の一番下の行は「ワクチンと血小板減少の因果関係は不明」と書いてあるのですけれども、7月7日の評価だと「否定できない」と書いてあります。これはきっと同じ方ではないですね。
○事務局 その件につきましては、6月23日の時点はいわゆる医療機関報告で評価しておりますので、その後、企業報告が来てより情報量が増えたものに対しての評価だということになります。
○佐藤委員 そうしたら、その場合は一番遅いときの判断を見るべきという考え方ですか。
○事務局 情報量が増えた結果という意味でいくと右側です。
○佐藤委員 評価が複数ある場合はプライオリティーを決めないといけないと思います。同じ重みづけで読んではいけないということをはっきりさせないといけないと思います。
○事務局 そういう意味でいくと、情報量が多いのが右側になりますので、右側のプライオリティーが高いということになります。
○佐藤委員 右側なのですね。分かりました。
この判断をされているのは専門家で同じ方なのですね。
○医薬品安全対策第二部長 PMDAから回答させていただきます。
この症例につきましては、1回目と2回目は、評価された専門家は別になっています。
○佐藤委員 なるほど。分かりました。
○森尾座長 重要な点をありがとうございました。
右側のほうが情報量が多くて、最終的な判断ということで御理解いただけたらと思います。
柿崎委員から手が挙がっています。お願いします。
○柿崎委員 柿崎ですけれども、この表でα、γが現在は事象に対する因果関係の評価が記載されているわけですが、この1-3-1は死因の検討の資料なので、この欄には本来ならば死亡との因果関係を記載すべきなのではないかと考えるのです。そうであれば、この欄にはγと記載して、αやγなど事象との因果関係に関しては右の欄に付記するような形のほうが全体の表としては分かりやすいような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
○森尾座長 御意見ありがとうございました。
私も十分説明していなかったのですが、先ほどの参考資料3のところも死亡事例についてα、β、γというようにとは書かれていて、ただ、中を読むと症状名との関係と書いてあるので分かりにくくはなっているのですが、そこら辺の一貫性というのでしょうか。症状別でつけていただくという意義があると思われる方も多いと思うのですが、死亡との関係について記載していただくということについていかがかということでございます。いかがでしょうか。
伊藤澄信委員、お願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
今まで副反応のコーディングをされている人は、直接の死因になったかどうかを判断して判定していたのではないかと思っています。でも、このワクチンに関しては比較的副反応が強いので、副反応が死亡の誘因になった可能性が高い症例が少なからずある気がするのですけれども、それが誘因になったということではなくて直接の死因になったということで過去のデータは判定いただいているような気がするのですが、方針として転換するのであれば過去のものも含めてやり直さないといけないのではないか。誘因という意味でみていくとほとんどの高齢者の方々の死亡に誘因にならなかったかどうかを判定をするのは難しいところもあるので、ここはよほど慎重に考えないといけないのではないかという気がします。
以上です。
○森尾座長 伊藤委員、ありがとうございました。
これは非常に重要なポイントで、誘因と後押しをしてしまったものと、そうではなくてワクチンを打ったということで直接的に新しいことが起きて、そして、亡くなられた方をどう区別できるのかという点も含めての議論だと思っておりますが、いかがでしょうか。
お願いします。
○宮川委員 宮川ですけれども、よろしいでしょうか。
誘因という形になれば、これは年齢も全て誘因になるわけです。そういう意味では誘因というわけではなくて、さまざまな原因となったものをしっかりと記載して、そこに因果を考えていくというのが本来であろうとは思います。でなければ、今までの整合性が立たない形になるのではないでしょうか。
○森尾座長 ありがとうございます。
今までもかなり議論を進めてきたところではないかと思っております。
事務局、お願いします。
○事務局 少しだけ補足させていただきたいと思います。
もともとこの副反応について、死亡事例について言いますと、症状別にしている意味は、症状ごとにどういう因果関係があって、それらを踏まえてどのような安全対策措置を取っていくのだという観点もありましたので、症状別にやっていた経緯があるわけです。今まではいいか悪いかどうかは別にしてγがすごく多かったし、βが若干ありましたけれども、そういう状態であったということであります。つまり、症状毎の評価と症例毎の評価が一致していたということになります。今回初めてαが出てきたので、先ほどの血小板減少が1%も死亡に起因していないかというと、そんなことはないのだと思うのですけれども、それがどの程度まで寄与したのか、または、死亡の主要な原因となったのかは分からないのだと思うのですが、そういう意味でいくと、もう少し分かりやすい表現という意味で総合的にワクチンとの因果関係を見ることも考えるべきかどうかという意味で御意見を賜りたいという趣旨であります。
○森尾座長 ありがとうございました。
お願いいたします。
○安全管理監 PMDAでございますが、補足させていただきますと、ここの因果関係評価の欄に書かれているものはいわゆる副作用名、PTと言っていますけれども、それで挙がっているものについての因果関係評価を書いておりますが、今、御議論になっている死亡との因果関係について評価をしていないかというとそういうことではありませんので、御議論いただくべきなのは、因果関係評価のところに死亡との因果関係を書くことにするのか、あるいは個々のPTとのほうを書くのかであると思っております。死亡との因果関係の評価方法を変えるということではなくて、今も死亡との因果関係評価はやっておりますが、現在の資料1-3-1の表現上その評価結果が読み取りにくい形になっているということなのかと思いますので、そこを改善して分かりやすくすることは可能かと思っております。
○森尾座長 ありがとうございます。
整理していただきましたように、症状別の評価と死亡との関係の評価ということで、今、症状別はしっかりとされている中で、死亡との関係を加えるべきかどうかということです。
濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 私はこれは最終的な死因となるものに対する因果関係だと思うのです。死亡診断書を思い浮かべていただければいいと思うのですけれども、死因を書くわけで、例えば肺がんの方が呼吸不全で死んだら呼吸不全という形になるのですか。それはいろいろ書き方があると思います。その原因となるものが死亡診断書では肺がんという形になると思います。この肺がんがワクチンで起きている可能性があればαということであって、その経過中に起こる全ての症状がワクチンに関係しているかどうかを見るための因果関係ではないと思うのです。だから、直接の死因もしくはその死因の誘因となる病態ですか。それがワクチンで起きている可能性があればαになるのではないかと思うのですけれども。以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
今、PMDAの安全管理監の声が聞こえにくかったということが出ましたけれども、先ほど私が総括させていただいたことで、症状との因果関係、そして、死因との因果関係というところを、今まで死因との因果関係はしっかり書いていただいたということでありますけれども、α、βの記載も含めて分かりにくいところがあったら整理も含めてということだと思っております。
いかがでしょうか。症状との因果関係をつけることに関して、しないほうがいいという方はいらっしゃらないということでよろしいですか。症状とのものについてはα、β、γでつけておいてもらうというのは、それは悪くないということでよろしいですか。
○佐藤委員 私の勘違いというか、とても難しい御判断ですけれども、本当に死因との関連について判断する必要があるからこそ専門家の方3名にお願いしていたのだと私はずっと思っていたのです。ただ、症状別の判別では、リスクマネジメントという意味でどういう症状が起こり得るのか、予想外の何かが起こっているかもしれないということが拾える可能性もあるので、書いていただくことは非常に重要だと思います。死因とは分けて考えたほうがいいのではないかと思うのですが、どうでしょうか。死因との関連というところの判断は決めていただいて、個別の症状については備考的な形でつけておいていただいたほうが情報がすっきり整理できるかと思って伺っていましたが、いかがでしょうか。
○森尾座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今、佐藤委員がおっしゃったことは重要で、私たちはこのワクチンのキャラクターを見るためにどのようにしなければならないかを考えなければなりません。そのためにいろいろな情報が出てきて記載があることは非常にいいことだと考えます。死因と結びつくものは何なのかということは最終的に判断しなければいけないですが、その前の段階はワクチンのキャラクターを見るために予断なしにしっかり書き込みをしなければいけないと思います。そして、最終的に死因としてどのような事象が結びつくのかという形になったときに、α、β、γという形の中で最終的に落とし込みをしていく作業ができていればいいのではないかと考えます。それを私たちもしっかりと把握し、報道するマスコミもしっかりと認識をするという形になればよろしいのではないかと思います。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
ほかの委員の皆様から、いかがでしょうか。
どうぞ、お願いします。
○医薬品安全対策第二部長 PMDAです。
死因との因果関係というお話でいただいているところなのですが、この症例の死因は何かというところはなかなか特定できないことが多いと思っています。例えば議論に上がっている141番の症例では、くも膜下出血が起こっていて、水頭症、頭蓋内圧亢進症状も発現しているということですので、これが直接的な死因になった可能性はある一方で、尿毒症の進行があって、血小板減少から透析ができなくて、あるいは何らかの理由で透析をしなかったというところもあるかと思われますけれども、尿毒症の進行が致命的となった可能性もあると思われます。では、実際に死因としてどれが直接かと言われると、本症例のような場合には、なかなか特定しづらい印象でいます。また、突然死または死亡で発見された症例については、解剖がなされた場合でも、死因はなかなか特定できないところもあるかと感じています。
資料1-2-2-1の305ページの一番下の症例のNo.4830がこのNo.141の症例に該当するのですけれども、評価している「専門家の評価PT」という欄があるのですが、そこに水頭症、頭蓋内圧上昇、血小板減少、腎機能障害、くも膜下出血、高窒素血症、この6つの事象が企業報告として挙がっているのですけれども、それぞれ全て専門家にワクチン接種との因果関係評価をしていただいています。先ほどお話ししたように、どれが死因か特定困難ですので、全て因果関係評価をしていただいています。この隣の列にα、β、γを書いていますけれども、先ほどご説明申し上げたように、専門家の方々には、死亡との因果関係も含めて評価を実際にはしていただいております。したがって、当該症例のように、たとえαであっても、ワクチンと症状名との因果関係という表記では、死亡と関係あるもの関係ないもの両方含まれていることになりますので、死亡との因果関係という話になったときに、今、分かりづらくなっているというところと承りましたので、今後分かりやすくということであれば、PTごとのワクチンと症状名との因果関係の評価結果はこれまでどおり、報告症例一覧としてお示しするとともに、死亡として報告された事例のラインリストとしては、死亡との因果関係について別途記載していく形になるかと思っております。
○森尾座長 ありがとうございます。
今、明らかになったのは、副反応疑い報告の中で、それぞれの症状については基本的にはα、β、γで評価をしていただいているということでありまして、今まで行ってきた死亡との関係ということについての評価をα、β、γという形で入れるかどうかという議論かと思います。最初に戻ってしまったのですけれども、その中で伊藤澄信委員が指摘された誘因についてはどうなのかということで、それを含めてしっかり御判断いただく。直接的に何か因果関係があるのではないか、それは否定できないというものは評価していただいたほうがいいのではないかという議論かと思っておりますが、いかがでしょうか。ストレートに死亡との関係を御評価して専門家の中でα、β、γをつけていただくということでいかがかということです。どなたか、ぜひ声を上げていただけると。
宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。
それしか方法はないのではないかと感じます。実際には判断される方は非常に苦渋の判断をされるかもしれませんが、そうしないと議論としてはまとまりがつかないというか、結論が出ないのではないでしょうか。2段階になるのだろうと思いますけれども、症状について評価をして、そして最に死亡との間で評価するのがよろしいのではないかと思います。
○森尾座長 ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。
山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 さっき死亡診断書の話が出たと思うのですが、死亡診断書の場合には、死亡原因として不適切な症状などがあって、例えば急性呼吸不全のようなものは死因としてはそれしか書いていない場合に、2の欄に何かあればそれをむしろ慢性腎不全とか、そういうものをするとか、急性呼吸不全のところ、1のところに脳血管疾患のようなものがあれば、そちらのほうが死亡原因となると思うのです。ですから、最終的にそことの整合性を合わせなくていいのかという気も一方ではする。ですから、私としては今PMDAがやっていらっしゃるように症状別にα、β、γはつけるとして、最終的には死因としてはその中のどれがということが決まらないとα、β、γは決められないのかという気もしたのですが、いかがでしょうか。
○森尾座長 重要なポイント、ありがとうございます。
それが重要なところで、これが専門家の方の御判断ではないかということの議論だったと思います。特にαが、これが死因だよねと死亡診断書で明示的に出てくるものではなくて、否定できないという形で評価、経過からあるいは科学的に否定できないねというところの記載なのかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。今までにそのような形で専門家の方が御評価というのは、これは苦渋の中で分からないものはきっと分からないということになるとは思うのですが。
○山縣委員 そうですね。そういうことだと思います。
○森尾座長 でも、可能性があれば、十分リーズナブルであれば挙げていただく。それでαになるかということかと思います。
いかがでしょうか。
○事務局 補足というか、我々としてはできることからということなのですけれども、一つは今までどおり症状別の評価はどうしても必要だと理解しております。それはぜひやり続けたいと思っているのですが、プラスアルファとして、ワクチンと死因と直接的に関係しているかどうかについても、しっかり評価するというように工夫を考えてみたいと思います。
○森尾座長 ありがとうございます。
大体何となく皆さんの方向性と、そして、懸念も共有されているのではないかと思うのですけれども、事務局のほうで取りまとめていただいて、しっかりと専門家の方々も迷わず打てるような形ができたらと思いますが、よろしいでしょうか。宿題的な形になるかと思うのですが、方向性はできれば死因との因果関係を評価できればしていただくような形という中での言葉の整理になるかと思います。よろしいでしょうか。
お願いします。
○医薬品安全対策第二部長 PMDAです。
確認をさせてください。まず、症例ごとに死亡との因果関係という話になってくると、見つかったときのタイミング等、いろいろな要因が絡むものですので、解釈は慎重にされるものと思っております。また、死因との因果関係評価という話になると、まず、どれが直接的な死因かを特定しなければいけないという話になってきますが、どの事象が直接的な死因かというのも専門家にチョイスをしていただく、ということでよろしいでしょうか。
○森尾座長 ありがとうございます。
かなりストリクトに考えていただいていると思うのですけれども、否定ができない場合というようにみんな理解しているのではないかと思います。特定をしてくださいというのはなかなかどんな場合も難しくて、特に御高齢の方は難しいのではないかと思います。
そして、治療によって異なる、これは全ての医療がそうですけれども、しっかりとした直接的にこれを引き起こしたということがあるのであれば、それは治療がうまくいくいかないということにかかわらず、それで亡くなったのであればそれが原因という判断だと思うので、ここら辺も含めて事務局の宿題にさせていただいてよろしいですか。大分議論は進んだのではないかと思っております。
どうもありがとうございました。お時間をありがとうございます。もともとは死亡との関係についての議論となっておりましたが、ありがとうございました。
それでは、次の論点は資料3-1の4ページ目にいつもまとめていただいていて、皆さん御議論いただいています「死亡として報告された事例について」ということが書かれております。
事務局から論点として挙がったのは、引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討していく。
そして、死亡例の報告に関しては、被接種者の属性の変化や海外の報告状況も鑑みて、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということでございますけれども、この内容をご覧いただきつつ、御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 この4ページのところですけれども、「死亡として報告された事例について」ということで、かなり前回から比べてみても老衰というものが17例で多くなっていますし、溺死というのも6例と以前に比べて多くなっています。このように事例として挙がってくることを否定するわけではなくて、現実を見ていくということが非常に重要なのではないかと考えます。高齢者の接種の中で、リアルワールドでどのような物事が起こっているのかを見詰めていくということは正直な対応ではなかろうかと思います。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
ここで挙げられている「死亡として報告された事例について」を含めて何かございますか。
岡委員、お願いいたします。
○岡委員 ありがとうございます。
この資料3-1の4ページ目の表が本当に大事だと思っているのですけれども、私が前回から気になっているのは、ここでの分類はあくまでも疑われたということで出されてきたカテゴリーであるということだと思います。特にアナフィラキシーで7例と書いてあるのですけれども、死亡症例のリストで個別に拝見しますと必ずしもアナフィラキシーと判断するのは難しい様に思います。直接的な死因がアナフィラキシー、要するに、この予防接種を打ってアナフィラキシーを起こして、それで治療が十分でなく亡くなったというようなものではどうもなさそうです。直接的にアナフィラキシーが原因で亡くなった方がそんなにいらっしゃるのかというのが正直な疑問です。
事務局で確認したのですけれども、これはあくまでもそういった疑いがあるということで挙がってきた病名をリストとしていただいているということで、それが原因であると最終的に判断されてこの表に挙がっているわけではないというところはとても大事なところかと思っています。ですから、現時点ではアナフィラキシーで直接残念ながら亡くなられた方は、確認はされていないのかというのが私自身の認識だと思っています。
以上です。
○森尾座長 岡委員、重要な指摘をありがとうございました。
これだけを見るとアナフィラキシーで亡くなったという形に見えていくということですが、個々の事例を見ていくとそういうものではないということで事務局でも確認していただいていると思います。事務局、アナフィラキシーにつきまして何かコメントはありますか。
事務局、お願いします。
○事務局 ありがとうございます。
まず、ここに挙げている症状名等のリストは、因果関係が現時点では明らかとなっていないものを含めて広く情報を集めていくとともに、グルーピングしながら検討していくという姿勢に立ってまとめさせていただいております。また、注4に記載しておりますけれども、全ての症状名等を載せるのではなく、死亡として報告された事例数の1%を超えた5例以上を載せている状況でございます。報告医の先生としては、確定的な病名がつけられない場合であっても、何らかの因果関係があるかもしれないと思われた時点で御報告いただいているかと思いますので、状態悪化、心停止、心臓死、循環虚脱、などのように直接的に死因を想起できない症状名しか事務局として拾い上げることができない報告書もございます。こうした症状名に関しては、審議会としてお諮りいただく際に有用に扱うことが難しいと思われますため、その他、として整理させていただいております。
一方で、例えば心肺停止に関しては34例(3例)と記載しておりますけれども、これは実際の報告数が相応にありますため、宮川委員に御指摘いただいたように、現実としてこうした報告がありますということをお示ししているところでございます。アナフィラキシーに関しても、報告医や専門医の先生としてはワクチンとの因果関係を示しているわけではないものの、御報告いただいたものについては事務局として隠さず全てを公表し、その中でシグナルが立ってきた疾患については審議会にて議論を深めていただきながら見ていくことが大事なのではないかということで、記載させていただいております。そうした視点において、例えば心肺停止は集計不要なのではないかといった御意見をいただけましたら、その他、に整理させていただく等の工夫をして、より審議会として御議論しやすくなるように資料を作っていければと考えております。
○森尾座長 コメントと説明、ありがとうございました。
この「死亡として報告された事例について」を含めて御意見はいかがでしょうか。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 宮川です。
今、事務局が言ったことは非常に重要で、これは結果というよりは医療現場においてのシグナルとしてどのように見ていくのかということであろうと思います。正確にフィードバックしていれば、私たち実地臨床家として、ワクチンへの対応の仕方を考えられるということになります。包み隠さず報告されていることが非常に重要なのではないかと思います。
以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 私も同様です。きちんと出していくことが重要だと思います。
最近、少し聞いた話というか、体験した話でもあるのですけれども、例えば高齢者接種の際に予約をしたけれどもお亡くなりになって接種できなかった方がそれなりの数いらっしゃると伺ったのです。要するに、こういう死亡事例といったものがどういう位置づけにあるかを判断する一つの材料として、今のような情報も一つ参考になるのではないかという気がいたしました。
以上です。
○森尾座長 重要な御指摘をありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
もしほかに御意見等がなければ次に移らせていただいて、もし何か気になったことがあればまた最後の総合討論でと思います。ありがとうございました。
それでは、次がアナフィラキシー報告についてでございます。
今回、事務局から挙げられた点といたしましては、新型コロナワクチンのアナフィラキシーとして報告された事例に関して、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等の差に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続することとしていくということでございますが、いかがでしょうか。頻度等を鑑みていただきまして、何か御意見がございましたら承りたいと思います。
佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 確認したいことがあるのですけれども、資料3-1の11ページ目のアメリカの件数は急に270などになってしまっているのですが、これはもうこの3件の報告基準が異なると考えておいていいということですか。
○森尾座長 事務局から話されますか。これは昔のデータだと思いますけれども。
○事務局 事務局でございます。
今、先生の御指摘の11ページの米国の270件でございますが、アメリカの一部の医療従事者たちに接種した結果の論文ですので少し範囲は違います。以前から部会資料に載せさせていただいておりまして、引き続き掲載している状況でございます。
○佐藤委員 ほかのところは大体似たような数字が並んでいてここだけすごく突出していたので、気になってお伺いした次第です。引き続き情報があればお願いします。
○森尾座長 ありがとうございました。
特に初期に医療関係者に接種したときの対比として掲示をされていたものと理解しております。ありがとうございます。
ほかにアナフィラキシーについていかがでしょうか。
宮川委員、お願いします。
○宮川委員 表現の仕方として昔から疑問というわけではないのですが、思っていたことがあります。例えば10ページ「製造販売業者からアナフィラキシーとして」という「として」という表現があります。これはアナフィラキシーを疑って報告した件数ということです。その下に「ブライトン分類に基づき評価された件数」、これがアナフィラキシーです。上の「として」と報告されたものが独り歩きして、アナフィラキシーのごとく報道されることもあります。「ブライトン分類に基づいて評価された件数」がアナフィラキシーですので「アナフィラキシーの件数(ブライトン分類に基づき評価された件数)」と表現して、製造販売業者からは「アナフィラキシーを疑い報告された件数」という記載の仕方をしていかないと、混乱して言葉が独り歩きすることがあるので、注意していったほうがいいのかと思っています。
以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
いかようにも取れるということなのだろうと思いますけれども、柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 先ほどの11ページの表なのですけれども、心筋炎に関してはアメリカのデータは最近のものまでアップデートされているのですが、死亡とアナフィラキシーに関しては最近のアメリカのデータはないのでしょうか。日本と英国は最近のまでアップデートされているみたいなのですけれども。
○森尾座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 先生のおっしゃるとおり、海外の情報はなるべく新しいものをアップデートするとのことで私どももそのように努力している次第ではございますが、例えば11ページの米国のアナフィラキシーの発生頻度につきましては、接種者数とアナフィラキシーの発生を数値も含めて載せている資料について、今のところ3月1日より新しいものが見つけられておりませんので、以前から御指摘いただいているのですけれども、米国はこのままで載せさせていただいております。
一方で、英国MHRAからは毎週レポートが出ておりまして、英国全体の接種者数やアナフィラキシーの人数をしっかり出してくれていますので、私どもでそれを毎週チェックし、そこから記載している状況でございます。
○柿崎委員 わかりました。
○森尾座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
アナフィラキシーとしてという書きぶり、工夫できる、あるいは何かこちらから発信できるものがあれば事務局でお考えいただく形にするかと思います。ありがとうございます。
それでは、3番目の論点が心筋炎、心膜炎についてでございます。今回はちょうど時期的に心筋炎関連事象について、副反応疑いの報告状況に加えて添付文書による周知、注意喚起が行われたということでありまして、また、ホームページにもその旨が報告されておるということでございます。
論点として挙げられました、現時点において、ワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、国内の発生状況や海外における報告状況を注視していくとともに、引き続きウェブサイトの更新等により最新の情報の周知及び注意喚起を行っていくこととしてはどうかという形になっておりますけれども、これについて御意見、御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
岡委員、お願いします。
○岡委員 ありがとうございます。
今回、こういう形で注意喚起していただいたのはとても大事なことかと思います。その後も若年者に多い心筋炎の報告の中に、重症の方がいないかどうか見守っているのですけれども、重症の方はあまりいらっしゃらないということが海外の報告からも出ていますので、そういう意味でちゃんと早期に診断をして治療をしていただくということをともかく我が国でも進めていけば、安全に若年の方にも接種が進められるのではないかと思います。
我が国の統計で心筋炎の症例が相対的に低いのが、もしかしたら年齢の若い方の接種が十分にまだされていない可能性もありますので、そこも含めてちゃんと国として調査しているのだということを強調しながら進めていけばいいのかと思っていますので、今回こういう形にしていただいたのは非常に大事なことだったと思います。
○森尾座長 岡委員、重要な点、ありがとうございます。
ACIPからの提言にも接種者や保護者などに十分な情報提供を行うことが重要であると書かれていましたので、ホームページ等々で情報提供していく、特に若年者については留意が必要かということかと思います。ありがとうございます。
ほかには心筋炎、心膜炎についていかがでしょうか。よろしいですか。
どうもありがとうございます。
それでは、そのほかの副反応についてということでございまして、新型コロナワクチンの副反応に関連して、そのほか、質問や御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
死亡やアナフィラキシーなどもそうなのですけれども、まだファイザーとモデルナとでは接種された対象者の違いも大きいですし、人数も違いますしということで、単純な比較はできないという表現が何度も出てくるのですけれども、今までの統計を取られたところでは副反応としてそれほど両者のワクチンに違いはないと考えてよろしいのでしょうか。
○森尾座長 今までの統計といいますと、国内での接種ということでよろしいでしょうか。○伊藤(清)委員 海外も含めて、もしその情報があればと思うのです。海外でも両ワクチンの間では接種した対象者の違いがあるようですので、どこも単純な比較はできないとは思うのですけれども、そういった中でもし何か今の時点で言えることがあればと思ったのですが、いかがでしょうか。
○森尾座長 ありがとうございます。
国内は恐らく伊藤澄信委員からの調査の中でもコメントがあるのではないかと思います。
海外について何か特筆すべき点がありましたら、事務局からお願いできますか。
○事務局 今までのところ、海外でmRNAワクチンの個別のそれぞれにおいて副反応の状況が異なるという報告は存じ上げておりません。先生の御指摘のとおり、海外においても、ワクチン毎に対象者も大分異なってきておりますので比較は難しいのですが、今のところ、特にそういった報告がないということしか言いようがないと思います。
それから、小規模とは言いながらも、数万人単位の数で治験をしていますので、その結果から見るとそんなに大きな差はないと私どもとしては認識しております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○森尾座長 後ほどの伊藤澄信委員からのプレゼンテーションも期待をしております。ありがとうございます。
濱田委員、お願いします。
○濱田委員 副反応といえば、最近かなりデマが出回っているところが多いと思うのです。不妊になるであるとか、遺伝子の変化が起きるとか、この辺、厚労省のQ&Aにも確かに書かれているのですけれども、ちょっと難し過ぎるように思うのです。今後若い方にワクチン接種が広がっていく、どんどん受けていただくほうがもちろんいいわけなのですけれども、もう少し若者向けの啓発といいますか、ぜひお願いしたいと思うのです。妊娠に影響するかというのも、たしか今週か先週か新しく出ているのですけれども、読んでも結構難しいです。どこの担当なのか分からないのですが、デマをとにかく消していかないとなかなか接種が進んでいかないと思うので、よろしくお願いいたします。これはこの部会で話す内容かどうか分からないのですが。
○森尾座長 事務局、お願いします。
○事務局 御指摘ありがとうございます。
誤った情報がSNSで出回っていること、私どもも探知しておりますし、いろいろ対策できることはしていきたいと思っています。Q&Aに記載をすることはまず正確な情報を出すということで第一歩だと思っておりまして、それを見た方がまた二次的に発信をしていただけることにも期待をしておりますし、私どもも例えば短くまとめた上でSNSで発信するといったことをして、とにかく正しい情報が誤った情報よりもたくさん流れている状態をつくりたいと思っておりますので、また、いろいろなテレビ等に御出演いただいて御活躍いただいている先生方もいらっしゃると思いますけれども、御協力を賜れればありがたいと思っております。
○森尾座長 若者向けで分かりやすく飛びつきやすいようなというか、アトラクティブなものをぜひよろしくお願いします。
石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。
若者向けでといったことで、今、職域接種が大学で接種が始まっているのですが、1回目でも若者は発熱がひどくて結構つらい思いをするケースがあることを複数の大学から聞いております。そうすると、あまりにもひどいので2回目を受けたくないと言っている学生が随分いるようです。熱が続き大学に出てこられなかったりとか、ちょうど試験期間でもありますので、出られなくてどうしましょうといったこともあると聞いています。一方、2回受ける有益性は非常に高いと思いますので、これらも受けるようにという啓発をお願いしたいと思います。
以上です。
○森尾座長 石井委員、ありがとうございました。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
アナフィラキシーのところで確認を忘れたのですが、アナフィラキシーの部分で、患者の属性に留意をしつつというのはそれで結構だと思うのですけれども、毎回議論になる報告慣れ、報告バイアスではないですが、モデルナのほうが1件しか上がっていなかったり、極端に少ないところについて、この属性に留意しつつというだけでいいのかというところについて、事務局にコメントをいただきたいと思います。
○森尾座長 いかがでしょうか。
○事務局 基本的には今、御意見をいただいたとおりのことかと思っておりまして、幾つか要因はもちろんあるかと思います。一つはこれまでの審議会においても御議論いただいてきたとおり、高齢者のほうが比較的報告頻度が低い傾向があって、特にモデルナのほうは高齢者の接種が今のところは中心であると。こういったものが要因かと思います。また、御指摘いただいた部分でもありますが、報告慣れという部分があります。特に接種の初期、接種開始初期というのは、医療従事者の方もかなり丁寧に副反応を見られて報告してくるという傾向がありますので、こういったことによって特に接種が始まった初期のほうのコミナティが高くなっている可能性はあるかもしれません。
○舟越委員 ありがとうございます。
そこが属性や今後まとめて比較をしたときにもモデルナのほうが少ないとかということになりかねないので、常に報告バイアスの部分はどこかに書きながら、意識しながら議論しておくといいのかと思いまして、コメントをさせていただきました。
2点目としては、先ほど石井委員も報告していましたが、職域接種の問題の部分で、私は何回かこの回でコメントをしていますが、今回のワクチンの副反応の部分に関しては、3本柱のもう一本目のSNS等での報告という部分の開発が遅れている話は聞いております。事務局の負担も相当大変だと思うのですけれども、幅広く広がっていく中で、今回の3本目のSNS等での報告の開発も、今の進捗とやっていく予定はあるのかということについて確認させていただきたいと思います。
○森尾座長 事務局、お願いします。
○事務局 お尋ねありがとうございます。
御指摘の3本目の調査につきましては、いろいろ準備が遅れておりましたけれども、先日6月28日に入札公告が出まして、一般競争入札で対応するべく準備を進めているところでございます。
○森尾座長 ということでございますので、お待ちいただいてということで。
○舟越委員 ちょっとだけ聞き取りづらかったのですが、6月、これから開発というか、始まるということですね。
○森尾座長 ぜひ堂々とお答えいただいて・・・。事務局、よろしくお願いします。
○事務局 聞き取りづらかったということなので補足いたしますが、今、競争入札の手続中でございまして、これから業者等を決めていく段階になります。
○舟越委員 分かりました。
私も先ほどの石井委員と同じで、各大学のところで1割程度接種を拒否しているというのを幾つもの大学から聞いていまして、現状はSNSにしろそういった部分で副反応等いろいろ気づいたことの投稿をできる環境は若手の世代には特に必要かと思っていましたので、併せてコメントさせていただきました。ありがとうございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
宮川委員、お願いします。
○宮川委員 先ほどの属性のところなのですが、属性というだけでは分かりにくくて、実際には接種体制によっても随分違っています。つまり、大規模接種のところと職域接種のところと個別接種のところでは、随分とその後の副反応疑いの拾い方が異なります。患者さん、接種者である医療者との距離感が随分違っているのです。個別接種であれば非常に細かなところまで対応でき、患者さんの言葉をしっかり聞くことができるのですが、大規模接種でありますと、距離や時間という物理的原因や心理的原因が横たわっています。以前濱田委員が御懸念で示されたようないわゆる遅延性反応の中でのモデルナアームなどは、接種してかなり末梢のほう、肘のところ過ぎまで出現することもあります。大規模接種会場から距離的にも離れ、時間経過もある程度経過した臨床現場でも十分拾い切れていないというのが特徴でもあるわけです。ですから、そういうところで属性というだけではなくて接種体制によっても随分違いが出ているような現状があるということで、そういう分析も必要なのではなかろうかと思います。
以上です。
○森尾座長 貴重な御指摘をありがとうございました。
山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 山縣です。
今の舟越委員、宮川委員の御指摘で、最初のほうはいわゆる対象者が誰であるかという選択バイアスによるもので、今の宮川委員の言われたものはまさに情報バイアスによるもので、こういったようなものを読み解く、情報を読み解く基本的なこともきちんといい機会なのでどこかに記載して出しておいたほうがいいような、特に若い人たちなどはそういうものは理解が早いと思いますので、それで判断できると思います。
先ほど、学生拒否10%と言っていましたけれども、多分もっと多いです。結構若い人たちは本当は打ちたくないという人が多いですね。
以上です。
○森尾座長 ありがとうございます。
倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 今のアナフィラキシーのところなのですけれども、私の計算は正しいのかどうか分かりませんが、ずっと経過を追っていくと徐々にアナフィラキシー、あるいはアナフィラキシー疑いで報告されたもの、あるいはブライトン分類1から3で報告されたものが減少していると。でも、常にアナフィラキシー疑いで報告されたうちの6分の1がブライトン分類1から3ということなので、特にブライトン分類1から3だから報告してきているというものではないのかと理解してしまうのです。
確かに御説明のように最近6月あるいは5月は高齢者が多いので、その分、アナフィラキシーと疑われるもの、あるいはブライトン分類1から3と疑われるものについても減っているという説明ではあるのですが、この計算上、ここには5つの期間があるのですが、それぞれの期間、例えば上で言うと5月2日から5月16日、あるいは次は5月16日から5月30日についても計算することによって、将来的にこの期間に接種した方の年齢構成などが分かるのであれば、やはりそのような結論なりあるいは考え方をサポートするようなデータが出るのかと思うのですが。
これまで2月からずっと6月まで、あるいは5月までの計算でやっておりますが、それぞれの計算として示していただいている、最近で言えば6月13日から6月27日というのも出していただくと、我々も数の減りや実際の減り方が分かるのかと思いました。
○森尾座長 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
○事務局 先生方、御指摘をありがとうございます。
mRNAワクチンについては、両者は違う薬品ですのでそれぞれを見ていく姿勢に変わりはありません。一方で、海外においても両者をまとめて評価されている国もある中、いたずらにその差異を際立たせていく方向に持っていくのはどうかといったところもございますので、単純な比較は難しいという言葉で注釈として記載させていただいております。
報告医・国民の関心度合いによって報告の積極性が変わってきたりするところもあるかと思われますので、ファイザー社のワクチンの直近2回の審議会報告分の差分を取って手元で計算してみましたところ、ファイザー社ワクチンはアナフィラキシー100万回接種当たり10.4件、モデルナ社は開始からの頻度が100万回接種あたり14.6件ということで、ほぼ同等のオーダーになると思われます。
以前の審議会においても、スライド2ページ目に該当する部分つき、週別報告で副反応を見ていくと、モデルナとファイザーにはそんなに大きな差がないと思われるといった回答をしたこともあったかと思います。
事務局としては2つを大きく差をつけないで、横並びで見ていき、もし必要であれば、次回の資料では差分も入れていくことで、委員の先生方あるいは国民の皆様にも御安心いただきながらワクチン接種に向かっていただけるよう努めて参りたいと思います。次回の資料構成につき検討させていただきます。ありがとうございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
永井委員から手を挙げていただいております。よろしくお願いします。
○永井委員 よろしくお願いします。
先ほどの副反応に関するいろいろな情報が流れているという話なのですけれども、実際にそのとおりだと思うのですが、私も実は職域接種の企画に関わっているのですが、私のやっているところでは実は9割方受けてくれまして、非常にたくさん受けてくれたと思っているのですけれども、やはり情報だと思うのです。ぜひ分かりやすい情報が責任ある形で、しかも一般の方が受け取りやすい形をつくっていただくと、もっと接種を受けようという気持ちが強くなってくるのではないかと思っています。
あと、これはここで言ってもしようがないのですけれども、今、本当に熱冷まし一つ薬局で手に入らなくなっているのですね。だから、一般の方が接種を受けて熱が出たとき、あるいは痛みがひどくなったときに非常に困っている状況があって、クリニックなどで接種されていると大体ドクターが処方されますのでうまくいくのですけれども、そういう体制も少しこれから配慮していく必要があるのではないかと思っています。
以上です。
○森尾座長 貴重な情報をありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。そのほかの副反応についてということで、よろしいですか。
どうもありがとうございました。司会の不手際で長くなっておりますが、今まで議論していただきました内容をまとめたいと思いますので、御確認ください。
これまでに確認された内容としては、コミナティの評価期間中の副反応疑いの頻度は、医療機関からの報告に基づけば0.04%であった。
また、モデルナの評価期間中の副反応疑い報告の頻度は、医療機関からの報告に基づけば0.02%であったということでございます。
死亡事例の報告状況について整理いたしますと、コミナティについては、前回の合同部会から集計対象期間である6月27日日曜日までに新たに99件の死亡事例の報告がございました。専門家による評価では、接種開始以降、集計対象期間までに報告された453例については、445件が「ワクチンと症状名との因果関係が評価できない(γ)」、2件は「ワクチンと症状名との因果関係が認められない(β)」と評価されました。また、複数の症状が報告された症例のうち症状により評価が異なった6件は、症状ごとにα、βまたはγと評価されました。また、6月28日月曜日から7月2日金曜日までには、さらに101件の報告がございました。
モデルナについては、前回の合同部会から集計対象期間である6月27日日曜日までに新たな死亡事例の報告はございませんでした。専門家による評価では、接種開始以降、集計対象期間までに報告された1件については、「ワクチンと症状名との因果関係が評価できない(γ)」と評価されました。また、6月28日月曜日から7月2日金曜日までにはさらに1件の報告がございました。
今回新たに報告のあった事例を踏まえても、前回までと同様であり、現時点でワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられます。
また、今後死亡事例の因果関係評価におきましては、症状別の評価だけではなく、症例単位の評価を行うことを基本として事務局で考え方を整理していただけたらと思っております。
死亡を含めた副反応疑い報告数が増加しつつある状況も踏まえ、引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討していく必要がございます。
死亡報告の事例として挙げられている中で、例えばアナフィラキシーのようなところが書かれていますが、これは直接的には関係があるわけではないことを含めて、全般的に全て正直に報告をしていく中で、その捉えられ方については注意をしていくべきであるという御意見も頂戴いたしました。
アナフィラキシーの報告状況を整理いたしますと、コミナティについては、接種開始から6月27日まで医療機関から1,629件、製造販売業者から1,632件の報告がございました。また、製造販売業者からの報告に基づくブライトン分類評価については、レベル1から3に分類されたものは289件でございました。
モデルナについては、接種開始から6月27日まで医療機関から14件、製造販売業者から13件の報告がございました。また、医療機関からの報告に基づくブライトン分類評価については、レベル1から3に分類されたものは1件でありました。
アナフィラキシーとして報告された例は、引き続きほとんどの例で軽快されたことが確認されています。
以上から、アナフィラキシーとして報告された事例については、発生動向に大きな変化はなく、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等の差に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続するということでよいのではないかということでございます。
3番目、心筋炎、心膜炎につきましては、現時点においてはワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、国内の発生状況や海外における報告状況を注視していくとともに、引き続きウェブサイトの更新等により最新の情報の周知及び注意喚起を行っていくのでよいのではないかということでございます。これはしっかりと情報を若い方を中心に提供していくことが重要であることが指摘されました。
以上のようなことでよろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。
今回報告のありました具体的な事例を踏まえまして、2種類の新型コロナワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、御審議いただきましたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。
大分お時間をいただきましたが、次に重要な議題といたしまして、資料4「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査) 健康観察日誌集計の中間報告(9)」につきまして、伊藤委員から御説明をよろしくお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
中間報告も9回目になりました。ファイザー社のコミナティについては、施設から1万9806例の個別症例の登録状況について確認をしております。日誌1については1回目について1万9791人の回収で15人分が未回収になっておりますが、99.9%は回収しております。2回目は1回目の99.2%である1万9658人の方が接種をされて、そのうち1万9593人の方の日誌を回収しておりまして、65人分が未回収です。2回目接種者のうち99.7%を回収して一応終了という状況です。したがいまして、コミナティの報告については今回で一旦終了になると思っております。まだクリーニング中でデータロックはしておりませんので、最終報告時で数字が変わるかもしれないということをあらかじめ申し上げておきます。
今回コミナティに関しては、主な変更箇所は16ページ、17ページです。日誌1の接種部位反応や全身倦怠感などのチェックボックスで収集した特定有害事象と毎日5つの欄に記入していただいた自由記載欄のAEを収集して1回目と2回目を種類ごとにまとめて、器官別大分類ごとに整理して添付文書と同じような形にまとめて表にしております。自由記載欄はチェックボックスにない症状を書いてもらうことにしておりましたので、それを根拠に今回のような構成で表にしております。1,000人に1人以上発現したAEについては頻度を入れております。0.1%未満のものについて症候名を頻度順に並べております。
グラフで示している痛みや発熱、倦怠感、頭痛やインフルエンザ様症状だけでなくて、リンパ節腫脹や腋窩痛、悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状、蕁麻疹などの皮膚症状や、めまいや眠気などの神経症状が起きることを十分御理解いただいて、接種後に予想外のこういったAEが起きても、この表をご覧いただければこんなものがあるのだと安心していただけるといいなと思って、こういった表をつくっております。
今回が最後だと思いますので、解析の結果の一部を説明し直しますが、20ページには、2回目接種は1回目接種をされた方の99.2%が高率に接種されているのですけれども、2回目接種をされなかった人は1回目にSAEがあったり、1回目接種30分以内にAEがあった人、1回目接種に発熱があった人が2回目接種を避ける傾向があることが分かっているところでございます。それでも発熱があった人の5.3%のみが2回目接種を避けられただけですので、それほど心配はないだろうと思います。
先ほど、多屋先生から御質問がありました件ですが、1回目の発熱があった人、37度5分以上ですが、2回目も発熱をしていた人は617例中442例の71.6%でした。38度以上と比較的熱が高かった人は、1回目接種153例のうち91例の59.4%ですので、1回目に熱が出たから必ずしも2回目も熱が出るということではない。ただ、頻度的には発熱がなかった人よりは高率になりますが、こういった状況でした。
解熱鎮痛薬についてですが、自由記載欄から薬品名を拾っているのですけれども、例えばお一人の人でアセトアミノフェンとカロナールという2つのブランド名と一般名を使って記載されている方が11名いることが発覚したりしておりまして、もう一つは、バファリンの商品名にはアスピリンとアセトアミノフェンとイブプロフェンの合剤があったりしていて、分類しにくいのですが、簡易的に21ページのようにまとめています。
今回22ページをご覧いただきますと、薬剤を使用された方の症状と被接種者背景を調べた結果をまとめております。以前、委員の方から御質問があったことだと思っておりますが、1回目と2回目、2回目は2種類以上使われた方の要因を分析しております。2剤以上お使いになられた方は、1剤では症状が落ち着かれなかったのだろうと想像して分析をしておりますが、ご覧いただきますと分かりますが、1回目と2回目、2種類以上の服薬要因で頭痛が最も強く検出されています。それに続いて発熱です。女性の方が薬剤を使う傾向が強いことが分かっています。
前の21ページのところで、2回接種後に4週までのCOVID-19の感染報告者数を挙げておりましたけれども、2回接種後にもう一人の感染者がいることが分かりましたので、最終的に8人でした。2回目接種後は4人の方が感染をされたという報告をいただいています。
25ページにコミナティ報告のまとめを記載しております。
26ページからはモデルナ筋注の件でございます。一昨日までに9,344人の1回接種、1,633人の2回接種の登録がありました。自衛隊の方々ですので95%は男性で、ちょうど第I相試験の被験者に近いような方が登録をされているということで、背景については御理解いただければと思います。
30ページからはコミナティと同様の項目についてまとめていますが、今回まではモデルナワクチンのAEのプロファイリングを明らかにするために、コミナティの1回目の結果を上に、下にモデルナ筋注のグラフを提示しております。次回以降はモデルナの1回目と2回目接種を並べる形になるのだろうと思っています。
コミナティと同様の項目を示しておりますが、発現パターンはコミナティとモデルナでほぼ差がありません。頻度などについては女性が多い医療従事者と男性の多い自衛隊の職員を直接比較することはできないと思いますので、ここでは発熱や倦怠感などの全体の傾向を見ていただければと思います。パターンは同じなのですが、ただ、後で説明をいたしますけれども、31ページに発赤、32ページにかゆみのグラフを載せているのですが、Day8、最後のところなのですが、発赤とかゆみがDay7に比べて少し上がっていることがわかります。
34ページは年齢ごとの違いですけれども、コミナティと同様に疼痛は年齢があまり関係ないのですが、発熱、倦怠感、頭痛は年齢が上がるほどAEの頻度が少なくなっています。
35ページは2つのワクチンで被験者の背景因子が違いますので、コミナティの1回目1万9791人とモデルナの4,069人のデータを統合して、発熱などを従属変数として、年齢と性別で調整した結果を示しております。発熱は1回目ですので全体の頻度が低いので、ワクチンの違いをどの程度表しているのか分かりませんので、2回目接種後の結果で最終的に判断をいただくことになると思っております。
また、接種部位疼痛は、激しい訓練を積んでいる自衛隊の方々の影響なのだろうと思うのですけれども、モデルナのほうが低くなっていたり、鼻水については2月に接種したコミナティと5~6月に接種したモデルナの系統誤差があると思っています。
36ページがコミナティと同様の手法でまとめた器官別の大分類、頻度別のAEなのですが、コミナティとほとんど変わらないことがお判りになるかと思います。濱田先生から以前から御指摘いただいたモデルナアームについては、一昨日に抽出しました日誌、9日目から28日目までの日誌を回収して確認ができました。発赤とかゆみについてはDay7に比べてDay8で頻度が上がることは先ほど説明させていただきましたけれども、Day9、Day10でも頻度が高くなっております。
本来は別のシートなのですけれども、疑似的にイメージ図として描いたものが38ページになります。これはサイエンティフィックな図ではなくてあくまでイメージ図です。日誌2を回収した1,447人のうちDay9以降のいずれかの時点で発赤が残っていた人が63人で、データを集計しますと、発赤の平均持続期間が11.3日です。2週間近くでした。最長は接種から25日まで赤かった方がいらっしゃいます。大きさはDay9で平均6センチ、最大値18センチ、Day10は6.9センチ、一番大きい人は20センチという報告が来ております。年齢、性別ですが、これは男性が4%、女性が9.8%と女性の比率がどうも高そうですが、女性の母数が少ないので断定はできません。年代は30-40代が多いというところでしたが、症例数が集まった段階でもう少し解析をさせていただかないと、今の段階で結論めいたことを申し上げるのは難しいと思っております。
39ページがまとめでございまして、今のところSAE報告は上がってきておりません。
報告は以上でございます。
○森尾座長 いつもながらの詳細な、そして、精緻な解析をありがとうございます。
委員の皆様から質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 伊藤先生、どうもありがとうございました。
先ほどの石井先生の御意見にも関連すると思うのですけれども、大学生などの接種が多く始まっていて、1回目に症状が出た方、2回目はどうなのだろうかという質問が多く寄せられているということを伺いました。ぜひその結果も出していただいて、分かりやすい説明書をつくるのであればそういうことも入れていただけると、準備して接種ができるのかと思いました。先ほどお伺いしたばかりですのに、すぐに調べていただきましてありがとうございました。
以上です。
○森尾座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
濱田委員、お願いします。
○濱田委員 伊藤先生、モデルナアームの件、調べていただきまして、どうもありがとうございます。
モデルナアームでひどい方が2回目の接種をやめられたとか、そういうことは今回はないのですか。その辺までまだ分からないと思うのですけれども、もし情報があればお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 分かりません。次のとき、2回目の接種の日誌が上がってくるような状況になって少し分かってくるのかと思います。
○濱田委員 どうもありがとうございます。
○森尾座長 ほかにいかがでしょうか。
石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。
伊藤先生、いつもありがとうございます。
今回、自衛隊の若い方が入っておられるということで、今日の最初のほうに話題になりました心筋炎ということは上がってきたのでしょうか。今、これを見るとないのですが、そういった傾向や4~5日後に何か訴えられるということが、自衛隊の方は我慢してしまうのかもしれませんが、あれば教えてください。
○伊藤(澄)委員 今のところ見ておりましても、36ページの添付文書のような形で評価していても出てきておりません。日誌のところにはそういった記載がないのですが、心筋炎に関しては2回目の接種4~5日目ということが前から言われておりますので、そのデータが上がってきたら、また皆さんのところに早めに報告させていただきたいと思います。
○石井委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
伊藤委員、次回第10回目ということで、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
用意させていただきました議題は以上でございますけれども、委員の皆様から全体を通して御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の議事は以上で終了になります。
事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 本日は長時間にわたり活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡さしあげます。
○森尾座長 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。
活発な御議論をどうもありがとうございました。閉会させていただきます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中を御出席いただき、ありがとうございます。
まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
御発言される場合は、まずお名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、またはあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。現在、副反応検討部会委員9名のうち9名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
なお、全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
また、長谷川委員より途中退席される旨の御連絡をいただいております。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は、退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
本日の座長につきましては、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。
それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾座長 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
本日御出席をされた委員、参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
本日の議題において審議される品目は新型コロナワクチンであり、その製造販売業者はファイザー株式会社、武田薬品工業株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。各委員からの申告内容については事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、全ての委員においてファイザー株式会社から50万円を超える受け取りはございませんでした。宮川委員が武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、意見を述べることはできますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。
なお、本日の審議対象ワクチンの製造販売業者ではございませんが、現在開発中の新型コロナワクチンも含め、関連する製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取状況について各委員より申告いただいておりますので、この場で御報告いたします。
石井委員、宮川委員は第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も御確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
次に、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1から1-4-2、資料2、資料3-1から3-2、資料4、参考資料1から4、また、机上配付資料をお配りしております。
不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○森尾座長 ありがとうございます。
それでは、議題1に入ります。「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等」について、まず資料1-1-1から資料2について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 まず資料1-1、1-2を用いまして、対象期間中の副反応疑いの報告状況について御報告いたします。
資料1-1-1「予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について」をご覧いただければと思います。
今回の集計対象期間は令和3年6月27日報告分までとなっております。
2ページ目をご覧ください。マル1、週別報告件数の表の一番下の「合計(2021年6月27日現在)」の行をご覧ください。左半分がコミナティ、右半分がモデルナとなっております。
まずコミナティです。6月27日までの推定接種回数は3921万8786回接種、医療従事者、高齢者別の内訳につきましては、表の下の注釈の3つ目の※の部分に記載しております。副反応疑い報告件数は1万5991件、報告頻度としましては0.04%となっております。前回の合同部会報告時が0.06%でしたので、前回と比べますと約0.02%低い値となっております。うち、重篤の報告件数は2,262件、報告頻度としましては0.01%で、前回と同一の値となっております。死亡事例については394件となっておりますが、製造販売業者からの報告事例もございますので、後ほどまとめて資料1-3-1にて御説明いたします。
続いて、右に行っていただきまして、モデルナでございます。6月27日までの推定接種回数が95万9165回接種、副反応疑いの報告件数が191件、頻度としましては0.02%で前回と同一となります。重篤の報告件数はうち14件、死亡事例については0件となっておりますが、後ほど資料1-3-2にて改めて御説明いたします。
5ページ目のマル4、副反応疑い報告の報告基準別報告件数をご覧ください。アナフィラキシーにつきましては、コミナティは2月17日以降、モデルナについては5月22日以降の累計となります。6月27日までに医療機関からはコミナティで1,629件、モデルナでは14件のアナフィラキシー事例が報告されております。
以降のページにおきましては、コミナティ、モデルナ別に性別、年齢別等の集計をさせていただいております。
各症例のラインリストにつきましては、コミナティを1-1-2-1、モデルナを資料1-1-2-2という形でお示ししております。
続きまして、資料1-2-1「薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について」をご覧ください。
こちらも集計対象期間は6月27日報告分までとなっております。
2ページ目、マル1、週別報告件数の表の一番下の行をご覧ください。
まずコミナティでございますが、こちらは重篤なものが報告対象となっておりますが、5,943件、頻度としましては0.02%で、前回の合同部会時と同一の値となっております。死亡事例は324件となっておりますが、医療機関分との重複もございますので、後ほど資料1-3-1にて改めて御説明いたします。
続いて、右半分のモデルナに行っていただきまして、副反応疑い報告件数については43件報告されております。死亡事例は1件報告されておりますが、こちらも改めて資料1-3-2という形でお示ししたいと思います。
1点の補足が今回ございまして、下の※の注釈の下から2つ目の「この他に」という部分の記載となります。ここで集計表に加えたものとは別に新型コロナワクチンの製造販売業者ではない製造販売業者から、当該業者の医薬品の副作用報告の中で、詳細は不明なものの新型コロナワクチンが報告されるという事例が2件ございました。
詳細な事例は資料1-2-2-3や資料1-2-3-3という形でお示しておりますが、例えば新型コロナワクチンが接種された方でアバスチン治療時に十二指腸出血が発現されたような事例がありまして、アバスチンとの因果関係はありということで副作用報告されておりつつも、一方、その他の要因としまして、詳細は不明ながら新型コロナワクチンも接種されていたということがありまして、被疑薬として報告されたという事例でございます。新型コロナワクチンの詳細が不明ですので件数には集計しておりませんが、こういった事例につきましても報告がありましたら、資料1-2-2-3あるいは資料1-2-3-3という形で今後もお示ししたいと考えております。
資料1-2-1の続きでございます。3ページ目をご覧ください。アナフィラキシー事例の報告件数でございまして、コミナティが1,632件、モデルナが13件報告されております。ブライトン分類の評価結果につきましては、後ほど資料1-4-1、1-4-2という形で御報告いたします。
続きまして、資料1-3-1「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(コミナティ筋注)」をご覧ください。コミナティの死亡事例について御報告いたします。
1ページ目、「1.報告状況」でございます。前回の合同部会以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、死亡として報告された事例が新たに99件ございまして、6月27日までに報告された死亡事例は計453件となってございます。
なお、※の部分に記載しておりますが、これまでNo.158と215というように異なる2件の事例と報告していたものがございましたが、調査の結果、同一症例であったことが判明いたしましたので、今回からラインリスト上ではNo.215を158のほうに統合してございます。その結果、別紙1の症例Noでは1から454が今回の症例に対応しておりますが、事例数としましては重複が1件排除されますので、453件と表記してございます。
2つ目の○に進みまして、集計対象期間外とはなりますが、6月28日から7月2日というところまで見ますと、新たに101件死亡事例が報告されてございます。
「2.専門家の評価」の部分でございます。6月27日までに報告されました453事例を対象に専門家の評価を実施しておりまして、結果としましてはαが1件、βが7件、γが451件となっております。
今回αとなった事例がございますが、下の★の注釈を入れたとおりの状況でございまして、血小板減少の原因としましては、ワクチンが誘因となった可能性が否定できないが、血小板減少と死亡との直接的な関連性は不明であるとコメントされた事例がございまして、血小板減少がα、その他の症状がγと報告されておりますので、こういった事例のように1つの報告書の中で複数の症状が報告されました6症例につきましては、症状別にα、β、γの評価が分かれておりまして、こういった場合はいずれの評価結果も全て足し合わせておりますので、総数としては459件となりますが、症例数としましては453例という形となります。
具体的な事例が分かったほうがよろしいかと思いますので、机上配付資料という形で6症例の症例表を本日お配りしております。机上配付資料をお開きいただければと思います。本資料につきましては、資料1-2-3-1の抜粋でございます。
先ほどαとγと報告された事例を例に取って御説明いたします。机上配付資料の15ページ目をご覧ください。左から2番目の項目の部分に、報告されている全症状を書き出しております。この場合は血小板減少症、腎機能障害・腎不全、くも膜下出血、水頭症、高窒素血症、頭蓋内圧上昇の6症状がありまして、今回の専門家の評価では血小板減少のみがαという評価になっておりまして、その他の症状がγという結果でございました。これらの症状との因果関係も踏まえまして、ワクチンと死亡との総合的な評価というものに記号は付与されていない状況でございました。
資料1-3-1に戻っていただきまして、39ページ目になります。No.356以降が今回初めて報告する事例となります。
飛んでいただきまして、一番最後のページとその前の56ページとなります。別紙2でございます。集計対象期間中までに報告があった453事例につきまして、因果関係評価を問わず死因等の症状を性別、年齢別で件数を集計しております。また、ある程度症状をグルーピングしたほうが評価しやすいということもあるかと思いますので、後ほど資料3-1にてある程度グルーピングしたものを別途お示しさせていただきます。
続きまして、今度は資料1-3-2「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(モデルナ筋注)」をご覧ください。モデルナの死亡事例について御報告いたします。
1ページ目、「1.報告状況」でございまして、前回の合同部会以降、死亡として報告された事例はなく、接種開始以降6月27日までに報告された死亡事例は、前回の合同部会で御紹介しました1件でございます。
なお、集計対象期間外となりますが、6月28日から7月2日までに新たに報告された事例が1件ございました。
「2.専門家の評価」でございまして、今回は1例目を対象に専門家の評価を実施しておりまして、結果はγでございました。
以降はコミナティの資料同様、2ページ目にラインリスト、3ページ目に死因別の集計をおつけしております。
資料1-3の説明は以上となりまして、続きまして、資料1-4-1「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして製造販売業者から報告された事例の概要(コミナティ筋注)」をご覧ください。コミナティにつきましては、製造販売業者からの報告内容に基づきましてブライトン分類評価を実施しております。
1ページ目、「1.報告状況」でございます。前回の合同部会以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、製造販売業者からアナフィラキシーと報告された事例が新たに225件ありまして、6月27日までに報告された事例は1,632件となりました。
「2.専門家の評価」でございます。この1,632事例を対象に専門家の評価を実施しておりまして、表に結果をお示ししております。
2ページ目の一番上の参考1と記載した部分をご覧いただければと思います。ブライトン分類レベル1から3の報告件数は3921万8786回接種につきまして289件、100万回当たりの報告件数では7件という状況でございました。これまでの推移につきましては、後ほど資料3-1にてお示しいたします。
以降はブライトン分類1から3に該当する289件について集計したものですので、こちらも適宜御参考いただければと思います。
続きまして、資料1-4-2「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして医療機関から報告された事例の概要」のモデルナ筋注のほうをご覧いただければと思います。
モデルナにつきましては、医療機関からの報告内容に基づきましてブライトン分類の評価を実施しておりまして、1ページ目の「1.報告状況」の部分でございますが、前回の合同部会以降、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例は新たに10件ありまして、接種開始以降27日までに報告された事例は計14件となってございます。
「2.専門家の評価」の部分になりますが、この14事例を対象に専門家の評価を実施しておりまして、ブライトン分類レベル1から3に該当する事例は1件でございました。
2ページ目の一番上に100万回当たりの報告件数を記載しておりますが、1件ということとなります。
続きまして、資料2をご覧いただければと思います。コミナティ筋注とモデルナ筋注の添付文書の改訂について御報告いたします。
まず初めに、諸外国における最新の状況から御報告させていただきますと、前回のこの合同部会以降に米国のACIP等で議論が行われておりまして、米国、英国の添付文書におきまして、コミナティ、モデルナの心筋炎に対する記載が追記されている状況でございます。
具体的な記載はまた資料3-1の中でお示ししておりますが、市販後の副反応疑い報告によりますと、心筋炎、心膜炎のリスクの増大が示唆されているのではないか、あるいは特に2回目接種時のリスクが高いといったこと、あるいは心筋炎の徴候が見られた場合には直ちに医療機関を受診するべきではないかといった内容でございました。
諸外国におけるこういった内容あるいは前回合同部会のときにラインリストという形で国内の発生状況についてお示しさせていただきましたが、日本の市販後の副反応疑い報告ということでも若年男子の2回目の接種者での心筋炎事例ということが何件か報告されておりましたので、これらも踏まえまして添付文書が改訂されておりまして、心筋炎に対する注意喚起を行ってございます。
資料2において追記内容をお示しいたしております。右上の改訂後「8.重要な基本的注意」の項でございます。本日新たに「本剤との因果関係は不明であるが、本剤接種後に、心筋炎、心膜炎が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること」といった文言が追記されております。
また、右下の部分につきましては、CDCからステートメントが発出されておりますので、「15.1 臨床使用に基づく情報」という形でその内容を追記するとともに、「23.主要文献」ということでCDCの原著を引用しております。
本日、会議資料としましてコミナティ、モデルナの添付文書を配付しておりますが、配付したものはどちらも改訂後の添付文書となっております。
資料1-1-1から資料2までの説明は以上となります。
○森尾座長 ありがとうございました。
それでは、資料3-1、3-2について説明をお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。事務局でございます。
資料3-1「副反応疑い報告の状況について」ということでまとめさせていただいております。
2ページ目でございますけれども、こちらはこれまでは死亡についての事例の御報告からさせていただいておりましたが、まず全体を俯瞰するためということで、2ページ目につきましては、資料1におきまして御紹介させていただきました医療機関報告全体像、あるいはその重篤な報告のうち死亡報告等につきまして整理させていただいております。まず上段の青色でお示ししているのがファイザー社ワクチン、下段のものが武田/モデルナ社ワクチンでございます。
ファイザー社ワクチン、青の表の上段におきましては「推定接種回数」あるいは「推定接種回数(うち高齢者等)」についてお示ししております。なお、今回より右側の「備考」のところにございますけれども、これまでは「高齢者等」という枠組みで首相官邸ウェブサイトで御紹介されておりましたものが、一般接種の中で高齢者以外の接種も進んでおりますため、一般接種のうち高齢者の接種回数というものがレファレンスできるようになってまいりましたので、そのような枠組みでこちらに接種回数を載せさせていただいております。
その下段の2段でございますけれども、こちらは前回分6月13日分までと今回分6月27日分ということで、それぞれ左側に「医療機関報告数(報告頻度)」、右側におきまして「製造販売業者報告数(報告頻度)」ということで上段、下段で分けさせていただいておりますので、こちらで改めて御確認いただければと思います。
下段につきましても同様の構成となっておりまして、武田/モデルナ社ワクチンについて、前回と今回について全体像をご覧いただければと考えております。
続きまして、3ページ目でございます。「新型コロナワクチンにおいて死亡として報告された事例の概要」ということで、従前どおりまとめさせていただいております。新型コロナワクチンにおいて、予防接種後開始後より今回の審議会までに死亡として報告された事例の概要は以下のとおりでございました。
前回の審議会6月13日時点までに死亡として報告された事例は277件でございましたけれども、今回の審議会時点6月27日時点に死亡として報告された事例は453件でございました。症状の概要に記載された死因等は、次のページでもお示ししてまいりますけれども、心不全58例、虚血性心疾患41例、出血性脳卒中37例等でございました。また、6月28日から7月2日までに医療機関または製造販売業者から死亡として報告された事例は101件でございました。
また、武田/モデルナ社ワクチンにおきましては、今回の審議会時点までに死亡として報告された事例が1件、また、6月28日から7月2日までに死亡として報告された事例が追加で1件ございました。
続きまして、4ページ目をご覧ください。こちらは資料1-3-1の別紙2でもお示ししておりましたとおり、予防接種開始後より今回の審議会までにファイザー社ワクチン接種後に死亡として報告された453例のうち、年齢及び症状の概要に記載された死因等についてグルーピングを行いまして、より因果関係が疑われるもの等につきまして見やすいようにまとめさせていただいておる次第でございます。
年齢別につきまして、委員の先生方より年齢別で少し見ていくことが重要であろうというお言葉をいただいておりましたので、65歳以上、65歳未満ということで今回も分けさせていただいておりまして、65歳以上につきましては420例、65歳未満が31例という状況となっております。なお、前回65歳未満につきましては29例ということで、今回2例、65歳未満の中で死亡として報告されたものがございました。
実際に症状の概要に記載された死因等につきましては、下に列挙させていただいておりますけれども、そのうち括弧の中につきましては65歳未満の内数となっております。65歳未満の2例につきまして、1例は不整脈、10例のうちの(3例)のうちの1例でございます。また、具体的な死因が不明であるといったものに(4例)ということで記載しておりますけれども、こちらが65歳未満の1例でございました。全体の傾向として見ますと、心不全、虚血性心疾患、出血性脳卒中等、65歳以上の方に多く見られる疾患での死亡の報告が多かったかと考えております。
また、最下段に記載しておりますけれども、武田/モデルナ社ワクチンの接種後に死亡として報告された事例1例におきましては、94歳女性、出血性脳卒中との記載がございました。こちらを御参考にいただきながら御議論いただければと考えております。
なお、前回までの審議会におきまして、令和元年度の人口動態統計による死因等につきましての表を載せさせていただいておりましたけれども、こちらは参考資料に載せておりますので、そちらも御参照いただければと考えております。
続きまして、5ページ目でございます。こちらは日本における死亡として報告された事例のファイザー社ワクチンにおける経時的な変化をお示ししてございますけれども、最下段が最新のデータでございまして、100万回接種当たりですと11.6件、100万人接種当たりですと17.3件ということで、前回からほぼ横ばいの推移になってきたという状況かと考えております。
6ページ目でございますけれども、こちらも引き続きまして、英国について若干のアップデートがございまして、海外の死亡例に関する最新の報告状況ということでご覧いただければと考えております。
7ページ目でございますけれども、こちらは武田/モデルナ社ワクチンにおいての海外死亡例に関する最新の報告状況ということで、こちらも英国に関して若干のアップデートがございます。
8ページ目、死亡例の報告状況及び因果関係に関する考え方ということでまとめさせていただいております。副反応疑い報告制度におきまして、ファイザー社ワクチン接種後に死亡例として報告されたものは、接種開始後から453件でありました。また、ワクチン間において被接種者の属性等に大きく差があることに留意が必要でありますが、武田/モデルナ社ワクチンにおきましては1件の報告がございました。
報告された症状等は心不全、虚血性心疾患、出血性脳卒中でございました。
死亡例については、引き続き報告内容について透明性をもって公表するため、個人情報につながる情報を除き、報告情報を可能な限り公表するとともに、併せて専門家による評価も公表しております。
専門家による評価につきましては、453件のうち446件はワクチンと症状名との因果関係が評価できない(γ)、1件はワクチンと症状名との因果関係が認められない(β)とされました。また、症状により評価が異なった6件のうち、1件はαまたはγ、5件はβまたはγと評価されております。
まとめといたしましては、ご覧いただいた資料のように引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団として適切にグルーピング等を進めながら、データを系統的に検討していくこととしてはどうか。
また、死亡例の報告に関しては、被接種者の属性の変化や海外の報告状況等も鑑みつつ、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということで御議論いただければと考えております。
続きまして、9ページ目をご覧ください。こちらは日本のアナフィラキシーに係る医療機関からの報告状況ということで、ファイザー社ワクチンの医療機関からの報告の経時的な変化をお示ししております。こちらも前回同様100万回接種当たりの件数で言いますと、現時点で42件ということで、引き続き減少傾向が続いております。
10ページ目におきましては、製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された件数及び製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された件数に基づきブライトン分類を行って評価された件数をお示ししておりますけれども、こちらも100万回接種当たりの報告件数で42件及びブライトン分類でも100万回接種当たりの報告件数で言うと7件ということで、緩やかな減少傾向が続いております。
続きまして、11ページ目でございますけれども、海外のアナフィラキシーに係る最新の報告状況ということでファイザー社ワクチンのデータをお載せしており、英国におきまして若干のアップデートがございます。
12ページ目でございますけれども、「日本のアナフィラキシーに係る医療機関からの報告状況について」ということで、武田/モデルナ社ワクチンでございます。こちらも以前に御紹介しておりますけれども、武田/モデルナ社ワクチンとファイザー社ワクチンは被接種者の属性等が大きく異なるため、単純な比較は困難であることに留意を要するとは考えておりますが、医療機関からのアナフィラキシーとして報告された件数は現時点で14件、100万回接種当たりですと14.6件、ブライトン分類に基づきまして評価された件数としましては1件、100万回接種当たりとしても1.0件という状況となっております。
13ページ目におきましては、海外のアナフィラキシーに係る最新の報告状況ということで、武田/モデルナ社ワクチンについてのデータをまとめております。
14ページ目、アナフィラキシーに関する報告状況についてのまとめでございます。
副反応疑い報告制度において、製造販売業者からファイザー社ワクチンのアナフィラキシーとして報告されたものは1,632件でありました。うち、ブライトン分類に基づく評価においては289件がアナフィラキシーと評価されております。
また、ワクチン間において被接種者の属性等に大きく差があることに留意が必要ではございますけれども、武田/モデルナ社ワクチンにおいては医療機関報告は14件、ブライトン分類に基づくアナフィラキシーとしてはブライトン分類2ということで1件がございます。
アナフィラキシーとして報告された例については、こちらも透明性をもって公表するため、報告件数をそのまま公表する一方、正確な評価も必要ということで、引き続きブライトン分類による評価を行っております。
海外との比較においては被接種者の違いあるいは報告制度の違い等の理由から、単純な比較が難しい状況にあると考えられますが、接種後には一定の頻度でアナフィラキシーが生ずるということを踏まえました上で、引き続き経過も確認しておりまして、アナフィラキシーとして報告されたほとんどの例で軽快したことを確認しております。
以上をまとめまして、新型コロナワクチンのアナフィラキシーとして報告された事例につきましては、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等の差に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続していくこととしてはどうかということで御審議いただければと考えております。
続きまして、15ページ目でございます。こちらは以前より少し注視しております心筋炎関連事象についてのスライドでございます。米国における新型コロナワクチンの接種後の心筋炎関連事象についてということでまとめておりまして、青囲みの中をご覧ください。まずファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチンについて解析ということで、CDC、ACIPにおきましての会議資料をこちらにお載せしております。
心筋炎関連事象につきましては、1回目接種よりも2回目接種のほうが報告例が多く、年齢は低い層で多く、かつ男性の割合が多く、2回目接種後の報告例の約8割が男性であった。2回目接種後の報告例について、年齢による層別解析を行った結果、若年層では実際の報告数のほうが予測値も大きかった。大部分の報告例は接種後1週間以内、多くの場合は接種後4日以内に発症した。現時点で得られている予後のデータでは、一般的に患者は症状が回復しており状態は良好であると示唆されると記されておりました。
また、下段におきましては、ファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチンのFact Sheetが更新されましたのでお載せしております。Warningsの項におきまして、2回目接種後の心筋炎及び心膜炎のリスク上昇が示唆されること、心筋炎または心膜炎の既往のある者への接種の判断は患者の臨床状況を考慮すべきであること等が記載されておりました。基本的には前回の審議会と同様の内容であると承知しております。
16ページ目でございますけれども、こちらは英国と欧州ということで、米国に比べますと若干トーンとしては弱めでございますが、同様の更新がございまして、英国におきましては心筋炎関連事例やそれらの重大な症状への注意喚起を含むように製品の情報が更新されているといった情報がございました。
また、欧州におきましても引き続き追加でのデータの提出を製造販売業者に求めるといった内容がございました。
また、両者に※としてお載せしておりますけれども、こちらのバックグラウンドとなる一般的な心筋炎、心膜炎の発症率について記載がございましたが、日本でNDBのデータを用いましてお示ししたデータとほぼ同等のレベルのものがあるということで、バックグラウンドデータとしては同等のものがあると考えております。
続きまして、17ページ目、こちらが国内の新型コロナワクチン接種後に心筋炎関連事象ということで報告されたものについての資料ということで、キースライドとなります。医療機関からの心筋炎関連事象を発症したとして報告された事例の概要でございますけれども、今回の6月27日時点におきましては医療機関から20件(19例)の報告がございました。年齢別で見ますと40歳未満が9件(8例)、40歳から65歳未満が4件、65歳以上が7件という状況でございました。注視すべきとされております40歳未満の男性におきましては、今回、前回の審議会から1例の追加がございました。また、前回の審議会から最も増えておりましたのは65歳以上のゾーンでございましたけれども、こちらは手元の計算ですと前回時点に比べまして報告の割合が大きく増えているといったことはないと事務局としては考えております。
なお、武田/モデルナ社ワクチンの接種後に心筋炎関連事象として報告された事例が65歳の女性として1件ございましたので、併せまして御報告させていただきます。
18ページ目でございますけれども、こちらは令和元年度における心筋炎の関連事象の発生者ということで、いわゆる非ワクチン接種者のコントロール群のデータとしてお載せしておりまして、前回同様のものとなりますけれども、こちらを御参照いただきながら御議論いただければと考えております。
19ページ目及び20ページ目でございますけれども、全体の接種者を区切らず全体像としての報告件数ということで海外との比較をしておりますので、それぞれご覧いただきながら御議論いただければと考えております。19ページ目がファイザー社ワクチン、20ページ目がモデルナ社ワクチンについての情報でございます。
また、先ほど添付文書の改訂のお話がございましたけれども、21ページ目におきまして、これらを受けました心筋炎関連事象についての周知ということでまとめさせていただいております。発生状況が注視されている心筋炎関連事象につきましては、今回、前回の審議会の時点からウェブサイトのQ&Aの更新や添付文書の改訂により周知及び注意喚起を行っております。
先ほど、右側の添付文書の改訂につきましては御紹介申し上げておりまして、左側のウェブサイト、Q&Aの更新について簡単に御紹介申し上げますけれども、こちらは7月2日に更新を行いまして、「ワクチンを接種すると心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当ですか」というQを立てまして、そちらに対しましてはAとして「mRNAワクチン接種後、頻度としてはごく稀ですが、心筋炎あるいは心膜炎になったという報告がなされています。軽症の場合が多く、心筋炎や心膜炎のリスクがあるとしても、ワクチン接種のメリットの方がはるかに大きいと考えられています」ということで、国内の状況及び国外の状況を含めまして、このようなAを立てさせていただいております。
字が小さくて恐縮でございますけれども、その下段におきましては、前回御登壇いただきました循環器内科の岸参考人等のコメントも含めまして、審議会でいただきました御議論を踏まえてのコメントを載せておりますので、こちらをご覧いただければと考えております。
22ページ目に「心筋炎関連事象及び副反応疑い報告例に関する全体のまとめ」ということでお載せしております。
まず、心筋炎関連事象についてのまとめでございますけれども、心筋炎関連事象は一般にウイルス感染症等によって発症する。顕在的な症例はまれではあるが、無症候性や軽症例のものも含め、潜在的な症例が存在しているものと想定されている。
海外の報告では、ワクチン接種後の心筋炎関連事象は、1回目よりも2回目接種後の報告例が多く、若年の男性で多い傾向にあり、また、発症しても軽症が多いとされている。
我が国の報告においても、海外の報告と同様、1回目よりも2回目接種後の報告例が多く、若年の男性で多い傾向にある。引き続き若年男性に係る報告事例では、全例、軽快または回復が確認されている。
正確な比較は困難ではあるが、若年男性においては、非接種者における発現頻度に比べ、接種者における発現頻度が高い可能性があるが、前回審議会時点以降報告頻度に大きな変化はないと考えております。
また、これらの状況を受けまして、ウェブサイトや添付文書改訂により周知及び注意喚起を行ったところと。
ワクチン接種後の心筋炎関連事象の考え方についてのまとめでございますけれども、現時点においては、これらの状況を鑑み、ワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、国内の発生状況や海外における報告状況を引き続き注視していくとともに、ウェブサイトの更新等により最新の情報の周知及び注意喚起を行っていくこととしてはどうかということで御審議いただければと考えております。
これらの副反応疑い報告例に関するまとめということで、全体をまとめさせていただいております。死亡、アナフィラキシー及び心筋炎関連事象を含めた国内の発生状況については、現時点において、ワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、引き続き国内外の情報を収集しつつ、新型コロナワクチンの接種を継続していくこととしてよいかということで御審議いただきたいと考えております。
以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
事務局からこれまでの副反応疑い報告の状況について御説明をいただいた状況であります。今の資料3-1で論点が示されていますので、これに沿って議論を進めていきたいと思います。
まずは死亡事例についてでございます。3-1のまとめのところにはございませんでしたけれども、1つ論点を示していただいたかと思っております。それは先ほどの資料1-3-1の事務局の説明の中で、複数の症状が報告された症例のうち症状により評価が異なった6例について、症状別にα、β、γの評価が分かれたため、いずれの評価結果も集計しているという説明でございます。
このような評価方法を行った場合、症状とワクチンとの因果関係評価は非常に明確になり、どういった症状に留意して、接種後の副反応にどのように介入すべきかという検討が可能になるということはございますけれども、一方で、死亡とワクチンとの因果関係の評価が不明確になるという問題があるのではないかと思われます。
事務局から提案のあった6症例については、資料1-2-3-1の企業報告において、その経緯も含めて詳細な報告がなされておりますし、今回机上配付資料として御提示させていただいている中で6例が示されている状況であります。
ここでお諮りしたいのは、今後、複数の症状を持つ死亡事例が報告された症例について、症状別ではなくて症例単位でもワクチンとの因果関係を評価すべきではないかという論点がございますけれども、この点についてどう考えるか、御意見や御質問をいただきたいと思っております。
まず、α、β、γというところをもう一回明確にしておきたいと思っておりますけれども、皆様、参考資料3をお開きいただけますでしょうか。「合同会議へ報告する資料の作成に関するルール」ということでございまして、参考資料3の2ページ目のところに資料の作成方針が書かれております。
後遺症・ADEM/GBS・アナフィラキシー・死亡症例について、共通でこのような形でα、β、γと追っていきましょうということでありまして、αは「ワクチンと症状名」と書いてありますが、「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」という形でありまして、これは中を読むと、いろいろな要素を勘案して医学・薬学的観点から総合的に判断して、ワクチン接種が事象発現の原因となったことが否定できない症例と書いております。
γについては「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」、「等」ということでいろいろなものが含有されていると考えますけれども、因果関係の評価ができないと判断されたものということでございます。
付随的なことも説明をしてしまいましたけれども、症状単位ではなくて症例単位で死亡との因果関係を評価したほうがいいのではないかという論点でございますが、委員の皆様から意見、御質問等があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。
いろいろと難しい問題がある中で、例えば今回141番を例として挙げていただいていますけれども、血小板減少症が今回のワクチン接種と関係しているのではないかということでα、そのほか腎障害、くも膜下出血、水頭症、高窒素血症、頭蓋内圧上昇、これはγとなっていて、総合的な評価としてはいただいていないという状況であります。いかがでしょうか。
○佐藤委員 今のラインリストに載っているのでしょうか。今の症例が実際にどこにどういう感じで並んでいたのかを見てみたいと思ったのです。
○事務局 資料1-3-1をご覧いただければと思います。19ページのNo.141になります。論点でお示ししたのは一番右の部分のところでして、今、α、γという形になっておりまして、コメントもいただいているところなのですが、「血小板減少はα、その他のPTはγ」で、少し省略させていただきまして、コメントの一番最後の部分で「血小板減少と死亡との直接的な関連性は不明である」となっておりますので、この症例とワクチンとの因果関係というよりは、この症状についてのα、γが付与されている状況ですので、これをどう考えるのがいいかという論点でございました。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾座長 佐藤委員に御指摘いただいたのは重要なところでありまして、これは実際の表でどうなっているかを見ていただくことが一番重要で、最終的な死因との因果関係というところで「不明である」という書き方に終わっているということでございます。
濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 この会は個別の症例を云々言うことではないという話であったと思うのですが、この141番というのが例に挙がっているのでお伺いしたい。血小板減少がこのワクチンで起きていると、判定された方は考えたわけですね。海外の文献などを見ても、mRNAワクチンで血小板減少が起きているというのは、私は今まであまり見たことがないのですけれども、そのように御判断されたということですね。その結果、くも膜下出血が起きたということではないのですか。もしそれであれば、くも膜下出血は、ワクチンで血小板減少が起きて、例えば出血傾向などがあるために起きたという流れもあるわけですけれども、どういう論理展開かがいま一つよく分からなかったのです。その辺を事務局で説明していただくと、血小板減少、くも膜下出血という関係です。この141番をとやかく言うわけではないのですけれどもね。
○森尾座長 濱田委員から非常に重要な点を指摘していただきました。まずは個別の症例を詳しくとなるとなかなか大変なことになるのですけれども、どうでしょうか。非常によく記載されていて、抗HIT抗体は陰性であって、PAIgGは調べていただいていて上昇しているという経過から、ワクチン接種から血小板減少が起きているということはαでいいのではないかという御判断で、くも膜下出血との関係があるのではないかというところを含めての見解であると。
事務局、お願いします。
○事務局 補足させていただきます。
座長からお話がありましたけれども、αというのは特にこの報告された先生、それから、評価された先生が、これが原因だということを言っているわけではなくて、因果関係が否定できないという表現になっております。そういう意味でいくと、先ほど座長からも言われたように、原因として考えられる幾つかの仮定、想定されるものが否定された場合において、ワクチンの接種時期を考慮するとワクチンの因果関係は否定できないという趣旨でαになったと理解しております。
その上で、先ほど資料1-3-1だと思うのですが、そこに書いてあるように、血小板減少はα、その他はγとして、ワクチン接種後の血小板減少の原因としては、ワクチンの関与よりも接種時の身体状態に問題があったのではないかと推測されるけれども、誘因になった可能性は否定できないという表現になっています。更に、血小板減少と死亡との直接的な関連性は不明という表現になっているということになっております。
○濱田委員 そうすると、この因果関係評価のα、β、γは、死因に対する因果関係の評価という意味合いでよろしいのでしょうか。
○森尾座長 お願いします。
○安全管理監 PMDAでございます。
資料1-3-1では、それぞれ示されている副作用名、例えば血小板減少症やくも膜下出血についての因果関係評価を、今、α、γのところでは書いている状況になっております。
○森尾座長 死因との関係を明示されていないので、今回皆様の御意見をいただきたいのは、死因との関連についてα、β、γとしてお示しいただくことがよろしいのではないかということに対して、御意見を頂戴できればと思っております。結局、死因とはどうなのかということです。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 専門家による評価、141番のラインリストの6月23日時点の一番下の行は「ワクチンと血小板減少の因果関係は不明」と書いてあるのですけれども、7月7日の評価だと「否定できない」と書いてあります。これはきっと同じ方ではないですね。
○事務局 その件につきましては、6月23日の時点はいわゆる医療機関報告で評価しておりますので、その後、企業報告が来てより情報量が増えたものに対しての評価だということになります。
○佐藤委員 そうしたら、その場合は一番遅いときの判断を見るべきという考え方ですか。
○事務局 情報量が増えた結果という意味でいくと右側です。
○佐藤委員 評価が複数ある場合はプライオリティーを決めないといけないと思います。同じ重みづけで読んではいけないということをはっきりさせないといけないと思います。
○事務局 そういう意味でいくと、情報量が多いのが右側になりますので、右側のプライオリティーが高いということになります。
○佐藤委員 右側なのですね。分かりました。
この判断をされているのは専門家で同じ方なのですね。
○医薬品安全対策第二部長 PMDAから回答させていただきます。
この症例につきましては、1回目と2回目は、評価された専門家は別になっています。
○佐藤委員 なるほど。分かりました。
○森尾座長 重要な点をありがとうございました。
右側のほうが情報量が多くて、最終的な判断ということで御理解いただけたらと思います。
柿崎委員から手が挙がっています。お願いします。
○柿崎委員 柿崎ですけれども、この表でα、γが現在は事象に対する因果関係の評価が記載されているわけですが、この1-3-1は死因の検討の資料なので、この欄には本来ならば死亡との因果関係を記載すべきなのではないかと考えるのです。そうであれば、この欄にはγと記載して、αやγなど事象との因果関係に関しては右の欄に付記するような形のほうが全体の表としては分かりやすいような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
○森尾座長 御意見ありがとうございました。
私も十分説明していなかったのですが、先ほどの参考資料3のところも死亡事例についてα、β、γというようにとは書かれていて、ただ、中を読むと症状名との関係と書いてあるので分かりにくくはなっているのですが、そこら辺の一貫性というのでしょうか。症状別でつけていただくという意義があると思われる方も多いと思うのですが、死亡との関係について記載していただくということについていかがかということでございます。いかがでしょうか。
伊藤澄信委員、お願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
今まで副反応のコーディングをされている人は、直接の死因になったかどうかを判断して判定していたのではないかと思っています。でも、このワクチンに関しては比較的副反応が強いので、副反応が死亡の誘因になった可能性が高い症例が少なからずある気がするのですけれども、それが誘因になったということではなくて直接の死因になったということで過去のデータは判定いただいているような気がするのですが、方針として転換するのであれば過去のものも含めてやり直さないといけないのではないか。誘因という意味でみていくとほとんどの高齢者の方々の死亡に誘因にならなかったかどうかを判定をするのは難しいところもあるので、ここはよほど慎重に考えないといけないのではないかという気がします。
以上です。
○森尾座長 伊藤委員、ありがとうございました。
これは非常に重要なポイントで、誘因と後押しをしてしまったものと、そうではなくてワクチンを打ったということで直接的に新しいことが起きて、そして、亡くなられた方をどう区別できるのかという点も含めての議論だと思っておりますが、いかがでしょうか。
お願いします。
○宮川委員 宮川ですけれども、よろしいでしょうか。
誘因という形になれば、これは年齢も全て誘因になるわけです。そういう意味では誘因というわけではなくて、さまざまな原因となったものをしっかりと記載して、そこに因果を考えていくというのが本来であろうとは思います。でなければ、今までの整合性が立たない形になるのではないでしょうか。
○森尾座長 ありがとうございます。
今までもかなり議論を進めてきたところではないかと思っております。
事務局、お願いします。
○事務局 少しだけ補足させていただきたいと思います。
もともとこの副反応について、死亡事例について言いますと、症状別にしている意味は、症状ごとにどういう因果関係があって、それらを踏まえてどのような安全対策措置を取っていくのだという観点もありましたので、症状別にやっていた経緯があるわけです。今まではいいか悪いかどうかは別にしてγがすごく多かったし、βが若干ありましたけれども、そういう状態であったということであります。つまり、症状毎の評価と症例毎の評価が一致していたということになります。今回初めてαが出てきたので、先ほどの血小板減少が1%も死亡に起因していないかというと、そんなことはないのだと思うのですけれども、それがどの程度まで寄与したのか、または、死亡の主要な原因となったのかは分からないのだと思うのですが、そういう意味でいくと、もう少し分かりやすい表現という意味で総合的にワクチンとの因果関係を見ることも考えるべきかどうかという意味で御意見を賜りたいという趣旨であります。
○森尾座長 ありがとうございました。
お願いいたします。
○安全管理監 PMDAでございますが、補足させていただきますと、ここの因果関係評価の欄に書かれているものはいわゆる副作用名、PTと言っていますけれども、それで挙がっているものについての因果関係評価を書いておりますが、今、御議論になっている死亡との因果関係について評価をしていないかというとそういうことではありませんので、御議論いただくべきなのは、因果関係評価のところに死亡との因果関係を書くことにするのか、あるいは個々のPTとのほうを書くのかであると思っております。死亡との因果関係の評価方法を変えるということではなくて、今も死亡との因果関係評価はやっておりますが、現在の資料1-3-1の表現上その評価結果が読み取りにくい形になっているということなのかと思いますので、そこを改善して分かりやすくすることは可能かと思っております。
○森尾座長 ありがとうございます。
整理していただきましたように、症状別の評価と死亡との関係の評価ということで、今、症状別はしっかりとされている中で、死亡との関係を加えるべきかどうかということです。
濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 私はこれは最終的な死因となるものに対する因果関係だと思うのです。死亡診断書を思い浮かべていただければいいと思うのですけれども、死因を書くわけで、例えば肺がんの方が呼吸不全で死んだら呼吸不全という形になるのですか。それはいろいろ書き方があると思います。その原因となるものが死亡診断書では肺がんという形になると思います。この肺がんがワクチンで起きている可能性があればαということであって、その経過中に起こる全ての症状がワクチンに関係しているかどうかを見るための因果関係ではないと思うのです。だから、直接の死因もしくはその死因の誘因となる病態ですか。それがワクチンで起きている可能性があればαになるのではないかと思うのですけれども。以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
今、PMDAの安全管理監の声が聞こえにくかったということが出ましたけれども、先ほど私が総括させていただいたことで、症状との因果関係、そして、死因との因果関係というところを、今まで死因との因果関係はしっかり書いていただいたということでありますけれども、α、βの記載も含めて分かりにくいところがあったら整理も含めてということだと思っております。
いかがでしょうか。症状との因果関係をつけることに関して、しないほうがいいという方はいらっしゃらないということでよろしいですか。症状とのものについてはα、β、γでつけておいてもらうというのは、それは悪くないということでよろしいですか。
○佐藤委員 私の勘違いというか、とても難しい御判断ですけれども、本当に死因との関連について判断する必要があるからこそ専門家の方3名にお願いしていたのだと私はずっと思っていたのです。ただ、症状別の判別では、リスクマネジメントという意味でどういう症状が起こり得るのか、予想外の何かが起こっているかもしれないということが拾える可能性もあるので、書いていただくことは非常に重要だと思います。死因とは分けて考えたほうがいいのではないかと思うのですが、どうでしょうか。死因との関連というところの判断は決めていただいて、個別の症状については備考的な形でつけておいていただいたほうが情報がすっきり整理できるかと思って伺っていましたが、いかがでしょうか。
○森尾座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今、佐藤委員がおっしゃったことは重要で、私たちはこのワクチンのキャラクターを見るためにどのようにしなければならないかを考えなければなりません。そのためにいろいろな情報が出てきて記載があることは非常にいいことだと考えます。死因と結びつくものは何なのかということは最終的に判断しなければいけないですが、その前の段階はワクチンのキャラクターを見るために予断なしにしっかり書き込みをしなければいけないと思います。そして、最終的に死因としてどのような事象が結びつくのかという形になったときに、α、β、γという形の中で最終的に落とし込みをしていく作業ができていればいいのではないかと考えます。それを私たちもしっかりと把握し、報道するマスコミもしっかりと認識をするという形になればよろしいのではないかと思います。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
ほかの委員の皆様から、いかがでしょうか。
どうぞ、お願いします。
○医薬品安全対策第二部長 PMDAです。
死因との因果関係というお話でいただいているところなのですが、この症例の死因は何かというところはなかなか特定できないことが多いと思っています。例えば議論に上がっている141番の症例では、くも膜下出血が起こっていて、水頭症、頭蓋内圧亢進症状も発現しているということですので、これが直接的な死因になった可能性はある一方で、尿毒症の進行があって、血小板減少から透析ができなくて、あるいは何らかの理由で透析をしなかったというところもあるかと思われますけれども、尿毒症の進行が致命的となった可能性もあると思われます。では、実際に死因としてどれが直接かと言われると、本症例のような場合には、なかなか特定しづらい印象でいます。また、突然死または死亡で発見された症例については、解剖がなされた場合でも、死因はなかなか特定できないところもあるかと感じています。
資料1-2-2-1の305ページの一番下の症例のNo.4830がこのNo.141の症例に該当するのですけれども、評価している「専門家の評価PT」という欄があるのですが、そこに水頭症、頭蓋内圧上昇、血小板減少、腎機能障害、くも膜下出血、高窒素血症、この6つの事象が企業報告として挙がっているのですけれども、それぞれ全て専門家にワクチン接種との因果関係評価をしていただいています。先ほどお話ししたように、どれが死因か特定困難ですので、全て因果関係評価をしていただいています。この隣の列にα、β、γを書いていますけれども、先ほどご説明申し上げたように、専門家の方々には、死亡との因果関係も含めて評価を実際にはしていただいております。したがって、当該症例のように、たとえαであっても、ワクチンと症状名との因果関係という表記では、死亡と関係あるもの関係ないもの両方含まれていることになりますので、死亡との因果関係という話になったときに、今、分かりづらくなっているというところと承りましたので、今後分かりやすくということであれば、PTごとのワクチンと症状名との因果関係の評価結果はこれまでどおり、報告症例一覧としてお示しするとともに、死亡として報告された事例のラインリストとしては、死亡との因果関係について別途記載していく形になるかと思っております。
○森尾座長 ありがとうございます。
今、明らかになったのは、副反応疑い報告の中で、それぞれの症状については基本的にはα、β、γで評価をしていただいているということでありまして、今まで行ってきた死亡との関係ということについての評価をα、β、γという形で入れるかどうかという議論かと思います。最初に戻ってしまったのですけれども、その中で伊藤澄信委員が指摘された誘因についてはどうなのかということで、それを含めてしっかり御判断いただく。直接的に何か因果関係があるのではないか、それは否定できないというものは評価していただいたほうがいいのではないかという議論かと思っておりますが、いかがでしょうか。ストレートに死亡との関係を御評価して専門家の中でα、β、γをつけていただくということでいかがかということです。どなたか、ぜひ声を上げていただけると。
宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。
それしか方法はないのではないかと感じます。実際には判断される方は非常に苦渋の判断をされるかもしれませんが、そうしないと議論としてはまとまりがつかないというか、結論が出ないのではないでしょうか。2段階になるのだろうと思いますけれども、症状について評価をして、そして最に死亡との間で評価するのがよろしいのではないかと思います。
○森尾座長 ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。
山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 さっき死亡診断書の話が出たと思うのですが、死亡診断書の場合には、死亡原因として不適切な症状などがあって、例えば急性呼吸不全のようなものは死因としてはそれしか書いていない場合に、2の欄に何かあればそれをむしろ慢性腎不全とか、そういうものをするとか、急性呼吸不全のところ、1のところに脳血管疾患のようなものがあれば、そちらのほうが死亡原因となると思うのです。ですから、最終的にそことの整合性を合わせなくていいのかという気も一方ではする。ですから、私としては今PMDAがやっていらっしゃるように症状別にα、β、γはつけるとして、最終的には死因としてはその中のどれがということが決まらないとα、β、γは決められないのかという気もしたのですが、いかがでしょうか。
○森尾座長 重要なポイント、ありがとうございます。
それが重要なところで、これが専門家の方の御判断ではないかということの議論だったと思います。特にαが、これが死因だよねと死亡診断書で明示的に出てくるものではなくて、否定できないという形で評価、経過からあるいは科学的に否定できないねというところの記載なのかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。今までにそのような形で専門家の方が御評価というのは、これは苦渋の中で分からないものはきっと分からないということになるとは思うのですが。
○山縣委員 そうですね。そういうことだと思います。
○森尾座長 でも、可能性があれば、十分リーズナブルであれば挙げていただく。それでαになるかということかと思います。
いかがでしょうか。
○事務局 補足というか、我々としてはできることからということなのですけれども、一つは今までどおり症状別の評価はどうしても必要だと理解しております。それはぜひやり続けたいと思っているのですが、プラスアルファとして、ワクチンと死因と直接的に関係しているかどうかについても、しっかり評価するというように工夫を考えてみたいと思います。
○森尾座長 ありがとうございます。
大体何となく皆さんの方向性と、そして、懸念も共有されているのではないかと思うのですけれども、事務局のほうで取りまとめていただいて、しっかりと専門家の方々も迷わず打てるような形ができたらと思いますが、よろしいでしょうか。宿題的な形になるかと思うのですが、方向性はできれば死因との因果関係を評価できればしていただくような形という中での言葉の整理になるかと思います。よろしいでしょうか。
お願いします。
○医薬品安全対策第二部長 PMDAです。
確認をさせてください。まず、症例ごとに死亡との因果関係という話になってくると、見つかったときのタイミング等、いろいろな要因が絡むものですので、解釈は慎重にされるものと思っております。また、死因との因果関係評価という話になると、まず、どれが直接的な死因かを特定しなければいけないという話になってきますが、どの事象が直接的な死因かというのも専門家にチョイスをしていただく、ということでよろしいでしょうか。
○森尾座長 ありがとうございます。
かなりストリクトに考えていただいていると思うのですけれども、否定ができない場合というようにみんな理解しているのではないかと思います。特定をしてくださいというのはなかなかどんな場合も難しくて、特に御高齢の方は難しいのではないかと思います。
そして、治療によって異なる、これは全ての医療がそうですけれども、しっかりとした直接的にこれを引き起こしたということがあるのであれば、それは治療がうまくいくいかないということにかかわらず、それで亡くなったのであればそれが原因という判断だと思うので、ここら辺も含めて事務局の宿題にさせていただいてよろしいですか。大分議論は進んだのではないかと思っております。
どうもありがとうございました。お時間をありがとうございます。もともとは死亡との関係についての議論となっておりましたが、ありがとうございました。
それでは、次の論点は資料3-1の4ページ目にいつもまとめていただいていて、皆さん御議論いただいています「死亡として報告された事例について」ということが書かれております。
事務局から論点として挙がったのは、引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討していく。
そして、死亡例の報告に関しては、被接種者の属性の変化や海外の報告状況も鑑みて、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということでございますけれども、この内容をご覧いただきつつ、御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 この4ページのところですけれども、「死亡として報告された事例について」ということで、かなり前回から比べてみても老衰というものが17例で多くなっていますし、溺死というのも6例と以前に比べて多くなっています。このように事例として挙がってくることを否定するわけではなくて、現実を見ていくということが非常に重要なのではないかと考えます。高齢者の接種の中で、リアルワールドでどのような物事が起こっているのかを見詰めていくということは正直な対応ではなかろうかと思います。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
ここで挙げられている「死亡として報告された事例について」を含めて何かございますか。
岡委員、お願いいたします。
○岡委員 ありがとうございます。
この資料3-1の4ページ目の表が本当に大事だと思っているのですけれども、私が前回から気になっているのは、ここでの分類はあくまでも疑われたということで出されてきたカテゴリーであるということだと思います。特にアナフィラキシーで7例と書いてあるのですけれども、死亡症例のリストで個別に拝見しますと必ずしもアナフィラキシーと判断するのは難しい様に思います。直接的な死因がアナフィラキシー、要するに、この予防接種を打ってアナフィラキシーを起こして、それで治療が十分でなく亡くなったというようなものではどうもなさそうです。直接的にアナフィラキシーが原因で亡くなった方がそんなにいらっしゃるのかというのが正直な疑問です。
事務局で確認したのですけれども、これはあくまでもそういった疑いがあるということで挙がってきた病名をリストとしていただいているということで、それが原因であると最終的に判断されてこの表に挙がっているわけではないというところはとても大事なところかと思っています。ですから、現時点ではアナフィラキシーで直接残念ながら亡くなられた方は、確認はされていないのかというのが私自身の認識だと思っています。
以上です。
○森尾座長 岡委員、重要な指摘をありがとうございました。
これだけを見るとアナフィラキシーで亡くなったという形に見えていくということですが、個々の事例を見ていくとそういうものではないということで事務局でも確認していただいていると思います。事務局、アナフィラキシーにつきまして何かコメントはありますか。
事務局、お願いします。
○事務局 ありがとうございます。
まず、ここに挙げている症状名等のリストは、因果関係が現時点では明らかとなっていないものを含めて広く情報を集めていくとともに、グルーピングしながら検討していくという姿勢に立ってまとめさせていただいております。また、注4に記載しておりますけれども、全ての症状名等を載せるのではなく、死亡として報告された事例数の1%を超えた5例以上を載せている状況でございます。報告医の先生としては、確定的な病名がつけられない場合であっても、何らかの因果関係があるかもしれないと思われた時点で御報告いただいているかと思いますので、状態悪化、心停止、心臓死、循環虚脱、などのように直接的に死因を想起できない症状名しか事務局として拾い上げることができない報告書もございます。こうした症状名に関しては、審議会としてお諮りいただく際に有用に扱うことが難しいと思われますため、その他、として整理させていただいております。
一方で、例えば心肺停止に関しては34例(3例)と記載しておりますけれども、これは実際の報告数が相応にありますため、宮川委員に御指摘いただいたように、現実としてこうした報告がありますということをお示ししているところでございます。アナフィラキシーに関しても、報告医や専門医の先生としてはワクチンとの因果関係を示しているわけではないものの、御報告いただいたものについては事務局として隠さず全てを公表し、その中でシグナルが立ってきた疾患については審議会にて議論を深めていただきながら見ていくことが大事なのではないかということで、記載させていただいております。そうした視点において、例えば心肺停止は集計不要なのではないかといった御意見をいただけましたら、その他、に整理させていただく等の工夫をして、より審議会として御議論しやすくなるように資料を作っていければと考えております。
○森尾座長 コメントと説明、ありがとうございました。
この「死亡として報告された事例について」を含めて御意見はいかがでしょうか。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 宮川です。
今、事務局が言ったことは非常に重要で、これは結果というよりは医療現場においてのシグナルとしてどのように見ていくのかということであろうと思います。正確にフィードバックしていれば、私たち実地臨床家として、ワクチンへの対応の仕方を考えられるということになります。包み隠さず報告されていることが非常に重要なのではないかと思います。
以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 私も同様です。きちんと出していくことが重要だと思います。
最近、少し聞いた話というか、体験した話でもあるのですけれども、例えば高齢者接種の際に予約をしたけれどもお亡くなりになって接種できなかった方がそれなりの数いらっしゃると伺ったのです。要するに、こういう死亡事例といったものがどういう位置づけにあるかを判断する一つの材料として、今のような情報も一つ参考になるのではないかという気がいたしました。
以上です。
○森尾座長 重要な御指摘をありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
もしほかに御意見等がなければ次に移らせていただいて、もし何か気になったことがあればまた最後の総合討論でと思います。ありがとうございました。
それでは、次がアナフィラキシー報告についてでございます。
今回、事務局から挙げられた点といたしましては、新型コロナワクチンのアナフィラキシーとして報告された事例に関して、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等の差に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続することとしていくということでございますが、いかがでしょうか。頻度等を鑑みていただきまして、何か御意見がございましたら承りたいと思います。
佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 確認したいことがあるのですけれども、資料3-1の11ページ目のアメリカの件数は急に270などになってしまっているのですが、これはもうこの3件の報告基準が異なると考えておいていいということですか。
○森尾座長 事務局から話されますか。これは昔のデータだと思いますけれども。
○事務局 事務局でございます。
今、先生の御指摘の11ページの米国の270件でございますが、アメリカの一部の医療従事者たちに接種した結果の論文ですので少し範囲は違います。以前から部会資料に載せさせていただいておりまして、引き続き掲載している状況でございます。
○佐藤委員 ほかのところは大体似たような数字が並んでいてここだけすごく突出していたので、気になってお伺いした次第です。引き続き情報があればお願いします。
○森尾座長 ありがとうございました。
特に初期に医療関係者に接種したときの対比として掲示をされていたものと理解しております。ありがとうございます。
ほかにアナフィラキシーについていかがでしょうか。
宮川委員、お願いします。
○宮川委員 表現の仕方として昔から疑問というわけではないのですが、思っていたことがあります。例えば10ページ「製造販売業者からアナフィラキシーとして」という「として」という表現があります。これはアナフィラキシーを疑って報告した件数ということです。その下に「ブライトン分類に基づき評価された件数」、これがアナフィラキシーです。上の「として」と報告されたものが独り歩きして、アナフィラキシーのごとく報道されることもあります。「ブライトン分類に基づいて評価された件数」がアナフィラキシーですので「アナフィラキシーの件数(ブライトン分類に基づき評価された件数)」と表現して、製造販売業者からは「アナフィラキシーを疑い報告された件数」という記載の仕方をしていかないと、混乱して言葉が独り歩きすることがあるので、注意していったほうがいいのかと思っています。
以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
いかようにも取れるということなのだろうと思いますけれども、柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 先ほどの11ページの表なのですけれども、心筋炎に関してはアメリカのデータは最近のものまでアップデートされているのですが、死亡とアナフィラキシーに関しては最近のアメリカのデータはないのでしょうか。日本と英国は最近のまでアップデートされているみたいなのですけれども。
○森尾座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 先生のおっしゃるとおり、海外の情報はなるべく新しいものをアップデートするとのことで私どももそのように努力している次第ではございますが、例えば11ページの米国のアナフィラキシーの発生頻度につきましては、接種者数とアナフィラキシーの発生を数値も含めて載せている資料について、今のところ3月1日より新しいものが見つけられておりませんので、以前から御指摘いただいているのですけれども、米国はこのままで載せさせていただいております。
一方で、英国MHRAからは毎週レポートが出ておりまして、英国全体の接種者数やアナフィラキシーの人数をしっかり出してくれていますので、私どもでそれを毎週チェックし、そこから記載している状況でございます。
○柿崎委員 わかりました。
○森尾座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
アナフィラキシーとしてという書きぶり、工夫できる、あるいは何かこちらから発信できるものがあれば事務局でお考えいただく形にするかと思います。ありがとうございます。
それでは、3番目の論点が心筋炎、心膜炎についてでございます。今回はちょうど時期的に心筋炎関連事象について、副反応疑いの報告状況に加えて添付文書による周知、注意喚起が行われたということでありまして、また、ホームページにもその旨が報告されておるということでございます。
論点として挙げられました、現時点において、ワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、国内の発生状況や海外における報告状況を注視していくとともに、引き続きウェブサイトの更新等により最新の情報の周知及び注意喚起を行っていくこととしてはどうかという形になっておりますけれども、これについて御意見、御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
岡委員、お願いします。
○岡委員 ありがとうございます。
今回、こういう形で注意喚起していただいたのはとても大事なことかと思います。その後も若年者に多い心筋炎の報告の中に、重症の方がいないかどうか見守っているのですけれども、重症の方はあまりいらっしゃらないということが海外の報告からも出ていますので、そういう意味でちゃんと早期に診断をして治療をしていただくということをともかく我が国でも進めていけば、安全に若年の方にも接種が進められるのではないかと思います。
我が国の統計で心筋炎の症例が相対的に低いのが、もしかしたら年齢の若い方の接種が十分にまだされていない可能性もありますので、そこも含めてちゃんと国として調査しているのだということを強調しながら進めていけばいいのかと思っていますので、今回こういう形にしていただいたのは非常に大事なことだったと思います。
○森尾座長 岡委員、重要な点、ありがとうございます。
ACIPからの提言にも接種者や保護者などに十分な情報提供を行うことが重要であると書かれていましたので、ホームページ等々で情報提供していく、特に若年者については留意が必要かということかと思います。ありがとうございます。
ほかには心筋炎、心膜炎についていかがでしょうか。よろしいですか。
どうもありがとうございます。
それでは、そのほかの副反応についてということでございまして、新型コロナワクチンの副反応に関連して、そのほか、質問や御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
死亡やアナフィラキシーなどもそうなのですけれども、まだファイザーとモデルナとでは接種された対象者の違いも大きいですし、人数も違いますしということで、単純な比較はできないという表現が何度も出てくるのですけれども、今までの統計を取られたところでは副反応としてそれほど両者のワクチンに違いはないと考えてよろしいのでしょうか。
○森尾座長 今までの統計といいますと、国内での接種ということでよろしいでしょうか。○伊藤(清)委員 海外も含めて、もしその情報があればと思うのです。海外でも両ワクチンの間では接種した対象者の違いがあるようですので、どこも単純な比較はできないとは思うのですけれども、そういった中でもし何か今の時点で言えることがあればと思ったのですが、いかがでしょうか。
○森尾座長 ありがとうございます。
国内は恐らく伊藤澄信委員からの調査の中でもコメントがあるのではないかと思います。
海外について何か特筆すべき点がありましたら、事務局からお願いできますか。
○事務局 今までのところ、海外でmRNAワクチンの個別のそれぞれにおいて副反応の状況が異なるという報告は存じ上げておりません。先生の御指摘のとおり、海外においても、ワクチン毎に対象者も大分異なってきておりますので比較は難しいのですが、今のところ、特にそういった報告がないということしか言いようがないと思います。
それから、小規模とは言いながらも、数万人単位の数で治験をしていますので、その結果から見るとそんなに大きな差はないと私どもとしては認識しております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○森尾座長 後ほどの伊藤澄信委員からのプレゼンテーションも期待をしております。ありがとうございます。
濱田委員、お願いします。
○濱田委員 副反応といえば、最近かなりデマが出回っているところが多いと思うのです。不妊になるであるとか、遺伝子の変化が起きるとか、この辺、厚労省のQ&Aにも確かに書かれているのですけれども、ちょっと難し過ぎるように思うのです。今後若い方にワクチン接種が広がっていく、どんどん受けていただくほうがもちろんいいわけなのですけれども、もう少し若者向けの啓発といいますか、ぜひお願いしたいと思うのです。妊娠に影響するかというのも、たしか今週か先週か新しく出ているのですけれども、読んでも結構難しいです。どこの担当なのか分からないのですが、デマをとにかく消していかないとなかなか接種が進んでいかないと思うので、よろしくお願いいたします。これはこの部会で話す内容かどうか分からないのですが。
○森尾座長 事務局、お願いします。
○事務局 御指摘ありがとうございます。
誤った情報がSNSで出回っていること、私どもも探知しておりますし、いろいろ対策できることはしていきたいと思っています。Q&Aに記載をすることはまず正確な情報を出すということで第一歩だと思っておりまして、それを見た方がまた二次的に発信をしていただけることにも期待をしておりますし、私どもも例えば短くまとめた上でSNSで発信するといったことをして、とにかく正しい情報が誤った情報よりもたくさん流れている状態をつくりたいと思っておりますので、また、いろいろなテレビ等に御出演いただいて御活躍いただいている先生方もいらっしゃると思いますけれども、御協力を賜れればありがたいと思っております。
○森尾座長 若者向けで分かりやすく飛びつきやすいようなというか、アトラクティブなものをぜひよろしくお願いします。
石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。
若者向けでといったことで、今、職域接種が大学で接種が始まっているのですが、1回目でも若者は発熱がひどくて結構つらい思いをするケースがあることを複数の大学から聞いております。そうすると、あまりにもひどいので2回目を受けたくないと言っている学生が随分いるようです。熱が続き大学に出てこられなかったりとか、ちょうど試験期間でもありますので、出られなくてどうしましょうといったこともあると聞いています。一方、2回受ける有益性は非常に高いと思いますので、これらも受けるようにという啓発をお願いしたいと思います。
以上です。
○森尾座長 石井委員、ありがとうございました。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
アナフィラキシーのところで確認を忘れたのですが、アナフィラキシーの部分で、患者の属性に留意をしつつというのはそれで結構だと思うのですけれども、毎回議論になる報告慣れ、報告バイアスではないですが、モデルナのほうが1件しか上がっていなかったり、極端に少ないところについて、この属性に留意しつつというだけでいいのかというところについて、事務局にコメントをいただきたいと思います。
○森尾座長 いかがでしょうか。
○事務局 基本的には今、御意見をいただいたとおりのことかと思っておりまして、幾つか要因はもちろんあるかと思います。一つはこれまでの審議会においても御議論いただいてきたとおり、高齢者のほうが比較的報告頻度が低い傾向があって、特にモデルナのほうは高齢者の接種が今のところは中心であると。こういったものが要因かと思います。また、御指摘いただいた部分でもありますが、報告慣れという部分があります。特に接種の初期、接種開始初期というのは、医療従事者の方もかなり丁寧に副反応を見られて報告してくるという傾向がありますので、こういったことによって特に接種が始まった初期のほうのコミナティが高くなっている可能性はあるかもしれません。
○舟越委員 ありがとうございます。
そこが属性や今後まとめて比較をしたときにもモデルナのほうが少ないとかということになりかねないので、常に報告バイアスの部分はどこかに書きながら、意識しながら議論しておくといいのかと思いまして、コメントをさせていただきました。
2点目としては、先ほど石井委員も報告していましたが、職域接種の問題の部分で、私は何回かこの回でコメントをしていますが、今回のワクチンの副反応の部分に関しては、3本柱のもう一本目のSNS等での報告という部分の開発が遅れている話は聞いております。事務局の負担も相当大変だと思うのですけれども、幅広く広がっていく中で、今回の3本目のSNS等での報告の開発も、今の進捗とやっていく予定はあるのかということについて確認させていただきたいと思います。
○森尾座長 事務局、お願いします。
○事務局 お尋ねありがとうございます。
御指摘の3本目の調査につきましては、いろいろ準備が遅れておりましたけれども、先日6月28日に入札公告が出まして、一般競争入札で対応するべく準備を進めているところでございます。
○森尾座長 ということでございますので、お待ちいただいてということで。
○舟越委員 ちょっとだけ聞き取りづらかったのですが、6月、これから開発というか、始まるということですね。
○森尾座長 ぜひ堂々とお答えいただいて・・・。事務局、よろしくお願いします。
○事務局 聞き取りづらかったということなので補足いたしますが、今、競争入札の手続中でございまして、これから業者等を決めていく段階になります。
○舟越委員 分かりました。
私も先ほどの石井委員と同じで、各大学のところで1割程度接種を拒否しているというのを幾つもの大学から聞いていまして、現状はSNSにしろそういった部分で副反応等いろいろ気づいたことの投稿をできる環境は若手の世代には特に必要かと思っていましたので、併せてコメントさせていただきました。ありがとうございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
宮川委員、お願いします。
○宮川委員 先ほどの属性のところなのですが、属性というだけでは分かりにくくて、実際には接種体制によっても随分違っています。つまり、大規模接種のところと職域接種のところと個別接種のところでは、随分とその後の副反応疑いの拾い方が異なります。患者さん、接種者である医療者との距離感が随分違っているのです。個別接種であれば非常に細かなところまで対応でき、患者さんの言葉をしっかり聞くことができるのですが、大規模接種でありますと、距離や時間という物理的原因や心理的原因が横たわっています。以前濱田委員が御懸念で示されたようないわゆる遅延性反応の中でのモデルナアームなどは、接種してかなり末梢のほう、肘のところ過ぎまで出現することもあります。大規模接種会場から距離的にも離れ、時間経過もある程度経過した臨床現場でも十分拾い切れていないというのが特徴でもあるわけです。ですから、そういうところで属性というだけではなくて接種体制によっても随分違いが出ているような現状があるということで、そういう分析も必要なのではなかろうかと思います。
以上です。
○森尾座長 貴重な御指摘をありがとうございました。
山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 山縣です。
今の舟越委員、宮川委員の御指摘で、最初のほうはいわゆる対象者が誰であるかという選択バイアスによるもので、今の宮川委員の言われたものはまさに情報バイアスによるもので、こういったようなものを読み解く、情報を読み解く基本的なこともきちんといい機会なのでどこかに記載して出しておいたほうがいいような、特に若い人たちなどはそういうものは理解が早いと思いますので、それで判断できると思います。
先ほど、学生拒否10%と言っていましたけれども、多分もっと多いです。結構若い人たちは本当は打ちたくないという人が多いですね。
以上です。
○森尾座長 ありがとうございます。
倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 今のアナフィラキシーのところなのですけれども、私の計算は正しいのかどうか分かりませんが、ずっと経過を追っていくと徐々にアナフィラキシー、あるいはアナフィラキシー疑いで報告されたもの、あるいはブライトン分類1から3で報告されたものが減少していると。でも、常にアナフィラキシー疑いで報告されたうちの6分の1がブライトン分類1から3ということなので、特にブライトン分類1から3だから報告してきているというものではないのかと理解してしまうのです。
確かに御説明のように最近6月あるいは5月は高齢者が多いので、その分、アナフィラキシーと疑われるもの、あるいはブライトン分類1から3と疑われるものについても減っているという説明ではあるのですが、この計算上、ここには5つの期間があるのですが、それぞれの期間、例えば上で言うと5月2日から5月16日、あるいは次は5月16日から5月30日についても計算することによって、将来的にこの期間に接種した方の年齢構成などが分かるのであれば、やはりそのような結論なりあるいは考え方をサポートするようなデータが出るのかと思うのですが。
これまで2月からずっと6月まで、あるいは5月までの計算でやっておりますが、それぞれの計算として示していただいている、最近で言えば6月13日から6月27日というのも出していただくと、我々も数の減りや実際の減り方が分かるのかと思いました。
○森尾座長 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
○事務局 先生方、御指摘をありがとうございます。
mRNAワクチンについては、両者は違う薬品ですのでそれぞれを見ていく姿勢に変わりはありません。一方で、海外においても両者をまとめて評価されている国もある中、いたずらにその差異を際立たせていく方向に持っていくのはどうかといったところもございますので、単純な比較は難しいという言葉で注釈として記載させていただいております。
報告医・国民の関心度合いによって報告の積極性が変わってきたりするところもあるかと思われますので、ファイザー社のワクチンの直近2回の審議会報告分の差分を取って手元で計算してみましたところ、ファイザー社ワクチンはアナフィラキシー100万回接種当たり10.4件、モデルナ社は開始からの頻度が100万回接種あたり14.6件ということで、ほぼ同等のオーダーになると思われます。
以前の審議会においても、スライド2ページ目に該当する部分つき、週別報告で副反応を見ていくと、モデルナとファイザーにはそんなに大きな差がないと思われるといった回答をしたこともあったかと思います。
事務局としては2つを大きく差をつけないで、横並びで見ていき、もし必要であれば、次回の資料では差分も入れていくことで、委員の先生方あるいは国民の皆様にも御安心いただきながらワクチン接種に向かっていただけるよう努めて参りたいと思います。次回の資料構成につき検討させていただきます。ありがとうございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
永井委員から手を挙げていただいております。よろしくお願いします。
○永井委員 よろしくお願いします。
先ほどの副反応に関するいろいろな情報が流れているという話なのですけれども、実際にそのとおりだと思うのですが、私も実は職域接種の企画に関わっているのですが、私のやっているところでは実は9割方受けてくれまして、非常にたくさん受けてくれたと思っているのですけれども、やはり情報だと思うのです。ぜひ分かりやすい情報が責任ある形で、しかも一般の方が受け取りやすい形をつくっていただくと、もっと接種を受けようという気持ちが強くなってくるのではないかと思っています。
あと、これはここで言ってもしようがないのですけれども、今、本当に熱冷まし一つ薬局で手に入らなくなっているのですね。だから、一般の方が接種を受けて熱が出たとき、あるいは痛みがひどくなったときに非常に困っている状況があって、クリニックなどで接種されていると大体ドクターが処方されますのでうまくいくのですけれども、そういう体制も少しこれから配慮していく必要があるのではないかと思っています。
以上です。
○森尾座長 貴重な情報をありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。そのほかの副反応についてということで、よろしいですか。
どうもありがとうございました。司会の不手際で長くなっておりますが、今まで議論していただきました内容をまとめたいと思いますので、御確認ください。
これまでに確認された内容としては、コミナティの評価期間中の副反応疑いの頻度は、医療機関からの報告に基づけば0.04%であった。
また、モデルナの評価期間中の副反応疑い報告の頻度は、医療機関からの報告に基づけば0.02%であったということでございます。
死亡事例の報告状況について整理いたしますと、コミナティについては、前回の合同部会から集計対象期間である6月27日日曜日までに新たに99件の死亡事例の報告がございました。専門家による評価では、接種開始以降、集計対象期間までに報告された453例については、445件が「ワクチンと症状名との因果関係が評価できない(γ)」、2件は「ワクチンと症状名との因果関係が認められない(β)」と評価されました。また、複数の症状が報告された症例のうち症状により評価が異なった6件は、症状ごとにα、βまたはγと評価されました。また、6月28日月曜日から7月2日金曜日までには、さらに101件の報告がございました。
モデルナについては、前回の合同部会から集計対象期間である6月27日日曜日までに新たな死亡事例の報告はございませんでした。専門家による評価では、接種開始以降、集計対象期間までに報告された1件については、「ワクチンと症状名との因果関係が評価できない(γ)」と評価されました。また、6月28日月曜日から7月2日金曜日までにはさらに1件の報告がございました。
今回新たに報告のあった事例を踏まえても、前回までと同様であり、現時点でワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられます。
また、今後死亡事例の因果関係評価におきましては、症状別の評価だけではなく、症例単位の評価を行うことを基本として事務局で考え方を整理していただけたらと思っております。
死亡を含めた副反応疑い報告数が増加しつつある状況も踏まえ、引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討していく必要がございます。
死亡報告の事例として挙げられている中で、例えばアナフィラキシーのようなところが書かれていますが、これは直接的には関係があるわけではないことを含めて、全般的に全て正直に報告をしていく中で、その捉えられ方については注意をしていくべきであるという御意見も頂戴いたしました。
アナフィラキシーの報告状況を整理いたしますと、コミナティについては、接種開始から6月27日まで医療機関から1,629件、製造販売業者から1,632件の報告がございました。また、製造販売業者からの報告に基づくブライトン分類評価については、レベル1から3に分類されたものは289件でございました。
モデルナについては、接種開始から6月27日まで医療機関から14件、製造販売業者から13件の報告がございました。また、医療機関からの報告に基づくブライトン分類評価については、レベル1から3に分類されたものは1件でありました。
アナフィラキシーとして報告された例は、引き続きほとんどの例で軽快されたことが確認されています。
以上から、アナフィラキシーとして報告された事例については、発生動向に大きな変化はなく、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等の差に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続するということでよいのではないかということでございます。
3番目、心筋炎、心膜炎につきましては、現時点においてはワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められず、国内の発生状況や海外における報告状況を注視していくとともに、引き続きウェブサイトの更新等により最新の情報の周知及び注意喚起を行っていくのでよいのではないかということでございます。これはしっかりと情報を若い方を中心に提供していくことが重要であることが指摘されました。
以上のようなことでよろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。
今回報告のありました具体的な事例を踏まえまして、2種類の新型コロナワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、御審議いただきましたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。
大分お時間をいただきましたが、次に重要な議題といたしまして、資料4「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査) 健康観察日誌集計の中間報告(9)」につきまして、伊藤委員から御説明をよろしくお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
中間報告も9回目になりました。ファイザー社のコミナティについては、施設から1万9806例の個別症例の登録状況について確認をしております。日誌1については1回目について1万9791人の回収で15人分が未回収になっておりますが、99.9%は回収しております。2回目は1回目の99.2%である1万9658人の方が接種をされて、そのうち1万9593人の方の日誌を回収しておりまして、65人分が未回収です。2回目接種者のうち99.7%を回収して一応終了という状況です。したがいまして、コミナティの報告については今回で一旦終了になると思っております。まだクリーニング中でデータロックはしておりませんので、最終報告時で数字が変わるかもしれないということをあらかじめ申し上げておきます。
今回コミナティに関しては、主な変更箇所は16ページ、17ページです。日誌1の接種部位反応や全身倦怠感などのチェックボックスで収集した特定有害事象と毎日5つの欄に記入していただいた自由記載欄のAEを収集して1回目と2回目を種類ごとにまとめて、器官別大分類ごとに整理して添付文書と同じような形にまとめて表にしております。自由記載欄はチェックボックスにない症状を書いてもらうことにしておりましたので、それを根拠に今回のような構成で表にしております。1,000人に1人以上発現したAEについては頻度を入れております。0.1%未満のものについて症候名を頻度順に並べております。
グラフで示している痛みや発熱、倦怠感、頭痛やインフルエンザ様症状だけでなくて、リンパ節腫脹や腋窩痛、悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状、蕁麻疹などの皮膚症状や、めまいや眠気などの神経症状が起きることを十分御理解いただいて、接種後に予想外のこういったAEが起きても、この表をご覧いただければこんなものがあるのだと安心していただけるといいなと思って、こういった表をつくっております。
今回が最後だと思いますので、解析の結果の一部を説明し直しますが、20ページには、2回目接種は1回目接種をされた方の99.2%が高率に接種されているのですけれども、2回目接種をされなかった人は1回目にSAEがあったり、1回目接種30分以内にAEがあった人、1回目接種に発熱があった人が2回目接種を避ける傾向があることが分かっているところでございます。それでも発熱があった人の5.3%のみが2回目接種を避けられただけですので、それほど心配はないだろうと思います。
先ほど、多屋先生から御質問がありました件ですが、1回目の発熱があった人、37度5分以上ですが、2回目も発熱をしていた人は617例中442例の71.6%でした。38度以上と比較的熱が高かった人は、1回目接種153例のうち91例の59.4%ですので、1回目に熱が出たから必ずしも2回目も熱が出るということではない。ただ、頻度的には発熱がなかった人よりは高率になりますが、こういった状況でした。
解熱鎮痛薬についてですが、自由記載欄から薬品名を拾っているのですけれども、例えばお一人の人でアセトアミノフェンとカロナールという2つのブランド名と一般名を使って記載されている方が11名いることが発覚したりしておりまして、もう一つは、バファリンの商品名にはアスピリンとアセトアミノフェンとイブプロフェンの合剤があったりしていて、分類しにくいのですが、簡易的に21ページのようにまとめています。
今回22ページをご覧いただきますと、薬剤を使用された方の症状と被接種者背景を調べた結果をまとめております。以前、委員の方から御質問があったことだと思っておりますが、1回目と2回目、2回目は2種類以上使われた方の要因を分析しております。2剤以上お使いになられた方は、1剤では症状が落ち着かれなかったのだろうと想像して分析をしておりますが、ご覧いただきますと分かりますが、1回目と2回目、2種類以上の服薬要因で頭痛が最も強く検出されています。それに続いて発熱です。女性の方が薬剤を使う傾向が強いことが分かっています。
前の21ページのところで、2回接種後に4週までのCOVID-19の感染報告者数を挙げておりましたけれども、2回接種後にもう一人の感染者がいることが分かりましたので、最終的に8人でした。2回目接種後は4人の方が感染をされたという報告をいただいています。
25ページにコミナティ報告のまとめを記載しております。
26ページからはモデルナ筋注の件でございます。一昨日までに9,344人の1回接種、1,633人の2回接種の登録がありました。自衛隊の方々ですので95%は男性で、ちょうど第I相試験の被験者に近いような方が登録をされているということで、背景については御理解いただければと思います。
30ページからはコミナティと同様の項目についてまとめていますが、今回まではモデルナワクチンのAEのプロファイリングを明らかにするために、コミナティの1回目の結果を上に、下にモデルナ筋注のグラフを提示しております。次回以降はモデルナの1回目と2回目接種を並べる形になるのだろうと思っています。
コミナティと同様の項目を示しておりますが、発現パターンはコミナティとモデルナでほぼ差がありません。頻度などについては女性が多い医療従事者と男性の多い自衛隊の職員を直接比較することはできないと思いますので、ここでは発熱や倦怠感などの全体の傾向を見ていただければと思います。パターンは同じなのですが、ただ、後で説明をいたしますけれども、31ページに発赤、32ページにかゆみのグラフを載せているのですが、Day8、最後のところなのですが、発赤とかゆみがDay7に比べて少し上がっていることがわかります。
34ページは年齢ごとの違いですけれども、コミナティと同様に疼痛は年齢があまり関係ないのですが、発熱、倦怠感、頭痛は年齢が上がるほどAEの頻度が少なくなっています。
35ページは2つのワクチンで被験者の背景因子が違いますので、コミナティの1回目1万9791人とモデルナの4,069人のデータを統合して、発熱などを従属変数として、年齢と性別で調整した結果を示しております。発熱は1回目ですので全体の頻度が低いので、ワクチンの違いをどの程度表しているのか分かりませんので、2回目接種後の結果で最終的に判断をいただくことになると思っております。
また、接種部位疼痛は、激しい訓練を積んでいる自衛隊の方々の影響なのだろうと思うのですけれども、モデルナのほうが低くなっていたり、鼻水については2月に接種したコミナティと5~6月に接種したモデルナの系統誤差があると思っています。
36ページがコミナティと同様の手法でまとめた器官別の大分類、頻度別のAEなのですが、コミナティとほとんど変わらないことがお判りになるかと思います。濱田先生から以前から御指摘いただいたモデルナアームについては、一昨日に抽出しました日誌、9日目から28日目までの日誌を回収して確認ができました。発赤とかゆみについてはDay7に比べてDay8で頻度が上がることは先ほど説明させていただきましたけれども、Day9、Day10でも頻度が高くなっております。
本来は別のシートなのですけれども、疑似的にイメージ図として描いたものが38ページになります。これはサイエンティフィックな図ではなくてあくまでイメージ図です。日誌2を回収した1,447人のうちDay9以降のいずれかの時点で発赤が残っていた人が63人で、データを集計しますと、発赤の平均持続期間が11.3日です。2週間近くでした。最長は接種から25日まで赤かった方がいらっしゃいます。大きさはDay9で平均6センチ、最大値18センチ、Day10は6.9センチ、一番大きい人は20センチという報告が来ております。年齢、性別ですが、これは男性が4%、女性が9.8%と女性の比率がどうも高そうですが、女性の母数が少ないので断定はできません。年代は30-40代が多いというところでしたが、症例数が集まった段階でもう少し解析をさせていただかないと、今の段階で結論めいたことを申し上げるのは難しいと思っております。
39ページがまとめでございまして、今のところSAE報告は上がってきておりません。
報告は以上でございます。
○森尾座長 いつもながらの詳細な、そして、精緻な解析をありがとうございます。
委員の皆様から質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 伊藤先生、どうもありがとうございました。
先ほどの石井先生の御意見にも関連すると思うのですけれども、大学生などの接種が多く始まっていて、1回目に症状が出た方、2回目はどうなのだろうかという質問が多く寄せられているということを伺いました。ぜひその結果も出していただいて、分かりやすい説明書をつくるのであればそういうことも入れていただけると、準備して接種ができるのかと思いました。先ほどお伺いしたばかりですのに、すぐに調べていただきましてありがとうございました。
以上です。
○森尾座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
濱田委員、お願いします。
○濱田委員 伊藤先生、モデルナアームの件、調べていただきまして、どうもありがとうございます。
モデルナアームでひどい方が2回目の接種をやめられたとか、そういうことは今回はないのですか。その辺までまだ分からないと思うのですけれども、もし情報があればお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 分かりません。次のとき、2回目の接種の日誌が上がってくるような状況になって少し分かってくるのかと思います。
○濱田委員 どうもありがとうございます。
○森尾座長 ほかにいかがでしょうか。
石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。
伊藤先生、いつもありがとうございます。
今回、自衛隊の若い方が入っておられるということで、今日の最初のほうに話題になりました心筋炎ということは上がってきたのでしょうか。今、これを見るとないのですが、そういった傾向や4~5日後に何か訴えられるということが、自衛隊の方は我慢してしまうのかもしれませんが、あれば教えてください。
○伊藤(澄)委員 今のところ見ておりましても、36ページの添付文書のような形で評価していても出てきておりません。日誌のところにはそういった記載がないのですが、心筋炎に関しては2回目の接種4~5日目ということが前から言われておりますので、そのデータが上がってきたら、また皆さんのところに早めに報告させていただきたいと思います。
○石井委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
伊藤委員、次回第10回目ということで、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
用意させていただきました議題は以上でございますけれども、委員の皆様から全体を通して御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の議事は以上で終了になります。
事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 本日は長時間にわたり活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡さしあげます。
○森尾座長 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。
活発な御議論をどうもありがとうございました。閉会させていただきます。