技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会(第12回)議事録

政策統括官付政策統括室

日時

令和3年6月22日(火)10:00~12:00

場所

厚生労働省統総大会議室(11階)

出席者

委員(五十音順)
事務局

議題

  1. (1)とりまとめに向けた議論
  2. (2)その他

議事

議事内容
○守島座長 皆様方、おはようございます。
 定刻になりましたので、ただいまから「技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会」の第12回を開催いたしたいと思います。
 本日は、オンラインの開催とさせていただいております。
 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、所用により、大竹委員、佐久間委員、冨山委員、森戸委員が御欠席でございます。
 議事に入ります前に、オンラインでの開催に当たって、事務局より御説明があります。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 本日も、オンラインで開催しておりますので、留意事項を説明いたします。
 まず、検討会中は、原則として、カメラはオン、マイクはミュートとしてください。委員の皆様には、御発言の際は、参加者パネルの御自身のお名前の横にあります挙手ボタンを押して、座長から指名があるまでお待ちください。座長から指名後、マイクのミュートを解除して御発言ください。発言終了後は、マイクをミュートに戻し、再度挙手ボタンを押して挙手の状態を解除してください。通信の状態などにより音声での発言が難しい場合には、チャットで発言内容をお送りください。また、検討会の最中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡ください。
 以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本検討会では、一昨年12月以来、今回も含め、全12回の会議を持ち、議論を進めてまいりました。本日は、その取りまとめの回となります。
 事務局に前回の検討会で皆様方から頂戴した御意見を反映させた修正案を作成させましたので、委員の皆様には、この修正案にて取りまとめてよろしいか、最終確認をお願いしたいと思います。
 また、参考として、報告書案の概要もお配りしております。この概要につきましては、報告書の本体ではありませんけれども、皆様方の御参考にしていただければと思います。
 それでは、報告書案につきまして事務局から修正案の御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 事務局から、資料の説明をいたします。
 報告書案につきましては、前回の御議論を踏まえまして、資料1-1のとおり、全体としては修正しております。資料1-2で前回からの変更点を記載しておりますので、こちらで前回からの主な変更点について説明いたします。
 資料1-2の1ページをお開きください。まず、1ページの「はじめに」を御覧ください。中段やや下のところに、テレワークに関しまして労務管理上の課題も明らかになったというところを追記してございます。前回の根橋委員の御意見により追加したものでございます。さらに、その下になりますけれども、DX、デジタルトランスフォーメーションというところを、大竹委員の御指摘を受けて記載してございます。
 次に、2ページを御覧ください。「1.検討の前提」の(2)に、前回の池田委員の御意見を踏まえまして、労使コミュニケーションの枠組みが直接的なものか間接的なものかという観点について追記した部分でございます。
 5ページを御覧ください。2.(3)のテレワークに関するデータの箇所でございます。「テレワーク(在宅勤務)」というところが見られるかと思いますけれども、ここで取り上げている調査の内容につきましては、テレワークのうち在宅勤務に関する調査項目でございますので、それを明示したものでございます。これに伴って、テレワーク=在宅勤務という誤解が生じないように、脚注9としまして、テレワークについては、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務の3類型があるということについてもガイドラインを引用して追記してございます。
 その続き、6ページになります。こちらも、前回の根橋委員の御意見を受けたものでございます。テレワークの課題として企業から労務管理上の課題が挙げられたデータにつきましても、追記しております。併せて、労働者から挙げられた課題として、テレワーク環境の課題についても追記しております。それぞれ脚注12に具体的な調査結果も追記しております。
 続いて、8ページから9ページにかけて、ヒアリングでお聞きしました各事例が載せてあるところには、事例集の番号、事例番号を追記しております。
 次に、10ページになります。4.(2)労働組合の果たしてきた役割の2段落目になります。こちらは、前回の根橋委員の御意見を受けまして、企業別労働組合の果たしてきた役割として、労使での話合いにより、各職場での働き方のルールの整備と定着に取り組み、働きがいのある労働環境の実現など重要な役割を果たしてきた旨、追記した部分でございます。
 さらに、11ページでございます。4.(3)ア、個別の労使コミュニケーションの拡がりの箇所は、仕事の内容、雇用形態、人材の多様化により、労働者の関心事項や企業に求める事項も多様化し、個別の労使コミュニケーションを必要とする局面が広がってきたという部分でございます。ここの部分は、前回、後藤委員から御意見をいただきました。集団的な労使コミュニケーションだけでは労働者のニーズに対応し切れなくなってきたという部分については言い過ぎではないかという御指摘をいただきましたので、これを受けて削除した部分でございます。
 続いて、12ページに参ります。フリーランスのガイドラインに言及したところでございます。ここでは、ガイドラインの記載に沿った正確な表現に修正してございます。ここについては、趣旨としては変更があるものではございません。また、その段落の下から2行目、「そうした」を消しておりまして、「フリーランス等の雇用関係によらない働き方の者」と書いてございます。「そうした」という表現ですとどこを指しているかというところで紛れがございましたので、明確にするために明記したところでございます。このページの脚注14から16の部分ですけれども、クラウドソーシング、シェアリングエコノミー、ギグエコノミーにつきまして、説明を加えてございます。
 続いて、15ページになります。5.(1)コミュニケーションの重要性についての部分でございます。上から3行目に「同時に」の段落を追記しております。ここは、前回の根橋委員の御意見を受けまして、新技術導入により働き方が変わる際には、労使コミュニケーションを通じて各職場での働き方のルールの整備と定着に取り組むことが重要であると追記したところでございます。さらに、同じ15ページの(2)ア、個別の企業における取組ですけれども、中段に追加したところがございます。この部分は、非正規雇用労働者、管理職、若年者の職業意識の変化を記載してありまして、こうしたところに目配りした労使コミュニケーションの在り方についても模索が求められるとしていた部分でございますが、前回の仁平委員の御意見を受けまして、ギグワーカー、クラウドワーカー等と呼ばれる新しい働き方が拡大していることを追記してございます。
 続いて、17ページの5.(2)ウ、労働組合に期待される役割になります。17ページの中段辺りになります。前回、前のほうになりますけれども、4.(2)労働組合の果たしてきた役割としまして、池田委員の御指摘で経営上のパートナーとしての役割といった部分を追記しましたけれども、さらにこれについて池田委員から御意見をいただきまして、「労働組合に今後も企業内における労働者を代表したコミュニケーションの主体としての役割を期待し、その位置づけに関する議論が重要ではないかとの指摘があった」というところを追記してございます。労働組合にどこまでの役割を期待するかという部分については議論があるところですけれども、委員の指摘の内容として記載するものでございます。
 18ページに参ります。「おわりに」の3段落目ですけれども、「また、積極的な労使コミュニケーションの取組の事例は、他の企業にとっての道しるべとなることにも留意し、地域や産業といった単位での労使コミュニケーションを活性化することによって積極的な取組が広がることを期待したい」と追記してございます。こちらは、前回の鬼丸委員の御意見を受けまして、企業の積極的な取組がほかの企業にも影響を与える、地域別や産業別での取組を期待するという応援となるような文言を追記したところでございます。続いて、その2つ下の段落になります。「非正規雇用労働者やギグワーカーなどフリーランスとして働く人々のセーフティネットに関する指摘もされる中で、これらの人々の声を拾い上げていくことも重要な課題である」としたところですけれども、こちらは表現を整理した部分でございます。最後になりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い顕在化した課題への対応につきまして、下から3行目の段落になります。「課題自体が変化し続けるという難しさもあるが」といった部分につきましては、前回の佐藤委員の御意見を受けて追記した部分でございます。
 資料1の報告書案の変更点は、以上になります。
 続いて、資料2を御覧いただければと思います。事例集案でございます。前回からの変更点につきまして説明をいたします。
 まず、1ページ目の掲載事例一覧のページを御覧いただければと思います。前回の戎野委員からの御意見を受けまして、事例の順番を変えて、構成を変えております。1.労働組合がある企業とありますけれども、前回は労働組合からのヒアリングの事例を先に載せておりました。企業からのヒアリングの事例を先にいたしまして、その次に労働組合の事例ということで並べております。
 14ページを御覧いただければと思います。例えばというところでございますが、労働組合の事例を事例5から事例7まで掲載してございます。ここでは、冒頭の枠囲みの部分として、会社の概要を前回は記載しておりましたが、労働組合の概要を記載した上で分かりやすく会社概要についても付記した形としております。こちらも、戎野委員から前回御指摘いただいて、それを踏まえて修正した部分でございます。各事例のまとめ方につきましては、例えば、14ページで見ていただきますと、「労使コミュニケーションの考え方」、「労使コミュニケーションの方法」といった項目でまとめてございますけれども、なるべくそろえるようにということで整理しておりますが、各企業のプレゼンテーションの内容を基にしたものでございまして、限界がございます。その点は御了承いただければと思います。
 資料2につきましては、以上が変更点でございます。
 最後に、資料3でございます。こちらは報告書案の概要です。
 座長からもございましたとおり、報告書案の内容についてまとめたものでございまして、皆様の御参考としてお配りしたものです。御参考としていただければと存じます。
 資料の説明は、以上でございます。
○守島座長 ありがとうございました。
 ただいま御説明のありました報告書の修正案は、前回までの皆様からの御意見を反映するとともに、改めて事前に御確認いただいておりますので、この方向で取りまとめをしたいと思いますけれども、改めて、確認も含め、修正案についての御質問、御意見のある方がおありになりましたら、挙手をお願いいたしたいと思います。
 特にいらっしゃいませんでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、報告書案につきましては特段の修正はないように思いますので、この報告書案をもって本検討会の取りまとめとさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島座長 ありがとうございます。
 それでは、報告書案につきましては、労働政策審議会労働政策基本部会に私から報告をさせていただきたいと思います。
 委員の皆様、令和元年12月から計12回にわたり、活発な御議論をありがとうございました。
 それでは、時間もありますので、皆様から、今回の報告書、一連の流れについて、御所感等があればお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
 申し訳ありませんけれども、池田委員からお願いできますか。私がいただいた名簿で池田さんがあいうえお順の最初になっているもので、しょっぱなに当ててしまって申し訳ありません。
○池田委員 御配慮いただきまして、すみません。池田でございます。
 まず、報告書の取りまとめをどうもありがとうございました。私がいろいろ申し上げた事項も的確な形で反映していただいて、大変恐縮しております。
 検討会に関しての感想めいたことを申し上げますと、私はこういった検討会のようなものに参加させていただくのは今回が初めてでして、初めての割には、いろいろと激動の時代に参加させていただいたのかなという感じもします。私は、労使コミュニケーションを専門に研究しているわけではないのですが、本検討会では大変勉強させていただきました。実務に非常に疎いことが研究者としての悩みなのですが、この検討会の場で様々な企業の取組や統計的な分析を伺うことができて、改めて自分の視野が狭いということを痛感したところです。
 今回の新技術導入に伴う労使コミュニケーションに関して少し申し上げますと、この検討会を通して私が感じましたのは、労使コミュニケーションとは、どちらが表かという問題はあると思いますが、雇用保障と表裏の関係のようにして存在しているものなのだと実感いたしました。労使コミュニケーションあってこその雇用保障ですし、雇用保障あってこその労使コミュニケーションという関係性がある気がしました。労使コミュニケーションを取る場合にも、雇用保障という観点が非常に重視されていることになりますし、逆に言うと、雇用保障を考えないといけないからこそ労使コミュニケーションが図られるという側面もある気がいたしております。
 日本型雇用といわれるときに、雇用保障は非常に中核的な特徴としてしばしば強調されるわけなのですが、それに対して労使コミュニケーションという側面については、これまで日本型雇用の特徴のような位置づけはされてこなかったと思います。その原因を私なりに考えると、それはやはり日本型雇用の特徴である企業別組合が事実上担ってきた役割だったからということになるかと思いました。ただ、この検討会でも話題になりましたが、技術革新というこの検討会の主題通り、社会情勢の変化や働き方の多様化などに伴って、今や労使コミュニケーションというものの在り方を正面から考えるべき段階にあるのではないか、日本型雇用の裏側みたいにして表舞台に出さないという話ではなく、正面から考えていくべき段階にあるのではないかと思います。そういったことも含め、この検討会でまとめたことが今後の政策形成なりなんなりに参考になれば幸いだと思っています。
 どうもありがとうございました。
○守島座長 非常にいいコメントをどうもありがとうございました。御苦労さまでした。
 続きまして、井上委員、お願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。日本商工会議所の井上です。
 私も、今、商工会議所におるのですが、化粧品の資生堂という一民間企業から出向して商工会議所で労働部門の配属になりまして、勉強させていただいている状況になります。当検討会を通じまして、皆様の御知見を多くいただきまして、大変勉強になりましたことを、改めまして心より申し上げたいと思います。
 また、厚労省の皆様におかれましては、幅広い企業で情報収集をいただきまして、本当に内容の濃い事例集をお取りまとめいただきまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。
 まず、商工会議所なのですが、122万社の会員がおりまして、それこそ大企業から中小・零細までおるのですが、多く、7~8割は中小企業が占めているということもございまして、どうしてもいつも中小企業の意見を多く反映してしまっておりまして、ちょっと偏った意見になっていたのかなというのも、皆様には重ねてお詫び申し上げたいと思います。
 いずれにしましても、昨今の問題としまして、日本の構造は中長期的に人手不足の問題を抱えております。そんな中で、デジタルを活用して生産性を向上して、人手不足の中でも各企業が労使とコミュニケーションを図っていくことは、今後、ますます重要になってくるだろうなと痛感しております。
 また、当検討会で分かったことなのですが、デジタル化が進む中で、デジタル人材を含めてデジタル化に取り組まないと、労使のコミュニケーションは遅れてしまうなと痛感しております。一方で、今、中小企業を中心にデジタル人材が非常に不足しておりますので、この検討会とはちょっとずれるかもしれないのですが、デジタル人材を日本としても育成していく、人材開発の訓練をしていくことも、併せて重要になっていくのではないかと痛感しました。
 AIが進展する中で、労使コミュニケーションも難しくなってくる部分はあると思うのですが、各企業様の事例を聞いたときに印象に残っていることが、しっかりデジタル化を進めていく部分と、一方で、今までのとおり対面でしっかりやっていくことを使い分けて明確にしてやっていく必要があるという企業様の意見も多くありましたので、バランスよくそれぞれに磨きをかけていくことが大切かと思いました。
 ちょっと長くなってしまったのですが、以上になります。
 本当にありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
 続いて、戎野先生、お願いいたします。
○戎野委員 戎野です。
 先ほど座長からもお話があって、私も「そうだったな」と改めて思ったのですけれども、始まったのが令和元年12月でした。この1年半の間に、検討を進める中で事態も大きく変わってきまして、今はオンラインで参加させていただいていますけれども、こういうものが昨今では通常になってきています。まさに、事態が走っている中でまとめるという、ある意味、大変難しい面もあったかと思います。厚労省の事務局の方を中心にしっかりと多面的に様々な意見を取り入れてまとめていただきまして、本当にありがとうございました。いろいろと勉強させていただきました。
 労使コミュニケーションは言うまでもなく大事なことで、これまで、課題に対して労使がいかにコミュニケーションをより密にして対応していくかということが大きなテーマになることは多かったと思います。今回も、技術革新に対し、労使でよりコミュニケーションをとって取り組むという面はもちろんあります。ただ、それと共に、そのコミュニケーションの取り方自体がこの技術革新によって大きく変わっていくということで、一歩異なるステージでの検討だったなというイメージを持っています。
 今回、報告書にもありますように、技術革新は、いや応なく進みますし、また、積極的に取り入れていくことが有益であることは言うまでもないことです。ただ、他方では、危険性をはらんでいるということの認識も重要ですし、また、技術革新には格差が生じるということで、今、情報格差や技術格差が一層生じている真っただ中にいるとも感じました。
 そういう意味でも、この報告書が、多くの人に、多くの企業に、また、様々な労働組合をはじめとした団体に、有益に活用されるのではないかと期待します。そして、それとともに、政策にもぜひ反映させていっていただけたら、よりよい技術進歩につながっていき、また労使関係自体が発展していくのではないかと思った次第です。
 本当に、どうもありがとうございました。
 以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
 続きまして、鬼丸委員、お願いいたします。
○鬼丸委員 私個人としては、新しい知見を聞かせていただいたり、様々な先生方の御意見を伺ったりして、大変勉強になることばかりでございました。新型コロナという状況下で、私が考えていた以上の速度で新技術の導入が進んだり、コミュニケーションの在り方が猛烈な勢いで変化を遂げようとしているということを、今回の2年半の議論を通じて身をもって感じることができました。また、そのような中で報告書をおまとめいただきましたこと、私の拙い考えなども御反映いただきましたこと、本当に御礼を申し上げます。
 今回、特にいろいろな企業や労働組合のお取組を伺っていて感じたことは、労使コミュニケーションは真空からある日突然生まれるものではないのだなということです。コロナという非常に厳しい状況の中でも、労使双方から、声を出す、意見を出すことを常に行ってきたからこそ、新しい事態にどう対応するか、どのようなコミュニケーション方法を取ることでコミュニケーションの質を向上させていくかということに、さっと労使の目線が合うのだなということを感じながら、いろいろお話を伺っておりました。それは、これまでの労使コミュニケーションの蓄積があってこそだと感じましたし、また、今後はどのような労使コミュニケーションの在り方を積み重ねていくのかということを模索していらっしゃるのだなということを感じました。
 私自身、労使コミュニケーションを研究分野の一つといたしておりますので、そういった労使コミュニケーションの継続性、コミュニケーションの取り方などは、時代によって、あるいは、技術によって変わるかもしれませんが、新技術をいかに活用してコミュニケーションの質を上げていくのかということについて、これを機に今後もさらに深く勉強させていただければと思いました。
 このたびは、大変よい勉強の機会を与えていただきましたこと、本当にありがとうございます。
 以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
 続きまして、後藤委員、お願いいたします。
○後藤委員 報告書の取りまとめをいただきまして、ありがとうございました。約2年間にわたる検討会の報告書になりましたが、私は基本部会から携わらせていただきましたので、先ほど守島先生のコメントにも本検討会の始まりが令和元年とありましたが、基本部会が始まった時はまだ平成でしたので、時代を超えて何本かの報告書が取りまとめられたことには非常に感慨深いものを感じます。
 AI、IoT等の新技術をどう取り入れていくのか。一見すると、何となく労使コミュニケーションとは別の世界の課題のように聞こえるのですが、その根底には労使コミュニケーションがないと、うまく時代に即応していけないということが改めて確認できた会議だったのではないかと思います。以前池田先生からも御意見がありましたとおり、これまで労働組合は職場の代表として働く方々の意見を取りまとめる役割を果たしてきましたので、技術の進展はこれからも更にスピードアップしていく可能性はあるのですが、生身の人間が働いている状況が続くようであれば、まだ労使のコミュニケーションの中で労働組合が果たす役割は非常に重要な位置づけを持ち続けていくのだろうと思います。そういう意味では、この検討会をつくったメンバーの一人として、しっかりと報告書の内容を周知していく責務もあると感じております。
 基本部会からのテーマの一つとして、技術の進展によって働く人たちが誰一人として取り残されることのない世界をつくっていかなければいけない、ということがありました。その一つの要素として、労使コミュニケーションがそうした歩みを支えることにつながっていくということを肝に銘じながら、繰り返しになりますが、報告書の取りまとめた内容について我々としてもきちんと周知をしていきたいと思っております。政府におかれましても、ぜひ様々な場面でこういったことを周知していただけるよう、この検討会の報告書を活用していただきたいと思います。
 大変ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
 続きまして、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 NECの佐藤です。
 まず、本当に皆様のおっしゃるとおりで、コロナという難しい局面に当たって、この検討会で報告書に至るまで皆様と一緒にいろいろと意見を交わしてやってこられましたことに非常に感謝していますし、何よりも、事務局、委員会全体の皆様に、本当に御礼を申し上げたいと思います。
 私自身も、知る範囲が非常に狭い中での参加でしたが、この会を通して幅広いいろいろな事例に触れることができて、大変勉強になりました。同時に、業態や業界が違っても非常に抱えている課題が共通していて、それに対する取組があるものは、ぜひ知見を共有して、いろいろなところがまたゼロからスタートをしなくてもいいような、どんどん積み上げていいものにしていけるような、そんな活動にこの検討会の結果がつながっていくのだろうなと期待しています。
 いい意味で意外だったのは、このAI等の技術革新が、労使コミュニケーションにおいて、マイナスの影響よりは、プラスのポジティブな影響が非常にいろいろなところで多く見られましたので、そこも将来に向けて明るい話題というか、兆しかなと思っています。
 最後のところで、余談めいたコメントになりますが、前々回の検討会のときに、冨山先生に、やや深掘りというか、本音を引き出すような、流れを変えるような御発言をいただいて、私も含めて、あそこで本音がより出たかなと思います。もしかしたら、年間を通しての活動の中に、1回か2回、オフレコードのディスカッションというか、ああいった場が入って、ちょっと温度感が変わって、いい効果があったかもしれないなと思っています。
 以上です。
 ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
 続きまして、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 まず、報告書を取りまとめて頂きありがとうございました。
 当初は、個別企業の好事例集の作成というお話もあったなか、それにとどまらず、報告書という形でまとめられたことはよかったのではないかと率直に思っております。
 皆様も言われるように、コロナ禍で変化が加速しており、働く者も、自分の職業人生をどう展望するのか悩んでいる方も少なくないと思います。そのときに、労使間、職場、組合と組合員の間でコミュニケーションがあるかどうか、本音で話ができるのかということで、違いがあるのではないかと思います。
 連合は、全国で労働相談を実施しているのですが、昨年は、例年の4割増、2万件を超える相談を受けました。そのトラブルの幾ばくかは、職場や企業で労使コミュニケーションがあれば未然に防げたのではないかと考えております。また、今、必要とされるスキルや仕事自体が変化していっているのではないかと思います。そうした中で、働く者自身が納得して変わっていくことや、そうした変化を支えたり相談したりできることが大事であり、コミュニケーションの仕組みがそのベースになることから、この報告書を今公表することの意義の一つは、そうしたところにあるのではないかと思います。
 また、前回も申し上げたことなのですが、フリーランスを含む多様な働く方々が労働市場から排除されずに社会的に包摂されること、また産業構造が変化していく中で良質な雇用機会が社会全体で確保されること、これらは個別企業だけで対応できるものではなく、産業や地域レベルにおける政労使の対話が必要であると考えています。
 例えば、今年、産業雇用安定助成金に関する地方の支援協議会が新設されましたが、労働局がキーになり、労使、関係省庁、金融機関なども参加して情報を共有する場となっており、これも一つの社会的コミュニケーションの場であると思います。コロナ禍の緊急対応として設置されたわけですが、単発で終わらせずに中長期的にどう発展させていくのかも重要な視点だと思います。
 今回の報告書で十分に深めることができなかった点については、今後、いずれかの場での検討を期待致します。
 ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
 最後に、根橋委員、お願いいたします。
○根橋委員 お疲れさまでございます。連合長野の根橋でございます。
 まずは、2年間にわたり、ありがとうございました。また、多くの意見がある中で、報告書のお取りまとめをいただきましたこと、この間の御尽力に、感謝と敬意を表します。
 地方の立場で参画をさせていただきました。地方では過去に審議会や検討会に数多く参加してきましたが、厚生労働省の検討会には初めて参画させていただき、最初に厚労省の門を緊張しながらくぐったのもつかの間、オンラインになってしまい、その点については少々残念だったかなと思っております。
 ただ、地方で地道な活動を行ってきた立場として、この検討会を通じて多くの御意見から、新たな知見を得ることができ、大変勉強になりました。今後の活動にしっかりと生かしていきたいと思っております。先ほどお話があった基本部会の報告書が発表されたとき、長野県の中でちょうど対話を行っている最中で、壁にぶつかっておりましたので、この報告書は大変注目して拝見させていただきました。そうした意味からも、基本部会の報告書を踏まえた検討会に参画をさせていただき、感謝しております。
 以前も報告させていただいたように、今の産業社会において、多くの労働者は仕事のやり方に対して権限を持っておらず、他人の命令で動く、言わばパワーレスの状況であることからすると、新技術を導入する際にも、必要なスキルをどう提供するのかということに加えて、働く上でのワークルールをしっかりと労使コミュニケーションの中で形成し共有していくことが重要です。
 毎年、数回、大学生と対話をする機会を持っており、先週も学生とオンラインでの対話をさせていただきました。講義に入る前に、これから社会に出て、自由に物が言える、経営者と自由に話せる、そんな状況にあると思いますか、という質問を学生に必ずするのですが、9割方の学生が、その様な状況ではなく、ただ会社側の言いなりになるだけですと答え、漠然とした不安を抱えていらっしゃる学生の皆様も数多くいらっしゃいます。
 そうしたなか、この検討会でも、双方向のコミュニケーションの必要性であるとか、そうした環境をどう形成するのかという発言も数多くさせていただきましたが、SDGsにもあるように、働きがいも経済成長もどちらも成し遂げるために、地方の立場でもその根幹となる労使コミュニケーションをしっかりと創り上げていきたいと考えております。
 貴重な機会、また、貴重な御意見をいただきましたことに感謝を申し上げるとともに、しっかりとこの報告書を地方の現場で生かしていきたいと思っております。2年間、ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
 それでは、私からも一言だけ申し上げておきたいと思います。
 皆様方、2年間になりますかね、非常に活発な御議論をいただいて、かつ、私も非常に勉強させていただいたところが多かったと思います。御協力いただいて、どうもありがとうございました。
 この検討会をやるのだという段階、多分、2年前、さらにその半年ぐらい前でしょうけれども、厚労省の方が私のところに来て、今度はAIや新技術と労使コミュニケーションのことをやりたいのだということを伺ったときに、正直、私は「えっ、本当にやるのかな」という感じがしました。
 要するに、労使コミュニケーションとは、ある意味では労使関係の根幹なのだと私は思っております。労使関係というか、従業員と企業の間のコミュニケーションは、どういう状況においても根幹であろうと私は思っています。ですから、そこの部分について焦点を当てたことへの私のファーストリアクションは、何と言うのかな、引いたというか、そういう感じであったのですけれども、結果的に見ると、やってみて、非常に面白かったし、重要ないろいろな点が出てきたと思います。
 さらに、この報告書の一つの大きな特徴は、AIもしくはIT・ICTの進展のことを議論しているのですけれども、同時に、最近の世の中、経済社会のいろいろな変化が含まれていると思います。例えば、ギグワーカーとか、フリーランスの問題とか、働き方の多様化とか、企業の置かれている様々な状況みたいなものも事例から結構明らかになったところがあるのではないかと思います。
 そういう意味で言うと、この報告書は、単にAIとコミュニケーションだけではなくて、今の日本の経済社会が抱えている様々な変化、企業の変化、働く人の変化、働き方の変化、ある意味での技術の変化も全部含めて、そういう変化を総合的に見ているところがこの報告書の非常に価値ある部分ではないかと私は思います。
 そういう報告書をつくり上げることに御協力いただいた皆様方に、本当に感謝を申し上げたい。それとともに、この報告書を利用して、一種の踏み台という言い方がどうか分かりませんけれども、台として、基礎として、今後、企業の中で、もしくは、社会の中で、労使コミュニケーションをどういうふうに維持していくのかということを考えていく足がかりとさせていただければと思います。
 そういうすばらしい報告書をつくるに当たって、皆様方の御協力なしではできませんでした。この場を借りて、再度、感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 以上です。
 最後になりますけれども、伊原政策統括官から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○伊原政策統括官(総合政策担当) 皆様、守島座長、この検討会で約2年にわたりまして熱心な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 今、先生方の所感を聞かせていただく中で、始めたときのことを思い返しておりました。始めたときは、さきほど守島先生が最初は引いたとおっしゃいましたけれども、このテーマをどのように整理していったらいいのか、私たちスタッフも結構悩んでいまして、見えないところで作業を始めたわけです。やっている途中で、コロナという全く想像もつかないことが起きまして、世の中、AIとかという議論だけではなくて、テレコミュニケーションやテレワークみたいなことも一挙に進み、職場の雰囲気も大きく変わりました。今日の報告書の取りまとめも、一度も皆様が集まることなく、このようにテレコミュニケーションでまとめていくという経験をする中で、この2年は大きな変化の中であったということを感じさせられました。先生方の御感想の中にもそういうお話がありましたけれども、激動の中にあるなということを感じた次第です。
 もう一つ、この会議をやって改めて感じさせられたことは、企業の方々からのヒアリングですね。報告書は、今回、事例集で14事例をまとめさせていただいていますけれども、それぞれの現場でいろいろな形でコミュニケーションがされていることを改めて知らされて、現場を知る中で世の中が変わっていくということがよく感じ取れたと思います。報告書でこういう事例集をまとめていただきまして、こういうことを広く多くの方に知っていただいて現場で生かしていただくということが大事だなということも改めて痛感させられました。
 12回開きましたけれども、お付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。今日まとまりました報告書は、先ほど座長からもお話がありましたけれども、次の労働政策基本部会に御報告させていただきたいと考えております。そうした中で、今回の激動の中でまとめられたものを、多分さらにもっと世の中は変わっていくと思いますけれども、生かしていきたいと思っております。
 改めまして、先生方のお忙しい中での御協力に感謝いたしますとともに、引き続き、厚生労働行政は頑張ってまいりますので、御指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、これを私の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
 それでは、この辺りで今回の報告書の取りまとめは終わらせていただければと思います。
 本日は、皆様方、お忙しい中、お集まりいただき、また、貴重な御所感をいただき、ありがとうございました。
 これで、今回の会は終了させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。