第3回地域雇用対策懇談会 議事録

日時

令和3年5月28日(金)10:00~12:00

場所

厚生労働省 職業安定局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館 12階公園側)

議事

議事内容
 
○細川係長 それでは、定刻になりましたので第3回「地域雇用対策懇談会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、本日は御多忙のところ、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
座長が選出されるまでの間、事務局のほうで司会を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
なお、本日は、日本労働組合総連合会総合労働局雇用対策局長の漆原委員が遅れての御参加と聞いてございますので、よろしくお願いいたします。
初めに、本年4月1日付で委員の改選がございましたので、各参集者の方々を御紹介させていただきます。
参考資料3の別紙の名簿の順に従って、委員の方々の御紹介をいたします。
まず、中央大学経済学部教授の阿部正浩委員でございます。
日本労働組合総連合会総合労働局雇用対策局長の漆原肇委員でございます。
日本商工会議所産業政策第二部長の大下英和委員でございます。
全国商工会連合会常務理事の後藤準委員でございます。
敬愛大学経済学部教授の高木朋代委員でございます。
大正大学社会共生学部教授の塚﨑裕子委員でございます。
株式会社日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介委員でございます。
次に、前回の懇談会は昨年5月に持ち回りの形で開催させていただきましたが、この前後で事務局のほうにも異動がございましたので、改めてメンバーを御紹介いたします。
高齢・障害者雇用開発審議官の達谷窟でございます。
地域雇用対策課長の竹内でございます。
地域雇用対策課長補佐の村上でございます。
同じく地域雇用対策課長補佐の溝口でございます。
同じく地域雇用対策課長補佐の永島でございます。
最後に私、地域雇用企画係長の細川でございます。よろしくお願いいたします。
次に、座長の選任手続に入らせていただきます。開催要綱により、座長は委員の皆様の互選により選出することとされてございます。事務局といたしましては、引き続き阿部先生に座長をお願いしたいと考えてございますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○細川係長 ありがとうございます。
それでは、本懇談会の座長を阿部委員にお願いしたいと思います。
なお、達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官は、用務のためここで中座をさせていただきます。
(達谷窟審議官退室)
○細川係長 それでは、阿部委員、これからの議事進行について、よろしくお願いいたします。
○阿部座長 皆さん、おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日はZoomによるオンライン会議ということですので、事務局から御説明をお願いいたします。
○細川係長 本日はZoomによるオンライン会議とさせていただいておりますので、簡単に操作方法について御説明をさせていただきます。
現在、皆様の画面には、我々事務局の映像、それから各委員の皆様が映っているかと思いますが、まずは画面左下のマイクのアイコンがオフになっていることを御確認ください。
本日、懇談会の進行中は、事務局のほうで委員の皆様のマイクをオフとさせていただきます。御発言をされる際には、画面下の「参加者」のボタンをクリックしていただきまして、その後に表示されるポップアップ画面の右下の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただければと思います。その後、阿部座長の許可があった後に、御自身でマイクをオンにしていただいてから御発言をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
なお、会議の進行中、通信トラブルで接続が途切れてしまった場合や音声が聞こえなくなってしまった場合など、何かトラブルがございましたら、事前にメールでお送りしております電話番号もしくはチャット機能で御連絡いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
オンライン会議に係る説明については、以上となります。
○阿部座長 では、よろしくお願いいたします。
早速ですけれども、本日の議題に入りたいと思います。
本日、議題は3つございます。議題1は「地域活性化雇用創造プロジェクトについて」でございます。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○村上課長補佐 地域活性化雇用創造プロジェクトの担当補佐をしております村上と申します。
議題1の地域活性化雇用創造プロジェクト、略して地プロについて御説明させていただきます。資料1と参考資料1をお手元に御準備ください。
では、まず資料1の1ページを御覧ください。こちらが令和3年度の地プロの概要でございます。
事業目的に書いてございますように、本事業は、産業政策と一体となって、良質で安定的な雇用機会の確保を図る都道府県の取組を支援する事業でございます。具体的には、都道府県が地域の関係者で構成する協議会の了承を得て提案する事業の中から、第三者委員会において評価・選定することとしておりまして、事業の実施期間は最大3年間、補助対象の事業費上限は2.5億円、このうち国は8割または9割を都道府県に補助するという事業になっております。
令和3年度は、このポンチ絵にあります地域雇用活性化コースと地域雇用再生コースの2コースを実施しております。左側の水色の地域雇用活性化コースでございますが、都道府県が戦略的産業分野を指定しまして、そこで正社員の雇用創出を目指すものでございます。このため、対象地域は原則正社員の有効求人倍率が1倍未満の都道府県としまして、1倍以上の地域が実施する場合には、氷河期世代を対象とした事業を必須にして認めているところでございます。
協議会の設置・運営を行う基盤整備メニューのほか、イに書いております事業主向けメニュー、ウに書いております求職者メニューに区分しており、具体的な事業例につきましては、ポンチ絵に示しているとおりでございます。
一方、右側の地域雇用再生コース、緑色の部分は新型コロナウイルス感染症の対策として令和3年度に新設しまして、令和3年度開始限りの時限措置として実施しております。ただし、令和3年度第3次補正により、一部前倒しして実施しております。
都道府県が新型コロナウイルス感染症の影響を受けた業種を指定して、業種転換や多角化、キャリアチェンジ等の取組を支援して、そこで正社員の雇用創出を目指すという事業になっております。
また、コロナ対策として、補助率を通常の10分の8から10分の9と高く設定するとともに、既に地プロ実施中の地域においても、両方の併用を認めるといった取扱いにしております。
事業のスキームは、地域雇用活性化コースと同じで、各メニューに区分しておりまして、業種転換、キャリアチェンジに係る具体的な事業例はポンチ絵に示しているとおりでございます。
令和3年度の実施地域でございますが、参考資料に移っていただきまして、4ページを御覧ください。こちらの赤枠が令和3年度の実施地域でございますが、一番下の段が令和3年度の採択地域となります。地域雇用活性化コースは5地域、地域雇用再生コースも5地域となっております。その1つ上の段は、令和2年度第3次補正において前倒し実施して応募した3地域でございまして、こちらは全て地域雇用再生コースになります。
これらを合わせますと、新規の地域雇用再生コースは8地域が実施しております。また、現在、追加募集の選定手続を進めておりまして、ここには数県が応募しております。合わせると地域雇用再生コースは10地域程度となる見込みでございます。このため、令和3年度の新規の採択地域は、地域雇用活性化コースが5地域、地域雇用再生コースが合わせて10地域程度になる見込みですので、15地域程度の新規採択となります。プラスして、令和元年度スタート、令和2年度スタートの自治体も含めて、今、実施しているところでございます。
どの都道府県におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響が広がっておりますが、地域雇用再生コースは従来のコースとの併用を認めておりますので、より積極的な応募が考えられましたが、今のところ10地域程度にとどまっております。この理由を幾つかの都道府県に聞き取りを行ったところでございますが、補助率が10分の10である内閣府の地方創生臨時交付金を活用して既にコロナ対策等を実施しているといった都道府県や、新たに地プロを実施するには、都道府県のマンパワー的なものが少し足りないといった声、あとは事業主に業種転換を促したりするという事業は県の雇用対策とは方向性が少し違って、ハードルが高いといった声、あとは今、第4波で地方まで感染が広がっておりますが、少し前までは感染が少ない地域もございまして、そのような地域ですと、コロナの影響があまり大きくないので、このような事業を県としては取り組めないといった声もあったところでございます。
資料1に戻っていただきまして、2ページにつきましては、補正予算で前倒しした地域雇用再生コースのポンチ絵でございます。こちらは先ほど御説明したポンチ絵の右側の部分を拡大したものですので、省略させていただきます。
3ページ目は、地域雇用再生コースを活用した事業実施のイメージ図となりますが、本省で作成し、各都道府県に情報提供したものでございます。こちらを作成した背景としましては、地域雇用再生コースは事業転換とか多角化等を促す事業となりますが、都道府県からなかなかイメージが湧かずに、企画するのが少し難しいといった声があったこと、あとは、従前から地プロだけの取組が多く、他事業との連携が薄いといった傾向があったことから、都道府県が企画する際の参考にしてほしいという趣旨で作成したものでございます。
このため、3ページ目のポンチ絵の中に書いておりますように、上の段は地プロでございますが、下の段にありますように、ハローワークの支援や国の助成金、経産省等の他省庁の補助金、都道府県独自の支援等々を組み合わせることによって、より大きな、展開が広くなるような事業構想を促すスキームにしております。
4~6ページ目は、観光・宿泊、飲食、製造業など、コロナの影響を大きく受けている業種につきまして、事業転換や多角化の例を示しつつ、都道府県が事業を構築するに当たってイメージしやすいような図を作成したものでございます。
参考資料に移っていただきまして、参考資料1の9~16ページが実際に採択している8都道府県の作成した同じような資料になりますが、中段の地プロの欄に、それぞれの都道府県が企画した事業を実施しておりますが、事業目的が業種転換や多角化を目指すというように定められておりますので、各都道府県において事業構想にそこまで差は見られないといった傾向がございます。
ここまでが地プロの概要でございます。
続きまして、資料の7ページに移っていただければと思います。ここからは、地プロの見直しに係る論点について、御説明をさせていただきます。
まず、現在の実施状況や都道府県の声などから、必ずしもこの事業が都道府県の課題や実情に応じた取組を柔軟に実施できるような仕組みになっていないのではないかという視点から、地プロの見直しについて、議題として提起させていただきました。
まず、マル1の事業の枠組みについての課題認識でございますが、現行制度では、先ほど説明しましたように、地域雇用活性化コース、地域雇用再生コースに区分しまして、いずれも事業の方向性を定めるとともに、具体的な取組例も示していることから、必然的に都道府県の実施する事業の方向性が少し限られ、必ずしも都道府県の課題や実情に対応した事業を企画・実施できない場合もあるのではないかというものです。
このため、論点として、事業の方向性や内容について、都道府県の裁量をどこまで認めるべきかと記載させていただきました。
次にその下のマル2、政策指標についてでございます。課題認識として、これはマル1とも関係してまいりますが、現行制度では、アウトカム指標は新規正社員の就職者数に限定しているものでございますけれども、地域の課題は必ずしも正社員の増加に限られるものではないのではないかというものです。
このため、論点として、本事業の成果をどのように位置づけるべきかと記載させていただきました。
続きまして、資料の8ページからは、先ほど述べた論点に対する事務局としての対応案を記載しているところでございます。
まず、8ページのマル1、事業の枠組みについてでございます。繰り返しになりますが、左のほうに書いておりますように、現行制度では、国において、地域雇用活性化コース、地域雇用再生コースという枠組みを定めるとともに、それぞれの事業内容を設定しまして、事業の方向性を定めております。
また、国において事業主メニュー、求職者メニューに区分して、いずれも実施要領等により想定される事業内容を明確化しているところでございます。
事務局案としまして、右側に書いてございますが、これまでの事業の継続性との観点から、事業目的を地域における良質な雇用の実現としつつ、国において全体の大きな枠組みのみを定めることとし、事業の方向性やメニューの組合せ、事業内容などは、都道府県の裁量をより大きくしてはどうかというものでございます。
具体的には、2ポツ目に記載しておりますように、地域雇用活性化コース、地域雇用再生コースというようなコースを国が定めるのではなく、今までの産業活性化による雇用創出や事業転換、多角化による雇用創出のようなものに加えまして、女性・高齢者の活躍推進、非正規雇用労働者の待遇改善、人材不足分野への職種転換といったもののほか、その他都道府県の実情に応じた課題など、雇用に関連した大枠のテーマを例示しまして、それらの組合せや事業内容につきましては、地域の課題に応じて都道府県が独自に設定できるようにしてはどうかというものでございます。
ただし、本事業の財源は雇用保険二事業であることに鑑みまして、例えば商品開発経費や運転資金など、補助対象外となる経費のネガティブリストを事前に都道府県に提示しまして、その中で、先ほど申し上げたように、都道府県が独自に企画・実施できる仕組みにしてはどうかと考えております。
ここまでが、論点マル1に対する事務局案の説明です。
続いて、論点マル2の説明に移ります。9ページを御覧ください。
政策指標についてでございますが、左側の欄、現行制度では、地域雇用活性化コースのアウトカム指標は、地域における良質な正社員雇用確保の場という観点から、良質な新規正社員就職者数としているところでございます。
一方、地域雇用再生コースのアウトカムは、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮しまして、良質という水準は求めず、新規正社員就職者数とすることと定めております。
なお、良質の定義や正社員の定義につきましては、国で要件を定めており、どれぐらいアウトカムをつくるかという量的なところは都道府県が定めております。
右側の事務局案としまして、論点マル1において事業の枠組みを見直すことを提案させていただきましたが、これを踏まえ、アウトカム指標についても見直すこととしてはどうかと考えております。
具体的には、都道府県が設定するテーマ、例えば女性活躍や高齢者の雇用促進、または非正規雇用労働者の処遇改善など、そのテーマにとっては正社員としての新規雇用者数に限定することが合理的でない場合も想定されますため、そこに書いておりますように、1つ目として、良質な新規就職者数、2つ目として、良質な処遇に改善した既雇用者数の2つに見直すこととしてはどうかと考えております。
ここでお示しした新規就職者数には非正規雇用労働者も含まれますが、安定的な雇用創出という観点から、これまで実施してきた正社員としての雇用創出という柱は要領に明記するなど、しっかり維持しつつ、あくまで都道府県が設定するテーマになじむ場合であって、雇用期間が無期または更新規定がある有期契約の方などについて、本人が非正規労働者としての働き方を希望したような場合についてのみ対象とするなど、地プロにより生み出された雇用は継続し、地域の活性化につながるような制度設計について検討してまいりたいと考えております。
また、良質についても少し御説明いたします。今年度は良質の定義としまして、賃金及び時間外労働の2つの項目について、国で定めた水準をクリアしたものを良質と要件で設定しております。見直し後は、これに加えまして手当や休暇付与など、同一労働同一賃金を踏まえた労働条件となっていることを要件とするなど、正社員と同等の雇用の質が確保されるよう、留意してまいりたいと考えております。
さらに、今回の見直しにより、アウトカム指標を達成するために、むやみに非正規雇用としての就職者を増やすケースが起きないよう、毎年度実施しております第三者委員会による事業継続評価におきまして、雇用創出のうち正社員と非正規の割合について確認することなどについても検討してまいります。
今までは新しい雇用、その中でも正社員をつくり出すということで、ゼロからイチに増やすということで事業を進めてまいりましたが、都道府県の課題に応じて、今までと同じように新たな雇用をつくり出すということに加えまして、今ある雇用をよりよい雇用にしていくという2つを組み合わせて、事業全体としては、地域における良質な雇用を増やしていくという事業にしていきたいと考えております。
ただし、都道府県における良質の水準が乖離することを防ぐため、従前どおり、国において良質についての一定の基準は設定した上で、量的なところは都道府県が設定することではどうかと考えております。
このほか、都道府県が設定するテーマの内容に応じた独自のアウトカムを設定することも認めることとしてはどうかと記載しておりますが、実務的には、先ほど申しました地プロの評価を行います第三者委員会において、その妥当性については御判断いただくことを考えております。
駆け足の説明になりましたが、以上が議題1についての事務局説明となります。
○阿部座長 ありがとうございました。
ただいま地域活性化雇用創造プロジェクトの現状とその課題、それに対しての今後の方針に関する論点と、その論点に関して対応案を事務局から御説明いただきました。これについて質疑応答をしていきたいと思いますが、御質問、御意見がございましたら、ポップアップ画面の右下にあります「手を挙げる」ボタンを押していただきまして、私が指名した後に、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
それでは、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
漆原委員、よろしくお願いいたします。
○漆原委員 連合の漆原でございます。
遅参してしまいまして、申し訳ございません。
今の御提案について、幾つか発言をさせていただきたいと思っております。
最後に説明いただいた資料で、雇用保険財源により実施いただいているとご発言いただいていたと思います。そのうえで、例えば「非正規」の記載がございまして、それに関連した質問ですが、雇用保険の被保険者ではない請負契約で就業する者を創出することまで認めているというわけではないということを確認したいと思います。
あと、雇用の創出に向けて事業を立ち上げる上で、もちろん非正規雇用からスタートするということは当然あると思います。その場合、本人が非正規を希望したかどうかの確認が気にかかります。本当に本人が非正規を希望するのか、あるいは「非正規ならば雇用しますがどうしますか」という誘導があるとすれば問題です。本人が純粋に「希望する」という確認をどうするのかという点です。
例えば非正規の中には、有期雇用ということもあり得ますが、プロジェクトの終了とともに、有期雇用契約を解除するようなことになってしまうと、それで地域にとって本当に良いのかという事になりますので、もし非正規を対象とするのであれば、どれだけ継続するのかというのはある一定程度チェックし続けることが必要なのではないかと思っているところでございます。
さらに、地域の協議会でどのような議論をしているのかが不明です。賃金もそうですが、どのような議論の結果、こうした申請に至ったのか、地域協議会がどこまで中身について議論しているのかについて、議事録とは言いませんけれども、議事概要のようなものも併せて提出していただくと、その後、審議がしやすいと思っておりますので、それも申し述べさせていただきます。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
では、質問がありましたので、お願いします。
○村上課長補佐 まず御質問の1点目、請負についてでございますが、請負とか派遣とかがありますけれども、先ほど言いましたように、単なる賃金とか時間外労働のみではなくて、同一労働同一賃金の観点でも確認する場合がございますので、なかなか確認が難しいような形態につきましては、あくまで基準は我々のほうで決めますので、そこで除外も含めてどのようにするかという点については検討してまいりたいと考えております。
また、非正規雇用労働者が地プロ終了後に解雇されることも懸念としてはあるのではないかといった御質問でございますが、地プロによる支援による助成制度と国の助成金との重複が散見されたこと等に加えまして、厳しい財政事業にも鑑み、令和3年度から、採用後の人件費につきましては補助経費の対象外としているところであり、次年度も対象外にする予定でございます。
このため、地プロの財源を使って非正規雇用労働者の給与に充て、地プロが終わったら解雇するというようなことは起こらないと考えておりますが、一方、非正規雇用労働者は正社員と比較して不安定な雇用形態であることは否定できないので、先ほど申しましたように、成果指標の対象とする場合であっても、例えば解雇や雇止めを行った事業主に採用された場合にはアウトカムの対象としない。これは、この方に限らず、ある一定の期間、解雇とか雇止めのあったような事業主に雇われた場合には解雇されるおそれもありますから、そのような場合はアウトカムの対象にしないとか、あとは、本人が非正規雇用を希望する場合の方につきまして、かつ、雇用期間が無期とか、更新規定がある方について対象とするなどの制度設計について検討してまいりたいと思います。
また、本人の非正規雇用の希望をどの時点でみるのかということ、非正規の求人しかない中で就職してもそれが希望なのかということについてでございますが、想定としては、求職活動をする際に、ハローワークで正社員を希望しますか、それ以外の形態を希望しますかということを聞きながら支援を行いますが、事前の段階で本人が非正規雇用を希望するかどうかということで、最終的に本人が就きたい仕事が非正規雇用しかなかったとか、就職活動の中でやむを得ず非正規雇用で就職することになったという方については対象外とするように仕組みを考えてまいりたいと思います。
最後の協議会の御意見についてでございますが、現在、我々がつくっている企画提案書の中では、協議会を設置することになっていまして、事前に意見は聴くことになっているのですが、概要とかについては添付するような仕組みになっておりません。いただいた御意見を踏まえまして、協議会でどのような意見が出たかということにつきまして、概要を添付するのか、または企画提案書の中にどのような意見が出て、どのように事業の中に盛り込んだのかということについて記載をしていくように、次年度の企画提案書の様式なり仕組みについて、前向きに検討してまいります。
以上でございます。
○阿部座長 よろしいですか。
それでは順番に、高木委員からお願いします。
○高木委員
幾つかございまして、まず、地域雇用再生コースですが、事務局が御説明してくださったように、予定していたよりも応募団体が少ないという結果になってしまったということなのですが、内閣府の臨時交付金のほうに流れたということがある程度想定されるということで、その理由が、10分の10の補助率であるからということよりも、事務局からも説明がございましたように、使用の自由度が高いということが大きな要因であったのだろうと考えます。
私が気になりましたのは、各地域、都道府県にとって、業種転換であるとかキャリアチェンジを事業主や働く人々に促すということについては、ハードルが高かったのではないかという点です。そもそも雇用再生において、必ずしも業種転換やキャリアチェンジが必要ではない再生方式が当然あると思われますので、そうしますと、業種転換、キャリアチェンジ、多角化を前提とするこの仕組みは、恐らく使用が難しかったのだろうと思うのです。
事務局のほうで示していただきました様々な課題への対応案に対しては、おおむね賛同いたします。1つ気になりますのは、例えば先ほどの業種転換、キャリアチェンジが難しいという実態は、各地域こそが真に適切なやり方であったり、あるいは課題となっている状況、実情だったりを最もよく把握しているのだろうと思うのです。よって裁量の程度も大きくして、任せていくということで、この方向性は間違いないと思うのですが、事業の実施を任せたうえで、その結果についてどのように判断するのかという問題がございます。この点については、アウトカムを量的に設定することで対応しているということだと思うのです。
このときに、雇用について「良質な」という条件をつけたり、あるいはつけなかったりという形で、とにかく雇用というものを増やすということで、これまでこの事業で前提としていた安定的な雇用、すなわち正社員の比率を高めていくことに限らずに、今回は非正規も含めて雇用の量的な拡大を図っていくということになったのだろうと理解しています。このときに、例えばアウトプットを決めて、アウトカムを決めて、それを達成できれば、この事業は成功したという判断になるのだと思います。非正規も認めるという形については反対はしません。しかし、やはり量的なところのアウトカムで事業の成否を問う場合には、非正規の比率を増やすことによって、雇用量を上増ししていく形が取りやすくなってしまうと思うのです。
そのことを私は非常に懸念しています。ですので、正規と非正規の比率については、目標とする数値を明確に定めることはせずとも、枠組みとして、正規雇用を限りなく頑張っていただくという姿勢を見せつつ、アウトカムにおける正規と非正規の比率を数値的に示していただくということを大枠の中でしてもよろしいのではないかと思っています。
非正規も認めるということになると、受け手側がそれをどのように考え、受け止め、それを使うのか、理解するのかということになりますので、その辺りを見誤ることがないような伝え方をしていく必要があるのではないかと考えています。
長くなりましたが、以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
○村上課長補佐 ありがとうございます。
お話のあったように、アウトカムとして非正規が安易に増えたり、悪用といいますか、考えがそちらのほうに移らないように仕組みの中でどのようにしていくかというのは、これから検討してまいります。
また、先ほど申しましたように、こちらの事業につきましては、毎年度、第三者委員会の中で必ず評価を行って、翌年度の事業継続を判断するという仕組みになっております。その中で、正規雇用・非正規雇用の割合をきちんと出していただいて、きちんと説明をいただいて、第三者委員会の中で事業について、例えば安易に非正規雇用が増えているような事業につきましては見直しを求めるなど、仕組みの中でも2つ、入り口の部分と事業継続の部分というようにしっかりフィルターをかけて、今、おっしゃったような懸念が出ないような仕組みを検討してまいりたいと思います。
ありがとうございます。
○阿部座長 続いて、大下委員、お願いいたします。
○大下委員 日本商工会議所の大下でございます。
論点は2つあって、まず事業の枠組みについて3点ほど、確認も含めてお話しをさせていただきたいと思います。
1つは、今回お示しいただいた8ページの対応案のところを文字づらだけを読みますと、地域における良質な雇用の実現という形になっています。もともとこの地域雇用活性化コースのユニークな点というのは、地域の産業政策、産業創造と一体となっての雇用創造というところかなと思っています。ここは維持した上で今回の対応案なのか、それとも、産業政策との一体の部分はもう取り外してしまって、地域での雇用創造ということにそもそもの大きな目的が代わるのかというところは、確認をしたいところであります。日商の立場で言いますと、各地域では、今、雇用も産業も大変厳しい状況にある中で、各地域の特性を生かした産業がしっかりと生まれていって、そこに雇用が結びついていくという循環を生み出すことは非常に重要だと思いますので、意見として申し述べるとすれば、ぜひこの旗を下ろさないでいただきたいというところであります。
その上で、2点目ですけれども、利用が進まない理由として、内閣府の事業との重複があってというようなお話がありました。地域の産業創造については、経産省絡みのいろいろな事業もあるのかなと思います。そうした意味では、重複の排除あるいは他省庁の政策との連携はしっかり図っていただく必要があるかなと思っております。これが2点目です。
3点目は、産業を創造して、そこに雇用を結びつけていくというのは、そう一朝一夕にできることではないかと思っています。先ほど来、幾つかPDCAの枠組みに関する御発言、御説明がございましたが、そこのところはしっかり協議会で、恐らく各地域の商工会議所、商工会も含めて、経済界の方も入っているのかなと思いますが、この協議会でのいろいろな議論で、しっかりPDCAを回していただくのと、各地域でうまく進んでいる部分、残念ながらうまく進んでいない部分、それが他の地域の参考になる部分もあるかなと思いますので、各地域でのPDCAを、今、幾つか並行して動いている地域ごとで共有できるような枠組みもしっかり組んでいただくといいのかなと思っております。
最後、政策指標についてのところで1点だけ申し上げたいと思います。これも各地域でこれから取り組んでいく新しい産業創造、そこに雇用を結びつけていくところに、働き手側の多様な働き方を求めることもございますし、今、特に地方でコロナ禍で痛んでいる飲食や宿泊というのは、現状で言うと非正規の方々でかなり賄っている部分があり、そこが今、一番、特に非正規の女性が雇用の部分で厳しい状況になっています。
この対策事業のターゲットをどこに置いていくのかということにもなりますけれども、実情を踏まえれば、まずは非正規でも構わないというところも入れながら、ただ、最終的な目的は良質な雇用の確保、創造というところに段階を置いていくという今回の見直しの考えが我々としては実態を踏まえていて望ましいのかなと思っております。
私のほうからは以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
事務局、何かありますか。
○村上課長補佐 枠組みについて、3点ほど御質問というか御意見がありましたが、まず1つ目の産業政策と一体となってというところでございますけれども旗を下ろすというよりは、どうしても今、産業政策というと製造業とかが中心になって、医療・福祉も産業でございますけれども、そうした産業との連携がなかなか見えないので、県の課題に応じて、当然、事業主側と連携しないと職が生まれないものですから、そこの旗を下ろすというよりは、もう少し幅広い、産業と言ってもサービスもあるでしょうし、医療・福祉もあるでしょうし、いろいろなところと連携をしてということで、製造業のみではないという意味で、産業政策と一体となってというところをあえて明記していないものでございまして、今までどおりやるのはもちろんのこと、もう少し広い視点で、県内のいろいろな産業と連携して、事業を実施していただきたいという方向性で考えております。
2点目の重複の排除でございますが、先ほど資料の中に他事業との連携をという表を示させていただいたのもそのようなことでございまして、この事業はあくまでも2億5000万円上限の8~9割補助なので、事業全体の規模としてはそこまで大きくないものですから、例えば事業主への補助とかをやると、この財源はすぐ枯渇するものでございます。
一方、例えば経産省の補助金とかは、事業主に支給するような助成金もいっぱいありますし、厚生労働省でも労働者を雇った場合の助成金等々もありますので、このようなものを組み合わせることによって、地プロとの事業の重複を排除して、よりよい事業にしていただきたいということでこのようなポンチ絵を作りました。
また、協議会の中には、例えば今は地域に経済産業局がございますので、その方をオブザーバーとして入れていただいて、協議会の中で事業を紹介していただいて、なるべく重複がないように、その事業を活用しやすいようにということで、オブザーバーメンバーとして入れておりますけれども、今後は地域の中で、必要な支援を行っているところの方も含めて、協議会の中でうまく運用されているようにしたいと思います。
最後に、PDCAをうまく回す中で、他地域との共有ということでございますが、今年度から、経験交流会といいますか、現在実施している都道府県も含めて、今やっている事業のいいところやつまずいているところ等々を横展開することを今年度からスタートする方向で考えております。
今年考えているのは、現在実施している地域でございますが、そこで集めた情報とか、事業を実施し終わりますと実績というか事業例みたいなものがございますので、このようなものを作成しまして、実際、実施していない都道府県等々も含めて共有することによって、新たに実施したいという地域が生まれるようにということを考えているところでございます。
以上、説明でございました。
○阿部座長 ありがとうございます。
それでは、塚﨑委員、お願いいたします。
○塚﨑委員 どうもありがとうございます。
何点か質問と意見をお話しさせていただきたいと思います。
まず、課題への対応のところなのですが、都道府県の裁量を大きくするということについては賛成なのですけれども、事業の方向性について、産業構造の転換という意味で、今後あまり展望が開けていない産業を生き延びさせてしまうようなことになってしまうと、地域雇用の活性化の持続性という点からも問題があると思うのですけれども、その点についてはどのように整理をされるのかという点について、教えてください。
2点目でございますけれども、政策指標のところで都道府県に裁量を認めるのは賛成します。例えば私どもは地方移住の関係で調査を何回か実施しているのですけれども、地方移住との関係でいうと、定年後に地方に移住したいという人が多いという結果が出ています。また、副業といった形で地方企業で働きたいという都市部に住んでいる人もいます。そうしたことから、高齢者の短時間雇用とか副業といったものをアウトカム指標に含めることは結構時宜に合っているのかなと思っております。
最後に3点目でございますけれども、この地域活性化雇用創造プロジェクトについて、もう少し都市部からの地方企業への転職とか就職ということについて、重視してもいいのかなと思いました。いただいた資料をざっと見たところ、山口県だけUIJターンについて触れておられて、そのほかのところは触れていないようです。なぜそのようなことを言うかというと、私どもが昨年11月に東京都に住んでいる人を対象に行った調査によりますと、コロナ禍によるパラダイムシフトというか、コロナ禍の影響を受けて働き方、暮らし方を変えたいということで、地方企業への就職とか転職、あるいは地方移住に関心を高めた人が特に若い層で多いということが分かっています。
これまでの地方移住の関係の調査だと、男性のほうが女性よりも関心を持っている人の割合が多いと出ているのですけれども、この調査の特徴としては、関心を高めた人の割合が、若干ではありますが男性よりも女性のほうが多かったというのが特徴になっております。
私どもが行った別の調査の分析で、移住希望者のうち転勤した経験のある場所に移住したいという人も少なくないということが分かっています。そういう意味では、市町村単位の地域雇用活性化推進事業ではなくて、転勤の場所になる地方都市を含んでいる可能性が高い都道府県単位の地域活性化雇用創造プロジェクトのほうで、こうした層を捉えることができるのかなと考えておりますので、例えば都道府県の移住促進を図っている部署と連携をして、都市部に住んでいる人も説明会や研修に参加できるように情報提供するとか、参加の方法もオンラインでできるようにしたり、移住情報も併せて提供するといったことも有効ではないかと思っております。
長くなりましたが、以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
御意見ですけれども、事務局から何かありますか。
○村上課長補佐 1つ目の産業についてでございますが、我々もコロナで痛んだ業種は転換とかを促したらいいのではないかということで、このようなコースを設けたわけでございますが、地域によっては、今ある業種をしっかりと再生した上で、もう一回やりたいという県もありますので、こちらについては我々のほうで、そこの県の産業はどうのと決めるわけではなくて、先ほど御意見のあった県の協議会の中に経済団体の方も入っておられますので、御自身の県の経済として、どこの産業をしっかり作っていくのか、どこの分野で雇用を生み出していくのかというのは、協議会の中でしっかりと議論をいただいて、それをもって事業をしていただきたいと考えています。先ほど漆原委員からの御意見にあったように、その意見が企画提案書の中にしっかり見えるような事業構想を作っていただきたいと考えております。
移住のお話等々が幾つかありましたが、今までは正社員の有効求人倍率が低いところで正社員をつくり出すという事業の建付でしたので、都市部の人を戻すというよりは、地元に正社員になりたい人がなかなかなれないという都道府県が中心になっていたことでございます。
一方、今回の見直しによっては、例えば有効求人倍率が高くて、人材不足で困っているという地域も応募している可能性もありますので、そのようなところでは、今、お話のあったように、都市部が移住等々についても、このような事業を使って、地域の雇用を改めて生み出していくということに寄与するのではないかと考えております。
以上です。
○塚﨑委員 ありがとうございます。
○阿部座長 それでは、後藤委員、お願いいたします。
○後藤委員 私のほうは、全体的な話を少しさせていただきたいと思うのですが、今回の事務局の提案については、私は非常に賛同しております。都道府県の実情について、それぞれ各県でいろいろな事情がありますし、政策も異なるわけです。そういった中で、国の政策を利用しやすい形で提供していくというのは、方向性としては非常にいいのではないかと考えております。
特に今回の地域活性化の本題であります良質で安定的な雇用の場を設けるという目標を達成するという観点からは、資料の3ページの他省庁の事業とも連携といったことを新たに強化していくというのは、非常に良い取り組みだと思います。この事業の最大の課題は、今まで補助金や助成金がなくなると雇用が失われてしまうことであります。なにより雇用が継続されるということが、一番重要な点だと考えます。例えば他省庁との連携をすることによって、事業主が新たな事業を興したりすると、当然のことながら雇用が生まれていくわけですから、そういった新たな質の高い雇用の場をつくっていくというのは、この事業単体でやるよりは、いろいろな国の政策、それから都道府県の政策と連携するというのは将来的に最も効果がある、質の高い雇用の場を提供できるというのは、そういった趣旨からは非常にいいことだと思っております。
その一方で、例えばこれまでの地域雇用活性化コースと令和3年度特例の地域雇用再生コースの事業が2つ挙げられていますが、本質的には全く違うものだと理解しておりまして、再生コースのほうは今のコロナ禍ですので、カンフル的というか、時限立法と書いてありますので、これは雇用を守るという意味では、柔軟に運用することがいいと思います。先ほどどなたかからお話がありましたけれども、高齢者であろうが、短い時間であろうが、そういうものもどんどん取り入れて、まずは雇用を守るための措置として、緊急避難的な事業という捉え方をしています。
一方で、再生コースの趣旨をそのまま今後もコロナ禍が終わった後もやっていくというのは、いかがなものかと。良質で安定的な雇用の場をつくるというところについては、質の高いというのがどういう意味なのかということを理解した上で事業をやっていきませんと、その事業が終わった後に、その雇用が失われてしまう可能性があります。
それから、人を地域に呼び込むという意味でも、ある程度の考え方を明確にしていかないと、都道府県と連携する意味からも、事業趣旨が失われてしまう可能性も高いと考えています。
したがって、9ページにあります良質なという意味、それから具体的なアウトカムの目標といったものも、より具体的に迅速に提案をして、議論の場に出していただいたほうが、議論が深まるのではないかと思います。今の状況ですと言いっ放し的な要素になってしまうので、その辺のところを少し考えていただきたい。
それと、全般の話で申し訳ないのですが、地方に移住することに関して、地域で良質な雇用の場をつくるというのもなかなか難しいので、今はサテライトオフィスと称して、仕事を東京から地域に持ってくるわけです。雇用の場を改めてつくるというよりは、雇用の場そのものを地域に移しているという動きであります。それが成功しているのがほとんどなのです。それが成功するのであれば、そういう仕組みをどうやってつくっていくかという部分についての補助もある程度考えたほうが、現実的な対応ではないかと感じております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
藻谷委員、何かございますか。
○藻谷委員 ありがとうございます。
いろいろとお聞きしておりました。
実際のところ、具体的な事例を想定して、こういう意見が出ていると思うので、抽象的な文言からだと、皆さんが御懸念のとおりで、どう解釈されるのか分からないというのが多々ありますね。具体的な事例はどういうものが想定されるのかというのをさっきからいろいろと考えていて、確かに今は正社員にはなりたくないのだけれどもというニーズも結構あるのです。他方で、これを悪く使うように、介護などの人手不足の分野とか、農業とかは厚生労働省は直接想定されていないかもしれないけれども、実は人手不足分野で、日本人を雇えるのは農業法人であるケースが結構多くて、農業法人のデジタル化とか、そういうときに、彼らが非正規を雇いたがるケースもある。
つまり、性善説の人と性悪説の人が混ざっていると思います。事前チェックは難しいので、性善説と性悪説の人を、1年単位でもいいので事後的にある程度排除するという警察的なやり方をするしかない。逆に言うと、やったけれども、後で、変な人たちでしたと。排除しなければいけないというのは過去にもあったのですが、そういう事例が出るときに、何で事前に排除できないんだと怒らずに、事後的に排除することはオーケーですと。要するに、やってみたけれども、変な人たちでしたと。やはりやばかったということをある程度認めようということを書くのかどうかは知らないのですが、当事者が理解していく必要があるのかなと。非常に抽象的ですが、実際の運用としてはそういうことなのではないかと思いました。
○阿部座長 ありがとうございます。
いろいろと御意見をいただきまして、ありがとうございました。
私の理解でいきますと、この事業はそもそも2008年だったか2009年のリーマンショック後に地域雇用がさんざんな結果になったときに、厚生労働省が基金事業を行うところから始まっているものだと理解しております。その後、東日本大震災で東北6県を中心に雇用が大変な状況になったときにも、この基金事業を活用して、まずは雇用の創出をやっていこうという趣旨で、この事業のもともとがスタートした。
その後、雇用創出が一定程度行われてきて、次に行われたのが優良な雇用をつくり出そうということで、事業の内容を転換してきたと私は理解しているところなのです。
それから、内閣府の交付金事業は、2016年か17年頃だったと思いますけれども、地方創生の観点から、雇用だけではなくて就業全体、それから移住も含めてやっていこうということで、交付金事業が始まって、それは幅広く観光や移住、地域の再生など、様々な観点から交付金を交付していくという内容の事業かと理解しております。
そういう意味で、この事業がそもそも雇用創出から始まっているということは理解をしているところで、その後、内閣府の交付金事業や他の省庁の事業が始まってきて、そういう意味では、すみ分けがだんだん難しくなっているので、委員の皆様からあったように、各省庁間で調整をしていくことも一つあり得るのだろうなとは思いました。
それから、雇用創出に大事なのが産業政策だったのですが、この事業の審査をしている人が誰だというのは明らかにできないところがあるので何とも言いようがありませんが、私の経験からですと、産業政策がそもそも雇用創出につながるものではないものも御提案があったと聞いております。なので、その辺りが産業政策と雇用創出、特に優良な雇用創出にどのようにつなげていくかということを念頭に、こちらからプログラムをどのようにしていくかということを考えてほしいというのを、アイデアとしては出していく必要があるかと思っています。
また、業種転換、キャリアチェンジについても御意見がありましたが、私の承知しているところで言いますと、地域によって政策立案能力が相当に違うのではないかという気がしています。細かいところまでは言えませんけれども、各都道府県でいろいろな地域の雇用政策をお考えになっているかと思いますが、上手なところとそうでもないところはかなり差があるかなという気が、これまでの経験からは言えるかなと思っております。
ですので、こうした制度の枠組みについてだけではなくて、各地域の政策立案能力を底上げしていくようなことも一体となって、今後取り組んでいったらいいのかなと、委員の皆さんのお話を聞きながら、私個人としては感じたところです。
これは、この後また別の会議体でも今後の進め方について議論がなされると聞いておりますので、今日いただいた意見と併せて、事務局のほうで今後の方向性、事業の枠組みについて御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
いろいろと御意見を幅広にいただきまして、ありがとうございました。
それでは、一旦議題1についてはここまでにさせていただきまして、議題2に移りたいと思います。それでは、議題2の資料の説明をお願いいたします。
○溝口課長補佐 議題2「地域雇用活性化推進事業について」、事業を担当しております溝口と申します。よろしくお願いいたします。資料2と参考資料2を使って、御説明させていただきます。
資料2を御覧ください。2ページに事業概要を掲載しております。この事業は、令和元年度に創設された事業でございます。元年度に一からつくったものではなく、前身事業がございます。実践型地域雇用創造事業というものを平成24年から令和2年まで実施しておりましたが、それを引き継いでいるということでございます。活性化事業の開始時期と重複する期間がございますけれども、それはいずれも3年度間の事業だったので、重複があるというものでございます。
活性化事業でございますけれども、目的といたしまして、雇用機会が不足している地域や過疎化が進んでいる地域で、地域の特性を生かした魅力ある雇用、それを担う人材の維持・確保を図るために、自治体で創意工夫ある取組をつくっていただき、それを提案していただいて、コンテスト方式で選抜し、選抜された地域と委託契約を結ぶ事業でございます。
提案できる地域でございますけれども、2つございます。まず、雇用機会不足地域です。これは有効求人倍率が一定低いところでございます。もう一つ、過疎等地域というのがございます。これは過疎特別法で指定されている過疎地域と、過疎「等」ということで、被災地域が入ってございます。ですので、カテゴリーといたしましては、有効求人倍率が低い地域、過疎の地域、被災地の3つあるということでございます。
事業スキームは、この下に図が出てございますが、真ん中にある地域雇用創造協議会というのを提案する市町村が設立いたします。ここは市町村と地域の経済団体は必須で構成員になることになっておりますが、そのほか、都道府県や有識者、地域の関係者、関連の協会といったところが入って構成するものでございます。
この地域雇用創造協議会が事業構想書を策定いたしまして、第三者委員会でコンテストを行って、選抜していくというものでございます。
事業の構成でございますが、左側の枠、Aは事業者向けの事業でございます。この中で、魅力ある雇用を創出いたします。
右側にある求職者向けのB事業で、魅力ある雇用を支える人材を育成いたします。それを、真ん中にございますCの就職促進の取組で、AとBをそれぞれマッチングして、雇用を創出していくものでございます。
このC事業でございますが、A事業、B事業の参加者だけではなくて、それ以外も広くマッチングの対象にすることができることにしておりますので、地方部でございますから、UIJターンというようなこともこの中で行っているところが多いというものでございます。
次に3ページを御覧いただけますでしょうか。ここに活性化事業実施中の地域を出してございます。現在、23地域が実施しております。内訳を申しますと、元年度に採択された地域が14地域、2年度に採択された地域が9地域でございます。2年度は少し数が少ないですけれども、コロナ禍がございまして、雇用の創出どころではなく、維持するので精いっぱいということで見送ったところが少なからずあると聞いてございます。
次に4ページ、実施地域を日本地図で示してございますけれども、赤いところが元年度採択地域、黄色いところが2年度採択地域でございまして、御覧のとおり、日本全国で実施している事業でございます。
次に5ページで、取組事例一覧を出してございます。いずれもかなりユニークなタイトルをつけてきておりますので、これだけだと若干何をやっているのかが分かりづらいというところがあると思いまして、参考資料2の2ページと3ページに実施中の地域の事業内容をまとめたものを載せてございます。
島根県江津市と福岡県飯塚市の事業概要を出してございますけれども、いずれもまず地域の課題・現状を整理して、それを解決するような企業向けの事業、求職者向けの事業、それからマッチングをやっています。
例えば島根県江津市でございますと、C事業の中で、U・I・J就職説明会というものを入れているものでございます。これを3年間やって、95人の雇用を創出しますというような計画を立てて、実施中というものでございます。
資料2に戻っていただきまして、次に6ページを御覧いただけますでしょうか。「コロナ禍での事業実施方法について」ということで、表を作っておりますけれども、令和2年度はとにかくコロナの影響を受けてしまった。それに対してどういう対応をしていこうかということを課題とともにまとめた表でございます。とにかくオンライン化が肝であるという状況になってございます。
コロナの影響で、集合型でやると中止になってしまったり、感染が怖いので参加を敬遠されたりということで、2年度はうまく実績が出せなかったというところがございますので、オンライン化して、とにかく実施をして、参加もしてもらおうと。それがまず第一ということなのですけれども、御覧のとおり実施地域が地方部でございますので、なかなかオンラインに慣れていない方が多く、オンライン化をどうやって進めていくかが今一番の課題になっているところでございます。
7ページでございます。令和2年度はコロナの影響で実績が出なかったということがありますので、コロナ特例というものを実施いたしました。その前提といたしまして、参考資料2の4ページ、5ページを御覧いただけますでしょうか。この事業でございますけれども、3年間の事業ではあるのですが、前年度の実績が一定以上出ていないと、次の年に継続できないという仕組みにしてございます。その基準を示したのがこちらでございます。1年度目、2年度目で若干判断基準が異なっておりますが、1年度目、2年度目ともに自動的に事業廃止になってしまう基準がございます。左上の枠から出ている矢印で、1年度目であるとアウトプット50%未満のメニューが事業全体の30%以上あると、その事業全体が廃止になってしまう。それから、2年度目につきましても、同じく左上から矢印が出てございますけれども、1年目と同様の基準で事業全体が廃止になる上に、2年度目につきましては、アウトプットが50%未満であるメニューは廃止ということになっています。そのほかの基準につきましては、成績がよければ自動的に継続。廃止でもなくて、継続に該当するほど成績がよくないと、改善計画を作成して、それを第三者委員会に諮って、継続を判断するのですけれども、アウトプット50%未満であると、改善計画をつくることもできずに、自動的に廃止になってしまうという基準になってございます。
この自動的に廃止になってしまうメニューというのが、令和2年度に実施した183メニューの中で、35メニューございました。いずれも地域によれば、コロナで非常に実施が大変だったということでありましたので、自動的に廃止になるメニューにつきましても、コロナ禍の影響で実績が低調になってしまって、改善計画を策定して、翌年やれば実績が出せると協議会が見込んでいる場合には、改善計画を作成し、それを第三者委員会に諮ることができるというような特例をつくったところでございます。
次に8ページを御覧いただけますでしょうか。協議会だけで事業をやって、実績を出すというのはなかなか難しいところがございますので、サポートしてくれる人たちを設置しております。支援コンサルタントと地域支援アドバイザーという2種類の人たちを設置しております。支援コンサルタントというのは、厚生労働省が委嘱しまして、オールジャパンでこの事業をサポートしてもらう方たちでございます。地域支援アドバイザーというのは、労働局が委嘱いたしまして、管内の実施地域に対して、協議会側に直接指導するという方たちでございます。
この支援コンサルタントというのは、前身事業のときから関わっていただいている方たちでございまして、非常にこの事業のベテランの方たちでございます。一方、地域支援アドバイザーというのは、元年にこの事業ができたときからの方なので、その地域では第一人者の方ではあるのですけれども、この事業についてはまだ不慣れなところがある。それから、属人的なスキルの差があるということがあります。この地域支援アドバイザーの支援如何で地域に対する貢献度も変わるということになりますので、地域支援アドバイザーの方たちのスキルアップが今、一番の課題になってございます。
令和3年度につきましては、事業に慣れている支援コンサルタントと地域支援アドバイザーが一緒に勉強会を行って、地域支援アドバイザーのスキルのボトムアップを図っていこうということを考えております。
次に、9ページにその実績を出してございます。支援コンサルタントのほうが令和2年度、コロナの影響で活動ができませんでしたので、活動をしていた地域支援アドバイザーにつきまして、実績を載せてございます。この地域支援アドバイザーでございますが、役割が大きく2つございまして、事業構想提案書策定時の支援と、実施中に何か困ったことがあったときの支援という2つの役割を持ってございます。実施中の支援につきまして、令和元年度はまだゼロだったのですけれども、令和2年度には7地域が出ておりますので、今後、活躍が期待されているところでございます。
事業構想書支援はどんなことをやっているかというと、名称を分かりやすくしなさいとか、項目立てを見やすくしてくださいというような非常に基本的なところから、地域の資源をどうやって育成するか、それを雇用にどうやって結びつけていくかといったかなり踏み込んだ支援までしていただいております。
実施中の支援につきましては、本当に困ったところにピンポイントで支援をしていただくのですけれども、オンライン開催が不調だったというようなことに対する支援実績もございますので、今オンライン化が課題になっているところで、この方たちの活躍に期待が高まっているところでございます。
駆け足でございましたけれども、この事業は今回、懇談会初出ということでしたので、事業の御紹介ということで御説明をさせていただきました。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
議題2は地域雇用活性化推進事業の現状ということで、御報告をいただきました。委員の皆様から、何か御質問、あるいはこんな観点からまた新しい取組が考えられないかみたいなものもあれば、御意見を賜れればと思っております。
先ほどと同様に「手を挙げる」ボタンを押していただきまして、お名前を名乗ってから御発言いただくよう、お願いいたします。いかがでしょうか。
では、高木委員からお願いいたします。
○高木委員 先ほど御説明がございましたように、協議会だけではなくて、支援スキームをつくって支援を得ながら、この事業を推進していくということだったのですが、例えば厚労省で扱っているほかの事業と関連づけながら、あるいは連携しながら事業を推進していくといった姿勢とか物の考え方が実際にあるのかどうかということを少しお伺いしたいと思いました。
と言いますのも、例えば雇用機会が不足しているということは、「働きたいけれども、働く場を得られない」という方たちがいるということだと思うのですが、先ほどの地域活性化雇用創造プロジェクトの地域雇用再生コースでもそうなのですけれども、働く場から追い出されてしまい、そしてなかなか雇用機会を得ることができない人々というのは、対象がある程度重なっていると思うのです。そういった弱い立場に置かれがちな方たちの雇用支援については、もしかしたらほかの事業と連携を図っていくことが、より効果的なのではないかと思いました。
具体的には、厚労省のほうで令和3年4月から行っていらっしゃいます「重層的支援体制整備事業」があるかと思うのですけれども、これは例えば対象を絞ることなく、高年齢者、障害者、女性、生活困窮者などについて、就業も含めて包括的に支援する体制を整備する事業だと思うのですけれども、こういった他事業との連携というものも少し考慮したらよろしいかと考えた次第です。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
事務局、何かございますか。
○溝口課長補佐 貴重な御意見をありがとうございました。
他事業との連携ということでございますけれども、厚生労働省の事業ということで言いますと、事業と言えるかどうかというのはありますが、ハローワークとはかなり綿密に連携をしておりまして、ハローワークで実施している説明会の参加者や、ハローワークを利用している方を誘導してきたり、関連する公共職業訓練を申し込みたいといったような方を人材育成のメニューに誘導してきたりということをやっているところもございます。
それから、厚生労働省ではございませんが、県や市との連携はかなりやっておりまして、まず構想書の段階で、県や市の取組はどのようなことをやっていますかということを入れさせております。それを基に採択の判断をしていただくという仕組みになってございます。
特にマッチングでは、市や県のUIJターン事業で連携したりであるとか、関連のフェアに一緒に出展したりとか、県や市のイベントに参加した方たちを誘導してもらったりというようなことで連携しているところでございます。
御指摘のとおり連携というのは非常に有効だと思いますので、御意見を踏まえまして、これからも進めていきたいと存じます。
ありがとうございました。
○阿部座長 ありがとうございました。
では、大下委員、お願いいたします。
○大下委員 ありがとうございます。
少し感想めいたことになりますが、1点だけ。
御説明いただきました中で、コロナ禍での事業実施方法というところで、オンライン環境が未整備であったり、そもそもオンラインの活用が不慣れであったりということで、同じ課題が出るのではと。
○阿部座長 大下委員、すみません。こちら側の問題だと思うのですが、一瞬、大下委員の御発言が聞こえなくなってしまいましたので、ネットの接続の問題だと思います。
○大下委員 今は声は届いていますでしょうか。
○阿部座長 今は大丈夫です。すみません。
○大下委員 地域におけるITインフラの問題であったり、あるいはITが活用できる人材の不足、ITが活用できるというのは、単にパソコンが使えるとか、ウェブが使えるだけではなくて、私どもの会員企業の中小企業でも、うまくITを使ってこれまでの課題を乗り越えてきている企業さんと、そうでない企業さんで差が出てきていますが、そうした事業にITを活用できるノウハウなり知見を持っている方を地域に育てていく、あるいは地域に移していくことが一つ鍵になるのではないか、また、各地域の取組の中でIT人材の育成というのが目に入りましたけれども、ここがポイントかなと思いました。
そういう意味では、今回の枠組みの中にあるアドバイザーさんの中に、いわゆる従来のまちおこし、村おこし、産業活性の知見を持っている方だけではなくて、うまくウェブとかITを活用して、地域の距離を超えたり、時間を超えて、事業を活性化していくような、実際にビジネスをやっていらっしゃる方であるとか、そういった方々にこのアドバイザーになってもらうとか、あるいはうまくこのプロジェクトに結びつけていく方法が何かあると、少しブレークスルーにもなるのかなと思いました。
感想めいた意見です。私からは以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
では、塚﨑委員、どうぞ。
○塚﨑委員 ありがとうございます。
先ほどお話しした地方企業への就職とか転職への関心についてのアンケートで明らかになった、コロナ禍の中で高まっている地方企業への関心を生かす意味で、CのマッチングのところでUIJターンと出ているのですが、Bのところでも、特にオンラインで行うのであれば、講習会などに都市部に住んでいる人が参加するということも可能だとは思うのですけれども、そういった参加を想定しているような例はあるのでしょうか。質問です。お願いします。
○阿部座長 事務局、ありますか。
○溝口課長補佐 一部にございます。インターン的なものをやろうとしているところがございました。ただ、2年度につきましてはコロナ禍でなかなかうまくいかなくて、そこもオンラインでインターン体験をしてもらうように工夫するといった改善計画をつくっているようなところもございました。御意見のとおり、今後B事業でも広げていきたいと考えております。
ありがとうございました。
○塚﨑委員 どうもありがとうございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
では、後藤委員、お願いいたします。
○後藤委員 ありがとうございます。
これは私どもの体験から申し上げるのですが、政府が今回デジタル庁を進めている上で問題がいろいろありまして、申請書類その他、国に対する申請、行政事業も含めて、ほとんどがネット上で申請をするという手続になっております。そうすると一体どういうことが起きているかというと、高齢の経営者、地方の経営者はITリテラシーという面では後れを取っているものですから、申請がなかなかうまくいかない。これで一時、昨年のコロナのときも、持続化給付金などを申請するときに大混乱が起きたということがありました。これを何とか改善しなければいけないというのは、行政に関しても、我々の商工団体にしても、同じような課題を持っています。
そのためには、既存の団体をうまく活用していくという方法がいいのかなと考えていまして、皆さん御存じかもしれませんが、例えばITコーディネーター協会みたいなものがあって、そこにある程度の資格を取った人たちがかなりの人数いらっしゃる。そういう方たちがそういう団体と連携をして、活用していくという方法もあるのかなと。理論的には、育てていくという話はあるのですが、育てるまでにかなり時間がかかりますので、そういった知識、技術を持った方たちを活用するというのも一つの案かなと思っていたので、お話しをさせていただきました。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
今のお話は、これはそもそも事業としては市町村がやる事業ですので、市町村の中でもうけられる地域雇用創造協議会の中でどのようにしていくかということになろうかと思うのです。それに対して、例えばアドバイザーやコンサルタントが今、後藤委員がおっしゃったような内容をアドバイスするというのはあり得るのかなと思いましたので、そういった点も含めて、コンサルタントやアドバイザーの活用あるいは活性化が必要になるのかなと個人的には思いました。
ほかの委員、いかがでしょうか。何か御発言はございますでしょうか。
では、漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 これは以前にも事務局にお伝えさせていただいている点です。ほかの委員からも話がございましたように、地域支援アドバイザーのITスキルや、ITを活用した営業・販売のスキルが必要です。地域支援アドバイザーにITを使ったマーケティングなどの知見がないと、このコロナ禍における助言・指導は難しいと思われます。従来の知見に加えITスキルなどがあることが、コロナ禍を乗り切るためには必要であると思っています。
もう一つ、地域によっては必要以上にコロナの感染を恐れる方がおられます。そうした地域の企業でもそうした行動をとるとことがあります。もちろん、感染対策を適切に実施することは重要です。しかし、企業内でクラスターが発生したら、もうその地域で商売できなくなるような地域においては、その自治体が新しい施策を推進しても、例えば、都市部からUIJターンを受け入れることに二の足を踏んでしまうなど、UIJターンなどの事業の実施にも影響が出ると思います。そこで、UIJターンを自治体が推進する場合、例えば「このようにやれば感染は大丈夫です」というような、いわゆる防疫・感染症対策に関する指導・支援も事業の実施では必要ではないでしょうか。その支援機関としてハローワークが適当なのかはなかなか難しいのかもしれないのですけれども、適切な支援をした上でのUIJターンの面接会などが実施できるような誘導が必要なのかなと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
藻谷委員、お願いします。
○藻谷委員 せっかくですので、一言。
この事業は従来から集客交流のマーケティングが一番雇用が増えるので、中心になってやっていたのでコロナの影響を一番受けるわけですが、集客交流のマーケティングの打開策は、各委員の方がおっしゃったとおり、デジタル化で売っていて、生き延びている地域がすごく多い。したがって、デジタル化できるか、できないかにものすごく命運がかかっているし、ノウハウがちょっと違うので、アドバイザーの方によってはできない方もいらっしゃるかもしれないし、地域の経営者ができないというわけで、今年も起こるのですが、来年以降に向けて、コロナが終わると僕は思うのですが、デジタルによるマーケティングが非常に重要になるので、それに向けて、ぜひアドバイザーの見直しも含めて、デジタル的なところに注力を置いた制度設計が付加されることを希望します。
失礼しました。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、皆様から御意見をいただきましたので、これも踏まえて、今後の事業の転換に役立てていただければと思います。
皆さんのほうが特にこれ以上なければ、議題3に移りたいと思います。議題3は「今後の地域雇用対策懇談会について」でございます。事務局から説明をお願いします。
○細川係長 地域雇用対策課の細川でございます。
それでは、資料3について御説明をさせていただきます。
資料3を御覧いただけますでしょうか。こちらは表紙を含めまして2枚物の資料となってございます。まず、この議題を設定させていただきました問題意識について御説明をいたしますが、資料の左上の「1.現状及び背景」の1つ目の○と2つ目の○でございます。この懇談会におきましては、もともと「地域雇用対策事業の実施状況」、それから「将来的な地域雇用対策の在り方」の2つの観点から御議論いただくということで設定させていただいておりました。特に地プロの関係でございますが、これまで見直しの必要があったということで、個別事業についてはこのように各論的に御議論いただくことはあったのですけれども、地域雇用対策全体として御議論いただくということは、これまでなかなかかなっていない状況でございましたので、こうした状況を踏まえまして、その下の矢印のところでございますが、今後、個別事業の見直しに加えまして、地域雇用対策全体として、より効果的な方法論ですとか、今後の地域雇用対策の展開、目指すべき方向性のようなものについて御議論、御指摘をいただくような場にさせていただけないかと考えてございます。
次に、その下の「2.具体的な方針(案)」でございますけれども、昨年度、令和2年度はコロナの影響もございました関係で、恐縮ながら事務局の事情もございまして、5月に一度、持ち回りの形で開催をしたのみでございました。今後、原則としましては、年に2回の開催を基本とし、1ポツ目のところでございますが、概算要求の手前、4~6月ぐらいのタイミングで個別事業の見直し、それから今、御説明申し上げました地域雇用対策全体に係る翌年度の概算要求方針についても事務局から御紹介し、それについて御議論いただく。その上で2ポツ目でございますけれども、概算要求内容が固まってまいります9月以降のタイミング、秋から冬にかけまして、要求内容の御報告と、それから地域雇用対策全体の今後の展開、より効果的な方法論などについて御議論、御指摘をいただきまして、そうした内容を踏まえまして、また次の年度の事業に反映していくといった形で進めさせていただきたいということで、改めて整理をしたいと考えてございます。
なお、その下の○でございますけれども、先ほど議題2の関係で御説明がありました地域雇用活性化推進事業の中でアドバイザーがおりますので、こうした懇談会の中でも、必要に応じまして、こうした支援者に参画をいただき、知見を活用するということもあり得るのではないかということで、記載をさせていただいているものでございます。
一番下の○でございますが、コロナの感染状況にもよりますので、今年度直ちにというのはなかなか難しいかなと思ってはいるのですけれども、来年度以降、懇談会の委員の皆様、それから事務局による合同で現場視察のような機会も設けられないかと考えてございます。
議題3につきましては、事務局からの御説明は以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
それでは、今後の進め方ということになるかと思いますが、委員からいろいろな角度から御意見を賜れればと思いますので、また同様に「手を挙げる」ボタンを押していただいて、お名前を名乗って、御発言いただくよう、お願いいたします。いかがでしょうか。
では、高木委員、どうぞ。
○高木委員 この委員会として、地域雇用対策全体について、あるいはその方向性について、今後議論をしていくということなのですが、恐らく今後話し合うべき内容かもしれないのですけれども、ちょうどよい機会かと思いますので、全体的な考え方という観点からで、気がついたところがございましたので、2点だけお話しさせていただければと思います。
1点目ですが、今回、コロナの影響を受けて、それを再生することを主目的にした地域雇用再生コースについては、内閣府の交付金のほうに流れたということでした。なぜそうなったのかということで、私も先ほど意見をさせていただきました。しかし、内閣府のほうに流れていってしまったという1年目の事態を、必ずしも「失敗した」というようには考えていただきたくないと思っているのです。
どういうことかと申しますと、他省庁も含めて様々な補助金や支援事業を複数立ち上げて、支援の在り方を網目のように設定することが今の段階では非常に大切であると思っているのです。そうしなければ、支援の仕組みからこぼれていってしまう地域や人々が出てきてしまうので、それをまずすくい上げるために、重複してもいいから、まず最初にそういった補助事業というものをたくさん設定することが重要なのだと思います。その結果、内閣府の交付金と今回の地域雇用再生コースが重複してしまったということだと思うのです。
1年目に様々な状況が分かったので、そこからどういう改善をしていけばいいのかということで、今回事務局からのご提案があったわけですが、この1年目のことを失敗と考えずに、そこから学ばせていただいて、こぼれる地域と人々がないように、くまなく補助、支援の体制をつくることが正しい方向性なのではないかと考えています。
もう一点なのですが、地域活性化雇用創造プロジェクトも、そして先ほどご説明いただいた地域雇用活性化推進事業もそうなのですが、補助金をいただき、協議会を立ち上げ、その協議会が中心になって事業の推進を行うというかたちを、多くの応募団体がとっているのだろうと思います。その時に、例えば最長3年間、この補助金がもらえるとして、その後4年目には資金がないので協議会を解散させて、雇用推進事業が立ち消えていく、というものの考え方だと、大変よろしくないと思うのです。もしも時限つきの2年や3年の補助金をもらって、その間だけ雇用創出や活性化を頑張るということであれば、例えば単純計算して、1人の雇用を創出するのに百数十万円、場合によっては200万円、300万円かかったという計算になってしまうのです。それを国民が許容するかというと、恐らく難しいと思うのです。補助金をもらって、事業を立ち上げて、協議会あるいはそれに準ずる組織がそれを継続的にマネジメントしていくという、長期的な視点が必要かと思います。補助金がなくなって4年目、5年目になっても、この3年間を足がかりにして、雇用促進という事業をシステムとして継続していくことが大切であるという意識を、各都道府県、各地域には持っていただきたいと思っています。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
事務局の提案としては多分、個別事業の見直しをこれまで行ってまいりましたけれども、それにとどまらず、もう少し地域雇用政策全体を有識者の委員の皆様から様々な御助言をいただきたいということを今後やっていきたいということではないかと思いますが、多分それについては御意見がないのかなと思いますのが、その辺りでどうでしょうか。地域雇用対策全体ということで、何か御意見があれば。
今後どのような論点があるかなとか、そういうものでもいいかと思います。
では、大下委員、お願いいたします。
○大下委員 おおむねの方向性、つまり総枠として地域雇用の在り方あるいはこれからどうやって地域雇用を創造していくのかということについて、もう少し幅広に議論していこうということに当然異論はございません。先ほど来、お話があったように、少し省庁をまたぐような話にもなってくるところもあろうかと思います。それから、今回、厚労省さんのほうから御紹介いただいた県ベースのものと、市町村ベースのものと、厚労省さんだけでもそうやって多層でいろいろな取組をしていらっしゃいます。
なおかつ、地域の雇用ということで言いますと、その地域ごとのいろいろな事情があるかと思います。そうすると、今、これまで取り組んでいらっしゃるような、各地で進んでいるプロジェクト、取組の実績、実情、うまくいったところ、なかなかうまくいかないところ、そういったものをしっかりと情報収集、精査をしながら、今後、どういう取組をして、その地域の産業を振興し、それを雇用に結びつけていくのか。定住人口を増やしていくために、どうやって取り組んでいくのかということを総括的に議論していく場はあってしかるべきかなと思っています。
そういう意味では、今、申し上げたいろいろな各地で取り組んでいる生の状況を我々も知りたいなと思いますし、それを踏まえた議論をしていって、次の政策、施策に結びつけていただくことが非常に大事かなと思いますので、具体的な方針の中にありましたアドバイザーさんを少し交えていただくとか、あるいは、その取組に直接関わっていらっしゃる地域の事業者さんの声を聴いたりだとか、視察というお話もありましたけれども、なるべく現場感を持った議論ができていけば、この方向性はさらに有意義ではないかと思っております。
私からは以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
先ほども藻谷委員から、個別の具体的な内容が見えにくい中で議論するのはどうかという御発言もありましたので、今、大下委員からあったように、それぞれの事業がどのように行われていて、どういう地域にそれぞれどういう問題があるのか、我々もそうした情報を得ながら、今後の地域雇用対策を考えるということが重要だと思います。ありがとうございました。
ほかに何かございますか。
藻谷委員、お願いいたします。
○藻谷委員 御質問に対するお答えではないのですが、今、座長がおっしゃった地域雇用という観点でどういう視点があるかということを聞いていただいたので、まだ皆さんがお気づきになっていないかもしれないのですが、もう大きくコロナ後に出てくることについて、2つだけ御指摘しておきたいと思います。
ローカルなところと、いわゆる東京とどこが変わってくるのかです。デジタルが必要なのはどちらも同じです。そうではなくて、すごく大きな違いは、東京及び一部大都市は、若い人が本当に深刻に足りなくなってくる。しかし、中高年は余っている。特にロスジェネから上が余る状態が向こう10年、20年続きます。それに対して、非常に多くの地方、特に過疎圏では中年もどんどん減ります。ロスジェネが少ないからなのですけれども、東京に行ってしまって、帰ってきていないからなのですが、中年が足りないので、劇的な人手不足が裏で進行しています。介護とかでははっきりしていることなのです。エッセンシャルワーカーでは誰でも分かっていることで、定員も足りないのですが、これからいろいろな分野で、中年がいないということ。そして、高齢者がやっている事業を承継するときに、引き継ぐべき番頭クラスもいない。いきなり若い人に引き継がなければいけない。けれども、辞めて潰すということがどんどん増えているのですが、これからも増えます。
そういうわけで、地域も東京も同じでしょうみたいなことを財務省に言われた場合は、違いますと。地域、日本の県で言うと47のうち既に30以上だと思いますが、中年もいない。ざっくり言うと70歳以下が全面的に不足する状態になっていて、他方でミスマッチで職に就けない人がいるという非常に残念な状態になっています。それに対して、東京はまだ45歳以上は余っています。ですから、この中年も含めてミスマッチになっているところを、地域の課題として真剣に取り組まなければいけないのですということをぜひ加味していただきたい。
もう一点は、最低賃金を全国的に上げていかなければいけないと言われていて、そのとおりだと僕は思っていますが、特に最低賃金が低いことで回っていた地域経済を、賃金を上げて底上げしていく上で雇用を守ると。賃金を上げながら雇用を守るという観点が重要です。しかし、たまたま人手不足も重要なので、本来は賃金を上げるチャンスなのです。そういうことが大都市といわゆる地域と言われているところは違うんだということを御指摘したいと思います。
失礼しました。
○阿部座長 ありがとうございました。
後藤委員、お願いいたします。
○後藤委員 ちょっと視点が違うかもしれませんが、一言だけ。
実は今、地方で何が問題になってきているか。都市部もそうなのですが、経営者が高齢化しているというのは皆さん御承知だと思うのですけれども、高齢化していることによって、その事業が廃業に追い込まれる例が非常に多くなってきている。当然、事業所が減れば、そこに雇われている従業員の方も減っていく。これが大きな問題になっていまして、今、第三者承継、つまり血縁にあまり関係なく、若い人たちは誰でも事業承継をやってもらおうという仕組みをつくろうとしている。これの視点と、雇用をどのようにリンクさせていくのか。
今、現実に地方で人が足りないことで何が起きているかというと、外国人労働者を引き入れて、失われている雇用の年代層を確保していこうという流れになっています。その辺のことと、この事業の兼ね合いをどう進めていくかというのが、これからの視点としてはかなり重要な話になってくると。
ちょっと視点は違うかもしれませんが、参考までに申し上げます。
○阿部座長 大変参考になりました。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、いろいろな角度から御意見をいただきましたので、また今後に向けて整理していただいて、また今後の議論につなげていきたいと思います。
ほかに特になければ、こちらで用意した議題は以上となります。
最後に、事務局から、連絡事項がありましたらお願いしたいと思います。
○細川係長 次回の日程につきましては、座長と御相談の上、追って御連絡させていただきたいと思います。
以上でございます。
○阿部座長 では、これをもちまして、本日の懇談会は終了とさせていただきたいと思います。
いろいろ参考になる御意見をいただきまして、ありがとうございました。今後とも、よろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。