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第6回外国人雇用対策の在り方に関する検討会 議事録
日時
令和3年6月17 日(木) 10:00 ~ 11:00
場所
オンライン会場
厚生労働省職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎第5号館12階)
出席者
- 天瀬 光二
- 九門 大士
- 是川 夕
- 酒井 正
- 佐久間 一浩
- 杉崎 友則
- 冨高 裕子
- 友原 章典
- 新田 秀司
- 山川 隆一(座長)
議題
- (1)中間取りまとめ案について
- (2)その他
議事
- 議事内容
○山川座長 それでは、おおむね時間ですので、ただいまから「第6回外国人雇用対策の在り方に関する検討会」を開催いたします。皆様方には、本日も御多忙のところお参集いただきまして大変ありがとうございます。
本日の検討会はこちらの会場とオンラインで開催いたしますので、開催に当たり、事務局から説明があります。よろしくお願いします。
○外国人雇用対策課長 事務局です。オンラインで御参加いただいている皆様からの発言についてお願いがございます。オンラインの方は、事前にお送りしております「会議の開催参加方法について」を御参照ください。座長が御発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」機能を使用してください。御発言される方を指名させていただきますので、指名された後に発言を開始してください。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお願い申し上げます。また、発言後は必ずマイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。オンライン出席の方で、操作などについて御質問のある場合は、事務局までお問い合わせください。
また、本検討会はペーパーレスの開催であり、会場においてはタブレットを使用して行います。タブレットについても使用方法について質問がある場合は、事務局までお問い合わせください。円滑な会議運営に御協力をお願い申し上げます。
続いて資料の確認です。本日の資料は、議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4、最後に参考資料です。これらの資料について不備がありましたら、事務局にお申し付けください。
○山川座長 よろしいでしょうか。本日の出欠状況ですが、全員御出席と伺っております。またオブザーバーとして出入国在留管理庁政策課に御参加いただいております。それでは、議事に入りたいと思います。頭撮りはここまでとなっておりますので、カメラ取材の方は、御退室いただきますようお願いいたします。
それでは、議題1「中間取りまとめ案について」事務局から説明をお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 事務局です。資料の説明をさせていただきます。資料1ですが、本日の議題である中間取りまとめ案です。これについては、5月24日に開催いたしました前回、第5回の検討会において、中間取りまとめの骨子案を提出させていただきました。その際に、テーマごとの課題と方向性だけではなく、「はじめに」あるいは「総論的記述」を入れるのがよいのではないかという御指摘をいただきました。その際の各委員からの御発言を踏まえ、総論として3つの柱を立てさせていただきました。
簡潔に申し上げます。第1の柱は、我が国労働市場への外国人労働者の包摂の状況や国際的な労働移動を適切に把握し、エビデンスに基づいた外国人雇用対策を講じるべきというものです。第2の柱は、新型コロナウイルス禍で起きている複層的な課題を解決するために、関係機関が得意とする分野を生かして、連携して対応していくべきというものです。第3の柱は、日本と母国の文化ギャップの克服、専門的・技術的分野の外国人労働者の長期キャリアを前提とした就労環境を整備していくべきというものです。
その後、各課題とその対応に関する方向性ですが、これは前回提出いたしました「中間取りまとめ骨子案」を文章にしたものです。その上でこの中間取りまとめ案につきましては参考資料として、これまでに提出した様々な資料、データについてアップデートしたものを添付しています。以上が資料1です。
資料2は、前回5月24日の検討会で、委員の方々から頂戴した意見を概要としてまとめたものです。資料3は、本日の中間取りまとめ案の概要を資料にしたものです。まず全体の概要に関する資料が1ページ目で、2ページ目は、ハローワークと多様な関係者との連携に関する支援について図に示したものです。資料4は、第1回から第5回までに登場いただいた様々な団体等の方から、その後の取組について情報を更に提供していただきましたので、まとめたものです。
簡単に説明をさせていただきます。1ページ目は、第2回の検討会に御登場いただいた、三重県鈴鹿市を拠点とするNPO法人「愛伝舎」の坂本様から、その後の取組について報告を頂きました。愛伝舎と三重労働局が協力して、トラック協会にお願いをし、トラックドライバーでの就労を希望する外国人向けの企業説明会を準備しておりました。これは実際に5月29日に開催されたものです。その当日、私も現場に行きまして、3時間ほどこの説明会の様子を見せていただきました。その取材の結果をスライドにまとめさせていただいております。
事例の2番目は、困窮する外国人世帯に対してアウトリーチをしていくというものです。これは、これまでに御登場いただいた団体ではないのですが、私ども厚生労働省で最近お付き合いが始まった所で、豊島区で「シャンティ国際ボランティア会」という団体が、食料の配付という形で外国人の皆様に支援をしております。お話をお伺いしておりますと、この中に6月19日に食べ物を配付するイベントがあるのですが、ここに参加するであろう外国人の方の中に、仕事を求めている方もおられるということですので、ハローワークとしてしっかり連携していきたいと思っております。
事例の3番目は、外国人向けの短期就労可能な求人についての事例です。前回(第5回)の検討会において、短期の就労を希望する外国人のために、HONDAの系列のディーラーである「Honda Cars東京」が洗車の仕事を作ってくださるという事例を紹介いたしました。その後の経過です。仕事を使っただけではなく、実際に5月20日に面接が行われ、その結果、2人のベトナム人の若者が採用されました。この下の写真ですが、制服を着ているのが外国人の若者です。顔は写っておりませんが背中が写っている男性は、NPOのスタッフで、企業の担当者が洗車の仕事について説明してくださっている内容を、ベトナム語に通訳して、外国人の若者2人に伝えるという取組をしています。
事例4は、職業安定局長名で、経済団体や職業紹介関係の団体に対して、外国人向けに短期の求人を作っていただきたい、また、その求人については、必要とされるコミュニケーションのレベル、あるいは求人については優しい日本語や外国語で記載していただきたいという要請を厚生労働省から各団体にさせていただきました。その要請を受けてということではありませんが、同じような取組をしておられる求人情報サイトが、既に世の中に存在するということを、ここで事例として紹介させていただきます。
事例5ですが、第3回の検討会において、外国人労働者の職場定着、地域定着を議題とさせていただきました。その際、事務局から提出した資料の中で、企業ごと、事業所ごとに経験を積むにしたがって、外国人の採用・育成能力が向上していくのではないかといった議論をさせていただきました。関連する事例はないかと思い、探してみたところ、2つありましたので紹介させていただきます。
1番目の事例は、ダイバーシティ研究所が現在取り組んでおられる「職場の外国人受入環境整備プロジェクト」です。これについては次のページに概要を示しておりますが、監査人という方を育て、その事業所において外国人の働きやすさをチェックするというチェックシートを用いて、その企業、事業所の働きやすさ、外国人労働者の働きやすさをチェックして改善していくという取組です。2番目の事例は、佐賀県庁が取り組んでおります県独自の「優良企業認定制度・顕彰」です。これは今年度から取り組むというお話を佐賀県庁から伺っております。内容については、まだ検討中であるとのことです。
事例の6番目ですが、外国につながる子どもへのロールモデルの提示です。留学生の就職支援だけではなくて、外国につながりのある子どものキャリア支援というものを議題とさせていただきました。外国につながる子どもについては、ロールモデルの提示というものが大切であろうという議論をさせていただきました。これに関連する事例を2つ紹介いたします。
まず1番目は、静岡県庁が取り組んでいる「企業で活躍する定住外国人ロールモデル活躍事例集」です。静岡県内の企業において、正社員として働き、活躍している定住外国人の先輩の姿を子どもたちに紹介するという事業です。2番目は、日伯経済文化協会(ANBEC)という団体の取組です。この団体は長い間、在日ブラジル人の子どもたちの教育・学習を支援してきた団体ですが、このように日本で学校教育を受けて成人した先輩たちが、様々な分野で活躍しているという様子をビデオに収め、インターネットで公開しているものです。
事例の7として、ハローワークの取組を御紹介いたします。何度か、この検討会において事務局のほうから、外国人を雇用している事業所の台帳を整備して、雇用管理の指導だけではなくて求人開拓にも活かしていけるのではないかという話をさせていただいております。私どもの出先機関である労働局、ハローワークに問い合わせたところ、同様の取組が既に行われていることが分かりましたので、好事例として紹介させていただきます。
各労働局には雇用管理アドバイザーがあります。具体的には社労士や中小企業診断士などで、外国人労働者の雇用管理の改善に関して深い知識や経験がある方ですが、この方に、雇用管理アドバイザーという仕事を委嘱いたしまして、この雇用管理アドバイザーが事業所を訪問して指導・援助を行うというものです。即ち、本来は事業所に対する雇用管理の指導に関する仕事を担っている職ですが、例えば長野労働局のハローワーク松本においては、雇用管理の指導に行った際に、求人も開拓し、更に採用に結び付けたという事例がありました。ハローワーク上田においても、同様の事例がありました。
最後に、この検討会で御議論いただいたこととは関連しないのですが、厚生労働省における取組で、最近の外国人雇用対策に関する取組を1つだけ紹介させていただきます。今月の初めに、入管庁において、ミャンマーにおける情勢不安を理由に日本への在留を希望するミャンマー人の方に対して、緊急避難措置として在留や就労を認めるという特別な措置が講じられました。これを受けて、厚生労働省といたしましても、入管庁に対しては、地方の入管局の窓口に来たミャンマー人の方々に対して、ハローワークを案内するリーフレットを配ってほしいとお願いしております。このように、ミャンマー語と、やさしい日本語の二か国語で書いて、ハローワークにお越しいただければ仕事を探すお手伝いをさせていただきますという内容のリーフレットを配っていただいております。
なお、最後に参考資料ですが、6月15日に開催された「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において、本年度の総合的対応策の改訂版が決定されましたのでお配りしています。事務局からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、中間取りまとめ案、それから事務局の説明内容について、御意見や御質問、あるいは御感想も含めて、委員の皆様からそれぞれ御発言をお願いしたいと思います。御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただくよう、お願いします。どなたか御発言はございますか。では、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田です。私からは、資料1と資料3についてコメントをさせていただきます。まず資料1についてです。今回の示された中間取りまとめ(案)は、これまで開催された検討会での議論やヒアリングの内容を総論と各課題への具体的な対応の方向性ということで適切に取りまとめていただいたと理解しております。また、事務局の御尽力に感謝申し上げます。
その上で、資料1について、意見と要望をそれぞれ申し上げたいと思います。まず意見の部分です。経団連ではかねてより、ダイバーシティ&インクルージョンということを提唱しており、多様性を互いに包摂することの重要性を説いているところです。今回の中間取りまとめ(案)では、総論には「包摂」という言葉が度々出てくるのですが、各論には見当たらないため、各論の然るべき場所にも「包摂」というキーワードを是非、入れ込んでいただければと思います。
そして要望です。今回、この中間取りまとめを公表することになりますが、公表するだけではなく、厚労省において、具体的な政策等に、この内容を適切に反映していただくよう、要望したいと思います。
次に資料3の2頁目について申し上げます。左側の図で、真ん中に外国人とあって、それを取り巻く形になっています。外国人に対して向かっている矢印がハローワークからだけ出ているという形になっていますが、これを、周りにある各団体からの支援に加えて、それを連携する形でハローワークが支援していくことがイメージできるように、図の表現を工夫していただければと思います。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。もう一度、この取りまとめ案を精査しまして、包摂という言葉を適切な場所に加えられるよう検討したいと思います。また、図に関する御指摘についても検討していただきたいと思います。もちろん、公表後に施策に反映するようにというのは私からの要望でもあります。ありがとうございました。では、次は杉崎委員、お願いします。
○杉崎委員 ありがとうございます。日本商工会議所の杉崎です。今回、提示していただきました中間取りまとめですが、これまでの議論の内容や対応の方向性が非常に分かりやすくまとめられていると思います。この中間取りまとめは、外国人材の受入れや定着支援に関わる様々な団体、機関にとって非常に有意義な内容であるかと思いますので、プレスリリースなどを通じて、幅広く情報発信、周知をしていただきたいと思います。
また、コロナ禍でありましても、中小企業の外国人材に対する興味、関心は非常に高い状態が続いております。したがいまして、コロナ禍が終息しますと、外国人材の受入れは確実に増えていくと思っています。初めて外国人材を受け入れる、又は受入れに非常に関心を持っている中小企業に対して、文化面や就労面のギャップの克服や就労環境の整備といった各種の情報提供に厚生労働省としても力を入れていただきたいと思います。
また、外国人材の受入れは今後、確実に増えていくと思いますので、この検討会自体の開催も、今後も是非、継続していただいて、外国人材の円滑な受入れ・定着に向けた対策、また、PDCA等を切れ目なく実施していただきたいと思っております。
最後に、本日提示していただいた資料4にいろいろな取組事例が書かれておりますが、ハローワークにおける取組で、長野労働局の事例は非常に興味深いと思っております。ハローワークによる求人開拓は非常に有効な取組だと思いますので、全国のハローワークにも、是非こうした取組を広げていただければと思っております。以上です。
○山川座長 ありがとうございます。今回の検討結果の周知、それから、それ以外も含めた情報提供、また、PDCAサイクル的な対応という御提言を頂きました。有益な御提言をありがとうございます。それでは、冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 ありがとうございます。今のお二人の委員から出た内容と同様の意見ではありますが、本日、提起していただいた内容については、今までの議論がある程度網羅されていると考えております。総論では、検討に際して多様なステークホルダーの参画や、関係諸機関との連携についても触れられておりますが、そういった点を重視して進めていくことが重要だと考えております。この検討会を通じて様々な事例を伺うなかで、外国人労働者は、在留資格も様々で課題が非常に多岐にわたっていることを改めて実感したところで、課題の全体像が非常に掴みにくいという印象を受けております。民間の支援機関等との連携なども必要ですし、今後、是非とも連携の推進、事例の共有などを図って取り組みが広がるよう対応いただければと思います。また、省庁間の連携については、とりわけ必要性が高いと思っておりますので、緊密に連携を図っていただいて、漏れのない総合的な雇用対策を推進できるようにしていただきたいと思っております。
なお、中間取りまとめは多岐にわたる内容を分かりやすくまとめていただいておりますが、予算措置を待たずにできるものもあると思いますので、積極的に進めていただきまして、この検討会の中で実施状況などについても共有を図っていただきたいと思っております。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。今後のインプリメンテーション、それからフォローアップに向けた御提言ということであったかと思います。また、他省庁との連携についても、今回は内容的にかなり幅広い検討となっておりましたので、重要な点と思います。では、天瀬委員、お願いします。
○天瀬委員 ありがとうございます。私からは感想になります。今回の検討会の議論を通じて、中間取りまとめに論点を示した上でまとめてくださっておりますので、非常に分かりやすい中間取りまとめになっているのではないかと思います。その中で、外国人の就労支援に関しては、やはりハローワークが中心になって、ハローワークだけでは手が届かない所を様々なステークホルダーと連携して取り組んでいくといったところも確認できたのではないかと思っております。
その中で特に、外国人支援に関する取組事例の資料4の事例3になりますが、短期就労のニーズがある、これは求職側のほうに、こういった求人を求めるニーズがあるところに着目して、こういった取組を実際に就労場所の確保にたどり着いたということで、これはミクロな取組であろうかと思いますが、こういったきめの細かい取組は非常に評価できるのではないかと思います。今後、こういったミクロな取組を普遍的な取組として、徐々に全国に拡大していけるとよいのかなと考えております。以上、感想です。ありがとうございます。
○山川座長 ありがとうございます。御指摘のように、今回、いろいろ具体的な取組が紹介されまして、非常にフットワークの軽い、かつ臨機応変な対応がなされつつあることを私としても実感いたしました。大変ありがとうございます。では、九門委員、お願いします。
○九門委員 亜細亜大学の九門です。今回、中間取りまとめ案については、これまでの議論を的確に取りまとめていただいていると思いますので、感謝申し上げます。私からは、資料1の中間報告について2点コメントさせていただきます。1つ目は、中間報告の7ページの(3)や9ページの(5)に関連する項目として、外国人の学び直しや職業訓練の在り方については、次回以降に検討いただければと思っております。既に労働市場に出ている方々には、職業訓練の機会を与えたり、将来的に高等教育を受ける機会を与えるなど、その後の学び直しや職業訓練のルートを、事例などを含めて今後検討いただければと思っております。また、労働市場に出ていない方々については、例えば、高校に再度戻って学べる機会を与えるなども考えられると思います。
2点目は、9ページのイについてです。外国人のキャリア形成支援のための人材育成を検討する際に、日本語がそれほど流暢ではないけれども日本で働きたいという留学生に対して、英語でも支援できる人材の育成を検討いただければと思っております。本検討会の中で立命館大学の紀國先生からも英語プログラムの留学生が増えているという御発表がありましたので、こうした人材に、キャリア支援の対応を、英語でもできるようにすることを検討いただければと思っております。以上です。ありがとうございます。
○山川座長 ありがとうございます。今回、教育の側面も含めたキャリア支援は、こうした検討の中では比較的新しい新鮮な問題提起であろうかと思いますので、今の御指摘を踏まえ、今後の検討も含めて私からもお願いしたいと思っております。ありがとうございます。
○九門委員 ありがとうございます。
○山川座長 では、佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 佐久間です。ありがとうございます。今回の検討会での中間取りまとめは、全体的に在留資格別の特徴点とか、外国人の雇用を促進する観点からのさまざまな角度から統計を踏まえて検討をさせていただきまして、本当によい検討会の中間報告書であると思います。今後も、本検討会は、ぜひ続けていただきたいと考えております。資料1についても、これは中間取りまとめに付属した資料で出されるのかと思いますが、今までこれだけの角度から分析をした結果は、私も見たことがなかったものですから、毎回、すごく良い資料を作っていただきました。厚生労働省の外国人雇用対策課の皆様に感謝申し上げたいと思います。
さて、私から、資料1の5~7ページ目にかけて、感想的なものになりますがお伝えしたいと思います。前回も申し上げましたが、5ページの(3)に「日本と母国の文化ギャップの克服や」とあります。日本に来られている方や、日本での定住権を取得してずっと日本におられる方、いろいろなタイプの外国人の方がいらっしゃると思うのですが、外国人の方には、もし母国に帰るときは、やはり日本の良さを持ち帰っていただかなければいけないと、私は思っています。ですから、ここで文化ギャップの克服という項目の中に、「日本の文化とか慣習とか、あるいは、正しい歴史認識などを踏まえた上で、日本の良さをぜひ持ち帰ってもらいたい」ということを文面に入れていただくと良いのではないかと思います。
それから6ページ目では、この検討会でも外国人に対するハローワークの活用についても議論になっておりました。ここでも、ハローワーク等の対応ということで記載されているのですが、今回の中間とりまとめではなく、最終報告の段階のとりまとめになるかもしれませんが、在留資格別のハローワークの活用や特性等について、一つ一つ関連性を入れていくのも良いのではないかなと思っています。中間報告の段階では、今回の取りまとめで十分だと思います。
それから、7ページです。前段に、いろいろな団体、行政だけがやるのではなくて、民間団体を活用した連携はどうしても必要になると思います。ここではNPO法人とか事業協同組合、それから企業組合も使っていただきながらハローワークと連携していく、という点について記載していただいております。文面として非常に分かりやすくなっていると思いますので、ぜひ、この部分についても、これからの方向性としてつなげていただきたい。そして、データベース作りも、後段に記載されていますか、早い時期から手掛けていただきたいと考えております。以上です。
○山川座長 ありがとうございます。日本の良さを持ち帰っていただくという点でも文化ギャップの克服につながるという御意見、それから在留資格別の方向性を将来的に検討してほしいという御意見と伺いました。日本の良さを持ち帰っていただくという点は、外国人労働者が、いろいろな企業で働くということを通じた草の根的な国際交流としての役割を果たすのではないかというふうに個人的に考えています。そういう観点からも非常に必要ではないかと、御意見を伺って思った次第です。ありがとうございます。
では、酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 私のほうからは、この中間取りまとめ(案)に関して、その論理構成について少し提案めいたコメントをさせていただきたいと思います。
ほかの委員が非常に具体的な御提案をされている中で、私からのコメントはやや雲をつかむような部分もあって非常に恐縮なのですが、もちろん難しければ全く構わない話なのですが。今回の検討会では、外国人労働者に関する状況、外国人労働者が置かれている状況について、毎回様々なエビデンスが提示されたと思っています。その中では、外国人労働者が置かれている状況というのが、日本の労働市場に根差す問題である、そういう部分も明らかにされたのではないかと思います。具体的に言えば、外国人労働者の問題であると同時に、非正規雇用の問題でもあるという側面、あるいは中小企業が抱える雇用の問題であるという側面というものが浮かび上がったのではないかと思います。
ただ、それはそれとして、そういう側面もあるのですが、同時に外国人労働者特有の 問題であるという側面も明らかにされたのではないかと思います。それゆえに、外国人に対してきめ細かな対応をしていく必要があるのだということが、この中間取りまとめ(案)にも、その思想として必要なのではないかなということを感じた次第です。もちろん丁寧に書かれている取りまとめ(案)ですので、子細に見ていけば、そういう考え方が通底に流れているということは分かる次第なのですが、そういったことを冒頭にも述べたほうがよいのではないかと感じた次第です。以上が、私からのコメントとなります。
○山川座長 ありがとうございます。非常に的確な御指摘を頂いたのではないかと思います。同様の感想を抱いていた部分がありまして、今、酒井委員が初めのほうでおっしゃられたことかと思いますが、例えば総論の最後辺りに、日本の労働市場の抱える課題への対応、あるいは労働市場の向上につながるという、これは日本の企業なり労働市場の問題への対応としての意味も持つというようなことを、ちょっと付け加えられないかと思いますので、ちょっと検討させていただきたいと思います。
もちろん、問題への対応としては外国人のキャリア支援、あるいは状況の改善等を通じてということになると思いますが。酒井委員、特に何かありますか。
○酒井委員 大丈夫です。よろしくお願いいたします。
○山川座長 ありがとうございます。では、友原委員、お願いいたします。
○友原委員 私からは3点です。まず1点目は、今回、様々な論点に関して議論を行って、ある一定程度の方向性を示されたことに関しては意義のあることだと感じています。今後は、やはり具体的な施策に落とし込んでいっていただければと思っています。
2点目ですが、その際には他の検討会の提言などとも合わせて考えていかれるとよいのではないかと思いました。例えば、特に外国人の職場定着などに関しては、本検討会に限らず、ほかの検討会などでも進んだ議論が行われているようですので、そういった意見も取り入れつつ、他機関とも連携しながら具体的な施策に落とし込んでいけばただけたらよいのではないかと思いました。
最後に3点目ですが、これは今後の検討課題としては、手続面などを含めてデジタル化について議論を進めていただいて、ますます外国人の方の利便性を高めるような工夫が進めばよいのではないかというように感じました。以上です。
○山川座長 ありがとうございます。他の検討会での状況等も含めた具体的な施策への落とし込み等について、この検討会自体のフォローアップとして、委員の皆様方に、いろいろ御紹介したりしていくことが何かできないかというふうに考えている次第です。この点は事務局と相談させていただきたいと思います。
ほかに何か。是川委員、どうぞ。
○是川委員 ありがとうございます。私からは3点ほど、感想とコメントをお話したいと思います。
まず、この中間取りまとめ(案)ではこれまでの議論が非常によく要約されていると思います。大変短いレポートであるというふうにも思いますが、一方で、中身を見ていきますと、非常に画期的かつ意義のあるものになったのではないかと考えています。その理由としては3点ほどあります。
1点目としては、総論の所に書かれていることになりますが、国際労働移動のグローバルな構造を踏まえ、日本が国際的な意味における移民受入れ国となったということをきちんと認識として示したという点です。わが国における従来の議論は、どちらかと言うとすでに日本に来ている人たちについての議論でしたが、こうしたグローバルな構造を踏まえて、そこにおける日本の立ち位置ということを踏まえて、そこに広く外国人労働者を位置付けたということは重要なのではないかと思います。
2点目として、本報告は外国人労働者というように名打ってはいるのですが、実際の議論の中身を見ていきますと、外国につながる子どもであったり、現時点ではまだ労働者ではない留学生など、広い意味での国際移民、そういった人たちが労働市場を通じて日本社会に定着していくこと、その労働市場への包摂ということをきちんと位置付けています。国際的な意味での移民政策というスタンダードからいきますと人権擁護、及び労働市場への包摂が統合のエンジンであるという認識が一般的であると思います。そういう意味で、我が国において、この多様な背景を持つ国境を越えて移動する人たちが、わが国の労働市場へ包摂されるとことが重要であるという認識を示したということは、国際的な移民政策のスタンダードから見て非常に高く評価されるべきであると思います。
3点目としては、これはさりげなく書かれているものの、非常に重要だと思いますのは、やはり総論の所で、外国人の幸福追求という観点も重要であると強調している点です。これは、ともすると施策の実施主体、国や自治体、企業といったようなマクロな主体からの視点になりがちな中で、やはり外国人自身の、個々の外国人の目線に立った施策の必要性を指摘したという点において、非常に重要な姿勢であるとうふうに思います。さらに先ほども少し申し上げましたが、「外国につながる子ども」、あるいは「在留資格や国籍を問わず」といったような表現を使うことで、幅広く移民的背景を持つ人々を施策の対象として視野を広げた点も、国際的なスタンダードから見て重要です。移民政策や社会的統合政策というのは、単に国籍で限定したりするだけではなく、こういう広義の意味での移民的背景を持つ人たちというものを対象としているわけですから、そういう意味で、そういう姿勢がきちんと示されたということは重要であるというふうに考えています。
これは今後、我が国の労働移民政策が国際的なスタンダードにのっとって行われていくという上で、重要なメルクマールとなるものではないかというふうに思っています。したがって、今後、当報告書が他の政府機関の様々な施策を展開する上で、基礎的な文献として参照されることが期待されると思います。これが1点目のコメントです。
2点目としては、先ほど酒井委員からもお話があったところですが、総論の所で、外国人労働者に対応していくということの、そもそもの意義と言うか、理由、根拠と言うか、そういうところをちょっと何か示していくべきではないかということについては、私も同様の感想を持っていました。そういう意味で言いますと、今、1点目で申し上げたコメントとも関連するのですが、我が国の労働市場というものがグローバルな構造の中で、こういう多様な背景を持つ労働者、あるいはその潜在的なものも含めて、受け入れているという現状については示されているわけですので、そういった現状の認識に立った上で、では何をすべきか示す必要があると思います。政策当局として言えば、やはりそれは労働市場の高度化であったり、質の向上であったり、こうしたことは我が国が今後も健全な経済成長を遂げていくという意味においても、非常に重要な視点であるというふうに思います。ですので、単に受け身で、何か困っている人がいるから助けるといったような話ではなく、まさに今、我が国がグローバルに置かれている状況において、労働市場の高度化の一環として進めていくということは当然の対応であると、そういう論理が1つあるのかなと思いました。
3点目は、この点とも関連するのですが、やはりそういう意味で言いますと、我が国の今後の経済成長等も含め、経済社会の大きなグランドデザインをいかに描くかという意味において、この外国人労働者の受入れということは、受け身というだけではなく、正にこちらからプロアクティブにやっていくことが求められる非常に重要な施策になると思います。つまり、問題の解決という側面だけではなくて、新しい可能性に向けてチャンスをつかんでいく重要な契機となるという視点を持つということは、今後、長い目で見て非常に重要なのではないかというように思います。長くなりましたが、以上です。
○山川座長 ありがとうございました。検討の過程においても、是川委員から各国、あるいはOECD等の動向についても御紹介と御指摘を頂きまして、大変お世話になりました。また、今のコメントでも、この検討会の検討の位置付けというものが非常に、よりクリアに把握されたというふうに考えています。
先ほどの酒井委員の御指摘と併せて、総論部分に、日本の労働市場にとっての意義というものを追加する方向で検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
一渡り、御発言を頂いたかと思いますが、何か追加等はありませんか。特段ございませんか。
まだ時間はありますが、皆様の御意見、御感想を頂きましたので、本日はこの辺りで終了させていただきたいと思います。この中間取りまとめ(案)の内容については、有益な御指摘、あるいは御修正の方向等の御意見も頂きました。それを踏まえて、事務局に修正を検討していただきたいと思います。修正案ができましたら、もちろん皆様にも御確認を頂きますが、最終的な了承は、それを踏まえて、私に御一任いただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○山川座長 ありがとうございます。では、御一任いただきましたので、私が責任をもって最終的に取りまとめとさせていただきたいと思います。
それでは、以上のようなことで中間取りまとめ(案)については、対応させていただきます。
その他として、事務局からお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 事務局です。本日は御多忙のところ、御議論いただきありがとうございました。中間取りまとめ(案)については、本日、皆様から頂戴した御意見を踏まえ、修正案を皆様に御確認いただいた後、山川座長に最終案を御確認いただいた上で、取りまとめて公表させていただきたいと存じます。公表の際には、改めて皆様に御連絡を申し上げます。
○山川座長 ありがとうございます。それでは、最後に田中職業安定局長から御挨拶があります。
○職業安定局長 職業安定局長の田中でございます。中間取りまとめに当たりまして、一言、御礼の御挨拶を申し上げます。
本検討会におきましては、外国人雇用の在り方とその対応策について議論をするということで、本年3月から6回にわたって、委員の皆様には大変精力的に、熱心に御議論を頂きました。まずは厚く御礼を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症禍における外国人雇用の状況や、外国人失業者等への就職支援から始まりまして、外国人労働者の職場・地域における定着、さらには留学生や子どもの支援、文化ギャップの克服まで、大変幅広い論点について、データ分析、国内実態のヒアリング、諸外国の事例を確認しながら、皆様にオープンな場で御議論いただけたことは大変意義深いことと思っております。
中間取りまとめの副題でもあります「エビデンスに基づく外国人雇用対策の立案」と「官民が連携した分野横断的な支援」は、新型コロナウイルス感染症禍における一つ一つのデータや個別事例を見ていく中で見えてきたものではございますが、客観的な視点から外国人政策を検討することの大切さや、目の前で困っている外国人の方を、関係者の連携により一つ一つ支援していくことが、日本人と外国人との間の相互理解を深める上で、大切な経験となり得ることなどに鑑みますと、結果として、アフターコロナにおいても通用し得る外国人雇用対策についての大きな視点を頂いたものと受け止めております。
特に、我が国労働市場への外国人労働者の包摂の状況や、国際的な労働移動を把握しながら、日本の労働市場が、日本で働くことを希望する外国人にとって円滑かつ適正に機能するよう施策を検討していくという方向性は、外国人雇用対策の長い歴史の中でも初めて言及されたものであり、厚生労働省として、しっかり受け止めたいと思います。
中間取りまとめについては、本日頂いた御意見を踏まえて、山川座長と御相談の上で、近日中に公表させていただきます。また厚生労働省としては、今後、中間取りまとめに御提言いただいた内容を具体的な施策へ反映できるよう検討してまいります。施策への反映状況などについては、本検討会において構成員の皆様には御報告したいと考えていますので、先生方におかれましては、引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。
なお、今回の取りまとめは、あくまで中間取りまとめであり、本検討会においては外国人雇用対策について引き続き必要な検討をしていただきたいと考えています。今日も御指摘にありましたが、職業安定行政としては、外国人を含め、様々な方々の多様な働き方、あるいはキャリアをしっかりと受け入れて支えることのできる労働市場の整備をきちんと行っていくという考え方で様々な施策を進めてまいりたいと考えています。外国人労働者対策も、その中の重要な一部であると考えています。
最後になりましたが、今回、精力的に御議論いただいたことに改めて感謝申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○山川座長 局長、ありがとうございました。私からも最後に一言申し上げさせていただきます。
皆様には、本年3月から6回にわたって検討会に御参加いただきまして、大変ありがとうございました。今回の検討会は、労使の関係者の皆様、また様々な分野の専門家の皆様に御参加いただきまして、お陰様で、コロナ禍という現下の問題への対応に加えて、より根源的な課題、あるいは将来に向けた課題について、従来よりも広い視点で外国人労働者というテーマを検討していただけたのではないかと思います。皆様の御協力に改めて御礼を申し上げたいと思います。また、事務局の皆様にも精力的、かつ充実した準備等をしていただきまして、この場で感謝を申し上げたいと思います。
今、局長の挨拶にもありましたように、本検討会は今回で一段落いたしますが、今後も必要に応じて検討会を開催して、引き続き外国人雇用対策について議論をしていけたらと思っています。
それでは、本日はこれで閉会とします。皆様、大変ありがとうございました。