2021年6月17日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

日時

令和3年6月17日(木)14:00~16:00

開催方法

オンライン会議

出席者

委員(敬称略)

 

事務局
  • 浅沼 一成(生活衛生・食品安全審議官)
  • 宮崎 敦文 (大臣官房審議官)
  • 小谷 聡司(生活衛生・食品安全企画課長補佐)
  • 近澤 和彦(食品基準審査課長)
  • 三木 郎(食品監視安全課)
  • 小池 紘一朗(残留農薬等基準審査室長)
  • 今川 正紀(食品基準審査課新開発食品保健対策室長、食品監視安全課食中毒被害情報管理室長)
  • 蟹江 誠   (食品監視安全課輸入食品安全対策室長)

議題

(1)報告事項
  1.乳及び乳製品に用いられる容器包装の規格基準の改正について
  2.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  3.組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準への適合確認について
(2)文書による報告事項
  1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  2.組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続について
  3.ゲノム編集技術応用食品及び添加物の届出について
(3)その他の報告事項
  1.食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
  2.令和2年食中毒発生状況について
 

議事


 

○小谷補佐 皆様お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催いたします。本日の司会を担当させていただきます、生活衛生・食品安全企画課の小谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本会議は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。何か不具合等ございましたら、お電話若しくはチャット機能にて御連絡いただければ、随時対応させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、初めに分科会委員の異動等について御報告いたします。令和3年6月7日付けで、阿部委員が退任されました。阿部委員の後任として、新たに国立健康・栄養研究所所長の津金昌一郎委員が着任されました。なお、津金委員は本日御欠席との御連絡を頂いておりますので、御挨拶につきましては割愛させていただきます。

 次に本日の分科会委員の出席状況ですが、木下委員、津金委員、堀内委員、脇田委員から御欠席との御連絡を頂いております。また、松本委員は途中退出されるとの御連絡を頂いております。現在の分科会員総数22名のうち、現時点で18名の御出席を頂いており、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。また、今回は利益相反の確認対象となる案件はございません。

 次に事務局の職員を紹介させていただきます。宮崎大臣官房審議官、近澤食品基準審査課長、三木食品監視安全課長、小池食品基準審査課残留農薬等基準審査室長、蟹江食品監視安全課輸入食品安全対策室長、今川食中毒被害情報管理室長兼新開発食品保健対策室長です。なお、浅沼生活衛生・食品安全審議官におかれましては遅れての参加、及び食品衛生・食品安全企画課長の巽、食品監視安全課HACCP規格推進室長の浦上につきましては、急な公務等のため欠席させていただきます。申し訳ございません。

 続きまして、本日の議題ですが、お手元の議事次第を御覧ください。本日は①乳及び乳製品に用いられる容器包装の規格基準の改正について。②食品中の農薬等の残留基準の設定について。③組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準への適合確認について、事務局から御報告をしたいと考えております。

 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問されたい委員におかれましては、まず、カメラがオンになっていることを御確認の上、挙手をしていただきますようお願いいたします。その後、分科会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した場合には、1度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員については、メッセージに記入していただくよう、事務局又は分科会長からお願いする場合がございます。その場合には、記入されたメッセージに応じて分科会長より発言者を御指名いただきます。それでは、村田分科会長、どうぞよろしくお願いいたします。

○村田分科会長 委員の先生方におかれましては、御多忙の中お集まりくださり、ありがとうございます。それでは、()報告事項です。食品衛生分科会規程第8条第1項により、部会の議決をもって分科会の議決とされた事項については、同条第3項の規定に基づき、その決定事項を分科会に報告することとされております。報告事項①「乳及び乳製品に用いられる容器包装の規格基準の改正について」につきまして、事務局から報告ください。

○近澤課長 食品基準審査課の近澤です。資料1を御覧ください。報告事項が3つありまして、そのうちの①乳及び乳製品に用いられる容器包装の規格基準の改正についてということで、3ページを御覧ください。経緯ですが、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができ、規格基準が定められた器具、容器包装については、同条第2項の規定により、規格基準に合わなければ販売等を行ってはならないこととされております。これが、いわゆる370号告示というものです。

 第2パラグラフになりますが、牛乳、特別牛乳など、牛乳等に関しては、告示第3の器具及び容器包装の部 E 器具又は容器包装の用途別規格の項に、内容物に直接接触する部分に使用する合成樹脂に関して、原則、添加剤を使用してはならない旨の規定がございます。

 その次のパラグラフです。令和2年6月に導入された食品用器具・容器包装のポジィブリスト制度が導入されたことによりまして、使用可能な添加剤が管理されることになりました。ということで、添加剤の使用禁止規程、原則使用禁止となっていますが、この使用禁止規定を削除しても、きちんとしたポジティブリスト制度が運用されることによって、安全性が確保されるということにおいて、審議いただきました。器具・容器包装部会の審議は、本年の1月14日です。

 次に、2番の改正概要の④の一番上の行です。「添加剤を使用してはならない」とありまして、これが原則です。下の5行ぐらいの所に「イ」というのがありますが、使える添加剤はステアリン酸カルシウム、グリセリン脂肪酸エステル、一番下の二酸化チタンに限定されています。

 4ページの3番の食品安全委員会における評価結果です。こちらの真ん中にポジティブリスト制度が書いてあります。ポジティブリスト制度によるリスク管理が適切に実施されるならば、人の健康に悪影響を及ぼすおそれはないと考えられる。行が飛びます。したがって、人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるときに該当するという、食品安全委員会の評価を頂いております。

 1、器具・容器包装の従来の使用においては、大きな健康被害を生じた事例は発生していないということ。2、ポジティブリスト制度施行前の器具・容器包装の使用状況の情報に基づき設定されているので、今までの使用経験からいったら問題ない。これは後ほど説明しますが、同様の用途というものがございます。3、必要な性質を持たせる必要があることから、添加剤を用いてもいいのではないかということを頂いております。

 4番の審議の結果です。これは器具・容器包装部会の審議の結果です。2行目ですが、2の改正概要について了承した。それから、これが先ほどお話しました既にある経験の話ですが、既に乳飲料等で使用されている容器包装と同様の設計が可能となるということですが、ただし、飲み切り容量ではない容器を用いる際の再密栓等に係る衛生的な取扱いについて、消費者に適切な情報提供がなされることが重要であるということです。

 少し見づらいかもしれませんが、具体的なものをお話しますと、これが牛乳になります。乳等になりますが、こちらの栓がこういう形で、中にもこういう、ちょっと特殊な形になっています。この蓋も硬いです。ほとんど同じようなものですが、乳飲料ですと、こういう形で軟らかく開きます。二重の栓になっていない形になっております。ですから、既に乳飲料で使っているものを、こちらの牛乳等についても同じように使えるようにするというのが、今回の改正の一番の目玉です。

 一番最後の審議の結果の所に、「消費者に適切な情報提供がなされることが重要である」とありましたが、業界で自主的に作っているガイドラインがございまして、こちらで注意表示を行うということです。1つ目としては、10℃以下で保存し、開栓後はできるだけ早く飲み切ること。開栓後、冷蔵保存がされる場合には容器に直接口を付けて飲まないこと。また、飲み切らないものは直ちに冷蔵保存し、できる限り早く消費すること。このようなことを表示することによって、消費者にも情報提供するということです。以上です。よろしくお願いいたします。

○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、器具・容器包装部会の部会長の有薗委員から、更なる説明はございますでしょうか。

○有薗委員 今、丁寧に説明していただいたとおりなのですが、実際はこの文章に関しては、以前、最初に乳等省令を移すときに、一緒に対応するべきだったというところもあって、実際に現在使われているものとの整合性、先ほど実際のパックを見せていただきましたが、あのようにして、二重栓になっていたのが簡易版になって、それでもうまく使えているということに移行できるということです。

 あと、衛生の状態のところが少しということはありましたが、先ほど冷蔵保存すること、口を付けないことという、業界の自主規制、あるいはガイドラインもしっかりできるということもありまして、このように進めていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

○村田分科会長 それでは、委員の方から御意見、御質問はございますでしょうか。

○穐山委員 星薬科大学の穐山です。ご説明ありがとうございました。ポリエチレンとエチレン・1-アルケン共重合樹脂においては、今まではステアリン酸カルシウムとグリセリン脂肪酸エステル、二酸化チタンを使っても構わないということで、この文章を削除するということですが、これを削除しても、材質の品質においては問題ないということですね。

○近澤課長 実際には、ポジティブリストに載っていれば使うことができますので、これも使えます。ただ、業界のほうで、使うのは5種類ぐらいの添加剤を使おうと考えているらしく、そうすると、今までのものとは違う軟らかさというのができるので、この3つが使えないというわけではありませんが、ほかにもっと使い勝手のいいものを使いたいという意向だそうです。

○穐山委員 ありがとうございました。

○村田分科会長 ほかにございますか。

○藤原委員 教えていただきたいのですが、今、業界のガイドラインで対応させていただくというお話があったと思うのですが、これはいつ頃から対応する予定でしょうか。

○近澤課長 この改正が告示されたら、そのときに合わせて、業界もガイドラインを出すということで、基本的には7月ぐらいということで、めどとして考えております。

○藤原委員 分かりました。ありがとうございます。

○村田分科会長 ほかにございますでしょうか。ないようですね。どうもありがとうございました。

 次に、報告事項②「食品中の農薬等の残留基準の設定について」につきまして、事務局から御報告ください。

○小池室長 食品中の残留農薬に関して、御報告させていただきます。資料の7ページを御覧ください。今回報告の品目は、本年3月に開催された農薬・動物用医薬品部会で御審議いただいた品目です。ここにある農薬2品目について、いずれもADI又はARfDの範囲内ということで、御評価いただいたものです。

 個別に説明いたします。8ページを御覧ください。1つ目のトルフェンピラドです。今般、農薬取締法に基づく農薬登録の適用拡大申請を受けての残留基準値の設定です。農薬の用途としては、殺虫・殺ダニ剤で用いられておりまして、現行、国内の適用登録については、キャベツやはくさい等に登録があります。

 8ページの下にいきます。食品安全委員会における食品健康影響評価です。ADIが0.0056、ARfDが0.01という値で評価を頂いている次第です。9ページを御覧ください。今般設定した基準値に従って、ばく露評価の結果です。ADI、ARfDともに、短期、長期ともに値の範囲内ということで、特段の問題はないものと評価いただいております。

 具体的な基準値については、10ページを御覧ください。今般、この表の中の左から4列目の「登録の有無」と書いてある欄の「申」と書いてある項目、やまいも、カリフラワー、たまねぎ等について、農薬の登録が追加されましたが、これらについて作物残留試験等から、新しく基準値を設定いたしました。併せて、今般、農薬登録と関係ない食品についても、新しいデータに基づいて基準値の値を見直して、左から2列目の「基準値案」の列の所の値が、御審議いただいた結果の基準値となっております。

 続いて、2品目ですが、14ページをお開きください。2つ目がフラザスルフロンです。こちらは農薬登録とは関係なく、平成18年のポジティブリスト制度導入時に設定した暫定基準値の見直しを行うものです。用途は除草剤で、現在、さとうきびやみかん等を対象に、国内で登録、使用がされているものです。

 食品安全委員会における食品健康影響評価の結果については、ADIが0.013、ARfDが0.5という評価を頂いております。15ページのばく露評価ですが、長期、短期ともに、ADI、ARfDの範囲内ということで評価いただいているところです。

 具体的な基準値については、16ページを御覧ください。左から4列目の「登録の有無」という欄の所で、○が付いているものが、現在農薬登録されているもので、16ページのさとうきび、17ページのみかん、ぶどうなどが、今般対象になっております。これら農薬登録のあるものは作物残留のデータがありますので、新しく左から2列目の基準値案の箇所で、0.05といった基準値を改めて設定させていただきたいというものです。

 併せて、基準値案の欄が空欄になっているものが多くあると思いますが、こちらは、当初暫定基準を設定いたしましたが、今般、データ等が確認されなかったため、今回で暫定基準を削除し、一律基準ということで0.01の値で、今後運用していきたいと考えているところです。食品残留について、事務局からは以上です。よろしくお願いいたします。

○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、農薬・動物用医薬品部会の部会長である穐山委員から、更なる説明はございますか。

○穐山委員 繰り返しになるかもしれませんが、私から概要を御説明いたします。農薬取締法に基づく適用拡大申請、あるいは暫定基準の見直しによって、殺虫剤のトルフェンピラド、除草剤のフラザスルフロンについて、食品中の残留基準を設定するものです。

 これらの農薬は本年3月に開催したSkype会議による部会において、審議を行い、いくつかの報告書の記載整備に関する指摘はあったものの、食品安全委員会の評価結果として、生体にとって問題となる遺伝毒性等は認められておらず、閾値が設定できると評価されていること、作物残留や代謝試験等の結果から得られたデータに基づき、規制対象物質や暴露評価対象物質の選定に特段問題が無いこと、また分析法、作物残留のデータ、暴露評価及び国際基準等の情報により、残留基準値は適切であり、特段の問題はないとの結論に至りました。 私からのコメントは以上です。

 

○村田分科会長 次に、報告事項③「組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準への適合確認について」につきまして、事務局から御報告ください。

○今川室長 事務局の新開発食品保健対策室長の今川です。資料1の20ページ、21ページです。今回、遺伝子組換えの微生物を使って作る添加物を国内で製造するということで、その製造基準への適合確認を新開発食品調査部会でご審議いただきまして、その報告書です。今回の製品は、組換えの微生物であるGOOX-1株を利用して生産されたグルコースオキシダーゼというものになります。

 今回は製造基準の確認なのですが、このグルコースオキシダーゼそのものは、既に食品安全委員会の食品健康影響評価を終えていまして、人の健康を損なうおそれはないと厚生労働省に答申もかえってきているものです。したがいまして、グルコースオキシダーゼそのものは国内で流通が可能という状況になっております。今回、これを国内で製造するというもので、製造基準の確認を行うというものです。

 製造基準の主な内容としては、組み換えた微生物の衛生的な管理、それから添加物を作っていくことになるので、添加物の製造に当たっての衛生管理、器具や機械の管理、従業員の教育といったものも含めて、製造基準が定められています。

 今回、天野エンザイム株式会社さんからの申請があったのですが、3つの工場に分かれております。1つは愛知県の名古屋工場、2つ目が岐阜県の養老工場、3つ目が滋賀県の滋賀工場です。まず、名古屋工場で、主に組換えの微生物の管理をしています。実際の主な製造としては、岐阜県の養老工場にその菌を持って行って、養老工場で培養していきます。1次前培養、2次前培養、本培養と。そして、グルコースオキシダーゼを製造していきます。そうした中で、組換えの微生物を全て除去して中間体、ここで言う中間体というのは、製品としての中間生成製品になります。そういった製品をここで作ります。そこで作られた微生物が抜けているグルコースオキシダーゼを、今度は滋賀工場に持って行って、最終的に製造をして充填していくというものです。

 この3つの製造工程の中で、製造基準について適合確認を行いましたが、特に問題はないということで、まず遺伝子組換え食品等調査会でご審議いただきました。その結果を踏まえて、本年3月に新開発食品調査部会を行いまして、若干の文言としての指摘等はございましたが、大きな問題はないということで御審議いただいて、今回は分科会へ報告ということです。以上です。

○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、曽根委員から更なる御説明はございますか。

○曽根委員 ただいま事務局から報告があったとおりですが、調査会では、複数の工場にわたって製品を製造するということで、その中で、遺伝子組換え体が外部に流出しないようにということで、適切に取り扱われているかといったようなことを中心に、確認や議論が行われまして、その後、部会でも審議いたしまして、若干の修正はありましたが、部会として特段の問題はないということで確認をいたしました。

○村田分科会長 委員の方から、御意見、御質問はございますでしょうか。

○五十君委員 今回の報告書の21ページを拝見したのですが、これはマスターセルの保管と実際の製造が違う所で行われているということかと思います。それで、ここの表現の仕方なのですが、遺伝子組換え関係での「中間体」という表現は、どちらかと言いますと組換え体作成時の中間体を指すことになると思います。今の御説明ですと、養老工場にて、組換え体を用いて酵素を生成するということであると思いますので、この報告書で「中間体」という言葉が出てきますと、例えば遺伝子をほかの大腸菌経由で動かしたりとか、組み替え操作を行うといったイメージになってしまうと思います。ここの表現は「組換え体から酵素の製造」という表現が良いのではないかと思います。コメントさせていただきました。

○村田分科会長 事務局はいかがですか。

○今川室長 五十君委員、ありがとうございました。大変よく分かりました。そうしましたら、ここの「中間体」という言葉については、曽根委員とも相談させていただきながら、部会の各委員にも御相談させていただいて、ここは適切な文言に修正させていただきたいと思います。

○村田分科会長 その場合、20ページの名称とか、会社の「養老工場(中間体の製造)」と書いてある所も御検討ください。

○今川室長 承知いたしました。報告書の中で「中間体」と書いている所を全て見直して、適切な表現にしたいと思います。

○村田分科会長 そのほかに御質問等はございますか。よろしいですか。

○浦郷委員 遺伝子組換えの微生物を使って作った添加物が日本でも製造されていることをよく知らなかったのですが、今回、3つの工場で製造基準に基づく適合を確認されたということなのですが、日本でどのぐらい製造されていて、適合確認された施設がどのぐらいあるのかということと、海外で作られる遺伝子組換えの微生物を使った添加物もあると思うのですが、そういうのは同じように製造基準などを確認しているのか、そこら辺を詳しく教えていただければと思います。

○今川室長 まず、1点目です。国内で製造されている同じような添加物はあるか、製造工場はあるかということですが、国内では、既に2施設、製造基準に適合していると確認された施設がございます。品目としては、グルコシルトランスフェラーゼと酢酸ホスファターゼ、これをそれぞれ製造する製造施設、具体的には江崎グリコ株式会社の第3研究棟、酢酸ホスファターゼのほうはオリエンタル酵母工業株式会社の長浜工場ということで、厚生労働省のホームページにもアップしております。1点目は以上です。

 2点目ですが、海外で製造された場合の確認ということです。基本的に、この製造基準は食品衛生法に基づくものですので、当然海外から入ってくるものにも適用されます。しかしながら、一般的に海外においては、海外におけるそれぞれの食品衛生、添加物の作り方、遺伝子組換えの管理の仕方がありますので、基本的には、今、申請が既になされているような、例えばオランダ、デンマーク、米国といった、先進国が多いのですが、そういった所は基本的にはそれぞれの衛生管理がしっかりとなされているという状況だと認識しております。ただ、当然必要に応じて書類を求めたり、必要があれば現地調査に行くことも考えられると思います。

○村田分科会長 そのほかに御質問はございますでしょうか。ございませんね。どうもありがとうございました。

 次に進ませていただきます。次は、()の「文書配布による報告事項」に移ります。食品衛生分科会における確認事項において、特に定められた事項については文書配布により分科会に報告を受けることとされております。この資料に関しては、事前に委員の皆様の所に配布されていると思います。まず、食品中の農薬等の残留基準の設定についてですが、穐山委員から補足の説明はありますか。

○穐山委員 特にありません。

○村田分科会長 委員の方から、これについて何か御意見、御質問はありますでしょうか。特にありませんか。

 次に、組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続、あるいはゲノム編集技術応用食品及び添加物の届出について、曽根委員から補足の説明はありますか。

○曽根委員 特にございません。

○村田分科会長 それでは、委員の方から御意見、御質問はありますか。よろしいですね。特段の御意見がなさそうですので、次に移らせていただきます。

 議題()「その他の報告事項」に移ります。食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について、事務局から御報告ください。

○小池室長 事務局から御説明をさせていただきます。資料3ページを御覧いただけますでしょうか。ここに記載されておりますのは、前々回昨年12月9日及び前回今年3月5日の分科会において、審議又は御報告させていただいた品目についての処理状況でございます。現在、パブコメ又はWHO通報等の必要な手続を、順次進めさせていただいているところです。事務局からは以上でございます。

○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対しまして、御意見、御質問はありますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。

 次に、令和2年食中毒発生状況について、事務局から御報告ください。

○今川室長 事務局の食中毒被害情報管理室長の今川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。令和2年食中毒発生状況ですが、令和2年は若干今までの年と比べて、特色などもありますので、そういった点を中心に御説明を申し上げたいと思います。まず、お手元の資料3の4ページからになります。4ページ上が、令和2年食中毒発生状況と書いてあって、その下から食中毒の事件数、患者数の推移ということで、これが全体像になります。令和2年の事件数は887件、患者数は1万4,613人、それから、死者数は3人ということでした。事件数ですが、同じ4ページですけれども、棒グラフが過去20年ぐらい出ているのですが、赤い棒グラフを御覧いただくと、過去20年でだんだん減ってはきております。令和2年、一番右ですけれども、例年に比べて、大体100200件ぐらい、今回は少なかったということです。患者数につきましては、青い折れ線グラフですけれども、徐々には減ってきているのですが、今回、令和2年は令和元年よりも、若干増えているという状況です。死者数につきましては、令和2年は3人ですが、例年3人程度死亡者がいるという状況です。

 5ページ目を御覧ください。まず、上ですけれども、2人以上の事例に特化したものです。その次、その下ですが、患者数500人以上の食中毒事例ということで、令和2年は3件ありました。毎年数件はありますけれども、令和2年は特に上の2つ、1番目の埼玉県の事例、2番目の大田区の事例、これがそれぞれ患者数が2,958人、2,548人ということで、2,000人を超える食中毒は、2012年以来、およそ8年ぶりになります。それから、更に2,500人を超えるとなると、過去20年では久々でして、ここ20年ではこの事例が2番目、3番目ぐらいに多いという状況で、大きな食中毒があったというものです。

 埼玉県の事例は飲食店ですけれども、これは学校給食を集団を作る製造施設です。県が事業者に委託して、ここで学校給食を作っているというものです。原因食品としては海草サラダが考えられています。病原微生物としては、病原大腸菌O7H4ということです。

 大田区の事例は、仕出屋のお弁当ですけれども、これは毒素原性大腸菌O25ということです。いずれも幸い重症者はいなかったということですが、非常に大きな食中毒だと考えております。その下ですけれども、死者が発生した事例です。3件発生しまして、いずれも御家庭での事例です。グロリオサ球根、野生のキノコ、ふぐということです。

 6ページ目を御覧ください。まず、上ですけれども、年齢階級別の食中毒患者数の過去3年を年齢別に見ております。一番直近が令和2年の青い棒グラフになりますが、5~9歳、1014歳辺りで青い色の棒が伸びていますけれども、これは先ほどの学校給食の事例です。

 次に、6ページ目の下ですが、月別発生状況です。上が事件数、下が患者数で、過去3年を月別に見ております。ここは少し特徴がありまして、まず、上の事件数ですが4、5月辺りの青い棒グラフの令和2年が少し減っております。それから、12月が少し減っております。それから、下の患者数も4、5月の青い棒グラフの令和2年が減っており、12月辺りも減っております。患者数のその下のグラフの6月とか8月に、棒グラフの青いのが出ていますけれども、これは先ほどの2件の食中毒事例です。4月と5月の辺りは、令和2年4月と5月に緊急事態宣言がありましたので、こういった影響も考えられるかもしれません。

 7ページ目です。まず上ですが、病因物質別事件数の月別発生状況を過去3年でそれぞれ分けて作成しました。いろいろな色があるのですが、主に青の細菌と赤のウイルスだけ見ていただければ結構です。まず青ですが、細菌ですので、6~9月といったところの暑い時期に毎年増える傾向にあります。それは、平成30年、令和元年の傾向が大体同じなのですが、令和2年は若干傾向が違いまして、4、5月と12月が例年に比べ減っています。したがいまして、先ほどの全体として減っている状況は、細菌が減っているという影響がかなり考えられます。

 次に、赤のウイルスですけれども、例年1112月ぐらいの冬の時期になってノロウイルスが増えてきまして、1~5月辺りで終息してくるという傾向にあります。それは平成30年、令和元年と大体同じ傾向ですけれども、令和2年は、やはり4、5月と、例年立ち上がってくる1112月に件数が少ないという状況です。令和2年1~3月、赤がありますけれども、これは前年のものを引き継いでいるというような状況だと思います。したがいまして、4、5月辺りは、やはり先ほども申しました全体として減っている原因の一因は、ウイルスと細菌ともに減っているという状況が考えられます。

 続いて、7ページ目の下の患者数ですが、患者数も、やはり同じ傾向があろうかと思っております。令和2年の6月と8月に、すごく青い色が出ていますけれども、これは先ほど申し上げました2件の大きな食中毒の影響ということです。

 8ページ目です。円グラフでお示ししておりますが、原因の施設別の事件数です。毎年飲食店が多いのですが、令和2年も飲食店が多いという状況です。

 9ページ目です。患者数も、やはり毎年飲食店が多くて、令和2年も飲食店が多いという状況です。仕出屋が少し多いのですが、これは先ほどの大田区の事例の影響があります。

 10ページ目です。食品別の円グラフですけれども、10ページの上ですが、魚介類は最近毎年多くなっております。やはりアニサキスの影響もあると思います。

 11ページ目です。患者数になりますと、複合調理食品とその他というものが多くなっています。複合調理食品は、例えば先ほどの埼玉県の事例は海草サラダですけれども、その中のどれかまでは分からなかったので、複合調理食品というものに入ります。

 大田区の事例は、仕出し弁当というお弁当とまでは分かっていますけれども、その中のどれかというのは、それぞれ個別には分からない状況ですので、その他という中に入っています。その他という項目は例年、ここは比較的、やはりどうしても多くて、どこどこの飲食店のお昼ご飯とまでは分かるのですが、お昼のどれかまでは分からないとか、そういった状況でその他というのは、毎年比較的多いです。

 12ページ目です。病因物質別の事件数の推移を、過去20年ぐらいを引いたものです。多くの食中毒は過去20年の中で、徐々に減っているという状況が見られます。しかしながら、やはり3つほど、カンピロバクター、ノロウイルス、アニサキスの3つは、なかなか減っていないという状況です。カンピロバクターはオレンジ、ノロウイルスは水色ですけれども、令和2年は令和元年と比べると、それぞれ100件ずつぐらい減っているという状況です。アニサキスは、引き続き事件数としては多いという状況です。

 次に、その下の患者数です。患者数になると、アニサキスとかカンピロバクターは1人の事例、2人の事例とかも結構多いので、患者数としてはさほどではありません。やはりここはノロウイルスの患者数が、引き続き多いという状況ですけれども、令和2年は多少減っているという状況です。紫色が令和2年、立ち上がっていますけれども、これは先ほどの2つの病原大腸菌の事例です。

 13ページ目です。今の病因物質別を円グラフに表した令和2年のものです。アニサキス、カンピロバクター、ノロウイルスが多いというものです。13ページの下の2人以上の事例になりますと、アニサキスは通常1人の事例が多いので、アニサキスが除かれてくるような状態になります。

 14ページ目です。患者数は今回、大きな食中毒が2つとも病原大腸菌でしたので、その他の病原大腸菌という所が多くなっております。

 15ページ目です。15ページ目からは、通常は余り集計しないような集計もしてみました。15ページの上ですが、摂食場所を家庭とすると、家庭の食中毒を月別に4年間見てみたものです。これは令和2年も、特に大きな変化はないかなと思っております。赤の平成30年4月と5月の辺りは少し増えていますけれども、これは当時、アニサキスの食中毒が少し増えていたような状況です。それから、15ページ目のその下ですが、飲食店を原因とする食中毒です。これは特色がありまして、令和2年が青色ですけれども、4、5月と12月の辺りが例年より減っています。したがいまして、先ほどの全体像の減っている、あるいは微生物、ノロウイルスが減っているというところの関係は飲食店での影響が、かなり大きいのではないかということが考えられます。

 16ページ目です。今度は飲食店の中でもどういったものが主に影響しているのかというものを幾つか検討したのですが、そのうち3つを載せております。まずはアニサキスです。16ページ目の上ですけれども、アニサキスは凸凹いろいろありますが、さほど大きな変化はないかなと思っております。それから、16ページ目の下ですが、飲食店におけるカンピロバクターの食中毒です。これは、かなり例年と異なっておりまして、令和2年の青色ですが、4、5月と12月の辺りが減っております。したがいまして、飲食店でのカンピロバクターが抑えられている原因が、全体に影響を与えている可能性は考えられます。

 続きまして、飲食店におけるノロウイルスも見てみました。17ページ目の上ですが、これもやはり4、5月の青い棒グラフ、令和2年ですけれども例年より減っております。それから、例年立ち上がってくる1112月も減っている状況です。

 ノロウイルスは食中毒以外にも、感染症ということも十分あり得ますので、17ページ目の下に国立感染症研究所で集計している図をお出しいたしました。これはノロウイルスとサポウイルスを分けてはいけないものですけれども、検出報告数です。例年46週、47週辺りから増えはじめます。つまり、11月ぐらいから増えはじめるということです。それで、年が明けまして、例年18週、20週、25週、この辺りで終息してくるという状況ですけれども、令和2年の前後は赤色ですけれども、いずれも大きな立ち上がりは見られないということで、感染症そのもののノロウイルスあるいはサポウイルスというのも抑えられている状況と考えられております。

 最後、18ページ目の上です。緊急事態宣言などもありまして、お弁当を持ち帰って自宅で食べるテイクアウトが増えた状況もあって、その集計をしてみました。飲食店や仕出屋、つまりお弁当を買ってきて、家庭で食べるという食中毒事件です。これは令和2年は24件とありますけれども、例年と比べて、そこまで大きな変化はないかなと思っておりますので、今のところテイクアウトを原因として何か動きがあるということではないかなと思っておりますが、引き続き、ここは注視していきたいと思っております。長くなって申し訳ありません。事務局からは以上でございます。

○村田分科会長 ただいまの事務局からの御報告に対しまして、御意見、御質問をお願いいたします。

○合田委員 12ページで病因物質別事件数の推移がありまして、アニサキスが平成25年から平成27年ぐらいまでの所が低いですよね、そこから最近になって増えているというのは、これは何か原因があるのですか。それとも、アニサキスの統計は余り取っていなかったということですか。

○今川室長 アニサキスにつきましては、平成25年のときから食中毒の報告様式である食中毒事件表というのが、食品衛生法施行規則の様式の中で規定されているのですけれども、その事件表の中でアニサキスというのを初めて言葉として記載したという状況があります。その前の状況も、当然、食中毒であれば自治体からの報告が上がってきますので、その前もアニサキスの食中毒は数件あったのですが、だんだん件数も増えてきたということもありまして、そのときに「寄生虫」という項目を新たに設けました。寄生虫の中でアニサキスという項目も事件票の中に初めて言葉として出てきたというものです。したがいまして、この前の段階もアニサキスの食中毒は何件かありますが、アニサキスとして言葉として集計し出したのが平成25年からということになります。したがいまして、ここから食中毒が実際に本当に増えてきたのか、それとも、お医者さんとしての食中毒の認識が上がってきたのかなど、そこは今の状況では分からないというように考えております。ただ、今現在では、やはりお医者さんでのアニサキスの食中毒の認識状況もありますので、今の件数というのは、今の実態をある程度反映しているのかなと考えております。以上でございます。

○合田委員 そうすると、最初のところは、実数だったか、正しく把握しているかどうか分からない状態という感じですか。平成25年から最初のうちは、最近になって増えているかどうかということはまだ分からないということですよね、これは。

○今川室長 今、おっしゃられたとおり、正確には分からないというように考えております。以上です。

○合田委員 ありがとうございます。

○村田分科会長 どうもありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。

○五十君委員 五十君ですが、部会長として追加させていただきます。今の寄生虫の件に関しましては、食中毒統計に載るようになってからしばらく報告数が徐々に上がっていくというのは、一般に報告されるかどうかによって増加が示されるという、初期の頃の動向ではないかなと捉えていいかと思います。最近は、実際にはある程度、報告数が安定してきておりますので、昨年、一昨年辺りは、アニサキスの魚類からの検出も実際増えている傾向があるというような研究班の報告が出てきておりますので、アニサキスの魚類の汚染状況が増加して、それに伴って食中毒が増加傾向にあるということを示しているという議論もできると思います。この辺は、もう少し動向を調べていかないとはっきりとした議論は、できないと思います。

 それから、昨年は非常に特殊な年で、患者人数、事件数とも、かなり少なかった年でありまして、事務局からいろいろ詳しく説明していただいたとおりです。たまたま大型の2,500人を超えるという規模の大規模な食中毒が2事例も発生していますので、それを差し引きますと、患者数も非常に少ない年ということになります。なぜ少なかったのかという解析については、食中毒部会でもいろいろ議論が出てきていました。1つはコロナ対策で手洗いをしたというのも効いたのかという話もありましたが、どうやら、先ほど報告がありましたように、食中毒の一番多いのが飲食店ということになります。今回の資料の8、9ページにありますように、大体5割ぐらいが飲食店が原因で食中毒が起こっておりまして、実際、飲食店の事件数が今年42%で、2人以上が60%という値が出ているのですが、その前年度は、それぞれが54%、72%という、明らかに飲食店の事件数が減っておりますし、同様に患者数も減っております。コロナ対策で人の動きを止めるために飲食店の営業が制限され、そこの消費が非常に減っているというところが今回の患者数の減少、事件数の減少に、かなり反映しているのではないかという考え方もあるのではないかと思っております。以上、少し追加をさせていただきました。

○村田分科会長 ありがとうございました。そのほか御質問、御意見はありますでしょうか。

○穐山委員 大田区と埼玉県ですが、ここで病原大腸菌の患者数が多い食中毒が起きていますが、私は専門ではないので分からないのですけれども、最初の事例だと海草サラダで、大田区は仕出し弁当ですが、これは次亜塩素酸とか、消毒剤で防げないものなのでしょうか。大型の調理施設での話ですよね。こういうサラダ関係は次亜塩素酸等の消毒で防げなかったのかなということが1つの質問です。もう1つは、野生キノコで1人お亡くなりになっていますが、これは食べ残しとか、あるいは吐瀉物等で判定できなかったのかどうか質問させていただきました。

○村田分科会長 事務局、分かりましたらお答えいただけますでしょうか。

○今川室長 2点頂きました。まず、1点目ですが、考えられる原因について、埼玉県なり、大田区なりが調査しておりますので、その御報告をさせていただきます。まず、埼玉県の学校給食の事例です。これは八潮市の小中学校全てで15校あるのですが、15校全ての学校で、生徒、教職員が食中毒になられています。

 具体的には、パワーポイントにも書いてありますが、摂食者数として6,762人のうち、2,958人ですので、半分近くが、主な症状としては下痢、腹痛で、幸い重症者はいなかったのですけれども、そういった症状が起こっています。

 この工場は、県から委託を受けた、割と大きなお弁当などを作る工場でして、給食以外にも、職場の事業所とかにお弁当を、1万食を超えて提供しているという施設です。そのときにそのほかの所では、特に食中毒等の情報はありませんでしたので、この給食が限定ということになります。

 この給食の製造方法ですが、考え得る一番の原因としては、前日の調理が影響しているのかなというように考えられます。原因の微生物が海草サラダからも病原大腸菌O7H4というのが出ていて、患者の下痢からも出ていて、これは一致しているので、恐らく海草サラダだろうということです。この菌、海草サラダ原材料の一部に付いていた病原大腸菌O7H4そのものの数はそれほどは多くなかった。低量で、分かるか分からないかぐらいの量だった。つまり、それが増えてしまった原因があるということで、主に考えられるものとしては、前日に海草サラダの幾つか入っている中で、原材料を水戻ししているのですけれども、その水戻しが終わって、冷蔵庫には入れているのですが、冷蔵庫の温度が比較的高く、最大で17.幾つぐらいあったと。その最大値だけではなくて、10℃以上になっている時間帯が12時間ぐらいあったということで、まず、この段階での温度管理が、かなり重要だったのではないかということです。翌日も、もう6月の終わりですので、かなり暑くて、室温で調理、小分けをして、配送して、お昼に食べるという中で、そこも常温で行っているということで、こういった温度管理が給食の事例の中では考えられる一番の点です。

 大田区のお弁当の事例ですが、これもパワーポイントを見ていただくと、摂食者数は3万7,441人。割と大きな摂食者のある大きな工場です。その中で2,548人ということですけれども、原因はこれは明確には分からなかったのですが、今、穐山委員がおっしゃったようなことが、少し関連があるかなと思っています。幾つか原因が考えられますが、この工場で当該お弁当は非加熱で提供する野菜も入っているのですが、野菜の消毒に次亜塩素酸水は確かに使っています。使っていますけれども、それをまず、消毒前に塩素濃度の測定をしていなかったということが挙げられます。それから、従業員の手、指からの汚染、手洗いとか、消毒が適切に行われていなかった可能性、それから床からの跳ね水、一部の器具が汚染されている可能性があったというような原因がありますので、今、穐山委員がおっしゃったような次亜塩素酸水の適切な濃度管理ということも非常に大事かなという事例でした。

 2点目ですけれども、5ページ目のパワーポイントの下の死者が発生した事例の真ん中です。家庭で発生したキノコの事例ですが、これは食べ残しはなかったという状況です。したがいまして、鑑別まではできないのですけれども、周辺状況から明らかに野生のキノコを採って、御家族で食べているという状況があります。これをお二方が食べているのですが、食べたお二方とも症状が出ていて、そのうちの1人が亡くなられたというもので、食べなかった方もいらっしゃって、食べなかった方は症状が出ていないということで、残品はなかったのですけれども、このキノコが原因ということで食中毒として挙げております。以上でございます。

○穐山委員 吐瀉物というか、嘔吐物もなかったということなのですか。

○今川室長 嘔吐物もなかった、採れなかったということでございます。

○穐山委員 ありがとうございました。

○村田分科会長 二村委員、どうぞ。

○二村委員 私から、今ほどの食中毒の事例についての質問を2つと、それ以外のことで1つ質問があります。1つは、御説明いただいた中にも何か若干回答があったのかと思ったのですが、2,500人規模の大きな食中毒が2件起きたということで、かなり詳しく御説明いただいたのですが、大規模な食中毒を出さないようにするために、何か強めて指導するとか、あるいは現場のほうに啓発していくようなことはされる予定があるのか、あるいは、されてきたのかということを1点お伺いしたいです。

 それと、この原因物質のO7H4というのは余り聞いたことのない病原大腸菌ですが、もし、先生方からでもどういうような性質のものかというのを教えていただけると助かります。というのが質問の2つめです。

 全然別の質問ですが、御報告の中でテイクアウトとか、デリバリーでの食中毒はそれほど増えていないということでしたので、その点はいいかと思いますけれども、最近、デリバリーをするときに、飲食店がデリバリー専門の業者に委託するということはよくあるわけですが、そういうときの責任関係というのでしょうか、それほど長い時間ではないのかもしれないのですけれども、お店で受け取って消費者の所に届けるまでの温度管理の責任とか、衛生管理の責任みたいなものというのは、どのようになっているのか分かれば、教えていただければと思います。以上です。

○村田分科会長 どうもありがとうございます。いかがですか、事務局のほうは分かりますか。

○今川室長 今、3点頂きまして、食中毒が起きて啓発はということと、O7H4のそのものの病原性、デリバリーで全く関係ない業者が入っているときの指導ということです。1点目ですが、これはこれまでも大量調理施設衛生管理マニュアルなどで、こういった大きな大量調理施設については、保健所を中心に指導いただいているところです。それに加えて、この6月からHACCPの施行がされておりますので、こういったお弁当施設も業界のマニュアルがありますので、そういったものも保健所を中心に自らも見ていただいて、保健所にも御指導いただいている状況です。今回は、ある程度考え得る原因がありましたので、そこに特化して、それぞれ埼玉県ないし大田区に指導改善していただいているところですけれども、仮に今後、こういったものでは分からなかった新たな視点があれば、当然、大量調理施設衛生管理マニュアルを改正したりということも当然出てくると思います。その場合には、食中毒部会の委員にも御相談させていただきながら進めてまいりたいと思います。

 2点目の病原大腸菌O7H4の病原性ですが、これはもしよろしければ、後ほど微生物の委員からもコメントがありましたら頂ければと思います。これは事務局が把握している限りは、過去5年の食中毒で細かく見てみたのですが、O7H4という病原体は出てきませんでした。したがって、割と珍しいもの、食中毒としては余り上がってこない菌だなと感じています。国内の状況とか、海外の状況とかも専門家にも見ていただいて、調べていただいたのですが、余り事例がないというものです。ですので、この辺りは、もし御知見がありましたら、委員の先生方からも頂ければと思います。デリバリーでの業者に関しては、監視安全課長の三木のほうから、お答えさせていただきます。

○三木課長 監視安全課長の三木でございます。今、頂いた3点目のデリバリーの関係ですが、今月6月1日から営業許可の関係であるとか、営業届出の新しい制度が始まりましたけれども、基本的にこういう運搬の事業者については、対象にはなり得ないというような整理ができていまして、そのような法的な整理はそういう整理になっております。ただ、デリバリーについては、飲食店で出来上がった物をお客様の所へ短時間で届けるという仕組みになっていると理解していますし、必要な衛生面で問題等がありましたら、食品衛生法の営業関係者ということで報告聴取を求めたり、必要な衛生指導をするということは可能ですので、引き続き、今こういう状況で、どういう衛生管理状況にあるかというのは注視していきながら、適切な対応を進めていきたいと考えております。以上でございます。

○村田分科会長 どうもありがとうございます。どなたか御専門の病原大腸菌O7H4について詳しい方がおられましたらお願いしたいのですが、いらっしゃいますでしょうか。

○五十君委員 五十君ですが、一般的なお話しで、今、事件の詳細は私の手元にないものですから、明確に言えないところがあるのですが、基本的には食中毒に関わる大腸菌というのは、大体大きく6カテゴリーぐらいに分かれています。それで今回、集団事例の仕出しの事例は、LT産生というタイプということが報告されていますので、下痢原性の毒素を出すタイプの大腸菌ということになると思います。

 もう一方の学校給食の事例は、海草サラダから病原大腸菌という形で報告が上がっておりますので、実際には血清型が問題というよりも、6カテゴリーのどのタイプであったかということが重要と思われます。血清型のこのタイプが問題という、いわゆる腸管出血性大腸菌ですと、O157H7という、その組合せのものが確率として非常に高いので、血清型が非常に重要なのですが、この事例は血清型はこういったタイプであったと、理解していただくのが良いと思います。病原性大腸菌のカテゴリーに入るものであったということで理解してよろしいかと思います。もし、詳しい情報が必要でしたら、この事例は多分、食中毒事件詳報が上がっておりますので、どういったタイプの病原大腸菌かという情報は確認すれば分かるかと思います。私の今の手元の情報からですと、その程度のことしか分かりません。ほかにもっと御存じの先生がおりましたら、御報告いただければと思います。

○村田分科会長 どなたか御専門の先生はいらっしゃいますでしょうか。二村先生、これ以上は分からないようですが、よろしいですか。

○二村委員 大丈夫です。ありがとうございます。

○村田分科会長 どうもありがとうございます。

○今川室長 事務局の今川です。先ほど五十君委員からの御指摘に1点ありましたので、発言させていただきます。五十君委員、二村委員、ありがとうございました。五十君委員が先ほどおっしゃられました食中毒事件詳報ですけれども、詳報の中でも、余りそこまでなかなか細かくは菌が分からないもので、ast保有というところの菌だというように認識しております。それから、専門家にお伺いすると、腸管毒素原性大腸菌の耐熱性エンテロトキシンと類似しているという御意見を頂いております。これ以上の情報となりますと、現在、我々のほうも国立医薬品食品衛生研究所の先生方、それから国立感染症研究所の先生方にも、正に今、継続して調査をしていただいているという状況でございます。事務局からは以上です。

○村田分科会長 ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。

○合田委員 追加ですけれども、先ほどの埼玉県の説明のときに聞こえたのですが、温度が17℃まで冷蔵庫で上がったということは、扉の閉め忘れとか何かあったということですか。

○今川室長 今、事務局のほうで、閉め忘れかどうかということまでは確認しておりません。いずれにしても10℃以上の時間帯が、恐らく12時間ぐらいあったのではないかと埼玉県のほうで想定されています。それが閉め忘れかどうかというのは分からないという状況と認識しています。

○合田委員 多分それぐらいしか考えられないですけれども、ケアレスミスですね、この話は。今のとは全然別の話ですが、コロナでも冷蔵庫の関係で、すごくトラブルがたくさん起きるので、ある一定の確率で起こり得るのだなと思いました。でも、すごい怖い話でしたね、今の話は。

○村田分科会長 ほかにありますでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。以上で報告事項の議事は終わりました。最後に事務局から、何か連絡事項はありますでしょうか。

○小谷補佐 長時間の御審議、誠にありがとうございました。次回の食品衛生分科会は、9月頃を予定しております。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○村田分科会長 委員の皆様におかれましては、長時間の御審議、誠にありがとうございました。これをもちまして、閉会いたします。

 なお、皆様も人流を避け、ワクチン接種を行い、御自愛くださいますようお祈り申し上げます。