第319回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2021年(令和3年)4月13日(火) 16時00分~

場所

オンライン会議会場
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館
職業安定局第1会議室(12階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
  • 松浦 民恵
(労働者代表委員)
  • 木住野 徹
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 平田 充
  • 森川 誠

議題

  1. (1)ワクチン接種に係る人材確保について(公開)

議事

議事内容

○鎌田部会長 それでは、ただいまから「第319回労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は公益代表の藤本委員が所用により御欠席されております。さて、本日は前回に続き、公開にてワクチン接種に係る人材確保について御審議いただきます。
それでは、議事に入りますのでカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力よろしくお願いいたします。資料1について、事務局より説明をお願いいたします。
 
○東江課長補佐 それでは、事務局から資料1に基づいて御説明させていただきます。先週の需給部会で委員の皆様から頂いた御意見を踏まえて、事務局で整理させていただいたものが資料1です。資料1、現状と必要性、対応案ということでそれぞれ枠囲みがあります。現状の1ポツ目で、医療機関への看護師等の労働者派遣については原則禁止とされているところですが、地方分権対応として、本年4月1日からへき地の医療機関に限り、看護師等の労働者派遣が可能になっています。これによって、へき地のワクチン接種会場、医療法上の診療所に該当いたしますが、こちらへの看護師等の労働者派遣は可能となっています。他方、全国知事会等から、接種に係る医療従事者の確保に当たり、へき地以外の地域においても、へき地と同様に看護師及び准看護師の労働者派遣を可能としていただきたいという要望を受けています。
必要性の部分です。1ポツ目、コロナワクチンについては、この2月から来年2月末までの1年間で約1.1億人を対象に予防接種を実施するとされておりますが、このような規模で予防接種を実施するということは我が国にとっても初めての経験でして、現状、コロナ対応で医療提供体制がひっ迫している中において、接種を行う看護師等を確保するということは相当の困難が生じることが予想されるところです。これまで医療従事者の接種、約470万人という規模を想定しておりますが、こちらを実施してきたところですけれども、4月12日から一部の自治体では高齢者への接種が始まっております。規模としては、約3,600万人という規模を想定しておりますが、今後、全国的に本格実施ということになってきますけれども、こちらに向けて人員体制の整備をしっかりと図っていく必要があるところです。
対応案の部分ですが、ワクチン接種会場の人員確保のための選択肢の1つということで、コロナ禍の特例措置として、従事者、場所、期間を限定の上で、労働者派遣を可能としてはどうか、というものです。具体的には、従事者は看護師と准看護師に限定する。場所はワクチン接種会場に限定する。期間は来年2月末までとするということで、これらを限定した上でワクチン接種会場への労働者派遣を可能としてはいかがかという対応案を示させていただきました。その際に、先週も、しっかりと研修を実施すべきではないかというような御意見もありましたので、右下の点線の枠囲みの所ですが、ワクチン接種業務の適切な実施を確保するための措置ということで、現在でもへき地のワクチン接種会場に労働者派遣をする場合には、ワクチン接種の実施主体である市町村等において、ワクチン接種方法等についての事前研修を実施していただいた上で派遣就業をしていただくということにしておりますけれども、今回、へき地以外のワクチン接種会場に労働者派遣をするということに仮になった場合であっても、同様の事前研修の実施を求めるということとしたいと考えています。
資料1の2ページは、先週もお示しした全国知事会と中核市市長会の要請の内容ですので、説明は割愛させていただきます。事務局からの説明は以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。審議に入る前に、ただいま御説明いただいた対応案について、医療政策の観点からどのように考えているか、担当から説明をお願いいたします。
 
○田中看護職員確保対策官 医政局看護課の田中と申します。今の部会長からの御指摘の点ですが、今回の対応案については、新型コロナウイルスワクチン接種の業務に限定された措置でして、必要な研修、オリエンテーションが行われた上で実施されるというものであるということ。また、接種を行ってよいかどうかの判断は、必ず医師が行うということですので、医療安全面の観点から必要な対応は取られているものと考えております。なお、社会保障審議会の医療部会の委員の方々にも、事前に個別に御説明という形でいたしましたところ、新型コロナワクチン接種に限定した臨時特例的な対応であるという前提の下、対応案について御理解いただいているところです。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございました。健康局から何か説明はありますか。どうぞ、お願いいたします。
 
○野澤企画官 1点だけです。前回の資料です。今回、参考資料としてお出ししているものなのですが、3ページの所です。誠に恐縮なのですが、下の※の所で書かせていただいた数字が更新されておりませんでした。特設会場1つ以上設置する予定の1,391自治体となっておりましたが、11増えており、1,402自治体となっております。それから、へき地ですが、前回859自治体と御説明申し上げましたけれども、こちらは8自治体増えており867自治体、へき地以外ですが、前回532自治体と申し上げておりましたけれども535自治体でした。確認が不十分で誠に申し訳ございませんでした。以上です。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。前回の資料の訂正をさせていただきたいと思います。それでは、事務局からの今の説明に対する御質問、御意見がございましたら、手を挙げてお願いしたいと思います。どうぞ、お願いいたします。中西委員、どうぞ。
 
○中西委員 中西です。本日は御説明ありがとうございました。意見を申し上げたいと思います。前回も申し上げたのですが、現在、計画的かつ迅速なワクチン接種が極めて重要な喫緊の課題と考えます。国民の安心感を醸成しながら混乱なく接種を推進するため、各自治体の接種体制の整備には万全を期していくべきと考えます。したがって、コロナ禍の特例として、ワクチン接種会場への看護師、准看護師の派遣を認めることは妥当な措置と考えます。ただし、派遣看護師、准看護師への事前研修や情報共有などの徹底により、派遣看護師、派遣准看護師の円滑な業務遂行及び各会場の接種体制の安全性確保に取り組んでいただきますようお願い申し上げます。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。それでは、仁平委員、どうぞお願いいたします。
 
○仁平委員 連合の仁平です。前回も申し上げましたが、人員確保については本来、直接雇用にて行うべきであって、派遣については、あらゆる人材確保手段を尽くした上での手段だと思っております。そうは言っても、限られた期間で多数回の接種を行う必要があることを考えますと、期間と場所をワクチン接種に限定する形で派遣を認めることはやむを得ない措置であると考えております。その上で、何点か確認させていただきたいことがあります。
まず1点目ですが、ワクチン接種の期間は、説明でもありましたが、来年2月末までと決められていたと思いますが、確実に期日までに必要な接種が終わるように取り組んでいただきたいと思っています。医療従事者へのワクチン接種が終了しないまま高齢者への接種が昨日開始されたわけですが、ワクチン確保の見通しとスケジュール感を明らかにして、各自治体が期日までに接種を終えられるように、国としても最大限できる取組を行っていただきたいというのが1点目です。
次に、看護師の派遣を認めるのは、あくまでワクチン接種に限った内容です。なので、ワクチン接種以外の業務が行われることがないよう、実施の責任を持つ市町村はもちろん、特設会場や個別接種を行う医療機関においても周知徹底していただきたいと思います。また、派遣される看護師の皆さんにも周知いただきたいと思っています。
次に、医療の安全の確保及び派遣される看護師の安全確保のためにも、ワクチン接種に係る事前の研修を必ず実施していただきたいと思っております。今回の派遣の措置は、あくまでコロナワクチン接種に限って期間を区切って認めるものであり、派遣の拡大を認めるものではないということについては改めて明確にしておきたいと思います。これをきっかけとして、なし崩し的に通常の看護師派遣を認めるようなことになってはならないと思いますし、看護師確保を含めた医療人材の確保というのは、医療政策において直接雇用にて確保するべき課題であって、安易な派遣の拡大は認められないという意見を申し上げておきたいと思います。前回の審議会において、使側の委員からも御意見がありましたが、へき地への看護師派遣と福祉施設等への看護師の日雇い派遣を解禁してから間もないことであり、立て続けに緩和に係る検討を行うということについては慎重であるべきということを意見として申し上げておきたいと思っております。
最後にもう一点です。厚労省に対する要望ですが、ワクチン接種会場への看護師派遣の状況や受け入れた自治体の数などについて把握していただき、審議会において御報告いただきたいと思っております。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。幾つか確認事項がありましたが、その前に使用者側のほうで御意見があれば、それを聞いてからにしたいと思います。平田委員、どうぞ。
 
○平田委員 3点、意見を申し上げます。まず1つ目です。事務局から御説明のあった対応案については、前回の部会で何人かの委員の方から表明された意見にも配慮されていて、おおむね妥当な案であると考えています。2つ目です。ワクチン接種のための体制整備という国民の強いニーズに迅速に対応しようとしていることを評価したいと思います。また、今回のコロナ禍の対応を今後、後世にきちんと残すためにも、派遣労働者に限らず、ワクチン接種会場での人材の確保状況を把握していくことは、とても大切であると考えています。
最後、3つ目ですが、これまでもこの部会で何度か発言をしていることです。今後も時代の変化や要請等に対応しつつ、派遣先のニーズを制度に適切に反映させていくことは重要であると考えています。以上を意見として申し上げておきます。ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。今、仁平委員と平田委員から、意見と確認あるいは要望もありましたが、お話がありました。事務局でコメントがありましたらお願いいたします。
 
○野澤企画官 私から何点かお答えさせていただきます。まず、令和4年2月末までに確実に終えるようにという御要請です。こちらは現状、医療従事者に2月から接種を開始して、昨日から高齢者も接種が開始されましたが、医療従事者、高齢者を含め、2回接種するのに十分な量のワクチンを6月最終週までに供給できる見通しとなっています。こうしたワクチンの供給状況については、今後とも自治体にしっかり情報提供させていただきます。また、現在、私どものほうに自治体支援チームというものが立ち上がっており、自治体からの様々な御要請や疑義などに迅速にお答えできる体制を組んでいるのですが、こうした自治体支援チームで接種計画策定に向けた支援を行っています。こうした取組によって、令和4年2月末までに希望する全ての対象者の方に接種を終えることができるように取り組んでいきたいと考えております。
それから、事前の研修を必ず行うべきという御要請も頂いております。こちらは、事前研修を行った上で必ず派遣するように、通知等で徹底していきたいと思っております。それから、接種会場での派遣看護師の活用状況を把握してこちらの審議会で報告をということですが、先ほど申し上げた自治体支援チームで定期的に自治体の接種体制の状況をフォローしています。この仕組みの中で、看護師派遣の利用状況についてフォローして、こちらで御報告させていただきたいと思っています。以上です。
 
○松原課長 その他の御意見、御要望についてお答え申し上げます。まず、今回、御提案申し上げているのは、ワクチン接種に係る人員確保の特例措置として、ワクチン接種会場への労働者派遣、看護師及び准看護師の派遣を可能にするものという御提案をさせていただいているところです。あくまでワクチン接種ということですので、ワクチン接種以外の診療補助行為を行うことがないように、派遣元事業主、派遣先である自治体等、それと派遣労働者に対して周知を図っていきたいと考えております。
それから、労使委員双方から御意見として頂いた今後の検討については、派遣法第4条第2項において、禁止業務である政令を改正する場合に際しては、労働政策審議会においてしっかり審議するということが定められておりますので、私どもとしては、その法令の規定に基づき対応させていただきたいと考えております。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、追加の質問はございますか。なければ、そのほかの質問で結構ですが、ございますか。そのほかの御質問はありませんか。ほかに御質問はないようですので、ワクチン接種に係る人材確保については、前回と今回の審議を踏まえ、本日、事務局より説明いただいた案のとおり対応するということでよろしいでしょうか。
(了承)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいま了承された対応案を踏まえて、事務局から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問があります。事務局は、資料を配布していただくとともに、画面上にも表示をお願いいたします。
(資料を机上に配布)
(資料をスクリーンに表示)
 
○鎌田部会長 それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。
 
○東江課長補佐 御説明申し上げます。ただいま、お手元に諮問文を配布させていただいております。本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに、省令案要綱について諮問させていただきました。要綱については別紙ということで、2枚目に付けさせていただいております。省令案要綱について御説明差し上げます。
第1ということで、労働者派遣法施行規則の一部改正です。「保健師助産師看護師法第5条及び第6条に規定する業務に係る労働者派遣について」と書いてあります。こちらは、まず労働者派遣が現状、原則禁止とされている看護師と准看護師の診療補助行為のことを指していますが、その業務のうち予防接種法附則第7条第1項の規定による予防接種に係るもの、こちらは新型コロナウイルスワクチン接種の業務ですけれども、ワクチン接種業務に係る労働者派遣については、厚生労働大臣が指定する期日又は期間、こちらはワクチン接種の期限ということで、来年2月末を指しています。この期間に限り、ワクチン接種を行う病院又は診療所を、労働者派遣を行うことができる病院等に加えるという内容です。
第2ということで、施行期日等です。この省令は、公布の日から施行すること。2ということで、先ほどの第1に掲げている事項については、省令の施行の日以後に締結される労働者派遣契約に基づき行われる労働者派遣について適用すること。以上が省令案要綱の内容です。事務局からの説明は以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明に対する御質問、御意見がございましたら、画面上に映るよう挙手をお願いいたします。
特に御質問はないようですね。では、特に御質問はないようですので、当部会に諮問がありました「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、当部会としてはおおむね妥当と認めることとして、その旨を職業安定分科会長宛てに報告したいと思いますが、いかがでしょうか。
 
                                  (異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、特に御意見はないようですので、事務局は報告文案を配布していただくとともに、画面上にも表示をお願いいたします。
(報告文案を机上に配布)
(報告文案をスクリーンに表示)
 
○鎌田部会長 それでは、画面に表示している案のとおり、職業安定分科会に報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ちょっと画面共有を外してください。この案のとおり、職業安定分科会に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
                                   (異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。職業安定分科会には、このとおり報告させていただきます。事務局から、本省令案に関して御発言はございますか。
 
○松原課長 ありがとうございます。本日、当部会において御答申いただいた内容については、ただいま部会長からお話がありましたとおり、喫緊に開催される職業安定分科会に御報告申し上げ、そこの御議論を踏まえて対応していくということになります。御審議いただいた省令案が施行となった暁には、厚生労働省として関係者に対する周知啓発を徹底するとともに、都道府県労働局において、適切な指導監督により履行確保を図っていきたいと考えております。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はございますか。特にないようでしたら、本日の議題はここまでとさせていただきます。事務局から何か連絡事項はありますか。
 
○笠松課長補佐 事務局から連絡です。次回の部会の日程については、追って事務局から御連絡を差し上げますのでよろしくお願いいたします。以上です。
 
○鎌田部会長 それでは、以上をもちまして第319回労働力需給制度部会を終了いたします。本日はありがとうございました。