第1回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会ハイヤー・タクシー作業部会(議事録)

 

1 日時 令和3年5月28日(金)10時00分~11時47分
 
2 場所 労働委員会会館 講堂
     (東京都港区芝公園1-5-32 7階)

3 出席委員
 (公益代表委員)
○東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授 寺田一薫
○慶應義塾大学法務研究科教授 両角道代

 (労働者代表委員)
○日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長 久松勇治
○全国自動車交通労働組合連合会書記長 松永次央
 
 (使用者代表委員)
○西新井相互自動車株式会社代表取締役社長 清水始
○昭栄自動車株式会社代表取締役 武居利春

4 議題
(1)自動車運転者労働時間等専門委員会ハイヤー・タクシー作業部会の設置・運営等について
(2)改善基準告示の見直しについて
(3)今後のスケジュールについて
(4)その他

5 議事
○中央労働基準監察監督官 定刻になりましたので、ただ今から第1回「自動車運転者労働時間等専門委員会ハイヤー・タクシー作業部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては御多忙のところをお集まりいただき誠にありがとうございます。
 本作業部会の議事進行について、部会長が選出されるまでの間、事務局において進めさせていただきます。労働基準局監督課の細貝と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事運営に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、原則として報道関係者のみの傍聴といたしており、また傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で運営いたします。会場の皆様におかれましては備え付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの御着用や咳エチケットに御配慮いただきますようお願い申し上げます。なお、換気のため、常時扉、窓を開放いたします。あらかじめ御承知おきください。
 まず、専門委員会委員長から指名された委員の皆様方を御紹介いたします。お手元の作業部会委員名簿順に御紹介いたします。公益代表の寺田委員です。両角委員です。労働者代表の久松委員です。松永委員です。使用者代表の清水委員です。武居委員です。以上6名となります。
 定足数については、労働政策審議会令第9条第1項により、委員全体の3分の2以上の出席又は公労使各委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、本日は皆様御出席ですので定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
 続きまして、お配りした資料の確認をさせていただきます。次第の紙の一枚下から、資料1、自動車運転者労働時間等専門委員会ハイヤー・タクシー作業部会運営規程(案)、資料2、A3の一枚紙で、第5回専門委員会における委員の御発言について、資料3、今後のスケジュール(案)で、こちらも1枚紙です。最後に参考資料といたしまして、第5回自動車運転者労働時間等専門委員会資料から、自動車運転者の労働時間等に係る作業部会の設置についてです。不足等ございましたら事務局までお問い合わせください。
 それでは議題1、自動車運転者労働時間等専門委員会ハイヤー・タクシー作業部会の設置・運営等について、資料1、作業部会の運営規程(案)を御覧ください。4月23日に開催された専門委員会において、ハイヤー・タクシー、トラック、バスの各業態ごとに多様な勤務実態や業務の特性に応じた検討を行うため作業部会を設置することを決定し、併せて作業部会の会議の運営については作業部会において別途定めることとされたところです。こちらの資料1のとおり、目的、所掌と続き、第3条に部会長の選任及び部会長の代理の指名に関すること、第4条に委員会の出席に関すること、第5条及び第6条に部会議事録は原則公開とすること、第7条に作業部会で検討した事項は専門委員会へ報告することなどについて規定した案をお示しいたします。御承認を頂きたいと思いますがよろしいでしょうか。
(異議なし)
○中央労働基準監察監督官 ありがとうございます。御賛同頂きましたので、作業部会の運営規程(案)については本日付けにて施行とさせていただきます。
 ただいま御了承頂きました運営規程の第3条第2項に「作業部会には作業部会長を置き、作業部会に属する委員の互選により選任する」とございます。これに従い、作業部会長の選出を行います。部会長の選出につき、どなたか御推薦はございますでしょうか。お願いいたします。
○寺田委員 寺田です。両角委員が適任かと思います。いかがでしょうか。
○中央労働基準監察監督官 ありがとうございます。ただ今、寺田委員より両角委員を推薦するとの御意見を頂きました。御意見、ないようでございましたら両角委員に部会長をお願いしたいと思います。
(異議なし)
○中央労働基準監察監督官 「異議なし」という言葉を頂きましたので両角委員に部会長をお願い申し上げます。それでは、部会長に御就任いただきます両角部会長より御挨拶いただきたく存じます。よろしくお願いいたします。
○両角部会長 両角でございます。初めての経験でありまして大変緊張しておりますけれども、皆様と実りのある議論をしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○中央労働基準監察監督官 ありがとうございます。カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。これ以降の進行は両角部会長にお願いいたします。
○両角部会長 ありがとうございます。それでは、これから私の方で議事進行をさせていただきます。
 まず初めに、本作業部会の構成等について2点お諮りいたします。まず、先ほどの運営規程第3条に部会長代理の選出とございます。「部会長は部会長代理を指名することができる」とございますので、私の方で指名させていただいてよろしいでしょうか。それでは、寺田委員に部会長代理をお願いしたいと存じます。よろしいでしょうか。
(異議なし)                  
○両角部会長 それでは寺田委員、部会長代理をよろしくお願いいたします。
○寺田部会長代理 はい、承りました。よろしくお願いいたします。
○両角部会長 また、本日、国土交通省からオブザーバーとして御出席をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは続きまして、議題2、「改善基準告示の見直しについて」に移ります。資料2について事務局より御説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 どうぞよろしくお願いいたします。
 資料2、A3の大きいものですが、4月23日に行われました第5回専門委員会における委員の御発言をまとめさせていただいております。表の左はタクシーの現在の改善基準告示の内容です。右は委員の御発言なのですが、赤がタクシーに関係するもの、黒がそれ以外のものということで整理をさせていただいております。
 それでは説明に入ります。まず、1日の拘束時間の関係です。日勤と隔勤とありまして、日勤は原則13時間以内、最大16時間になっております。また、車庫待ちの場合は、継続20時間以上の休息期間とか、1日16時間超えの回数は1か月7回、1日18時間超えの場合は夜間4時間以上の仮眠とか、こういった条件を満たせば24時間まで延長可ということになっております。
 隔勤につきましては、2暦日で21時間、車庫待ちの場合は、これはまた条件が違いまして、条件を満たせば2暦日24時間まで、1か月拘束時間20時間までの延長可、夜勤4時間以上の仮眠とか、協定内で21時間超えは1か月7回以上といった条件になっております。
それに対する委員の御発言ですが、久松委員から「1日の拘束時間は休息期間11時間欲しい、ここから逆算して考えるべきだ」という御意見がございました。それ以外には、バスの委員から「15時間超え拘束は週2回」とか改善基準告示が分かりにくいのでちょっと負担になっているという御意見がございました。
 次は、月の拘束時間です。これも日勤と隔勤があり、日勤は299時間、車庫待ちの場合、労使協定があれば322時間まで延長可ということ、隔勤は262時間、労使協定があれば、1年で6か月、各月270時間まで延長可ということになっております。
それに対しまして、武居委員からは「例えば」ということで、「1か月最大限やれば、基本的に13時間拘束で23乗務92時間の残業ができる。そうすると、算定上は最大拘束時間288時間ではないか」という御意見がございました。それ以外にバスの委員からは、現行は4週平均の拘束時間なので、1か月の拘束時間を作ってほしいという御意見がございました。
 その次は、1年間の拘束時間です。現在の告示の中では規定はございません。しかしながら、年960時間という時間外労働の上限が決まりましたので、参考値ということで計算しますと、日勤の場合、299時間を12で掛けると3,558時間となります。車庫待ちの場合は322時間を12で掛けると3,864時間、隔勤の場合は現在262時間ですのでそれを12で掛けると3,144時間になる。それから労使協定がある場合、1年で6か月まで270時間なので、270×6と262×6ということで3,192時間ということになります。
 一方、御意見としましては、年拘束時間については3,300時間以下にすべきということで、労側委員から御意見がございました。武居委員からは年960時間の時間外労働の上限を前提として、年間の拘束時間を考えてほしいという御意見がございました。
 それ以外では、バスの委員から、年960時間の時間外労働をまず前提に考えるべき、高速・貸切もそういった特例も必要だというようなこと、それから、休日労働をどのように捉えるのかが今後の見直しの争点という御意見もございました。トラックの使側委員からは、960時間の時間外労働の枠を意識した上で、「守れる制度」にしてほしい、また、労側委員から、休日労働込みで3,300時間以下にすべきだという御意見がございました。
 次に休息期間です。これも日勤と隔勤があり、日勤は継続8時間以上、隔勤は継続20時間以上となっております。それに対しまして、武居委員から、休息期間を仮に11時間とすると、拘束時間は13時間が上限となってしまう、歩合給のタクシーとしては、労働者の賃金の維持がなかなか困難になるという話がございました。久松委員、松永委員からは、日勤の休息期間は11時間に見直すべきだということ、さらに久松委員からは、隔勤の休息期間は24時間必要ではないかという御意見がございました。それ以外に、バスの使用者側委員からは、休息期間の延長は、始発・終発の時刻の見直しとか、ラッシュの対応などがあるので影響が極めて大きい、トラックの労働者側委員からは、運行種別によって休息の考え方を変えてもいいのではないかという御意見がございました。
 その次、時間外・休日です。タクシーの時間外労働は、一定期間は2週間及び1か月以上3か月以内の期間を協定する、休日労働は2週間に1回以内、かつ、1か月の拘束時間及び最大拘束時間の範囲内ということになっております。
 これに対しまして、久松委員からは、休日労働は2週間に1回を維持していいのではないか、バスの使側委員からは、休日労働ができる余地を残してほしい、次に、ハイヤーの時間外・休日につきましては、今の告示では1か月50時間又は3か月140時間及び1年450時間を目安の範囲内で労使協定を締結することになります。ハイヤーにつきましては、どなたからも御意見はなかったということです。
 その他の御意見といたしまして、車庫待ちという働き方がありますが、久松委員から、それは駅待ちも含まれるか、現在不明瞭になっているので誤解のないよう記載をしてほしい、それから、累進歩合については厳格に禁止をしてほしいという御意見がございました。
 それ以外には、例えばバスでは、エージェントにも改善基準告示の遵守に向けた協力を求めてほしいとか、運転業務を有償で提供する新たなビジネスに対しても、公平で健全な競争が行われるよう環境整備をお願いしたいとの御意見がございました。私からは以上です。
○両角部会長 ありがとうございました。先ほど、今の御説明で1年の拘束時間の数値を言ってくださったのですが、もう一度よろしいでしょうか。
○過重労働特別対策室長 あくまでも参考値ですが、日勤の場合、現在1か月299時間で、それを12で掛けると3,588時間になります。それから、車庫待ちの場合、これは1か月322時間ですので、それを12で掛ければ3,864時間。
 次に、隔勤です。現在1か月262時間ですので、これを12で掛ければ3,144時間。それから、労使協定がある場合、1年で6か月だけ270時間まで可能ということなので、270時間×6+262時間×6ということになります。そうすると、3,192時間という数字になります。以上です。
○両角部会長 どうもありがとうございました。それでは、今、御説明いただいたことを踏まえて、今日は、特に労使の委員の先生方から御自由に御意見を述べていただきたいと思います。どこからでもよろしいのですが、一応、順番として、日勤の問題について最初に御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。
○松永委員 今日はありがとうございます。また、発言を許していただいてありがとうございます。まず、拘束時間の部分なのですが、私どもとしては、休息期間11時間ということを主張させていただいている中で、13時間以内という日勤についての考え方を最初から主張させていただいております。その中で、今回、大変、厚生労働省が苦労なさったアンケートも十分に読ませていただいた中で、2019年度の繁忙期の調査をしていただきました。そこの中で、繁忙期ですら、事業者側で13時間以下が79.4%だった。運転者側においては、13時間以下が57.7%だった。また、適切だと思う1日の拘束時間という問いに関しては、運転者側からは、13時間以下が90.7%であった。これは、私どもが主張させていただいて、なおかつ、残念ながらアンケートの結果については、私たちの労働組合関係者からはアンケートを書いたというのが正直なかったのですが、大変、広がりをもって多分やられたのだと思う中で、こういうしっかりした私どもの主張と同じような結果が出ていることについては、私どもが主張させていただいていることは、まず適切だろうと思っております。
 そして、隔勤については、後で久松さんから話をしていただきたいと思っております。そして、1か月の拘束時間については、私どもは、トラック、バス、タクシーともに年間3,300時間という1つの主張をさせていただいている中で、月に換算すると275時間というものを主張させていただいております。これもアンケートで、1か月の拘束時間の繁忙期で、事業者が275時間以内だったというのには82.1%の回答がありました。運転者側においては、275時間未満が53.5%という回答がありました。適切だと思うという問いに関しても、運転者側からは275時間未満が50%あったということで、これもアンケート以前に私たちが主張したことも、アンケートを踏まえても、この形で私どもの主張が合っているのではないかと思っております。
 年間についての拘束時間については、私ども先ほど申しました3,300時間を主張させていただいております。それについても、当時の繁忙期の調査で、事業者側が3,300時間以内で86.5%実施できている。運転者側においては、3,300時間以内が85%だったということで、私どもが主張させていただいている結果がそのままアンケートにも出ているのではないかと思っております。
そして、休息期間についてです。隔勤のほうは後で久松さんから言っていただく中で、日勤については、連続8時間以上については、私どもは11時間という主張をさせていただいております。これもアンケートとして1つの結果が出ているのは、2019年度の繁忙期で、休息については10時間以上が必要だというのが55.7%の回答が出ております。適切と思う休息時間は、ハイタクとして9時間以上が11.3%、10時間以上は37.7%という回答が出ました。そういった意味では、私どもが11時間として考えているものについては、全くこのアンケートでも問題ないのではないかと思っております。
 そういった意味で、この休息期間についても、今後の働き方改革の中で、私どもが主張させていただいた中で、もう1つこのアンケートの中で1つ答えが出ていたのが、私どもが主張させていただいている家庭での過ごし方。通勤時間においては、30分から2時間という通勤の時間の方が61.2%の回答がありました。これを平均すると、多分、75分ぐらいが妥当なのではないかと思っております。睡眠時間については、6時間から8時間という方が45%、約半分おりました。こうしますと、平均値を取れば7時間ぐらいなのかなと。食事時間については、30分から2時間という方が71.8%。これは、夕食と朝食という考え方を取ればどう捉えるのかという考え方がありますが、やはり、間を取れば60分から75分が必要なのではないかと思っております。そして、お風呂も含めた余暇時間というのが、1時間から2時間以上という方が61%おりました。この全体像を足すと10時間以上になります。以上ですので、私どもとしての11時間というのは、アンケート結果と同じような適切な答えになってくるのだと思います。まず、拘束時間と休息期間については以上です。
 そして、時間外については、トラック、バス、タクシーとも960時間という1つの設定があるわけですので、それについては私どももそう思っております。あと、先ほど、最後にその他で、車庫待ち等については、また違う議論でしっかりやっていけばいいと思っておりますので、一応、私の主張としては、報告としてさせていただきます。
○両角部会長 松永委員、ありがとうございました。それでは、ほかの委員から御発言ありますでしょうか。武居委員、どうぞ。
○武居委員 今、松永委員から御説明があったアンケートの結果はそうであろうと思います。ただ1つどうしても言っておきたいのですが、都心部の流しを中心にしたところは、13時間拘束をきちっと守るように、労務管理をしているのです。つまり、違反があると行政処分になりますので、13時間から16時間と言いますが、都心部の流しを中心にしているところは、1日が最大拘束13時間という労務管理をしております。アンケート結果が90%というのは、きちっと労務管理をしているという、違反がないようにしているという実態です。
 それと、車庫待ち等の問題があって13時間を超える場合があると言うのですが、その辺については、実態的にどこまでそのアンケート結果が反映されているのか分からない。今回のアンケート結果は、大中小分けて35%ぐらいの事業者が回答しているというのですが、実は、15県ぐらいの回答が出てきておりません。47都道府県で15県が出ていない。つまり、流しを中心にしたところが出ているのか、それとも地域的にどうなのかというのをもう一回、アンケートの結果をきちっと出していただきたい。
 それと、13時間拘束というのは、13時間以内にきちっとまとめている。都心部、東京ですとか大阪については、通常は労務管理をしております。13時間以内に帰ってきなさいと。ですから、当然、90%以上が13時間以内になっているのは当たり前です。それが1点あります。
 それと、確かに休息期間等の問題があります。8時間未満という結果は、アンケート結果ではほとんど出ておりません。つまり、8時間以上は必ず確保しているというアンケート結果になっております。では、都心部と、地方の地域でどれだけ、いくら確保しているのかが、アンケートでは読めないと思っております。
 それと、私がなぜ288時間という最大拘束時間を言ったかと言いますと、299時間という最大拘束で、13時間拘束というのが、大体都心部の流しを中心にした1日の最大拘束として労務管理をしている内容です。つまり、必ず13時間以内に帰ってきなさいというよりは、事業場内労働がありますから、ハンドル時間としては12時間となっています。つまり、12時間以内に出庫から帰庫までちゃんとしなさい、そして事業場内労働をして帰りなさいというのが、今の13時間拘束のあり方だと思っています。その中で、13時間拘束で、例えば299時間だと23業務もできてしまうのです。そうすると、1日8時間労働ですから、当然、休憩を1時間入れたにしても4時間残業できてしまう。事業場内労働を入れてですが。そうすると、23日出ると92時間という残業時間が最大限できてしまいます。そうすると、年間の960時間をオーバーしてしまいます、ということで、やはりこれは短くしなくてはいけないという論議で言わせていただきました。
 その中で、288時間と言ったのは、拘束時間、例えば最大限、これから1日の拘束時間についてもいろいろ労使で話し合うと思いますが、出番数を減らして公休を増やすことによって最大拘束を、例えば13時間ぎりぎりにやったにしても、残業時間が4時間としても21時間、例えば21業務をやっても残業時間は月84時間に収まって、ある意味では、ぎりぎりのところになるだろうと思っています。
 そうなってくると、基本的には都心部では隔日勤務というのが多いのですが、地方では今、日勤という制度が多分大分浸透してきていると思っています。というのは、乗務員不足ですから、当然、隔日勤務では車が動かないという実態があり、日勤という制度に切り替えている地域も増えているやに聞いております。となりますと、やはり最大拘束という問題で幅ができてこないと、なかなか生産性と同時に運転手さんの給料を確保するのができないだろうと考えているわけです。今、働き方改革でいろいろ取り組んでいるのですが、現状として、なぜタクシーに人が入ってこないのかと考えたときに、長時間労働だからというよりも、実は、生産性が上がってこなく、他の産業から比較して労働時間の割には賃金が低いという最大の要因があるのです。
 そのために労働者不足が確実に続いております。例えば、今申された、275時間というのは、年3,330時間から逆算をしていると思いますが、そうなった場合に、通常では13時間拘束で言うと20日間しか乗務できないことになります。そうすると、月に休日が10日間もあることになる。確かにある意味では良いかもしれませんが、残念ながらタクシーというのは固定給ではありません。歩合給は生産性を考える中でも、ある意味では、時間の拘束と賃金とが比例している部分があります。つまり、1時間の単価を上げるというのは、労働時間を短くして生産性を上げるということは、並大抵の努力ではできないというのが実態です。特に地方ではまだIT化も進んでおりません。お客さんへのサービスも進んでいない中で、もし労働時間を短くすることになると、生産性が、というよりは賃金、月々の給料がかなり減ってしまう。それでは、労働時間は短くしましたけれど、賃金が今より2割、3割減ったときに、私は常識から考えて、多分、この産業の2割から3割は人手不足で倒産していくと思っています。
 つまり、私は、労働時間というのは会社の経営には大変大きな影響が出てくると思っています。ところで、労基法の960時間という特例的に認められた部分には休日労働は入っていないのです。しかし、改善基準の最大拘束時間には休日労働が入るのです。つまり、これ以上働いては駄目という時間です。そうなると、960時間でさえ、別に休日労働を認めてもらっている中で、今度は最大拘束時間のほうは、960時間以下のもっと短いものにしていこうということになる。そうすると、ある意味では採用時には意欲のある、賃金をもっと受け取りたいというドライバーの人たちが、結局この産業から退出してしまう。ですから、最大拘束時間というのは、ぎりぎりできる部分を最大限に確保していただいて、事業者としてはその選択肢を広げさせていただきたい。
 288時間というのは、休息期間の問題から久松さんはいつも逆算と言うのですが、例えば、13時間を12時間拘束にした場合には24日できるのです。1日が3時間の残業になりますので月の時間外労働は72時間で済むのです。そうなりますと、基本的には、960時間よりもかなり低い、年間の残業時間としてはかなり低い時間に抑えられるだろう、それがやはり、最大限譲歩できる実態であろうと私は考えているわけです。と同時に、288時間という数字は、残業時間月72時間という頭の中での算定ですから、やはり年間での労働時間の管理という問題も出てくるわけです。
 また、やはり月には需要の繁閑もあるわけです。例えば、2月、5月というのはゴールデンウィークも入りますし、非常に、ある意味では生産性が低い月なのです。ですから、この月はもっと短くして良いですよね。これに対して、忙しい月もあります。288時間を、例えば3か月平均で288時間ということになれば、忙しい月においては288時間を超えても働けるようにしていけば、やはり事業者側としても労働者側としても、年間を通しての賃金はある程度確保できるのではないかということで、御提案をさせていただいたという理由が1つあります。
 それともう1点、是非、分かっていただきたいのですが、現状として、国土交通省は監査基準というのを一昨年の7月ぐらいに変えています。これは、1日の拘束時間の違反ではなくて、月の最大拘束時間の違反があった場合には、1日の拘束時間をオーバーした分より倍の処分をするという制度になっています。つまり、処分内容は、1か月の最大拘束時間をオーバーした場合には、隔日21時間、日勤13時間をオーバーした場合に比べて、その違反によって、車を止める行政処分は倍にしますという点数の制度に現状なっております。つまり、国土交通省の運輸行政も厚生労働省の労働基準監督行政も、やはり疲労防止という意味においては、月間の最大拘束時間というのを非常に重くみて、これを遵守させる指導をしているのです。もちろん、働く人全員が、例えば288時間全部働きなさいということではないのです。先ほど申し上げたとおり、実態から考えて、13時間以内というのはほとんどの会社で管理できています。例えば都心部、東京ですが、13時間以上働かす会社は、逆に言うと、労務管理をしていない会社として扱われてしまいますので、当然13時間以内に収めているのです。働きたくても帰ってきなさいと、きちんと労務管理をしているのです。それが実態だということをまず分かっていただきたい。
 これは、重ねて申し上げると、その範囲内に収めている、もっと働きたいという運転手さんがいるかもしれませんが、それは駄目だよということで、きちっと改善基準の範囲に収めているということをまず理解していただきたい。
 そういう実態の中で、最大限譲歩できる部分を考えると、労働基準法の時間外労働年960時間の規制との兼ね合いもありますので、それで最大拘束時間を短くしようという形として、譲歩できる数字としては、その辺かなと思っています。ただし、960時間と休日労働の問題は別問題です。
 それと、休息期間については現在8時間ですが、11時間というのはどうしてもよく分かりません。
 また、車庫待ちなどには拘束時間の特例があるのですが、では、車庫待ちなどはどのように、年間で、月間で、皆さんはどうあるべきと考えているのかを、まず労働側から聞きたいと思っています。
 それと、日勤の16時間をどう考えるのかと。
 休息期間の現行の8時間と11時間の3時間の差というのは生活形態からくることなのか、お聞きしたい。
また、労務形態によって休息時間を変えて良いかということも検討する部分になってしまうのではないかと思います。都心部の場合は、特に8時間以内というのはほとんどないわけです。通勤もそれほど遠い所から通っていないということもあるのです。確かに、松永さんがおっしゃるように、2時間以上かかる通勤という実態も少しはあるのかもしれませんが、しかし現実的に1日の拘束13時間の場合に、休息期間8時間を足しても21時間です。通勤に2時間足しても23時間です。御飯食べて30分2回で24時間です。それで十分足りるのではないかというような論議もできるのではなかろうかと私は思っています。以上です。
○両角部会長 武居委員、どうもありがとうございました。ほかの委員から、久松委員お願いします。
○久松委員 久松です、どうぞよろしくお願いいたします。今、武居委員もおっしゃったとおりで、多くの事業者については1日の拘束時間、日勤13時間は守られているということです。使用者側の武居委員からもそれはできるということを言っていただいたので、やはり労働組合としては13時間を主張します。1日は24時間ですから、13時間の拘束時間で残りの11時間が休息期間ということでの主張です。
 月間が275時間です。武居委員は288時間とおっしゃいましたけれど、日勤勤務で1か月の拘束275時間としても、大の月の法定内労働が177時間、小の月で約171時間と、平均して173時間とすれば、まだ102時間余ります。そこから23勤務ということで1時間の休憩23時間を引いても、まだ79時間余ります。この79時間で時間外労働ですとか休日労働をしてもということで、十分に働ける時間のバッファーはあると思います。
 タクシーの労働者は歩合給が多いということですが、歩合給を選ばれているのは使用者であって、固定給を中心とした賃金体系で事業を行っている使用者もありますので、歩合給を選択するのか固定給を中心とした賃金体系を選択するかは、まずもって使用者の判断だと思っています。ただし、歩合給を中心とした賃金体系が多いということは確かです。
 これまで何度も改善基準告示の改定がされてきました。平成元年、1989年に改善基準告示が制定されて、1週48時間から労働基準法が46時間制に移行する際、1992年、平成4年に改善基準告示の見直しがされました。そして引き続き週44時間制に移行する際、平成5年、1993年に改定がされました。そして現行の改善基準告示になりますが、平成9年、1997年に週40時間に移行したということになっていますが、この間事業者は労働条件を維持向上するために、運賃改定を行っています。
 私は大阪出身で、大阪では6年以上運賃改定がなかったのですが、平成4年の週46時間制に移行する際、大阪はそれまで初乗り運賃が470円、消費税が入って480円だったのですが、これが1991年、初乗り運賃540円に改定しています。それから週44時間制に移行する平成5年、540円から600円に、平成9年、週40時間制に移行する前に、大阪では1995年、平成7年12月に600円から650円に運賃改定を行っています。
 運賃改定は値上げですから、利用者の皆さんには御負担をお掛けするのですが、そのことによって増収につなげて、その分を労働時間を短縮した分の賃金の維持に充ててきたという経過があります。タクシーの運賃というのは人件費や安全に掛けるコスト、車両費、燃料費などの原価に適正な利潤を乗せたものを運賃とするということで、この適正な利潤が乗せられないことになってきましたら、運賃の上限額の改定ということで、運賃値上げをすることができます。今回改善基準告示の見直しで労働時間が短くなったら、是非事業者の皆さんには運賃改定をしていただいて、適正な利潤が確保できるようにしていただき、人件費に充当していただきたいと思います。私からは以上です。
○両角部会長 久松委員ありがとうございました。清水委員お願いします。
○清水委員 清水でございます、よろしくお願いいたします。
 今回の実態調査の結果なのですが、1か月の総拘束時間を見ると通常期であっても繁忙期であっても、それほど大きく著しく数字が変わっているところがなくて、むしろ曜日や天候という部分で変動が非常に大きいのかなと推測できるところです。
 この調査の内容ですけれども、車庫待ち形態の運転者さんが61%を占めている。ということは、都市部の流しの営業の実態は、なかなかここに反映しきれていないというのが、非常に強く表れている数字だなと、私は感じています。
 さらにトラック、バスについてはほとんどが正社員、95%以上が正社員という形での実態調査だったのですが、タクシーについては正社員の割合が77%。パート乗務員、俗にタクシー業界で言う定時制、要は短時間労働者、これが約4分の1を占めているという実態からして、総労働時間は大変短く反映されてしまったのかなと感じているところです。
 働き方改革の中で一番大事な部分は、柔軟性を持たせた働き方をさせることで労働生産性を上げなければ、労働時間を縮めることができないわけです。ただタクシーについては非常にここで論議しているように、全てについて逆算方式できつきつにいろいろなことを決めてしまっています。そこが私は大きな弊害になっているのかなと感じているところです。
 1勤務当たりの拘束時間の関係で、例えばお客様の多くいる日に生産性を上げることを阻まれたり、お客さんがいない日に生産性の悪い働き方をしているのが実態です。
 また、賃金についても、確かに歩合給という話が今ありましたけれども、この実態調査の中では98%が歩合給ということになっていますので、ほとんど基本給制度、固定給制度は採用されていません。
 賃金を見ると、例えば東京の場合で厚生労働省が毎年行っている賃金構造基本統計調査によれば、約200万、タクシー乗務員の賃金が産業全体に比べて低いという結果が、一昨年の調査で出ているところです。タクシー産業は労働集約型の産業ですので、原価の4分の3が人件費、今運賃改定の話もありましたけれども、4分の3が人件費に充てられているところです。
 東京の場合は、平成19年に運賃改定をしていただき、それ以降運賃改定はありません。けれども、この運賃改定がされたときの推定人件費は71.66%ということで国土交通省から認可を頂いているわけでして、非常に人件費が高い。人件費が高いということは、逆に言えば急激な生産性の向上が望めない業種であって、運転者の総労働時間を縮めることによって運送収入が減少するわけですから、賃金が低下するということになります。
 これはタクシー事業者の収益悪化にも繋がるものであって、歩合給の賃金の減少をもたらすことで、他産業との賃金格差により、今本当にタクシー乗務員、運転者全部がそうですけれども、なかなか人が集められない状況にある中において、更に人材を確保することが難しくなると思っています。
 労働条件の労働時間の短縮は、労働生産性の向上を裏付けたところに立って行われるものと私は考えています。タクシー運賃は個々の事業者の裁量では決められない公共料金ということになっていて、政府及び関係行政機関の厳格なチェックを受ける仕組みとなっていて、現に東京の場合20年も運賃改定がされていません。
 ここにきて、政府の大変強い意向で最低賃金が急激に引き上げられていることも、タクシー事業の経営を著しく圧迫している状況になっているわけです。ちなみに、東京都の最低賃金は平成21年に791円であったものが、令和元年には1,013円と何と28%も上がっている。さらに昨年最低賃金が上がらなかったことに、一部の県では上がっておりますけれども、全国加重平均で901円から902円にはなっていますけれども、昨年上がらなかったことによって今年はその分大幅に上げるような話が今きているわけです。
 是非労働生産性を向上させる観点から、柔軟性のある働き方ができる形の見直しをしていただきたい。問題は、勤務について本当に画一的に定められた拘束時間になっていて、休息時間が十分に取れているのに、たった10分20分オーバーしただけでも違反だと、機械的に処分の対象になってしまう。これが問題なのかなと思っています。
 拘束時間超過の原因は、タクシー事業の営業形態の特性にあるわけで、例えばお客様との関係。お客様もいろいろいますので、例えば寝込んで起きない人は本当に起こすのが大変なのです。
 ほかにも、交通渋滞や遠距離への輸送に伴う帰庫遅延、無賃乗車や交通事故による警察での処理に要する事案などが発生した場合、予め定めた勤務時間を超えることはあり得ること、個々の労働者の意思や、事業者の相当の努力によっても違反が発生するのは不可避なことであることの実態をご理解いただきたく思います。
 1日をぎゅうぎゅうに締め付けてしまうと、生産性を上げることが大変難しいと思っています。できれば今、年間で960時間ということに、令和6年4月からなるわけですので、これを年間3分割とか4分割して平均してみたら、例えば先ほどの日勤の勤務時間ではありませんけれども、3か月間平均したら288時間に納まったというような、柔軟性を持たせた形のものを是非考えていただきたいと思うところです。
 こうしたタクシーの事業の実態や実情を、ほとんど今考慮されることなく拘束時間だけを見て、機械的に一律に行われているのは、先ほど武居委員からもお話がありましたけれども、国土交通省の一般乗用旅客運送事業者に対する行政処分の基準というものが、これは大変厳しい基準でして、1件でもあれば施設の使用を停止する。車を止めなさいと、大変重い処分が科されるわけですので、この辺もタクシー事業の実態を十分に見ていただいて、生産性を確保できる形での柔軟性の取れる見直しを是非お願いしたいと思っています。
 隔日勤務の話をちょっとしますけれども、現在隔日勤務21時間で、ほとんどのところが行っていると思います。21時間で12乗務、仮に今それで262時間、270時間でやっていますけれども、これを1時間減らすことによって拘束が月に250時間になったというときに、どれだけの減収になるかというのをちょっと試算をしてきました。
 結論から言うと、現行の大の月の時間外は、270時間と262時間から算出していくと、270時間の場合所定労働時間が177.1時間、休憩時間が36時間ですので、56.9時間が時間外。小の月は262時間が小の月ですので、所定労働時間が171.4時間で休憩時間を36時間引くと54.6時間。年間の時間外労働については671.3時間になるかと思います。月平均が55.9時間という数字になるかと思いますけれども、ここを月250時間で計算しますと、年間で671時間できたものが、453時間になってしまって、時間外が減少するということになります。
 1時間当たりの売り上げが東京は概ね3,000円で、賃率が60%として賃金は1時間当たり1,800円です。単純に月の時間外の減少分は18時間減少するわけでして、月で32,400円の減収ということになると、12か月で32万円の減収ということになりまして、先ほど私が言いました他産業との比較で今200万円タクシーは低い。さらに39万円拡大してしまうような結果になってしまうのかなと思っています。私のほうからは以上です。
○両角部会長 清水委員ありがとうございました。ここからは御自由にお話いただきたいと思います。最初にお名前をおっしゃって、御発言ください。
○久松委員 久松です。すみません、今の清水委員のお話も踏まえて先ほどの言い忘れなのですが、日勤にしろ隔勤にしろ、原則となる拘束時間や休息期間をまず固めていくべきだと考えていまして、車庫待ちというのはあくまでも特例、例外ということになると思いますので、まず原則が固まってから車庫待ちの議論をすればいいのではないかと思っています。前回も発言させていただきましたが、ただし車庫待ちについては解釈が幅広くなっていますので、明確にしていった上で車庫待ちの議論もしてまいりたいと思っています。
 隔勤の件はまた後で、今は日勤の議論でということですね。
○両角部会長 一応そうですが、必要であれば隔勤の話もしていただいて構いません。
○松永委員 松永です。今いろいろ事業者側のお話を聞かせていただいて、何のために厚生労働省がアンケートを実施したのか、やはりこのアンケートをする重みというのも私たちは最初にこういったアンケートの結果を参考にするという、1つの考え方があったわけですから、私は最初に申し上げたとおり、このアンケートの結果に準ずる私どもの主張であったということを申し上げたとおり、この中身を自分たち側の捉え方として否定するというのは、あまりいいことではないと私は思っています。
 そういった中で、先ほど清水委員から、最後に計算をなさったマイナス分の時間によってマイナスが出るというのは、275にしても288にしてもそれが全て営収が上がっている時間ではありませんので、一概に割り算、引き算をする意味は正直あまりないのではないかなと思っています。
 そして今日武居委員から全国の話題を言っていただいて、ありがとうございました。都心型の話ばかりではなくて、やはり国の会議ですから全国の話題をどんどん出していただくことに感謝を申し上げます。ただタクシーの今の現状として、もう1900年代から私どもの月収という問題は本当に大変厳しい環境にありまして、昨年の比較はできないと思いますので、2019年でも月収は20万円台でした。
 それをずっと私どもは全国平均が20万円台の月収だということで、私ども労働側も地域公共交通として、地域自治体のためにどう尽くせるのかということの議論をしてきました。そういった中で公共性を持った仕事をして、長時間労働を今までしてきたものを、この働き方改革を踏まえて時間を少し削減できるのなら、しっかり集中して働く時間を作っていくという必要性も、この会議にはあったのではないかと思っています。
 そういった意味で先ほど久松委員からも出たように、私ども労働側としてはまず休息時間については11時間を主張させていく理屈も言っていただきました。ただ都心と地方では通勤時間の違いは正直あると思います。それは素直に顕著にあるのだろうと思っています。ただこういった私どもがそれぞれが主張し合うよりも、こういうアンケートというものが1つの結果として出て、都心型があまりアンケートに答えていないのではないかというのは、正直私どもも分かっていませんし、逆に労働組合的なところにもっとアンケートがくれば、もっと違う答えになっていると思います。
 最初に申し上げました、私ども労働界のそれぞれのところに聞いてみたのですが、ほぼ全てが1つもこなかったというのは、当然すごく多く数がありますので、こなくても仕方ないと思っています。ただ、一般の方たちが答えていただいた回答がこのアンケートに集約されていると思っていますので、私たちの主張と一般の方たちのアンケートの結果がほぼ同じであったということは、大切なことだと私どもは主張させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武居委員 私はどうしてもわからないのですが、松永委員と久松委員にお聞きしたいのですけれども、休息期間の11時間というのは24から13時間を引いて11時間という発想ですか。ちょっとよく分からないのですが。私は実態的に13時間拘束以内というのは基本的にある程度ほとんどのところが認識しているはずなのです。これで現状として8時間でやっているわけで、逆に申し上げると先ほど清水委員からありましたとおり、どんな事情があっても13時間を超えられないという実態も、実は我々としては非常に不合理な部分があるのです。これは行政等含めて、それは交通事故があったとか特殊な例えば災害があったときに、拘束時間というのはまた別に考えてくれますけれども、日常的な部分の中では我々13時間というのがあるのですけれども、それで8時間で何か問題があるのですかとお尋ねしたい。
 例えば、16時間毎日働かせているのだというようなところの部分で11時間にして、全く13時間以上働かせないようにするのだという発想から来ているのですか。どうしても分からないのは、私は、全国回ってみて、ほとんどのところが日勤に今移行しているのです。大阪でも多分、今運転手さんがいませんから隔勤から日勤になっているような気がするのです。隔勤をやっているのは全体の1割ぐらいで、ほとんど日勤に移行しているのではないか。そうでなければ車も動きませんし。今現状はコロナですから、夜のニーズがないので日勤に切り替えたりもしていますけれども、それはまた特殊な例なのでこの問題とは別です。私が言っているのは、11時間というのはどこから出てくるのか。
 今13時間からときによっては16時間までできます。ですから8時間という数字になっているのです。地方によっては13時間を超えなければいけない勤務形態もある、例えば車庫待ち等につくだけではなくて、地方ではいろいろな勤務形態があると思うのです。
 例えば隔勤・日勤で運用しているところも実はあると聞いています。どういうシフトにするかといえば、賃金の締めで日勤をしたり隔勤をしたりしているのですけれども、シフト的に多いところの制度としては、拘束時間が適用されているのです。例えば隔勤は2乗務、後は日勤にするということも、実は地方では多く出てきているのです。ただし、今はコロナの関係でなかなかないですけれども。そのように聞いているのです。私がよく分からないのは、休息期間11時間というのはあくまでも13時間から導いているのか。私は先ほど松永委員がよく言ってくれたように、地方によって休息期間を変えるのかという論議を、本当にやるんですかという話になってしまうような気がするのです。
 今8時間というのは、8時間以上どんな地域でも空けなさいという意味で運用しているのです。11時間ということになるとどんな地域でも11時間は確実に空けなさい、13時間以内に確実に収めなさいということになるのですけれども、労働形態は地方によってはかなり違ってくると思うのです。16時間を認めてもらっているというのは、それなりの仕事形態をしている地域が私はあるように思っているのです。そういうところを無視していいのですか、というのが1つあります。
 つまり率直に申し上げると、例えば譲歩できる部分において、一気に11時間にしようという論議は、なかなか使用者側としてはOKできないというのが本音です。
○久松委員 今の休息期間の関係ですが、休息期間11時間の主張というのは睡眠時間や通勤時間、また食事の時間、あと余暇の時間なども含めて、今の8時間ではそういった時間が確保できないので11時間にすべきだという主張です。
 現在は原則13時間の1日の拘束時間で、最大拘束時間が16時間となっていますから、24時間から16時間を引いても8時間ということになるかと思うのですが、私たちが主張しているのは休息期間は11時間で、もし今と同じように原則と最大拘束時間というものを考えるとすれば、休息期間が11時間ですから最大拘束時間が13時間で、では原則はどうするのかということ。それとも原則も最大もなく、一本とするのなら13時間でしょうという主張ですので、そこはよろしくお願いしたい。
 先ほども申しましたが、車庫待ちは別の議論にしていただきたいと思います。地方では車庫待ちという営業形態は確かに多いので、そこはやはり労働の密度が都市部と違って、低いということが前提で、拘束時間等の緩和がなされていると思いますので、まず原則を確定する議論をしていただきたい。
○寺田部会長代理 寺田です。何か主張があるというわけでもないのですけれども、早番の翌日が遅番というか、あるいは先ほどの日勤・隔勤の組合せのケースもそうかもしれないのですけれども、理論上、そういったことを考えると24時間から11時間を引くと、13時間とは限らないと思うのです。ただし、そういう考えをする必要性が比較的高いと思うバスのほうなどで、そういう話をしていないので、タクシーだけで単純に引き算をしない考えをとるというわけにもいかないかもしれません。
 ただし、11時間の連続休息期間を取った上で、最大拘束16時間、つまり13時間以上の拘束と理論上は可能というか、そのことを申し上げました。以上です。
○武居委員 理論上可能なのですけれども、私が言っているのは、原則8時間というのを11時間とすると、原則であろうとなかろうと休息期間は11時間以上ということになると、仕事の形態によって休息期間を変えていいという話になるので、それは原則論ではないでしょうという話です。
 今は8時間だから、16時間でも8時間を超えないという理論なので原則論でよいですけれども、11時間にすればどんな仕事の形態でも13時間。それ以上に原則もなにもないじゃないですか、それ以上働けなくなるわけですから。決めてしまえば、原則論で言うならば。ですから私は11時間というのはどこからきているのか、私の本音はそこにあったのです。
 やはり地方の仕事の形態というのはいろいろあるので。では、休息期間の時間は地方とか地域によって変えていいのですかという議論になってしまいますね、という話なのです。そうなると現行の8時間を、原則論で3時間も延ばしますという論議は、なかなか使用者側としてはOKできないという話になっているわけです。原則論としてです。
○久松委員 地方と都市部で考え方を分けていくということではなくて、統一した考え方で主張しています。先ほど寺田委員からありました、例えば早番をやっていて次に遅番に転換するときというところがあるのですが、大体、都市部においては週単位で早番から遅番に転換することが多いです。地方においては、先ほど武居委員がおっしゃったように、隔勤を途中にやったりするのですが、勤務と勤務、日勤勤務をした後には8時間以上の休息期間を取りますし、例えばシフト上、隔日勤務に当たった日がありましたら、その後は20時間の休息期間を取って次の勤務に備えます。早番から遅番に転換するとき、遅番から早番に転換するときも、最低は8時間でいいのですが、公休日を入れて転換させたりしますので、24時間の公休日と8時間の休息期間、合わせて32時間を挟んで転換させたりするということでやりますので、仕事上は、それをうまく組み合わせれば地方でも使えるわけですから、そこは何も問題ないのかなと思います。
 ただ、車庫待ちはまた別の議論ということですが、車庫待ちにおいては労働密度が低いということで、通常の勤務よりも緩くしています。ただ、車庫待ちについては定義をはっきりしてほしいと言っているのは、駅待ちも含めて車庫待ちなのですが、例えば川崎駅とか横浜駅の駅待ちの勤務と、真鶴駅のように東海道線が1本着いたら、2台の車にお客さんが乗って、あと6台ぐらいが並んでいて、その6台が前に行く。また東海道線が15分後ぐらいに1本着いたら、前の2台にお客さんが乗って、次の後ろの車がまた前に行くというような駅の形態の車庫待ちで、川崎駅とか横浜駅というのは、ずっと車がどんどん前に動くような状態ですから、これは指揮命令下に置かれているのかどうかとか、労働密度からいったときに、同じ車庫待ちなのかと言うと、違うのではないかと思いますので、駅待ちも含めた車庫待ちの定義を明確にしていかないと、車を絶えず動かさなければいけない、車を絶えず管理しておかなければいけない駅待ちまで、非常に原則より緩い拘束時間なりにしていくと問題が出てくるのではないかと思っていますので、議論を別にしていただきたいと思っています。
○武居委員 車庫待ちはまた別に考えましょう。
 寺田委員がおっしゃるように、では、タクシーと他の2団体で休息期間を変えていいのかという論議にも実はなるのですが、多分バスとかトラックは、休息期間を延ばすことについては大反対だと思います。タクシーだけが休息期間を延ばすのかという話になってくると思うのです。
 私は、基本的に改善基準の見直しというのは、960時間の特例ができたときに、長時間労働を是正するために改善基準の見直しをすべきだという論議からきていると理解をしています。
 ですから、長時間労働にならなければ問題はないというロジカルの部分で、乗務員が確かに長時間労働だという意識になってやっているのかどうかというのは、慎重に論議をすべきで、議論するときに、アンケート結果を無視をするということは一つも考えていません。ただ、13時間拘束以内でほとんど運行されているという実態はあります。と言うのは、労務管理の問題です。現状として、休息期間は8時間以上ということで、ほとんどのところで、それは問題なく適用になっていると。つまり、休息期間が8時間以内になっている会社はほとんどありません。都心部では8時間と言いながらも、9時間、10時間は取っているという実態があります。
 でも、それはそれとして、11時間にされたら、先ほど申し上げたように、これは基本ラインですから、これは車庫待ちとか、そういうことではないです。単純に13時間以上のオーバーは、今の日勤制度として認めないという話になります。休息期間が11時間なのですから。今は休息期間が8時間だから1日の拘束時間が13時間から16時間まで、場合によってはできるという話になる。11時間にすること、それは受け付けられないことになるということを言ったわけです。
 最大拘束時間については、これから論議になるでしょうから、使用者側としては288という部分で要望させていただいたということになります。
○清水委員 休息期間の問題ですが、もう1つ、隔勤のほうで24時間というように出てきております。20時間休んで疲労を回復できない人が、24時間休んだら疲労を回復できるのかというと、そこはどうなのかなと思っています。休日というのは24時間で、それと同じだけの休息期間が本当に必要なのか、仮に22時間働いたとしても、そこで休息期間を26時間取れているわけで、ここは20時間で十分に疲労回復ができるというように私は思いますが、いかがでしょうか。
○両角部会長 今、隔勤についてのお話ですね。もう時間も大分進んできておりますので、今後は隔勤についても御議論いただきたいと思います。
○久松委員 隔勤についてということで、労働組合の考え方ですが、隔日勤務について言っておきたいのですが、相当過酷な勤務です。一昼夜連続で勤務を続けまして、次の日は非番ということになって、体内時計は48時間単位で、一昼夜、24時間ほぼ起きっ放しのような状態で家に帰って、すぐに朝ですから、朝は寝られない。そのまま夜に十分に睡眠を取って次の勤務に備えるということなのです。ここにおられる皆さんでも、たまに徹夜したら、回復に何日ぐらいかかりますかという感じなのです。しばらく体内時計がリセットされないとは思うのですが、そのような勤務を1日置きにやっているのが隔日勤務なので、相当過酷な勤務です。いつも隔勤の人が、たまに日勤勤務をやると、こんなに楽なのかと。元気に仕事ができて、売上げも上がるということなのです。
 タクシーの場合は、日勤勤務にすると、入庫して次の出庫までの間、入金業務、点呼、洗車などがあって、次の勤務の方が乗るのですが、その間、回送時間なども含めて、どうしても利用者の需要に応えきれない。その間の車の稼働が手薄になってしまうということがあって、通し勤務として隔日勤務を採用している会社が多いですし、運転手にとっても、1日頑張って仕事をすれば次の日が休みだということでは、通勤も半分で済むとか、余暇の時間もあるということで、隔勤でいいということになっているのですが、そもそもが相当過酷な勤務です。ですので、日勤勤務に比べて、短い時間の拘束時間などの様々な改善基準告示になっているということを前提に考えていただきたいと思います。
 具体的な数字ですが、2暦日の拘束時間については、労働組合としては20時間だと思っています。基準内労働が16時間、休憩時間が2時間、お客様の都合などがあって時間外が発生したとすれば2時間というところで、16時間、2時間、2時間で、20時間かなと思っています。月間の最大拘束時間については、20時間の勤務で最大で12.5勤務、その0.5勤務は公休出勤、休日労働の0.5勤務を1日勤務というように想定しているのですが、20時間の12.5勤務で、250時間が妥当であろうと思っています。休息期間については、24時間が妥当だろうと思っています。具体的な数字としては以上です。
○武居委員 隔日勤務については、正直に申し上げて、残業的にも36協定内でも、枠内に収まっているので、あまり過労という考え方は持っていませんでした。特に、久松さんがおっしゃるように、隔日勤務というのは流しを中心にしたところだと思うのです。流しではないところは隔日勤務はなかなかないのだろうと思います。私が言っているのは、車庫待ち等は別としてです。流しが中心のところで、久松さんがおっしゃるように労働はかなり厳しいという論議になっているのだと思います。
 21時間拘束等については、最大拘束時間が262時間で、年に6回が270時間ということなのですが、労働基準監督署の監査が入ったときの改善基準違反で一番大きいのは、実は、1日の拘束時間オーバーなのです。改善基準違反の中で一番大きいのは、この部分であると考えています。
 それと、久松さんがおっしゃるように、16時間で、2時間残業で、2時間の休憩で、20時間です。イレギュラーの部分は、また別だという話になってしまうので、私は現状として、21時間の中で、最大拘束時間ですから、通常ハンドル時間と言われているのは事業場外労働は基本的には20時間、事業場内労働が30分と30分としても、21時間という拘束になるわけです。これで、私はきちんとやればそんなに過重労働にならないと思っています。
 さらに申し上げると、21時間の拘束時間を柔軟にさせてくれないかというのがあります。それは先ほど清水委員からお話があったとおり、例えばトラブル、曜日によって、例えば金曜日、今はコロナですから金曜日も忙しくないですが、通常では金曜日、木曜日、地域によっては土曜日が忙しいという場所もあります。逆に、月曜日は全くお客さんがいないという地域もありますし、都心においても月曜日の生産性というのは極端に下がります。そういう時間帯は最大拘束262時間の中でまとめていただいて、1日の拘束時間を少し緩和してほしいと思います。その代わり、やはり262時間をきちんと守っていくということで、使用者側としてはお願いしたいと思っています。最大拘束時間については、久松さんがおっしゃるように労働者側から見るときついということですが、私から見るときついと思っていないのです。実態が違うと言ってしまえばそれまでなのですが、事業場内労働と事業場外労働をきちんと労務管理していれば、私はそんなにきついとは思っていません。ただ、ぎりぎりまでハンドルを握るドライバーがいて、事業場内労働を入れていない会社があるというのでは、これは別の問題が出てくるだろうと思っています。
○清水委員 今、20時間という話を頂きましたが、ここで数字は出てこないと思いますが、タクシーは過労死は年間に何件あるのかという話を本当はしたいのです。が、そうではなくて、今、何で過労死が少ないかと言うと、休憩時間というのは、乗務員の自身の判断で自由に取れる。どこで取ってもいい。おおむね、この辺で取りなさいという枠はありますが、自由に取れるのです。これが過労を防止しているのかなと思うのですが、隔勤の場合は3時間あるのです。この3時間を2時間に減らすというのは、非常に逆効果だと私は思うので、今まで3時間の休憩が取れて、そこで疲労を回復できていたものもを2時間に短縮するというのは、申し訳ありませんが大反対で、そうやって20時間にすることは、決していいことではないと思います。
○久松委員 そもそもなのですが、時間外労働分、法定外残業分も、労働時間としてシフトに組んで働かせていること自体が問題でしょう。36協定で時間外労働を行わせるときの理由は何と書いているのかと思うのです。
 だから、36協定で定めている時間外労働の部分が、そもそも何かあったときの幅の部分なのです。本来は法定労働時間の中で勤務をして、何かあったときのバッファーとして時間外労働があって、それで拘束時間を守ってくださいという話だと思うので、根本的なところで大きなすれ違いがあるのではないかと思います。
 先ほど、休憩時間について隔勤の20時間の中で2時間と申しましたけれども、そこは数字の根拠として申しただけであって、基準内の時間をどのように考えるのかということもあるでしょうし、1か月単位の変形労働性を取っているタクシー事業者は多いので、その1か月単位の変形労働制で時間を均せば、基準内は16時間ではなくてもう少し短い時間になると思いますので、休憩時間のところは、その辺の幅なのかなと。
 ただし、全ての事業者とは言いませんが、1日8時間以上の労働をした場合については、1時間の休憩を与えろということになっていまして、それは法定の最低基準です。16時間働いたら2時間なのかなということで申しただけなのですが、全ての事業者とは言いませんが、多くの事業者は就業規則上休憩時間を3時間と定めておいて、ここに何を期待するかと言うと、労働者が、その休憩を取らずに走ってくれると。そうすることによって、時間外労働の算定となる時間を減らすことが可能になることを期待してと。
 運転手はどうしても売上がほしいですから、休憩を取ったことにしておかないと、日報に書いておかないと怒られるということで、タクシー乗り場に並んでいる間を休憩時間に充てたり、そういう形で日報上は申告をしている労働者も少なからずあります。だから、3時間の休憩時間が必要だと、清水委員のところではきっちり3時間の休憩を取れということで労務管理していただいているとは思うのですが、一部の事業者においては、休憩時間を長く設定することによって、その間も走ってくれるだろうと。時間外労働の算定から外す時間にできるだろうという悪意をもった休憩時間を定めている会社もある。そうではなかったら、法定で定められた休憩時間でいいではないかということになるのです。そういったこともあるということだけは実態として申し上げたいと思います。
○武居委員 よく分からないのは、先ほど久松さんがおっしゃるように、残念ながら、みなし残業で賃率を労使で協定しているのです。労働組合は、みなし残業なしで、基本給だけで賃率を確保したら、変な話ですが残業はその度に、毎日会社が指示して、今日は残業しなさいと。本来、残業というのはそういうものですよね。36協定ですから。
 だけれども、例えば基準内賃率と時間外手当を含めた部分で、ほとんどの会社は賃金というのは成り立っているのです。だから、これは労働組合にも責任があって、通常、労働組合はみなしの残業を入れた部分で賃率というのを確保しているのです。そうでないと、基本的にはやった分だけ払うといった場合に、お前は生産性が悪いから残業しなくていいと。深夜は動くなと言ったら、みんな辞めていってしまいます。
 逆に言うと、そういう人たちも、ある程度みなしの部分を含めた、先ほど言った最賃も確実に保障になるわけですから。要するに、売上がなくても最低賃金というのは保障になるわけです。そういった形で、労働者が労働時間をきちんとやっているという実態もあるというように、我々使用者側としてはお答えしたいというところです。そういう実態もあるけれども、我々のほうから言うと、そういう実態もあると。ですから、そこら辺は拘束時間の部分の中で、ある意味では最賃との兼ね合いもあるので、あまり短く しないと言うか、21時間拘束は何の問題もないのではないかというところが、今のところです。
○松永委員 大分偏ったところの議論ばかりになっている気がするのですが、私ども、こういった会議の中に、なかなか今のタクシーの現状みたいな資料がなくて、こういった会議の内容ばかりの話なので、私が先ほど申しましたように、この業界というのはなぜか、長年、勤続年数というのは10年前後でしかないのです。それだけ重労働の業界だと私は思っています。
 それを、労働者側が頑張っている姿を、疲れがあるないという議論ではなく、平均年齢的にも、この25年、30年の間に、なぜ10歳も上がってしまったのか。今は60歳という平均年齢の業界であって、2000年の時は52.7歳の業界でした。それが、ここまで平均年齢が自然と上がったことは、最初に武居委員がおっしゃったように、長時間労働だからではなく、私は長時間労働をする割には、給料として、清水委員言ったように正社員率が77%なのだと言いながら、月給は20万円台しかもらえない。この業界に、もっと魅力を作らなくてはいけないのだということで、労働側のほうがこういった主張をどんどんしてきた経過があるような気がします。
 そのために、いい機会というのは何度も最初に申し上げたとおり、働き方改革ということで、この業界を、もう少し労働時間と給料というものをきちんとセットにでき、若い方たちに入っていただける業界にするべきだというのも、1つ労使で考えていかなくてはいけないことだと思っています。そういった意味で、こういういろいろな方たちにサポートを頂いている会というのは、私たちにとっては大変いいチャンスであります。
 ただ、労働時間の見直しということだけの議論をメインにしておりますので、こういった給料だとか年齢といったものは、あまり参考例として資料にないので、私たちは、もっと若い人たちに、次の世代を譲れるような、地域に根差した公共交通を作りたいという考え方で労働側も主張してまいりましたので、そのためには地域の力も借りながら、事業者がこういう経営で苦しいのだだけではなく、労働者も一体になって、地域と一体で取り組める全国の議論をさせていただきたいということで、それには正しく労働時間というのは、この業界にとって今の結果が魅力があるのかと言われれば、ノーであります。
 ですから、ある程度の集約を最終的にしながら、武居委員が言うように、全てが毎月何時間なのだ、1か月の労働時間が何時間だという議論は後から、繁忙期の問題だとか、そういう問題は後から議論していけばいいと思っておりますので、まず基本のことを決めて次に入らなくてはいけないと私たちは主張しておりますので、是非一つ一つの結果を、まだ何回かこの委員会があると思いますので、そこで一つ一つのテーマを作ってでも、休息時間、拘束時間といったものを1項目ずつしっかりと決めて、それには先ほど言った繁忙期はどうするのだとか、年間の問題はどうするのだという議論をするべきだと思っておりますので、私たちはそういう考えでおりますので、これが毎月何時間の拘束時間が鉄板だとか、そういう議論はまず基本を決めなければ、次に入れないと思っておりますので、1つよろしくお願いします。
○両角部会長 ありがとうございます。引き続き自由に御議論いただきたいと思います。
○武居委員 実は、基本を決めるために提案させてもらっているのです。288というのは基本でこのようにしてほしいのです。それと、1日の拘束時間についても、現状と同じにしてくださいということの基本を申し上げたのです。ですから、13時間で結構ではないですかという話の基本をさせていただきました。それと、隔日勤務についても、現状でそんなに疲労感が増えていると言うのですが、現状としては都心部ではそういう意見は、もちろん中にはあるのかもしれませんが、逆に、もうちょっと働かせてくれという意見もかなりあるという、現状の中で、現状維持をしてほしいという基本ラインの話をさせていただいているのが1点です。
 それと、私は労働時間を本当に短くしたいのです。だけれども給料が下がってしまうのです。では、実車率を上げたり、運賃の値上げをしようと言っても、実態的に現状の中で、東京で運賃の値上げというのはものすごくハードルが高いのです。また、去年の2月に運賃が上がった48地域について、改善基準で労働時間が短くなるからまた更に運賃を上げてほしいという申請は、とても難しい。さらに、今の日本経済がダメージが大きい中で、運賃の値上げをしても増収にならない、逆に減収になる可能性があるということで、各事業者側も手を引いているというのが実態なのです。
 ただ、本来なら運賃の値上げを、基準法の改正、そのぐらいに合わせて申請したいというのが我々の本音なので、そのときに労働時間が短くても同じ賃金が取れればベターなのです。ですが、逆に言うと、改善基準の見直し、これを先に決められてしまって、運賃の値上げもない、時間だけが短くなってしまったら、使用者側としては、運転手さんがもっといなくなってしまい、多分ギブアップで、事業者の3割、4割がなくなってしまいます。私が言っているのは実態的に会社がなくなってしまったらまずいという考えが先にあったのです。
 本当は労働時間は短くしたいです。残業しなくて月に25万円ぐらい取れるような賃金だったら最高なのですが、それは現実的にできないので、そういう仮想論でものをしゃべれないのです。事業者とすると、雇用維持。今、雇調金がどうなるかの問題もあるのですが、労働時間を短くすることによって、生産性のあまり良くない人を雇い止めなり解雇なりという話になっていってしまう可能性もあるのです。生産性の高い人だけ残していかなければ、事業者は生きていけません。しかし、そういう論議はできないのではないかというところで、ある程度の幅を持たせたほうがいいのではないですかと思います。本当は労働時間を短くして魅力のある産業にしないと、人が集まってこないというのは松永さんのおっしゃるとおりです。今、一部の会社しか若いドライバーは入っていません。特に関西地域は状況が良くないです。これには事業者側にも、いろいろな問題の中で値引き合戦をやってしまったという部分があるのです。それらをさて置いて労働時間だけやってしまうと、これは事業がもたないです。ということで、あえてきつい言い方をさせていただいたところです。本音は労働時間を短くして、今の収入が取れるのだったら、何の問題もないです。しかし、そこはできない。賃金体系がこうだから、労働時間と賃金は比例してしまうのだというのが今までの実績であるので、そこは分かってほしいということです。
 それと、ハローワークに固定給で出している求人票というのはほとんどありません。これは調査しました。今、ハローワークで問題になっているのは、求人票を書けないことです。つまり、固定給と言っても足切りの固定給プラス歩合給というような発想になっていますので、そうすると固定給ではないと指摘される。固定給というのは売上に関係なく、所定労働時間を働いたら確実に支払われる金額だということです。いや、そうではなくて、売上がいかないとこれは払えないのだという話になってしまうと、多くのハローワークでは求人を受けてくれないことがあるのです。そこで、所定労働時間掛ける最賃を基本給として出している地域はいっぱいあります。それが実態なのです。そこを分かっていただきたいというのはあります。これから雇い止め等が出てきてしまう可能性も非常に強くなります。こういうことを是非理解していただきたいということです。
○寺田部会長代理 無理にまとめる必要もないと思うのですが、例えば運賃などは数年ごとに見直していて、一方で、こちらの改善基準のほうは35年振りの見直しで、実際には半世紀以上前からあまり変わっていないのです。だから、見通すスパンが大分違うので難しいとは思うのですが、運賃、連動して決まる賃金、賃金制度を、可能ならば別にして、半世紀持つように、それに基づいて運賃が決まり、賃金が決まるベースとしての労働時間と言うのでしょうか、それを決めるべきです。25年に1回ぐらいは改定してほしいですが、もしかすると、また1回決めると35年とか50年とか、このままいくしかないのかもしれないので、そう理解していただく必要があるのかなとは思います。
 あと、基本と特例と言いながら、基本の部分が非常に大きいので、1日から決めていくのか、逆に1年からいくのかという辺りは、皆さんで共通認識を持つ必要があります。
 皆さんのお話を聞いていると、1日を積み上げてシフトを考えて、さらに1か月、1年と積み上げ、1年の時間の合計がコントロールができなくなったら、もう一回元に戻るという感じかなと思いました。そういう方向性、決めていく順番と言うか、そういうことが見通せると、第2回目以降がスムーズにいくかなと思いました。
○久松委員 今、寺田先生におっしゃっていただいたとおり、労働時間の上限規制が施行されて、自動車運転者については5年間の猶予が出たということは、正に、そういったための生産性をどうやって上げていくのかも含めての猶予期間だと思っています。この改善基準見直しの結論へ早く行って、タクシーは運賃改定がまず必要でしょうということは主張させていただきたいですし、更に、生産性をいかに上げていくのかという議論も、それぞれ各労使でもやっていってほしいとは思うのですが、まずはどこかで結論をつけていかなければいけないのだろうなと思っています。
 今日はあまり時間がありませんから、次回以降の課題としていただきたいのですが、先ほど何度か言っていますが、車庫待ちについては、少なくとも車両に乗った状態の駅での待機状態は車庫待ちに含めるべきでないと思います。駅待ちであっても駅の横に営業所と駐車場があって、休憩施設があるとか、そういったところのような、車両を管理するようなことから解放された状態での駅待ちは、車庫待ちに含むけれど、そうではないものは含まないというようにしていけば、地方においてよくある車庫待ち営業の中での、どれが車庫待ちになるのかが明確になるのかなと思います。その上で、次回以降に車庫待ちの時間などについても議論していきたいと思います。
 先ほど松永委員がおっしゃっていましたが、これから日勤・隔勤をある程度固めていくということになるのですが、やはり使用者側からも課題として挙げられていた繁忙期はどうするのかというところが、我々としても考えていかなければいけないと思っております。その繁忙期をどうするのかというところで、年に何回とか、2か月平均でやるとか、様々な手法はあると思いますので、そこについては原則を決めて、特例として、少しそれを緩和する部分で繁忙期対応を考えていく必要があるとは認識しています。
○両角部会長 ありがとうございます。もう時間があまり残っていないのですが、車庫待ちは特別な話なので後でということですが、久松委員からはお話がありましたが、もし車庫待ちについて何か御意見がありましたら述べていただきたいと思います。
○松永委員 久松委員から言っていただいたことが基本なのですが、今の定義になっている中でいろいろな形態が変わって、私たちは何がいけないとかいいではなく、例えば全国のそれぞれの駅に着くのに、駅に入る条件もあります。それを細かく言うとどこかの批判になってしまうといけないので、そういったいろいろなことがありながら、台数をどこは何台、ここは1台だとか、そういう条件のようなものもたくさんあります。
 そういった中で新幹線駅も増えながら、残念ながら新幹線の駅すら、最初に久松さんが言われたのかもしれないのだけれども、1時間に1本の新幹線が着いても乗客が降りてこない駅、コロナは関係なくです。数人しか降りてこなく、駅で待っていてもしようがないという場合に、もう車庫しか車と人が待機する場所がない環境も、全国にはいっぱいあります。
 ですから、この車庫待ちの定義は後からゆっくりと言っていたのは、急いできちんと決めることではなくて、まだ何回か話し合いがある中で、事業者側も全国の実態を調べていただいて、私たちが言っていることと整合性をつけながら、この時間はやはり減らすべきだと思っておりますので、どこが落としどころにいいのかということもしっかりと私たちももっと報告できるようにやっていくために、この車庫待ちの議論を後回しにしたいというのは、そういう意味でした。
○両角部会長 今の点について、使用者側の委員のお二人はよろしいでしょうか。
○清水委員 車庫待ちですが、実態として、多分そこの駅はその乗務員に1台の車を与えて、1日カバーしてくださいということになっていると思います。ということになると、最低でも16時間というのが、電車の運行を考えても必要になってきていると私は考えていて、そこを本当に15時間にできるのか、14時間にして、もう一人誰か人を補填できるのかというのが大きな問題なのかと思っていますので、実態として、なかなか16時間を縮めるのは難しいのかなと。現場の実態としては、そう考えています。
○両角部会長 それでは、今日は労使双方の委員の先生方、それから寺田委員からいろいろな御意見を頂き、有益な議論ができたと思います。どうもありがとうございました。
 次の議題に入ります。議題3の今後のスケジュールになります。資料3について、事務局から説明をお願いします。
○過重労働特別対策室長 今後のスケジュールの案です。本日は5月28日、第1回の作業部会ということですが、第2回は8月頃ということで予定をしています。それが終わりましたら、10月頃、場合によっては11月に入るかも分かりませんが、それまでの中間的な状況ということで、全業態で集まっていただいて第6回の専門委員会を開催する予定です。さらに、11月に第3回のハイヤー・タクシー作業部会を開催し、2月頃の第4回のハイヤー・タクシー作業部会で、一定の労使の合意ができればいいかなと思っております。それを、3月の第7回の専門委員会の中で出していくということで、今のところは考えております。
○両角部会長 それでは、ただ今事務局から説明のあった今後のスケジュールについて、委員から御意見がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、本日はここまでとさせていただきたいと思います。最後に、次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○中央労働基準監察監督官 次回の作業部会の日程については、日時と場所について調整の上、追って御連絡させていただきます。議事録についても、後日御確認いただきますので、よろしくお願いいたします。
○両角部会長 それでは、これをもちまして第1回自動車運転者労働時間等専門委員会ハイヤー・タクシー作業部会を終了いたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。