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- 2021年5月26日 第1回目安制度の在り方に関する全員協議会 議事録
2021年5月26日 第1回目安制度の在り方に関する全員協議会 議事録
日時
場所
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館16階)
出席者
- 公益代表委員
- 藤村会長、戎野委員、中窪委員、松浦委員
- 労働者代表委員
- 伊藤委員、古賀委員、小原委員、冨田委員、永井委員、平野委員
- 使用者代表委員
- 佐久間委員、志賀委員、橋本委員、堀内委員
- 事務局
- 大塚賃金課長、小城主任中央賃金指導官、田之上副主任中央賃金指導官、
長山賃金課長補佐、尾崎賃金課長補佐
議題
(2)令和3年度目安審議における新規の参考資料について
(3)その他
議事
○藤村会長
準備ができたようなので、全員協議会を開催いたしたいと思います。これより、第1回の目安制度の在り方に関する全員協議会を開催いたします。先ほどの第59回中央最低賃金審議会において、目安制度の在り方に関する全員協議会が設けられました。
まず、本日以降の全員協議会の公開について御相談をしたいと思います。本協議会は、中央最低賃金審議会運営規程の第7条第2項を準用する同規程第7条第3項に基づいて、議事録は原則公開となります。他方で、会議の公開については、「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合」等に該当することから、例外的に非公開とする場合を規定した同規程第6条第1項ただし書きを本協議会についても準用することとして、従前から非公開としております。今回も委員各位の率直な意見交換等を行っていただく必要がありますので、議事非公開でどうかと思っておりますが、よろしいでしょうか。委員の皆さん、よろしいですか。
(異議なし)
○藤村会長
ありがとうございます。
それでは、本協議会は非公開といたします。会場の準備を行う必要がありますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
○長山賃金課長補佐
傍聴者の方、恐れ入りますが御退席をお願いいたします。
(傍聴者退席)
○藤村会長
それでは、これから始めたいと思います。全員協議会においては、中央最低賃金審議会運営規程第9条に基づき、中央最低賃金審議会運営「規程に定めるもののほか、小委員会等の議事運営に関し必要な事項は、小委員会等の長が当該小委員会等に諮って定める」とされております。本日は、池田委員が欠席になっておりますが、同委員の代わりに一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部長新田秀司氏が発言を求めた場合、私の指名に基づき、その発言を許すことにしたいと思いますがよろしいでしょうか。
(異議なし)
○藤村会長
どうもありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
それでは、議事に入ります。まずは、議事次第1「目安制度の在り方に関する全員協議会の今後の進め方について」議論したいと思います。事務局に、今後の進め方についての(案)を説明していただいて議論をしたいと思います。事務局からの説明をお願いいたします。
○大塚賃金課長
賃金課長の大塚でございます。引き続きよろしくお願いいたします。それでは、資料NO.1を御覧ください。先ほど、中央最低賃金審議会の本審にて、この全員協議会に目安制度の在り方の検討が付託されたところです。本日、第1回目の全員協議会になりますが、検討事項及び今後の進め方について御議論を頂きたいと考えております。加えて、この夏の目安審議における議事運営に関わる事項についても併せて御議論を頂いて、本日、合意できる点があれば、それに基づいて夏の目安審議を進めてまいりたいというように考えております。秋以降に全員協議会を再開しましたら、改めて検討事項及び今後の進め方について御議論を頂きつつ、議論の進捗にもよりますが、令和3年度中をめどに取りまとめを実施したいと考えております。事務局からは以上です。
○藤村会長
ありがとうございます。ただいまの説明に対して御意見や御質問はありますか。皆さん、よろしいですか。
では、続いて議事次第2「令和3年度目安審議における新規の参考資料について」議論をしたいと思います。事務局から、新規の参考資料について説明を頂いてから議論をしたいと思いますので、まずは説明をお願いいたします。
○大塚賃金課長
賃金課長の大塚です。私のほうから資料NO.2について御説明し、資料NO.3と4については尾崎のほうから説明したいと思います。
まず、資料NO.2を御覧ください。こちらは、新型コロナウイルス感染症関係の追加資料ということで用意しています。例年、第1回目の目安に関する小委員会においては、資料の1から2ページ目のような主要統計資料を提出して議論していただいているというところです。昨年度については、公益委員からのお求めがあり、資料3ページ目の左側、こちらが新型コロナ感染症関係資料ということで、昨年度の夏に追加で提出して、これも参考に御議論を頂いたところです。今年度の目安審議においても、3ページ目の左側の資料については、同様の資料を公益委員からの提案という形で準備したいというように考えておりますが、更に、資料4ページ目の左側に追加資料の一覧を事項だけ記述しておりますが、これについても、公益委員のほうからの御指示があったということで提出させていただければというように考えております。もちろん例年もそうですが、労使の皆様方から目安審議の中で資料のお求めがあれば、そうした資料を追加で提出するということも、全くやぶさかではありません。この資料の3ページ目の右側は、これはあくまでも昨年度の事績として、労使双方から昨年の夏の審議の際にお求めのあったものを御参考までに列記していますが、これにこだわらず、目安審議の中でも何か追加で御要望があれば、追加で御準備できるものはしていきたいというように考えております。資料NO.2については以上です。
○尾崎賃金課長補佐
続いて、資料NO.3を御覧ください。諸外国における最低賃金の状況や報告書についてです。こちらは、目安審議の参考となるように、厚生労働省において作成した資料となります。資料の説明に入る前に、まず大前提として、日本と諸外国では異なる点が多いという点について御留意いただければと思います。具体的には、諸外国と日本では、最低賃金の制度や水準、決定方式だけではなく、労働法制や雇用慣行、経済雇用情勢や他の政策動向なども異なっております。したがって、単純に引上げ率などの数字のみを見て比較するといったことは必ずしも適切ではないと考えております。そうした前提の下で御議論いただければと思います。
まず、2ページ目の表を御覧ください。今回、比較しているのはイギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、韓国の5か国です。これらの国では、制度の導入年、設定方式、適用除外の範囲などが異なっております。特にヨーロッパでは、若年者が適用除外等となっている一方で、日本では全労働者が適用されているところです。
続いて、3ページ目です。最低賃金の改定方法と決定基準についてです。アメリカでは、連邦法や州法の改正等によって、最低賃金を改定しているところです。一方で、他の国では、委員会で審議して政府が最低賃金を定期的に改定しております。表の下の部分ですが、改定の際の決定基準も各国ごとに異なっているところです。
続いて、4ページ目です。コロナ禍における諸外国の最低賃金の改定についてです。冒頭に申し上げたとおり、国ごとに事情は異なりますので、単純比較はできませんが、全般的な傾向としては、諸外国ではコロナ禍でも最低賃金の一定の引上げは行っております。ただし、新型コロナの影響も踏まえて、例年と比べると、引上げ幅は小さくなっているかと思います。
続いて、5ページ目です。引上げの根拠についてです。国ごとに事情は異なりますが、おおむね各国とも新型コロナの影響を踏まえつつ改定しております。例えば、イギリスでは、予想される物価上昇率を若干上回る水準としております。フランスでは、物価・賃金スライドによる自動改定のみで政府裁量による上乗せはしないといった判断をしております。ドイツについては、今後の経済回復の見込みも踏まえて半年ごとの改定としております。
続いて、7ページ目です。英独仏の3国では、最低賃金の改定に当たって報告書が提出されております。これらの国では日本と同様に、直近の経済状況なども踏まえて、労使と協議して最低賃金の改定を行っております。一方で、特にイギリスやドイツでは、過去の最低賃金の引上げの影響について、統計データや実証研究等を用いて多角的に検証をしております。
8ページ以降では報告書の要約を付けております。諸外国では、どのような指標を参照して改定がなされているかということが分かるかと思います。適宜御参照いただければと思います。
続いて、資料NO.4を御覧ください。最低賃金に関する先行研究・統計データ等の整理についてです。こちらの資料も目安審議の参考となるように、厚生労働省において整理をしたものです。
2ページ目の1ポツです。前回平成29年の全員協議会報告では、最低賃金引上げの影響に係る資料の充実についての記載があります。また、先ほどの資料NO.3で申し上げたとおり、諸外国では過去の最低賃金引上げの影響について、多角的に検証する報告書を公表しております。
2ポツ目ですが、こうしたことも踏まえて、今回最低賃金の影響を分析するに当たり、テーマを設定しております。雇用、生産性、地域間格差・地域間移動、賃金・消費、貧困の5つのテーマです。資料の※ですが、諸外国のレポートには、最低賃金の水準に関する国際比較や、最低賃金引上げの影響を受ける労働者に関する分析などが盛り込まれております。こちらについては、この資料の52ページ目以降で整理しております。こちらも適宜御参照いただければと思います。
また、資料の下のほうの先行研究の解釈に係る留意点、下線部の所ですが、外国の研究は必ずしも日本で同様の結果となるとは一概には言えません。このため、今回は、テーマごとに日本の最低賃金に関する先行研究と統計データを中心に整理しております。
3ページ目を御覧ください。最低賃金と雇用の関係です。1ポツ目ですが、ILOやOECDによると、最低賃金引上げの雇用への影響については論争があるとされております。また、最低賃金の適度な引上げが雇用全体に対して有意な負の影響を及ぼす可能性は低いと考えられる一方、脆弱なグループの雇用に対して負の影響を及ぼす可能性は否定できないとされております。
2ポツ目ですが、OECDによると、このような見解も最低賃金が妥当な水準に設定されているということが条件で、その妥当な水準というのは各国によって異なるといった留保もなされております。
3ポツ目です。日本の実証研究でも、最低賃金の引上げが雇用にもたらす影響については評価が分かれているところです。負の影響が見られないとするものと、一部のグループに対して有意な負の影響が見られるとする研究もあります。
4ポツ目です。これまでの最低賃金の引上げ率と完全失業率・有効求人倍率の推移を見ると、最低賃金の引上げがマクロの雇用指標にまで負の影響を及ぼしているということは、必ずしも確認できません。ただし、雇用環境の良い時期に最低賃金が引き上げられてきた傾向があることについては留意が必要であると考えられます。
それでは、4ページ目を御覧ください。最低賃金と生産性の関係です。1ポツ目ですが、最低賃金の引上げによって、生産性が向上するといった主張もあります。逆に、最低賃金の引上げによって、企業は設備投資を抑制し、生産性に負の影響をもたらすといったことも考えられるところです。
2ポツ目です。最低賃金と生産性の関係に関する日本の実証研究は多くなく、また、その評価も分かれております。
3ポツ目です。企業規模別に、各都道府県の1人当たりの労働生産性と地域別最低賃金額の間の相関を見ております。下の表を御覧いただければと思います。中小・小規模企業の労働生産性のほうが、地域別最低賃金との間により強い相関が見られるところです。このことから、地域別最低賃金額は、特に中小・小規模企業の労働生産性がより考慮されて決定されているものと考えられます。
続いて、5ページ目を御覧ください。地域間格差や地域間移動の関係です。1ポツ目ですが、日本では地域別最低賃金は、法定の3要素を考慮して決定されております。地域間格差は、直近で金額で見ると221円、割合で見ると78.2%となっております。
2ポツ目です。地域間格差については、物価や賃金の地域差を考慮して比較するような研究もあります。物価の地域差を考慮すると、地域間格差の割合は81.1%となります。名目額で見た場合よりも小さくなるものの、なお存在しているというところです。名目額で見ると、最低賃金の最高額というのは東京都になります。一方で、労働者全体の賃金水準の地域差を考慮すると、東京都は最も低くなり、他方でまた、パート労働者の賃金水準を考慮すると、東京都は中位程度となります。
続いて、5ページ目の3ポツ目です。地域間移動の関係です。日本では、最低賃金の地域間格差が労働者の地域間移動に与える影響を直接検証した研究は見られないところです。
4ポツ目です。統計データで見ると、まず①ですが、地方出身者の東京圏への移動理由には、仕事だけではなく、進学や家族に関連した移動もあります。また②ですが、最低賃金の影響を主に受ける非正規・中高卒労働者は、それ以外の労働者と比較して、仕事を理由とした移動は少ないといったことに留意が必要かと思います。したがって、東京一極集中の是正を考える上では、最低賃金以外の要素も含めて検討をしていくといったことが必要となってくるかと思います。
それでは、6ページ目を御覧ください。1ポツ目です。日本の実証研究では、最低賃金の引上げは、賃金分布のどの範囲にまで影響するかといったことは各研究によって異なっているところですが、少なくとも低賃金労働者の賃金を上昇させるような効果は確認されているところです。
次に、2ポツ目の下線部の所です。賃金分布について、2009年と2019年で比較すると、一般・パート共に、10年間で最低賃金額に近い賃金水準の労働者の構成比が増加しているところです。
3ポツ目の下線部です。都道府県別に高卒者の初任給額と最低賃金額の関係を見ると、一定の相関が確認されます。
4ポツ目は消費の関係です。日本の実証研究では、最低賃金の引上げによる消費への影響は直接検証した研究は確認できていないところですが、一般には、低所得者ほど限界消費性向が高いということが見られますので、引上げの影響を受ける労働者については、消費の拡大につながり得るということは考えられるかと思います。
続いて、7ページ目を御覧ください。最低賃金と貧困の関係です。1ポツ目ですが、平成19年の最低賃金法の改正で生活保護との整合性を考慮するといったことになっています。この規定を受けて乖離解消に取り組んだ結果、平成26年以降、一定の整理に基づいて比較した場合に、全ての都道府県で最低賃金は生活保護の水準を上回っております。
2ポツ目は研究動向についてです。日本では、最低賃金と貧困の関係の研究は主に最賃近傍雇用者の属性や所得などを世帯単位で分析するものが多くなっています。これは※ですが、例えば、最賃近傍雇用者の多くが仮に貧困世帯に属していれば、最賃の引上げというものが貧困解消に与える影響は大きい、そうでなければ、貧困解消への影響は小さいと言えるためであると考えられます。この貧困の定義についてですが、例えばOECDなどでは相対的貧困率といったものもありますが、最低賃金と貧困の研究の中では、必ずしも明確かつ統一的な定義というものが用いられているわけではないと存じます。そういった研究動向も踏まえて、我々のほうで最賃近傍雇用者を世帯単位で分析した結果というのがこちらの資料のとおりとなります。なお、ここで最賃近傍雇用者というのは、時間当たり賃金が地域別最低賃金の1.1倍未満の労働者という形で定義しております。
就業構造基本調査の特別集計結果を御覧ください。属性別に見ると、直近の平成29年の調査では、60歳未満の配偶者ありの女性は33.6%、男性は4.5%、60歳未満の配偶者なしの女性は17.3%、男性は14.1%、65歳以上が14.5%、通学のかたわら仕事が5.3%、最後に母子家庭の母は1.4%となっております。世帯所得を見ると、半数近くは世帯所得500万円以上の世帯に属している一方で、3割近くは世帯所得300万円未満となっております。就業調整の有無を見ると、2割強が就業調整を行っております。別の調査になりますが、最賃近傍雇用者のうち、家計内の最多所得者である者の割合は33.5%となっていて、家計内の最多所得者が最賃近傍雇用者の世帯は貯蓄額が低いといった傾向があります。
最後のポツです。こうしたことから、最賃近傍雇用者には、世帯所得の高い世帯に属し、就業調整を行う方もいる一方で、家計内の最多所得者として、世帯所得の低い世帯に属し、世帯の貯蓄額が相対的に低い方もいるといったことが示唆されるところです。
資料の8ページ以降は、今までの説明に関する参考文献やバックデータなどを付けておりますので、適宜御参照いただければと思います。委員の皆様からは、今年度の目安審議に当たって、今御説明したような資料を提出することについての御意見を頂戴できれば幸いです。事務局からは以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございました。今3つの資料の御説明を頂きました。そこで1つずつ皆さんからの御意見、御質問を受けていきたいと思います。まずは資料2、新型コロナウイルス感染症関係資料の追加資料(案)について御意見、御質問はありますでしょうか。橋本委員、お願いいたします。
○橋本委員
日本商工会議所の橋本です。資料NO.2の3ページ、右側の所に使側からの追加要望資料ということで幾つか載っておりますが、これに加えて次の資料を追加でお願いできないかと思っております。一つ目は、コロナ禍における中小企業への各種支援策の概要とその利用実績を整理した資料が頂けないかと思っております。二つ目は、雇用調整助成金に関連して、業種別、地域別、企業規模別での支給実績といった数字を教えていただけないでしょうか。三つ目は、「最低賃金に関する基礎調査」における業種別の影響率を教えていただけないでしょうか。この3点について資料を御用意いただけると大変有り難いです。以上です。
○藤村会長
はい、分かりました。今の橋本委員の御発言というのは、この3ページ、これは昨年の目安小委で追加要望があった資料ということですが、これに加えて今3つ言っていただきましたが、その3つを追加でお願いしたいということでよろしいでしょうか。
○橋本委員
そのとおりです。
○藤村会長
分かりました。そのほかありますか。新田さんどうぞ。
○新田氏
経団連の新田です。発言を許していただきありがとうございます。私は今の橋本委員の発言に補足して申し上げます。今し方、資料2の3ページの右側の使側から追加要望した昨年の資料に加えてというお話がありました。この使側の資料の一番下に、政府から経済界への雇用維持等に関する要請書というのを昨年、資料として出していただいております。これ以降も、政府から度々雇用維持に関する要請書を経済団体は受けております。雇用維持に加えて、今、就職採用に関しての要請というものも幾つか受けておりますので、就職採用に関する要請についても、資料に加えていただければという要望です。私からは以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございます。様々な要請が政府から経済界に対して出ており、その資料で特に就職採用に係る部分を追加してほしいということでした。そのほかありますか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員
佐久間でございます。今年もよろしくお願いいたします。私からも資料NO.2の中の、実は一昨年も申し上げてきたことなのですけれども、昨年はこのコロナの影響が始まってきて、そして特殊な事情ということがありました。
その中でまず中小企業の生産性を高めていくためには環境整備を図ることが必要であるということで、いろいろな補助金関係が出てきたと思います。資料の3ページのほうにも、労側の追加要望資料ということで、中小企業の生産性向上等に係る支援策というのが出ておりました。コロナの影響は、今年度も大いにある日常で、その環境整備というのは経済産業省、主に中小企業庁においては、ものづくり補助金や持続化補助金の助成事業が継続なり拡大されてきたと。
またコロナ禍においては、これはこれから始まっていくわけですけれども、事業再構築の補助金、また厚生労働省においては生産性の拡大というか、そういう枠を用意された、例えば業務改善の助成金とか生産性拡大を目標とした各種の助成金があると思います。全ての中小企業が利用できるよう環境整備をされたということで、機会は中小企業の皆さん平等にあるということはわかるのですけれども、実際に利用しているのは数%にすぎず、その事業を実施したところは、もうそろそろ結果が出てくるという時期になると思います。各省庁においてもそういう生産性の効果について数字をつかんできているのではないかと思っています。
中小企業庁においては、昨年の中小企業白書でも各種補助金についての生産性のマクロ的な全体の数字というのはつかんできているのですけれども、これは単に助成するだけではなく、その効果が出てきていると考えているので、助成事業についてどの程度ちゃんと個別企業ごとに出てきているのか。それを全体として取りまとめて教えていただけるような、何か資料がないものかという要望です。
労働生産性を構成する要素、この賃金の関係、そして利益部分というか、本当はそこの付加価値を上げてどれだけ賃金なりに、それから利益として配分されたかというのが分かれば、賃金に振り分けるものそして利益として積み立てて、それがまた設備投資に上がるものとかということで振り分けられると思いますので、そういう数字が出せるものであれば、今回は是非お願いしたいと考えています。以上です。
○藤村会長
分かりました。今の佐久間委員の御発言は、中小企業の経営実態がより分かるような資料で、幾つか追加ができないかということだったと思います。特にこの間、様々な補助金・助成金というものが政府から支給されていて、その効果がどれぐらい上がっているかという、その辺りの資料を要望したいということですね。佐久間委員、それでいいですね。
○佐久間委員
よろしくお願いいたします。
○藤村会長
はい、分かりました。そのほかございますでしょうか。労働側委員、だれが発言しますか。冨田委員。
○冨田委員
冨田でございます。御発言の機会を頂きありがとうございます。
今のやり取りをお伺いした中で、事務局になるのか藤村先生にお伺いするのか図りかねるところではあるのですが、今回の資料NO.2は新型コロナウイルス感染症関連資料は、今年度の目安審議でどのような資料を追加するのかという仕切りの資料であると、私どもは受け止めており、それに関しては4ページに追加資料として公益委員から御提案いただいた内容についてどうかというような確認を求められているものだと思っていました。
その点については、公益の先生方から頂いている案について、私どもとしてはこうした状況を追加いただくことについては必要だと思います。一方で、今ほどの使側の先生方からの御意見は、新型コロナ関連として、3ページ目の昨年の目安審議で提出された資料に対して、更にこういった資料を追加してほしいという御要望のほかに、全体の資料に対しても追加要望などを幾つか御意見として伺ったように思うのです。この場がそういう仕切りになっている場だと受け止めてよいのか、最初に確認させていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○藤村会長
私からお答えします。この目安小委員会でどういう資料を取り上げるかというのは、労使の合意に基づいて、取り上げる取り上げないを決めることになっています。今回、まずはこういう資料を要望したいのだけれどもどうだろうかというのを、労使双方からお出しいただいて、その上でこの資料は必要だ、あるいは必要ないという意見を頂いた上で決めていくという手順になっているかと思います。ですから今のこの時点では、割と自由にいろいろ言っていただくのがいいのかと考えています。冨田委員、いかがですか。
○冨田委員
ありがとうございます。そういった意味でいきますと、労側は今日は資料NO.2の3ページ目にある労側として昨年追加した資料を、今年の審議においても追加要望をするかも含めて、現時点でまだ検討している最中です。従って、改めて労側として追加要望する機会を頂戴したいと思います。
その上で、恐らく最後に使側から求めのあった資料に対して、労側としてどうかという御質問を頂くだろうと思いますので先んじて発言しますと、幾つかご提案のありました各種支援策の一覧や、新型コロナウイルス関係での雇用調整助成金の支給状況などについては、昨年私どもが求めて御提出いただいた資料であると認識しています。これらの資料は、今年も充実を図っていただくことが私どもも必要だと思っています。
その上で、新型コロナウイルスに関連するのかしないのかというところの線引きは難しいのですが、各種支援策の一覧の中には、賃金を引き上げるための業務改善助成金の支給実績も入っていると理解しているのですけれども、全体の数字だけではなく、各都道府県における利用状況なども分かるものを追加を頂きたいと考えていますので、先に申し上げたいと思います。
生産性に関する資料については、私どもが昨年要望した資料ですので、先ほどの佐久間委員の御発言の、拡充の部分も含めて是非お願いしたいと思います。
その上で中小企業の生産性向上に係る先ほどの様々な観点からすると、特に労務費の価格転嫁に関して、一昨年からスタートしていますパートナーシップ構築宣言の取組なども、中小企業の生産性を引き上げていくための後押しとして大変重要な資料ではないかと思います。先ほど、中小企業全体の経営実態が分かる資料と、藤村先生からおまとめ頂きましたが、事務局には中小企業の経営実態が分かる資料を幅広く御用意いただくように、今日の時点では労働側として要望させていただければと思います。
それ以外の資料については、参考資料や新型コロナ関連の資料の中身なども拝見させていただきながら、改めて要望する機会を頂戴できれば幸いに存じます。どうぞよろしくお願いします。
○藤村会長
分かりました。あくまでも労使の合意に基づいて、どういう資料を使うかを決めて議論していくということですから、今日はいろいろな御要望が出てきて、今日の時点で、じゃあこれでいきますと決められないと思っています。今日は全員協議会ですので、実際に目安審議が始まる前までにいろいろな事務局との調整もあると思いますので、そこで整理をした上でこれこれの資料を使うというのを、改めて決めることになるかと思います。
そのほかありますでしょうか。資料2についてです。よろしいですか。事務局からどうぞ。
○大塚賃金課長
皆様、御指摘いただきありがとうございました。今4人の方々から頂いた御意見を踏まえ、ものによっては中小企業庁などと相談してどういう数字等が出せるのか相談しつつ、目安小委員会の1回目までに今御意見あったものについては調整を図っていきたいと考えています。
また冨田委員からありましたように、目安小委員会の1回目以降に追加でもし御要望があったときには、それについても何が出せるか検討していきたいと考えています。
ちょっと1点だけ、一番最初に橋本委員から御要望のあった、追加とおっしゃった3点目の基礎調査の業種別の影響率の話があったと思います。こちらは、もしやるとすれば新規に特別集計を掛けなければいけないのですけれども、その場合に基礎調査がもともと業種別に出すことを念頭におかない状態で調査設計をしているということですので、これを業種別に特別集計するとなると十分な精度が確保できるのかなというのを、よく検討しなければいけないと考えています。
恐らく趣旨としては、規模が零細の企業の業種別の集計が念頭に置かれているのではないかと思われますので、もし可能であれば、例えば賃金構造統計基本調査、これは5人以上ということで1から4人は入らないのですけれども、こちらにきちんと業種別あるいは規模別で数字を入れた上でお出しするということも含めて、そういった代替データがあるかどうかも含めて、検討させていただければと考えています。事務局からは以上です。
○藤村会長
そういう事務局からの補足がありました。よろしいでしょうか。それでは資料NO.3です。諸外国の最低賃金の状況報告書について(案)というのがありますが、これについてはいかがでしょうか。御意見、御質問があればどうぞ。
今年の目安審議でこれを使うという意味ではなく、こういった資料も私たちは見ながら議論をしていく必要があるだろうということで、あくまでも全員協議会の場ではこういった資料を共有して議論を進めていくという、そういう理解でいいかと思います。よろしいでしょうか。
では資料NO.4です。最低賃金に関する先行研究・統計データ等の整理(案)です。これは今の諸外国の最低賃金に関わる資料と同じような扱いになるかと思いますが。様々な視点から研究者が分析をしていて、その分析結果も私たちは参考にして、議論をしていくことになるかと思います。よろしいですか。課長いいですか。
○大塚賃金課長
はい。
○藤村会長
では今の資料2、3、4についての扱い。特に資料2ですね。どういう資料、どういうデータをこれから追加していくかについては、引き続き検討していくことが必要かと思います。具体的には令和3年度、今年度第1回目の目安に関する小委員会、そこまでに事前に調整をしていただいて、参考資料としてどういう扱いをするかというのをそこで決めていくという形になるかと思います。よろしいでしょうか。
では、次に行きたいと思うのですが、続きまして議事次第の3「その他」です。この全員協議会については先に運営規程の改正を行い、オンラインでの参加も可ということになりました。他の審議会を見るとオンラインの参加も可ですが、そういう場合であっても議事自体も公開されるという取扱いになっています。
本日の会合では冒頭で会議を非公開とするということを決定し進行をしてきましたが、他方で目安に関する小委員会などについて審議の透明性を確保する。そういうことが要請されている部分もあります。
この際、事務局にお尋ねしたいのですが、審議会の会議の公開に関してはどのような取扱いになっているか、ほかの審議会の状況について教えていただきたいと思います。
○大塚賃金課長
賃金課長の大塚です。ほかの審議会におきます一般的な取扱いとしては、原則として会議、議事は公開となっていて、例外として例えば率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合ですとか、あるいは特定の者に不当な利益を与えて又は不利益の及ぶおそれがある場合などに限られています。こういった限られた場合に限って非公開の開催が認められるという運用になっています。
こちらの中央最低賃金審議会につきましても、運営規程をお付けしていますけれども、運営規程の第6条第1項に定めがあり、原則は公開ですけれども、第6条第1項ただし書きに非公開とできる事項が列記された上で、会長が非公開を決定できるとされています。
中央最低賃金審議会の本審は議事、資料、議事録ともに公開ですけれども、目安小委員会と全員協議会につきましては、資料と議事録は公開であるものの、会議の議事そのものは率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合に該当するという整理で、会議の冒頭で先ほど宣言されたように、非公開が決定されているという取扱いになっています。以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございます。そこで私から皆様に御提案ということになると思うのですが、この審議会で審議する内容というのは多分に労使交渉に近い部分も多く、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合に該当する場合が多々あると思います。
他方で審議の透明性の確保という観点も重要だと思います。事務局が最初に述べてくださった一般ルールとの兼ね合いからすると、この全員協議会や目安小委員会のうち少なくとも公労使3者が揃った全体会議の場については、原則通り議事を公開する方向で議論をするということも考えられると思いますが、他方で今は新型コロナウイルス感染症の防止の観点から、密を避けるべきだという要請もあります。
御案内のとおり目安に関する小委員会は、審議が長時間にわたることもありますので、少なくともこの夏の取扱いは現状のまま、会議非公開とすることも考えられると思います。労使の御意見はいかがでしょうか。是非、御意見をお聞かせいただきたいと思います。労働側からいきましょうか。どうぞ。
○冨田委員
ありがとうございます。今会長から御提案のありました内容についてでありますが、審議会の透明性を確保していく努力は労側としてもしていく必要が多分にあると考えていて、御提案のあった公労使3者が揃った場に限って会議を公開していくことを検討していくということについては異論はなく、そうした検討を進めていく必要はあろうかと思います。
他方で、中央の審議を公開するということになりますと、地方の審議をどうするのかということの関連性もあります。したがって、いつからかというような時期などについては、地方審議会の現状などを整理し、地方審議会の意見も聞いた上で、丁寧に進める必要があるということも併せて申し上げます。以上です。
○藤村会長
分かりました、ありがとうございます。使用者側の御意見はいかがでしょうか。日本商工会議所の橋本委員お願いします。
○橋本委員
橋本でございます。先ほどのお話で、私どもとしては、基本的には公労使の3者が揃った場に限って公開しても差し支えないと考えます。ただし、今年については、新型コロナウイルス感染症拡大防止ということから密を避けるべき、こうした要請があることを踏まえまして、先ほど藤村会長の御発言にもありましたように、この夏の目安小委員会については、現行どおり、議事非公開とすることが妥当と考えます。以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございます。労使双方から基本的な考え方を伺いました。それではこの夏においては会議は非公開のままでやむを得ないものの、秋以降の全員協議会の場において、現状を整理した上で公開したとした場合にその範囲や、地方最低賃金審議会との関係をどう考えるかという点も含めて検討をしていきたいと思います。
ところで、審議の透明性を確保するという観点で意見を伺ってきましたが、議事録の早期公開についてはいかがでしょうか。運営規程も改正され、議事録の署名の廃止というのもルール化されましたので、議事録の早期公開に向けた環境も一歩進んだように思います。この辺り議事録をできるだけ早く公開するという、そこはいかがでしょうか。労働側委員からお願いできますか。
○冨田委員
私どもも議事の透明性確保のために、議事録を早期公開していくということに対しては、我々の範囲でできる限り協力をしていきたいと思います。
○藤村会長
はい、ありがとうございます。使用者側委員はいかがでしょうか。これも橋本さんにお願いすればいいかな。あるいは佐久間さん、どちら。橋本委員どうぞ。
○橋本委員
議事録の早期公開については、先ほどのお話に全く異論はありません。私どもとしても協力していきたいと考えています。以上です。
○藤村会長
どうもありがとうございます。では議事録はできるだけ速やかに公開していくという方向でいきたいと思います。新田さん手が挙がっていますね。どうぞ。
○新田氏
経団連の新田です。皆様おっしゃっているとおり、議事録の早期公開というのは非常に大事なことだと思っていますので、この点に関して協力をしていくことはやぶさかではありません。是非進めていきたいと思っているところです。
加えて、以前から気になっていますのは、議事録の確認を求められるタイミングが実際の会合が開かれて時間がかなり経ってからということでございます。事務局では様々な業務を抱えておられて非常にお忙しいことは十分承知はしておりますが、是非早めに議事録を取りまとめていただいて、各委員に確認作業の依頼をしていただければとお願いするところです。私からは以上です。
○藤村会長
どうぞ大塚課長。
○大塚賃金課長
御指摘ありがとうございました。事務局のほうから労使双方の委員に対して、議事録の確認を求めるタイミングを従来以上に早めていくように努めてまいりたいと考えています。よろしくお願いいたします。
○藤村会長
どうもありがとうございます。ただでさえ長時間労働なのに、更にというのは心苦しいところはあるのですが、是非御協力いただきたいと思います。今日の議事としては以上なのですが、労使あるいは公益の先生方から何か御意見はありますでしょうか。もしあればお伺いしたいと思います。よろしいですか。
この全員協議会は本日が第1回ですので、ここで少し間が空きます。秋以降に再開ということになるわけですが、そこでの検討事項については、引き続き議論をしていきたいと考えています。では以上をもちまして、本日の全員協議会を終了したいと思います。どうも皆様お疲れさまでございました。