令和3年6月9日 第61回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和3年6月9日(水) 18:00~20:00

場所

WEB会議(厚生労働省 専用第21会議室(17階))

議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより、第61回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、及び令和3年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まずお名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、又はあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。現在、副反応検討部会委員9名のうち8名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
 全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
 なお、永井委員より御欠席する旨の御連絡をいただいております。
 また、健康局長の正林がほかの公務のため、欠席となりました。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は、退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
 本日の座長につきましては、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。
 それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾座長 それでは、事務局から、審議参加に関する遵守事項につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
 本日御出席された委員、参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
 本日の議題において審議される品目は新型コロナワクチンであり、その製造販売業者はファイザー株式会社、武田薬品工業株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。各委員からの申告内容については事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
 本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、全ての委員においてファイザー株式会社より50万円を超える受け取りはございませんでした。宮川委員が武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、意見を述べることはできますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。
 なお、本日の審議対象ワクチンの製造販売業者ではございませんが、現在開発中の新型コロナワクチンも含め、関連する製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取状況について各委員より申告いただいておりますので、この場で御報告いたします。
 石井委員、宮川委員は第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。
 引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も御確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 続いて、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1~1-5-2、資料2、資料3、参考資料1~4になります。
 不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○森尾座長 それでは、議題に入らせていただきます。
 まず議題1「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等」について、資料1-1-1~1-4-1について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 まず資料1-1、1-2を用いまして、対象期間中の副反応疑いの報告状況について御報告いたします。
 資料1-1-1「予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について」をご覧ください。
 今回の集計対象期間は令和3年5月30日報告分までとなっております。今回からモデルナの副反応疑い事例も報告されておりますので、コミナティ、モデルナそれぞれについて御報告いたします。
 まず2ページ目をご覧ください。
 左の表にコミナティ、右にモデルナの副反応報告状況をまとめております。マル1、週別報告件数の表の一番下の部分、合計(2021年5月30日現在)の行をご覧ください。
 まずコミナティになります。5月30日までの推定接種回数は1305万9159回接種、医療従事者、高齢者別の内訳につきましては、表の下の3つ目の※に記載しております。副反応疑いの報告件数は1万658件、報告頻度としましては0.08%となっております。前回の合同部会報告時が0.12%でしたので、前回と比べると約0.04%低い値となっております。うち、重篤の報告件数が1,260件、頻度としましては0.01%となっております。前回報告時も0.01%でしたので、大きな変化はございません。死亡事例につきましては122件となっておりますが、製造販売業者からの報告事例もございますので、こちらと併せまして、資料1-3にてまとめて御説明いたします。
 続いて、右に行っていただきまして、モデルナになります。5月30日までの推定接種者数が9万241回、副反応疑いの報告件数が17件、頻度としましては0.02%となっております。うち、重篤、死亡事例につきましては、接種開始以降、今回の集計対象期間中までには報告はございませんでした。
 なお、モデルナの5月17日から23日の週で推定接種者数が0回、副反応報告数が1件となっておりますが、推定接種者数の更新にラグがあるためで誤りではありませんので、補足させていただきます。
 5ページ目のマル4、副反応疑い報告の報告基準別報告件数の表をご覧ください。アナフィラキシーにつきまして、コミナティについては2月17日以降、モデルナについては5月22日以降を累計したものとなります。5月30日までに医療機関からはコミナティで1,263件のアナフィラキシー事例が報告されております。モデルナは報告はございませんでした。
 以降のページにおきましては、コミナティ、モデルナ別にこれまでの合同部会同様に性別、年齢別等の集計をしております。
 別の資料となりますが、各症例のラインリストについては、コミナティを資料1-1-2-1、モデルナを1-1-2-2という形で分けてお示ししております。
 続きまして、資料1-2-1「薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について」をご覧ください。
 こちらにつきましても、集計対象期間は5月30日報告分までとなっております。
 2ページ目の表の一番下の合計(2021年5月30日現在)の行をご覧ください。
 まずコミナティですが、報告件数について、製造販売業者からの報告につきましては重篤なものが報告対象となっておりますが、3,247件。頻度としましては0.02%で、前回の合同部会時と比べますと、0.04%でしたので、少し低い値となっております。死亡事例は80件としておりますが、こちらは資料1-3にて医療機関からの報告分と併せまして改めて御説明したいと思います。
 なお、モデルナにつきましては、今回の集計対象期間中は製造販売業者からの報告はございませんでしたので、以降の説明では省略いたします。
 3ページ目になります。
 アナフィラキシー事例の報告件数でございます。コミナティは2月17日以降、モデルナは5月22日以降の累積となりますが、コミナティでは1,157件報告されております。この1,157件につきましてブライトン分類の評価を実施しておりますので、後ほど資料1-4-1にて御報告させていただきます。
 続きまして、資料1-3-1「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(コミナティ筋注)」についてご覧いただければと思います。
 先ほど御説明させていただきましたとおり、今回の集計対象期間中にモデルナワクチンの死亡事例の報告はございませんでしたので、今回はコミナティのみの資料となっております。次回の合同会議以降、モデルナでも死亡事例の報告がございましたら、1-3-2という形にて同様の資料をモデルナについてもお示ししたいと考えております。
 まず初めに、これまでの本部会の御議論を踏まえまして、今回から死亡事例の資料構成を変更しておりますので、全体の構成から御説明したいと思います。
 1ページ目の概要から、2ページ目から19ページ目までの一覧表につきまして、変更はございません。
 変更点につきましては、最後のページである20ページ目となります。これまでは各症例の概要をおつけしておりましたが、これまでの部会の議論におきまして、個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、集団としてのデータを系統的に検討していく必要があるという御議論をいただいておりましたので、今回からは死因につきまして年齢や性別による集計を行った表を代わりにつけさせていただいております。
 それでは、資料1-3-1の1ページに戻っていただきまして、死亡事例の報告状況について御説明いたします。
 まず「1.報告状況」でございます。前回の合同部会以降、コミナティ筋注の副反応疑い事例におきまして、医療機関又は製造販売業者から死亡として報告された事例が新たに54件あり、2月17日から5月30日までに報告された死亡事例は計139件となりました。
 なお、上記に加えまして、今回の集計対象期間外となりますが、先週の月曜日から金曜日までの間に死亡として報告された事例が57件ありましたので、先週の金曜日までの期間では計196件となります。
 「2.専門家の評価」でございます。5月30日までに報告されました139事例を対象に専門家の評価を実施しております。結果はいずれもγでございました。
 12ページ目をご覧ください。
 No.86~196までが今回初めて御報告する事例となります。
 最後の20ページをご覧ください。
 今回の集計対象期間中までに報告がございました139事例につきまして、死因等の症状をMedDRAで表記したものを縦軸にしまして、性別、年齢別で件数を集計しております。年齢別としましては、65歳以上未満で分けるとともに、これまでの合同部会の議論におきまして、65歳未満も一律ではないので分ける必要があるという議論があったと思いますので、40歳前後ということでも分けてお示ししております。また、ここでは症状の件数で集計しておりますので、例えば一症例の報告書の中で複数の症状が死因の可能性があると報告された事例については、それぞれの件数を集計しております。したがいまして、ここでの総計は191件としておりますが、139例と一致していないのはそのような理由があるからになります。
 資料1-3-1の説明は以上となります。
 続きまして、資料1-4-1「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシー事例として製造販売業者から報告された事例の概要(コミナティ筋注)」をご覧いただければと思います。
 アナフィラキシー事例につきましても、今回はモデルナでの報告がございませんでしたので、コミナティのみ資料としてお示ししております。次回の合同部会以降、モデルナでも報告がございましたら、資料1-4-2という形で分けてお示ししたいと思っております。
 1ページ目、「1.報告状況」になります。前回の合同部会以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、製造販売業者からアナフィラキシーと報告された事例が新たに214件ありまして、5月30日までに報告された事例は計1,157件となりました。
 「2.専門家の評価」になります。この1,157事例を対象に専門家の評価を実施しておりまして、結果について表でお示ししております。概要につきましては、2ページ目の一番上の参考1の部分にお示ししております。ブライトン分類のレベル1~3の報告件数は1305万9159回接種につきまして169件、100万回当たりの報告件数ですと13件となってございます。これまでの推移につきましては、この後に資料1-5-1にてお示ししたいと思います。以降はブライトン分類レベル1~3に該当する169件につきまして集計しておりますので、適宜御参考いただければと思います。
 資料1-1-1から1-4-1までの説明は以上となります。
○森尾座長 ありがとうございました。
 それでは、資料1-5-1、1-5-2について引き続き説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 資料1-5-1及び資料1-5-2につきまして御説明さしあげます。
 まず資料1-5-1でございますけれども、資料構成といたしましては、最初のほうで死亡についての御報告内容となっておりまして、その中で出血性脳卒中に関して御議論いただくためのスライドを準備させていただいております。
 また、資料の最後のほうになりますけれども、現在、各当局で注視されております心筋炎関連事象に関してのスライドを準備させていただいております。こちらの出血性脳卒中及び心筋炎関連事象の各ラインリストにつきまして、資料1-5-2にまとめてございますので、そちらも御参照いただきながら御議論いただければと思っております。
 それでは、資料1-5-1につきまして御説明申し上げます。
 まず2枚目でございますけれども、新型コロナワクチンにおいて死亡として報告された事例の概要ということでお示ししております。今回よりモデルナ社ワクチンの報告も上がってくるということで、それぞれ上段にファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチンの御説明をさしあげております。
 まずファイザー社ワクチンでございますけれども、前回までの審議会におきましては、死亡として報告された事例は55件でございましたが、今回の審議会、5月30日までの時点、計103日間におきまして死亡として報告された事例は139件でございました。
 また、先ほど資料1-3-1の別紙2でも御紹介させていただきましたけれども、症状の概要に記載された死因等につきましては、さらに資料1-3-1の別紙2につきまして幾つかグルーピングをさせていただきまして、出血性脳卒中が31件、心肺停止が19件、心不全17件等となっております。先ほども御説明申し上げましたけれども、こちらの症状につきましては、同一症例に複数の死因等の記載がある場合は、いずれも計上しておるところでございます。
 また、5月31日から6月4日までは合計57件の報告が上がっているといった状況でございます。
 武田/モデルナ社ワクチンにつきましては、接種が始まりまして、5月22日から6月4日時点でございますけれども、現時点では0件という状況となっております。
 続きまして、3ページ目をご覧ください。
 こちらは、ファイザー社ワクチンにおいての日本における死亡として報告された事例の報告状況でございます。これまで海外との比較においての表ということでお示しさせていただいておりましたけれども、今回より日本での経時的な表もご覧いただけるようにお示ししております。
 今回の審議会までに死亡として報告された事例は計139件、100万人接種当たりに直しますと14.2件、100万回接種当たりですと10.6件といった状況でございます。
 従前より審議会のほうでも御審議いただいておりましたけれども、報告件数及び推定接種回数のところに表記がございますとおり、高齢者等接種の割合が増加していることによりまして、死亡として報告された事例の割合が増加している可能性が考えられるとしております。
 続きまして、4ページ目は海外の死亡例に関する最新の報告状況でございまして、ファイザー社ワクチンについてでございます。基本的には以前からお示ししております内容と大きな相違はございませんけれども、英国の報告は若干アップデートしてございますのでご覧いただければと考えております。
 続きまして、5ページ目でございますけれども、こちらは死亡として報告された事例の全体の傾向を見るためのスライドでございますけれども、先ほど御紹介しておりますとおり、1-3-2の別紙2についてグルーピングをしたところでございます。
 まず年齢別で申し上げますと、139事例のうち、65歳以上が118例、65歳未満が21例となっております。また、症状の概要に記載された死因等のうち、括弧内を65歳未満ということで内数として書かせていただいておりますけれども、出血性脳卒中31件、うち11件が65歳未満、心肺停止が19件、うち65歳未満が3件、心不全が17件、うち65歳未満が2件等となっております。
 こちらは、先ほども御説明申し上げましたけれども、注釈の3番にございますが、統的に死因等を計上していくに当たり、今回の資料より死因等の記載を対応するMedDRAPTに再分類の上、計上しております。
 また、参考となりますけれども、注意書きの2番にございますが、65歳未満の接種者あるいは接種回数の参考となりますが医療従事者等の推定接種回数といったところでございますので、こういったものを参考にしながら御審議いただければと考えております。
 続いて、6ページ目でございます。こちらは死亡として報告された事例におきまして、最も数が多い出血性脳卒中につきましてお示ししたスライドとなります。ワクチン接種後に出血性脳卒中を伴う死亡として報告された事例としてまとめさせていただいておりますけれども、接種開始から5月30日までに出血性脳卒中が死因と疑われるコミナティ筋注接種後の死亡例として報告されたものは計31件ございました。※にその内訳を書いてございまして、くも膜下出血13件、脳出血11件、脳幹出血2件等となっております。
 また、年齢群別で分けますと、40歳未満が2件、これは1例で脳出血及びくも膜下出血の記載がございましたため、1例分を2件として計上しております。また、40歳から65歳未満が9件、65歳以上が20件となっております。
 いずれの症例につきましても、専門家の評価においてはワクチン接種と症状との因果関係はγと評価されている状況でございます。
 なお、米国の報告によりますと、mRNAワクチンにおきましては、接種群と非接種群を比較した際に、現時点においては出血性脳卒中の発症頻度には差があるとはされていないということも確認しております。
 こうした状況を踏まえまして、7ページ目でございます。こちらは前回の審議会でも御紹介申し上げましたけれども、非接種群の参考となる値としまして、前回同様令和元年度の1年間の各疾病における年齢別の死亡者数は以下のとおりということでお示ししておりまして、こちらも御参考いただきながら御審議いただきたいと考えております。
 8ページ目でございますけれども、死亡例の報告状況及び因果関係に関する考え方についてということでまとめております。
 最新の死亡例の報告状況の整理でございますけれども、副反応疑い報告制度において、ファイザー社ワクチン接種後の死亡例として報告されたものは、接種開始から5月30日時点までで139件でございました。報告された症状等は出血性脳卒中、心肺停止、心不全等でございました。死亡例については、引き続き報告内容について透明性をもって公表するため、個人情報につながる情報を除き、報告情報を整理しながら可能な限り公表するとともに、併せて専門家の個別の評価も公表してございます。専門家による評価は、139件いずれもワクチンと症状名との因果関係は評価できないものとされております。
 こちらをまとめまして、2つまとめさせていただいておりますけれども、引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、データを系統的に検討していくこととしてはどうかということで、前回と同様のお諮りをいただければと思っております。
 また、全体を鑑みまして、死亡例の報告に関しては、被接種者の属性の変化や海外の報告状況も鑑みつつ、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということで御審議いただきたいと考えております。
 続きまして、9ページ目でございます。こちらからアナフィラキシーに関するスライドでございます。
 まず9ページ目が医療機関からアナフィラキシーとして報告された件数でございまして、従前より経時的なデータを示してございましたけれども、100万回接種当たりの報告件数としましては、直近が97件ということで引き続き減少傾向が続いております。
 また、10ページ目は製造販売業者からの報告、及びブライトン分類に基づき評価でございますけれども、こちらも100万回接種当たりに直しますと、製造販売業者からが100万回当たり89件、ブライトン分類で評価後は13件ということで、こちらも引き続き減少傾向が続いているといった状況でございます。
 続きまして、11ページ目は海外のアナフィラキシーに係る最新の報告状況についてでございまして、ファイザー社ワクチンについてでございます。従前はmRNAワクチンとして一部まとめて数字をお示ししておりましたところもございますけれども、こちらはファイザー社ワクチンということで、特に3段目の100万回接種当たり270件という記載のところにつきまして、これまでの審議会では両者を計上して記載しておりましたものを、ファイザー社ワクチンに細分化してお載せしているといったところでございます。また、英国の情報につきましては、最新の情報を若干ですけれどもアップデートしているといった状況でございます。
 12ページ目は、モデルナ社ワクチンについての日本のアナフィラキシーに係る医療機関からの報告状況でございます。現時点で医療機関からの報告のみとなっておりますけれども、現時点におきましては9万241回接種、報告件数としては0件といった状況でございます。
 ただし、こちらは注意が必要でございまして、武田/モデルナ社ワクチンに関しましては、医療従事者等が約1,000件、高齢者等が8万9000接種という状況でございまして、一方、ファイザー社ワクチンが医療従事者等が1回目接種が440万回接種、高齢者等が1回目接種530万回接種ということで、被接種者の属性が2剤で大きく異なるため、単純な比較が困難であるということにも御留意いただければと考えております。
 続きまして、13ページ目でございますけれども、同様に武田/モデルナ社ワクチンについての海外のアナフィラキシーに係る最新の報告状況でございます。こちらも英国におきましての情報がアップデートされておりますけれども、英国におきましては、米国と比較しますと総接種回数が限られておりますので、比較的報告件数に変動がございますので、そちらの点につきましても御留意いただければと思っております。
 14ページ目がまとめでございます。
 最新のアナフィラキシーの報告状況の整理でございますけれども、製造販売業者からのファイザー社ワクチンのアナフィラキシーとして報告されたものは、接種開始から5月30日までに1,157件、うちブライトン分類に基づく評価においては169件がアナフィラキシーと評価されております。
 また、ワクチン間において被接種者の属性や接種回数に大きく差があることに留意が必要であるが、武田/モデルナ社ワクチンは5月30日までにおいて医療機関報告は0件でございました。
 アナフィラキシーとして報告された例については、透明性をもって公表するため、報告件数をそのまま公表する一方、正確な評価も重要であり、引き続き国際的な基準に基づく評価を行っております。
 海外との比較においては、被接種対象者の違い、あるいは報告制度の違い等の理由から、単純な比較は難しい状況にあると考えられますが、接種後には一定の頻度でアナフィラキシーが生じます。
 また、経過としましては、アナフィラキシーとして報告された多くの例で引き続き軽快したことが判明しております。
 こちらを前提といたしまして、アナフィラキシーに関する論点といたしましては、武田/モデルナ社ワクチン接種開始後におきましても、新型コロナワクチンのアナフィラキシーとして報告された事例に関しましては、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等に留意しつつ、引き続きワクチンの接種を継続することとしてよいかということで御審議いただければと考えております。
 続きまして、15ページ目でございます。こちらは冒頭でも御紹介申し上げましたけれども、海外当局におきまして、現在その発生動向が注視されておりますmRNAワクチン接種後の心筋炎関連事象についての御紹介としておるスライドでございます。
 心筋炎関連事象に対する各国の報告・対応状況ということでまとめさせていただいております。まず米国でございますけれども、現時点までの心筋炎の報告は比較的少数であるものの、これらの症例は主に思春期・若年成人、かつ女性よりも男性、1回目接種よりも2回目接種後、典型的には接種後4日以内に生じやすいとされていますが、一方でほとんどの症例が軽症と考えられている。また、ほとんどの症例において薬物治療と休養が奏効し、迅速な症状の改善が見られている。報告例は主に16歳以上の思春期の若年男性であり、典型的にはmRNAワクチン接種後数日以内に発症し、1回目より2回目のほうが多い。コロナの罹患と関連して起こる重篤な合併症のリスクを踏まえると、CDCとしては引き続き全ての12歳以上にコロナワクチンの接種を推奨するというステートメントが出ております。
 英国におきましては、報告書では心筋炎・心膜炎については言及されておりませんが、自発報告の報告リストによればファイザー社ワクチンにおいて心筋炎が26件、心膜炎が22件、モデルナ社ワクチンにおきましては心筋炎1件が報告されております。
 EUにおきましては、現時点では心筋炎・心膜炎の症例がワクチンによるものであるという兆候はないが、引き続きファイザーワクチン、モデルナワクチンについて詳細なデータの提出を求めている。
 また、こちらには載せてございませんけれども、カナダのほうからも同様に、現時点でその因果関係こそ不明であるものの、心筋炎・心膜炎については引き続き注視を行い、情報収集に努めていくといったステートメントが確認されております。
 続きまして、16ページ目でございます。こちらが国内における新型コロナワクチンの接種後における心筋炎の関連事象ということで、ファイザー社ワクチンは数が集まっておりますので、少しまとめさせていただいております。
 こちらは医療機関から心筋炎関連事象を発症したとして報告された事例の概要でございますけれども、副反応疑い報告制度において、ファイザー社ワクチンの接種後の心筋炎関連事象(心筋炎・心膜炎)として接種開始から5月30日までに医療機関から報告された事例はトータル8件、7例でございました。
 注釈に書いてございますけれども、40歳未満の1例が心筋炎・心膜炎の両者の記載があるため、1例分を2件として計上しております。
 年齢群別では、40歳未満が6件(5例)、40歳から65歳未満が1件、65歳以上が1件という状況でございます。
 また、属性につきましても、少数ではございますけれども、まとめさせていただいておりますけれども、40歳未満にボリュームゾーンがございまして、男性、女性で分けますと、海外の動向と同様に男性5に対して女性が1という状況が確認されております。
 最後のスライドとなりますけれども、17ページ目でございます。こちらは国内外のmRNAワクチンの接種後における心筋炎関連事象についてというスライドと、それを踏まえましての全体のまとめのスライドでございます。mRNAワクチンにおいて発生状況が注視されている心筋炎関連事象につきまして、国内外による報告状況は以下のとおりということで、まだ現時点では数が限られておりますが、動向としましては、100万回接種あるいは100万人接種当たりの報告件数としましては、100万人接種当たりでいいますと日本は0.8件、100万回接種当たりでいいますと0.6件。米国、英国を参考値として載せておりますので、こちらも御参照していただきながらお諮りいただければと考えております。
 以上をもちまして、全体のまとめでございますけれども、死亡、アナフィラキシー及び心筋炎関連事象を含めた国内の発生状況については、現時点においてワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、引き続き国内外の情報を収集しつつ、新型コロナワクチンの接種を継続していくこととしてよいかということでお諮りいただければと考えております。
 以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 今まではファイザー社からの新型コロナワクチンだけだったのですが、今回からはモデルナ社のワクチンにつきましても加えていただきまして、また、年齢別のデータも示しながら、これまでの副反応疑い報告の状況について御説明をいただいております。
 事務局のほうから論点を示されていますので、これに沿って進めさせていただきたいと思います。
 順番を追っていきますので、まずは死亡事例からということでお願いいたしますが、2つ論点がございます。1つ目は死亡事例の評価方法についてでございます。2つ目はいつもの論点でございますけれども、現時点において引き続きワクチン接種の体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかどうかということでお諮りしたいと思います。
 まずは死亡事例の評価方法について御意見を頂戴したいと思います。これまで本部会におきましては、死亡事例の評価方法について議論を行ってきておりますけれども、今回からは、事務局には個別の症例、概要の報告に代わりまして、年齢、性別、死因別の集計表を作成していただいております。これは先ほどご覧いただいたとおりでございます。また、これに基づきまして、出血性脳卒中についても集計をいただいております。
 論点として挙げられておりましたけれども、引き続き個々の事例については専門家による評価を行っていくとともに、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討していくこととしてはどうかということでございますが、今回から違った形で提出いただいておりますけれども、これについてのお考えについて御意見等いただけたらと思いますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
 こういう40歳未満と40から65、65以上という書き方をさせていただいていますけれども、特によろしいですか。
 山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 ありがとうございます。
 実際の死亡例に関しての年齢は分かるとしても、やはり被接種者の年齢というのはまだはっきりとせずに、分母は未確定という理解でよろしいのでしょうか。
○森尾座長 分母の人数が分かるかどうかということでございますが、いかがでしょうか。
 事務局、お願いします。
○事務局 御質問ありがとうございます。
 まず医療従事者の接種については年齢別の人数がもともと取られていないものですから、どのようなことをしても困難であるというのが実情でございます。一般の接種につきましては、VRSというシステムで徐々にデータが集まってきますので、可能かどうかはまた今後の宿題とさせていただきたいと思います。
○山縣委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 この表を入れていただいて、年齢別に、40前後で切っていただいて非常に分かりやすいと思います。
 今度、12歳から15歳までの接種もファイザーのワクチンの場合承認されていて、まだそこまでは広がっていないのですけれども、そういった年代まで広がるようであれば、できればもうちょっと20以下などのカテゴリーも設けられると、さらに詳しく分かるのではないかなとも思っております。今の段階でしたらこの形でも非常に分かりやすいと思っております。
 以上でございます。
○森尾座長 濱田委員、ありがとうございました。死亡事例はこのままでわかるかもしれませんけれども、副反応とかになってきたときにもうちょっと40未満のところを区分けしてということもあるかなという状況かもしれませんね。
 濱田委員、これは課題としてでよろしいですか。
○濱田委員 副反応全体としてということなのですけれども、課題として今後考えていただければと思っております。
○森尾座長 ありがとうございます。
 事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 御指摘ありがとうございます。
 こちらの別紙2につきましては、その前のページまでのラインリストに基づいて集計しておりまして、そこで個別の年齢も集計しておりますので、状況に応じまして、例えば20歳以下とかといったものもお示ししたいと思います。
○森尾座長 適宜出していただくような形でいいかなと思います。どうもありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 モデルナのワクチンにつきましては、今のところ死亡もアナフィラキシーもないということですが、モデルナの海外でのアナフィラキシーの報告については13ページにまとめていただいているのですけれども、死亡については海外の例数が見当たらないようなのですけれども、まだ日本で死亡がないということで、今後それも出していただけるのでしょうか。
○森尾座長 事務局からいかがでしょうか。
○事務局 まだ現時点では確認していませんが、調べてできる範囲で出していきたいと思っております。
○伊藤(清)委員 承知いたしました。よろしくお願いいたします。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 今回、年齢別にまとめていただきまして、とても分かりやすくなりました。
 1つ質問させてください。もともと脳動脈瘤などをお持ちの方がいらっしゃると思うのですけれども、そういう方に接種をする場合に、今回のmRNAワクチンは炎症反応を強く惹起するワクチンなのですが、そういうことをきっかけに破裂するというようなことがあるのかないのか、その辺は分かっていることがあれば教えていただけたらと思います。もしそういうことがあれば、接種前の注意事項として、既に分かっている方については項目の中に入れていったほうがいいのかなと思いました。
 以上です。
○森尾座長 いかがでしょうか。病歴に入っているどうかということですよね。
 事務局、お願いします。
○事務局 ありがとうございます。
 6ページ目でもお示ししてございますけれども、まずこのmRNAワクチンにおいては出血性脳卒中の因果関係が海外でも比較において接種群、非接種群で差がないとされているという前提に立った上で議論を進めることが重要と考えます。確かに副反応疑い報告書において、既往歴等のところにそういった情報があれば出すことは可能だと思うのですが、逆にそこに記載がないからといって当該既往がないというところは言えないという難しさがあると思います。こうしたバイアスが入った情報を出すことが適切かどうかといった観点も必要かと思いますので、事務局のほうでも整理させていただければと思います。
○森尾座長 多屋委員、お願いします。
○多屋委員 ありがとうございます。
 今回報告された中にもともと脳動脈瘤をお持ちの方がいらっしゃったかどうかというのは、おっしゃるとおりで分からないと思います。それよりもむしろ、今後接種される方、高齢者の方がこれから多くなってくると思うので、そういう方の場合にもしもともと脳動脈瘤をお持ちであると予診票に書かれた場合に何か注意すべきことがあるかどうかと思って御質問した次第です。
 以上です。
○森尾座長 なかなか難しいですね。重要な視点だと思います。どうもありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、この方向性で引き続きデータを解析して提示していただけたらと思います。
 それでは、2点目でございますけれども、死亡報告についてという観点から、現時点で接種体制に影響を与える重大な懸念があるかどうかということでございます。今の報告を受けまして、死亡例の報告に関しては、現時点において引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかという点について、御質問、御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 にらみ合いみたいになっておりますが…。よろしいでしょうか。
 それでは、このような形で合意をいただいたということで進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、アナフィラキシーに移りたいと思います。ファイザー社ワクチン接種後のアナフィラキシーとして報告された事例について、御質問、御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 ファイザーのアナフィラキシーの割合というのも今回100万回当たり13人ですか。かなり低くなってきていると言えると思うのですけれども、あと、今回モデルナが初めて出て、これは0というのがミスリードになることを私は非常に心配しております。ファイザーのほうも下がってきているというのは、高齢者の接種が増えてきたということで下がってきているわけでございまして、決してモデルナもないわけではなくて、今、高齢者を中心にやっているということで発生が少ないと思うのです。
 その証拠に、資料1-4-1の2ページ目に書いてありますアナフィラキシーを起こしている方の年齢を見ますと、ほとんどが60歳以下になっているわけなのです。このデータだけからモデルナも安全だと、ファイザーのワクチンもアナフィラキシーが少ないと思ってしまうことは避けたほうがいいと思います。これから職域の接種が始まるわけで、60歳以下の方がどんどん打ち始めますと、またアナフィラキシーの頻度が上がってくることは十分に考えられます。もちろんこのまま進めていいと私は思うのですけれども、職域ではなおさら応急処置等ができにくくなりますから、その辺の緊張感を持って職域接種を広げていくことをメッセージとして出していく必要があるのではないかと思います。この値だけから安全と決して思わないでいただきたいと思います。
 以上でございます。
○森尾座長 貴重な御意見、ありがとうございました。ぜひこれは記録に残させていただいて、年齢的なことと、接種回数がまだ9万回ということもあり、ミスリードにならないようにという御意見と承りました。
 アナフィラキシーについて、ほかにはいかがでしょうか。
 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 今、濱田委員のおっしゃったことは非常に重要なことで、職域ですと嘱託医としてアナフィラキシーの対応というのが十分熟練されていない方もいらっしゃるので、あらかじめ対応に関して十分に周知していくことが非常に重要かなと思います。
 それから、モデルナの接種の会場を見にいったのですが、非常に元気な高齢者が多くて、遠方から来るということにもかかわらず、1時間以上も前に来て、それも歩く姿を見ると非常にすたすた歩いている方で、ファイザーの初期の施設の患者さんとは全く違う全身状態の方であるということを理解し、属性が違っているという事実を確認して対応していくことが重要なのではないかなと思った次第です。
 以上でございます。
○森尾座長 貴重な情報、ありがとうございました。アナフィラキシーに関わらず、ほかの副反応なども含めて、今回のモデルナの初期の段階の評価についてはそこら辺もよく考えて評価しなければいけないということと承りました。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。それでは、アナフィラキシーにつきましての議論はここまでとさせていただきたいと思います。
 それでは、そのほかの副反応についてということでございます。新型コロナワクチンの副反応疑い報告の状況につきまして御質問、御意見を承りたいと思いますけれども、今回、いろいろな副反応がある中で、特に海外の規制当局から報告がありました心筋炎の発生についてというところで資料も提示させていただいております。事務局において、それらの状況と、また、今回、日本での発生状況ということでまとめていただいております。
 まず、心筋炎について御質問、御意見をいただけたらと思っておりますが、いかがでしょうか。
 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
 単純な質問なのですが、日本での例えば100万人当たりの自然発生率みたいなものというのは心筋炎等ではあるのでしょうか。そういう参考値があると分かりやすいのですが、よろしくお願いします。
○森尾座長 こちらは事務局からお願いいたします。
○事務局 大変貴重な御指摘、ありがとうございます。
 御指摘のとおりで、バックグラウンドデータは大変重要な情報と思いましたので、疫学情報がないか少し検索させていただいたのですが、疾患の特性上、自然発生を捕捉するのがかなり難しい疾患かなと。委員の先生方も御存じかと思うのですけれども、いわゆる激烈な症状を起こすようなものであれば補足がしやすいかと思うのですが、今回は米国からの報告でもございますとおり、対象とされるのがいわゆる軽症の心筋炎ということで、ほとんどの例において薬物治療と休養が奏効して迅速な症状の改善が見られてしまう。こういった特性の疾患ですと、同等のバックグラウンドデータを集めるのがなかなか難しい状況と考えます。そういったところがこの心筋炎のバックグラウンドデータの捕捉の難しさであり、逆に海外当局としても非常に慎重なメッセージを出しているのは、そうした観点を踏まえた上で、注視しているといったメッセージなのかなと思っております。
 なので、現時点で事務局として考えておりますのは、ほかの疾患もそうなのですけれども、この心筋炎関連事象につきましても、17ページ目に載せさせていただいておりますように、海外との発症の比較であるとか、海外当局の見解も含めて総合的に判断していくことが求められているのではないかなと考えております。
○舟越委員 ありがとうございます。
 そうすると、心筋炎だけだとやはりすごく重症というイメージがインパクトとしてあるので、現時点ではそういった軽症とか薬物治療で早期に回復するようなものとしてワクチンの接種体制に重大な影響を与える懸念は認められないので、引き続き情報を収集するというほうがこの心筋炎に対するリスク管理については分かりやすいかと思います。
○森尾座長 ありがとうございました。
 山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 今の件に関連してなのですが、レセプト上ではこれを捕捉することはできませんか。薬物療法をして、しかも、それに対して診断名をつけるのであれば、それによってざっくりとどれぐらいの発生なのかというのは分かるような気もするのですが、そこのところはいかがなのでしょうか。
○森尾座長 事務局、お願いします。
○事務局 御指摘ありがとうございます。
 その視点は非常に重要かと思っておりまして、恐らくレセプトデータでそういったバックグラウンドデータを求めることは実際には可能かもしれないとは思っております。ただ、まだ現時点でそちらまで準備できていない状況ではあるのですが、そのレセプトデータで捕捉したものにおいても、恐らく自然発症よりかなりアンダーなデータが出てくるということを踏まえた上で、一方で、副反応疑い報告制度もアンダーな、ある意味自発報告なので、アンダー同士での比較ということになる前提の下で考えていく必要があるのではないかなと思っておりますが、そういった視点は非常に重要かと思っておりまして、事務局のほうでも考えておるところでございます。
○山縣委員 ありがとうございます。
 こういうデータを見るときのバイアスが何かということは、やはり専門家の中でしっかり見ていきながら解釈をするということだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○森尾座長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では、先に倉根委員、続いて多屋委員、お願いいたします。
○倉根委員 この心筋炎は今の説明ですと比較的軽いので、ほとんど大きな問題はなく回復するということなのですが、これから将来的なことになるのですけれども、この方たちが、今はまだ短い期間なのだけれども、将来的にこれが要因となって心臓の疾患が発生しやすくなるというようなことはあるのでしょうか。私はあまりこの領域の知識がないので、今伺っているのですが。今は短時間で回復しても、それは完全な回復と思って構わないのかという質問です。
○森尾座長 ありがとうございます。
 長期的な障害についてはどうかということでありまして、これは通常の心筋炎のフォローアップでもある程度参考になりますか。どうでしょうか。循環器の専門の方がいらしたら。
 事務局、いけますか。
○事務局 ありがとうございます。
 まだ事務局の見解というよりは、一般的な心筋炎の経過といった情報が必要かなと思っております。具体的には一般的なウイルス性の心筋炎というのがどういった経過をたどるのかという情報は集めていくのも重要かなと思っております。軽症のウイルス性心筋炎というのは、いわゆる後遺症を残さない、要は、例えばそれで心不全になってしまうとか、亡くなってしまうということではないものと考えられておりまして、先ほどお話ししたとおり、要は無症候であるとか、あとは発症しているけれども、実際には捕捉されていないものといったものがあるので、専門家と言われる方たちにおいてもなかなか表現が難しいとは思うのですけれども、そういった中でどういった経過を一般的にたどるかなというような情報を少し集めて、委員の先生方と共有しながら進めていくことが重要なのではないかなと思っておる次第でございます。
 なので、逆に言うと、こちらはラインリストとして載せさせていただいておりますけれども、こうした症例で当然重症のものがあれば、そうした重症の例の情報収集の姿勢とともに、一般的なバックグラウンドデータを求めていくという2つの方向性で今後進めていくことが重要ではないかなと思います。
○倉根委員 どうもありがとうございます。
○森尾座長 重要な御質問、ありがとうございました。特に16歳から20代で男性に多いという属性もありというところで重要な視点かと思います。
 では、多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。
 2つあります。思春期から若年の成人、特に男性の方に多くて2回目の接種に多いということが海外からも報告されてきているようです。日本の場合、資料1-1-1の医療機関報告なのですけれども、一番最後のページに、特に積極的に報告を求める疾患の中に心筋炎が入っておりまして、接種から何日目に報告されたかという表を載せています。実際に医療機関から5人報告されているのですが、皆さん5日以内の発症で、若年の成人の男性が多いというのも海外と同じ傾向だと思います。そこで、これから思春期あるいは小児、12歳以上への接種も始まりますし、職域の接種も始まりますので、情報を接種医の先生にしっかり伝えていくということが大事なのではないかなと思いました。
 あと、2つ目、皆さん軽快で回復されていたので、心筋炎はこんなに軽症だったかなと報告を見ながら思っていたところはあるのですが、もし心筋炎と診断されず、そのまま何となく見ていると重症になることがあるのでしょうか。あるいは、こんな症状があったら心筋炎を疑ってなるべく早くに医療にアクセスしたほうがいいですよと言ったほうがいいという情報はあるのでしょうか。
 この2点について教えてください。
○森尾座長 ありがとうございました。
 1点目は御提案、これから職域の接種なども始まるということも鑑みて、やはり情報を提供したほうがいいだろうと。これはこの部会の重要な使命の一つだと思っております。
 2点目の、後で重くなるような方がいらっしゃるかどうかというのは、ざっくりとした指針でよろしいですか。どこで判断をするのかという、これは恐らく診断の手引きみたいなものがないとなかなか難しいところもあるか、ということの御指摘だとも思いますけれども、お考えはいかがでしょうか。
 岡委員、お願いいたします。
○岡委員 ありがとうございます。
 本当に多屋先生のおっしゃったことはすごく大事で、接種医あるいは接種後に報告例で見ますと胸痛とか発熱とかそういうものを訴えられているみたいなので、そういう患者さんをご覧になった先生方が、もしかしたら予防接種と関係があるのかなと考えていただいて、心電図とか必要な採血をしていただくというようなことは必要なことなのかなと思います。海外の数値でも非常にまれですし、そんなに重くはないと思うのですけれども、多屋先生がおっしゃったように、それをもし見逃した場合に何か具合が悪くなるということがあるとやはりいけませんので、その辺りについては、ここにもいらっしゃいますけれども、循環器の専門の先生に少し教えていただけるとありがたいのかなと思っています。
 あまりそのことを強調すると、現時点で因果関係があるかどうかというのは確認されていないので、誤解も招くので、そこは本当に難しいところだとは思うのですけれども、ただ、私たちだけでその情報を持っているというのもやはり不適切だなと思いますので、後で後悔しないような情報発信の仕方はこの部会としても必要かなと思いました。
○森尾座長 岡委員、貴重な御指摘ありがとうございました。
 循環器医からコメントといいますか、ある程度の情報、あるいは広報にお手伝いいただくという点についての御指摘もあったと思いますけれども、事務局のほうからはいかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、循環器のドクターにとっても非常に捉えづらい症候群ではあると思うのですけれども、従前、アナフィラキシーについてもアレルギー学会の先生方に御登壇いただいたように、同じような取組が可能かというところについて事務局のほうで預からせていただきたいと思います。
○森尾座長 伊藤澄信委員、お願いいたします。
○伊藤(澄)委員 コホート調査で報告させていただいている2万人の中に、心筋炎の方がお一人いらっしゃいます。詳細をお伝えしたほうがいいのかどうか迷うところではありますが、3月に2回目の接種をした3日後に始まった症状で、報告を最初にみたときは本当に心筋炎なのかどうかと思った「急性冠症候群及び心筋炎疑い」として報告された20代の男性です。
 接種後、熱が続いていて3日後に胸痛があって、その翌日の4日後にアセトアミノフェンを飲んでも回復せず心電図をとったのだけれども、有意な所見がなかったのですが、心筋の逸脱酵素の上昇を認めて心筋炎を疑って入院されています。入院後、心電図でSTが上昇し、陰性のT波を認めたということです。今から考えると多分心筋炎だったという状況だと思います。
 その後、心電図とか心エコーとか心臓CTとかガリウムシンチとかもろもろ検査されていますが、特に異常な所見がなく、その翌日から発熱とか胸痛が徐々に軽快して、1週間後に退院されて、自宅療養後に職場復帰をされていて、今のところは問題がない。そういうのが今回の心筋炎の具体的な症例の動きです。今回研究班で持っている情報を開示させていただいているのは、この程度の心筋炎が起きていますが、これも血液の検査で心筋の逸脱酵素が見つからなければなかなか発見するのが難しいぐらいの程度だったと認識しております。
 以前はこれは心筋炎だろうかと確定ではなかったのが、こういう症例の積み重ねの中で、今から考えると心筋炎として典型的な症例だったのかと思っておりますので、逆にこういったものを心筋炎として捉えてきちんと報告いただければ、正確な頻度が算出できるのではという気がいたしましたので、この場で報告させていただきます。
 以上です。
○森尾座長 伊藤委員、貴重な情報提供をありがとうございました。やはりこのような情報の共有と適切な情報の発信がすごく重要だということを示唆することかと思います。
 いかがでしょうか。
 長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。
 実はインフルエンザに伴い臨床的に心筋炎と診断されることが時々あるのですけれども、我々病理医が解剖したりした場合、もしくはそういうものに伴って心筋生検をされてきた場合に、病理的に炎症細胞の浸潤を伴った心筋炎が起こっているということはあまりないことが多く、インフルエンザに伴う臨床的な心筋炎というのは、多くの場合、心筋浮腫が起こっているものが臨床的に心筋炎と診断されることがあります。そういうことを考えると、病理学的に心筋炎と診断をつけるには難しいこともあります。例えばサイトカインの誘導などにより、脳でそれが起こるといわゆるインフルエンザ脳症が起こるわけですが、それと同様のことが心臓で起こった場合には、臨床的に見ると心筋炎になるけれども、実際には心筋浮腫などということもあり、そういう場合には軽度で短期間で軽快することが多いです。そういう機序の可能性も考慮が必要かなと思いましたので、発言させていただきました。
○森尾座長 重要な情報、ありがとうございました。決して免疫細胞の浸潤とかがあるわけでもない、ないこともあるということですね。
 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 諸外国の報告など、今、長谷川委員がおっしゃったように、非常に軽微で、
心電図上に異常がなくても血液検査において反応があることで心筋炎や心膜炎を検出される例もあります。これは免疫反応の一つとして出現すると思います。臓器に強い障害がなくても心筋炎や心膜炎と診断される例が増えてくることが想定されます。新型コロナ感染症後に、スポーツ選手などで行った研究では、自覚症状のありなしにかかわらず、心筋炎や心膜炎があったという報告があります。感染症ではなく、ワクチン後の免疫反応としても、詳しく調べれば心筋炎や心膜炎の存在は確認されるのではないかと思います。心筋炎や心膜炎の症例の取り扱い方は非常に難しいかなと思いますので、慎重に考えていかなければいけないのだろうなと思います。
○森尾座長 貴重な御意見、ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 ますますもって、やはり専門家からの手引きなどが欲しいなという感じがいたしますね。
 長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 小児で循環器をやられている先生方は、そこら辺、例えばインフルエンザに伴った軽度の心筋浮腫とかといったものを心筋炎とは区別して考えている先生方もいらっしゃるので、そういう専門家の先生に御意見を聞くと、もしかしたらよろしいかもしれないと思いました。
○森尾座長 どうもありがとうございます。こちらは宿題としてぜひ検討させていただくべき内容かなと思っております。
 ほかにはいかがでしょうか。心筋炎についてはよろしいでしょうか。
 これは正式には心筋炎・心膜炎としていたほうがいいのでしょうか。
 事務局、お願いします。
○事務局 ありがとうございます。
 米国のほうで注目すべき疾患としてMyocarditisとPericarditisと完全に並列で記載しておりますので、海外とも合わせるほうがいいかなと思っておりまして、そういった意味で、心筋炎関連事象という形でまとめさせていただいているところでございます。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 ほかにはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 今、心筋炎関連事象について御議論いただきましたけれども、そのほかの副反応につきましても何か御意見がありましたらお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 岡委員、お願いいたします。
○岡委員 ありがとうございます。
 後で御説明があるのかもしれませんけれども、今度12歳から15歳までも認められるようになったということで、12歳から15歳は私の知識では多分日本でも治験もされていないというようなこともあります。例えば今ちょうど話題になっています心筋炎なども若年の男性に多いということで、その12歳から15歳がどうかということも、海外でもファイザーもそんなに大きな治験をしているわけではないですので、その辺り、今後海外で先行して12歳から15歳の集団接種が、集団ではないかもしれませんけれども、大勢のその年齢の方が接種をするので、そのデータでどういうふうな副反応が出てくるのかというのは非常に大事かなと思っています。我が国もどういう形で12歳から15歳の接種が進んでいくのか分かりませんけれども、そこのところのデータが非常に少ない中で始まりますので、そうしたデータを集めていく。国内でもやはりちゃんと報告をしていただくということはとても大事ではないかなと思っています。
 それから、かつて思春期に予防接種を打つということで、いろいろと有害事象が出現したこともありますので、そういう意味で、そういう年齢の子供たちに筋肉注射の予防接種をしていくという点についてもちゃんと情報を出していくことは非常に必要なのではないかなと思います。熱が出たりしてもびっくりする必要はないし、翌日は肩が痛くてもびっくりする必要はないといったコミュニケーションをしっかりしていかないと、混乱が生じる可能性があるというところはやはり必要かなと思います。
 例えば私どもの学会を通じてもそういうことは出していきたいと思いますけれども、行政としても出していただければなと思っています。
○森尾座長 岡委員、重要な視点をありがとうございました。12歳から15歳の接種ということで、後から接種かと思ったら割と接種が始まっているという状況もあり、やはり海外の事例のデータを収集していく。あとは、情報をしっかり発信していくことが重要だという御意見と承りました。
 これはいかがでしょうか。12~15歳のデータは、恐らく米国とかは割と早く集まってくるような感じですか。これは推測でしかないとは思うのですけれども、どこかからまとまって出てきたら早期に出していただいて、皆さんで共有するということでよろしいですか。
 ありがとうございます。
 ほかには副反応全般につきましていかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、これまで議論させていただいた内容をまとめさせていただきたいと思います。御一緒ください。
 これまで確認できた内容についてでございます。
 まず、副反応疑い報告の状況でありますけれども、コミナティの評価期間中の副反応疑い報告の頻度は、医療機関からの報告に基づけば0.08%であり、前回の合同部会時の0.12%からやや低い値となりました。
 また、今回からモデルナの副反応疑い事例が報告されておりますが、医療機関からの報告に基づけば報告頻度は0.02%でございました。
 次に死亡事例でございます。死亡事例の報告状況を整理させていただきますと、コミナティについては、前回の合同部会から集計対象期間である5月30日までに新たに54件の死亡事例の報告がございました。この54件に前回評価中であった30件を加えた計84件については、いずれも現時点では情報不足によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないと考えられています。また、31日から6月4日までには57件の報告がありました。
 なお、モデルナのワクチンにつきましては、接種開始以降対象期間に死亡事例の報告はございませんでした。
 今回新たに報告のあった事例を踏まえても、前回までと同様であり、現時点でワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられます。
 今後、さらに高齢者の接種が進むにつれて、新型コロナワクチンに対する社会的な関心の高さもあり、偶発的な事例や他原因による事例も含めて死亡報告が多く報告されることが想定されます。
 報告された事例については、これまでと同様に当審議会で評価を行い、状況を注視しつつ可能な限りの情報発信を行っていくことが重要でございます。
 また、死亡を含めた副反応疑い報告数が増加しつつある状況も踏まえまして、引き続き個々の事例について専門家による評価を行っていくとともに、年齢や性別等も含めた接種対象者の属性に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討していく必要があるということでまとめさせていただきます。
 アナフィラキシーについての報告状況を整理させていただきますと、接種開始から5月30日まで医療機関から1,263件、製造販売業者から1,157件の報告がございました。製造販売業者からの報告に基づくブライトン分類評価については、レベル1~3に分類されたものは169件でありました。アナフィラキシーとして報告された例は、引き続き多くの症例で軽快されたことが確認されています。
 以上のことから、アナフィラキシーとして報告された事例については、武田/モデルナ社ワクチン接種開始後においても発生動向に大きな変化はない。現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、両ワクチンの被接種者の属性等の差に留意しつつ、引き続きワクチン接種を継続としてはよいのではないか。
 接種後には一定の頻度でアナフィラキシーが生ずることを前提とした上で、引き続きこれまでの対策を継続するとともに、国内外の報告を注視していくことでよいのではないかとまとめさせていただきました。
 最後に議論いただきました、そのほかの副反応、心筋炎関連事象についてでございます。海外の規制当局において注視されている心筋炎関連事象については、我が国においても現時点においてワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念とはならないが、引き続き海外の情報を収集するとともに、日本における発生状況についても注視していく必要があるというのが一点でございます。
 委員の皆様から頂戴いたしましたのは、心筋炎についての情報の共有、そして、情報の提供が非常に重要であり、専門家の意見などを含めまして、何らかの形での発出が必要ではないかということでございます。
 3点目としましては、これは岡委員から御指摘いただきましたけれども、これから12歳から15歳の接種が始まる中で、副反応全体につきまして情報を提供していくということと、海外の12歳から15歳の予防接種における副反応等を含めた状況については、できるだけ適宜情報を集めて、それを共有することが必要であるということでございます。
 このようにまとめさせていただきましたけれども、過不足等ございましたら御意見を頂戴できればと思います。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 以上、今回報告のあった具体的な事例を踏まえ、2種類の新型コロナワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、御審議いただきましたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性について重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○森尾座長 どうもありがとうございました。それでは、審議はここまでとさせていただきます。
 次の議事に移りたいと思います。「新型コロナワクチンの先行接種者健康調査について」ということでございますが、資料2に基づきまして、中間報告(7)につきまして伊藤委員から御説明をお願いできればと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
 7回目になりました中間報告でございます。
 リバイスが大部分でございますが、5ページ目をご覧いただきますと、2回目接種者の人口統計学的な特性ですが、1万9627人で99.1%の方が2回目接種をされております。データの回収率ですが、1回目接種初日の日誌が99.6%、2回目接種の日誌が98.7%になっておりますが、なかなか100%になってございません。2回目接種後のデータは、前回報告させていただいたときよりも1.5%程度は改善しておりますけれども、調査施設にお願いして100%になるように努力中です。早めに最終報告ができるように努力したいと思っております。
 18ページまでは数字のリバイスですので、説明は省略いたします。
 17ページ、18ページはSAEと副反応の報告でございます。これらも変わっておりませんが、16ページの副反応14は先ほど説明させていただいた心筋炎のケースです。
 19ページ、20ページですけれども、今回は頻度が0.1%、すなわち1,000人に1人以上の副反応を一覧表として提示させていただきましたので、少し多めになっております。
 21ページ、22ページの接種直後のAEは変わっておりません。
 23ページは、使用薬剤についてのデータのリバイスをさせていただいています。1回目に飲んでいる人が799人だったのに2回目が2,637人という状況なのですが、足し算をしましても解熱鎮痛剤で3剤飲んでいる方もいらっしゃいましたので、単純合計にはなっていません。
 今回終了の報告者数が1万6922人から1万7736人に増えましたが、COVID-19の感染者数は増えていません。お一人SAE報告で上がっていた方の終了報告が出たので、前回は終了報告プラスSAEとしてしたが今回は終了報告だけになっておりますが、内容は変わっていません。
 今回、新しい報告をさせていただきます。24ページです。前回、永井委員から質問がありました、2回目接種をされなかった人の背景についての解析結果です。1回目接種1万9806名のうち、2回目接種をされなかった人は179人です。そのうちSAE報告があった人、重篤なAEがあった人は7人で、1回目の30分以内にAE、具合が悪かった人が11人です。この2つに重複はございません。SAE副反応報告、先ほど1916-18ページで示させてしている方34人のうち1回目に入院されたり副反応報告があったのは17人でしたので、この17人が解析対象になっています。1回目の日誌の未回収が75人いらっしゃって、その75人のうち、2回目接種をされなかった人が12人でした。1例はSAE報告、1例はCOVID-19報告、30分以内にAEありで日誌の回収ができなかった10人という状況です。
 こういった状況で解析しておりますが、2回目接種をされなかったけれど、8日までの日誌が回収できていた人が167例です。このうち全身倦怠感があった人が94人、全身症状があった人が118人、局所反応155例、疼痛が153例、発熱が35例でした。それらを2回目接種ありとなしで比較したのが右側の表です。倦怠感の表の下のところがありとありになっていますが、これはあり、なしの間違いでしたので、訂正をお願いいたします。
 2回目接種をされなかった人の年齢、性別についてスライドの左側に示しておりますが、女性が多く、若い人が多いのが分かります。これをロジスティック回帰分析しますと、1回目SAEがあった人のオッズ比が61倍、えらく高いのです。接種直後30分以内にAEがあった人は14.8倍で女性が1.9倍、年齢もシグナルとして出ています。これにいろいろな日誌の症状を代入してみました。3%ぐらいの人が発熱しているのですけれども、発熱があった人が6.5倍とでてきましたが、それ以外はシグナルとして検出できませんでした。ですから1回目接種後に熱が出たりして具合が悪かったという人たちが2回目接種につながらなかったということが分かりました。
 1回目日誌が未回収という項目を立てますと、予診票だけの情報ではシグナルは出ますが、日誌の情報を入れると、ロジスティック回帰では1回目の日誌が未回収では日誌のデータがないので、日誌未回収というデータが解析対象からはずれますので、それはしようがないと御理解いただいてければと思います。結論は1回目に接種された後に具合が悪くなった人は2回目を打っていなかったということで、右下に書いたとおりです。
 27ページはまとめです。データの整理をしておりますと、下1桁2桁は変更があるのですけれども、上から4つのポツで最後の高齢者の接種部位が78.51%になっていましたので、表記からいくと79%になるのですが、修正ができていなかったので訂正をお願いします。
 28ページからは、5月24日から始まりましたモデルナ筋注についての概略で、29ページが昨日までの症例の登録状況です。これは登録状況で、接種は5月24日からしているのですけれども、接種日ではなく登録時のデータとして表記しています。2,584人の人がデータベースに登録されておりますが、セキュリティーの関係でオンタイムでウェブ登録ができていないので、実際の被接種者数はこの数よりはもう少し多いと理解していただければと思います。
 30ページに人口統計学的な分布を出しております。自衛隊の方なので、前回、説明させていただいたとおり、男性が圧倒的に多いという状況です。現時点では副反応疑い及びSAE報告は上がってきていません。
 数値上の報告に関しては31ページをご覧いただければと思います。
 報告は以上です。
○森尾座長 伊藤委員、いつも取りまとめをありがとうございます。より詳しい小数例も含めたような御報告を頂戴したのと、あとは2回目接種に至らなかった方の解析をいただいて、今回モデルナワクチンにおける調査についての御紹介も頂戴したところでございますけれども、委員の皆様から何かコメント、御質問はございますでしょうか。
 よろしいですか。ありがとうございます。
 そうしたら、またどこかで第8回目ということになるかと思いますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、最後にその他として資料3「新型コロナワクチン(コミナティ筋注)の添付文書の改訂」についてということで、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料3をご覧ください。
 コミナティ添付文書の改訂について御報告いたします。
 コミナティの添付文書につきましては、5月31日に改訂が行われておりまして、先ほどご議論もありましたが、接種対象者の年齢の引下げなどが行われておりますが、この部会に関係する内容としまして副反応の項についても更新が行われておりますので、御報告したいと思います。
 更新点は「11.2 その他の副反応」についての2点でございまして、下線にてお示ししております。
 まず1点目ですが、改訂後の表の副反応の頻度の数字の部分に下線を引いております。今般、海外のI~III相試験における12歳から15歳の集団におけます試験成績が得られておりますので、このデータも踏まえまして、全体的に頻度がアップデートされております。
 また、2点目は右の表の右下の過敏症のところに線を引いておりますが、これまでアナフィラキシーや発疹につきましては添付文書に記載して情報提供しておりましたが、市販後の症例の報告の集積も踏まえまして、添付文書に追記して情報提供を行っておりますので、御報告となります。
 資料3の説明は以上となります。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明につきまして、何か質問や御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうも御提示ありがとうございました。
 それでは、全体を通じまして、何か御質問、御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
 今回の論点とか議題ではないのですが、コミナティに、あと、モデルナが始まってきまして、資料1-1-1とかのロット別の資料なのですけれども、これだけ今回のmRNAは女性のほうがとか、若年者、若い人のほうが副作用が出やすいとか、1回目よりも2回目のほうが出やすいということが大分明らかになってきている中で、ロット別の一覧の中の副反応の頻度、アナフィラキシーや死亡の率というものが属性とか年齢、性別といったものをある程度補正しないと、ロット間の傾向というのは、今、一覧表で見ていても分からないので、ただ、mRNAの特性上、ロットをずっと見ていく必要があるのかも今後議論していったほうがいいと思うのですが、表をいきなり急遽変量を入れて解析してくれとは言いませんが、今の段階ですと見ても評価ができない、難しいなと思っていますので、その点、引き続き御検討をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○森尾座長 ありがとうございました。
 ロットごとの評価ということで、どこまで行えるかというところもあると思いますけれども、事務局から何かコメントはございますでしょうか。
○事務局 御指摘ありがとうございます。
 どこまでできるかというのはありますが、考えて何かしらの形でお示ししたいと思っております。
○森尾座長 これ、1ロットは数百万接種ぐらいの感じなのですか。解析した頃にはもう終わっている感じなのでしょうか。
○事務局 例えば資料1-1-1の22ページにロット別の解析をお示ししておりまして、これは接種者数ではなくて、ロット別の納入数に基づいたものですが、それで、見ていただきますと、結構ばらついております。
 以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 重要な視点、どうもありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 今の表なのですけれども、初期に出たロットでは若干アナフィラキシーの報告頻度が多くなっています。ただ、これは後半に出たロットはまだ接種されていないということも十分考えられるのですけれども、せっかくブライトン分類で分類されていますので、このアナフィラキシーとして報告された方の中でブライトン分類で1~3の人がどうだったかというのは、もし可能であれば出していただけると非常に参考になるのではないかなと思いました。大急ぎということではありませんが、今だと4、5が入っているので、可能であればぜひお願いいたします。
○森尾座長 御指摘ありがとうございました。
○事務局 かしこまりました。検討いたします。
○森尾座長 考えてみると、ロットによって打たれる方の属性も変わっているかもしれないですね。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。本日の議事は以上で終了させていただきます。
 事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 本日は長時間にわたり、活発に御議論いただきましてありがとうございました。
 次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡さしあげます。
○森尾座長 それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。
 活発な御議論、どうもありがとうございました。