2021年2月25日第3回「障害者の就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」議事録

 

 
 
1.日時 令和3年2月25日(木)13:00~15:30
 
2.場所 オンライン会議(厚生労働省 職業安定局第1会議室)
 
3.出席者
菊池アドバイザー、眞保アドバイザー、阿部アドバイザー、網屋アドバイザー、石﨑アドバイザー、岡田アドバイザー、小幡アドバイザー、叶アドバイザー、久保寺アドバイザー、工藤アドバイザー、酒井アドバイザー、鈴木アドバイザー、藤尾アドバイザー、又村アドバイザー、松下アドバイザー、横堀アドバイザー、赤澤障害保健福祉部長、達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官、小野寺職業安定局障害者雇用対策課長、竹内障害福祉課長、小林障害者雇用対策課長補佐、石井障害福祉課長補佐、塩田人材開発統括官付特別支援室室長補佐(オブザーバー)、川口文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐(オブザーバー)、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部(オブザーバー)

4.議題
(1)これまでの議論等の整理について
(2)その他
 
5.議事
○菊池主査 お待たせいたしました。それでは、ただいまから第3回「障害者の就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
本日も前回同様オンライン開催としております。このため、議事に入る前に、改めまして、皆様の御発言につきましてお願い申し上げます。
議事進行中は皆様のマイクはオフ(ミュート)とさせていただきます。最初に私が発言を希望される方を募りますので、御発言を希望される方は「手を挙げる」ボタンをクリックしてください。御発言される方を私が指名させていただきますので、指名された後でマイクをオンにして御発言をお願いします。御発言の際にはお名前を名乗っていただき、可能な限り、ゆっくり、分かりやすくお願いいたします。また、マイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフ(ミュート)にしていただきますようお願いいたします。
その他、操作方法などについて御質問等ございましたら、随時事務局までお問合せください。よろしくお願いいたします。
それでは、事務局よりアドバイザーの出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○竹内障害福祉課課長 本日のアドバイザーの出席状況について御報告させていただきます。本日は全員出席になります。なお、阿部アドバイザーにつきましては、所用により、15時前に御退席される予定と伺っております。
また、高齢・障害者雇用開発審議官の達谷窟、障害保健福祉部長の赤澤につきましても、公務により途中退席させていただく予定です。
続きまして、資料の確認です。
本日の資料は、議事次第、資料1-1、資料1-2、資料1-3、参考資料1、参考資料2でございます。事前に御案内しております厚生労働省ホームページに全て掲載しておりますので、適宜ダウンロードし、御準備のほどよろしくお願いいたします。
このほか、叶アドバイザー、久保寺アドバイザー、工藤アドバイザー、酒井アドバイザー、鈴木アドバイザー、藤尾アドバイザー、又村アドバイザー、松下アドバイザー、横堀アドバイザーより机上配付資料を提出いただいております。
以上でございます。
○菊池主査 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
議題1につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○石井障害福祉課課長補佐 事務局、障害福祉課の石井です。
資料1に基づきまして、議題(1)の説明をさせていただきます。
資料1-1から資料1-3については、「論点を踏まえた議論等の整理(案)」として、前回第2回においてアドバイザーの皆様方に御議論いただいた内容について整理させていただいたものです。資料1-1につきましては、全体の構成を把握する上で項目を整理しているもので、
新たに項目としまして、「障害者就業・生活支援センターと地域の関係機関との連携」の項目を追加させていただきました。また、《雇用施策における課題について》というところで、「職業リハビリテーション機関」「障害者雇用率制度・障害者雇用納付金制度」についての内容を新たに追加しております。また、「新しい就労支援ニーズ」への対応として、《テレワーク等の働き方への対応について》、また、「3.他の分野との連携について」というところで、《医療分野との連携について》新たに項目を追加させていただいております。
では、内容について、御案内・御説明をさせていただきます。
資料1-3をお開きください。
加筆・修正させていただいた部分を赤字にさせていただいておりますので、主にどのような点を修正等させていただいたかというところを御説明案させていただきます。
なお、参考資料2に、加筆・修正した部分を含めまして、関連資料を新たに加えておりますので、適宜、参考資料も御参照のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、説明させていただきます。
資料1-3、まず大きな柱「現状の課題」です。現状の課題につきましては、新たに追加させていただきましたのは一番下です。一般就労の実現に向けては、障害者本人への支援に加えて、障害者を雇い入れる企業への支援も重要であるということで、企業ニーズにどのように応えていくか、そのようなものも課題になっている旨を追加させていただきました。
続きまして、大きな柱「議論等の整理」についてです。ページ少し飛ばさせていただきまして、2ページ目です。
基本的な考え方の部分で修正等を加えさせていただいております。前回、基本的な考え方としまして、雇用・福祉両者の制度上の違いにより支援の方向性等に隔たりがある、そういった御意見を頂戴したことを受けまして、皆様方にこれについての考え方を御紹介させていただいたところです。御意見いただいたものにつきまして、事務局で内容を整理させていただいております。3マル目です。具体的にどのような御意見があったかというところですが、例えば、3マル目の1ポツ目でございます。「福祉的就労の充実は重要だけれども、むしろ、それによって一般就労の実現が遠のくようなことがあってはならないのではないか」という御意見。また、「障害者にとって「働く」選択肢として、福祉的就労といった一般就労以外の働き方も存在していくことは重要ではないか。」といった御意見があったところです。
そういったものを踏まえまして、4番目です。以上を踏まえつつ、雇用と福祉の連携強化という本検討会の開催趣旨に照らせば、次のように整理されるのではないかということで、事務局でまとめております。読み上げます。
・「障害のある人もない人も共に働く社会」を目指し、障害者本人のニーズを踏まえ上で、一般就労の実現に向けて、障害者本人を含めすべての関係者が最大限努力すること。
こういった内容を雇用・福祉施策双方が共通認識として持つべき基本的な考え方として整理したらどうかという形でまとめております。
続きまして3ページ「基本事項」です。こちらにつきましては、一番下の部分で、今後の就労支援を検討していくに当たっては、各企業に義務づけられている合理的配慮の提供との関係にも留意する必要があるのではないか、そういった内容を追加させていただきました。
続きまして、3ページ下です。一般就労と就労継続支援の関係について、前回、各アドバイザーからいろいろ御意見をいただいたところです。そういったものを踏まえまして、改めて、一般就労中に就労継続支援を利用することについて、再度、皆様方のお考えをお伺いしたいと思っております。
では、前回、どのような御意見があったかというと、3ページ目下です。一般就労をしつつ、就労継続支援を利用することについては、1ポツ、就労継続支援が「通常の事業所で雇用されることが困難な障害者について、必要な訓練を行う事業」となっていることとの整理が必要なのではないか。また、2ポツ目、一般就労中であることから、まず障害者本人の意向や企業のニーズを第一に考えるべき話であり、どのような場面を想定しているのか十分整理する必要があるのではないか。そういった御意見を頂戴したところです。
また、一方で、一般就労中に就労継続支援を利用することについて、働き始めの一定期間において併用することは手厚い支援として運用できるのではないか。また、働き始めだけではなくて、一般就労中の一時的な不調等への対応としても併用することはあり得るのではないか、そういった御意見も頂戴したところです。
また、さらに、これに関連しまして、雇用施策に関する話として、1ポツ、雇用率の対象が週所定労働時間20時間以上の労働者となっているため、それを下回る短時間労働については雇用が進みにくいといった御指摘や、2ポツ目、就労継続支援を併用することで、結果として、従業員が週20時間未満の短時間雇用になった場合でも、雇用率の対象に加えるといったこともあり得るのではないか、そういった御指摘があったところです。
こういった御指摘を踏まえまして、改めて、2マル目です。一般就労しつつ、就労継続支援を利用することについてどのように考えるか、そのような形で論点を整理させていただいています。
以降、前回の資料におきましては、この後、就労継続支援A型の話または「みなし雇用」についての話を記載しておりましたが、これらは後ろのほうに移動しておりますので、この文脈からは削除しております。
続きまして、5ページ目です。(定着支援の実態とその実施体制について)につきましても、前回、各アドバイザーから御意見いただいたものを踏まえまして、内容を整理しています。いずれにしましても、ここの部分につきましても、3マル目です。改めて、定着支援における雇用と福祉施策の役割分担についてどう考えるか。また、現在、一定の役割分担の下、実施している定着支援の取組について、実態を踏まえて改善すべきことはないか。このようなことを再度議論いただければ幸いです。
また、現在実施している定着支援のうち、「特に」というところで、前回、御意見のあった障害者就業・生活支援センターと障害福祉サービスである就労定着支援との関係について、障害者就業・生活支援センターが障害福祉サービスである就労定着支援事業を実施するように、制度の見直しを検討することもよいのではないかといった御指摘がございました。これについて、どのように考えるかということを新たに追記しております。
また、次の5マル目です。障害福祉サービスの就労定着支援について、利用できる就労定着支援事業所が地域にないといった御意見、また、特別支援学校の生徒も就労定着支援の対象に加えてみたらどうか。そのような御指摘もあったところですので、これも新たに追記しています。
このほか、6マル目で、定着支援においては、医療機関との連携も重要であると御指摘があったところですので、定着支援において、医療機関との連携が必要なときに、必要な連携が確実に取られるようにするにはどのような課題があり、どのような形で解決すればいいか、そういうようなものを論点として新たに加えております。
5ページ目一番下です。また、特別支援学校の生徒さんに関する定着支援につきましては、前回、アドバイザーから、各地域で行われている取組について御説明がありましたので、そのような内容を追記させていただいた上で、6ページ上です。御報告のあった、既に実践されている事例も踏まえつつ、雇用・福祉・教育の連携について改めてどのように考えるか。そのような形で論点を整理させていただいております。
続きまして、新たに項目を加えたもので、障害者就業・生活支援センターと地域の関係機関との連携についてです。前回、第2回において、障害者就業・生活支援センターについて多数の御意見をいただいたところですので、内容を新たに追記させていただきました。
一番上です。障害者就業・生活支援センターについての内容です。障害者就業・生活支援センターにつきましては、障害者雇用促進法で規制されている施設であり、地域における関係機関の連携の拠点、いわゆるハブ機能を持つ機関として位置づけられているところです。
そういう意味からして、2マル目です。現在、障害者就業・生活支援センターについては、中小企業をはじめ関係機関からの期待が非常に大きい旨、記載させていただいております。
また、そのようなことも受けまして、3マル目です。特に就労支援機関が少ない地域においては、昨今、支援を直接実施する機関として支援ニーズが集中する傾向にあることを書かせていただいております。
これらを受けまして4マル目です。一方で、就労支援においては、課題の部分でも触れさせていただいておりますが、地域で関係分野を含む複数の関係機関による支援ネットワークを構築した上で支援をすることが重要であるというところです。障害者就業・生活支援センターが関係機関の連携の拠点であるということも受け、その支援ニーズについては、地域の支援ネットワークにおいて対応していく方向性で改めて整理していく必要があるのではないか。そういうようなものを論点として提示させていただいております。
また、そのように障害者就業・生活支援センターが関係機関の連携の拠点として機能していくためには課題となっていることがあるとすればどのようなことか。そのようなものを次のマルで記載させていただいています。
最後に、障害者就業・生活支援センターにつきましては、先ほど触れさせていただきましたとおり、障害福祉サービスの就労定着支援との関係又は障害者就業・生活支援センターが就業に伴う生活面での支援における基幹型として位置づけていくことも可能ではないか。そういった御意見が前回あったところですので、その旨を最後のマルに記載しているところです。
続きまして、主に加えさせていただいた内容ですが、7ページです。その他の部分ですが、前回、その他の部分で、通勤や職場等における支援について記載させていただいたところです。これにつきましては、利用実態を把握するとともに、好事例の収集・横展開を図るべきという御意見をいただいたところですので、その旨を新たに追加させていただいております。
また、その他としまして、8ページ目です。前回、発達障害、視覚障害、聴覚障害、高次脳、難病など、個々の障害特性に精通し、きめ細やかな支援を実施する体制が十分ではないという指摘がございました。併せて、例えば障害当事者の団体等によるピアサポートの活用も一つ考えられるのではないか、そのような御意見があったところですので、これについてどう考えるかということを加えさせていただいております。
また、ピアサポートの活用のほか、どのようなことが障害特性に応じた対応として考えられるか、そういうようなものも論点として加えさせていただいております。
続きまして、雇用施策における課題についてです。前回の御議論を踏まえまして、内容を2つに整理させていただいております。1つ目が職業リハビリテーション機関についてです。1マル目、こちらは企業ニーズが課題である旨、一番最初の柱でございます課題に掲げさせていただいておりましたので、企業ニーズに応えるために、ハローワーク等の職業リハビリテーション機関においてどのような支援が求められるかということを新たに追記しております。
また、2マル目です。地域障害者職業センターにつきましても、前回御意見をいただいたところです。他の機関では対応が困難な事例への対応に加えまして、就労移行支援事業者をはじめとする地域の就労支援機関における支援の質を高める。そのように地域の支援力向上を図っていくために、地域障害者職業センターにおいては、各支援機関に対する職業リハビリテーションに関する助言・援助等を積極的に取り組んでいくことが求められ、そのような旨を新たに追記させていただいております。
また、雇用施策における課題としまして、2つ目です。障害者雇用率制度・障害者雇用納付金制度についても新たに内容を整理させていただいております。
1マル目です。障害者雇用率制度の対象となる障害者については、現在、障害者手帳の所有者となっているところですが、その対象範囲を改めて検討する必要があるのではないか、そういった御指摘がございましたので、その旨を追記しております。
また、2マル目です。「みなし雇用」の関係です。前回の記載内容から少し後ろにずらさせていただきまして、さらに、「みなし雇用」に関しましては、その導入を反対する意見、または、その導入を視野に入れる必要がある意見、そのような2つの意見がございましたので、その旨を記載させていただいております。
最後に、障害者雇用納付金制度につきましても、その内容について新たに追記しているところです。障害者雇用が進展すればするほど財政状況が逼迫する構造的な課題を有していること。現行の納付金を調整金・報奨金等へ充当するという仕組みを見直す必要があるのではないかといった御指摘があったこと、そのようなことを記載させていただいております。
続きまして、9ページ目以降です。福祉施策における課題についてです。こちら、9ページ目下から就労継続支援A型の内容です。ページ飛びまして10ページ目です。就労継続支援A型につきましても、前回、多数の御指摘・御意見を頂戴したところです。いずれにしましても、今後、就労継続支援が進む方向としてどのようなものが考えられるかということを、引き続き、論点として掲げさせていただいております。
そのように御議論いただく上で、前回の御意見を踏まえまして、事務局で少し整理させていただいた内容を追記しております。上から2マル目です。例えばということで、就労継続支援A型と一言で言っても、その役割や性格について現行の一般就労の実現に向けた訓練等を行う場に加えまして、就労困難性の高い方々が働く場やキャリアトランジションの場面において一定期間働く場、そういったものも考えられるところです。就労継続支援という形で一くくりにまとめるのではなくて、そのような内容や企業に応じて類型化するなど、議論の整理をする必要があるのではないか、そのようなことを記載させていただいています。
具体的には3マル目です。「訓練の場」としての就労継続支援A型の役割と、「働く場」としての就労継続支援の役割の関係についてどのように考えるかということを記載しています。これにつきましては、第1回におきまして、アドバイザーから、なお書きの部分ですが、「就労継続支援A型については、一般就労を目指すような支援として展開するよりも、加齢等の影響により一般就労が難しくなってきた方が一定期間利用できるようにするほうが、障害者本人、企業ニーズが高いのではないか。」といった御指摘もあったところです。このように「訓練の場」としてのA型、「働く場」としてのA型、このような形で少し内容、機能に応じて類型化して、議論を整理できないかといった、そういった記載内容です。
続きまして、ページ飛びまして11ページ目以降です。新しい就労支援ニーズへの対応についてです。こちら、まず短時間雇用への対応につきましては、先ほど御説明させていただきました一般就労中に就労継続支援を利用することについて、再掲として記載させていただいております。
次に、キャリアトランジションへの対応について、12ページです。前回、在職障害者へのキャリアアップニーズへの対応ということで、どのような対応が必要かどうか、このような形で御議論いただいたところです。前回の御議論の中で、例えばということで、2マル目です。障害のある社員のキャリアアップに対する取組として、例えば対応可能な職種の幅を段階的に広げていく等々のそういった内容が議論の中で出てきたところです。
ただ一方で、3マル目です。これらの取組につきましては、企業内において個々に取り組まれるものであるため、外部の就労支援機関がどこまでそのニーズを踏まえた支援ができるかといった課題があること。また、4マル目です。地域障害者職業センターにおいても、直接的にそのような支援をするのではなく、外部人材を活用する、そういった支援でこのようなキャリアアップニーズへ対応している。そのような事例の御紹介もございました。このようなことを踏まえながら、キャリアアップニーズへの対応について、今後、支援の在り方を整理する必要があるのではないか、そのようなことを追記しております。
また、12ページ下です。キャリアアップニーズへの対応としましては、障害のある社員のスキルアップ機会の提供、そのような切り口もあるところですので、これにつきましては、職業能力開発校等の人材開発施策など既存施策の活用も考えられるのではないか。また、その活用を図るに当たり何か課題があるとすれば、どのようなことか。そういうようなことを新たに追記しております。
13ページ目中ほどです。加齢等の状況変化に伴う対応につきましては、前回、各アドバイザーの御意見の中から、特段それに反対する御意見はなかったものと事務局としては受け止めております。ですので、このため、今後、「雇用から福祉」への移行を想定した連携・取組体制を検討する必要性があるという形で、記載内容を修正させていただいています。
また、これらの取組につきましては、本人の意向を尊重することを第一にという御指摘がございましたので、その旨を新たに追記しております。
13ページ目下です。テレワーク等の働き方への対応について、新たに項目を設けてはどうかという御指摘がございましたので、テレワークの項目を新たに追記しているところです。1マル目において、テレワーク等の実施が進んでいること。そして、このような取組は障害者の就労の可能性をさらに広げるものであることということを書かせていただいた上で、2マル目です。一方で、就労支援現場に目を向けると、まだ通勤を想定した通所・対面での支援を基本としていることや、ICTの活用が不十分であることというものを記載させていただいております。
これらを踏まえて、障害者雇用におけるテレワークの推進、または、就労支援機関でのテレワークによる在宅就労を念頭とした支援の推進を図ることが必要ではないかという旨を追記しております。
また、これらの推進に当たって課題となっていることや、必要な支援はどのようなことかというものを、新たに論点として追記しております。
最後、大きな柱「3、他分野との連携」について。1つ目、教育分野との連携についてです。1マル目、特別支援学校等における長年の取組により、その卒業生の一般就労への就職は着実に伸びているところです。ただ一方で、下線部です。例えば、卒業後直ちに一般就労することのみならず、支援機関における一定期間の支援のもと、さらにスキルを身につけて一般就労を実現するということも選択肢としては一般的なこととして考えられるのではないか。そのためにも、支援機関においては、卒業時という一時点だけではなく、中長期的な視点を持って必要な支援を提案、検討していくことも必要ではないかということを記載しております。また、これらの前提としましては、雇用施策と福祉施策の連携(一般就労への移行)が確実に図られていくことが必要である旨を入念的に記載させていただいております。
以降、教育分野との連携につきましては、14ページ目下、保護者への対応につきましては、「働く」ことのイメージを明確に持っていただいたほうがいいという旨、御指摘がありましたので、そのようなことを書かせていただいております。
また、ページ飛びまして15ページです。特別支援学校以外の高等学校につきましても、雇用・福祉との連携が必要である旨、御指摘いただいております。一方で、特別支援学校ほど連携の取組ができておりませんので、改めて、こういった高等学校との連携についてどのように考えていくか。さらには、教育分野との連携ということであれば、大学についても連携先であるという御指摘がございましたので、最後のマルで、大学に係る記載を追記しております。
また、15ページ真ん中です。他分野との連携ということで、医療分野との連携も重要である旨、御指摘がございましたので、その内容を追記しているところでます。
15ページ目最後です。《その他》ということで、障害者の就労支援体系を検討していくに当たっては、生活困窮者自立支援制度といった隣接する施策との連携、関係整理も必要であるという旨、御指摘がございましたので、その旨を記載させていただいております。
また、2マル目で、現在、生活困窮者自立支援制度との連携した取組を実施している部分もございますので、その部分を記載させていただいております。
以上、前回の御議論を踏まえまして、資料として追記させていただいたところを中心に御説明させていただきました。全文章を通じまして、記載内容のうち、論点として提示している部分につきましては、下線を付しておりますことを申し添えさせていただきます。
以上、事務局からの説明です。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは、意見交換、質疑応答に入りたいと思います。
今回、前回にも増して多くの内容が盛り込まれております。残り3時半までということで、約2時間近くですが、意見交換、質疑応答に充てたいと思います。
なお、前回、事務局から御案内のとおり、この第3回までは、自由に御意見を伺うという回といたしまして、次回第4回からは取りまとめに向けた議論に移っていくことになります。このため、本日は、まだ触れられていない論点など、議論すべき内容がありましたら、どうか、この回で御発言いただくようお願いいたします。次回は、また、新たな論点をいただいてもちょっと対応できませんので、ぜひ、今回お願いしたいと思います。
それから、資料におきまして、下線のある部分、あるいは、どう考えるかという投げかけの部分が随分あります。この辺りは取りまとめに当たって、ぜひ皆様の御意見を伺いたいという趣旨の部分でありますので、ぜひ、その点を踏まえた御発言をいただきたいと思います。なかなか時間もございませんので、全体を通じて御意見をいただきたいと思います。それから、できれば二巡目の議論をしたいのですが、私を除いて15名のアドバイザーの皆様がおられて、均等に割ってもお一人8分でもう終わってしまうという物理的な限界がございます。その点も踏まえて御協力をいただけたらと思っております。
御意見がございましたら、Zoomの「手を挙げる」ボタンをクリックして合図をなさってください。
初めに、工藤アドバイザーから何か御意見をいただけますでしょうか。
○工藤アドバイザー 日本視覚障害者団体連合(日視連)の工藤と申します。御配慮ありがとうございます。
事前に机上配付の資料を配っておりますので、それに沿って発言していきたいと思います。参考資料として2つ付けております。
視覚障害者を取り巻くICT環境の問題と課題ということで、前回、最近のICTが急激に発展したことで、視覚障害者がアクセスできないというか、アクセシビリティーが確保されていないという話をしたのですけれども、それはどういうことかというのがなかなか分かりにくいということもあるかと思いまして、実は、認定NPO法人タートルというところですね。これは「視覚障害者の復職を考える会」という団体でもあるのですけれども、今、ICTを活用して働いている視覚障害者に対して、どういうことで今困っているのかということをまとめた資料です。これは、総括編と個別の全体版と2つありますので、後ほど、ぜひ目を通していただきたいと思います。
これは、困っていることの具体的な事例と、これは裏を返せば、合理的配慮として切実に求められている内容だと御理解していただきたいと思います。そういう意味では、視覚障害者を雇用している企業や支援団体に対しても、この情報を共有することは非常に意義のあることだと思っております。
それから、次の項目で書いていますけれども、デジタルトランスフォーメーション( (DX)という言葉は今、非常にトレンドになっているということらしいのですが、これは、経済産業省とか他の関係省庁にもこの問題は関係してくると思いますので、適宜、そういうところにも情報共有していただければと思っています。
そういう問題に、具体的にどういうふうに私たちは現状で対応しているかということについて、これは繰り返し述べてきていることですけれども、最近、仮想システムとかシンクライントというシステムが導入されていることによって、今までできていた仕事ができないとか、また、支援、サポートを受けようとしても受けられない。そういうことが実際起きております。
それで、実際にどういうふうに対応をしているかというと、それなりの技術的に対応できるジョブコーチ、専門家、本当に数少ない、1人か2人しかいないと思っていいと思うのですが、そういう人が、今実際に企業とか当事者からの要請を受けてそういう問題を解消していっているという状況です。
それと、これからどんどんリモート化が進んでいくと、こういう働いている現場で困ったときに、リモート対応の人的支援も模索していく必要があるのではないかと考えております。
次は3番目のところに移りますけれども、ここは雇用率制度にも関係する議論になってくるのですが、これは日視連としての正式見解ということではなくて、工藤個人が思っていることですけれども、最近の障害者雇用の取組を見ると、雇用率を達成することが主な目的化されてしまって、本当に、前回指摘されているように共生社会の実現という観点から障害者雇用がどうあるべきかということについて考えてみようということがあったのですが、これについては、平成30年に雇用率水増し問題が大きく発覚して問題になりましたけれども、そういうことを考えても、雇用率を何とか達成させようというところは一生懸命やったのですが、肝心の障害者がどういう状態で働いているのかというところにはちょっと目が届かなかったのではないかと、そういうふうに反省しているところです。
そこで、ちょっとまた見方を変えれば、雇用率制度が始まって相当になるわけですけれども、令和2年6月1日現在の民間企業の実雇用率が2.15%に達したということで、これは、私はちょうど国際障害者年のときに発病して障害者になって、ずっと障害者雇用に関心を持ってきた者として、今の2.15は夢みたいな話で、よくここまで来たなと感じています。そういうことで、この先2.3%が控えていますけれども、一度立ち止まって、むしろ雇用管理対策、雇用の質を高め、本当に障害者が生き生きと働けるような、そういう面での対策、そういうところにシフトした議論とか政策を打ち出していく、そういう時期かなと感じております。
次は4番目のところになりますけれども、これは事業主間における不公平感というタイトルをつけておきました。これについては、就労継続A型の問題ですね。ここに書いてあるようにビジネス化しているとか、A型は決して否定するわけではありませんし、A型は十分よい面をたくさん持っていると思っております。ただ、ここでもちょっと記したような、そういう問題を指摘されているところですので、それは押さえておく必要があると思っております。
それから、除外率の廃止についても、加速的に取り組んでいく必要があるのではないかと思っています。
次は、雇用・福祉双方の課題についてということで、これについては、障害者就業・生活支援センターは非常に重要な役割を担う機関だと思っております。ただ、地域における関係機関の拠点といったときに、視覚障害者にとって支援のための社会資源が少ないところに視覚障害の特性を熟知した人材が配置されるのか、その辺もぜひ一緒に解決できるような方向に持っていってほしいと思っています。
次は6番目のところですね。ここは職業リハビリテーション機関についてということで述べたいと思います。これも繰り返し述べてきていることですけれども、視覚障害者にとっては、人材が少ない、訓練するところが少ない、これは本当に口が酸っぱくなるほど述べてきましたけれども、ただ、そういう中でも視覚障害者のそういう支援を求めていることに対応していくためには、施設とかそういうところが少ないだけに、広域で活動することを担保するような財源ですね、そういう措置をすることで解決に導いていけるのではないかと思っています。
あとは、定着支援と職業訓練の関係ですけれども、職業訓練と言うと、半年とか1年長期間ということになるのですが、新規就職のときにはそういうこともばっちりやって就職ということはぜひやってほしいと思いますけれども、実際働いていて、途中で障害になったとかといったときに、ちょっとした短期間のフォローでそこを乗り越えていけるような場合があるのですね。現状ではそれさえなかなか支援を受けられないという状況がありますので、そこに文章で書いていますけれども、小刻みな支援、簡素な手続で簡単に利用できるような、そういうスキームも検討していくべきではないかということを問題提起しています。
視覚障害者のジョブコーチは少ないので、職業センターのその役割の強化についてというところで2つ提案したいと思います。1つは、拠点となる職業センターを全国に2~4か所くらい定めていただいて、そこに視覚障害専門のジョブコーチを配置する。広域的に活動できるようにしてはどうか。例えば、国立リハビリテーションセンター学院に、ここには視覚障害学科は2年コースで専門的に視覚障害のことを勉強した専門家がそこで誕生しますので、そういう方を採用していくとか、そういうふうにしていくと実現の可能性はあるのではないかなと思っています。
やはり何と言っても職業センターのカウンセラーの知識・経験・ノウハウは非常に高いものがあると思っていますので、それがもっと地域のいろいろな支援団体・支援機関と共有する、そういうふうなことをやっていただければということ。
それから、障害当事者のノウハウ、それも捨てたものではありませんので、ある意味では障害当事者はそれなりの一番の専門家でもあると思いますので、ピアサポートの活用、そういう仕組みもぜひ活用できるようにしてほしいと思います。
次は、手帳に該当しない障害者というところで、一人実例を紹介しておきたいと思います。視覚障害の場合には、いわゆる眼球使用困難症というのがあります。これはまぶしい、眼瞼けいれんということで、実際は目をほとんど開けておれないということで、二重にアイマスクをしたりとか、本当に真っ暗な部屋に遮光カーテンを掛けてとか、それから、感覚障害が出たりとかいろいろな障害も重複したりするのですが、視覚障害以上に重度化されているのに手帳には該当しないということで、雇用・福祉の恩恵が受けられない、支援が受けられないということがありますので、雇用率にカウントしてほしい、雇用の面でも障害者で就職できるような、そういう支援がほしいという声が非常に根強くあります。
次は財源に関係することですけれども、今、納付金制度と雇用保険の事業を財源としているわけですけれども、納付金制度については、障害者雇用が伸展すればするほど雇用納付金が枯渇するという、そういう構造的な矛盾をはらんでいますので、安定した政策を実行するためにも、一般財源の導入を検討すべきではないかということです。
○菊池主査 工藤アドバイザー、申し訳ありません。もう15分になりますものですから、少しおまとめの方向でお話しいただけますでしょうか。
○工藤アドバイザー 分かりました。すみません。
キャリアトランジションということでは、視覚障害の場合には、ちょうど40代、50代で発病することと、進行性であると、そういうことに着目して、それも考えてほしいということが1つですね。
それから、医療との連携というところでは、産業医との連携を考えてほしいということ。
以上です。
○菊池主査 ありがとうございます。
それでは、阿部アドバイザーが先に御退席されるということですが、御発言、先になさいますでしょうか。
○阿部アドバイザー 早めに退席させていただくために、先に指名いただき、ありがとうございます。3つか4つのことについてお話ししたいと思います。
この在り方の検討会に参加させていただいて、様々な好事例を知ることができました。先には、千葉県の特別支援学校とナカポツセンターの例とかなども含めて、そういう好事例というのは、どうやってその企業の方々、働く障害のある人、保護者の方々に届くのかなということです。それがすごく大事なことだと思いまして、それについては、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が事例の収集に当たっていることは存じ上げていますけれども、具体的に地域では、この事例をどういうふうにして共有しているのだろうか。事例の共有こそがすごく大事なことではないのかなということです。保護者の方の心配という話もありました。これにつきましても、やはり事例ということが大事です。
そして、今、工藤さんのお話の中でも、ピアサポートということがありましたけれども、働いている障害者の声も、また、事例として心強いものだと思います。その周知の仕方について、また、お話しいただきたく思いますし、そういう工夫も大事だということです。
それから、私もそうですけれども、障害がある者の悩みは、意外とささいなことからあるようにも思います。お話を聞いたときには、知的障害の方々からは、休み時間の過ごし方、食事のとき独りぼっちだということとか、あとは、聴覚障害の方々からは、一人だとコミュニケーションできない孤立感というふうなこともあります。これらについても様々な事例が参考になるのかなということ。そして余暇活動はとても大事です。休み時間がつらい。だから、一般就労をやめてしまったという人の声を聞いたので、そういうことがないようにすることが大事だと思いました。
また、テレワーク、リモートワークの重要性は工藤さんのお話にもありますけれども、例えば私たち、下肢障害で移動困難な者にとってはとても大事なことだと思います。これからの私たちの国の人口減少、過疎化、交通移動手段の困難性ということを考えても、それぞれの障害に合った取組の中で、このテレワーク、リモートワークはとても大事なことだと思います。幾つかの事例、この頃お話を伺ったことがありますけれども、大きな企業で、障害ある人のテレワークの事業所を特例子会社として立ち上げたというようなことなどもすばらしいことだと思いますし、そこで働いている人の声を実際に聞きましたので、これはとてもいいことだなと思いました。
それから、先ほど出ていますけれども、納付金制度。働くことが実現することによって調整金・報奨金ということになってしまう。でも、前にもお話ししましたけれども、環境整備が整うことによって作業工程の単純化というか、分かりやすくなって働ける人はとても多くなるし、そういう事例はかつてはとても多かったのですが、今は財政難で厳しいということを聞くにつれ、環境整備の機器整備についての財源的手当てができればありがたいと考えます。今度はそれが障害者のためだけではなく、一般化していくことによって、いろいろなところで入手できるような環境整備の在り方も検討していく必要があるかなと思いました。
それからもう一点です。高校、大学の学生さんの就職はとても大事なことであって、私もそういうところにも勤めているのですけれども、身体障害の人の就職は比較的早く決まります。でも、精神障害の方とか発達障害の方は、なかなか企業の理解が少なくて、すぐには決まらない。ただし、移行支援事業所で働きながら、その方の持てる力を理解していただいて、企業で就労できたということがありますので、精神障害の方々、発達障害の方々の理解、本人のできることというか、持てる力をどう発揮するか。その持てる力について、企業の方々と共有できるととてもいいのかなと思いました。
すみません。大急ぎで話しましたけれども、以上です。よろしくお願いいたします。
○菊池主査 ありがとうございます。
それでは、お手をお挙げいただければと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、久保寺アドバイザー、又村アドバイザー、松下アドバイザーの順番で。まず久保寺アドバイザー、お願いします。
○久保寺アドバイザー 全Aネットの久保寺です。よろしくお願いします。
それでは、机上の資料を共有したいと思いますが、よろしくお願いします。
2ページの就労支援における基本的な考え方についてであります。4つ目のマルで、先ほど石井さんが御説明しましたように、4行目に「『障害のある人もない人も共に働く社会』を目指し、障害者本人のニーズを踏まえた上で、一般就労の実現に向けて、障害者本人を含めすべての関係者が最大限努力する」ということでありました。そのとおりだと思うのですが、ただ、印象として一般就労ありきの印象を持ってしまいます。その上で、「本人のニーズを踏まえた上で、就労アセスメント結果の実現に向けて」としていただけるとありがたいなと、これは希望でございます。
それから、2つ目の黒マル、それから3つ目ですが、特に3つ目、名称については「継続」を削除すべきではないかと思います。
それから、2つ目は、障害者就業・生活支援センターの話でございます。3つ目のマルで、他機関との連携の課題についてということでございますが、1つ目の黒マルです。これは現状ですが、登録者の増加で基本的にオーバー気味だという話を聞きます。地域ネットワークのハブ機能を担うのか、定着支援の個別支援を担っていくのかということで、現場では葛藤があるように聞いています。業務の過多にならないよう、業務の整理も必要ではないかなと思います。
それから、これは提案ですが、2つ目の黒マルになります。障害者就業・生活支援センターを強化し、障害保健福祉圏域に1か所の地域の障害者就業支援ネットワークのハブ機能に特化し、就労支援の相談窓口の一本化を図るということをしたいと思います。
その次の黒マルですが、窓口を一本化することにより、就労アセスメント等については、相談事業所に実施を依頼するということにしたらどうかなと思います。それから、相談支援事業所、ハローワーク、市町村、地域職業センターも加わって合同チームをつくって、そこでサービス利用計画を決定する制度にしたらどうかなと。ある程度強制力を持たせるというようなことを提案したいと思います。
それから、3つ目ですが、定着支援についてです。4つ目のマルで、「障害就業・生活支援センターにも、就労定着事業が実施できるようにとの意見について」であります。先ほど説明しましたように、ハブ機能に特化するということを考えると、定着支援事業所の支援期限を延長するようなことを考えたらどうか。その決定については、合同チームで検討するというようなことにしたらどうかなと思います。
それから、次の黒マルですが、これは各事業種の横断的な併用あるいは移動が柔軟的にということですが、全く賛成でございます。特に定着が図られるという意味で効果的ではないかと思います。
それから、次の黒マルですが、これは、定着支援事業も企業側にも利用できるようにしたらどうかなと思っています。
それから、4つ目に、これは就労継続支援A型事業についてですが、1つ目から4つ目のマルについてであります。1つは、これはA型の役割について、利用者のメリットについてですが、これは前にも指摘をしましたが、福祉的支援を受けながらの労働者であること、賃金と年金を合わせて地域で自立した生活ができること、事故やけが・失業などに際して、労働関係助成金が保障されるということであります。
それから、2つ目のマルですが、A型事業所の就労支援体系での立ち位置についてであります。少し福祉サイド側にシフトも必要かなということを考えています。1つ目のポツでは、利用者は労働法規を完全適用されます。しかし、一般就労が難しい障害者であり、一部の免除も必要かもしれないということで、例えば、労働時間で判断される社会保険加入の義務等も免除されてもいいのではないかなと思います。
2つ目のポツは、事業所のメリットです。これも前に指摘をしましたが、納付金制度の調整金・報奨金の対象についても、一定の枠はやはり必要なのは妥当かなと思います。
その次のマルですが、5つ目のマルになりますけれども、これはA型と特例子会社で働く障害者の違いについてであります。1つ目は、特例子会社は本質的に一般就労であるということです。ただ、その多くは、本体企業と労働する条件が違ったり、人事交流がなかったり、障害者に特定な環境で働いてもらう子会社であるということであります。障害者については、働く障害者は、社会生活が自立していて、しかも、職業面でもジョブコーチの支援も限定的になると思っています。
一方、A型は福祉制度の就労支援事業であります。4行目に行きますけれども、たとえ社会的に自立していても、それは限定的なものであり、少なくとも見守り程度は必要です。また、多くの利用者は人間関係の構築に一定の時間を必要とし、時には刺激の少ない環境設定を考えなければならないということであります。また、職業能力についても、難易度の高い作業には訓練を要したり、初めから期待できなかったりすることがあります。A型事業所が付加価値の高い作業を請け負うのが難しい、大きな原因だと考えられます。
7つ目、次の黒マルですが、「就労継続支援A型が一般就労の実現に向けた訓練を行う場であるとするならば、そこにとどまるような訓練・支援ではいけない」とありますが、これは、就労移行支援事業所の話だと思います。A型の場合、もちろん一般就労に向けても支援はするけれども、利用者の職能訓練などが利用者の職能向上のために行うと考えております。
それから、その次の黒マルですが、福祉的就労の充実は、直接雇用に苦労している中小企業がA型に移行してしまうとの意見がたしかあったと思うのですが、これについてですが、まず、一般就労が難しい障害者の就労アセスメントがしっかりとなされていることが大前提で、適切なサービスを受けられる制度の構築が必要だと考えています。
それから、2つ目のポツでは、これはキャリアトランジションという役割もあるということで、これは皆さん御指摘のとおりでございます。
それから、3つ目のポツですが、その上で、特に中小企業には、障害者を雇用しやすい制度的メリットが必要ではないかと考えております。
それから、5つ目ですが、これはB型の話になります。障害者権利条約を批准しましたけれども、こういう視点も必要かなということであります。
2つ目の黒マルでありますが、就労継続支援B型について、労働法規適用が難しい重度の障害者に働く場を提供するということを考えていますが、しかし、現実には一部の重度障害者の人たちは、一日を働くことを中心とした生活をしているということでもあります。例えば、最賃の何割かということを決めて、そういう障害者は、準労働者として一部労働者性を担保するというようなことも必要ではないかなと思います。例えば、労災等を適用する準労働者として位置づけるタイプと福祉的施策のみの非雇用の現在のB型に分けるのだと思っています。
その次の黒マルは、これは労働者性の基準ですが、これもたしかほかのアドバイザーから指摘されたのではないかなと思っています。早急な見直しが必要かなと思います。
それから、6つ目は、障害者雇用制度・納付金制度についてであります。
まず1つ目は生活困窮者についてでありますが、ヨーロッパの国々では障害者の概念が広く、日本の生活困窮者も含みます。
2つ目のポツは、働きづらさを物差しとした評価も同様の検討をすべきではないかなということであります。
それから、3つ目のポツについては、生活困窮者自立支援制度がなかなか普及しないということでありますから、就労訓練事業、これはいわゆる「中間的就労」と言われていますが、認定事業所への助成金がなく、全くの形骸化をしています。就労移行支援・就労継続支援A型・B型の利用がしやすいような制度も望んでいかなければいけないと思っています。
それから、2つ目のマルですが、これは「みなし雇用」の制度であります。1つ目のポツについては、これは前回指摘させていただきました。
2つ目のポツですが、より合理的配慮ができる労働者あるいは準労働者として処遇できるような福祉的就労分野も充実をすべきだという考えでおります。A型事業所の課題の解決は、情報開示と、同時に良質な仕事の確保ができる制度の導入であると考えています。障害者優先調達法に民間企業からの発注促進策として、みなし雇用の検討や在宅就業障害者支援制度の大幅な改正をすべきだと考えます。
それで、提案をいたしました。常用労働者100人以上は、今、納付金の対象以外ですけれども、45.5から100人規模に納付金制度の適用をすると同時に、発注枠(間接雇用・みなし雇用分)も一定割合で埋めるということは提案をいたします。
それから、最後になりますが、1つ目の黒マルは、これは前回御指摘させていただいたことです。
2つ目ですが、今後、さらに一般就労への強力な推進を図りながら、一般就労の難しい障害者が、福祉的就労、中間的就労や支援付き就労を実現することが大事だと思います。労働部局、福祉部局、両部局による共同所管というような一歩進めた選択も必要ではないかなと思っております。
ちょっと長くなりました。以上であります。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは次に、又村アドバイザーお願いします。
○又村アドバイザー では、私のほうは自分で共有いたします。既に皆様のお手元にも同じものがあるかと思いますので、概略につきましては、お読みいただく前提で、育成会からの意見ということで、ポイントをお話しいたします。
まず1点目に、久保寺アドバイザーからもお話がありましたし、今後も恐らく出てくると思いますが、基本的な考え型の部分の表記については修正が必要と考えます。理由は2つございまして、1つは、その上の段落に働く選択肢のことについて、福祉的就労といったことが重要という指摘があったことを踏まえての表記としては、福祉的就労の内容が盛り込まれていないということがあります。
もう一つは、これは、今後、恐らくこの検討会あるいはこのワーキンググループなどから発信される雇用と福祉の連携に関する理念的な位置づけに関係してくると考えております。そうなったときに、「一般就労」という表現を使っているわけですけれども、一般就労って何なのかという話については、あまり議論がされてない状況で、このワーキンググループは、お分かりの皆様はお入りになっているので「一般」の対義語は「福祉的」でしょうという話にもなっているのですが、辞書を引くと「一般」の対義語は「特殊」とか「特別」なのですね。そうすると、「特殊な働き方」とか、「特別な働き方」って何なんですかねという。特例子会社は特別ではないんですかといったところの語義が整理されていない中にあって、理念的あるいは方向感を示す言葉として使うのであれば、少し留意する必要があるのかなということで、ここについては見直しが必要と考えております。
それから、3ページについては、就労支援体系の基本事項の中で、合理的配慮との関係性のことについて。これは菊池主査からも御提案があって入ったと理解しておりまして、指摘のとおりと考えております。本来であれば、合理的配慮についての話は、これはこれでもう少し議論を深めるべきではないかと考えておるのですけれども、そもそも論の話で、当然ながらと言えば当然ですけれども、合理的配慮がどう提供されるかは、その状況によって変わりますので、その状況がどうなのかと。つまり、現況はどうなのかということが大きく合理的配慮を左右すると考えております。
私ども育成会の立場で言えば、知的障害分野に関しては、障害特性の理解と特性理解に基づく適切な労務管理、作業指示、コーチングとか配慮に当たり得るところと考えておりますが、そのベースができていないので、そもそも受け入れが進んでいない。作業能力も引き出されていないといったことが散見されます。もちろんすばらしい取組はされている実例も承知はしておりますけれども、全国的に普遍化はされていないので、第1回の冒頭で申し上げた知的障害就労の最大の問題は、働き口が狭く、給料が安いということに収れんされるわけですが、これも合理的配慮が足らないからだと言ってしまえば簡単ですが、では、その合理的配慮がどうやって提供されているのかというのは、ベースがあればこその話ということです。教育分野では、基礎的環境整備という表現を使いますけれども、労働分野においても当然同じですから、知的障害分野、あるいは一部の精神障害の方にも、障害特性理解に基づくというところの前提が環境整備に当たる。そして、環境整備は、スロープを付けるとか、段差を解消する、あるいはトイレを改修するといったハード面の整備ももちろん入るのですが、障害特性の理解が環境整備に当たり得ることは追記すべきと考えるところでございます。
5ページです。「定着支援の実態とその実施体制について」の部分で、括弧(【】)で囲ったところですね。ナカポツセンターが就労定着を実施できるようなというお話がございましたが、もちろんナカポツセンターにおいて就労定着ができるようになれば、一体的に展開されるという期待もございます。ただ、そもそもの認識で、就労定着支援はナカポツセンターにおける就職後の生活面のフォローが十全であれば制度化する必要はなかったと考えられるところ、それが十分でない、必要としている方も多数いるので、個別給付として制度化されたと理解しています。ですから、一回りしてナカポツセンターが就労定着できるようになるというのは、率直に申し上げれば本末転倒ではないか。ナカポツセンターが十分に生活支援できるだけの人員の配置をするのが本筋でしょうから、その原資が、一部であれ全部であれ納付金などだとすれば、納付金の運用そのものを見直す中で検討すべきではないかと考えます。
ただし、その検討をするとしても、今日明日に結論が出るとはとても思えませんので、経過措置として、現に人員配置が厳しいナカポツセンターに人的厚みを加える目的で、就労定着支援が併設できる扱いは、これはあり得るだろうと考えています。
それから、8ページです。「雇用政策における課題について」です。
ここについては、言及を特にしてこなかった2つの点について、これは結論が得られるとはとても思っていないのですが、育成会の中でも議論がある内容ですので、御提案申し上げます。
1つは最賃除外のお話です。最賃除外については、これを積極的に活用すべしという意見と、同一労働同一賃金やディーセントワークの考え方からいかがなものかという意見もあります。ただ、現に知的障害者に対する適用が多いと考えておりますので、とりあえず、これをどうするかというのをここで結論を出すかどうかは、この後の議論にお任せするとして、実は申請事由のところが「精神または身体の障害により著しく労働能力が低い者」という表記になっていて、知的障害が一番多いにもかかわらず、知的障害は一言も出てこない。もちろん、実際にはこれは精神障害の中に含まれるのだというのは、医学分類上はそうであることは十分理解していますが、実際問題として、知的障害というカテゴリーで障害者雇用の算定に入っているわけで、精神のカテゴリーで知的障害が入っているわけではなくて、知的障害、療育手帳で入っているわけですから、ここのところの知的障害の明示性は少し具体的にお考えいただいてもよいかなと思います。
もう一つはダブルカウントです。ダブルカウントの問題も、重要な取組だという御指摘もあれば、そもそも失礼な話だという評価もあるわけですが、対象は「重度」なのですね。「重度」とは基本的には、知的障害重度なのだろうと理解していますけれども、別の切り口、手帳としてはいわゆる軽度判定であっても、コミュニケーション上あるいは精神障害の状況が重複している状況で重度になっておられる方もだろうと。この「重度」の実態についてはもう少し検討が必要かと思います。
15ページです。
生活困窮者自立支援制度との関係性については、今、久保寺アドバイザーからもお話があったとおりと思いまして、障害福祉のサービス、特に就労支援タイプのサービスは、働く場としてのトップランナーであるという認識をしております。資源やノウハウを、生活困窮者自立支援制度なども含めた新しい生活課題を有する者に開放していく意義は極めて大きいと考えています。こういった利用のしやすさができるような制度上の工夫も、ぜひお考えいただければと思っております。
最後に、大変申し訳ありません。1点ちょっと書き損ねてしまった点があって、先ほど阿部アドバイザーがお話をいただいた内容が非常に重要なポイントと思いましたので、ぜひ、何かの形で入れていただきたいなと思ったのが余暇です。就労と余暇活動との関係性は、もちろんこれは余暇の話なのだから、勝手に福祉でやってくれという話もあるでしょうが、例えば、会社、企業で職域系の余暇活動とか福利厚生的な活動をする際の参加支援、一般的には移動支援とか行動援護を使えばいいということになるとは思うのですけれども、オンとオフの切り替えが苦手な方々も多い中にあって、オンとオフ両方とも充実することによって長く勤めたという事例も多々聞いておりますので、これは文書になく、口頭になって恐縮ですが、余暇って「余って暇」なわけではないので、余暇というのは、働くための礎であると言っても過言ではないと思いますので、この視点についてもぜひ御考慮いただければと思います。
以上です。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは、松下アドバイザーお願いいたします。
○松下アドバイザー 愛知労働局の松下です。
私のほうからは、現状のハローワークの認識と、それから、課題に向けた大枠と個別の課題を少し話をさせていただきます。
まず、ハローワークでの現状の認識でございますが、求職者である障害者の方々はどれぐらい支援機関を利用して来ている方、していない方は、大体半分・半分の等しいぐらいが来ていらっしゃると思っています。ただ、その中で就職に至る方については、6:4あるいは7:3で、支援機関を利用している方のほうが多くなっている状況でございます。
併せて、障害者雇用を希望する企業については、障害者雇用を希望する企業の多くは、雇用率を最優先事項にする企業、こういう方については支援機関の存在を知っておりまして、当然のことながら支援機関を利用して就職する方の就職を優先する傾向にあります。多くは、求人を出す前に実習を行うわけですけれども、雇用率を優先する会社の多くは、その実習において、先に、例えば、A就労移行、B就労移行、この2つしか実習を受け入れませんよみたいなことを先にやるわけですね。つまり、もう関係は出来上がっていて、その支援機関から来る紹介者を就職させたいということを最初にやっていて、その後求人を出されることがあると。その場合については指名求人で、その方を採るという現状が多くあります。
支援機関についてですけれども、今、名古屋市内には就労移行支援事業所が約60か所あります。大まかに言いますと、ハローワークと常に連携を保つのが大体25%、場合によっては連携するというのが25%。ハローワークと連携を取るのは大体半分でございます。あとの半分は、ほぼ連携をしたことがないし、することも、向こうからも声がかからない、こちらからも声かけないというような現状でございます。A型・B型については、当然もっと少ないという形になってきています。
こういう状況を踏まえて、就職するに当たって、支援機関を利用するのは大きな意味合いを持つことは我々分かっているわけなので、支援機関を利用しないでハローワークに来られる方に対して、就労移行についてはこういう役割がありますので、ぜひ使ってみませんかみたいな話をするのですけれども、その場合においては、当然、福祉の制度について我々熟知しておく必要もありますし、併せて、個別の就労移行が何をやっているかということも知っておく必要があるので、その辺については我々はできる限り知ろうとしてやっているという状況にあります。
この間も議論に出ましたワンストップの機能ですけれども、ナカポツやハローワークがそういうものを担ったらどうかというところもあるので、ハローワークがぜひこういうことを担っていけるのではないかと思っているということでございます。基本的にナカポツは忙しいという話はよく出ますけれども、ハローワークも場合によってはそういう場合もあるかもしれませんけれども、圧倒的にナカポツよりハローワークのほうが多いので、ワンストップサービスはハローワークができるのではないかなと思っています。
それから、ハローワークの強みとしては、「チーム支援」という手法があります。これは福祉関係のところも一緒に入れさせていただいてチーム支援するわけですけれども、もう一つ、就職するに当たってのチーム支援と、キャリアトランジションの場面におけるチーム支援も我々ができるのではないかなと考えています。先ほど、会社と就労移行支援事業所では、あそこの就労移行から人が欲しいですというような関係が出来上がっている背景を見ますと、多くは、引くときの支援もきちんとやっていただけるような就労移行と会社は組みたいと思っているという話をよく聞きますので、この辺のこともハローワークが入っていくことによって、会社だけの考えではなくて、本当にその方に先ほどの福祉就労的なことになっていくような場面が必要かどうかというのは、客観的にハローワークもジャッジできるのではないかなと思っております。
個別の課題として3つ挙げさせていただきます。短時間と雇用率対象の緩和とDX化でございます。
まず、短時間雇用でございますけれども、ハローワークにおいては、現在、週10時間勤務からのトライアル雇用を今ハローワークではやっております。これについては、一定程度のニーズがありまして、週20時間以上の雇用だけではない方の雇用に関してこういう施策があることは非常に重要だと思っているのですけれども、一方で、先ほど議論になっています、こういう方たちを雇用率に反映するとか、あるいは手帳のない方を反映するといったときに、もう一方の問題ですね、雇用率が必ず上がるということを企業の方がどれほど許容していただけるのかなというところが一つ心配なところでございます。
ただ、現実、ハローワークで仕事をしていますと、会社から求人が出てきますね。求人が出てきたときに、雇用率を気にしている会社の求人だとすると、手帳のあるなしで、本来採否が決まることはもう分かっているわけですね。手帳がない方が応募したところで、この会社は採用にならないと分かりながら、そこはあんまりはっきりとは言えない部分で紹介するという、少しじくじたる思いといいますか、そういう面もあるので、この辺のところは統一できたらありがたいなという思いも半面としてあります。
それから、雇用率対象の緩和。今話したところでこれもカバーしていますので、これはこれでいいですね。
DX化でございます。マイナンバーカードとのひもづけが今後どのようになされるかなというところが1つ提案できることがあるのではないかなと思っています。つまり、今現在、会社が手帳がある・なしを一定程度把握するわけですね。そうすると、中度障害の方などだと、プライバシーの問題などでなかなか「私持っています」と言っていただけないとすると、このマイナンバーカードによって例えば信用していただけるとするなら、国が一括して、この会社には障害者これぐらいいるんですというのさえ把握できれば、ある程度のところの雇用率のカウントもできるのではないかなと思っています。将来的には、6/1報告の廃止もこれでできるのではないかなと思っておりますので、この辺のところも議論の対象として含めていただければなという考えも持っております。
以上でございます。
○菊池主査 ありがとうございます。
1点、今、松下アドバイザーから、ワンストップの役割はハローワークでという頼もしい御発言がありましたが、これは松下アドバイザーのところは頑張っておられるという話ではなく、全国的にハローワークが担えるという、そういう御発言と取ってよろしいですかね。
○松下アドバイザー 我々のところが担っているのはもちろんですけれども、担うべき力がハローワークにまだあると思っています。
○菊池主査 ありがとうございます。分かりました。
それでは、酒井アドバイザー、叶アドバイザー、小幡アドバイザー、鈴木アドバイザーの順でお願いします。
まず、酒井アドバイザーからお願いします。
○酒井アドバイザー 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井でございます。
私からの机上資料を用意させていただきました。前回の発言において、言葉足らずのところもありましたので、前回の意見も含めて整理しています。かいつまんで御説明をさせていただければと思います。
まず、一般就労と就労継続支援との関係ですけれども、就業時間内に就労継続支援事業を利用できることは、一般就労と福祉的就労を分断して考えるのではなくて、一般就労を支えるために福祉的就労を活用するという、これまでになかった発想でありまして、支援の在り方としては有用な選択肢になり得ると思いますので、私は賛成です。
ただ一方で、一般就労に軸足を置いた運用が必要であるとも同時に思います。期間を区切るとか、これまでの継続支援事業の運用とは異なる形で実施ができればなと考えます。同時に、こういう運用は加齢等に伴って、一般就労から福祉的就労に移っていく際にも、ソフトランディングが円滑に進むものだと考えております。
併せて、この制度においても、これも前回も申し上げましたけれども、20時間未満の労働に対するカウント方法、例えば0.5ということを基本とし、積み上げ方式にするなど、見直しを行うことで、企業にとっても雇用率達成に向けた運用が図られるのではないかと考えます。
2つ目は、定着支援の実施体制ということです。就労定着支援事業においては、創設間もない事業ということもあり、就労定着支援で一体何を支援するのか。そういう支援が一部確立されてないところもありますので、引き続き、情報発信とか研修体制の強化が必要ではないかと思うわけです。
その上でですけれども、障害のある御本人のことをよく知って、なじみの機関が就労継続支援事業の担い手となるのは大前提で大切なことだと思います。しかしながら、就労継続支援事業の運用上の課題等々もありまして、そこからどうしても漏れる人たちがいらっしゃいます。また、就労系サービス全体が一般就労へ移行する機運も現在高めていこうとしている方向性の中にあって、地域によって就業に伴う生活面での穴が生じないように、ナカポツにこの事業も実施できるように見直すことが基盤の強化につながるのではないかと考えております。
それから、職業リハビリテーション機関につきましては、前回も申し上げましたが、公的機関の役割については、地域の就労支援のリソースの状況によってその役割は変わっていくものだと思っています。そういう中で地域センターにおいては、高度な支援を行うという位置づけも現在あるわけですけれども、それに加えて、もう少し直接支援から地域就労支援を支える後方支援にウエートをシフトしていただいて、地域の就労支援力の向上にさらに寄与いただけると大変助かるなと思うところです。
職業訓練校といった能力開発の機能についても、その拠点がそもそも限られていますし、今は若干減少傾向にもあると聞いています。機能を維持をするためにも地域の就労支援機関を活用して、これまで、例えば帰宅訓練の実績などもございますから、それらを活用しながら、通年の訓練事業についても地域にアウトソーシングして分散することも考えられるのではないかなといった趣旨の意見でございます。
それから、雇用率制度につきましては、まず、みなし雇用について、ここはいろいろな意見があるところだと思いますけれども、導入に向けては記載のような課題があると認識しております。慎重にとは書いておりますので、後ろ向きに捉えられるかもしれませんが、いずれにしても、導入に当たっては現行の法定雇用率の計算方式のまま導入するのはちょっと考えにくいのではないかなというのが私の意見です。
次に、数だけを追い求める障害者雇用についてということで、これまでも意見がいろいろとされているところですけれども、その1つに、例えば農園などに企業が委託して雇用場所を分離して障害者雇用を進めようとする企業が増えています。その代行を補う業者からうちサイドに登録者の紹介を求める営業が最近かなり増えてきています。ここもいろいろな意見があるとは思うのですけれども、本来の障害者雇用の趣旨とはここは大きく外れている注文だと思うのです。ここについては何か手立てを打ってほしいなと思いますし、改めて、厚生労働省においては、本来の障害者雇用の意味とか意義を問い直す啓発の発信をさらに強化してほしいなと思っているところです。
それから、福祉施策における課題についてということで、就労継続支援においては、一般就労に軸足を置いて考えるならば、そこで支援をする職員さんが一般就労につなげていくという、まずは、その感覚をしっかり持つことが大切だと思います。そのためにも就労アセスメントの強化が欠かせないのではないかなと思っています。
それから、就労継続支援A型については前回も申し上げておりまして、その再整理をさせていただいています。役割として、一般就労が困難な障害者の働く場としての役割も有しているということで、その上で雇用の場でもあり、一般就労に向けた訓練の場でもあると思いますので、ならば、本物の職場環境により近づけていくという発想が求められるのだと考えます。そして、将来的にはこの機能が、単に「障害のある方の働く場」としての役割にとどまらず、一般に働きづらさを抱える人たちにも機能できたら、本当にすばらしいことではないかなと考えます。
それから、テレワーク等の働き方についてということで、本当に障害のある方にとって大きなチャンスがあるのではないかなと思いますし、私たち支援者にとってもこの流れに取り残されないように何とかついていかなければと思っているところですが、例えば、就労移行支援事業においては、テレワークの訓練においては、実際の仕事として想定し得る実践的な訓練がどんなものなのかとか、そのテレワークの訓練から得られた情報をその後の就労支援にどのように生かしていくのかとか、まだまだその専門性、そのノウハウの蓄積が大切であると考えるところです。
同時に、在宅就労の機会の創出、職域開発といった本当に入り口の部分の就労支援の強化も同時に必要ではないかなと考えますし、これは労働・教育それぞれが課題として一体的に取り組む必要があるのではないかなと思います。
最後に、教育分野との連携では、卒業後すぐに就職することもいいことですけれども、長期的に就労支援を考える上で、福祉を活用していただくという視点も忘れず持って連携していけたらなと思いますことと、その上で教育機関との連携の在り方を考える上では、そこの地域単位で事情も違うことから、もう少し地域単位で役割分担等を考える必要があるのではないかなと思います。最近は、就労福祉分野での自立支援協議会の中に就労支援部会が創設されたりしていますけれども、そういうところで教育分野の方にも参画いただいて、現実的な、地域で連携の在り方を考えることが大切なのではないかなと思います。
以上でございます。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは続きまして、小幡アドバイザーお願いします。
○小幡アドバイザー 全国精神保健福祉会連合会の小幡です。
私からは、既に多くのアドバイザーが言われていることについては手短にしたいと思いますが、1つは、キーワードで「一般就労」という言葉が出てきたときにどうなるのかというのは、又村アドバイザーからも出ていたと思うのですけれども、私も気になっているところです。雇用・福祉の連携と言っているところがありますので、この場面では、「雇用就労」といいますか、そんな言葉はないかとは思いますけれども、もしくは「福祉的就労」ということをベースに考えてもいいのではないかと考えるところがあります。
また、就労定着をしていくときに、特別支援学校を卒業した卒業生の方などは母校に帰って時々交流をするなどという取組もあったり、また、地域活動支援センターに憩いの場みたく集って、職場でなかなか発散できないストレスを解消して継続するという取組もありますけれども、一方で一般就労していった後は、企業や自分の生活圏域からそこの事業所等が離れたり、学校が通いにくいというところもあったりすると思うのですね。多くの企業にとっては、就労している障害の方はそう多くないので、できればサロン的な、企業同士が、企業で働いた後に立ち寄れるような場所も福祉サービスというよりは、企業側、一般市場の中で何かスペースが持てるような取組が新たになくていいのかというのを思っているところです。これまでの論点になかったところだと思うのですけれども、企業が支えていくといったときに取組として福利厚生的な意味合いも含めた手立てが何かできないかというのは気になるところです。
また、精神のところで言うと、医療との関連は非常に重要になってくるとは思っているのですが、これはメンタルヘルスの問題というよりは、定着をしていくためにどのような医療サイドとの連携を持つのかというのはイメージがなかなか定義しにくいところがあるのではないかと感じています。福祉分野のところでは、医療との連携は比較的経営になるかもしれませんけれども、一般企業内において医療分野との連携ということがどういうふうな位置づけになるのかというのは、いま一度皆さんとの議論を深めていく必要があるのではないかと感じているところです。基本の点としてはそこの部分を強化してほしいということ。
それから、短時間労働の部分ですね。雇用率の制度に偏重してしまうとなかなか難しいところがあるとは思うのですけれども、フルタイムで働くのがゴールというようなイメージがまだまだ多くのところでありますが、実際は、週の中で20時間未満、例えば1週間に1日とか、1か月のうちに5日間連続で働く。中でも、生活リズムやその方にとってのステータスも含めて確立して日常の営みが定着していくという方も中にはいらっしゃいます。なので、超短時間労働についても、どういうふうに雇用関係上載せていくのかということと、障害を持たれている方の特性に応じて自分の力を発揮していくということが、実は必ずしもマッチングしていない実態についてどうしていくのかというところを見ていかないと、結局のところ、雇用は雇用、福祉は福祉の福祉サービスをそれぞれつなげるというか、利用するということだけになってしまって、今回、議論になっている橋渡しで谷間になっているところを結びつけるのが弱くなってしまうのではないかと思っております。雇用率という概念は今制度上ありますので、そこを機軸にしながらも、ぜひ、この超短時間労働の在り方についてはこの議論を深めていただきたいと思っているところです。
比較的福祉サイドから見たときには分かりやすいまとめ方になっているかと思いますけれども、雇用という側面から見ていったときには、このことを理解していただくには、企業側のところでどういう取組が実際には有効打になるのかとか、インセンティブがどういうふうになるのかというところを明確にしていくための立てつけとしてこの就労体系をつくるのかというのは、ほかの分科会とかワーキンググループとの兼ね合いで、親会のところで有効にできるヒントをどれぐらい出せるかと感じているところです。
私のほうからは、手短にその点をお願いしたいと思います。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは続きまして、鈴木アドバイザーお願いします。
○鈴木アドバイザー 東京障害者職業センターの鈴木です。どうぞよろしくお願いいたします。
私からも事前に机上配付資料をお配りしておりますので、そちらのほうを画面共有していただけますでしょうか。
その資料に沿って幾つかかいつまんで少し補足をしていきたいと思います。
1つ目は、これまで又村さんや小幡さんからも御意見がありました2ページ下段の(就労支援における基本的な考え方)の部分です。ここで「一般就労」という表現が適切なのかどうかという問題提起がありましたが、それは一旦横に置いておいて、私の意見としては、一般就労、いわゆる企業就労あるいは労働法制が適用される雇用関係、そういった就労を実現する上においては、障害当事者がそこへ向けて努力をしていくことはもちろんですけれども、一方で、受け入れる企業、事業主の皆さんの努力も欠かすことができない。その点を明確にしたほうがいいという思いから、事務局案では、4つ目のマルの1ポツ目文末部分「障害者本人も含めすべての関係者が最大限努力すること」と結ばれているところについて、ここは障害者本人だけではなく、もう一人の大切な主体である「事業主」も明示したほうがいいという意見を出させていただきました。
その次、2つ目ですけれども、これは先ほど酒井さんも少し触れていましたが、いわゆる昨今見られる障害者雇用率ビジネスについては、私どもの現場においても非常に問題意識を抱いています。ここで詳細については触れませんけれども、目指すべき障害者雇用の姿については、いま一度この報告書をまとめる中で整理していったほうがいいのではないかと考えます。
次は論点整理ペーパーの3ページから4ページにかけてです。ここは一般就労と就労継続支援との関係についてです。これまでも、就労中の者が企業に籍を置きながら障害福祉サービスを利用することの是非について、いろいろなやりとりがありました。少し視点は違うかもしれませんが、実際に私ども地域障害者職業センターにおいても、現在就労中の方が、職場適応上の課題を抱えて、職場に籍を残しながら、再適応へ向けた立て直しの機会を求めてセンターのプログラムを受けるというニーズは少なからず発生しています。こうした実績からも、企業に籍を置きながら、再適応へ向けた何がしかの取組、そういった機会を提供する必要性は現実に存在するのだと思います。その際に大事なのは、実際にどういう目的で、我々であれば地域障害者職業センター、障害福祉サービスであれば就労移行支援事業所や就労継続支援事業所を利用するのか。企業に籍を置きつつ、就労支援機関においてどういう支援を必要としているのか。そこのアセスメントをしっかり行った上で受け入れていかないと、結局、ただ受け入れただけに終わってしまい、何のために、何を目指して受け入れたのかが不明確になってしまいます。受け入れに当たっては、利用者のニーズをきちんとアセスメントするというプロセスを担保していくことが大変重要だと考えております。
次に定着支援の実態とその実施体制について。ここにつきましても、定着支援の領域は、これまでの議論でも、雇用施策と福祉施策が双方乗り入れている部分で重複感があるというような議論がなされてきました。実際の現場においては、確かに福祉サイドの定着支援もあるし、障害者就業・生活支援センターの定着支援もあるし、地域障害者職業センターの定着支援もあるのですが、それらは一定の役割分担の下で行われていると受け止めています。現場においてはそれほどの混乱は生じていないと感じております。
一方で、先ほど酒井さんが少し触れていましたが、就労移行支援事業所が実施している就労定着支援の部分については、まだこの制度が創設されて日が浅いこともあって、事業所間でのばらつきが非常に大きいという印象を正直受けております。就労定着支援事業が目指すところはどこなのかということを今一度整理をして、一定の質を担保していくことが必要なのではないかと思います。
また、雇用施策サイドの定着支援との連携、先ほど松下さんのお話の中で、半分の就労移行支援事業所が連携を考えてないというようなお話もありましたけれども、雇用施策サイドの定着支援との連携、お互いどう補完し合っていくかということももう少し意識していただけるとありがたいと感じています。
定着支援について、もう一点、障害者就業・生活支援センターと就労定着支援事業の関係についてもこれまで議論をされています。今は就労移行支援事業所が3年間定着支援をやって、その後、障害者就業・生活支援センターに引き継ぐ制度設計になっていますが、そこは少し機械的過ぎるかなというような印象を抱いています。必要な支援を、それを実施できる機関が実施するという利用者第一の視点に立って整理をしてもいいのではないかと思います。
次、5つ目になります。(その他雇用・福祉施策との連携について)という部分です。併せて、在職障害者のキャリアアップニーズへの対応の部分とも重なるので一緒に触れたいと思います。工藤アドバイザーから、これまでも何回か指摘されていますが、例えば視覚障害者の専門性にたけた支援者が存在しない、そういった支援者を育成・配置する必要性について指摘がございました。確かに、そういう支援者を配置できればそれが理想なのだと思います。しかし、一つの支援機関で全ての障害に精通した支援者を配置することは現実問題かなり難しいと感じています。ですから、先ほど工藤さんからもお話しがありましたけれども、ピアサポーターの活用とか、外部人材の活用を柔軟に考えていくという方向で整理していくほうがより現実的なのではないかと感じています。企業からのキャリアアップニーズへの対応についても、支援機関で対応できるものとできないものがございます。対応できないものについては、そのニーズに応え得る外部人材を有効に活用していく。そういう仕組みを用意することが必要なのだと思います。
例えば、今、JEEDでは、「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」という仕組みを用意していて、これはホームページ上で皆さん御覧になれますが、障害者雇用に関連する各分野の専門家のデータベースを構築して、どういう専門性を持った方がどの地域にいらっしゃるということをある程度検索できるようになっております。そういった仕組みを活用しながら、外部人材の有効活用をもう少し進めていくことを考えてもいいのではないかと感じています。
6番目に移りますけれども、(職業リハビリテーション機関について)ということです。これまで、酒井さんと工藤さんからも、地域障害者職業センターへの叱咤激励というか応援メッセージをいろいろといただきました。御指摘いただいた内容につきましては、我々としてもしっかりと受け止めて、地域障害者職業センターとしてできる部分については、しっかりとその要請に応えていきたいと考えております。そういった支援を通じて地域の職リハの底上げに、引き続き、皆さんと連携しながら取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、以上です。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは、叶アドバイザーお願いします。
○叶アドバイザー 全国社会就労センター協議会の叶です。
これまでの議論を受けて意見を取りまとめたところです。今日は、特に就労継続支援B型事業を中心に少し意見出しをしたいと思っていますので、よろしくお願いします。画面共有をします。
まず、B型ですけれども、ここは皆さんよく御存じと思いますけれども、通常の事業所に雇用されることが困難な人に生産活動等を提供しているのがB型ですけれども、全国で281,610人の方々が今、B型で働いています。利用者、対象者としては、就労経験がある者であって、年齢や体力面で一般企業に雇用されることが困難となった者、あるいは、50歳に達している者、または、障害基礎年金1級受給者ということになっています。つまり、障害特性・年齢・体力面・精神面等、様々な理由によって一般就労が困難な人々、または、一般就労をしていたものの、雇用されることが困難となった人々等、重度の障害者がB型事業所では働いているという状況です。セルプ協の調査では、一般就労の経験がある人がB型利用者の約3分の1となっています。企業等の合理的配慮の義務によって課題の解消は進むかもしれませんが、全ての企業等で重い障害のある人が生産性を伴う仕事をすることは難しいです。重度の障害のため、どうしても企業で働けない人たちが多数存在するというのが基本としてあると思っています。
これはセルプ協の会員事業所を対象にしたアンケートの結果ですけれども、利用者の利用目的は、やはり働くために来られていて、工賃を得るためであったり、生きがいであったりします。そして、今の事業所にできるだけ長く働きたいという人が8割近くおられるという結果が出ています。
B型事業所における支援の内容としては、就労機会の提供と工賃支給が基本としてはあるのですけれども、働くことを通じて、例えば役割を持つとか、生きがいを得るとか、仲間ができるとか、そういう社会参加の場を提供していることも、とても大きい役割としてあると思っています。
これらを踏まえて、今回のワーキンググループでのセルプ協の提案を取りまとめたところですけれども、まず基本的な考え方として、就労支援体系を改革する上で重要なことは、働く重度の障害者、働くことを希望する人が働く場を失うことのないような改革であるということです。必ずしも一般就労至上主義にならないことが重要だと思っています。一般就労が困難でも、働くことを希望する人が就労継続支援事業で働くことができる。一般就労の実現を念頭に置きつつも、多様な働く場があって、障害者本人が選択でき、双方向へ移動できるということが大事だと思っております。
セルプ協がこのように考える理由として挙げていますけれども、これは、また、別の機会でのアンケート調査ですけれども、A型事業所で35%弱、B型で20%の人が、一般就労経験がある利用者であるという結果が出ています。A型・B型いずれも一般就労でうまくいかなかった方を受け入れているという実態があるということです。先ほどから出ている雇用率ビジネスの存在で、どうしても一般企業でもそこに頼ってしまうところがある。一般就労だけでは難しい現状があるということです。
それと、課題の議論等の整理の中でも出ていたのですが、雇用施策は限られたサポートにより、いかに本人の自立や取組を促すかという視点で取組をしていて、福祉は支援をフェードアウトしていくという視点で支援を行っていない、あるいは報酬を得ているから行っているというようなご意見がありましたが、確かにナカポツセンター等の雇用施策は、限られたサポートでフェードアウトしていくという、そういう視点で支援をやっていると思います。そして、そこから一般就労という形で継続的に働いていくということがあると思うのですけれども、福祉施策においても、就労移行や就労定着は、一般就労に送り出していくフェードアウトの視点からの支援を行っています。一方、A型やB型では、継続的にその人が生き生きと働くということで支援をしているところですので、比較の対象が少しぶれているのではないかという実感を持ちました。
それから、障害者を中心に考えると、一般就労でも福祉的就労でも両方必要な支援であって、その支援は継続することが求められています。一般就労も福祉的就労も働く場であるということは同じであって、異なるのは支援の度合いということで、障害者本人にとっては、どちらも働く場としてたいへん重要だということです。重度の障害がある方でも働く喜びや誇り、社会貢献を求めて、福祉的就労を選択している人がたくさんいるということです。
こうした観点から考えてみると、今回まとめられている基本的な考え方のところについて、何人かの方からも指摘がありましたけれども、一般就労の実現に向けて、障害者本人を含めて全ての関係者が最大限の努力ということが示されており、一般就労だけしかうたわれていません。我々セルプ協としては、障害のある人もない人も共に働く社会を目指して、障害者本人のニーズを踏まえた上で、一般就労の実現を念頭に置きつつ、その方に合った最適な働く場につながるよう障害者本人も含めた全ての関係者が最大限努力するという書き方を案とします。ぜひ、検討いただければと思います。
このような基本的な考え方を前提として、今後の改革を進めていくために、就労継続支援事業をさらに支援を充実していく必要があると思っています。生き生きと働いて、年金やその他の手当等を併せて地域生活が可能となる工賃水準、働く場を実現させていく必要があります。そのためには、仕事の確保のため、官公庁の優先調達や民需の拡大などを図るとともに、適正な条件による仕事の確保や価格面での安定性を踏まえつつ、高工賃にはつながっていくような取組が重要だと思います。
優先調達推進法はさらなる充実を求めていくということがありますけれども、もう一つは民需、民間企業からどう仕事が入っていく仕組みをつくっていくか、検討が求められます。ここがたいへん重要な課題だと思っていまして、施設外就労により企業で働きに行くことも含め、みなし雇用であったり、雇用納付金の減額であったり、報奨金・調整金の支給、在宅就業障害者支援制度の見直しといった仕組みが求められます。みなし雇用に関しては、これも今までもずっと議論になっていて、これを認めれば一般雇用が進まないのではないかとか、雇用してないのに雇用率に入れるのはおかしいのではないかとかいうような考えがずっと出てきました。去年から雇用率には入れないものの、納付金は減額をするというような、そのようになったようです。いろいろな方法があるとは思うのですけれども、民間企業から適正な仕事が入っていく仕組みをつくっていく必要があると思います。あるいは、B型事業では雇用関係はありませんから、労基法適用はありません。労災に代わる仕組みなども検討していく必要があります。
最後に、これらを実現していくためには、ワンストップ相談窓口の整備が極めて重要だと思っております。就労の専門家を含む合議体がありますけれども、本人や家族、就労支援機関、相談支援センターであったり、ナカポツセンターであったり、ハローワーク、就労支援事業所、行政などです。そこで御本人の意向を聞き、支援の必要度を検討した上で、本人にとってどれが適当なのか、そういう窓口をつくっていくということが極めて重要になります。これは第一ワーキンググループの中でこれから検討されると思いますけれども、そのように考えているところです。
以上です。
○菊池主査 ありがとうございました。
このワーキングは、就労支援体系の在り方がテーマなので、ともすると移行支援、定着支援、A型に議論が集まりがちで、B型の部分を充実させる必要があるなと、個人的には考えていたのですけれども、今も御提言もいただきましたが、引き続き、具体的にB型の在り方について御意見いただければと思います。ありがとうございます。
ちなみに、申し訳ないのですが、3時半を過ぎそうですが、お時間のない方がおられたら、先に御発言いただければと思うのですが、おられますか。
少し延長してもよろしいですか。
よろしければ、それでは順番どおり、藤尾アドバイザーお待たせしました。お願いいたします。
○藤尾アドバイザー ありがとうございます。千葉県障害者就労支援キャリアセンターの藤尾です。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、今回第3回が最後ということだったので、少々乱暴な感じにもなるかもしれないのですけれども、提案ということでさせていただきたいと思います。画面を共有させていただきます。
今回、この意見書をつくるに当たって、そもそもどういう考え方の下で、これは大本が2040年というお話をたしかいただいていたと思うので、目指すべき方向性があって、その中で現状の課題、それから、今後の展開という話だと思うので、目指すべき方向性のところだけはちょっと共有させていただきたいなと思うのですけれども、みんながみんな働ければ、それはそれにこしたことはないと私は思っているのですね。これは、さっき鈴木アドバイザーからも話があったと思うのですけれども、当然、企業の方にもそこにもしっかり入っていただいて、結局、これまで障害者雇用でちょっと大変な思いをしたとか、一般就労がうまくいかなかったというのは、御本人の問題だけのみならず、雇用側にもそれなりの問題があった場合も、そこは多分に介在していると思います。今回、アドバイザーに入られている網屋アドバイザーや横堀アドバイザーのような会社ばかりでは多分ないと思うので、そこを改善されて、一般就労に移行する方が増えていくことは、一方では、現在、福祉を利用していく方が減っていくことになると思うのですよ。もっと言えば、我々のようなナカポツセンターも場合によってはいずれ要らなくなる。もちろん極論ですよ。ただ、そういった方向をみんなが見ているということをどこかで共有をしておかないと、何か今あるものを守るとかというふうに、我々で言えば、例えばナカポツセンターの集まりが、ナカポツがどうやったら生き残れるかなんていうことを考え出したら、多分うまくいかないと思うので、福祉、特に就労系に関して言えば、一般就労の在り方によって、このA型の在り方とかB型の在り方は役割が変わってくると恐らく思っています。これが20年、30年前の福祉の在り方と今では大きく変わっているのは、大きな理由の1つには、雇用サイドが変わってきたということが理由として挙げられると思うので、今後、それがどう進んでいくかによっては、あるいは、この福祉と雇用の連携の中で、福祉の在り方も、議論、検討されていくことも増えてくるのかなと、まず前段として考えているということを前提に、今日は資料のほうを進めさせていただきたいと思います。
今お話しさせていただいたように、「論点を踏まえた議論等の整理」というところですけれども、企業就労はやっぱり難しいよねと言う方が、その中でA型・B型というふうに流れてくるということであれば、企業就労がどうあるべきか。あるいは、企業就労がどこに向かっていくのかということが大前提になると思うので、そこに対するアプローチも必要だろうと思いますし、そことしっかり分けて考えていく。ある意味で分けて考えていくことが必要なのかなと思っています。
先ほどもちょっと議論になっていましたけれども、障害者雇用の在るべき姿は今のままではまずいのではないかというところに関して言うと、中小企業の認定制度の(もにす認定制度)とかがあるので、ああいったものがもっと幅広に広がっていって、雇用の在り方の評価軸、これは恐らく厚生労働省の方に分かっていただくところだと思いますけれども、こういったものがどんどん発信をされていって、みんなが障害者雇用ってこう在るべきだよねというところがある程度共有されて、社会の中で認知をされていくと、もっともっと変わっていくのかなと思っています。
その中で、その下の段になります。なじみの支援者による支援がやはり必要ではないかというところですけれども、ここはもうこのままだと思うのですよね。さらに言えば、前回、これは後にも書いていますけれども、特別支援学校とかハローワークから就職した人が支援がなくてという話があったのですが、その時点で手厚い支援が必要だったら就労ではないのかなと私は思っています。要は、ここで福祉をちゃんと利用してマネジメントして就労に向けていく、そういったケアワーカーさんがちゃんとついていくのが本来、その後の定着には大きく寄与するのかなと思います。
職業リハビリテーションの中では、入り口の手厚い支援によって後々どんどん、先ほど叶さんからフェードアウトを意識しているしてないという話があったと思うのですけれども、入り口をいかに厚くして、後で企業に移行していくかというところですけれども、今、何となくイメージとしては、入り口が低くて、後で分厚い支援が必要になるという印象が以前に比べてあるのですね。これは精神・発達の方が増加しているというところ、ある一定の波で支援が必要になるということも改善はしているとは思うのですけれども、それ以上に、雇用率が上がっていくその動き、それと、移行支援事業所等が出さなければいけなかったりとか、働きたいという人が求人に行けば伸ばせる、求人がたくさんあるというところの様々な要因でこうなっているのかなと思うので、入り口をもうちょっとしっかりしていくことはとても重要ではないのかなと思っています。
もう一つ、一般就労と継続支援の関係についてというところで、併用のところです。これに関しては、それまで利用しているところの併用をしながら就職していくというのは僕はありかなと、先ほどこの説明を聞いていても思いました。例えば、A型で週5日働いていた方が、まずは週2日から一般就労を始めてみて、そこから3日、4日と増やしていくというのはありかなと思うのですけれども、ある意味ダブルワークのように、企業と例えばA型をずっと併用していくとか、B型をずっと併用していくというのはあまり利点がないのではないかなと個人的には思っています。ただでさえ、会社のルールに合わせるとか、働く場でのルールに求められるほうにいくという適応能力の問題が出てくるのですけれども、これが2つ全く違った価値観であったり、全く違うアンダーラインが用意されるということは、御本人の混乱にもつながるのかなと思っていますし、就職に向けた訓練で2か所に通っている方だけを見ていてもちょっと困ったなというケースは割と目にすることがあるので、そこはどちらかというと軸足はしっかり最終的にはどちらかに置かれる感じ。もっと言えば、週2日しか働けないということは、残りの3日間は休養をしたりとか、働くという以外の多分サポートを受ける方なのではないかなと、我々が支援をしている対象の方を見ていると感じるので、ここは就職に向けて動く中での併用あるいはリワーク、あるいは、今回のコロナのような状況で、自宅待機が長くなったというような特別な状況を除いてはあんまり向かないのかなと考えています。
それから、就労定着等の実際の実施体制についてですけれども、現在、ナカポツセンターで定着支援している対象の方はここに挙げているような方です。特別支援学校の卒業者、福祉サービスからの就労を行い、何らかの理由でサービスが終了している方、あるいは、福祉サービスの利用なく、ハローワーク等を活用して就職した方、それから、障害者就業・生活支援センターにより職能後の再就職支援を受けた方、このほかにも幾つかあるのですけれども、こういった方々の支援は現在既にしています。
先ほど、話の中に、ナカポツセンターが就労定着支援事業をやれるようにしたらいいのではないかというお話があったのですけれども、これには私もちょっとどうかなと思う部分があって、既にこういった支援をしているので、これをもってそうだと言うのであれば、これはやっているということになるのですが、まず、なじみの支援者による支援というのが大前提であるということであれば、これを我々が積極的にうたっていくというのはちょっとどうなのかなと思うのと、あと、前回にもお伝えしたのですけれども、ナカポツセンターは中立性とか広域性があってこそのセンターなんですね。これが横並びで同じ障害福祉サービスをやるセンターとなって、他の事業所と由来関係みたいなのが生じてしまうと、中立性とかというのがあまりできなくなるかなと思うので、もしやるのであれば、全く別な枠組みとして、先ほど又村さんのほうで、例えば人員を強化するなんていう話がありましたけれども、何か別な方策のほうがしっくり来るのかなと思っています。
ただ、前回、横堀アドバイザーからですかね、ナカポツセンターそんなにみんなよくやっているのかなというような疑問も呈されていて、こういった機能強化をするのであれば、いま一度全国のナカポツセンターを今後どういうふうにしていくのか、底上げしていくのかということは、一方で我々の課題としては残ってくるのかなと思っています。
それから、雇用施策における課題ですけれども、福祉と雇用で枠が違うのは大きいです。難病の方などを例に挙げても、福祉では対象になるけれども、雇用では助成金とかにはなるけれども、雇用率の算定からは外れているということは大きな課題として、要は、支援につながってない一つの課題になっているのかなと思っています。
それから、みなし雇用ですね。これは肯定的な御意見が出た後で非常に怒られるかもしれないのですけれども、直接雇用を妨げる可能性は否めないと思っています。ただ、まだまだ自分たちで直接雇用するには不安があるのだという企業さんが、入り口として経過措置的に活用することは場合によってはありなのか。これだけできるのだったら、うちで直接やってもらっていいよねというような流れにつながるきっかけになるのだったらありなのかなという印象を持っています。先ほど叶さんが言ったように、雇用率から外して考えていくというのも一つの考え方なのかなと、ちょっと聞いていて思いました。
それから、福祉施策における課題についてです。就労系の福祉サービスに関して言うと、何か空白地帯が生まれる生まれないという話があったのですが、毎年の福祉計画が、地方から上がってきた見込量の算定をやっているのですね。そうすると、例年の伸び率を基に多分つくっているので、はなからそこになければないから上がりようがないと思うのですね。何かそこの仕組みをもうちょっとこの地域にこういうものが必要だよねという積極的な介入がどこかできないかなという印象を持っています。
就労継続A型に関しては、もともと福祉控除だった時代のA型がA型なのかなと私は個人的な感想です。ここが一般就労に向けていくというのが果たして合うのかなと。さっきも言ったように、一般就労と福祉的なところの役割があると思っているので、A型でずっと働く方がいてもいいのかなと思っています。ただ、その中で、一般就労の中で、A型へソフトランディングしてくる。要は受け皿になる。ここはすごく役割が大きいだろうなと思っていますし、これから企業の雇用の懐が広くなれば、今はA型だけれども、いずれ企業就労が可能になるよねという視点は、A型の方たちに持っておいていただいてもいいのかなと思っています。
就職へのチャレンジの併用は有効だと思うのですけれども、さっきも言ったように、ソフトランディングの場合は、二足のわらじはあんまり有効ではないのかなと思っています。
あと、「特例子会社と就労継続A型で行われている支援は近いものがある」という記載は、僕の中ではあんまりぴんと来ないですね。A型と特例は全然違うよねという印象があるので、これは特例子会社もピンキリと言ったら怒られてしまいますかね。いろいろな会社があるので、それぞれだとは思うのですけれども、特例は特例であくまでも一般企業の雇用なので、割と厳しいというか、そういったイメージがあるので、A型の支援と同じというのには若干違和感がありました。
それと、B型に関して言うと、A型との大きな違いは、「生計の維持を図ること」は可能ではないという点だと考えていて、それ以外の「能力の発揮の機会を確保すること」とか、「社会経済活動への参加を実現」というのはあってしかるべきだろうなと思うので、そこをあまり外さなくてもいいのかなという気がしています。
それから、新しい就労支援ニーズへの対応です。短時間に関しては、働き始めの一定期間においての併用はいいのかなと思っています。あるいは、その働いている方は、雇用率の算定対象に足らないときがあったときにも、それも支援の一環だからということで企業のほうでクオリティを上げられるような何らかの支援は必要だとは思うのですけれども、はなから短時間でこの人はここの企業でずっと働いていくのだというのをどのように持ってくるのかなというのは、かなり慎重な議論が必要なのではないかと思っています。
それから、キャリアトランジション、特にキャリアアップのところですけれども、これはキャリアアップしたい人もいれば、決まった仕事をずっとやりたい人もいるだろうし、企業としてはこの分野に出てくれれば人材が欲しい。もともと企業就労は障害のある方の能力を伸ばしてくれるというのが大昔からずっとあって、基本的に、何か働いたら見違えたよなんていう話をよく聞いていたのですね。なので、支援機関がこの視点を持ってやっていくということが大事なのと、この人がどういう働き方を求めているのか。それに合った雇用の場なのかどうなのかという判断をしっかりしていくという視点がとても大事だと思っています。
企業に対するアプローチの中で我々があるのは、業務の切り出しとか、将来的な可能性の相談を受けたときに、どんどん仕事ができるようになるから、用意しないと厳しいですよとか、あるいは、将来的にこれもできたらすごく楽になりますよねというような提案の仕方の中でどんどん新たな業務を切り出してくれるところもありますし、そもそも求人を出しても人が集まらないという相談を受けると、それは求人内容に魅力がないのではないかという話になるので、例えば正社員の登用があるとか、資格取得の制度があるとか、昇給等がありますよと、これは雇用契約を結ぶ相手がいるかいないかの話にも直接つながりますから、こういったところにしっかりアプローチしていくことが重要なのかなと思っています。
一方、在職者の方がそういったものにチャレンジする場合であれば、例えば在職者訓練の充実・強化、前回、どなたか言われていましたけれども、1か所、2か所にしかなくて、地域で通うのもなかなか難しいというような話があったので、こういったものを今後も充実・強化していく必要があるのかなと思っています。
他分野との連携ですけれども、ここは特に学校に関しては、前回、岡田アドバイザーから千葉ではこういうふうにやっていますよというお話があったのですけれども、全国展開かというと、そうではないと思うのですね。ここは今後考えていかなければいけない出口の問題が大きく連動していると思います。
あと、高等学校等に関しては、そもそも連携の必要性を学校が感じるかどうかという問題が介在していると思います。個人ベースの連携はどちらかというと本人・家族からの発信であって、学校からの依頼はあんまりうちは来ないのですね。そうすると、学校の中で完結しているのであれば、学校の中でそういったところと連携したいんだという思いがないと厳しいかなと。これは実は医療も同じで、医療との連携は、職業総合センターさんでいろいろな取組をされて、冊子とかも出ていると思うのですけれども、社会福祉の人たちは結構受診同行とかしています。我々ナカポツもよくやっています。その中で感じるのは、ちゃんと連携を取ってくれる医療機関、全く相手にしてくれない医療機関、方向性が違う医療機関、医療側のこういったものと連携が必要ですよという発信がまだまだちゃんとされてないのかなと思うので、我々の課題というよりは、むしろ、医療側の問題ではないかなと数年前から感じているので、ぜひ、厚生労働省でそういった発信を教訓にしていただきたいなと思っています。
生活困窮者に関しては、50センターで始まっているのですけれども、生活困窮者自立支援法に基づく機関との連携で難しいですね。対象の方の引っ張り出し方とか、関わってその一員になるまでの流れが全然違うのと、あと、我々が考える働けるという視点と、彼らが考える、ようやくここまで来たんだ、働けるところまで来たんだというところのギャップがまだまだあるので、ナカポツは敷居が高いから使えないんだみたいなことをよく言われることがあるので、この辺りを今後双方で協議をしていきながら、在るべき姿を模索していくことが必要なのかなと思っています。福祉制度の利用ができるようにするのは賛成です。
以上です。
○菊池主査 ありがとうございました。
すみません。課長の皆さんが国会対応で退席されましたが、それでは、お待たせしました、横堀アドバイザーお願いします。
○横堀アドバイザー クリーンリースの横堀です。よろしくお願いします。
お時間もお時間ですし、個別の論点案に対する意見・指摘はペーパーで提出していますので、この場では割愛しようかなと思いますが、1点だけ、せっかく文部科学省の方もいらっしゃいますので、卒後支援の話だけちょっと強調してお話しさせてもらおうかなと思います。
北海道は、特別支援学校の先生方が、現場の先生方が非常に頑張ってくださっていて。ただ、年々、卒後支援に対する縛りみたいなものが厳しくなってきていて、それが学校長の指導なのか、それとも教育長の指導なのか、また、文部科学省の指導なのかは私は分かりませんけれども、北海道って広いので、出張レベルで職場開拓も卒後支援も行かなければいけないような土地の中で、卒後支援ということだとなかなか出張に出してもらえないみたいな話をここ数年はよく聞こえてきます。その現場の先生たちが、進路開拓に絡めて、在校生の進路に絡めて出てきて、卒後支援を一生懸命やっているという、こういう状態になっています。これが現場の先生たちの良心で保たれているような状況は本当によくないなと思っていて、私たち企業側からすると、この卒後支援は、ナカポツさんとか定着支援の方とかと同じような非常に大事なツールで、これが文部科学省がもしそこに影響力を発揮して何か政府にできるのであれば、しっかりとした卒後支援ができるような体制はつくっていただきたいなと思っています。
あとは、先ほど藤尾さんもおっしゃった方向性の共有の内容ですね。意見・内容ともに非常に共感をいたしました。今回、菊池主査からも、意見出しは今回が最後でというお話でしたので、論点の方向性についての私の意見を聞いていただけたらなと思います。
このワーキングでは、合意形成をする場ではないと私も聞いておりますし、そう思いますので、様々な立場の方たちから様々な御意見が出るのはもちろん理解をしております。雇用側にも、先ほどより出てきている雇用率の問題とか、それをビジネス化している企業などの問題等もかなりたくさんあると私も思っていて、それは、ただ、雇用側の問題であって、雇用と福祉の連携強化という意味では、それを議論の俎上に上げるのはどうかと思うのですけれども、それはちょっと置いておいて、その上で雇用側から見ると、雇用の入り口・出口。雇用の中でのそれぞれ福祉との連携みたいなものが今回のワーキングの中で御議論されている部分だと思っていて、いろいろな御意見があるかと思うのですけれども、働かないというのと働けないというのでは、僕は意味が全然違うと思っています。働ける人たちは就職すればいいし、働けない人たちのために、僕は社会保障制度として福祉が存在すると思っていて、もちろんその役割は大変重要なものだというのは思っております。皆さんおっしゃっておりましたけれども、その方たちとのはざまで、ちょっと支援を受けられればとか、ちょっと訓練すれば働けるようになるとか、支援があれば辞めずに済んだのにという方たちにあるのが僕は就労支援ではないかと思って、そこの連携を強化することで一人でも多く働ける障害者を増やして、経済社会の一員に加わってもらおうみたいな、そういうのがこのワーキングの趣旨なのではないかなと思っています。
だからこそ、私たち企業はもっと頑張らなければいけないと思っていますし、特に、ここ北海道は、これは進んでいるかというと、そうではなくて、先日も6/1の各地域の雇用率などを見ていると、達成企業割合に対して実雇用率が非常に高い。これは間違いなく、A型が一生懸命雇用しているから実雇用率が高くなっているのの典型で、もっと僕たちが頑張っていかなければならないのだなと思ってはいます。
そういう前提で今回のワーキングの雇用と福祉の連携という中で、訓練とか支援があれば働ける方の話だと思います。出口の部分は、キャリアトランジションというプランをいただいて、まさにこれで連携が強化されていったらいいなと思いますし、定着支援という中で雇用中の方々が一人でも多く定着されればいいなとは思うのですが、雇用の入り口という部分を考えたときは、働けるのに働きたくないという本人の希望の主訴みたいなものをニーズと言っていいのかと私は思っています。
以上です。
○菊池主査 ありがとうございます。
その続きをもう少しお聞きしたいところですが、すみません、時間に御協力いただいたということで、申し訳ないです。
それでは、石崎アドバイザーお願いします。
○石崎アドバイザー ありがとうございます。石崎でございます。簡潔に4点ほど申し上げたいと思います。
まず、基本的な考え方のところで、一般就労の実現に向けてという点をめぐって様々な御議論があったかと思いますけれども、私としては、一般就労の実現というのを含むことはもちろん必要であるとしても、それに限らず、特に実現とだけ言ってしまうと、採用されさえすればいいというような誤解も与えかねないという、この継続というか、そういうニュアンスを含む言葉を入れていただきたいなと。就労の開始だけでなくて継続、場合によっては再開といったような語感を入れていただくといいのかなと思ったのと、併せて、言葉の問題なので最終的には事務局にお任せしますけれども、あるいは、キャリアの発展というような形でいろいろなものを包含するという考え方もあり得るかなと思ったところです。
それから、2点目としましては、合理的配慮義務と支援の関係に係るところで、筋論から言えば義務となっていることについては支援は要らないというふうに、筋論としてはそうなるのかもしれませんけれども、他方で合理的配慮というのは多様な内容を含むものでもありますし、また、より手厚い配慮をしようといったようなことになる場合には、そこには支援というのも必要になってくると理解しているところです。
ここで、逆にちょっと気になったのは、合理的配慮の範囲には含まれないけれども、支援として行われると望ましいものがあるはずで、今日の議論の中でも出た、例えば家庭生活を含めた支援であるとか、あるいは余暇活動に対する支援といったようなもの、そういったところについて支援を強化していく。その際には、場合によってはナカポツの生活支援における人員強化とかそういったところも必要になるのかもしれませんけれども、そういった点は重要になってくるのではないかと思いました。
残り2点は、ちょっと論点の追加に係るところでありまして、1点目は、情報共有とか相互理解の促進が重要であるという取りまとめがありまして、それはもちろんそのとおりであるわけですけれども、他方で、これも当然のことではあるのですが、障害者の側のプライバシーとか、どこまで開示するかといった、その点に関する意向について留意する必要があることも追記いただくといいかなと思ったところです。これは、特に働きづらさを抱える、そういう潜在的な障害者も含めて支援の対象にしていくといったことを考えていく場合は、よりセンシティブな問題として生じると考えています。
それから、最後の点は、これもなかなか難しい問題ではあるのですが、最低賃金法の減額特例につきまして、現状は、採用されてから申請して減額をするという、つまり、当初想定されていた労働条件を引き下げるという形で適用がなされているものでありますけれども、果たして、そういう形が本当によいのか。あるいは、ある程度類型的に、この点はA型の位置づけの見直しとも関わるのかもしれませんが、そういった最低賃金法の除外なのか、あるいは特例というのを認めていく。しかし他方で、例えば適用の期間については限定していくとか、そういった労働法令の適用の仕方が、特に福祉的就労の、特にA型がより問題になるかと思いますが、こういったような実は様々な選択肢があり得るのかなと思っているところです。
以上になります。ありがとうございました。
○菊池主査 ありがとうございます。石崎アドバイザーには、労働法学者でいらっしゃるので、ぜひ、最後の点も含めて、労働法制の関係でまとめに向かって、具体的な御意見等をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、網屋アドバイザーお願いします。
○網屋アドバイザー 第一生命チャレンジドの網屋でございます。
就労支援体系の在り方ということでいろいろ皆さんの御意見を聞かせていただいて、大変参考になっております。その中で、前回、岡田先生からもナカポツセンターとの関わり、特に千葉県でのいろいろなお話を頂戴したかと思っています。本当にすばらしいお取り組みをされているなと思っていますし、先ほど藤尾さんからもそういうお話をいただいておりますので、本来、ナカポツセンターの求められる役割はどういうものなのかというところは、もちろんそこは皆さんしっかりと御認識はいただいているのだと思いますけれども、片や、先ほど横堀さんからのお話とかでもあったのですけれども、北海道ではまだまだそういうところの課題があるのだよというようなお話もお聞きしておりましたので、実際には、全国のナカポツセンターの役割は、本来、統一されてこういう役割を求められて、こういうことをしっかりと取り組んでいくべきだというところは統一すべきなのではないかのかなと思っています。
その中で、実際には具体的な取組を進めていく中で、取組の変化は出てくるのだと思いますけれども、そういう取組を横になかなかそんなに簡単にうまくいくかどうかは分からないのですけれども、いい事例としてどんどん取り入れていけば、私はいいのかなと思っています。
そういう意味で東京で言うと、実際には区の就労支援センターとの関わりのほうが多いものですから、ナカポツセンターさんとの関わりはそんなに多くないのですけれども、全体の中でそういう役割をしっかりと統一して、同じような形で取り組んでいくのだというところをもうちょっと一本化できるとさらにいいのではないかなと思っております。
あとは、A型との関わりとかB型との関わりというところのお話なども出ていたかと思います。特にA型の在り方とか役割については皆さんからもお話ありましたし、私ももう少し議論の必要があるのかなとは思っているのですけれども、これまでもお話をさせていただきましたように、一般の企業と福祉のA型とかB型との双方向の行き来、キャリアトランジションという形でのお話もありましたけれども、ここについては何らかの策をしっかりと考えていって、双方向で行き来ができるような方向が考えられるのであれば、そこはぜひ考えていくべきではないかなと思っております。
今回の中でもテレワークのお話が出ておりましたので、企業での実態といいますか、特に今回のコロナ禍での状況についてちょっと皆さんとも共有させていただければなと思っております。第一生命チャレンジドでいきますと、既にお話は一度させていただいていますけれども、実は、今230名ほどいるのですけれども、約8割が知的障害者、残りの2割が精神の方というそんな構成になっております。働き方を変えていかなければいけないということはもちろん企業としては認識はしているのですけれども、知的8割のメンバーを抱えている企業の中で、実際に例えば在宅勤務とかテレワークみたいなものがどんどん進められる実態にあるかというと、現実的にはなかなか難しいというのが正直なところだと思います。もちろん、それは仕事の面でというところもありますし、環境面でというところもあるかと思いますけれども、環境面が整ったとしても、個々人の能力とか、実際に家にいて、ある勤務時間の中をしっかりと自分一人の中で解決できるのかというと、なかなか難しい問題があるような気がします。しかしながら、コロナ禍の状況を踏まえて、働き方をどんどん変えていかなければいけないということは、企業側としてしっかりと考えていく必要があると思っておりますので、どういうことだったらできていくのか。今後で言うと、仕事がコロナ禍によって減っていく。求められているものがさらにレベルの高いものになっていく。その中で企業として、特例子会社としてどういう役割が果たせていくのかということをしっかりと考えながら取り組んでいく必要があると思っていますので、その道、数字は大変厳しいかなとは思っているのですけれども、この働き方の改革というところを障害者雇用の中でしっかりとこれから考えて取り組んでいければなと思っております。
私からは以上でございます。
○菊池主査 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
岡田アドバイザー、眞保アドバイザーからございませんでしょうか。
岡田アドバイザー、いかがですか。
○岡田アドバイザー 岡田でございます。短く2点だけお話させていただければと思っています。
まず定着支援のことですけれども、定着支援の設定がちょっと公平性がないのではないかなと思っています。特別支援学校を卒業した者は、障害者就業・生活支援センターと特別支援学校でフォローする。就労移行と就労A・Bを出た者は定着支援事業が使えるということになっているかと思いますけれども、特別支援学校を卒業して一般就労した者は定着支援事業が何で使えないのか。これは明らかにおかしいですよね。高等学校を卒業した者も就労定着支援事業を使えない。これもおかしいと思います。国民から見たときに公平性を担保してないというか、あらかじめ特別支援学校や高等学校がフォローすべきだという設計になっていること自体が、国民から見たときに平等ではない、公平ではないという見方になるのではないかなと思っています。
特別支援学校がこれまでフォローしてきたのは、この間もちょっとお話ししましたけれども、先ほども横堀アドバイザーがお話しされていましたが、完全に業務の拡張としてやっている。当然、金も、旅費も出ていませんし、人員のための予算も全くされてない中で、簡単に言うと、誰もフォローする人たちがいないから無理にやっているだけであって、その無理にやっているものを、千葉県の場合は合理的にどうやったらもっとやれるかということを考えてやった効果のことをこの前お話ししただけであって、定着支援事業を公平・平等にやるのであれば、どの人たちに対しても公平平等に定着支援事業をやるのが筋だと思っています。
特に高等学校の生徒については、高等学校を卒業した者の就職に対して全くフォローしていません。当然、どこの大学かへ行っても、大学生に対してもフォローしていませんね。フォローしないのが普通なんですよね。ですので、さっき藤尾先生の御意見もありましたけれども、フォローしないのが当たり前なんです。中学校を卒業した者は特別支援学校に来たり、あるいは高等学校に行った者を中学校側はフォローしないですよ。考え方としては全く同じなんです。
ところが、障害のある子はということで、歴史の流れの中で誰もフォローする者がないからフォローをしてきたというその歴史的経緯があるので、そのフォローをしてきたということを言っているだけであって、これは福祉と雇用の関係で定着支援事業を行い始めたのですから、どの子に対しても、高等学校を卒業しようが、中学校を卒業しようが、特別支援学校を卒業しようが、その定着支援事業を使うことができるようにするというのが公平・平等だと思います。
そのことをまずお話ししておかなければいけないなと思っております。そうでないと、国民から見たときに、定着支援は誰がしてくれるのと。インクルーシブで高等学校に行きました。その子は就職するときに誰が定着支援をしてくれるのと言ったときに、いや、ありません、高等学校がやってくれるのではないですかと、そんな説明ないですよね。おかしな話なんですよ。ですので、どこがフォローするのか。雇用と福祉の関係の中で、国民に対して公平・平等にサービスをする仕組みをきちんと担保するべきだと。
それから、もう一点だけ、教育分野との連携の中で課題の話がされていたかと思います。今の話と関連をするのですけれども、特別支援学校からの就労は、千葉県はこの前話しましたが、千葉県全体で、高等部1学年全体で1,000人ぐらいいます。そのうち民間会社に就職するのは400人です。就労移行に進むのは100プラス・マイナス15です。そして、就労Aに行くのが大体20プラス・マイナス5ぐらいです。特別支援学級から特別支援学校に入る者は、高等部段階で入る者はどのぐらいいるかというと、1,000人中の550人です。さっきの足し算をしていただければ分かるのですが、一般就労をする者と就労移行に進む者と就労Aで大体五百数十人なんです。つまり、特学を卒業した者が就職や就労移行や就労Aに行っているのですよ。ですので、そこまで普通学級から特学に小学校段階、中学校段階で動いてきたものが、親が障害があるのかないのかを迷いながら、特別支援学級に入ってきた者が高等部に入って来るわけです。そこで初めて障害者の就労について面と向き合うということが始まるのです。ですので、就労している者が就労のイメージがなかなか持ち切れてないよとおっしゃるのは、これは特別支援学校の教育がもっと上げなければいけないという部分ももちろんあるのですけれども、この3年間の中で、子供は実際に現場実習を3年間積み重ねながら、保護者に対しては説明会を何度も繰り返しながら、あるいは、面接を繰り返しながら、この前実例をお見せしたような、その中で就労に対する意識を高めていくことが行われるのです。
でも、特別支援学校の場合はまだそれをやっているのですが、特別支援学級の卒業生のうち千葉県の場合は60%です。残りの40%弱(37%)ぐらいですけれども、人数として1学年当たり約350人は高等学校に行くのです。高等学校で普通学級の中に入って、そういう現場実習もなく、保護者に対する障害者就労に対する説明や福祉に対する説明もなく進んでいるのです。ここを何とか変えていかなければいけない部分だと。これはもちろん教育の部分だと思いますが、まだまだインクルーシブ教育システムということが始まったばかりで、なかなか理解も進んでいません。
さっき藤尾さんがおっしゃられたように、いわゆる障害者就業・生活支援センターさんに高等学校の学校技能員として特別支援学校の卒業生を雇用してもらっているのですが、そこの支援として、障害者就業・生活支援センターさんに、今、特別支援学校の教員と一緒に行っていただいたりすると、高等学校の職員から、「何しに来たの。あなた誰」と言われたりすることもあるぐらいです。今、大分変わってきましたけれども、高等学校の先生たちからすれば、障害者就業・生活支援センターが何やっているところかなんてそう簡単には浸透してないのです。ですので、そういうことも含めてそのネットワークの中に入れて、高等学校の先生たちに御理解していただくような流れをつくっていかなければいけないので、この前お話ししたようなネットワークをつくって、そういうことを進めているというお話をした段階です。それが、今、説明したことがまさに課題だと御理解いただければと思います。
すみません、2点です。以上です。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは最後になります。眞保アドバイザーお願いします。
○眞保アドバイザー お時間いただきまして、ありがとうございます。3点ほどお話ししたいことがございます。
1点目ですが、就労支援の体系の在り方を考える検討会ということですので、文言としてお入れいただきたいところとして、就労支援における基本的な考え方の部分に、障害者雇用あるいは働くことの質の向上に資する取組であると。「質の向上」という点につきまして、文言をお願いしたいかなと思っております。これが1点目です。
2点目は、働く障害がある方のニーズと、企業の皆様のニーズと、それを第一に考えての前提ではございますけれども、「一般就労と就労継続支援の関係について」というところになりますけれども、A型を類型化していくという新たな御提案、これにつきましては賛同する点もございます。ここで類型化として提示されているものが、訓練の場と働く場との類型ということを主に示されておりますけれども、もう一つ時限的な利用と継続的な利用と、このような時間軸の類型化というのもあるのではないかなと思います。
これら、いずれにしても、新たな類型化あるいはそれを事業化ということになりますと、留意すべきこと、例えばA型は雇用されることが困難な方を対象にしていますので、そうしたことも含めて留意すべきことは幾つかあろうかと思いますので、継続的に議論していく必要があるのではないかと考えています。これが2点目です。
3点目が、見え消しのところの8~9ページのところになりますけれども、「雇用率制度と納付金制度について」でございます。文言のほうにもございますが、これは又村アドバイザーだったでしょうか、納付金を調整金・報奨金等に充当するという考え方についての言及がございます。考えてみますと、こうした在り方というのは障害者雇用を量的に拡大するということに専ら資する方向であったと考えています。
今後は、量的な拡大ももちろんですけれども、質の向上に資するような取組に手厚く充当することが考えられると思います。もちろん、既存の職業リハビリテーションに関する施策にいま少し振り向けるとともに、企業において、障害がある社員の方と手厚くコミュニケーションを取る仕組み。例えば、障害のある方、障害のある社員の方を構成員とする合理的配慮提供等の調整アドバイザー会といったようなものを立ち上げるような取組、これを応援するような運用の仕方、こうしたことも考えられるのではないかなと思っております。
今、専ら雇用労働の話をしてしまっておりますけれども、障害のある社員の方の発言を吸い上げる仕組みが雇用の質あるいは働く場の質、これはもちろん既に福祉的就労の場では行われているかもしれませんけれども、そうした発言を促す、吸い上げる仕組みということが雇用の質の向上に資するのではないかと考えております。
以上、3点でございます。ありがとうございました。
○菊池主査 ありがとうございました。
まだ御意見おありになるかと思いますが、時間かなり経過いたしましたので、本日はこのあたりで閉じさせていただきたいと思います。
いわゆる自由討論が今日までというお話をしておりましたので、多少時間経過しましたが、皆様に自由に時間の制約がありながらも御発言いただきたいと思いましたので、あえて、3時半という枠を設けずにというか、それでも皆さん意識していただいたと思うのですが、やらせていただきました。次回からは、ある程度きっちりやりたいと思っています。
本当に様々な御意見を頂戴いたしました。これをこれから取りまとめ、議論の整理、事務局のほうでしていただきます。本当に様々でしたけれども、もちろんおおむね同じ方向性で複数の御意見をいただいたというのもあれば、考え方、役割、例えばナカポツセンターの役割についてとか、必ずしも同じ方向とは言い切れないような論点もあったかと思います。それをどういう形でまとめていくかという作業になっていきます。
例えば、何を目指すのかという長期的に見た大きな理念が大事ではないか。共生社会の実現という理念が障害者基本法にもあります。それは確かにそのとおりだなと思って拝聴していました。一方で、知的障害の方など、職場で一人でお昼御飯を食べなければいけないような状況に置かれて寂しい。仕事そのものではないけれども、そのことで職場に行くこと自体に足が遠のいてしまいかねないというような状況ですね。これは合理的配慮という、使用者がそこまでやるのは、義務化というのとはちょっと違うような気もしますし、かと言って、これは福祉サービスとしてやる必要があるのかという、そういう議論が先ほど出ていましたけれども、しかし、大きな理念の下でみんな協力しようという、職場とか一人一人の従業員とか、地域の人とか、そういう共生社会の実現、みんなで一緒に食べようと声をかけてあげられるような社会になっていればいいのですけれども、そうでないとすれば何が必要なのか。合理的配慮の範疇でないとすれば、支援として組み立てていく必要があるのかといった、なかなか難しい、理念では語れない現実に、しかし、ニーズのあるところをどうしていくかというような議論もいろいろあるのだなと感じました。
一般就労・福祉的就労と私も何気なく使っていますけれども、関係者の間でも一般的に用いられていると思いますが、複数のアドバイザーから、その名称自体に対する違和感というか、それは基本的な考え方にも通じる問題があるという御指摘があって、このワーキングで日本全体の考え方を変えるというところまではできないとしても、多くの皆さんから御指摘があった以上、何らかの形で議論のまとめにも組み込んでいく必要はあるのだろうなと感じました。
理念との関係で言えば、確かにいわゆる雇用率ビジネスという、それが倫理的な面とか、経済的に経済合理性があるかなどいろいろな議論がありますけれども、それも障害者雇用の理念との関係で整合性があるのかというような、そこは大きな議論ができるかもしれないということも感じました。
あとは具体的には、これも複数のアドバイザーの方から、生活困窮者自立支援制度との兼ね合いというお話が出ました。これは取りまとめにも関わってくるので、困窮者支援室は、今コロナでめちゃめちゃ忙しいと承知しておりますけれども、ちょっと連携を取っていただいて、どうするかというのを事務局にはやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
すみません、ちょっと長くなりました。
ということで、どうも、今日もありがとうございました。
それでは、議題の(2)「その他」ということで、事務局からお願いいたします。
○石井障害福祉課課長補佐 障害福祉課石井です。
本日は本当に長時間にわたりまして、ありがとうございました。私からは2点です。
次の第4回は、3月22日(月)を予定しております。次回ワーキングの取りまとめ(案)について御議論いただく予定ですので、よろしくお願いします。
また、今日までのワーキンググループの検討状況につきましては、3月中旬にこのワーキンググループのいわゆる親会「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」に御報告させていただく予定ですので、ワーキンググループの皆様におかれましても、御承知おきくださいますよう、よろしくお願いします。
私からは、以上です。
○菊池主査 ほかの2つのワーキングは、取りまとめまでにあと1回と聞いていますが、我々のワーキングはあと2回。これから取りまとめに向けて複数回議論する機会があるということで、今日の御議論を整理していただいて、皆様にたたいていただきたい、議論していただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。