第5回外国人雇用対策の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和3年5月24日(月) 16:00 ~ 18:00
 

場所

オンライン会場
厚生労働省職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎第5号館12階)

出席者

  • 天瀬 光二
  • 九門 大士
  • 是川 夕
  • 酒井 正
  • 佐久間 一浩
  • 杉崎 友則
  • 冨高 裕子
  • 友原 章典 
  • 山川 隆一(座長)
(代理出席)
  • 阿部()博司(新田委員代理) 

議題

  1. (1) 就職や定着のための 職場におけるコミュニケーションの改善と文化ギャップの克服の支援
  •   (関係者からのヒアリング)
  •    内定ブリッジ株式会社 代表取締役 淺海 一郎 氏
  1. (2) 中間取りまとめに向けた骨子案について
  2. (3) その他
     

議事

議事内容

○山川座長 それでは、皆様おそろいですので、ただいまから第5回外国人雇用対策の在り方に関する検討会を開催いたします。皆様方には、御多忙のところお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 本日の検討会も、こちらの会場とオンラインとで開催いたしますので、開催に当たりまして事務局から説明があります。よろしくお願いします。
○外国人雇用対策課長 事務局でございます。オンラインで御参加いただいている皆様におかれましては、発言についてのお願いがございます。オンラインの方は、事前にお送りしています「会議の開催 参加方法について」を御参照ください。座長が御発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」機能を使用してください。御発言される方を指名させていただきますので、指名された後に発言を開始してください。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくりと分かりやすくお願いいたします。また、発言後は、必ずマイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。オンライン出席の方で、操作などの御質問がある場合は、事務局までお問合せください。
 また、本検討会はペーパーレスの開催であり、会場ではタブレットを使用して行います。タブレットに関しても、使用方法について質問がある場合は事務局までお問い合わせください。円滑な会議運営に御協力をお願い申し上げます。
 続いて、資料の確認です。本日の資料は、議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4、参考資料1、参考資料2、参考資料3です。これらの資料に不備がございましたら、事務局にお申し付けください。
○山川座長 本日の出席状況ですが、新田委員が御欠席ということで、代理としまして、日本経済団体連合会労働政策本部の阿部上席主幹に御出席いただいております。また、オブザーバーとして、出入国在留管理庁政策課に御参加いただいております。
 それでは、議事に入ります。頭撮りはここまでとなっておりますので、カメラ取材の方、よろしくお願いいたします。
 まず、議題1「就職や定着のための職場におけるコミュニケーションの改善と文化ギャップの克服の支援」について、事務局から説明をお願いします。その後、関係者の方からのヒアリングを行います。ヒアリングが終わった後に、御質問と本日の議題についてまとめて御意見等を頂く時間を設けますので、御質問等がありましたら、その際にまとめてお願いいたします。それでは、事務局から説明をお願いします。
○外国人雇用対策課長 事務局でございます。資料1の説明をさせていただきます。資料1「就職や定着のための職場におけるコミュニケーションの改善と文化ギャップの克服の支援」についてです。資料の内容ですが、3点あります。
 まず1点目が、「できることリスト」についてです。厚生労働省におきましては、リーマンショックの後から、外国人就労・定着支援研修事業というものを実施してまいりました。身分に基づく在留資格の外国人の方を対象として、日本の職場におけるコミュニケーション能力の向上、それからビジネスマナー、雇用慣行、労働法令、社会保険制度等に関する知識の習得を目的として研修を実施しております。これらを通じて安定就職、職場定着の促進を図ることを目的とした事業です。
 ただ、この事業につきましては、長い間実施してきておりますが、これまで研修の修了者が研修で得た能力、つまり研修の結果できるようになったコミュニケーションを、事業主にお伝えするための客観的指標がありませんでした。そのため、修了者に対して就職支援を実施する際に、事業主が求める職場におけるコミュニケーション能力の程度と、実際に研修修了者が身に付けているコミュニケーション能力の程度が一致せず、就職に結び付きにくいという状況が見受けられております。
 そこで、この研修について、今年度から「できることリスト」というものを使用したいと思っております。そして、求人受理の際に事業主にお示しして、求めるコミュニケーション能力のレベルを明らかにする、あるいは研修修了者の職業相談、職業紹介にいかすといった取組を開始するつもりです。「できることリスト」の例が、2ページ目です。レベル1、レベル2、レベル3に分けてレベルを示しています。
 資料の2点目は、「外国人留学生の国内就職支援研修モデルカリキュラム」です。これは、前回の第4回検討会で既に御紹介したものです。これを、なぜ今回の検討会において再びお配りしているかと申しますと、実はこのカリキュラムは、作成に際しまして、本日ヒアリングにお招きした淺海一郎様から御指導いただいたものでございます。
 資料の3点目は、「外国人の雇用管理改善に向けた支援ツール」です。これも第3回の検討会に既に提出したものです。この支援ツールにつきましても、作成に際して淺海一郎様から御指導いただきました。事務局からは以上でございます。
○山川座長 続きまして、ヒアリングに移りたいと思います。今、お話にありましたけれども、本日は、内定ブリッジ株式会社代表取締役でいらっしゃる淺海一郎様から御説明をお願いいたします。淺海様、どうぞよろしくお願いいたします。
○淺海氏 こちらこそ、よろしくお願いいたします。今日はお招きいただき、ありがとうございます。画面を共有しております。見えていますか。
○山川座長 大丈夫です。
○淺海氏 では、10分ほどお時間を頂きます。急ぎ足でいきたいと思います。今日の内容は、このようになっております。
 今、御紹介いただいた外対課の厚労省の案件もそうですし、経産省の案件にも少し触れながら、弊社の問題意識についてと、それから今日は、外国人雇用を担う、担い手と呼んでおりますけれども、「支える人たちの支援についてどう考えるか」について、少しでも問題提起ができればと考えております。よろしくお願いいたします。
 弊社は、日本語教育事業者、また、企業のコンサルテーションを専門、外国人雇用企業を専門に支援している民間企業でございます。外国人への日本語研修もそうですけれども、下にありますとおり、外国人と一緒に働く日本人側への研修を一番力を入れてやっております。JETROの企業コンサルの事業も受託していまして、今年4年目に入りました。全国の中小、中堅を中心とした企業から様々な相談を頂き、それを支援するのが我々のミッションです。主に、採用支援ではなく、入社後の定着や戦力化を専門としております。後で触れますけれども、各自治体からのオファーといいますか、自治体ごとに事業をやっておる兼ね合いもありまして、地方の企業との接点が非常に多いです。
 昨年度の公的な政策関係の御依頼が上に書いてありますが、厚労省2件、経産省1件、文化庁、東京都の委員もしておりました。ヒアリングの方にもお世話になっております。今年度については、厚労省でキャリコンの研修の内容を検討する委員が、正に今月からスタートしています。文化庁の日本語教育推進関係者会議の委員を今年度から2年担当します。JETROは4年目です。国際交流基金(JF)の客員講師は3年目に入っております。
 昨年度の同じ時期の6月から11月にかけての動きをお示ししました。企業支援を専門としておりまして、年間1,000社ほどにセミナー等を提供しております。一部、日本語教育関係者にもセミナーでお話することがありますが、ほとんどが企業支援となっております。
 弊社と関わりの深い政策分野ですが、昨年度改定された総合的対応策、職場等における効果的なコミュニケーションのための受入れ側の環境整備、つまり、繰り返しますが、外国人雇用といいますと、外国人の支援ばかりしたがる人がほとんどなのですけれども、そうではなくて、受入れの日本企業、日本人側の支援をすべきというのが弊社の立場です。対応策にも入れていただき、ありがとうございました。経産省のほうもそうですが、文化庁の日本語教育推進法の中身の基本方針がこの間出ましたけれども、これにも全く同文を入れていただきました。ありがとうございました。
 各社のニーズに合わせて様々な研修を提供しております。日本人を集めただけ、外国人と日本人のミックス型、外国人だけ、こうしたいろいろな研修、オンライン、オフラインと様々あります。
 では、具体的になぜ日本人側、企業側に支援が必要なのかを考えてみたいと思います。すみません、事前資料と今日の共有資料は異なっています。こちらは、今日は24ページで、公開できない資料が含まれています。すみませんが、写真撮影等は一切御遠慮ください。
 これは静岡経済研究所が2年前に出した調査です。市内企業に、「外国人労働者にどのぐらいの日本語レベルを期待していますか」と聞きました。青い所がネイティブレベルです。高度人材、在留資格別に分かれています。高度人材、ネイティブレベルの日本語力、N1レベルで、足して90%ぐらい、非常に高い日本語を企業は求めていることが分かります。
 私は、これは余り驚いてはいなくて、一番驚いたのは次の下でして、技能実習生を雇用したい、若しくは雇用している企業のおよそ4割、N1も含めると、かなりの数が日本人と同等の日本語を、N1レベルの日本語を求めています。これは、技能実習制度を御存じであれば、おかしな話なのがすぐお気付きなわけで、数百時間の学習でネイティブレベルなんていくわけないのですけれども、ここに企業の本音が表れているかなと思います。つまり、企業側としては日本語がペラペラの人材が欲しいわけです。この後に話しますけれども、業務内容でそれが必要なくても、高い日本語を求める傾向が強いと感じています。
 これは昨年、日本教育学会で私が研究したもののデータを基にしたモデル図ですけれども、ある企業で、セファール、日本語教育の、先ほど「できることリスト」が出てきましたけれども、セファール(CEFR)という基準を使って、この会社で外国人にどのぐらいの日本語を求めているかを職位ごとに調べました。そうすると、この会社は、経営層は非常に低い日本語を求めているのですが、人事はもっと高いレベルで求めて採用しています。一緒に働く上司は、ちょっとそれより低いけれども、経営層よりは高いレベル、同僚はそれよりもう少し上のレベル、外国人と関わらないスタッフは非常に高いレベルの要求度であることがよく分かりました。業務の内容も明確になっていない日本企業においてですと、ましてや必要な日本語の基準は定められていません。JLPTを使って多くの企業は採用していますけれども、業務内容と関わらせようという企業は非常に少数です。ですから、入社後に、外国籍の方の日本語レベルに応じて、あるいは求められる日本語レベルに応じて、外国籍の方が非常に苦労されている現状があります。
 日本語のニュアンスといったものを、日本企業はかなり求めていると思っています。左は横浜市のデータですが、右側が非公開なので、JETROの資料を見てみましょう。昨年の5月から6月にかけて、300~400社ぐらいに、北海道から沖縄まで研修をオンラインでやりました。そのときに、事前アンケートを取りまして、どのようなことで困っていますかと聞きましたら、最も多かった回答が「ニュアンスが伝わらない」という困り事です。ニュアンスは伝わりません。しかし、企業の多くは「ニュアンスは伝わらない」ということの認識はありません。ニュアンスは伝わるものだと思っています。伝え方のトレーニングもさることながら、伝わらない日本語をどう伝えるかといった方向に企業の支援をもっていくべきだと思っています。また、その方向で支援をしています。
 このように見ていきますと、左の階段を上っているのは外国人だと思っていただきたいのですが、学校で学ぶ日本語教育、日本語教育機関もそうですし、国内の大学も含めて、海外の大学でもいいと思いますが、それと入社後のオフィスの日本語というのは大きな開きがありまして、そこには文化のギャップ、「文化コードの壁」があります。しかし、この文化コードの壁についての教育が非常に少ないという日本語教育の現状がありまして、そこの壁を越えるのに相当数の時間が掛かっていきます。支援も非常に手薄です。企業の支援も非常に少ないですし、そもそも意識がされていません。結果、3番のネイティブレベル、求められる日本語レベルに達するまで、もちろん5~10年かかり、人材も相当減っていくという問題があります。右側につっ立っているのが日本人ですが、それでは困りますから、日本の方にも階段を下りていただいて、もちろん外国人の方にも階段を上っていただいて、双方で歩み寄っていただくという支援を、双方に対してしているのが弊社でございます。業務効率を高め、リスクを下げるということです。定着や戦力化につなげていくというのが狙いです。
 これも非公開のものです。国際交流基金で年間100人ぐらい、現職の外国人に、私は間接インタビューを取っています。基金のほうで公開できないので、ここで共有しますけれども、働いている外国人からどういう声が出ているか、一部だけ御紹介します。専門用語に関してという非常に狭い範囲の話ですけれども、これは3人とも違う人が書いていまして、ポストイットに回答したのは外国人本人です。まず左上です。「何で困っていますか」とお聞きしたら、「専門用語のリストが欲しい」と、つまりこの企業は専門用語のリストすら準備していません。リストがないのです。多言語化ではなくて、その手前のリストがないのです。それで業務をやらせようとしているわけです。そういう自覚もこの企業には恐らくないと思います。これが現状です。左下、この企業の外国人は何で困っているか。同じようなことなのですが、「職場で使う日本語、作業道具、安全対策等を覚えたい」と、これは技能実習だと思います。来日後1か月研修があったのだけれども、足りないということです。一方で右側ですが、この企業は全く違う企業で、仕事中に仕事で使われる日本語あるいは専門用語の学習の時間が準備されています。企業によってこれだけ対応にばらつきがあります。私は勤務中にやってくださいと言っているわけではなくて、ただ、ばらつきがあると言いたいだけです。
 このようなことを考えますと、コミュニケーション以外もそうです。労務の支援もそうですが、日本人が当たり前だと考えていることを、どのように伝えるべきかみたいな観点もそうですし、それ以外の採用についても、定着を見据えた採用をしているのかどうかといったところの支援も必要になっています。そこで、2年前に、経産省、厚労省、文科省のほうでハンドブックを作成しました。私も委員でして、12ポイントで整理しました。これは総合的対応策にも採択をされていると聞いています。厚労省にも大変お世話になりました。
 ここで論点として、私が右下の所に書き入れましたけれども、これは企業などへの支援で私が使うのですけれども、そもそもこのリストは余り企業に知られていません。地方自治体の職員もほぼ知りません。ただ、実際に使うと、企業からの評価はそれなりに高いです。使い方には少しコツがあります。
 ここの2番目に書いてありますけれども、これは自社のチェックをするためのリストでして、目的としては、外国人雇用に適した組織に変容させる、社員の行動を変容させたい、そのためにこのリストを使って自社点検をするわけです。ただ、このまま使うことは実はできなくて、数値化とか継続的な追跡等があって、よりこの運用が効果的になると思っています。
 この前の入管庁のヒアリングでは少しお話したと思いますが、せっかくこれがありますので、法務省の方が今日は来ていらっしゃるのかよく分かりませんが、各企業における定着や戦力化の取組の度合いを示せますので、例えば数値基準を明確に設けるなどすれば、在留資格の更新や企業認定、厚労省のくるみんとかありますけれども、その中で外国人雇用の企業認定もいずれできると思いますので、そういった場面での運用も検討していただきたいなと思っております。このチェックリストは、弊社が66項目でチェックリストを作って、それを経産省に提供して、そこで絞って練って、12項目にしたという背景があります。
 これは非公開です。全く別の案件ですけれども、外国人雇用の企業意識についての調査を、全国306社にJFの受託事業でやりました。そのうち、2つの項目を今日は共有しておきます。質問9番、「貴社は、就業規則や業務マニュアル、専門用語の多言語化若しくはやさしい日本語版を作成したいかどうか」というアンケートに対して、既に作成している企業というのは少数派でして、まだ作成していないが作成したいと考えている企業は全体の44%です。怖いのは、作成していないし作成する予定もないという、外国人が日本語を読めればいいでしょという感覚の企業が30%強ということで、ですから、こうした企業をどう支援していくか、どう意識を変えていくか、そういったものがない上には業務というのは成り立たないはずなのですが、多くの企業は成り立つ、若しくは要らないと考えている、あるいは余力がないというように考えています。この支援をどうするか。だからこそ、今年の3月に厚労省で就業規則等の支援の資料を作成しました。こういう意図です。一方で、作成したいと言っている所も、作成の仕方が分かっていませんので、この支援をどうするかといったことが大きな課題です。
 今度は経産省マターです。先ほども出たような総合的対応策関連で、日本人スタッフへの研修に関する企業の意識調査の非公開データです。既に実施していると回答したのは少数派です。同じです。実施していないけれども実施したいという企業が非常に多いわけです。その辺りは非常に支援のしがいがあると思います。一方で、二極化でして、全く支援する予定はない、研修はやる気がないと言っている企業も3割ありますので、この企業をどう意識改革していくのかということが、自治体や国の仕事かなと考えております。
 最後、外国人雇用を支える担い手の支援についてです。政府、自治体、日本語教育関係者、児童教育関係者、キャリアコンサルタント、産業医等が周辺の支援者というように挙げられるかと思います。これは私が勝手にまとめた国の取組のフェーズごとの分布です。左から右にかけて、外国人が入社し定着していくというように考えてください。私が言いたいのは、左側の支援はもう十分だということです。1990年代から国はやっていますし、同化政策も十分だと思います。もう、採用や入社の支援はいいと思います。問題は、そこからどう右側につなげていくか、どうつながりのある形で支援をしていくかです。赤文字が私が関わった事業です。とにかく、こういった事業をどうやって右側に線を伸ばしていけるのかといったことを意識して、いつも支援をしております。
 自治体は、まず外国人雇用政策の支援の予算が非常に厳しいです。また、担当スタッフも知識がありませんので、かなり苦労しています。国の支援もありません。自治体の横のつながりもありません。ましてや、自治体単体で見たときに、このスライドで見ているように、産業人材課、労働政策課、国際課の連携は取れていません。ですので、皆さんばらばらのことをやっています。それをどう捉えるかということです。自治体が外国人雇用の企業を支援するに当たり、一部が助成制度を作っていることが、今年、弊社の47都道府県の電話調査で分かりました。7県ほどが助成制度を持っています。これを多いと捉えるか、少ないと捉えるかということが問題提起です。
 日本語教育も問題がありまして、これはマイルストーンになっていますけれども、簡単にいいますと、日本語教育のメインはAとBの領域がほとんどです。問題は、Cの教育が必要なのですが、Cの教育はほとんど誰もしていないということです。ですので、DとEの教育が歯抜けになっていきます。Cの支援をしたいということです。そのために、厚労省と一緒に成果物を作っているという背景があります。
 厚労省の予算のこともありますが、日本語教育に関しても、e-ラーニングは進んでおりません。日本語教育は、e-ラーニングが進めないといけないという背景が次にあります。専門の日本語教師、ビジネス日本語を専門としている人は非常に少ない領域です。本当に一握りしかいません。ほとんど留学生教育しかやったことがありませんので、企業の日本語教育をどう支援していくかという課題があります。まず、リソースも全然足りませんし、制度もこれから作る中で、こうやって一部の県が、県の予算で、その地域の働く外国人にe-ラーニング若しくはライブレッスンという形で、日本語教育を提供していますが、これは弊社の調査ですけれども、これぐらいしかないです。3つ目の福井は弊社が支援をしています。
 すみません、日本語教育のデータが1枚抜けてしまいましたが、一旦以上といたします。ありがとうございました。
○山川座長 淺海様、貴重なお話をありがとうございました。それでは、先ほどの事務局の説明内容や、今お伺いしたヒアリングに関する御質問、また議題1の「就職や定着のための職場におけるコミュニケーションの改善と文化ギャップの克服の支援」に関する御意見等をまとめて、委員の皆様方から御議論をお願いしたいと思います。
 御質問等を頂く際には、どなたへの御質問か、事務局、ヒアリング双方まとめて質疑応答を行いますので、そちらを明確にしていただければと思います。また、御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただければと思います。それでは、どなたか御発言ございますでしょうか。では、経団連の阿部様、お願いいたします。
○阿部氏 本日、新田の代理で出席しております経団連の阿部と申します。よろしくお願いいたします。淺海様、丁寧な御説明をいただきありがとうございました。先ほど御紹介があったアンケートで、外国人を受け入れている企業のうち3割は、マニュアル等を作っていないとのことですが、業種や規模、あるいは主に受け入れている外国人の在留資格等の傾向があれば教えてください。
○山川座長 淺海様、いかがでしょうか。
○淺海氏 多分こちらの資料ですかね。
○阿部氏 はい、そうです。
○淺海氏 すみません、これは公開できないのでちょっとざっくりとで申し訳ないのですが、職種は306社で、介護と製造が結構多かったです。ですから、介護は比較的コミニュケーションが多いですよね。一方で、余り多くないものも含まれているという感じです。
 在留資格も非常にざっくりとですが、技能実習雇用だけではなく、技能実習雇用企業が2に対して、技人国の会社員雇用が1、2対1ぐらいのバランスのデータになっています。阿部さん、これでお答えになっていますか。
○阿部氏 はい。ありがとうございました。
○山川座長 それでは、杉崎委員、お願いします。
○杉崎構成員 ありがとうございます。商工会議所の杉崎でございます。外国人を受け入れたいと思っている中小企業ないし既に受け入れている中小企業の現状を見ますと、確かに先生が御指摘のとおりでありまして、日本人スタッフに対するいろいろな教育訓練、規定類の整備、諸々のノウハウが、中小企業は必ずしも十分ではない、各種の情報が届いていないという実感がございます。加えて、企業を支援する自治体のスタッフの方についてのいろいろな知識、ノウハウについても強化していく必要があると思います。。
 一方で、このコロナが収まると、外国人材に対する期待、関心は元に戻り、高まっていくと思うのですが、雇用管理や受入れに係るノウハウの提供については、中小企業も自治体ともに、ここをどう解決していくのか、どう高めていくのかということは、非常に重要な問題だと思います。足下では、厚生労働省さんの外国人雇用管理指針を分かりやすく周知していただくことが、中小企業にとっては非常に有益であると思います。商工会議所といたしましても周知していきますし、いろいろなセミナーなども開いていますが、官民が連携して、ノウハウを広く周知していく必要があると思います。
○山川座長 ありがとうございます。では、是川委 、お願いします。
○是川構成員 ありがとうございます。国立社会保障・人口問題研究所の是川です。淺井様のお話、非常に興味深いものでした。ちょっとお伺いしたいのは、最初のほうでちょっとお話があったのですが、求められる日本語能力、文化コードも含めて企業の側では自社が求めるスキルレベル、業務に必要な日本語レベルというのをきちんと把握していないということでしたが、実際に淺海様がいろいろ研修されていく中で、企業ごとの業務やスキルによって、求められる文化コードのレベルや種類というのがどのように違うかということを、どう把握されておられるかということと、また、そういったものに対応された教育プログラムというのを、企業ごと、業務ごとに分けてされておられるのかということ、この点について教えていただきたいと思いました。
○淺海氏 御質問ありがとうございます。文化コードが産業別に分類されているのかという、そういうお話でしょうか。私が支援しているのが、正に経産省のものは分かりやすいのですが、すごくエントリーレベルのようなものなのです。つまり、例えばアンコンシャスバイアスだとか、あるいは全く逆のディファレンスとか、要するに外国人と一緒に働くに当たっての基本的なマインドセットが全然できていない企業でも、かなり雇用されているのです。そこで、まずトラブルは起きがちですし、もうちょっと言うと、数年雇用を進めている、10年ぐらい進めていても、そこは全くガタガタだったりするのです。それは驚くのですが、現実問題として起きています。なので、産業別よりもっと手前のところで支援をしているのが現状です。
 ただ、私の問題意識として、例えば外国人雇用が進んでいると言われている介護分野で、私は介護専門ではないですが、介護分野で日本語教育関係者がやっていることを見ていると、専門用語の整備、EPAもありますし、テストもありますので、その背景からだと思いますが、しっかりと労働力確保という観点からも支援を進めていると思います。
 一方で全く進めていない産業も山ほどあり、特に特定技能の業種であっても、本当に業界団体、これも先ほど杉崎さんの話を聞いて思ったのですが、業界団体でもきちんと意識がある所と全くない所が二極化している印象があります。なので、これは正に官民一体となって、国もそうなのですが、お金がないから国や自治体に頼むよと言っている企業もたくさんある中で、その仲立ちとなれるような産業団体が、委員から御指摘があったように、この産業では何がボトルネックになっていて、何をするべきかみたいなところを、産業ごとに分類すべきだというのは私の意見です。
 これは2月の入管庁のヒアリングでも同じことを話したのですが、特定技能のセファールごとの基準を作りましたが、ああいうことをするのであれば、産業界ごとにあれを更にすべきだと思います。例えば、うちの産業ではB1が業務で必要だとか、こういう日本語をうちの業界では求めていて、ここまでクリアすれば定着できる、戦力化が目指せるのだということを、外国人側も知りたいと思うのです。そういったことを、国あるいは業界ごとに明示していくというのは、次の今後のステップかなというふうに個人的に考えております。以上です。
○是川構成員 ありがとうございます。すみません、もう1点よろしいでしょうか。こういった取組に関して、何か日本以外の事例とかで、ある程度確立した手法や成功事例といったものは何かあるのでしょうか。
○淺海氏 日本語教育実態でいうと、産業ごとに支援している国は私は知らないです。一方で、言語政策みたいな観点でいいますと、もちろんドイツの移民に対する……の教育や、それを業界が少し支えるような制度は一部聞いたことはありますが、逆に恐らく人口で考えたとき、やはり移民二世がどのぐらい国の経済に貢献するかという極めて重要な観点では、正にこの委員会で御議論されていることを期待していますが、そういった意味においても、言語政策とセットで、こういったことは国と皆さんで議論を深めていただきたいなと思っております。ありがとうございます。
○是川構成員 どうもありがとうございます。
○山川座長 それでは、友原委員、どうぞお願いします。
○友原構成員 友原です。淺海様に質問をさせていただきたいと思います。、既に今のお答えでちょっと答えが出てしまったのですが、例えばオフィスの日本語の重要性を指摘されていまして、その中でも、今後は産業ごとの日本語の必要性等も指摘されていたのですが、既存の、例えばビジネス日本語能力テストがありますが、ああいうのはやはり不十分、若しくはうまく機能しないのでしょうか。
○淺海氏 何かJLPTという名前もありますので、ちょっとテスト関係を批判するのもあれなのですが、まずBJTですが、今のお話に関しては、まずほとんど使われていません。一般的に受験者が非常に少ない現状があり、また、BJTの、ビジネス日本語検定の中身を見ていただければ分かりますが、ビジネス特有の言い回しを得点化するテストなのです。ですから、これもやはりその知識があるかどうかというテストなのです。
 一方で、企業が求めるのは、やはりまずコミュニケーションだと皆さんよくおっしゃるのですが、コミュニケーションという範囲の中に、定形表現、ビジネスらしい表現、例えば「かしこまりました」とか、そういった表現を知っているから何が解決されるのかというと、実は非常に疑問があるわけです。つまり、ビジネス日本語の定義が人によって全く違うということなのです。敬語を指す人もいれば、専門用語を指す人もいれば、こういった独特な言い回しを指す人もいれば、むしろ文化ギャップ、文化コード、この文化的な意味では日本語ではこの言葉はこの意味になるみたいな、背景の文化の理解みたいなところを指す我々のような人間もいます。ですので、それらをまず整理をして、どういう教育を誰が担っていくのかということが議論されるべきで、それこそ、文化庁、文科省がそういったところを産業と一緒になってやるべきなのですが、切り離されているような印象がありますので、産業も是非そういった分野で声を挙げていただき、こういう教育が必要だと考えるなら、きちんと言うべきだと思います。まだ整理が足りないので、整理をしつつですね。その支援に対して、こういう教育を我々は提供できるみたいな教育事業者若しくは国の機関が、指針なりテストなりを開発していくという、恐らく次のフェーズが期待されているのではないかと思っています。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、九門委員、お願いします。
○九門構成員 本日はありがとうございました。2点お伺いしたいと思います。1点目は、最後の18のスライドに関して少し補足いただければと思います
 2点目は、外国人の雇用領域を支える担い手の育成についてお話されましたが、政策的にどういった支援が必要と考えられているかお伺いできればと思います。以上です。
○淺海氏 ありがとうございます。簡単に言いますと、ちょっと強引なデータなのですが、文化庁のもので、各県に住んでいる在住のプロの日本語教師、有資格者と、その県の外国人労働者数を単純に割り算しまして、いわゆる医者1人当たり患者600人みたいなデータです。つまり、プロの日本語教師1人当たりの労働者数を単純に出したものです。そうすると、滋賀県は1人の教師に220人ぐらいの負荷が掛かりますが、一方で秋田県はその10分の1、20人ぐらいの負荷です。もちろん、これは医者と一緒で、全員が患者ではない、すなわち全員が日本語教育の必要な人ではないのは明らかなのですが、いずれにしても、地域ごとに相当な開きがあるということが、ここから言えるということです。
 なので、地域ごとの日本語教育の支援、特に日本語教師で更にここに出ているプロ日本語教師のほぼ全員が、留学生の教育の専門でしかないので、ビジネスパーソン向けの教育もそうですし、産業で活躍できる日本語教育、ビジネス日本語の専門家はほとんどいないわけです。まず、そこの担い手がいない中で、これだけの格差を抱えている現状を踏まえ、企業支援をどうすべきか。そういったことについて、委員の皆様に強く御議論いただきたいというふうに、特に日本語教育周りでお話をしております。それから、もう1つは何でしたかね。
○九門構成員 外国人の雇用領域を支える担い手のお話はされたのですが、そうした担い手の育成について政策的にどういった支援が必要かお伺いしたいです。
○淺海氏 分かりました。担い手は多岐にわたりまして、例えば支援が進んでいない領域でも、産業医の議論とかは全然ですよね。外国人の異文化ストレスも相当なものですし、受入れの日本人社員も、異文化接触に慣れていない方のストレスはかなり高いものがあると想像しています。
 そういったところの支援に、恐らく産業医とかも関わっていくはずなのですが、例えば英語であろうが日本語だろうが、そういった知見がある外国人雇用に詳しい産業医なんて、まずいませんよね。キャリアコンサルタントも然りで、外国人のキャリコンなどは、九門先生御存じのとおり、そんなに多くないじゃないですか。本当にこれからの領域です。例えばキャリコンについては、実際に去年、九門先生と一緒にやった委員会のように、モデルとして、こういうプログラムが望ましいのではないかと作りますよね。これは、いいステップだと思っています。ですから、各自でやればいいのですが、どう運営していくのかが全然示されていないことにすごく違和感があって、では誰がどのぐらいの予算で、何年掛けて、どれぐらいのペルソナに対して何をするのかという、運営といいますか、研修プログラムは大いに結構なのですが、作っていて嫌なのは、それがどう運用されて、どう効果測定されて、どう今後に反映されていくのかみたいなところが余りセットで出てこないのが非常に違和感があります。
 なので、担い手の育成みたいなこと、そもそもどの領域も担い手がいないので、みんな慣れない状況で一生懸命頑張っていますから、その支援をどういうふうにしていくのかを含めて、セットで予算検討していただきたいというのを強く思っています。これでお答えになっているか分かりませんが、ごめんなさい。
○九門構成員 ありがとうございます。私も担い手の育成については問題意識を持っていますので、よく分かりました。ありがとうございます。
○淺海氏 ありがとうございます。
○山川座長 ありがとうございます。ほかに、御質問等ございますでしょうか。特にございませんでしたら、私から1点、淺海様への御質問があります。
 伝統的に、日本企業はOJTを非常に重視しているというふうに言われてきたのですが、業種によって違いがあるかもしれませんが、このお仕事をされている中で、OJTで外国人の方とのコミュニケーションギャップ等で困ったというようなことに接しておられるかどうか、あるいはそういうデータがあるかどうか、もし御存じでしたらお話いただければと思います。
○淺海氏 特にJETRO関係で多い企業からの相談に、そもそもの質問として外国人の研修は日本人と一緒でいいのかという質問があります。そういう段階の質問や状況の企業がそれなりに一定数あります。
 OJTについても、実際にやっている企業も二手に分かれていまして、ディファレンス、違いを基本的に無視する形で、ここは日本企業で日本語で業務をするのだから、当然日本人と同じように研修を受けてねと言って研修を実施し、かつ、それで特にその後の振り返りもなく、外国人がそれで辞めても、また採用するみたいな企業のケースがパターン1です。2パターン目は全く違いまして、そこをよく検討していき、ディファレンスに気付いて、同じことをOJTでやるのだけど、その中身、例えば補助資料として多言語資料を準備しておいて、事前に読ませておいてからOJTに入れるだとか、それはOFF-JTで切り分けている企業もあります。このように、特別扱いを彼らもしてほしくないですし、する必要はないのだけども、違いはしっかり踏まえて支援をすべきというふうな企業もやはりありますし、当然に後者のほうが定着します。なので、外国人目線でどこで苦労しているのかをよく会社で分析をして、その支援をしたがるかどうかということが、結構大きな違いなのかなというふうに思います。
○山川座長 ありがとうございました。ほかに、御質問等ございますでしょうか。それでは、ないようでしたら、ここでヒアリングと議題1に関する議論を終了したいと思います。淺海様、本日は大変ありがとうございました。
○淺海氏 こちらこそ、貴重な機会をありがとうございました。
○山川座長 議題2に移ります。本日を含めて、これまでに5回の検討会を実施してきましたが、これまでの検討会で、委員の皆様やヒアリングをさせていただいた皆様方からの御意見を基に、中間取りまとめに向けた議論を後半で行いたいと思います。議題2は「中間取りまとめに向けた骨子案について」ということですが、事務局から説明をお願いします。
○外国人雇用対策課長 中間取りまとめの骨子案に関する資料として、資料3と資料4の説明を続けてさせていただきます。
 まず、資料3です。これは第4回までの検討会で、委員の皆様から頂いた御意見をまとめたものです。第1回検討会から前回の第4回の検討会までの皆様の御発言を要約して記しております。また、これまでの第1回から第4回までの議題に関連して、本日は補足資料を3点お配りしております。
 第1に、コロナ禍で帰国困難な外国人に配慮した求人に関する要請です。コロナ禍の下で帰国を望みながら、航空便の減少などにより帰国できず、やむなく在留資格を短期滞在にして、資格外活動として週28時間の就労許可を入管当局から得ているという方も少なくありません。こういった方々の中には、帰国できるまでの間、短期的な就労を望む方がいらっしゃいます。しかし、滞在期間は90日と短く、働ける時間は週28時間以内と短く、更に帰国便が飛ぶようになれば本国に帰りたいというお気持ちを持っているといった条件が重なりますと、なかなか簡単には仕事が見付からないという実情がございます。
 そこで、5月20日付けで厚生労働省職業安定局長の名前で、経済団体と職業紹介関係の団体に対して、帰国困難な外国人に配慮した求人に関して要請を行ったところです。内容は青囲みの所です。
 なお、この職業安定局長の名前で行った要請とは直接関連しておりませんが、同時期に民間において自主的、自発的に行われた例を1つ紹介させていただきます。今月の上旬のことですが、東京都のHonda正規ディーラーの企業の「Honda Cars東京」が、外国人の若者を保護しているNPO法人からの相談を受けて、そのNPO法人に保護されている外国人のうち、在留資格が短期滞在で週28時間の就労許可を受けている若者のために、1日5時間、週5日の洗車の仕事を作ってくださった例を伺いました。
 第2に、外国人を雇用する事業所に関するデータベースの整備と活用のイメージです。第3回の検討会において、事務局から「外国人を雇用する事業所における外国人の採用や育成の能力について、事業所別かつ時系列で整理すれば、求人開拓などハローワークの仕事にいかすことができるのではないか」と申し上げました。この点について、もう少し具体的にイメージを持っていただけるようにと思い、この資料を用意しました。
 外国人雇用状況届は、外国人が入職したときと離職したときに、事業主からハローワークに届出を出していただく仕組みです。この届出を事業所別に整理すると、例えばスライドにお示ししているように、東京都の製造業において外国人を雇用している事業所のうち、一昨年秋から昨年の秋にかけて、つまりコロナ禍の影響を受けた下でも、外国人労働者を増やした企業を把握することができます。そのような企業のうち、外国人労働者の増加数のトップ10の企業をリストアップしたのが、このスライドです。一つ一つの事業所について、現在ハローワークに求人を頂いているか、過去にハローワークに求人を出したことがあるかなど、過去におけるハローワークとのお付き合いの履歴を確認することなどをいたしまして、しばらくお付き合いが途絶えている企業に対しては、改めて求人を出すようハローワークからお願いしたり、あるいはこれまで全くお付き合いがなかったけれども、外国人を多数雇っている企業に新たにアプローチするといったことができるのではないかと考えております。
 最後の資料です。前回、冨高委員から頂いた御質問に対して、入管庁から回答を頂きましたので御紹介させていただきます。資料3については以上です。
 次に資料4です。中間取りまとめに向けた骨子案です。第1回目から第4回目までの各回の議題ごとに、資料やヒアリングを通して明らかになったと思われることを課題として示し、また、構成員の皆様から頂いた御意見を踏まえ、対応の方向性の案を記したものです。以上で、事務局からの資料説明を終わります。
○山川座長 それでは、事務局からの御説明、特に中間取りまとめに向けた骨子案も示されていますので、それらについて、御質問、御意見等がありましたら、委員の皆様から御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。天瀬委員、お願いします。
○天瀬構成員 質問というより意見になるかと思います。今、事務局から提示された資料3に当たると思いますが、コロナ禍で若年、若しくは女性の労働者が非常に影響を受けているということが世界的に言われており、JILPTでもコロナ禍の雇用に関する影響ということで、これまでに数回のパネル調査を実施してきておりますが、そこでもそういったエビデンスが得られているというところです。
 これまでの議論の中でもありましたとおり、外国人もそうしたことが当てはまるのではないかということで、コロナの影響を一部の日本に滞在する外国人労働者が受けていることが推察できるわけですが、こういうことに関して、資料3でお示しされた7ページに、コロナ禍で帰国困難な外国人に配慮した求人に関する要請ということで、具体的な事例の紹介もありました。こういった取組、特に短期間の就労でも差し支えない求人について、その旨を求人情報に明示するなど、そういう具体的な工夫をした対応というのは非常に有効ではないかと感じた次第です。
○山川座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。酒井委員、お願いします。
○酒井構成員 私からはコメントと質問になります。まず、今回の骨子案を提示していただきまして、今は箇条書きのような形になっていますが、実際に骨子案を発表するときには、最初に、例えば背景、問題意識、論点といったものが提示されるのでしょうか。これが質問というか、それを入れるべきではないかというコメントも含めてということです。
 それで、今回の骨子案ですが、第1回から第4回まで検討会を進めてきて、コロナ禍ではありましたが、ある意味では非常に冷静に議論ができたのではないかと思いまして、非常によかったと考えております。特に、様々なエビデンスが毎回示されまして、それに基づいた議論が冷静に行われたことが非常によかったと個人的には感じております。
 ここからが私の提案になりますが、骨子においても、今回の検討会の意義として、エビデンスに基づいて冷静に議論を進めてきたところを強調されてはいかがでしょうか。そして、このコロナ禍ということに関して言えば、一方で外国人雇用問題の難しさが浮き彫りになったのではないかとも思います。というのも、今回、外国人が帰国できないというような事態が発生して、それに伴って在留資格の延長や外国人向けの雇用対策を行う必要が出てきたと考えられます。その中で外国人雇用対策の課題として共通して浮かび上がってきたのが、対策の周知の必要性なのではないかと思います。今日のヒアリングでもそうでしたが、例えば職場での日本語の教育が進んでいない実態といったことは知られていないことが多く、外国人自身もそうですが、同時に日本人に対する周知の必要性についても、この骨子の中で強調されてはどうでしょうか。これが私のコメントになります。
 様々な論点が示されている骨子案ですが、同時に、まだ網羅されていない論点もあると思われますので、そういうことについては、可能ならば今後も検討を続けていくのがいいのではないかと思いました。
○山川座長 ありがとうございました。質問も兼ねてということでお伺いしましたが、今回の取りまとめ、あるいは検討そのものについての背景とか問題意識を盛り込むべきではないかということでした。この点について、事務局から何かございますか。
○外国人雇用対策課長 酒井先生、御指摘ありがとうございます。この点、この後も委員の皆様から様々な御意見を頂くことになろうと思いますが、各議題ごとの課題、対応の方向性ということだけではなくて、全体を貫いて、あるいは今回は取り上げられなかった論点もございますので、そういった点も踏まえまして、冒頭あるいは最後、両方かもしれませんが、短期間でこれだけの方にお集まりいただき濃厚な議論をしていただきましたことを踏まえて、何か大きな視点とか、この検討会の意義に関する記述を付加することができましたら、事務局としては大変有り難いことでございます。
○酒井構成員 分かりました。ありがとうございます。
○山川座長 ちなみに、私も同様の感覚を持っておりましたので、そのような方向でお願いしようと思っております。では、佐久間委員、お願いします。
○佐久間構成員 佐久間でございます。資料4の骨子案についてです。特に、1ページの(2)に記載されている「対応の方向性」の1つ目の○で、困窮する外国人を支援するNPO法人や事業協同組合、企業組合といった中小企業組合が活動している例も少なくありません。それと、当初から意見を申し上げているところですが、ハローワークとの連携の強化の点については、これからどうやって外国人との共生に向けて、現在活動を行っている方々が動くのかが非常に重要な点だと思います。本検討会は中間報告を作成する段階にあり、そして、本検討会の1回目からの議論で、在留資格別にいろいろな課題がある、定住者の問題、技人国、技能実習、特定技能、そういったことなどを含めながら、ハローワークに通いやすいというか、結び付きやすいところとかを、在留資格別に問題点を浮き彫りにしていくことになっていたのではないかと思います。それに応じて、検討会も2回目、3回目と回数を重ねながら、いろいろな団体、株式会社やNPO法人があったりとかで、各団体では、すばらしい活動をされていると思うのですが、地域においても横連携なり、同じようなそういう組織が活動し、連携して行くことで外国人材の共生が図れるのではないかと思います。
 ですから、各地域、各都道府県のほうで、地域の協議会、これは経済団体、労働組合も参画させていただき、いろいろな団体のトップクラスが集まって、そういう団体には名簿もあると思いますので、これを一挙に集めて、どこを対象としたものなのか、在留資格で例えばベトナムを得意にしている、技能実習を得意にしている、留学生を得意にしている、そういうものを集めたような、ここでは単にデータベースという言葉になっていますが、ここを具体化すべきということの提示をしていただくというのが、中間報告又は最終報告の中では、是非詳細に入れていただく必要があるのではないかと思います。
○山川座長 ありがとうございます。エビデンスというお話もありまして、その中で、言わば連携の基礎となる情報を把握して、更に収集するという御提案と受け止めた次第です。ありがとうございます。冨高委員、お願いします。
○冨高構成員 今まで議論してきた内容については一定程度入っていると思っています。特に、(1)の外国人雇用の状況における対応の方向性については、データの分析や関係諸機関の連携による統計等の新たな整備を検討することが入っており、これは非常に重要なことだと思っております。分析とは、政策的課題を浮かび上がらせ、それを改善していくために行うものであり、そう考えると、外国人雇用について総合的に政策的課題を議論することが必要だと考えておりますので、分析だけではなく、一歩進んで政策的な連携や、政策を総合的、専門的に議論する場を設置することも必要だと思います。雇用に関する内容ですので、厚労省がきちんとハンドリングすること、労政審の場で議論することが非常に重要ではないかと考えておりますので、そのような場の設置についても加えていただければと思っております。
 もう1点、子供のキャリア支援についてです。前回、御意見として言わせていただいたことや、ヒアリングの皆様からも保護者も含めた一体的なキャリア支援の実施が重要ではないかという指摘がございましたので、その点は入れていただいてもいいのではないかと思います。
○山川座長 ありがとうございます。今後の議論の方向性、あるいは場に関する御意見も頂いたところです。では、是川委員、お願いします。
○是川構成員 酒井先生の御意見とも重なりますが、「はじめに」のようなものを設けるということに私も強く賛成します。
 これまでの議論を振り返ってみまして、今回の検討会で示された非常に重要な視点というのは、職場を失った技能実習生とか困窮者とか、技人国であっても職を失った方とか、留学生もなかなかうまく就職ができなくてとか、そのように様々な理由で困窮していることへの注目だと思います。これまでの国の対策や政策、外国人雇用においては、どちらかというと制度ごとの管理運営といった視点が強かったのではないかと思います。ただ、今回の検討会で次々と示される論点のを見ていきますと、困窮者であれ留学生であれ、さらに第2世代とか第1.5世代というような子供たちであれ、外国人、あるいはそういった外国籍の親を持つ子供とか、もっと言えば国籍すら限定せずに広い意味での移民的背景を持つ人たち、そういった人たちの就労支援、労働市場への包摂という視点で論じたということに意義があるのではないかと思います。
 諸外国を見てみますと、移民政策、とりわけ統合政策において、労働を通じた包摂という視点が非常に重要ですし、もう一点としては公平性、差別やそういったものを生じさせないという人権という観点、この公平性と効率性の2つを軸にして、社会的統合政策を進めていくというのがスタンダードではないかと思います。そういう意味ですと、今回の検討会で示された様々な論点やエビデンスというのは、そういったスタンダードを示したものとなり、非常に画期的な一歩になるのではないかと思います。是非そういう点を盛り込んだ形で、「はじめに」というような文章を置くということが重要だと思います。
 また、様々なヒアリングの形でお話を伺う機会を頂きましたが、ハローワークに限らず、NPOや自治体、様々な企業とか、そういう全ての社会的なアクターがこの問題に関連しているという視点、こういった社会全体で取り組む、あるいは政府全体で取り組むという視点というのも、例えばSDGsのインディケーターの10.7.2に移民政策に関する指標項目がありますけれども、そこでも政府一体となっての対応や、社会の様々なアクターと関連してというところが非常に重視されています。今回の検討会では、そういった点も、ごく自然に実態を紹介する中で示されたということは、非常に画期的ではないかと思っています。
 よって、公平性と効率性、外国人それぞれの幸福追求や、日本の労働市場全体としての質の向上といった点は、今回の検討会で大きく一歩を踏み出すきっかけになるのではないかと思いますので、是非そういう形で前文のようなものを設けていただくのがよいのではないかと思います。
 もう一点です。こちらは各論の部分になります。中間取りまとめに当たって、これまで事務局で様々なOECD等のペーパーをまとめていただいたと思うのですが、そこでスキルの話というのが、さり気なくではありますが、非常に重要なまとめとしてあったと思います。この分野では、資格の相互認証というのが、労働市場への包摂という点で非常に重要な論点となってくるかと思いますので、盛り込む場所は留学生の所なのか、どこなのか、その辺は検討していただければと思いますが、スキルの相互認証についての検討の重要性ということについても、盛り込んでいただくといいのではないかと思います。
 この点は、本日のヒアリングで淺海様から提示されたような、日本語も漠然とした日本語ではなく、業種ごとやレベルごとにかなり細かく可視化された形で日本語が必要だというのもありますが、そういう論点とも通じると思いますので、是非盛り込んでいただければと思います。
○山川座長 御提案も頂きまして、その点は検討していただければと思います。「はじめに」に盛り込むこと、これも同感でありますが、ここまでの検討は、最初はコロナ禍ということで、かなり限局化されたところから出発したのですが、結果的に非常に広くなって、言わばズームアウトして全体が目に入るというような形になったかというように思っております。その辺りは図のような形で、一覧性のあるものを作っていただけないのかなと思って、事務局に提案しているところです。そのようなものがあれば、より一層この検討会の意義が分かりやすくなるのかなと個人的に思っているところです。ありがとうございました。それでは、経団連の阿部様、お願いします。
○阿部氏 2つあります。1点目は表現に関することです。資料4の2ページの(4)の「国際的な人の移動の中での外国人雇用対策」という第3回の議論の2番目の○に、「アジア諸国の中では、送出し先としての日本の地位が上昇」とあるのですが、「日本の地位」という表現は、価値観を含んだ言葉であると思っております。外国人雇用について様々な課題がある中、「日本の比重が上がっている」や「日本の割合が上がっている」などの、より客観的な表現にしたほうがいいのではないかと考えます。
 2点目は、連合の冨高構成員からもありましたが、子供のキャリア支援について、骨子案の中での記述が少々薄いと思いました。今後、中間取りまとめを作成する際には、これまで出された意見を踏まえて記述の充実をお願いします。
○山川座長 まだ表現の細かなニュアンスまでは深く詰めていなくて、恐らく価値観的なことというよりは量的なお話ですので、おっしゃるようなことで検討させていただければと思います。また、冨高委員からもお話のあった点も、もう少し厚くできないかどうか検討させていただきたいと思います。では、九門委員、お願いします。
○九門構成員 亜細亜大学の九門です。中間取りまとめ案については、私も前文を盛り込むことには賛成ですので、進めていただければと思います。
 中間取りまとめ案について、先ほど淺海様からもお話がありましたが、外国人の雇用に関する担い手については、やはりまだまだ少ないのが現状です。様々なカリキュラムや政策の情報発信については言及いただいているので、それと併せて、外国人の雇用やキャリアについてのサポートをする人材育成の取組が必要という点も盛り込んでいただきたいです。
○山川座長 ありがとうございます。今日のヒアリングで強調されたことですので、その結果も含めて更に盛り込むような方向で検討されるのではないかと思います。杉崎委員、お願いします。
○杉崎構成員 日商の杉崎でございます。この骨子案に記載されている内容は、正にそのとおりだと思いますし、取り分け(1)にある個別データの分析、より詳細な状況把握については、必要性を感じている次第です。
 この方向性で進めていただければと思うのですが、1点、今回この中間取りまとめでは、いろいろと施策を追加、拡充すべきという方向性を打ち出しているのですが、現在ある総合的対応策との比較、総合的対応策に比べてどこをどう強化、拡充していくのかといったような資料があると、対外的には分かりやすいかと思いますので、事務局で御検討いただければと思います。
○山川座長 その点も、恐らくこれまでの政府内での検討の経緯との関係で重要な点になってくるかと思いますので、検討をお願いしたいと思います。友原委員、お願いします。
○友原構成員 友原です。今後の方向性に関しては、ほかの構成員の皆様の御意見に同意いたします。
 それと、今回の検討会で触れられなかった各論として、デジタル化について今後の検討会で御議論いただいてもいいのかなと思いました。実は、先日ハローワークに見学に行ってまいりまして、諸手続について個人的にも見て、ほかの方にもお話を伺ってきたのですが、デジタル化のメリットは幾つかあって、1つは来所せずに手続ができるということで、この検討会でも触れられていましたが、外国人が来所するというのは心理的にも物理的にもハードルが高いということで、そういったハードルを取り除くことができるのではないかと思いました。
 それから、来所前にも現在のシステムで(一部情報の)入力はできるのですが、日本語入力のフォーマットになっていまして、その辺のフォーマットに関しても多言語化で、外国人の方が入力できるようなフォーマットの開発が将来できると、より一層外国人が使用しやすくなるのではないかと感じました。
 最後ですが、これはデジタル化だけではなくて、デジタル化と連携、この2つのキーワードをつなげて思ったのですが、デジタル化が行われれば、例えばほかの官庁との連携、今回気付いた話ですと、例えばハローワークで使用する情報、例えば離職票とかですが、それと、その後に健康保険などで市町村事務所に別に行かなければいけないのですが、そこで使用される離職票の情報が結局一緒です。場所は違うけど、使用する情報も似ているということで、そういった手間を簡素化できるのではないかと。利用者の立場から、利用しやすいシステムという意味でも、デジタル化ということは、長い目で検討を進めていくことが有意義である大事な論点ではないかと思いました。
○山川座長 デジタル化という点で、情報の共有ないし連携との関連があるという御指摘で、これまでさほど明示的には議論してこなかったと思いますが、非常に有益な視点ですので、改めて検討させていただければと私としては思っております。
 追加、補足でも結構ですが、ほかにございますか。よろしいでしょうか。特段ございませんでしたら、本日はこの辺りで終了したいと思います。次回は、更に中間取りまとめについて御議論いただくことになると思います。本日は骨子案ということでしたので、委員の皆様から出た御意見について、事務局で整理していただいて、次回の資料に反映していただくようにお願いいたします。
 それでは、最後に「その他」ということで、事務局からお願いします。
○外国人雇用対策課長 本日は、御多忙の中御議論いただきありがとうございました。また、ヒアリングに参加していただいた淺海様にも、すでに御退席されていますが、改めて御礼を申し上げます。
 第6回の検討会は、6月17日(木)の10時から12時を予定しております。詳細は別途御連絡申し上げます。
○山川座長 それでは、本日はこれで閉会といたします。皆様、大変ありがとうございました。