技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会(第11回)議事録

政策統括官付政策統括室

日時

令和3年6月8日(火)10:00~12:00

場所

厚生労働省省議室(9階)

出席者

委員(五十音順)
事務局

議題

  1. (1)とりまとめに向けた議論
  2. (2)その他

議事

議事内容
○守島座長 皆様方、おはようございます。
 定刻になりましたので、ただいまより「技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会」の第11回を開催したいと思います。
 本日は、オンラインでの開催とさせていただいております。
 皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 カメラの頭撮りはいらっしゃらないので、このまま進めたいと思います。
 本日は、所用により、冨山委員と森戸委員が御欠席でございます。
 また、佐久間委員と佐藤委員は遅れて出席をされる御予定と伺っております。
 議事に入ります前に、オンラインでの開催に当たって、事務局より御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○高松政策統括官付政策統括官室労働経済調査官 本日も、皆様にオンラインで御出席いただいておりますので、留意事項を御説明いたします。
 まず、検討会中は、原則として、カメラはオン、マイクはミュートとしてください。委員の皆様の御発言の際は、参加者パネルの御自身のお名前の横にあります挙手ボタンを押して、座長から指名があるまでお待ちください。座長から指名後、マイクのミュートを解除して御発言ください。発言終了後は、マイクをミュートに戻し、再度挙手ボタンを押して挙手の状態を解除してください。
 通信の状態などにより音声での御発言が難しい場合には、チャットで御発言内容をお送りください。また、検討会の最中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡ください。なお、通信遮断などが生じた際には、検討会を一時中断させていただく場合がございますので、御承知おきください。
○守島座長 皆様方、聞こえていらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の進め方について、御説明いたします。
 最初に、新しいものができてきましたけれども、事務局より報告書案について御説明を差し上げます。その後、報告書案についての質疑応答と自由討議に進んでいきたいと思います。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○高松政策統括官付政策統括官室労働経済調査官 事務局から、資料1-1の報告書案について、御説明いたします。
 資料としましては、1-1が報告書案、1-2が前回のたたき台案からの変更履歴のある資料となっております。資料1-1で、前回のたたき台から変更された点を中心に全体について御説明いたします。
 まず、1ページ目を御覧ください。まず、「はじめに」でございます。こちらは、今回追記したものになります。本検討会での検討の経緯について、基本部会での報告書を踏まえて検討してきたところ、3パラ目になりますが、その途上で新型コロナの感染拡大が生じて、テレワークが急速に広がった。また、非正規雇用労働者やフリーランス等のセーフティーネットをめぐる課題も明らかとなった。4パラ目、こうした状況を踏まえ、本検討会も一時中断を余儀なくされたが、検討の再開に当たっては、DXの進展に伴うイノベーションの流れが感染拡大をきっかけにさらに加速していく可能性についての指摘をいただきまして、こうした変化が労使コミュニケーションに及ぼしている影響についても視野に入れて検討を進めてきた。5パラ目になりますが、こうした経緯を経て、新技術の円滑な導入と効果的な活用に向けた労使コミュニケーションを中心として、技術革新が進展する中での労使コミュニケーションの重要性、具体的な内容等について取りまとめたとしてございます。
 次に、2ページでございます。「1.検討の前提」になります。「(1)検討対象とした新技術について」、「(2)検討対象とした労使コミュニケーションの枠組み・方法について」、記載してございます。
 次に、3ページの「2.調査から見える労使コミュニケーションの現状と変化」についてまとめた部分になります。2.(1)では厚生労働省の労使コミュニケーション調査から、4ページの(2)ではJILPTが実施しました新技術導入に関する労使コミュニケーションの調査から、明らかになったことを記載しております。具体的なデータを今回は注のところに追記してございます。さらに、5ページに参ります。(3)には前回議論となりましたテレワークの普及状況について企業調査の結果がございましたので、追記してございます。調査名としては、脚注8に書いてございます調査でして、その下の脚注9にありますとおり、従業員10人以上の企業を対象とした調査でございます。(3)の本文3行目から、主な結果について申しますけれども、テレワークを新型コロナ以前より導入していた企業が26.0%、流行をきっかけに始めたところが63.9%等となっております。導入の効果としましては、その下のところに記載がございますが、従業員の通勤負担の軽減、課題としましては、従業員間のコミュニケーションが取りづらいことなどが挙げられております。また、テレワークに関する労使での話合いについて、常設の協議体で話し合う機会・予定があるとする割合が比較的高かったといったデータも書いてございます。6ページの脚注12に、具体的なデータがあります。こちらのとおりです。
 次に、3.に参ります。こちらは、ヒアリングを行いました新技術導入活用に当たって労使コミュニケーションに積極的な企業や労働組合の事例から見える課題についてまとめたところでございます。「ヒアリングの概況は、別添の事例集のとおり」と書いてございます。本日、資料2として御提示しております。こちらのとおりでございます。構成については、後ほど御説明いたします。これらの事例を参考にしつつ、企業の実態に応じて労使双方にとってより適した手段を組み合わせて取り組むことが期待されると、本文ではしてございます。3.(1)では、労使での協議内容やテーマについてまとめたところになります。導入する目的、必要性、目指す姿について共有するといったところ、7ページにわたりますけれども、生産性向上の成果の分配により、労働者の納得を得て方向性を共有するというところ、次のパラグラフでは、業務の変更に伴う研修や人材育成、職種転換に伴う人事や評価の制度の改定の事例に触れております。次に、3.(2)は、労使コミュニケーションの枠組みの事例についてまとめたところになります。前回の検討会におきまして、個別企業労使の中でも集団的な枠組みと個別的な枠組みがありまして、また、個別企業労使だけでなく、個別労使を超えた地域や産業での枠組みもあるといったところの交通整理が必要という御指摘をいただきまして、今回、整理してございます。まず、ア、個別企業における取組を整理しております。その中で、1パラ目にありますとおり、集団的な枠組みと個別的な枠組みを活用していたとしております。2パラ目では代表的な集団的な枠組みとして労働組合との協議について、さらに3パラ目ではより具体的な取組内容を記載してございます。その次に、労働組合がない企業においても、集団的な枠組みを設けている事例としまして、労使の協議体を各階層に常設している事例について記載してございます。さらに、「同時に」のパラグラフですが、新技術導入の際に現場の労働者を含むプロジェクトチームなどの専門組織をつくって取り組んでいる事例について記載してございます。 8ページに参ります。「他方で」のパラグラフですけれども、個別的な枠組みの事例としまして、定期的な個別面談など日頃から充実に努めてきた既存のコミュニケーションの枠組みを新技術導入・活用に関しても活用している事例を記載してございます。次に、イ、個別の企業を超える枠組みでは、個別の労使では解決できない課題について、地域単位、産業単位で労使コミュニケーションを図っている事例について、具体的に追記してございます。3.(3)では、デジタルツールの活用の事例です。3パラ目、9ページの一番上の部分になりますが、デジタル技術と対面によるコミュニケーションとめりはりをつけて使い分けをしている事例について記載してございます。前回御指摘があったところでございます。(4)主体の拡がりにつきましては、非正規雇用労働者とのコミュニケーションを積極的に取っている事例について触れております。
 次に、4.近年の環境変化と労使コミュニケーションへの影響についてのセクションでございます。(1)では、経済・労働環境の変化につきまして、正確な記載にしてございます。次に、(2)労使コミュニケーションにおける労働組合の果たしてきた役割ということで、前回の御指摘を踏まえて追記した部分になります。2パラ目の「しかしながら」から、10ページにわたりますけれども、企業別労働組合は常設の従業員代表機関の設置が義務づけられていない現行法制の下で、使用者に対抗する立場で団体交渉を行い、組合員にとって有利な労働条件を獲得するという本来の役割と併せて、言わば経営上のパートナーとしての役割も果たしてきたとしてございます。次に、4.(3)経済・労働環境の変化による、労使関係、労使コミュニケーションへの影響です。ア、個別の労使コミュニケーションの拡がりについて記載してございます。11ページに参りますが、イ、労使コミュニケーションの主体の拡がりとしまして、1パラ目では非正規雇用労働者について、2パラ目では管理職につきまして、3パラ目では、前回議論になりましたが、フリーランス等雇用関係によらない働き方をする者について記載してございます。このフリーランスにつきましては、記載がございますとおり、政府においてはフリーランスのガイドラインを策定しておりまして、その中でこうした働き方の者が労働者に該当する場合には労働法のルールが適用されるとしております。その労使コミュニケーションの主体となることから、このガイドラインの周知徹底が求められると記載してございます。さらに、そのパラグラフの最後になりますけれども、そうした働き方の者の声を拾い上げる取組も必要であるとの指摘があったとしてございます。次に、ウ、労使の関心事項の変化の部分でございます。こちらについては、変更はございません。次に、4.(4)サイバー空間上のコミュニケーションの進展に伴う課題として、ア、オンラインでのコミュニケーションの普及の課題について追記してございます。12ページにわたりますけれども、前回議論になりました、経営層や管理職が対面のコミュニケーションに慣れていてテレワークに難しさを感じていること、2パラ目では、他方で、若年層も、人的ネットワークや能力開発・技能形成が不十分な段階では、業務上のコミュニケーションの不足により業務遂行や能力開発上の困難やストレスにつながるおそれがあるといった課題について、触れてございます。デジタルと対面の利点を生かし、バランスよく取り入れることが重要と書いてございます。次のイ、ソーシャルメディアの進展に伴う課題の部分については、大きな変更はございません。
 次に、13ページ、5.今後の課題や方向性でございます。(1)労使コミュニケーションの重要性と求められる内容について、まとめております。 14ページに参ります。(2)労使コミュニケーションの促進として、ア、個別の企業における取組をどのように進めていくべきか、さらに、15ページに行きまして、イ、個別の企業の労使を超える課題について触れております。このイの中の3パラ目になります「特に」の段落は、前回の指摘を踏まえまして、中小企業や自営業主が取り残される懸念があり、地域単位や産業単位での労使コミュニケーションが期待されるといったことについても、追記してございます。さらに、5パラ目、「また、従来の」のパラグラフになりますけれども、集団的な労使コミュニケーションの枠組みではカバーできていない労働者や、従来の枠組みによる労使コミュニケーションから距離を置く者についても、社会全体としてどのように労使コミュニケーションの主体としていくかについても、課題であると追記しております。さらに、ウ、労働組合に期待される役割の部分も追記しております。こちらの2行目ですが、労使協調機関としての機能を担ってきた役割は大きい、特に新技術への対応が難しい労働者の雇用やキャリアへの対応については、個別的な労使コミュニケーションのみでは対応が難しく、集団的な労使コミュニケーションの果たす役割はこれからも期待される等々、記載してございます。 16ページに参りまして、2パラ目になりますけれども、労働組合がこうした役割を果たしていくために、組合自身も企業や産業別組合とともに情報収集し、自身もデジタルツールを活用することも含め、取り組むことが必要としてございます。次に、5.(3)インターネットやソーシャルメディアが進展する中でどのように労使コミュニケーションに取り組むかをまとめたところは、大きな変更はございません。
 最後に、「おわりに」を全般的に追記してございます。前回検討会で議論になりましたコロナによってDXが急加速されたことに関する危機感についても、こちらに盛り込んでございます。まず、1パラ目では、本検討会では、AI等の新技術の導入に際して企業労使の具体的取組や課題を把握するとともに、次の最後の17ページにわたりますけれども、コミュニケーションも含めた経済社会の変化、新技術の進展等により、労働者の働き方やキャリア形成に関する意識や価値観が変化して、こうした変化が新技術導入の際の労使コミュニケーションにも影響を及ぼしているところを確認したとしてございます。17ページ、3行目の2パラ目になりますが、その上で、新技術の導入を通じて生産性の向上を図り、企業、ひいては経済の発展と労働者への成果の配分を実現する、職場の不満の表出に伴う労使関係の不安定化を防ぐためには、企業の実情に応じた形で集団的・個別的コミュニケーションを活性化させていくことが有効であるとの認識に改めて至ったとしております。3パラ目では、労使関係者においては、この成果を参考にして、労使コミュニケーションの改善、深化に向けて取り組むことを期待するとしております。以降、4パラ目からは新型コロナについて書いてございます。4パラ目、「同時に」とあります。新型コロナは不連続な変化をもたらした、具体的には、テレワークの導入、オンライン方式での業務遂行を求められ、課題に直面する労使が急増した、インターネット消費など技術環境の変化への対応も課題となっているとしております。5パラ目では、さらに、新型コロナの影響が長期化する中で、非正規雇用労働者やフリーランスの中でもギグワーカーと呼ばれる働き方の人々にとってのセーフティネットの脆弱性が浮かび上がる中で、これらの人々をどのように職場や労働市場に包摂し、その声を拾い上げていくかも重要な課題であるとしております。最後のパラグラフで、新型コロナウイルス感染症に伴い顕在化したこれらの課題への対応には本検討会の射程を超える面もあるが、本検討会としては今後政府が労使や有識者をはじめとする幅広い国民の意見を踏まえつつこうした課題に応える議論に積極的に取り組むことを期待するとしてございます。
 資料1-1については、以上でございます。
 さらに、資料2について、簡単に構成だけ御説明いたします。資料2を御覧いただけますでしょうか。こちらは、これまでのヒアリング事例の概況をまとめた事例集として作成したものでございます。
 1ページ目に、目次がございます。これまで検討会で話を聞いてまいりました14事例についてまとめております。
 さらに、2ページから5ページまで、それぞれのポイントを簡単にまとめてございます。
 その上で、6ページ以降、1事例を2ページ程度にまとめた内容としてございます。詳細な説明は、割愛させていただきます。
 説明は、以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました報告書案及び事例集案について、自由討議に入りたいと思います。御質問や御意見のある方は挙手をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 根橋委員、よろしくお願いします。
○根橋委員 ありがとうございます。
 連合長野の根橋でございます。
 まず、報告書案を取りまとめ頂きありがとうございました。
 その上で、大きく2点についてお願い申し上げたいと思います。
 まず、1点目は、前回の発言と重複いたしますが、報告書の「はじめに」は、読者がこの報告書を読み進める上での道しるべとなる重要な部分であると考えております。そうした観点からすると、度々で恐縮ではありますが、求められる労使コミュニケーションの結論については報告書の冒頭に示したほうがよいのではないかと考えております。御説明がありましたように、報告書の体裁上難しいことは、十分理解しておりますが、報告書の概要を作成するに当たり、要旨を冒頭に記載するなどの工夫をいま一度お願い申し上げます。
 2点目でございますが、労使コミュニケーションを通じて積み上げられてきている、働くうえでの根幹となるワークルール形成の視点で何点かお願い申し上げたいと思います。
 この間の事例報告にもありましたように、特に労働組合のある職場においては、集団的労使関係の下、労使でワークルールの整備と定着に取り組むことで働きがいのある労働環境の実現に努めてきております。新技術の導入時のみならず、どの様な状況であっても、働く上では、ディーセントな働き方を実現するためのしっかりとしたルールが必要になります。そのルールの決定や実行プロセスに働く者の当事者が必ず参加することで、ワークルールに納得した上で仕事ができる職場環境をつくることが何よりも重要です。ぜひこうした観点も報告書に盛り込んでいただきたいと思います。
 具体的には、1ページ、「はじめに」の部分、コロナ禍において急速に普及した新技術として、テレワークについて言及いただいております。幾つかの課題を記載いただいておりますが、記載以外の課題として、テレワーク時の働き方について、労使によるルールの整備や周知が不十分なままテレワークが実施されたことで、労務管理における課題が生じた側面があること、また、労使でテレワークの働き方について話し合う機会がない場合においてはテレワークの実施が低調な傾向にある点についても、この間の事例でも報告がありますので、記載いただきたいと思います。
 加えて、案の9ページ、4.(2)労働組合の果たしてきた役割の部分でございますが、労使の話合いの下、ワークルールの整備と定着に取り組むことで、働きがいのある労働環境の実現に努めてきたこと、13ページ、5.(1)労使コミュニケーションの重要性と求められる内容の部分に、新技術の導入に際しては、良質な労使コミュニケーションを通じて、関係する法令またはガイドライン等を労使で十分に確認・理解した上で、必要なルールの整備と定着に取り組むことが求められる旨、ぜひ記載いただければと思います。
 以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
 後藤委員、お願いいたします。
○後藤委員 ありがとうございます。
 長い時間をかけてこの報告書を取りまとめていただき、本当にありがとうございました。新技術の円滑な導入と活用について、労使による双方向のコミュニケーションが重要であるということを、十分に盛り込んでいただいたのではないかと思います。
 これをより実効性のあるものにするためには、労使双方向のコミュニケーションですので、労使双方が、対等なパートナーだという認識を持つことが必要だと思います。労働者側だけ、経営者側だけということではなく、労使双方が認め合いながらコミュニケーションを取っていかないと、双方向性は失われていくと思いますし、片方だけが言いたいことを言うというアンバランスなものになっていってしまう懸念があります。その点について、この報告書を通じて、これから十分に啓発・周知等を行っていかなくてはいけないのではないかと考えております。
 企業や働く人たちを取り巻く環境、働く人のニーズも、非常に速いスピードで変化していますので、コミュニケーションの方法や具体的なツールについても変化しているという議論もあったかと思います。ただ、どんな方法を取ろうとしても、どんなツールを使ったとしても、最終的に多様な意見を集約して合意形成を図っていく営みは今後も変わらず、その役割は集団的な労使コミュニケーションが果たしていくということなのだと思います。その点については、指摘しておきたいと思います。
 その点から見ていくと、10ページ、(3)の「ア 個別の労使コミュニケーションの拡がり」という項目の中に、「その結果、集団的な労使コミュニケーションだけでは労働者のニーズに対応しきれなくなってきており、個別の労使コミュニケーションを必要とする局面が拡がってきたと考えられる」という表現が残ったままになっています。一方、その直前の(2)に、前回の議論での池田先生からの指摘を踏まえて、日本の労使関係の歴史の中で、多様化する労働者のニーズへの対応を労働組合が一手に担ってきたという主旨の文言を入れていただいています。そういう意味では、前段の(2)と、この(3)とでバランスが取れていないのではないかと思います。さらに、15ページの「ウ 労働組合に期待される役割」で十分に書いていただいていることも見ると、全体としてもこの(3)のところは少しバランスがよくないのではないかと思います。従って、集団的な労使コミュニケーションだけでは労働者のニーズに対応しきれなくなっているという表現は若干言い過ぎなのではないかと思いますので、できれば少し改めていただければと思いました。
 以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
 続いて、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 検討会の議論を受けて全体にわたり加筆修正をしていただき、ありがとうございます。集団的な労使コミュニケーションの重要性や役割などについても追記いただいたことについては、感謝を申し上げます。
 その上で、この報告書を今後どのように活用して次の検討や取組につなげていくのかという観点から、コメントをさせていただきます。
 この検討会のベースとなっている労働政策基本部会の報告書をもう一回読み直してみたのですが、その中でも、AI等の技術が進展する中で、いかなる労働者も労働市場から排除されずに社会に包摂されることが大事という点や、産業構造が変わる中で良質な雇用を確保していくことが課題になりますが、それは個別企業だけで対応できるものではなく、産業、地域、ナショナルレベルでの政労使の継続的な対話が必要という点などを指摘しています。コロナ禍で新技術の進展による働き方の変化のスピードは加速していると思いますが、働く者自身が、自分を変え、成長していくことができるような環境を整備していくことが重要であり、そのために労使コミュニケーションを広げていくことが重要だと思います。
 本報告書を全体で見てみますと、個別企業レベルにおける労使コミュニケーションについて、コミュニケーションを図るべき主体が、多様な労働者、労働者に限らず就業者にも広がっているという指摘は大事な点だと思います。一方で、個別企業を超えた取組については、本検討会での検討や報告書における記載は、限定的なものだったのではないかと思っており、「おわりに」は、そうした意味合いも込めた記載ぶりになっていると理解しております。新技術の進展が働き方に与える影響への対応について、厚労省の従来の守備範囲だけでは対応し切れない事項もあるのだろうと思いますし、本報告書あるいはそのベースとなっている基本部会の報告書を関係省庁にも読んでいただいて、次につなげていくことが重要なのではないかと思います。
 そこで、本報告書を今後どう生かしていくのか、現時点で考えていることがあればお伺いしたいと思います。
 また、14ページ、(2)「ア 個別の企業における取組」について、補強意見を申し上げます。クラウドソーシングやギグエコノミーで働く者について、個別企業でガイドラインを徹底して集団的労使関係でカバーされるべき就業者へ適切な対応を図っていくこと、また、発注者としてこうした就業者に対して適切なコミュニケーションを図っていくことが大事だと考えております。そうした観点から、2段落目に、非正規雇用労働者、若者層をピックアップして、目配りの必要性が指摘されているのですが、ギグワーカーやクラウドワーカーの皆さんも含めて、声を聞く場が必要な旨記載いただきたく、意見として申し上げます。
 以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
 御質問に関しては、どうされますか。
○高松政策統括官付政策統括官室労働経済調査官 この報告書を今後どう活用していくかというところでございます。まず、現時点で考えておりますのは、基本部会の報告書を受けてこちらを検討しておりますので、基本部会で報告するところまでは考えているところでございます。この先、この報告書自体をどう活用していくかというところは、この報告書でどこまでの内容になるかといったところになりますので、今後検討していくところでございます。
 以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 続いて、井上委員、お願いいたします。
○井上委員 日本商工会議所の井上でございます。
 本日は、ありがとうございます。
 企業規模を問わず、業種を問わず、幅広い企業の取組事例を収集していただきまして、報告書に取りまとめていただきましたこと、改めまして御礼申し上げます。
 話は変わるのですが、日本商工会議所が2月に会員企業122万社に対して取ったアンケート結果によりますと、テレワークを取得した企業の平均値は25%、デジタル人材が不足していると回答した企業は50%、中小企業のアンケート対象も入っていますので、厚労省さんで行われた調査と比べてさらに低い取組の数値にはなっているのですけれども、このようなことからも、中小企業を中心にまだAIなどのデジタル技術を活用した労使コミュニケーションまで含めた取組が十分にできていないことが推測されるわけです。したがいまして、仁平委員からも御意見としてございましたが、本検討会は労使コミュニケーションを中心にいろいろな討議をされてきました。様々な課題も見えてきましたので、ぜひ関連省庁に情報共有と周知をいただければと思っております。
 私からは、以上になります。
○守島座長 ありがとうございます。
 続きまして、池田委員、お願いいたします。
○池田委員 報告書案の修正案の御作成をありがとうございました。前回の検討会で私から指摘した点も対応していただいたようで、恐縮に感じております。
 そこにつながったところで、今日はさらに2点指摘させていただきたいと思うのですが、まず、1点目として、今回の報告書案ですと、冒頭の2ページから3ページにわたるところで、コミュニケーションの方法という分類がされているのですが、①、②とあって、報告書案の分類だと、コミュニケーションの議題で区分しているといいますか、議題が特定的か一般的かという感じで分類されているかと思います。これはこれで、あり得るコミュニケーションの在り方の分類ではないかと思います。他方で、語弊があるかもしれませんが、私は、労使のコミュニケーションという場合に、ある意味で直接のコミュニケーションか間接のコミュニケーションかという区分も大事なのではないかと感じております。それが今回反映していただいたような伝統的な企業別労働組合が存在する企業での労使コミュニケーションということにも表れているのではないかと感じています。何を言いたいかというと、今回の報告書案で触れていただいたとおり、日本の伝統的な企業別組合はこれまで多くの場合に労使コミュニケーションの主体としての役割を担ってきたことになるかと思うのですが、それで実現される労使のコミュニケーションも、表現の仕方が適切か分かりませんが、労働組合という言わば中間団体を介在させた間接的なコミュニケーションだと思うわけです。これに対しまして、こういった伝統的な企業別組合が存在しない場合、あるいは、最近の技術革新などで導入されるところが増えていると聞いているSNSなどを利用したコミュニケーションは、多くの場合は使用者と労働者との間で直接にコミュニケーションが行われるところに特徴があると思っております。そういった意味で、直接・間接というコミュニケーションの種類の違いがあると思うわけです。ただ、労使の間でコミュニケーションをする場合に、それが使用者と労働者が直接コミュニケーションをすることになった場合には、当然想定されることとしては、労働者側に気兼ねが生じて自由に発言しづらいということが、起こり得ることではあると思うわけです。他方で、間接的なコミュニケーション、労働組合を介した労使コミュニケーションになると、その組合自体に対する不当労働行為などの問題はもちろんあり得ますが、その背後にいる労働者の存在が組合の陰に隠れることになりますので、労働者個人にとってみると、気兼ねみたいなものは、少なくとも直接のコミュニケーションのときほどには生じにくいのではないかと思うのです。だからこそ、伝統的な企業別の組合のある事業主では、本来の組合の役割ではないとは思うのですが、前回も指摘したとおり、企業別組合を介したコミュニケーションを積極的に活用してきたということがあるのではないかと思います。言葉の使い方として「直接」や「間接」という言い方がいいのか分かりませんが、このようなコミュニケーションの在り方の違いも重要な視点なのではないかと思いますので、その点についても何らかの形で指摘があってもいいのではないかと思いました。これが1点目です。
 長くて申し訳ないのですが、2点目としましては、仮に、そういう視点で、労使コミュニケーションにおいて、間接的なコミュニケーション、労働組合などを介在させたコミュニケーションの意義を仮に認めるのであれば、現段階で事実上唯一の担い手になっている企業別組合の労働者代表としての役割に対して、もっと法的な裏打ちがあってもいいのではないかと私には思われるわけです。もちろん、労働組合としては労働組合法、過半数代表としては労働基準法などの法的な裏打ちがあるわけなのですが、労使コミュニケーションの主体としての企業別組合という位置づけについては、現状では法的な裏打ちがありません。もちろん、企業別組合に二面的な性格を与えることになりかねませんので、悩ましい状況に追い込む可能性もあるわけなのですが、今回の報告書案を拝見しますと、15ページから16ページにわたるところには、今後、労働組合に、引き続き、むしろより一層、労働者代表といいますか、コミュニケーションの主体としての役割が期待されるという言及が見られるように、今後も同様の役割を期待するのであれば、将来的には、何らかの法的な裏打ちが必要かどうかという点から多分議論しないといけないと思うのです。そういうことを議論する必要があるようにも感じられたというところを2点目として指摘させていただきたいと思います。
 長々と申し訳ないですが、以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
 続きまして、戎野委員、お願いいたします。
○戎野委員 丁寧にまとめていただき、ありがとうございました。
 私からは、事例集についての確認と意見です。 事例集の書き方として、まず、組合がある企業ということで始まり、2番目が組合がない企業となるのですけれども、順番として、組合がある企業と来たら、まずは企業から始まってもいいのではないかと思います。その後、組合がない企業なら組合がない企業で、労働組合の取組はまた別途項を改めてもいいのではないかという気がいたしました。何か思いがあるのかもしれませんが、もしそうでしたら教えてください。それが1点目です。
 その後の書き方なのですけれども、この労働組合のところが特に私は気になって、例えば、三井住友海上労働組合さんのところでもいいのですけれども、ここの事例1に書いてある従業員数は企業の話だと思うのです。ここの緑の枠の中には、労働組合のいろいろな内容を書いたほうが良いのではないかと思います。組合員数は何人とか、ユニオン・ショップ協定を締結しているとか、組合の説明がこの緑の中に入るのではないかと思いました。もちろん企業の内容も入っていいと思うのですけれども、組合の説明をこの枠の中に入れたほうがぱっと見て分かるように思います。このことが2点目です。
 3つ目は、その後のいろいろな説明をしていただいている中で、できるだけ統一性を持って書いてはどうかと思います。労使コミュニケーションの方法の中で考え方はとても大事だと思うのですが、そういう項目がないところもあります。ヒアリングで導き出せなかったのかもしれませんけれども、できる限り最初の項目をそろえて、特に考え方がどうかというのは非常に気になるところなので、考え方や方法は統一性を持って書いたほうが見やすい気がいたしました。
 4点目なのですけれども、報告書作成にあたって多くの委員の方がおっしゃっていたことともつながってくるかとは思うのですが、コミュニケーションは、企業では、組合があれば、企業と労働組合、企業と社員、その中には組合員もいれば非組合員もいるというふうに、幾つかのコミュニケーションの種類があると思います。組合に関しましても、もちろん労使ですから企業とのコミュニケーションもありますが、組合員とのコミュニケーションもありますし、労働組合と非組合員との関係もあるでしょうし、場合によっては組合員と非組合員の関係もある。コミュニケーションのいろいろな種類についてここで分かりやすく事例の中でも説明していただけると、より参考になるのではないかと思いました。
 以上、4点です。
○守島座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○高松政策統括官付政策統括官室労働経済調査官 今の事例集のところについて、説明申し上げます。
 まず、構成について、組合がある企業とない企業があって組合から書いているというところについて、組合がある企業の取組の中にも、例えば、5番の太陽生命さんとか、組合とのやり取りがかなりあったかと思います。そういったところもあるものですから、全体の流れとしてはこういった組合から書くほうが据わりはいいのかなと事務局としては考えまして、こうした流れで考えておりますが、ここについて委員の皆さんに御意見をいただければ、またそこは検討したいと思います。
 組合については、上の概要のところに組合の情報を書くべきというところは、まさにそういったところで書ければと考えてございます。
 構成をなるべくそろえた形で、例えば、考え方を書いたほうがいいという御指摘をいただきまして、事務局としてもそういった考え方でまとめたのですけれども、あくまでヒアリングの情報を基にしたものですから、なかなかそろえることが難しかったと。特にその考え方については適切な情報がなかったところがありますので、そういった意味では、現状、これが限界かなとは考えておりますが、さらにもう一度議事録等を振り返って、書けるものについては書きたいと思います。
 最後、組合、組合員、非組合員、様々なやり取りのところについても、ヒアリングの限界がございましたので、書ける範囲では書いたつもりではありますけれども、なかなか難しく、分量という面もありますので、書ける範囲で振り返ってみたいと思います。
 以上でございます。
○守島座長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 ほかにどなたか、御意見とかがおありになる方がいらっしゃれば。
 鬼丸委員、お願いいたします。
○鬼丸委員 報告書をお取りまとめいただきまして、ありがとうございます。
 私から、2点、感想と申しますか、お願いと申しますか、申し上げます。
 まず、1点目です。今回の報告書で取り上げた事例につきましては、個別の企業における労使コミュニケーションの対応が中心であったように感じております。しかし、今回の議論の中で先生方が御指摘なさっていたように、個別の企業の枠組みだけで労使コミュニケーションを捉えることが難しい側面について、今後、さらに様々な角度や様々な単位で捉えていくことも念頭に置きつつ多角的に検討を加える必要があるのではないかと感じました。「おわりに」の部分などに、例えば、そういった産業別の労使コミュニケーションを今後はどのように考えていくべきか、地域における労使コミュニケーションをどのように考えていくべきかといったことを、今後私どもあるいはこの報告書をお読みになられた方がさらに目配りをしていく点の一つとして、そういった点についても、もしお許しいただけるのでしたら、少しだけ御指摘いただけるとありがたいと感じております。
 2つ目の点でございます。報告書本文の中にも個別の労使コミュニケーションの事例あるいは地域の労使コミュニケーションの事例がたくさん紹介されておりましたが、私個人といたしましては、この事例のように、ほかの企業、ほかの労使が見習うべき、今後自社でどのように労使コミュニケーションを進めていくのかということについて考える際の大きな道しるべとなり得ることが、報告書の随所に示されているように思います。もしも許されるということでしたら、そのような現在行われている労使コミュニケーション自体がほかの企業の労使コミュニケーションの在り方のヒントになる面があったり、もちろん労使コミュニケーションに注目をしている方々に様々な影響を及ぼし得るような力を持っているのだということについても、一言、書き加えていただければ大変ありがたいと感じました。
 以上、2点、感想として申し上げます。
○守島座長 ありがとうございました。  ほかにどなたか。  大竹委員、お願いいたします。
○大竹委員 ありがとうございます。
 最終段階になって大幅な変更をしていただきまして、どうもありがとうございました。私は、AIの急激な進展の中で、労使のコミュニケーションの在り方に関する報告書として非常にすばらしいものになったと思っております。
 最終版を読んでいて、非常に細かいところだけ気がつきました。1ページ目の「はじめに」に「DXの進展に伴う」という言葉があります。「AI」は定義が記載されていますが、誰もが読む文書で目新しいものが幾つかあるような気もしますので、そういう言葉の定義について、初めて出てくるところでは何か注釈を入れるか何かしていくのがいいかなと、見ていて気がつきましたので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。2ラウンド目でも構わないので、どうぞ。
 後藤委員、お願いいたします。
○後藤委員   先ほどの池田先生からの御意見について、この後どう取り扱っていただけるかにもよると思うのですが、現場視点で感想を申し上げます。直接的なコミュニケーションと間接的なコミュニケーションと区分をしていただきましたが、間接的なコミュニケーションという区分が、現場の労働組合の役員としては、いつも頭を悩まされる、非常に難しいと思っているところでもあります。つまり、労使のコミュニケーションを見たときに、会社から、労働組合という団体が中間にあり、三つどもえの様な形で取られてしまうのが一番やりにくいと感じています。組合の役員は、現場の代表として労働組合を運営しているにすぎず、現場と労働組合は一体だといつも思っているのですが、現場の意見と組合の意見は一緒なのか一緒ではないのか、ということで揺さぶりをかけられるときがあるのです。我々は、先ほどの発言で申し上げたとおり、最大公約数になってしまうかもしれませんが、職場の代表として、職場の意見を取りまとめて、使用者側と向き合っているので、何も後ろにいる組合員の人たちが労働組合とは別物という意識で活動しているわけではないという思いがあります。それを三つどもえの構成でコミュニケーションを図られてしまうと、労使コミュニケーションの双方向性が失われ、ぐちゃぐちゃになってしまいます。そうすると、我々自身の存在意義自体を若干否定してしまうところもあるといつも感じているところです。仮に今後労使コミュニケーションを直接・間接で区分けしていくようなことがあるのであれば、もう少し議論を深めさせていただきたいと思います。
 以上、感想になります。
○守島座長 ありがとうございます。
 よろしいですかね。
 ほかにどなたか、ございますでしょうか。
 佐藤委員から、何か御発言があれば、お願いしたいと思います。
○佐藤委員 まずは、前回の議論でかなり大きく方向転換した中、最後の段階でここまでまとめていただいて、本当にありがとうございます。
 内容というよりは、私自身、難しいなと思って、答えのない意見にはなるのですけれども、これだけ世の中の状況が目まぐるしく速いテンポで変わっていく中、2020年の中でこの活動をずっと皆さんと一緒にやってきて、決めていくこと、まとめていくことが、どんどん古いものになっていってしまうというところで、こういうものを今後はどういうタイムラインでまとめ上げることがこれからの世の中に求められるのかなと、課題として感じました。
 答えのない意見で申し訳ないですけれども、以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
 佐久間委員、何かございますでしょうか。
○佐久間委員 ありがとうございます。
 今日は、遅れてオンライン会議に入りまして、本当に申し訳ございません。
 私も、昨日に報告書案を賜りまして、前回の各委員からの意見が盛り込まれ、非常によくまとめられている、という思いがします。私から指摘させていただいたデータのパーセンテージ明記のところとか、いろいろな事例の例示についても、非常によくとりまとめられて、章立てなど文章が流れているなと感じております。全体としては、これでよろしいのではないかと思います。
 その中で、前回も申し上げたところなのですけれども、技術革新(AI等)が進展するということで、この検討会が開催され、現在のAI等を高次に置くのではなく、現在使用され、稼働している、情報(IT)の環境からスタートをするという認識のもとに、ロボットとか、自動化、複合化された高度な機械を入れるときに、機械が人を代替することで、人が異動(この場合は、「移動」でもある。)してしまう。異動(移動)してしまうことによって、行き場所を失うのか。または、適材適所というか、どこかに新たな部署や人員が足りない部署へ異動させるのか、企業側としても雇用を守るために、そういう部署や業務を見いだすのか。この報告書では、文章内容としては読み取れるところがあるのですけれども、実際にどこの部署に人員を異動させたときに、どういう問題が異動させた部署で発生するのか。各事例から見ても、配置や労使のコミュニケーションの取り方は各社各様であって、まとめにくいことは事実ですけれども、この部署にこういう機械を入れたら、どういう部署に異動(移動)させていくのか、そこまで実際に踏み込んで書けると、もっとわかりやすい報告書になるのではないかと感じたところでございます。ただ、検討会の報告書は、どういう議論をしてきたかという中でまとめられたものですし、実際にこれをマニュアルとして企業側が読んでいくというものでもないと思いますので、ある程度やむを得ないかと思っております。
 もう一点ですが、15ページの「イ 個別の企業の労使を超える課題」の中段にある「特に、地域の産業基盤を支えている中小企業や自営業主が新技術に適応できず取り残されていく懸念があり」ということです。まさにこれは懸念されることも分かるのですけれども、地域の産業基盤を支えているのは、中小企業であっても中核的な企業であります。自営業主となると、零細企業など規模の小さいところもあります。そこに対して、労使コミュニケーションを円滑に取ることはもちろん大切なことですけれども、ある程度、高度な情報機械がどこまで入っていくのか。そこで労使でコミュニケーションをとらないと、現在も、地域や業種によっては、かなり衰退していっているところがある中で、まさにこの労使コミュニケーションを、AI、技術革新の観点から捉えていかないと、規模的な格差により受け入れられる企業と受け入れられない企業が生じることは確実で、受け入れられない企業は自然に衰退していくのか、将来を見据えると言い切りにくく、分かりにくいと感じたところです。
 意見になっていないと思いますが、感想ということでお願いします。以上でございます。
○守島座長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、ございますでしょうか。
 よろしいですかね。
 一応皆様方全員に御意見を伺ったということになりましたので、ほかに特になければ、このぐらいで意見交換は終了させていただきたいと思います。
 それでは、今回の議論はこれで終了とさせていただければと思います。
 活発な御議論をありがとうございました。
 事務局におきましては、これから、いただいた御意見を踏まえて、次回に向けて最終案に修正をお願いしたいと思っております。
 最後に、事務局から、次回日程について御案内をいただければと思います。
○高松政策統括官付政策統括官室労働経済調査官 次回の検討会は、6月22日、火曜日、10時から12時の開催を予定しております。
 詳細については、追って事務局から御連絡いたします。
○守島座長 それでは、本日はこの辺りで閉会とさせていただきたいと思います。
 皆様方、お忙しい中、お集まりいただき、かつ、活発な御議論をいただき、ありがとうございました。
 これで終わりにさせていただきます。