第3回外国人雇用対策の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和3年4月27日(火) 13:00 ~ 15:00

場所

オンライン会場
厚生労働省職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎第5号館12階)

出席者

  • 天瀬 光二
  • 九門 大士
  • 是川 夕
  • 酒井 正
  • 佐久間 一浩
  • 杉崎 友則
  • 冨高 裕子
  • 友原 章典
  • 新田 秀司
  • 山川 隆一(座長)

議題

  1. (1) 外国人労働者の職場・地域における定着
  •   (関係者からのヒアリング)
  •    パーソルキャリア株式会社 地域外国人材定着事業部長 多田 盛弘 氏
  •    福井県 産業労働部 副部長(労働政策) 山口 晋司 氏
  •    株式会社三美テックス 常務取締役営業本部長 高本 楊子 氏
  1. (2)その他
 
 

議事

議事内容

○山川座長 ただいまから、第3回「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」を開催いたします。皆様方には、本日、御多忙のところ御参集いただきまして、ありがとうございます。本日の検討会は、こちらの会場とオンラインで開催いたします。開催に当たりまして事務局から説明があります。よろしくお願いします。
○外国人雇用対策課長 オンラインで御参加いただいている皆様からの発言について、お願いがございます。オンラインの方は、事前にお送りしている「会議の開催 参加方法について」を御参照ください。座長が御発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」機能を使用してください。御発言される方を指名させていただきますので、指名された後に発言を開始してくださるようお願いいたします。その際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお願いいたします。また、発言後は、必ずマイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。オンライン出席の方で、操作などの御質問がある場合は事務局までお問合せください。また、本検討会はペーパーレス開催であり、会場においてはタブレットを使用して行います。こちらのタブレットについても、使用方法について質問がある場合は事務局までお問合せください。円滑な会議運営に御協力をお願い申し上げます。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、参考資料です。資料に不備がございましたら、事務局にお申し付けください。
○山川座長 本日は、構成員全員が御出席と伺っております。また、オブザーバーとして、出入国在留管理庁政策課の皆様に御参加いただいております。
 それでは、議事に入ります。議題1「外国人労働者の職場・地域における定着」について、まず事務局から説明をお願いいたします。その後、関係者からのヒアリングを行います。また、本日は是川委員から、「日本における外国人労働者の位置付け」について御説明いただく予定です。全ての御説明の終了後に、御質問と本日の議事内容について、まとめて御意見を頂く時間を設けたいと思いますので、御質問等がありましたら、その際にお願いいたします。それでは、事務局から説明をお願いします。
○外国人雇用対策課長 本日の議題は、「外国人労働者の職場・地域における定着」です。職場において労働者として定着するということと、地域において住民として定着するという、2つの要素を含んでおります。これに関連して、事務局として、3種類の資料が必要ではないかと考え、取りそろえてみました。
 第1に、外国人労働者は日本のどこで増えているのかについてです。第2に、現在、ハローワーク、労働局、あるいは厚労省が職場の定着促進のために何をしているか、また、外国人労働者が地域において住民として定着するために、地方公共団体をはじめとする地域の皆様の取組には、どのようなものがあるか。第3に、外国人労働者はどこから来ているのか。以上の3種類の資料が必要だと考えました。
 まず第1の点です。地域別の外国人労働者数について、事務局で分析いたしましたので、説明させていただきます。2ページを御覧ください。外国人雇用状況届を基に、ブロック別に外国人労働者の年間の増加数をお示ししております。この年間というのは、暦年、1月から12月とお考えください。コロナ前の平時である2019年の増加数と、コロナ禍の2020年の数字を整理しております。2019年は青の棒グラフですが、東京、名古屋、大阪を含む大都市圏で、外国人の増加数が相対的に高い状態でした。他方、2020年はコロナの影響で増加数は減りましたが、東京、大阪を含む大都市圏の増加数が相対的に高い傾向は変わっておりません。
 これを在留資格別に分解したものが、3ページと4ページです。2つのページを合わせて、4つのグラフがございます。3ページの左側が、専門的・技術的分野の外国人労働者数の増加数です。2019年は、東京、名古屋、大阪を含む大都市圏の増加数が相対的に高くなっております。2020年は赤のグラフですが、増加数は減少したのですが、同様の傾向がございます。
 次に、身分に基づく在留資格です。2019年は東京、名古屋、大阪といった大都市圏の増加数が相対的に高くなっています。2020年はコロナ禍の影響で、名古屋を含む東海の圏域の増加数がマイナスとなっております。ただし、このマイナスはマイナス59という水準です。
 次に、技能実習です。技能実習につきましても、東京、名古屋、大阪を含む3大都市圏の増加数が相対的には高いものですが、専門的・技術的分野や身分に基づく在留資格と比較しますと、技能実習については、3大都市圏以外のブロックにおいても、かなりの増加数があり、地域差が小さいと言えます。2020年はコロナの影響があるのですが、九州ではプラスになっていることが特徴です。
 4ページの右側は資格外活動です。留学生のアルバイトが相当部分を占めますが、2019年については、東京、名古屋、大阪、福岡といった都市を中心とするブロック、すなわち学校が多い地域で増加数が相対的に高くなっていました。他方で、2020年はコロナによる入国制限の影響もあり、東京、名古屋、福岡を中心にした都市圏で、地域で増加数がマイナスとなりました。
 5ページを御覧ください。これは独立行政法人労働政策研究・研修機構、通称JILPTが昨年12月に発表したレポートから引用しております。ハローワークを通じて外国人が入職した際に届け出ていただく外国人雇用状況届出制度は、平成19年に雇用対策法を改正して法律上の制度としましたが、それ以前も外国人が入職した際にハローワークに届け出ていただくという制度が省令レベルの制度としてございました。その非常に古いデータも含めまして、外国人労働者が過去5回の景気循環のときに、どこにたくさんいたか。景気拡張過程で増加した外国人労働者数の内訳を、JILPTにおいて分析してくださったものです。
 過去5回の景気循環を振り返りますと、2006年(第14循環)までは東海で外国人労働者が増加しており、ここが一番多かったのですが、2009年(第15循環)以降は南関東が1位で、南関東への集中が進行しております。興味深いのは、この過去5回の景気循環を通じて、九州の割合が着実に上昇しているということです。
 次に、第2の点です。外国人労働者の定着に向けた取組の現状について説明いたします。ハローワークの行う雇用管理指導というのは、そもそもどういう内容で、どういう位置付けかについて説明させていただきます。ハローワークは職業安定機関であり、外国人に対しては就職支援を行います。他方で、事業主に対しては雇用管理の指導・助言をしております。図で御覧いただきますと、まず、外国人が適法に入国し、在留あるいは就労するという仕組みを作っているのが入管行政です。これを基礎として、日本人、外国人を問わず適用される最低労働条件を確保する労働基準行政がございます。その上で、職業安定行政は、外国人の特性に基づいた雇用管理を行っていただき、それによって外国人労働者が安心して働け、また、能力を発揮して働けるようにすることを目的としております。一言で言いますと、職業安定行政は、企業に対して、外国人の特性に応じた雇用管理をしていただくよう働きかけをするということです。これに関する準則、規範が「外国人雇用管理指針」です。
 また、「指針を守ってください」と言うだけではなく、様々な支援ツールも厚生労働省において開発しております。そもそも外国人がどこにいるかを把握しなければ、雇用管理に関する指導や助言ができませんので、外国人雇用状況の届出制度というものを設けております。外国人雇用状況の届出制度によって届け出ていただく事項は、ここにまとめているとおりです。
 8ページを御覧ください。先月、3月22日から入管庁と厚労省の間で情報のやり取りをオンライン化しました。それによって、法務省が保有している外国人に関する情報と、厚生労働省が把握している外国人の雇用状況届出情報の2つを突合し、、突合できない情報については、入管庁から厚労省に情報をバックしていただきます。また、既に入管庁において、ある外国人労働者が入管のゲートを越えて日本に入ってきていることは把握されているが、。他方で、なぜか、ハローワークに対して事業主から届出が出ていないという場合があります。このような未届けが疑われる事案については、入管庁から厚労省に情報提供していただく。これもオンラインで行われることになり、現に行われております。、外国人雇用状況届の担当課長として率直に申し上げますが、外国人雇用状況届において誤りも漏れもございますが、これについて不断にデータをきれいにしていく仕組みが入管庁の御協力によりできたということです。この制度の根拠となる法律の規定は、労働施策推進法の第29条及び第30条です。
 それから、先ほど申し上げた「支援ツール」について、2つ紹介させていただきます。1つは助成金です。昨年の4月に開始した新たな助成金で、外国人を主たる対象とする初めての助成金です。外国人の就労環境を整備していただき、一定期間離職率を抑えていただきましたら、助成金を支給させていただくという制度です。
 また、外国人労働者に定着していただくということになれば、様々なトラブルを防止しなければなりません。雇い入れたときに、しっかりと労働条件について説明することが必要であるということは、よく言われることですが、単に説明するのではなくて、「なぜそうなのか」をしっかりと説明することが定着に役立つだろうと考えています。そのために、先月3月に、私ども厚生労働省において、新たに3つの支援ツールを開発いたしました。特に1番目は、外国人労働者との間でトラブルになりがちなことは一体何か、そして、なぜトラブルになるのか、そして、どうやって説明すれば外国人労働者の理解が促進されるかをまとめた資料です。
 この支援ツールについて、厚労省の事務方だけでまとめたわけではなく、学識経験者や労使からも御参加いただいて研究会を設けた上で、この支援ツールを作りました。その研究会の場で得られた示唆を、ここに簡単にまとめさせていただいております。単なる言葉の違いではなくて、文化や雇用環境の違いが背景にあるからトラブルが起こるのではないか。なぜそうなっているのかをしっかりと説明することが大事であるし、なぜそうなっているのかをしっかりと説明することは、日本人社員に対しても分かりやすく説明することにも通じるのであろう。また、外国人労働者に対する説明を1つのきっかけとして職場のルールを見直すこと、また、トラブルを完全に回避することはできないが、コミュニケーションをよく取って、ともにトラブルを乗り越えていくという姿勢が大事ではないかというようなことを、労使ともに御参加いただいた研究会で御示唆を頂きました。
 次に12ページを御覧ください。本日、ヒアリングでお呼びしている方々に御協力いただいているものです。昨年度から、厚労省において地域外国人材受入れ・定着モデル事業というものを開始しております。人手不足に対応した外国人材の受入れに関して、大都市部に外国人材が集中するのではないかごいった懸念や、中小企業におけるノウハウ不足といった指摘¥あり、このモデル事業を開始したものです。
 都道府県のうち、受入れ、定着に積極的な所をモデル地域として、つまり厚労省のパートナーとしてタッグを組んでいただきまして、当該モデル地域の自治体や地域の関係者の方々、また、私どもの出先機関である労働局が連携して、働きやすい職場、住みやすい地域を作る、そしてノウハウを抽出して、他の地方にも周知するという事業です。
 なお、この事業は受入れではなく、定着を促進するノウハウを抽出するのが目的です。率直に申し上げますが、コロナ禍において人の往来が制限されていることから、この事業において、外国から日本に入ってきた労働者は、まだ1人もありませんが、現時点までの取組について、関係者の方から本日、御披露いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 次のページを御覧ください。これは、現在行っている取組ではないのですが、雇用管理の改善というものについて、ハローワーク側の視点で、企業を中心にしてみると、企業における外国人労働者の採用・育成能力というものをイメージできるのではないかと考えて、このような図をお示しいたしました。採用・定着の実績や、就労環境を取り巻く様々な経験や努力を通じて、外国人労働者の採用・育成の能力が高まっていくのではないか。この図は単なる抽象的なイメージにとどまるわけではありません。、172万人いる外国人労働者は、27万の事業所で働いているわけです。この27万の事業所について、外国人の採用・育成能力というものを、何らかの形で数値化する。27万事業所の台帳を作り、外国人採用・育成能力の変遷を可視化することができれば、例えばハローワークにおいてベテランの求人開拓推進員のノウハウなどと組み合わせながら、より効率的、効果的に求人開拓ができるのではないかと、外国人雇用対策の担当課長として考えております。
 次に、3番目の資料です。外国人労働者はどこから来ているのか。15ページを御覧ください。この資料は、第1回、第2回の検討会に出させていただいたものです。昨年の10月時点における172万人の外国人労働者が、どこから、どのような在留資格で来ているかというものです。
 今回、全く新しい資料を出させていただきます。今月、4月の上旬、3つの国際機関(アジア開発銀行研究所、OECD、ILO)が合同で、「コロナ禍におけるアジアの労働移動」という新しいレポートが公表されております。ここに非常に豊富な数値データがございましたので、これを基に、アジア諸国における労働移動の主な流れを図示してみました。2018年に送り出された労働者の数で、留学生は含んでおりません。非常にビジーな絵ですが、中国、ASEAN諸国、南アジアのそれぞれに分けて説明させていただきます。
 中国からどこに労働者が向かっているかというと、日本、日本以外のOECD諸国、先進国に対して、大きな流れがあります。東南アジア、ASEAN諸国は、1つ1つの国を詳細に説明する時間はございませんが、大きく分けて3つの目的地がございます。まず、東南アジア、ASEAN諸国の中での移動がございます。次に、日本や日本以外の先進国に向かう流れがあります。それから、これはフィリピンに特徴的ですが、東南アジアから湾岸諸国に向かう流れがあります。次に、南アジアについてですが、インドについては、赤い太い線ですが、先進国に向かう流れがあり、バングラディッシュについて言うと、東南アジアに向かう流れもあります。しかし、南アジア全体を虚心坦懐に眺めてみますと、湾岸諸国に向かう緑色の矢印が大きいことが分かります。
 同じ3つの国際機関のデータを用いて、アジア諸国でそれぞれの国における送出し先の上位5か国に日本が含まれている場合で、送出し総数の多い上位9か国について、各年および各国の送出し総数に占める日本への送出し数の割合をグラフにしました。左側のグラフにある国と、中国・ベトナムを分けています。中国とベトナムは割合がかなり違いますので、見やすさのためにグラフを特出しにしました。割合は、国によって大きなばらつきがありますが、総じて上昇傾向にあります。すなわち、アジア諸国にとって、日本の送出し先としての地位は上昇を続けているということです。
 18ページの資料です。これは、私どもが以前から出している外国人雇用状況届の資料です。これは毎年公表しているものなのですが、改めて時系列で整理しなおしました。日本の隣の韓国、その隣の中国、その隣のベトナム、という地理的に近い3か国について、外国人雇用状況届を基に、在留資格別の割合の推移を示したものです。そうしますと、この3か国を横に並べてみますと、経済開発が進む、すなわち所得水準の向上ということもあるし、教育水準の向上ということもあると思いますが、経済開発が進むと、留学の割合が落ちてきます。他方で、技人国、つまり、専門的・技術的分野の外国人の割合は上昇していくという傾向が見て取れます。そして、この3か国では、経済開発が進むと技能実習の割合が減少するという傾向が見て取れます。
 この図に書いていないことですが、1つだけ余計なことを申し上げますと、日本もかつては移民の送出し国でした。JICAの前身である様々な団体が、南米、中南米に対して移民を送り出していたわけです。移民というのは、その国に長く住むものですし、現在、日本に来ているのは年限を限って働くことを目的とした外国人労働者であって、移民ではないのですが、経済開発の進展と国際的な人の移動の間には関連があるのではないかということで申し上げました。脱線して申し訳ございません。
 19ページを御覧ください。日本から少し遠いネパールとフィリピンについても、同様の図を作ってみました。ネパールは、年を追うごとに留学の割合が減少し、他方で技術・人文知識・国際の割合が上昇しております。フィリピンについては、そのような傾向は見られません。技能実習の水準については、ネパールは非常に低く、フィリピンも、このような水準にあります。技能実習については、送出し国の政策により大きな違いがあると思われます。
 20ページを御覧ください。前回、困窮する外国人の対策ということで、三重県のNPO法人である愛伝舎の坂本様に御登場いただきました。その際、坂本様から「日系人支援の歴史や経験というのは、新たに日本に来ている東南アジアの若者の支援にも役立つ」という御発言がございました。これに関して、私は思い当たることがあり、今回この資料をまとめさせていただきました。
 外国人労働者数を国籍別に見ると、構成比が高い国というのが、このように推移しております。平成22年時点では中国が1番で、次にブラジルでした。現在はベトナムが1番で、次に中国です。このような在留外国人を対象に、生活支援サービスを提供する企業も、こうした変化を踏まえながら事業を展開してこられました。
 2つ例を挙げさせていただきます。SBIレミット株式会社という国際送金業の会社があります。もともとフィリピンなどの現金受取サービスから事業を開始いたしましたが、中国、ブラジルといった国を事業の対象として拡大し、近年ではベトナム等のアジア諸国への送金についてもサービスを拡大しておられます。実は、昨年12月、新宿のハローワークにおいて、困窮外国人支援のための合同企業面接会を行いましたが、この情報の周知に大きく協力してくださった会社です。
また、株式会社ビバビーダメディカルライフという少額短期の保険を扱っている保険事業の会社がございます。この会社は名前からも察せられるところですが、日系ブラジル人など、米出身の日系人を対象として保険事業を実施してこられました。この保険業者は、短期少額の医療保険を外国人向けに提供しております。特徴は、入国後の外国人、つまり、既に日本に入国した後、短期滞在で在留している外国人の方でも加入できる保険商品を提供して
いらっしゃいます。これは通常とは異なるリスクを取っておられるということですが、この保険商品が、コロナ禍で帰国困難なアジア地域出身の外国人の若者の助けとなっております。
 ここで、前回の検討会において、外国人支援について、ブラジル日系人支援の歴史や経験が、東南アジアから最近来た外国人の若者の支援に役立つという御発言が愛伝舎の坂本様からございましたが、企業のビジネスも、外国人の出身国籍の変化に応じた展開があり、また、私どもハローワークの施策に御協力していただいたり、あるいはダイレクトに困窮外国人のサポートに役立っているということです。
 21ページと22ページについては、本日の議題に関連して、OECDの国際機関の文献から関係する部分をピックアップし、レビューしております。
 本日御議論いただきたい点は、ここに書いている3点です。なお、前回、三重県のサカモト様から言及がありましたので、三重県労働局とNPO法人との連携事例として、簡単にまとめております。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。御質問等があれば、後でまとめてお時間を取っております。
 それでは、続いて関係者の皆様からのヒアリングに進みます。始めに、パーソルキャリア株式会社地域外国人材定着事業部長の多田盛弘様から御説明をお願いいたします。
 多田様、どうぞよろしくお願いいたします。
○パーソルキャリア株式会社地域外国人材定着事業部長 多田盛弘氏 ありがとうございます。今、資料2はありますか。
○山川座長 はい、大丈夫です。
○多田氏 大丈夫ですね。それでは、こちらの資料に沿って御説明をさせていただきます。先ほども説明で御紹介にあった地域外国人材における定着モデル事業の現場で見えた昨年度の課題と今年度の方針を、事業責任者であるパーソルキャリアの多田から御説明いたします。
 まず、基本的な考えです。今、厚生労働者様からマクロの視点から様々な情報を頂きましたが、私たちはどちらかというと、もう少しミクロの定性的な所で、現場でどういうような課題があるかというところにフォーカスをいたします。昨年度、まだ入国していないというお話がありましたが、ここにも書いてあるように、私ども、今回現場での定着に向けて、まずマッチングの段階から問題が起きにくく、定着が進む仕組みを作るというようなところに注力しております。例えば、外国人サイド、個人サイドの話で言えば、過剰な費用負担等がないような形で、借金がなく来るような形で、日本で借金に追われることがないような仕組み。また、アンケート等で個人・企業双方とも最も課題が多いと出る日本語のコミュミケーションのようなところに注力するなど、そのほかにも様々な予防的な仕組みで、日本に来る前に問題が起きにくいような人材の育成や募集の仕組みを作ると。企業側も当然、受け入れる側がしっかりと受け入れるという仕組みや準備をすれば、定着への問題は非常に低減されると考えておりますので、こちらも本事業では、安価な労働力として採用するのではなく、しっかりとした人材として受け入れる仕組みを作るように、募集の段階からしっかりと啓蒙や研修などを取り入れて、受入れ企業側の心構えや体制もしっかり作るというような形でマッチングの段階から定着が進むような仕組みを進めております。
 その課題が幾つかあります。まず国外ですが、この事業プラス特定技能に関わるところも多いとは思うのですが、今回、特定技能かつ海外の試験合格者を日本でマッチングするというような前提でやっております。その中で出てきたのが、特定技能のプロセスの複雑さや国によっての違い、個人の費用負担に様々な違いがあって、なかなか同じ在留資格とは思えないような状況があるという非常に困難なところがありました。送出し国の審査ですが、例えばフィリピンの場合、企業の審査も個人の審査もあるので、単純に個人と企業のマッチングだけで済むわけではなくて、国が、フィリピンの政府機関が様々入ってくるような状況もあります。一方で今回、私どもは、個人負担の禁止を一番されているフィリピンで進めていました。コロナの影響もあって、インドネシアやネパール等でやりましたが、こういう審査のようなものはフィリピンだけになっております。
 2つ目の送出し機関ですが、フィリピンは基本的に送り出し機関と同様のSending Agencyが必要になります。また、ベトナムも今は送出し企業が必要になりますが、ほかの国のインドネシアやネパールでは、送出し機関というような前提条件がなかったり、あとは個人負担も一番厳しいフィリピンは個人負担が一切禁止というようなところから、最近ではベトナムも給与の1か月分が上限という形になってきていますし、それ以外にも、その国々で事業を私たちが進める場合、公式内金額下に現場の相場というところで、個人に様々な費用負担をさせるケースもありますので、なかなか企業から見ても個人側から見ても、特定技能というようなところを一言では説明しづらいというような状況が起きているということが課題として見えております。
 2番目に、海外受験者の試験合格のハードルが高いとありますが、要は、海外で日本に特定技能で来る募集団を形成するというのが非常に難しいと。実施回数については、今は新型コロナで試験ができていないというところもあるのですが、一方で、難易度についても、実際に私どもの育成を受けた方に感想などを聞くと、日本語はN4レベルでいいというような条件になっておりますが、やはり、とてもN4では合格できないような専門の試験も多くて、なかなか試験合格者を出すのが難しいというような状況が出ています。私のミスで申し訳ありませんが、これは令和2年になっていますが令和3年です。ちょうど4か月ぐらい前ですが、全国の試験会場の合格者等を全て私どもで調べましたが、100人以上合格が出ている産業は、介護、ビルクリーニング、農業、飲食料製造業と外食業の5業種しかありません。この春、1,000人以上あるのが介護と飲食料製造業と農業ぐらいですか、それ以外はまだ9業種ありますが、試験をやっていなかったり合格者がほとんど出ていない、試験をやっているが受験者がほとんどいない等で、日本国内での試験合格者は別途おりますが、海外ではなかなか進んでいないと。実際、合格するまでの育成期間も考えると、今後、海外から日本に特定技能で来る募集団を作るというようなところで様々な工夫をしていかないと、日本側の需要があっても来る人材を確保するのが難しい状況が起こるのではないかというのを実際に感じております。
 3番目です。先ほどの説明で、日本に来る数が増えているということで、多少、相反するところもあるのかもしれませんが、この現場感でいうと、やはり、日本企業の競争力が海外に比べて落ちているというような印象が非常にあります。例えばフィリピンでいうと、先ほど言ったように政府機関が途中で審査に入るのですが、日本企業が出す給与が低すぎるというところで却下されるケースが非常に多くなっています。これは中小企業だけではなくて、大企業の給与でも却下されるケースがあります。これは、フィリピン人が行くことのできる他の先進国と比べて安いので、そのレベルと同じようにしてほしいと。これは給与テーブルで、日本人と全く同じ給与を出しても却下されるというようなケースも出ています。そういうようなところで、給与競争力が他の先進国、アジアというよりも欧米と比べて低いと見られているというようなケースがあります。
 また、看護師などの有資格者については、昨年度も介護事業者向けの人材紹介で看護師資格を持っている人が欲しいというような希望がありましたが、やはり看護師資格を持っている方は給与の高い他の先進国のアメリカやヨーロッパなどを選ぶケースが多くて、募集をしてもなかなか集まらないというようなところです。比較的専門度が高くなるとか資格があるというような場合には日本の競争力が低くなっているのではないかなというのを現場で感じております。
 次は国内です。事業者側、若しくは地域側から見た課題というところで幾つかありますが、実際に昨年度、受け入れるときの課題で出てきたものです。まずは移動手段です。今回は地方域での定着というところなので、介護施設も含めて都道府県の中でも、比較的都市部から離れた地域の事業主も結構いたのですが、やはり、公共交通機関が余りない、基本的には車社会だというような所で、車がなければ通勤ができないので、なかなか車なしでは日常生活が難しいというようなことを受入れ事業者が懸念されて、ちょっと今の段階では難しいというような話も聞いております。実際に定着で、既に外国人材を入れているような所からも、住んでいる方が移動手段を確保できないという話も聞いておりますので、今後、定着の上でも大きな課題となってくるのかなと思っております。
 2番目も同様に生活インフラですが、住居です。そもそも住居が勤務地近郊でなく、車通勤前提なので近くにはなく、遠隔地にすると通勤ができない。若しくは、公営住宅は外国人や他人同士がシェアもできないとか、現地でやるのは結構、大家の方が外国人には貸したくないと言って家を確保できないということで、これも実際、住居が確保できないがために採用を諦めるというような事業主の方がいらっしゃいました。これも今後、外国人材が増えてきたときに、どうやって適切な住居を確保できるかというのは、定着、若しくは採用のために非常に大きな地方の課題なのではないかなと思っております。
 最後は、受入れ企業側から見た特定技能の見方なのですが、これはかなり今回、私たちが実際に企業に事業を御紹介するときに多かったのですが、やはり、基本的には技能実習と比較するというのが前提となっております。当然、技能実習は労働としての在留資格ではないですが、事業者としては、その2つを比較すると、転職ができない技能実習、そして、やはり転職可能というようなところで非常に不安感を覚えて、特定技能はやりたくないというようなところであったり、後は、特定技能は先ほどもお話したように、技能実習の試験については、介護以外は日本語等の資格が必要ありませんので、海外から特定技能に行った場合、育成費用が技能実習よりもかなり高くなりますので、やはり、そのときの紹介する費用で企業負担が増えるということもありますので、そういうときには、やはり費用負担の安い技能実習というようなところで、そういう面も含めて比較されると。そこで、なかなか技能実習がある業種では、特定技能を伸ばしていくというのは非常に難しいというのが今後も起きてくるのではないのかなというのが事業の特定技能の御紹介のときに見えてきたと感じております。
 この事業の中で見えてきたファインディングです。後は移行支援につながるようなことをして、まず今回、募集できたのが12月中旬で、面接は実質1か月半程度でした。その中でも150人近い採用希望があって、この1.5か月の面接で採用充足率50%になっております。全国の最新の一般商業紹介状況の採用充足率は13.6%です。今回の地方域で短期間で50%というのは非常に高い数字ではないかなと思っています。これは、年度で区切られているので50%ですが、今年度も継続しているので、最終的には100%に近いところで内定が決まると予測しております。
 まず1つ、一般に比べて充足率が高くなった理由というのは、やはり、日本で募集してもなかなか人が集まらないという中で、これはもう、募集をかけたらすぐに面接できると、極端な話、申込みをした翌日に手続さえ終われば面接ができるというようなところで、今までにない早さで面接ができるというのが内定につながる。後は、外国人材特定技能の場合、日本語もしゃべれて試験も受かっているというところもあって、皆様の想定よりレベルが高いというような印象と声が多かったので、3人の所に6人面接したら6人全員に内定を出したいというような話もあったり、実際に会ってみると、レベルが高いので、より多く採用をしたいというところにつながったのかと思います。
 次に2番目です。そうは言っても内定を出さなかった、若しくは2人のうち1人を選んだ企業側が最も重視したのは、やはり、日本語コミュニケーションが課題になるというようなところは、これまでのアンケート結果とも変わらない。一方で、介護のように非常に実務経験というのが活きるような職種であったとしても、これが理由で内定を出さなかったというのは10%しかないので、やはり外国人材の場合はコミュニケーションが重視されているというようなところが企業側の受入れの意思であるというところが今回は見えております。
 逆に、予想より少し違うなというような結果の出たのが、外国人材の企業選択が必ずしも給与重視ではないということです。複数の企業から内定をもらった方の約半数が定時給与の低い所を選んでいます。中には月額給与が最大3万円も低い所を選んだ方もいらっしゃいました。その理由を聞くと、面接の印象がよい、話した方が優しそうだと。生活環境がいいか悪いかとはなかなか分からないのですが、企業の方が、家の写真や周りの環境などを丁寧に説明して、生活環境がすごく良さそうだと安心するとか、後は、就労環境やキャリアパスをきちんと提示してくれたということが選択の理由として上位3位にあります。
 やはり、海外から来るときの安心感というのが一部、給与の魅力を上回るというような結果が出ていると。これは、先ほどの説明でも、冒頭、都市部に集中するのではないかというところで懸念があったのですが、当然、給与は重要視をするのですが、それ以外のところで企業や地方域が工夫をして、いい人材に来てもらえる余地はあるのではないかというのが、このアンケートの結果から見えるのではないかなと思っております。
 今年度の取り組み、方針です。時間ですので、簡潔に述べると、基本的には定着です。今年度、先ほど言ったマッチングの定着が企業も地域も本格的に始まります。私どもの仮説ですが、事前の準備をしっかりした上で、定着するような問題が少ないという仮説に基づいて、これをフォローアップしていき、必要な施策を打って結果をまとめていくというようなところで、最後の所にあるように、恐らく全国にモデル普及ができるような準備をしていきたいなと思っています。特に、地域の定着を今年度の課題としていきたいということを地域の方に知ってもらって交流するというような形で、なかなか外国人材がその地域に入っても交流がないとか、知らない間に増えて軋轢が出るというケースがありますので、しっかりと地域の中に溶け込むような仕組みを今年度はつくっていきたいと思っております。
 すみません。駆け足になりましたが、私からの説明は以上になります。
○山川座長 多田様、御説明大変ありがとうございました。それでは、続きまして福井県産業労働部副部長(労働政策)の山口晋司様から御説明をお願いいたします。
○福井県産業労働部副部長(労働政策) 山口慎司氏 失礼いたします。福井県産業労働部において産業労働に関わらせていただいております山口です。検討会の構成員の皆様には、発言の機会をいただきましてありがとうございます。また、厚生労働省におかれましても、モデル事業の対象自治体として本県を選んでくださったことを、改めてお礼申し上げます。
 それでは、お手元の資料に沿って、外国人受入れ・定着の取組に関して御説明申し上げます。
 まず、本県における背景と現状です。3ページを御覧ください。国立社会保障・人口問題研究所による分析でも明らかなように、全国同様、本県においても、少子高齢化、若者の都市圏への流出過多などにより、今後10年間で約1割の生産年齢人口が減少する見通しとなっています。また右側のグラフは有効求人倍率の推移ですが、一貫して全国に比べ高い状況にあり、人手不足が顕著となっております。これは余談になりますが、先日管理団体の方々に在留期間が切れた実習生の方で、行き場がなく困っておられる方はいらっしゃいませんかと伺ったときに、逆に、外国から入国できない、代わりの人に来てもらえないと。そんな中、何としても実習を続けてもらいたいと思っておられる企業が非常に多いということを伺いました。特に先日来、ベトナム政府がチャーター便を増便させたことにより、帰りたいと思っている実習生が母国へ帰れるようになり、帰国者が増え始めているとのことでした。企業として責任をもって感染対策を講じるので、レベルアップ等の対応を復活してもらいたいという話を聞きました。
 次のページを飛ばして、5ページをお願いします。本県における外国人材の推移を属性ごとにお示ししております。技能実習生は全体的に伸びているのですが、このグラフの特徴として、左上の在留資格別のグラフで、朱色の身分に基づく在留資格ですが、特に2013年以降に高い伸びを示しています。また、右上の国籍別の青色で示したブラジル国籍の方も伸びています。そして左下の産業別の朱色のその他サービス、主に派遣事業ですが、その伸び方が1つの特徴になっております。この3つの相関関係は、本県において誘致企業の1つである電子デバイスを製造する大企業において、永住資格を持っているブラジル国籍の方を、派遣業を通じて数千人単位で投入している実態があり、5GなどのDX対応事業などにより顕著な業績を上げている所がございます。また、そうした方々の一定数が、本県に定職し、子供も持って暮らしているのが現状です。
 それでは、ここから本県における外国人受入れ施策に係る取組を御紹介いたします。6ページを御覧ください。昨年度、本県では多文化共生社会づくりに関する基本的な考え方及び2025年までの5年間に、多文化共生施策の方向性を示す推進プランを作成いたしました。国のモデル事業に選定していただいたという期と同じくしまして、支援団体や、本県に住んでおられる外国の方たちに参画していただきました。どのようなことに困っているのかという課題解決のために、どのような施策が必要なのかを議論し、策定したものとなっています。今年度から、これを形骸化させないように基本理念、基本目標に基づき、毎年毎年しっかり皆さんのお話を伺いながら、進捗管理だけではなく、必要な施策を展開することとしております。
 7ページをお願いいたします。労働行政の観点から、昨年度の主な施策になります。県では、これまで企業からの外国人受入れの相談に対応できる窓口がございませんでした。そこで一昨年の夏に、商工会議所と連携し、企業を対象とした相談対応の窓口を設置し、社会保険労務士などの専門家による相談会やセミナーなどを実施いたしました。昨年は国のモデル事業も、ここを基点に福祉分野団体への働きかけを含めて周知を図っております。
 2つ目は企業に対する労働環境整備の応援です。居住環境の整備、地域との交流行事への参加費などに対する補助金を創設いたしました。年度途中からは新型コロナウイルス対策といたしまして、レジデンストラックなどに係る経費を対象に加えるなど、企業における外国人材の受入れ環境の整備を支援しております。
 8ページを御覧ください。こうした事業を進める過程で、また国のモデル事業を受託されておられるパーソルキャリア様と一緒に取り組んでいく中で顕在化した課題を大きく2つ書かせていただきました。1つは、企業における外国人材受入れの知識が絶対的に不足しているということです。特に本県の場合、従業員20人未満の企業は、全体の約85%を占めており、そうした企業の多くは、高卒、大卒の若者を採用できないということから、外国人材を求めている。それにも関わらず、その部門の専門従業員がいるわけではありません。経営上の課題をクリアするのに手一杯の中、手続きを含め、採用活動に踏み切れないということがあります。
 2つ目の課題として、外国人材受入れの経験がないということから、果たして希望するスキルを持った人が来てくれるのかといった不安や、気持ちよく働いてもらうにはどのような環境を整えればいいのか分からない。更に、地域において摩擦が生じないか、住民に快く受け入れてもらえるかなどの不安が先に立つということです。そうした課題の一つ一つに、すぐには難しくても一緒になって解決策を見つけていかなくてはならないと考えています。そこで、そうした取組の中で、小さな一歩ではありますが、今年度の主な取組を御紹介いたします。
 9ページをお願いいたします。1点目は、しっかりとした対策が十分に取れなかったことからの反省です。外国人材の受入れに関しては、法制度上、地方自治体に何の権限もなく、したがって、待ちの姿勢では情報が入ってまいりません。対策を限ベースでしか取れていないというのが現実です。そこで、相談対応といたしまして、攻めの姿勢として国のスタッフを入れました。アウトリーチをしっかりやれるように、外国人材雇用サポートデスクを設置いたしまして、物事を前に進めていきたいと考えております。企業に対して適切なアンケートを実施し、エビデンスベースで施策を立てて、動かしていく。課題を抱える企業のお話をしっかり伺い、解決策を提示できるようにしたいと考えております。併せて、今回の国のモデル事業を範といたしまして、本県の良さを理解し、外国人の方々に本県の企業を御紹介いただける信頼できる外国人材紹介会社と連携し、高度の人材を県内の企業につなぐ、そういった仕組を作っていきたいと考えています。
 2つ目として、国のモデル事業の選定を頂く前の事業からの継続ではありますが、海外の教育機関と連携し、社会福祉団体を管理団体として介護の実習生を受け入れられる仕組みを作りました。ようやく目処がたってまいりましたので、国のモデル事業と平衡して動かしていかなければならないと考えています。
 併せて、企業の方からIT人材が都市部に集中し、地域では確保ができないという声を多く頂いております。試行的ではありますが、県の関連団体でIT分野にも業務の外国人材を雇用し、プランニングなど、県内企業の業務上の課題を解決してもらうというような試みを通じて、外国人材の良さを実感してもらって、採用方法などを具体的にお伝えしながら、企業に自社で外国人材を直接雇用してもらえるように誘導してまいりたいと考えています。
 10ページを御覧ください。多文化共生の推進とさせていただきました。先ほどの2つ目の課題に対して、県と企業の部局横断は大前提でありますが、それだけではなく、多くの関係者、当事者を巻き込まないと解決できない大きな課題だと痛感しております。そこで県として、まず今年度は、それぞれの地域で頑張っておられる外国の方を、生活面において支えておられる方々に対し、何らかの補助をできるような形で応援したいと考えています。
 併せて、これは昨年度から始めたことですが、各地域に住んでおられる外国の方に手を挙げていただいて、コミュニティリーダーになっていただいています。現在、14か国、32名いらっしゃいますが、そういった方々にSNSを通じ、新型コロナウイルス感染症などの情報発信に取り組んでいただいています。例えば、今年1月の大雪では、日頃から相談に乗っておられる外国の方々と一緒に、雪かきボランティアに取り組むなど、地域の一員として、自発的な活動を行っていただきました。
 県としては、こうしたコミュニティリーダーの方々の施策や、志を持った方の背中を押せるような応援をして、そういうことに力を入れて良い方向に持ってまいりたいと思っております。これは継続した仕組みとして、しっかりつなげていきたいと考えています。
 様々な施策を有意義に、効果的に実行することで、最終的には外国の方に福井を選んでいただき、福井で働いてよかったと感じていただくように、引き続き御指導、お力添えをくださいますようお願い申し上げまして、私からの報告とさせていただきます。御静聴ありがとうございました。
○山川座長 山口様、大変ありがとうございました。続いて、株式会社三美テックス常務取締役営業本部長の高本楊子様から御説明をお願いします。
○株式会社三美テックス常務取締役営業本部長 高本楊子氏 それでは説明させていただきます。タイトルは、「外国労働者採用のきっかけと現状」です。聞こえますか。
○山川座長 はい、大丈夫です。
○高本氏 外国人採用に関して、ハローワーク及び東京外国人雇用センターの方々から、多大なる御指導と御協力を賜り、誠にありがとうございます。今回、参加にお声を掛けていただき大変光栄に存じます。外国人雇用対策に微力ながら、何かお役に立てればと思っています。本検討会の先生方から御指導いただける勉強会に、私、高本楊子と、人事担当の飯塚ふみの二人で参加させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 2つを議題にしています。1つは、外国人労働者の方を採用するに至って、きっかけと現在に至るまで、どのように外国人雇用者が活躍されているのか。
 まず1つ。日本人の高学歴4大生、大学院生の採用は難しかったというのが理由の1つ。80年代、90年代のバブル当時、中小企業を取り巻く雇用環境は厳しく、製造業の我が社にとって、理工系の4大生・大学院生などの採用は困難な時代でした。レベルの高い人材の確保ができるのか否かは我が社にとっての存亡に関わります。それで、経営人は、国境の壁を取り払って、自社が求める人材を採用することを決めたのです。
 弊社のタマル社長は、東京中小企業家同友会が毎年開催する200社以上の会員の共同求人委員会に参加し、1992年に私は社長とそこで出会い、社長の温かい歓迎ぶりに感激し、東京学芸大学大学院教育心理学科をマスターした私は、1993年4月に初めての外国籍の正社員として入社しました。1年間の仕事ぶりを見てもらい、翌年、北京航空航天大学出身の理工系の優秀な中国人男性が採用され、仲間になりました。
 2番目のきっかけと理由です。中国、アジアマーケットの開拓のために外国人留学生の採用は大きなきっかけでした。海外に現住の人々と意向が通じ合わないと、どうしても値引き交渉などの商談に支障が出がちになります。
 当社の場合は、商習慣の違いや言葉の壁など、留学生社員が関わることで、いろいろな困難を乗り越え、海外の取引高も順調に伸ばしています。輸出中心としての、この30年近く次々とマーケットを開拓していき、中近東一部を含む約40か国に販売しています。
 3番目、今現在、64名の社員のいる弊社には、中国、台湾、韓国出身の社員18名が在籍。その内訳は、男性12名、女性6名、4大卒9名、大学院生9名、理工系9名、文系9名、技術、製造業、営業部、総務、資材、各部門に所属しています。志を持って日本にやって来る外国人留学生たちは、目的意識や動機付けが明確であることが多い。そのため、重要な仕事を任せると、期待した以上の仕事をこなすケースが少なくないと、うちのタマル社長は雑誌のインタビューで、そのように答えております。
 議題2、採用や職場で生じた課題とその解消のための取組、外国人社員と日本人社員が働きやすい職場にするための考えです。1,最初は全て難しいです。社内では排他的なことがありました。1993年に日本人の資材部長が外国人の部下の所属を希望せず、配属されることを嫌がりました。しかし、毎月の帳簿の締めの際に、取引会社が150社のうち数社が、仕入れた数や単価にミスがあり、外国人の部下の調べにより、次々と間違いが見つかり、訂正させた請求額はその人の給料より高かったと社長が語っておりました。
 1994年に上海で、1995年に北京で、弊社の新製品を展示して即売もできました。そのきっかけで中国のビジン市とつながりました。中小企業ならではのことですが、当時、2人は社長のファミリーのように、社長の息子の結婚式や会長の100歳長寿のお祝い会などに招待され、家族同士の付き合いもありました。
 2,外国人の採用が少ない時代である当時は、違和感を薄めるために、外国人社員に日本語の呼び名を付けて呼ぶことにしましたが、今は外国人のいる会社が普通になり、その必要性もなくなりました。
 3,社内でのコミュニケーションの共通語は日本語です。弊社には、単純な労働者はいません。お客さんは、英語力を必要とするような大企業ばかりという特徴があります。新社会人の入社の際に、日本人・外国人社員を問わず、中小企業同友会主催の合同入社式に参加、研修合宿にも行かせています。そこで社会人としてのマナーや責任感などを学び、その後3~6か月間、先輩社員の指導を受け、仕事の内容や感想のようなことを書かせて、週報を提出させています。外国籍社員の在日滞在ビザの取得、永住申請や住まい探しを手伝っています。
 4,給与、賞与、昇給待遇の面では、国籍、男女問わず、差別はありません。まずは、自分の能力を磨くということが大事で、その能力と実績に応じて評価されます。外国人出身の社員の中、取締役1名、部長職1名、マネージャー3名、それぞれ自分の仕事の領域でリーダーシップを発揮しています。チームを引っ張って、大きな実績を上げています。
 5,製品の輸出が多い弊社は、各国籍の社員が仕事を通じて友情が芽生え、お互いに支え合い、理解し合い、教え合い、仲良くしています。
 コロナ禍より以前は、毎月、委員の数人が外国に飛び立ち、技術指導や英語、商談のことで海外に派遣され、グローバルな世界で活躍していました。1990年代、バブル全盛期の時代、必要な人材の採用難に陥った弊社は、早くから海外に目を開いて、優秀な人材を採用してきた戦力が我が社を救ったとも言えます。
 今では、その発揮と効果で、日本人の4大卒、大学院生の有能な人材を採用できるようになりました。この場を借りて、教えてくださったハローワーク、東京外国人雇用センターの皆様に多大なる感謝を申し上げます。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。御清聴ありがとうございました。
○山川座長 高本様、大変ありがとうございました。それでは、関係者の皆様からのヒアリングは以上となります。続いて、是川構成員からの御説明をお願いいたします。
○是川委員 よろしくお願いいたします。構成員の是川です。本日は報告の機会を頂き、ありがとうございます。それでは、早速、私からの報告を始めたいと思います。本日の私の報告テーマは「日本における外国人労働者の位置付け」です。どこから来て、どのように働いているのかというものです。ミクロな実態については、既に本日も含め、これまでの検討会でいろいろと事例の御紹介があったと思いますが、私は全体のマクロ的なことがどのように描けるのかトライしてみましたので、そちらの御報告をしたいと思っています。
 次のページです。本日の報告内容として4点、お話したいと思います。1点目は外国人労働者をめぐる議論について簡単に概観した上で、まず国際移動のプロセスについて見ていきます。本日、事務局からも御説明がありましたが、グローバルな人の移動とそこにおける日本の位置付け、また、日本においてどのような形で移動プロセスというものが見られるのかを御紹介したいと思います。その上で厚生労働省が実施している賃金構造基本統計調査の個票データを使用した日本の外国人労働者の賃金水準についての分析結果のサマリーを御報告したいと思います。その上で今後の課題についてお話したいと思っています。
 次のページです。まず外国人労働者をめぐる議論として、個々の話は優良な事例とか、問題事例などいろいろありますが、全体としては、この日本社会に暮らす我々自身が外国人労働者をめぐる全体像を掴みきれないでいるのが現状だと思っています。最も一般的に認識されているものとしては、まず1点目として、「搾取される」外国人労働者像というものがあるかと思います。こちらはマスコミ等で繰り返し報道される劣悪な条件下での就労実態といったようなものが主に技能実習を中心に報道されています。我々としてはそれを見る中で、やはり、そういった全体像をイメージすることが多いと思っています。
 2点目は「選ばれない国」としての日本ということで、これは専ら80年代ぐらいの「ジャパンアズナンバーワン」の頃の印象が強い方にも多く見られますが、日本というのは、もはや目指される国ではない。その際に、大体、二とおり聞く話があるのですが、まず1点目は、アメリカこそ世界一の魅力的な国で、日本に来るのはアメリカに行けなかった人が来るのだといったような議論や、あるいはアジアが経済成長する中で、日本はもはや経済的優位性を失って、これからは凋落の一途を辿るのだという、そういった議論が多いと思います。
 3点目です。こういった議論はいずれも客観的なデータ及びそれに基づく全体像が欠如していたのだろうと思います。多くの報道は、エピソードベースのものであり、つい最近まで外国人労働者の賃金水準さえ分からなかったと。本日、御紹介する賃金構造基本統計調査(令和元年度実施分)まで、実際にその外国人労働者の賃金水準を全国レベルの統計で確認する手段はありませんでした。これまで行われてきた議論は明確なエビデンスがなかったといえます。そういった中、現時点でも限られたものではありますが、データから全体像を再現したいと思っています。
 次のページは、国際移動プロセスです。まず、国際移動はランダムにではなく構造的に発生するというエッセンスがあります。本日の事務局からの資料にもありましたが、国際移動には、「回廊(コリドー)」と呼ばれる大きな流れが幾つかあり、その大きな流れに沿って発生します。また、そこでは「国境を越えた労働市場」というものが成立しており、日本の技能実習もその中に含まれていますが、出稼ぎ労働は一から個人によって行われるのではなく、そういった構造の中で雇用のあっせんや移動が起きていることになります。
 そこでの特徴として、やはり雇用者と被雇用者の間で非常に大きな情報の非対称性があると。本日の事例の御紹介でも正に腐心されている点として、そのようなことがあるかと思いますが、やはり、どういった人材が優秀か分からない、また、外国からやって来る労働者側も、どういった雇用者が優良な職場環境を提供してくれるのか分からないという、その情報の非対称性の中で様々な手段でそれを縮減する試みが行われることになります。
 そういった中で、当然、間に立つ人は必要になってきます。そこにコストが発生します。問題はそのコストが幾らぐらいになるのか、誰が負担するのかという問題です。これ自体は非常に普遍的な経済学的なメカニズムに基づくものであり、日本で一部議論されているように、決してモラル事案ではないということになります。
 日本へ来る人たちはどのような人たちなのか。私がこれまで調査・研究したことから見ていきますと、まず一般的に、アジア諸国における目的地としての日本の人気はもともと高かった、特に高学歴層を中心に高かったのですが、その傾向は近年、強まる傾向にあります。本日の事務局からの資料でも、実態面で日本へ来る人が増えているとありますが、これを更に移住意向希望調査ということで世界でも最大規模のデータベース、ギャラップ社が実施している国際比較調査を基に分析しますと、高学歴層を中心にその人気が高まる傾向にあることが見て取れます。
 また、送出し国に関して、私は前年度及びその前年度と2か年度にわたって実施した送出し国調査の結果を見ますと、日本へ来る層は、留学であれ、技能実習であれ、もちろん技人国であれ、おおむね出身国で見ればアッパーミドル層以上の層が来ていることが見て取れます。
 IMFのレポートによりますと、そういった傾向はむしろ国民所得の上昇によって強まるというインプリケーションが得られています。また、足元の新型コロナ禍の状況の中で、国際移動は世界的にストップしましたが、そういった中でもアジア諸国からの送出し圧力は依然として強いことが、各種サーベイの結果で明らかになっています。
 次のページです。先ほどの事務局の資料ではありましたが、アジアからの国際移動というのを分かりやすくチャートにしますと、このような感じになります。フローベースは、およそグロスで年間600万人ぐらいです。およそ半分は湾岸諸国へ行き、そのうち半分弱がOECD諸国、その中に日本行きが含まれます。日本はアジアからOECD諸国への移動の中では、アメリカ、韓国を抜いて今トップの送出しの目的地となっています。その他として、ASEAN諸国やアジア内部での移動があるという形になっています。
 次のページです。こちらが事例としてお示しするもので、これはベトナムで、次のページにネパールがあります。例えば、ベトナムから日本への労働者や留学生の移動のメカニズムを調査して示したのがこちらです。一番左側に、教育水準に対応した表があります。どの教育水準から来る人がどこに行くのかという形で、段落の右に行くにつれて日本に向かって来ることになります。
 1つ、ここで強調しておきたいのは、ベトナムから日本へ来る人は留学、技能実習を問わず、基本的に高卒以上の学歴の人だということです。こちらの図には示していませんが、図の右側に日本とありますが、その下の余白の所に中卒以下の移動先として、台湾やマレーシア、一部、韓国のEPSが入ってきます。日本はその中でもどちらかというと学歴水準が相対的に高く、国内で大学進学するのか、あるいは日本に留学に行くのか、あるいは技能実習として就労をまずしたいと考えるのか、そういった形で経路が分かれていくことが明らかになっています。
 次のページは、ネパールです。ネパールは、国民所得の水準からみても、ベトナムよりも大分低い状況です。送出しのメカニズムもベトナムほど制度化されていません。その結果として日本に来るルートも限られていますが、そういった中でも一番左側、どういった人が目指しているのかに関していうと、10+2(テンプラスツー)と言われ、日本でいうと高卒に相当する資格で、基本的にこれ以上の学歴の人が来ていることになります。特に留学で来る人がネパールは多いのですが、その場合、ネパール政府自体がテンプラスツー以上でなければ留学の許可を出さないといったことがあります。
 技能実習へのルートは非常に少ないのですが、こちらも僅かながらもあるとはいえ、やはりテンプラスツーを基本的な対象としています。それ未満の学歴者になると、こちらの右の下のグラフになりますが、中東・マレーシア等の就労先、あるいは最も学歴水準を要さない国として、国境は事実上ないのも一緒ですのでインドに歩いて行くというルートがあります。先ほど、湾岸諸国が大きな移動先としてありましたが、ネパールもその大半は湾岸諸国へ向けて移動し、どちらかというとテンプラスツー以上の、現地の感覚でいうとアッパーミドル以上の人が日本を目指していることになります。
 次のページは、続いて日本の労働市場における位置づけです。まず、左側の図は、在留資格を基準に、日本における居住期間と在留資格の変遷の概念図を示したものです。経済的地位を縦軸にとってありますが、技人国、定住者、技能実習といったような順でおおむね配置できるかと思います。それぞれ技人国も海外から直接入って来る者、あるいは留学から切り替える者と両方あります。
 また、定住者は日系人が非常に多い状況です。技能実習とあり、今、技能実習は特定技能に移行でき、その後、時間が経っていく中で永住に切り替えていく人もあるいは出てくるかもしれないということで、「?」としてあります。それ以外としては、技人国や定住者自体は、居住期間10年以上というのが標準的な要件ですが、それ以上で経済的に自立しているといった条件を満たすと「永住」になるといったような流れが想定されます。
 実際、永住者の直近の在留資格を見ますと、こういった変遷が見られるような結果になっています。右側の図5は、雇用状況届けから見た外国人労働者の在留資格別の状況となります。左側の図4から図5を見ていただき、これまでの議論で主にエピソードベースで語られることが多かったのは、このうち技能実習と資格外活動、あとは一部の定住者が非常に多かったことにお気付きになるかと思います。実際に、この技人国及びそのほかの専門的・技術的な商業の者が全体の5分の1程度おり、そこから永住に切り替えていくというパスもあると。ただ、この辺のことについては、結局データも不足し、かつエピソードとしてもほとんど語られてこなかったことが分かるかと思います。
 次のページは、分析の結果です。時間も限られていますので結論のエッセンスだけお伝えします。まず、賃金構造基本統計調査(令和元年度実施)のマイクロデータ、調査票単位でデータを再取得して分析したものとなります。まず1点目の結論としては、事業所単位で見た日本人との賃金格差です。外国人労働者は数として非常に少なく、また、雇用する事業所も全事業所に対しては数パーセントしかありませんので、どこで雇用されているかは、実際の賃金水準は平均をとると日本人とかなり変わってくるおそれがあります。ですので、同一事業所内での日本人との賃金格差に焦点を絞って分析したものがこちらです。
 在留資格別に見ていきますと、技人国については全般的に小さく、かつ、その事業所の全職員に対する平均賃金が高くなっていきますと技人国においても日本人との差は検出されなくなります。技能実習生については事業所の生産性にかかわらず、日本人より低いというよりは、むしろ技能実習生は雇用する事業所の平均的な賃金水準にかかわらず、ほぼ一定水準で雇用されているといった状況が見えてきました。
 2点目は、日本型雇用の影響として、総合職正社員といったような長期雇用を前提とした労働賃金の運用の中では外国人は不利とされがちですが、そういった意味で、その外部にあると考えられる専門職においては同一事業所内でも日本人との賃金格差は見られないという結果が出ています。一方で、一般的な事務職等に代表されるような職種では、この差があるという、そのような違いとなっています。
 3点目は、勤続年数の長期化に伴い、どのようなキャッチアップがあるか。最初は賃金格差があったとしても、それがその後どう縮まっていくのかということです。技人国については、キャッチアップというよりは、ほぼ日本人と同じペースでの賃金上昇を経験している。一旦採用された場合、昇給に差が付くといったような現象は検出されませんでした。技能実習については、最低賃金に貼り付いているという話がエピソードベースでは語られていますが、日本人の非正規職員との比較をした場合、むしろ若干、賃金上昇があり、短大卒の高い学歴があるような場合には、大体6年程度で同程度の学歴を持つ非正規雇用の日本人の賃金水準に到達するという結果が得られています。
 次のページです。また、雇用する企業側に目を転じますと、まず技人国については平均賃金が高く、かつ中小規模の企業、大卒や正規雇用、男性職員の割合が多い企業で多く雇用される傾向がありました。また、被雇用者(労働者)の平均勤続年数の短い企業においても、これが増える傾向にあります。こちらは想像するに、どちらかというと生産性では、大卒が多いことから生産性が高く、かつ平均勤続年数が短いということは事業を拡大している可能性が高く中小で事業を拡大して人を多く欲しているような所で雇用しているのではないかという想像ができます。
 技能実習については、平均賃金が低いほど雇用する傾向があるという点については想像に難くありませんが、賃金水準を一定とすれば、中~大企業程度で、より多く雇用するという傾向が見られました。もちろん、これは受入れ人数が日本人職員の規模との関係で決まるという点もありますが、一方で、企業規模が大きく様々な種類の労働者がいる所でも、積極的に労働力のポートフォリオの1つとして技能実習を選択している可能性があると、そういった示唆が得られる結果となっています。
 こちらは、いわゆる使い捨て労働者や低賃金労働の代名詞として生産性の低い企業、いわゆるゾンビ企業といわれる所が延命措置として雇っているといったような非常に平板な見方とは違って、もう少し雇用する側のメカニズムが複雑であることを想起させる結果となっています。
 こちらの図6は、事業所の平均賃金、外国人を雇用する企業の平均賃金の階層別の割合です。それぞれ低いほうから高いほうに並べた順番がどのカテゴリに属するかを示したものです。ここで興味深いのは、技能実習生を雇用する企業の中で全体の20%程度は右の2つのカテゴリ、要するに、平均的な事業所の賃金水準より高い賃金水準である事業所が含まれているということです。技人国について見ると、生産性が高い(右側の薄い色の帯)事業所のほうが、より多く含まれるということで、技人国がハイスキル層の雇用の入口になっているという、制度の立て付け上の趣旨は、実際に、こういったところからも確認できるかと思います。
 次のページです。定住者と永住者についても分析しています。結論から言いますと、緩やかに日本人との賃金格差が縮小して、定住から永住というプロセスの中で緩やかな統合というべき状況がみられるという点です。
要約しますと、アジア諸国から日本への労働力移動の圧力は強まりつつあり、かつ日本国内における外国人労働者の活用は、依然として一部の企業に限られるものの、各企業の雇用する労働者の多様なスキル・ポートフォリオの一部として選択されている可能性があると、そういった結論が得られるかと思います。
 最後は、今後の課題で2点あります。1点目は、こういった限られたデータからでも、大分いろいろなことが分かるのですが、外国人労働者のミクロな移動/定住プロセスの解明ということで、集計レベルではなく個人単位で見た、当然これは特定の個人ではなく匿名化された形でもいいのですが、個人単位で見た時間的経過に伴う在留資格及びその他の様々な経済的条件、状況、その変遷の解明が必要であることが分かります。そのために、「在留外国人統計」や「「外国人雇用状況」の届出状況」と、その他の既存の公的統計の個票データを用いたミクロな分析の必要性があると思います。そういったことで、きめ細やかな政策対応が可能になると考えられます。
 2点目は、データを保有する関係諸機関の協力の必要性ということです。当該分野は新しい政策分野だと思いますので、信頼性の高い各種統計や指標を新たに整備するという姿勢で臨んでいく必要があると思います。その上で、政策立案の基盤としての客観的エビデンスが得られるものと思われます。以上、長くなりましたが、私からの報告は以上です。ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、あと30分弱ぐらい時間がありますが、資料1の23ページで先ほどお話いただいたような外国人労働者の職場、地域におけるよい定着のために必要な要素や取組について、これらに対する厚生労働省、ハローワークの取組の評価、それから、今後、求められる取組などについて議論していきたいと思います。
 これまでの資料、それからヒアリング等での御説明に関する質問でも結構です。また御意見でも結構です。まとめて、委員の皆様方から御発言をお願いしたいと思います。御質問については、どなたへの質問かということをおっしゃっていただければと思います。オンラインの方は、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックして御発言を頂ければと思います。それでは、どなたか御発言はありませんか。
○株式会社三美テックス総務部マネージャー 飯塚ふみ氏 よろしいですか。三美テックの飯塚と申します。
○山川座長 三美テックの飯塚様、どうぞ。
○飯塚氏 大丈夫でしょうか。
○山川座長 すみません、少しボリュームを大きくしていただけますか。
○飯塚氏 聞こえますか。大丈夫ですか。
○山川座長 大丈夫です。どうぞ。
○飯塚氏 この場にお招きいただきまして、ありがとうございます。大変勉強になりました。よい話をいろいろ聞かせていただきまして、まず幾つかの質問を一緒にディスカッションできればなと思います。私は永住者です。2005年に入社した台湾出身の社員なのですが、今、主に人事の採用もやっているのですが、ただ今まで採用に関しては、ほぼほぼ孤軍奮闘するような状態だったのです。どんな問題があるとしたら、正直、どこの誰に相談すればいいかというのは分からなかった。入国管理局に話をしても、余り答えてくれなかったという時代がありまして、それでハローワークに問合せをしても、これはちょっと入国管理局に聞かないと分からないというような感じです。結局、いわゆる、今だから分かつたのですが、管轄が違うのです。留学者の管轄は多分、文科省だと思うのです。留学生の採用だと、留学から修学からに今度切り替える段階に、文科省から厚労省の管轄に変わってくるのです。そうしたら、今、すごくいい話をしてくださったのですが、これからオンライン化、法務省、労働省、実はこれから外務省も入れてほしいのです。入国管理局は、外務省の管轄だと思います。ですので、今回、多分、入国管理局の方がいらっしゃいますか。
○山川座長 オンライン参加でいらっしゃいますが、すみません、入管庁は法務省の外局になります。
○飯塚氏 外国人の採用に関しては、やはり各省庁の連携が必要だと思います。そうでないと、この留学生は、ではどこに就職した、どこに転職した、これからどうなっていくかというのはつながらないと思いますので、必ず入国管理局、いわゆる外務省も入れてほしいと思います。
 そして、私たち企業側としては、20年以上採用する経験があるとして、正直その分からなかったこともあるのです。相談できるような、例えば入国管理局、企業側のために、ではこの事例に対してどういうふうに解決すべきというアドバイス、アドバイザーとして企業側に対するアドバイスをしてほしいのです。留学生だけのアドバイスだけではなく、連携してほしいのです。でなければ、すごく今、留学生の大学生の労働環境をどうやってよくするのはすごくいいテーマとしていいと思いますが、では採用する側として、どうやって給付金を付けるということも大事だと思います。この人を採用してよかった、必ずしも100%成功するわけではないです。ですので、失敗したらどうするという感じなのです。そういうのは企業側のためのアドバイスをするような窓口を設けていただければ、例えば今まで私たち何か質問があったとしたら、問い合わせをして、大体、これは外務省の管轄です、では外務省に電話したら、外国人とかは厚生労働省です。結局、たらい回しのような状態が正直ありました。ですので、問題があったとしたら、どこの誰に質問すればいいということをはっきりとした機関を設けていただければ、非常にスムーズに進めていけたらなと思います。以上でした。
○山川座長 ありがとうございました。この相談に関しては、最近、取組も進められていることかと思いますので、事務局から簡単に御説明をお願いします。
○外国人雇用対策課長 事務局です。御指摘ありがとうございました。外国人労働者の採用に関して、様々な多くの役所が関わっているということ、またそれに対して、一元的に様々な役所が対応できていないということについての御指摘であったと思います。それを受け止めまして、今後、各省庁の連携を促進していきたいと思います。1点、すみません。厚労省から説明するのがよいかどうかは分かりませんが、昨年の夏、四谷に在留支援センターという様々な行政機関、関係団体が集まる一元的な相談窓口ができました。ここで三美テックス様の御要望に十分に応えられるかどうかは分かりませんが、縦割りを解消する取組を進めているところです。
省庁間で同じ問題意識を持って、今、取組を進めています。本日の御指摘、叱咤激励と受け止めて、しっかりと取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○飯塚氏 ありがとうございます。四谷に新しくできた、いわゆる外国人雇用サービスセンターと東京外国人新卒サービスセンターを全部統合したというのは、私も話で聞いていますので、いろいろそこから情報を得たというのも事実ではあるのです。昔と比べて相当よくなりました。ただ、質問としてはやはり、この質問に関しては入国管理局に聞かないといけないなというふうに言われるのです。結局、番号を回して案内されるのです。それで、かけると、ものすごい音声案内、結構待たされたりして、結局、時間との闘いです。それよりの延長の話になるのですが、例えば外国人労働者とうまくコミュニケーション、私ですらコミュニケーションを取れないときがあるのです。永住者なのに、日本人でないのにコミュニケーション取れないときに、それはあるのですから、ではそれは言語、文化を越えるような問題になってしまうと、これは文科省の問題になりますので、それはとてもな話ではないので、どうやってお役所さんは統合してもらえるのですか。私たちはいわゆる相談できるような窓口、私たちを助けてくださるような積極的に外国人を採用する企業として、どうやって私たちに味方してくれるというのを、やはりそこを聞きたいのです。
○山川座長 ありがとうございました。貴重な御意見かと思いますので、今後、さらに御意見を踏まえて検討したいと思います。
○飯塚氏 私の話は以上でした。ありがとうございます。
○山川座長 ありがとうございました。では、何人かの委員の方々から手が挙がっていますので、杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。商工会議所、杉崎です。本日の各先生方の御講話は非常に参考になりましたし、示唆に富んだ内容でした。本当にありがとうございました。
 その上で、本日、御議論いただきたい点の1点目の職場・地域における「良い定着」に関してなのですが、福井県の方からいろいろな取組の御説明がありました。各種相談機能は非常に充実した内容であるかと思いますので、こういった行政における先進事例をほかの自治体にも横展開していくということは非常に参考になるかと思います。福井県でも地元の商工会議所と連携しながら取組を進められているということで、地元のいろいろな団体などと連携して推進していくいうことも大事なのではないかと思います。
 また、今日の資料の中にもありましたが、各種支援ツールに関して10ページに記載されているものですが、こういったものを中小企業にしっかりと情報を届けていくということも極めて大事なのではないかと思います。私も特定技能や技能実習の制度説明を中小企業の皆さんにさせていただく機会が非常に多いのですが、総じて中小企業の皆さんはこういった情報をなかなか御存じでないですし、知っていただくと非常に有効な情報だと思います。
 次のページの研究会から得られた示唆に記載されていることについても、正にそのとおりであるかと思います。外国人材について、興味はあるのだが採用したことがないという中小企業が非常に多い中で、こういった情報は極めて有効だと思います。もちろん商工会議所も周知していきますが、こういったものを官民が協力して幅広く周知していく必要性を感じています。
 2点目が、大都市偏在の問題についてです。今日のいろいろなデータの分析でも、どうしても大都市に集中してしまうという問題があるかと思います。そうした中で、パーソルさんからのお話で、必ずしも給与重視ではない、安心感が重要というお話がありました。正に、こうした点については地方の中小企業が得意とするところ、強みとするところであるかと思います。その一方で、中小企業は総じて自社の魅力を表現、発信することになかなか慣れていないという現状もありますので、そういったところは行政や商工会議所がフォローしていく必要性があるのではないかと思います。また、各種セミナーなどを通じて、そのノウハウを提供していくという必要性を感じた次第です。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。では新田委員、お願いいたします。
○新田委員 経団連の新田です。本日はヒアリングのお三方、並びに是川委員からの御紹介もありがとうございました。
 私からはヒアリングについての質問と、事務局から提示されている議論いただきたい点についてコメントをしたいと思います。
 最初の質問ですが、パーソルキャリアの多田様にお伺いしたいと思います。資料2の3ページで、日本企業の給与・条件が他の先進国と比べて魅力が少ない、つまり給与が低すぎるということで却下されたケースが大企業にもあったというお話がありました。私は非常にショックを受けた部分なのですが、もしデータをお持ちでしたら、他の先進国と比べてどのぐらい給与の格差があったのかという点について、データがなければ感触でも結構ですので、教えていただければと思います。
 加えて、資料の5ページで、外国人材の企業選択は必ずしも給与重視ではなく、約半数が提示給与の低い企業を選択したというお話がありました。最初の質問との整合性の部分で、もし多田様の感じているところがあれば、コメントを頂ければと思います。
 次に、事務局からありました議論いただきたい点について申し上げたいと思います。まず、企業への外国人労働者の定着に当たっては、国籍や在留資格等によって留意すべき点がそれぞれ異なっていると考えています。そのため、企業としては、採用段階で外国人労働者の方がどのようなニーズを持っているのかということをできる限り把握し、それを勘案しながら、実際の職場環境や自社の制度とマッチしているのかを見極めることが非常に重要であると感じたところです。この点については、ハローワークにおけるマッチングにおいても、十分留意していただきたいと思います。
 加えて、地域への定着については、資料1にもありましたが、モデル事業での成功事例を水平展開していくということが非常に効果的であると考えています。地域の住民との共生が重要であり、正に住民として定着していくためにも、地域活動への参加や生活面等の支援を特に手厚くしていく必要があるのではないかと思います。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。では御質問のあった点について、パーソルキャリアの多田様から何かありますか。
○多田氏 かしこまりました。回答させていただきます。まず、給与で却下されてしまうという点については、個人ではなくて、審査の段階で政府機関です。具体的に言うと、フィリピンの政府機関で却下されるケースが非常に多いです。先ほど、大企業というお話をしましたが、特定技能の日本の専門学校卒業の方です。専門学校で大企業の給与テーブルにきちんと沿ったとしても却下されるというような実例がありました。ほかにも却下されるケースは、私たちの所でも、介護や製造業などで出ています。では、ほかの先進国と比べて幾ら低いから却下されるかなどは、その辺りの基準は正直分からない。要は私たちが言われるのは、これは安過ぎるというような形で却下はされるのですが、そこは本当にどこどこの国と比べて幾ら安いという明確な理由はなかなか得ることが難しくて、給与を上げていって最終的にこれだったらOKという形で認可されるケースが多いというのが実状です。
 2番目の質問ですが、給与で選ぶわけではないというところと、ほかの国と比べて日本が選択肢として弱くなっているということで、どう整合性が取れるかというポイントなのですが、まず先ほどの、人材確保が難しいという現場の実例でいうと、看護師資格を持っている方を日本で介護にしようとすると、看護師資格を持っていれば、その時点でほかの国との違いが、結構、下手をすれば10万円ぐらいの給与差が出てしまう。そうしたときに、やはり最終の国選択の段階で日本が選ばれないというような状況です。でも、私たちのパートナーには、同じような介護士でこの事業と同時にドイツの事業の人を募集すると、やはり看護師資格を持っている方がドイツの事業には比較的集めやすいが、私どもがやっている日本の厚労省の事業ではなかなか資格保持者が集まらないという実例もあります。
 そのような中で、実際、私たちが御紹介する中では看護師資格を持っている方もいますが、大多数は看護師資格を持っていない方というような条件のところで、まず日本の就労を希望するという状況になっていた中で、そこの中で、今度日本に行くと決めた中で、企業の差が出たときに最大3万円となっていますが、多くは1万円前後の差が多いですが、それぐらいの差であれば、ほかの条件や、いわゆる安心感によって、逆転するケースが半数近くあったというのが実例になっています。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、九門委員、お願いいたします。
○九門委員 ありがとうございます。本日は貴重なお話を発表いただきありがとうございました。私からは、福井県の山口様とパーソルキャリアの多田様に御質問があります。私自身が福井県など北陸三県における留学生の活用の調査等を以前、2018年頃に行っていたということもあり興味深く伺わせていただきました。日本語学級のサポートについて、コメントと質問をさせていただきます。今日、御発表にもありましたが、やはり企業は日本語が話せる外国人を求める場合が多いです。また生活や地域に定着する中でも、日本語能力がある程度必要になると思っています。ただ、日本語学習をボランティアが全て担うことには限界があるという声も調査などで聞かれますので、自治体や大学、企業、NPO等々の連携が必要と思いますが、なかなか進まないのが現状かと思っています。質問としては、こうした外国人に対する日本語学習のサポートについて、福井県としては、実行する際の課題がどういうところにあるのか、また政策的にどういったことを要望されるかという点を少しお伺いしたいと思います。また、多田様にはこの事業を行われていて感じられていることをお伺いできればと思います。以上です。
○山川座長 それでは、まず福井県の山口様、いかがでしょうか。
○山口氏 山口です。御質問、ありがとうございます。本件において、先立っての議会でも質問がありました。やはり日本語教育といいますか、日本語を学んでいただける機関が、福井県の場合は少ないのではないかということで、今年度、それは非常に大きな課題だと思っています。例えば、入管の方がやっておられる日本語教育の問題に対して、それを受講される企業様や団体様に対して支援をするという事業を今年度設けさせていただきました。これに関してボランティアの方については、新学期から、要望を受けて講師を派遣して地域ごとに、きめ細かくできるような体制ということを、今、構築したところです。
○山川座長 ありがとうございました。パーソルの多田様への御質問も九門委員からありました。
○多田氏 事業については、留意しているところと理解していますが、私の説明でもありましたが、まずこの事業でできるところとして、できるだけ事前に、技能実習の場合は来たときにできないということもありますが、今回は余裕を持って、プラス日本語のコミュニケーションをしっかりと試験以外のところもやって、来る前にまずしゃべれる土台を作ることによって、来たときに全くしゃべれなくて日本語教育をしなくてはどうにもならないという状況を作らないということに、かなり留意しています。今、実際、昨年度に内定の出た方と、受入れ事業者とで何を進めているかというと、定期的に遠隔で面談を日本語でし続けてもらっています。ですので、ビザプロセスとして数か月ある間に、受け入れる事業者側と、来る内定者の方が定期的に日本語でコミュニケーションを取ることによって、お互いの日本語力、どうやったらコミュニケーションができるかというところをしっかりとできて、土台ができた上で入国してもらうことによって、トラブルを軽減できるというようなところですので、その後の日本語教育のプロセス等もありますが、まずはそこの土台です。入国後は、特に介護の場合で考えているのが日本語を学ぶための理由といいますか、モチベーションといいますか、N3を取る、若しくは介護福祉士を目指すというようなところで、日本語を学ぶことによって何のメリットがあるかというようなことを、しっかり外国人材の方に動機付けをするような形で、それに見合った教育を用意することによって、効果的な日本語教育が入国後に進むのではないかという検討を今進めています。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。では、佐久間委員、お願いいたします。
○佐久間委員 佐久間です。お時間がないので、私からは感想、意見というか、特に回答はいりません。まず是川先生のレジュメ、資料の6ページ、7ページ、それから8ページの所は、私が非常に疑問に思っていた、レベル感や、どういう人材がここに来るのだろうということについて示唆に富んだもので、すごく参考になりました。ありがとうございます。
 それから、パーソルの多田さんの資料でも、先ほどの日商の杉崎様、そして経団連の新田様から御指摘がありましたが、外国人材の企業選択が必ずしも給与重視ではないということで、もちろん給与がよければ、それにこしたことはないと思いますが、やはり地域で外国人材を入れていくときに、この就業環境などの安心感など、これが非常に重要視される、また重点を置かなくてはいけないことであり、地域の1つのモデルになっていくのではないかなということを感じた次第です。
 資料1で、厚労省の事務局でお示しいただいた資料の中で、それぞれの地域の独自のアイデアが、20ページに、短期の少額の医療保険の関係がありました。例えば短期であっても、日本の国民健康保険制度において、言葉が悪いのですが、ただ乗りにならないように、何か送出し国が保険制度を来る方に設けたり、あとは外国人の方が自分たちで、この保険料を必ず掛けなくてはいけないということを、国なり、また民間の組織で何かできればいいなということを感じているところです。
 それから18ページに、在留資格の割合、国別の国際比較が掲載されていますが、非常に国によって技・人・国の関係、技能実習、そして留学と、どこを対象に多くなっているかということが、すごく分かりやすく述べられており、相手側の送出し機関が、どういうことで在留資格を取得しようとしているのか、送り出そうとしているのかということが、先ほどの是川先生の資料とすごく結び付いて、いい資料だなと感じたところです。
 あと2点ほどあるのですが、9ページに、人材確保等支援助成金があります。これも利用がどれだけあるかということもありますが、外国人材の受入れに当たって、要件が少し多過ぎるのかなと思います。もう少し使い勝手をよくしていただく、または条件を緩やかにしていくことで、技能実習の関係や特定技能、外国人の方、技・人・国の方にとっても、非常に有効に作用するのではないかなと思いますので、是非、これは継続して行っていただきたいと思います。
 最後に、8ページにも絡むのですが、厚労省のほうでは、こういう労使と公益の先生方が入られた会議体を開催されるのですが、出入国在留管理庁のほうでは、在留資格や入国に際して用いられている「特別な事情」など、いろいろな在留資格を持った方の出入国があると思います。やはり出入国在留管理庁のほうでも、公労使がそろって、こういう意見を言える会議を設けていただきたいというのが、意見というかお願いできればというように思っています。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。では、お待たせしました、冨高委員、お願いいたします。
○冨高委員 ありがとうございます。前段で杉崎委員や新田委員、佐久間委員からお話しいただいたので、重複しているところもあるのですが、まずは今日の御説明とヒアリングで、御報告いただきました4名の方、ありがとうございました。大変勉強になるところが多かったです。とりわけ、パーソルキャリアの多田様と福井県の山口様には以前も別の所でお話を伺いましたが、本当にきめ細やかに対応されていると思いました。他の方からもありましたように、多文化共生施策をきちんとやっていくということは重要だと思います。また、地方に人が集まらないという点については、地方の方がきめ細やかな対応ができるというメリットがある点なども厚労省に好事例として展開していただきたいと思います。
 それから、是川委員の御報告については、非常に共感するところが多く、特に今後の課題の部分でデータを保有する関係諸機関の連携の必要性については、私も非常に同感です。今までは、全体感を見るためのデータが少ないというところもありましたので、それぞれデータを保有する省庁が連携をして、総合的な政策として検討していただくことが重要だと思っています。今後においては、是非、そういった部分に関し、各省庁において心掛けていただければと思います。
 最後に1点、厚労省に質問なのですが、先ほど九門委員からも御指摘があったように、定着するという意味では、日本語の習得も非常に重要なのかなと思います。今日の説明の資料の中で、多言語化については触れてありますが、日本語習得に関わる例えば講習の実施や助成の支援等、何か厚労省として外国人に対する日本語習得に関する支援のようなものを実施されていましたら、少し教えていただきたいと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。では最後の御質問につき、事務局から何かありますか。
○外国人雇用対策課長 事務局です。外国人労働者の日本語の習得に関する支援は様々ありますが、例えば、技能実習でいえば、日本に既に入国している技能実習生が使える日本語の教材を提供したり、あるいは、厚労省は介護の業所管官庁ですが、介護に特化した日本語の自習教材をオンラインで提供するといった取組をしています。
○冨高委員 ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございました。ほかにないようでしたら、時間がきていますので本日はこの辺りで終了したいと思います。ヒアリングにお出でいただきました、パーソルキャリア株式会社の多田様、福井県の山口様、また株式会社三美テックスの高本様、御多忙の中、お出でいただき、御説明いただきまして大変ありがとうございました。また、是川委員からも非常に貴重な御報告を頂きました。全体のヒアリングで、情報と連携の重要性が指摘されたところですが、さらに本日のヒアリングでは地域という新しいキーワードが追加されたと思います。また、諸施策につき全体としてデータの把握の重要性ということも浮かび上がってきたものと思います。本日、皆様から頂いた御意見については、事務局で整理していただいて、今後の進め方、今後の検討に当たりまして、適宜、反映させていただくようにお願いいたします。時間の限られた中、進行に御協力を頂きまして大変ありがとうございます。
 それでは最後に、その他として事務局からお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 事務局です。本日は御多忙の中、御議論いただき本当にありがとうございました。また御多忙の中、ヒアリングに参加してくださいました皆様におかれましても、改めて感謝の意を申し上げます。ありがとうございます。
 次回、第4回の検討会ですが、5月14日金曜日15時から17時を予定しています。詳細は別途、御連絡申し上げます。以上です。
○山川座長 それでは、本日の検討会はこれで閉会とします。皆様、大変ありがとうございました。