第2回外国人雇用対策の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和3年4月12 日(月) 13:00 ~ 15:00

場所

オンライン会場
厚生労働省職業安定局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎第5号館12階)

出席者

  • 天瀬 光二
  • 九門 大士
  • 是川 夕
  • 佐久間 一浩
  • 杉崎 友則
  • 冨高 裕子
  • 友原 章典
  • 新田 秀司 
  • 山川 隆一(座長)

議題

  1. (1)新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する外国人失業者 等に対するハローワークの対応
    (関係者からのヒアリング)
    NPO 法人愛伝舎 理事長 坂本 久海子 氏
    NPO 法人日越ともいき支援会 代表理事 吉水 慈豊 氏
    ゴーウェル株式会社 代表取締役社長 松田 秀和 氏
  2. (2)その他

議事

議事内容
○山川座長 時間となりましたので、ただいまから、第2回外国人雇用対策の在り方に関する検討会を開催いたします。皆様方には、御多忙のところ御参集いただきまして、大変ありがとうございます。本日の検討会は、こちらの会場とオンラインで開催いたしますので、開催に当たりまして事務局から説明がございます。よろしくお願いします。
○外国人雇用対策課長 事務局でございます。オンナインで御参加いただいている皆様からの御発言について、お願いがございます。オンラインの方は、事前にお送りしている「会議の開催、参加方法について」を御参照ください。座長が、御発言を希望される方を募ります。会場の方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」機能を使用してください。御発言される方を指名させていただきますので、指名された後に発言を開始してください。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり、分かりやすくお願いいたします。また、発言後はマイクをミュートにしてくださいますようお願いします。オンライン出席の方で、操作などの質問がある場合は事務局までお問合せください。
 また、本検討会はペーパーレスの開催であり、会場においてはタブレットを使用して行います。こちらのタブレットについても、使用方法について質問がある場合は事務局までお問合せください。円滑な会議運営に御協力お願いいたします。
 続いて、資料の確認です。本日の資料は、議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、参考資料です。資料に不備がありましたら、事務局にお申し付けください。
○山川座長 ありがとうございます。議事に先立ちまして、まず検討会の構成員の交代がありましたので、御報告させていただきます。資料1を御覧ください。池田構成員が退任され、代わりまして、一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部長の新田様に御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。また、本日の委員の出欠状況ですが、酒井委員が御欠席と伺っております。
それでは、議事に入ります。カメラ取材の頭撮りはここまでとなっておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず議題1「新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する外国人失業者等に対するハローワークの対応」につきまして、まず事務局から説明をお願いします。その後、関係者の皆様からのヒアリングを行います。関係者の皆様からの御説明の終了後に、まとめて質疑時間を設けたいと思いますので、御質問がありましたら、その際にお願いいたします。それでは事務局から説明をお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 事務局です。資料2の説明をいたします。まず、1ページは、NPO法人等とハローワークとの連携事例に関する資料です。これは、前回の3月19日の第1回の会合で提出した資料に、オレンジの囲みの所を追加記載したものです。NPO法人に相談をしていたベトナム人の青年について、ハローワーク新宿に引率をし、丁寧な聴き取りをして正社員の求人を紹介して応募をしたのですが、実はこれは一度の引率では済まずに、3回ハローワークに引率してここに至りました。成果としては、NPO法人と連携したアウトリーチにより、日頃はハローワークに来所しないベトナム人の求職者の方をハローワークのサービスに誘導することに成功したということです。他方で、課題として認識したのは、丁寧な伴走支援をしなければここまで到達しなかったということ、また、ハローワークへの引率や優秀なペトナム語の通訳といった点について、マンパワーの不足を感じたところです。
 2ページです。前回、ハローワークの窓口における業務の改善の取組として、外国人の求職者と企業との効果的なマッチングに向けて取り組んでいると申し上げました。その具体的な内容を、本日説明します。外国人労働者について、円滑なマッチングを進めるためには、業務に必要なコミュニケーション能力について、企業から出される求人の内容を明確化すること、また求職者のコミュニケーション能力を見極めることが必要です。また、再就職先が限定される在留資格の特性についても正確に理解することが必要です。
 具体的にどのように取り組んでいるかですが、まず、一部のハローワーク、外国人の職業紹介について経験が豊富なハローワークには様々な現場の知恵というものがあります。そのノウハウを厚生労働省の本省において調査・集約し、業務用マニュアルとして全国のハローワークに周知する取組を開始したところです。
 2番目に、ハローワークの職員向けのツールとして、「できることリスト」を作成し、現在、改良を進めているところです。「できることリスト」と申しますのは、下の※に注釈を付けておりますが、職業相談や求人開拓に関わるハローワークの担当者と、それから企業の採用担当者との間で、外国人求職者のコミュニケーション能力を共通の尺度で評価することを目標として、職場におけるコミュニケーションの場面で何ができるかを簡潔にリスト化したものです。現在、作成中ですが、今後、改良を進めて実用化をしたいと考えております。
 3ページです。前回も配布した資料ですが、様々な在留資格が新たに設けられておりますので、これを全国のハローワークの職員に周知し、遺漏なく対応するよう指示をしております。
 今回、困窮する外国人の就職の支援をテーマを掲げましたが、私ども事務局は、ベトナム人の留学生について多々言及しております。なぜベトナム人の留学生なのかということについて、参考となる資料を2枚用意しました。まず、4ページです。左側のグラフは、法務省の在留外国人統計における在留資格「留学」の在留者の数です。右側は、厚生労働省がハローワークを通じて集計しております外国人雇用状況届における留学生による資格外活動、端的に言えば、留学生のアルバイトの人数、件数です。そして、左側の法務省の統計の数を分母、右側の厚生労働省の数を分子として割合を出しますと、5ページのようなグラフを描くことができます。これは、留学生が何件の事業所で働いているか、1人の留学生が幾つの仕事を掛け持ちしているかについてのグラフとなります。国籍別に留学生の主要な出身国4か国、中国、ベトナム、ネパール、韓国について集計しております。出身国によってこの比率が大きく異なることが分かります。
 さらに、コロナ禍での日本以外の先進国での対応について、国際機関の文献を基に内容を要約しました。1.として、コロナ禍の下で、日本以外の先進国においても、外国人労働者に対して在留許可の条件を緩和したり、労働移動、要するに、転職についての条件を緩和しました。また、2.として、コロナ禍の下で、外国人労働者に対してコロナ禍の影響が強く大きく出ていることが国際機関の文献で分かります。今、在留の条件や転職の条件について緩和したと申しましたが、そもそも諸外国において、どのような考え方で、外国人労働者を受け入れたり、労働力需給調整の仕組みを設けているかについてまとめたのが7ページです。
 8ページは、本日御議論いただきたい点についてです。まず、新型コロナウイルス感染症等による外国人労働者等への影響とその要因について、2番目は、これに対するハローワークの取組への評価、3番目は、今後求められる取組についてです。これらについて御議論いただければと思っております。
なお、参考資料を幾つか付けております。これについても若干、説明をいたします。まず、10ページは、政府全体において、外国人に対してどのような支援策があるかをまとめたものです。11ページは、平成25年に成立した生活困窮者自立制度、これを担当しているのは厚生労働省ですが、この制度がどのようなスキームかを示したものです。端的に申しますと、包括的な相談支援、つまり、しっかりと一人ひとりのお困りの方の話を聞くこと、また必要であればアウトリーチを行うこと、そして、一人ひとりの状況をしっかり把握した上で、本人の状況に応じた支援を行う。住居や仕事、あるいは緊急的な衣食住、それから家計の再建、子供の支援など様々ありますが、必要な支援メニューを提供していくというスキームです。
また、生活に困窮する外国人に対して、コロナ禍の下でどのように対応しているかという実情ですが、まず、生活困窮者自立相談支援機関における多言語の対応を強化しております。昨年6月の第2次補正予算において、各自治体を含めて、自立相談支援機関における多言語対応を強化しております。また、外国人の方も、緊急小口資金の特例貸付を利用できます。その実績として、令和2年9月時点の数字ですが、東京都においては、コロナ禍での14万件の貸付のうち、外国籍の方の利用が2.7万件であった、またベトナム国籍の方の利用が0.2万件、留学生の方の利用が0.5万件であったということです。
以下の資料は、前回3月19日に提出したもののうち、本日の議論に関係しそうなものを見繕ったものであり、説明は割愛させていただきます。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、続いて、関係者の皆様からのヒアリングに移りたいと思います。それぞれ10分程度で御説明を頂ければと思います。まず始めに、NPO法人愛伝舎理事長であられます坂本久海子様から御説明をお願いしたいと思います。では、どうぞよろしくお願いします。
○NPO法人愛伝舎理事長坂本氏 はじめまして、NPO法人愛伝舎の坂本といいます。どうぞよろしくお願いします。簡単に自己紹介します。1993年から1998年にブラジルで夫の仕事で暮らした経験があって、その当時、ブラジルは出稼ぎブームで、日本に行く人たちの様子を現地の日系新聞などを見て、たくさんの人が働きに行っているなというのを見ていました。私自身は、ブラジルで暮らして、のんびりとした時間の流れのゆったりとした国だなという感じで暮らしていたので、ブラジルの人たちが、すごく時間にタイトな国に行って大丈夫かなという思いを持ちながら、ブラジルからの出稼ぎブームを見ていました。一度帰国したときには、同じ飛行機で独身の日系人の若い女性が日本で働いている様子を話してくれたのですが、1998年に、今度、帰国するときは、日系人のお父さんが子供さんと奥さんを連れて日本にもう一回行くのですというところで一緒になって、単身の出稼ぎから家族滞在というように実際に移動している姿を見ながら、子供たちが日本の社会に適応できるのだろうかと思っていました。
 2002年から鈴鹿で小学校の講師として働くようになって、子供の教育が保障されていないのをすごく実感したのです。学校でやっているうちに、保護者のトラブルがいろいろあって、それを国際教室の先生たちが結構サポートしているようなことになり、外国人を受け入れる仕組みが日本にないまま、どんどん毎年子供たちが学校で増えているのを見て、日本に来る人たちにとってもすごくリスクだし、日本の社会にとってもかなりリスクになってくるのではないかと思っている頃に、NPOを立ち上げようとなって、2005年から活動してきました。
 最初は、本当に、団地のゴミ出しとか、今、感染症が問題になっていますが、結核患者が発生したことで、保健所の電話通訳をしたりとか、そういう対応をしていたのですが、これは日本の人口問題のもう一面なのだなというのに気が付いてからは、人口がどんどん減っていく中で、きちんとした受入れをしないと、本当に社会に、地域にとってもすごいストレスだし、大きな問題になると思ってずっと活動してきました。ですので、いろいろな所で講演などをさせてもらう中でも、日本の人口がどんどん減っていく中で、外国人との共生はすごく大事なのだという話はずっと言ってきたのですが、あまりぴんときていない、行政の人たちもぴんときていないという感じがします。それが、ここにきて一気に変わったなというところです。
 活動内容としては、ここに挙げているものです。教育のことだったり、生活支援だったり、就労支援だったりということをやってきたのですが、1つのターニングポイントとしては、就労支援のところで、介護の研修です。2009年、リーマンショックのことで、介護の研修を始めました。それは、一番最初はJICAから声を掛けていただいて、失業した日系人に介護の仕事をというので、その後、三重県の緊急雇用対策で、7回、日系人の人たちの介護ヘルパー2級の研修を行って、125人がヘルパー2級を取得して、地元の介護施設で働いてもらうようになりました。ですので、JICAの事業でやった人で今も続いている人たちは2009年からなので、今年でもう12年目になりますし、介護の仕事に就いて日本の社会の一員として働くことは、仕事が安定していくこととともに、日本の社会に対してすごく馴染んでいく。生活ぶりを見ていても、仕事が安定していることで子供の教育も安定していっているとか、家を買ったりとかというのも、中古の家を上手に見付けて、大変なローンを組まないで生活するとか、日本の社会への適応力というのでも、こういう研修をきちんとして、それから介護の勉強を、日本語の勉強以外に、礼節というか、日本の社会でのマナー、空気を読んだりとか、日本の人たちとぶつからないためにも、私たちはそういう所も気を付けてやったのですが、何て言うのですか、その後の生活、みんな結構、ちゃんと日本の社会に馴染んでいってくれている人が多いなという印象があります。
 今、就労支援として取り組んでいるのが、今、ちょうど、休眠口座の事業で、コロナ禍での外国人支援というプログラムがあったので、休眠口座の事業に応募してやったのです。製造業のほうは、結構、不安定に仕事の浮き沈みがあるのですが、地元の企業の方たちから、建設と、特に運輸の仕事については、三重県の北西部は仕事が結構あって、国籍にかかわらず、日本語ができる人たちを紹介してほしいという声が掛かっていたのです。去年、日本語ができるブラジル人の方を、右側の写真の建設業の会社に就労を案内しました。もう一人は、大型免許のあるブラジル人の男性を運送業に案内したのですが、大型の免許がある日系人が運送業の仕事に就いている例は増えていて、免許を取りに行っている人たちも結構いるのです。今回、厚労省の方にもちょっと御支援を頂いて、三重県の労働局にもお話を頂いて、地元のトラック協会の方に紹介いただいて、5月29日に、三重県トラック協会の四日市支部で会社説明会をします。
 建設のほうは、安全の問題もあるので、結構高い日本語能力を求められるのですが、介護ほどではないなと。ドライバーの仕事は、荷受、荷下ろしのときには当然、日本語は必要なのですが、大型免許があれば日本語の運送業の仕事も就労しやすいというので、ニーズは結構あって、日本語能力はちょっと低くてもいける。ですので、ニーズのある必要な所に就労支援をしていくというのに今取り組んでいます。それと同時に、オンラインの日本語教室をやって就労につなげるようにしているのですが、就労を進めていく、支援していく上で、日本語能力だけではなく、マナーとか面接のときの服装とか、履歴書をちゃんと書けるとか、そういうことをやれていない人も多いので、そういうことも含めた支援が必要だと思っています。
 全国的には、やはり技能実習生が増えていますし、何か外国人のことというと技能実習生のことをメインに話が進んでいるように、留学生と技能実習生。だけれど、私たちの東海地域は、ずっと南米の人たちが多くて、その人たちのいろいろやってきた経験というのは、多分、これからほかの外国人の人たちにも経験となっていくと思いますし、それと、定住者はいろいろな仕事に就けるビザなので、その人たちが日本の社会にちゃんと適応できるような例を作っていくべきだと思っています。リーマンの後に日系人が日本にいるというのは、日本で暮らすことを選択したということで、この人たちが、派遣ではなくきちんと長期で働けるようにすれば、その人たちの生活も安定するし、企業にとっても活躍してくれる人材が増えるということで、そのことに対してもう少しちゃんとした政策として進めてほしいと思っています。
 先ほども、ベトナムの人をボランティアで対応というのがあるのですが、では実際に、私たちのようなNPOが、社会保障とか、来年の仕事も分からないでボランティアをやっているのが今の状態です。ですので、私なども、こういう仕事を若い人たちに任せては申し訳ないなという状況の中で、マイノリティの支援をマイノリティの人間が一生懸命やっているのが現状なので、ちゃんと地域の人材を育成するための制度というか、体制も作ってほしいなと思っています。10分ということなので、10分に収まるようにしゃべってみました。
それと、みんなで心配しているのは、アジアから来る若い技能実習生たちが日本語を勉強して日本のルールを学んでくるので、そういう日本語力に関しては、だんだんアジアの人たちに負けていくというので、日系人の人たちは厳しいのではないかと。でも結局、その人たちは日本にずっといて帰らない。日本語も覚えない、職業も特に技術もないまま年を取って仕事がなくなる。具体的には、今回、ゴールデンウィークは、半導体が足りないとかコロナ禍のいろいろなのがあってなのか、かなり製造業の休みが普段よりずっと長くなりそうで、そうすると手取りがなくなって収入が減るという心配をしている人たちがすごく多いです。社協でお金が借りられるというのも、もうみんな満額借りているので、更なる貸付金を利用するのも結構厳しくて、そういう悲鳴がだんだん大きくなっております。最近は、自殺した人たちの話などもあって、コミュニティの今まで支援していた人たちがちょっとナーバスになっているなというのが現状です。
○山川座長 坂本様、御説明、大変ありがとうございました。時間も御配慮いただきましてありがとうございました。
 続きまして、NPO法人日越ともいき支援会代表理事である、吉水慈豊様から御説明をお願いいたします
○NPO法人日越ともいき支援会代表理事吉水氏 こんにちは。NPO法人日越ともいき支援会の代表の吉水と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、NPOの説明からさせていただきます。NPOは東京の港区の寺院・日新窟を拠点に、前住職の私の父が、1963年からベトナム人の支援をしてまいりました。3.11の東日本大震災のときには、大使館の依頼で、被災されたベトナム人の方々を86名受け入れたことにより、その後、技能実習生や留学生、また在留ベトナム人の方々の「駆け込み寺」として、数多くの相談を行ってまいりました。
 また、私どもがお寺の中で支援していたものを、昨年度からNPOとして立ち上げ、支援をすることになりましたが、またそこでコロナが直撃しまして、コロナ禍での支援活動の様子をお話させていただきたいと思います。
 まず3月に、コロナで飛行機が飛ばなくなりました。そのときに私ども寺院ではたまたま5人の男の子たちを保護しておりました。その子たちの在留資格は、仮放免だったり、帰国命令を持っている子たち、また帰国できない留学生、あとは技能実習3年を終わらせた子たちなどで、数多くの子たちをまず保護することになりました。また緊急事態宣言とともに、留学生の子たちのアルバイトがいち早く切られました。その結果、アルバイトの職がなくなり、食べることができなくなった留学生たちを保護することになりました。私も、保護した子たちと一緒に、全国にそういう境遇の子たちがたくさんいるので、トータルでは4,000件以上の物資の支援をすることを計画し、7月までに4,000件以上の物資の支援をすることにしました。その物資の支援というのは、お米、フォー、油、お豆などのベトナム人の子たちが好きそうなものを、ベトナム大使館の協力や、在留ベトナム人の方々からたくさんの支援を頂いて集まったものを、保護している子供たちと一緒に4,000件以上の物資を支援したというところからコロナが始まりました。
 その後、何が起こったかと申しますと、8月ぐらいに入りまして、たくさんの技能実習生の子たちが雇い止め、若しくはコロナ解雇に遭い、仕事を失いました。仕事を失うと、技能実習生の場合は大体寮に住んでいますので、寮を追い出されてしまう。本来ならば、ちゃんとした管理団体であれば、管理団体さんがその子たちをきちっと保護し、再就職支援をするのが通例なのですが、やはり心ない管理団体さんの元で実習をしていた子は、チケット代だけ渡されて駅に捨てられたりだとか、強制帰国させられそうになったりだとか、何届けにサインしろとか、いろいろなことで、要するに母国語を日本語としていない彼らだけを追い込んできました。その結果、何が起こったかというと、家を失ったベトナム人の若者たちが大勢増えました。ベトナム人の子たちはフェイスブックのMessengerを通して、私どもに連絡をしてきます。ここら辺は、ハローワークさんと大きな違いがあるのは、我々のMessengerにダイレクトに「助けてください」という相談が来るので、その子たちに一人ひとり対応して、通訳さんを入れて聴き取るようにしていました。その数は数千人を超えています。現在も当会では40名以上のベトナム人の若者を保護しています。今は40人ですけれども、これは9月からずっと何サイクルも続いています。就職支援ができた子たちはもう200人以上です。あとは帰国支援だったり、家を失っていない子においては、遠隔で新しい管理団体を紹介したり、ハローワークを紹介したり、派遣会社を紹介したりということで、数々の遠隔での支援もやってきました。
 では、なぜ「ともいき支援会」にはこれだけの相談が集まるかということです。1つ目の大きなポイントとしては、国の行政の方々にはちょっとできないかもしれないのですが、やはりSNSのMessengerを通してダイレクトに相談が来るということです。彼らたちは、例えば暴力を振るわれていたりだとか、パワハラを受けたり、いろいろなことをやっていたという会社では、機構に相談しようにも、ハローワークに相談しようにも、シムカードを持っていないので、昼間に電話することができないのです。電話ができないということは、国の支援にも結果的にはつながらないのです。だけれども、彼らはシムカードがなくても、ワイファイのある環境では、フェイスブックのMessengerを通して、あとはラインやメールで我々に連絡してくる子も中にはいます。そういうワイファイがある所では、我々にMessengerで「助けてください」、「今こういう状況です」、「家がありません」、「食べるものがありません」、「お金がありません」、「東京に行くにも交通費がありません」と、リアルな声が私どものMessengerには届きます。その結果、たくさんのベトナム人の子を支援することになりました。
先ほども資料にありましたとおり、特にこれだけコロナでいろいろな支援策、法務省のほうも在留資格等々で出してもらっております。しかし、彼らは、この資料に出されている内容は何一つ分かっていない子たちのほうが多いです。私が支援していてすごく感じるのは、この在留資格の変更とともに、助けられる子たちというのがたくさんいたのにもかからず、管理団体さんは、結果、新しい措置が出たのを知らずして帰国させたりという、志半ばにして、彼らを強制帰国に追い込んでいる形の管理団体もおります。そういういろいろな私の中でのフラストレーションを抱えながら、なるべくなら、私どもに連絡のあったベトナムの若者たちには、まず住む所を提供し、食べることも提供し、なるべく早く、スピーディーに仕事をマッチングするようお手伝いを心掛けてきました。
 そこでとても大事なのは、優秀な通訳を入れて、彼らたちに何が起こったのか、何が背景にあるのかというのを丁寧に聴き取ります。また、それが1人の通訳だけではなくて、そこを2人、3人と替えることによって、初日に来たときの相談と、3日目に来たときの相談と、やはり精神的に状況が変わることによって、言っていることが大分変わってきたり、食い違うところもあるので、そこをきれいに整理しながら、周りの管理団体さんに相談したりとか、入管に相談したりとか、警察に相談したりだとか、行政の方々との連携を取りながら、彼らを放置してしまうと犯罪につながってしまいますので、犯罪防止の予防のためにも、彼らをきちっと保護をして、きちっとした新しい会社に支援するということを、とても大事にしています。
また、コロナで職を失った子たちが、ビザが短期滞在になった子がオーバーステイで在留資格がまだ戻っていなかった子たちや、仮放免の子たちが、やはり保険証がないために、病気になっても病院にかかれないというケースがたくさんありました。この間もたまたまうちで保護していた子が、2階から転落をしてしまい、保険のない中で東京の病院で手術をしてもらい、また自費になってしまうので、その辺を病院側に呑んでもらうというような交渉をこちらでするように、この半年間心掛けて支援してまいりました。
 あとは、コロナで、7月になりまして、短期滞在で28時間の働けるビザをもらった子たちからたくさん連絡が来ています。週28時間働けるビザをもらい、3か月間というビザの中で、やはり受け入れてくれる企業さんが本当に少ないのです。そこに厚生労働省の方々と、ハローワークの方々と話合いをしながら、なるべくなら彼らたちが就職につながるような支援をしていくように、私も今心掛けて、彼らたちを支援しております。10分ということだったので、コロナ禍の、ともいき支援会が今現在やっている支援の報告をさせていただきました。どうもありがとうございます。
○山川座長 吉水様、大変ありがとうございました。それでは続きまして、ゴーウェル株式会社代表取締役社長の松田秀和様から御説明をお願いいたします。
○ゴーウェル株式会社代表取締役社長松田氏 ゴーウェル株式会社の松田と申します。本日はよろしくお願いいたします。私どもの会社は、東南アジアの言語と人材に非常に強い会社です。一民間企業としまして、このコロナ禍、1年間取り組んだ事例を一部御紹介させていただけたらと思っております。参考にしていただければ幸いです。
 まず、皆様はいろいろなデータのほうは既に御存じでいらっしゃいます。非常に貴重な大事なデータだと思いますが、実際の解雇であったり、再就職に関する個別のケーススダディも、私どもは多数持っておりますので、一部、御紹介させていただければと思っています。
 今、6名の事例を出しておりますが、上から在留資格としては、「技人国」が3つ、4番目が「身分系」、5番目が「留学」、最後が「技人国」の方々となっております。その中で、2番目のミャンマー人女性と5番目のベトナム人男性に関して、少し御説明をさせていただきます。
 まず、2番目のミャンマー人女性ですが、もともと理系のIT人材でして、不動産会社のIT部門を担っておりました。ただ、このコロナ禍でどうしても国内外国人の賃貸の需要が減ってしまったことで、不動産会社から、日本語が下手だという理由で解雇されてしまいました。理系なので日本語が下手なのは当たり前なのです。実際は、これも聞いてみるとひどい話で、「会社都合」ではなく「自己都合」で退職したとレ点を入れさせて解雇している。外国人なので情報弱者で分からないのです。よくある事例なのですが、そういった事例がリアルにありました。
 当然、私どもは無料で相談に乗っておりますので、彼女にしっかりとその日本のルールの説明をして、企業様には、会社都合で辞めたということにしてほしいという交渉をさせていただきました。この問題はNHKに取材をしていただき、密着した5分ぐらいの尺の映像も作っていただきました。このお陰で、日本全国の企業様から「こんな人材であれば採用したい」と反響が大きくて、無事、東京のBTOの会社に今月内定が決まっております。
 次に、5番目のベトナム人留学生の方です。大学生でして、卒業を控えていて、卒業したけれども、結局、在留資格が切れるので帰国を考えていた、就職ができないと。ただ、先ほどの話でもたくさんありましたが、入管のほうでいろいろな特例措置を出してくださっておりました。そこが、やはり彼らには伝わっていなかったのです。ここをどうこうというのは今の私の議論にはないのですが、ただ、ゴーウェルタウンという私どもの場所に来て、「あっ、特定活動に変えることができるんだ」と、一旦変えて、3か月猶予期限を設けて、その間に就職活動をして就職できたというケースもあります。
 いろいろなネガティブ・ポジティブなケーススタディがあると思いますが、ここには大変なところから成功したという事例を6例出させていただきましたので、またお時間があるときに御覧いただければと思います。
 次です。こちらは、私どもの今の銀座のほうに本社の営業部隊、そして6丁目のほうに外国人の方が集まる外国人カフェ、この2つで外国人の対応をしております。本社の法人営業部の問合せの、コロナ前、コロナ禍の比較をざっとまとめさせていただきました。見てのとおり、実際はかなり細かいのですが、2019年の所では、宿泊・インバウンド系が60%の問合せでした。毎年ものすごい数の問合せが来ていたのですが、2020年3月ぐらいから雲行きが非常に怪しくなってきまして、宿泊・インバウンド関係のサービスに関してはほぼ消失いたしました。6割から約1割ほどまでに減っております。青と水色の所です。逆に、ITとか機械エンジニア系の案件は増えてきているのが、このコロナ前とコロナ禍の大きな違いかと思っております。
 当然、これも分解するといろいろあるのですが、宿泊も私どもが扱っている、この右側のピラミッドの、留学生で日本語を勉強していてこれから技人国に上がる方、若しくは技人国で既に就職をされていて転職を余儀なくされている方々の中での、宿泊・サービスが消失している現象です。当然、宿泊も、ベットメイクのアルバイトであったり、技能実習というのは少しずつ増えていると思っております。というのが大きな問合せの、環境の違いかと思っております。
 次です。「ゴーウェルタウン銀座」という外国人向けの就職カフェを、2020年5月、緊急事態宣言の真っただ中でオープンしております。こちらに関して少し御紹介をさせてください。
 フェーズ1、2、3、4と、この1年間を時系列にまとめておりますが、その前にフェーズ0がありまして、なぜ、このような活動をNPOではない民間企業、営利企業である我々が始めたかといいますと、4つあります。
 1番目は、実は私自身の個人的なことになるのですが、20代から世界中50か国を回りまして、東南アジア、タイ、シンガポール、ミャンマーに自分でビジネスを作って、10年間ほど過ごしておりました。当然、その間に200名ほどの雇用は生んでいたのですが、様々な政治的なリスク、いろいろな危機に直面したものですから、このコロナの情報を聞いていると、ちょっと大変なことになるのではないかと、これをスピード感をもってできるのは民間しかないのではないかということで、私どもがスタートさせていただきました。
 2番目です。私どもはもともとバックヤードとしまして、10年前に机1つから創業して、東南アジア語の通訳・翻訳事業をやっておりまして、7,000社ほどの企業のあらゆる人材であったり、越境関係、国際関係のサポートをしております。ですが、外国人関係だと、通訳・翻訳というのは、世の中が変わると一番最初にお問合せがくる部分なのですが、2020年3月ぐらいからはちょっとおかしいぞというような案件が非常に多くなってきたものですから、ゴーウェルタウンのオープンに至ったと。
 3番目、これはちょっとマクロな話ですが、せっかく外国人の方々が日本を目指して、日本が好きで来てくれていて、日本語を勉強しているという流れを止めたくなかったのです。母国語の口込みであったり、評価というのは、一気に1日で変わるのです。ここを変えたくないというのがありまして、あえて開かせていただきました。
 4番目です。うちのメンバーには、ここをやり切る能力のある、やり切る志のあるメンバーが非常に多かったというのがありまして、フェーズ0で3月の末に決断をして、5月の頭にはオープンをしたというのが、外国人向け就職カフェのゴーウェルタウンです。数字は来店者数の推移を書いておりますが、コンスタントにお越しいただいておりまして、2020年11月頃は1,600名ほど、20日の稼働で1,600名ですので、1日約80名ぐらいの方が困って助けを求めて来ているという状況でした。
 フェーズ1、2、3、4と書いていますが、フェーズ1に関しては正に救済時期でした。5月、6月、7月辺りです。国の施策で給付金が出て、在留資格に関しても本当にすごいスピード感で変えていただいて感謝しているのですが、そこを伝えられていない、なかなか伝わっていない。そこを私どもが伝えていったというのが第1フェーズだと思います。
 フェーズ2で、孤独対策です。やはり日本で外国人が住む寂しさというのはものすごいものがありまして、これはコロナ禍で更に掛け算になっていると感じたものですから、これは宗教であったり、国籍ごとであったりとか、これも当然、対面、Zoom、チャット、アプリ、全てを使って孤独対策、エンゲージメントを作っておりました。
 フェーズ3で、やっと就職の支援です。これは企業の就職求人も増えてきたというのもあるのですが、10月,11月、12月辺りから就職相談をやっていました。民間ですので、就職が決まると売上げにつながるというのもありますので、ここもしっかり同時進行でやっていかなければならないところで、フェーズ3をやっています。フェーズ1、2は完全に持出しのポランティアでやっておりました。
 そして、今後のフェーズ4の未来の話ですが、ここに関しては、当然、日本全国に散らばっていっていますので、外国人の方たちの定着支援も当然ですし、企業様方のマインド・セットもしていかなければいけない。外国人の方に対してどう接するのか、更に上をいくと、どう活用していくのか、どうグローバル化していくのか、そういったところを我々から発信していくのが使命かと思ってやっております。
 先ほど申し上げた、「救済」から「孤独対策」のフェーズはこのようなイメージです。ここはちょっと割愛させていただきます。かなりいろいろな方々が集まっています。
 「就職支援」に関しましては、毎週5件ぐらいの就職関係のイベントをやっております。やはりコロナの緊急事態宣言ですので、ちょっと今はサークルというよりも就職というお題目に合わせて集めています。先ほど申し上げましたが、私どもはアジア言語と人材と両方強い会社ですので、実はこのぐらいの集客は、各国籍、全部分かれさせてでも集めることができるというのが特徴かと思っております。
 あとは、主な出身国ですが、東南アジア、東アジア、南アジアがどうしても技人国留学生、その就職というビジネス領域にかかってきますと、この辺りがメインターゲットになってくると思います。
 次に属性ですが、ハローワーク様と大分構成が違うと思いますが、在留資格に関しては、留学と技人国でかなりの割合を占めております。ただ、当然、留学といっても本当に細分化されていて、私どもはこれをかなり分けています。留学の中でも10個ぐらいに分けているのですが、国費留学、私費留学で、置かれている環境が全然違いますし、文系、理系でも就職は全く違います。そして、専門学校の方だと専門性を生かさないと就職できませんし、日本語学校の方ですと、現地高卒で日本語学校に来ても、イレギュラーを抜いて、実はほとんどのケースで日本では就職できないのです。ただ、母国大学を出て日本語学校を出ていると就職ができる。そういったところまで、年齢も含めて、かなり細かくセグメントをして対応をさせていただいております。
 大変申し訳ないのですが、銀座でやっていますので、技能実習の方々がなかなか集まりにくい環境ですので、日本語能力は高めの方が多いです。ただ、やれる領域は各社で全然違うと思いますので、私どもはまずここをしっかりと取って、就職が決められる仕組みを作っていきたいと思っております。国籍別に言うとベトナムが圧倒的に多いという印象です。
 あと、外国人のコミュニティです。やはり対面で会わなければ孤独は解決できないというのは分かっているのですが、アプリのオープンを決めてから1か月で全て開発を終わりまして、かなり多くの会員の方がいらっしゃいます。これに外国人のこの国籍のこういった方々に、「いつでも集まれるのだよ」と常にアプリで発信することで、実際にオフラインもしくはオンラインで参加できる、これが今非常に外国人の若い子たちには大事なのかと思っております。こういったこともやっております。
 これは私どものビジネスモデルなのですが、やはり民間でございますので、外国人のメリット、当社のメリット、そしてここを使ってくださる企業のメリット、これを全てマッチングさせて初めて持続可能なのかなと思っております。特に3番の企業のメリットですが、採用だけではなくて、海外への展開/販路拡大/越境EC、これはコロナ禍でものすごく増えてきています。特に越境ECです。これは外国人の方が担うと、本当に加速度的にうまくいく確率が高まるのです。商品開発の、これが売れるのか売れないのかという調査のところから、実際、彼らが手を動かすところから商談から全てなのですが、このようなところで活用できる企業様を、しっかり営業して集めるという取組をやっております。
 最後ですが、これを私ども一民間でやっていても、やはり遅々として進まないと思っておりますので、2019年から1年半ほどかけまして、日本全国の地方銀行と業務提携を開始いたしました。今15行と業務提携しておりまして、恐らく今年度中には20数行いくと思うのですが、地方には地方の大きな課題がありまして、少子高齢化は東京どころではないです。高卒の方も大卒の方も残らないとよく聞いています。せっかく東京に優秀な学生がいるわけですから、地銀と組んで、そういった地方の企業に外国人の優秀な方を入れていく、そして企業はどうしていいか分からないので、それをどうやっていくかというところまで、しっかりお話合いをしながら進めているというのが、私どもの現在の取組みです。
 厚労省様を含め、皆様方とは、本当に私もせっかく頂いたチャンスですので、ここは互いに領域が違うので、民間で一番外国人を集められる会社として、是非ともこれを機に御協力をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。
○山川座長 松田様、大変ありがとうございました。皆様から大変有益な御説明を頂きました。それでは質疑に移りたいと思います。委員の皆様方から御意見を頂戴する時間は別途設けたいと思いますので、まず、これまで頂きました御説明につきまして、委員の皆様から御質問がありましたらお願いしたいと思います。オンライン参加の方は「手を挙げる」ボタンをクリックした上でお願いいたします。それでは、画面に出ている、天瀬構成員お願いいたします。
○天瀬構成員 ありがとうございます。ともいきの吉水さんに御質問させていただきたいのですが、ベトナムの方を中心に支援の活動をされているということで、大変有意義な支援をされているとお話を伺いしましたけれども、その前の事務局の課長からのお話でも、ベトナムの方が、経済活動が多いにもかかわらずハローワークになかなか来られないというようなお話があったかと思います。吉水さんのほうからも、やはりSNSを通じてダイレクトに、ともいきさんのほうに支援を求めるというようなお話だったかと思うのですが、途中に電話のシムカードですか、そういうものがないのも1つの要因ではないのかというお話もあったのですが、ハローワークにベトナムの方々が行って就職支援、ほかの国の方々と比較しても、どうも相対的にベトナムの方がハローワークに行くことが比較的少ないようにお話をお伺いしたのですけれども、その辺の理由はどの辺にあるとお考えでしょうか。
○山川座長 それでは吉水さん、いかがでしょうか。どうぞ。
○吉水氏 私が支援しているメインは技能実習生と留学生になるのですけれども、技能実習生の子たちというのは、まずハローワークの存在を多分知らない方のほうが多いのではないかと受け止めています。また、技能実習生の彼らたちは、向こうで高校や大学を卒業してくる子たちが多いのですが、短期間で日本語を学んで日本に来た結果、そこの劣悪な環境で働かされて、次の職に移らなければいけないときに、今は彼らたちの救いの場がハローワークというよりも、ベトナム人のコミュニティはSNSを中心として国内では動いていますので、やはり、そこにハローワークさんが参入して何か対応できるような場所を作らない限り、そこに結び付かないような気はしています。
○山川座長 ありがとうございました。それでは九門委員、お願いします。
○九門構成員 ありがとうございます。愛伝舎の坂本様へ質問です。本日は有意義なお話をありがとうございました。ブラジル人の方々への就労支援の状況がよく分かりました。1点お伺いしたいのは、コロナ禍でブラジル人の方々が新しい職を探したり、転職することも必要になると思いますが、その場合、仕事についての学び直しも必要になると思います。外国人の方々への職業訓練や仕事の学び直しについては、どういった政策的支援が必要だと考えられているかを教えていただけますか。
○山川座長 では坂本さん、いかがでしょうか。
○坂本氏 すみません。三重県の教育委員会の事業で、キャリアサポート事業というのをやらせてもらっているのですけれども、今年3年目になりますが、外国人の高校生たち、三重県は日本語の指導の必要な生徒の高校進学が97%で、かなり高いのです。その子たちの高校から、今度は進学や就職の支援を私たちも一緒に今は進めさせていただいていて、その中で、派遣の仕事と直接雇用と間接雇用の違いを理解していなくて、学校が正規雇用の仕事を紹介しても、派遣の仕事に行ってしまう生徒が多いというのが1つのテーマです。それでキャリアサポートをやらせてもらっているのですけれども、その活動をやっていく中で、生徒だけではなく保護者の大人が派遣の仕事と正規雇用の直接雇用の違いを理解していないというのがよく分かりました。
 ブラジルで派遣会社の求人を見てきて働いているので、日本で、自分たちは派遣の間接雇用で、日本人の人たちがずっと働ける正規雇用で働いていて、社会保障や生涯賃金が違うということは誰も教えていないので、大人も誰も知らなかったということが、高校生の支援をやっていて分かったのです。
 リーマンのときに一気にみんな失業したのですが、コロナの前は、特に私たち地域は自動車産業の盛んな所なので、トヨタやホンダの車のモデルチェンジが2019年はすごく多かったので、仕事もすごくあって、時給も1,300円とか1,500円とか結構高くなっていたので、みんな収入が多くなっていたのです。なので、別に直接雇用で働いて、15万円ぐらいの手取りから積み上げていくということをしなくても、工場で派遣でバーンと働くほうがいいというので、誰もそのことが不安定な仕事だと思わないでずっとこの数年はいっていたような感じがします。
 今回のコロナで、またリーマンのときのように収入が減ったり、政府の支援金が入っていたので、バーンと切られることはなかったけれども、でも収入は確実にみんな減ったのです。クビにはならなかったけれど、勤務日数が減ったということでは収入が減ったので、ここのところ収入が上がっていた分、家を買ってローンが増えたり、子供の教育費が増えていたというようなところで、生活設計がガラガラと変わってしまったなという感じになっています。
 私たちのアプローチとしては、ブラジルの商業施設に行って、私たちが作った資料で、直接働き方の紹介をするようなパンフレットを配ったり、自分たちでオンラインの日本語教室をやっている生徒に向けて働き方での正規雇用・非正規雇用の違い、社会保障や生涯賃金の違いを伝えるようなことをやっています。去年の12月に就労、会社のマッチングをやったのですが、そういうものをやっていくときにも、なぜ直接雇用に行ったほうがいいかというのを、申し込んできた人たちにレクチャーしているという感じです。
 今度、5月29日にもう一回、トラック協会の会場を使ってやらせてもらうのですけれども、それに向けては、働き方の条件の違いとか、ちゃんと履歴書を先に用意するとか、きちんとした服装で行こうとか、そんなところからやろうと今は準備を進めています。なので、大人の人にもちゃんと学んでもらう場は必要だと思うのですが、そういうことを行政の人たちに提案すると、「ああ、そうですか」と言って、行政のほうが結構そういうセミナーとかをやってくれるのです。それはいいなと思うのですが、そういうのをやっていることを私たちが全然知らないで、昨日も健康相談会とかをやったのですが、私たちがそういうものに一緒に関わらせてもらうと、その後のフォローができるのですけれど、行政だけで完結しようとすると、その後のフォローというものにはつながらないと感じますので、もう少し地域のプレイヤーをうまく使ってほしいなというのは、この15年やってきて、今思っているところです。
○九門構成員 ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、新田委員どうぞ。
○新田構成員 経団連の新田でございます。今回から参加させていただきますので、よろしくお願いいたします。私からは先ほどの資料並びに、今、お三方からありましたヒアリングの内容につきまして、感想とコメントをさせていただければと思います。
 日本で生活している外国人の方々を支援し、特に就労を確保すべく、ハローワークや、今御説明いただいた方々のような団体・企業が様々な支援策を講じていることが、まさに外国人の労働者の方々とその家族の支えになっていると受け止めたところです。
 コロナ禍の影響は、産業、業種、企業等によって大きく異なる中で、外国人労働者への影響というものは、在留資格等によっても、今後ますます違ってくるのではないかと考えています。
 コロナ禍が長引いていることで、ハローワークによる外国人求職者への支援の重要性は一層高まっていると考えております。したがいまして、データの分析等を行い、その結果を踏まえながら、ニーズに応じた、丁寧な支援を、引き続きお願いしたいところです。
 加えて、今後の取組については、各省庁、自治体のみならず、やはり地域社会全体が協働することで、より効果的な支援を行っていくことが望ましいのではないかと考えているところです。旗振り役となるハローワークにおけるマンパワーの確保など、体制の整備や強化も必要になってくると思っております。
 さらに、先ほどの御説明の中で御指摘がありましたが、資料2の参考の部分に、様々な支援策が掲げられており、それがなかなか必要とする方に届いていないという実態の御紹介がございました。外国人、日本人を問わず、必要としている人に必要な情報が届くように周知徹底していくことが非常に重要になってくると思っております。
 こうした点に鑑みれば、特に外国人の方に向けた情報発信には、それぞれに適したネットワークを通じて行うべきではないかと思っています。こうした観点から、本日御説明いただいた方々のような、ネットワークを持ったコミュニティ、あるいはキーパーソンを通じた連携を、更に強化しながら取り組んでいくことが非常に重要ではないかと思います。感想めいたことですが、私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。では友原委員、お願いします。
○友原構成員 友原でございます。私からは、お三方に質問させていただければと思います。特にハローワークなどとの連携に関する卒直な御意見をお伺いしたいと思っています。というのも、今日の議題が外国人失業者等に対するハローワークの対応ということで、例えばこのような工夫があったらもっとハローワークが利用しやすいとか、若しくは、ハローワークは実は選択肢の1つに過ぎなくて、ほかの支援の重要度のほうが高いとか、そういう卒直な御意見をお伺いできればと思いました。特に今日お伺いしたお話の中では、例えば在留資格の変更が管理団体等に届いていない、そういった御意見もありましたので、こういった支援の重要度が実は高いのだというような、卒直な御意見をお伺いできればと思っております。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、まず坂本さんからお願いできますか。
○坂本氏 1つ、昨日、鈴鹿市で精神科と内科から感染症の先生に来てもらって、心と体の健康相談会をやったのですが、そこに名古屋入管の方たちも視察に来てくださったのです。そのときに、次回は9月にやるのですが、「入管の方にも来ていただいて、ビザの相談会をしていただきたいですね」という話はしたのです。ふだんは外国人の人たちがハローワークに行くというのはありだと思うのですけれども、地方版のフレスクを各地でやれたらいいなと思って、昨日はそんな話をしました。
 昨日の様子をこんな感じで、NHKで放送された様子を先ほど厚労省の方に送ったのですが、地域のNPOとかがいろいろなイベントをやっているのですけれども、そういう所に一緒に共同してもらうと、私たちも、この人はどういう仕事を探しているかとか、何かいろいろ分かって把握している人たちもあるので、昨日は健康相談、今は結構メンタルが弱っていて、精神科医のお医者さんが2人来てくれたので、その人たちの所にたくさん来たりとか、昨日は30人ぐらい来てくれたのですが、中には仕事を探している人もいたので、就職の相談もできる、ビザの相談もできる、心の相談もできるみたいなことを、四谷のフレスクみたいなことを各地のNPOを使ってやってもらえるといいなという話で、昨日も入管の方は来てくれたので、「じゃあ、9月に来てくださいね」という話で、そのことは三重県の労働局、ハローワークの人にも声を掛けてみようかという話は昨日していたのです。
 なので、やはり業者の所に行くというのもそうだけれど、昨日は三重県庁の人と入管の方にも来てもらったのですが、そういう民間がやっている場所を見に来てもらうことで、やはり共同していけるネットワークが張れるというのは、今はすごく取り組んでいることなので、四谷のフレスクは全国各地にはできないので、何かそのように地方でそういうことをどんどん行政の皆さんがNPOと連携してやっていくみたいな、昨日は実は鈴鹿でやったのですが、滋賀県と岐阜県の方もいらしたのです。滋賀とか、ほかのNPOが少ない地域、岐阜はあるのですけれども、余りうまく支援の所に行き届かない人たちが、ネットを見て、鈴鹿の外国人コミュニティにどんどん連絡が来るのです。最近、自殺問題がすごく多くなってしまって、昨日もその話はお医者さんたちにも相談したりというのがあって、なので、私たちがやっている場所に行政の皆さんに来てもらって、外国人がリアルに今何に困っているかというのをそこで把握してもらうと、また次のフィードバックになってくるなと思っていて、そういうのを何かNPOと一緒にやっていただけたら有り難いなと思いました。
○山川座長 ありがとうございます。では吉水さん、お願いいたします。
○吉水氏 今、NPOともいき支援会でもハローワークさんと連携を取らせていただいて、実際に支援のお手伝いをさせてもらったりしているのですが、やはり卒直に私が思うことは、今、ハローワークさんへつなげられる相談者というのは、やはり技人国のビザを持っている子たちなのです。あとは留学生のアルバイト、そこまではハローワークさんが「新宿のほうに来なさい」という案内ができるのです。けれども実際に私どもの相談で多いのは、8割は技能実習生で、それも劣悪な環境の職場から逃げ出してきた子だったり、仕事が減ってしまって、そこにいてもしょうがないからと言って逃げ出してきた子たちとか、あとは会社が倒産したりというような、そういう背景を持った子が、やはりハローワークさんに行って相談するというのはなかなか無理がある。
 ワンクッション、私どものNPOに相談があって、我々もハローワークさんにつなげたいと思っているのですけれども、今度はハローワークさんの手続が割と面倒くさい。やはり誰か支援者が付いていかないと駄目だということと、あとはベトナム語の通訳がいなければ、その場では成立しない相談者ばかりということがありました。
 卒直に、本当に私がいつも思っているのは、なるべくならもう少しスムーズな簡単な手続でハローワークさんにできる環境だったり、あとはハローワークさん自体のスタッフが、今彼らが持っている在留資格のことで分からない方のほうが割と多いのです。それで中に一人ひとり付いていってあげて説明するということを何回もしたのですけれども、私自身も多忙の中でそれをやっていると、ちょっとこれは無理だなと正直感じました。今、ハローワークさんに御紹介とかでつなげられるのは、やはり技人国でビザを持っている子で職を失ってしまった子、あとは留学生のアルバイトの子たち限定というのが現状です。
 もう1つ踏み込んでお願いしたいことは、今はたくさんの特例措置でいろいろ在留資格の緩和がされているのですけれども、今年に入って在留特別許可という「在特」が出ました。在特の28時間で就労できるという子たちは、現在うちで40人保護している中で28人がそのビザです。その28人の子たちが、週28時間のアルバイトを探す、若しくはお尻が3か月だとか、飛行機が飛ぶのにメールが来たら帰国しなければ駄目だというような子たちばかりで、やはり受け入れる企業さんも、その子たちを受け入れにくいのです。だから彼らは、ハローワークさんに相談するよりも、どうしてもこちらのNPOに相談したほうが、すぐにスムーズに新しい就労先の支援をしてもらえるということは、やはり彼らも知っているので、難しい手続をもう少し簡略化してほしいということと、できれば28時間で働いている子たちが働けるような窓口を作ってもらいたいのです。
 その子たちをいち早く支援していかないと、せっかく潜っていて出国命令を持っていた子たちが地上に出てきて働けるようになったので、帰国できる間だけでも、ちゃんとした就労先を見付けてあげることが、今、彼らにとってすごく必要な支援だと思っています。それは本来ならば私がハローワークさんとやりたい連携です。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。では松田さん、お願いいたします。
○松田氏 まず、こうすれば利用するということに対して御回答させていただきたいと思います。今、吉水さんがおっしゃったとおり、技能実習ということであると、そもそも日本国内で転職はできないわけですから、まずは行く意味がないというところはあるかと思います。
 そして2番目の身分系であれば、当然、今までどおり、もっともっと拡散されることが一番いいと思います。やはりどんな仕事でも日本人同様にできるわけですので、ハローワークを使うメリットというのは非常に高いと思っております。
 3番目ですが、恐らく課題はここだと思うのですけれども、留学そして技人国の、しかも若手です。この方々にターゲットを絞るのであれば、やはり当然ですけれども、認知への活動を更にしっかりやらなければいけないのかなと思います。具体的には、多言語での発信はやられていると思うのですけれども、距離感を縮めるということは私は非常に大事だなと思っています。就職以外の、我々であれば日本語のサークル、英語のサークル、お茶のサークル、いろいろなものをやって間口を下げているのですよね。やはり日本の企業、日本の行政に、外国人が日本語を100%でないという形でいくというのは当然ハードルが高いです。怖いというイメージもあると思います。ですので、そこのハードルを少し下げてあげるというのは技人国、留学生、若手にとっては、とても大事かなと思っています。
 あとは、そもそも求人の内容として、やはり身分系にはお強いと思うのですけれども、技人国というのはかなり細かく細分化されますので、せっかく良い人材でも入れない仕事内容というのはたくさんあるのです。私もちょっと詳しくないのですけれども、そこをどこまで見極められているかというのも、彼らもやはりアルバイトの最中、仕事の最中、時間を割いて来ます、交通費も割いて来ますので、そこはしっかりやってあげるべきだと思います。
 最後ですけれども、当然ですが、そもそもどうやったら行くのかという調査は、我々が決めることではなくて外国人が決めることですので、そのターゲットの外国人の方からの調査をしっかり大量にやったほうがいいと思います。以上でございます。
○山川座長 ありがとうございました。
○坂本氏 すみません。
○山川座長 どうぞ、坂本さん。
○坂本氏 追加で言わせてください。実際に日系人の方の就職で、ハローワークに一緒に付いていって、外国人の人たちが働けそうな所をかなり探したのです。だけれども、日本語ができないとそもそも就職できない。ハローワークに来ているのは、国籍は別に問わないけれども日本語ができる人の仕事がハローワークにあるわけで、日本語がそんなに上手でない人は、結局ハローワークで仕事を見付けることはできないので、派遣で仕事を探すしかないということになるので、まずは本当に日本語能力が一番大きいと思います。それをちょっと追加させてください。
○山川座長 ありがとうございました。では佐久間委員、お願いします。
○佐久間構成員 先生、日商の杉崎様のほうが先に手が挙がっているのですが、私からでよろしいのでしょうか。
○山川座長 そうでしたか。すみません、杉崎構成員、失礼いたしました。
○杉崎構成員 日本商工会議所の杉崎でございます。貴重なお話、ありがとうございます。坂本様、吉水様にお伺いしたいのは、非常に貴重で大事な活動をされているのがよく理解できたのですが、スタッフの方は何名いらっしゃるのかということと、活動に要する資金はどのように工面されているのでしょうかということです。
 あと、松田様にお伺いできればと思いますのが、外国人の方に対して、恐らく情報をかなりストックされているかと思うのですが、何人分ぐらいの外国人の方に必要な情報をお届けになっているのでしょうか。一方で、求人したい企業はどのように集めているのか、加えて教えていただけるならば、どういった企業のニーズが高いのかという点について、お教えいただければと思います。お願いいたします。
○山川座長 それでは坂本さん、お願いいたします。
○坂本氏 今年度は5人でやっています。そのうち2人は、三重県児童相談所の外国人家庭支援事業というのが始まったので、それに週2回ずつ行ってもらうというような働き方なので、この事業がずっと続くかどうかは分からないなというところで入ってもらっています。
 もう2人は、普段は地元の短大で留学生の支援とか、日本語の指導をするフルタイムの仕事をしていて、土日とか、夜間の時間を使って資料を作ったり、昨日のようなイベントがあるときにスタッフとして一緒にやってもらうというようなやり方です。
 私自身も、愛伝舎をずっとやってきて、愛伝舎だけの仕事で収入を得るというのは、16年のうち半分いかないぐらいは愛伝舎で、あとはほかの仕事と掛け持ちしながらやったという感じで、今は教育委員会の仕事、今年は児童相談所の仕事とか、三井物産の寄附金とか、いろいろな予算がある中で、今年はこのことがやれるというような感じでずっとしてきました。
 例えば何か1年の事業が入ったから、やってほしいというような話をすると、では、その次の年には仕事があるかどうか分からないということに、若い人をそんなリスキーな仕事に誘えない。外国人の人たちは非常に派遣で不安定だと言うけれども、その人たちの支援活動をしているNPOはもっと不安定だというのが、私たちが皆で言っている話です。昨日も、「こういうボランティアとか支援活動をしているのは女性ばかりだけれども、なぜですか」と若い学生に聞かれましたが、これはお金にならないから、共感力があって、それでも何とかしたいという人が集まると女の人ばかりになるのだというのが、愛伝舎だけではなくて、今のこのNPOの実態なのです。
 自分は何とか思いをもってやってきたというのがあって、それでいいのだけれども、これから本当に外国人の受入れをしっかりとやっていかなければいけないというときに、若い人たちがこういうことをちゃんとやってもらえるような仕組みを作らなければいけないというのが、NPOを創業してきた人たち、私たちの年代の次の役割だと思っていて、お金のことを言うのはちょっとためらう感じもあったのですが、本当にきちんとやらなければいけないなと。ビジネスとしてきちんとやれるのがいいのだろうけれども、日系人の人たちは派遣の仕事が多いので、そういう所に紹介しても、私たちがそのことで仕事にはならないし、子供の学校の相談とか、フードバンクにつなげるというようなことでは、なかなか収入にはしにくいので、ボランティアベースになってしまいがちになってしまうというところです。
○山川座長 ありがとうございました。吉水さんはいかがでしょうか。
○吉水氏 質問の内容はスタッフの人数ということで、ともいき支援会は現在常勤で3名のスタッフと、青年部に大学生が7名で手伝っております。また、日本語の教師は3名おります。あと、顧問として神戸大学の斉藤先生や、フリージャーナリストの澤田さんという技能実習生を専門に書いていらっしゃる方と一緒に、計14名で支援をしております。
 その活動費については、昨年度は東京都からの助成金がありました。それと、NPOにされる寄附とで活動しております。
○山川座長 ありがとうございました。松田さん、お願いします。
○松田氏 私への質問は、何人分の情報をストックしているのかということと、求人情報のニーズをどうキャッチしているのかということだと思います。
 まず、情報のストックということで言いますと、先ほどのゴーウェルタウンカフェのアプリの会員であったり、来られている方、あと就職のデータベースを入れると約1万人、アクティブでFace to Faceで会っているのが1万人ほどおりまして、日々約50人ほど増えているという状況です。その内容は留学生、技人国、残りの2割が身分系というイメージです。
 どうやってそれを集めているかと申しますと、Web、SNS、アプリです。これは我々日本人もアジア語ができるメンバーがそろっておりまして、私自身もタイ語、ミャンマー語ができますので、普通に自由自在にアジア語で集客をしているということです。当然なのですが、口コミというのはものすごく大事です。すごく小さなコミュニティで、日本に住んでいるその国籍の方々のコミュニティで情報入手していますので、そこに対しての口コミというのは、とても注意深く見ております。それで、1万人前後のアクティブな情報、その方々に対していろいろな情報を御提供しております。
 2番目の御質問の求人情報をどのような形でという部分ですが、まず、業種としては、今、コロナで変わりまして、IT、機械、エンジニア系が多いですし、以前は宿泊、販売、コールセンターが多かったのですが、言語を使う仕事はかなり消失してしまったのかなというイメージです。
求人の実際の企業様のお問合せに関しては、ネット経由、Web経由でのお問合せは非常に多いです。あと、提携先の企業様、例えば先ほど申し上げた地銀様は15行と業務提携していますので、地銀様とタッグをして講演、言葉ができる外国人の方々がいかに地方で活躍して、地方から世界にという形の講演を毎月何回もやっておりまして、集客は地銀様が100社とか集めて、私が1時間、2時間しゃべらせていただくということで、お客様との接点を増やすということはよくやっております。
○山川座長 ありがとうございました。佐久間委員、お願いします。
○佐久間構成員 佐久間でございます。改めてよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。
 先ほど、友原先生から御質問いただきまして、お答えになった内容と重複するところもあるのですが、ハローワーク、今回、四谷にできたフレスクが地方に展開していって、それが皆さん方のNPO法人とか、あるいは株式会社を運営されている組織もあると思うのですが、いわゆるソーシャルビジネス的に実施していただくということの連携というのは非常に大切だと思います。しかしながら、そうは言いながらも、その“つなぎ”が難しいところだと思うのです。これは皆様方も、ブラジルの方々、あるいは在留資格で言えば技能実習とか、定住者とか、ある程度対象になる方が絞られていたり、あるいは三重県とか、支援対象の範囲が絞られてくるのかなと思います。
 そういう中で、まずNPO法人の両団体さんについては、こういう「つながり」をもつときに、全国的にNPO法人とか、横連携といってもしにくい、それをどういう仕組みを作っていけばいいか、具体的なやり方というか、教えていただければと思っています。
 それから、皆さん方のNPO法人の団体では、認定特定非営利活動法人となり、寄附金などの税制の控除になる、こういう団体になっているかとか、認定や予算の算定は厳しいようですので、その辺について、認定を受けていれば経緯を教えていただきたいと思います。
 あと、ゴーウェルの松田社長様については、これは株式会社組織で運営されているということになると、どうしても手数料収入というか、株式会社ですから手数料ではないかもしれませんが、職業の紹介を実施するということで、そこで職業紹介の助言とかを届出制等のもとで実際にやっているのかと思います。もし、これで単に就職の駆け込み寺のような形で外国人の方が来られた場合、そういう方たちというのを就職にうまく結び付けていけるのかどうか、法的な問題もあったり、あるいは逃げてきたとか、そういう御相談もあるかもしれません。そういう場合の方々への対応については、どのようにされているのか教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○山川座長 NPO間の連携等の御質問でしたが、坂本さんはいかがでしょうか。
○坂本氏 NPO間の連携ということでは、一昨年、名古屋入管の前藤原局長から声を掛けていただいて、東海地区のNPO団体のネットワークを構築しませんかと言っていただきました。それで、愛知、岐阜、三重のNPOと支援団体で、「外国人支援・多文化共生ネット」というネットワークを作りました。今年の3月26日にも、名古屋入管で活動報告会をやらせていただきました。そこで各活動を通じて、いろいろな課題をお話させてもらって、入管庁を通じていろいろな提言をさせてもらうというのを2年間やってきました。
 最初は12団体で始まったのですが、今年度は昨日に医療相談を一緒にやってもらった、東京のMAIKENさんという医療者の方々のNPOも入っていただいて、あと鈴鹿のブラジル人の人たちも入ってくれたので、今年度は14団体で始まります。
 共同事業として、MAIKENさんの「からだと心の相談会」というのを岐阜、愛知、三重のNPOで一緒にやったりとか、WAMの事業で子育てサロンのことも一緒にやったり、そういう連携をしていて、情報の共有とかノウハウを共有して、分からないことは聞いていっています。今年度はトヨタ財団の事業をやらせてもらうことになって、外国人の子供の言葉とか発達とか、いろいろな課題が小学校に入ってから分かります。この子は日本語ができないのか、発達障害とか何かの課題があるのか、特別支援学級の生徒が日本人の子供よりも割合が高いわけですが、そういう子供が分かるのは小学校に入ってからです。だけれども、子供たちの生きていくベース、学習能力、知的なもの、愛着、コミュニケーション能力などは就学前に基礎ができるわけで、そのことについての調査と研究を、外国人支援・多文化共生ネットがトヨタ財団の事業でやらせてもらうことになりました。それを大学の研究者の先生たちにまとめていただいて、調査が終わった段階で、入管を通じて国に課題を報告させてもらいたいと思っています。
 そういうネットワークを今作ることによって、組織として、点と点でやっていたものが面になり、その組織によって、国に対してきちんと向き合っていただけるようなことができて、私たちも行政の皆さんと、ただやっていないことに批判的なことというのではなくて、提言して共同していくということのベースができたと思っております。
 あと、認定NPOについては目指していて、去年、給付金が支給された段階で、給付金の一部をNPOに寄附してくださいと皆さんに声を掛けて、たくさんの方に寄附を頂きましたが、認定NPOの100人には届かず、半分ぐらいの40何人なのです。そのまま、もっと皆に声を掛けようかと思ったら、コロナ禍で寄附を求めている大学生とか、困窮している学生のあしなが育英会などを見ると、認定NPOになるのに寄附をお願いするのはどうかと思って、100人を目指すのを途中でやめてしまったというのが現状です。本当は、そこはやっていきたいと思っているものです。
○山川座長 ありがとうございました。吉水さん、お願いいたします。
○吉水氏 NPOとの連携についてですが、現在、うちのNPOは、神戸にあるNPOとの連携はしております。ただ、そこはうちの顧問である神戸大学の斉藤先生が顧問をしているので、そことの連携はうまくしています。
 ただ、私どものNPOは昨年に認定を頂き、立ち上がったばかりのNPOなので、またほかのNPOとの連携が、コロナ禍に突入して、自分の所のNPOを支援するので精一杯だったので、今後、いろいろなNPOとの連携は考えていきたいと思っています。
 もう1点の認定の件ですが、先ほども申し上げたとおり、昨年に認証を頂いたばかりなので、認定NPOを目指して、昨年度と今年度もきちんとやっていきたいとは思っております。
○山川座長 ありがとうございました。松田さん、お願いします。
○松田氏 私どもは株式会社ですので、御指摘いただいたとおり営利企業です。社会的活動と経済的活動を両立させるのが本当に難しくて、本当に頑張らせていただいております。
 まず1点としては、人材紹介料の手数料で頂いているケースは多いです。あと、場所代です。とにかく大量の外国人の留学生、技人国が日々集まっているものですから、その方々を見て、自社である程度外国人の採用、活用は慣れているのでという、紹介ではなくてスポンサーとして入っていただくという企業様も多くございます。そのような形で収入を得ているというケースがあります。
 また一方で、この2、3年でしょうか、とても急激に、国内に住む外国人の生活インフラを作っていこうと、これは大手から中小まで含めてですが、そのような企業様がすごく増えています。そういった企業様の調査や商品開発の場として、外国人の子たちを我々は無料で全て提供していますので、企業様には「無料でアンケートに答えてよ」という形でやっております。それで、企業様からスポンサー費を頂いているということで、何とか成り立たせております。
 あと、駆け込み寺として来たときの対応ですが、まず見極める。我々は就職カフェでありますし、ものすごい方々が来るので、全ての方々を助けるわけにはいきません。まず、就職できる可能性があるかというところで一旦線引きをします。これは在留資格的に無理な方もいますので、できる方に関しては、例えば日本語が難しいのであれば、日本語を無料で教えてあげる、就活の仕方が分からないのであれば、就活を無料で教えてあげる、ビジネスマナーも教えてあげるといったことを無償で提供して、就職までつなげるという活動をボランティアでやっています。
 一方で、2つ目ですが、アルバイトを28時間、たくさんしてしまって、これは我々もサポートのしようがないとか、いろいろなステータスの方が来るのですが、そういった方に関してはしっかりと説明をして、居場所としては使っていただくものの、就職までつながる可能性は低いということはしっかりとお伝えしているという状況です。
○佐久間構成員 ありがとうございました。
○山川座長 それでは、最後になりますが冨高委員、お願いいたします。
○冨高構成員 お時間がないようですので、議論に関する部分についても併せて発言してもよろしいでしょうか。それとも、質問のみのほうがよろしいでしょうか。
○山川座長 皆さんから御意見を頂く時間は、一言だけでもお願いしたいと思っておりますが、まず御質問のほうをお願いします。
○冨高構成員 はい。質問を簡潔にしたいと思います。松田様にお伺いしたいのですが、コロナの影響事例の所でも、「多国籍コミュニティの形成」というのをいろいろな所に記載されているのですが、例えばサークルは恐らく対面のものが多いと思うのですが、そこから連携して、アプリ上で多国籍コミュニティを作っていらっしゃるのかとか、その辺りについてお伺いしたいと思います。
 それと、こういったコミュニティを作るというようなところで、国の施策として活用できそうだというような、こういったことをすればもう少し情報がきちんと下りるのではないかというようなことが何かあれば、お知らせいただきたいと思います。
○山川座長 松田さん、いかがでしょうか。
○松田氏 国籍ごとも多国籍も、あとアジアが好きな日本人の方もたくさんいますので、そこも含めたコミュニティというのを日々作っております。
 アプリ上で何ができているのかと言いますと、恥ずかしながら、会員に対して、オンラインとオフラインでのイベントを告知するというところまでできております。ただ、オンラインのプラットフォームの中で会員同士がやり取りをしてというところまでは、まだ開発が至っていないという状況です。私ども、そこまで大きな会社ではないので、なかなか開発が進んでいないところでございます。
 先ほどもちょっと申し上げたのですが、やはりほぼ全員が孤独を感じていますので、そのアプリを見ていつでも、「今日はこんなイベントがあるのか、明日はこんなイベントがあるのか、寂しいときは行けばいいな」ということがあるだけでも、彼らにとってはとてもうれしいことなので、そこまではしっかりと開発させてもらったというところです。
 あと、国との活用というところに関しては、今は全くノーアイディアで申し訳ありません。ただ、この会員の方々はオンライン、オフラインでいますので、このような方々を何かしらの形で、ハローワーク様におつなぎできれば、お役に立てるのかなと思っております。
○冨高構成員 ありがとうございました。
○山川座長 それでは、残り時間が10分ぐらいなのですが、意見交換に移りたいと思います。事務局資料2の8ページ、先ほども少し御紹介した部分です。3点ありますが、時間が非常に押しておりますので、今日のヒアリングとの関係、また、事務局に先ほど説明していただいたことの関係では、資料2の8ページの(2)ハローワークの取組への評価、それから、(3)今後求められる取組について、また、今日のヒアリングで有益なお話を頂きましたので、それも含めて、今後求められる取組について、御意見を一言ずつお伺いできればと思います。冨高構成員、どうぞ。
○冨高構成員 前段で御紹介いただいた厚労省の対応も含めて、御説明ありがとうございます。我々も前回申し上げたように、外国人に特化した労働相談を実施し、コロナ禍における在留資格、労働環境等、相談内容は多岐にわたりました。在留資格によって職種が制限されている場合、資格外の業務に就くという選択はできないということが、外国人のマッチングの場合は難しいと思いますが、そのうえで特定のハローワークで蓄積されているノウハウを、全国展開していくことや、研修を実施していくということは非常に評価しておりますので、是非そこは水平展開していただきたいと思いますし、先ほどフレスクの話もございましたが、行政のマンパワーは少ないけれども、外国人の労働者は比較的多い所もあると思いますので、そういったところでも、支援がきちんとできるような仕組みをNPOなどと連携してできるのではないかと、今日のお話を聞いて思ったところです。
 それから、前回も申し上げたのですが、資料2の3ページの所です。今のコロナ禍において、在留資格の取扱いの変遷を丁寧に書いていただいております。このコロナ禍においては、雇用を守るために柔軟な取組というのは重要だと思っております。一方で、そもそも先ほども皆さんからあったように、在留資格はかなり複雑になっているところもございます。現在の柔軟な取り組みというものは暫定的な対応として、仕組み自体は、本来の主旨を外さず筋を通していく必要があると考えております。また、暫定対応については地域のハローワークの方にも周知・理解していただくことが重要と考えています。簡単ですが以上です。
○山川座長 ありがとうございました。ほかの委員の方々、御意見等はございますでしょうか。九門構成員、どうぞ。
○九門構成員 ハローワークでの外国人労働者支援については、支援の経験やノウハウについて、これから地域横断的に展開される点は意義があると思いました。今後は在留資格や暗黙知的なノウハウも含めて、他の職員に教えられる仕組み作りや人材育成が必要かと思いました。
 今後の取組について、1点コメントをお話します。今日のお話を伺って、改めてハローワークとNPOや民間企業の連携の必要性があると思いました。一方、実施している政策や取組をどう周知していくかが重要です。
 留学生に対しては、全国規模で活動している留学生の学生団体経由で、政府の支援策や取組についての公的情報を発信していくことが必要です。こうした団体の方々とお話すると、留学生同士での情報交換は活発ですが、そこに日本政府の政策やコロナの対応策などの公的情報が入ってきにくいということです。こうした団体とも協力する形で、情報発信されることも検討頂ければと思いました。
○山川座長 ありがとうございました。是川構成員、お願いします。
○是川構成員 皆さんの御指摘等で、私の言いたいことは大体カバーされているのですが、今日の議論を踏まえて感想めいたお話をしますと、情報発信は非常に重要だなと。今回の事務局側からの資料で、OECD等の文献レビューがありましたが、OECD関係のほかの加盟国の担当者などの話を聞いていると、きめ細やかな対応という点において日本は決して劣っているわけではなくて、むしろミクロなレベルでかなりきめ細やかにやろうという意識は強いのかなと思います。
 一方で発信の面に関しては、若干ほかのOECD加盟国と比べてもやや柔軟性を欠く部分もあるのかなと思うのは、1点として、ほかの加盟国を見ていると、SNS等にかなり戦略的にというか、直接そこをターゲットにして発信していくようなことをしているようです。ですので、単に広報というような一般的なものだけではなくて、国籍やグループごとに影響力のあるネットワーク、あるいは影響力のある人物の例えばTwitterのアカウントをフォローして、その直後に間違ったような情報が入ったらすぐに訂正のツイートを入れて、「こういう政策がありますよ」という形で周知していったり、かなりその辺はきめ細やかにやっているようですので、そういったような一歩踏み込んだコミュニケーションというのもあるのかなと思います。
 もう1点目としましては、ノウハウがあちこちにばらばらになっているという状況は、どうしてもあると思いますので、そういったものを蓄積するという点については、既に必要性は認識されているかと思いますが、あとハローワークでも、今後、外国人雇用に関して専門性のある職員を、ある程度意識してキャリアパスの中で養成していくとか、そういったような取組も必要なのかなと思います。そういった人材が育成されれば、そういった人材を通じてまたノウハウが伝わっていくという部分もあると思いますので、そういったことが必要なのではないかというように感じた次第です。
○山川座長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 今日は、お三方から大変有益なお話を頂きました。委員の方々の御質問、御意見でも出ていたところですが、私個人としては、3つぐらい印象に残ったことがございます。
 1つは、連携とかネットワークの重要性ということで、その中で、例えば職業安定機関がどのような役割を果たすかという点が、今後の検討課題として出てくるかと思います。
 2点目は、今、是川構成員からもお話がありました情報の発信と共有ということで、情報の発信と共有の方法ということと、どのような情報を発信するかという内容の両面の課題があるのかなと感じたところです。
 3つ目は、キャリア開発とかキャリア設計、あるいは能力開発のようなことで、日本語等のお話もありましたが、啓発も含めたキャリアの設計あるいは発展のための支援等の必要が出てくるのではないか。この3つは非常に印象深く伺ったところです。お話を頂きました坂本様、吉水様、松田様には、大変ありがとうございました。感謝を申し上げたいと思います。
 また、本日のお話、あるいは御意見等につきましては、事務局で整理していただきまして、今後の進め方や検討に反映していただくよう、御検討をお願いいたします。
 最後になりますが、その他として事務局からお願いします。
○外国人雇用対策課長 本日は御多忙の中御議論を頂き、本当にありがとうございました。また、御多忙の中、ヒアリングに御参加いただいた皆様におかれましても、改めて御礼を申し上げます。
 次回、第3回の検討会は、4月27日(火)の13時から15時を予定しております。詳細については、別途御連絡させていただきます。
○山川座長 それでは、本日の検討会は閉会といたします。皆様、大変ありがとうございました。