第1回 日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価に関する検討会 議事録

日時

 令和3年4月7日(水)  13:00~

場所

 中央合同庁舎第5号館16階厚生労働省労働基準局第1会議室

議事

○植松補佐 本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第1回日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価に関する検討会」を開催いたします。本日は初回ですので、まず委員の皆様を御紹介させていただきます。五十音順で御紹介させていただきます。
 まず、慶應義塾大学名誉教授の大前委員でございます。続きまして、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)教授の小野委員でございます。続きまして、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長の平林委員でございます。続きまして、静岡県立大学薬学部薬学科(衛生分子毒性学分野)教授の吉成委員でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は全委員に御出席いただいておりますけれども、小野委員、平林委員及び吉成委員はリモートでの御参加となっております。
 続きまして、事務局側も御紹介させていただきます。田中安全衛生部長、木口化学物質対策課長、中村化学物質対策課課長補佐、内田化学物質評価室長、そして私、化学物質評価室の室長補佐の植松です。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず初めに開会に当たりまして、田中安全衛生部長より御挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。
○田中部長 安全衛生部長の田中でございます。今日は、皆様には検討会の委員をお引き受けいただきましてどうもありがとうございます。大変お忙しい中にお集まりいただくというようなことになりまして、重ねて御礼を申し上げる次第でございます。
 今回、厚生労働省からお願いをする形で、日本バイオアッセイ研究センターで化学物質の有害性についての実験を行っていただいているわけですけれども、その実験について試験の手順書からの逸脱行為があったことが、残念ながら発覚した次第です。
 その試験、実験の結果については規制に活用するというようなことになっていますので、今回の事案が規制にどう影響を与えるかということについて、厚生労働省としてもしっかり洗い直す必要があるということで、この検討会を立ち上げるに至った次第です。いろいろ難しい点があると思いますけれども、委員の皆様方、どうぞよろしく御検討をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○植松補佐 続きまして、議事に入る前に座長の選出を行いたいと思います。開催要綱では、座長は互選により選出とされており、ほかの委員の皆様から御了承いただけるようでありましたら、大前委員に座長をお願いしたいと思いますが、皆様いかがでしょうか。
○平林委員 賛成です。
○吉成委員 結構です。お願いいたします。
〇小野委員 賛成です。
○植松補佐 ありがとうございます。それでは大前先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○大前座長 大前です。
○植松補佐 それでは、今後の議事進行については大前座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大前座長 大前でございます。この検討会は結構重要な検討会だと思っています。数回の予定ですけれども、御審議に御協力をどうぞよろしくお願いします。
 今日は3つ議題がありますけれども、まず最初の議題の「議事運営」について、事務局から説明をお願いします。
○植松補佐 資料1を御覧ください。本検討会の開催要綱ということで付けております。まず、目的になりますが、本検討会は、日本バイオアッセイ研究センターにおける試験方法に関する手順書からの逸脱行為が判明したことを受けて、当該行為が化学物質規制に及ぼす影響等について検討するために設置されたものです。2番目に書いてありますけれども、検討事項としては、本事案が試験結果に与える影響の評価、本事案が国のリスク評価に与えた影響の評価、そして再試験の要否等、今後の対応に関する提言等を検討していただくということになります。
 本検討会の運営に関して、幾つかの留意点を御説明します。まず、会議の開催日時、開催場所については事前に公表します。また、会議資料及び議事録については、基本的に公開とさせていただきます。ただし、議事内容により非公開にする必要があると座長が認める場合は、非公開である旨及びその理由を明示するとともに、議事要旨を作成して公表することとしたいと考えています。以上です。
○大前座長 ありがとうございました。ただいまの本検討会の事務運営に関わる事務局からの説明ですけれども、先生方から何か御質問がありますか。よろしいですか。
○吉成委員 ございません。
○平林委員 ありません。
○大前座長 ありがとうございます。それでは今の事務局の説明のように取扱いをさせていただきます。それでは2番目の議題の「バイオの逸脱行為事業について」、事務局から説明をよろしくお願いします。
○植松補佐 それでは、資料2を御覧ください。こちらは3月5日に報道発表したものの資料になりますけれども、今回の事案についての御説明です。1番目ですが、これまでに確認された事実を御紹介します。
 日本バイオアッセイ研究センターで行われている動物試験は幾つかあります。その中で、2-クロロベンゾイルクロリドという化学物質に対する直接投与試験を担当する職員の1名が、試験方法に関する手順書から逸脱して、一部に弱った動物が発生した場合に、その動物に本来投与すべき規定量の化学物質を投与しなかったにもかかわらず、投与したように記録していたということが、機構の調査により確認されたということです。また、当該職員が他の試験についても同様の行為を行ったということを言っています。また元職員1名も同様の行為を行ったということで、いずれもこうした行為を行った期間や試験、内容を現時点において特定するに至っていないという状況です。
 こういった状況を受けて、2ページ目を御覧ください。3番目の所ですけれども厚生労働省としては、2つの検討会を設置して、この事案に対応してまいりたいと考えています。1つ目が、調査委員会の設置です。弁護士の方や毒性試験の専門家の方で構成する調査委員会を設置して、事案の解明をしていくというものです。もう1つが、この本検討会ですけれども、化学物質の有害性調査等の専門家の皆様で構成される検討会で、個別の試験に与えた影響、若しくは化学物質規制に与えた影響というものを評価していただくということで、2つの検討会を設置して対応するということでございます。
 この別添資料1に、直接投与試験のリストを添付しています。今回行われた行為が、直接投与試験という化学物質を直接動物に投与する試験であったことから、それに類する同様の試験方法であった化学物質のリストをこちらに付けています。
 続きまして、資料3を御覧ください。こちらは今回の事案が発生した日本バイオアッセイ研究センターの概要です。まず沿革ですけれども、労働者が取り扱う化学物質の有害性調査を実施するために、昭和57年に厚生労働省が神奈川県の秦野市にこの日本バイオアッセイ研究センターを設立しました。設立後は、中央労働災害防止協会に国から試験実施を委託していたのですけれども、平成28年4月に独立行政法人労働者健康安全機構に移管したというところです。
 バイオで行われている試験の種類を下に示していますが、いろいろな種類の試験があります。バイオにおいては厚生労働省が指定する化学物質について、厚生労働省が指定した方法で化学物質の発がん性を調べるためのラットやマウスを用いた試験を実施してきました。
 また、バイオでは他省庁や民間企業からも生殖発生毒性試験や反復投与試験等の動物試験を受託しているほか、微生物やバイオ細胞を用いた発がん性予測試験を実施しているという状況です。
 続きまして、資料4を御覧ください。バイオで、これまで実施されてきた試験の種類を網羅的に整理しています。この表は動物を用いる試験、動物を用いない試験、その他の分析ということでカテゴリー分けをしています。特に動物を用いる試験という所で、化学物質の投与方法により少し色分けをしています。
 投与方法は大きく2つに分かれていて、自由投与方法と強制投与方法との2つに分かれるので、まず強制投与に色をつけています。特に今回の事案で、強制経口投与試験で今回の行為が行われたということで、更に少し色を変えて整理しています。
 続きまして、資料5を御覧ください。こちらはバイオが実施する発がん性試験と、労働安全衛生法における化学物質規制との関係ということで整理した図です。バイオの試験結果は、職場における化学物質のリスク評価の対象物質の選定や、その結果に基づく規制措置の検討に活用してきました。この図の下のほうにリスク評価というものがあるのですけれども、そのリスク評価をする前の段階で対象物質を選定するために、こういった試験が行われてきていて、ラットの肝臓の中期発がん性試験であるとか、遺伝子改変動物による発がん性試験というものをまず行って、それらの試験で陽性と判断されるような物質に関しては、今度は長期の発がん性試験というものに移行します。
 長期発がん性試験の結果、発がん性ありと判断されるような場合には、先ほどのリスク評価の対象物質とするということであります。ちなみに、リスク評価の対象物質は、ほかにも海外の動物実験や疫学データ等で発がん性が確認された等をを根拠として選定されます。
 リスク評価の結果、詳細リスク評価によってリスクが高いと判定された化学物質については、健康障害防止措置を検討するという流れです。最終的にはリスクが高いものという判断がなされれば、「特定化学物質障害予防規則等の特別規則」の対象ということになるということです。
 1枚めくっていただいて、リスク評価の仕組みということで少し詳しく書いてありますけれども、まずリスク評価の対象物質を選定するに当たり、先ほどの発がん性試験などが活用されていたり、その専門家の御知見や御意見から対象物質を選定することが出発点になっています。それから、リスク評価は、「ばく露評価」と「有害性評価」の2つに大きく分かれます。実際の事業場で、ばく露濃度を測定をして、ばく露実態を評価する「ばく露評価」と、文献調査等から有害性を評価する「有害性評価」と、その2つを合わせてリスク評価と呼んでいます。そういった形で、化学物質のリスクを評価するという仕組みでやってきたところです。その先に健康障害防止対策を検討するというのは、先ほど御説明さし上げたとおりです。以上がその事案の御説明です。
○大前座長 どうもありがとうございました。今、説明いただきました資料の内容等について、先生方から何か御意見あるいは御質問いかがでしょうか。
○吉成委員 吉成ですけれども、1点、質問してもよろしいですか。別添資料1でリストを御説明いただいたのですけれども、その前の経緯という所に、元職員も関わったみたいなことが書かれていたのですが、この別添資料1というのは、関与されていた方2人共が関わったリストなのか、それとも発端となった最初の方が関わった物質のリストで、ほかにも物質リストが存在するかもしれないということなのでしょうか。どちらなのか教えていただければと思います。
○植松補佐 今回の端緒となった試験が直接投与による中期発がん性試験ということでしたので、厚生労働省からバイオに委託してきた直接投与による中期発がん性試験をリストアップしています。このリストにある試験には、今回の事案の行為者が関わっていたことが確認されていますが、実際に、今回の行為者が関わったすべての試験のリスト、及び前任の方が携わった試験のリストは、今後、もう1つの調査検討会で整理されるということになります。
○吉成委員 分かりました。では、もっと可能性のある物質のリスト、あるいは試験のリストというのは増えてくるかもしれないという理解でよろしいですね。
○植松補佐 可能性としてはそういうことです。
○吉成委員 ありがとうございました。以上です。
○大前座長 そのほか、いかがでしょうか。
○小野委員 小野です。今の説明とはちょっと違う話なのですけれども、これらの試験の報告書というのは公開されているものなのですか。
○植松補佐 結果の報告書ということですか。
○小野委員 そうです。
○大前座長 いかがでしょう。
○植松補佐 結果の報告書は委託事業ということですので、国に報告があった後、国会の図書館に登録されるので、それはどなたでも閲覧できるような形にはなっています。
○内田室長 すみません、補足させていただきます。例えば、別添資料1にある試験については、私どものリスク評価に関連する試験として実施していて、リスク評価の検討会で、試験の結果について評価を頂いている形になっていますので、その検討会の資料として、HP等で公開している状況です。
○小野委員 分かりました、ありがとうございます。
○大前座長 今のに関連して、他省庁や民間企業からもやっていますね。民間企業の分もオープンになっているのですか。
○植松補佐 民間企業の分は、その民間企業の情報なので、それは我々が公開しているものではありません。
○大前座長 公開されていない。公的なものは公開されているけれども、民間企業等から依頼されたものについては公開されていないということですね。
○植松補佐 はい、そのとおりです。
○大前座長 そのほか、いかがでしょうか。今回は直接経口投与の話ですけれども、気管内投与も結構あると思うのですけれども、今回、こちらはエラーがなかったということでよろしいですか。気管内投与の場合もあり得るのですか。
○植松補佐 まだ調査している状況なので、調査の過程で事実が明らかになってくるかと思います。
○大前座長 いずれにしてもまだ全体像が見えていないという、そういう状況ということですね。そのほかは。
○小野委員 もう1点よろしいですか。ちょっとリスク評価の流れについて教えてほしいのですけれども、この肝中期発がん試験とか、遺伝子改変動物による試験を実施することになる物質は、その前にvitroの遺伝毒性の試験が実施されているものなのですか。
○植松補佐 実は、この肝中期発がん性試験や中期の発がん性試験を導入したのは、平成25年度からしていますけれども、発がん性のスクリーニングの効率化という観点で、既に遺伝毒性などの情報が分かっているもの、変異原性試験で強い変異原性があるものとか、そういったものをセレクションし、それらを対象に、こうした肝中期とか中期発がん性試験を実施しているという形になっています。
○小野委員 なっているということは、これらの試験が実施されている物質は基本的に遺伝毒性、vitroですけれども遺伝毒性が陽性のものと考えていいのですね。
○植松補佐 そうですね。もう1つ、Bhas42形質転換試験で陽性になったものが対象になっています。
○小野委員 分かりました。ありがとうございます。
○大前座長 そのほかに御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見御質問がないようでしたら、今日の最後の議題の今後の方針、検討の進め方について事務局から御説明をよろしくお願いします。
○植松補佐 それでは、資料6を御覧ください。こちらの規制影響評価検討会、本検討会における今後の検討の進め方の(案)ということでまとめております。1つ目です。今後の検討の進め方ということで、スケジュール的なものをお示ししています。まず本日、第1回の検討会を開催し、事案の御理解を頂くことと、今後の検討の進め方について検討していただくことです。逸脱行為事案検討会というのは、もう1つ別に設置したと先ほど御説明しましたが、その検討会を指しています。そちらの検討会において、今後、逸脱行為事案に関する事実関係の調査等を実施していくということです。もう1つの検討会での調査を踏まえて、5月以降、こちらの検討会において、以下について検討していただくということになります。繰り返しにはなりますが、今回の行為が試験結果に与えた影響の評価であるとか、リスク評価に与えた影響の評価とかを本検討会で御検討いただくということです。6月中をめどに、本検討会の取りまとめということを考えております。
 2番目に、具体的な検討方法です。まず、(1)逸脱行為が試験結果に与える影響の評価ということです。今回、逸脱行為事案検討会における逸脱行為事案に関する事実関係の調査を踏まえて、逸脱行為が確認された、又は逸脱行為が行われたおそれがあるとされた試験がある場合には、逸脱行為の内容に応じて当該試験結果の妥当性を検証していただくということです。対象となる試験結果について、ここで整理しております。ここで列記しているのは、職場における労働者の健康障害防止に係る規制ということで、我々、労働安全衛生行政の規制に関わった試験を、この検討会では検討の対象ということで整理しています。具体的にはここに列挙しておりますが、リスク評価の対象物質の選定とか、リスク評価における有害性評価のために引用している試験結果であるとか、それから、特定化学物質障害予防規則等の特別規則による規制を講じる根拠として引用している試験結果、若しくは、がん原性指針の対象物質を選定する根拠として引用している試験結果について、この検討会で検討をいただくことということになります。
 具体的な検証方法です。試験結果の妥当性の検証に関わる把握項目としては、逸脱行為の実施者、内容、手法、頻度、期間等になります。例えば、逸脱行為事案に係る公表資料において今回の逸脱行為が確認された試験として挙げている試験を例に取ってみると、試験および化学物質の名前とか、逸脱行為の内容、逸脱行為の手法ということで、現時点で分かっている部分をここに例示しておりますが、こういった具体的な内容のほかに、逸脱行為の実施者であるとか、頻度であるとか、期間などの情報を今後、調査していくということです。こういった情報を基に、逸脱行為が確認された、又は、逸脱行為が行われたおそれがあるとされた試験について、試験結果の妥当性等を検証いただくことを想定しております。
 本検討会で検討いただきたい事項としてマル3に書いてあります。逸脱行為事案検討会における今後の調査では、試験結果の妥当性の検証に関わる把握項目として、今、申し上げたような項目について重点的に調査をしていただくことになっておりますが、今後、こちらの検討会において、こういった逸脱行為が試験結果に与える影響を評価するに当たって、逸脱行為に関して、さらに追加して調査すべき、重点的に見ておく必要があると考えられるような内容がもしあれば、御助言いただきたいと考えております。
 (2)逸脱行為がリスク評価に与えた影響の評価です。逸脱行為が試験結果に与える影響を評価していただいて、その評価を踏まえて、逸脱行為による試験結果の信頼性が損なわれている、又は損なわれているおそれがあるとされた試験がある場合には、当該試験に係る化学物質について、職場における労働者の健康障害に係るリスク評価の結果や、それに基づく特定化学物質障害予防規則等の特別規則、その他の当該化学物質に係る指導事項等への影響を検証していただくということです。
 (3)再試験の要否等今後の対応策の検討です。これらリスク評価に与えた影響の評価を踏まえて、逸脱行為によってリスク評価や特別規則等への規制への影響がある又は、そのおそれがあるとされた化学物質がある場合には、当該化学物質について、逸脱行為により試験結果の信頼性が損なわれている又は損なわれているおそれがあるとされた試験に関して、国が再試験を実施すべきかを判断していただくと共に、再試験の試験結果を見据えた対応について検討していただくことです。また、再試験の判断とは別に、必要に応じて、労働者の健康障害防止措置の観点から、対応すべき事項についても検討いただければと考えております。資料の説明は以上になります。
○大前座長 ありがとうございました。確認しますと、まず、行為事案に関する検討会の結果、逸脱行為が行われた若しくは可能性がある試験について、その物質について、こちらの委員会へ持って来て評価をしていくということですね。
○植松補佐 はい。
○大前座長 それで、2の(1)の結果として、この逸脱行為はまずいという結果になった場合は、リスク評価に与えた影響、若しくは再試験等々のほうに順番に進んでいくという、そういう3段階でやっていくイメージですね。
○植松補佐 そのようなイメージです。
○大前座長 ということだそうですが、先生方から、御意見、御質問いかがですか。1番の所に、先ほど出ましたが、今ここに、頻度等々幾つか項目が載っておりますが、これ以外に、試験の妥当性を評価検証するのに必要な情報を先生方から挙げていただけると有り難いのですが。今、書いてあるのは、実施者、頻度、期間等ということですが、その他に、こういう情報があると検証に役に立つという項目があれば、先生方から提案していただきたいのですが、いかがでしょうか。もう1つの質問は、ここの当該試験結果が妥当かどうかということは、我々が、当該試験の結果を見なくては分からないことになります。その物質の、先ほどおっしゃった報告書なり何なりを、回覧なり何なりして、それで、妥当かどうかということを、そのような作業に入るということですね。結構、皆さん大変な作業になりますが、物質の数も多いとちょっとひどいことになりますが、いかがでしょうか。
○平林委員 平林です。
○大前座長 どうぞ。
○平林委員 先ほどの吉成先生の御質問とも関係するのですが、作業量がどのくらいになるのかということで、最大限、何試験ぐらいが対象になるかということはざっくり分かりますでしょうか。
○大前座長 いかがでしょうか。
○植松補佐 現時点で正確に申し上げることは難しいと考えています。ただ、少なくともバイオで行われた試験全てが対象となるわけではありませんし、例えば、吸入試験など、人為的にデータを書き換える余地がないと考えられるような試験もありますので、今後、調査を進めていく中で本検討会での検討対象となる試験の数は相当に絞り込まれていくと思います。状況は、その都度、先生方に共有させていただきます。
○大前座長 今のところ、未定だそうです。
○平林委員 承知しました。
○大前座長 少なくとも、吸入試験とか、それから経口投与、普通の食事、若しくは飲水による試験に関しては、これはこういうことはあり得ないわけですよね。あるとしたら、強制経口投与、若しくは、ひょっとしたら気管内投与があり得ると。
○植松補佐 そのようなことかと思います。
○大前座長 というような感じです。そのほか、いかがでしょうか。特に、こういう情報があったら検討しやすい、評価しやすいということがあればと思うのですが。
○小野委員 小野です。
○大前座長 どうぞ。
○小野委員 一応、確認をしてほしいこととして。
○大前座長 お願いします。
○小野委員 逸脱行為の内容の説明のときに、弱った動物が発生した場合に投与しなかったという説明をされていたと思うのですが、例えば、一般状態の観察等々で、特に、弱っていないような動物の場合は投与されていると考えてよろしいのかどうかを、頻度とかと絡みますが、少し確認をしていただけたらと思います。
○大前座長 投与したやつをしっかり投与したかという確認をしてほしいと。
○小野委員 はい。
○平林委員 平林です。よろしいですか。
○大前座長 どうぞ。
○平林委員 今の御提案に、追加というか似たようなことなのですが、逸脱行為で、一部に弱った動物が発生したという判断の基準が、彼らなりに一定のものがあったのか、そういったことを何か決めていたのかどうかということも、もし分かるようでしたら聞いていただけると助かると思います。
○大前座長 よろしくお願いします。投与しなかったときの基準ですね。
○小野委員 あと、もう1点です。結局、どの動物に投与していないかという記録は残っていないようなのですが、例えば、1つのグループに20匹以上の動物がいるわけですね、これらの試験だと。そうすると、例えば、あるグループは全部投与しないとか、そういうことはないと思いたいのですが、そういうこともあったのかとか、投与しないといっても、あるグループの1匹だけとか、そういう頻度だったのかという、何かその辺を、覚えている範囲でもいいので、確認をしてほしいと思います。
○大前座長 そうですね、投与頻度は非常に重要ですよね。数十匹中の1匹だったら、まあいいにしても、数十匹中の半分とか言われてしまうとちょっと困りますものね。そこら辺はやはり重要な情報ですね。
○植松補佐 よろしいですか。
○大前座長 どうぞ。
○植松補佐 今回、労働者健康安全機構で調べた中で分かった範囲としましては、今回、判明した逸脱行為が行われた回数は全体の投与回数が約3万5,000回に対して、今回、投与していないのに投与したように記録した回数は延べ50回程度ということで、パーセンテージにすると0.1%程度であるというように聞いております。今後の調査で、この数字がどう動いてくるかということはまだ分からないのですが、現時点で把握している限りにおいては、そういった程度の頻度であったということを御紹介しておきます。
○大前座長 今の話は、2-クロロベンゾイルクロリドの話ですね。
○植松補佐 そうです。
○大前座長 ですね、はい。この物質はそういうことだったそうです。本人の申告によりますと。
○小野委員 そうですか。
○内田室長 補足しますと、今の話は、座長が言われたように、2-クロロベンゾイルクロリドという物質の遺伝子改変動物を用いた発がん性試験なのですが、これについては、何日の、どの動物に投与していないかという、毎回、報告が試験担当者から届けられますが、その報告について、試験責任者が個人的にメモを取っていて、それとの比較という形で、分かった範囲では約50回という形になっております。いずれにしろ、もう少し、今後の調査をする検討会で、より詳しく調べていく形になっておりますので、あくまでも、現時点で把握している状況としては、先ほど申しあげたような状況になっているところです。
○大前座長 そのほか、いかがですか。頻度以外に、何か必要なと言いますか、欲しい情報というのはいかがでしょうか。
○吉成委員 すみません、吉成です。
○大前座長 どうぞ。
○吉成委員 情報ではなくて、ちょっと話が少し逸れてしまうのですが、でも、今回のこの検討会、本委員会で、状況が軽微で、この試験の結果の妥当性は、逸脱行為があったとしても担保できるとなったら、その受託研究と言うのですか、試験の結果は使えるという、この委員会がその試験の可否を判断するという理解でよろしいということですね。ちょっと話が元に戻ってしまうのですが。
○大前座長 いかがでしょうか。そういうことでよろしいですか。この委員会で。
○内田室長 試験の逸脱状況を踏まえて、この検討会でその試験の信頼性が確保されているかどうかを判断いただいて、そこで、信頼性が確保されているということであるのであれば、それに基づく規制などについても、特に変更なしというか、そのままの対応でいいという判断になるかと思いますし、その信頼性が確保されていないということであるのであれば、例えば再試験をすべきとか、そのようなことも含めて、この検討会で御判断いただきたいということです。
○吉成委員 もう一点ですが。
○大前座長 どうぞ。
○吉成委員 この受託試験で、厚労省側に上がってきた報告書という内容を私は承知していないのですが、そこのレベルでは、個体のデータ、個々のデータまで、本当に全データが上がってきているのか、それとも個体データの体重推移等までではないレベルの大雑把な平均値とかしか上がってきていないのか。そういう場合には、項別のデータも関与が疑われる試験については全部、記録が何年前まで遡るのか分からないのですが、全記録がバイオのほうに残っているという理解でよろしいのか、そこら辺はいかがでしょうか。報告書と、実際の試験の個別のデータの保管状況について分かるところがあれば、教えていただきたいのですが、それも含めて調べていただくことでも構わないのですが。
○内田室長 そこは改めて確認はいたしますが、基本的に最終報告書については、全体をまとめて整理したデータが記載されていますので、個々のそれぞれの物質ごとの投与記録の細かいところまでは、最終報告書としては記載されていない状況になります。
 ただし、この施設はGLPの施設でもありますので、基本的に生データも含めてしっかり保管する形になっております。10年以内のものについては、資料を保管する形になっておりますので、保管はされていると思っておりますし、それ以前のものも必要があれば、保管をしているケースもありますので、どこまで保管されているかも含めて、今後の調査、整理の中で確かめていきたいと思っております。
○吉成委員 ありがとうございます。
○大前座長 GLP機関なので、少なくとも10年分はあるはずだから、見ようと思えば全個体のデータは見られるだろうと。そこまで遡ると、すごく大変なことだと思いますが。
○吉成委員 そうですね。
○大前座長 そのほかいかがでしょう。何か情報としてこういうものがあったほうがいいというような項目はございますでしょうか。よろしいですか。もし、また何かあれば、個別に事務局のほうに連絡していただければ、多分また事務局のほうで対応していただけると思いますので、また思いついたらメール等々で連絡をしてください。どうもありがとうございました。
 本日の議題は以上ですけれども、そのほか、先生方からこの検討会につきまして何か御意見、御質問等々、あるいは提案等々があれば頂きたいと思いますが、いかがでしょう。今日話を聞いてみると、結構大変な委員会になる可能性もあるという、気軽に受けたのは間違ったかなという気もしないでもないのですけれども。
○吉成委員 すみません、吉成ですが。
○大前座長 どうぞ。
○吉成委員 どのぐらいの資料を確認しないといけないかということにもなるかもしれませんが。例えば、今4人の委員メンバーになっていますが、さっき個別のデータを恐らく見る必要は出てくることがないとは期待しているというか、とは考えているのですが、そうなったときに、例えば専門家の方に委託して、もう一度試験データを見ていただくみたいなことは可能なのですか。要は、別途に委員が入るといいのですが、資料次第ですか。この4人で全てを判断、データが膨大になったときも、この4人で全てやっていかないといけないということなのか、その辺はいかがですか。
○大前座長 そこのところはいかがでしょうか。
○植松補佐 事務局としてサポートすることは当然ですけれども、余りにデータ量が膨大になるということがあれば、この委員会に委員として参画いただくという形ではないかもしれませんが、データの解析という部分に関しましては、サポートいただけるようなほかの専門家の方にもお願いすることは考えられると思います。
○吉成委員 そう言っていただけると助かります。ありがとうございます。
○大前座長 万が一、そういう場合にはサポートが入るということだそうです。そのほかはいかがですか。よろしゅうございますか。ないようでしたら、事務局から、そのほかに連絡事項はございますか。
○植松補佐 本日も活発に御議論をいただきまして、ありがとうございました。本日頂いた御意見は、もう1つの検討会とも情報共有させていただきたいと思います。本会議につきましては、議題1の所で確認させていただきましたとおり、議事録につきましては、各委員の皆様に御確認いただいた上で、公開とさせていただきたいと思います。また、次回は5月の開催を予定しておりますけれども、日程は後日、改めて御案内させていただきます。以上になります。
○大前座長 ありがとうございました。それでは以上で、本日第1回の検討会は閉会いたします。先生方、どうもありがとうございました。