第一種健康診断特例区域等の検証に関する検討会(第3回)議事録

日時

令和3年3月18日(木)14時00分~

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 14階 ホール14G
(東京都千代田区内幸町1ー3-1)

出席者(五十音順)

【構成員】
・ 荒井 史男
・ 一ノ瀬 正樹《web出席》
・ 岩崎 俊樹 《web出席》
・ 鎌田 七男 《web出席》
・ 木戸 季市
・ 小池 信之
・◎佐々木 康人
・ 柴田 義貞 《web出席》
・ 永山 雄二 《web出席》
・ 増田 善信
・ 山澤 弘実 《web出席》
※ ◎は座長
※ 荒井構成員の「荒」の草冠は、正しくは間が空いている四画草冠

【参考人】
・ 五十嵐 康人(京都大学複合原子力研究所教授)   《web出席》
・ 高宮 幸一(京都大学複合原子力研究所准教授)   《web出席》
・ 藤原 恵(広島赤十字・原爆病院病理診断科部長)   《web出席》
・ 長谷川 友祥(株式会社ニチマイ)   《web出席》
・ 石川 清美(株式会社ニチマイ)   《web出席》
・ 會澤 美智恵(国立広島原爆死没者追悼平和祈念館)    《web出席》

議題

(1)前回の指摘事項について
(2)検証の進捗状況について
(3)その他

議事

議事内容
○山本室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第3回「第一種健康診断特例区域等の検証に関する検討会」を開催いたします。
 構成員及び参考人の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日の出欠について御案内いたします。一ノ瀬構成員、岩崎構成員、鎌田構成員、柴田構成員、永山構成員、山澤構成員は、オンライン参加でございます。また、荒井構成員は遅れての御参加となっております。
 それから、議事(2)に関する参考人としまして、オンラインにて、祈念館における体験記調査の担当者としまして、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館主事の會澤美智恵様、原爆投下時の気象状況等に関する文献等調査の受託者であります株式会社ニチマイの長谷川友祥様及び石川清美様、広島赤十字・原爆病院におけるカルテ調査の担当者としまして、広島赤十字・原爆病院病理診断科部長 藤原恵先生、気象シミュレーション及び土壌調査の担当者としまして、京都大学複合原子力研究所の五十嵐康人先生、及び同研究所の高宮幸一先生に御参加いただいております。
 なお、誠に恐縮ですが、健康局長につきましては、公務の都合により欠席させていただきますので、御了承ください。
 本日の傍聴ですが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、一般及びマスコミの方のいずれも傍聴を行わず、代わりに、会議の模様をYou Tubeによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。
 オンラインでの参加の方にお願いです。
 ビデオカメラはオンにしてください。
 マイクはミュートにしていただき、御発言のときのみマイクをオンにしてください。
 御発言時には、名前をおっしゃった上で御発言ください。
 御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしてください。
 以上、よろしくお願いいたします。
 操作方法等につきまして御不明な点がございましたら、事前にお伝えしております電話番号におかけいただければ御案内いたしますので、いつでもお問い合わせください。
 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでといたします。
 
                  (カメラ退室)
 
○山本室長 それでは、以降の進行は佐々木座長にお願いいたします。
○佐々木座長 皆様、こんにちは。年度末でお忙しい中、御参集くださいまして、ありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 早速ですが、事務局より本日の資料の確認をお願いいたします。
○山本室長 それでは、資料の御確認をお願いいたします。
 座席表、議事次第、資料は1から7まで、枝番を含めまして計12であります。それから、参考資料は、1から6まで、枝番を含めまして計7つございます。第2回までの検討会における資料は、別途、1冊のファイルにまとめて御用意しております。
 資料の不足等ございましたら、議事の途中でも結構ですので、事務局までお声がけください。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。本日は、非常に内容が多くございますので、議事進行に御協力、よろしくお願いいたします。
 議事(1)は「前回の指摘事項について」であります。まず、事務局より資料の御説明をお願いいたします。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
 それでは、資料1-1を御覧いただきたく存じます。「前回の指摘事項について」という表題のパワーポイントでございます。
 4つほど事務局から御報告等させていただきたく存じます。
 1つは、第2回の検討会以降、本検討会までの間に、山澤構成員、増田構成員、岩崎構成員と鎌田構成員から資料の提出がございました。本日、資料1-2から1-4、ないし資料7という形で順次御用意させていただいておりますが、そのうち増田構成員から御指摘いただきました、前回の検討会にも出ておりますが、ABCC(原爆障害調査委員会)の資料が残っていないかという御下問がございました。こちら、厚生労働省から放射線影響研究所にまず照会させていただいて、書庫等精査いただいたところで、本日、参考資料1としておつけしている文書が特定されておりますので、こちら、御報告いたします。
 参考資料1は、こちらに記載の5つの文書が特定されまして、それの仮訳をおつけしているような段階です。中身は御覧いただければと思いますが、いずれの書類からも残留放射能の測定地点が明らかになるような、また測定値が記載されているような書類は、残念ながら特定できておりません。そして、増田構成員からは、土とかといった試料がないかという御下問もありましたが、そちらも見つけられなかったということでございます。
 ABCC自体、米国科学アカデミーが当時設置したものでございますので、後ほど株式会社ニチマイさんから米国公文書館等の報告がございますが、その関連で、米国科学アカデミー資料室というものもアメリカにはあるということでございますので、今後そういった記録がそちらのほうにないかという精査を進めてはどうかというのが事務局からの御提案でございます。
 おめくりいただきまして、2枚目、2つ目の御報告ですが、第2回の検討会で、鎌田構成員から健康影響についてということで17編ほどお示し、及びプレゼンテーションいただきました。質疑応答及び柴田構成員から、この内容について精査をということで御指示をいただきまして、改めて事務局のほうで原著を入手させていただきまして、これにおいては、鎌田構成員の御協力を多大にいただきました。改めてお礼申し上げます。
 そちらの中身を整理したのが表のようになっておりまして、その中で、今回の検討会でやっている、黒い雨を浴びられたという第一種健康診断特例区域の外側の報告が具体的にどれかというものが文献4及び文献12ということで特定できましたので、御報告いたします。それぞれの資料、原著については、参考資料2-1、2-2という形で、後ほど御用意させていただいております。
 簡単に申しますと、文献4は、宇田先生らが聴取した体験談の聴取録でございますが、北西山地域のほうの証言というものが94~115でございますが、115は厳密には証言ではないので、除いております。その中にそういった証言が混在しておりますが、人の健康影響、人に何かあったといった記載としては、やけどというものが見当たっているという状況でございます。
 また、文献12は、広島医療生活協同組合さんの「ピカに灼かれて」黒い雨の町の証言第2集でございますが、拡大要望地域の方々の証言で、実際挙げていただいた中で一番近しいと思われたのは、証言者の御主人の方がこういった状況にあったということを抜き出しております。
 おめくりいただきまして、3枚目が増田構成員から第2回検討会後に、資料1-4としてつけている中で、放射線被曝としきい線量について御質問をいただいております。具体的には、タイトルで読ませていただきますと、内部被曝にはしきい線量があるのか否かという御質問をいただいております。
 この点、事務局としての認識を御報告いたしますと、しきい線量があるかないかということは、被曝態様とは関係なくて、要は外部被曝か内部被曝かということではなくて、対象としている病気・疾患ががんというものであるか、そうでない非がん疾患であるかの違いと私どもは認識しております。前回の資料3-1の15ページから再掲しておりますが、それがこちらの絵に示されている次第でございます。
 内部被曝と外部被曝はどう違うのかという専門家の評価については、おめくりいただいて、4枚目にまとめておりますが、放射性物質による内部被曝についてというのが、日本アイソトープ協会さんの広報誌、2011年10月号でございますが、福島の第一原発の事故後に専門家がこういう評価をしているということをまとめていただいた文書がありましたので、御報告いたします。本日の参考資料3という形でつけております。
 要約の部分の一番上でございますが、それ以外にも多数の疫学の調査結果などがあるのでございますが、ICRPとかがこれまでまとめてきたものにおいて、内部被曝の健康影響というものは、外部被曝と比較して、線量というものをちゃんと評価する必要があるものの、基本的に同じ線量であれば同等と扱ってよい。内部被曝だけを特別に危険視する証拠は見つかっていないということを、専門家のほうでまとめていただいているということでございます。
 最後、おめくりいただきまして、4つ目でございますが、第2回検討会後、山澤・岩崎・増田構成員のお三方から、気象調査及び土壌調査のワーキングに多々御意見をいただいております。お三方の御意見の中には、共通するようなものもございましたので、事務局のほうで、以下、気象シミュレーションについては7つ、土壌調査については2つ、計9つに再整理させていただいております。本日は五十嵐参考人に参加いただいておりますので、これの個別の内容については、後ほど意見交換の過程で御回答をお願いさせていただきたいと思いますが、大きく分けると、今、ワーキングとしてどういうことを考えていらっしゃるのかという6つの質問と、今後進めていくに当たっては、こういうことをしたほうがいいのではないかとか、かなりテクニカルな御提案をいただいております。
 事務局としては、来年度、ワーキングを進めていくに当たりまして、こういったかなり専門性の高いことについては、本検討会の構成員とワーキングの先生方がきちんと意見交換して、意思疎通して進めていくような場を別途設けられないかと考えております。これは、最後、御提案でございます。
 事務局からは、以上となります。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 まず、資料1-1について事務局から説明がありましたけれども、これについて御意見や御質問がありましたら御発言ください。
 まず、鎌田構成員、続いて増田構成員から御発言いただきます。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 広島の鎌田です。
 このように私の報告をまとめてくださったのは有難いのですが、表の下段に「集団内の状況について述べているもの」を、「直接被爆」、「入市被爆」、「上記以外」という区分けをされております。これは法令で言う1条1号の直接被爆のことを意味しており、2段目の入市被爆は2号ということじゃないかと思うのです。そうすると、上記以外というのは何を意味しているのでしょうか。法的に言ったら、17条の第一種、すなわち今回のテーマである健康診断特例区域についてとの意味に取れます。そこに「健康診断特例区域関連」と書いていただけるのでしょうか。そして、なぜ「上記以外」というのを書かれたのでしょうか。2つ質問がありまして、それが1つ目です。
○佐々木座長 それでは、もう一つの御質問を先におっしゃっていただけますか。
○鎌田構成員 2つ目は、「直接被爆」、すなわち1号についての説明として、右側のほうに行きますと、3番、6番、7番、9番、14番、16番というのが書かれておりますが、私は、「直接被爆」について言及はしておらないつもりであります。それなのに、まとめとして直接被爆のほうになっているということで、先ほどの話ともつながるのですが、これは全て「上記以外」というところ、すなわち私が申し上げたいのは、17条、第一種の項目に当たると思っています。
 私の報告した、いわゆる黒い雨地域ということで色分けまでしたのですが、それが「直接被爆」というカテゴリーになぜまとめられたのかということを考えてみますと、私たちは科学的な立場で資料を提供したつもりなのです。ところが、厚労省のほうでは、行政区域で「直接被爆」というカテゴリーに入れてしまったということだと思います。ですから、あくまでも学問的なカテゴリーとして、すなわち「上記以外」を修正した「健康診断特例区域関連」の項目の中に、3番から16番までを、「直接被爆」でなくてそこの欄に入れていただきたいというのが私の趣旨です。
 以上です。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 事務局から。
○丸山課長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。
 そういう意味では、正確な表現になっていないということを御指摘だと理解しているのですが、今回分類させていただいた直接被爆、入市被爆は、鎌田構成員が御指摘のように、いわゆる法律上の1号、被爆地域にいらっしゃった方に関する記載かどうか。2つ目の入市被爆と書いてあるのは、括弧の中に書いてありますとおり、2週間以内に爆心地から2km圏内へ立入り、これが入市被爆の定義でございますので、そういった入市の状況がうかがえるか。という意味で、この上の2つは、現在、被爆者健康手帳の交付要件を満たすであろう、厳密に本人に確認したわけではございませんので、記載から推察するに、そういう状況下にあったであろうということで、このようなまとめ方をしております。
 鎌田構成員が御指摘のとおり、この方々が黒い雨を体験したといった記載をもって、前回御報告いただいていると理解しておりますので、法律上の分類、プラス、上記以外というのは、そこが私、いい表現が思いつかなかったので、下のように具体的に書かせていただきました。
 文献4、本日の参考資料2-1としてつけさせていただいていますが、この北西山地域の証言の中には、例えば、伴村、ともむらと読むのだと思うのですが、今回の御要望になっている拡大要望地域でない地域の方々の証言もあれば、己斐峠の位置にもよりますけれども、被爆地域に入るかもしれないし、第一種健康診断特例区域に入るかもしれないといったものが混ざっていたというのが文献4でございます。
 文献12は、先生のメモだと思われますが、書いてあるとおり、宇田先生の小雨地域、第一種健康診断特例区域の外側の方でありますので、この方については、少なくともそうなのだろう。ただ、一方で、引用させていただいているとおり、「主人は明くる日から広島の親戚の人を探しに毎日出て行きました」というところからすると、本当にこの方の被爆状況がどれだったのかというのが、事務局としては正確に分類できないということで、上記以外という整理をさせていただいたという状況でございます。
○佐々木座長 鎌田構成員、どういたしましょうか。ただいまの御発言を議事録に残すということで御了解いただけますでしょうか。
○鎌田構成員 いえ、私は直接被爆について報告したつもりはありません。あくまでも第17条の第一種に関連するものとして報告しておりますので、「上記以外」という表現でなくて、第一種関連という格好で「直接被爆」の項にある3番から16番を下のほうにずらしていただきたいということです。
○佐々木座長 この資料2ページを改定したほうがよろしいですか。
○鎌田構成員 そうです。
○佐々木座長 事務局、いかがでしょうか。分類の仕方が少し違っていたわけですが。
○丸山課長補佐 これ自体は、どういう視点で分類するかということでございますので、少なくとも被爆地域内にあるかどうかという事実関係は、これで相違はないという認識をしております。そこで、直接被爆と黒い雨がかぶっているのだという御指摘だと思うのですが、それ自体を私ども、この資料で否定しているものではございませんので、その点は御承知おきいただきたいということと、これ自体は、事務局として報告しているものでございまして、この検討会として、これをもって何か結論づけるというたぐいではないと私は承知しておりますので、事実関係としてこのように御報告をさせていただく次第であります。
○佐々木座長 鎌田構成員から御提出いただいた資料の事務局の分類の仕方が、必ずしも鎌田構成員の御意向に沿っていないということだと思うのですが、その点については、御発言を議事録に残すということで御了解いただくわけにいきませんでしょうか。鎌田構成員、いかがでしょうか。
○鎌田構成員 私の発表したのは、あくまでも色分けして報告しておりますので、黒い雨地区という格好で、あくまでも17条、第一種に関連したものとして報告しているのでありまして、それも行政区域でそういうところにあるからといって、直接被爆の中に入れるというのは、ダブルスタンダードを使っているような。学問的にはこうだと、でも、行政的にはこうだと使い分けているような感じがしてなりません。我々は学問的なものを要望されているから、フォールアウトについてのことを全部書いているわけですね。でも、フォールアウトは、そういう行政区域ではないわけです。だから、直接被爆という言葉の中に2つの使い分けを厚労省は行っているのではないかと思います。
○佐々木座長 分かりました。先がつかえておりますので、事務局にお願いですが、次回、鎌田構成員が今おっしゃったような分類の仕方のものを改めて提出していただいて、御確認いただくということではいかがかと思うのですが、事務局はいかがですか。
○丸山課長補佐 本日の鎌田構成員の御趣旨を十分反映していないというところだと思いますので、先生の御趣旨を酌んだ形で、2ページについては改めて報告させていただきたいと思います。
○佐々木座長 鎌田構成員、よろしいでしょうか。
○鎌田構成員 了解しました。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 それでは、増田構成員、お願いします。
○増田構成員 増田でございます。
 私から特に困難な問題を提起して、本当に申し訳ありませんでしたが、ABCCの資料について御丁寧に調査していただき、ありがとうございました。
 内部被曝の問題のところは、ICRPの説明が出されていますが、私は、もちろん放射能の専門ではないが、3ページのしきい値の2番目に、内部被曝の健康影響は、外部被曝と比較して、線量が同じであれば同等かあるいは低いことが示されていると、それがICRPの結論でございます。
 私は素人ですが、例えばヨウ素は甲状腺にたまるとか、あるいはセシウムは筋肉にたまりやすいとか、ストロンチウムは骨に沈着しやすいと教わってきています。これは、そういうことと一体どういう関係があるのか。私は、そういう点で言うと、内部被曝と外部被曝とでは、線量だけで言うのではなくて、どういう部位にたまるかということが問題じゃないかと思って、そういう意見を出したのです。その辺のことで、ICRPはそういう点は全然違いがないとおっしゃっておられます。これは、私たちが習ったものとはどうも違うような気がしていますので、そういう発言をさせていただきました。
 しかし、これは今度の主な問題ではありませんので、私は内部被曝がそういう意味では大変重要だという点を強調させていただきたいと思っています。したがって、この内容を変えろということを言っているわけではございませんが、そういう疑問が私には今でもあるということをお伝えさせていただきたいと思います。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 事務局は、参考資料3に書いてあることの要約をまとめておられまして、今、御指摘のようなことも、この参考資料3の中には記載があります。ただ、今、増田構成員から御発言されたことは非常に大事なことであって、この検討会はいろいろな専門の分野の方たちがおられますので、必ずしも意見が一致するとは限りませんけれども、共通の認識を持っている必要があるかなと思っておりますので、そのことについては、また改めて対応の仕方を提案させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
 それで、資料1-1についてはよろしいでしょうか。ほかに御発言ありますか。
 ないようですので、資料1-2、1-3、1-4として、山澤構成員、岩崎構成員、増田構成員から御意見をいただいておりますが、各構成員から補足の御発言などありますでしょうか。
 どうぞ、山澤構成員、お願いします。
○山澤構成員 補足ではないのですけれども、この文書に書いてあるとおりで、認識としましては、今回のシミュレーション、かなり難しいところをやろうとしているという認識を持っておりまして、現在の科学技術でできるのか、できないのか、その境界線を見なければいけないようなところなのではないかと感じております。したがいまして、実際に行う際にどこまでできそうかというのは、あらかじめそれなりに見込みを立てておく必要があるのかな。その際には、どれだけ期間がかかりそうかということについても、かなり重要な境界条件になってくるのかなという気がしております。
 そこで、私が分からない部分として思っているのは、今回の検討会の時間的なスパンがどの程度なのか。その中でこのシミュレーションをやらなければいけないというところがあるだろうと思っていますので、その辺がクリアにならないと議論ができない部分もあるのかなと思っているところであります。
 以上です。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 技術的・科学的なことについては、また五十嵐参考人のお話のところなどでも話題になるかと思いますけれども、今、最後に御発言になったタイムスパンの問題については、事務局から何か御発言ありますでしょうか。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
 今、山澤構成員御指摘のところは、時間等の兼ね合いで、どこまで検証が進められるのかということだと思うのですが、我々としてもかなり鶏、卵のところがございます。と言いますのも、当事者の方々は、爆弾が投下されてから既に75年を経過しておりますので、そのときおなかの中にいらっしゃったことも加味すれば、最低の年齢であっても74歳。そうすれば、なるべく早く結論を出すというのが一番最初に念頭にあるわけでございます。
 一方で、科学的な検証をやるために、どういったメニューだとどれぐらいの時間がかかるのかということも、併せて見ていかなければならないと思っておりますので、そういう意味では、御質問の期間、タイムスパンという意味では、なるべく早くとは思っておりますが、早くやった代わりに何もよく分からない結論が出てきたということでは、元も子もないと私ども、考えておりますので、それは先生や岩崎先生、増田先生から本日いただいた意見を踏まえて、事務局がワーキンググループの先生方と本検討会の構成員の意見交換の場を設けたいという御提案をしている、そもそもの考えの発端でございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 岩崎構成員は、特に御発言ありますでしょうか。
 よろしければ、増田構成員は何か。
○増田構成員 先ほどの1-1の5ページに、特にワーキンググループとの話し合いをするということが出されておりまして、大変いい企画だと思います。いろいろ専門が違う人たちが、いろいろな角度から議論するということが必要だと思っています。そういう点で、私は長い提出資料を出しましたが、内容的にはワーキンググループとの意見交換会の場がつくられるということが、資料1-1の5ページ目で提案されていますので、大変いい企画だと思っております。
 ただ、私は、シミュレーションの問題については、気をつけなければいけないことがあるという点を1つだけお話しさせていただきたいと思います。というのは、シミュレーションは、どうしてもコンピューターを使うわけですから、コンピューターの中というのは、一般にはブラックボックスで、つくった人でなければ分からないという点があるわけです。そういう点では、シミュレーションをやる人というのは、学問に対して誠実でなければいけないということが基本だという点を強調させていただきます。本当にブラックボックスですから、作為的なことをやられてしまうと、後が大変です。結論も違ってくる可能性がありますから、そういう意味では、道徳的にも非常に立派な人でなければいけないということを強調させていただきたいと思います。
 そういう意見を述べた上で、あとはワーキンググループの方と御一緒に議論させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 前半のお話については、次の議題で事務局からも御提案があると思いますので、そこでもう一回お話が出ると思います。貴重な御発言、ありがとうございました。
 それでは、ほかの構成員の方から議題(1)について御発言がありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議題(2)「検証の進捗について」に移りたいと思います。まず、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○丸山課長補佐 それでは、お手元に資料2を御用意ください。
 おめくりいただきますと、この資料2の構成としては、この後、資料3以降、今、進んでいる令和2年度の検証状況、5課題のうち4課題が進行しておりますので、それを個々御報告いただくわけですが、そのサマリーだという点で御覧いただければと思います。
 早速、1ページでございますが、水色に表示させていただいているのが、本日報告いただく4課題でございます。紫の相談支援事業受診者の方々の罹患状況の調査とかは、本日最後のほうで鎌田構成員からの御提案も含めて御議論いただきたいと思っておりますが、前回の検討会でも御報告したとおり、現在進めておりませんで、本日の広島赤十字・原爆病院さんのカルテの調査の結果といったものも踏まえて、調査方法を検討させていただきたいと思っております。
 本日御報告させていただく4つについては、詳細は後ほどでございますが、関連する資料の番号とかは、こちらを御覧いただければと思っております。祈念館からは、6000弱の被爆体験記の確認が終了しておりまして、地図の分布を作成いただいております。
 米国の文献調査は、米国の公文書館及びトルーマン大統領の図書館の検索が完了しております。
 気象シミュレーション+土壌調査については、前回、広島のほうでやっていただいたHiSoF(広島原爆による放射性降下物等実態検証に係る関係者協議会)に実際携わってこられた研究者の方々からのヒアリングを実施していただいたり、広島・長崎の数地点で実際の土壌の試掘を始めていただいております。
 最後、広島赤十字・原爆病院さんのカルテ調査については、本日、黒い雨の曝露の記載がある方、100名弱特定されておりますが、それとそれ以外の方々の間でどのような違いがあるのかというものを、データに基づいてお話いただく予定になっております。
 先に2ページのほうを御説明させていただきますが、この後、それぞれの個別の報告、及びそれに関して、構成員の皆様には質疑応答等をお願いさせていただきたいと思っておりますが、それをお聞きいただいた後、事務局としては、令和3年度も引き続き継続したほうがいいものがあろうかと思っております。具体的には、気象状況の文献調査と書いてありますが、要は海外の文献調査が、委託業者からは、今回、米国公文書館とトルーマン大統領図書館を見ていただきましたが、それ以外にも少し情報ソースになりそうなところも御提案いただいておりますので、こういったものの資料確認を続けてはどうかというのが1つ。
 気象シミュレーション+土壌調査は、先ほど増田構成員からも御指摘いただきましたけれども、この検討会の構成員、私としては、気象が御専門である山澤構成員、岩崎構成員、増田構成員に御参加いただきたいと思っておりますが、ワーキングチームとの意見交換の場を設定してはどうか。あと、土壌試料の調査については、広島・長崎、今年採っておりますので、来年度も継続してはどうかということを御提案しております。
 健康影響関係は、広島赤十字・原爆病院さんのカルテ調査の報告を今日いただきますので、こういったことを踏まえることと。鎌田構成員から、院内がん登録の活用といった御提案をいただいておりますで、実際の調査を受ける当事者の方々の御年齢も考えると、1時間、2時間といった面接調査をやるのが妥当なのかというところは、我々、懸念を持っている次第でありまして、なるべく調査の負担、要は受ける方の負担をきちんと考えて、どのような調査が、先ほど時間のことも御指摘いただいておりますので、そういった兼ね合いを含めて、やるべきことを早急に見極めたいというのが事務局からの提案でございます。
 資料2の関係としては、以上でございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 現状の総括と来年度の論点について御説明いただきました。来年度の方向性につきましては、各課題の進捗状況を伺った後に、総合討論でまた御議論をお願いしたいと思っておりますので、早速個別の検証課題についての御説明をしていただこうと思います。
 まず、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館での調査の状況について、最初に事務局から御報告をお願いいたします。
○丸山課長補佐 続きまして、事務局です。
 資料3-1を御覧いただければと思います。本調査、事務局から報告いたしますが、質疑応答には実際に調査に携わっていただいた広島祈念館の方々に御回答いただけるよう、本日御参加いただいております。
 まず、おめくりいただきまして、1枚目でございます。今回、祈念館における被爆体験記というものを、全て該当し得るものを精査いただいたということでございます。調査対象、オレンジの括弧囲いに以下4種類と書いております。これを、私ども報告を受けて、※1で追記させていただいているのですが、被爆体験記というものは、基本的には被爆者、手帳保持者、もしくは体験記の記載の内容からすると、手帳を保持している方に該当するだろうと思われる方の体験記を整理しているということでございますので、厳密には、手帳を持っていらっしゃらない今回の拡大地域の方々の手記というものは含まれていないということでございます。その点は御承知おきいただいた上で、以降の御報告を読み解いていただきたいと思っております。
 被爆体験記は4種類、厚生労働省が被爆者の実態調査時に収集したもの。祈念館が独自に収集されているもの。マル3、図書というものは、皆様が有志でまとめられたり、出版されているものがございますので、そういった図書から拾っている被爆体験記。最後、証言ビデオというものを祈念館のほうで作っているわけでございますが、これは長崎及び広島、両方の作成分を対象としております。
 具体的には、被爆体験記、なるべく電子化、テキスト化を進めているわけでございますが、一文字一文字、きちんと検索可能な形態になっているのが右側、水色で囲ってあるテキスト化がなされているもの。証言ビデオについては、字幕とかを用意する関係で、きちんとテキスト化がなされております。これら5000件くらいございまして、そういったものについては、被爆地で「広島」というもの、テキストの中に「雨」という文字があるかということで検索をかけていただいて、1000件ほど出てきております。
 大多数は、左側のテキスト化がなされていないという状況でございます。一方で、検索はある程度できるというのは、被爆体験記を持ってきたときに、その体験記にどういったことが記載されているかというものを検索できるようなシステムは、祈念館のほうでお持ちいただいているわけでございます。具体的には、被爆地が広島ですか。登場地、体験記の中にどういった地域が登場するかということでございますが、今回、調査対象地域と書いておりますが、第一種健康診断特例区域の外側で、拡大要望地域の方々の記載がきちんと出てくるように、そこの地域を我がほうから指定させていただいております。
 ちょうど地図が出てまいりますが、こちらのどこかに該当しているということを検索していただいたり、登場地の時間区分というものを記録していただきますので、それが8月6日のものであるというものの検索をシステム上、かけていただきました。ここから5000件弱、4850件引っかかってきているわけでございますが、ここから先は、その該当の記録のところに実際に行って、被爆体験記を取り出して、本をイメージしていただければいいのですが、この本の何ページに書いてある体験記だというところまでは特定できるので、そこから先は人手の作業になっておりまして、その体験記に書かれていることを一言一句読んでいくということを、祈念館の職員の方々には実際作業いただきました。
 実際にそのときに使った入力補助票は、今日の資料3-2に用意しておりますが、5880件に対して、職員の方々が分担していただいて、ダブルチェックもしていただいたという状況でございます。祈念館の方々には、短期間に作業いただいたことに改めてお礼申し上げたいと思います。
 増田構成員から、その体験記はいつ作られたものかという御下問をいただいておりましたので、2枚目はそこを整理した表となっております。後ほど御覧いただければと思います。
 おめくりいただきまして、3ページ目が、ではどういったことが抽出されたのかということでございます。5880件のうち、日本語以外で記述されたものがございましたので、これは今回、作業の観点から除外させていただいております。そういったものが5800件弱、残りましたけれども、では、「雨」の記載が具体的にどれだけあったのかというものでございますが、例えば「雨漏り」のことであったり、「梅雨」といった、今回のフォーカスとしている雨とは違ったものが4000件弱。そういったものを除いて、被爆後の雨のことを書いていただいているというのが1685件特定されております。
 それで、調査対象地域にその後該当しているかというものを精査いただいているわけですが、それが489件。雨の強弱についても記載があるか、調べていただいたのですが、過半数は強弱の記載がないという状況でございました。ですので、最終的には、祈念館の方々に、地域において何件あったのかというものをプロットしていただいたということでございます。
 おめくりいただいて、4枚目でございます。これが地図でございますが、緑で塗っている地域が、厚労省が調査対象地域としていただきたいということで指定した、当時の村などの名前になっております。ウェブのほうは、すみません、修正が済んでいるのですが、1枚目の調査対象地域の地図は、この4枚目が正しいものでございます。事前にお送りした構成員におかれましては、ここが5となっている可能性がありますが、謹んで訂正させていただければと思います。
 おめくりいただきまして、5枚目に移っていただくと、具体的に何件の被爆体験記があったのかということで、数字が出ておりますが、ソフトウエアの関係で、10件以上ある場合は無限大、8を横にした表記になっております。緑の地域の大多数には何かしらの体験記があるということが御覧いただける状況になっております。
 参考までに、降り始めの時刻が分かるようでしたらということで、それをプロットしていただいたのが6枚目の地図になっております。
 これについて関連する資料を事務局のほうで精査したものを追加で添付したのが7枚目以降でございます。今回、祈念館の体験記というものを切り口にして、どこに雨が降ったのかというものをプロットしたわけでございますが、前回、広島の検証をしていただいたときに、放射線影響研究所がお持ちだった雨の情報、及び広島県・広島市が調査された調査自体にも、雨がどこで降ったという証言が入っておりましたので、その解析結果が、当時、平成24年1月20日の検討会で報告されていますので、併せて報告いたします。
 まず、放影研の持っていた調査でございますが、これは放射線影響研究所、参考資料4に詳しくは述べておりますが、基本調査票と言っているものがございまして、この中に雨に関する質問項目がございます。具体的には一番下の※でございますが、英語と日本語がございますが、原爆直後に雨に遭いましたかという質問項目に対して、はい、いいえ、不明というものと、もしあれば場所を記載する欄があるというのが、基本調査票の構造でございます。
 この基本調査票を用いて、放射線影響研究所さんは、寿命調査とか各種調査を執行しているわけでございますが、その当時、放射線影響研究所において、各種データの再精査をされている中で、こういった雨に関する情報があって、平成24年当時、こういった検討会をやっていたこともありまして、放射線影響研究所に事実関係として御報告いただいたのが8枚目、9枚目。これは、広島のみ抜き出しております。実際は長崎もございます。御覧いただく場合は、参考資料の4を見ていただければと思いますが、放影研が主として対象としている方は10キロ圏内の方々が多うございますので、プロットが10キロ圏内に集中しているのが御覧いただけるかと思います。
 それでも、10キロ圏外にもぽつぽつとあるのは、当時の議事録を読ませていただきますと、中には郵送調査をした結果、ここで雨に遭ったということを記録されている方がいらっしゃるということで見られております。
 もう一つは、10枚目でございますが、降雨体験者の時間的・地理的分布についてというタイトルは、前回の検証において、ワーキンググループにおいて再解析を行っていただいております。その中で、今回の祈念館の調査に一番近いだろうという報告が、黒い雨の降り始め、及び降り止んだ時刻の回答が得られている方々。1080人ほどあったみたいですが、これを降雨を体験した場所ごとに、時刻ごとに地図上にプロットしてみたというのが、10枚目から14枚目。
 2つ丸が書いてありますが、青が宇田先生のおっしゃっている大雨の地域、今の第一種健康診断特例区域相当でございます。外側の灰色の線でございますが、これが広島県・広島市さんの拡大要望地域と言っている場所でございます。これが、そういったそれぞれのプロットになっておりまして、今回の祈念館のやっていただいたプロットと、基本的にかなりに似通った分布をしているというのが御覧いただけるのではないかと思っております。こういったことを実際、祈念館にやっていただいた次第でございます。
 事務局からの報告は、以上でございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について御意見、御質問があれば、お願いいたします。
 小池構成員、お願いします。
○小池構成員 追悼平和祈念館の方々には、大変な作業をしていただきまして、ありがとうございます。
 それで、加えてですけれども、広島市のほうに平和記念資料館がありますけれども、こちらで原爆の絵というのを集めていまして、体験された方が、体験記ではなくて、絵に描いていただいて、その大体のものに、このとき、こうだったというコメントがあるのです。今、これを資料館のほうで展示していますので、何枚か現場で見られるのですけれども、例えば爆心地の北西20キロに安野村という、今、市外、安芸太田町にあるところとか、市内の江波、これは市の南部のほうですけれども、そういったところの状況の絵のコメントに、例えば焼けた紙片を拾うと黒い雨が降ってきたという20キロ離れたところのコメントがあったりします。ですので、こういったものも体験記と同様に資料として加えられないかなと思っております。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 数としては、どのぐらいあるものですか。
○小池構成員 そんなにたくさんはないと思います。2桁あるかないかぐらいです。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 どうぞ、増田構成員。
○増田構成員 たびたび発言させていただいて申し訳ありませんが、手早く結果を出していただいて、本当にありがとうございます。ただ、抽出された体験記は5880。15万ぐらいデータがあると聞いています。それについてはどういうふうに今後考えておられるのか。まず、そのことを教えていただきたいと思います。
○佐々木座長 事務局から。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
 今回、15万件の検索を祈念館のほうにお願いしておりますが、1枚目のスライドにありますとおり、拡大要望地域、第一種健康診断特例区域の外側の地域で、どこに雨が降ったのかという特定は、今回、地図でプロットさせていただいたとおりでございまして、広島祈念館が所蔵する体験記の検索の手法を見る限りにおいては、今回やったこと自体は、適切なものが抽出されて全件当たれたのだと思います。
 6000件を除いた14万件をどうするかという御質問だと私は理解したのですが、これについては、被爆体験記自体が手帳をお持ちの方ですので、爆心地に当時いらっしゃった方であるとか、その後入市された方々が多いだけに、こういった方々が今回の検索から除外されているわけでございます。これ自体は、この外側の地域の方々の降雨を表現しているものではないのだろうと、我がほうとしては判断している次第です。ですので、今回、プロットはできたわけでございますが、ここからさらに体験記を使って何を言うかというのは、なかなか難しいのではないか。
 強弱の話も、半分以上の方々がそこに言及されていないというところでございますので、この祈念館の記録をさらにどう掘り下げるかということであれば、事務局としては、一旦ここまでかなという考えでおります。
○佐々木座長 増田構成員。
○増田構成員 この検討会は、確かに地域の拡大の問題ということが主体なのでしょうが、黒い雨という言葉が適切かどうか分かりませんが、原爆の後に降った雨を全体として正確に把握することというのは、非常に重要な点ではないか。ですから、初めからいわゆる対象地域以外のところを除外するというやり方、確かに労力はかかると思いますが、もしそれが本当に電子化されている状態になっていれば、非常に容易にできるし、しかも、それは後で問題になると思いますが、内部被曝の問題とも関係があるでしょうから、そういう意味では、対象地域以外については除外するというのは、私は余り賛成できないのです。それについてはどういうふうに考えたらよろしいのでしょうか。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 構成員の方から御発言がありますでしょうか。この祈念館の資料というのは大変貴重なものではあると思いますが、これから何か統計的な処理をするとか、疫学的な調査に結びつけるというのは、それなりの難しさもあるかと思いますが、どなたか御発言ありますか。
 岩崎構成員、お願いします。
○岩崎構成員 今の増田構成員の御発言とも関係があるのですけれども、結局、降雨域全体をきちんと把握したと言えない、言うのはとても難しい。ただ、1つ言えることは、今、対象地域でも雨が降ったことは確実だと理解してよろしいのでしょうか。
○佐々木座長 これは、事務局から御発言いただけますか。
○丸山課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
 今、岩崎構成員のおっしゃったことについては、私ども、そうだと思います。というのは、5ページのような図だけではなくて、前回の平成20年代の検証、10ページが一番分かりやすいサマリーでございますが、ここのプロットとも、細かい差異は当然ございますけれども、実際に雨を見たという証言がこの土地から報告されたという意味では、今後、気象シミュレーションをやっていただくに当たって、この地域は少なくともきちんとカバーしないといけないのではないかということは言えるかと思いますが、さらにこの外側でというところは、確かに今回の祈念館の報告ではなかなか分からないのかなと思っております。
○佐々木座長 會澤参考人が来ていただいておりますが、今までの議論を聞いて、あるいは実際に資料の調査をしていただいて、何かお気づきの点とかお考えがあれば、御発言いただけますでしょうか。
○會澤参考人 広島追悼平和祈念館の會澤でございます。
 今回調査に当たりまして、事務局から御説明いただいたように、祈念館としては、所蔵してデータベースに登録してある15万件について、全て検索の対象といたしました。その中で、今回の調査対象地域、拡大要望地域の記述があるものを抜き出しております。体験記を読んで思ったことは、体験記自体が、例えば国などの調査票、放影研がやったような調査票とは違いまして、皆さん、自分の被爆体験を書いている。その中で、黒い雨に遭った方はその体験を書いていらっしゃるのですが、場所の特定がなかなか難しいのです。
 例えば、広島から可部に避難する途中に雨に遭いました。あるいは、廿日市から救援に向かう途中に雨に遭いましたというように、私どもが知りたいような、この場所で雨に遭いましたというのがなかなかないのです。そういった意味では、被爆体験記から雨が降った場所を特定するということについては、かなり困難な作業ではありました。この拡大要望地域の外側について、どうするかということになりますと、また、ここと、ここと、ここという形で同じように抽出をかけて、職員が被爆体験記を読み込んでいくことにはなると思うのですけれども、時間的にはかなり難しくて、今回もかなり短い期間で、たまたま当館が12月から2月の初めまで休館中ということもありまして、ある程度時間が取れてできたのですけれども、なかなか難しい作業だったということは御理解いただいて感謝しております。
 以上です。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 放影研とか広島市の黒い雨をある程度ターゲットにして調査した結果があって、それ以上に信頼性のあるデータが大変な労力をかけて出るかどうかというところが問題かと思いますが、この辺のことについて、柴田構成員、何か御意見いただけないでしょうか。
○柴田構成員 柴田です。
 先ほどのお話を聞いていて、今回の目的というのは、いわゆる拡大要望地域に放射性降下物が降ったかどうか、そこの人たちが放射性降下物に被曝しているかどうかということだと思うのですね。だから、先ほど黒い雨が市中のほうに降っているわけで、その人たちはもう手帳をもらっているはずで、そこのところは今回の議論からは外すべきではないか。したがって、外側のところで降ったと。それがどの程度なのかというか、そういうことをこれから詰めていくという作業になるのではないかと考えています。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ほかに御発言ありますでしょうか。
 増田構成員、お願いします。
○増田構成員 それでは、拡大地域というのは何でお決めになったのですか。というのは、拡大地域というのは、今の資料の最後のほうにも出ております。これは、広島市が、あるいは県が、ある意味ではこの程度ならとお決めになったのではない。これを決める根拠というのは、一体何から来ているのでしょうか。私、雨が降ったという問題というのは、そんなにきちんと分けられるような状態ではないのではないかと思うのです。だからこそ、雨にしても、あるいは病気にしても、いろいろな場所で起こり得る可能性があるわけですから、そういう問題を全部入れるというのが当然ではないかと思うのです。
 したがって、例えば説明資料の10ページ目に、これはたしか厚生省がおつくりになった、前回検討会で出された図なのですけれども、この外側の線が対象地域となっているのでしょう。それは、一体何でお決めになったのか、根拠があるなら教えていただきたいと思います。
○佐々木座長 事務局から御説明ありますか。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
 事務局といたしましては、これ自体は、厚労省側に何かがあるというよりは、先生御指摘のとおり、当時の広島県・市の御提案を基にここを対象としたというのが出発点でございます。そういう意味では、調査をするにしても、一定のところで指定して調査をかけないと、拾いに行く祈念館の方々も困ってしまわれるところがありましたので、今回、この緑の地域対象とさせていただいたわけでございますけれども、ここから先、先生が御念頭に置かれているのは、この緑の外側のことなのではないかと私、理解いたしました。
 この調査で、体験記があったから、その次のアクションはというと、柴田構成員が御指摘のとおり、実際にそれで健康影響があるような状況に置かれていらっしゃったのか。もう一つは、それは前回にもまさに先生の御指摘で、調査計画自体、雨に関わらずということで気象シミュレーションの話をさせていただいているとおり、雨が降らなかった地域でのことも我々は考えていかなければならないと思っております。
 そういう視点でいくと、今回、こと体験記の調査という視点でいけば、この辺の地域は最低カバーしなければいけないという目安には使えるかもしれませんが、そこから先、どの程度の量が降ったのか。それは、強かったのか弱かったのか、すごい量だったのかといったことを検証するのは、この体験記ではなかなか難しいのではないかというのが、先ほど祈念館の會澤さんもおっしゃっていただいた内容を総合するとそのように考えております。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 この問題については、次回までに事務局でもう一度、来年度以降の調査の中に含めるかどうか。先ほど、市の絵の話もありましたので、それも含めて御検討いただくことはできますでしょうか。次の年度にどうするかは、次回にまたもう一度議論するということでいかがでしょうか。
○丸山課長補佐 承知いたしました。
○佐々木座長 よろしいでしょうか。
 それでは、次に、米国の公文書館等における文献等の調査について、長谷川参考人にお出でいただいておりますので、御報告をお願いします。よろしいでしょうか。
○長谷川参考人 ニチマイの長谷川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 手前どもでは、このたび、原子爆弾投下時の気象状況等に関する文献について、米国国立公文書館、トルーマン大統領図書館の保管資料に当該資料が含まれているか、調査する業務を承りました。当該機関につきましては、米国の新型コロナウイルス対策によって、現在も閉鎖されておりますため、インターネット公開サイトを利用した調査となっております。本件調査の方法並びに調査結果等につきましては、資料4-1におまとめしてございます。資料の内容、かなり細かくなってございますので、簡単に本件資料の調査方法と調査結果につきましては、私のほうから口頭で御説明させていただくようにいたします。
 本件調査方法につきましては、調査対象といたしましたインターネットの公開サイトは、米国国立公文書館のサイトとなります。トルーマン大統領図書館には、独自の検索可能な公開サイトはないため、米国国立公文書館公開サイトでトルーマン大統領の資料も調査できますので、そちらで調査いたしました。
 インターネット公開サイトを利用した調査となりますので、資料を検索するためにキーワードを設定する必要がございます。本件調査に使用したキーワードにつきましては、資料4-2にて、使用したキーワード並びに検索結果等をおまとめしております。検索キーワードにつきましては、延べ66件のキーワードを設定して調査いたしました。具体的には、原子爆弾・天気、原子爆弾・降雨、原子爆弾そのものであったり、天候偵察機、ポール・テイベッツ機長、エノラゲイの機長でございますね。等を検索キーワードといたしまして、検索いたしました。
 これら検索キーワードによる検索結果を精査しまして、関連する事項のみリスト化いたしております。参考資料6がリスト化した資料一覧になってございます。
 今回、この方法に基づきまして調査を行ったのですけれども、結果から申し上げまして、残念ながら、原爆投下時の気象状況に関する文献やデータについて記述された資料そのものを収集することはできませんでした。しかし、関連すると思われる検索結果につきましては、438件、リスト化してございます。どういったものをリストアップしているかというと、米国国立公文書館の調査リストの49番のところでリスト化しているものにおきましては、資料のタイトルが「広島への原爆投下時の結果出た気象現象について」といったタイトルの資料があったために、リストアップしてございます。
 ただし、こちらのほうは、まだ電子化されておりませんので、インターネットのそちらのサイトからダウンロード等で資料を取得することができません。こちらは、現地に赴いて資料に当たってみないと、気象に関する情報並びにデータが記載されている資料なのかどうかということも、ちょっと分からないといった状況になってございます。
 今回、調査に当たって、ちょっと難しかった点がございまして、今も申し上げましたけれども、インターネットの公開サイトを利用した調査では、ホルダー名、資料名等でしか検索ができません。なので、そちらの検索結果、資料名を見ただけでは、気象状況等に関する情報がその資料に含まれているか、いないかということは判断できかねるという状況が1つございます。
 それから、御承知の方もいらっしゃると思うのですけれども、原爆投下時、当時の米軍の報告資料は、被害状況に焦点を当てたものが多く、被害状況に直接的に関係しない事項については、記録されていたとしても限定的であるということが考えられます。被害状況等の報告の中に、一部として気象状況等に関する情報が含まれている可能性は否定できませんが、そこの中にありますとは断定することができないという、非常に難しい状況にはなってございます。
 調査方法と調査結果については、以上の御報告となります。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして、御発言があればお願いいたします。いかがでしょうか。
 ちょっと確認したいのですけれども、現在は政府の記録、70数年前の記録というのは、全て公開されていると考えてよろしいのでしょうか。今でも公開されないような資料もあるのでしょうか。
○長谷川参考人 当然ございます。全てのものがすべからく全体に向かって公開されているというものではございません。なので、リストでも記載してございますが、一部制限つきという見出しのものもございます。
○佐々木座長 いかがでしょうか。御発言があれば。
 増田構成員、どうぞ。
○増田構成員 私ばかりで申し訳ないのですが、実はこれを昨日いただいて読ませていただきましたが、率直に言って理解しにくいデータでした。検索の結果、だんだん選んでいかれるからこういうふうになったのでしょうが、何を目的になさっているかというのが分かりにくい。先ほどお話いただいたように、どのような意図でやられたかという点は理解できましたが、実際、その結果がこれだと言われても理解しにくいのです。私は、率直に言って、これで一体何が分かったのかという点が分かりませんでした。少なくとも4-2の資料で、これが最終的に分かったのだということを教えていただければと思います。私には分かりませんでした。
○佐々木座長 これは、事務局から御発言いただけますか。
○丸山課長補佐 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
 端的に申し上げれば、参考資料6のリストが作成できたということになろうかと思います。そのために、検索キーワードは資料4-2に掲げたもの。実際、我々が当初お願いしたもの以外に、例えば4-2の2ページや3ページを御覧いただきますと、原爆投下機の名前であったり、投下機の機長のお名前といったものをニチマイさんには御提案いただいて、それも含めて検索をかけていただいたというのが実情です。
 そういった形で、米国の公文書館もトルーマン大統領図書館も、実際に現地に入って現物を入手するというのが、現在閉館中でございますので、できないということで、コロナの流行状況が今後どうなるかは分かりませんが、コロナの流行が収まるとともに、再度開館された際には、このリストを基に早急に資料入手にかかる。そのための事前準備といいましょうか、作業を今般やっていただいて、参考資料6のようなリストができた。要は、これはコロナが収まった暁には、このリストにある文献を取りに行こうという考えでございます。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 中間報告ということと、コロナ禍の中で、実際に現地に行って調査することができない状況にあったということだと思いますが、それにしても、参考資料6というのは膨大な資料でして、もちろん長い時間をかけて調査できるのであればいいのですけれども、この検討会の目的を達成するためには、かなり短期間に調査を進めなければいけないと思うのですが。この中からターゲットとなる資料をうまく引き出して、そういうターゲットになるものに集中して、可能になれば現地の調査をするということができそうなのでしょうか。長谷川参考人の御意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。
○長谷川参考人 何とも断言することが難しい状況でございまして。ちょっと戻りますけれども、私ども、海外の資料調査というのは何件か御相談いただいて、手がけております。その中には、原子爆弾に関する調査依頼というのもいただいておりまして、資料収集・調査ということで行っています。そういった経験・知見の中から、資料を過去当たっていった中で目にする資料というのは、ある程度見えてきますので、その中で気象に関する情報というのはなかなかなかったのですね。なので、最初に御依頼いただいたときに御相談させていただきました。恐らく見つかりづらいと思いますと。
 ついては、先ほど事務局からおっしゃっていただいたとおり、そこから枝葉を広げて、原爆の機体報告であるとか、そういったものに気象のコメントが含まれているのではないか。そのものずばりはないので、何かいろいろな報告の中から破片を見つけて、そこに実はそういうものがあるかもしれないということになるので、現状、これで、はい、大丈夫ですと言うのは難しくて、言い方が雑ですが、破片を見つけながら宝を探していくみたいなものの運営というのを含んでいるという状況でございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。かなり困難な作業になると思いますが、これは続けていかなければならない課題であろうと思います。
 構成員の方々から、ほかに御発言がありますでしょうか。どうぞ。
○永山構成員 長崎の永山です。
 ちょっと本題と外れるのですけれども、この資料4-1は、恐らくニチマイさんがワードで作られた書類だと思うのですが、それをどこかでPDFにされる時点で、PDFはいろいろ規格があって、文字のままコピペできるとか、URLがあるとそこに直接飛べるというのができたり、できなかったりするのですが、今回はできないのです。文字が絵として取り込まれているみたいで。URLがたくさん入っているので、自分でサーチしてみようかと思ったら、自分で打ち込まないといけないという面倒くさいこともあって、できればPDFにされるときに、こういうURLが生きるようなやり方でPDF化していただけると助かります。
○佐々木座長 長谷川参考人から御発言いただけますか。
○長谷川参考人 つきましては、お調べしまして、再度御提出するようにいたします。
○永山構成員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○佐々木座長 ほかに御発言ありますでしょうか。
 それでは、次に移りたいと思います。広島赤十字・原爆病院におけるカルテ調査について、これは参考人として来ていただいております藤原参考人、お願いできますでしょうか。
○藤原参考人 藤原でございます。
 次、お願いします。原爆病院の外来受診のカルテ(以下「原爆カルテ」)がありまして、それをデータベース化したものがうちにあります。
 次、お願いします。大体6万1000冊でありまして、そのうち電子ファイルにできたのは5万件のファイルでございます。
 次のスライドをお願いします。原爆カルテの画像です。今回はそのうち全身倦怠感、出血、脱毛などの放射能症に注目いたしました。
 次のスライドをお願いします。実際どういうことをやったかというと、原爆カルテと、現在の診療カルテと病理システム、これは1957年からの受信データがあるのですけれども、その3つを照合いたしました。そのうち、IDを持っている人、すなわち1988年以降の健康状態を把握できる人は8700人あまりおられます。
 次のスライドをお願いします。照合結果は分かりにくくて申し訳ないのですけれども、1955年から2000年までの原爆カルテが取られまして、このうち1988年からIDが付されました。これ以降に来られた方は、健康状態を見ることができます。
 被爆者の区分としては、手帳の記載にしたがって近距離群、遠距離群、入市群、黒い雨群という分類をしております。
 次のスライドをお願いします。これは、先ほど言いましたように、外科症状とか内科症状があるのですけれども、このうちの全身倦怠感、出血、脱毛などの内科症状に注目いたしました。
 次のスライドをお願いします。これは、被爆者全体の検討でございます。被爆時15~19歳という健康状態の差の少ない年齢の人たちを対象としました。男性は、急性症状があったのは近距離では66.3%であり、被爆距離が近ければ内科症状を持つ人の割合が高いのですけれども、入市被爆であれば少なくなっている。さらに性別による大きな差はなかったようです。
 次のスライドをお願いします。生存率を見てみました。被爆後43年以降しか見ていませんが、近距離群、遠距離群、入市群と差はないということが言えます。
 次のスライドをお願いします。これは、被爆時に内科症状があった場合、なかった場合という区別をいたしました。男性であれば、症状がないほうが少し早く亡くなられています。女性のほうは、その差はありませんでした。
 次のスライドをお願いします。60歳未満という若年で亡くなられた方々と、被爆後も日本人の平均寿命以上に長期間生き続けられている方々を比べると、若年で亡くなられた方が被爆直後のないか症状が少なかったと言うことがありました。
 次のスライドをお願いします。今度は、黒い雨の被爆者だけを扱っております。このように、男性32人、女性58人の90人ですけれども、IDがあったのはそのうち46人になります。年齢構成としては、被爆時に19歳までであった方が多くを占めております。女性のほうが2倍近くの数です。
 次のスライドをお願いします。黒い雨後の行動ですけれども、少しカルテに記載がありました。とどまったという方、雨の後入市したという大きな群に分かれています。とどまったという方々は41人、雨の後入市された人が5人。そのうち、確かに外傷を受けておられる方もおられました。
 次のスライドをお願いします。被爆直後に内科的な症状があった場合、なかった場合ということですけれども、これを入市群と比べてみました。IDありの人同士を比べてみますと、特に大きな差はないようです。
 次のスライドをお願いします。ただ、年齢別に見ると少し分かりにくくなっていますけれども、入市被爆群と黒い雨群は年齢別で被爆直後の内科症状の発現に差があるようです。
 次のスライドをお願いします。これは、被爆直後に内科的な症状があったかないかで、その後の生存を見てみました。どれだけ意味があるか分かりませんけれども、特に女性の場合、症状があった場合は生存率が低くなっております。
 次のスライドをお願いします。実際に現在までにどのような腫瘍があったのかということを見てみました。黒い雨ではこのように分散しておりますけれども、入市被爆群では、5大がんというか、上位のほうが数は多くなっております。黒い雨ですけれども、平均腫瘍数を人数で割りますと0.26個/人。それに対して、入市群は0.17と少なくなっております。年齢はどうなのかということを見てみますと、最終年齢の確認ですけれども、68.8歳と75.7歳と、入市群のほうが高くなっております。
 次のスライドをお願いします。これは最後のスライドですけれども、1957年1月から病理診断もデータベース化しております。これには、被爆手帳を持っている人だけじゃなくて、持っていない人も含まれております。ということで、被爆手帳を持っていない方々の被爆後12年以降の健康状態が分かる可能性があると言うことで、お声かけしたのですけれども、集まりませんでした。今回、被爆手帳を持っている方のみの資料を作ってみました。
 
 以上です。どうもありがとうございました。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ただいまの藤原参考人からの御説明に関して、御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 再度確認ですけれども、今回お示しいただいたのは、全員が被爆手帳をお持ちの方という理解でよろしいのでしょうか。
○藤原参考人 そうです。特に、最後のものだけは、被爆手帳がない人も参考にしたかったのですけれども、それは入っておりません。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。御発言ありますでしょうか。それでは、ありがとうございました。
 では、次に、気象及び土壌調査について、五十嵐参考人から御報告をお願いいたします。
○五十嵐参考人 京都大学複合原子力科学研究所の五十嵐でございます。ファイルを共有させていただきます。御説明させていただきます。
 中間報告ということでございまして、私どもの仕様書の抜粋でありますけれども、2つの大きな柱、テーマによって構成されております。
 1つは、文献調査及び数理モデルの作成ということで、いわゆる気象モデルの作成ということが最終的な目標。今年度、そこまで到達したいということで、次年度以降のモデル計算の図式を作成するということになります。
 2番目は、それに伴いまして土壌調査を行うということで、これはモデルの検証のデータセットを作成していくということです。今年度、この予備調査を実施していくということです。締め切りが3月24日でありまして、だんだん迫っているということです。
 こちらが実施の事業者としまして、私どもの研究所、広島大学、長崎大学という構成になってございます。
 それから、実施者構成は、私を初めといたしまして、高宮准教授、福谷准教授、それから広島大学の遠藤先生、長崎大学の松田先生と福田さんということです。
 我々の提案概要でありますけれども、先ほどの1番、2番に加えまして、0番という形で、過去の研究をなるべく総括して、その知見を吸い上げていきたいという思いで、レビュー会議を開催しているということになります。この3つで進めている状況です。
 まず最初に、0番といたしました俯瞰的な取組、レビュー会議でありますけれども、我々は既に2回、1月の終わりと2月上旬に実施させていただきました。第1回目と第2回目で、くしくも広島と長崎ということで、主な対象地域が分かれました。
 1回目では、広島大学の星正治先生に全体の概観という形で「黒い雨研究の歴史」をお話いただきました。それから、今中哲二先生に原爆の爆発過程と気象シミュレーション、どんな原爆雲の条件を入れ込めるかということでお話をいただきました。3番目に、青山道夫先生ですけれども、HiSoFをここにお示ししているわけですけれども、こちらの成果ということで、気象シミュレーション全般についてということ。それから、火災煙の知見。さらには、衝撃塵は実は地表面のダストが舞い上がったのではなくて、むしろ屋根瓦の下に置かれた接着している土でしょうか。(中断)
 第2回については、島崎達也先生、高辻俊宏先生、JAEAの國分陽子先生という形で、プルトニウムを中心としました調査、それから長崎の西山水源地地域における土壌の調査につきまして詳細を御講義いただいたということになります。これらの知見を基にしまして、私どもの基礎調査に入っております。
 最初の爆発のモデルについてですが、これはいろいろ難しいだろうという御意見を頂戴しておりまして、確かにそのとおりですが、全てを再現することは非常に困難であります。我々としては、爆発モデルを使いまして、ある程度時間が経過して拡大した火球というものを初期値としてつないでいきたいということです。これは、今中先生の知見によりますと、爆発時から数秒程度経過した火球というものですが、温度が非常に下がってまいりまして、ここの条件下なら現在行われている爆発モデルのシミュレーションに入れられるだろうということです。ここに数値解析法ということで、衝撃波捕獲法というものがあるということで記載させていただいております。
 最終的に数理モデルというもので扱うものは、爆発雲と衝撃塵、さらには火災煙ということを想定していくわけですが、衝撃塵につきましては、火山の経験が使えるのではないかと考えております。我々としては、最終的に爆発雲における物質モデルを気象モデルでの計算に引き継ぎたいということに至るわけです。
 それから、気象モデルでありますけれども、地球全体の気象モデルについては、ECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)のERA-20Cというものが1つございますし、米国NCEP、NCARの方でもこういったデータセットがあるということでありますので、こちらのデータセットを使っていきたいと考えております。
 それから、気象モデルですけれども、いろいろ御心配をお持ちのようですが、スライドは気象庁気象研究所が採用しております非静力学モデル、メソモデルというものと、実際のレーダー等の観測データです。比較いただきますと、かなりよく計算ができている。格子間隔は2キロぐらいでありまして、毎時の計算ということで、台風の降水、激しい鉛直流をかなりよく再現している。そういったものをJMA-NHMと呼称しておりますけれども、そういうものの民間利用が可能である。
 あるいは、米国のNCEP、NCARとオクラホマ大学で開発されたWRFと呼ばれるモデルがございます。こういうものは民間利用可能ということですので、そういったものを利用して、先ほどの爆発モデルとつないでいけないかと考えています。
 それから、放射性降下物の分布調査は重要なテーマであります。実際、物証があるということを目指しているわけですが、1つのターゲットは、福島第一原発事故で出たシリカガラスに高濃度のセシウムが含まれているというものについてデータをまとめておりますけれども、光学顕微鏡の写真がこちらでございまして、その上に電子顕微鏡の写真があります。これはType Bというかなり大型のもの。それから、Type Aといってすごく微小な、主に球状です。
 そういったものが見つけられますので、こういう類似のものがウランとかプルトニウムの酸化物について成り立つかどうか。こういった微粒子の分離・観察技術が確立していますので、これを適用して、爆発雲から来る粒子を追いかけたいと考えております。
 次に、火災煙ですけれども、こういった炭素の微粒子が出てくるということが言われております。特に右側ですけれども、大規模な森林火災起源のもので、堆積物中に保存されている微粒炭というものがある。こういうものを分離していきたい。
 また、先ほど御説明したレビュー会合で御指摘いただいていて、我々、読み込んでいる段階ですけれども、広島の宇品の海岸に熔融過程を経た微粒子があるということです。黄色とか赤のバーが写真についてございますけれども、これが200ミクロンと500ミクロンのバーになります。案外大きなものですけれども、こういうものが多数見つかっている。この論文によりますと、著者らは1万個ほどのこういう微粒子を持っているというわけです。こういう球状のものは、1回融けて自由落下をする状況でないと形成されませんので、そういう過程を経ているものになります。それから、あめ状に曲がったようなもの、あるいは一部熔融している粒子があるということです。
 こういったものをしっかり把握していきたいということで、スクレーパープレートと言って、地質・土壌を剥いでいく手法でサンプリングを行うということで、長崎に行きました。3月4日ですけれども、フォールアウトが多かった西山水源地の近くの水神宮という箇所で、ほこらの写真が出ておりますが、薄く剥いで採取した。
 それから、広島の先ほどの海岸の砂というお話がありましたので、似島と元宇品で採取を行いました。精査を行っていますが、既に広島の宇品のサンプルには、こういった球状のガラス粒子を見つけております。ですので、先ほどの論文はある程度真実を述べていると考えております。
 また、長崎大学において、過去に採取された試料というものが保管されておるのですけれども、なかなか整理がついていないということですが、その試料を頂戴いたしまして、それを顕微鏡で眺めたり、重液と言いまして、水より重たい密度を持つ液体により分離しまして、炭素の粒子だったり、密度が高いと考えられるウラン、プルトニウムの酸化物粒子を探す実験を進めております。
 また、光学顕微鏡による観察では、先ほども広島の例で出ましたけれども、棒状のガラス粒子があるということがたやすく検知されましたので、恐らくこれもまだ精査を続けないといけないのですが、こういったものを見ていくことが可能ではないかと思います。
 以上でありますけれども、引き続き来年度も継続して研究・調査が進められればと考えております。以上です。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ただいまの五十嵐参考人からの御説明について御質問や御意見がありましたら、御発言ください。いかがでしょうか。
 どうぞ、岩崎構成員、お願いします。
○岩崎構成員 短期間に利用できる最善の仕組みを考えられているということで、大変御苦労さまだと思います。とはいえ、この時代のシミュレーションはとても難しくて、特に観測がなかった1950年代以前に遡るということは、ECMWFの再解析があったとはいえ、非常に難しい問題だと思います。
 それで、現象に近づくために延々とシミュレーションを続けることは、いけないことだと思います。どの辺りを終着点とするかということをある程度めどをつけておかないと、延々とやり続けて時間ばかり浪費するということになりかねない。その辺りは、我々も含めて、いろいろ検討していく必要があるかなと思います。五十嵐さん自身は終着点をどのように考えられているのか、まず1つお聞きしたいと思います。
 第2点は、衝撃波からシミュレーションへのつなぎです。これは、いろいろ文献に当たられたということですけれども、どのくらいの研究事例があるのかということを簡単に御紹介いただければ、大変参考になります。
 よろしくお願いします。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 五十嵐参考人、御発言いただけますでしょうか。
○五十嵐参考人 五十嵐です。スライドの表示がひっくり返っておりまして、大変申し訳ございません。2つの画面を使い分けているので、今回うまくいきませんで、スライドがちょっと見にくかったと思います。まずは、お詫びします。
 それから、岩崎先生の御質問、第1点ですが、おっしゃることは非常によく分かりまして、本会議の冒頭にございましたように、いつまでを期限、タイムスパンと考えるのかという非常に難しい問題と、山澤先生が御提起になったと思いますが、そこと絡んでくると考えております。ただ、最短で考えたときには、できる限り爆発モデルを何とかいたしまして、爆発雲、衝撃塵。それから、WRFについては、火災煙の研究事例というものが幾つか複数あるそうですので、そちらを流用できるということです。
 ただし、現象が爆発なので、WRFのものが見つけられていないようです。私自身もGoogle Scholarみたいなもので検索をかけて、それなりに拾って見ていますが、たくさんあってという状況では残念ながらございません。その中で、爆発シミュレーションを現在お願いしている役務の業者さんでは知見があって、経験もあるということなので、そこの流体力学モデルを使って何とかできないかということを考えるということです。
 ただし、核爆発なので、通常より威力が大きくて、なおかつ高温の部分がありますので、そういう意味で経験がある温度条件からの計算ということになってしまうので、そこは初期条件をニュークリアサイエンスのほうで得られる仮定であったり、計算であったりでなるべく導き出して、数秒後程度から再現していく。爆発の最初から全てを再現するということを目標にしてはございません。その辺が落としどころではないかと思っているのですが、もっときちんとやりなさいということであれば、さらにきちんと進めて、爆発雲の中のエアロゾル過程であるとか、降水等の過程、場合によっては放射線によるイオン化やラジカル過程のようなことも考えないといけないとは思っているのですが、そこまで恐らく手が届かないのであろうというのが私の見通しです。
 以上でよろしいでしょうか。
○岩崎構成員 ありがとうございました。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 ほかに御発言がありますでしょうか。
 どうぞ、増田構成員。
○増田構成員 まず、ECMWFの1900年から2010年まで、どのぐらいの精度で天気図が作られているか。そのサンプルをまず見せてほしいと思います。どの程度の精度の当時の天気図があるのか。実際にシミュレーションをしようとすると、格子間隔が小さくて、恐らく25キロぐらいまでの高さの層をかなりたくさん取って、イニシアルをつくらなければいけないと思います。そういうときに、果たしてECMWFのAIで作ったと言われる天気図がどの程度の精度で実際にあるのか。そのことを見せていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐々木座長 五十嵐参考人、御発言いただけますか。
○五十嵐参考人 申し訳ございません。先生の御指摘、ごもっともだと思いますが、私自身は気象モデルが専門の研究者ではございませんので、研究チーム、現在お願いしている役務業者さんと相談いたしまして、提示できるかどうか検討させてください。できるはずですが、現時点でいついつまでというお約束は、申し訳ございません。いたしかねますけれども、検討させてください。
○佐々木座長 御検討をよろしくお願いいたします。
 ほかに御発言がありますでしょうか。
 山澤構成員、お願いします。
○山澤構成員 予想どおりかなり難しい計算をされるという印象を受けていますけれども、今回御説明なかったのですけれども、WRFなりNHMを使うとしても、拡散モデルが必要になりますね。その辺については、何か見当はあるのでしょうか。
○佐々木座長 五十嵐参考人、お願いします。
○五十嵐参考人 山澤先生の御指摘のとおりでございまして、現在のチーム構成の中には、物質輸送あるいは気象モデルを専門とする先生方が含まれておりません。これは、非常に残念なことでありまして、我々、努力はしているわけですけれども、御協力いただける先生方がなかなか手が挙がってこないというのが実情でございますので、山澤先生、岩崎先生、場合によりましては、増田先生のお力をお貸しいただきまして、ぜひきちんとしたモデル形成ができるような方向に持っていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○山澤構成員 そのポイントですけれども、否定的なことをここで余り申し上げたくないのですけれども、今回の検討会のお話が始まる前に、厚労省の方からいろいろお話を伺った際に、私は率直に申し上げると、できませんというお答えをしたのです。というのは、背景としまして、現在、私のところで福島第一原発のシミュレーションをやっております。世界中からモデル計算をやっている人に参加していただいて計算をやっているのです。
 その中では、先ほど御紹介いただいたWRFとかNHMも入っていて、それの拡散計算を含めてやったとして、現状、我々の総意と言ったらいいか、コンセンサスは、湿性沈着。沈着で落ちるところはかなり難しくて、きっちり再現できませんねというのが、現在のモデル関係者の福島原発事故を経た、10年たっていますけれども、現時点での総括だと思っています。ですから、モデルの計算は何らかできるだろうと思うのですけれども、それがどれだけ現実的かについては、かなり慎重に検討しなければいけない。これは、初回、2回目でそのような意見を申し上げたのですけれども、かなり難しいと思います。その中で、御協力できることがあれば、できる限りさせていただきたいと思います。
 あと、幾つか細かい点があるのですけれども、先ほど厚労省の事務局の方から御紹介いただいたとおり、ワーキンググループの方と、少なくともこの検討会でモデルをやったことがある人間が入って意見交換するという場を持たせていただけるという点、そこでできる限り検討させていただきたいと思うのですけれども、1つは、先ほど出てきた気象場、私も増田先生の御発言、そのとおりだと思っていまして、私の文書にも書いてありますけれども、ECMWFの再解析データがどの程度、その当時の気象が再現できているのですかというのが、まず一番最初の前提条件になるだろう。そこはチェックしないといけないですねという点と。
 それから、それを使ったときの気象場の再現性だけでも、爆発シミュレーションとは別に計算を同時に進めるような形で、より具体的に検討を進められたほうが、期間の制約もありますので、より現実的かなと感じております。
 以上です。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 五十嵐参考人に後で御発言いただきますけれども、ただいまお話がありましたように、ワーキンググループの会合等に検討会の構成員が、希望があった場合にオブザーバーとして参加できるように事務局にしていただきたいと思っております。これについては、多分、気象のワーキンググループの希望が一番多いのではないかと思いますが、構成員の皆様方は、こういう考え方を御承認いただけますでしょうか。ありがとうございます。
 そして、ワーキンググループの方々もそういうことでお受けいただけますでしょうか。代表して、五十嵐参考人に伺いたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
○五十嵐参考人 五十嵐でございます。
 私どもは、当然いろいろな先生方がコメントくださって、またよりよい結果が出せるように、現状でも最善を尽くすということで臨みたいと考えてございますので、そういった機会を設けていただくことは積極的に歓迎していきたいと思っております。
○佐々木座長 ありがとうございます。具体的にどのような形にするかは、事務局のほうで御検討いただきたいと思います。
 五十嵐参考人から何か追加の御発言ありますか。よろしいでしょうか。
○五十嵐参考人 私自身は、コメントさせていただくとすれば、恐らく最善を尽くして、どこまでできるかということを見たいというところでありまして、山澤先生との違いはそこの部分だけかなと思っています。厳しいという認識は、当然ですけれども、十分過ぎるほど持っておりますので、よろしくお願いいたします。
○佐々木座長 大変チャレンジングなお仕事だと思いますけれども、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 今後の検証の方向性も含めた総合討論をしたいと思いますけれども、健康影響調査について鎌田構成員から資料が提出されております。鎌田構成員からの御説明をお願いしたいと思います。
○鎌田構成員 この検討会の検討目標の一つは健康影響ですので、がんの登録から健康影響をあぶり出せないかということで、1つの案を提出させていただきたいと思っています。
 3分の持ち時間ですので、最初に地図のスライドをお願いします。目標とするのは、この緑の部分と赤の円が拡大要望地域ということです。この緑のエリアと、それ以外のところでどのように差があるのかということを、がん登録で平成20年から平成30年、たった11年しかないのですけれども、それで検討しようということです。
 次のスライドをお願いします。分母になるのは、昭和21年5月までの居住者を特定するために、平成20年時点の居住者について、郵便番号から第一種特例区域というものを集め、また、白いところ、拡大要望地域の居住者について特定する。対照として、先ほどの図の右側のほうに三原というところがありますので、それを対照にしております。それで、次の段階としては、62歳以上の住民ということ。これは、昭和21年5月で足切りします。それで、分母の住民リストの3つができ上がってくるということです。
 次、お願いします。分子のほうのがん罹患者の特定というのは、広島に15あるうち、関連があると思われる8つの病院の院内がん登録というものがありますので、それの集団から、46年5月までに生まれた人を足切りしまして、そういうがん患者の中で郵便番号ごとに第一種健診地域と拡大要望地域と対照地域というのが出てきます。それを以前につくっている分母の住民リストと照合することで、住民リストの中からがん患者を特定化して、そのがん情報を取ってくるということ。この3つの間で標準化した格好で罹患比を取るということを考えております。
 この院内がん登録を使うのがいいかどうかというのは、一番最初のページに書いています。広島では、最初に腫瘍登録というものが45年ぐらい前から既に始まっておりますし、平成14年から広島県の地域がん登録というのも始まっておりまして、がん登録は19年からであります。最近では、全国がん登録という形になっておりますが、広島県内では過去のものがたくさんあるわけなので、もしいいアイデアがあれば、院内がん登録に限らなくてもいいわけですが、その辺を検討していただければということで提案させていただきました。
 以上です。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ただいまの鎌田構成員の御提案に対して、御質問や御意見がありましたら御発言をお願いいたします。
 柴田構成員、お願いします。
○柴田構成員 鎌田先生、ありがとうございました。
 ちょっとお尋ねしたいのですけれども、今回は被曝の可能性があるかどうかということを検討するわけで、先生のお話だと、結果のほうを比べて、それで何か違いがあれば原因があるのだという論理になっているような気がするのですけれども、それは間違いですか。
○鎌田構成員 がんという結果でもって、そこを比較しようということであります。おっしゃるとおりです。
○柴田構成員 そうすると、がんの原因というのは無数にあるわけです。それで、いわゆる生活習慣とか喫煙というほうの寄与が大きくて、放射線というのは、アメリカのデータですけれども、二、三%ぐらいしかないというデータが出ているわけです。そうすると、今の先生のお話で比べていったときに、多分問題になっている地域のがんの罹患は、例えば対照とした地域よりは高いとなってきたときに、だから影響があったのだという話になると、正直言って、少し論理がおかしいのではないかなという気がするのです。
○鎌田構成員 おっしゃるとおりで、がんの結果の比率で物事は言えません。これは、がん以外で、ほかの例えば国保レセプトのほうからいろいろな病気を引っ張ってくるという可能性もあるわけで、今回はがん登録というものに絞って考えて、しかもがん登録の中でも院内登録というものを、作業しやすいような形で選んだということであります。
 それから、内容について、がんの比率がどうだったからということで、しっかりとした結果が生活習慣病まで入っていけるかどうかというのは、非常に難しい問題です。
○柴田構成員 ありがとうございます。
○佐々木座長 一ノ瀬構成員、お願いします。
○一ノ瀬構成員 今の鎌田先生のスライドの発表だけでなく、先ほどの広島赤十字の藤原先生の発表にも関係すると思うのですけれども、こういう疫学的なデータで何か考え方をまとめるときにいろいろ比較が必要だと思うので、広島の被爆地や拡大対象を要望されているデータをどう評価するか、差し当たり1つの参考資料として、全国の広島以外の地域の一般の方のがん罹患率とか生存年数との比較というのが必要だと思います。
 今、柴田先生も言われたように、統計や疫学の場合は、交絡要因等が入ってきて、がんになったといっても原因が多様になるので、一概には言えないと思うのですけれども、疫学はみんなそういうふうにやるしかないので、その場合、差し当たり日本全国の一般の地域との比較もして、広島のこの周囲が特異な状況なのかどうか、その辺りも1つずつの参考資料にはなるのではないかと思って御発表を聞かせていただきました。
 以上です。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 疫学調査というのは、コホートの選び方、その数、対照の選び方、交絡因子の扱い、様々難しい問題があるやに伺っておりますので、計画をしっかりとして実践する必要があるのかと思いますので、この御提案については、事務局でも御検討いただいて、また次回以降に議論させていただきたいと思いますが、鎌田構成員、それでよろしいでしょうか。
○鎌田構成員 はい。
○佐々木座長 ありがとうございました。
○丸山課長補佐 座長、よろしいでしょうか。事務局でございます。
 今後の検討に際して、鎌田構成員の御趣旨をお伺いしておきたいのですが、先ほど院内がん登録に必ずしも限らなくてよいと御説明いただいたところですが、その中で、院内がん登録を今回の御提案で中心に据えていらっしゃる先生のお考えをお伺いできないでしょうか。全国がん登録や地域がん登録も、私としては候補となり得るかなと思っていたので、先生のお考えをお伺いできれば幸いです。
○佐々木座長 鎌田構成員、お願いします。
○鎌田構成員 鎌田です。
 院内がん登録を選んだ理由は、今の要望地域が非常に小さな番地辺りまでが要求されているというところです。番地によって違うということ。そうなると、一番いいのは郵便番号じゃないか。郵便番号を使ったがん登録というのは、院内がん登録しかないというのが現状です。ですから、院内がん登録で考え方をまとめたのですけれども、そうじゃなくて、ちゃんとフルで住所を書いてくれればAIでちゃんと読んでいけますよということになれば、それは全国がんも使えますし、過去の40年ぐらいの分も使えるということであります。
 以上です。
○佐々木座長 よろしいですか。
○丸山課長補佐 御教示ありがとうございました。事務局のほうで検討させていただきたいと存じます。ありがとうございます。
○佐々木座長 小池構成員、御発言をお願いします。
○小池構成員 ちょっと確認させていただきたいのですけれども、この相談支援事業の受診者の疾患罹患状況の調査というときに、お医者さんが対象者に一人一人当たって調べるのは大変だということは理解しているのですけれども、もともと広島市に相談に来られた方が今600人ちょっといらっしゃるのですけれども、実際にはそのほとんどの方に既往症があって、また相談に来られるときに、健康診断の結果とか診断書の写しといったものは、広島市とか広島県のほうに御提供いただいていますので、それはこちらでも持っております。そういったデータを使って、何か分析することというのはできないのかというところですけれどもね。
○佐々木座長 これはどうしましょうか、事務局から。
○丸山課長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。
 おっしゃっていただいたとおり、御本人に本当に時間を取っていただくかということと、既にある記録をどう利活用するかということで、私どもも資料2で申し上げたとおり、調査を受ける方の負担をなるべく減らしたいというのが思いでございますので、今、御指摘いただいた診断書の写しとかも含めて、今後御相談させていただきたいと思っておりますので、その折はよろしくお願いいたします。
○佐々木座長 ほかに御発言ありますでしょうか。
 次年度の計画については、資料2の2ページで事務局から御提案をいただいておりますが、この次年度の計画につきまして御意見等ございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、本日、議題(2)で検証の進捗について御報告をいただきました。本日の議論を踏まえますと、本検討会の総意として、来年度以降も引き続き検証に関わる作業を実施するようにお願いしたいと思っております。
 具体的に申しますと、気象及び土壌調査については、本日の構成員の御意見を踏まえ、調査研究を継続していただきたいと思います。また、構成員がワーキンググループメンバーと意見が交換できるような調整を事務局のほうでお願いしたいと思います。
 海外の文献調査については、今回提示された別の情報源についても探索をお願いしたいと思いますし、今、コロナ・パンデミックという難しい状況でありますけれども、状況の変化を見て、ぜひ調査をより進めていただきたいと思います。
 祈念館の文献調査については、いろいろ御議論いただきましたので、今後どう展開するかについては、事務局で御検討いただいた上で、また議論したいと思っております。
 広島赤十字・原爆病院のカルテ調査については、本日の内容を踏まえるとともに、鎌田構成員の御提案がありました、がんの疫学調査も含めて、相談地域の健康影響調査につなげるようなことができればと思いますが、疫学調査は計画をしっかりつくることが大事だと思いますので、そういう点も含めて検討の上、また議論を続けたいと思っております。
 そんなところだと思いますが、構成員の方々から何か御意見がありますでしょうか。
 増田構成員、お願いします。
○増田構成員 先ほど祈念館のデータの問題で、対象区域以外は全然問題にされないという問題とも関係がありますが、広島県あるいは市が今までにやったアンケートは、かなり豊富な資料があると思います。そういうものも含めて、もう一度、より正確なというか、できるだけ正確な降雨なり、初期疾患などの統計を取るようなことを、来年度はぜひお願いしたいと思います。
 と申しますのは、実は私が調査した中で、1976年だったと思いますが、広島県と市がやったデータで実際に残っているのは、湯来町の186人しか残っていない。私、黒い雨の調査をやったときに、自分のデータがどこから出てきたかということを全部リストにして論文に報告していますが、その中で湯来町の186名だったと思いますが、だけしかデータが残っていない。これは、まだ黒い雨の問題がそんなに問題にならなかった1976年のデータですから、非常に大事なデータではないかと思います。広島県と市が全部おやりになっていながら、残っていないということがあり得るのかどうかわかりませんが、もう一度調べていただきたいと思います。
 それと同じように、1982年だったと思いますが、そのアンケート結果、それに2002年に実施されたアンケート結果、それが2008年に報告されていますが、この広島県と市が一緒になってやった大規模なアンケートのデータをもう一度一緒にして、今回のデータに加えていくというやり方は取れないのかどうか、ぜひ御検討いただきたいと思います。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 事務局から、何か関連して御発言ありますか。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
 今、御指摘いただいた昭和51、57、平成14年について、我々も詳しく知らないところがございますので、そもそもどういった調査だったのかは、広島県・広島市さんにまずお伺いさせていただきたいと思います。
○佐々木座長 小池構成員、よろしいですか。はい。
 木戸構成員、お願いします。
○木戸構成員 本検討会、検証の基本的な考え方ということで、基本懇の意見に基づき、科学的・合理的な根拠を追求するとなっている。今日、佐々木先生がおっしゃったことは非常に心強かったのですけれども、いろいろな意見はあるだろう。ですから、基本懇の意見について、いろいろな評価はあるだろう。しかし、基本懇とは一体何なのかという、その事実の確認といいますか、これがこの検討会で絶対1回はされなければならない課題。それが、被爆者とか当事者とか、広く言えば、国民にこの検討会をやっているのですよということにきちんと応えることではないかと思いますので、佐々木さんがおっしゃったように、ぜひその事実を確認する場を設けていただきたい。
 以上です。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 私も同じようなことを感じておりまして、一度、率直な意見交換あるいは認識の共有ということが大事ではないかと思っております。そういう場をどういう形でどういうふうにつくるかということについては、事務局とも相談させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 ほかに御発言がありますでしょうか。
 それでは、本日の議論はここまでとさせていただきます。前回と同様、検討会後に御意見がございましたら、別途事務局までお寄せいただきたいと思います。
 最後に、事務局からお願いいたします。
○山本室長 構成員の皆様、貴重な御意見等、ありがとうございました。
 座長からもございましたように、追加で御意見等ございましたら、3月26日金曜日までに事務局までお願いいたします。
 また、机上に配付しております参考資料のファイルは、机上に置いたままにしておいていただければと思います。そのほかの資料は、お持ち帰りいただいて結構でございます。
 次回以降の日程等につきましては、別途事務局より御連絡をさせていただくようにいたします。
 以上です。
○佐々木座長 それでは、これで本日の検討会を終了いたします。長時間にわたって貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。