第1回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会(議事録)

 

1 日時 令和3年4月30日(金)13時53分~15時15分
 
2 場所 経済産業省別館104共用会議室
     (東京都千代田区霞が関1-3-1)

3 出席委員
(公益代表委員)
○立教大学経済学部教授 首藤若菜
○法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 藤村博之

(労働者代表委員)
○全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
○全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
  
(使用者代表委員)
○日本通運株式会社執行役員 赤間立也
○公益社団法人全日本トラック協会副会長、松浦通運株式会社代表取締役 馬渡雅敏

4 議題
(1)自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会の設置・運営等について
(2)令和3年度における自動車運転者労働時間等実態調査の実施について
(3)改善基準告示の見直しについて
(4)その他

5 議事
○中央労働基準監察監督官 定刻より少し早いですが皆様お揃いですので、ただ今から第1回自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。本作業部会の議事進行について部会長が選出されるまでの間、事務局において進めさせていただきます。私は労働基準局監督課の細貝と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事運営に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、原則として報道関係者のみの傍聴とさせていただいており、更に傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で運営させていただきます。会場の皆様におかれましては、備え付けの消毒液の御利用を始め、マスクの着用や咳エチケットに御配慮いただきますようお願い申し上げます。なお、換気のために常時扉、窓を開けさせていただきますので、あらかじめ御承知おきください。
 まず、専門委員会委員長から指名をされました本作業部会の委員の皆様方を、トラック作業部会の委員名簿順に御紹介いたします。公益代表の首藤委員です。藤村委員です。労働者代表の貫委員です。世永委員です。使用者代表の赤間委員です。馬渡委員です。以上6名となります。
 続いて、お配りした資料の確認をいたします。資料1は、トラック作業部会運営規程(案)です。資料2は、令和3年度における自動車運転者労働時間実態調査の実施についてです。資料3は、第5回専門委員会における委員の御発言についてです。参考資料として、自動車運転者の労働時間等に係る作業部会の設置についてです。不足等がありましたら、事務局までお声掛けください。
 それでは議題(1)、自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会の設置・運営等について、資料1の作業部会の運営規程(案)を御覧ください。4月23日に開催された専門委員会において、ハイヤー・タクシー、トラック、バスの業態ごとに、多様な勤務実態や業務の特性に応じた検討を行うため、作業部会を設置することを決定し、併せて作業部会の会議の運営について、作業部会において別途定めるとされたところです。こちらの資料1のとおり、第3条に部会長の選任及び部会長の代理の指名に関すること、第4条に委員以外の出席に関すること、第5条及び第6条に部会は原則公開とすること、第7条に作業部会で検討した事項は専門委員会へ報告することなどについて、規定した案をお示しいたします。御承認を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○中央労働基準監察監督官 ありがとうございます。御賛同を頂きましたので、作業部会の運営規程(案)については、本日付けにて施行とさせていただきます。ただいま御了承頂きました運営規程の第3条第2項に、「作業部会には部会長を置き、作業部会に属する委員の互選により選任する」とあります。これに従い、作業部会長の選出を行います。部会長の選出につき、どなたか推薦はありますか。
○首藤委員 藤村委員を部会長に推薦いたします。
○中央労働基準監察監督官 ありがとうございます。ただいま首藤委員より、藤村委員を推薦するとの御意見を頂きました。ほかに御意見はありますか。御意見がないようでしたら、藤村委員に部会長をお願いしたいと考えますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○中央労働基準監察監督官 それでは御賛同を頂きましたので、藤村委員に部会長をお願い申し上げます。部会長に御就任いただきます藤村部会長より、御挨拶を頂きたく存じます。よろしくお願いいたします。
○藤村部会長 藤村です。昨年度に引き続き部会長ということで、このトラック分野の改善基準告示をどのようにしていくかを、皆さんとしっかり議論をして、案を作っていきたいと思います。
ついこの前までは、マスクをしていると防寒にいいなという感じだったのですが、今日は暑いですね。だんだんそういう時期になってまいりました。しかし、まだまだ新型コロナウイルス感染症は出口が見えない状況です。私どもも、それに気を付けながらやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中央労働基準監察監督官 ありがとうございました。カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。これ以降の進行は、藤村部会長にお願いいたします。
○藤村部会長 では、ここから議事進行を進めていきます。まず、本作業部会の構成等について、2点お諮りをいたします。運営規程第3条に、部会長代理の選出とあります。部会長が出席できない場合に代理で備えることとしたいと思います。運営規程第3条第3項において、「部会長は、部会長代理を指名することができる」とありますので、私のほうで指名をさせていただきます。それでは首藤委員に部会長代理をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○藤村部会長 ありがとうございます。では、首藤委員に部会長代理をお願いいたします。また作業部会においても、国土交通省からオブザーバーとして御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 次の議題に入ります。お手元の次第にありますように、本日の議題はあと2つあります。議題(2)は、令和3年度における自動車運転者労働時間等実態調査の実施について、議題(3)は、改善基準告示の見直しについてです。まず議題(2)について、事務局より資料2の説明をしていただいた上で、今年度の調査について委員の皆様の御意見を伺います。その後議題(3)において、事務局より資料3の説明をしていただいた上で、先日の第5回専門委員会での議論を踏まえ、改善基準告示見直しに関する具体的な御意見を委員の皆様にお聞きするという段取りで進めていきます。
 それでは議題(2)、令和3年度における自動車運転者労働時間等実態調査の実施について、事務局より資料2について御説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 労働基準局監督課の黒部です。どうぞよろしくお願いいたします。資料2は、令和3年度における自動車運転者労働時間等実態調査の実施についてです。1ページは、令和3年度のトラックの実態調査(案)となっております。これまでの専門委員会での議論の中で、新型コロナウイルス感染拡大の関係から、物流の変化等もいろいろ考慮したいということで、トラックについては令和2年度に引き続き、令和3年度も実態調査を、委託事業で実施することとしております。本日御議論いただき、その後、私ども事務局でも検討させていただき、次回の作業部会で調査票の詳細を決定し、実態調査を実施したいと考えております。よろしくお願いいたします。それでは、説明いたします。
 1 実態調査の実施時期です。実施時期については、令和3年10月を考えております。これは、調査票をばらまく時期と考えていただいても結構です。いつの時期の時間等をとるかというと、今年の3月から令和3年9月までの間のものをとるということです。
 2 実態調査の調査対象数です。今の予定では、事業場数が1,410事業場、自動車運転者が8,460名です。内訳は、平均で47都道府県を並べますと、大体1つの県が30事業場と労働者は6名ということで、これはもちろん各県によって会社数は違いますので、いろいろ条件はありますが、平均はこのような形になっております。
 3 実態調査の実施方法については、令和2年度と同様に書面調査で、郵送とWebのどちらでも回答できるようにしております。それから、ヒアリング調査を実施いたします。
 実態調査の調査項目ですが、基本的には令和2年度の調査項目を踏襲しつつ、新型コロナウイルス感染拡大に伴う物流の変化を考慮して、その内容について御意見を頂ければと思います。例えば、令和2年度の調査項目から削除してもいいものがあるかどうか、それから令和2年度の調査項目から新たに追加をした方がいいというもの。例えば、これまでに出た話ですと、新型コロナウイルス感染拡大による物流の変化、物流がどう変わったか、問題点、拘束時間の変化はどうだろうというようなお話が出ておりましたので、例として書かせていただきました。
 2ページは、前回の委員会でも示したものですが、トラックは令和2年度においては、705事業場、4,230人という形で調査をさせていただきました。結果として、事業者は36.5%の回収、運転者は27.7%の回収です。これが、トラック、自動車運転者数の0.5%分の調査をしたということですが、ハイヤー、タクシー、バスについては1%とっておりますので、令和3年においては1%という考えです。
 次のページは、実態調査の調査内容についてです。これも参考ですが、令和2年度の調査内容です。基本的には、その事業者調査と自動車運転者調査はそれぞれ別々のものですが、事業者調査は営業所の概要、それから拘束時間の実態がどうだろうかということで、細かく1日、1か月、1年、連続運転時間、1運行の運転時間など、改善基準告示に沿った形で拡充をさせていただきました。それからトラックについては特例もありますので、分割の話や2人乗務、隔日勤務、フェリー乗船の状況等を確認いたしました。改善基準告示の内容ということで、今、何に問題があるのかというようなことも、ここで聞いております。それ以外に、荷主からの理解等の取組や工夫、現在の告示の内容や改善についての御意見を頂いております。
 自動車運転者調査については、その回答を頂ける御自身のことを確認した上で、疲労度について影響になることは何だろうかというようなことを確認いたしました。休息時間の過ごし方は、具体的な時間を挙げていただいて、休息時間が何時間だったか、睡眠時間が何時間だったかを確認いたしました。そして、その運転者が改善基準告示をどこまで知っているのかということも確認をしております。それから、御自身の拘束時間の状況や、改善基準告示の内容を変えた方がいいと思う点等を聞いております。それ以外にも、幾つかトラック特有のことについて、自動車運転者の考え方を拝聴したという形になっております。資料2の説明は以上です。
○藤村部会長 ただ今事務局から説明があった点は大きく4つありますが、まずは1 実態調査の実施時期について、2 実態調査の調査対象数について、3 実態調査の実施方法について、何か御意見があればお伺いいたします。いかがでしょうか。この3つについては、このとおりでよろしいですか。ありがとうございます。
 では、4 実態調査の調査項目について、令和2年度の調査項目を基本としつつ、新型コロナウイルス感染拡大に伴う物流の変化を考慮するため、令和2年度の調査項目から削除するものと新たに追加するものがあれば、この場で御意見を伺います。いかがでしょうか。
○馬渡委員 我々全ト協からすれば、今年もう一度聞いていただく項目が全く同じでは、いけないかなと思っています。さりとて、ここに厚い本があるのですけれども、今日頂いて項目をどうしましょうというようにはいかないので、少しお時間を頂いて、クロス集計の結果も見ながら削除するもの、それからこういうものを新たに深掘りして聞いてくださいというものを決めていきたいと思いますので、今日の時点では特にどれをどうしましょうという答えはありません。
○藤村部会長 実施時期が令和3年10月ですので、いつまでに調査票を確定する必要がありますか。
○過重労働特別対策室長 7月末頃を目途に皆さんにも提示をして、御了解を頂きたいなと思っています。
○藤村部会長 ということは、馬渡さん、できるだけ早く意見を言っていただかないと。
○馬渡委員 そうですね。我々もクロス集計の結果を見ながら、やはり長距離とかをざっと見ると、九州などは長距離や大型の部分で影響がありそうだなとも思いますし、いろいろな荷姿によって農産物などはまだまだ現場が改善されていない部分が大きいので、そうなると結局田舎の方の長距離をしているところは大きく影響があるなと。ですから、そういうところに対して設問を新たに設けていただくということもありますので、なるべく早く取りまとめをして厚労省にお届けしようかなと思います。
○藤村部会長 よろしくお願いします。労働側、いかがですか。
○貫委員 労働側としますと、質問内容に関しては基本的には同項目の内容を調査をしない限りは比較にならないと思いますので、項目対象とすると同じような内容でいいのではないかなと思います。ただ若干追加をしていただきたい部分としては、まず休日労働の部分です。休日労働については、今回、回数のみの調査となっておりましたけれども、この休日労働の拘束時間がどのぐらいの拘束時間なのかということについても、実際に13時間、16時間の拘束なのか、はたまた1時間、2時間だけの拘束なのかということも含めて、総拘束時間を判断する上においては、休日に対する拘束時間の調査の追加をお願いできないかと思っております。
 もう1つは、時間外労働の部分です。今回の時間外労働の区切りというものが、1時間未満、ないしは1時間~4時間ということで、一気に4時間の括りになっております。実際に日勤だと時間外労働においても、もっと細かな調査が必要なのではないかと思いますので、労働側としては、できるならば1時間単位で大体何時間なのかというようなことも含めた調査項目にしていただけないかと考えているところです。以上です。
○藤村部会長 調査票の項目は同じにして増やすというのが、労働側の御意見と。調査の項目が多すぎるというような意見はありませんでしたか。
○世永委員 よろしいでしょうか。
○藤村部会長 どうぞ。
○世永委員 貫さんとそのような打合せをしてきました。特に休日の拘束時間の関係でいきますと、本当にどのぐらい働いているのかなと。それから、事業者の1年間の拘束時間の報告を見ますと、3,300時間以内が70%を超えていると、そことの整合性はどうなっているのかなということです。当然休日労働に関しては4週4休という縛りがあるのに、月に4回休日労働というような報告もあって、では、その中身はどうなっているのというように見ないと、細部の論議が始まったときに判断がつかないなということで、リクエストとして出させていただきました。もし駄目だということであれば駄目だということで、また調整していただければと思います。
○藤村部会長 いや、駄目だと言うつもりは全くなくて。今日はいろんなアイディアを出していただく場ですので、出していただいたものが全部盛り込めるかどうかは、また別の話になります。
○首藤部会長代理 コロナの前とコロナの時期とでの変化を探るという意味では、拘束時間や休息期間の実態などは、同一項目で調査をする必要があると感じていますが、前回の調査でも代用可能というところは削ってもいいのかなという気がします。例えば、改善基準告示の認識度合といったところは、改めてコロナ禍でどう変化したかということを聞く必要があるのかどうか。もしかしたら削れるところがあるかなと思いますけれども、どうでしょうか。
○藤村部会長 少し削る部分もあるのではないかという意見ですが、いかがですか。
○赤間委員 とりあえず拘束時間や休日労働、いわゆる実際の業務に就く時間の実態、なおかつその要因というものを多分調べるのがメインでしょうから、それ以外の項目、例えばGマークの認定というものは、あえてなくてもいいのかなという感じはしております。ですので、そこの部分を見直して、削ってもいいものは削ったほうが、論点としては絞りやすいのかなとは感じます。
○藤村部会長 そのほかにありますか。よろしいですか。これから、追々しかし、そんなにゆっくりではなく意見を出していただくということで、調査項目についての議論に移ります。議題(3)に入りますが、よろしいでしょうか。議題(3)は、改善基準告示の見直しについてです。資料3について、事務局より御説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 よろしくお願いいたします。資料3、A3の大きなものですが、お手元に御用意いただきたいと思います。表題に「第5回専門委員会における委員のご発言について」と書いてあり、その際の御発言をまとめさせていただいたものです。時間の関係から、あくまでも未定稿のものということでもありますので、御了解頂ければと思います。
 表の左は、現在の告示の基準を書いています。今回はトラック作業部会ですので、トラックのものをここに羅列をさせていただいております。そして、右の欄は委員の御発言ですが、赤字がトラックの労使の委員から頂いた御意見です。それ以外はハイタク、あるいはバスの委員から頂いた御意見ということです。
 まず拘束時間ですが、これは現在、基本的には原則13時間以内(最大16時間)。15時間超え拘束は週2回までということです。その中で、バスからは「15時間超え拘束は2回」というのは複雑で分かりにくいというような話がありました。それから拘束時間1か月間、これが今、原則293時間。協定があれば、年3,516時間を超えない範囲で320時間まで延長可というようなことになっています。この中では、トラックからはなかったのですが、バスからは1か月の拘束時間を新たに設けたいというようなこと、それからハイタクからは一定このぐらいの時間になるのかなというようなことも出ています。それから拘束時間1年、これは現在、協定があれば3,516時間ということですが、ここはトラックからも御意見を頂いています。まず、赤間委員から休日労働をどのように捉えるのかが、今後の見直しの争点になるというようなこと、それから馬渡委員から960時間の時間外労働の枠を意識した上で、告示を「守れる制度」に見直すことが必要だというような御意見を頂いています。それから世永委員からは、年拘束時間は、休日労働込みで3,300時間以下にすべきだというような御意見がありました。ほかのタクシー、バスについても、やはり年960時間を意識して3,300時間を意識したものにしていただきたいという御意見がありました。
 それから、休息期間です。現在、休息期間は8時間以上ですが、トラックについて貫委員から運行種別によって休息の考え方を変えてもいいのではないかというようなこと、それ以外については、例えば、休息期間は11時間に見直すべきなど、この11時間にすると歩合給のタクシーについては非常に賃金等が厳しくなる等の御意見が出ています。
 それから、連続運転時間については、これはトラックとバスについてのことですが、バスからは運転時間の規制は労働時間の管理をもって不要としてほしいというような御意見もあります。それからトラックの赤間委員から、まず車両の性能も大分向上しているというようなこと、それからデジタコで1分でも超えてしまうとオーバーになるような連続運転時間の運用は見直していただきたいというような御意見。それから馬渡委員からは、運行実態を踏まえた柔軟な運用となるように、海外調査の結果も考慮した丁寧な議論が必要ではないだろうかというようなこと。特に予見されない遅延として、不可抗力については十分な検討が必要ではないだろうかというような御意見が出されています。
 それ以外には、バスからはバスの配置基準、これは国交省の基準ですが、合わせて2時間に揃えるべきだというような御意見等々が出ています。あるいはロータリーなどで少し車両を動かした場合については、これは連続運転違反としないように運用をちょっと考えてほしいというような御意見がありました。
 それから時間外・休日労働の関係ですが、今は時間外労働の一定期間は2週間及び1か月以上3か月以内の期間を協定するということになっています。それから休日労働は、2週間に1回以内かつ、1か月の拘束時間及び最大拘束時間の範囲内というようなことになっています。こちらについては、トラックの委員からは御意見はありませんが、他の委員からは年960時間の時間外労働とは別に、拘束時間の特例を引き続き認めてもらって、休日労働をできる余地を少し残していただけないかというような御意見があったり、休日労働は、2週間に1回を維持するべきだという御意見があります。
 最後、特例の関係です。今の分割休息については、1日において1回継続4時間以上、合計10時間以上ということになっていますが、ここもトラックから御意見はありませんが分割休息特例は、基準を明確にして見直すべきである、不可抗力など一時的な例外措置として取扱を明示してほしい等の御意見が出ています。簡単ですが、以上です。
○藤村部会長 第5回の専門委員会でほかの業態から、いろいろな御意見が出され、それも踏まえて確認をしていきたいと思いますが、ここで特に労働側から具体的にこの拘束時間1日から始まりまして、特例まで全部で8項目ありますが、今のところどのようにお考えなのかという考え方、あるいは時間の実際の数字をもしお示しいただければそこも含めて、まずは御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○世永委員 細かいところまではまだ詰め切っていないのですが、ただ、現行の改善基準告示における拘束時間の上限というのは、一般に適用される労働時間に比べて大幅に上回っているものということで、皆さんも御存じのとおり3,516時間ですと時間外労働は1,170時間まで可能ということになりますので、現行法に見合った上限時間の設定がやはり我々としては不可欠だということと、やはり労働基準法の関係や厚労省の考え方からしますと、過労死、労災認定基準ということを非常に重く受け止めています。
 そもそもの話、前回の委員会の中でもさせてもらいましたが、本来我々が目指すものとしては、労働基準法の法定労働時間の上限と割増率50%以上となる時間外労働60時間、それと休憩時間ということでいきますと、具体的な数字を申し上げますと1年の拘束時間は3,060時間ということを目標に実は掲げていました。これは36協定にしますと、年の時間外労働は720時間ということになります。この数字というのは本来目指すものというふうに考えていきます。しかし、この間、発言させていただいたことを基本に申し上げるならば、拘束時間については月間275時間、年間3,300時間ということです。内訳ですが、法定労働時間週40時間でいきますと、年間所定労働時間は2,080時間、詳しくは2,084時間になります。先ほど言った厚労省さんの指針と言いますか、過労死の関係からいきますと、年960時間ということ、月にすると80時間ということです。休憩時間、これは週5日ですから、年間にしますと264時間ということから、年間の拘束時間は3,304時間となりますので、丸めて3,300時間ということで議論に参加していきたいと思っています。
 もう1つ、拘束時間の関係でいきますと、告示の第4条の5項です。これは休日の関係を含みますが、ここについては3モード(ハイヤー・タクシー、トラック、バス)とも一切現行の取扱を変える気持ちはないということを申し上げさせていただきたいと思います。この委員会なり、作業部会が始まったときに私が申し上げたのですが、我々としては総拘束時間1年間、それと月間ということの大枠を決めて、あとは使側の人と気持ちを合わせて、あるいは現場実態を見ながら詰めていきたいという思いがありますので、よろしくお願いいたします。
○藤村部会長 貫さん、ありますか、どうぞ。
○貫委員 はい、基本的には世永さんと考えを合わせて議論に臨んでいますので、大きな相違はありません。ただ、1日の拘束時間についてはやはり現状の業務等を考えれば、ここを短縮するというのは非常に難しいかなという風に私自身は思っているところがあります。ですので、労働時間の短縮、拘束時間の短縮というところでいきますと、年間の拘束時間ないしは1か月の拘束時間、こちらの方の短縮を図って日々の業務的なものについては、現行のものが追従できればいいのかなという風に思っています。
 もう1点、連続運転時間に関してですが、今、連続運転4時間ということで30分の運転離脱という風になっていますが、こちらについてはやはり一番課題になるのは長距離運行かなという風に思っています。日勤のルート配送等については、この連続運転という課題はないと思っていますが、やはり特に夜間の走行等においてサービスエリア、パーキングエリアにおける駐車の課題というのが、なかなか解消されていないという現状がある中において、4時間では止まりたくても止めることができないという現場実態もありますから、ここのところは少し緩和的な猶予も考える余地があるのではないかなと、ただこれが、どのぐらいがいいのかというところまでの考えはまだ持ち合わせていませんが、現場の声としてもそのような声が多く上がっているというのが、労働側としても実態としてありますので、少し車両性能等も向上しているという部分もありますので、少し考える余地があるのではないかなという風には思っているところです。以上です。
○藤村部会長 ありがとうございます。では、使側はいかがですか。
○馬渡委員 一番、我々も最初のときにお話はしたと思うのですが、960時間という今までなかった部分に法的な規制が掛かったということは、やはり年間でどういう風に働いていくか、それから960時間という残業の規制に伴ってどれぐらい実態と合わせてやれるか、そちらの方を重視をしたいと思っていますので、単純に計算したら3,300時間になるなという話ではないのかなと今のところ思っています。これは基本的には、やはりシンプルに決めていきたい、それからシンプルなのだからみんなちゃんと守れますよねという風に、我々も言いたい部分がありますので、その年間の拘束時間がどういう時間になるのか、今のところアンケートを取ると、3,516時間のままにしてくれという人もまだまだたくさんいらっしゃいます。いらっしゃいますが、実態をどういう風に捉えるかということもありますので、一部の方が3,516時間のままと言われるのも、そのまま鵜呑みにするつもりはないのですが、やはり守れる実態にしていきたいと思いますので、単純に3,300時間をやりましょうという話は今のところ考えてはいないです。
 反対にずっと言っていたことが、多分この集計のアンケート調査の中で若干出てきているなと思ったのは、改善基準告示の認知度合いが相対的に低いということがはっきり出ているということと、遵守が難しい理由が発着荷主での待ち時間が発生するため、それぞれ4割ぐらいの業者が守れていませんよという風に答えている。それから、もう1つは運転業務の疲労度に影響があるというところで、道路渋滞が6割ぐらいある。待機時間、荷役作業等があるという部分と、規制を強めた方がいいなと思っているのは事業者で6割、運転者では5割が特に強めた方がいいとは思っていないという風に回答している。
 それから自由意見の中で、先ほど貫さんから話がありましたが、連続運転時間を長くすることを、運転者自身が望んでいる部分がある。これはやはり4時間だと自分のバイオリズムに合わないなど、高速交通体系がよくなってきたので、必ずしもそこでぴたっと止められるとなかなかリズムが合わないなど、それからサービスエリアになかなか入れないのにどうするのかというのは現場からも上がってきています。ですから、それも含めて先ほど部会長にも申し上げましたが、少しこの平成元年の実態に伴ってアンケートを取っていただいた訳ですが、我々は今のところ思っているものは、本当に拘束時間や1日、1か月、それから運転時間、連続運転時間、そういったものを細かく本当に決めるのですかというところから発言はしていこうかなと思っています。要らないのではないですかという話を、とりあえずはさせていただきたい。
 やはり業者さんで、荷主さんごとでいろいろな労働実態があるものですから、この荷主さんだと総じて守れる、ところがこの荷主さんや長距離の実態など、そういう場合には荷主さんの、先ほど言った発着の荷主さんの影響でほぼほぼ守れないから諦めてしまっているというような実態もありますので、その部分が改善されないまま厳しく、また細かく決めても、また守れないという話になるのも、せっかく話を皆さんで労働側の方とも話をしているのに、何かこう議論が片手落ちになるのかなという風に思っています。
 やはりここはこの間、専門委員会のときに時間外や休日のところでも、バスの方だと思いますが、960時間の時間外労働と別に休日労働ができる余地を残してほしいという風に御発言されていましたが、いろいろなバスの実態、それから我々トラックの実態、それから荷種ごと、長距離なのか、近距離なのかによって問題点になるところが全部違うのです。ですから、その辺のところが荷主さんがどんどん良くなっていただいて、なおかつ現場で監督署の方がすごく頑張っていただいて、こういう部分は駄目ですよというのを、荷主さんにもちゃんと御指導を頂けるようになれば、我々も安心して規則を決めて、みんなで守りましょうと言いたいのですが、残念ながら今のところ荷主さんまで権限が及ぶことがないものですから、そこは残ったままだと、守れるものとしたらぎちぎちに決めるのではなくて、緩やかに決めていただきたい。私個人的には、やはり年間のものを決めていただくなど、細かい1日、1時間、4時間というものはやめてほしいなと思っているのが、今の時点での意見です。
○藤村部会長 はい、分かりました。赤間さん、よろしいですか。
○赤間委員 今の具体的な数字やそういうものは特段ありませんが、960時間というのは、これは明らかに守らなくてはならないというものが多分できたのだろうと思います。一方で改善基準告示があった訳です。今回、その960時間ができて、改善基準告示をどうするかという話なのだと思うのですが、まずは何を守らせるかがポイントなのだろうなという感じはします。要はいろいろなものがあって、ではこれをというのではなくて、まずは960時間を守りなさいとこういう話なのかなという受け止めは個人的にはしているのですが、そういう意味ではやはり決めた以上は守ってもらわなくてはいけない、なおかつみんなが守らなくてはいけないということですから、そこでどういう基準を引くのかなと思います。
 休日労働をどうするかという話が多分出てくるので、バスの方では960に休日労働を単純に2週間に1回ですから、年間で約24日、9時間だと216になるので3,516に恐らくなってしまう。そういう意味で多分バスの方は言ってらっしゃるのだと思いますが、別に私がそう言っている訳ではないです。ただ、そういう風に何かよく分からない話にするよりは、すぱっと960なら960で決まったものでいくなど、もうちょっとみんなが腑に落ちる、分かりやすい決め方がいいのかなと。
 もう1点、これは貫さんと私も同じなのですが、やはり長距離運行の場合、トラックの場合、ちょっと業態が違うのです。確かに休めなかったりなど、いろいろな違いがあると思います。そもそも運行の線引きも違って、休憩時間を多くして、実際の拘束時間が増えている場合も16時間以内、15時間以内でという中で、そういった実態もあると思います。そこを多分、地場で走っている車と全部同じ基準というのはちょっと難しいのかなという感じはしています。とりあえず、今のところはこのようなところです。
○藤村部会長 ありがとうございました。今の使側の意見を受けて、何か労側からありますか。
○世永委員 繰り返しになりますが、やはり2015年の先ほど申し上げた60時間超の関係から、トラック輸送における取引環境、労働時間改善の中央協議会が発足して、荷主対応を横断的にやってきたところです。
 それと平成29年6月29日の段階では、トラックの働き方改革を考えるということで、官邸の方で88の施策、これも横断的にやってもらっているということです。その後、ホワイト物流ということで、いろいろな意味で荷主に対する取組というのはしてきたのだろうと思っています。それは馬渡委員から経営感覚として、やはりまだまだということを言われていますが、我々としてはこの間、働きやすい職場、あるいは業界ということでこうしてきたつもりです。特に過労死の関係でいきますと、長距離のドライバーより日々不規則な運行をしている方が、過労死等の申請なり支給が多いということです。ここは避けては通れないということが1つと、自分の思いを申し上げさせていただくと、衆議院の厚生労働委員会の中で附帯決議として、改善基準告示の見直しを図るということを付けてもらいました。ただ、委員会開催時には、野党が審議拒否していて、これは自公の先生に付けてもらったのです。そういった先生方も含めて、政府サイドも含めてやはり長時間労働の実態があるということで、過労死の発生を防止する観点から告示見直しを行うべきだということがあります。それは参議院でも同じようなことで付けていただいたという思いがありますので、やはり過労死認定基準ということを1つのベースに置きながら、労働側としては今後の議論に参画していきたいということです。以上です。
○藤村部会長 分かりました。どうぞ。
○首藤部会長代理 先ほどの法律を作っても守れないのだったら、意味がないのではないかというのは確かにそのとおりの部分もあるのですが、今回のアンケート調査の結果から見えてきたことは、予想していた以上に法律を守っているのだという実態でした。それと、守れていないところは長距離などに限定されていることがかなり明確になっています。先ほど馬渡委員もおっしゃいましたが、九州や農産品の絡んでいる部分が守られていないという実態が明瞭に見えてきたような気がしていて、そのほかのところはかなり法令が効いている。もっと効いていないのではないかと思っていたのですが、実は結構効いているのだなという印象を持っています。
 その実態からどうしたらいいのかを考えたときに、やはり守っていない部分はある訳ですから、そこに守らせていくという方向にするのか、やはり守れないのだからみんなが守れるようにしましょうと言って緩和するのかという議論をする上で、私は社会的な動きからトラックも無関係でいられないと考えています。
 働き方改革もありますが、やはり過労死を減らしていきたい、少なくしていきたいという社会的な要請がある中で、それに応えるような形で考えていかないといけない。そうするならば、やはり一部の守れないところに守らせていくようなことを、むしろ積極的に考えていくことが重要なのではないかと思います。確かに荷主の御懸念はもっともだと思います。基準を守らずにいろいろな無理を強いてくるような荷主が一部いることは事実なのですが、その荷主のために基準を緩和していったら、悪貨が良貨を駆逐していくような事態になりかねないような気もしています。私も研究調査の中で、この間いろいろな荷主の方の話を聞いていますが、荷主側もこの改善基準告示の改正内容に関心を持っていて、どうなるのか、従来どおりトラックを使えるのかどうかということに強い関心を持っています。むしろこれを使って荷主に働きかける根拠にしていけないのかなという思いを私は抱いています。
○藤村部会長 ありがとうございます。約束を守ってくれない荷主の荷は運ばないという風になれば、多分、荷主のほうは変えますよね。
○首藤部会長代理 もう1ついいですか。もちろんこの改善基準告示や労基法などは、全て使用者責任として課される訳ですが、使用者にとってみれば荷主にだって責任があるのだという言い分だと思います。それは一部、多分正しい訳で、それを課すような仕組みも考えてもいいのかもしれないとも思います。今回の議論からはちょっとはみ出るかもしれませんが、例えば労働時間の見える化をして、荷主にも一定の責任を課していく、荷主と共有するような仕組みを考えていってもいいのかもしれません。ひどい荷主のために、みんな我慢しないといけない環境を変えていければと思っています。
○赤間委員 よろしいですか。今、首藤先生がおっしゃったのは、私もそうだなと思います。いわゆるトラック業者で言いますと、監督官庁としては厚労省、労働基準関係、もう1つが国土交通省さんの関係と2つあります。例えば過積載ということであれば、指示したお客様も罰せられる。実はこういう仕組みになっています。今のトラック事業者の実態として問題になっているのは、先ほどから問題になっているこの話と、もう1つはお客様の庭先で作業して労災が起きる、この2つです。ですので、もしもそういう仕組みが、今、首藤先生がおっしゃったような、それを指示したお客様にも何らかの責任を行政として認めて、罰則を課すということになれば、一遍にこれは多分ある程度お客様の理解も得られるのかなという感じは個人的にはします。
○藤村部会長 はい、馬渡さん、どうぞ。
○馬渡委員 赤間さんが言われたり、首藤先生が言われたとおりだと私は思っています。荷主さんをこの改善基準告示の話のときに、どうしても巻き込まないと、結局、あなたたちは守らないじゃないかという話で、また何年も経ってしまうなと。そこが労働者側の方も実態として改善されなくなる訳ですから、そこの部分というのは荷主さんに言ってすぐにぱっと線引きができる訳ではないのです。赤間さんがおっしゃったような過積だったら、あなたが悪いとはっきり言えるような仕組みが作れれば、我々も当然甘んじて経営者が悪かったから、この部分は違反があります、この部分はやはり荷主さんも含めて違反がありますということをはっきりしてほしいなというのは、ずっと思っているところなのです。その辺りのことを少し議論するか、若しくは厚労省さんのところ、現場の監督署の問題になるのかもしれませんが、何度も私も申し上げましたが、現場でいろいろな話をすると、やはり指揮命令系統、要は雇用関係にあるところは我々がちゃんと取り締まりますとおっしゃっていただくのですが、雇用関係にない。荷主さんと我々は雇用関係にないので、言われてそういうものに対しては我々の指揮権は及びませんと、はっきり厚労省さんもおっしゃいますので、そこが壁になって壁になって、いつも議論になってしまうのですが、ただちょうどこの間、専門委員会のときにILOの勧告に対して批准していない国がこんなに多いのかというのは初めて知りまして、今までILOが言っているのだから守らなくてはいけないと言われているのは何だったのだろうという風に私は思った次第です。
 反対に言うと、皆さんいろいろな国を見ていると、それぞれ国の事情で知恵を絞られているなという風に感じたところでした。過積の問題も例えばヨーロッパだったら、42、3トンぐらいは載せていいというお話が、スウェーデンだけ60トンOKなのです。それはやはり木材が重た過ぎて、60トンにしておかないと運べないという実状に国が合わせられているという話なので、労働時間になると例えば16と決めているのだが、実際2時間の特段の不可抗力があれば2時間アローアンスがありますよという風なものを見ると、やはり日本でも交通渋滞などそういう長距離の場合の休む所の問題などを加味した特例なのか、お目こぼしと言うとちょっと変な話になるのですが、これは適用は除外されますよと、やはり労使は現場の実態は分かっていると思いますので、そういったものがあってもいいのではないかなという風に思います。
 そういう観点から言うと、トラックで決める項目、それからタクシーで決める項目、バスで決める項目というのは少しずつ違う部分が出てくるのかなと、それを認めていただければ、総枠でこういう風にしましょう、でもトラックの場合はこういうふうな実態に応じて、こういうふうにやりましょうと。どうしてもここの部分というのは先ほど言ったように、荷主さんの問題などが残るという風な部分がこの場ではっきりするのであれば、やはり告示というとすごく重いものですから、告示ではないもっと緩やかな部分というのが取れないのかなということも考えたりもします。告示に書き込んであるのは、やはりこれは憲法と一緒で原理原則、ここは守らないといけないという部分というのは、書き込んでいただいて、トラックの場合の法律はこういう風に書き込みましょう、告示はこうしましょう、でもここの部分はトラックの経営者だけではどうしようもない部分、不可抗力がある。それから労働者のほうも労働者がそれで板挟みになって困るというような部分を、少しアローアンスを持っていただいて、告示ではないもっと下の辺でみんな頑張ろうみたいな話にしていただくと、守りながらここをちゃんとしましょうという議論はできるのですが、ばしっと決めるとやはりもう無理だと、今のところもう無理だと諦めている業態の方もいらっしゃるので、特に農産品を長距離で運んだりという部分は、どうしようもない。でも、JAさんなどとお話すると、やっとJAさんたちも、今、危機感を持っていただいて、運べなくなるのだったら大変だから現場を何とかしようよと、それから運ぶ仕組みをちょっと変えよう、一番大きなパレット化で全線高速で行かせてくださいという風な話ができれば、劇的にそこも変わると思うのですが、変わるまでの間は告示でこうなっているのだから、原理原則、これだからもう駄目です、これはもうアウト、野球のプレーみたいにはなかなかいかないので、我々としてはやらなくていいという認識はないのです。やらなくてはいけないことは、大枠であるのですが、実態でちゃんと進んでいくのであれば、その辺が告示で全部決めようではなくて、もうちょっとこの部分というのは告示の中ではなくて、もうちょっと緩やかな部分で残していただけないかなという風には思います。以上です。
○藤村部会長 双方からいろいろな御意見が出ておりまして、今日は何か決めるという場ではなくて、これからの議論のための題材をお出しいただくということになっております。今までのところで、何か事務局からございますか。
○監督課長 馬渡委員がおっしゃったとおり、労働基準法の原則というのは、あくまでも使用関係のある中で、使用者にどう責任を果たしていただくかというところを法律で規定し、それを労働基準監督官が指導させていただくという仕組みですので、その枠を超えた部分については、なかなか今の枠組みでは難しいところがございます。ですので、荷主対策については、業種別の対策として、国交省さんあるいはほかの関係省庁の皆様と対策を考えていくということになろうかと思います。
 ただ、一方で働き方改革関連法案を国会で御審議いただく中で、やはり中小企業を中心に労働時間法制を守る上では、発注者の努力も必要だという議論がございまして、議員修正で、これは労働基準法ではなくて労働時間等設定改善法ですが、こちらで発注者の頻繁な発注の変更とか、そういったことをしないように、それは、もう一方の事業主の労働時間改善の努力を損なわないように、そういうことをしないようにしましょうということを、努力義務ですが明記いたしました。
 そういうことは一歩だと思っておりまして、私どもも、その規定に基づいて、現在、周知啓発という形で罰則ではないのですが、努力を少しずつ始めているところです。これが荷主対策のところです。
 また、馬渡委員から、「全般的に改善基準告示がかなり重いので、告示は告示で柔軟に下位のレベルも含めて検討すべき」という御意見を頂きました。ただ、一方で馬渡委員からもございましたが、ルールですので、シンプルで守れるルールにするという観点も非常に重要かと思っております。ですから、そこのバランスもあろうかと思いますので、引き続き皆様方の御意見を頂いて、最終的な御結論を頂ければと思っております。
○藤村部会長 世永さん、どうですか。
○世永委員 改正事業法の関係では、時限立法の部分もありますから、それはそれで、また国会での対応は必要なのだろうと思っております。
 何回も言いますが、我々の目標は過労死の関係を何とかストップさせなければいけないということで、2015年あるいは2017年から具体的に動いてきたということがありますから、そこは過労死の関係というこの数字については、入口も出口も変わらないという考えで参加しているということです。
○藤村部会長 やっぱり約束を守らない荷主の荷は運ばないというのが一番いいと思うのですが。
○馬渡委員 それに関連してですが、たまたまコロナになって、荷主もいろいろと考える暇ができたというように思うべきか、本来は全ての自動車労働者、自動車運転者に対して、この規制が始まるのだと。我々は緑ナンバーだけではなくて、白ナンバーの方も一緒なのだと。今、世永さんが言われたような労働者の立場から言えば、トラック運転、緑ナンバーの運転手さんも、普通の自家用トラックを運転している運転手さんも、同じ健康とか、そういうのが規制されているのだろうなと、ざっくり思っているのですが、実際に荷主の話を聞くと、白ナンバーに走られたり、軽運送、一人親方、一人事業主に、Amazonを筆頭に走られたり、中国みたいに何か規制があったら対策があるよというような話にだんだん日本もなってきていて、これで済むなら緑ナンバーは使わなくていいではないかという議論も、荷主さんの間では進んでいるのも事実ですし、大手を中心に、できるだけ緑ナンバーが使える白ナンバーを増やしてほしいと。できたら年中使いたいとおっしゃっている元請がいらっしゃるので、そういう議論とごちゃごちゃになりつつ、コロナで荷物が少なくなればなるほど、今のところ、そのような状況ですね。
 多分、荷物が増えてきたときに、それが野放しのままで終わるのか、頑張られるのかがよく分からないのですが、それが、まん延してしまうとそれが実態になって、緑ナンバーできっちりと決めて守りましょうと言った途端に、「では、こちらでいいです」というネットワークと言うか、一人親方の軽運送のネットワークが出来つつありますから、全国で出来上がってしまいましたと。一人事業主は夜中八丁まで奥さんと一緒に働いてもいいのではないかと勘違いされている荷主さんもいらっしゃるので、それは違うでしょうと我々は言いたいのだけれども、いたちごっこであるのは間違いないです。モグラたたきにならないように、人間がちゃんと健康に働けるようにしましょうというのが原理原則だったら、そこら辺りもきちんとしていただきたいというのもありますし、できれば、我々はずっと自営転換ということを言い続けてきていましたので、白ナンバーから緑ナンバーに届出をされたらいかがですかと。昔は認可制でしたから、自営転換と言ってもなかなか難しかったのが、今は許可ですから、やろうと思えば荷主は緑にできるのです。でも、緑にされないで白のまま使いたいと思われるのは、都合が悪いところがあるからだと思っています。我々が一生懸命守ろうとしている部分が、できたら守らなくて済むように自社のトラックでやりたいと思われていると思いますので、本当にそれでいいのですかというのも、ちょっと問いたい部分はあります。
 ここの議論とはちょっと違うかもしれませんが、我々は真面目に、この議論は緑ナンバーの枠の中できちんとしたいと思うのですが、現実はもっと先に行っていると言うか、そういうところに逃げられている荷主さんというのがたくさん出てきたなというのが実感です。
○世永委員 今、馬渡さんが言われた白ナンバーの関係については、トラック協会の坂本会長が言われているとおり、バス、ハイタク、トラックは絶対に駄目だということを、政労使で取り組むべきだろうと思っております。
 国交省さんが来ているので、これは確認になるのですが、実は平成30年の3月30日に自動車局の安全政策課長と貨物課長と整備課長の方で通達を出しています。この中身というのは、貨物自動車運送事業の安全、要は輸送安全規則の解釈及び運用で、事業者が運転者、個人事業主であったとしても、勤務時間及び乗務時間を定める具体的基準については、いわゆる改善基準告示だということで、告示の1,365号でも出ていますので、そういったことを行政の方としては馬渡さんが言われる仲介屋も含めて徹底していかないと、いろいろなドキュメントで滅茶苦茶に稼げるという形で軽自動車の関係を報道されてしまうと、真面目に働いている法人の関係者は泣いてしまいます。そこは徹底していただきたいということを申し上げさせていただきます。
○貫委員 このようなことを言うと使用者側に失礼な言い回しなのかもしれませんが、小さな関連組合を回っていて、荷待ちの課題、積込時の課題ということで、先般も言われたのが、複数の倉庫を回らないといけないと。1つの荷主においても、複数の倉庫を回って、しかもそれが順番待ちで積込みをせざるを得ない。これが多くのところでの実態だと思うのです。そうすることによって、出庫して出発するまでに数時間かかってしまって、それで拘束時間が取られてしまうから、なかなか守ることが難しいのだという地方の現場の声も聞いてきました。
 ただ、そのときに、そこの荷主はどこかを聞くと、大手のメーカーですが、間に運送事業者が入っているのです。その運送事業者の指示で、どこに行って積めと言われていると。
 物流総合効率化法などがあって、そういった集約化を図りましょうということは行政にもいろいろとやっていただいているのですが、運送事業者としても、まだまだやっていない部分があるのではないかと感じております。やはり、そういうところは我々の加盟組合も入っているということで、我々としても、もっと実運送をするところに対する配慮というものも、運送事業者、元請事業者としてはやっていかないと、大手だけが守れる改善基準告示だとか、いろいろな事業法ではないのだということを、我々は加盟組合に対しても言わないといけないと思いますが、やはり事業者サイドでも、もう少し言っていただけているとは思うのですが、まだまだそこまで伝わっていってないのかなと、この間も出張先で感じたところがございました。
 これは地方だけの問題ではなくて、全国的な問題だろうなと感じている部分があります。そういうところから改善していかないと、いくら改善基準告示で、労働時間を短縮しましょう、皆が過労死しないようにしましょうとか、守れる基準にしましょうということでやっても、結局は元の木阿弥に戻ってしまうのではないかと感じている部分がございます。大変失礼な言い方になったかもしれませんが、率直な感想として言わせていただきました。
○馬渡委員 全然失礼な話ではなくて、先ほどざっくりと、私も「荷主」と言いましたが、恥ずかしながら、元請の運送事業者もその中に入ったつもりで申し上げましたので、確かにいろいろな元請の方がいらっしゃる、荷主さんに対して物が言えなくて、実運送のところに無理を言わせているという元請の方もいらっしゃると。これは大小あると思います。
 ただ、個々の同じ運送事業者でも、指揮命令系統がないわけです。雇用ではなくて契約で縛っているだけですから。ですから、同じ運送事業者でも、荷主さんでも、このように最低限は憲法で保障されているわけですから、健康的な生活を送れるという部分に反する部分というのは、厚労省さんなりどこかで、きちんと指摘ができる、若しくは罰を与えられるという話にならないと、残念ながら守らない人が多すぎて、白ナンバーの話も一部かもしれませんが、みんな穴を探して、「このようにした方がいいですよ」というコンサルがたくさんいらっしゃるものですから、すぐに次の対策を打たれるのです。
 ですから、我々も若干空しい部分はあるのですが、緑ナンバーできちんとやっていきたいなと。それから、白ナンバーであまりにもひどいことがあるのだったら、緑に転換してくださいという話をできるような議論になれば、改善基準告示をきちんと決めたので、このようにしましょうという話ができるのですが、すごくいい成案を得たとしても、穴だらけだったら結局は誰も守れないということだけは避けたいなと。せっかく決めるのだったら、きちんと皆が守れるようなものにしたいというつもりでずっと発言をしていますので、必ずしも労働者側の発言を無視している訳ではないのですが、お互いに立ち当てるように、埋めるところは逃れられないようにちゃんと守ろうよと言えるようにはしていきたいと。
 それで、ばんとやったら、すぐにみんな守る訳ではないですから、さっき言ったように、順次締め上げていくではないですけれども、そういうやり方をすると、やらざるを得ないのだというような感覚になってもらわないと、全体が難しいなと思いますので、白ナンバーの件も含めて、そこはきちんと労働者も使用者も変わりないし、バスもタクシーも、バスも厳しい事故があったのだけれども、友だちのバス事業者に聞くと、やはりひどいという話です。一時的にはよかったのだけれども、結局、今となってはひどいという話も聞きますので、元の木阿弥にならないようにはしたいなと思っています。
○藤村部会長 最終的に、消費者が動くと企業は変えるのです。この会社は、こういう運送業者の使い方をしていてけしからん。この会社の製品は買わないというようになっていくといいのです。例えば最近ですと、新疆ウイグル自治区の新疆綿というとてもいい綿花が取れるのですが、あそこで相当ひどいことをやっているらしいと。新疆綿を使っている製品は買わないようにしようという動きが、ちょっとずつ出てきています。広い意味でのSDGsだと思うのです。そこにまで繋がっていくと、荷主の方も変わるのでしょうが、ちょっと距離がある話になるかもしれません。
○馬渡委員 カーボンニュートラルの話などは、意外とビビッドに話を聞かれたりされます。そういう部分はですね。だから、先生がおっしゃったように、ESGに引っ掛けたりとか、SDGsに引っ掛けたりして、白を使っていると、あなたの所はこうですよというように全体で言えるといいなと思うのですけれども、なかなかお金に関わる部分しかピッと反応されないのです。
○藤村部会長 いろいろ御意見が出ておりますが、今日はこの辺りでということでしょうか。
資料2に戻っていただきまして、先ほど必ずしも確認はしていなかったのですが、実態調査の実施時期とか、調査対象数の辺りについて、どういう考え方で、例えば調査対象の事業場を決めるかとか、その辺りを過重労働特別対策室長の方からお願いします。
○過重労働特別対策室長 委員の先生方から、通常時とコロナ禍の比較をしたいという話が幾つかございましたので、例えば1つの案として、今年、トラック705事業場に配布したのですが、257件から回収できております。この257件については、追跡調査をして、それ以外は通常の調査を行う形でもいいかと思っております。そのようなことも検討させていただいておりますので、また委員の先生方には御相談させていただければと思っております。
○藤村部会長 そういう調査の仕方については、何か御意見はありますか。
○馬渡委員 追跡の部分は、答えられたところは同じようなことを追跡するという部分もあると思いますが、さっきちょっと申し上げたのは、荷種によって答えられたところが、満遍なく答えられたのだけれども、その中で3割ぐらいは問題があるという部分があるとすれば、荷種なのか地区なのか、それから業態というもので、事業場を、少しターゲットを絞って送っていただくのもありなのかなと思っています。
○赤間委員 今、馬渡委員から話が出ましたが、多分、業態によって大分違うと思うのです。先ほど拘束時間の7割はほぼ守られていますが、3割は守られていない。3割が昔ながらの仕事をしているのかどうなのか、そこにはいろいろな問題があると思います。変な商習慣が昔からそのままとか、いろいろな要因があると思います。そこを見える化した方が、この後の議論も絞れるのかなという感じを受けていますので、切口を幾つか分かるようにしていただければなと思います。
○藤村部会長 今回、トラックの回収率が36.5%ということで、なかなか高かったと思うのですが、ちゃんとやっていらっしゃるところが主に答えているのかもしれないのです。こういうアンケート調査をやったときの悩みどころはそこで、あらゆるところが満遍なく答えた結果36.5%だったらいいのですが、よくやっていらっしゃるところに偏っているという懸念はありますよね。前回調査との比較を念頭に置きながら、今年度の調査はやってみたい、そういう部分も是非入れてみたいと思います。
 予定の時間は4時までなのですが、会議が早く終わるのはいいことだと思っていますので、この辺で本日の会議は終わりたいと思います。最後に次回の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
○中央労働基準監察監督官 次回のトラック作業部会の日程につきましては、日時、場所等調整の上、追って御連絡させていただきます。議事録につきましても、後日御確認いただきますので、よろしくお願いいたします。
○藤村部会長 それでは、これを持ちまして第1回自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会を終了したいと思います。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。