第38回 社会保障審議会生活保護基準部会 議事録

日時

令和3年4月27日(火) 10:00~12:00

場所

AP虎ノ門11階C+D室
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)

出席者(五十音順)

 

議題

・部会長選出及び部会長代理指名について
・生活保護基準の検証に係る検討課題について
・その他

議事

(議事録)
○梶野社会・援護局保護課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第38回「社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
本日はお忙しいところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
まず、本部会を構成する委員でございますが、今回、新たに本部会の委員に就任していただいた方もいらっしゃいますので、改めて委員の皆様を御紹介させていただきます。五十音順に御紹介いたします。
お手元の資料1「社会保障審議会生活保護基準部会委員名簿」を御覧ください。
東京都立大学人文社会学部教授、阿部彩委員。
○阿部委員 よろしくお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 京都大学経済研究所教授、宇南山卓委員。
○宇南山委員 宇南山です。今回から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 明治大学公共政策大学院教授、岡部卓委員。
○岡部委員 よろしくお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 一橋大学経済研究所教授、小塩隆士委員。
○小塩委員 小塩です。引き続きよろしくお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 明治学院大学社会学部教授、新保美香委員。
○新保委員 新保です。私も今回から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 もうすぐいらっしゃると思いますけれども、上智大学総合人間科学部教授、栃本一三郎委員。
それから、本日御欠席ですけれども、慶應義塾大学経済学部教授、山田篤裕委員。
それから、国立社会保障・人口問題研究所室長、渡辺久里子委員。
○渡辺専門委員 渡辺と申します。よろしくお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 よろしくお願いします。
以上の8名でございます。
また、事務局側においても御紹介させていただきます。
橋本社会・援護局長。
○橋本社会・援護局長 橋本でございます。よろしくお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 岩井大臣官房審議官。
○岩井大臣官房審議官 岩井でございます。よろしくお願いします。
○梶野社会・援護局保護課長 それから、本日は欠席ですけれども、高橋社会・援護局総務課長。
私は、保護課長の梶野と申します。よろしくお願いいたします。
続きまして、橋本社会・援護局長より一言御挨拶申し上げます。
○橋本社会・援護局長 社会・援護局長の橋本でございます。よろしくお願いいたします。生活保護基準部会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、多くの委員の皆様には前回の生活保護基準の検証から引き続いてということで、また、新保委員と宇南山委員におかれましては、新たに本部会の委員をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。心より感謝を申し上げたいと思います。
さて、生活保護制度でございますが、改めて私から申し上げるまでもなく、国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する、そういう我が国の社会保障における最終のセーフティネットの仕組みでございます。新型コロナウイルス感染症の影響が昨年から長期にわたる中、生活保護制度の果たす役割ということにつきましても、国民の関心が高まっている状況でございます。
生活保護の基準につきましては、これまでも本部会で検証していただいた上で必要な見直しを実施してきたわけでございますが、これからもこの生活保護制度が有効に機能し、国民の信頼・納得の得られる制度であり続けるように、引き続き、適切な水準が保たれているかなど、必要な検証・検討を進めてまいりたいと考えてございます。
委員の皆様におかれましては、忌憚のない御意見を賜りたいと考えておりますので、それぞれの御専門の知見を存分に発揮して御議論いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。
私からの挨拶は、以上でございます。よろしくお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 今、栃本委員がいらっしゃいましたので、改めて御紹介させていただきます。上智大学総合人間科学部教授、栃本一三郎委員でいらっしゃいます。
○栃本委員 初回遅れまして申し訳ありません。場所が不案内で迷いまして遅れました。大変失礼しました。
○梶野社会・援護局保護課長 続きまして、事務局より本日の委員の出欠状況の報告と資料の確認をさせていただきます。
○大熊社会・援護局保護課長補佐 大熊と言います。よろしくお願いします。
本日の委員の出欠ですが、山田委員より御欠席と報告を受けておりまして、その他の委員の方は御出席いただいております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、本日は一般の方の傍聴は御遠慮いただいており、報道機関の方のみの傍聴とさせていただいております。議事録につきましては、後日、ホームページに掲載いたしますので、御承知おき願います。
続いて、本日の資料でございますが、議事次第に続きまして、
資料1 社会保障審議会生活保護基準部会 委員名簿
資料2-1 生活保護基準部会について
資料2-2 生活保護基準部会の設置について
資料3-1 生活保護基準の検証に係る検討課題について(案)
資料3-2 社会保障審議会生活保護基準部会報告書
資料3-3 これまでの議論を踏まえた検討課題と論点の整理
資料4 今後の生活保護基準部会のスケジュール(案)
参考資料 生活保護制度の概要等について
となっております。
資料の不足等ございましたら、事務局までよろしくお願いします。
○梶野社会・援護局保護課長 続きまして、本部会の部会長について確認を行いたいと思います。
各部会における部会長につきましては、社会保障審議会令第6条第3項におきまして「部会に属する委員の互選により選任する」、つまり、親審議会の委員でいらっしゃる小塩委員、新保委員に御相談申し上げたところ、互選により小塩委員にお願いすることで御了承いただいておりますので、小塩委員に生活保護基準部会長のお役をお願いしたいと思います。
それでは、部会長、以後の議事進行をお願いいたします。
○小塩部会長 小塩です。どうぞよろしくお願いいたします。部会長を務めさせていただきます。
それでは、最初の案件です。社会保障審議会令第6条第5項の規定によりまして、私が不在の場合に議事の進行をお願いする部会長代理を、部会長である私が指名することになっております。これにつきましては、栃本委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○小塩部会長 栃本委員、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。
前回、平成29年12月に開催いたしました部会において、それまでの議論を踏まえた報告書が取りまとめられております。また、今年の3月には「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」において、これまでの議論を踏まえた検討課題と論点の整理が取りまとめられたところです。
ただ、今回、新しく委員に就任された先生方もいらっしゃいますので、まず、本部会の設置の趣旨等につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○大熊社会・援護局保護課長補佐 資料2-1「生活保護基準部会について」について簡単に御説明いたします。生活保護基準部会での審議を再開するに当たりまして、まず、本部会の位置づけについて御説明させていただきます。
資料2-1の1ページになります。これらは、生活保護基準部会の設置の前提となる部分として、生活保護基準の設定の概要を記載しています。
1つ目のマルです。生活保護の基準につきましては、生活保護法に基づき厚生労働大臣が定めることとされています。
2つ目のマルです。このうち、生活扶助に係る基準については、昭和59年度以降、一般国民の消費実態との均衡上の妥当な水準を維持するよう設定しているところです。
3つ目のマルです。こうした中、生活扶助基準については、平成16年の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」の報告書における提言を受け、平成19年以降、定期的に生活扶助基準の検証を実施しており、その検証結果を踏まえて基準を定めています。
2ページです。これらは、今、申し上げました基準の在り方を前提として、基準部会の設置の趣旨及び審議事項について記載しています。
1つ目のマルです。生活保護基準部会は、生活保護基準の定期的な評価・検証について御審議いただく専門の部会として設置されています。
2つ目のマルです。このうち生活扶助基準の検証は、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを見極めるため、消費実態に係る統計調査データ等を用いて、専門的かつ客観的に実施する必要があるとされています。
3つ目のマルです。また、こうした評価・検証に当たっては、生活保護において保障すべき最低生活の水準が、一般国民の生活水準との関連において捉えられるべき相対的なものであるという基本的な考え方を踏まえて行うものとなっています。
以上となります。
○小塩部会長 ありがとうございます。
生活保護基準部会の性格について、復習させていただいたところですが、ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
次に、今後、この部会において議論を進めていくわけですが、それに当たりまして、大まかな方針を議論しておく必要がございます。この点につきまして事務局より資料を提出していただいておりますので、それに基づいて御報告をお願いいたします。
○大熊社会・援護局保護課長補佐 資料3-1になります。今回の生活保護基準部会における「生活保護基準の検証に係る検討課題について(案)」を御説明いたします。
1ページになります。令和3年、令和4年の生活保護基準部会での検証の進め方についての案となります。
枠の中です。1つ目のマルで、基準部会の設置の趣旨等に基づき、次の検証等を実施し、結果を取りまとめることとしてはどうかと考えています。
(1)生活扶助基準の水準等の妥当性の検証
(2)生活保護基準の体系に関する検証
(3)前回(平成29年)検証後、平成30年度以降の生活保護基準見直しの影響分析
(4)その他(上記以外に検証が必要とされるもの)
としています。
2つ目のマルです。これらの検証に当たっては、次ページ以降に示す検討課題について議論した上で実施することとしてはどうかと考えています。
2ページになります。この2ページから3ページで、生活保護基準の検証に当たって、議論することを想定している検討課題について記載しています。これらは、前回(平成29年)生活保護基準部会報告書において指摘されている課題のほか、令和3年3月に「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」において取りまとめた論点について挙げているものになります。
なお、「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」については、平成29年基準部会報告書での指摘を踏まえ、今回の基準検証に向けた当面の検討の場として、31年3月から開催していたものとなります。
今回の検討課題について、枠の中を御覧ください。
「(1)生活扶助基準の水準等の妥当性の検証」に関する内容として、「ア 2019年全国家計構造調査のデータに基づいた検証方法について」「イ 水準の検証に用いるモデル世帯について」「ウ 調査実施時点以降の社会経済情勢の変化の反映について」「エ 新たな検証手法の開発等について」という検討課題を挙げています。
3ページになります。「(2)生活扶助基準の体系に関する検証」としては、「ア 生活保護基準における級地区分の検証について」「イ 生活扶助基準の第1類・第2類の区分の検証について」を挙げています。
「(3)前回(平成29年)検証後の生活保護基準見直しの影響分析」に関しては、その分析方法について。
「(4)その他」は必要に応じて追加で検討するものとなります。
各検討課題の内容については、次のページ以降、少し具体的な検討事項として整理していますので、そちらで説明します。
5ページになります。まず、「(1)生活扶助基準の水準等の妥当性の検証」に関するところで、「ア 2019年全国家計構造調査のデータに基づいた検証方法について」、「1 消費支出の季節性に関する評価」で、検討事項の枠内です。
1つ目のマルです。「一般世帯の消費実態のデータに基づいて検証を行うことは一つの妥当な考え方であるが、そのような検証方法を採る場合、使用するデータが検証の目的に照らして十分に国民の実態を捉えているという前提が必要である」ということが基準部会報告書で指摘されています。
2つ目のマルです。こうした中、引き続き、2019年全国家計構造調査のデータによって国民の消費実態を捉え、生活扶助基準の検証を実施する場合、この調査の対象月が10月、11月の2か月間であることに関してどのように評価するかということで検討課題を挙げています。
なお、検討に当たっての留意事項として、点線の枠内ですが、制度上、「冬季における光熱費等の増加需要に対応するものとして冬季加算や、年末において増加する食費・雑費等の経費を補填するものとして期末一時扶助が別途支給されている」ことについて、留意する必要がある旨、記載させていただいています。
6ページになります。参考1として、2019年全国家計構造調査の前回調査からの主な変更点、参考2として、基準部会報告書の指摘箇所の抜粋などをつけています。
7ページになります。引き続き、2019年全国家計構造調査のデータに基づいた検証方法についての検討課題として、「2 データのサンプル数に関する評価」です。
検討事項の枠内の1つ目のマルです。生活保護世帯の約8割が単身世帯であることからも、単身世帯の生活実態を把握することは重要である。
2つ目のマルです。全国消費実態調査については、現在実施されている消費支出に関する調査の中ではサンプル数も多く、構造分析が可能な調査ではありますが、単身世帯のデータは、サンプルの確保などに課題があると基準部会報告書で指摘されていたところです。
3つ目のマルです。一方、2019年全国家計構造調査では、2014年全国消費実態調査から単身世帯の標本規模が拡大され、統計精度の向上が図られたところです。こうしたことも踏まえ、当該調査のデータを用いるに当たって、そのサンプル数の規模や統計精度をどのように評価するかという点を検討課題としています。
8ページは、参考です。
9ページです。引き続き、「ア 2019年全国家計構造調査のデータに基づいた検証方法について」の「3 2019年10月の消費増税等の影響に関する評価」です。
検討事項の枠内1つ目のマルです。2019年10月には、消費税率が引き上げられ、同時に、軽減税率制度や幼児教育・保育無償化が実施された時期となります。
2つ目のマルです。こうした中、2019年全国家計構造調査の調査対象期間は2019年10月、11月であり、その調査結果は、こうした制度改正の影響を受けている可能性がありますが、これをどのように評価するかという点になります。
次に、10ページです。「イ 水準の検証に用いるモデル世帯について」の「1 高齢者のモデル世帯の設定のあり方について」です。
点線枠内で補足となりますが、「モデル世帯」とは、生活扶助基準の水準検証を行う際、消費実態との比較対象として用いる世帯を指す用語として用いています。
また、この「モデル世帯」に関する過去の経緯として、基準改定の基軸とする「標準世帯」が33歳、29歳、4歳の3人世帯であることを踏まえ、過去から「モデル世帯」の1つには「夫婦子1人世帯」が設定されています。
これを踏まえた検討事項ですが、1つ目のマルです。高齢者世帯については、生活保護世帯の中で大きな割合を占めていることを踏まえれば、モデル世帯として設定し、その生活実態を把握することを検討すべきとされています。
2つ目のマルです。これに当たって課題とされているのが、生活扶助基準との比較対象とする高齢者世帯の範囲は、収入だけでなく資産の状況も踏まえて検討する必要があるということです。特に、その際、高齢者世帯では自分の寿命を長く見込んだり、将来の不確実性に備え、資産の取り崩しのペースを抑えて消費していることが指摘されていること等に留意する必要があり、対象世帯の設定方法はどのようにすべきかということが検討事項になります。
11ページは、参考となります。
12ページです。引き続き、「イ 水準の検証に用いるモデル世帯について」の「2 複数のモデル世帯を設定する場合の展開方法について」 です。
点線枠の中で補足となります。「展開」という用語ですが、生活扶助基準の設定に当たっては、「標準世帯」(33歳、29歳、4歳の3人世帯)に係る生活扶助基準額を算定し、これを基軸として、世帯人員数・世帯員の年齢階級別に基準額を設定しているものとなりまして、これを「展開」と呼んでいます。
この「展開」に用いる、級地、世帯人員数及び世帯員の年齢階級の較差を示す指数を「展開指数」と言い、平成24年検証、平成29年検証においては、この「展開指数」についての検証が実施されたところです。
検討事項の枠内、1つ目のマルです。複数のモデル世帯を設定する場合、各モデル世帯の生活扶助基準額の検証は、それぞれの消費実態と比較して行うこととなりますが、一方で、各モデル世帯の消費実態を基軸とし、それぞれ展開した場合に、その水準同士に齟齬が生じる可能性があります。
その場合、複数のモデル世帯の消費実態の水準の接続をどのように行うべきかという点が検討事項になります。
13ページです。「ウ 調査実施時点以降の社会経済情勢の変化の反映について」になります。特に、「・新型コロナウイルス感染症による影響等の評価」について、挙げさせていただいています。
検討事項枠内、1つ目のマルです。大枠としては、前回の基準部会報告書でも指摘されていますが、現在の生活扶助基準については、検証に用いる2019年全国家計構造調査の実施時点以降における消費動向等の社会経済情勢が反映されているものとなりますが、2019年時点でなく、現在の生活扶助基準について評価・検証を行う場合、どのように実施すべきかという点。
2つ目のマルです。特に、2020年以降は新型コロナウイルス感染症による影響等で社会経済情勢が変化している可能性があります。これを踏まえて、どのように生活扶助基準を評価すべきかという点について検討していただくものと考えています。
14ページです。「エ 新たな検証手法の開発等について」になります。その中で、「1 費目ごとの最低生活の水準についての検討」です。
まず、補足として、背景を点線の枠内に記載しています。前提として、生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民生活における消費水準との比較における相対的なものとして設定されていることを踏まえ、生活扶助基準の検証については、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るという考え方を基本とするということになります。
ただし、この場合、比較する消費水準が低下すると基準額が絶対的な水準を割ってしまう懸念があることが前回の基準部会報告書で指摘されています。このため、「新たな検証手法」として、その下支えとなる最低生活の水準の設定について、「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」において論点整理が行われました。これを踏まえて検討を行うものとなります。
検討事項枠内1つ目のマルで、基準検討会において「消費支出の中には数量が不足すると用をなさないものもあることを踏まえれば、一般低所得世帯の消費実態との相対的な関係により最低生活の水準を検証する場合にも、生活扶助相当支出を全体として評価するだけではなく、食費、通信費、教養娯楽費等の費目ごとに必要な水準を検討する必要がある」という論点が示されたところです。
2つ目のマルです。この費目ごとに必要な水準を検討するに当たっては、2019年度の調査研究事業として実施された「MIS手法による最低生活費の試算」及び「主観的最低生活費の試算」の結果について、検証の基礎データとなる「全国家計構造調査」による一般低所得者世帯の消費支出との比較を行うほか、現行の生活保護基準の下での生活保護世帯の消費支出の状況である「社会保障生計調査」の結果との比較を行うことが挙げられています。
3つ目のマルです。その際、費目ごとの比較方法とその検証結果について、具体的にどのように行うかという点を検討課題とさせていただいております。
15ページは、参考となります。
16ページです。次に、「2 保護基準で踏まえるべき社会的経費の水準についての検討」になります。
検討事項枠内のマル、1つ目で、基準検討会の論点整理において「社会参加の状況や健康状態を含めた生活水準は、金銭給付の水準のみによって評価されるものではなく他の支援と相まって確保されるものであることに留意しつつ、保護基準で踏まえるべき社会的経費の水準については、生活の質を確保する観点からも検討する必要がある」とされたところです。
2つ目のマルです。併せて、基準検討会においては、生活保護世帯の生活の質を把握する観点から「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」について、これまで不定期の実施とされていたものを定期的な(3年ごとの)実施とするほか、社会的必需項目に関する調査項目を充実する等の見直しをすることが提案されていますが、こうした社会的経費について、生活の質を確保する観点からも検討する場合に、どのように行うのかという点について検討課題とさせていただいています。
17ページが参考で、18ページです。「3 マーケットバスケット方式による最低生活費の試算の検討」になります。
検討事項枠内1つ目のマルで、これに関しては、基準検討会の論点整理において、次のとおり示されています。
1つ目、「マーケットバスケット方式による最低生活費」については、今回具体的な試算結果が示されておらず、今後、今日の社会に即した形での算出可能性や、代替される手法を含めて、引き続き検討を行うことが必要ではないか。
2つ目で、諸外国における公的扶助制度については、その制度設計や社会保障制度上の位置付けが国によって様々であり、我が国の生活保護制度との単純比較ができないが、今後、マーケットバスケット方式等の手法による最低生活費の算出を検討するに当たり、部分的に諸外国の手法を採用すること等も考えられるのではないか。
2つ目のマルです。こうした論点について、今後どのように検討を行うべきかということを検討課題として挙げています。
なお、下の点線枠内ですが、2019年度及び2020年度には、諸外国における取組等を含めたマーケットバスケット方式による最低生活費の算出に関する調査研究が実施されたところですので、今後部会で御議論いただく際は、まず調査研究の内容を報告させていただくことを考えています。
19ページが参考で、20ページになります。ここからは、生活保護基準の体系に関する検証に関する検討課題です。「ア 生活保護基準における級地区分の検証について」、「1 地域の生活水準を示す指標についての検討」です。
検討事項枠内1つ目のマルで、平成29年の基準部会報告書での指摘を受けて、級地制度のあり方に関する検討に当たって、どのような指標により地域別の生活水準の違いを評価することができるのか、生活水準の地域差の要因分析をどのように行うかという点を挙げています。
なお、検討に当たっての留意事項ですが、2020年度には、委託事業として「生活保護基準における級地制度に係る調査研究等」を実施したところです。今後、部会で御議論いただく際には、まず調査研究の内容を報告させていただくことを考えています。
21ページ、引き続き、級地関係です。「2 各市町村の級地区分の指定の妥当性について」
1つ目のマルで、この検討課題の背景として、「現行の級地区分については、昭和62年(1987年)に見直しを行って以降、基本的な枠組みは変わっておらず、市町村合併による上位級地への統合以外の見直しは行われていない」ということがあります。
2つ目のマルです。各市町村における生活実態(消費支出の傾向)は、市町村合併や経済状況の変化により、昭和62年(1987年)当時から大きく変化している可能性があります。
3つ目のマルです。こうした背景の中、部会での御指摘も受けまして、各市町村の級地区分の指定の妥当性について、統計的にどのように検証するかという点を課題として挙げています。
なお、こちらに関しても、今後、基準部会で御議論いただく際には、調査研究の内容を報告させていただきたいと考えています。
22ページです。級地区分の関係、引き続き、「3 級地の指定単位の妥当性について」です。これは、基準部会報告書での指摘事項となりますが、現行の指定単位が市町村単位であることについて、実際の生活の営みが行政区域にとどまらないことについての指摘があります。それを踏まえ、指定単位の妥当性を検証する場合には、どのような方法が考えられるかという点を課題に挙げています。
ただし、検討に当たっての留意事項に記載していますが、市町村単位よりも細かい地域区分での利用可能な統計データは限られる可能性がある。
次に、制度運用上、級地の指定単位を現行の市町村単位から細分化等を行うことは、各自治体内におけるその具体化の難しさや、制度運用がさらに複雑になること。また、現状の運用等を踏まえれば、現時点では困難と考えられること。これらについて御議論いただければと考えています。
23ページです。「4 級地の階級数の妥当性」について。
検討事項枠内のマル、1つ目です。まず、背景の話となります。前回、昭和62年(1987年)に行った級地制度の見直しでは、当時、級地間における一般世帯の生活実態に相当の較差が認められたことを踏まえ、従前の3級地から現行の6級地制に級地区分が細分化されたところです。
2つ目のマルです。その後、平成24年(2012年)及び平成29年(2017年)に行った生活扶助基準の検証において、級地間の消費水準の差が従前の基準額の較差よりも小さいとの分析結果が示され、これを踏まえて、生活扶助基準額の級地間較差は縮小されてきました。
3つ目のマルです。こうした経緯を踏まえ、級地の階級数を現行通り6区分設けることの妥当性を検証すべきではないか。また、検証を行う場合、どういった方法が考えられるかという点を検討課題として挙げています。
なお、級地の階級数に関する指摘については、2020年度の調査研究でも、有識者の方々から指摘がありました。今後、部会で御議論いただく際は、さきの課題と同様、まず、その調査研究の内容を報告させていただきたいと考えています。
24ページです。次に、「イ 生活扶助基準の第1類・第2類の区分の検証について」です。
検討事項枠内の1つ目のマルで、前回の平成29年基準部会報告書で御指摘を受けたものとなりますが、現在の生活扶助の第2類の基準は、級地・世帯人員数に応じた額が設定されていますが、世帯人員の年齢区分については考慮されていないという点について御指摘があったところです。
2つ目のマルです。つきましては、第2類の基準に年齢区分を設けないことの妥当性について検証する場合、どのような方法が考えられるかという点になります。
また、仮に第2類の基準として世帯人員の年齢区分に応じた額が設定される場合、生活扶助基準を第1類と第2類に区分することの妥当性について、どのような方法で検証することが考えられるかという点について、検討事項とさせていただいています。
25ページです。「(3)前回(平成29年)検証後の生活保護基準の見直しの影響分析」です。これは、基準部会報告書の中で、基準額の見直しによる影響について、その実態を継続的に把握し、今後の検証の際は参考にする必要があるという御指摘があったところですが、その分析方法についての検討課題になります。
「ア 生活扶助基準(本体)の改定の影響分析について」「1 生活保護世帯において生活の質が維持されているかの分析」「2 被保護者調査による保護の開始・停止・廃止の状況の分析」「3 社会保障生計調査による生活保護世帯の消費支出の変化の分析」「4 福祉事務所へのヒアリングによる影響把握」とあります。これらは、基準検討会において論点として整理された事項となります。これらについて、具体的にどのような方法で検討を行うかという点を検討事項として挙げています。
26ページは参考で、27ページになります。(3)生活保護基準の見直しの影響分析についての続きになります。前回(平成29年)検証後は、有子世帯の扶助・加算の見直しとして、「児童養育加算」「母子加算」「教育扶助及び高等学校等就学費」の見直しを行ったところです。その影響分析をどのように行うべきかという点が検討事項となります。
28ページです。最後に、「(4)その他」、「ア 生活扶助以外の扶助や加算等の検証について」です。
1つ目のマルです。生活扶助以外の扶助や加算等の基準検証は、これまでも生活保護基準部会で行ってきたところです。
ただし、こうした検証に関しては、基準部会報告書において「まずは厚生労働省において、検証に必要なデータ収集・整理や検証手法の開発を、データが利用可能となる時期を踏まえて、適切に行っていくことを求めたい」とされています。
3つ目のマルです。その際、「特に、各種加算については、生活扶助基準(第1類費及び第2類費)では賄い切れない特別な需要に対応するためのものであり、特別な需要(生活課題)は何か、その特別な需要に対応するためにはどのような費用が必要かという観点から、他法他施策との関係にも留意しながら検証を行う必要がある」と指摘されているところです。
4つ目のマルです。こうしたことから、今後、生活扶助以外の扶助や加算等の基準の検証が必要とされる場合には、厚生労働省において、その検証手法を検討するものと考えていますが、もし何か留意点等あればということで検討事項としています。
以上が、今回、生活保護基準の検証に係る検討課題の案となります。ここで挙げた各課題については、次回以降、議論を深めていただくという趣旨で説明させていただきました。
また、資料3-2として、前回の基準部会の報告書、資料3-3として、基準検討会の論点整理をつけていますので、参考として御覧いただければと思います。
次に、資料4「今後の生活保護基準部会のスケジュール(案)」を御覧ください。生活保護基準部会では、今後、令和3年から令和4年にかけて、今、御説明したような検討課題について議論を行っていただき、令和4年12月までをめどに報告書のとりまとめができればと考えています。
まずは、次回、生活保護基準の体系の検証として、級地区分に関する統計的な検証方法について御議論いただき、その後、令和3年度中は、「生活扶助基準の検証の準備、関連事項の整理」として、過去の基準見直しの影響分析、調査研究事業の報告と今後の研究課題の整理、全国家計構造調査のデータの評価等を行っていただき、令和4年度に「生活扶助基準の検証」を実施いただくというスケジュールを考えております。
事務局からの説明は、以上となります。
○小塩部会長 大熊さん、詳細にどうもありがとうございました。
今、御説明がありましたように、この部会で来年の12月まで、どういう作業をしていくのか、どういう問題を検討していくかという論点整理をしていただきました。それから、スケジュールについても御説明がありました。これから皆さんと一緒に議論していくわけですが、今日は1回目ということですので、フリーディスカッションという形をとって、皆さんの御意見を伺いたいと思います。
その前に、私から注意事項を申し上げます。渡辺委員は、ほかの委員とはステータスが違いまして、専門委員となっていらっしゃいます。規程上、私が発言を求めないと発言できないという形になっているようです。それは非常に不具合だと思いますので、いかがでしょうか。渡辺さんにも自由に議論に参加していただくということで、皆さん、了解していただけますでしょうか。我々もぜひ御知見を伺いたいと思いますので、皆さんと御一緒に議論に参加していただくということでよろしいでしょうか。
これから私が断らなくても、忘れているかもしれないので、自由に発言していただければと思います。それは、次回以降もそういう扱いでよろしいですか。事務局の方、特に問題ございませんか。では、ぜひお願いいたします。
それでは、今日の話に早速入りたいと思います。今、大熊さんに整理していただいた課題につきまして、コメントをいただきたいと思います。こういう課題が漏れているのではないかという御指摘も結構ですし、整理していただいた課題について質問とか、確認したいことがあれば、ぜひお願いしたいと思います。
それでは、お手が挙がっていますので、阿部委員からお願いいたします。
○阿部委員 ありがとうございます。
それでは、いくつかコメント等を申し上げさせていただきたいと思います。私もこの生活保護基準部会に関わって長くなってきましたので、これまでの議論も踏まえてということですけれどもね。
一番最初に、課題としてはものすごく沢山あるのですけれども、これを全部1回でやるのはほとんど不可能かなと思いますので、今回、22年度末までですので、1年間ないわけですけれども、それまでにできるところとできないところをあらかじめ、初回か次々回ではっきり整理しておく必要があるかなと思います。
その上で、今回、例えば級地というものに初めて手をつけて、委託事業も終えられたということでありますので、そこが1つ、大きな山としてあるのかなと思いますし、また、生活扶助本体の基準検証は欠かせないものですので、その2つをやれればいいのではないかと私自身は思っております。ということで、めり張りをつける必要があるなというのが1点目になります。
もう一つが順番なのですけれども、過去の基準の見直しの影響分析を1年目にやっていただく、これは非常に重要かと思っておりまして、それを踏まえた上での様々な議論というのがあります。そういった意味では、1つ気になるのが、過去の基準の見直しというときに、前回の5年前のときからの基準の影響というだけでいいのかというところです。というのは、毎回、基準見直しの影響をやっていますけれども、1回1回では、基準自体もそれほど大きく変わったりしないのですね。特に、前回は消費税がアップしたり、色々あって、基準はそれほど変わらなかったので、余り影響がないとなってしまうことも多いのですけれども、もう少し長いスパンで考える必要もあるかなと思っております。
例えば、過去3回分ぐらいは、ずっと色々な引下げがあったりしているわけですので、そういったものをトータルで見る必要があるかなと思っています。と同時に、生活扶助本体の見直しというだけではなくて、例えば住宅扶助も変えてきたり、先ほどの級地の関係で言えば、級地の偏りですね。この10年ぐらいでかなり変わってきていますので、その影響というのも、1回1回、二、三年ずつぐらいやっていても全然見えないので、それを大きな目で見た上でということで、実は前回、前々回でも級地の傾きについては、かなり改定していますので、級地区分をやる前にそこの影響も見たいなという気はいたします。
恐らく、検証するのに様々な計算とかが必要になって、1回目でそれを出すのは難しいという事務的な問題もあるかなと思いますし、とりあえず、昨年度に終わった委託事業の結果をこの場で議論するのが重要かと思いますので、その回はやるにしても、それで何かを決定するという前には、過去の級地の傾きを動かしてきたことによる影響というのがどういったものがあるのかというのは、ぜひ見てみたいところではあります。
もう一つは、比較的マイナーな点なのですけれども、新たな手法の開発についてということですけれども、これも何回も議題に上がっていて、いつも新たな手法の開発を検討するということで終わっているのですね。なので、それぞれの委託事業等もありますので、それらをどのようにこの後、取り入れていくのかという議論をもう少し具体的にやる必要があるかなというのが2点目になります。今回、費目別にも検討するというのは新しいところかなと思いますので、そういったところでも、具体的に新たな手法をどのように取り入れるかという結論を、22年度末の報告書の中には、これからも検討するではなくて、確としたことを書けるようになりたいというのが2点目になります。
3点目は、このスケジュールで見ますと、生活扶助基準の検証の実施が来年4月から、1年後になっているのですけれども、すみません、私のこれまでの経験ですと、既に7月ぐらいには検証が終わっていないと、報告書の色々なところに書き込んだり、次の年の生活保護の予算に組み入れるのが難しくなったり、色々な問題が起こってくるので、実質的には夏までが勝負という感じはあるのですね。そうしますと、4月から始めて間に合うのかというのがありまして、これまでも比較対象となる対象サンプルをどこに取るかということだけでも、何回も基準部会をやっているのです。第1・十分位を決定するところまで。なので、そのペースでやっていると全然間に合わないという気がいたします。
そういうことを考えると、生活扶助基準の検証の実施、データのアベイラビリティの問題はあるかなと思いますけれども、できるだけ前倒しで今年度中から始めたほうがいいのではないかということは感じているところです。
以上となります。
○小塩部会長 ありがとうございます。これまで非常に豊富な経験を積まれた阿部委員ならではの御意見かと思うのですが、いくつか重要な御指摘がありました。
まず、メリハリをちゃんとつけましょうということですね。
それから、検証については、前回の結果の検証だけではなくて、もうちょっと長期のスパンでやったほうがいいのではないかということですね。
また、阿部委員、今日御欠席の山田委員、駒村前部会長も参加されていましたが、新しい手法については、もう少し踏み込んだ検討があってしかるべきだろうという御意見もありました。
スケジュールについては、今日御提案いただいたのですが、今までの御経験からすると、もうちょっと早めに検証作業を始めたらどうかという御意見もありました。
以上の御意見についてでも結構ですが、それ以外について、何か御意見、御質問ありますでしょうか。今の阿部委員の御発言について、事務局サイドからお答えすることがありましたら、お願いいたします。
○森口社会・援護局保護課長補佐 阿部先生、御意見どうもありがとうございます。事務局の森口でございます。
まず、今回は、御指摘いただきましたように課題点が非常に多い状況となってございますので、まさにめり張りをつけてというところは、御指摘いただいたとおり進めていくことができれば、円滑に進むかなという感想を持たせていただきました。
具体的な点として御指摘いただいております、過去の影響分析の部分などにおきましては、特に住宅扶助や級地の関係など御指摘いただいておりますけれども、住宅扶助は別ですが、級地の関係で言うと、過去の改定というのは、どうしても生活扶助基準本体の改定の中の一部として行ってきている部分がございますので、そこだけ取り出してどういう影響があったかというのは、技術的に可能かどうかということも含めて、ちょっと確認しないと難しいというところがございますので、一応、1点補足させていただきます。
あと、現時点で申し上げられるところで申し上げますと、新たな検証手法、まさに御指摘のとおり、重要な課題と認識しているところでございます。こうしたことがどういうふうに取り入れられるかということで、まさに具体的な御議論を今後いただいていくのかなと思うのですけれども、生活保護基準部会の立てつけの観点からだけ、まず1点申し上げさせていただきますと、基本的にこちらで行っていただく検証というのは、その趣旨にも書かせていただいておりますとおり、一般国民の消費実態との均衡の中で、水準の妥当性を検証していくといったものとなってございます。
そうすると、どうしても消費の実態と切り離して考えることはできないものかなと思います。それを基本としつつ、どういった評価の方法ができるかという観点で、今後、御議論いただくのかなと承知しているところでございます。
また、最後、スケジュールの観点をおっしゃっていただきましたけれども、まさにできる限り作業が後ろ倒しにならないように、まさに計画的に進めていかないといけないといったところでございまして、承知いたしました。
どうもありがとうございます。
○小塩部会長 ありがとうございます。
では、宇南山委員、お願いいたします。
○宇南山委員 宇南山です。
私は、今回初めてなので、基本的なところから少し確認させていただきたいです。今、森口さんのほうからも御説明があった、この部会の議論の範囲というところを確認させていただきたいのです。色々勉強させていただいたところ、生活保護制度の概要から理解すると、基本的には生活扶助の標準世帯が中心にあって、恐らく議論の中心はそこの水準になると思います。
そこから様々な世帯類型に展開していくという話と、級地、つまり地理的な部分での調整が入って、その他各種の加算があり、さらに生活扶助以外の扶助が加味されるという、ベースのところに色々なものが足し算されていく制度になっていると考えられます。普通の生活保護受給者以外の一般世帯は、そういった区分なしに生活実態を決めているわけでして、水準が均衡しているかというときに、特定の支出について特定の地域の特定の類型の人だけを比較するというのはほとんど意味がなくて、展開するときの指数が妥当なのか、展開した後の生活水準と一般の似た類型の人の生活水準と均衡しているかを比較していかなければいけないと思います。
データの制約もあって、それがなかなか難しいということで議論がかなり絞られて、生活扶助の中のモデル世帯を中心に議論せざるを得ないのは仕方ないと思うのですが、それ以外の部分との関係、たとえば、ここに加算があるなら生活扶助本体の中にはなくてもいいとか、展開するときに調整されるべき項目だからなくていいとかも議論する必要があると思います。また、最低生活費というものを考えるのであれば、本当に外せない支出があるなら、それは加算の形で出したほうがいいのか等も検討の必要があるのではないか。これは、制度の設計全体に関わる話と不可分だと思うのですけれども、そこの部分について、この部会がどこまで議論することが許されているのかという、制度全体の立てつけについて、どの程度許されているのかを、少し教えていただければと思います。
○小塩部会長 制度の立てつけに我々がどこまで踏み込めるのかという御質問。私も、それは非常に関心がある点なのですが、今回は検証に重きを置くということで、立てつけ自体にどこまで踏み込めるか、その点について、いかがでしょうか。
○森口社会・援護局保護課長補佐 宇南山先生、御指摘どうもありがとうございます。
まず、基準部会でどこまで踏み込めるのかといった話ですけれども、基本的には、どういった御議論をいただくのかというところについては、自由ではあります。ただ、そもそもこの社会保障審議会の親会のほうで了解いただいております設置の趣旨に関して申し上げると、その枠組みとしてというか、趣旨としては、一般国民の消費の実態との相対的な関係によって妥当な水準はどこにあるのかということを検証いただくということが基本的な考え方で、部会が設置されているというところでございます。
その中で、制度上の加算になりますと、これはいわゆる生活扶助基準本体と少し考え方が違う形で設けられている部分もございますので、そこまで全て一般国民の消費実態との相対的な均衡によって、同じスキームで評価できるかというと、多分ちょっと違ってくる部分ではございます。
基本的にここでメインでやっていただきたい、生活保護基準部会の趣旨に照らしてやっていただきたい部分というのは、スタンダードな、いわゆる標準世帯だったり、一般的に生活保護の基準の設定に当たって想定されているような世帯類型で、まず妥当であるかどうか、そこから、御指摘ありましたとおり、平成25年の報告書、平成29年の報告書にもございましたが、年齢区分別や世帯の人数別、それから級地の別での消費の較差がどのようになっているかといった分析に照らして、妥当かどうかということ。こういったことを主として意図して設置されていると理解しているところでございます。ただ、必ずしも議論を制限するといったものではございません。
○小塩部会長 阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 おっしゃるとおりかなと思います。今までも部会の中では、例えば加算のことだけをやる回もあったし、例えば冬季加算だけをやるときもあったし、住宅扶助だけをメインで基準部会をやったときもありますので、生活扶助だけではないと思うのですね。ですけれども、今回は生活扶助をやると決める。加算の議論とか、全部やると大変だということなのかなと思うのですね。なので、トータルで考えなければいけないのですけれども、加算がこの基準部会での議論ではないということではないということですね。
○小塩部会長 森口さん、いいですか。
○森口社会・援護局保護課長補佐 ありがとうございます。
御指摘のとおり、例えば加算額が妥当かどうかといった検証を、この部会の場で行っていただくというのは、過去からもやってきておりまして、当然、必要に迫られれば、今回の部会の中でももちろん実施していただいて問題ない内容と理解しているところでございます。
ただ、もっと制度そのものの枠組みにさらに踏み込んだような議論というのは、なかなか現実的ではないという部分がございますので、基本的に現行ある制度が本当にこれで妥当なのかという検証をまず行っていただくということが、一義的にお願いしたい事項になるのかなと考えております。もちろん、それは加算も含めて、生活扶助だけではない、その他の扶助も含めて、ここが重要だというポイントに関しては、まさに御議論いただきたいと考えているところでございます。
○小塩部会長 宇南山委員、お願いします。
○宇南山委員 非常に理解できました。加算については、恐らく水準均衡という考え方ではないというのは、なるほどというところで、今回のメインの議論からは外れるというのは理解しました。ただ、扶助の種類とその額の妥当性というのは、水準均衡というものを考える際には不可欠だと思います。特に最低生活費との関係で言うと不可分で、例えば粉ミルクを必ず買わなければいけない、ほかの財では全く代替が利かない、という場合には、恐らく生活扶助の中の総額でコントロールするような立てつけは余り望ましくなくて、本当にそれが絶対に外せないものであるならば、新しい扶助、もしくは新しい類費みたいなものをつくることと密接に関係してくるのかなと考えています。
もし新たな手法を考えるような場合、もしくは最低生活費みたいなものを考慮していかなければいけないということが議論になるのであれば、生活扶助の中の枠内でやるのはちょっと難しいのかなというのが1点ありました。
あと、もう一つ、先ほど言い忘れたのですが、阿部先生からもありましたが、5年分だけだと足りないのではないかというのは、私も感じていまして、1回ごとのコロナがあったとか、消費税が引き上がったという特殊要因があって、今回だけ調整しますということがある種許容されてしまうと、5年前はどうだったのですか、10年前はどうだったのですか、どういう事態なら特殊要因とみなすのですかというところを一貫して説明する必要が出てくるのかなと思います。
私のスタンスとしては、客観的な統計に基づいて、それがやや特殊な状態を示していたとしても、原則としては粛々と統計に基づいてやっていくのが客観的でいいのではないかと思うのですが、それはまた議論するとしまして、長期で見て、今回、何か特殊要因があるということを議論するのであれば、少し遡って議論する必要があるのかなと思います。
以上です。
○小塩部会長 ありがとうございます。
では、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺専門委員 渡辺です。
今、宇南山先生が御指摘された箇所ですけれども、資料2-1「生活保護基準部会について」という資料をつけていただいています。本部会の名称は、生活保護基準部会となっていて、その目的は生活保護基準の定期的な評価・検証となっています。生活保護基準には、当然ですけれども、全ての扶助が含まれていますし、各扶助に加算がぶら下がっているわけですので、基準を構成する扶助・加算等は全て検証の対象になるものと思っています。ただし、特にコアの生活を支える生活扶助基準というものが重要になっていまして、その算定方式の在り方というのが問われているところだと理解しています。
生活扶助基準は、第1類・第2類の本体部分があり、生活扶助に該当する支出は全て第1類・第2類でおさまればよいですが、特別需要などを勘案し切れない支出があり、そういった部分について加算になるのだろうと思っています。そのため生活扶助の第1類・第2類だけではなく、加算も本部会の射程に入ってくるのではないかと思います。
それから、部会の役割については、資料3-1の1ページに※印で示していただいております。生活保護法にあるとおりという感じなのですけれども、部会の役割は、客観的な統計分析を実施して、生活保護基準の妥当性の評価・検証を行うことであり、最終的な判断・決定は、厚生労働大臣がされるということです。客観的・専門的に評価するというのが役割だと理解しています。
それから、阿部先生、宇南山先生、御指摘されたとおり、10年以上にわたって基準の見直しが続けられていますので、長期的な影響分析が必要かと思います。それから、2017年検証の結果、数回に分けて基準改定されているかと思いますので、例えば2017年と18年を比較するだけじゃなくて、基準改定のあった年度全て含めて検証していただく必要があるのかなとも思います。
それから、ちょっと脇にそれますが、ここまでできるかというところもあるのですけれども、前回の改正で、学習支援費が実費支給になったと思います。これまでは基準額が設定されていて、保護費として支給されていたところが、実費支給になったときにちゃんと利用されているのか、申請しなければ給付されないということになったので、必要に応じて利用いただけているのかというところは、気になるところではあります。
長くなって恐縮ですけれども、今回、最初に阿部先生、御指摘いただいたとおり、検討課題がすごく増えています。前回検証のときは、水準が均衡しているかのみだったわけですけれども、今回は下支えとなる水準を下回っていないかというところの検証も入りますし、30年、40年弱ぶりに級地制度の見直しも図るというところもありますし、データが違うというところもある上に、コロナ禍だというところで、かなり盛りだくさんでして、水準検証だけでも、阿部先生御指摘いただいたとおり、最後、かなりばたばたになっていた部分もありますので、かなり計画的に検証等を行っていただく必要があるのかなと思います。
特に、全消の調査方法が変わった影響について検討課題として挙げられていますけれども、単身世帯を増やしたといっても、家計調査の調査客体を全消に統合しているということで、家計調査については宇南山先生が御専門かと思いますけれども、家計調査の調査客体を全消に統合して大丈夫なのかどうかとか、その辺、原課の統計局がどういうふうに説明されているのかというところも、早急に取りまとめていただく必要があるかなと思いました。
以上です。
○小塩部会長 渡辺委員からも、たくさんやることがありますので、計画的にやる必要があるという御指摘がありました。私もそのとおりだと思うのですが、事務局、よろしいですか。先ほどの御説明につけ加えるところはございますか。
○森口社会・援護局保護課長補佐 いえ、特につけ加える点はございません。計画的に今後検証を実施していくという点につきましては、検討させていただきたいところでございます。
あと、単身世帯の評価につきましては、事実関係を統計局のほうに確認させていただいて、具体的な議論は今後の部会の中でということになりますけれども、その際には、こちらで確認できました内容等はお示しさせていただきたいと考えているところでございます。
○小塩部会長 ありがとうございます。
栃本委員、お願いします。
○栃本部会長代理 先ほど、検討項目を今日拝見して盛り沢山だということなのですけれども、1つのことでも大変だというのはよく分かるのですけれども、後々、今回の検証作業というか、生活扶助の基準というものをこの委員会で報告する際に必ず出てくるのが、こういうことについては全然考えなかったのかとか、こういうことについては全く無視したのかとか、そういう指摘を受けることがすごく多いと思うのですね。したがって、第1回目にこれだけ盛り沢山なことを示すということは、事務局からするとやむを得ないということと。
それと、もう一つは、先生も含めて、あと駒村部会長さんも含めて、前回の報告書を出した後、特に一番後ろに書いてある部分がありますね。あれも、最終的にはこの基準部会で何回も文章を修正しましたね。それに基づいて、先ほどの絶対的な水準を割ってしまうようなことがあるのでということも、一番最後のときに書き加えられましたね。その後、そのための委員会が設けられて、さらに級地はまた別途設けられたわけですので、そうすると、前回の報告書を踏まえてその後直ちに設置されました検討委員会の色々な御指摘というものを、今回の基準部会である種反映する、それを踏まえて議論をしているのですよという書きぶりというのはどうしても必要になると思うのです。
というので、第1回目ですから、従来の形とは少し項目が多く見えるのだけれども、それはこの数年間、前回の報告書を出した後、それぞれの専門家の先生方が、級地は級地、もう一つは、その在り方、新たな手法の開発とか、そういうものについて議論されたわけだから、それについて全く触れることなくというか、それに言及することなく項目立てをつくること自体がちょっとふさわしくないということなので、私としては、そういうことを踏まえたから、こういう書き方になったのだということだと理解しています。
それと、もう一つは、前回の審議会での報告書の後、政府として国が基準を示して、その後、具体的にその結果、報告書で示された留意されるべきこととして指摘したことを含めて現実にどうだったか、その部分というのは、今回、特に重要だと思っています。色々なことがあり、これはコロナだけではなくて、水準というものが先ほどの絶対的なものを下回らない云々というのがありましたけれども、そういうものが実際にはどうであったのかの検証というのは、前回の基準の改定、政府が行った改定を踏まえて、結果的にどうだったかということを、正確にというか、きちんと見る。統計上は色々限界があるというのはあるでしょうし、限界があるということを踏まえた上で、それも書きつつ、そこをすごくしっかり行うということは、今回の部会の役割の中では結構大きな大切な部分だと思いました。
以上です。
○小塩部会長 ありがとうございます。
今日、提示していただいた課題は、かなり盛り沢山ではあるのですが、それぞれ重要な課題ですので、ここはやめましょう、ここは脇に置いておきましょうという扱いじゃなくて、我々もできるだけ丁寧に検討していく必要があると思います。
では、岡部委員、お願いいたします。
○岡部委員 皆さんがおっしゃられたことと重なる部分があると思いますが、お話しをさせていただきます。
はじめに生活保護基準の検討する意義について。これは、国民最低限の生活を検討するということでもあり、生活保護基準だけではなくその他いろいろな制度の参酌すべき基準としても使われ、重要な役割を担っています。
次に守備範囲と進め方について。今回は、多くのテーマを検討することになっています。参考資料で8つの扶助についてよく整理されています。その4ページに、生活扶助から葬祭扶助まで記されています。
生活扶助の基準の検討に関わる加算の関係はその基準の範疇に入ります。それ以外扶助で出されることについて、今回、いろいろと意見を述べられるのはよいとしても、生活扶助本体で考えていくことがよいのではないかと考えます。栃本委員がおっしゃられたように、いろいろな議論を交わす、しかしながら、生活扶助基準についてしっかりと検証されることになると思います。
それで、先ほど出された加算の話で冬季加算のお話が出ましたが、私個人としては、2003年から4年にかけての福祉部会「生活保護制度の在り方に関する検討会」で、生活保護の全面的な見直しが行われるなかで、冬季加算、要するに暖房費以外にも夏季加算も考える必要があると、その当時、発言したことがあります。これは、環境変化に応じて、Ⅱ類の世帯共通経費の中にこういった費用をどう考えるかということも、冬季加算と併せて検討していただくことはどうか。
また、先ほどミルク代の話が出ましたが、これは人工栄養費と言って、現在は人工栄養費は取り外していますが、以前はその費用は人工栄養費として加算を行っていた時代があります。それを外した経緯と、また組み込むのであるならば、この生活扶助の中で検討する余地があるのではないかと思います。
この辺りのところ、生活扶助の議論をする中で、全体的な議論をしていくことになります。ある程度は自由に発言させていただいて、その上で客観的に妥当性を持った根拠を提示されればよいと考えます。
そして算定方式について。水準均衡方式は1984年から導入されていますが、これはある面では非常によい算定方式と考えます。しかしその後に、いろいろと課題も出され、それを補正するために、別の算定方式の見直しをしたらよいのではないかという意見が出され、阿部先生、渡辺先生、駒村先生等がその検討を行っています。その算定方式をわれわれに示していただき、水準均衡方式で進めていく利点や、他の算定方式ではどう算定されるかなどをお示ししていただければと思います。
これは、前回の報告書でもそのことが指摘されています。
あと、級地について。級地はどこまで検討するか。これは技術的に非常に難しい面があると考えます。平成の大合併もありましたし、この辺りのところは、生活扶助の基準以外の扶助基準も関連してきますので、検討するならば慎重に行っていただきたいと考えます。
最後に生活保護の基準は、冒頭に言いましたが、国民が注目していることでもあります。この生活保護基準を参酌して、いろいろな制度に活用されています。
また、生活保護の実務を行うに当たり、最低生活費を計算して収入との対比で扶助費を決定していきますが、計算が非常に複雑となっています。これは制度設計に関連しますが、基準部会では、この水準の妥当性を検討していただき、もし制度に踏み込むならば、つまり、最低生活費の体系を制度設計上、変更していくならば、新たな検討の場を設けていただいたほうがよいのではないかと考えます。
本部会の守備範囲は、実態から妥当性・客観的性があるデータを示していただくことでよいのではないかと考えます。
以上です。
○小塩部会長 ありがとうございました。他の制度にも波及しますので、我々は丁寧に議論していく必要があるということですけれどもね。
1点だけ、事務局の方に確認したいのです。今、岡部先生が級地の御指摘をされまし、これが話題に上るのは次回以降。それ以降のスケジュールについて、この部会では、次回か次の回ぐらいで議論して、あとは事務的に作業するという理解でよろしいですか。それをちょっと確認しておきたいです。
○森口社会・援護局保護課長補佐 1点、補足を含めて、今の御指摘でございますけれども、級地の関係につきまして、まずこの生活保護基準部会でどういったところまで見ていただくかというお話であったかと思うのですけれども、基本的には、統計分析に基づいた客観的な検証まで行っていただくことを考えております。統計では分からないような自治体個別の事情というものも当然ございますし、他の制度への影響というものもございますので、基本的に部会の場では技術的・専門的な検証を行っていただいて、その結果を踏まえた上で厚生労働省のほうで実際どういうふうな見直しを行っていくかということを、今後検討していくという形で進めていきたいと考えているところでございます。
そうした中で、級地に関するところにつきましては、スケジュールでもお示しさせていただいたように、まず次回、議題として挙げさせていただきたいと考えているところでございます。可能であれば、昨年度、調査研究事業を行っておりますので、その報告等をお示しさせていただいて、その内容で技術的に問題がなければ、次回のみと考えております。もし非常に課題が残るような形であれば、今後の議論の中でということはあり得るかなと思いますけれども、基本的には次回お示しさせていただいて、その内容について技術的な観点で問題がないかということを見ていただきたいと考えているところでございます。
すみません、発言させていただいたので、1点、先ほど岡部先生からいただきました点について少し補足させていただきますと、用語の話になってしまって恐縮ですけれども、水準均衡方式といった場合は、基本的に一般国民の消費の実態に照らして、相対的に妥当な水準を維持するように基準額を調整していく仕組みのことを指していると考えてございます。一方で、生活保護基準部会で基本的に趣旨として行っていただくことを想定しておりますものは、そういうふうに調整が行われていますことを前提に、今、妥当な水準になっていますかということを、専門的・客観的な知見から見ていただくということでございます。
その見ていただく際にどういった手法があるのか。これまでで言えば、一般低所得者世帯との水準比較によって行ってきているわけですけれども、こういった検証方法として、まさに委員の先生方、阿部先生や渡辺先生、本日いらっしゃらない山田先生も入っていただいて、何らか新たなものがないかということで、この2年間御議論いただいたものと承知しているところでございます。
以上でございます。
○小塩部会長 ありがとうございます。
新保委員、いかがでしょう。
○新保委員 ありがとうございます。
委員の先生方のお話をお伺いしまして、生活保護基準を検証するという非常に重要な場にこうして御一緒させていただいているということの重みを実感しております。
この間、「生活保護基準の新たな検証手法の開発に関する検討会」ですとか、様々な調査研究をなさっておられます。ぜひ、そうしたところで検討されたり、研究されたことの知見を生かしながら検討できたらよいのではないかと思った次第です。私からは、以上です。
○小塩部会長 ほかにいかがでしょうか。
では、私から簡単なコメントをさしあげたいのですが、ほかの委員の方々も少し触れていらっしゃいましたコロナです。検証のベースになるデータは2019年という、ちょっと前のデータで、それ以降、皆さん御存じのように、経済情勢が非常に流動的です。生活保護を受ける方も増える傾向にあると私も承知しているのですが、その足元の極めて流動的な状況を、どこまでその検証の作業に反映させていくのか、あるいは反映させないのかというのは、非常に微妙なところだと思うのですね。
現時点でどうお考えですかと御質問しても、答えに窮するところがあるかと思うのですが、リアルタイムで我々、コロナに直面しながら議論していかないといけません。それについて、どうお考えになっているのか、今の事務局のスタンスを御説明いただければありがたく思います。
○梶野社会・援護局保護課長 シンプルに申し上げると、そこも御議論いただければと考えています。ただ、事実としては、今度の生活保護基準は令和5年度からの基準になります。現に、このコロナの影響もあります。新しい生活様式ということで、新しい消費構造というか、そういったこともあります。それから、生活保護基準につきましても、今回、教育扶助のところで通信費というのを見ています。まさに、コロナ後の消費構造の変化の影響を受けて見直しもしています。ただ、いずれにしても、その時期の消費増税の消費への影響、コロナの消費への影響をどう取り扱うのかは、また専門的に御意見いただければと考えています。
○小塩部会長 現時点でお答えするのは非常に大変だと思いますので、それで結構かと思うのですけれども、我々もちゃんと真剣に議論していかないといけない問題だと思いますので、それを意識しながら検討していきたいと思っています。
他に先生方、いかがでしょうか。御意見ありましたら。よろしいですか。何かつけ加えることはございますでしょうか。
では、宇南山先生、お願いします。
○宇南山委員 今、小塩先生の御質問と課長からのお答えがあったのですけれども、恐らく阿部先生が最初におっしゃっていたスケジュールの問題も考えると、コロナの進展を見ながらというのはもっともな判断ではあるのですが、よし、これは反映させなければいけないとなった時に間に合わないようなことになってしまうのだとすれば、もしかすると反映させるのか、させないのかというのは、かなり序盤のほうで議論しておいたほうがいいのではないかという印象を抱きました。
○小塩部会長 渡辺委員。
○渡辺専門委員 宇南山先生、おっしゃるように、コロナの影響を見通して、2022年にこの報告書を出して、2023年の改定にどこまで盛り込めるのかというのは、利用できるデータがあるかも含めてですけれども、なかなか厳しいのではないかと思います。
ただ、消費税については、2019年10月に実施された際、引き上げ前の駆け込み需要、10月、11月、反動減が起きていたのではないかと思いますので、そこをどうやって平年度化するかというのは、テクニカルにちゃんと議論する必要があるのではないかと思います。
それから、先ほど事務局から水準均衡方式云々というお話がありましたけれども、改めての確認ですけれども、資料3-2としてつけていただいた前回の部会での報告書の27ページに、一般低所得世帯との均衡のみで基準の水準を捉えていると、比較する消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念があることからも、これ以上、下回ってはならないという水準の設定について考える必要があると記載されていますし、このことについては、国会の附帯決議にもなっていたかと思います。
ですので、今回、水準均衡方式で設定されたモデル世帯の水準が、これ以上、下回ってはならない水準というものを下回っていないのかどうかという検証は、必ずせねばならぬことと理解しています。
以上です。
○小塩部会長 栃本委員、お願いいたします。
○栃本部会長代理 先ほど申し上げましたように、今回非常に重要なのは、前回の制度は国が最終的にやられた保護基準というものについていろいろ指摘を受けているわけで、その後、現実の低所得者の消費実態と、まさに前回改定による生活保護の要保護・被保護世帯の生活状態というものを、できる限りきちんと正確に可能な範囲で明らかにするということが一番大きい重要なことだと思うのですね。当然、コロナについて、もちろんデータのことで、2019年のデータしか大きいものがないということではあるのだけれども、令和5年からの保護基準に適用されるものについて、先ほど事務局のほうからもあったが、消費の組立てもかなり変わったということはたしかですね。事実、その中で国民は生活しているわけだし、低所得者の人も生活保護の人たちも暮らしている。
事務局からもお話があったように、通信費については、こういう形で所与の手当てをしているという話があったわけですけれども、リアルな現実の生活というものがあるわけですから、これは統計上、データ的に非常に難しいことがあったとしても、リアルな制度であるわけだから、これはコロナのことについて勘案するというか、言及する。その上で見る。見るというのは、要するに令和5年から適用される基準というものを考えたときに、そもそも絶対的な水準を割ってしまう懸念があるということは、前の報告書の一番最後にも示したわけだけれども、絶対的な水準については色々あるわけだけれども、ある種の傍証とかある種の検討で、これは危ないなというものはいくつも例示とかは挙げられるわけですね。
心理学的に絶対的基準はこれだというのを示すのは、本当のことを言うとなかなか難しいのだけれども、これは絶対的基準と想定されるものにかなり影響を与えている、ないしは問題があるという個別の例示と言うとあれだけれども、そういうものは示せると思うのですね。
ということで、コロナの影響下における、そして、その後のというか、令和5年がどうなっているか分からないけれども、基準というものの中に、コロナ禍における生活変動とか消費の組立て、あと収入の変化というものを全く見ないわけにはいかない。つまり、基準部会では必ず見なければいけないということだと私は思います。
○小塩部会長 ありがとうございます。
よろしいですか。
水準均衡方式の議論が出ましたが、経済が右肩上がりであれば、平均的な消費水準、掛ける0.7とか0.7.5で一気にやって、あとは統計も見なくてもいいぐらいで作業は終わったかもしれません。現在は状況が全然違いまして、むしろ経済がずっと低迷していく下で、場合によっては岩盤を掘るような事態になっているとも指摘されています。そうなると、栃本委員がおっしゃるように、リアルに、できるだけデータを集めてエビデンスに基づいて議論を進めるということしかないのではないかなと強く思いました。
他に御意見、ないでしょうか。御意見、大体出尽くしたようですので、ちょっと時間は早めなのですが、今日はこの辺りにさせていただいて、次回は、級地をスタートにして具体的な検証作業に入りたいと思いますので、どうぞ御協力、よろしくお願いいたします。
次回以降のスケジュールにつきまして事務局から御説明ございますでしょうか。
○大熊社会・援護局保護課長補佐 次回、調整中でございますので、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○小塩部会長 ありがとうございました。
それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。御多忙の中、ありがとうございました。