2021年2月26日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

日時

令和3年2月26日(金)16:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(2名)五十音順

日本赤十字社血液事業本部

行政機関出席者  

議事

○菅原血液対策課長補佐 定刻を過ぎましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会薬事分科会令和2年度第2回血液事業部会を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。このたび、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。なお、本日の会議は公開で行います。
 本日は委員の改選後、初めての会議になります。改選に伴いまして、本年1月25日開催の薬事・食品衛生審議会薬事分科会において、当部会に属する委員の指名が行われました。その際、委員の互選により半田委員が部会長に選出されておりますので御報告申し上げます。また、部会長代理につきましては、事前に半田部会長にお伺いしたところ、濱口委員を御指名されましたので、併せて御報告いたします。
 本日、委員名簿を配布しております。これからこの名簿に沿って委員の先生方を御紹介申し上げます。薄井紀子委員、内田恵理子委員、海老名英治委員、岡田義昭委員、佐々木司委員、佐々木委員につきましては本日欠席でございます。高橋滋委員、武田飛呂城委員、田野﨑隆二委員、長村登紀子委員、西脇公俊委員、野口晴子委員、野村恭一委員、野村委員も本日欠席でございます。濱口功委員、半田誠委員、前野一雄委員、松下正委員、松本剛史委員、宮川政昭委員、矢口有乃委員、脇田隆字委員、以上の20名でございます。なお、脇田委員につきましては、遅れて御参加の予定です。
 なお、本日の部会は現時点で委員20名中17名の御出席をいただき、定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会第9条により、本部会は成立しましたことを御報告申し上げます。
 また、本日は日本赤十字社血液事業本部から、村井利文副本部長、会川勝彦経営企画部次長、松田由浩経営企画部次長、佐竹正博技術部中央血液研究所所長にお越しいただいておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
 次に、本日は改選後初めての会議ですので、委員の皆様に御留意いただきたい事項につきまして、2点御説明いたします。まず第一に、守秘義務の関係です。国家公務員法第100条において、職員は職務上知り得たこと、知ることのできた秘密を漏らしてはならない。この職を退いた後と言えども同様とすると規定されております。委員の皆様は、非常勤の国家公務員として、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密について漏らすことのないよう、お願い申し上げます。
 第二に、薬事に関する企業等との関係です。薬事分科会第11条において、委員、臨時委員又は専門委員は、在職中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならないと規定されております。審議の忠実性、公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、又は任期中に該当することになった場合は、速やかに事務局に御連絡いただくようお願い申し上げます。
 また、「薬事分科会参加規程」に基づき、各委員の利益相反を確認したところ、薄井委員、岡田委員、松下委員、宮川委員から関連企業より一定額の寄付金、契約金などの受取の報告をいただきましたので御報告いたします。議題1.議題2.に関しましては、松下委員につきましては500万以上の受取との報告をいただいておりますので、本規程に基づき、ロビーの方で待機していただきます。また他の委員につきましては、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員につきましては、対象年度における寄付金・契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はありません。これらの申告についてはホームページで公開させていただきます。
 委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜わりますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、何卒御了承いただければと存じます。
 この後の進行につきましては、半田部会長にお願いいたします。
○半田部会長 皆様、こんにちは。本日の議題の1.と2.は議決を要する案件になります。それではまず、議題1.です。「令和3年度の献血の受入れに関する計画(案)について)」です。本日は令和3年度の計画(案)について、2月25日付けで厚生労働大臣から、諮問がなされておりますので、本部会で審議の上、答申をしたいと思います。それでは、事務局に資料の説明をお願いいたします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。議題1.令和3年度献血の受入れに関する計画(案)について説明いたします。資料1です。一般的に献血受入計画と呼ばれているものです。口頭にて概略を説明させていただきます。血液法におきまして、採血事業者は厚生労働大臣が定める血液事業の中期的な方向性を示す、同法第9条において規定された基本方針と、同法第10条の規定に基づいて、大臣が毎年度策定する献血推進計画に基づいて、毎年度、都道府県の区域を単位とし、当該都道府県の意見を聞いた上で、翌年度の献血受入れ計画を同法第11条の規程に基づいて策定し、厚生労働大臣の認可を受けなければならないというルールになっております。
 また、厚生労働大臣は、薬事・食品衛生審議会の規定である薬事分科会における確認事項において、この計画を認可しようとするときは、あらかじめ薬事・食品衛生審議会の意見を聞くものとされております。
 厚生労働大臣が策定する令和3年度の献血推進計画につきましては、昨年12月、当部会において御了承いただいているところです。今般、御了承いただきました献血推進計画に基づきまして、採血事業者である日赤が、各都道府県の意見を聞いた上で、令和3年度の献血受入計画(案)を策定いたしました。本日は令和3年度の献血受入れ計画(案)を認可するに当たり、当部会で意見を伺いたいと思います。
 資料1の1枚目は目次です。2枚目、1ページを御覧ください。こちらは大臣から薬事・食品衛生審議会宛ての諮問書です。薬事分科会のルールといたしまして、献血受入計画の認可は、当部会の審議、薬事分科会の報告扱いとすると規定されております。
 資料に戻りまして3枚目、ページ数で言えば右下にページ数が振ってありますが、ここからは今般、日赤が策定いたしました、令和3年度の献血受入計画(案)で、本日御審議いただく対象のものとなります。この内容につきましては、この後、日赤から御説明をいただくこととしたいと思います。
 献血受入計画の構成ですが、3ページです。当該年度の献血により受け入れる献血の目標量、同じく最初のページから6ページまでが、その目標量を確保するために必要な措置に関する事項、その後にその他、献血受入れに関する重要事項となっております。日赤からはこの事項に即しまして、受入計画書を作成しております。
 少し飛びます。15ページを御覧ください。前回の部会で御承認いただいた、厚生労働大臣が作成する献血推進計画の抜粋を付けております。そこの内容の2.の2つ目のポツです。そちらにおいて、今年度の献血推進からの主な変更点を記載しております。第3の事項において、新興・再興感染症を含めた災害時等における献血を確保するための追加です。これを踏まえて、日赤において今回の受入計画(案)を作成しております。事務局からの説明は以上です。引き続き日赤から説明していただきます。宜しくお願いします。
○日本赤十字社村井副本部長 血液事業本部の村井です。宜しくお願いします。血液の受入れに関する計画につきましては、献血会場の安全かつ安心な受入環境を保持すること、企業、学校、学域等の献血協力が難しい状況にございますので、オンラインなどで献血セミナー等を行って、若年層の方々にアピールをしていくですとか、新型コロナウイルス感染症に係る対応について、追記をさせていただいたというところが、主な変更点でございます。以上です。
○半田部会長 ありがとうございます。委員の皆様方、音声が聞き取りにくかった、あるいは少し把握できなかったと思うのですが、これは昨年12月に一度、概要を皆さんに検討していただいた案件です。今回は各都道府県からの供給量、献血の受入れ量を全部ここに載せて、計画案を提示したということです。ですから、大臣への答申ということで、今日はもう一度審議をしていただきたいということです。宜しいでしょうか。変更点については今、日本赤十字社の方から御指摘がありましたが、それで宜しいですか。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。補足させていただきますと、今回の受入計画につきまして、主な点としては、やはり新型コロナウイルス感染症についての記載がメインになっているかと存じます。例えば、4ページの(エ)献血予約の推進です。こちらにつきまして、やはり新型コロナウイルス感染症の感染予防の観点からも、献血協力の集中や、献血会場の混雑を配慮し、献血協力時間帯の分散化をするなど、献血予約の重要性について周知し、それを広めるといったものです。
 あと6ページの採血所の環境整備等です。ア、献血者が安心して献血できる環境の整備、6ページの中段です。そこの最後のパラグラフの方に、新型コロナウイルス感染症等の新興・再興感染症の感染拡大防止の状況下であっても、安心・安全な献血環境の保持と献血者への感染防止対策を講ずるとともに、感染防止対策を周知するとあります。
 さらに最後です。8ページを御覧ください。3、災害時等における危機管理の部分の最後のパラグラフに、新興・再興感染症の蔓延下であっても血液製剤の安定供給を図るため、献血者や職員に対する感染防止対策を講じ、安心安全な献血環境を保持するとともに、国、都道府県、市町村等との連携緊密にし、様々なプランを講じて献血供給量を確保する。こちらに関しては献血推進計画にも記載いただいているところですが、その旨、追記しています。こういったものを今回追記しているところでございます。以上です。
○半田部会長 委員の方々、お分かりでしょうか。それでは、審議に入りたいと思いますが、何か質問あるいは御意見等ございますか。今回は新型コロナウイルス、パンデミックに関わった状況下での変更というところが、主だった変更ということです。繰り返しになりますが、昨年の第1回の当該部会において、一度皆さんで御議論したものです。色々と御審議いただきました。いかがでしょうか。どなたかいらっしゃいますか。
○前野委員 前野ですが、宜しいですか。
○半田部会長 どうぞ。
○前野委員 確認なのですが、新型コロナの影響によって、今年度の献血量の充足というのはどういうような状況なのかお聞きしたいのですが。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。やはり新型コロナウイルスは、かなり影響があり、昨年の2月に、献血者は落ち込んではおります。ただ、その後、日本赤十字社の広報並びに私どもの方からも、都道府県に対して、献血の協力の呼びかけ等をお願いいたしました。また、いわゆる基本的な方針、その対処方針、こちらにも献血につきましては継続を求める事業であるということを通知いただきました。その結果、現在のところ医療機関に十分に供給できているような状況です。以上です。日赤さん、何か補足はありますでしょうか。
○半田部会長 いかがでしょうか。日本赤十字社の方、何か今の説明に補足はありますか。
○日本赤十字社村井副本部長 血液事業本部の村井です。ありがとうございます。今、菅原課長補佐が御説明いただいたとおりでございます。若干補足をさせていただくと、直近の状況といたしまして、採血計画数に対して、103%、供給につきましては、ほぼ計画どおりで推移しており、在庫も安定的な在庫を維持しているという状況です。以上です。
○半田部会長 ありがとうございました。前野委員、いかがでしょうか。
○前野委員 ありがとうございました。そうしましたら来年度もこの方向というように見込んでいると言って宜しいわけですね。大きな問題はなさそうだという見込みで進めているということですね。
○半田部会長 そうですね。
○菅原血液対策課長補佐 はい、おっしゃるとおり、計画的には今のところ進めていくということになります。宜しくお願いします。
○前野委員 ありがとうございました。
○半田部会長 どうぞ、何かどなたか。
○長村委員 長村です。8ページの新型コロナウイルスもそうなのですが、先日、地震がございまして、8ページ目の上のところに、平時は日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターにて行っている需給調整業務を、首都直下地震に備え他の施設でも確実に行うための体制の整備を含む事業継続計画を定め、献血の受入れが確実に行われるように取り組むということなのですが、これはこれまでも他の施設というのは、決まっているのでしょうか。
○日本赤十字社村井副本部長 日本赤十字社副本部長の村井でございます。御質問ありがとうございます。今の先生の災害時における対応につきましては、平時から各ブロックで、災害対応訓練をして、コントロールをしているところでございます。今回の地震の際につきましても、血液事業本部と血液対策課で、情報を共有し対応しております。
○半田部会長 ありがとうございました。長村委員、いかがでしょうか。宜しいでしょうか。
○長村委員 了解しました。「他の施設」と書いてありますので、代替えのバックアップがあるのかなと思ったのですが、それは中央というような意味で宜しいでしょうか。
○日本赤十字社村井副本部長 申し訳ございません。一番大事なのは、血液事業情報システムをいかに危機管理時に生かすかということになりますので、サーバーにつきましては、全国数箇所に分散をして管理をしているという状況で、災害が関東で起きれば振り替えて実施をできるような状況になっています。以上です。
○長村委員 ありがとうございます。了解しました。
○半田部会長 他に何か御意見、あるいは質問等ございますでしょうか。宜しいでしょうか。
 それでは、当部会として令和3年度献血受入計画(案)について、適当であると認める旨、議決したいと思いますが、皆さん宜しいでしょうか。
(異議なし)
○半田部会長 特に異議はないということで、それでは、これを認めたということにさせていただきます。本件につきましては、薬事分科会において確認事項に基づき、当部会の議決をもって審議会の提言とし、厚生労働大臣に答申することといたします。なお、答申文の案、その他につきましては、私に一任いただくということで、皆さん宜しいでしょうか。
(異議なし)
○半田部会長 ありがとうございました。
 それでは次に、議題2.に移りたいと思います。この案件も議決が必要になります。議題2.「令和3年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)」についてです。委員の皆様には、昨年12月の当該部会において、本計画(案)について御議論いただきました。今回は、その際に空欄になっていた原料血漿の標準価格も含めた、最終案について、2月25日付で厚生労働大臣から諮問がなされておりますので、本議会で審議の上、答申したいと思います。では、事務局、資料の説明をお願いします。
○若林需給専門官 事務局でございます。議題2について、資料2と参考資料で説明をいたします。まず、資料2を御覧ください。部会長から御案内があったとおり、令和3年度の需給計画(案)に関しては、昨年12月に開催された血液事業部会で原料血漿の標準価格を除く部分について御審議いただきましたが、今回は、原料血漿の標準価格も含めた最終案について御審議をお願いいたします。
 資料2の1ページが諮問書、2~6ページが需給計画(案)の本体になります。需給計画は、血液法第26条の規定に基づき、翌年度の血液製剤の安定供給に関する計画を策定するものです。計画の内容は令和2年度の需給計画と同様としており、原料血漿の配分量や供給見込量などの数値を令和3年度の計画値に置き換えております。
 3ページです。血液法第26条第2項で規定されている、本計画で定めることとされている各事項につきまして、第1の令和3年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量は、6ページの別表の(ア)欄に、第2の令和3年度に国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標は、(イ)の欄に、第4の令和3年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標は、(ウ)の欄に、第5の2の令和3年度に輸出すると見込まれる血液製剤の種類及び量は、別表の(エ)の欄にそれぞれお示ししております。これらの需要見込みや目標量に関しては、血液法に基づき製造販売業者から報告される届出や近年の供給実績を基に、医療の需要に対して過不足が生じることなく、安定的に供給されるよう算出したものです。
 6ページです。参考として、令和2年度末の在庫見込量の報告もいただいており、在庫見込量に(イ)の欄の製造・輸入目標量を加え、(エ)の欄の輸出量を引いたものが一番右端の供給可能量となっております。この供給可能量が(ア)の需要見込よりも多ければ、安定供給が可能になります。供給可能量と(ア)の需要見込を比較したところ、全ての製剤において供給可能量が需要見込を上回っておりますので、令和3年度は全ての製剤が安定的に供給されると考えております。
 3ページに戻ります。第3の令和3年度に確保されるべき原料血漿の量の目標ですが、122.3万Lを目標量としております。4ページで血液製剤の製造販売業者等に配分する原料血漿の種類及び見込量を会社ごとにそれぞれ定めております。合計すると123.5万Lとなっており、3ページの確保目標量との差につきましては、在庫の方から出すことになっております。以上が、12月の部会において御審議いただいた内容です。
 6ページに移ります。6ページの表につきましては、一部の製剤で昨年12月の部会から修正があります。下線を引いた部分です。「血液凝固第Ⅷ因子製剤」と、一番下から2番目のヘミンの上、「乾燥濃縮人α1-プロテイナーゼインヒビター」につきましては、本年1月に新しい製剤が承認されたことから、需給量を追加しています。また、「人免疫グロブリン」についても一部修正しております。
 これは参考資料、「人免疫グロブリン製剤の輸出等について」で御説明します。1の経緯等を御覧ください。昨年度、免疫グロブリン製剤に当初の予測を上回る需要が生じたため、欠品リスクを回避するため、昨年度の需給計画を変更し海外製品の輸入を増やして対応しました。具体的には、CSLベーリング株式会社の製品(ピリヴィジェン10%点滴静注、ハイゼントラ20%皮下注)を追加輸入していただきました。しかし、ピリヴィジェンは国内で新規発売の製剤であったこと、ハイゼントラは投与経路が静注ではなく皮下注であったことから、すぐに代替が進まなかったことと、昨今の新型コロナウイルス感染症による外来患者の減少などの要因で、このままの使用状況では当該製品在庫の一部廃棄が想定されています。
 一方で海外市場においては、免液グロブリン製剤について需要が存在しており、今般、CSLベーリング株式会社より、今年度内にピリヴィジェン10%点滴静注(2万mg/200mL)の規格を約7,000本、ハイゼントラ20%皮下注(1,000mg/5mL)の規格を、約8,000本の輸出をしたいとの申出がありました。また、ハイゼントラ20%皮下注(1,000mg/5mL)の規格につきましては、需要減少の影響等により、令和3年度の需要見込量及び輸入目標量について、約1万6,000本の下方修正の申出がありました。これにつきまして、2の人免液グロブリン製剤の需給状況と輸出の影響を御覧ください。下の表の上から順に、令和元年度から令和2年度の需給計画と供給量と供給見込量、令和3年度需給計画の原案と、今回の輸出や計画の修正を反映した令和3年度需給計画の修正案を示しています。この表は1で御説明をした輸出量や需要見込量等の修正を2.5g換算した数値で反映しています。
 令和3年度の修正案の前年度末在庫見込を見ると、新型コロナウイルス感染症による需要減少の影響により、今回の輸出を加味しても、令和2年度末在庫量が約39万本と大きく増えることが見込まれています。また、需要見込の約276万本に対して、供給可能量が約346万本と約70万本上回る見込となっております。以上から、CSLベーリング株式会社の人免液グロブリン製剤の輸出や計画が下方修正されたとしても、令和3年度の安定供給に支障は生じないと考えられることから、こちらを令和3年度の需給計画案に反映しています。
 資料2を御覧ください。資料2の6ページですが、今、説明したことが6ページの別表の人免疫グロブリンの所に数値の修正(案)が反映されています。
 4ページです。原料血漿の標準価格を種類ごとに定めています。1の原料血漿の標準価格につきましては、今年度と同額で凝固因子製剤用が1L当たり12,210円、その他の分画用が11,880円としております。標準価格の考え方につきましては、7ページの「令和3年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方」を御覧ください。基本的な考え方は、これまでの考え方と同様です。日本赤十字社では、輸血用血液の確保と原料血漿の確保が並行して行われており、人員や装置などが兼用されているため、明確に切り分けることが困難である中で、原料血漿の確保のために必要と考えられる部分について費用を算出し、価格を計算しております。
 血漿成分採血につきましては、献血全般に共通する事項とサービスに係る経費を除いて、必要な経費を積算しております。また、全血採血及び血小板成分採血については、輸血用血液製剤の製造が主たる目的であることから、原料血漿の確保に係る費用としては、一部に限定して積算しております。例えば、人件費に関して言えば、全血採血及び血小板採血から作られる原料血漿は、輸血用血液製剤を作る際に出てくる副産物という考えで整理しており、検診や採血に係る人件費は計上しておらず、原料血漿の凍結に要する費用のみを計上しております。
 積算につきましては、これまでと同様に、まずは凝固因子製剤用の原料血漿について経費の積算を行っております。確保目標量の合計を122.3万Lとし、400mL採血や血小板成分採血などの採血区分ごとに原料血漿の確保から供給までに必要な経費を積み上げ、1L当たりの単価を算出しております。この積み上げに用いる経費については、基本的に日本赤十字社の令和元年度の実績の数値を用いております。ただ、血漿成分採血に係る人件費については、人事院が実施する令和元年度職種別民間給与実態調査により算出しております。また、令和2年度夏にE型肝炎ウイルスのNAT検査を全国で導入したことから、血漿成分採血については、その検査費用を追加しております。
 費用の内訳につきましては、9ページを御参照ください。参考と書いてあるページになります。費用は、採血から原料血漿を製造・保管するまでに必要な材料費と人件費、原料血漿の凍結・一時保管費用等に要する経費及び原料血漿の輸送・貯留保管経費の管理供給費で構成されております。採血種別ごとに積算する費用は、全血採血と血小板成分採血については、材料費は必要な材料のうち、血液バック代と製品表示ラベル代のみ、人件費は原料血漿の凍結・一時保管に係る製造職員の人件費、経費は原料血漿の凍結・一時保管に係る経費、管理供給費は、原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。
 血漿成分採血については、材料費は、必要な材料費の全額、人件費は、原料血漿の凍結・一時保管に係る製造職員の人件費の他に、検診や採血、検査などに係る医師、看護師、検査職員、事務職員の人件費、経費は、原料血漿の凍結・一時保管経費の他に、成分献血登録者に対する依頼経費、処遇費、検査機器等の保守関連経費など。管理供給費は、原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。採血方法別の原料血漿の確保量については、12ページにあるように、献血推進計画に沿って日本赤十字社が策定した令和3年度の事業計画に基づいて設定しております。以上の内容を一覧にしたものは12ページを御覧いただければと思います。
 今、申し上げた方法により、採血区分ごとの1採血当たりに要する単価を積算し、それを1L当たりの単価に換算したマル1にそれぞれ採血別の原料血漿確保見込量マル2を乗じて採血別の確保費用を算出し、その総額マル3を原料血漿確保目標量マル4、122.3万Lで除し、10%の消費税率を掛けて1L当たりの凝固因子製剤用価格13,000円を算出しております。
 その他の分画用原料血漿については、従来と同様に、凝固因子製剤用の価格改訂率を用いて比例計算で算出した結果、11,930円となっております。令和2年度と比較して、凝固因子製剤用では1L当たり90円、その他の分画用製剤用では1L当たり90円高くなっております。高くなった主な要因は、先に御説明したE型肝炎ウイルスのNAT検査の導入によるところが大きいです。
 なお、原料血漿の価格につきましては、血液法の基本方針や血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会最終報告書及びワクチン・血液製剤産業タスクフォースにおいて、原料血漿の価格の低減について言及されております。原価計算方式に基づく価格の積算と需給計画で定める標準価格には差がありますが、血液法の基本方針などの原料血漿価格に関する議論等を踏まえて、日本赤十字社や血液製剤の製造販売業者の収支状況等も勘案し、今回、標準価格を変更する特別な要因はないと考えられることから、令和2年度と同額の凝固因子製剤を1L当たり12,210円、その他分画製剤を11,180円といたしました。
 以上が、資料2の説明となります。御審議のほどを宜しくお願いいたします。
○半田部会長 それでは、当該、需給計画(案)について、質疑応答に入りたいと思います。委員の皆様、何か御意見や御質問はありますか。もう、この案件も昨年の第1回部会において審議をいただいています。どうぞ。
○高橋委員 法政大学の高橋でございます。御質問をさせていただきたいのですが、令和3年度には輸出を予定していないということは、令和2年度に輸出をされるということになると思うのです。そうすると、人免疫グロブリンについては、令和2年度の需給計画の変更という話になるのかどうかということと、変更の場合は運営委員会の議決事項になるのかどうか、この辺の御質問を少しさせていただきたいのですがいかがでしょうか。
○若林需給専門官 事務局でございます。まず、人免疫グロブリンの今年度内の輸出につきましては、令和2年度の需給計画を変更するということではなく、令和3年度の需給計画の中に令和2年度末の在庫見込量が記載されておりますが、その部分を変更することで対応いたします。令和2年度の輸出量につきましては、来年度の12月の血液事業部会で改めて実績という形で報告をさせていただくことになります
○半田部会長 高橋委員、いかがでしょうか。
○高橋委員 大変申し訳ないのですが、参考資料の所には、令和元年度の方の、変更については、運営委員会で議決したということが書いてあります。令和元年度について、こういう変更をしたのに令和2年度について変更をしない理由は何なのでしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 事務局でございます。需給計画の変更に関しては運営委員会ではなくて、薬事・食品衛生審議会の血液事業部会による審議事項になっております。たまたま資料に関しては、今回、運営委員会の資料等を示しただけの話でありまして、基本的には血液事業部会の審議事項です。
○中谷血液対策課長 血液対策課長の中谷でございます。補足をさせていただきます。令和元年度に計画を変更した理由は、急激な需要増加によって安定供給に支障を来す恐れがあるということで、計画の変更という形で審議会に諮らせていただきました。そもそもの計画というのは、安定供給を確認していくためのもので、どれぐらいの需要見込があるかということと、どれぐらい供給ができるかということを毎年確認させていただいているという性格の計画と考えております。今回は、輸出の量を確認したところ、安定供給には支障を来さないということでしたので、令和2年度の計画変更までは求めず実績として御報告をさせていただくことにいたしました。以上です。
○半田部会長 高橋委員、いかがでしょうか。
○高橋委員 承りました。考え方の整理が合理的に説明できれば、それで結構だと思います。どうもありがとうございました。
○半田部会長 他に委員の方は、何か御質問や御意見いかがでしょうか。特にありませんか。
 それでは、当該、需給計画(案)について議決をしたいと思います。お認めいただけるでしょうか、いかがでしょうか。
(異議なし)
○半田部会長 異議がないということで、認めていただいたということにさせていただきます。
 それでは、薬事分科会における確認事項に基づき、当部会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。なお、答申案の文案、その他の取扱いにつきましては、私に御一任をいただくということで皆さん宜しいでしょうか。
(異議なし)
○半田部会長 ありがとうございました。事務局におかれましては、部会意見を踏まえ、本計画の告示の手続を進めていただければと思います。
 それでは、議題3.に入りたいと思います。運営委員会の委員の指名についてです。本日は、血液事業部会運営委員会規程に基づいて、部会長である私より委員の指名について御報告をいたします。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。血液事業部会運営委員会規定第3条により、部会長は委員を指名した場合に部会にその旨を報告しなければならないとされております。本日は、部会の委員の皆様に部会長より運営委員会委員の指名について御報告するものです。資料3を御覧ください。これが指名された運営委員会の委員です。部会の委員から6名の委員が御指名されております。お名前をお呼びいたします。岡田義昭委員、武田飛呂城委員、田野﨑隆二委員、濱口功委員、松下正委員、松本剛史委員の6名です。なお、委員長については田野﨑委員が互選により選出されております。また、松下委員におかれましては、田野﨑委員より委員長代理ということで御指名されております。資料3の説明は以上です。宜しくお願いします。
○半田部会長 皆様、何か御意見等ございますでしょうか。宜しいでしょうか。それでは、引き続き議題4.に入りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。資料4-1を御覧ください。献血推進に係る新たな中期目標「献血推進2025」について御説明します。血液製剤の国内需給を基本とした安定供給を確保するためには、その原料である献血血液を将来にわたり安定的に確保する必要があります。献血の推進に関しては、厚生労働省において、基本方針にのっとり毎年度献血推進計画を定めている他、血液製剤の製造販売業者等が実施する将来の需要予測等を踏まえて、複数年の期間を対象とした献血推進に係る中期目標を策定しているところです。これまで、中期目標として、平成17年からは「献血構造改革」、平成22年からの「献血推進2014」、平成27年度からの「献血推進2020」を設定し献血者の確保の取組を行ってきました。今般、令和2年度、本年度で「献血推進2020」の目標期間が終了することから、令和3年1月に開催しました献血推進調査会で、令和3年度から令和7年度までの5年間を目標期間とする新たな中期目標、「献血推進2025」を設定したところです。
 なお、「献血推進2020」ですが、こちらについてはどういう達成状況であったかを御説明します。3ページ以降を御覧ください。「献血2020」の令和元年度までの実績をお示ししております。項目としては、若年層献血者数の増加、安定的な献血の確保、複数回献血の増加、献血の周知度の上昇ということで、それぞれ目標数値を定めてやっているところです。まず若年層の献血者の増加です。10代については7%、20代については8.1%、30代については7.6%としましたが、令和元年度の時点では、それぞれ5.5%、5.7%、5.5%と、残念ながら目標は達成できないところでした。
 また、安定的な献血の確保については、集団献血等に御協力いただける企業団体を6万社まで増加させるということでした。令和元年度については5万9,000社、微社ではありますが達成できなかった状況です。それと、複数回献血者の増加については、複数回献血者を年間120万人まで増加させることとしておりますが、令和元年度については約98万人という数字で、こちらも達成できなかったところです。献血の周知度の上昇については4ページ以降です。こちらは、献血セミナーの実施回数を1,600回まで増加させるということでした。令和元年度については1,950回ということでした。こちらについては達成できております。
 やはり若年層の献血率に関しては、10代については平成28年に低下しましたが、その後、上昇には転じております。ただ、20代、30代についても、平成27年度以降はやはり低下傾向ですが、令和元年度に上昇に転じております。こちらについては、引き続き若年層への働きかけを行っていく必要があると考えております。また、企業献血についても引き続き働きかけを行っていく。また、複数回献血についても、血液の安定確保供給を踏まえて、やはり引き続き複数回献血者の確保に取り組んでいく必要があるということです。目標の関係もありまして、少し、厳しめの数字になっております。それを踏まえまして、今回、新たに数値目標を設定しております。
 1ページを御覧ください。今回、達成目標については、まず若年層の献血数の増加については、日本赤十字社で血液需給将来推計のシミュレーションを基に新たなシミュレーションを行いました。それに併せて、やはり目標の数値が適切なのかどうか、それを検証するために、厚生労働科学研究において、田中純子広島大学大学院教授が研究を行いました「新たなアプローチ方法による献血推進方策と血液製剤の需要予測に対する研究」の研究成果を踏まえ、また、献血推進調査会の意見を踏まえて、今回設定しました。
 目標としては、2.の達成目標にあるとおり、若年層の献血者数の憎加については、16歳~39歳の若年層の人口に対する献血者数の割合として、令和7年度については6.7%と設定しました。また、安定的な献血の確保ということで、献血推進活動に御協力いただける企業団体の数としては7万社、複数回献血の推進については、年に2回以上献血された方、複数回献血者は120万人といたします。それと、献血Webサービスの利用の促進ということで、今回、新たに献血Webサービス「ラブラット」の登録者として、令和7年度については500万人としたところです。
 2ページ、重点的な取組事項として今回お示ししております。1つは、献血の普及啓発、若年層対策の強化、安心・安全で心の充足感が得られる環境の整備、それぞれについての取組を示しております。なお、環境整備に関しては、やはり新型コロナウイルス感染症の拡大下においても、安心・安全で献血環境の保持と感染者防止を講ずることをお示ししております。
 なお、この目標以外に、やはり採血及び供給の動向並びに原料血液の確保、献血推進活動の普及効果をモニタリングするという観点から、3つの項目について継続的に注視することとしております。
 なお、先程、申したとおり、新型コロナウイルス感染症の影響はかなり大きいです。そのため、中間年である令和5年度を目途に達成目標の実績値を確認した上で、必要に応じて見直しをするものとしています。以上です。宜しくお願いします。
○半田部会長 ただいまの説明に関して質疑応答に入りたいと思います。委員の皆様、何か御意見ありますでしょうか。そうですね、この「献血推進2025」は、すでに献血推進調査会でもまれた案件ということです。ベースになっているのは、厚生科学研究のシミュレーションということです。いかがでしょうか。何か御意見等ございますでしょうか。今回は、献血Webサービスの利用促進で、Web会員の登録数を目標にするということです。前回は、献血の周知度の上昇ということで献血セミナーの実施回数を目標にしたわけですが、その部分が今回変わったということです。特に御意見ないでしょうか。ありがとうございました。それでは次に移りたいと思います。
 資料4-2、特殊免疫グロブリン製剤、供給体制整備支援事業の報告についてです。これも事務局に説明をお願いします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。資料4-2、特殊免疫グロブリン製剤供給体制整備支援事業を御覧ください。こちらの事業ですが、今年度、令和2年度、第3次補正予算案において計上して、先月1月の末に補正予算が成立しましたので、今回、御報告という形になります。目的を申し上げます。新型コロナウイルス感染等の、いわゆる新興・再興感染症の治療として、回復者の血漿を用いた特殊免疫グロブリン製剤が期待されております。欧米では、すでに迅速に原料血漿を確保する体制や、あるいは製造を行う体制が整備されておりますが、現状、日本国内ではそういった体制が整っておりません。やはり、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行が懸念されているところですので、今般、回復者からの血漿の確保体制及び製造体制の整備という観点から、今回、こういう事業を行ったものです。事業としては2つの柱があります。
 1つは、原料血漿の確保に係る体制整備の支援です。特殊免疫グロブリン製剤等の原料となる原料血漿を確保するため、回復者からの血漿採取に伴う追加的な対応として、医療機関等の連携、安全対策、抗体価の検査及び採血に係る部分について、いわゆる採血事業者の業務に必要な経費を補助するものです。こちらについては日本赤十字社にお願いしようと考えている次第です。
 もう1つが、特殊免疫グロブリン製剤の供給体制整備の支援です。こうして集めた血液血漿を特殊免疫グロブリンとして製剤化するに当たっては、通常のグロブリン製剤と異なって少量の原料血漿での製造になることから、国内血漿分画メーカー、1社程度の製造ラインの整備や抗体価などの品質試験等の設備に必要な経費を補助するものです。こちらについては、先程、申しましたように、国内血漿分画メーカーの中から公募したいと考えているところです。なお、回復者の応募については、先程、申しました原料血漿確保に係る体制整備の支援の中で、御協力いただける医療機関と連携して確保したいと思います。一応、念のため、予算額としては9.9億円です。これによって新興・再興感染症への対策という目的を達成できればと考えている次第です。以上です。
○半田部会長 それでは、御意見をいただきたいと思います。委員の皆様方、いかがでしょうか。補正予算案は9.9億円ということで、非常に、そういう意味ではインパクトのある事業ではないかと思います。いかがでしょうか。このスキームについて御意見等ございますでしょうか。宜しいですか。それでは次の御報告に移りたいと思います。
 次は、ワクチン接種者の採血制限期間についてです。濱口委員より資料の4-3の説明をお願いしたいと思います。濱口委員、宜しくお願いします。濱口委員、聞こえますでしょうか。聞こえますか。濱口先生、聞こえますか、お願いします。
○濱口部会長代理 すみません、これについては、まず、厚生労働科学研究の中で検討しました。国内でワクチン接種が開始されるに当たって、献血の制限をどのくらい設けるのが妥当かということで、研究班の中でまとめたものがこの資料になります。それについて、安全技術調査会で2月8日に持ち回りのメール会議を行いました。その内容を今日は報告いたします。資料はほとんど研究班の中でまとめたものですので、これについて説明します。
 まず、結論としては、まだ接種前でしたが、海外の知見を基に、どのくらいが妥当かを決めました。そこに使った資料は、資料の3ページ目になります。「COVID-19ワクチン接種後の献血規制」というのがあります。これで、各国、上から見ていくと、アメリカ、シンガポール、イギリス、マルタ、UAE、これらの国々において献血の制限が設けられておりました。その際に、ワクチンのタイプで、上段が不活化ワクチン、下段が弱毒生ワクチンというカテゴリーで2種類の献血制限期間が設けられております。アメリカについては、黄色で示しておりますが、不活化ワクチンの場合には、全く献血制限期間を設けずに献血ができることになります。それから、弱毒生の場合には14日間となります。その下がシンガポールです。不活化ワクチン、弱毒生ワクチンにも、さらに細かく副反応が起こった場合、どのような副反応が起こったかということによって献血制限の期間が変わっております。イギリスは、若干、日にちが異なりまして、不活化ワクチンは7日、弱毒生ワクチンは4週間ということで、国によってこの期間の設定が異なっている状況です。
 国内において今、想定されているmRNAワクチン、それからウイルスベクターワクチンというのは、これまで日本においても導入された経験がないわけですが、国によっては、これらを不活化ワクチンの方に組み込んでいるものもあれば、例えばシンガポールですと、下段の方に、ウイルスベクターワクチンが弱毒生ワクチンと同じ所に設定されているということで、国によってもワクチンの捉え方が若干異なっているのが分かります。
 4ページ、5ページというのは、一応、臨床試験のデータになります。4ページのウイルスベクターワクチンの場合、それから5ページのmRNAワクチンの場合の副反応の発生の頻度と期間が示してあります。局所反応においても全身反応においても、既存のワクチンと、この場合は髄膜炎ワクチンですが、これとほぼ同じような頻度で、1週間以内ぐらいに大体治まってくることが見て取れます。mRNAワクチンについても、やはり発熱等、それから全身倦怠感なども表れることが想定されます。こういう状況の中で、国内において導入されるmRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンをどのように設定するのが妥当かということです。
 また1ページに戻っていただきたいのです。※参考(研究班での議論)を見てください。研究班では、mRNAワクチンやウイルスベクターワクチンを不活化ワクチンと同様に分類し、接種後1週間等としている例が複数あることから、そうした対応も候補として議論しました。しかし、ウイルスベクターワクチンを接種後4週間とするものや、接種後に発熱を呈した場合は、1~4週間後とするものなど、国によって対応が定まっておらず、引き続きさらなる知見の収集を行う必要があると考えられました。いずれの対応が妥当か否かについては、知見の収集に加えて、血液製剤の供給状況等も含め総合的に勘案する必要があるといった意見が出てきましたので、結論として、今回の新型コロナウイルスワクチンについては、これまで我が国で使用されてきたワクチンとは異なるタイプのワクチンであること。それから、この時点での日赤の見解としては、血液製剤の安定供給に支障を来す状況にはないということから、当分の間、下記のように取り扱うことが妥当と考えるということで、全てのワクチンについて、接種後4週間の採血制限の期間を設けるという提案をしております。また、今後も引き続き、さらなる知見の収集を行うとともに、血液製剤の供給状況、国内におけるワクチンの開発状況等を注視した上で、不活化ワクチン等において接種後1週間等とする取扱いも含め、改めて検討すべきと考えております。
 この内容については、安全技術調査会の中でも同じような意見が出てきました。やはり一度にワクチン接種が行われた場合には、特別な血液製剤については供給が厳しくなるのではないかという懸念があるという意見も出ております。こういうところは、しばらく様子を見ながら、ずっと接種後4週間という制限を堅持するというわけではなくて、一定期間を置いたところで再度、期間を検討するというスタンスで臨みたいと考えております。これについては、運営委員会でも御説明しまして受け入れていただいた状況です。以上です。
○半田部会長 ありがとうございました、濱口委員。それでは、ただいまの、ワクチン接種後の採血制限の期間についてはいかがでしょうか。委員の皆様方、何か御質問や御意見はおありでしょうか。
○海老名委員 栃木県の海老名ですが宜しいですか。
○半田部会長 どうぞ。
○海老名委員 今、お話にあったワクチンの関係については、2点ほど要望したいと思います。4週間ということ自体は、専門家の議論の結果でありますので異論はないところなのですが、今、まさに濱口先生からもお話があったのですが、自治体の立場としては、幅広い年齢の方を対象に短期間で予防接種をすることが求められているところです。お話があったとおり、ある時期に、これまで献血に御協力いただいている対象者の方が集中的に予防接種の対象になって、多くの方が採血制限期間にかかる可能性があるのではないかと私どもは心配をしているところです。日赤さんの方では安定供給に支障がないというお話ではあるのですが、やはり国と日赤さんにおかれては、需給状況についてはしっかりモニタリングをしていただきたいということは要望したいと思っています。
 もう1点は、予防接種の実施主体というのが市町村なのです。市町村の、相談窓口にも採血制限期間に関することで問合せが来る可能性があると思うので、恐らく健康局がワクチンを担当していると思うのですが、健康局とよく連携して、Q&Aでもお示しいただけると現場の混乱も少ないかなと思いますので、この点を要望したいと思いますので、宜しくお願いします。
○半田部会長 海老名委員、ありがとうございました。現場からの非常に参考になる御意見をいただきました。今の御意見に関して、事務局の方、何かございますか。あるいは。
○中谷血液対策課長 血液対策課長の中谷です。貴重な御意見ありがとうございます。おっしゃるとおりで、委員会、安全技術調査会の議論、それから濱口班の議論でも、やはり、今の接種スケジュールを考えて、ある程度の人数、もうすでに1万人以上接種されていますし、ある程度のデータが出てきたところで、またできるだけ早い時期にどうしていくべきかを検討する必要があるという御意見もいただいていますので、何と言いますか、今、高齢者の接種なり一般の方への接種が始まる前には、この辺りの期間をどうするかは改めて議論させていただければと思っております。
 それから、ワクチンの窓口とQ&Aなりを共有するということは承りました。御意見ありがとうございます。
○半田部会長 ありがとうございました。海老名委員、いかがでしょうか。
○海老名委員 海老名です。どうもありがとうございました。
○日本赤十字社村井副本部長 日本赤十字社血液事業本部の村井ですが、宜しいでしょうか。
○半田部会長 今の件ですね。
○日本赤十字社村井副本部長 はい。
○半田部会長 どうぞ。
○日本赤十字社村井副本部長 ありがとうございます。誤解のないように申し上げておきます。現時点で、在庫に支障がないということでして、ワクチンを接種して4週間の間隔の中でやっていくことで、在庫に問題がないということではありません。新型コロナウイルスのワクチン接種については、我が国で初めて多くの国民が接種するであろうということ、対象年齢が献血可能年齢に、これ全く同等のところでやっていくことは前例がなく、更に大規模に行われるということです。ワクチン接種のスケジューリングがまだ分かっておりませんが、基本的に、2月末までに終了させるという政府方針の中で動いているところからすると、例年、血液確保が難しい12月、1月、冬の時期になってくることも踏まえると、献血血液の安定確保を含めて、接種期間の間隔については慎重に議論、検討していただきたいと思っております。以上です。
○半田部会長 ありがとうございました。日本赤十字社からの御意見をいただきました。全体的にどうですか、特に事務局から何かございますか。これは当然、柔軟に。
○岡田委員 宜しいでしょうか。
○半田部会長 どうぞ。
○岡田委員 ワクチンは確かに色々な種類があるので、場合によっては種類によって献血ができない期間が変わる可能性もあります。それに備えて、実際にワクチンを受けた方が、自分はどういう種類のワクチンを受けたかという情報を、ワクチンを受けられた方に情報を提供しておくと、もしワクチンによって献血の制限が変わった場合に非常に役に立つのではないかと思うのです。投与をするワクチンの説明書ようなものを受けられた方に情報提供することが重要だと思います。以上です。
○半田部会長 ありがとうございます。大変、貴重な意見だと思います。これは何か、マイナンバーに紐付けするなど。
○中谷血液対策課長 血液対策課長の中谷です。今の御質問ですが、今、現状は、接種を受ける方々皆さんに、ワクチンの説明と、あと接種後にどのような症状があり得るか、症状が出たらこちらへ御連絡といったような御案内を全員にお配りしていますので、皆様はそれで、自分が打ったワクチンは何かというのは記録が残るような形になっております。以上です。
○半田部会長 ありがとうございました。岡田委員、宜しいでしょうか。
○岡田委員 了解しました。
○半田部会長 他に御意見、御質問、いかがですか。宜しいでしょうか。それでは次の報告に移りたいと思います。新興感染症8COVID-199の回復者からの血漿採取の指針について、松下委員より資料4-4の説明をお願いします。松下委員、宜しくお願いします。
○中谷血液対策課長 田野﨑先生、いらっしゃいますか。
○半田部会長 田野﨑先生、いらっしゃいますか。
○田野﨑委員 おります。
○半田部会長 松下先生がアクセスできないので、宜しければ、大変申し訳ないのですが、振ってしまって。資料4-4の説明ができますか。
○田野﨑委員 はい。そうしましたら、私から資料4-4について御説明させていただきます。資料4-4、これは新興感染症の回復者からの血漿採取指針ということで、松下班で担当したものです。これは、現在同時に進んでおります忽那班で実際に採取が行われるに当たって、それをカバーできる形で指針としてまとめたものであります。
 2ページに「はじめに」とありますが、3ページの所に、適格性について、こちらでは通常どおりのものに加えて、ここでは脈拍40回/分以上~100回/分未満という基準、あるいは酸素飽和度、血算、生化学などのデータも入っておりますし、凝固系の異常がCOVID-19のときに指摘されておりますので、これについての規定もDダイマー2.5μg/mL未満などの規定をここに加えてあります。それから、除外基準などに対しては、通常の献血、日本赤十字社の献血基準と同等にはしておりますが、この中で指摘されてきたのが、実際にはCOVID-19の回復者の中で、抗体価が高くなる方は中等症、あるいは重症であった方に多く見られるものであって、始めから重症の方を入れてくることになると、なかなか難しいことがありますので、始めはこれを軽症、あるいは中等症までの患者さんとしてやっていくことを入れております。
○松下委員 松下ですが、すみません、パソコンがフリーズしておりました。田野﨑先生、ありがとうございます。
○半田部会長 今、途中まで田野﨑先生が説明いただいたのですが。
○田野﨑委員 松下先生にバトンタッチした方が良いかもしれないですね。6ページの所に今、私が御説明していた、6ページ、4.5、適格性判定の所で、COVID-19においては、目標症例の最少1/10~1/5に達するまでは、人工呼吸機や、ECMOを用いた集中治療を受けた者からの採取は行わないなどの付加的な条件をここに入れております。もし宜しければ、松下先生、後をバトンタッチして。
○松下委員 申し訳ございません。今、先生がお示しになったポイントは、回復者の方はもはや患者ではなく、一般の供血者ですので、会議の席上、COVID-19は割と合併症や後遺障害が多いことが報告されておりますので、そういった方が多いと考えられる重症の方は、少なくとも臨床研究の枠組みで行う場合の最初の症例からは外していただきたいということが、この中に書かれております。ですので、現時点での適格基準は中等症若しくは、軽症の方としてさせていただいております。
 では、7ページ以降の所を補足説明いたします。8ページの6を御覧ください。血漿採取の流れについても示しております。基本的に6.3に書いておりますように、血漿採取当日にも検診時とほぼ同じ検査をもう一度行っていただきます。2度行うことになるのですが、普通の献血ですと、1度しか行わないのですが、この場合は1度目に行って、適格であった方に関して、献血当日の感染症スクリーニング、もちろんSARS-CoV2抗体も含めた検討を行うことになっております。検査は、今実際に始まろうとしておりますCOVID-19の採取に関しては、東京と大坂1施設ずつで、COVID-19関係の検査、そして、感染症スクリーニングに関しては、各日赤のブロックセンターで行っていただくことになっているようでございます。
 6.4、安全対策、次ページ、6.5、実施体制に関しては、ほぼ日赤で行われている成分採血と同じ安全性を確保したいと考えております。
 6.6、血液分離装置ですが、今回色々な議論の末、分離装置に関しては、国内の医療機関が保有していることが大変多いと思われるこちらの会社の装置に、日本ではあまりまだ使用されていませんが、片腕法用のセットがございますので、それを装着して採取するということで、これ一択の形にいたしました。もちろん、今後施設によっては他の装置を所有しているので、そちらを使いたいということが出てまいりますので、十分検証していただきたいと考えております。こちらの装置とこちらのセットの組合せは、米国で広く行われているものですので、実績は十分です。日本では現時点であまり使用されていない。ただ、ほぼ同じ性能を示すものが血液センターのトリマという装置として今使われておりますので、ほぼ問題ないと判断しております。
 6.8は採取量で、これも装置の設定を様々検討した結果、このような書きぶりにさせていただきました。
 10ページ、6.10、副作用の予防と対応に関しては、現時点でほぼ日赤と同じ方針で臨みたいと思っております。
 11ページ、6.12、採取物に関しましては、各ブロックセンターが回収していただくことと聞いております。ざっとですが、以上でございます。途中参加できないで、申し訳ございませんでした。
○半田部会長 ありがとうございました。田野﨑委員もありがとうございました。今の御発表に関しまして、御意見、あるいは御質問等ございますでしょうか。宜しいでしょうか。これは、いつからというのはまだ分からないわけですか。
○松下委員 今、国内で動いている臨床試験は、NCGMによるものなのですが、NCGM側の準備が整って、もう2月がだいぶ過ぎてきましたけれども、必ず年度内には開始できるものと聞いています。で、東京2箇所、愛知県1箇所、大阪2箇所の施設も、ほぼ倫理委員会の審査も終了している状況です。
○半田部会長 はい、ありがとうございました。他に御意見、御質問、大丈夫でしょうか。それでは、本研究の進捗状況を踏まえて、適宜また御報告を願いたいと思います。本日の議題は以上ですが、委員の皆様、何か他にございますでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、事務局に議事進行を戻したいと思います。宜しくお願いします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局でございます。半田部会長、ありがとうございました。次回の血液事業部会の日程につきましては、別途、御連絡を差し上げます。冒頭、開会が遅れましたことをお詫び申し上げます。これにて、令和2年度第2回血液事業部会を終了いたします。ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

血液対策課 課長補佐 菅原(2909)