第5回社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会 議事録

日時

令和3年4月26日(月) 16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8D
(東京都千代田区内幸町2丁目2-3 日比谷国際ビル8階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

川原(かわはら) (たけ)(よし)     川原経営グループ 代表
田中(たなか) (しげる)(座長)  埼玉県立大学 理事長
松原(まつばら) 由美(ゆみ)     早稲田大学人間科学学術院 准教授 
宮川(みやかわ) (やす)(のぶ)     独立行政法人福祉医療機構 福祉医療貸付部福祉審査課長 
山田(やまだ) (ひろ)()     地域密着型総合ケアセンターきたおおじ 代表

議題

(1)社会福祉連携推進法人の施行に向けた検討について
(2)その他

議事

 
○田中座長 委員の皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただ今より、第5回「社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会」を開催いたします。
 本日は、前回と同様、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、オンラインでの開催です。構成員の皆様には御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 会議に先立って、事務局より本日の構成員の出席状況の説明と資料の確認をお願いします。
○成瀬課長補佐 本日の構成員の出欠状況につきまして、御報告申し上げます。
 本日はオンラインでの開催となりますが、全ての構成員に御出席をいただいております。
 なお、橋本社会・援護局長につきましては、他の公務のため、遅れて参加の予定でございます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 座席表及び議事次第に加えまして、これまでの4回の議論を踏まえた検討の全体像として、資料1「社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会とりまとめ(案)」、資料2といたしまして、「社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会とりまとめ(案)参考資料」を準備させていただいております。
 本資料につきましては、事前にメールにて各構成員に送付させていただいております。お手元に資料の御準備をいただきましたでしょうか。
○田中座長 カメラの方々がおられたら、これで御退出ください。
 これより、議事を開始いたします。
 事務局より、資料1及び資料2について、説明をお願いいたします。
○初鹿課長補佐 それでは、説明させていただきます。
 まず、資料1が「社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会とりまとめ(案)」でございます。
 資料2が、とりまとめ(案)の参考資料としまして、第2回から第4回までの検討会で示した論点整理から議論を踏まえて内容を修正した箇所に下線を引いたものでございます。昨年の11月から今年の3月まで4回にわたって開催してまいりました。これまでの議論を踏まえて、各論点と対応の方向性を整理したとりまとめ(案)を本日は提示させていただいております。
 資料1の1ページ目に「はじめに」としまして、検討の背景やとりまとめ(案)の位置づけについて御説明させていただきたいと思います。
「○ 人口動態の変化や福祉ニーズの複雑化・複合化の中で、社会福祉法人は、経営基盤の強化を図るとともに、こうした福祉ニーズに対応することが求められている。このような問題意識の下、令和元年度に開催された「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」により、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設について提言された。
    令和2年6月に「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」が公布され、今後、同法に基づき「社会福祉連携推進法人」制度が創設されることとなった。
○ 社会福祉連携推進法人は、地域共生社会の実現に向け、地域ニーズに対応した新たな取組の創出、その担い手となる福祉・介護人材の確保・育成等を進めていく観点から、地域の福祉サービス事業者間の連携・協働のためのツールとして有効に活用されることが期待される。
○ 本検討会は、こうしたことを踏まえ、社会福祉連携推進法人の施行に向けて、業務内容やガバナンス等、その具体的な運営の在り方等について実務的な整理を行い、分かりやすく周知を図るため、令和2年11月に設置された。これまでの議論に基づき、本検討会では以下のとおり提言する。」
とさせていただきました。
 2ページ目の図ですけれども、「社会福祉連携推進法人について(案)」ということで、3ページ目以降でまとめている論点の対応の方向性を絵にしたものでございまして、赤字の部分がこの検討会で御議論いただいて決めていく事項でございます。
 おめくりいただきまして、3ページ目からが論点の整理となります。第2回から第4回までの検討会の中で、対応の方向性としまして、「何々としてはどうか」と投げかけていた箇所について、本検討会での御議論を踏まえ、「何々とする」と断定の形に修正しています。資料2については、資料1のうち、御意見を踏まえて修正した箇所を抜粋したものとなります。
 本日は、時間の都合上、資料2に沿って、中身について説明させていただきます。
 それでは、資料2を御覧ください。まずは、社会福祉連携推進法人の業務に関する論点整理でございます。
 2ページ目、論点「社会福祉連携推進法人の目的や設立することで得られるメリットは何か」ということにつきましては、検討会の際にこの連携法人に加わることによるメリットを何か明示した方がいいのではないかという御意見をいただいたことから、最後のポツ、下線を引いている箇所を内容として追加させていただきました。こちらのページは、資料1では5ページ目にございます。
 最後のポツは、読ませていただきますと、「以上より、社会福祉連携推進法人のメリットは、同じ目的意識を持つ法人が個々の自主性を保ちながら連携し、規模の大きさを活かした法人運営が可能となることであるといえる」という内容を追記させていただきました。
 おめくりいただきまして、資料2の3ページ目でございます。こちらのページは、資料1では7ページ目にございます。2段目にあります論点「社会福祉連携推進業務以外にどのような業務を行うことができるか」、「社会福祉連携推進業務以外の業務を行うにあたってどのような留意が必要か」の対応の方向性につきましては、修正の前は、その他の業務をするときに「附帯業務」という言葉を使っていたのですけれども、文言の書き方を整えまして、「社会福祉連携推進法人は、法第132条第4項の規定により、社会福祉事業を行うことはできないが、母体は一般社団法人であり、社会福祉連携推進業務の遂行に支障がなければ、他の業務を行わせてはならない理由はないため、社会福祉連携推進業務に関連する業務であれば、以下の要件を満たす範囲において、行うことができることとする」という内容に修正をしてあります。
 それから、社員の従業員の子どもを対象とした企業内保育は実施できるのかという御意見もいただいたことにつきましては、最後の※印の部分、「対象者を社員の従業員の家族に限定しているサービスは、社会福祉事業ではなく、社員による従業員への福利厚生の一環と整理できるため、人材確保等業務として実施可能である」と整理させていただいたところでございます。
 こちらは、法第132条第4項に基づき、連携法人は社会福祉事業を実施できないこと、それから、社会福祉事業を実施できない趣旨に鑑みて、社会福祉事業には該当しないものの、類するような事業についても実施できないことを考慮しまして、対象者を社員の従業員の家族に限定しているサービスであれば社会福祉事業には該当しないため、「人材確保等業務として実施が可能である」と整理をさせていただきました。
 なお、こちらの記載については、連携法人ができるかできないかということの記載でございまして、社員である社会福祉法人ですとか、その他の社員の方がやっていただく分にはそれは構わないところでございます。
 続きまして、4ページ目を御覧ください。こちらは資料1では8ページ目にございます。まず、寄附についてですが、検討会の場で、通信装置やICT機器も一定の資産価値があり、それらを寄附したい人が出てきたことを拒否するところまでにするのは厳しくはないかという御意見ですとか、地域住民の中には寄附したいという意向をお持ちの方もいることが考えられるので、禁止しなくてもいいのではないかという御意見をいただいたことを踏まえまして、寄附については、「社会福祉連携推進法人は、社会福祉連携推進業務を遂行するために寄附を受けることができる」という内容に修正させていただきました。
 同様に、財産の保有についても、財産の保有に制限があるとできる業務の幅にも制限がかかってしまうことから、「社会福祉連携推進法人は、社会福祉連携推進業務を遂行するために財産を保有できる」という内容に修正させていただきました。
 ここまでが業務の総論に関する論点整理の修正の部分でございます。
 続きまして5ページ目以降で、各業務、社会福祉連携推進業務に関する論点の整理をまとめております。
 少しおめくりいただいて8ページ目の地域福祉支援業務の図を御覧ください。ここの絵の中にありますとおり、ある社員が送迎車両、運転手の提供、ある社員が付添職員の派遣、ある社員が交流会の場所の提供、ある社員が物品の提供、ある社員が付添職員の派遣といった形で、社員が少しずつ関わりを持つことで、一つの大きな取組を新しく実践していくといったような事例もあろうかと思います。それについて連携法人が、取組に参加する社員、実施場所、スタッフ、運営資金、各社員の役割等を調整することについても地域福祉支援業務に該当すると考えているところでございますが、こういった小さい法人が集まって何かサービスを新しくやっていくといったことがもともとの書いていた文章では読めないのではないかと御意見をいただいた箇所がございます。
 その点、ページを戻っていただきまして7ページ目になるのですけれども、論点としましては、「地域福祉の推進に係る取組を社員が共同して行うための支援(地域福祉支援業務)について」、①地域福祉支援業務として具体的に実施可能な取組は何か。②社会福祉事業以外の福祉サービス等地域住民に対する直接的な支援を行う業務を実施することは可能か。の論点の②のところでございます。
 ここについて、先ほど御説明させていただいたような小さな法人が集まって大きなサービスを提供していく、こういった内容が読めるような形で文章を書き換えさせていただきました。
「②について
○ 社会福祉連携推進法人自体が主体となって、地域住民等に対し、社会福祉事業その他社会福祉関係の福祉サービスを提供するような取組は地域福祉支援業務に該当しないことを原則とする。
○ ただし、例外的に、地域の福祉ニーズを踏まえつつ、社会福祉連携推進法人が社員である社会福祉法人等を支援する一環で、制度として確立され、定型化・定着している社会福祉事業を除き、社会福祉関係の福祉サービスを行う場合については、以下の要件をいずれも満たせば、地域福祉支援業務に該当することとする。
    ア 社会福祉連携推進法人と社員の両方が当該福祉サービスを提供していること
    イ 社会福祉連携推進法人から社員へのノウハウの移転等を主たる目的とするなど、社会福祉連携推進法人が福祉サービスを実施することが社員への支援にあたること
○ この際、上記に該当する場合であっても、社員である法人の経営に影響を及ぼすことのないよう、社会福祉連携推進法人が多額の設備投資等を必要とする有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅等の入居系施設を運営することは、地域福祉支援業務には該当しないものとする。」
という内容にさせていただきました。
 続きまして9ページ目、「災害時支援業務に関する論点整理」でございます。こちらについては、この災害時支援業務の例示の中でニーズの事前把握も入れた方がいいのではないかという御意見をいただいたことを踏まえまして、最後のポツのところ、「以上を踏まえ」の次に、「ニーズの事前把握」を業務の例示として入れさせていただいたところでございます。
 続きまして、「経営支援業務に関する論点整理」でございます。13ページ目を御覧ください。一番下の※印の部分ですけれども、「外国人材の受け入れに関する業務のうち、介護職種に係る技能実習の監理団体については、経営支援業務として行う」と記載させていただきました。
 こちらは、介護職種に係る技能実習の監理団体の取扱いについて、人材確保等業務の中で議論をさせていただいたところでございまして、その中で経営支援業務として行うという形で対応の方向性を示させていただきましたので、この経営支援業務の説明の部分にも追記させていただいたというものでございます。
 続きまして、「社会福祉連携推進認定の申請等に関する論点整理」でございます。16ページ目を御覧ください。資料1では42ページ目に記載がございます。こちらについては、検討会で特定の社員から多くの理事が出ないようにすべきではないかという御意見をいただいたことを踏まえまして、最後のポツを追記させていただきました。
「○ また、社会福祉連携推進法人の理事は社員の理事が兼務することが想定されるが、同一の法人の理事に偏ることは望ましくないため、同一の法人からの理事は、理事の総数の3分の1を超えてはならないこととする。ただし、社員の数が2である社会福祉連携推進法人については、理事の総数の2分の1を超えてはならないものとする。」
という内容でございます。
 この同一の法人からの理事は、理事の総数の3分の1を超えてはならないという内容については、社会福祉法人の制限と並びをとっているところでございます。
 ただし書きの趣旨につきましては、連携法人は社員の数が2以上であれば組むことができるところ、社員の数が2である場合についても、理事の総数の3分の1を同一の法人から出すことを超えてはならないとしてしまうと、設立に当たって必ず社員とは関係ない外部の理事を入れなければいけないこととなります。そうしますと、設立のハードルが少し上がることから、「社員の数が2である社会福祉連携推進法人については、理事の総数の2分の1を超えてはならないものとする」というただし書きを書いているところでございます。
 続きまして、「社会福祉連携推進法人のガバナンスに関する論点整理」でございます。18ページ目を御覧ください。資料1では49ページ目に記載がございます。この1社員1議決権の例外的な取扱いをどうするかということにつきましては、検討会の場において、1社員1議決権を原則ということを徹底すべきではないかという御意見ですとか、事業の規模に応じた議決権の配分を可能とするのであれば、合理的な範囲にすべきではないか、それから、特定の法人に議決権が偏らないようにすべきではないかという御意見をいただいたところでございます。
 これを踏まえて検討させていただき、下線の箇所を追記させていただいたところでございます。
「○ 社会福祉連携推進法人の社員の議決権については、社員間の公平性を保ち、適切な運営を担保するため、原則として、1社員当たりの議決権は、1の議決権とする。
  •  ただし、社会福祉連携推進法人の適切かつ効果的な運営を推進する観点から、以下の要件を全て満たし、社員間の合意に基づく場合は、定款の定めるところにより、原則とは異なる取扱いをすることも可能とする。
        ア 社会福祉連携推進目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないこと
     イ 社員が社会福祉連携推進法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いをしないこと」
     ここまでが第4回の資料でお示しさせていただいた内容でございます。
     この条件につきましては、他の非営利法人である公益社団法人においても同様の形で、この条件を満たす場合には、1社員1議決権の例外を定款で定めることを許容しているところでございます。また、地域医療連携推進法人も同様の取扱いとなっているところでございます。
     こうしたことから、他の制度においてもこうした例外的取扱いが許容されている中、社会福祉連携推進法人のみ例外なく、1社員1議決権とすることは、他の制度との均衡を欠く側面があることから、一定の要件の下、定款で別段の定めをすることができることとすることが適当だと考えているところでございます。
     その上で、第4回の検討会の場においていただいた御意見を踏まえまして、公益社団法人や地域医療連携推進法人のその縛りの中にはないものとして、社会福祉連携推進法人として規制を1つ上乗せする形で、ウを入れているところでございます。
     その内容が、「1の社員に対し、総数の半数以上の議決権を配分しないこと」というものでございます。
     この趣旨につきましては、このページの最後のポツにございますとおり、「社員総会での実質的な議論を確保できない配分を行わないことが趣旨であり、ウに該当しない場合であっても、例えば、2つの社員で常に決議ができるような実質的な議論が困難な配分を行うことも望ましくない」と考えているところでございます。
     このアからウの全ての要件を満たし、社員間の合意に基づく場合には、定款の定めるところにより、1社員当たりの議決権を1とする原則とは異なる取扱いをすることも可能という案を示させていただきました。
     なお、「上記アからウに該当しない場合であって、社員の社会福祉事業の事業規模に応じて議決権を配分することは、これだけをもって不当に差別的な取扱いとは言えない」と考えているところでございます。
     修正の趣旨は、このような内容でございます。
     続きまして、19ページ目を御覧ください。こちらは、資料1では51ページ目に入れているところでございます。論点としましては、「社会福祉連携推進評議会の構成員について」、具体的なイメージ、役員との兼務の可否、選任・解任についてどのように定めればいいかというものでございます。
     こちらは、検討会において、評議会の構成員について地域福祉の声を反映できるようにすべきではないかという御意見をいただいたことに鑑みまして、最後の行に、「その際、社会福祉連携推進区域の福祉の状況の声を反映できる者を必ず加えることとする」という内容を追記させていただいたところでございます。
     資料の説明は以上でございます。
    ○田中座長 説明ありがとうございました。
     今、説明がありましたように、今回、事務局より、本検討会における議論を踏まえてとりまとめ(案)が提示されました。このとりまとめ(案)全体に対して、さらにこうすべきではないか、あるいはこうした方がよりよい運営ができるのではないかといった点について、構成員の皆様より意見をお願いいたします。御発言の場合は挙手をお願いします。どなたからでもどうぞ。
     修正提案ではなく、何か感想でも結構です。
     松原構成員。
    ○松原構成員 ありがとうございます。
     評議会の構成員の要件の部分なのですけれども、資料2の19ページ目をちょっと出していただけますか。
     以前から指摘させて頂いておりますが、実態はともかく、外から見ると、連携法人によって非常に大きなグループができるように見えた場合、特に郡部においてほかに余り供給者がいない等のケースでは、利用者が意見を言いづらくなるようなことが起きないか危惧しております。弱者が声を上げづらくならないようにという意味で、地域の福祉の状況をしっかり分かっている、そういう弱者の声も代弁できるような方にぜひ評議会のメンバーになっていただきたいと思います。
     今の評議員の構成員メンバー例の書きぶりだと、例えば、商工会議所ならいいんだなと誤解されることを懸念します。例えばこの例を全部、いっそカットしてしまって、地域の福祉の状況の声を反映できるものを必ず加えるということだけを入れた方が、まだ趣旨が分かりやすいのではないかなということを感想として思いました。
     以上です。
    ○田中座長 ありがとうございます。評議会の構成員について、お答えになりますか。
    ○初鹿課長補佐 はい。今回、この連携法人の評議会の構成員の例示をこのような形で並べている趣旨としましては、実際に連携法人を設立していくときに、評議会にどのような方が参画すればいいかということの趣旨と、それから、どういった方を具体的に参画するときに声をかけていけばいいかということの分かりやすさ、設立されたい方の分かりやすさの観点から、こういった形で例示を並べているようなところでございます。
     第4回のときに松原構成員から御指摘いただいた内容としまして、この下線の部分の内容を加えさせていただいているところですけれども、この例示に挙がっている、こういった方から構成をして、そのときに、必ず連携推進区域の福祉の状況の声を反映できる者を入れてくださいという形になります。この例の中のどの御立場の方であれば必ずこうした声が反映できるということを言い切るのはなかなか難しく、その地域の状況ですとか、実際に推薦された方の状況にもよりますので、一概には言えませんが、「連携推進区域の福祉の状況の声を反映できる者」を必ず入れてほしいという内容になりますので、ここに書かれている方さえ入れればいいというよりも、ここに書かれている方を入れて、そのときに必ず福祉の状況の声が反映できる方というのはこの方ですというイメージで構成していただきたいというような形で資料としてはまとめているところでございます。
     この例示の考え方につきまして、ほかの構成員の方からも何か御意見などございましたらいただければと思います。
    ○田中座長 松原構成員からの問題提起でしたが、ほかの方はいかがでしょうか。この論点について。
     宮川構成員、お願いします。
    ○宮川構成員 ありがとうございます。
     私としては、松原先生がおっしゃったように、商工会議所から推薦を受ける者が、必ずしも地域の福祉の状況の声を反映できる人とは限らないという部分もあるかと思いますが、その反面、全く例示を全部なくすというのもどうかと思うので、ここまで例示を挙げなくてもいいのかなと。2~3ぐらい例示を挙げて、その他でそういう人も含め福祉の状況の声を反映できる人を必ず加えることとしてはどうかなという意見です。
     以上です。
    ○田中座長 ありがとうございました。
     川原構成員、お願いします。
    ○川原構成員 ありがとうございます。
     社会福祉法人の役員について、例えば監事であれば財務について分かっていることみたいな要件があって、それに該当するか否かというのをチェックする形があったと思いますので、どういう方が評議会の構成員になるかというところで明示できるようなものにするというのも1つあると思いました。
     以上でございます。
    ○田中座長 ありがとうございます。
     確かに例示とはこの人たちを入れなくてはいけないと誤解されてもいけないし、いや、こういう職種もあるけれども、書いてないからだめなのではないかと思われてもいけないですよね。したがって、一番最後につけ加えられた2行、「必ず福祉の状況の声を反映できる者を加える」、これはいい追加ですね。松原構成員の趣旨に合った追加になっています。例示をどこまで広げるか、あるいは縮めるか、残すか等については、最後は私に一任していただくことになると思いますが、よろしゅうございますか。
    (首肯する委員あり)
    ○田中座長 考えよという御指摘をいただいたと把握いたします。ありがとうございます。
     課長、お願いします。
    ○宇野課長 ありがとうございました。福祉基盤課長でございます。
     ここの辺り、我々も実は頭を悩ましながら、いかに松原先生の御指摘をうまく反映できるようにするかということで、まだまだ不十分だということは大変力不足を感じておりますけれども、文章的には、「その際」というふうに以下書いていますので、上の例示というのは必ずしもというか、直接つながって、この例示の人が全てその3以下になるというわけではない形では書き分けたのですが、実際、例示を落とすとか一部の例示を残すといったときには、検討会で一回資料を出していますので、この検討会の意思として、例示を「落とす」考え方を明確にしなければならない部分もございます。
     ですので、要するに削るとなるとどこを削ったらよいかということもありますし、例示で挙げている方々の中には福祉の状況の声を反映できる方もいらっしゃれば、そうでない方もいらっしゃるというご意見なのだと思います。そこは連携法人を実際につくる方々の実務的な部分も考えなければいけないと思っております。
     これはちょっと座長と御相談ですけれども、例えばここに書いてあるポツが例示で、要するに、どこか削るとなると、どこを削るのだという話になってきて、なかなか難しい部分もございますので、例示だということをより明確にするような加筆とかいう形で、何かその辺で座長と御相談させていただきながら工夫できないかなということで、今の御意見を伺っていて思ったのですが、いかがでしょうか。事務局としては今そういう一つの案を考えたのですが、また御意見いただければと思います。
    ○田中座長 そうですね。これはこういう人を入れなさいと示すリストではなくて、例示であることが分かり、かつ、最後に福祉の声を反映できる者を加えるとの限定を、規定をつけ加える案でいきましょうか。よろしゅうございますか。
    (首肯する委員あり)
    ○田中座長 最後、事務局と調整いたしますが、そのように扱わせていただきます。ありがとうございます。
     ほかの論点、いかがでしょうか。
     川原構成員、お願いします。
    ○川原構成員 ありがとうございます。
     質問なのですが、資料1の55ページに関する部分で、自治体については社員になることができないということでしたけれども、自治体の職員が、理事ですとか、評議会の構成員になることは可能なのでしょうか。その点、御確認をお願いしたいと思います。
    ○田中座長 お答えください。
    ○初鹿課長補佐 御質問いただいた点なのですけれども、実際に自治体の方が社員になれないということは、今、川原構成員からお話がありましたとおり、この資料上でもお示しさせていただいているのですけれども、自治体は各種許認可権を有するなどの立場の違いということもございますので、社員そのものにはなれないというところでございます。その一方で、自治体の方が理事になることですとか、それから、評議会の構成員になれるかということですけれども、まず、評議会の構成員については、ここの社会福祉連携推進区域の福祉の状況の声が反映できる者ですとか、そういった地域福祉の声を反映できる方というのを入れていただきたいと考えておりますので、自治体の推薦を受けている方が入るということが適切な場合というのも考えられるのではないかと思っているところでございます。
     それから、理事についても、なかなか社員自体にはなれなくても、地域の福祉を推進していくという連携法人の立場を鑑みたときに、理事に入ることが適切な場合というのもあり得るとは思いますので、自治体の職員の方が入るということもあり得るのではないかなとは思います。
     ただし、その際も、今回同一の社員からの理事の輩出の制限をかけているところではございますけれども、同じように、同じ法人から、外部にはなりますけれども、たくさん理事が輩出されてしまうと、それもまた連携法人の趣旨に合わなくなることが考えられますので、輩出される場合にはやはり制限の中で担っていただきたいなとは考えているところでございます。
     以上です。
    ○田中座長 よろしいですか、川原委員。
    ○川原構成員 はい、ありがとうございました。
    ○田中座長 社員にはなれないけれども、それ以外はなれるというお答えでした。
     山田構成員、お願いします。
    ○山田構成員 ありがとうございます。
     資料1の7ページをお願いします。資料1の7ページに、独占状態になったときの懸念点の解消について、ここの上から6行目に、地域住民の声を反映させていくという表現があります。地域住民の声ということは、先ほど松原委員がおっしゃった推進区域の福祉の状況の声を反映するという、ちょっと表現のニュアンスが違って、住民の声ということになりますので、今こういう方が評議会のメンバーに入っているイメージが必ずというふうに取られないかなと。
     といいますのは、その手前の6ページの一番上の〇の2つ目の黒ポツ、「人材確保等業務等を中心に、都道府県区域等において特定法人種別が広域的に連携するタイプ」、例えばこういう業務を行う連携推進法人であれば、特定の地域というのになじまない場合もありますので、意見としましては、もう一度7ページをお願いします。これの6行目の「地域住民の声を」というところを、「地域住民等」ぐらいを入れれば解決できるのかなあと思ったりしましたが、いかがでしょうか。
    ○田中座長 お答えください。
    ○初鹿課長補佐 今、御指摘いただいた箇所ですけれども、「地域住民の声を連携法人の運営に反映させていくこととする」というここの内容は、まさに御指摘いただいた評議会の構成員の論点のところで追記させていただいた、区域の福祉の状況の声を反映できる者を入れるという趣旨でございまして、6ページ目に書かせていただいたとおり、市町村域において連携するようなパターンのほかに、都道府県域、かなり広い域で連携していくパターンの連携法人も考えられるところでございますので、そうなったときに、ここに、7ページ目に書かれている地域住民の声というものを必ず反映できなければいけないという形になってしまうと、なかなか、ではどこの地域の住民だということにもなってくると思いますので、その部分はあくまでも評議会の構成員のところで追記した内容で意味したいと考えたところでございましたので、御指摘いただいたとおり、「等」を入れることですとか、あるいは区域の福祉の状況の声を反映できる者とかいう形で、記載ぶりを評議会の構成員のところで追記している記載ぶりの方にそろえるといった形で修正させていただければと思います。
    ○田中座長 どうぞ。
    ○滝澤法人指導監査官 すみません。先ほどの川原委員からの御指摘で、自治体職員が理事に入れるかどうかという御意見ございましたけれども、その点につきましては、社会福祉法人の例で申し上げますと、社協や社会福祉事業団以外は原則として理事になることが適当ではないというような見解も示しておりますので、そこはどのような形で理事として参画いただけるようにするかにつきましては、座長とも御相談して、書きぶりについては検討させていただきたいと思っております。
     補足でございます。
    ○田中座長 補足、ありがとうございました。今、7ページの説明は、独占状態になる、つまり、地域が小さいときの話ですよね。広域の場合には独占状態はあり得ないから、広域の場合には別に、ここに書いてある地域住民を入れなくてもいいわけですね。
    ○宇野課長 むしろ松原委員の御懸念というのは、大きければ大きいほど、より区域が広がると、より小さいところの市町村とかの声がうまく酌み取れないという懸念があるところのお話もあったものですからこういう形で書かせていただいたので、ただ、大きいからといって、ここの地域住民の声が必要ないというわけではないのではないかなと思っております。
     今、初鹿が申し上げたのは、51ページの評議会の構成員のところの表現との調整ということかと思いますが、先ほどの評議会の構成員のお話もありましたので、ここは御議論いただければと思います。
    ○田中座長 連携推進法人には福祉を受ける立場の方の声が反映される案には私も大賛成です。それと、この7ページの独占状態になったときの懸念点の解消とは別な話です。独占であろうとなかろうと、福祉を受ける方の代表が声として聞けるのはいいことですが、7ページは独占状態と書いてあるので、独占状態でなければ、ではこれはいいのかと逆になりますから。両者は違う論点ではないでしょうかね。
    ○宇野課長 すみません。独占状態だというところについて、懸念点の解消方法として、我々としては、評議会を活用するというところで一つの懸念点の解消に向けた制度的担保ということを考えておりました。ですので、ここの部分を、山田委員は地域住民等という形でおっしゃっていましたけれども、もう一つは、地域住民という言い方をちょっと変えていく、先ほど言った「連携推進区域の福祉の状況を反映できる者」のところにするのかという案。これは業務が幾つかあったとしても、あと全国的にあったとしても、必ず区域は決めなければいけないものですから、そこのところでどこまでここの表現ぶりをと思っているのですけれども。
    ○田中座長 どのようにしましょうかね。もう一度言うと、別に地域独占が懸念されようとされるまいと、福祉サービスを受ける立場にある者の代表の声が聞こえる形が第一に必要ですね。第二、独占状態、これは狭い地域、さっき松原構成員が言った、例えば僻地で事業体が独占したようなときの懸念点の解消の話とはちょっとニュアンスが違っています。独占を防ぐためには何も福祉を受ける人だけでなくて、まさに地域、一般住民でもいいのかもしれないですね。そこはちょっと書きぶりを工夫した方がいいかなと思います。
    ○宇野課長 そうしますと、むしろ書き分けという形では原案の方がいいということですか。独占状態であれば地域住民ということですね。
    ○田中座長 そうですね。独占状態となったときには、現在、福祉を受けていなくても、地域住民にとって、社会の公共的なインフラとしてのこの推進法人が公正であってほしいはずです。現在福祉を受けていない人にとっても必要な記載かもしれないですね。それと、評議会の具体的なメンバーに福祉を受ける方の声が聞けるあり方は両立する話なので、逆にここで独占状態になったときと書いてしまうと、独占状態でなければこの条文は消えるのかと問える論理になりかねないので、ここは書き換えた方がいいかなと感じました。
    ○宇野課長 逆に、「福祉サービスを受ける立場にある者」というのは要らないということですね。
    ○田中座長 はい。独占状態の懸念点の解消については、要するに地域住民の声を反映させていくこととする、これはいいと思います。
    ○宇野課長 要するに、1行目の「福祉サービスを受ける立場にある者」というのを削るという意味ですかね。
    ○田中座長 1行目はいいですけれども、その次ですね。4行目かな。
    ○宇野課長 「福祉サービスを受ける立場にある」は要らないということですか。
    ○田中座長 独占状態の懸念点の解消については、そのような理解です。
    ○宇野課長 そうしますと、「社会福祉連携推進評議会を活用して」の後、すぐに「地域住民の声を」ということですか。
    ○田中座長 上の独占状態になったときの懸念点の解消についての答えとしては。そうすると、後で出てくる、福祉サービスを受ける立場の声は独占状態であろうとなかろうと必要だと言い切ることです。
    ○宇野課長 なるほど。分かりました。だから、「地域住民の声」の地域住民について、福祉サービスを受ける立場にある者に限定しないということですね。
    ○田中座長 はい。今の論点について、いかがでしょうか。
     よろしいですか。
     では、これもまた事務局と私に一任していただきますようお願いします。常に社会福祉連携推進法人は福祉サービスを受ける立場の声を聞く案は、これは独占状態であろうとなかろうと必要であるというのが最後の方に出てきます。これはたまたま地域独占がありそうな僻地等ではもう少し広く地域住民の声を聞くこととするとの書き方で。そうすると論理が矛盾しなくなるのでよいかなと私は今考えていますが、後で調整いたします。ありがとうございます。
     ほかの論点についてはいかがでしょうか。
     私からもよろしいですか。
     資料2の18ページです。一番下に訂正で、「2つの社員で常に決議ができるような実質的な議論が困難な配分を行うことも望ましくない」と書いてありますが、これは社員数が2の場合はどうなるのですか。
    ○初鹿課長補佐 社員数が2の場合は、議決権がそもそも偏ってしまって、1対1になっていない時点で、もう既に議論を行わずとも、常に決議が行えるような状況になってしまいますので、社員数が2の場合には、1対1、1社員当たりの議決権は1の議決権とするというその原則そのまま活用する以外には組み方がないと考えております。
    ○田中座長 2つが合意すればいいというのはこの文章に矛盾しませんか。
    ○初鹿課長補佐 社員間の合意に基づけば原則と異なる取扱いも可能となるということで、もし合意してしまえばということですね。
    ○田中座長 2分の2ならいいですよ。ただ、この文章だと、2つで合意してはいけないと書いてあるように読めるので。
    ○初鹿課長補佐 ここは、2つの社員のようなパターンではなくて、かなりの数の社員がいるような連携法人で、大きな2つの法人が議決権の過半数を占めてしまっているようなケースを想定しています。
    ○田中座長 さっきどこかで社員数が2の場合は別とか書いてあるところがありましたね。
    ○初鹿課長補佐 はい。同じように、ここは補足させていただこうと思います。
    ○田中座長 社員数が2とか3だと、算数ですけれども、社員の合計が動いてしまう。「社員数が多い場合は」とか。
    ○初鹿課長補佐 そうですね。文言を補いたいと思います。
    ○田中座長 国語、算数の話でしたけれども。
    ○宇野課長 今のところで、私も、この今の御議論、ちょっと最後の方なのであえてお話ししますと、ウの方は多分省令で書くのですね。「1の社員に対し、総数の半数以上の議決権を配分しないこと」。だから、これになったら違反なのですけれども、確かに、恥ずかしながら、社員が2の場合だと半数になってしまいます。1:1ですね。そうすると、そこは書きぶりをどうするかというのも併せて検討させていただきます。
    ○田中座長 はい、お願いします。
     ほかの論点はいかがでしょうか。
     よろしいですか。
     では、本日事務局から提示されたとりまとめ(案)については、幾つか考え直すとか、どちらかというと技術的な修正のようなものは必要だとの意見がございましたが、大幅な修正は必要ないと判断いたします。
     本日の意見を踏まえた修正は座長である私に御一任いただき、必要な修正を加えた上で、本検討会におけるとりまとめとさせていただきます。異議ございませんか。
    (首肯する委員あり)
    ○田中座長 ありがとうございます。
     事務局は、令和4年6月までの社会福祉連携推進法人制度の施行に向けて、本検討会における議論を踏まえ、今後の準備作業を進めてくださるようお願いいたします。
     ちょっと時間が早いですが、本検討会はこれで最後となります。局長から一言御挨拶をお願いいたします。
    ○橋本局長 遅れてまいりまして、すみません。局長の橋本でございます。
     本検討会につきましては、昨年の11月以来、本日も含めて5回にわたりまして大変活発に御議論いただきまして、構成員の皆様方におかれましては、新型コロナウイルスの影響で非常にいろいろ大変な中で御協力をいただき、また、専門的な知見からの御意見をたくさん頂戴いたしまして、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げたいと思います。
     今後、私ども厚生労働省といたしましては、この検討会で御議論いただきました制度設計というものを踏まえまして、今度は会計基準を作っていく必要がございます。今後は、社会福祉連携推進法人の会計基準につきまして、公認会計士の先生方からなる「社会福祉法人会計基準等検討会」、こちらの方で検討を進めるというのが1点でございます。そしてまた、令和4年6月までの間にこの社会福祉連携推進法人制度の施行ということをしていかなければなりませんので、法律に基づく政省令ですとか、あるいは関係通達の策定、こういった作業を進めていくということになってまいります。
     これらの作業を今後進めていくに当たりましては、本検討会での御議論を最大限尊重いたしまして、地域の福祉サービスの充実、あるいは社会福祉法人の経営基盤の強化などを図っていく上で、社会福祉法人連携推進法人制度が関係者の方々にとって使い勝手のいい制度になるように努めてまいる所存でございます。
     そして、まとめていただきますこの報告書の中にもございますように、「同じ目的意識を持った法人が個々の自主性を保ちながら連携し、規模の大きさを生かした法人運営が可能となる」といった形で、この新しい制度を多くの法人が実際に活用していただいて、福祉の現場のレベルアップということにつながるようにしてまいりたいと考えております。
     構成員の皆様方におかれましては、ぜひ今後とも様々な場面で御指導いただきますようよろしくお願い申し上げまして、私からの御礼の御挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。
    ○田中座長 局長、ありがとうございました。最後、局長も強調されていた社会福祉連携推進法人のメリットですね。「同じ目的意識を持つ法人が」と、ここはいいですね。この文章が入ったことによってずっと意味がよく分かりました。
     構成員の皆様からは、新型コロナウイルス感染症拡大の中にもかかわらず、専門性の高い見地から貴重な御意見を頂戴し、ありがとうございました。
     本検討会はこれで終了となります。誠にありがとうございました。

照会先

社会・援護局福祉基盤課

(代表電話) 03-5253-1111(内線2871)