第15回 厚生科学審議会健康危機管理部会 議事録

日時

令和3年3月24日(水)13:00~15:00

議題

  1. (1)東京オリンピック・パラリンピックに向けた危機管理対応について
    (2)化学災害・テロ対策について(神経剤解毒剤自動注射器の備蓄・活用に関する報告)
    (3)厚生労働省における情報セキュリティ施策について
    (4) 国際保健規則に基づく国家連絡窓口機能の強化に関する令和2年度厚生科学課補正予算及び令和3年度予算事業について
    (5)国際保健規則(IHR2005)に基づく活動について
    (6)世界健康安全保障イニシアティブ(GHSI)について
    (7)健康危機管理調整会議の開催状況について
    (8)その他

     

議事

 
2021-3-24 第15回厚生科学審議会健康危機管理部会
 
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 それでは、定刻を少し過ぎました。ただいまから第15回「厚生科学審議会健康危機管理部会」を開催いたします。厚生労働省大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室長の鷹合と申します。
委員の皆様には、本日は御多忙のところお集まりいただき、御礼申し上げます。
本日、まだ大曲先生が参加できておりませんけれども、全員出席予定でございまして、ほかの皆さんはそろっております。会議が成立していることを御報告いたします。
なお、大曲先生は所用のため途中で退席予定でございます。
それでは、これより議事進行につきまして、脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 承知しました。感染研の脇田です。よろしくお願いします。
前回10月以来で、半年ぐらいになっていますけれども、今日も議題がたくさんありますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事次第を御覽ください。議題1から議題7、そして議題8が「その他」ということになっております。
まず、議題1から入りたいと思います。「東京オリンピック・パラリンピックに向けた危機管理対応について」でございます。まず、事務局から説明をお願いします。
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 事務局の鷹合です。
2021年に開催が延期されました東京オリンピック・パラリンピックについて、政府内でも体制が整備されておりますので、御報告申し上げます。
資料1を御覧ください。3ページになります。1枚めくっていただきまして4ページを御覧ください。東京オリンピック・パラリンピックに向けた政府全体・厚生労働省の検討体制です。御存じのとおり、もともとオリパラは昨年開催される予定でした。そのため、厚生労働省としては、右側の囲みになりますが、厚生労働省オリンピック・パラリンピック健康危機管理連絡会議を平成29年2月に設置しておりまして、対応できる体制をつくっておりました。
また、政府としても、上の囲みになりますが、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部、本部長は内閣総理大臣であります。その下に関係省庁の連絡会議がありまして、その下にセキュリティ幹事会という形で体制を整えていたところでございます。オリンピックが7月から始まります。今後この体制も活発に動き始めると思います。
5ページ目になりますが、厚生労働省としてのやるべき取組をまとめております。新型コロナウイルス感染症への対応については、別途当省の新型コロナウイルス対策本部がオリパラ事務局等と進めておりますので、本日は新型コロナウイルス対策については議題といたしません。上から、一番重要な救急医療体制の整備、医療機関における外国人患者受入整備、毒物等の管理、感染症発生動向調査、NBCテロ対策強化、旅館等の外国人宿泊者対策、食品衛生、水道施設の警備強化、検疫体制の整備、関係国との連携など取り組んでまいります。今般、外国人の観客は入れないといった整理になったと思いますので、医療機関における外国人患者の受入、旅館等における外国人宿泊客対応、検疫体制については、想定よりも多少負担は減るのかなと感じております。いずれにしましても、万全の体制でオリンピック・パラリンピックに対応したいと考えております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
現状についての御説明ということですけれども、1年間延期になったオリンピック・パラリンピックに向けての説明ということであります。
御意見、御質問等ございましたら挙手していただければ。医師会の長島委員、お願いします。
○長島委員 新型コロナウイルス感染症に関しては、別スキームで当然対応すべきかと思いますが、それは別としても、ここで掲げられている取組全てにおいて、新型コロナウイルス感染症に対する対応がそれぞれ必要になるという意味で、負担がより深まる、あるいは何らかの制限がかかるという観点では、しっかりその観点でもう一度見直しをしていただく必要があるのではないかと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
今のは医療体制ということでございますか。
○長島委員 医療体制だけではなくて、様々な監視を行うにしても、警備を行うにしても、行動そのものに係ってくるので、そういう点での注意が必要かと思います。
○脇田部会長 分かりました。全般ということですね。ありがとうございます。
そのほかございますか。
では、取りあえず今の長島委員の御意見、事務局、いかがでしょうか。
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 承りました。ありがとうございます。来年度以降、オリンピック・パラリンピック健康危機管理連絡会議が開催されていくと思いますので、その旨、先生の懸念をしっかりと関係部局に伝えますとともに、警備体制ということであれば政府全体の話でもありますので、セキュリティ幹事会等でそういったことを発信していきたいと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
セキュリティ幹事会、連絡会議というのは、また来年度早々に開催されるということでよろしいですか。
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 日程は未定ですけれども、動き始める時期ではありますので、開催されるとは思います。時期は未定です。
○脇田部会長 分かりました。
そのほかいかがでしょうか。御意見ございますか。
それでは、御意見がないようでしたら、先ほどに進ませていただきたいと思います。議題2「化学災害・テロ対策について」。事務局から説明をお願いいたします。
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 事務局でございます。
化学災害・テロ対策について、御提言をいただきましたテロ対応医薬品備蓄や自動注射器の現状について御報告いたします。
資料2-1は三部構成になっておりまして、自動注射器の研修等の現状、テロ対応医薬品の有事における配送、テロ対応の改正通知の概要になります。資料2-2については改正通知本文となりますので、併せて御説明させていただきます。資料が少し多いので、この議題については長めに説明させていただきます。
資料2-1を御覧ください。7ページから10ページまでは前回の部会で説明した資料と変わっておりません。7ページですが、当部会において神経剤解毒剤の自動注射器について備蓄すべきとの意見をいただきました。8ページですが、化学災害・テロ対策に関する検討会を開きまして議論いただきました。9ページになりますが、医師・看護職員以外の実動部隊の公務員による解毒剤自動注射器の使用に関する医師法の考え方を整理いただきました。10ページですが、自動注射器の使用判断モデルについて整理いただきました。
すみません。大曲先生が入られたようです。どうぞよろしくお願いいたします。
○大曲委員 遅くなりました。大曲です。失礼いたしました。よろしくお願いします。
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 お忙しいところありがとうございます。
続きを説明させていただきます。それらを踏まえて、11ページですけれども、自動注射器使用に関する研修会を開催しました。オンラインと実地を合わせたハイブリッド型研修を昨年10月から行っており、これまで1,000人以上がコースを修了しております。今後、研修を終えた消防隊員などが同僚に研修を行い、自動注射器を使用できる者が増えていく予定であります。
12ページですけれども、神経剤解毒剤自動注射器使用に関する運用体制を整備しております。自動注射器について、消防庁、警察庁、防衛省、海上保安庁、いわゆる実動部隊の省庁間で運用体制を整理しております。NBCテロその他大量殺傷型テロ対処現地関係機関連携モデルというものを策定しておりまして、有事の際のオペレーションを規定しておりますが、その中に自動注射器の使用も追加しております。赤い囲みになります。これでオペレーション及び対応できる人員という点で準備はできたかなと思っております。オリンピック・パラリンピック、さらにその後に続く大阪万博等の大規模イベントに備えたいと考えております。
次に13ページを御覧ください。これは自動注射器ではなく、ほかの国家備蓄をしている医薬品についてです。厚生労働省において、大規模イベント時の化学テロに備え、医薬品の国家備蓄を行っています。根拠としては、真ん中の枠にありますけれども、国民の保護に関する基本指針に「指定公共機関及び都道府県は、武力攻撃災害が発生した場合、あらかじめ備蓄した応急救護用医薬品、医療資機材等を活用するとともに、平素からNBC攻撃も想定しつつ、必要な医薬品、医療資機材等の備蓄に努めるものとし、国は、関係機関において必要な備蓄が行われるように努めるものとする」とあります。それを受けて、厚労省国民保護計画で「国において備蓄・調達体制を整備することが合理的と考えられるものを、必要に応じて備蓄し、若しくは調達体制を整備し、又はその促進に努めるもの」としております。それが根拠となっております。
テロ対策という性質上、備蓄している医薬品の種類、備蓄場所については公表しておりませんが、テロに備えて医薬品の備蓄のため予算を計上していることをお伝えいたします。もちろん、予算は国会において審議中でございますので、成立はまだということでございます。
次に14ページを御覧ください。テロ対策関連通知の更新についてです。厚生労働省の所管事務に係る包括的なテロ対策に関しましては、これまで平成15年に「国内でのテロ事前発生に係る対応について」を発出しておりました。しかしながら、平成15年から現在まで改正が行われていない状況でしたので、このオリパラ開催の機会に更新をしようと考えております。この通知は、平成15年以降に各部局が発出している関連文書をまとめまして、自治体の担当者がこの通知を見れば対処法、どの通知を確認して対処すればよいのかが分かるようにし、自治体の担当者のチェックリストとして使用できるようにしております。
最近、新型コロナ関係で自治体への通知等の文書が多過ぎて、自治体の負担が大きいと言われているのですけれども、この通知を見ると確認すべき通知等を見られるようにするので、この通知を見ればテロ対策でやるべきことが分かるようになっております。よって、自治体がたくさんの過去の通知を探して整理する手間がなくなるので、負担は軽減されるのかなと思っております。
内容としては「主な改正点」のところですが、予防、事前準備、検知、対応のフェーズに分けて、それぞれの段階でのチェック項目を列挙、サイバーテロに関する危機管理について新設しております。また、テロの現場対応者・医療従事者向けの情報ツールの紹介、先ほど申しました医薬品の国家備蓄についての記載、テロ対策の研修の紹介、先ほど申しました自動注射器の記載等を盛り込んでおります。
イメージとして、現在各部局と最終調整中ではありますが、通知案を資料2-2、17ページから載せてあります。2画面、2アップにして文字が小さいのですけれども、17ページを見ていただくと右の四角囲みに関連文書を載せております。今、その通知をクリックしてリンクに飛んでしまったのですけれども、まさにこういった形で、関連する文書のリンクを貼っておいて、ここをクリックすればこの通知が確認できるという形にしております。ということで、この通知を見れば大体はテロ対策のノウハウ、オペレーションが分かるということだと考えております。
続きまして、18ページの右側の真ん中、(3)NBCテロ云々と書いてあるところですが、ここに先ほど申しましたテロの現場対応者・医療従事者向けの情報ツールの紹介をしております。MED-ACTと言います。
22ページの第8のほうにはサイバーテロの記載を新規に入れております。
最後に、15ページに戻っていただけますでしょうか。先ほど申しました現場対応者や医療従事者への支援ツールが、近日中に国立保健医療科学院の健康危機管理支援ライブラリーというところにMED-ACTという形でこういうコンテンツが載るようになりますので、これを自治体の方が見ていただけると、病院に行く前の対応をどうすればいいとか、化学剤のデータベースはこういうのがありますよとか、そういうのが簡単に見られるようになっております。近日中に公開予定と聞いております。
私からの説明は以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。今、化学災害・テロ対策についての御説明をいただきました。ただいまの御説明、今後の進め方等に関して御意見ございましたら、お願いいたします。長島委員と遠藤委員、順番にお願いします。
○長島委員 長島です。
神経剤解毒剤自動注射器を使用した後は迅速に医療機関に搬送されるということになりますので、医療機関側でこの注射器の内容とか、どう対応するかということが分かっていないと大変困ることになります。したがいまして、2つしっかり周知をして、事前にこの情報を例えば救急などを中心に医療機関側に周知するとともに、実際に使用した場合には、患者に紙などの資料をつけて、患者とともに医療機関に搬送されるという取組をぜひお願いいたします。
以上です。
○竹内委員 1点、竹内からもいいですか。今の話なのですけれども。
○脇田部会長 どうぞ。
○竹内委員 横浜市大の救急の竹内です。
僕は、この検討会のほうにも入って消防とか警察と一緒にこのことを協議してきました。今、長島先生おっしゃったように、このことに関しては非常に意義が大きいと思っています。今まで平成8年の地下鉄サリン事件、25年近く日本のテロ体制が何も変わらなかったところが、今回のことによって医師・看護師が現場に着く前に何とか処置ができるということは画期的な。25年間なかなか進まなかったことが、やっと第一歩だと思うのですけれども、それと同時に、使う以上は現場でもかなり厳格にすべきだろうという意見が大勢を占めまして、資料を詳しく見ていただけると分かるのですが、結構きつくなっています。これはむしろ消防、警察、海上保安庁、実際使うほうから全部の権限を任されてということなので、結構厳しい条件がついた中での医療従事者以外が使うということになっています。それが補足ということ。
もう一点は、これに関しても事前に研修を受けた専門部隊が使うというふうにつけています。だから、誰でも彼でも特殊災害テロ部だから使っていいというわけにはなっていない。ここも歯どめをかけていますので、一つ懸念されるのが、これは去年のオリンピック、8月へ向けてどんどん人員を養成していく予定だったのが、先ほど話がありましたが、1月から2月のところでコロナが発生して、その集合研修が全部中止になってしまったということで、これから急ピッチで。もちろん、オンラインとか、去年は想定していなかったことも踏まえながらも、どうやってテロの最前線へ出ていく部隊にこのことの事前の研修を周知するかということが、万が一オリンピックでテロがあった場合の有効的な活用に直結すると思いますので、厚労省としてもこの点に関してはサポートをいただいて、コロナ禍で集合研修が難しいですけれども、まずは何とかリーダー育成をした上で、それぞれの関係機関に落とすとなっていますので、ぜひそこのサポートをお願いしたいなと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
遠藤先生、どうぞ。
○遠藤委員 資料2-1、10ページの使用判断モデルに関してです。この報告書が提示された前々回の部会では、自動注射器の使用判断モデルの右端の「専門家の助言」の部分がいかに運用されるか、どのように運用するか今後検討していくということでした。これについての進捗状況をお尋ねしたいのですけれども、そのときの部会では各委員の意見を部会長が取りまとめてくださり、専門家の医師の助言のラインについて、今後関係部署と検討することになるであろうが、きちんと運用することが一つの大きな課題であるというふうな形で認識統一がされました。
これに関しまして、室長のほうからは次のとおり説明がありまして、オリパラなどのマスギャザリングが起きる危険性が高い場合と平時とに分けて整理して、この運用のほうを検討していくであろうということで、まずはマスギャザリングが起きる今回のオリパラのようなときの体制については、しっかり機能させる必要があるということで、日本中毒情報センターだけではなくて、ほかの機関も活用しながらしっかりとその助言ができる体制をつくっていくということでした。
一方で、平時の段階からその体制をつくれるかどうかというのは別の問題で、中毒情報センターの24時間のホットラインの中で対応できる部分はお願いしたいということをおっしゃられていたのですけれども、実際、私ども日本中毒情報センターは、現地関係機関連携モデルにおきましても、Cテロにおける専門機関の一つとして上げられているのですが、実際この助言を行える専門家の医師は常駐する体制にはありません。化学テロ専用回線には24時間常駐している薬剤師がまず対応いたしますので、専門家の医師に連絡することは可能なのです。ですけれども、専門家の医師は現状ではあくまでもボランティアでして、この連絡に即応するために24時間常駐、拘束することはできない現状ですので、こういった現状も踏まえまして、前々回でおっしゃられていました助言のラインについて、どこまで検討が進んでいるのかお教えいただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
では、事務局のほうから、今、3名の先生方から御意見、御質問をいただきましたので、その点、コメントをいただけますか。
○杉原国際健康危機管理調整官 事務局の杉原と申します。
御指摘いただきまして、どうもありがとうございます。皆様の多大な御尽力によりまして自動注射器の使用が実現できたということは、大きな意味があるところだと考えております。
○脇田部会長 ちょっと声が聞こえにくいです。よく聞こえません。
○杉原国際健康危機管理調整官 すみません。
ありがとうございました。皆様の御尽力によりまして、この自動注射器の使用ということが実際に動くようになってきたということで、非常に意義のあることと考えております。
まず、長島先生の御指摘の件ですが、医療機関への事前の周知ということに関しましては、前回この報告書が出たとき、2019年のタイミングで一度医療機関向けに周知するような通知を発出しております。それに加えまして、記録が医療機関側に分かるようにというものですけれども、それぞれの消防隊の中でどのような取扱いをやるかということに関して、今、消防の中でももんでいただいておりまして、東京消防庁ですとかそういったところは事前にプロトコルを決めている段階と。各消防によって考え方や扱い方が違いますので、消防の中でちゃんと整理をして記録を残すようにと。記録をちゃんと医療機関に伝えることの重要性というのは周知するような形で、これも運用の体制というのは、今、消防等の中でも整備しておりますけれども、最終的に患者さんを搬送するのは消防の役割になりますので、そこにちゃんと情報が。各部隊が使用したとしても最終的にその情報が伝わって、医療機関にも何をどれぐらい打ったかということが分かるような形で情報を整理するということに関しては、消防とも今、お話をしているところでございます。
竹内先生のおっしゃられた研修をどうやるかということに関してですけれども、資料の11ページ目に記載がございますとおり、1,000名以上のインストラクターに関してはコースが修了しておりまして、現在現場に使う可能性のある実動隊員に対しての研修が実施されているところと承知しております。インストラクターのコースの修了者については、予定どおりの人数が全員完了している次第でございます。
専門家への進捗の助言に関しましては、オリパラにおきましては特別体制がしかれるということで、過去G20等でもそういった特別体制をしいておりましたので、同じような形で緊急時には対応できるような体制を取っていきたいと考えております。
また、平時に関しましては、おっしゃられたとおり、24時間常駐してという体制を平時から常に取っておくということは非常に難しいところでございますので、どのような形でできるかというのを改めて検討させていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今のことに関してはよろしいですか。どうぞ。
○竹内委員 1点、誰が指示をするかという問題、遠藤先生の話なのですけれども、もちろん、中毒110番は一つの選択肢だと思います。今、厚労省が言ったその期間は特別体制をつくるのもG20のようにやる。当然だと思うのですが、もう一つ、我々は横浜消防とも話をしてやろうとしているのが、ふだんから続いているメディカルコントロール協議会、ここだと思うのです。現場のテロ対策部隊、消防の救助は必ずいますので、そこに指示を出せるのは、ある程度消防の組織とか状態を分かっている医師でないと無理だと思います。単なる中毒の専門家だけは。
もう一つは時間のことがありますので、今回のテロを打つというのも、現場が混乱した時点で、病院に搬送される前に具体的な硫酸アトロピンとファモを打つということですので、これは迅速性を担保しなくてはならないとなると、横浜などでは今、メディカルコントロール協議会。具体的に言うと、僕がそこの会長ですので、24時間365日、消防はみんな携帯を知っていますので、そこに電話してくれれば、全て指示をすると。横浜ではそうなっています。もちろん、ほかの地域、いろいろ考え方があると思うのですが、一つは地域から救急を。医学的な見地から一緒にやっているメディカルコントロール協議会は日本全国全ての地域にありますので、そこを活用というのも一つの案としては厚労省から出してもいいのではないかなと考えています。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
長島先生、どうぞ。
○長島委員 長島です。
今の点、賛成です。常にメディカルコントロール協議会とオンラインMCという形で対応ができるところができているところが多いので、これを活用するのが一番現実的ではないかと私も思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
この件について、そのほかの先生方、いかがですか。よろしいですか。
では、こちらもぜひ参考にしていただいて進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、立崎先生。
○立崎委員 資料2-2の文書ですけれども、たてつけですが、19ページに第3で化学テロがあって、20ページから第4、生物とあって、その次に第5、爆発物と移っていくのですが、前文とかではNBCといわゆるNRテロも並列されているのですが、この並びには載っていないのですが、以前もし議論があったら申し訳ないですが、NRに関しては蓋然性の問題とか、あるいは別途原子力防災体制があるとか、特殊事情があるとは思いますが、ここの考え方はどうなっているのでしょうか。
○脇田部会長 事務局、今の御質問、いかがでしょうか。
○杉原国際健康危機管理調整官 事務局の杉原です。
NRに関しましては、先ほど立崎先生がおっしゃられましたとおり、原子力防災、原子力災害への対応というところと、特に医療対応の部分に関しては役割分担がなされてきているところでして、医療に関する部分であっても当省で所管していない部分もありますので、全体を通した包括的な文書として出すというのは、現時点では難しいという段階でございます。
○脇田部会長 ということですけれども、よろしいでしょうか。
○立崎委員 ありがとうございます。
であれば、そういう記述があってもいいのかなと思いますが、その辺も省庁間の関係もあると思いますので、御検討いただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほか、御意見、いかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、今ありましたように、マスギャザリング、特に今年は東京オリンピック・パラリンピックですけれども、そこに限定されるものでもなく、今後も少しずつ国際的なスポーツ大会がまた始まっていくと思いますし、万博等もありますので、そういったことに関しても重要な内容でありますし、それから平時の体制をどう構築していくかということも、今、先生方の御意見にあったとおり非常に重要な問題だと思います。そちらもよろしくお願いしたいと思います。
それでは、次の議題に移らせていただきます。議題3「厚生労働省における情報セキュリティ施策について」でございます。事務局から説明をよろしくお願いします。
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 厚生労働省における情報セキュリティ施策については、前回の部会において、サイバーテロに関する体制について御発言をいただいておりました。省内の担当課である政策統括官付サイバーセキュリティ担当参事官室の釜石参事官に御出席をいただいておりますので、厚労省におけるサイバーセキュリティ体制について御説明をお願いしたいと思います。
○釜石サイバーセキュリティ担当参事官 ただ今御紹介いただきましたサイバーセキュリティ担当参事官の釜石です。
厚生労働省内、あるいは重要インフラである医療や水道関係の情報セキュリティにつきまして、24ページの資料3により現状を御説明させていただきたいと思います。
25ページを御覧ください。まず、厚生労働省におけるサイバーセキュリティ対応体制の全体像でございます。政府のサイバーセキュリティ政策の推進につきましては、サイバーセキュリティ基本法に国、独立行政法人、重要インフラ事業者等がそれぞれの立場でサイバーセキュリティの確保に取り組むべきことが規定されております。
また、本基本法に基づいて内閣にサイバーセキュリティ戦略本部が設置されております。事務局は、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)というところでして、国が統一的に遵守すべき事項を定めた政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準群、それから重要インフラの重点的な方針を定めました重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第4次行動計画などを策定しております。
厚生労働省の体制といたしましては、情報セキュリティ委員会を設置いたしまして、セキュリティ対策の包括的な規定として策定する厚生労働省情報セキュリティポリシー、あるいは年度計画の厚生労働省情報セキュリティ対策推進計画、その他、情報セキュリティに関して必要な事項を審議しているところでございます。
省全体の情報セキュリティ対策の司令塔的な機能としてサイバーセキュリティ担当参事官室が設置されまして、情報セキュリティインシデントに対処する厚生労働省CSIRTという組織で情報セキュリティインシデントの報告の受付、被害の拡大の防止、あるいは復旧に関する指示を行っているところです。
厚生労働省の内部組織では、重要インフラの事業者、あるいは所管法人等への指導・助言を行っているところです。また、政府情報システムの外部委託に当たって、セキュリティ水準を一定の水準に確保するため、調達の企画段階で調達仕様にセキュリティ要件を適切に組み込むという取組を進めているところです。
26ページは、重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第4次行動計画でございます。重要インフラの事業者の責務は、サイバーセキュリティ基本法に規定されておりまして、重要インフラというのは何かというと、他に代替することが著しく困難なサービスであって、その機能が停止又は利用不可能な状態に陥った場合に、我が国の国民生活又は社会経済活動に多大なる影響を及ぼすおそれが生ずるものと定義しております。この重要インフラ分野は、政府全体で14分野となっておりまして、厚生労働省はそのうち医療分野と水道分野を所管しているところです。
行動計画では取り組むべき施策を5つ規定しております。1つ目が安全基準等の整備及び浸透で、所管省庁が分野ごとの安全基準を策定して公表して、事業者が内規等を策定するように取り組んでいきます。
2つ目が情報共有体制の強化で、分野横断的な情報共有に取り組むということで、攻撃の被害を最小限にとどめる取組をしております。
3つ目が障害対応体制の強化で、障害対応に関する能力向上を目的として演習や訓練を実施しています。
4つ目がリスクマネジメント及び対処態勢の整備で、リスクアセスメントの結果を踏まえた対処態勢の整備に取り組んでいます。
5つ目が防護基盤の強化で、情報発信、セキュリティ・バイ・デザインの活用、経営層への働きかけ、人材育成等に取り組んでいるところです。
27ページでは行動計画に関する厚生労働省の主な取組を御紹介しております。まず、安全基準等の整備・浸透では、医療分野では医療機関等が情報セキュリティの観点から遵守すべき事項等を規定しました「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を公表しております。水道分野では水道事業者の対策を記載した「水道分野における情報セキュリティガイドライン」を公表しております。
情報共有体制の強化では、セプター、J-CSIPによる情報共有を図っております。セプター事務局は、医療分野が日本医師会、水道分野は日本水道協会になっております。
障害対応体制の強化では、NISCが主催する実践的な演習や訓練に医療機関あるいは水道事業者が参加しております。
リスクマネジメント及び対処態勢の整備、そして防護基盤の強化については、医療分野は医療機関が導入可能なセキュリティ対策技術等に関する調査事業を実施しております。水道分野はリスクマネジメントの実施、情報連絡・共有を行っております。
28ページでは情報セキュリティインシデントと発生時の報告について書いております。情報セキュリティインシデントは、その発生が確認された時点では被害状況を正確に把握することが大変難しいということで、常に最悪の事態を想定して、例えばウイルス感染した場合には、個人情報が漏えいしていないかといった一歩先を読んだ上での対応が初動で大変重要です。
また、原因究明の調査は時間を要するので、まず感染等の被害を拡大させないための迅速な封じ込めが重要で、その後、対策を検討して復旧していくということになります。
情報セキュリティインシデントの具体例を6つほど挙げております。誤送付、紛失、マルウェア感染、不正アクセス、DDoS攻撃、システム障害といったものがございます。
行動計画に基づく重要インフラ事業者からの報告ですけれども、重要インフラサービスに深刻な影響がある場合に限りまして、セプターの事務局を経由して我々厚生労働省CSIRTに報告されまして、我々の方からNISCの方に報告するということになっております。
説明は以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、御質問等ございましたらお願いしたいと思います。長島委員、どうぞ。
○長島委員 前回、私がこのサイバーセキュリティのことを発言させていただきました。特に健康危機に直結する緊急性が高いものとしては、システムのダウンあるいは誤作動があります。今は情報系、例えば電子カルテ等と様々な検査機器、治療機器がネットワークでつながっていることが多いので、どこかからサイバーアタックを受けて、それによって例えば治療とか検査に用いるようなものがシステムダウンしたり、誤作動すると、これは生命の危機まで直結し得ると思います。あるいはデータが改ざんされてしまえば、間違ったデータに基づいて医療を行うということも健康危機に直結するということで、情報漏えいというのはもちろん困るけれども、生命危機あるいは健康危機に直結するような緊急性の高いものは必ず検知できて、対応できるという制度の整備が重要だろうと思っています。
日本医師会の方で1月に全国約3,000の医療機関からアンケート調査の結果をいただきました。サイバーセキュリティに対する。そうすると、規模が小さいほど体制が整っていないということがはっきりしています。あるいは規模が大きいところでもそれを実行しようとすると、様々な費用も人手もかかるということがネックになっているということが分かりますので、これは国を挙げてしっかりサイバーセキュリティに対する支援をしないと、特にクラウド化とかネットワークが進んでいる中で、先ほど言った健康危機に直結するリスクが今後増えると思いますので、その辺り、よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今のは御意見ということで、承るということだと思いますので、事務局、そちらをよろしくお願いいたします。
そのほか、御質問、御意見ございますか。
我々も厚労省の試験研究機関として日頃からサイバーセキュリティに関しては、教育、講習も含めてかなりやらせていただいていますけれども、それでもいろいろな問題が生じるというところですので、これは更新が日々必要というところだと思いますので、厚生労働省のほうでもしっかりと対応していただければと思います。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、次の議題に移らせていただきます。議題4「国際保健規則に基づく国家連絡窓口機能の強化に関する令和2年度厚生科学課補正予算及び令和3年度予算事業について」、御説明をお願いいたします。
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 事務局でございます。
資料4を御覧ください。30ページから33ページまでは、前回の部会で御説明した資料と変わっておりません。30ページでIHR(国際保健規則)の成り立ちが書いてあり、31ページでIHRの役割として、WHOへの通報、国家連絡窓口の設置等があることを説明しております。32ページと33ページでIHRにおいて合同外部評価がありまして、2018年に日本は外部評価を受け入れたこと。大半の項目で能力実証済みと評価されましたが、リスクコミュニケーションで低評価を受けたことが記載されております。
34ページになります。合同外部評価における提言が以下にあります。申し訳ありませんが、1つ修正がございます。標題「(2017年)における提言」とありますけれども「2018年」の間違いです。申し訳ございません。
提言はたくさんされておりますが、この8つについては概要に記載されたメインとなる提言でございます。そのうち、矢印がありますが、4ポツ目、オールハザードの情報集約体制の強化。つまり、どのような緊急事態にも対処できる情報収集、分析、報告のためのメカニズムの強化。その次、公衆衛生リスクアセスメントとリソースマッピング。読んだだけでは何を言っているかわかりませんけれども、公衆衛生上のリスクを洗い出して、リスクの度合い、高いか低いかを分類して、現在我々が持っているリソース、資源、つまり、何ができるか、できることを照らし合わせるというふうに御理解いただければと思いますが、そういうのが不十分であると指摘されております。
最後、デュアルユース性のある病原体研究の監督機能ですけれども、デュアルユースというのは軍民共用という意味で、つまり、軍事に転用可能な病原体の研究をいかに監督するかというメカニズムを検討するというものです。日本はそれがまだしっかりされていないのではないかという指摘を受けましたので、この3つについては、来年度はどうやら予算が確保できそうなので、来年度から研究を開始することを検討しております。
35ページは、コロナ渦におけるIHRの役割を記載しております。これは前回と同じなので説明は省略いたしますが、資料5で出てきますけれども、今は変異株について加盟国から情報共有依頼が多くなっています。
36ページ、IHRに基づく国家連絡窓口機能の強化の予算についてです。昨年1月、新型コロナウイルスの関係で加盟国からの問合せが増えたことから、新型コロナウイルスに対応するため、令和2年度第一次補正予算において、以下について予算を確保しました。1つは24時間体制での窓口の確保です。期間業務職員を雇用して体制を確保しました。2番目、人だけではなくて、適切に処理するためのシステムを整備しました。具体的には、IHRにはたくさん照会が来るのですが、一つ一つ回答していたら大変時間がかかりますので、自動でメールを返信できるシステムとか、そういった作業を効率化するシステムを整備いたしました。
3ポツ目、リスクアセスメント・情報発信能力を強化するために、専門家等から成る情報分析チームを組織して、日々のアセスメントを実施しようとしておりましたが、これについては残念ながら我々では専門家を集めることができなくて、活動ができていないというのが現状です。
37ページを御覧ください。新型コロナウイルスの影響は今後も続くことから、引き続き令和3年度においても予算を要求しております。現在国会において審議いただいているところですけれども、引き続き専任スタッフを置いて24時間365日体制で窓口対応を行うための予算をお願いしております。一方で、令和2年度補正予算で構築しました事案処理システムの運用、また、専門家から成る分析チームについては、予算案の策定の段階で計上することが認められず、引き続きの検討課題となっております。厚生労働省としては、予算計上は認められませんでしたが、IHRの活動は、コロナ対策、今後現れるかもしれない新興感染症対策のためにも強化していかなければならないものであり、引き続き強化策を検討してまいりたいと考えております。
以上になります。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、こちらの案件に関しまして御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。長島委員、どうぞ。
○長島委員 最後のところで引き続きの検討課題になってしまった点ですが、国際的な情報集約、分析というのは、ますます必要かつ重大になるものなので、ここはぜひ実現していただきたいと思います。まず、予算を獲得していただくということと、あるいは何らかほかの手段を使ってでも実現すべきと思います。これが極めて重要かつ必要ということを例えば本部会の意見なり要望として、例えば国に対して上げるということもしたらいいのではないでしょうか。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
私、全く同感、賛成でありまして、今回の新型コロナウイルス感染症に関する情報収集、本当の初期の情報収集が十分にできたのかという反省点があります。次のパンデミック、いつ来るか分からないわけでありまして、国際的な公衆衛生リスクの情報収集は非常に重要なことだと思いますので、皆様がよろしければ部会の意見として、これはぜひ進めるべきであるということは意見として申し上げたいと思います。
ありがとうございます。
そのほか、意見ございますか。大曲先生、お願いします。
○大曲委員 大曲です。ありがとうございます。
私、JEEの準備には関わりまして、その後どうなるかなと思って見ておりました。実際に指摘された点がこうやって改善されていくというのは非常にありがたいことだと思っております。もう既にお話しになられましたリスクコミュニケーションのところは非常に重要ですので、こちらに関しては引き続き充実を。ぜひ予算の獲得等の御検討をいただければと思います。
ダイヤモンド・プリンセスのときに、特に海外向けに政府の見解等を発していくときに非常に苦労したということがありまして、僕は尾身先生とメディアカンファレンス、すごくつらかったのです。やはり政府の立場の方がしっかりしゃべるということがすごく大事だと感じましたので、また御検討いただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 大曲先生、ありがとうございます。それは私も日々同じように感じております。専門家の情報発信も重要ですけれども、やはり政府がしっかりと情報発信をしていただくということですから、情報発信能力の強化も非常に重要であるということであります。
そのほか、いかがでしょうか。
では、後ほど事務局とは少し相談しまして、先ほどの長島先生から御意見があったところは、部会からの意見ということで申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、議題5「IHR2005に基づく活動について」ということです。こちらの説明をお願いいたします。
○杉原国際健康危機管理調整官 どうもありがとうございます。
続きまして、これまではIHRの強化についてお話ししましたが、IHRのこれまでの活動について御報告いたします。IHRそのものに関しましては、今も説明がありましたし、当部会でも過去に取り上げて継続しておりますので、詳細な説明は省かせていただきますが、本規則は、世界保健機関憲章の第21条に規定される規則で、各国が遵守しなければいけないというふうに規定されているものでございます。
39ページ、40ページ、41ページもこちらの部会の資料として以前提示しているものですけれども、IHRの国家連絡窓口の役割。役割の一つとして、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に該当するおそれのある事象についての報告、WHOへの通報です。それと、手順のプロセスというのが40ページ、41ページと記載がございます。こちらにつきましては前回と同様ですので、詳細な説明は省かせていただきます。
前回の部会におきまして、新型コロナウイルス感染症に対する初期の対応ということについて御説明させていただきましたが、今回、1年間たちまして、新型コロナウイルス感染症対策につきまして、初期対応以降の国家連絡窓口における対応、具体的にどのようなことをやったのかということについて御説明させていただきます。
まず、WHOとの情報共有ですが、国家連絡窓口からは、日々継続して本邦の症例数や、水際対策の実施がされたときには、新たな水際対策の実施の内容と、公衆衛生上の理由について、これは43条等の規定がありますけれども、通報を実施しております。このほか、WHOからの照会事項への対応とかウェブ会議への参加なども実施しているところです。
また、IHRには、WHOとの情報共有のほか、ほかのIHR参加国とのコミュニケーションのメカニズムもございます。特に渡航者のコロナの症例や濃厚接触者の情報などについて、日々、こちらは非常に細かい情報で、数多く対応をしているところでございます。
そのほか、これは厚労省のコロナ対策本部の役割の一つでありますが、他国からの情報や日本の水際で検知された症例の関連情報などにつきまして、自治体や在外公館等への情報共有も実施しているところでございます。
4番目に関しましては、昨年12月以降問題になっているところですけれども、今年1月にはブラジルからの渡航者。こちらは記載事項が「ブラジル変異株」「フィリピン変異株」という書き方をしておりますが、国名を指して変異株という名前を定めているわけではないので、それぞれ「同国からの渡航者から検出された変異株」と記載を訂正させていただきます。
まず、2021年1月にはブラジルの渡航者から検出された変異株。これはP.1という形でリネージ、系統が分類されておりますが、その初報告。3月にはフィリピンの渡航者から検出された変異株。P.3の変異株の渡航者での初報告を行っております。
WHOの要請に基づきまして国際ゲノムデータベース(GISAID)にアップロードされたゲノムの固有番号につきましても、WHOや各国当局との共有等を行っております。
次のページを御覧ください。IHRにつきましては、現在、コロナのパンデミックを受けまして、WHOの対応と検証の中で、IHRにつきましても検証の対象となっております。現在、WHOの対応とIHRの機能の検証として3つの会議体が動いております。1つ目が「独立監視諮問委員会(IOAC)」というものです。これはWHOそのものの対応、危機管理プログラム自体での対応の検証を行っております。2つ目が「IHR検証委員会」。IHRが実際にちゃんと機能しているのかどうかというものを検証する委員会でございます。3つ目が、それらを包括して世界でのコロナ対応を検証する「パンデミックへの備えと対応に関する独立パネル(IPPR)」というものでございます。こちらに関しましても、IHRの検証委員会とIPPRの報告に関しましては、来年度、今年の5月に開催されるWHO総会で最終報告書が出る予定となっております。
このほか、この資料の4ポツ目に記載がございますが、EUからパンデミックに関する条約の策定が提案されておりまして、コロナ後を見据えた国際健康安全保障体制の議論というのが進行しております。本件につきましては、我が国のIHRの履行体制にも影響を与えるところですので、次回の部会におきましても引き続き進捗を御報告させていただきます。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして御質問がありましたら、お願いしたいと思います。
私のほうから1つ。最後のところで御説明いただいたEUから提案されているパンデミック条約の概要は、どんな形になるものでしょうか。概略を教えていただければと思います。
○杉原国際健康危機管理調整官 こちらに関しましては、最終的にどういったものになるかというのは具体的な案で出てきていなくて、現在検証中なのですが、例えば現在問題になっているのがワクチンであったり、治療薬であったり、そういった医薬品の開発の部分に関する国際協調とか、そういったところが一つテーマになってくるのではないかと言われております。こちらに関してもWHOから近々何らかのインプットなりが出るのではないかと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そうすると、感染症の情報収集というよりは、ワクチンあるいは医薬品の開発、あるいは提供といったところになるのでしょうかね。分かりました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
新型コロナウイルス対応ということで、IHR通報、中国の最初の通報がどうだったのかというのは、検証委員会の報告もまだちゃんと出ていない状況というのもありましたが、WHOのほうでIHRの検証委員会も行われていて、5月には報告がされるということです。
ありがとうございました。
そうしましたら、次の議題に移らせていただきます。議題6「世界健康安全保障イニシアティブ(GHSI)について」、事務局から説明をお願いいたします。
○杉原国際健康危機管理調整官 説明いたします。45ページをおめくりください。まず、GHSIについてですけれども、こちらは昨年の部会にも報告いたしましたが、2001年の米国における同時多発テロを受けまして、アメリカとカナダの政府の呼びかけで、G7とメキシコとEC、欧州委員会がメンバーとなり、WHOがオブザーバーとして参加している枠組みでございます。閣僚級会合の下に各国の局長級から成る世界健康安全保障行動グループ(GHSAG)が設置されておりまして、その下に作業部会を束ねる作業部会、調整・リエゾン委員会、さらにその下に4つの各専門家が入る作業部会が設置されております。
こちらに関しましては、BioWGに本部会の委員でございます大曲先生にも入っていただいておりますし、核・放射線脅威作業部会につきましては、立崎先生にも入っていただいているという次第でございます。また、その作業部会の下に国際検査機関ネットワーク、ラボラトリーネットワークが設置されておりまして、こちらには感染研に御参加いただいているところです。
次のページをおめくりください。まず、一昨年以降のGHSIの活動についてです。閣僚級会合につきましては、2019年に西アフリカのエボラ対応について実施された以降、開催されておりません。これはG7でもコロナ対応につきまして意見交換等が継続的になされてきているということもあるものですから、閣僚級会合については実施されていないという状況でございます。
新型コロナの対応については、局長以下の会議は継続的に実施されておりまして、インフォーマルな情報共有が行われております。特に令和2年度では、CLC、調整・リエゾン委員会や、ラボラトリーネットワークや新型インフルエンザ作業部会、生物学的作業部会などをビデオ会議で行っておりまして、特に変異株に関しましては、GHSIのラボというのは世界でも一番能力の高いラボになるものですから、中でどのようにちゃんと対応していくかということで、GHSIの中に既存の仕組みとしてございますが、国際検体共有枠組というのがございまして、その枠組みを使用しまして、日本からもブラジルの入国者で同定された変異株につきましては、初めて分離培養が成功しておりますので、その検体を共有するということを迅速に行っております。なので、情報共有に合わせて実質的な共有も実施しているところでございます。
その他の作業部会に関しましても、ビデオ電話会合でおのおののアジェンダに沿った検討を継続しておりまして、対面会合の予定に関してはまだ分からないところではございますが、閣僚級会合に関しましては現在検討が重ねられているところでございます。
以上です。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして御質問、御意見ございますか。
ラボネットワークのところは我々も関わっているというところで、我々から検体の提供をしていますし、検体をそこからいただいているということもありますというところです。
よろしいですか。
では、ありがとうございます。
次に行きます。議題7「健康危機管理調整会議について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 事務局でございます。資料の47ページ、資料7を御覧ください。厚生労働省では健康危機管理調整会議を月に2回やっておりまして、関係各部局と情報を共有しております。この資料は令和2年4月から令和3年3月までの主な議題でございます。食品関係では八潮市の小中学校で発生した食中毒の話であるとか、感染症に関してはデンマークにおけるミンクであるとか、エボラ出血熱の最新情報であるとか、最近多いですけれども、鳥インフルエンザの最新状況について共有しております。
その他として、小林化工の話がかなり大きな話になりましたが、小林化工のイトラコナゾールの回収事案等について情報共有しております。また、本日御説明しましたテロ対策に関する通知改正についても議題としております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
こちらは何か御質問ございますでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、一応用意されている議題は以上ですけれども、そのほかとして何か報告事項ございますか。委員の皆様からも何かございますでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、これで準備した議題は全て終了でございます。
今回の開催は主に2020年度の事案の報告となっておりました。7月には東京オリンピック・パラリンピックが開催されるということになります。引き続き必要に応じ本部会を開催して議論をさせていただきたいと考えております。委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これで閉会とさせていただきますが。
○佐藤委員 すみません、よろしいですか。
○脇田部会長 どうぞ。
○佐藤委員 これで終了ということですので、一つ一つの議題についてのコメント、ではなくて、ぜひこういう視点を持ちながらこのパンデミックに対応していけばいいのではないかと思うことを述べさせてください。
対応していく施策があったらいいなあと。私はメディアの立場です。オリパラに対するパンデミック対策が、ちょうど新型コロナがぶつかって、いろいろな課題が重層的になって見えてきたなということをこの間この会議に参加しながら感じました。
半年前に比べても新しい課題が見えてきました。それは何かといいますと、先ほど来おっしゃられているリスクコミュニケーション、情報発信です。つまり、パンデミックが日本で起きたときにどう対応するのかということを海外に向けて発信しなければいけない。そのときに今、何があったらいいか。1つ例に挙げますと、台湾のトランスジェンダーの政府のリーダーがマスクの配布とかいろんな対応でうまくやったということが話題になったわけですが、あそこに日本の人々も注目したのは、性差別的なもの、性を越えるといいますか、日本のいろんな対応の中に、簡単に言うとミソジニーといいますか、女性差別の上に気がつかないうちに繰り返されてきたものを越えたからではないかと、そんな風に思います。ここにご出席の委員の皆様は、この人が男か女かなどということを区別しながら対応されてはいないと私は思って見ておりますが、しかしながら、政府全体の対応となったときに、今、ジェンダー平等というのは何とすごく問われているわけです。それはいろんな政府の対応の中にきめ細かく倫理、規範というか、一番ベースになる考え方としてきちんと持っておかなければいけないのではないかなと。それがこの対策の中にどう組み込まれていくのかなということです。一旦パンデミックが起きると、もちろん政府はいろんな対応に迫られますが、それについて多くの国民は従うべきかどうかを考えるでしょう。今回移動制限が緊急事態宣言の中にもあったわけですが、なぜ自分たちがこれに従わなければいけないのかということを納得しなければいけない。納得しなければいけないときに、いろんな権利を制限されている。この権利の制限をそれでもいいよと受け入れられるのは、やはり差別がないとか、すごく重要なメッセージがないと従えないよということが国民の側にはあるのではないか。幾ら政府がよい政策を用意しても、それに従わないというならば、それなりの理由があるということを、この半年以上ずっと政府の施策を見ながら感じてまいりました。
このパンデミックも、初期の対応からそういう差別的な扱い、
例えば、人種や性別などの違いで
差別はなかったかとか、あらゆる障害者に対する差別はなかったかとか、取りあえずは国民全体への施策でありますけれども、細かく見ると、いろんなタイプの人に向かって普遍的に届くものにしようと思えば、そういった差別がどこかに隠れていないかとか、洗い直しというのはどこかにあってもいいのではないかなと。それができていないと、国際間でいろんな調整をなさるときギャップとして出てくるのではないかと思いました。今日の議題の一つ一つにというわけではなくて、日本という国がどういうふうに対応していくのかというところのベースにこの差別のことを一旦考えていただきたい。できたらこういったことも政策の根底にありますよということをメッセージとして出していただけたらいいなと。そういった感想です。
以上です。
○脇田部会長 佐藤先生、大事なポイント、どうもありがとうございます。
今回の新型コロナウイルス感染症というのは、社会の差別であったり、偏見であったり、そういったものをあぶり出したという側面が確かにあると思います。そういったものを乗り越えるというか、どうやって対応していくのかということは、日本社会にはまだまだきちっと整備がされていないのだろうなと思います。倫理規範とも言われましたが、そういったものをどうやってつくり上げていくのか。コミュニケーションにそれをどうやって取り入れていくのか。本当に難しい課題でもあると思います。この部会だけで解決できる問題ではないと思っていますが、この部会としてそういった視点も取り入れられることができるのかというポイントは、すごく重要なのだろうと思いますので、今日は御意見を承って、今後の議論に生かしていければと思います。私一人でも解決できませんので、また委員の先生方にも御協力いただきたいと思います。
ありがとうございました。
○佐藤委員 ありがとうございます。
○脇田部会長 そのほかに御意見が何かございましたら、この機会にいただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは、本当にありがとうございました。これで閉会させていただきます。次の部会は未定ですけれども、またよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。