2021年3月23日 第9回「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」 議事録

日時

令和3年3月23日(火) 17:00~19:00

場所

中央合同庁舎5号館厚生労働省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

参集者:五十音順、敬称略
磯博康、小山勉、杉薫、髙田礼子、高橋正也、
嵩さやか、豊田一則、西村重敬、野出孝一、水島郁子

厚生労働省:事務局
小林高明、西村斗利、西岡邦昭、中山始、中村昭彦 他

議題

  1. (1)脳・心臓疾患の労災認定の基準について
  2. (2)その他

議事

議事録

○中村職業病認定対策室長補佐 定刻となりましたので、第9回「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、会議に御出席いただきありがとうございます。今回は、小山委員、杉委員、髙田委員、高橋委員、嵩委員、豊田委員、野出委員、水島委員の8名の方がオンラインでの参加となります。なお、髙田委員は所用により遅れての参加と連絡を受けております。最初に、会場で御出席の方にお願いがあります。前回と同様に、発言される際には、長いマイクの下のところのボタンを押していただき、赤いランプがつきましたら御発言をお願いいたします。終わりましたら、お手数ですが再度ボタンを押していただきますよう、よろしくお願いいたします。次に、オンラインで参加される委員の方にお願いがあります。前回と同様に、発言される際には、マイクのミュートを解除した上で、お名前と発言があります旨を発言していただき、その後、座長から「誰々さん、お願いします」と指名させていただいた後に発言をお願いいたします。御協力をよろしくお願いいたします。傍聴される方にお願いがあります。携帯電話などは、必ず電源を切るかマナーモードにしてください。そのほか、別途配付しております留意事項をよくお読みの上、検討会開催中はこれらの事項をお守りいただいて傍聴されるようお願い申し上げます。また、傍聴される方にも、会議室に入室する前にマスクの着用をお願いしておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。万一、留意事項に反するような行為があった場合には、この会議室から退出をお願いすることがありますので、あらかじめ御了承ください。傍聴されている方へ、写真撮影などはここまでとさせていただきます。以後、写真撮影等は御遠慮ください。よろしくお願いいたします。では、磯座長、以後の議事の進行をお願いいたします。
○磯座長 議事に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○中村職業病認定対策室長補佐 資料の御確認をお願いいたします。本検討会はペーパーレスでの開催とさせていただいておりますので、お手元のタブレットで資料の確認をお願いいたします。本日の資料は、資料1「第9回における論点」、資料2「論点に関する医学的知見」、資料3「労働時間に関する平成13年検討会報告書の内容」、資料4「第8回検討会の議論の概要」、参考資料として「団体からの意見要望」となっております。
○磯座長 それでは、資料1の論点に沿って検討を進めたいと思います。今回は「労働時間以外の負荷要因」、「長期間の過重業務における労働時間の評価等」について整理をしつつ、業務の過重性に関わる重要論点を中心に検討を行います。また、「複数業務要因災害」について、今般の認定基準全般の議論を踏まえて、改めて検討を行うことといたします。初めに、論点1の「労働時間以外の負荷要因」について説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 事務局から御説明いたします。本日の検討会では、先ほど磯座長からも御説明がありましたように、1つ目が労働時間以外の負荷要因、2つ目が長期間の過重業務における労働時間の評価等、3つ目が複数業務要因災害、この3点を論点として予定しております。資料1に沿って、論点ごとに事務局から御説明をしまして、先生方に御議論いただきたいと考えております。なお、本日の資料は、資料1~資料4ですけれども、資料1に沿って御説明しまして、資料2と資料3については論点の御説明の中で触れさせていただきます。資料4は第8回検討会の議論の概要です。内容の御紹介は割愛いたしますけれども、適宜御参照いただければと思います。併せて、参考資料です。本年3月10日付けで、働くもののいのちと健康を守る全国センターから、「脳・心臓疾患の労災認定基準の(緊急)改定要求」という意見書を頂いております。また、参考資料の最終ページにつきましては、同団体が取りまとめられました請願署名となっております。約1万7,000筆の署名を頂いたと伺っております。こちらも内容の御紹介は割愛いたしますが、御参考としていただきたいと思います。それでは、論点1の労働時間以外の負荷要因について御説明いたします。この論点につきましては、長期間の過重業務と短期間の過重業務の両方に関係するもので、個別事案の内容を踏まえて非公開で検討を行っていただきました第4回、第7回を含めまして、第3回以降継続的に御議論いただいてきている論点となります。資料1を御覧ください。1、2ページ目にも簡単にまとめておりますが、いつものとおり詳細にたたき台を示しました3ページ目以降に基づき御説明したいと思います。3ページを御覧ください。この論点のたたき台につきましては、第5回、第6回の検討会におきましても同様な形でお示ししております。第5回では身体的負荷以外の労働時間以外の負荷要因について似たような形でお示ししまして、第6回では身体的負荷につきまして似たような形でお示ししたところでございます。その際の御議論を受けまして、第5回、第6回でお示した部分と異なる部分に下線を引いています。論点がAからGと非常に多くなりますので、時間の都合もございますので、以前お示しした部分と異なる部分を中心にかい摘んで御説明したいと思います。よろしくお願いいたします。まず、Aは全体の項目立てについてです。これまでの御議論を踏まえ、労働時間以外の負荷要因について大きく5つに分ける、「労働時間の不規則性」、「事業場外における移動を伴う業務」、「心理的負荷を伴う業務」、「身体的負荷を伴う業務」及び「作業環境」、このように分類・整理してはどうかというものです。第5回でもおおむねこのような5つに分けさせていただいて、大筋は御了承を頂いたものと考えておりますけれども、2番目の項目名につきましては、論点のCのところで御説明いたしますので、そちらで御議論いただければと思います。Bは「労働時間の不規則性」に関する各項目です。項目立てにつきましては、こちらも第5回でおおむね御了解を頂いたところですが、項目名の3、4番目につきましては、後ほど各項目のところで御説明させていただきます。論点のB1は、拘束時間の長い勤務に関する検討の視点です。こちらは第5回の資料から修正をしておりません。論点のB2は、休日のない連続勤務に関する検討の視点です。こちらも第5回の検討会ではおおむね御了承を頂いた内容と考えておりますけれども、現行認定基準の労働時間のところで、この休日のない連続勤務、あるいは休日が取れた場合の疲労の回復について示している考え方がございます。これについて、この項目で示すことでどうかという部分が下線部分、第5回の部分からの追加となります。この点について御意見を賜りたいと存じます。次の4ページ目をお願いいたします。B3は勤務間インターバルに関する論点です。項目名と検討の視点を両方ともこちらで御議論いただきたいと思っております。第5回の際には、「勤務間インターバルが十分でない勤務」という項目名でたたき台をお示ししておりましたけれども、何時間あれば十分かということについてはなかなか断言できないのではないか、また、ほかの項目との整合性、拘束時間については「長い」勤務というように端的に示していることとのバランスからも、「勤務間インターバルが短い勤務」という項目名にたたき台を修正させていただいております。検討の視点につきましては、勤務間インターバルがより短ければ短いほど負荷が高いといった趣旨で、勤務間インターバルが短い勤務の「その程度(時間数、頻度、連続性等)」というようにまとめさせていただきました。考え方は第5回でお示ししたものと同じですが、第5回で「状況」という文言を使っていたところを、より具体化したものです。併せまして、どのような勤務間インターバルについて検討の対象としていくのか、できるだけ明確化を図りたいと考えております。ここで、長期間の過重業務の判断につきまして、現行認定基準では、睡眠時間が確保できない状況が継続するといったことが疲労の蓄積をもたらすという考え方に立っているところです。第3回検討会でも資料を提出いたしましたけれども、社会生活基本調査という統計調査において、仕事を持っている方、有業者の生活時間の調査結果を見ますと、食事や通勤など生活上必要な行為の時間が5.3時間という結果が出ています。勤務間インターバルと健康影響との関係につきましては、右のほうに示しましたとおり、様々な疫学調査がございますけれども、睡眠時間・生活時間との関係で言いますと、勤務間インターバルが11時間というところが、先ほどの生活上必要な行為の時間が5.3時間ということを考えますと、睡眠時間6時間を確保するのが困難な水準になってくるかと思います。インターバルに関する疫学調査では、脳・心臓疾患の発症や死亡との相関関係が調査されたものはまだ見当たらないところですが、睡眠時間との関係では6時間未満、あるいは6時間以下の睡眠と脳・心臓疾患の発症との有意な関係が疫学調査で認められていることも踏まえ、長期間の過重業務の判断において、勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の状況について検討、評価するということを示してはどうか。ただ、第4回、第7回で支給決定事例を見ながら御検討いただいた際にも御指摘がありましたように、11時間未満であれば直ちに発症との関連性が強いとか、11時間未満が何回あれば発症との関連性が強いとか、そういうことまでは示せる状況にはないのではないか。あくまで検討の対象とする水準としまして、おおむね11時間未満の勤務間インターバルということを示しまして、発症との関連性につきましては、労働時間とかほかの負荷要因との総合評価で考えていく必要があるのではないか。こういう論点でございます。御検討をお願いしたいと思います。なお、この勤務間インターバルに関しまして、参考文献を5文献追加して、資料2の(1)としてお示ししております。こちらも説明は割愛させていただきますが、必要に応じ御参照いただければと思います。Bの最後、5ページです。論点のB4は、その他不規則な勤務に関する検討の視点です。項目名ですが、第5回のときには、その他不規則な勤務に「交替制勤務・深夜勤務を含む」という括弧書きを付けておりました。この点について、交替制・深夜勤務というのは必ずしも不規則ではないので、この括弧書きは分かりにくいのではないか、製造業の工場における交替制勤務のような規則的な交替制勤務を評価から除外するものではないけれども、それについてはこの検討の視点の中で明示すればよく、項目名からは括弧を削ったほうがよいのではないかという御意見があったところでございます。これを踏まえまして、項目名はシンプルに「その他不規則な勤務」としております。併せまして、検討の視点としましては、不規則的な交替制勤務も本項目で評価するということを冒頭の括弧書き、「その他不規則な勤務(交替制勤務・深夜勤務を含む)については」というところと、それから2段落目のなお書きで、この項目ではこういったものを評価するということを示させていただき、そうした修正をしております。また、第5回で頂きました御意見を踏まえて、検討の視点の記載順の修正なども行っているところでございます。これらについて御意見を賜りたいと思っております。次に、6ページのCの事業場外における移動を伴う業務です。項目名は第5回でたたき台としました「勤務場所の不規則性」から大幅に修正をしております。勤務場所の不規則性という見出しについては違和感があるというような御意見をいろいろ頂いておりまして、出張が多い業務と出張以外の本来業務でしばしば移動を行う必要がある業務、こういうものの負荷を表す文言として、「事業場外における移動を伴う業務」ではいかがかというたたき台としております。その上で、C1は出張の多い業務に関する検討の視点です。こちらも第5回の御意見を踏まえ、出張の定義から「臨時に」を削除するとか、疲労の回復状況についての記載については、ほかのものとは少し区別する形で修正を行っているところでございます。併せて、時差については今回御議論いただきたいと思っておりますので御説明いたします。時差につきましては、ここの項目で評価するほうがいいという意見をこれまでに頂いていたところです。現行認定基準では、作業環境のところですが、5時間を超える時差の程度について評価をする、検討をするという形になっております。これまでの御議論で、睡眠リズムの研究では時差が4時間から5時間を超えてしまうと適応ができにくいと、そういったところからこの5時間がきているのではないかという御指摘があったところでございます。この4時間から5時間という話については、おおむね定説となっていると事務局では理解しておりまして、資料2の(2)では、その考え方を前提に、4時間を超える時差に生体が直ちに適応できないことを確認するデザインの研究、そしてその結果としても確かに適応できないものであったということが示されておりますが、そうした研究を2件お示ししております。これに加えて、近年はより短い時差の影響も注目されていると先生から御指摘を頂いておりまして、2014年のアメリカ睡眠医学会による時差障害の診断基準では、2時間を超える時差となるジェット機飛行が診断基準に含まれているというものをお示ししております。こういった状況を踏まえ、時差の程度については、時間数にかかわらず評価の対象とする、ここで、特に4時間以上の時差について重視するというような形で、このたたき台をお示ししております。「時差の程度(特に4時間以上の時差の程度)」と書いていますのは、その趣旨でございます。C2の出張以外の事業場外における移動を伴う業務につきましては、項目名以外、実質的な変更はございません。これらについて、ここの項目で御意見を頂きたいと思っております。7ページのDです。心理的な負荷を伴う業務です。これも第5回の検討会でおおむね御了解を頂いたと考えておりまして、大きな修正はございませんけれども、7、8ページ両方を見ながら聞いていただければと思います。8ページの表の上半分の見出しは、前回は単に「具体的業務」となっておりましたが、「日常的に心理的負荷を伴う業務」と、少し丁寧に書いております。併せて、この8ページから9ページにかけての表の下の出来事、心理的負荷を伴う具体的出来事の表につきましては、現行の精神障害の認定基準を参考に作成したものではございますが、個別の事案によってはこの表にない出来事で強い心理的負荷となり得る出来事があるのではないか、あるいは精神障害の認定基準も今後見直しがあり得るのではないかということで、この表にない具体的出来事についても評価できるように、7ページに戻りまして、この検討の視点のたたき台ですが、下線の最後に「等」という言葉を入れております。そういったものについても評価していくということで「等」と入れたものでございます。続きまして、10ページを御覧ください。10ページのEは身体的負荷を伴う業務です。こちらも、第6回の御議論を踏まえ、業務と作業という言葉の関係を整理するなどの修正をしているところでございます。11ページ、Fの作業環境につきましては、第5回から修正はしておりません。論点1の最後は、12ページのGになります。ここまでいろいろお示ししました労働時間以外の負荷要因に関して、業務と発症との関連性が強いと判断できる場合について、明確化、具体化を図ることができないかという論点です。労働時間以外の負荷要因について、例えば拘束時間が何時間だったら、何時間の勤務間インターバルが何回、出張が何回、そのように具体的にこういった負荷があれば業務と発症との関連性が強いというものを示すことができるかどうかということです。示すことができるのであれば認定はやりやすくなるわけですけれども、先ほど勤務間インターバルのところでも少し触れましたとおり、そういったことまでは示せる状況にはないのではないか、労働時間以外の負荷要因と発症との関連性については、労働時間やそのほかの負荷要因との総合評価で考えていく必要があるのではないかと事務局では考えているところでございます。この点も含めて御検討をお願いしたいと思います。長くなりましたけれども、論点1の説明は以上です。御議論よろしくお願いいたします。
○磯座長 ありがとうございました。それでは論点に沿って、先生方の御意見を伺いたいと思います。まず論点1の労働時間以外の負荷要因について、たたき台の資料の3ページを御覧ください。これまでの議論を踏まえて、労働時間以外の負荷要因については、この5つの項目に分類するという話がありました。この項目立てについて、下線の文言については後でまた議論しますが、事業場外における移動を伴う業務などということで、5つに分類することについて先生方に確認したいのですが、特に御意見等はありませんか。よろしいでしょうか。では、これはお認めいただいたということで進めさせていただきます。Bに移ります。勤務時間の不規則性については、B1の拘束時間の長い勤務に関する検討の視点、先ほど説明がありましたように第5回で議論をして整理された内容ですが、これについて何か御意見等はありますか。相当議論をしましたので、これについてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、B1も確認したということにさせていただきます。次にB2です。休日のない連続勤務に関する検討の視点についてです。これについても第5回で議論して整理をした内容です。ただ、ここにあるような下線の部分の文言の修正、加筆がありましたので、特に加筆をしたところについて先生方の御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。高橋先生、どうぞ。
○高橋委員 高橋です。ここの疲労回復の問題の指摘に関しては、定性的ではあるのですが、望ましいかと思っております。
○磯座長 ありがとうございます。西村先生、事例を多く見られた立場から、いかがでしょうか。
○西村委員 その関連が直線関係なのか、双曲線なのかというまでのエビデンスはないのですが、このような休日と疲労回復に関する記載は必要だと思います。
○磯座長 ほかに何かコメントはありますか。よろしいですか。半定性的な文言になりますが、今のところエビデンスとしては、ここまでしか言えないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。これについても、お認めいただいたことといたします。次にB3、勤務間インターバルが短い業務についてです。第5回の議論では「勤務間インターバルが十分でない勤務」ということでしたが、十分でないというのは非常に曖昧な言葉であるので、今回は「勤務間インターバルが短い勤務」と修正しております。一方で勤務間インターバルが長いということもありますので、その対比として短いという言葉といたしました。これについて、御意見等はありますか。特にここは問題ないでしょうか。よろしいでしょうか。
○西村委員 西村です。高橋先生とこのことで議論した記憶があり、高橋先生もその時におっしゃったのですが、睡眠の短さと勤務時間インターバルの数値は、多変量解析をしたときにどちらかが優位に出て消えてしまうとか、あるいは両方とも独立して有効であるというような点については、いかがでしょうか。
○高橋委員 今の御質問は、労働時間の一種の交絡みたいな話でしょうか。
○西村委員 はい。あるいは、睡眠時間の短い方はインターバルも短くなっているというのは関連がありそうな場合もあると思いますので、要因としての医学的な独立性はどうなっているでしょうか。
○高橋委員 物理的には、24時間の枠の中では労働時間が長くなればオフとしての勤務間インターバルは短くなるわけですけれども、概してインターバルが短くなればなるほど睡眠時間が短くなるという傾向はつかめています。
○磯座長 ありがとうございました。今の御質問ですが、資料2で新たに5つの勤務間インターバルが書いてあり、クイックリターンという言葉を使っていますが、その中で調整がしっかりされているのが1番のところです。その調整因子の中に睡眠時間ではなくて、夜勤、夜型か朝型か、あるいは睡眠の質を調整されているようです。ただ、今、西村先生がおっしゃった睡眠時間を調整しているかというのは、多分、時間とインターバルは非常に関連性が強いので、どちらかにしている、両方入れると多変量解析が困難となるので、そのようにしている可能性はあるかと思います。よろしいでしょうか。
○西村委員 はい。
○磯座長 ほかにいかがでしょうか。この論点について、何かコメント等はありますか。基本的には、この勤務間インターバルが短いというところに頻度、時間、連続性を勘案するということは加えられていますので、それも含めてコメントを頂ければと思います。いかがでしょうか。この点はよろしいでしょうか。特に御異論はないようですので、ここについても承認されたものとします。次のイに移ります。今回、勤務間インターバルが短い勤務について、睡眠時間の確保の視点から、おおむね11時間未満という数字が書かれています。先ほど事務局から説明があったように、食事とかそれ以外の生活で一般的に必要な時間が全国調査で5.3時間、プラス睡眠時間が最低6時間とすれば11時間を少し超えますので、それ未満のところはやはり短いと考えて、定量的な数字を挙げております。もちろん、その定量的な数字だけで決まるわけではないので、そのときの時間数、さらに頻度、連続性についても考慮するとありますが、これについてはいかがでしょうか。高橋先生、この辺りはいかがでしょうか。
○高橋委員 前回、この議論をしたかもしれないのですけれども、短さの定義というのは難しいにしても、一応EUのほうから最低限11時間というのが出ているので、現状ではそれに従うのは適切だと思いますし、社会生活基本調査から推定したように11時間を下回ると睡眠が6時間を下回るというのは、私どもの別な調査でも得られているので、1つの目安として、このように11という数字を出すのは適切かと思います。
○磯座長 ありがとうございます。EUのデータや我々日本人の実情を合わせて勘案して、ある程度のエビデンスは裏付けられるということで、11という数字を出すということについて、いかがでしょうか。特に、ほかの先生方から御異論やコメントはありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。これについても承認されたものとします。次は、5ページのB4です。B4については、その他不規則な勤務に関する検討の視点ということですが、先ほど説明がありましたように、サブタイトルの(交替制勤務・深夜勤務等を含む。)を外したということで、全般的に不規則なという概念を先に出して、その中の本文の説明の中に括弧を入れながら内容を更に詳しく説明したという説明がありました。これについては、いかがでしょうか。
○高橋委員 高橋です。ここは、ちょっと混乱しがちなところだと思います。「不規則な勤務(交替制勤務・深夜勤務を含む。)」というところで、いわゆるシフトワークも考慮するということかと思いますが、広い意味で言って、ここはやはり働くタイミングが焦点になっているかと思います。そもそも交替勤務や夜勤というのは、いわゆる日勤ではないところで、負荷が非常に高いということは認められているところで、そこはひとつ押さえる。それから、そのような交替勤務であっても不規則になる場合、例えば病院のナースであれ、トラックドライバーであれ、きちんとシフトが決まっていないのは多々ありますので、それは更に負荷になるであろうというところで、このような書きぶりになっているかと思います。非常に難しい基準かとは思いますが、理解はできるかと思います。
○磯座長 いわゆる一般的な日勤の常勤、かつ時間がある程度昼間で決まっている業務を基準として考えると、その他は不規則という考え方なのです。一方で、不規則と言うと、ある日は日勤、ある日は夜勤というイメージも湧きますので、例えば深夜業務でしたら不規則とは言えないので、そういう議論がこれまでありましたが、この辺りはいかがでしょうか。事務局で、一般の方がパッとイメージするような文言はないのでしょうか。日勤という言葉は、あまりないですか。昼間勤務以外の業務という括りはできないですか。
○西川中央職業病認定調査官 考えてみたいと思いますけれども、日勤の範疇の中でも不規則な方はいらっしゃるかもしれませんので。
○磯座長 確かにそうですね。
○西川中央職業病認定調査官 どちらも含めるような日本語があるに越したことはないということですよね。
○磯座長 そうですね。なかなか難しいですね。これまでの検討会でも、なかなかいい言葉が出ないので議論になったと思うのですが。他の先生方はいかがでしょうか。事務局案としては、サブタイトルから括弧を外してしまったということなのですが。ただ、もう一回読み直してみると、サブタイトルから外した割には最初の一文でまた括弧付けで入れているというところが、何か文言として不自然な感じがするのですが、その辺りは行政の文章としてはどうなのでしょうか。特に問題がなければいいのですが。書きぶりのところですね。
○西川中央職業病認定調査官 一応、行政として許容範囲かなと思って書かせていただいてはいるのですが、御指摘を踏まえて、もう少し考えて。第5回の議論では括弧は外したほうがいいという御意見が多かったかなとは思っておりましたので、このように対応させていただいたところではありますけれども。確かに、より適切な日本語があるのではないかということかと思いますので、引き続き整理、検討させていただきたいと思います。先生方からも、何かいい御助言があれば、是非頂きたいと思います。
○磯座長 最初の一文のところに、「その他不規則な勤務とは」と、ある程度定義付けをしてしまう。その他の不規則な勤務とは、日勤でも時間が不規則である、交替制勤務であると。あとは、時間的な不規則性はないが深夜勤務であるというのも含めるといった定義付けを最初にしてしまえば、その後がすんなりいくような気がするのですが。要は、日勤でも不規則な場合がありますよね。交替制勤務というのは、もう交替しているので、時間的に不規則、でもその周期が規則性だと言ったらそれまでですが。日勤だったり、夜勤があるから不規則だと。ただ、ではずっと深夜勤務が不規則かというと、一般の常識から考えて深夜で働くというのは規則的ではないだろうというようなニュアンスであれば、そのように文言上定義付けをするというのは、いかがでしょうか。、何か御意見はありますか。サブタイトルに括弧付けを抜かすが、その次の本文の1行目には括弧があって、次の文章が続くので、どうかなと。高橋先生、そのような疑問が出てきますよね。いかがでしょうか。
○高橋委員 そうですね。今のままですと、「(交替勤務を含む。)」となると、上位概念が不規則な勤務というようになってしまうように見えますので、それよりも先生が言われたように、常日勤ではないという勤務で働いているということは非常に重要な部分がありますので、それとイレギュラーな部分とを、どう座りをよくするかというところかと思います。
○磯座長 そうなると、規則的な日勤ではない勤務というのですか。
○高橋委員 ええ。私たちは常日勤とよく言うのですけれども。
○磯座長 ジョウというのは「常」という意味ですか。
○高橋委員 「常に」です。いわゆる日勤といいますと、シフトワークの中にある日勤も指してしまうことがありますので、いわゆる9時5時の人というのは常日勤というように、パーマナントデイワークというのが一般的なのです。
○磯座長 常日勤という言葉を使って表現するというのはいかがですか。いわゆる常日勤という言葉が、すぐに皆さんにフィットするのであれば、その他を常日勤ではない勤務と。
○西川中央職業病認定調査官 御指摘の点も踏まえて、少し整理をさせていただきたいと思います。今の高橋先生の御発言の前に磯先生がおっしゃった、先に定義を置いたほうがいいということは御指摘のとおりかと思います。今はどちらかと言うと、なお書きの2段落目のほうに、定義というには少し長すぎますけれども、これこれこういうものも含めてここで不規則な勤務といいますということを書いているところですが、ここをもう一度精査したいと思います。ここで評価したいのは、今、先生方が御指摘のとおり、常日勤、いわゆる9時5時、8時5時の仕事ではない仕事における、9時5時、8時5時よりもプラスアルファの負荷という部分、イレギュラー性もそうですし、レギュラーに夜眠れないということもそうですし、それら全部含めて評価したい、しかもそれが実際には分けられない事案も多いものですから、全部含めて評価したいということですので、その前提でまた検討させていただきたいと思います。
○磯座長 文言の修正というのは修文の問題なので、事務局で検討してください。よろしいでしょうか。今の論点以外に、何か修正点とか、ここはこうしたほうがいいといったところはありますか。
○嵩委員 東北大学の嵩です。ここで、深夜勤務としてずっと深夜に勤務しているという場合も、どのようにネーミングするかは考えなければいけないですが、不規則な勤務にあたり、それが多い場合には、負荷が高いというように評価していくのだと思うのですが、そのときに、1段落目では、深夜勤務がずっと続いているということを評価する視点がどれに当たるのかが明確でないような気がします。深夜での勤務の程度など、その辺りのことがどこからか読み取れるということになるのでしょうか。パッと見た感じ、深夜勤務をずっとしている方というのを、どう読むのかなと、どこで過重性を評価していくのかというのが、いまいち私は読み取りづらかったのですが。
○磯座長 ありがとうございます。最後の2段落目に「なお、ここでいう「不規則な勤務」とは」というところで、一応説明していますね。
○嵩委員 はい。
○磯座長 そのときに、今、先生がおっしゃった最後のところに、「予定された始業又は終業時刻が相当程度深夜時間帯に及び夜間に十分な睡眠を取ることが困難な深夜勤務という」ように定義しているのですね。となると、ここの定義で、深夜勤務は、もし深夜と昼間が交替交替でなくても、要は一般的な睡眠のサイクルから考えて、夜の睡眠を妨げる場合には、その場合も不規則と言うという説明は、一応入っているような気がするのですが。
○嵩委員 定義の中に入っているのですが、その定義から何を評価するかも一緒に読み取るということになるのでしょうか。定義は定義なのですけれども、どの観点から評価するというのは、そこで相当程度深夜時間帯に始業とか終業時刻が及んでいるかどうかを評価するということになるのですよね。
○磯座長 そうですね。ただ、評価基準については第1パラグラフに書いてあるので、むしろ第2パラグラフと第1パラグラフを逆にすればいい。
○西川中央職業病認定調査官 嵩先生に事務局から御説明をさせていただきたいと思います。まず、今の第1パラグラフは量が多くて恐縮ですが、その5行目に「深夜時間帯の勤務の頻度など睡眠の時間帯が余儀なく変更される程度」というものを入れております。この「変更」ということで、今、嵩先生はイレギュラーなというような受け取りをなさったということでしょうか。
○嵩委員 そうですね。
○西川中央職業病認定調査官 常夜勤についても、ここで検討するというつもりでいたのですが、その辺りがわかりにくく申し訳ありません。
○嵩委員 そういうことだったら、分かりました。私はここの「余儀なく変更」というのは、それより前に言っている「変更」と同じで、度々変わるということかと思ったのですけれども、普通、一般的な人の睡眠時間から常態として変更されているということも含むということなのですね。
○西川中央職業病認定調査官 そこが分かるように整理をしなければいけないという御指摘かと思いました。
○嵩委員 そうですね、そうしていただいたほうがありがたいです。
○磯座長 要は、長い間、我々は昼間に働くものだという常識があって、そこから外れた場合を不規則と。必ずしも昼間と夜が交替交替の不規則だけではなくて、そこから外れた場合も不規則という概念に広く取っているようですので、それが分かるような形に修文してください。
○嵩委員 すみません、読み込みができなくて、申し訳ございませんでした。そこが分かりやすいほうがいいかなと思いました。
○磯座長 これは事務局に、もう一回修文していただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。 それでは、Cのほうに移りたいと思います。6ページになります。これについても説明がありましたように、第5回で「勤務場所の不規則性」という言葉があったのですが、勤務場所の不規則性と言うと、概念がはっきりしないということで、「事業場外における移動を伴う業務」と修正しております。一番上のCについてはいかがでしょうか。実際の事業場があって、そこの外に移動するということなので、例えば、同じ会社で別の事業場があって、そこに1時間もかけてずっと移動するというのも入ります。よろしいでしょうか。特に御異論がないようですので、これは合意いただいたとします。それでは、C1の出張の多い業務に関する検討の視点、次のC2のその他事業場外における移動を伴う業務に関する検討の視点についてです。C1については、第5回で「臨時に」という言葉がありましたが、それを削除しました。そして、出張中の業務内容の順番を後にして、時差についての意見を踏まえて、事務局での修正案を出しています。C1をもう一度先生方に御覧になっていただいて、御意見をよろしくお願いいたします。特に修正したところは下線で示しております。第1パラグラフには、「ために通常の勤務地を離れて」ということで「通常の勤務地」と、一般的にはその主体となる勤務地、そして、第2パラグラフの最後は、「出張中の業務内容等の観点から検討し、併せて出張による疲労の回復状況等も踏まえて」と入れてあります。第1、第2パラグラフはよろしいでしょうか。いかがでしょうか。第3パラグラフは、また追って議論します。第1、第2パラグラフはよろしいですか。それでは、第3パラグラフ目は先ほど少し詳しく説明がありましたが、時差の程度ということで、「特に4時間以上の時差の程度」といったところの特出しをしております。これまでのエビデンスで4時間から5時間ということですが、少し安全をもって「4時間」という言葉となっています。これについてはいかがでしょうか。21ページに資料が付いています。
○高橋委員 高橋です。補足の説明ですけれども、少し前までは時差というと、4時間、5時間というのが1つの目安で、現行基準も5時間を超える時差という形で、そういう数字であったのですけれども、いわゆる時間生物的な研究がすごく進展しまして、私たちの体は時差に対して、もっと敏感であると、4時間、5時間でなくて2時間程度でも、いわゆる体調不良につながるということが分かってきています。例えば土日に夜更かし、朝寝をするという方というのは結構いらっしゃるわけです、ふだん7時、6時に起きる人が8時、9時まで寝てしまう、言わば週末に2、3時間の時差飛行をしているようなものなのですけれども、そういうのを繰り返すと肥満になったりメンタルが悪くなったりということが分かってきていまして、時差に対する感受性というか、閾値が下がってきてはいるのです。ここはある意味、一過性の体調不良というよりは、最悪、死亡につながるような健康障害ということなので、先ほどの論文等によりますと、現状では4時間というのが1つのいい数字にはなるかと思います。
○磯座長 将来的には、エビデンスが更に固まってくれば、もう少し短くなる可能性がありますが、今のところは、そのエビデンスとしては眠気が出てくるといった程度で、それが重大な病気につながるかというエビデンスはまだまだ少ないということで、4時間といった判断でしょうか。
○高橋委員 そのとおりです。
○磯座長 これについてはいかがでしょうか。
○野出委員 私も事務局の修正案でよろしいのではないかと思います。臨床的にも4時間を超える時差の場合に、そういった障害があるというコホートもありますし、私どもが以前報告した論文でも、4時間を超える外的な時差に対して、内的な時計遺伝子の調整ができないということの報告をしているので、時間を設定するのであれば4時間ということなのですが、「特に」というように記載がありますので、恐らく3時間、2時間でもケースによっては障害が起こるケースもあるということで、そこも含めてこの修正案でよろしいのではないかと思います。
○磯座長 ほかの先生から御意見等はありませんか。よろしいでしょうか。ここを「特に」とするのか「おおむね」とするのかで議論が分かれるのですが、その点についてはどうでしょうか。先ほど「おおむね11時間を超える」というような、「10時間以上」という文言がインターバルのところにありましたけれども、時差についてもこういった文言が必要か、若しくは「特に」ということでよろしいかということですけれども。高橋先生、いかがでしょうか。
○高橋委員 インターバルの場合はEUの数字があったりして、かなり証拠としては強いかと思います。それに対して、時差ですと、資料の中にあるアメリカの睡眠医学会では、もしかしたら2時間ぐらいでも睡眠とかリズムの障害が出るのではないかということも言われているので、「特に」とかというように、ちょっと注意付けすることは、現段階の知見に基づけば、意味があるかなと思っています。
○磯座長 2つの時差帯域を超えるというのは、1つの時差帯は1時間ということでよろしいですね、先生。
○高橋委員 そうですね。1時間より短い時差帯もありますけれども、原則は1時間なので、2時間以上と。
○磯座長 2時間を超えるということですね。
○高橋委員 向こうの基準によれば、そういう形です。結構この辺は個人差が大きくて、アメリカ国内を西から東、大体3時間ぐらいでも時差を感じるという方もおられるということなので、より明確なラインということで、「特に4時間以上」というのは言い得るのかなと思います。
○磯座長 その前のAkashiさんという方の論文でも、4時間の睡眠のラグをアジャストするには3週間以上かかるということなので、そのことを考えると4時間ぐらいで疲れとか睡眠不足が出てくるということを考えると、21ページの2番目の論文を参考にすると4時間という、先ほど野出先生からのデータもありましたが、4時間という形で特に問題ないと考えられるかと思います。
○高橋委員 恐らく実際の認定の作業では、1回だけの時差飛行があったかないかよりも、その後段にあるような、それがどのぐらい頻繁であったかとか、西か東か、北か南かとか、それ以外のいわゆる時差飛行に伴う要素も十分に考慮しなければいけないので、ここはこの程度でもいいのではないかと思います。
○磯座長 それでは、「特に4時間以上」という文言でよろしいでしょうか、先生方。ありがとうございます。これについても御了承いただいたと思います。それでは、C2です。これについては、先ほどの1番目の上のところの「事業場外における移動を伴う業務」、これは先ほど文言の改訂ですけれども、それについての説明が第1パラグラフに書いてあり、これもこれまで議論しました。その後の最後のところに「なお、時差及び移動に伴う労働時間の不規則性の評価についてはC1と同様である」という文言を付記しています。これについてはいかがでしょうか。第5回で御意見を頂いた水島先生、この辺りの記述についてはいかがでしょうか。
○水島委員 事業場外における移動を伴う業務という形でまとめていただきまして、理解しやすくなったと思います。ありがとうございます。1つよろしいでしょうか。あまり本質的なことではないのかもしれませんが、C2で、「移動(特に時差のある海外への移動)」とありますが、海外に移動して業務をするというのは、私の理解では、恐らくそれは出張になると思いました。出張にならない時差のある海外への移動という業務についてどういったものを想定しているのかを、事務局に質問させていただきます。お願いします。
○磯座長 いかがでしょうか。
○西川中央職業病認定調査官 水島先生の御質問ありがとうございます。私どものほうでここで想定しているのはまず、航空会社の職員、パイロット、フライトアテンダントなどで、第4回、第5回の議論からすると、恐らくそういったものは出張ではないと整理するのではなかろうかと思います。もう1つは、これは出張かどうか微妙なところではありますが、添乗員、ツアーガイドのような方です。こういった方々は日常的にあちらこちらに移動される、本来業務と言えば本来業務というところがありまして、そういった方々で、時差のある海外への移動を本来の仕事としてされるという方もいらっしゃるのかなということを想定しております。
○磯座長 水島先生、よろしいでしょうか。
○水島委員 御指摘のとおりです。ありがとうございました。
○磯座長 ありがとうございます。それでは、これについてほかに御意見等はありますか。ないようでしたら、これでお認めいただいたものとさせていただきます。次のDにまいります。「心理的負荷を伴う業務」の検討の視点についてです。これについても第5回で議論して整理された内容です。これについては先ほど詳しく説明がありましたが、こういった心理的負荷については、次ページの別紙のところに、これまで議論がなされた「日常的に心理的負荷を伴う業務」というリストがありますけれども、これについても今後、改訂の可能性があるということで、ここでは「等」という言葉を入れているという説明がありました。これについてはいかがでしょうか。特に問題はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、ここについても御了解いただいたということです。次は、Eについてです。「身体的負荷を伴う業務」の検討の視点について、これは第6回で議論していただいたものです。事務局のほうで整理をしました。下線の部分を中心に、もう一度確認していただけると思いますが、何か御意見等はありますでしょうか。特にこれも問題ないでしょうか。ありがとうございます。これも御了解いただいたということで進めさせていただきます。次は、11ページのFについてです。「作業環境」について、まず、F1の温度環境に関する検討の視点について、これも第5回で議論しました。何か御意見等がありましたら、御発言をお願いいたします。今回、文言の修正等はありません。いかがでしょうか。特に御意見がなければ、これで合意されたものとして進めさせていただきます。ありがとうございます。それでは、F2に移ります。騒音に関する検討の視点について、これも第5回で議論しました。今回も特に修正点、修文点はありません。いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。これも合意されたものとさせていただきます。12ページ、Gについてです。労働時間以外の負荷要因に関して、業務と発症との関連が強いと判断できる場合について、更に明確化、具体化を図ることはできないかということですが、これまでの議論ではなかなか難しいという議論でありました。これについてはいかがでしょうか。高橋先生、いかがでしょうか。これまでの議論の中で。
○高橋委員 そうですね、時間以外に。事務局としては、この場合は、いわゆる単月100とか、そういう長時間労働がない場合ということでしょうか。
○磯座長 いかがでしょうか、事務局。
○西川中央職業病認定調査官 高橋先生が御指摘のとおり、事務局のほうで想定しておりますのは、労働時間がない場合、労働時間とは別に、労働時間以外の負荷要因だけで、業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を示すことができるであろうかどうかということです。また、労働時間との総合評価については、論点2のほうで御議論いただければと思っております。
○磯座長 基本的に労災の判断で労働時間は非常に大きな判断基準になっているのですが、こういった論点が出てくる背景というのは、改めて労働時間以外について何か明確化するという必要性は、どこから出てきているのでしょうか。
○高橋委員 精神障害の事案ですと、むしろこちらのほうがクローズアップされるように思います。
○磯座長 精神障害の事案。
○高橋委員 精神障害の事案に関しては、むしろ時間よりも仕事の負荷とか、職場環境の在り方みたいなのが関連するように思うのですが、今回の脳・心臓疾患に関しては、現段階では時間を除いて、今回のような時間以外の要因だけで関連を議論できるほどには、まだいっていないのかなとは思います。
○磯座長 何か事務局のほうでコメントはありますか。
○西川中央職業病認定調査官 事務局としましても、先ほど御説明のところで申し上げましたが、労働時間を外してとなると、拘束時間が何時間でとか、インターバルが何時間何回でとかということになるのですが、事案を見ていただいたときに非常に難しいというような御意見で、先生方もあったかと思っておりますし、事務局としてもそうなのかなと思っております。
○磯座長 明らかにこれまでの事例で、いわゆる労働時間以外に何か負荷要因があって、労災を認めるか、認めることに対して議論があった事例がこれまであるわけですか。
○西川中央職業病認定調査官 認定事例で申し上げますと、短期間の過重業務であれば、直前に非常に重労働などをなさって、かつ、寒いところ、暑いところでというようなことで、実際に認定した事例もありますし、そういった検討をする必要があったということもありますけれども、長期間の過重業務ですと、なかなか認定例としても、特に月45時間を下回るものというのは非常に少ないのかというように考えております。
○磯座長 それは異常な出来事で整理できるということになりますか。
○西川中央職業病認定調査官 そこは事案によりまして、異常な出来事で整理しているものもありますし、短期間の過重業務で整理した事案もあったかと思います。
○磯座長 西村先生、いかがでしょうか。
○西村委員 特には思い付かないというか、ございません。
○磯座長 はい。では、これについては、現段階では明確化、具体化を図ることは困難であるということで、特にそこの規定はしないということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、先ほど1つだけ修文が必要な点がありましたので、それについては、事務局で整理を特にお願いします。以上で、論点1の労働時間以外の負荷要因を終わりたいと思います。次は、論点2の「長期間の過重業務における労働時間の評価等」の説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 論点1についての御議論どうもありがとうございました。それでは、論点2の長期間の過重業務における労働時間の評価等について御説明をさせていただきます。資料1の13ページを御覧ください。まず論点Aですけれども、現行認定基準における労働時間の評価についてどのように考えるかというものです。第3回でも御議論いただきましたけれども、脳・心臓疾患の認定基準の根幹部分となってまいりますので、再度、基本的な考え方を私どもから御説明をさせていただいた上で、様々な御意見を頂きたいと思っております。13ページにありますとおり、現行の認定基準では、労働時間を「疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因」と整理しているところです。その上で、ここに①、②と書いてありますけれども、①発症前1か月間ないし6か月間にわたり、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱い。しかし、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなれば長くなるほど、どんどん業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できるとしています。併せて②発症前1か月間におおむね100時間、又は発症前2か月間ないし6か月にわたり、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できるとしています。このように認定基準を設けています。その根拠となりました平成13年の報告書の抜粋を資料3で添付しています。御確認いただければと思います。資料3の28ページを御覧ください。報告書のページですと93ページの一番下のところです。ここまで93ページでは、いろいろと労働時間と脳・心臓疾患の発症などの疫学調査について触れた後で、そういった過去の論文をまとめた論文について、下から3行目ぐらいからですけれども、「現在の結論は、週50時間以上の労働は、心血管疾患と何らかの関連がある可能性はあるものの、決定的なものではなく」といった論文を引いているところです。こういった決定的なものではないとした論文を引きながらも、報告書の95ページの2段落目からですが、長時間労働が脳・心臓疾患に影響を及ぼす理由について、①から④で整理をしています。1つ目が睡眠時間が不足して疲労の蓄積が生じる。2つ目が休息や余暇が制限される。3つ目が疲労の中でパフォーマンスを維持する必要性というのがストレスになる。4番目が就労態様によるいろいろな負荷要因へのばく露期間が長くなる。こういったものが考えられるとした上で、この中でも、疲労の蓄積をもたらす要因として、睡眠不足が深く関わっていると整理をしているところです。そして、睡眠時間に関する脳・心臓疾患の発症と睡眠時間に関する疫学調査をいろいろと引いた上で、報告書の96ページですけれども、「以上のことから」というところでまとめて、その段落の最後ですが、「1日4~6時間程度の睡眠が確保できない状態が、継続していたかどうかという視点で検討することが妥当」としているところです。この1日6時間程度の睡眠が確保できない状態というものを考えますと、これは1日4時間程度の時間外労働を行った場合に相当しまして、これが1か月継続した状態は、おおむね80時間を超える時間外労働があるという状態だと想定される。1日5時間程度の睡眠が確保できない状態というのは、1日5時間程度の時間外労働を行った場合に相当し、これが1か月継続した状態というのは、おおむね100時間を超える時間外労働が想定される。そのようにして先ほどの①、②の認定基準を導いています。こうした現行の認定基準の考え方を御承知おきいただいた上で、今般の検討をお願いしたいと思います。資料1に戻っていただいて、先ほど見ていただいた13ページを御覧ください。資料1の13ページ右側に、参考事項ということで医学的知見や統計調査をお示ししています。医学的知見の状況ですが、第3回検討会、第5回検討会で資料を出しております。医学的知見については、平成13年以降、これまでの間にいろいろと進展が見られてきていて、睡眠時間や労働時間と脳・心臓疾患の発症に関して多くの疫学調査が取りまとめられています。これらによりますと、睡眠時間と脳・心臓疾患の発症又は死亡との関係について、多くの文献で6時間未満あるいは6時間以下の睡眠との有意な関連があったという結果が出ています。5時間未満又は以下の睡眠とのみ有意な関連を認めたという文献も複数ありました。また、労働時間と脳・心臓疾患の発症又は死亡との関係についても、長時間労働との有意な関連があったという文献が多くありました。特に大規模な疫学調査において、海外の調査で、週55時間以上の労働時間と脳・心臓疾患との間に有意な関係を認めたものがあります。また、日本の国立がんセンターの調査で、1日11時間を超える労働時間と心筋梗塞の発症との間に有意な関係を認めたものもあったところです。一方で、有意な関連を認めなかった文献も複数見られたところで、特に今御説明しました国立がんセンターの日本の調査では、1日11時間を超える労働時間と脳梗塞については有意な関連がなかったという結果が出たという状況です。次に、睡眠時間と時間外労働の関係について、統計調査を引きまして御説明します。社会的な統計になりますけれども、最新が平成28年のものですが、その平成28年の社会生活基本調査の結果も第3回検討会の資料4でお示ししています。その第3回資料4から抜粋して、13ページに再掲していますけれども、この調査結果を見ますと、睡眠時間は、平成13年検討会報告書が参照したのは平成8年の調査でしたが、そのときと比較しますと0.2時間、12分程度短くなっています。一方で、「食事等」の時間というのは、調査結果のうち食事や身の回りの用事、通勤などの必要な時間を足し合わせたものです。生活していくために必要不可欠な時間、削れない必要行為の時間となりますけれども、この食事等の時間については5.3時間と、平成13年報告書と同程度となっています。今回の調査では、仕事は1日当たり8.1時間、主に仕事という方の平均ですので、おおむね法定労働時間と同程度となっています。ここで、時間外労働が増えると、まずは余暇が削られていく、余暇を全部仕事に回してもまだ足りないほど時間外労働が長いとなると、食事や通勤の時間は削れないので睡眠時間が減っていくと考えます。今回の調査結果に基づき、平成13年報告書と同じ計算方法で1日6時間程度の睡眠が確保できる状態というものを計算すると、24時間から睡眠6時間、食事等5.3時間、法定労働時間と休憩時間1時間を合わせて9時間を差し引きますと、1日で時間外労働ができる時間は3.7時間。1か月の21.7日では80.3時間となります。この月80時間を超える時間外労働の水準では、6時間程度の睡眠時間が確保できないということになると思います。こういった労働時間の考え方、労働時間だけで業務と発症との関連性が強いとする場合の時間数の考え方について、現在の認定基準の考え方と同じように、長時間労働が脳・心臓疾患に影響を及ぼす理由は複数あるものの、その中でも疲労の蓄積をもたらす要因として睡眠不足が深く関わっていると整理する。その観点から、1日5~6時間程度の睡眠が確保できない状態が継続していたかどうかという視点で検討する。平成13年の報告書に倣いますと、こういったことになります。こういった考え方について、労働時間に関する疫学調査の結果も踏まえて、今回どのように考えるかということについて御議論をお願いしたいと思います。こちらがAの論点です。続いてBの論点です。こちらは、労働時間だけで業務と発症との関連性が強いとする水準に至らない場合の考え方についてです。そういった場合でも、労働時間の状況と労働時間以外の負荷要因の状況を総合的に考慮して、適切に判断していく必要があることについて、これは当然のことではありますけれども、改めて示しておくことが必要ではないか。また、その際、どのような場合に業務と発症との関連性が強いと判断できるのかについて、なるべく明確化することができないか。仮に、時間数や労働時間以外の負荷要因の組合せで、時間数が何時間、拘束時間が何時間、あるいはインターバルが何時間、そういったことを示すことができれば認定がやりやすくはなるのかもしれませんけれども、そういったことが示せるのか示せないのか。示せないとしても考え方を示すことができないか。その際、労働時間については疫学調査の結果についても考慮することが必要ではないか。こういった論点です。「例えば」ということで、たたき台を示しています。ここに書いていますけれども、「労働時間以外の負荷要因において一定の負荷が認められる場合には、労働時間の状況をも総合的に考慮し、業務と発症との関連性が強いといえるかどうかを適切に判断すること。その際、労働時間のみで業務と発症との関連性が強いと認められる水準には至らないが、これに近い時間外労働が認められる場合には、特に他の負荷要因の状況を十分に考慮し、そのような時間外労働に加えて一定の労働時間以外の負荷が認められる場合には、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること。」、こういったことを認定基準に盛り込んではどうかというたたき台です。このたたき台について、先ほどの論点1の最後の論点Gでも御説明しましたが、具体的な支給決定事例を踏まえて御議論いただいた際の検討でも、特に労働時間以外の負荷要因の関係については、労働時間と組み合わせたとしても、何時間何回といったことを定量的に示すことはなかなか難しいのではないか、むしろ定性的に総合的な考慮をするという考え方を示すことがよいのではないかという御指摘もあったかと思います。そういった御指摘を踏まえてのたたき台となっています。具体的な支給決定事例を踏まえて御議論いただいた際、こういった労働時間だけでは認定に至らない、他の負荷要因を考慮して認定していたという事案については、1か月当たりの時間外労働は65時間から70時間以上のものが多かった、そういった事案について、拘束時間などの一定の時間以外の負荷要因を考慮して認定していたという状況も、先生方には個別の事案を踏まえてお示ししたところです。なお、この労働時間に関しては、先ほど論点Aでも触れましたけれども、医学的知見として、大規模な疫学調査において、海外のもので週55時間以上の労働時間と脳・心臓疾患、日本のもので1日11時間を超える労働時間と心筋梗塞の発症との間に有意な関係が認められたものもあったところです。こういった週55時間ですとか1日11時間といった労働時間の数字については、先ほどの1か月21.7日ということで換算しますと、月65時間の時間外労働の水準となります。この論点については、先ほども御説明しましたが、支給決定事例を踏まえて検討した際も、総合評価であるということが十分に理解されるようにするべきではないかという御指摘もあったところで、次の15ページに、総合評価の例、事例のイメージをお示ししています。事例1では、時間外労働が月約71時間、深夜勤務、不規則な勤務があり、拘束時間が長かったという事例を挙げています。事例2は、時間外労働が平均して月64時間、出張の多い業務であったという事例です。これらの事例それ自体は、イメージとして仮のものとして事務局で作成したものですが、この事例の中で評価している負荷の状況、時間数ですとか勤務時間帯あるいは出張回数やその態様は、実際の認定事例と同じものです。こういったような事案については、労働時間だけでは業務と発症との関連性が強いと認められる水準には至っていないところですけれども、それに近い時間外労働が認められるというものであって、かつ、労働時間以外の一定の負荷があるということで、総合的に考慮して業務と発症との関連性が強いと考えられるのではないか。そういった事例イメージをお示ししています。こういった事例もイメージしつつ、労働時間だけで評価するということではなく総合評価であるということを前提に、数字は示さないまでも、先ほど御説明した支給決定事例や医学的知見を踏まえて運用していくことは考えられるのではないか。こういった点も踏まえて御議論いただければと思います。なお、こういった労働時間などの負荷要因に関して、外部の方から、2021年に入っても新しい医学的知見が出ているのではないか、こういったものも含めて検討すべきではないかとの指摘も、つい最近頂いたところです。検討会にお示しできるものかどうか、事務局でも今後確認をしたいと考えていますけれども、そういった点も含めて、過重負荷の判断については慎重な検討が必要と考えていて、今回だけで結論に至るということはできないものと考えていますが、本日はこれら現時点での資料を基に御議論いただきたいと思います。論点2の御説明は以上です。御議論よろしくお願いいたします。
○磯座長 論点2について、まずは13ページのA、現行認定基準における労働時間の評価についてどう考えるかについてです。事務局の説明に対して、何か御意見等がございましたら、よろしくお願いします。
○高橋委員 高橋です。これは磯先生若しくは西村先生たちに教えていただきたいのですが、同じ長時間であっても、研究によって脳疾患が出る場合もあれば心臓疾患に出る場合もあると。これは、対象とする集団の例えば人種なのか、生活習慣なのか、あるいは脳に出るか心臓に出るかは病態生理学的にも説明が付くかとか、その辺りは今どういった状況でしょうか。
○磯座長 先ほど紹介のあった、国立がん研究センターの大きなコホートにおける結果なのですが、これは、40~59歳の男性1万5,000人ぐらいの方々を約20年間追いかけて出した、日本の大掛かりなコホート研究では唯一の研究だと思います。その中で、先ほど事務局から説明がありましたように、心筋梗塞の発症に関しては、1日7時間から8時間ぐらいを普通の業務時間として、11時間以上になりますと、約60%程度リスクが高くなるという結果が出ています。その中でも、特にサラリーマンの方々のほうが有意に高くなるということも出ています。ただ、ほかの循環器疾患をみたときに、慎重に考えなければならないのは、脳卒中に関しては、むしろ長時間のところはリスクが高くなるという状況ではないということです。さらに、先ほど脳梗塞の話がありましたが、脳梗塞もそうですし、出血性脳卒中もそうですし、全体の脳卒中も同様の傾向で、特にリスクの上昇は見られなかったと。さらに、脳卒中と心筋梗塞の両方を併せて分析した結果も出していますが、日本人は、脳卒中のほうが心筋梗塞より数倍発症率が高いのですが、全体の脳卒中と心臓病の全部を合わせた集計では、ほとんど関係がない。要するに、11時間以上でも、7、8時間の人と比べて、リスクには差がなかったということなので、循環器疾患の中でも病型によって違うということが国立がん研究センターの研究結果です。欧米、特にヨーロッパを中心とした研究を、原著に当たって詳細に調べたのですが、1つは、こういった労働時間と循環器疾患との関係で、エポックメイキングになったのが、2013年に公表された北アイルランドの40万人の方々のコホート研究結果で、週55時間以上の方は、全死亡のリスクが30~40%高くなるという結果でした。その後に、別のグループが、最初は『International Journal of Epidemiology』という疫学の専門誌に出て、それから2年後に『Lancet』という一般の臨床的な有名な雑誌ですけれども、それに出して、そのときには若者が、これまで公表していないいろいろなコホート研究に声をかけて、今度は発症についてメタ分析、いわゆる解析をしています。そのデータが2015年に出ています。そのときに、最初に出たアイルランドのコホート研究にも声をかけて、アイルランドのデータは死亡だけだったのですが、データの中で脳卒中、心臓病の両方の発症のデータをもう一回出してもらって、それに分析をかけてと。それと、この研究では、一部アメリカですが、ヨーロッパの多くの研究者に声をかけて、公表していないデータの個人データをもらってメタ解析をした。そういった研究が出ています。それでも、実を言うと、最初に出した北アイルランドのデータが非常に大きいので、それに大きくデータの結果が左右されています。先生方に広い意味で考え方の議論をしていただくために少し詳しく言いますけれども、そのときの結果が、心臓病に関しては約25%、大きなアイルランドの結果も入れて、更にヨーロッパとアメリカに声をかけた、パブリッシュされていないデータも全て含めると、約13%虚血性心疾患でリスクが高くなる、脳卒中では33%高くなる。これは非常に強いエビデンスの1つなのですが、ところが、その3年後にデンマークから別の論文が出て、このデンマークの論文も非常に大きくて、15万人の研究ですが、デンマークにおいて、彼らが『BMJ Open』に論文を出していますが、その論文では、脳卒中と心臓病に関しては、有意にリスクが高くならなかったという研究があります。それを受けて、同じ年に別の研究者が、デンマークと『Lancet』の論文を両方メタ解析しております。緊急の措置だと思います。その結果が、結局、虚血性心疾患に関しては12%リスクが高いといった研究です。そして、脳梗塞に関しては21%高いという研究があります。しかし、有意性としては本当にぎりぎりのところの有意性ですので、Confidence Intervalが1.03から1.21、脳梗塞は1.01から1.45ということで、かなりボーダラインのところで、有意でありますけれどもボーダラインです。そういったところから、これについては、それぞれのヨーロッパを中心としたデータなので、特に余暇の時間の取り方が日本と異なる可能性もありますので、慎重に、しっかりと、今後先生方にも原著に当たって見ていただいて、まだまだ考えていただく必要があるかと思います。以上が基本的なデータです。単純なメタ解析とか、エビデンステーブルではどうしても見えないところがありましたので、ちょっと時間をかけて報告させていただきました。先生方から、また議論いただければと思います。
○高橋委員 実際には、私たちが調べた5年間の過労死等労災事案を見ると、6割が脳疾患で、4割が心疾患という状態で、過労死の認定例では脳疾患のほうが多いということでした。果たして、こうした結果は研究上のばらつきか、あるいは臨床的にどのぐらい理解可能な状態なのかというのは知りたいところだったのですが。
○磯座長 発症データは、それぞれの国によっても、コホートによっても調査の仕方が異なります。日本では現在95%以上の脳卒中に関してはCT若しくはMRIを受けています。ヨーロッパでは、せいぜい20~30%ですので、日本人における脳卒中の発症の把握並びに診断は、かなり正確だと言えます。それが第1点かと思います。先生がおっしゃるように、日本人はまだ脳卒中のほうが心筋梗塞よりも多いです。ただ、これも地域によって異なり、例えば大阪の都市部的なところですと、心筋梗塞と脳卒中の発症の比率が、中年期ですと1対1ぐらいになっています。ただし、他の地域では脳卒中のほうが心筋梗塞よりも数倍多いです。日本の地域によっても違いますし、ましてや国によっても、脳卒中と心筋梗塞の発症状況が違うということで、この辺りは豊田先生のほうがお詳しいと思うのですが、何かコメントはございませんでしょうか。
○豊田委員 特に追加するコメントは持ちませんが、再三、磯先生がおっしゃっているように、日本人においてはイベントとして脳卒中が多いのは確かです。最初に磯先生が教えてくださった、労働時間と脳卒中の発症のはっきりした関係が日本では出なかったということでしたが、私はよく知らなくて、興味深く伺っていました。
○磯座長 後で事務局からペーパーをお送りします。国立がん研究センターの研究でも、1日11時間以上の労働時間に関して7~8時間に比べて脳卒中のハザード比は0.83になっていて、循環器疾患(心筋梗塞と脳卒中)のハザード比は0.97と、ほぼフラットな状況です。
○豊田委員 労災としての脳卒中と考えるときに思いますのは、そもそも疾患の適齢期、はっきり知っているわけではありませんが、60前半の方などが心筋梗塞をよく発症されると思うので、労災との関連が強いと思うのですが、何分、脳梗塞は発症のピークが70代前半で、もうリタイアされている方が多いので、一般的な脳卒中の特徴というのは、労災の脳卒中とはあまりかみ合わないところが多いのではないかというのは、この会議に参加していて前から思っておりました。脳出血あるいはクモ膜下出血などになると、かなり発症のピーク年齢が下がりますので、労災としての脳卒中というときに、出血性の脳卒中はすごくイメージが湧くのですが、労災で取り上げられる脳梗塞は、一般的な高齢者に好発する脳梗塞と、多少の特徴の違いがあるかもしれない。確かに、だらだらと時間をかけた労働が脳梗塞に関わるというよりも、もっと瞬間的なというか、インパクトの高いアクシデントが脳梗塞の発症に関わるのかもしれません。あまり根拠のない発言でございます。すみませんでした。
○磯座長 確かに、若い勤務者などの場合には、今、先生がおっしゃったようなことが起こると思うのですが、ただ、勤務者の中で実際に事例になるような方は、脳卒中、心筋梗塞は1対1ぐらいではないかと思うのです。事務局で、その事例の割合はどうでしょうか。高橋先生、どうぞ。
○高橋委員 今の話で、正に豊田先生の言うとおり、脳疾患の事案の中では一番多いのが脳出血で、その半分ぐらいが脳梗塞です。ですので、普通は臨床だと60、70の高齢の病気が、この事案というのは平均は50代ですから、特別な状態なのではないかなというのは推測できます。
○杉委員 杉ですが、質問と同時に意見です。例えば心筋梗塞の場合には、動脈硬化で起こってくるというのが圧倒的に多いと思うのです。プラークのラプチャー破綻で起こる。そうすると、それは抗血小板薬の作用するところで、動脈硬化が多いと思うのです。たまには血栓が飛んで心筋梗塞を起こすこともありますけれども、そんなに多くないです。ところが、私どもの知っている脳梗塞の分け方で言うと、動脈硬化による脳梗塞が3分の1ぐらいで、ラクナ梗塞も3分の1ぐらいで、血栓塞栓による脳梗塞が3分の1ぐらいという理解だったのですが、豊田先生、これは間違っているでしょうか。
○豊田委員 いえ、先生がおっしゃっていることは大体合っていると思います。脳卒中データバンクという、全国の100施設ぐらいで登録している、ずっと20年間登録している事業があるのですが、それで20年間の新規発症脳卒中の比率を見ると、まず3大病型としては脳梗塞が75%、全体の4分の3で、残りの4分の1が出血性脳卒中です。その出血性脳卒中をざっと言えば、25%のうちの20%が脳出血、5%がくも膜下出血くらいの割合です。脳梗塞が、また3大病型に分かれるのですが、脳梗塞の中で明らかに心臓が原因の心原性脳塞栓症が、脳梗塞全体の3割弱です。残りの7割強が、動脈硬化の中でも特にアテローム性硬化によるアテローム血栓性脳梗塞と、細動脈、小さい動脈の動脈硬化によるラクナ梗塞と、あと原因がよく分からない脳梗塞というのも全体の2割弱ぐらいあります。だから、先生が先ほどおっしゃったのでいけば、動脈硬化による脳梗塞は全体の6割から7割で、心房細動なども動脈硬化で最近はよく起こるのですが、心房細動などの心臓や、何か上流にある疾患からの塞栓症によるものが3割程度と考えております。
○杉委員 ありがとうございました。磯先生、私が考えていたことはもうお分かりかと思うのですが、脳梗塞の中には血栓塞栓のものがある程度あるので、これは動脈硬化と関係なくても起こり得るのではないかと思っていたのです。心房細動そのものは、もちろん動脈硬化で起こることもあります。ただ、高齢化ということでも起こりますし、様々な要素で起こりますから、そこで血栓塞栓が起これば、必ずしも動脈硬化に関係しないでも起こるのかなと思って、発言させていただきました。
○磯座長 我々の疫学研究でも、AF(心房細動)を起こして塞栓を起こす人は、必ずしも脂質異常症との関連はないので、動脈硬化性のものとは違うというのは、日本人の特徴でもあるかと思います。ほかに何か御意見等はありますでしょうか。本当に様々な観点から御意見を伺えればと思います。野出先生、いかがでしょうか。
○野出委員 今の高橋先生の御質問は、磯先生、豊田先生がおっしゃったように、日本人は心筋梗塞の絶対リスクが圧倒的に低いので、地域差があるということ。それから、時代によっても、この10年、20年で疾患の構造は変わっていますので、そういった差があるということだと思いました。それから、磯先生が言われた脳卒中のほうが相関がないというのは、心筋梗塞は先生方がおっしゃるように、アテローム血栓性梗塞なので、どちらかと言うと心筋梗塞を発症される方はアグレッシブで、よく働いて、長時間勤務、肥満、たばこを吸ったりお酒を飲む方が多いので、そういった交絡因子が関与しているということになるのかもしれません。だから、単純に長時間労働自体が心筋梗塞に対して大きな影響を与えているのか、あるいは背景因子がオーバーラップしているのかというのは難しいわけですが、そういった意味では、疾患と労働時間というのは必ずしも関係が一律ではなく、疾患によって相関の度合が違うという印象を持ちました。ただ、事務局が作られた案に関しては、私は全面的に同意をしていますので、この文章でよろしいのではないかなと思いました。
○磯座長 ほかに御意見等はございますか。西村先生、どうぞ。
○西村委員 あまり医学的な意見ではないのですが、磯先生がおっしゃったことで私が感じたことを申し上げたいと思います。ナショナルデータで、本邦では全人口を含めると疾患として、虚血性心疾患は増えているのですが、先ほど議論があったように、高齢者の増加が多いです。今就労されている労災の対象になるような方で、これは多分高橋先生が一番たくさんデータを持っていらっしゃるところですが、虚血性心疾患は増加しているのかどうなのか。国際的に見ると、虚血性心疾患の発症率はアメリカでも右肩下がりであり、もともと本邦の発症率は欧米の約4分の1ぐらい、あるいはもっと少ない。一方で、先ほど出たアイルランドと北欧というのは、虚血性心疾患の発症率は世界で最上位に入る国で、そこで虚血性心疾患の発症率に差が出なかったということでしょうか。
○磯座長 アイルランドでは関連が出ているのです。
○西村委員 北欧は出ていないですか。
○磯座長 デンマークは関連が出ていません。あと、アイルランドの研究は非常に大きなデータで、それに北欧の研究データを足していったのですが、人数的には大して多くなかったので、最終的な関連の推定値に関してはアイルランドのデータが全体を引っ張っているという意味です。
○西村委員 アイルランドは世界的に見れば発症率は最上位に入りますね。その中で、ちょっと背景は分かりませんが、労働時間で有意差が出ているという臨床的なインパクトは強いと思います。逆に、日本は発症率が低い中で、虚血性心疾患の頻度も低下傾向であり、就労者ではどうかといったところの問題については、先生がおっしゃるように、データをいろいろと見て考えなければいけないと思います。研究対象の年齢と、実際の発症年齢、全年齢を含めたデータとの差異があると思います。それから、先ほど先生がおっしゃったように、発症というのは定義が難しい側面があります。虚血性心疾患で狭心症発症を転帰の評価項目とした際には、狭心症の定義はあやふやな点もあり、診断する医者によって違いが出る可能性が少なからずあります。また、心筋梗塞でもその診断基準が一定でないこともあります。心臓死は、基準が最も明らかな転帰と考えます。転帰を何で評価しているかということも、重要な点で、発症と死亡では研究の質として差があるのではないかと考えます。
○磯座長 ほかに御意見等はございますか。
○西村委員 もうひとつ、いろいろな新しい医学的エビデンスがどれだけあるかということになると、今のところ労働時間も1つの直接的評価であり研究成果が集積されつつあります。今までここでいろいろなデータを積み重ねて検証してきた睡眠時間から推定し、数字化されたデータに基づき、これまで判断がされてきたということの意義は大きいと考えます。今後、新しい方法でデジタルデータが、得られる時代になると、変わってくるのではないかと思います。
○磯座長 西村先生がおっしゃった中で、1つまだ課題があるとしたら、国立がん研究センターのデータでは、40~59歳の方を約20年間追いかけているということは、40歳の人は60歳まで追いかけられますが、50歳の人は途中でリタイアするということです。ですから、国立がん研究センターの研究では、リタイアする前の労働条件でもう一回評価をして、その後はどうなっているかということを見ているのですが、それでも、企業からリタイアした後に脳卒中、特に脳梗塞を起こす可能性があるので、そこは整理して考えなければいけないと、今、先生方の議論を伺って思います。ほかの研究でも、どこまで追いかけていて、リタイアした後での発症を評価しているのかということを精査しないと、これはすぐには結論が出ないような気がします。そういう意味で、もう一度、一般的なエビデンスの整理だけではなくて、原本に当たって、発症が企業に勤めているところまでの話なのか、それともリタイアした後までずっと追いかけているのかで、判断の仕方が違ってくる可能性がありますので、我々専門家の間で原本を精査して、議論したほうが大事ではという印象を思っています。もう一度事務局のほうで整理していただいて、議論したいと思います。この辺りはよろしいでしょうか。次にいきたいと思います。Bについては、労働時間と労働時間以外の要因を総合的に考えるということで、Aの持ち越しになった議論は、後で更に詰めるとしても、Bについてはいかがでしょうか。
○高橋委員 高橋です。今、磯先生が言われたように、AとBは、ある意味でペアで考えるべき問題かと思いますので、方向性としては、Bに書かれていることは妥当かと思いますが、別な場を設けるのであれば、もう一度そこで検討すればよいかと思います。
○磯座長 それでは、そのようにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。次の複数のほうに移ります。以上で、論点2については、今回御議論いただいたということで、論点3の「複数業務要因災害」の説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 論点2についての御議論ありがとうございました。最後に、論点3として、複数業務要因災害について御説明いたします。資料1の16ページを御覧ください。複数業務要因災害というのは、兼業・副業をしている労働者を複数事業労働者と呼んでおりますが、こういった2社以上に勤めていらっしゃる方の2社以上の業務を要因とする傷病のことを言っております。第1回の検討会でも御議論いただいたところです。こういった方であっても、1社の業務で過重性が認められましたら、普通に1社の業務災害として認定するところですが、1社の業務だけでは過重性が認められない場合に、二以上の事業の業務の負荷を総合的に評価するといった法改正がなされたところです。この場合の過重負荷の判断に関して、第1回検討会、昨年の6月の検討会においては、昨年の9月1日からの法律の施行に間に合わせるために御検討いただきまして、現行の認定基準、平成13年認定基準を前提に、ここに書いてあるとおりに整理をしていただいたところです。「異常な出来事」が認められる場合には、通常は一の事業における業務災害に該当すると考えられるので、一般的には異なる事業における負荷を合わせて評価することはない。「短期間の過重業務」や「長期間の過重業務」に関しては、異なる事業における労働時間を通算して評価する。また、労働時間以外の負荷要因については、これも異なる事業における負荷を合わせて評価するというような整理をしていただいたところです。その上で、これを認定基準に盛り込んだところですが、今回、認定基準の全般を検討いただくに当たりまして、改めてこの点についても御検討いただきたいというところです。とは言いましても、第1回の検討も昨年やっていただいたものでして、事情に大きな変更はないと考えており、事務局としては、現在の整理は維持することが適当ではないかというようなたたき台となっております。説明は以上です。御議論のほど、お願いいたします。
○磯座長 3番の論点について、先生方からコメントがありましたらお願いいたします。
○高橋委員 高橋です。これは正にこれから出てくるであろう事案に対する措置かと思いますが、考え方の原則は既に示されているので、認定基準としてはこういう方針でいくのが妥当かと思います。
○磯座長 杉先生、いかがでしょうか。
○杉委員 杉です。今の高橋先生のお話のとおりだろうと思います。最初の「異常な出来事」というのは1つだけだと思うので、これは合わせてということよりも、1つで十分だと思います。それから、「短期間の過重業務」については、2つ以上の業務をやっているのであれば、合わせて評価ということでいいと思います。
○磯座長 豊田先生、どうでしょうか。
○豊田委員 特に問題はないと思います。
○磯座長 小山先生、いかがでしょうか。
○小山委員 特に問題はありません。
○磯座長 西村先生、いかがでしょうか。
○西村委員 特に問題はないと思います。
○磯座長 では、これについては、合意されたものとしたいと思います。それでは、先生方ありがとうございました。本日の議事は以上となります。最後に、何か御意見、御質問等がありましたらお伺いします。よろしいでしょうか。対象疾患等の医学的事項、業務に関する過重負荷の具体的な評価については、これまで皆さんから御意見がありましたので、最新の医学的知見を踏まえて、引き続き慎重に議論したいと思います。特に、先ほどの論点A、長期間の過重業務における労働時間の評価のAについては、もう少しエビデンスをしっかりと評価して議論を続けたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、次回以降について、事務局において資料の準備をお願いします。本日の検討会はこれで終了いたします。次回の日程等を含めて、事務局から何かありますでしょうか。
○中村職業病認定対策室長補佐 長時間の御議論ありがとうございました。次回以降は、ただいま座長から御発言がありました医学的事項、業務による過重性の評価などを含めまして、これまでの議論を整理しつつ、御議論いただく予定としております。次回の検討会の日時、開催場所につきましては、後日改めて御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。